説明

金属単結晶ナノプレート及びその製造方法

本発明は、金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を前駆物質として利用した金属ナノプレート(Metal nano-plate)の製造方法であって、詳細には、反応炉の前端部に位置させた金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を含む前駆物質と、反応炉の後端部に位置させた単結晶基板とを、不活性気体が流れる雰囲気で熱処理し、前記単結晶基板上に単結晶体の金属ナノプレート(nano-plate)が形成される特徴がある。
本発明の製造方法は、触媒を使用しない気相移送法を利用して、数マイクロメートル大きさの金属ナノプレートを製造することができ、その工程が簡単で且つ再現性があって、製造されたナノプレートが、欠陥及び不純物を含まない高結晶性及び高純度単結晶状態の貴金属ナノプレートである長所があり、単結晶基板の表面方向を制御し、金属ナノプレートの形状及び単結晶基板との配向性を制御できる長所を有して、数マイクロメートル大きさの金属ナノプレートを大量生産することができる長所がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属物質を前駆物質として、無触媒条件で気相移送法を利用して金属ナノプレート(nano-plate)を製造する方法、及び本発明による製造方法により製造された金属ナノプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
貴金属は、化学的安定性、生体的合成、電気及び熱伝導性、表面プラズモニック性質などを有しており、触媒、化学/バイオセンサー、光電素子、光学素子、ナノ素子及び表面強化ラマン散乱(SERS)などに広く使用されている。
【0003】
貴金属の光学的性質は、その形状から大きく影響を受けるが、単結晶ナノプレートに製造されると、プラズモニクス、バイオセンサー、分子電子素子などに応用が可能である。
【0004】
一般に、金属ナノ構造体(nanostructure)は、自己組立層(self-assembled monolayer, SAM)を利用して表面に分子を吸着させることができるが、これを利用し、貴金属ナノ構造体表面に均一に吸着された分子層を得ることができる
【0005】
貴金属ナノプレートとSAMを利用して分子のSERS現象を観察して、SAMをなす分子をリンカーに応用し、選択的な生分子分析技術の開発及び光素子の開発に対する研究を進行することができ、特に、均一に生成された貴金属ナノプレート構造をSERS測定に利用する場合、非常に高感度の分析技術として利用できると期待される。
【0006】
プラズモニクスを利用した光素子開発に関する既存の研究は、殆どが金属ナノ粒子を利用して研究されてきた。しかし、金属ナノ粒子を利用する場合、それらの構造を正確に制御することができないため、所望の安定したプラズモニクス構造及び光素子を得ることが難しい。
【0007】
ところが、内部結晶欠陥がなく、高純度・高品質の単結晶からなる貴金属ナノプレートの場合、欠陥がなくて、原子水準によく定義された単結晶金属ナノプレートである。そのため、このような弱点は、合成された単結晶貴金属ナノプレートとプラズモニクスを結合する場合、解決できる。
【0008】
完璧な単結晶金属ナノプレートを制御し、プラズモニクス構造を製作して、外部電場を加え、分子配列及びラマン信号を調節することにより、複合型光素子の開発研究に主要な成長をもたらすような大きい転換点になると期待される。
【0009】
金属ナノ構造体は、1990年代以後、本格的に数多い研究と開発がなされてきたが、その大部分がナノ粒子またはナノプレートの形状であって、ナノプレートのような2次元ナノ構造体の製造及びその応用に対する研究は微々たる実情であり、特に、気相移送法を利用し、高純度・高品質の単結晶体から構成された数マイクロメートル大きさを有する金属(貴金属を含む)ナノプレートの製造は、報告されていない。
【0010】
大韓民国公開特許第2006−0009735号には、液相法を利用して金ナノプレートを製造する方法が記載されているが、貴金属ナノプレートの形状調節及び大きさの調節が難しく、製造された貴金属ナノプレートの純度が劣り、ナノプレートに欠陥が存在して、多結晶体のナノプレートが合成される限界がある。
【0011】
これに本出願人は、金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を前駆物質として、気相移送法を利用し、単結晶基板に、ツインを含む2次元欠陥のない単結晶体で且つ高純度の金属ナノプレートを製造する方法、単結晶基板にエピタキシャルに金属ナノプレートを製造する方法、金属ナノプレートの辺の長さが数マイクロメートルであり、多量のナノプレートが互いに平行な配列関係を有して、基板との配向性及び形状が調節可能であって、容易に大量生産可能な方法を提供しようとする。
【0012】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2006−0009735号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、無触媒条件で、ツインを含む2次元欠陥のない単結晶体で且つ高純度の金属ナノプレートの製造方法を提供することであり、ナノプレートの一辺の長さが数マイクロメートルであり、その形状が均一な金属単結晶ナノプレートの製造方法を提供することであり、また、ナノプレートが無秩序に生成されるものではなく、プレート面が互いに平行に製造されて、単結晶基板と一定な配向性を有する金属ナノプレートの製造方法を提供することであって、さらに、その配向性及びナノプレートの形状が制御可能な金属単結晶ナノプレートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による金属単結晶ナノプレートの製造方法は、反応炉の前端部に位置させた金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を含む前駆物質と、反応炉の後端部に位置させた単結晶基板とを、不活性気体が流れる雰囲気で熱処理し、前記単結晶基板上に単結晶体の金属ナノプレート(nano-plate) を形成することに特徴がある。ここで、前記前駆物質として使用される前記金属物質は、スラグ(slug)または粉末(powder)形状を含む。
【0015】
前記単結晶基板上に形成される前記金属単結晶ナノプレートは、多角板状である特徴があり、前記多角板状は、六角形、五角形、四角形、三角形、平行四辺形または台形である特徴がある。
【0016】
前記金属単結晶ナノプレートが形成される単結晶基板の物質及び表面方向を制御し、前記金属単結晶ナノプレートの形状;前記単結晶基板の表面に対する金属単結晶ナノプレートの配向性;またはこれらの組み合わせが制御される特徴がある。
【0017】
この際、前記配向性は、前記単結晶基板の表面に垂直な単位ベクター(I)と前記金属単結晶ナノプレートのプレート面に垂直な単位ベクター(II)間に一定な角度が形成されることを意味し、前記一定な角度は、0〜90°の範囲の値を有する一つ以上の角度を意味する。
【0018】
前記単結晶基板は、a({11−20})表面のサファイア、r({1−102})表面のサファイア、m({1−100})表面のサファイア 、c({0001})表面のサファイア、{001}表面のランタンアルミニウムオキシド(LAO;Lanthanum Aluminum Oxide)、{100}表面のストロンチウムチタネート(STO;Strontium Titanate)、{110}表面のチタニア(Titanium dioxide)である特徴がある。
【0019】
前記金属単結晶ナノプレートが前記単結晶基板上にエピタキシャル(epitaxial)成長し、前記金属単結晶ナノプレートと前記単結晶基板とがエピタキシャル関係(epitaxial relation)を有する特徴がある。
【0020】
前記前駆物質は、貴金属物質であり、前記単結晶基板上の貴金属単結晶ナノプレートが製造される特徴がある。
【0021】
詳細に、前記貴金属物質は、Pt、Au、Ag及びPdから選択された物質であり、前記貴金属単結晶ナノプレートは、Pt単結晶ナノプレート、Au単結晶ナノプレート、Ag単結晶ナノプレート、Pd単結晶ナノプレート、またはPt、Au、Ag及びPdから選択された二つの貴金属からなる二元合金単結晶ナノプレートである。前記二元合金は、固溶相または金属間化合物相を含む。
【0022】
貴金属単結晶ナノプレート(二元合金単結晶ナノプレート含み)を製造するために、前記前駆物質は、製造しようとする貴金属単結晶ナノプレートの貴金属物質そのものである特徴がある。
【0023】
特徴的に、前記前駆物質は、Auであり、前記前駆物質は、1200乃至1300℃に維持されて、前記単結晶基板は、850〜1050℃に維持され、前記単結晶基板上にAuナノプレートが形成される特徴がある。
【0024】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜150sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、5〜20torrの圧力で行われる特徴がある。
【0025】
特徴的に、前記前駆物質は、Pdであり、前記前駆物質は、1200乃至1300℃に維持されて、前記単結晶基板は、850〜1050℃に維持され、前記単結晶基板上にPdナノプレートが形成される特徴がある。
【0026】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜150sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、5〜20torrの圧力で行われる特徴がある。
【0027】
特徴的に、前記前駆物質は、AuとPdの混合物であり、前記前駆物質は、1200乃至1300℃に維持されて、前記単結晶基板は、850〜1050℃に維持され、前記単結晶基板上にAu−Pdの二元合金ナノプレートが形成される特徴がある。
【0028】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜150sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、5〜20torrの圧力で行われる特徴がある。
【0029】
特徴的に、前記前駆物質は、Agであり、前記前駆物質は、800〜850℃に維持されて、前記単結晶基板は、550〜700℃に維持され、前記単結晶基板上にAgナノプレートが形成される特徴がある。
【0030】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜150sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、5〜20torrの圧力で行われる特徴がある。
【0031】
特徴的に、前記前駆物質は、ハロゲン化Ptであり、前記前駆物質は、450〜500℃に維持されて、前記単結晶基板は、1000〜1050℃に維持され、前記単結晶基板上にPtナノプレートが形成される特徴がある。
【0032】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に200〜400sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、750〜770torrの圧力で行われる特徴がある。
【0033】
前記前駆物質は、遷移金属物質及びハロゲン化遷移金属の混合物であり、前記単結晶基板上の遷移金属ナノプレートまたは異なる二つの遷移金属からなる二元合金ナノプレートが形成される特徴がある。前記二元合金は、固溶相または金属間化合物相を含む。
【0034】
前駆物質である遷移金属のハロゲン化物は、遷移金属の臭化物、ヨウ化物、塩化物またはフッ化物である。
【0035】
前記遷移金属物質またはハロゲン化遷移金属の遷移金属は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Cd、Ta及びWから選択された物質であり、前記遷移金属ナノプレートは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Cd、TaまたはWナノプレートであって、前記異なる二つの遷移金属からなる二元合金ナノプレートは、 Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Cd、Ta及びWから選択された二つの物質である。
【0036】
前記遷移金属ナノプレートを製造するための前駆物質は、製造しようとする遷移金属の遷移金属そのもの及び製造しようとする遷移金属のハロゲン化物を全て含有する特徴があり、前記異なる二つの遷移金属からなる二元合金ナノプレートを製造するための前駆物質は、製造しようとする二元合金をなす一つの遷移金属の遷移金属そのもの及びハロゲン化物を含み、二元合金をなす他の一つの遷移金属のハロゲン化物を含む特徴がある。
【0037】
特徴的に、前記前駆物質は、Niとハロゲン化Niとの混合物であり、前記前駆物質は、700〜900℃に維持されて、前記単結晶基板は、800〜1000℃に維持され、前記単結晶基板上にNiナノプレートが形成される特徴がある。
【0038】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜200sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、750〜770torrの圧力で行われる特徴がある。
【0039】
特徴的に、前記前駆物質は、Niとハロゲン化Niとハロゲン化Coとの混合物でり、前記前駆物質は、700〜900℃に維持されて、前記単結晶基板は、800〜1000℃に維持され、前記単結晶基板上にNi−Co二元合金ナノプレートが形成される特徴がある。
【0040】
この際、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜200sccmで流れる特徴があり、前記熱処理は、750〜770torrの圧力で行われる特徴がある。
【0041】
本発明による金属ナノプレートは、反応炉の前端部に位置させた金属物質、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を含む前駆物質と、反応炉の後端部に位置させた単結晶基板とを、不活性気体が流れる雰囲気で熱処理し、前記単結晶基板上に形成された多角板状の単結晶体である金属単結晶ナノプレートである特徴がある。
【0042】
詳細に、本発明による金属ナノプレートは、貴金属ナノプレート、異なる二つの貴金属からなる二元合金ナノプレート(I)、遷移金属ナノプレート、異なる二つの遷移金属からなる二元合金ナノプレート(II)である特徴がある。
【0043】
前記多角板状の金属単結晶ナノプレートは、六角形、五角形、四角形、三角形、平行四辺形または台形のナノプレートである特徴があり、前記金属単結晶ナノプレートは、金属単結晶ナノプレートが形成された単結晶基板とエピタキシャル(Epitaxial)関係を有して、前記単結晶基板の表面に対して一定な配向性を有する特徴があり、前記単結晶基板の表面に対して一定な配向性を有する特徴があって、少なくとも二つ以上の金属単結晶ナノプレートが互いに平行な特徴がある。
【0044】
前記金属単結晶ナノプレートは、面心立方構造(FCC)であり、前記金属単結晶ナノプレートのプレート面は、{111}面であって、前記ナノプレートの辺の方向は、<110>方向を含む特徴がある。
【発明の効果】
【0045】
本発明の製造方法は、触媒を使用しない気相移送法を利用して、貴金属ナノプレート、貴金属二元合金ナノプレート、遷移金属ナノプレートまたは遷移金属二元合金ナノプレートを製造することができ、数〜数十マイクロメートル大きさの金属ナノプレートを製造することができて、その工程が簡単で且つ再現性があり、製造されたナノプレートが、欠陥及び不純物を含まない高結晶性及び高純度単結晶状態の貴金属ナノプレートである長所を有する。
【0046】
また、本発明の製造方法は、単純に熱処理時間を調節して金属ナノプレートの大きさを制御することができ、金属ナノプレートの形状及び基板との配向性を制御することができる長所があり、一辺の長さが数マイクロメートル大きさの金属ナノプレートを大量生産することができる長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、添付の図面を参照し、本発明の金属単結晶ナノプレートの製造方法を詳述するが、本明細書で使用する技術用語及び科学用語において、特に定義がなければ、この発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明及び添付図面において、本発明の要旨を曖昧にする公知機能及び構成に対する説明は省く。
【0048】
本発明による金属単結晶ナノプレートの製造方法は、反応炉の前端部に位置させた金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を含む前駆物質と、反応炉の後端部に位置させた単結晶基板とを、不活性気体が流れる雰囲気で熱処理し、前記単結晶基板上に単結晶体の金属ナノプレート(nano-plate) を形成する点に特徴がある。この際、前記不活性気体は、前記気化された前記前駆物質を基板に移送させる役割をするため、前記不活性気体が前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部に流れることが好ましい。
【0049】
本発明の製造方法は、単に金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を前駆物質として使用し、単結晶基板上に金属ナノプレートを形成して、触媒を使用せず、気相の物質移動経路を通じて金属単結晶ナノプレートを製造するため、その工程が簡単で且つ再現性があって、不純物を含まない高純度の金属ナノプレートを製造することができる長所がある。
【0050】
また、前記反応炉の前端部及び反応炉の後端部の温度をそれぞれ調節し、前記不活性気体の流量制御と前記熱処理時に利用される熱処理管内の圧力を調節して、最終的に単結晶基板上部で金属物質の核形成力、成長力、核形成速度及び成長速度を調節する方法であるため、金属単結晶ナノプレートの大きさ及び基板上の密度などが制御可能で、再現可能であり、2次元欠陥がなく、結晶性のよい高品質の金属単結晶ナノプレートを製造することができるようになる。
【0051】
詳細に、本発明の製造方法は、反応炉の前端部の温度及び管内圧力を制御し、前駆物質の気化程度を制御して、不活性気体の流量を制御し、気化された前駆物質が単結晶基板上部に移送される程度を制御して、サファイア単結晶基板の温度及び管内圧力を制御し、サファイア基板上部に形成される金属ナノプレートの成長メカニズム及び基板上における核形成力/成長力を制御する。
【0052】
特徴的に、本発明の製造方法は、単結晶基板の温度及び管内圧力を制御して、サファイア単結晶基板上部に2−D核形成及び側面成長(2-dimensional nucleation and lateral growth)のメカニズムで貴金属ナノプレートを形成させる。
【0053】
本発明の主題は、触媒を使用せず、前駆物質を気相移送させて、単結晶体からなる金属ナノプレートを製造することにあり、高品質、高純度、好ましい形状及び大きさのナノプレートを製造するための必須条件は、反応炉の前端部及び反応炉の後端部のそれぞれ温度、前記不活性気体の流速、前記熱処理時の圧力条件であって、基板の種類及び基板表面方向を制御し、同一な金属ナノプレートの配向性を制御する。
【0054】
詳細に、前記反応炉の前端部及び反応炉の後端部のそれぞれ温度は、前駆物質の融点、沸点、気化エネルギーなどの物理的性質及び不活性気体の流速及び熱処理時の圧力、ナノプレートの金属物質の種類別に、表面方向による表面エネルギーのカスプ(cusp)が現れる温度を考慮して決定される。
【0055】
前記前駆物質は、Au、Pd、またはAuとPdの混合物であり、前記前駆物質(反応炉の前端部)は、1200乃至1300℃に維持される特徴があって、前記前駆物質はAgであり、前記前駆物質(反応炉の前端部)は800乃至850℃に維持される特徴があって、前記前駆物質はハロゲン化Ptであり、前記前駆物質(反応炉の前端部)は450乃至500℃に維持される特徴があって、前記前駆物質はNiとハロゲン化Niの混合物;またはNi、ハロゲン化Ni及びハロゲン化Coの混合物;であり、前記前駆物質(反応炉の前端部)は700乃至900℃に維持される特徴がある。
【0056】
前記単結晶基板の温度は、製造しようとする金属単結晶ナノプレートの貴金属物質の表面方向による表面エネルギーにカスプが存在し、表面方向によって異なる成長速度を有するように制御することが好ましく、表面方向間2−D核生成及び成長に必要な駆動力の差が大きくなるように制御し、ナノプレートの形状を有するように制御することが好ましい。
【0057】
このような単結晶基板(反応炉の後端部)の温度制御及び単結晶基板上の気化された前駆物質による金属ナノプレートの核生成及び成長駆動力を制御することにより、前記金属単結晶ナノプレートは、多角板状のナノプレートである特徴を有する。
【0058】
前記前駆物質は、Au、Pd、またはAuとPdの混合物であり、前記単結晶基板(反応炉の後端部)は、850乃至1050℃に維持される特徴があって、前記前駆物質は、Agであり、前記単結晶基板(反応炉の後端部)は、550乃至700℃に維持される特徴があって、前記前駆物質は、ハロゲン化Ptであり、前記単結晶基板(反応炉の後端部)は、1000乃至1050℃に維持される特徴があって、前記前駆物質は、Niとハロゲン化Niの混合物;またはNi、ハロゲン化Ni及びハロゲン化Coの混合物;であり、前記単結晶基板(反応炉の後端部)は、800乃至1000℃に維持される特徴がある。
【0059】
前記不活性気体の流れ量及び熱処理時の圧力は、前記単結晶基板に提供される前駆物質の量及び基板上に生成された核に前駆物質が到達する機序に主に影響を及ぼし、上述の単結晶基板及び前駆物質のそれぞれの温度と共に、前記不活性気体の流量及び熱処理時の圧力を制御して、数乃至数十マイクロメートルオーダーの単結晶体の金属ナノプレートを製造する。
【0060】
前記前駆物質は、Au、Pd、Ag、またはAuとPdの混合物であり、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)側に50〜150sccmで流れる特徴があって、前記前駆物質は、ハロゲン化Ptであり、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)側に200〜400sccm流れる特徴があって、前記前駆物質は、Niとハロゲン化Niの混合物;またはNi、ハロゲン化Ni及びハロゲン化Coの混合物;であり、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部(前駆物質)から前記反応炉の後端部(単結晶基板)側に50〜200sccm流れる特徴がある。
【0061】
前記前駆物質は、Au、Pd、Ag、またはAuとPdの混合物であり、金属単結晶ナノプレートを製造するための前記熱処理は、5〜20torrの圧力で行われる特徴があって、前記前駆物質は、ハロゲン化Pt;Niとハロゲン化Niの混合物;またはNi、ハロゲン化Ni及びハロゲン化Coの混合物;であり、金属単結晶ナノプレートを製造するための前記熱処理は、750〜770torrの圧力で行われる特徴がある。
【0062】
上述の単結晶基板の温度条件、前駆物質の温度条件、不活性気体の流れ条件及び熱処理時の圧力条件は、前駆物質の気化程度、時間当たり単結晶基板に伝達される気化された前駆物質の量、単結晶基板上の金属物質の核生成及び成長速度、単結晶基板上に生成された金属物質(ナノプレート)の表面エネルギー、単結晶基板上に生成された金属物質(ナノプレート)の凝集程度、単結晶基板上に生成された金属物質(ナノプレート)の形状(morphology)に影響を及ぼすようになる。
【0063】
熱処理時間も同様に、上記の温度、不活性気体の流れ、熱処理時の圧力条件及び製造しようとする貴金属ナノプレートの最終大きさによって調節されるが、上述の本発明の条件において、一辺の長さが数マイクロメートルに至る貴金属ナノプレートを製造するために、好ましくは1時間〜2時間熱処理することが好ましい。
【0064】
上記の熱処理時間の間、不活性気体により気化された前駆物質が単結晶基板に移動し、核生成及び成長に参与するようになるが、これと同時に、単結晶基板に既に形成された金属物質(金属ナノプレートまたは金属ナノプレートの核)間で気相及び基板表面を介しての金属の物質移動(原子またはクラスタ単位の物質移動)が起こり、金属ナノプレートの成長及び消滅が発生する。
【0065】
したがって、上記の熱処理後、金属ナノプレートが形成された単結晶基板を、前駆物質を除去した状態で再び熱処理し、金属ナノプレートの密度、大きさなどをさらに調節することもできる。
【0066】
本発明の製造方法は、前記金属単結晶ナノプレートが形成される単結晶基板の物質及び表面方向を制御し、前記金属単結晶ナノプレートの形状;前記単結晶基板の表面に対する金属単結晶ナノプレートの配向性;またはこれらの組み合わせが制御される特徴がある。
【0067】
詳細に、製造しようとする金属単結晶ナノプレートの金属物質固有の結晶構造に基づいて上述の熱処理時、前駆物質または製造される金属単結晶ナノプレートと化学的に反応せず、熱的化学的に安定した物質の単結晶体を基板に使用して、基板表面に対して無配向性を有するか、配向性を有する金属単結晶ナノプレートを製造する。
【0068】
無配向性を有する金属単結晶ナノプレートを製造する場合、上述の熱処理時、前駆物質または製造される金属単結晶ナノプレートと化学的に反応せず、熱的化学的に安定したものであれば、いかなる種類の単結晶体でも基板に使用することができ、一例として、不導体または半導体単結晶基板を使用することができる。
【0069】
配向性を有する金属単結晶ナノプレートを製造する場合、前記単結晶基板の物質及び表面(結晶面)は、核生成、特に2次元核生成(2-dimensional nucleation)が容易に発生する不導体または半導体単結晶の表面であり、格子ミスマッチ(lattice mismatch)により誘導される弾性応力(elastic stressまたはelastic strain)及び欠陥(defect)が容易に発生しない不導体または半導体単結晶の表面である。一例として、単結晶基板は、a({11−20})表面のサファイア、r({1−102})表面のサファイア、m({1−100})表面のサファイア 、c({0001})表面のサファイア、{001}表面のランタンアルミニウムオキシド(LAO;Lanthanum Aluminum Oxide)、{100}表面のストロンチウムチタネート(STO;Strontium Titanate)、または{110}表面のチタニア(Titanium dioxide)である。
【0070】
本発明による製造方法は、製造しようとする金属ナノプレートが単結晶基板上部にエピタキシャル成長して形成される特徴がある。
【0071】
このような単結晶基板と金属単結晶ナノプレート間のエピタキシャル関係により、単結晶基板上に形成される数個の金属単結晶ナノプレートが互いに平行な関係を有するようになり、金属単結晶ナノプレートが前記単結晶基板に対して特定な配向性を有するようになる。
【0072】
また、単結晶基板と金属単結晶ナノプレート間のエピタキシャル関係により、サファイア単結晶基板の表面方向によって、エピタキシャルをなす金属単結晶ナノプレートの結晶面が異なってくるため、ナノプレートの最終形状が異なってくる。
【0073】
したがって、前記金属単結晶ナノプレートが形成される単結晶基板の物質及び表面方向を制御し、前記金属単結晶ナノプレートの形状;前記単結晶基板の表面に対する金属単結晶ナノプレートの配向性;またはこれらの組み合わせが制御される特徴を有する。
【実施例1】
【0074】
Au単結晶ナノプレートの製造
前記反応炉は、前端部と後端部に区別されて、独立的に加熱体(heating element)及び温度調節装置を備えている。反応炉内の管は、直径1インチ、長さ60cmの大きさの石英(Quzrtz)材質からなるものを使用した。
【0075】
反応炉の前端部の中央に、前駆物質のAuスラグ(Sigma-Aldrich, 373176-3.9G)3.9gを入れた高純度アルミナ材質のボート状容器を位置させて、反応炉の後端部の中央には、{001}表面のランタンアルミニウムオキシド(LAO;Lanthanum Aluminum Oxide)単結晶基板(MTI corporation, LAOa050505S1)を位置させた。
【0076】
アルゴン気体は、反応炉の前端部に流入され、反応炉の後端部に排気されて、反応炉の後端部には真空ポンプが備えられている。前記真空ポンプを利用して石英管内の圧力を15torrに維持して、MFC(Mass Flow Controller)を利用して100sccmのArが流れるようにした。
【0077】
反応炉の前端部(前駆物質を入れたアルミナボート)の温度は1250℃に維持して、反応炉の後端部(サファイア単結晶基板)の温度は1000℃に維持した状態で2時間熱処理し、Au単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例2】
【0078】
Au単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板にm−planeのサファイア単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でAu単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例3】
【0079】
Ag単結晶ナノプレートの製造
前駆物質としてAg塊 (Sigma Aldrich, 373249)4.1gを使用して、単結晶基板にa−planeサファイア単結晶基板を使用して、反応炉の前端部の温度を820℃に、反応炉の後端部の温度を630℃に、管内圧力を5torrに、Arの流量を100sccmにしたことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でAg単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例4】
【0080】
Ag単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板にr−planeのサファイア単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例3と同一な装置及び条件でAg単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例5】
【0081】
Ag単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板にm−planeのサファイア単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例3と同一な装置及び条件でAg単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例6】
【0082】
Ag単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板に{100}STO(Strontium Titanate)単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例3と同一な装置及び条件でAg単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例7】
【0083】
Pd単結晶ナノプレートの製造
前駆物質としてPd粉末(Sigma Aldrich, 203939-5g)0.5gを使用して、単結晶基板にa−planeサファイア単結晶基板を使用して、反応炉の前端部の温度を1250℃に、反応炉の後端部の温度を1000℃に、管内圧力を5torrに、Arの流量を100sccmに、熱処理時間を2時間にしたことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でPd単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例8】
【0084】
Pd単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板に{110}TiO単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例8と同一な装置及び条件でPd単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例9】
【0085】
AuPd単結晶ナノプレートの製造
前駆物質としてPd粉末0.5g及びAuスラグ0.5gを使用して、単結晶基板にa−planeサファイア単結晶基板を使用して、反応炉の前端部の温度を1250℃に、反応炉の後端部の温度を1000℃に、管内圧力を5torrに、Arの流量を100sccmに、熱処理時間を2時間にしたことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でAuPd単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例10】
【0086】
AuPd単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板に{110}TiO単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例9と同一な装置及び条件でAuPd単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例11】
【0087】
Pt単結晶ナノプレートの製造
前駆物質としてPtCl(Sigma Aldrich, 482315-1G)0.5gを使用して、単結晶基板にc−planeサファイア単結晶基板を使用して、反応炉の前端部の温度を475℃に、反応炉の後端部の温度を1025℃に、管内圧力を760torrに、Arの流量を300sccmに、熱処理時間を2時間にしたことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でPt単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例12】
【0088】
Pt単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板にm−planeサファイア単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例12と同一な装置及び条件でPt単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例13】
【0089】
Pt単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板にr−planeサファイア単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例12と同一な装置及び条件でPt単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例14】
【0090】
Pt単結晶ナノプレートの製造
単結晶基板にa−planeサファイア単結晶基板を使用したことを除いては、前記実施例12と同一な装置及び条件でPt単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例15】
【0091】
Ni単結晶ナノプレートの製造
前駆物質としてNi(Sigma Aldrich, 266965-50G)0.5g及びNiCl(Sigma Aldrich, 451195-5G)0.5gを使用して、単結晶基板にa−planeサファイア単結晶基板を使用して、反応炉の前端部の温度を800℃に、反応炉の後端部の温度を900℃に、管内圧力を760torrに、Arの流量を150sccmに、熱処理時間を2時間にしたことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でNi単結晶ナノプレートを製造した。
【実施例16】
【0092】
NiCo単結晶ナノプレートの製造
前駆物質としてNi(Sigma Aldrich, 266965-50G)0.5g、NiCl(Sigma Aldrich, 451195-5G)0.5g及びCoCl(Sigma Aldrich, 409332-1G)0.5gを使用して、単結晶基板にc−planeサファイア単結晶基板を使用して、反応炉の前端部の温度を800℃に、反応炉の後端部の温度を900℃に、管内圧力を760torrに、Arの流量を150sccmに、熱処理時間を2時間にしたことを除いては、前記実施例1と同一な装置及び条件でNi−Co二元合金であるNiCo単結晶ナノプレートを製造した。
【0093】
前記実施例1乃至16を通じて製造された金属単結晶ナノプレートを分析して、本発明の製造方法により製造された金属単結晶ナノプレートの品質、形状などを分析した。
【0094】
図1は、実施例1を通じて製造されたAuナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図2は、実施例2を通じて製造されたAuナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)である。
【0095】
図1乃至2から分かるように、ナノプレートの一辺の長さが数μm乃至数十μmであるAuナノプレートが製造されて、多角板状のナノプレートが製造されることが分かる。大抵、三角形、三角形の一頂点が切断形態の台形のナノプレートが製造されることが分かる。
【0096】
また、図1乃至図2の走査電子顕微鏡写真を通じて、製造されたAuナノプレートがエピタキシャルに成長し、単結晶基板表面と特定配向性を有することが分かり、Auナノプレートが単結晶基板表面上で斜めに傾けて、Auナノプレート面(一番広い面)の垂直方向が単結晶基板表面の平行方向成分及び垂直方向成分の両方とも有することが分かる。この際、単結晶基板上部に多量のAuナノプレートが形成されることが分かって、Auナノプレート同士は互いに平行であることが分かる。
【0097】
図1乃至図2の結果から、単結晶基板の物質及び表面方向によって、Auナノプレートの配向性が異なってくることが分かる。
【0098】
図3は、実施例3を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図4は、実施例4を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図5は、実施例5を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)である。
【0099】
図3乃至5から分かるように、ナノプレートの一辺の長さが10μm以上の非常に巨大なAgナノプレートが製造されて、Auナノプレートと同様に、基板に対してエピタキシャル関係を有する多角板状のナノプレートが製造されることが分かる。大抵、五角形のナノプレートが主に製造されて、三角形、平行四辺形、台形のナノプレートが製造されることが分かる。
【0100】
図3乃至図5の走査電子顕微鏡写真は、基板を傾けて(tilt)観察した写真であって、実施例3乃至実施例5は、いずれも基板表面に対して垂直成長したAgナノプレートが製造された。
【0101】
また、製造されたAgナノプレートの形状に係らず、ナノプレート同士は互いに平行な関係を有することが分かり、単結晶基板の表面方向が変わると、製造されたAgナノプレートの密度、大きさ及び形状が異なってくることが分かる。a−plane、r−plane上では、主に五角形のAgナノプレートが形成されるが、m−planeでは、主に台形のAgナノプレートが形成されることが分かる。
【0102】
図6は、実施例6を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図7は、実施例6を通じて製造されたAgナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真であって、HRTEM写真の右側上部は、AgナノプレートのSAED(Selected Area Electron Diffraction)パターンである。
【0103】
図6のように、単結晶基板が異なると、製造されたAgナノプレートの密度、大きさ、及び形状が異なってくることが分かり、図7の観察結果、一つのAgナノプレートが単一な単結晶体からなっていることが分かり、パターンのindexing結果、バルクのAgと同一な面心立方構造のAgナノプレートが製造されて、ナノプレート面が{111}であり、ナノプレート面の辺が<110>方向であることが分かる。
【0104】
図8は、実施例7を通じて製造されたPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図9は、実施例8を通じて製造されたPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図10は、実施例7を通じて製造されたPdナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真であって、HRTEM写真の右側上部は、PdナノプレートのSAED(Selected Area Electron Diffraction)パターンである。
【0105】
図8乃至10の結果から、数μm乃至数十μm大きさを有して、多角板状のAuナノプレートが製造されることが分かり、製造されたAuナノプレートが互いに平行で、基板別に基板に対して一定な配向性を有して、一つのPdナノプレートが単一な単結晶体からなっていることが分かる。
【0106】
図11は、実施例9を通じて製造されたAuPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図12は、実施例10を通じて製造されたAuPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図13は、実施例9を通じて製造されたAuPdナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真であって、HRTEM写真の右側上部は、AuPdナノプレートのSAED(Selected Area Electron Diffraction)パターンである。
【0107】
図14は、実施例11を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図15は、実施例12を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図16は、実施例13を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図17は、実施例14を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図18は、実施例12を通じて製造されたPtナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真であって、HRTEM写真の右側上部は、PtナノプレートのSAED(Selected Area Electron Diffraction)パターンである。
【0108】
図19は、実施例15を通じて製造されたNiナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)であり、図20は、実施例16を通じて製造されたNiCoナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真(単結晶基板を45度傾けて(tilt)観察)である。
【0109】
図1乃至20の結果から、本発明の製造方法を通じて、ナノプレートの一辺の長さが数μm乃至数十μmである多角板状のナノプレートが製造されることが分かる。五角形、三角形、平行四辺形、台形を含む多角形状のナノプレートが製造されることが分かり、単一なナノプレートが、二次元欠陥を含まない単一な単結晶体からなっていることが分かり、ナノプレートの形状に係らず、ナノプレート同士が互いに平行な多量のナノプレートが製造されることが分かって、基板の物質、基板の表面方向またはこれらの組み合わせを制御することにより、基板表面に対するナノプレートの配向性、密度、大きさ及び形状が制御されることが分かる。
【0110】
以上のように、本発明では、限定された実施例及び図面を参照して説明したが、これらは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたもので、本発明がこれらに限定されるものではなく、本発明の属する分野で通常の知識を有する者なら、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0111】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して定められてはならず、添付の特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なあるいは等価的な変形のあるあらゆるものは、本発明の思想の範疇に属すると言える。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】実施例1を通じて製造されたAuナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】実施例2を通じて製造されたAuナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】実施例3を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】実施例4を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】実施例5を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】実施例6を通じて製造されたAgナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】製造されたAgナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真である。
【図8】実施例7を通じて製造されたPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図9】実施例8を通じて製造されたPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10】製造されたPdナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真である。
【図11】実施例9を通じて製造されたAuPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図12】実施例10を通じて製造されたAuPdナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図13】製造されたAuPdナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真である。
【図14】実施例11を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図15】実施例12を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図16】実施例13を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図17】実施例14を通じて製造されたPtナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図18】製造されたPtナノプレートの透過電子顕微鏡(TEM)写真及びHRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)写真である。
【図19】実施例15を通じて製造されたNiナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図20】実施例16を通じて製造されたNiCoナノプレートの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉の前端部に位置させた金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を含む前駆物質と、反応炉の後端部に位置させた単結晶基板とを、不活性気体が流れる雰囲気で熱処理し、前記単結晶基板上に単結晶体の金属ナノプレート(nano-plate)を形成することを特徴とする、金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項2】
金属単結晶ナノプレートが、多角板状であることを特徴とする、請求項1に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項3】
金属単結晶ナノプレートが、 単結晶基板上にエピタキシャル(epitaxial)成長することを特徴とする、請求項1に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項4】
金属単結晶ナノプレートが形成される単結晶基板の物質及び表面方向を制御し、前記金属単結晶ナノプレートの形状;前記単結晶基板の表面に対する金属単結晶ナノプレートの配向性;またはこれらの組み合わせを制御することを特徴とする、請求項1に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項5】
単結晶基板が、a({11−20})表面のサファイア、r({1−102})表面のサファイア、m({1−100})表面のサファイア 、c({0001})表面のサファイア、{001}表面のランタンアルミニウムオキシド(LAO;Lanthanum Aluminum Oxide)、{100}表面のストロンチウムチタネート(STO;Strontium Titanate)、{110}表面のチタニア(Titanium dioxide)であることを特徴とする、請求項4に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項6】
前駆物質が、貴金属物質であり、単結晶基板上の貴金属単結晶ナノプレートが製造されることを特徴とする、請求項1に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項7】
前駆物質が、Au、Pd、またはこれらの混合物であり、前記前駆物質は、1200乃至1300℃に維持されて、単結晶基板は、850〜1050℃に維持され、前記単結晶基板上にAu、PdまたはAu−Pd二元合金ナノプレートが形成されることを特徴とする、請求項6に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項8】
前駆物質が、Agであり、前記前駆物質は、800〜850℃に維持されて、単結晶基板は、550〜700℃に維持され、前記単結晶基板上にAgナノプレートが形成されることを特徴とする、請求項6に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項9】
不活性気体が、反応炉の前端部から反応炉の後端部側に50〜150sccmで流れることを特徴とする、請求項7または8に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項10】
熱処理が、5〜20torrの圧力で行われることを特徴とする、請求項9に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項11】
前駆物質が、ハロゲン化Ptであり、前記前駆物質は、450〜500℃に維持されて、単結晶基板は、1000〜1050℃に維持され、前記単結晶基板上にPtナノプレートが形成されることを特徴とする、請求項6に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項12】
不活性気体が、反応炉の前端部から反応炉の後端部側に200〜400sccm流れることを特徴とする、請求項11に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項13】
前駆物質が、遷移金属物質及びハロゲン化遷移金属の混合物であり、前記単結晶基板上の遷移金属ナノプレートまたは異なる二つの遷移金属からなる二元合金ナノプレートが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項14】
前駆物質が、Niとハロゲン化Niとの混合物、またはNiとハロゲン化Niとハロゲン化Coとの混合物であり、前記単結晶基板上のNiナノプレートまたはNi−Co二元合金ナノプレートが製造されることを特徴とする、請求項13に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項15】
前駆物質が、700〜900℃に維持されて、前記単結晶基板は、800〜1000℃に維持され、前記不活性気体は、前記反応炉の前端部から前記反応炉の後端部側に50〜200sccm流れることを特徴とする、請求項14に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項16】
熱処理が、750〜770torrの圧力で行われることを特徴とする、請求項12または15に記載の金属単結晶ナノプレートの製造方法。

【請求項17】
反応炉の前端部に位置させた金属、金属ハロゲン化物、またはこれらの混合物を含む前駆物質と、反応炉の後端部に位置させた単結晶基板とを、不活性気体が流れる雰囲気で熱処理し、前記単結晶基板上に形成された多角板状の単結晶体であることを特徴とする、金属単結晶ナノプレート。

【請求項18】
金属ナノプレートが、貴金属ナノプレート、異なる二つの貴金属からなる二元合金ナノプレート(I)、遷移金属ナノプレート、異なる二つの遷移金属からなる二元合金ナノプレート(II)であることを特徴とする、請求項17に記載の金属単結晶ナノプレート。

【請求項19】
多角板状のナノプレートが、六角形、五角形、四角形、三角形、平行四辺形または台形のナノプレートであることを特徴とする、請求項17に記載の金属単結晶ナノプレート。

【請求項20】
金属単結晶ナノプレートが、金属単結晶ナノプレートが形成された単結晶基板とエピタキシャル(Epitaxial)関係を有して、前記単結晶基板の表面に対して一定な配向性を有することを特徴とする、請求項17に記載の金属単結晶ナノプレート。

【請求項21】
金属単結晶ナノプレートが、面心立方構造(FCC)であり、前記金属単結晶ナノプレートのプレート面は、{111}面であって、前記ナノプレートの辺の方向は、<110>方向を含むことを特徴とする、請求項17に記載の金属単結晶ナノプレート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−502212(P2011−502212A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529888(P2010−529888)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005388
【国際公開番号】WO2010/033005
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】