説明

配線形成方法及び半導体装置

【課題】 配線形成方法及び半導体装置に関し、ケミカルメカニズムとメカニカルメカニズムの少なくとも一方の要素を強化してCu研磨レートを向上させる。
【解決手段】 化学的機械的に研磨して埋込配線7を形成する際に、研磨されるCuまたはCuを主成分とするCu合金からなるCu系導電材料3或いは研磨剤6の少なくとも一方に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線形成方法及び半導体装置に関するものであり、特に、Cu或いはCuを主成分とするCu合金からなるCu系導電材料を用いた埋込配線構造をCMP(化学機械研磨)法によって形成する際のCu研磨レートを向上するための構成に特徴のある配線形成方法及び半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、微細化・高速化するCMOS型LSI用の配線材料として、低抵抗でエレクトロマイグレーション耐性が高いCu配線が適用されている。
このCuは従来のAl配線とは異なり、ドライエッチングによる加工が困難であることから、絶縁膜に溝やビアホールを形成し、そこへCuを埋め込むダマシン法や、配線層とビアを一体に形成するデュアルダマシン法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、従来のダマシン法を用いた配線形成方法の一例を説明すると、まず、例えば、ビアホールとトレンチを配線1層部(層間厚)が440nm、最小ビア・トレンチ径が90nmの配線用トレンチ及びビアホールを層間絶縁膜に形成する。
この場合の層間絶縁材料にはLow−k材料等を使用する。
【0004】
次いで、Ta,Ti,W,Zr等或いはそれらの窒化物からなる厚さが、約10〜15nmのバリアメタル、厚さが、約50〜100nmのCuシードをPVD法或いはCVD法によって作成する。
【0005】
次いで、硫酸銅めっき液にて電解めっきを行い、めっき膜厚が1μm程度になるまで成膜してビアホール及びトレンチを埋め込んだのち、CMPにて配線に余分な層を研磨し、配線の平坦化を行う。
【0006】
次いで、平坦化した埋込配線層或いはビアの表面をSiC、SiO2 、SiOC、SiO2 +SiC、SiNのような膜を用いてキャップし、1つの層を形成する。
以後はこれを必要な層数分繰り返すことによって多層構造を形成する。
【特許文献1】特開2006−303179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、CMPによってCu膜を研磨し、配線部分を作成する時、スループットの向上やコストの観点から、Cuの研磨レートの向上が大きな課題となるので、ここで、図24乃至図26を参照してCMP法の研磨原理を説明する。
【0008】
図24参照
図24は、CMP法の概念的構成説明図であり、CMPは一般的に、研磨パッド101と呼ばれる研磨布上にスラリー102を供給しながら、研磨ヘッド103に固着した研磨対象となるウェーハ104を研磨パッド101に押し付けながら研磨する手法である。
【0009】
したがって、CMP研磨レートの向上に対して、
a.研磨パッド
b.スラリー
c.研磨される膜
の3つの観点からアプローチできる。
【0010】
このCMPで用いられるスラリー102は、表1に示すように、酸化剤、錯化剤(有機酸)、界面活性剤、防食剤、砥粒等から構成される。
なお、現在、酸化剤105は安定性・運用の観点から、H2 2 が主流である。
【表1】

【0011】
図25参照
CMPのメカニズムは、ケミカルとメカニカルに分類でき、ケミカルメカニズムはスラリー102を構成する酸化剤105で配線材料のCu106を酸化し、酸化により形成されたCu酸化物107をスラリー102を構成する成分で化学的に溶解させる方法である。
【0012】
図26参照
一方、メカニカルメカニズムは、Cu106を酸化し、酸化により形成されたCu酸化物107を研磨パッド101とCu106との摺動摩擦によって物理的に削り取る方法である。
どちらのメカニズムでも、Cu酸化物107を作るという要素が不可欠であり、この酸化量を増やすことが研磨レートの向上に繋がる。
【0013】
したがって、本発明は、ケミカルメカニズムとメカニカルメカニズムの少なくとも一方の要素を強化してCu研磨レートを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明するが、
なお、図における符号1は、シリコンウェーハ等の基板である。
図1参照
上記の課題を解決するために、本発明は、化学的機械的に研磨して埋込配線7を形成する配線形成方法において、研磨されるCuまたはCuを主成分とするCu合金からなるCu系導電材料3或いは研磨剤6の少なくとも一方に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4を含有させることを特徴とする。
【0015】
このように、Cu系導電材料3或いは研磨剤6の少なくとも一方に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4を含有させることによって、Cu研磨レートを向上するとともに、局所的な過剰研磨が発生しにくくなるのでディッシングも発生しにくくなる。
【0016】
この場合、Cu系導電材料3を凹部2に埋め込む際に、凹部2の内、幅或いは直径が相対的に小さな幅細凹部の埋め込みが終わった後に、Cu系導電材料3に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4として研磨促進剤を添加して未だ埋め込みが終わらない幅細凹部より幅或いは直径が相対的に大きな幅太凹部を埋め込むことが望ましい。
【0017】
めっき後のCu配線は、図1の上図に示すように、幅細凹部、即ち、微細配線パターンの集合部分の上部が他の部分に比べて盛り上がるオーバープレート8や、幅太凹部、即ち、太幅配線部分が沈み込むアンダープレート9といった段差が形成されやすいが、この段差を化学的機械(CMP)法で削り込む過程で平坦化する必要がある。
【0018】
この時、研磨は研磨布5に接触した部分が最も削りやすいこと、めっき後に出来るオーバープレート8のこの2つを利用し、予め盛り上がる部分に研磨レートを促進させる効果を持つ物質4を添加しておくことによって、図1の下図に示すように研磨レートを促進させる効果を持つ物質4を添加した部分の研磨レートが上昇し、ディッシングを発生させることなく平坦化が可能となる。
【0019】
この場合の研磨剤6は、少なくとも過酸化水素を含んでいることが望ましく、それによって、Cu系導電材料3の表面の酸化が効果的に行われるので、Cu研磨レートが向上する。
【0020】
また、Cu系導電材料3に添加する研磨促進剤としては、鉄、銀、チタン、ルテニウム、白金、或いは、マンガンからなる金属等の無機系研磨促進剤、或いは、硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、メルカプト塩、過硫酸塩、或いは、メチルスルホン酸塩のいずれかである有機系研磨促進剤が望ましく、これらを単独で或いは混合して使用すれば良い。
特に、研磨促進剤としては銀や白金のようなストレス・マイグレーション耐性の高い材料を用いることが望ましい。
【0021】
また、Cu系導電材料3の成膜方法としては、物理的気相堆積(PVD)法、化学的気相堆積(CVD)法、電解めっき方法、或いは、無電界めっき方法の少なくとも1つの堆積方法を用いれば良い。
【0022】
また、上述の幅細凹部の幅或いは直径としては、0.4μm以下が典型的な値であり、0.4μm以上では研磨促進剤の添加効果が小さくなる。
【0023】
一方、研磨剤6に含有させる研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4としては、Rを分子量が400以下の有機化合物、MをNa+ ,K+ ,NH4 + ,H+ のいずれかとした場合、チオ硫酸塩、メルカプトスルホン酸塩(M−R−SH)、或いは、ジスルフィドスルホン酸塩(M−R−S−S−R−M )の少なくとも1種類からなる硫黄化合物が典型的なものである。
【0024】
また、この場合にも、研磨剤6が、少なくとも過酸化水素を含んでいることが望ましい。
即ち、酸化剤H2 2 の能力を向上させるためには、H2 2 の分解を促進する触媒を添加する方法が考えられるが、触媒では、本来起こりえない反応を起こすことは出来ない。
【0025】
そこで、硫黄化合物を用いることで、硫黄化合物中の硫黄がH2 2 により酸化されてH2 SO4 を形成し、このH2 SO4 がより強いCuの酸化状態を作り上げることを可能にする。
その場合の研磨剤6のpHは、3〜5の範囲が望ましく、pH<3の場合にはCuの溶解レートは高まるが、硫黄酸化物によるCu酸化が促進され過ぎて、「酸化速度>溶解速度」の溶解律速度の状態となり、一方、pH>5の場合は、Cuの溶解レート自体が低くなり、硫黄酸化物の添加効果が得られなくなる。
【0026】
この場合、研磨剤6に含有させる硫黄化合物は、研磨剤6を蓄えておく研磨剤用タンク内で添加しても良いし、或いは、研磨剤6を蓄えておく研磨剤用タンクと配管で結合された添加剤用タンクに収容し、研磨剤6と硫黄化合物とを被研磨材に供給する直前で混合するようにしても良い。
【0027】
或いは、研磨剤6に含有させる硫黄化合物は、研磨剤6と硫黄化合物とを被研磨材と研磨布5が接触した状態において混合するようにしても良く、その場合には、硫黄化合物を含んだ溶液を、研磨を開始する前に予め研磨布5に含ませておき、研磨剤6と研磨布5上で混ぜても良いし、硫黄化合物を含んだ溶液を、研磨布5の下側から噴出させて、研磨剤6と研磨布5上で混ぜるようにしても良い。
【0028】
また、上述の配線形成方法によって、半導体装置における埋込配線7を形成することが望ましく、それによって、配線形成工程のスループットを向上することができるとともに、ディッシングが発生しないので、膜厚の目減りによる配線抵抗の増加が防止できる。
【0029】
特に、半導体装置としては、絶縁膜と、絶縁膜に形成れた第一の幅を有する第一配線溝と、第一配線溝に埋め込まれた第一導電層と、絶縁膜に形成され、第一の幅よりも広い第二の幅を有する第二配線溝と、第二配線溝に埋め込まれた第二導電層とを有し、第二導電層に含まれる研磨促進剤の濃度が、第一導電層に含まれる研磨促進剤の濃度よりも高いことを特徴とする。
【0030】
また、研磨装置としては、研磨剤6を蓄えておく研磨剤用タンクと、研磨剤用タンクと配管で結合されるとともに、研磨剤6を被研磨材に供給する直前で研磨剤6と研磨速度を向上させる効果をもたらす添加剤とを混合するための添加剤用タンクを備えるように構成しても良いし、或いは、研磨布5の裏面側から研磨速度を向上させる効果をもたらす添加剤を噴出させる添加剤噴出機構を備えるように構成しても良い。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、Cu研磨レートを向上することによってスループットを向上することができ、特に、幅細凹部の埋め込みが終わった後に、研磨促進剤を添加して大きな幅太凹部を埋め込むことにより、幅細凹部上に形成されたオーバープレートを速やかに研磨除去することができるので、ディッシングの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、研磨されるCuまたはCuを主成分とするCu系導電材料或いは研磨剤、特に、H2 2 を含む研磨剤の少なくとも一方に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質を含有させることによって、CMP研磨におけるCu研磨速度を向上させるものである。
【0033】
この場合、Cu系導電材料に添加する研磨促進剤としては、鉄、銀、チタン、ルテニウム、白金、或いは、マンガンからなる金属等の無機系研磨促進剤、或いは、硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、メルカプト塩、過硫酸塩、或いは、メチルスルホン酸塩のいずれかである有機系研磨促進剤を用いる。
また、含有量としては、無機系研磨促進剤の場合には30000ppm(3重量%)以下、有機系研磨促進剤の場合には1000ppm(0.1重量%)以下の範囲が望ましい。
なお、無機系研磨促進剤は、合金スパッタなどで制御可能であるが、有機系研磨促進剤は不純物として膜に取り込ませる成膜方法が主流となるため、高濃度の添加が困難である。
【0034】
また、研磨剤に含有させる研磨促進剤としては、Rを分子量が400以下の有機化合物、MをNa+ ,K+ ,NH4 + ,H+ のいずれかとした場合、チオ硫酸塩、メルカプトスルホン酸塩(M−R−SH)、或いは、ジスルフィドスルホン酸塩(M−R−S−S−R−M)を用いる。
また、この場合の含有量としては、3000ppm(0.3重量%)以下の範囲が望ましい。
なお、研磨剤中に0.1重量%以上の添加を行うと、添加剤ではなくスラリの有効成分となり、スラリ中の他の界面活性剤の特性を変えてしまうため、多量添加は避けたい。
【0035】
ここで、図2乃至図4を参照して、まず、研磨促進剤の添加効果を検証する。
図2参照
図2は、めっき工程の説明図であり、シリコンウェーハ11上にSiO2 膜12及びTa膜13を介して、めっき浴14中において例えば、めっき電流は10mA/cm2 の条件の電解めっき法によってCuめっきを行って、2μmの膜厚の研磨促進剤16を含んだCu膜15を形成する。
【0036】
この時の電解めっき工程において、めっき浴14は、
Cu:40g/L
2 SO4 :10g/L
Clイオン:60ppm
の組成液を基準液とし、この基準液に表2に示す硫黄化合物を3000ppm、平均分子量2000のポリエチレングリコールを300ppm添加したものを使用した。
【表2】

【0037】
図3参照
次いで、H2 2 :6重量%、クエン酸:3重量%の研磨液17中に試料を浸漬して単位時間当たりのCu溶解量を段差計測で測定した。
【0038】
図4参照
図4は、各試料の測定結果の説明図であり、硫黄化合物を含む方がCu溶解レートは高く、また、チオ硫酸ナトリウム(Na2 2 3 )、メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム(Na+ −O3 S−CH2 CH2 CH2 −SH)、ジスルフィドプロパン酸ナトリウム、或いは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含んだ膜のCu溶解レートが高くなることが分かる。
【0039】
これは、Cu膜15に含まれる研磨促進剤16としての硫黄化合物中の硫黄がH2 2 により酸化されてH2 SO4 を形成し、このH2 SO4 がより強いCuの酸化状態を作り上げるためと考えられ、このことは、硫黄を含んでいても既にSO4 の完全に酸化された形で含まれている試料BのNa2 SO4 については添加効果が得られないことから推測される。
【0040】
次に、図5乃至図7を参照して、段差解消効果を検証する。
図5参照
図5は、段差解消効果を検証するための試料の概念的構成図であり、シリコン基板21に幅細配線用トレンチ22が密集した領域と幅太配線用トレンチ23を形成したのち、上述の条件で研磨促進剤16を含んだCu膜15を成膜し、上述のH2 2 :6重量%、クエン酸:3重量%の研磨液17を用いてCMP法で研磨したものである。
【0041】
図6参照
図6は、上述の試料A、試料E及び試料Fの研磨促進剤を添加した試料の段差解消の能力の説明図で、研磨力の評価は、研磨量に対する段差の減り方という形で示しており、研磨量=0は、初期状態を意味している。
図から明らかなように、試料Fの段差解消能力は高く、図4に示すCu溶解レートと傾向が一致している。
【0042】
図7参照
図7は、試料A,試料E及び試料FのCu膜の硫黄濃度分布図であり、ここでは、SIMS(二次イオン質量分析法)による分析結果をしめしており、A<E<Fの順に硫黄濃度が高い。
したがって、Cu膜15に含まれる研磨促進剤、即ち、不純物が高いほど段差解消効果かが高いことが推測される。
【0043】
次に、図8を参照してS−mig(ストレス・マイグレーション)耐性効果を検証する。
図8参照
図8は、上述の試料A、試料E及び試料Fの研磨促進剤を添加した3.0μm幅の埋込配線層の200℃の温度下における504時間の通電試験によるストレス・マイグレーション耐性を示したものであり、不純物濃度の高い試料Fの配線の故障率が低いことが分かる。
【0044】
以上の結果より、Cu膜15中にCuの溶解レートを促進するような研磨促進剤16、即ち、完全に酸化されない状態のS(硫黄)を含む硫黄化合物を含ませることで、段差能力が解消されやすくなり、また不純物濃度が高くなることで、配線の故障率も下がることが分かる。
【0045】
次に、図9を参照して、金属不純物の添加効果を説明する。
図9参照
図9は、Cu膜中にFe,Pt,Mn,Tiからなる金属不純物を添加した場合のCu溶解レートの説明図であり、ここではCu膜をスパッタ法で成膜するとともに、添加量を3重量%として評価した。
図から明らかなように、無添加時に比べ、Cu溶解レートが上昇していることが分かる。
【0046】
次に、図10を参照して、研磨促進剤を部分的に添加した場合の段差解消効果を説明する。
図10参照
図10は、段差解消効果を説明するための試料の概念的構成図であり、シリコン基板21に幅細配線用トレンチ22が密集した領域と幅太配線用トレンチ23を形成したのち、上述の条件でまず、幅細配線用トレンチ22が完全に埋め込まれるまで研磨促進剤26が無添加のめっき浴を用いてCu膜24を成膜する。
【0047】
次いで、研磨促進剤26を添加した別のめっき浴を用いて電解めっきを行うことによって、幅太配線用トレンチ23を研磨促進剤26が添加されたCu膜25を完全に埋め込む。
但し、Cu膜24には研磨促進剤26が含まれても良く、この場合はCu膜24の研磨促進剤26の含有量が、Cu膜25の研磨促進剤26の含有量より少なければ良い。
また、Cu膜24及びCu膜25を成膜するには、必ずしも研磨促進剤26が無添加のめっき浴と、研磨促進剤26を添加した別のめっき浴を用いて行う必要はなく、研磨促進剤26を添加しためっき浴にて、電界めっきの電流密度を制御して、Cu膜24における研磨促進剤26の含有量をCu膜25における研磨促進剤26の含有量よりも少なくする工程を用いても良い。
なお、一般に、電界めっきの電流密度を下げると、Cu膜中に取り込まれるめっき液中の不純物濃度が多くなる傾向にあることが知られている。
【0048】
次いで、上述のH2 2 :6重量%、クエン酸:3重量%の研磨液を用いてCMP法で研磨することによって、埋込配線27及び埋込配線28を形成する。
【0049】
この場合、研磨が優先的に行われる幅細配線用トレンチ22の上部に形成されたオーバープレーンには研磨促進剤26が含まれているので研磨が迅速に行われるので、幅太配線用トレンチ23の領域でディッシングが発生することなく平坦化が可能になる。
【0050】
また、埋込配線28には研磨促進剤26が添加されたままであるが、高抵抗になりやすい幅細の埋込配線27には研磨促進剤26が添加されていないので、良好な導電性を保つことができる。
【0051】
次に、研磨剤に研磨促進剤を添加した場合の効果を検証する。
ここでは、
酸化剤 H2 2 :6重量%
錯化剤 クエン酸:3重量%
を含みKOHでpHを約4に調整したスラリーに、種々の硫黄化合物を添加した場合のpH、ORP(酸化還元電位)の変動、及び、その時のCu溶解レートを比較した結果を示す。
なお、各薬品としては、関東化学社製の市薬特級を使用した。
【0052】
この場合に添加する硫黄化合物としては、
硫酸ナトリウム:Na2 SO4
メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム:Na+-3 S−CH2 CH2 CH2 −SH チオ硫酸ナトリウム:Na2 2 3
メルカプトベンゼンチアゾール
の4種を用いた。
【0053】
図11参照
図11は、pH及びORPの測定方法の説明図であり、pH/ORP電極32をスラリー31中に浸漬してスタラー33でスラリー31を攪拌しながら測定する。
なお、この場合のpH/ORP電極32としては、カスタニーD51電極(HORIBA製商品名)を使用した。
なお、ORP値は酸化電位を示す指標でもあり、数値が高い程、酸化電位が高く、酸化力が強くなることを示す。
【0054】
また、Cu溶解レートは、Cu試料をスラリー31に浸漬させた前後の膜厚差をSEM(S−5200:日立製作所製商品型番)で観察し、その差分を浸漬時間で割って計算した。
【0055】
表3は、各硫黄化合物を添加した場合のスラリーのpH、ORP値及びCu溶解レートを纏めたものである。
【表3】

【0056】
表3から明らかなように、硫酸ナトリウムの添加によるCu溶解レート上昇の効果はみられない。 また、メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウムは、添加によってORP及びCu溶解レートが上昇する。
チオ硫酸ナトリウムも、添加によってORP及びCu溶解レートが上昇する。
【0057】
一方、メルカプトベンゾチアゾールは、添加によってORPは上昇するものの、Cu溶解レートは低下する。
これはチアゾールがCuの防食剤として作用するためで、硫黄化合物であっても、チアゾール系化合物の添加は好ましくない。
【0058】
図12参照
図12は、表3に基づく硫黄化合物を添加によるCu溶解レート上昇の効果の説明図であり、図から明らかなように、メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム或いはチオ硫酸ナトリウムを添加した場合に、Cu溶解レートが上昇する結果が得られた。
【0059】
次に、図13を参照して、硫黄化合物を添加によるCu溶解レート上昇の効果のスラリーpH依存性を説明する。
図13参照
図13は硫黄化合物を添加によるCu溶解レート上昇の効果のスラリーpH依存性の説明図であり、pH=3〜5の範囲で大きな添加効果が確認された。
なお、pH<3の場合にはCu溶解レートは高まるが、添加しない場合のCu溶解レートがもともと高く、硫黄酸化物によるCu酸化が促進され過ぎて、「酸化速度>溶解速度」の溶解律速度の状態となり、一方、pH>5の場合は、Cu溶解レート自体が低くなり、表4に示すように硫黄酸化物の添加効果が得られなくなる。
【0060】
【表4】

表4は、Cu溶解レート上昇率のpH依存性を纏めたものであり、pH>5、例えば、pH=9の場合には、Cu溶解レート上昇率は38.9%と非常に高いものの、Cu溶解レートの絶対値が小さくなるため、硫黄酸化物の添加効果が得られなくなる。
【0061】
次に、図14乃至図17を参照して、スラリー中への研磨促進剤の添加方法を説明する。
図14参照
図14は、スラリー中への研磨促進剤の第1の添加方法の説明図であり、定盤41上に固着した研磨パッド42に研磨ヘッド43に保持・固定したウェーハ44を押しつけて研磨する際に、上述の研磨促進剤47をスラリータンク45中でスラリー46に添加しておき、配管48を介して研磨パッド42上に供給する。
【0062】
図15参照
図15は、スラリー中への研磨促進剤の第2の添加方法の説明図であり、定盤41上に固着した研磨パッド42に研磨ヘッド43に保持・固定したウェーハ44を押しつけて研磨する際に、上述の研磨促進剤47を研磨促進剤タンク49に収容し、スラリータンク45からスラリー46を配管48を介して研磨パッド42上に供給する際に、配管50を介して研磨促進剤47を同時に供給する。
【0063】
図16参照
図16は、スラリー中への研磨促進剤の第3の添加方法の説明図であり、定盤41上に固着した研磨パッド42に研磨ヘッド43に保持・固定したウェーハ44を押しつけて研磨する際に、上述の研磨促進剤47を研磨促進剤タンク51に収容し、スラリータンク45からスラリー46を配管48を介して研磨パッド42上に供給する際に、配管52を介して研磨促進剤47を研磨パッド42の下側から同時に供給する。
【0064】
図17参照
図17は、スラリー中への研磨促進剤の第3の添加方法の説明図であり、定盤41上に固着した研磨パッド42に研磨ヘッド43に保持・固定したウェーハ44を押しつけて研磨する際に、上述の研磨促進剤47を研磨ヘッド43に予め含浸させておき、スラリータンク45からスラリー46を配管48を介して研磨パッド42上に供給するともに、研磨パッド43から研磨促進剤47を供給して研磨を行う。
【実施例1】
【0065】
以上を前提として、次に、図18乃至図20を参照して本発明の実施例1の埋込配線の形成方法を説明する。
最初の工程は、図示を省略するが、まず、p型シリコン基板に素子分離絶縁膜を形成したのち、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を設け、このゲート電極をマスクとしてn型不純物を導入することによってn型エクステンション領域を形成し、次いで、サイドウォールを形成したのち、再び、n型不純物を導入することによって、n型ソース・ドレイン領域を形成する。
【0066】
図18参照
次いで、全面にCoを堆積させたのち、熱処理することによってCoシリサイド電極を形成し、次いで、未反応のCoを除去したのち全面にSiO2 膜61及びBPSG膜62を堆積させたのち、表面平坦化を行いSiOCNからなるキャップ層63を形成する。
【0067】
次いで、n型ソース・ドレイン領域に達するビアホールを形成したのち、TiNからなるバリア膜64を介してWを埋め込み、CMP法によって不要部を除去することによってWプラグ65を形成する。
【0068】
次いで、プラズマCVD法を用いて厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなるエッチングストッパー膜66、厚さが、例えば、250nmのSiOCからなる第1層間絶縁膜67及び厚さが、例えば、50nmのSiOCN膜からなるキャップ層68を順次堆積させる。
【0069】
次いで、レジストパターン(図示を省略)をマスクとし、フロロカーボン系のエッチングガスを用いたプラズマエッチングによって、一部においてWプラグ65を露出する埋込配線用溝69を形成したのち、レジストパターンを除去する。
【0070】
次いで、スパッタリング法を用いてTaからなるバリア膜70を成膜したのち、チオ硫酸ナトリウムを添加しためっき浴中で電解めっきを行うことにより、埋込配線用溝69をCu層71で埋め込み、次いで、CMP法によって不要部を除去することによって第1Cu埋込配線72を形成する。
このCMP工程において、Cu層71中に研磨促進剤となるチオ硫酸ナトリウムが含まれているので研磨速度が大きくなり、短時間でストッパーとなるキャップ層68の位置で研磨が停止する。
【0071】
図19参照
次いで、再び、プラズマCVD法を用いて厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなるエッチングストッパー膜73、厚さが、例えば、400nmのSiOCからなる第2層間絶縁膜74、厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなるキャップ膜75を順次堆積させる。
【0072】
次いで、再びレジストパターン(図示を省略)をマスクとし、フロロカーボン系のエッチングガスを用いたプラズマエッチングによって、第1Cu埋込配線72に達するビアホール76を形成するとともに、埋込配線用溝77,78を形成したのち、レジストパターンを除去し、次いで、再びスパッタリング法を用いてTaからなるバリア膜79を成膜する。
【0073】
図20参照
次いで、再び、チオ硫酸ナトリウムを添加しためっき浴中で電解めっきを行うことにより、ビアホール76及び埋込配線用溝77,78をCu層80で埋め込む。
【0074】
次いで、CMP法によって不要部を除去することによってCuビア81及び第2Cu埋込配線82,83を形成したのち、再びプラズマCVD法を用いて厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなる拡散防止膜84を成膜する。
なお、このCMP工程においても第2Cu埋込配線82,83中に研磨促進剤となるチオ硫酸ナトリウムが含まれているので研磨速度が大きくなり、短時間でストッパーとなるキャップ層75で研磨が停止する。
【0075】
以降は、必要とする多層配線層数に応じて拡散防止膜84をエッチングストッパー膜として、層間絶縁膜及びキャップ層の堆積工程、配線用溝及びビアホールの形成工程、及び、ビア及び埋込配線の形成工程を繰り返すことによって半導体装置が完成する。
【0076】
このように、本発明の実施例1においては、Cu層やCuビア中にCMP工程における研磨促進剤となるチオ硫酸ナトリウムを添加しているので、研磨速度が向上してスループットが向上するとともに、アンダープレート部におけるディッシングの発生が抑制される。
【実施例2】
【0077】
次に、図21乃至図23を参照して本発明の実施例2の埋込配線の形成方法を説明する。
最初の工程は、図示を省略するが、上記の実施例1と全く同様に、まず、p型シリコン基板に素子分離絶縁膜を形成したのち、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を設け、このゲート電極をマスクとしてn型不純物を導入することによってn型エクステンション領域を形成し、次いで、サイドウォールを形成したのち、再び、n型不純物を導入することによって、n型ソース・ドレイン領域を形成する。
【0078】
図21参照
次いで、全面にCoを堆積させたのち、熱処理することによってCoシリサイド電極を形成し、次いで、未反応のCoを除去したのち全面にSiO2 膜61及びBPSG膜62を堆積させたのち、表面平坦化を行いSiOCNからなるキャップ層63を形成する。
【0079】
次いで、n型ソース・ドレイン領域に達するビアホールを形成したのち、TiNからなるバリア膜64を介してWを埋め込み、CMP法によって不要部を除去することによってWプラグ65を形成する。
【0080】
次いで、プラズマCVD法を用いて厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなるエッチングストッパー膜66、厚さが、例えば、250nmのSiOCからなる第1層間絶縁膜67及び厚さが、例えば、50nmのSiOCN膜からなるキャップ層68を順次堆積させる。
【0081】
次いで、レジストパターン(図示を省略)をマスクとし、フロロカーボン系のエッチングガスを用いたプラズマエッチングによって、一部においてWプラグ65を露出する埋込配線用溝69を形成したのち、レジストパターンを除去する。
【0082】
次いで、スパッタリング法を用いてTaからなるバリア膜70を成膜したのち、通常の硫酸系のめっき浴中で電解めっきを行うことにより、埋込配線用溝69をCu層90で埋め込む。
【0083】
次いで、上述の表2に示したチオ硫酸ナトリウムを添加したスラリー91を用いてCMP法によって不要部を除去することによって第1Cu埋込配線92を形成する。
このCMP工程において、スラリー91中に研磨促進剤となるチオ硫酸ナトリウムが含まれているので研磨速度が大きくなり、短時間でストッパーとなるキャップ層68の位置で研磨が停止する。
【0084】
図22参照
次いで、再び、プラズマCVD法を用いて厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなるエッチングストッパー膜73、厚さが、例えば、400nmのSiOCからなる第2層間絶縁膜74、厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなるキャップ膜75を順次堆積させる。
【0085】
次いで、再びレジストパターン(図示を省略)をマスクとし、フロロカーボン系のエッチングガスを用いたプラズマエッチングによって、第1Cu埋込配線92に達するビアホール76を形成するとともに、埋込配線用溝77,78を形成したのち、レジストパターンを除去し、次いで、再びスパッタリング法を用いてTaからなるバリア膜79を成膜する。
【0086】
図23参照
次いで、再び、通常の硫酸系めっき浴中で電解めっきを行うことにより、ビアホール76及び埋込配線用溝77,78をCu層93で埋め込む。
【0087】
次いで、再び上述の表2に示したチオ硫酸ナトリウムを添加したスラリーを用いてCMP法によって不要部を除去することによってCuビア94及び第2Cu埋込配線95,96を形成したのち、再びプラズマCVD法を用いて厚さが、例えば、50nmのSiOCNからなる拡散防止膜84を成膜する。
なお、このCMP工程においてもスラリー中に研磨促進剤となるチオ硫酸ナトリウムが含まれているので研磨速度が大きくなり、短時間でストッパーとなるキャップ層75で研磨が停止する。
【0088】
以降は、必要とする多層配線層数に応じて拡散防止膜84をエッチングストッパー膜として、層間絶縁膜及びキャップ層の堆積工程、配線用溝及びビアホールの形成工程、及び、ビア及び埋込配線の形成工程を繰り返すことによって半導体装置が完成する。
【0089】
このように、本発明の実施例2においては、CMP工程に用いるスラリー中に研磨促進剤となるチオ硫酸ナトリウムを添加しているので、研磨速度が向上してスループットが向上するとともに、アンダープレート部におけるディッシングの発生が抑制される。
【0090】
以上、本発明の実施の形態及び各実施例を説明したが、本発明は実施の形態及び各実施例に示した構成、条件、数値に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、配線及びビアをCuで形成しているが、純粋なCuに限られるものではなく、銀や白金等を含んだCu合金を用いても良いものである。
【0091】
また、実施例1においては、Cu中に添加する研磨促進剤としてチオ硫酸ナトリウムを用いているが、上述の実施の形態に示した硫黄が完全に酸化されていない他の硫黄化合物を用いても良いものであり、或いは、Fe,Ag,Ti,Ru,Pt,Mn等の金属を添加しても良いものであり、金属を添加する場合には、スラリー中に硫黄化合物からなる研磨促進剤を添加しても良いものである。
【0092】
例えば、硫黄が完全に酸化されていない他の硫黄化合物としては、チオ硫酸塩、メルカプトスルホン酸塩(M−R−SH)、或いは、ジスルフィドスルホン酸塩(M−R−S−S−R−M )が挙げられる。
なお、ここでRは分子量が400以下の有機化合物、MはNa+ ,K+ ,NH4 + ,H+ のいずれかである。
【0093】
ここで、再び図1を参照して、改めて、本発明の詳細な特徴を説明する。
再び、図1参照
(付記1) 化学的機械的に研磨して埋込配線7を形成する配線形成方法において、研磨されるCuまたはCuを主成分とするCu合金からなるCu系導電材料3或いは研磨剤6の少なくとも一方に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4を含有させることを特徴とする配線形成方法。
(付記2) 上記Cu系導電材料3を凹部2に埋め込む際に、前記凹部2の内、幅或いは直径が相対的に小さな幅細凹部の埋め込みが終わった後に、前記Cu系導電材料3に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4として研磨促進剤を添加して未だ埋め込みが終わらない前記幅細凹部より幅或いは直径が相対的に大きな幅太凹部を埋め込むことを特徴とする付記1記載の配線形成方法。
(付記3) 上記研磨剤6が、少なくとも過酸化水素を含んでいることを特徴とする付記1または2に記載の配線形成方法。
(付記4) 上記Cu系導電材料3に添加する研磨促進剤が、1種類以上であることを特徴とする付記2記載の配線形成方法。
(付記5) 上記Cu系導電材料3に添加する研磨促進剤が、鉄、銀、チタン、ルテニウム、白金、或いは、マンガンからなる金属であることを特徴とする付記5記載の配線形成方法。
(付記6) 上記Cu系導電材料3に添加する研磨促進剤が、硫黄化合物であるであることを特徴とする付記5記載の配線形成方法。
(付記7) 上記硫黄化合物が、チオ硫酸塩、メルカプト塩、過硫酸塩、或いは、メチルスルホン酸塩のいずれかであることを特徴とする付記7記載の配線形成方法。
(付記8) 上記Cu系導電材料3を、物理的気相堆積法、化学的気相堆積法、電解めっき方法、或いは、無電界めっき方法の少なくとも1つの堆積方法を用いて堆積することを特徴とする付記1乃至7のいずれか1に記載の配線形成方法。
(付記9) 上記幅細凹部の幅或いは直径が、0.4μm以下であることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1に記載の配線形成方法。
(付記10) 上記研磨剤6に含有させる研磨速度を向上させる効果をもたらす物質4が、Rを分子量が400以下の有機化合物、MをNa+ ,K+ ,NH4 + ,H+ のいずれかとした場合、チオ硫酸塩、メルカプトスルホン酸塩(M−R−SH)、或いは、ジスルフィドスルホン酸塩(M−R−S−S−R−M )の少なくとも1種類からなる硫黄化合物であることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1に記載の配線形成方法。
(付記11) 上記研磨剤6が、少なくとも過酸化水素を含んでいることを特徴とする付記10に記載の配線形成方法。
(付記12) 上記研磨剤6のpHが、3〜5であることを特徴とする付記11記載の配線形成方法。
(付記13) 絶縁膜と、前記絶縁膜に形成れた第一の幅を有する第一配線溝と、前記第一配線溝に埋め込まれた第一導電層と、前記絶縁膜に形成され、前記第一の幅よりも広い第二の幅を有する第二配線溝と、前記第二配線溝に埋め込まれた第二導電層とを有し、前記第二導電層に含まれる研磨促進剤の濃度が、前記第一導電層に含まれる前記研磨促進剤の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の活用例としては、半導体集積回路装置の埋込配線の形成工程が典型的なものであるが、液晶装置、光偏向素子等の強誘電体光デバイス、磁気ディスク装置におけるライトコイル等の製造工程にも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】めっき工程の説明図である。
【図3】Cu溶解量の測定方法の説明図である。
【図4】各試料の測定結果の説明図である。
【図5】段差解消効果を検証するための試料の概念的構成図である。
【図6】試料A、試料E及び試料Fの研磨促進剤を添加した試料の段差解消能力の説明図である。
【図7】試料A,試料E及び試料FのCu膜の硫黄濃度分布図である。
【図8】試料A、試料E及び試料Fのストレス・マイグレーション耐性の説明図である。
【図9】Cu膜中に金属不純物を添加した場合のCu溶解レートの説明図である。
【図10】段差解消効果を説明するための試料の概念的構成図である。
【図11】pH及びORPの測定方法の説明図である。
【図12】表3に基づく硫黄化合物の添加によるCu溶解レート上昇の効果の説明図である。
【図13】硫黄化合物を添加によるCu溶解レート上昇の効果のスラリーpH依存性の説明図である。
【図14】スラリー中への研磨促進剤の第1の添加方法の説明図である。
【図15】スラリー中への研磨促進剤の第2の添加方法の説明図である。
【図16】スラリー中への研磨促進剤の第3の添加方法の説明図である。
【図17】スラリー中への研磨促進剤の第4の添加方法の説明図である。
【図18】本発明の実施例1の埋込配線形成方法の途中までの説明図である。
【図19】本発明の実施例1の埋込配線形成方法の図18以降の途中までの説明図である。
【図20】本発明の実施例1の埋込配線形成方法の図19以降の説明図である。
【図21】本発明の実施例2の埋込配線形成方法の途中までの説明図である。
【図22】本発明の実施例2の埋込配線形成方法の図21以降の途中までの説明図である。
【図23】本発明の実施例2の埋込配線形成方法の図22以降の説明図である。
【図24】CMP法の概念的構成説明図である。
【図25】CMPのケミカルメカニズムの説明図である。
【図26】CMPのメカニカルメカニズムの説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 基板
2 凹部
3 Cu系導電材料
4 研磨速度を向上させる効果をもたらす物質
5 研磨布
6 研磨剤
7 埋込配線
8 オーバープレート
9 アンダープレート
11 シリコンウェーハ
12 SiO2
13 Ta膜
14 めっき浴
15,24,25 Cu膜
16 研磨促進剤
17 研磨液
21 シリコン基板
22 幅細配線用トレンチ
23 幅太配線用トレンチ
26,47 研磨促進剤
27,28 埋込配線
31,46 スラリー
32 pH/ORP電極
33 スタラー
41 定盤
42 研磨パッド
43 研磨ヘッド
44 ウェーハ
45 スラリータンク
61 SiO2
62 BPSG膜
63 キャップ層
64 バリア膜
65 Wプラグ
66 エッチングストッパー膜
67 第1層間絶縁膜
68 キャップ層
69 埋込配線用溝
70 バリア膜
71,80,90,93 Cu層
72 第1Cu埋込配線
73 エッチングストッパー膜
74 第2層間絶縁膜
75 キャップ膜
76 ビアホール
77,78 埋込配線用溝
79 バリア膜
81 Cuビア
82,83 第2Cu埋込配線
84 拡散防止膜
91 スラリー
92 第1Cu埋込配線
94 Cuビア
95,96 第2Cu埋込配線
101 研磨パッド
102 スラリー
103 研磨ヘッド
104 ウェーハ
105 酸化剤
106 Cu
107 Cu酸化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的機械的に研磨して埋込配線を形成する配線形成方法において、研磨されるCuまたはCuを主成分とするCu合金からなるCu系導電材料或いは研磨剤の少なくとも一方に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質を含有させることを特徴とする配線形成方法。
【請求項2】
上記Cu系導電材料を凹部に埋め込む際に、前記凹部の内、幅或いは直径が相対的に小さな幅細凹部の埋め込みが終わった後に、前記Cu系導電材料に研磨速度を向上させる効果をもたらす物質として研磨促進剤を添加して未だ埋め込みが終わらない前記幅細凹部より幅或いは直径が相対的に大きな幅太凹部を埋め込むことを特徴とする請求項1記載の配線形成方法。
【請求項3】
上記研磨剤が、少なくとも過酸化水素を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の配線形成方法。
【請求項4】
上記Cu系導電材料に添加する研磨促進剤が、鉄、銀、チタン、ルテニウム、白金、或いは、マンガンからなる金属或いは硫黄化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線形成方法。
【請求項5】
絶縁膜と、前記絶縁膜に形成れた第一の幅を有する第一配線溝と、前記第一配線溝に埋め込まれた第一導電層と、前記絶縁膜に形成され、前記第一の幅よりも広い第二の幅を有する第二配線溝と、前記第二配線溝に埋め込まれた第二導電層とを有し、前記第二導電層に含まれる研磨促進剤の濃度が、前記第一導電層に含まれる前記研磨促進剤の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−153569(P2008−153569A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342289(P2006−342289)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】