説明

配線基板プラズマ処理装置及び配線基板の製造方法

【課題】配線基板の製造においてスパッタプロセスを採用しつつ、スループットの向上及びランニングコストの低減が可能な配線基板の製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁膜を表面に有する被処理基板102上に、導電体メッキ層を形成する場合、導電体メッキ層の下地となるシード層をスパッタのみによって形成した場合、密着性及びスループットの向上ができない。同一のプラズマ処理室109内に、プラズマ源を備え、被処理基板102の前処理を行なう表面処理部106と、複数の膜によって形成されたシード層を形成する複数のスパッタ成膜部107、108を備えた配線基板プラズマ処理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板を製造するためのプラズマ処理装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、配線基板は、電子デバイス等を搭載して電子機器を構成するプリント配線板として広く使用されている。電子機器等の小形化と共に、プリント配線板に対しても高精度化、高密度化が要求されている。通常、配線基板における配線材料には銅が用いられ、所定パターンに電解めっきされて形成される。この銅配線電解めっき形成における給電層の形成方法として、前処理としてウェットプロセスを用いた後に無電解銅めっきを行うのが通常である。その後、無電解めっき層をシード層(給電層)として銅の電解めっきが行われる。
【0003】
しかしながら、無電解めっきは、電解めっきに比べめっき品質のばらつきを抑制する事が難しく、更に、大量の薬液を必要とし、所要工程数も多いという問題点がある。そのため、無電解めっきに替わるプロセスとして、スパッタプロセスによりシード層の銅を形成する方法が検討されている。スパッタで形成した銅は、プリント基板の電気的絶縁層、即ち、熱硬化樹脂との密着性の確保が難しいが、シード層の初期層として、窒化銅をスパッタにより形成することで、密着性を向上させることが提案されている。(特許文献1、特許文献2)。特許文献1及び2のように、窒化銅をシード層の初期層として形成しても、実用に耐える密着性を備えた銅シード層が得られていない。
【0004】
一方、特許文献3には、熱硬化性樹脂表面を窒化することで、銅シード層と熱硬化樹脂表面との間の密着性を向上させることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−218516号公報
【特許文献2】特開平10−133597号公報
【特許文献3】PCT/JP2009/59838号出願
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3では、スパッタ装置のみを用いて、基板表面のクリーニング、熱硬化性樹脂表面の窒化、シード層の初期層としての窒化銅膜の形成、シード層としての銅のスパッタ成膜を連続して行う方法が開示されている。しかしながら、マグネトロンスパッタ装置だけを用いて、基板表面のクリーニングを行うと共に、熱硬化性樹脂表面の窒化、シード層の初期層としての窒化銅膜の形成、シード層としての銅のスパッタ成膜を行った場合、スループットが低くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、スパッタプロセスは真空装置内に基板を入れて処理することから、処理基板を装置に入れた後に、真空引きの時間が必要になることや、プリント基板は通常両面に配線形成をする必要があるため、どうしても処理時間が長くなってしまい、スループットを向上させるのが困難であった。また、スパッタ装置のターゲット使用効率が悪いため、ランニングコストが増大するという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、配線基板の製造においてスパッタプロセスを採用しつつ、スループットの向上及びランニングコストの低減が可能な配線基板の製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、一端から他端までの長さが被処理基板の長さの3倍以上あって減圧可能な処理容器と、被処理基板を前記処理容器の前記一端から前記他端へ移動させる移動機構と、前記処理容器の前記一端から前記他端に向かう方向に沿って前記処理容器にそれぞれ設置されたプラズマ源を有する表面処理部、第1のマグネトロンスパッタ成膜部、および、第2のマグネトロンスパッタ成膜部とを含むことを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、前記表面処理部は、並行平板型プラズマ源を有することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、前記並行平板型プラズマ源の一方の電極は前記移動機構によって移動する被処理基板の一方の面の側に、他方の電極は前記被処理基板の他方の面の側に、それぞれ設けられていることを特徴とする第2の態様によるプラズマ処理装置が得られる。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、前記表面処理部において、前記被処理基板の面に垂直な方向に前記被処理基板を移動させる機構をさらに有することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は互いに異なる組成の膜を形成することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は互いに同じ組成の膜を形成することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0015】
本発明の第7の態様によれば、前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は、前記移動機構によって移動する被処理基板の一方の面の側にそれぞれ少なくとも一つのマグネトロンスパッタ源を、かつ前記被処理基板の他方の面の側にそれぞれ少なくとも一つのマグネトロンスパッタ源を、それぞれ有することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0016】
本発明の第8の態様によれば、前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は、回転マグネット式マグネトロンスパッタ源をそれぞれ有することを特徴とする第7の態様に記載のプラズマ処理装置。
【0017】
本発明の第9の態様によれば、前記移動機構は、複数の被処理基板を同時に運搬することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0018】
本発明の第10の態様によれば、前記移動機構は、移動方向に複数かつ移動方向と垂直の方向に複数の被処理基板を同時に運搬することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0019】
本発明の第11の態様によれば、
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内に設けられたプラズマ源を有し、被処理基板にプラズマを照射することで被処理基板表面を改質する第1のプラズマ処理部と、
前記処理容器内に設けられた複数のマグネトロンスパッタ源を備え、マグネトロンスパッタ法により薄膜を堆積させる第2のプラズマ処理部とを含み、
前記プラズマ源は、被処理基板を裏返す操作をせずに該被処理基板の両面にそれぞれプラズマ照射が可能なように設置され、
前記マグネトロンスパッタ源は、被処理基板を裏返す操作をせずに被処理基板の両面に薄膜形成が可能なように該被処理基板の両面にそれぞれ対向して設置され、
ていることを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0020】
本発明の第12の態様によれば、前記第1のプラズマ処理部は、被処理基板の第1の面および該第1の面の反対側の第2の面にそれぞれ対向してかつ被処理基板に略々平行に設けられ、大きさがそれぞれ略々被処理基板と等しい第1のプラズマ励起電極および第2のプラズマ励起電極を含むことを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0021】
本発明の第13の態様によれば、前第1のプラズマ処理部は、被処理基板を前記第1の面と垂直方向に移動させる機能を有し、被処理基板の第1の面をプラズマ処理する際には、第2の面を第2のプラズマ励起電極に接触させ、第2の電極のみに電力を印加する、または、第1の電極と第2の電極の両方に電力を印加することにより、第1の面と第1の電極との間にプラズマを生成し、第1の面をプラズマ処理し、被処理基板の第2の面をプラズマ処理する際には、第1の面を第1のプラズマ励起電極に接触させ、第1の電極のみに電力を印加する、または、第2の電極と第1の電極の両方に電力を印加することにより、第2の面と第2の電極との間にプラズマを生成し、第2の面をプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0022】
本発明の第14の態様によれば、前記処理容器内に前記第2のプラズマ処理部に隣接して設けられ、複数のマグネトロンスパッタ源を有する第3のプラズマ処理部であって、前記マグネトロンスパッタ源は、被処理基板を裏返す操作をせずに被処理基板の両面に薄膜を形成するように該被処理基板の両面にそれぞれ対向して設置されていることを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0023】
本発明の第15の態様によれば、前記マグネトロンスパッタ源が回転マグネットスパッタであることを特徴とするプラズマ処理装置が得られる。
【0024】
本発明の第16の態様によれば、上記した態様のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり、前記第1のプラズマ処理部において、少なくとも水素を含むガスによりプラズマ励起が行われ、活性な水素を被処理基板へ照射して被処理基板表面の少なくとも一部の酸化被膜を除去する第1のプラズマ処理工程と、前記第1のプラズマ処理部において少なくとも窒素を含むガスによりプラズマ励起が行われ、活性な窒素を被処理基板へ照射して被処理基板表面の少なくとも一部を窒化する第2のプラズマ処理工程と、
を有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法が得られる。
【0025】
本発明の第17の態様によれば、上記した態様のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり、前記第1のプラズマ処理部において、少なくとも水素と窒素とを含むガスによりプラズマ励起が行われ、活性な水素およびNHラジカルを照射することにより、被処理基板表面の少なくとも一部の酸化被膜を除去し、かつ同時に被処理基板表面の少なくとも一部を窒化するプラズマ処理工程を有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法が得られる。
【0026】
本発明の第18の態様によれば、上記した態様のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり、前記第1のプラズマ処理部において被処理基板表面をプラズマ処理する工程と、前記第2のプラズマ処理部において前記マグネトロンスパッタ源により、窒化銅、クロム、アルミニウム、チタンおよびタンタルの少なくとも一つを含む導電層を形成する工程とを有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法が得られる。
【0027】
本発明の第19の態様によれば、上記した態様のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり、前記第1のプラズマ処理部において被処理基板表面をプラズマ処理する工程と、前記第2のプラズマ処理部において前記マグネトロンスパッタ源により、第1の導電層を形成する工程と、前記第3のプラズマ処理部において前記マグネトロンスパッタ源により、前記第1の導電層上に第2の導電層を形成する工程とを有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、基板へのスパッタ法による配線形成において、表面処理部とスパッタ成膜部を基板の移動方向に分離配列することにより、スループットの向上及びランニングコストの低減を実現できる。また、表面処理およびスパッタ成膜を基板の表裏両面に対して同時に行うことによって、スループットを更に向上させ、ランニングコストを更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成を説明する断面図である。
【図2】図1の装置の表面処理部における処理工程を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の構成を説明する断面図であり、上は装置の側面から見た断面図、下は装置の上面から見た断面図である。
【図4】本発明のプラズマ処理装置を用いて作られたプリント基板の概略を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明をする。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置の構成を説明する断面図であり、ここでは、当該プラズマ処理装置はプリント基板上に配線材料を形成するために使用される。図1において、101は基板仕込み室、102はプリント基板(被処理基板)、103は基板取り出し室、109はプラズマ処理室、104はプラズマ処理室109と基板仕込み室101を仕切るゲートバルブ、105はプラズマ処理室109と基板取り出し室103とを仕切るゲートバルブである。
【0033】
また、106は表面処理部で、平行平板電極を有するプラズマ源が備えられ、該プラズマ源でプラズマを励起して、基板表面のプラズマクリーニング及びプラズマ窒化を行うユニットである。107及び108はマグネトロンスパッタ成膜部で、107は窒化銅を形成するためのマグネトロンスパッタ源を上下に2セット備えた第1のマグネトロンスパッタ成膜部、108は銅を成膜するためのマグネトロンスパッタ源を上下に2セット備えた第2のマグネトロンスパッタ成膜部である。また、プラズマ処理室109には、被処理基板102をゲートバルブ104から、表面処理部106、第1及び第2のマグネトロンスパッタ成膜部107、108を経て、ゲートバルブ105まで移動させる移動機構(図示せず)が設けられている。当該移動機構として、この実施例では、この一方向だけでなく途中で逆方向(戻る方向)に移動も可能な移動機構を使用している。このような移動機構は、インラインタイプのプラズマ処理装置に用いられる移動機構を使用することができる。
【0034】
図1では、ゲートバルブ104によって規定される一端からゲートバルブ105で規定される他端までの長さが、被処理基板102の長さの3倍以上の長さであるプラズマ処理室109が用いられている。即ち、プラズマ処理室109は、被処理基板102の移動方向に対する長さと略略同等の長さを備えた表面処理部106、被処理基板102の移動方向の長さに合計して略略等しい長さを有する第1及び第2のマグネトロンスパッタ成膜部107、108、及び被処理基板102の長さと同等以上の長さを有する、処理された被処理基板102を取り出し室103へ取り出すために待機させる取り出し用スペースによって定まる長さを有している。
【0035】
本プラズマ処理装置において、基板仕込み室101、プラズマ処理室109、基板取り出し室103は全て減圧可能であり、基板仕込み室101及び基板取り出し室103は、基板仕込み時及び取り出し時に大気圧とする。プラズマ処理室109はメンテナンス時以外、基本的に減圧状態に維持されている。基板仕込み室101に被処理基板102をセットし、基板仕込み室101を減圧にした後、被処理基板102は、ゲートバルブ101を開いて、ロボット(図示せず)により、プラズマ処理室109の表面処理部106に導入される。表面処理部106には、導入された被処理基板102をマグネトロンスパッタ成膜部107の方向へ移動させるだけでなく、逆方向への移動、および参照番号1061でシンボル化して示されているように、移動方向に対して垂直な方向に移動させる移動機構が設けられている。
【0036】
表面処理部106に設置されたプラズマ源の構造、及び当該プラズマ源を用いたプラズマ処理方法を、図2を用いて詳細に説明する。図2は表面処理部106のプラズマ源をより詳細に示した図であり、プラズマ処理の処理手順を201、202、203で示している。204は被処理基板、206は第1のプラズマ励起電極、207は第2のプラズマ励起電極、208は第1のプラズマ励起電極に電力を供給する第1の給電ライン、209は第2のプラズマ励起電極に電力を供給する第2の給電ラインである。
【0037】
図2に示された被処理基板204は、積層構造プリント基板配線用基板であり、図4にその片面の一部が示されている。図4に示された配線用基板は、例えば、熱硬化樹脂等によって形成された絶縁物基体1300、当該基体1300上に形成された内層Cu配線1301、内層Cu配線1301と基体1300とを覆うように形成された絶縁性樹脂1302を有している。絶縁性樹脂1302の一部には、ビアホール1303が形成されて内層Cu配線1301が露出している。図では省略されているが、同様な配線構造が反対面にも形成されている。配線用基板は内層Cu配線1301が露出した状態で表面処理部106に導入される。
【0038】
なお、被処理基板204は40cm×50cmの長方形基板であり、その周辺が被処理基板204を支えるための治具205で固定されており、基板仕込み室(図1の102)に搬入されてから基板取り出し室(図1の103)から取り出されるまで、被処理基板204は治具205と共に移動機構によって移動する。治具205は被処理基板を、曲げることなく安定に移動させることを主な目的とし、治具205によって支持される被処理基板204の面積は、被処理基板204の有効面積を増加させるためには、なるべく少ない方が望ましい。
【0039】
プラズマ励起電極206、207は、被処理基板の上下両面にそれぞれ対向して設置され、被処理基板204の、第1のプラズマ励起電極206側を第1の面、その逆側を第2の面と定義する。210は被処理基板の第1の面と第1のプラズマ励起電極206との間の空間、211は被処理基板の第2の面と第2のプラズマ励起電極207との間の空間である。
【0040】
処理手順201は、被処理基板204が基板仕込み室101から表面処理部106へ搬送されプラズマ励起電極206、207の間の位置まで搬送された状態を示している。なお、第1のプラズマ励起電極206と第2のプラズマ励起電極207は、それぞれ対向して略々被処理基板204と等しい大きさで、被処理基板と平行に設置されている。この状態では基板204は第1のプラズマ励起電極206と第2のプラズマ励起電極207との丁度中間に保持されている。
【0041】
被処理基板204は、前述したように、治具205と共に被処理基板と垂直方向、即ち、プラズマ励起電極206、207の面に対して垂直方向に可動する移動機構1061(図1)を有している。
【0042】
この移動機構1061を利用し、被処理基板204の第1の面、及び第2の面を順次プラズマクリーニング及びプラズマ窒化を行う。まず、被処理基板204の第2の面の処理を行うために、処理手順202で示すように、第1の面を第1のプラズマ励起電極206に接触させる。この状態で、プラズマ処理室内にアルゴンと水素を流量比9:1で導入し、圧力を50mTorrに設定する。ここで、第1のプラズマ励起電極206に13.56MHzのRF電力を0.2W/cm2の電力密度で、被処理基板204の第2の面へのイオン照射が40eV程度になるような条件でプラズマを励起し、8秒間プラズマクリーニングを行った。
【0043】
この工程により、主にビアホール1303(図4)底部の内層Cu配線1301の露出面におけるCuの酸化皮膜が除去される。アルゴンのみでプラズマ励起を行っても酸化皮膜の除去効果はあるが、水素も導入することで、水素ラジカルによる還元効果を利用することで除去効果が増大する。また、よりプラズマ密度を増加させてクリーニング効果を増大させるために、第2のプラズマ励起電極207にも同時にRF電力を印加しても良い。
【0044】
次に、アルゴンと窒素を流量比7.5:2.5でプラズマ処理室(図1の109)に導入し、圧力を100mTorrに設定し、第1のプラズマ励起電極206に13.56MHzのRF電力を0.3W/cm2の電力密度で印加してプラズマを励起し、活性な窒素ラジカルを生成した。これにより、被処理基板204の第2の面における樹脂(図4の1302)表面を8秒間窒化した。以上により、被処理基板204の第2の面のプラズマクリーニング及び樹脂表面の窒化を行った。なお、この窒化処理に関しても、より効果を増大させるために第2のプラズマ励起電極207に電力を印加しても良い。この結果、被処理基板204の第2の面上の樹脂層1302の表面には、図4に示されるように、窒化樹脂層1304が形成される。
【0045】
また、プラズマ密度を増加させプラズマクリーニングやプラズマ窒化の効果を増大させるためにはRF電力を用いることが好ましいが、電源のコスト等の観点からDC電力を用いても、より長い時間処理すれば同等の効果が得られる。
【0046】
次に、被処理基板204の第1の面の処理を行うために、処理手順203で示すように、被処理基板204の第2の面を第2のプラズマ励起電極207に接触させる。この後は上述の工程を第1及び第2のプラズマ励起電極206、207に印加する電力等を、第1のプラズマ励起電力と第2のプラズマ励起電力とを入れ替えることで、被処理基板204の第1の面のプラズマクリーニング及びプラズマ窒化が終了する。その後に再び被処理基板204を処理手順201のように両プラズマ励起電極206,207の中央に戻す。
【0047】
なお、プラズマ処理方法としては、よりスループットを向上させたい場合には、被処理基板を両プラズマ励起電極の中央に設置した状態で、両プラズマ励起電極に同時にRF電力やDC電力を印加しても良いし、例えば、第2のプラズマ励起電極207をグランドに接地し、第1のプラズマ励起電極206に電力を印加することで容量結合プラズマを励起しても良い。ただし、この場合には、被処理基板204を基板垂直方向に動かして処理する方法と同等の効果を得るためには、被処理基板204とプラズマ励起電極206、207が遠いため、多くのプラズマ電力が必要である。
【0048】
RFプラズマ放電を行う場合は、給電ライン208、および209の先には図示しないマッチング回路とブロッキングコンデンサが設置され、ブロッキングコンデンサにより給電ライン及びプラズマ励起電極はDC的に絶縁される。よって、第1、及び第2のプラズマ励起電極206、207をグランドに接地するためのスイッチを給電ラインの位置に設けることが好ましい。
【0049】
いずれにせよ、第1のプラズマ励起電極206と第2のプラズマ励起電極207がそれぞれ対向して略々被処理基板204と等しい大きさで、被処理基板204と平行に設置されていることで、被処理基板204の両面を、被処理基板204を裏返す操作をせずにプラズマ処理が可能である。
【0050】
次に、再び図1を用いて、被処理基板102(204)上に、窒化銅膜形成及び銅膜形成を行うプロセスについて説明する。図示された例では、これらの成膜のためにマグネトロンスパッタ源をそれぞれ上下に2セット備えた第1のマグネトロンスパッタ成膜部107(窒化銅膜の形成用)およびマグネトロンスパッタ源をそれぞれ上下に2セット備えた第2のマグネトロンスパッタ成膜部108(銅膜の形成用)が設けられている。第1のマグネトロンスパッタ成膜部107は被処理基板の移動方向(図1の左から右へ向かう方向)に沿って表面処理部106の下流に設けられ、さらに、その下流に第2のマグネトロンスパッタ成膜部108が設けられている。これらマグネトロンスパッタ成膜部107、108のスパッタ源のスパッタ方式としては、固定磁石をターゲットの裏面に設置した通常のマグネトロンスパッタ方式でも構わないが、回転マグネットスパッタ方式(詳細は、PCT国際公開公報WO2007/043476に開示されている)を用いた方が好ましい。回転マグネットスパッタ方式を用いることで、成膜レートも向上でき、さらにターゲット利用効率が高いために、ターゲット交換頻度を少なくすることが可能で、スループットを高くし、ランニングコストを安く抑えることができる。
【0051】
このため、図では、回転マグネットスパッタ方式のスパッタ装置を用いた例が示されている。第1のマグネトロンスパッタ成膜部107では、矩形の銅ターゲット1071、1072が対向してプラズマ処理室109に設置されており、被処理基板は、この対向されて設置された両ターゲットの中央部を通過させることで窒化銅の成膜を行う。
【0052】
図示された例においては、アルゴンと窒素を、流量比97.5:2.5でプラズマ処理室に導入し、圧力を5mTorrとし、ターゲットに13.56MHzのRF電力を4W/cm2の電力密度で印加し、ターゲットのDC電圧を-340Vとしてプラズマを励起し、1cm/sの速度で被処理基板を第1のマグネトロンスパッタ成膜部107を図1の左から右へ通過させた。これにより、20nmの膜厚の窒化銅(図4の1305)が被処理基板の第1および第2の面の表面に形成された。
【0053】
次に、銅成膜の手順を説明する。図1において、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107に隣接して、被処理基板の移動方向の下流に、銅を成膜するための第2のマグネトロンスパッタ成膜部108が位置している。ここでも、窒化銅成膜の場合と同様、回転マグネットスパッタ方式が採用されている。第2のマグネトロンスパッタ成膜部108でも、矩形の銅ターゲット1081、1082が対向してプラズマ処理室に設置されている。
【0054】
従って、窒化銅を厚く付けたい場合には、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107への給電と同時に第2のマグネトロンスパッタ成膜部108にも同様行えばよい。本実施英では、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107への給電時には、第2のマグネトロンスパッタ成膜部108への給電は停止されている。
【0055】
さて、銅成膜のプロセスでは、基板はまず第2のマグネトロンスパッタ成膜部108より上流へ戻される。そして、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107への給電は停止されており、第2のマグネトロンスパッタ成膜部108への給電が開始される。被処理基板は、対向されて設置された両ターゲットの中央部を通過させることで銅の成膜を行う。この例においては、アルゴンをプラズマ処理室に導入し、圧力を5mTorrとし、ターゲットに13.56MHzのRF電力を4W/cm2の電力密度で印加し、ターゲット1081、1082のDC電圧を-340Vとしてプラズマを励起し、被処理基板を2mm/sの速度で、ターゲット領域を通過させた。これにより、100nmの膜厚の銅シード膜(図4の1306)を形成した。銅の膜厚をもっと大きくしたければ、基板を第1のマグネトロンスパッタ成膜部107よりも上流まで後退させ、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107へも第2のマグネトロンスパッタ成膜部108への給電と同じ給電を行って、アルゴンをプラズマ処理室に導入し、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107および第2のマグネトロンスパッタ成膜部108で連続して銅のスパッタ成膜を行えばよい。
【0056】
銅薄膜形成が終了した後に、ゲートバルブ105を開け、基板取り出し室103へ基板を搬送して基板を取り出した。図4を参照すると、この工程の後、銅薄膜1306をシード層とした電解めっきによって被処理基板の第1の面および第2の面に銅(図示せず)を25μm程度成膜し、その後ウェットエッチングにより銅の電解めっき層、その下の銅シード層1306、およびその下の窒化銅膜1305の不要部を除去して、所望の配線パターンを形成する。
【0057】
以上、本発明の第1の実施形態に係る銅シード層形成について説明した。なお、本実施形態においては、窒化銅形成工程で、アルゴン/窒素ガスによりプラズマを励起し、銅ターゲット1071、1072をリアクティブスパッタすることで形成したが、窒化銅のターゲットを用いて、アルゴンプラズマによるスパッタで窒化銅を形成しても良い。この場合は、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107への給電と同時に第2のマグネトロンスパッタ成膜部108への給電を行い、アルゴンをプラズマ処理室に導入し、窒化銅の成膜に引き続いて銅の成膜を行うことができる。あるいは、それに続いて、基板を逆方向へ移動させて、第2のマグネトロンスパッタ成膜部108の上流まで戻し、第1のマグネトロンスパッタ成膜部107への給電を停止しつつ、第2のマグネトロンスパッタ成膜部108への給電を行いつつ、基板を正方向へ移動させてより厚い銅を成膜してもよい。
【0058】
また、窒化銅に限らず、樹脂との密着性が得られるクロム、アルミニウム、チタン、タンタル等のターゲットを用いてもよい。この場合には、アルゴンのみのプラズマを発生させるので、上記の窒化銅ターゲットの場合と同様のプロセスを実施できる。
【0059】
図示された例では、第1及び第2のマグネトロンスパッタ成膜部107及び108において互いに異なる組成の膜(窒化銅膜1305及び銅シード膜1306)を形成する場合について説明したが、第1及び第2のマグネトロンスパッタ成膜部107及び108において同一組成の膜を形成しても良い。
【0060】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を、図3を参照して詳細に説明する。なお、第1の実施形態と重複する部分は説明を省略する。図3は、プリント基板上への配線材料を形成するためのプラズマ処理装置の第2の実施の形態の構成を説明する図であり、301は装置側面から見た断面図、302は装置上面から見た断面図である。303はプラズマクリーニング及び被処理基板の樹脂表面の窒化を行うためのプラズマ源を備えた基板処理部であり、304は窒化銅を形成するための回転マグネットスパッタ源を有する第1のスパッタ成膜部、305は銅を形成するための回転マグネットスパッタ源を有する第2のスパッタ成膜部である。306は被処理基板であり、40cm×50cmの長方形をしており、被処理基板306の移動方向(図の左から右へ向かう方向)に2枚、移動方向と垂直の方向に4枚が配列されて、合計8枚が被処理基板306の周辺に設置された治具により、同時に搬送することが可能である。8枚を1セットとして同時搬送機能を持たせることで、一回で処理される枚数を増加させることができる。
【0061】
基板処理部303は、図1および図2で説明した平行平板型プラズマ源106と同様の構成のプラズマ源を、被処理基板の進行方向に2セット配置し、かつ、各電極の幅は被処理基板と幅と同程度とし、長さ(基板の移動方向に垂直の長さ)を基板4枚の合計の長さより大きくした構成を備えている。この構成により、同時に8枚の基板の同時処理を可能としている。
【0062】
また、窒化銅形成用の第1のスパッタ成膜部304は、被処理基板の移動方向に沿って回転マグネットスパッタ源を被処理基板の第1の面側に1個、第2の面側に1個設けた構成を有している。更に、銅薄膜形成用の第2のスパッタ成膜部305は、被処理基板の移動方向に沿って回転マグネットスパッタ源を被処理基板の第1の面に4個、第2の面に4個、上下に合計8個を搭載した構成を備えている。第1及び第2のスパッタ成膜部304、305の各回転マグネットスパッタ源の長さ(基板の移動方向に垂直の長さ)は基板4枚の合計の長さより大きくしてある。まず、第1のスパッタ成膜部304に給電し、第2のスパッタ成膜部305への給電は停止しつつ窒素ガス+アルゴンガスでプラズマ励起してリアクティブスパッタを行う。具体的には、アルゴンと窒素を、流量比97.5:2.5でプラズマ処理室に導入し、圧力を5mTorrとし、第1のスパッタ成膜部304の銅ターゲットに13.56MHzのRF電力を4W/cm2の電力密度で印加し、ターゲットのDC電圧を-340Vとしてプラズマを励起し、1cm/sの速度で被処理基板を第1のマグネトロンスパッタ成膜部304を図の左から右へ通過させた。これにより、20nmの膜厚の窒化銅が被処理基板の第1および第2の面の表面に形成された。次に、移動機構を逆転させて被処理基板を第2のスパッタ成膜部305よりも上流へ戻して、第1のスパッタ成膜部304の給電は止め、第2のスパッタ成膜部305への給電を開始し、アルゴンガスでプラズマ励起して銅のスパッタを行う。給電およびスパッタの条件は第1の実施例と同様とした。図示された例では、第2のスパッタ成膜部305に回転マグネットスパッタ源を合計8個を配列した結果、銅薄膜の成膜レートが向上し、スループットが向上した。
【0063】
以上、実施例で配線基板製造装置とその製造方法を示したが、表面処理の条件やスパッタの条件におけるガス圧力やガス流量比率、時間等、上記した例に限定されるものではない。また、プラズマクリーニングにおけるArガスまたはAr/ H2ガスプラズマによるイオン照射工程を樹脂層の表面窒化工程の前に行ったが、表面窒化の後、窒化銅形成工程の前に行ってもよいし、Ar/ H2ガスプラズマの代わりにAr/ H2ガスにN2ガスを加えたガス、またはArガスにアンモニアガスを加えた混合ガスでプラズマ照射を行って、上記のイオン照射工程と樹脂層の表面窒化工程とを同時に行ってもよい。
【0064】
尚、図1に示された実施例では、移動機構として、被処理基板を一方向及び逆方向に移動させる移動機構を使用しているが、一方向だけに移動させる移動機構を使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るプラズマ処理装置は、プリント基板形成の配線形成において、大量の薬液を使い、製造コスト低減が困難な無電解めっき工程をスパッタによるドライ工程に低コストかつ高スループットで置き換えることができる。
【符号の説明】
【0066】
101…基板仕込み室
102、204、306…配線基板用の被処理基板
103…基板取り出し室
104、105…ゲートバルブ
106…表面処理部
107、108…マグネトロンスパッタ成膜部
109…プラズマ処理室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端までの長さが被処理基板の長さの3倍以上あって減圧可能な処理容器と、被処理基板を前記処理容器の前記一端から前記他端へ移動させる移動機構と、前記処理容器の前記一端から前記他端に向かう方向に沿って前記処理容器にそれぞれ設置されたプラズマ源を有する表面処理部、第1のマグネトロンスパッタ成膜部、および第2のマグネトロンスパッタ成膜部とを含むことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記表面処理部は、並行平板型プラズマ源を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記並行平板型プラズマ源の一方の電極は前記移動機構によって移動する被処理基板の一方の面の側に、他方の電極は前記被処理基板の他方の面の側に、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記表面処理部において、前記被処理基板の面に垂直な方向に前記被処理基板を移動させる機構をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は互いに異なる組成の膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は互いに同じ組成の膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は、前記移動機構によって移動する被処理基板の一方の面の側にそれぞれ少なくとも一つのマグネトロンスパッタ源を、かつ前記被処理基板の他方の面の側にそれぞれ少なくとも一つのマグネトロンスパッタ源を、それぞれ有することを特徴とする請求項1、2、5または6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1のマグネトロンスパッタ成膜部および第2のマグネトロンスパッタ成膜部は、回転マグネット式マグネトロンスパッタ源をそれぞれ有することを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記移動機構は、複数の被処理基板を同時に運搬することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記移動機構は、移動方向に複数かつ移動方向と垂直の方向に複数の被処理基板を同時に運搬することを特徴とする請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内に設けられたプラズマ源を有し、被処理基板にプラズマを照射することで被処理基板表面を改質する第1のプラズマ処理部と、
前記処理容器内に設けられた複数のマグネトロンスパッタ源を有し、マグネトロンスパッタ法により薄膜を堆積させる第2のプラズマ処理部とを含み、
前記第1のプラズマ処理部の前記プラズマ源は、被処理基板を裏返す操作をせずに該被処理基板の両面にそれぞれプラズマ照射が可能なように設置され、
前記マグネトロンスパッタ源は、被処理基板を裏返す操作をせずに被処理基板の両面に薄膜形成が可能なように該被処理基板の両面にそれぞれ対向して設置され、
ていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記第1のプラズマ処理部は、被処理基板の第1の面および該第1の面の反対側の第2の面にそれぞれ対向してかつ被処理基板に略々平行に設けられ、大きさがそれぞれ略々被処理基板と等しい第1のプラズマ励起電極および第2のプラズマ励起電極を含むことを特徴とする請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記第1のプラズマ処理部は、被処理基板を前記第1の面と垂直方向に移動させる機構を有し、
被処理基板の第1の面をプラズマ処理する際には、第2の面を第2のプラズマ励起電極に接触させ、第2の電極のみに電力を印加する、または第1の電極と第2の電極の両方に電力を印加することにより、第1の面と第1の電極との間にプラズマを生成し、第1の面をプラズマ処理し、
被処理基板の第2の面をプラズマ処理する際には、第1の面を第1のプラズマ励起電極に接触させ、第1の電極のみに電力を印加する、または第2の電極と第1の電極の両方に電力を印加することにより、第2の面と第2の電極との間にプラズマを生成し、第2の面をプラズマ処理することを特徴とする
請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記処理容器内に前記第2のプラズマ処理部に隣接して設けられ、複数のマグネトロンスパッタ源を有する第3のプラズマ処理部であって、
前記マグネトロンスパッタ源は、被処理基板を裏返す操作をせずに被処理基板の両面に薄膜を形成するように該被処理基板の両面にそれぞれ対向して設置され、
ていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記マグネトロンスパッタ源が回転マグネットスパッタであることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、
前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり
前記第1のプラズマ処理部において、少なくとも水素を含むガスによりプラズマ励起が行われ、活性な水素を被処理基板へ照射して被処理基板表面の少なくとも一部の酸化被膜を除去する第1のプラズマ処理工程と、前記第1のプラズマ処理部において少なくとも窒素を含むガスによりプラズマ励起が行われ、活性な窒素を被処理基板へ照射して被処理基板表面の少なくとも一部を窒化する第2のプラズマ処理工程と、
を有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項17】
請求項11〜15のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、
前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり
前記第1のプラズマ処理部において、少なくとも水素と窒素とを含むガスによりプラズマ励起が行われ、活性な水素およびNHラジカルを照射することにより、被処理基板表面の少なくとも一部の酸化被膜を除去し、かつ、同時に被処理基板表面の少なくとも一部を窒化するプラズマ処理工程、
を有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項18】
請求項11〜15のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、
前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり
前記第1のプラズマ処理部において被処理基板表面をプラズマ処理する工程と、
前記第2のプラズマ処理部において前記マグネトロンスパッタ源により、窒化銅、クロム、アルミニウム、チタンおよびタンタルの少なくとも一つを含む導電層を形成する工程と
を有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項19】
請求項14に記載のプラズマ処理装置を用いてプリント配線基板を製造する方法であって、
前記被処理基板は、熱硬化性樹脂上に配線パターンを形成する基板であり
前記第1のプラズマ処理部において被処理基板表面をプラズマ処理する工程と、
前記第2のプラズマ処理部において前記マグネトロンスパッタ源により、第1の導電層を形成する工程と
前記第3のプラズマ処理部において前記マグネトロンスパッタ源により、前記第1の導電層上に第2の導電層を形成する工程と
を有することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−32508(P2011−32508A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177990(P2009−177990)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】