説明

金属−カルボニルプリカーサから金属層を堆積させる方法。

【課題】 金属−カルボニルプリカーサから金属層を堆積させる方法を提供することである。
【解決手段】 熱化学気相成長(TCVD)プロセスによって半導体基板上に金属層を堆積させる方法を提供する。TCVDプロセスは、金属層を堆積させるように金属−カルボニルプリカーサを含む希釈したプロセスガスの大流量を利用する。本発明の1つの実施形態では、金属−カルボニルプリカーサは、W(CO)、Ni(CO)、Mo(CO)、Co(CO)、Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12の少なくとも1つから選ばれることができる。本発明の別の実施形態では、約410℃の基板温度および約200mTorrのチャンバ圧力で、W(CO)プリカーサを含むプロセスガスよりW層を堆積させる方法は、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このPCT出願は、2003年9月30日に出願の米国非仮特許出願番号第10/673,648号に基づき、その優先権に依るものであり、その全体の内容は、参照によって本願明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
本発明は、半導体処理に関し、特に、熱CVDプロセスによる金属層を堆積させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路を製造するための多層配線方式(multilayer metallization schemes)へのCu金属の導入は、Cu層の接着および成長を促進し、かつ誘電体材料へのCu拡散を防止する拡散バリア/ライナ(liners)の使用を必要とし得る。誘電体材料上へ堆積されるバリア/ライナは、Cuと非反応性および非混合性(immiscible)で、かつ低い電気的抵抗率(electrical resistivity)を提供することができるタングステン(W)、モリブデン(Mo)、およびタンタル(Ta)のような高融点材料(refractive materials)を含むことができる。Cuメタリゼーションと誘電体材料とを集積化する現在のインテグレーション方式は、約500℃を下回る基板温度でのバリア/ライナ堆積プロセスを必要とすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
W層は、熱化学気相成長(thermal chemical vapor deposition:TCVD)プロセスにおいて、タングステンを含有するプリカーサ、例えばタングステンハロゲン化物またはタングステン金属−カルボニルを、熱的に分解することによって形成されることができる。基板堆積温度が500℃より下に下げられるとき、金属−カルボニルプリカーサ(例えば、W(CO))の熱分解によって堆積されるW層の材料特性は、悪化し得る。低い堆積温度での、W層の(電気的な)抵抗率の増加と、劣った(poor)表面モホロジ(例えば小瘤(nodules)の形成)とは、熱的に堆積されたW層内へのCO反応副生成物の増加された取込みに原因があると考えられる。両方の影響は、500℃を下回る基板温度での、有機金属プリカーサの熱分解からの低下されたCO脱離速度によって説明されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
半導体基板上へ金属層を堆積させる方法は、提供される。処理チャンバ内に導入され、基板に曝される金属−カルボニルプリカーサを含むプロセスガスから、TCVDプロセスによって、金属層は、堆積される。大流量の、希釈したプロセスガスの流れは、金属層の形成を可能にする。
【0006】
本発明の1つの実施形態では、金属−カルボニルプリカーサを含むプロセスガスは、W(CO)、Ni(CO)、Mo(CO),Co(CO)、Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12の少なくとも1つから選ばれ、金属層は、それぞれ、W、Ni、Mo、Co、Rh、Re、Cr、およびRuの少なくとも1つであり得る。
【0007】
本発明の別の実施形態では、半導体基板上へW層を堆積させる方法は、提供される。W層は、約410℃の基板温度でW(CO)プリカーサを含むプロセスガスから堆積される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る金属層を堆積させる処理システムの簡略化された構成図である。処理システム100は、上部チャンバセクション1aと、下部チャンバーセクション1bと、排気チャンバ23とを含む処理チャンバ1を備えている。円形開口部22は、下部チャンバーセクション1bの中央部に形成され、底のセクション1bが排気チャンバ23に接続する。
【0009】
処理チャンバ1の内部に、水平に被処理基板(ウェハ)50を保持する基板ホルダ2が提供される。基板ホルダ2は、排気チャンバ23の下部の中心から上方へ延びる円筒状サポート部材3によって支えられる。基板ホルダ2上に基板50を位置決めするためのガイドリング4は、基板ホルダ2の端部上に提供される。さらにまた、基板ホルダ2は、電源6によって制御され、基板50を加熱するために使用されるヒータ5を含む。ヒータ5は、抵抗ヒータでありことができ、代わりとして、ヒータ5は、ランプヒータまたは他のいかなるタイプのヒータでもあり得る。
【0010】
プロセスの間、加熱された基板50は、熱的にW(CO)プリカーサを分解することができ、そして、基板50上にW層の堆積を可能にすることができる。基板ホルダ2は、基板50上へ所望のW層を堆積させるために適している所定の温度まで加熱される。ヒータ(図示せず)は、所定の温度にチャンバ壁を加熱するように、処理チャンバ1の壁に埋め込まれる。ヒータは、約40℃から約80℃まで処理チャンバ1の壁の温度を維持することができる。
【0011】
シャワーヘッド10は、処理チャンバ1の上部チャンバセクション1aに位置づけられる。シャワーヘッド10の底のシャワーヘッドプレート10aは、基板50上方に位置づけた処理ゾーン60内へW(CO)プリカーサを含むプロセスガスを供給するための多数のガス送出孔10bを有する。処理ゾーン60は、基板直径によって、および基板50とシャワーヘッド10との間のギャップによって、規定される体積である。
【0012】
開口10cは、ガス分配コンパートメント10d内へガスライン12からプロセスガスを導入するため、上部チャンバセクション1bに提供される。同心のクーラントフローチャネル10eは、シャワーヘッド10の温度を制御するために、そして、このことによりシャワーヘッド10内部でのW(CO)プリカーサガスの分解を防ぐために提供される。水のような冷却剤(クーラント)流体は、約20℃から約100℃まで、シャワーヘッド10の温度を制御するために冷却剤流体ソース10fから、クーラントフローチャネル10eへ供給されることができる。
【0013】
ガスライン12は、プリカーサ送出システム300を処理チャンバ1に接続する。プリカーサ容器13は、固体のW(CO)のプリカーサ55を含み、プリカーサヒータ13aは、W(CO)プリカーサ55をW(CO)プリカーサの所望の蒸気圧を生ずる温度に維持するようにプリカーサ容器13を加熱するために提供される。W(CO)プリカーサ55は、65℃で比較的高い蒸気圧Pvap〜1Torr(1Torr=133.322Pa)を備えることができる。従って、プリカーサソース13およびプリカーサガス供給ライン(例えばガスライン12)の適度な加熱だけは、W(CO)プリカーサを処理チャンバ1に供給するために必要である。さらにまた、W(CO)プリカーサは、約200℃以下の温度では熱的に分解しない。これは、加熱されたチャンバ壁および気相反応とのインタラクションによるW(CO)プリカーサの分解を非常に減少させることができる。
【0014】
実施形態において、W(CO)プリカーサ蒸気は、キャリヤガスを用いずに処理チャンバ1に供給されることができ、または、代わりとして、キャリヤガスは、処理チャンバ1にプリカーサ蒸気の送出を高めるために使用されることができる。ガスライン14は、ガス供給源15からプリカーサ容器13までキャリヤガスを提供することができ、マスフローコントローラ(MFC)16およびバルブ17は、キャリヤガス流量を制御するように使用されることができる。キャリヤガスが使用されるときに、それは、固体のW(CO)プリカーサ55に浸透される(percolated through the solid W(CO) precursor)ように、プリカーサ容器13の下部の中へ導入され得る。代わりとして、キャリヤガスは、プリカーサソース13の中へ導入されることがあり得て、そして固体のW(CO)プリカーサ55の上部全体に渡って分散されることがあり得る。センサ45は、プリカーサ容器13からの総ガス流れを測定するために提供される。センサ45は、例えば、MFCを有し、処理チャンバ1に供給されるW(CO)プリカーサの量は、センサ45と、バルブ17とを使用して決定され、制御されることができる。代わりとして、センサ45は、処理チャンバ1へのガス流れ中のW(CO)プリカーサの濃度を測定する光吸収センサを有することができる。
【0015】
バイパスライン41は、センサ45から下流に位置づけられ、ガスライン12を排気ライン24に接続する。バイパスライン41は、ガスライン12を排気するために、および、処理チャンバ1へのW(CO)プリカーサの供給を安定させるために提供される。加えて、ガスライン12の分岐から下流に位置づけられるバルブ42は、バイパスライン41に提供される。
【0016】
ヒータ(図示せず)は、独立してガスライン12、14、および41を加熱するように提供され、そこにおいて、ガスラインの温度は、ガスライン内のW(CO)プリカーサの凝縮を回避するために制御されることができる。ガスラインの温度は、約20℃から約100℃まで、または約25℃から約60℃まで制御されることができる。
【0017】
希釈ガスは、ガス供給源19からガスライン18を使用してガスライン12へ供給されることができる。希釈ガスは、プロセスガスを希釈するように、またはプロセスガス分圧を調整するように使用されることができる。ガスライン18は、MFC20およびバルブ21を含む。MFC16およびMFC20、並びにバルブ17,バルブ21およびバルブ42は、キャリヤガス、W(CO)プリカーサガス、および希釈ガスの供給、シャットオフ、および流量を制御するコントローラ40によって制御される。センサ45は、また、コントローラ40に接続され、そしてセンサ45の出力に基づいて、コントローラ40は、処理チャンバ1に所望のW(CO)プリカーサ流量を得るようにマスフローコントローラ16を介してキャリヤガス流量を制御できる。
【0018】
排気ライン24は、排気チャンバ23を真空排気システム400に接続する。真空ポンプ25は、所望の真空度まで処理チャンバ1を排気し、プロセス中、処理チャンバ1からガス種を取り除くように使用される。自動圧力コントローラ(automatic pressure controller:APC)59およびトラップ57は、真空ポンプ25と直列に使用されることができる。真空ポンプ25は、1秒あたり800リットル(および、より高排気)までの排気速度が可能なターボ分子ポンプ(TMP)を含むことができる。代わりとして、真空ポンプ25は、ドライポンプを含むことができる。プロセスの間、プロセスガスは、処理チャンバ1内に導入されることができ、そしてチャンバ圧力は、APC59によって調整される。APC59は、バタフライ形式バルブまたはゲートバルブを備えることができる。トラップ57は、処理チャンバ1から未反応のプリカーサ材料および副生成物を収集することができる。
【0019】
処理チャンバ1において、3本の基板リフトピン26(2本だけが、示されている)は、基板50を保持し、上昇させ、および降下させるために提供される。基板リフトピン26は、プレート27に固定され、および基板ホルダ2の上部表面方向へ、下方まで降ろされることができる。例えば、エアーシリンダを利用している駆動機構28は、プレート27を上下させる手段を提供する。基板50は、ロボット移送システム(図示せず)を介してゲートバルブ30およびチャンバフィードスルー通路29を通して処理チャンバ1の内外に移送されることができ、そして基板リフトピンによって受けられることができる。一旦、基板50が移送システムから受けられると、それは、基板リフトピン26を降下させることによって基板ホルダ2の上部表面へ降ろすことができる。
【0020】
処理システムコントローラ500は、マイクロプロセッサと、メモリと、通信し、処理システム100への入力をアクティブにし、同じく処理システム100からの出力をモニタするのに十分な制御電圧を生成することが可能なデジタルI/Oポートとを含む。さらに、処理システムコントローラ500は、処理チャンバ1と、コントローラ40およびプリカーサヒータ13aを含むプリカーサ送出システム300と、真空排気システム400と、電源6と、クーラント流体ソース10fとに組み合わせられ、それらと情報を交換する。真空排気システム400において、処理システムコントローラ500は、処理チャンバ1内の圧力を制御するための自動圧力コントローラ59に組み合わせられ、そしてそれと情報を交換する。メモリに格納されたプログラムは、保存されたプロセスレシピに従って処理システム100の前述のコンポーネントを制御するのに利用される。処理システムコントローラ500の一実施例は、テキサス州ダラスのデル社から入手可能であるDELL PRECISION WORKSTATION 610(登録商標)である。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る金属層を堆積させるためのフローチャートを示す。200で、プロセスは、開始される。202で、基板は、処理チャンバ内に準備される。204で、金属−カルボニルプリカーサを含む希釈したプロセスガスの大流量は、処理チャンバ内に導入される。プロセスガスは、金属−カルボニルプリカーサガスと、希釈ガスおよびキャリヤガスの少なくとも一方とを含んでおり、そこにおいて、金属−カルボニルプリカーサガス流量と、プロセスガス流量との比率は、約0.15未満である。別の形態として、比率は、約0.10または約0.0625未満であり得る。206で、金属層は、低圧のTCVD堆積プロセスによって基板上に堆積され、そこにおいて、希釈したプロセスガスの大流量は、改善されたモホロジを有する低抵抗率金属層の形成を可能にする。208で、プロセスは、終了する。
【0022】
一般に、本発明は、対応する金属−カルボニルプリカーサからの金属バリア/ライナの堆積に適用されることができる。これは、W(CO)、Ni(CO),Mo(CO),Co(CO),Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12プリカーサから、それぞれ、W、Ni、Mo、Co、Rh、Re、Cr、およびRu金属層を堆積することを包含する。本発明に係る低抵抗率金属層の低温堆積は、約400℃と、約500℃との間、または更に低い基板温度を必要とする配線工程(back―end―of―line:BEOL)処理方式(processing schemes)への金属層のインテグレーションを可能にする。当然、プロセスは、より高い基板温度でも使用されることができる。
【0023】
原則として、還元剤は、金属−カルボニルプリカーサから熱的に金属層を堆積させるために、必要なものではなく、なぜなら金属−カルボニルプリカーサ中の金属原子は、すでにゼロ価(zero−valent)であるためである。別の形態として、還元剤、例えばHガスは、金属層の堆積の補助をするように使用されることができる。金属−カルボニルプリカーサの熱分解と、それに続く金属堆積とは、基板からのCO除去と、CO副生成物の脱離とによって、主に進行すると考えられる。堆積中の金属層中へのCO副生成物の取込みは、金属−カルボニルプリカーサの不完全な分解、金属層からのCO副生成物の不完全な除去、および処理チャンバから金属層上へのCO副生成物の再吸着から生じ得る。
【0024】
堆積中の金属層へのCO取込みが、金属層中の小瘤の形で表面粗さにつながると思われており、そこにおいて、小瘤の成長は、金属層中へのCO副生成物の増加した取込みによって増強される。金属層の厚さが増加するにつれて、小瘤の数は、増加すると予想される。さらにまた、金属層へのCO副生成物の取込みは、金属層の抵抗率を増加させる。
【0025】
金属層中へのCO副生成物の取込みは、(1)処理圧力を下げることと、(2)基板温度を増加させることと、(3)希釈したプロセスガスの大流量を使用することとによって低下することができる。本発明の1つの実施形態では、希釈したプロセスガスの大流量は、金属層上のCO副生成物の分圧と、処理チャンバのCOの分圧とを制御することに効果的であり、そして、このことにより金属層の小瘤の数を低下させる。
【0026】
表1は、本発明の実施形態に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層に対するプロセス条件と、結果とを示す。W層は、約410℃の基板温度と、200mTorrの処理圧力とで、熱的に成長されたSiO層上に堆積された。ラン1の堆積時間は、600秒であって、ラン2においては、1200秒であった。平均抵抗率は、50nmのW層厚さに対して、正規化された。
【表1】

【0027】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、表1に記載されたラン1およびラン2に対するプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真(30度傾けた)を示す。図3Aおよび図3BのW層の比較は、図3Bのより厚いW層の表面がより粗く、図3Aのより薄いW層の表面よりかなりの小瘤の数を有していることを示す。
【0028】
表2は、本発明の実施形態に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層のプロセス条件と、結果とを示す。明記されている以外、ラン1およびラン2に関して説明されたのとプロセス条件は同じであった。ラン4の堆積時間は、600秒であって、ラン3においては、1200秒であった。
【表2】

【0029】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、表2に記載されたラン3およびラン4のプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真(30度傾けた)を示す。図4Aおよび図4BのW層の比較は、図4Bのより厚いW層の表面がより粗くて、図4Aのより薄いW層の表面よりかなりの小瘤の数を有することを示す。
【0030】
表2の、より希釈したプロセスガスのより高い流量は、W層中の小瘤の数を減少させ、W層の抵抗率を減少させる。表1において、W(CO)プリカーサガス流量と、プロセスガス流量との比率は、0.15である。対応する比率は、表2のプロセス条件に対し0.0625に低下されている。W層のより低い抵抗率と、改善されたモホロジとは、W(CO)プリカーサガス流量と、プロセスガス流量との比率が、0.15から0.0625へと変化するに従い、処理チャンバからCO副生成物の促進された除去によって説明されることができる。より高いプロセスガス流量は、処理チャンバより、COと、他の副生成物との除去速度を向上し、そして、低い不純物含有量と、改善されたモホロジとを有する低抵抗率W層の堆積をもたらす。W(CO)プリカーサガス流量と、プロセスガス流量との比率は、更にW層の材料特性を改善するように、0.0625以下まで低下させることができる。TCVDプロセスに対するプロセスパラメータスペースは、例えば、約300mTorr未満のチャンバ圧力を利用することができる。別の形態として、チャンバ圧力は、約200mTorr未満または約100mTorr未満であり得る。キャリヤガス流量は、約1000sccm未満であり得る。希釈ガス流量は、約2000sccm未満であり得る。プリカーサガス流量は、約0.1sccmと、約200sccmとの間であり得る。プロセスガス流量は、約400sccmより高い値であり得る。キャリヤガスおよび希釈ガスは、不活性ガスおよびHガスの少なくとも一方を含むことができる。不活性ガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含むことができる。W(CO)プリカーサガス流量と、プロセスガス流量との比率は、良好な材料特性を有するW層を堆積させるために、約0.15より少ない値であり得る。基板温度は、約300℃から約600℃まで、変化することができる。図5Aおよび図5Bは、それぞれ、表1および表2に記載された処理条件を使用して低圧のTCVDプロセスによって微細構造物上に堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真を示す。図5Aおよび図5BのW層の視覚の比較は、図5BのW層が図5AのW層と比較してモホロジを改善した(微細構造物の側壁上の小瘤の密度を低下させた)ことを示す。図6Aおよび図6Bは、本発明の実施形態に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真を示す。図6Aおよび図6BのW層は、約30℃のプリカーサ容器温度と、約150mTorrの処理圧力とを使用して、堆積された。図6AのW層は、約65sccmのキャリヤガス流量と、約390sccmの希釈ガス流れと、約500秒の堆積時間とを使用して堆積され、一方、図6BのW層は、約25sccmのキャリヤガス流量と、約200sccmの希釈ガス流れと、約600秒の堆積時間とを使用して堆積された。高いプロセスガス流量を使用して堆積された図6AのW層のステップカバレッジは、約90%であり、一方、より低いプロセスガス流量を使用して堆積された図6BのW層のステップカバレッジは、約70%である。
【0031】
本発明のさまざまな修正および変更は、本発明を実施する際に使用されることになると理解されるべきである。添付の請求の範囲内であって、ここに特に記載されているより、他の方法で、本発明が実施され得ることになると理解されるものである。
【0032】
明細書の中に取り入れられ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るW層を堆積させる処理システムの簡略化された構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るW層を堆積させるためのフローチャートを示す図である。
【図3A】表1のラン1に記載されたプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真(30度傾けた)を示す図である。
【図3B】表1のラン2に記載されたプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真(30度傾けた)を示す図である。
【図4A】表2のラン3に記載されたプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真(30度傾けた)を示す図である。
【図4B】表2のラン4に記載されたプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真(30度傾けた)を示す図である。
【図5A】表1に記載されたプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって微細構造物上に堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真を示す図である。
【図5B】表2に記載されたプロセス条件に係る低圧のTCVDプロセスによって微細構造物上に堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る低圧のTCVDプロセスによって堆積されたW層の断面SEM顕微鏡写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に金属層を堆積させる方法であって、
処理チャンバ内に基板を準備することと、
前記処理チャンバ内に、金属−カルボニルプリカーサガスと、希釈ガスおよびキャリヤガスの少なくとも一方とを含むプロセスガスを導入することとを具備し、
前記金属−カルボニルプリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との比率が、約0.15未満であり、
熱化学気相成長プロセスによって前記基板上に金属層を堆積させることを更に具備する方法。
【請求項2】
前記金属−カルボニルプリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との前記比率は、約0.10未満である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属−カルボニルプリカーサガスの流量と、前記プロセスガス流量との前記比率は、約0.0625である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスガスは、不活性ガスを含む前記キャリヤガスを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記不活性ガスは、Ar、He、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つのを含んでいる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスガスは、還元ガスを含む前記キャリヤガスを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記還元ガスは、Hを含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセスガスは、不活性ガスを含む前記希釈ガスを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスガスは、還元ガスを含む前記希釈ガスを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記還元ガスは、Hを含んでいる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属−カルボニルガスの流量は、約0.1sccmから約200sccmまでの間である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記キャリヤガスの流量は、約1000sccm未満である請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセスガスは、約2000sccm未満の流量の前記希釈ガスを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセスガスの流量は、約400sccmを超える請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記チャンバの圧力は、約200mTorr未満である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバの圧力は、約100mTorr未満である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の温度は、約500℃未満である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記基板の温度は、約400℃未満である請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記金属−カルボニルプリカーサは、W(CO)、Ni(CO)、Mo(CO),Co(CO)、Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12の少なくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記金属層は、W、Ni、Mo、Co、Rh、Re、Cr、およびRuの少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項22】
W層を堆積させる方法であって、
処理チャンバ内に基板を準備することと、
前記処理チャンバ内に、W(CO)プリカーサガスと、希釈ガスおよびキャリヤガスの少なくとも一方とを含むプロセスガスを流すこととを具備し、
前記W(CO)プリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との比率が、約0.15未満であり、
熱化学気相成長プロセスによって前記基板上にW層を堆積させることを更に具備する方法。
【請求項23】
前記W(CO)プリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との前記比率は、約0.10未満である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記W(CO)プリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との前記比率は、約0.0625である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記プロセスガスは、不活性ガスを含む前記キャリヤガスを含んでいる請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記不活性ガスは、Ar、He,Ne、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含んでいる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記プロセスガスは、還元ガスを含む前記キャリヤガスを含んでいる請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記還元ガスは、Hを含んでいる請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記プロセスガスは、不活性ガスを含む前記希釈ガスを含んでいる請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記不活性ガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含んでいる請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プロセスガスは、還元ガスを含む前記希釈ガスを含んでいる請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記還元ガスは、Hを含んでいる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記W(CO)のガス流量は、約0.1sccmと、約200sccmとの間である請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記プロセスガスは、約1000sccm未満の流量の前記キャリヤガスを含んでいる請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記プロセスガスは、約2000sccm未満の流量の前記希釈ガスを含んでいる請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記チャンバの圧力は、約200mTorr未満である請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記チャンバの圧力は、約100mTorr未満である請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記基板の温度は、約500℃未満である請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記基板の温度は、約450℃未満である請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記基板の温度は、約410℃である請求項22に記載の方法。
【請求項41】
半導体基板上に金属層を堆積させる処理システムであって、
処理チャンバと、
基板を受ける基板ホルダと、
前記基板を加熱するヒータと、
前記処理チャンバ内に、金属−カルボニルプリカーサガスと、希釈ガスおよびキャリヤガスの少なくとも一方とを含むプロセスガスを流すプリカーサ送出システムとを具備し、
前記金属−カルボニルプリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との前記比率が、約0.15未満であり、
前記処理システムを制御するコントローラを更に具備するシステム。
【請求項42】
前記金属−カルボニルガスの流量と、前記プロセスガスの流量との前記比率は、約0.10未満である請求項41に記載の処理システム。
【請求項43】
前記金属−カルボニルプリカーサガスの流量と、前記プロセスガスの流量との前記比率は、約0.0625である請求項41に記載の処理システム。
【請求項44】
前記プロセスガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含む不活性ガスを含有する前記キャリヤガスを含んでいる請求項41に記載の処理システム。
【請求項45】
前記プロセスガスは、Hガスを含む前記キャリヤガスを含んでいる請求項41に記載の処理システム。
【請求項46】
前記プロセスガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含む不活性ガスを含有する前記希釈ガスを含んでいる請求項41に記載の処理システム。
【請求項47】
前記プロセスガスは、Hガスを含む前記希釈ガスを含んでいる請求項41に記載の処理システム。
【請求項48】
前記金属−カルボニルガスの流量は、約0.1sccmと、約200sccmとの間であり、
前記希釈ガスの流量は、約2000sccm未満であり、
および、前記キャリヤガスの流量は、約1000sccm未満である請求項41に記載の処理システム。
【請求項49】
前記チャンバの圧力は、約200mTorr未満である請求項41に記載の処理システム。
【請求項50】
前記チャンバの圧力は、約100mTorr未満である請求項41に記載の処理システム。
【請求項51】
前記基板の温度は、約500℃未満である請求項41に記載の処理システム。
【請求項52】
前記基板の温度は、約450℃未満である請求項41に記載の処理システム。
【請求項53】
前記金属−カルボニルプリカーサは、W(CO)、Ni(CO)、Mo(CO),Co(CO)、Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12の少なくとも1つを含んでいる請求項41に記載の処理システム。
【請求項54】
前記金属層は、W、Ni、Mo、Co、Rh、Re、Cr、およびRuの少なくとも1つである請求項41に記載の処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−520052(P2007−520052A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533888(P2006−533888)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/028892
【国際公開番号】WO2005/034223
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】