金属膜の膜厚測定方法及び基板処理方法及び装置
【課題】 インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法を提供する。
【解決手段】 膜厚測定用の測定光を測定対象物11に照射する工程と、測定対象物11からの反射光からこの測定対象物11の反射率を検出する工程と、検出された測定対象物11の反射率から得た測定反射率データと、膜厚判断の基礎となる基礎反射率データとに基づいて、測定対象物11の膜厚を決定する工程と、を備え、測定対象物11が導電性を有する金属膜であり、金属膜の膜厚が、金属膜に透過した測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下である。
【解決手段】 膜厚測定用の測定光を測定対象物11に照射する工程と、測定対象物11からの反射光からこの測定対象物11の反射率を検出する工程と、検出された測定対象物11の反射率から得た測定反射率データと、膜厚判断の基礎となる基礎反射率データとに基づいて、測定対象物11の膜厚を決定する工程と、を備え、測定対象物11が導電性を有する金属膜であり、金属膜の膜厚が、金属膜に透過した測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属膜の膜厚測定方法及びその膜厚測定方法を利用した基板処理方法及び基板処理装置に関する。なお、本発明において、「金属膜」とは狭義の意味での純粋金属の膜だけでなく、導電性を有する合金や金属化合物の膜、例えば金属窒化物の膜をも含むものとする。これは、導電性が典型的な金属特性であるからである。
【背景技術】
【0002】
金属膜は、その導電率の問題から、誘電体膜のように光、電磁波等を利用した膜厚測定ができない。このため、例えば、半導体集積回路装置の製造においては、もっぱら定期的な品質管理作業を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて、製造中、あるいは製造された製品の断面を撮影し、この断面像から内部に形成された金属膜の膜厚を求め、プロセス再現性やプロセス性能を保証している。
【0003】
金属膜を成膜する成膜装置、もしくはこの成膜装置を処理部の一つとして含む基板処理装置は、プロセスチャンバー内の温度や圧力、ガス流量、及びRFパワー(PVD、PE−CVDの場合)等のパラメータについては管理することができる。これらのパラメータを管理すれば、形成される金属膜の、おおよその膜厚を推定することが可能である。このことを利用し、パラメータの値が異常になった時には装置を停止させて、不良品の発生を防止している。
【0004】
また、例えば、一週間に一度といった定期的な品質管理作業を行い、実際の製品の断面像から形成された金属膜の実際の膜厚を求め、実際の膜厚とパラメータとの関係を把握する。把握した関係に基づいて、パラメータの微調整を必要に応じて行えば、推定される膜厚の管理精度を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パラメータの管理はインラインで行うことができるが、膜厚を実測するものではなく、あくまで推定される膜厚を予測するものに過ぎない。金属膜の膜厚を実測するためには、製品を製造ラインから抜き出さなければならない。インラインでの金属膜の膜厚実測は不可能である。
【0006】
近時、例えば、半導体集積回路装置等に、バリアメタル、あるいは電極、あるいは内部配線として用いられる金属膜は薄膜化している。薄膜化した金属膜を用いた半導体集積回路装置は繊細である。このため、形成された金属膜の膜厚や膜厚分布のわずかな“ゆらぎ”が、半導体集積回路装置の特性に予測し得ないような大きな変化をもたらすことも充分に考えられる。最悪の場合、半導体集積回路装置自体が動作せず、最終的に膨大な数の不良品を出してしまう可能性すらある。
【0007】
この発明は、インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法、並びにその膜厚測定方法を利用した基板処理方法及び基板処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法は、膜厚測定用の測定光を測定対象物に照射する工程と、前記測定対象物からの反射光からこの測定対象物の反射率を検出する工程と、前記検出された測定対象物の反射率から得た測定反射率データと、膜厚判断の基礎となる基礎反射率データとに基づいて、前記測定対象物の膜厚を決定する工程と、を備え、前記測定対象物が導電性を有する金属膜であり、前記金属膜の膜厚が、前記金属膜に透過した前記測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下である。
【0009】
この発明の第2の態様に係る基板処理方法は、成膜装置を用いて、被処理基板上に金属膜を成膜する工程と、前記成膜された金属膜の膜厚を、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を用いて測定する工程と、前記測定された金属膜の膜厚t1と、プロセス条件中のプロセス時間から割り出された前記金属膜の膜厚t2とを比較し、膜厚t1と膜厚t2との差が所定の値以上であれば、前記成膜装置を停止させる。
【0010】
この発明の第3の態様に係る基板処理方法は、金属膜を成膜するための成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、前記成膜装置において、前記式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、前記第1の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記式を改良する工程と、前記成膜装置において、前記第1の被処理基板と同じロットに属する後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、順次繰り返し行って前記式を漸進的に校正する工程と、を具備する。
【0011】
この発明の第4の態様に係る基板処理方法は、金属膜を成膜するための第1及び第2の成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す共通式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、前記共通式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1及び第2の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、前記第1及び第2の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記共通式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記第1及び第2の成膜装置の夫々に適用する改良式を得る工程と、前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行って前記改良式を漸進的に校正することにより、前記第1及び第2の成膜装置の装置間機差に起因する膜厚誤差を漸進的に修正する工程と、を具備する。
【0012】
この発明の第5の態様に係る基板処理装置は、被処理基板に対して金属膜の成膜処理を施す、真空保持可能な処理室を少なくとも一つ含む処理部と、前記処理部に含まれた処理室に接続された、真空保持可能な基板搬送室と、前記基板搬送室に接続され、真空と大気との間で圧力変換可能なロードロック室と、を備えた基板処理装置であって、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を実行する膜厚測定装置を、前記ロードロック室に備えている。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法、及びその膜厚測定方法を利用した基板処理方法及び基板処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】試料の概要を示す断面図。
【図2】金属膜の分光特性を示す図。
【図3】Ti、TiN膜の分光特性を示す図。
【図4】TiN膜の屈折率n、消衰係数kの値を示す図。
【図5】波長毎の屈折率n、消衰係数kを最小二乗法を用いて多項式で一致させた状態を示す図。
【図6】多層膜を模式的に示す図。
【図7】算出された反射率と実際に観測された反射率との重ね合わせを示す図。
【図8】この発明の第1の実施形態に係る金属膜の膜厚測定方法を利用した膜厚測定装置の一例を概略的に示す図。
【図9】カーブフィッティングの例を示す図。
【図10】強度比較の例を示す図。
【図11】膜厚と成膜時間との関係を示す図。
【図12】この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。参照する図面全てにわたり、同一の部分については同一の参照符号を付す。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、試料の概要を示す断面図である。
図1に示すように、試料1は、基板2(例えば、シリコンウエハ)上に膜厚が100nmのシリコン酸化膜3(例えば、SiO2膜)を形成し、このシリコン酸化膜3の上面上に、所定の膜厚の金属膜4を形成したものである。金属膜4としては、本例では、膜厚9nmのチタン(Ti)膜、膜厚12nmの窒化チタン(TiN)膜、膜厚400nmのタングステン(W)膜、膜厚11nmのルテニウム(Ru)膜の四種類とした。これら四つの試料1から得た各金属膜4の分光特性を図2に示す。
【0017】
図2に示すように、これら四種類の金属膜4のうち、膜厚9nmのTi膜、膜厚12nmのTiN膜においては、波長600nm付近に反射率が極端に低下する干渉縞らしき波形が観測された。
【0018】
さらに、Ti膜、TiN膜については、観測範囲を400nm以下の短波長領域まで拡げ、観測を続けた。また、TiN膜については、膜厚を12nmの他、図1に示す試料1と同様の試料にて30nm、10nm、5.5nmの三種類を加え、それぞれ分光特性を観測した。この結果得られた分光特性を図3に示す。
【0019】
図3に示すように、膜厚が薄いTi膜、及びTiN膜の反射率には、波長700nmから500nmの範囲にバレー、波長400nmから300nmの範囲にピーク、及び波長300nmから200nmの範囲にバレーが観測された。これは、金属膜4で反射された反射光と、金属膜4を透過してシリコン酸化膜3の表面で反射された反射光とが干渉して出来た干渉縞である、と推測される。
【0020】
もしも、干渉縞であれば、膜厚が薄い金属膜4は、内部に透過してきた光を全て吸収せずに、下地、本例ではシリコン酸化膜3の表面で反射させ、かつ、表面から再度放射する性質がある、と推測される。この性質を利用すれば、金属膜4であっても、膜厚が薄ければ、光、電磁波等を利用した膜厚の測定が可能となる。
【0021】
さらに、図3に示した波形が干渉縞であることを裏付けるために、下記の手法にて証明を実施した。尚、証明には、四種類の膜厚において観測結果を得ているTiN膜を取り扱った。証明には、フレネルの公式を利用することとした。
【0022】
フレネルの公式を利用するために、TiN膜の屈折率n、消衰係数kの値を公知のデータベースから得た(図4)。光エネルギEは、振動数νに比例し、その比例定数はプランク定数hに等しい。この関係に基づき、下記(1)式を用いて、波長毎の屈折率n、消衰係数kを求め、かつ、最小二乗法を用いて図5に示すように多項式で一致させた。
E=hν=h(c/λ) …(1)
h:プランク定数、ν:振動数、c:光の速さ、λ:光の波長
複素屈折率Nは、下記(2)式で表される。
N=n+ik …(2)
n:屈折率、k:消衰係数
図6に多層膜の模式図を示す。図6に示す多層膜において、n番目の層での2つの光波の位相差δは、下記(3)式で表される。
【0023】
δn=(2π/λ)Nn・dn …(3)
δn:n番目の層での2つの光波の位相差
λ:光の波長、Nn:n番目の層の複素屈折率、dn:n番目の層の膜厚
また、入射側の媒体の屈折率をninc、透過側の媒体の屈折率をntraとすると、
垂直入射における振幅反射係数rは、下記(4)式で表される(フレネルの公式)。
r=(ninc−ntra)/(ninc+ntra) …(4)
図6に示す多層膜において、TiN膜とSiO2膜との界面における振幅反射係数(第1の反射光)と、SiO2膜とSi基板との界面における振幅反射係数(第2の反射光)との干渉は、下記(5)式で表される。
【0024】
R´=(r12+r23exp(2iδ2))/(1+r12r23exp(2iδ2))…(5)
さらに、上記第1、第2の反射光と、空気とTiN膜との界面における振幅反射係数(第3の反射光)との干渉は、下記(6)式で表される。
R=(r01+R´exp(2iδ1))/(1+r01R´exp(2iδ1))…(6)
R´、R:フレネルの振幅反射率
r01:空気とTiN膜との界面における振幅反射係数
r12:TiN膜とSiO2膜との界面における振幅反射係数
r23:SiO2膜とSi基板との界面における振幅反射係数
δ2:2層目(SiO2膜)での位相差
δ1:1層目(TiN膜)での位相差
観測にかかる反射率は、フレネルの振幅反射率の絶対値を二乗した値であるから、第1乃至第3の反射光が干渉した場合の反射率は、下記(7)式となる。
反射率=|R|2…(7)
以上、(1)式から(7)式を用いて算出された反射率(計算にかかる反射率)を、実際に観測された反射率に重ね合わせてみたものが、図7である。
【0025】
図7に示すように、観測された反射率と、算出された反射率とは良い一致をみせる。図7において“exp”は測定値、“cal”は計算値である。また、反射率を測定した測定装置は、自記分光光度計U−3400(日立製作所製)である。
【0026】
また、図7には、金属膜4を形成せず、シリコン酸化膜3のみの場合で反射率を算出した結果を示す。観測された反射率のいずれもが、シリコン酸化膜3のみの場合で算出された反射率とは一致しない。このため、シリコン酸化膜3による干渉ではないことが分かった。これらのことから、図3に示した波形は、干渉縞であることが裏付けられた。
【0027】
このように、第1の実施形態によれば、金属膜4であっても、膜厚が薄ければ、光、電磁波等を利用した膜厚の測定が可能となる。光、電磁波等を利用した金属膜の膜厚測定は、非破壊で測定できるので、インラインにおいて、金属膜の実際の膜厚を測定することが可能である。
【0028】
図8は、この発明の第1の実施形態に係る金属膜の膜厚測定方法を利用した膜厚測定装置の一例を概略的に示す図である。
図8に示すように、膜厚測定装置10は、膜厚測定用の測定光、又は測定電磁波(以下単に光という)を測定対象物11に出射する光、電磁波等の源(以下単に光源という)12と、測定対象物11において反射された反射光からこの測定対象物11の反射率を検出する検出器13と、膜厚判断の基礎データが蓄積され、蓄積された基礎データと、検出された測定対象物11の反射率とに基づいて、測定対象物11の膜厚を決定する処理部14とを備えている。
【0029】
また、本例では、膜厚測定用の光を、測定対象物11に対して垂直またはほぼ垂直に出射する例を示している。この構成においては、測定対象物11からの反射光を検出器13に導くように、光路を変換する光路変換部15が設けられる。光路変換部15の一例は、ハーフミラーである。
【0030】
膜厚の測定方法の例としては、いろいろな膜厚毎に、図3に示すような膜厚判断の基礎データとなる反射率波形を得て、処理部14に蓄積しておく。ここで、金属膜の下層膜種、膜厚は実際の製品と同じでなければならない。この基礎データとなる反射率波形と、実際の製品中の金属膜から測定した反射率波形とを比較する。そして、基礎データとなる反射率波形の中から、最も近い反射率波形を、例えば、カーブフィッティング法等により選び、これを測定された膜厚として決定する。
【0031】
具体的には、図9に示すように、測定波長範囲における反射率波形をカーブフィッティングさせることになるので、光源12は、測定光として、ある波長範囲に及んだ連続波長、あるいは複数波長を発振する。これにより、測定対象物11からの反射光は、上記連続波長、あるいは複数波長を含んだものとなる。このような反射光を波長毎に分光する分光器を検出器13の前段に設け、分光器で分光された反射光を検出器13に入力する。これにより、反射率が、測定波長範囲において波長毎に求められることとなる。波長毎に求められた反射率は、処理部14に入力され、ここで、例えば、図3に示したような測定対象物11の反射率波形を示すデータに変換される。処理部14は、変換したデータを、蓄積データと比較、例えば、カーブフィッティングさせる。そして、処理部14は、基礎データから、最も近い反射率波形を選び出し、これを測定された膜厚と決定する。
【0032】
また、光源からの波長は連続波長、あるいは複数波長に限らず、単一波長でも良い。金属膜の膜厚を、単一波長で測定する場合には、膜厚毎に、膜厚判断の基礎となる単一波長における反射率を得ておく。この基礎となる反射率と、実際の製品中の金属膜から観測した反射率とを比較する。そして、基礎となる反射率から、最も近い反射率を選び、これを測定された膜厚と決定する。このように、単一波長での測定は、例えば、図10に示すように、測定すべき金属膜の膜厚は、反射率の値のみにより決定される。この場合には、分光器は必ずしも必要はなく、測定対象物11からの反射光がそのまま検出器13に入力される、あるいは上記単一波長を通過させる光学的バンドパスフィルタを介して検出器13に入力され、単一波長における反射率の値が求められることとなる。
【0033】
光源としては、可視光領域を波長380nm以上780nm以下、紫外光領域を波長380nm未満、赤外光領域を波長780nm超、と定義した場合、可視光領域から紫外光領域に発光強度分布を持つものを採用されることが良い。
【0034】
例えば、Ti膜、及びTiN膜の膜厚を測定する場合には、図3に示したように、反射率として、波長700nmから500nmの範囲にバレー、波長400nmから300nmの範囲にピーク、及び波長300nmから200nmの範囲にバレーが観測されたので、発光強度分布に700nm以下の波長を含む光源が採用されることが良い。
【0035】
このような光源の例としては、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、水銀ランプ、及び放電ランプ(アークランプ)等を挙げることができる。
【0036】
LEDの発振波長例は、赤=波長おおよそ660nm、黄=おおよそ590nm、緑=おおよそ520nm、青=おおよそ450nmである。
【0037】
ハロゲンランプの場合の発振波長例は、封入されるガスにより変わるが、おおよそ波長380nm以上2000nm以下である。
【0038】
水銀ランプの発振波長例は、高圧水銀ランプ=おおよそ波長253nm以上580nm以下、低圧水銀ランプ=おおよそ波長184nm以上253nm以下である。
【0039】
放電ランプの発振波長例は、封入されるガスにより変わるが、おおよそ波長380nm以上2000nm以下である。200nm以下の短波長の発振も可能である。
【0040】
これらの光源は、一つ、もしくは複数組み合わせて膜厚測定用の光源として用いることができる。
【0041】
また、干渉縞は、測定対象物となる金属毎に異なる。そこで、干渉縞が現れる波長領域に合わせて、光源から照射された光を、光学的バンドパスフィルタにより選択する、あるいは、例えば、回折格子等を用いて特定の波長のみを選択することで、測定対象物に照射することも可能である。
【0042】
また、検出器としては、可視光領域から紫外光領域に受光感度分布を持つものを採用されることが良い。
【0043】
例えば、Ti膜、及びTiN膜の膜厚を測定する場合には、波長200nmから700nmの範囲に受光感度がある検出器を採用されることが良い。
【0044】
このような検出器の例としては、シリコンフォトダイオードを挙げることができる。
【0045】
シリコンフォトダイオードの受光感度分布例は、おおよそ波長200nm以上1100nm以下である。
【0046】
また、本例において、測定される金属膜は、導電性を有する金属膜である。このような金属膜において、測定可能な金属膜の膜厚は、金属膜に透過した測定光が金属膜中で全て吸収されない膜厚以下である。
【0047】
このように第1の実施形態によれば、インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法と、この膜厚測定方法を用いた膜厚測定装置を得ることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
装置間機差により、プロセス条件(ガス流量・プロセス温度・プロセス圧力・プロセス時間等)が同じであっても、各チャンバーで成膜される膜厚は異なる。
【0049】
そこで、事前に各チャンバーにおいてウエハを処理し、“y(膜厚)=a・t(プロセス時間)+b”におけるaとbとを算出しておく(図11)。
【0050】
成膜される膜厚は、インキュベーション時間などの不安定要因はあるものの、各チャンバーにおいては“y=at+b”の関係を満たすものと思われる。
【0051】
成膜後に、上記第1の実施形態に係る膜厚測定方法に基づいて測定された膜厚と、プロセス条件中のプロセス時間から割り出された上記yとを比較し、所定の値以上の差があれば、基板処理装置を停止させる。これにより、不良品の発生を抑制することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
図12は、この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の一例を概略的に示す平面図である。
【0053】
図12に示すように、第3の実施形態に係る基板処理装置101は、被処理基板Wに処理を施す処理部102と、この処理部102に被処理基板Wを搬入出する搬入出部103と、装置101を制御する制御部104とを備えている。
【0054】
本例に係る基板処理装置101は、クラスターツール型(マルチチャンバータイプ)の半導体製造装置であり、被処理基板Wは半導体ウエハである。
【0055】
処理部102は、本例では、被処理基板Wに処理を施す処理室(PM)を二つ備えている(処理室21a、21b)。これらの処理室21a及び21bはそれぞれ、内部を所定の真空度に減圧可能に構成され、例えば、処理室21a及び21bにおいては、高真空(低圧)での処理であるPVD処理、例えば、スパッタリング処理が行われ、被処理基板W、例えば、半導体ウエハ上に所定の金属又は金属化合物膜の成膜処理が実施される。処理室21a及び21bは、ゲートバルブG1、G2を介して、一つの搬送室(TM)22に接続されている。
【0056】
搬入出部103は、搬入出室(LM)31を備えている。搬入出室31は、内部を大気圧、又はほぼ大気圧、例えば、外部の大気圧に対してわずかに陽圧に調圧可能である。搬入出室31の平面形状は、本例では、平面から見て長辺、この長辺に直交する短辺を有した矩形である。矩形の長辺は上記処理部102に隣接する。本例では長辺に沿った方向をY方向、短辺に沿った方向をX方向、高さ方向をZ方向と呼ぶ。搬入出室31は、被処理基板Wが収容されているキャリアCが取り付けられる被処理基板用ロードポート(LP)を備えている。本例では、搬入出室31の処理部102に相対した長辺に、三つの被処理基板用ロードポート32a、32b、及び32cがY方向に沿って設けられている。本例においては、被処理基板用ロードポートの数を三つとしているが、これらに限られるものではなく、数は任意である。被処理基板用ロードポート32a乃至32cには各々、図示せぬシャッターが設けられており、被処理基板Wを格納した、あるいは空のキャリアCがこれらのロードポート32a乃至32cに取り付けられると、図示せぬシャッターが外れて外気の侵入を防止しつつ、キャリアCの内部と搬入出室31の内部とが連通される。
【0057】
処理部102と搬入出部103との間にはロードロック室(LLM)、本例では二つのロードロック室51a及び51bが設けられている。ロードロック室51a及び51bは各々、内部を所定の真空度、及び大気圧、もしくはほぼ大気圧に切り換え可能に構成されている。ロードロック室51a及び51bは各々、ゲートバルブG3、G4を介して搬入出室31の、被処理基板用ロードポート32a乃至32cが設けられた一辺に対向する一辺に接続され、ゲートバルブG5、G6を介して搬送室22の、処理室21a及び21bが接続された二辺以外の辺のうちの二辺に接続される。ロードロック室51a及び51bは、対応するゲートバルブG3又はG4を開放することにより搬入出室31と連通され、対応するゲートバルブG3又はG4を閉じることにより搬入出室31から遮断される。また、対応するゲートバルブG5又はG6を開放することにより搬送室22と連通され、対応するゲートバルブG5、又はG6を閉じることにより搬送室22から遮断される。
【0058】
搬入出室31の内部には搬入出機構35が設けられている。搬入出機構35は、被処理基板用キャリアCに対する被処理基板Wの搬入出を行う。これらとともに、ロードロック室51a及び51bに対する被処理基板Wの搬入出を行う。搬入出機構35は、例えば、二つの多関節アーム36a及び36bを有し、Y方向に沿って延びるレール37上を走行可能に構成されている。多関節アーム36a及び36bの先端には、ハンド38a及び38bが取り付けられている。被処理基板Wは、ハンド38a又は38bに載せられ、上述した被処理基板Wの搬入出が行われる。
【0059】
搬送室22の内部には、処理室21a及び21b、並びにロードロック室51a、51b相互間に対して被処理基板Wの搬送を行う搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、搬送室22の略中央に配設されている。搬送機構24は、回転及び伸縮可能なトランスファアームを、例えば、複数本有する。本例では、例えば、二つのトランスファアーム24a及び24bを有する。トランスファアーム24a及び24bの先端には、ホルダ25a及び25bが取り付けられている。被処理基板Wは、ホルダ25a又は25bに保持され、上述したように、処理室21a及び21b、並びにロードロック室51a、51b相互間に対する被処理基板Wの搬送が行われる。
【0060】
処理部104は、プロセスコントローラ41、ユーザーインターフェース42、及び記憶部43を含んで構成される。
プロセスコントローラ41は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなる。
ユーザーインターフェース42は、オペレータが基板処理装置101を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置101の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を含む。
【0061】
記憶部43は、基板処理装置101において実施される処理を、プロセスコントローラ41の制御にて実現するための制御プログラム、各種データ、及び処理条件に応じて基板処理装置101に処理を実行させるためのレシピが格納される。レシピは、記憶部43の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体はコンピュータ読み取り可能なもので、例えば、ハードディスクであっても良いし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば、専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。任意のレシピはユーザーインターフェース42からの指示等にて記憶部43から呼び出され、プロセスコントローラ41において実行されることで、プロセスコントローラ41の制御のもと、基板処理装置101において被処理基板Wに対する処理が実施される。
【0062】
このような基板処理装置101において、第1の実施形態において説明した金属膜の膜厚測定方法を実行する膜厚測定装置105a、105bを、ロードロック室51a、51bに設ける。膜厚測定装置105a、105bによる膜厚測定は、成膜が終わった後、ロードロック室51a、又は51bに搬送され、真空から大気への圧力変換をしている間に行う。
【0063】
このように、膜厚測定を、ロードロック室51a、又は51bにおいて圧力変換をしている間に行うことで、膜厚測定に要する時間を圧力変換時間内に収めることができる。このため、第1の実施形態において説明した金属膜の膜厚測定方法を、インラインで実行したとしても、スループットが低下することが無くなる。
【0064】
(第4の実施形態)
第1の実施形態において示した膜厚測定方法を用いて、第2の実施形態において示した処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す直線y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)をインラインで漸進的に校正することができる。この場合の操作を、例えば第3の実施形態に係る基板処理装置101の処理室21aを成膜装置の例として、以下に説明する。
【0065】
即ち、制御部104に上述の式y=at+bを処理室21aに対する式として設定する。そして、処理室21aにおいて、この式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えばあるロットに属する第1のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第1のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a(または51b)において、膜厚測定装置105a(または105b)により測定して膜厚の測定値を得る。次に、第1のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により式に対して定数a及びbを変更する校正を行ってこの式を改良する。この際に“インキュベーション時間”は一定と考え、直線と時間(t)軸との交点は変わらないものとする。
【0066】
次に、処理室21aにおいて、改良された式に基づいて、膜厚の目標値(通常は上述の目標値と同じ)に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えば第1のウエハと同じロットに属する第2のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第2のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a(または51b)において、膜厚測定装置105a(または105b)により測定して膜厚の測定値を得る。次に、第1及び第2のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により式に対して定数a及びbを変更する校正を行ってこの式を更に改良する。
【0067】
このように、例えば第1のウエハと同じロットに属する後続の複数のウエハに対して、金属膜を成膜する工程と、膜厚の測定値を得る工程と、校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行うことにより、式をインラインで漸進的に校正することができる。
【0068】
(第5の実施形態)
第1の実施形態において示した膜厚測定方法と第2の実施形態において示した処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す直線y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)とを用いて、金属膜を成膜するための複数の成膜装置の装置間機差に起因する膜厚誤差をインラインで修正することができる。例えば第3の実施形態においては、2つの処理室21a及び21bが存在し、これらは装置間機差を有する可能性のある2つの成膜装置としてみなすことができる。この場合の操作を、以下に説明する。
【0069】
即ち、制御部104に上述の式y=at+bを2つの処理室21a及び21bに対する共通式として設定する。そして、2つの処理室21a及び21bの夫々において、この共通式において膜厚の目標値(通常は共通の目標値)に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えば同じロットに属する第1及び第2のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第1及び第2のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a及び51bにおいて、膜厚測定装置105a、105bにより測定して膜厚の測定値を得る。次に、この成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により共通式に対して定数a及びbを変更する校正を行って各処理室21a及び21bの夫々に適用する第1及び第2の改良式を得る。この際に“インキュベーション時間”は一定と考え、直線と時間(t)軸との交点は変わらないものとする。
【0070】
次に、2つの処理室21a及び21bの夫々において、第1及び第2の改良式に基づいて、膜厚の目標値(通常は上述の目標値と同じ)に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えば第1及び第2のウエハと同じロットに属する第3及び第4のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第3及び第4のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a及び51bにおいて、膜厚測定装置105a、105bにより測定して膜厚の測定値を得る。次に、処理室21aでの第1及び第3のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により第1の改良式に対して定数a及びbを変更する校正を行って第3の改良式を得る。同様に、処理室21bでの第2及び第4のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により第2の改良式に対して定数a及びbを変更する校正を行って第4の改良式を得る。この際に“インキュベーション時間”は一定と考え、直線と時間(t)軸との交点は変わらないものとする。
【0071】
このように、2つの処理室21a及び21bの夫々において、後続の複数のウエハに対して、金属膜を成膜する工程と、膜厚の測定値を得る工程と、校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行うことにより、第4実施形態と同様に式を漸進的に校正する。これにより、2つの処理室21a及び21bの装置間機差に起因する膜厚誤差をインラインで漸進的に修正することができる。
【0072】
以上、この発明を第1乃至第5の実施形態に従って説明したが、この発明は上記第1乃至第5の実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
【0073】
例えば、第1乃至第5の実施形態においては、Ti、TiNの膜厚測定を例示してきたが、測定される膜は、Ti、TiNに限られるものではなく、導電性の金属膜に透過した測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下であれば、如何なる導電性の金属膜においても、この発明を適用することができる。または、測定光を全反射しない膜厚以下であれば、如何なる導電性の金属膜においても、この発明を適用することができる。
【0074】
さらに、上記第1乃至第5の実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを示したが、被処理基板は半導体ウエハに限定されず、FPD基板等の他の基板であってもよい。
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属膜の膜厚測定方法及びその膜厚測定方法を利用した基板処理方法及び基板処理装置に関する。なお、本発明において、「金属膜」とは狭義の意味での純粋金属の膜だけでなく、導電性を有する合金や金属化合物の膜、例えば金属窒化物の膜をも含むものとする。これは、導電性が典型的な金属特性であるからである。
【背景技術】
【0002】
金属膜は、その導電率の問題から、誘電体膜のように光、電磁波等を利用した膜厚測定ができない。このため、例えば、半導体集積回路装置の製造においては、もっぱら定期的な品質管理作業を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて、製造中、あるいは製造された製品の断面を撮影し、この断面像から内部に形成された金属膜の膜厚を求め、プロセス再現性やプロセス性能を保証している。
【0003】
金属膜を成膜する成膜装置、もしくはこの成膜装置を処理部の一つとして含む基板処理装置は、プロセスチャンバー内の温度や圧力、ガス流量、及びRFパワー(PVD、PE−CVDの場合)等のパラメータについては管理することができる。これらのパラメータを管理すれば、形成される金属膜の、おおよその膜厚を推定することが可能である。このことを利用し、パラメータの値が異常になった時には装置を停止させて、不良品の発生を防止している。
【0004】
また、例えば、一週間に一度といった定期的な品質管理作業を行い、実際の製品の断面像から形成された金属膜の実際の膜厚を求め、実際の膜厚とパラメータとの関係を把握する。把握した関係に基づいて、パラメータの微調整を必要に応じて行えば、推定される膜厚の管理精度を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パラメータの管理はインラインで行うことができるが、膜厚を実測するものではなく、あくまで推定される膜厚を予測するものに過ぎない。金属膜の膜厚を実測するためには、製品を製造ラインから抜き出さなければならない。インラインでの金属膜の膜厚実測は不可能である。
【0006】
近時、例えば、半導体集積回路装置等に、バリアメタル、あるいは電極、あるいは内部配線として用いられる金属膜は薄膜化している。薄膜化した金属膜を用いた半導体集積回路装置は繊細である。このため、形成された金属膜の膜厚や膜厚分布のわずかな“ゆらぎ”が、半導体集積回路装置の特性に予測し得ないような大きな変化をもたらすことも充分に考えられる。最悪の場合、半導体集積回路装置自体が動作せず、最終的に膨大な数の不良品を出してしまう可能性すらある。
【0007】
この発明は、インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法、並びにその膜厚測定方法を利用した基板処理方法及び基板処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法は、膜厚測定用の測定光を測定対象物に照射する工程と、前記測定対象物からの反射光からこの測定対象物の反射率を検出する工程と、前記検出された測定対象物の反射率から得た測定反射率データと、膜厚判断の基礎となる基礎反射率データとに基づいて、前記測定対象物の膜厚を決定する工程と、を備え、前記測定対象物が導電性を有する金属膜であり、前記金属膜の膜厚が、前記金属膜に透過した前記測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下である。
【0009】
この発明の第2の態様に係る基板処理方法は、成膜装置を用いて、被処理基板上に金属膜を成膜する工程と、前記成膜された金属膜の膜厚を、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を用いて測定する工程と、前記測定された金属膜の膜厚t1と、プロセス条件中のプロセス時間から割り出された前記金属膜の膜厚t2とを比較し、膜厚t1と膜厚t2との差が所定の値以上であれば、前記成膜装置を停止させる。
【0010】
この発明の第3の態様に係る基板処理方法は、金属膜を成膜するための成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、前記成膜装置において、前記式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、前記第1の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記式を改良する工程と、前記成膜装置において、前記第1の被処理基板と同じロットに属する後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、順次繰り返し行って前記式を漸進的に校正する工程と、を具備する。
【0011】
この発明の第4の態様に係る基板処理方法は、金属膜を成膜するための第1及び第2の成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す共通式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、前記共通式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1及び第2の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、前記第1及び第2の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記共通式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記第1及び第2の成膜装置の夫々に適用する改良式を得る工程と、前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行って前記改良式を漸進的に校正することにより、前記第1及び第2の成膜装置の装置間機差に起因する膜厚誤差を漸進的に修正する工程と、を具備する。
【0012】
この発明の第5の態様に係る基板処理装置は、被処理基板に対して金属膜の成膜処理を施す、真空保持可能な処理室を少なくとも一つ含む処理部と、前記処理部に含まれた処理室に接続された、真空保持可能な基板搬送室と、前記基板搬送室に接続され、真空と大気との間で圧力変換可能なロードロック室と、を備えた基板処理装置であって、前記第1の態様に係る金属膜の膜厚測定方法を実行する膜厚測定装置を、前記ロードロック室に備えている。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法、及びその膜厚測定方法を利用した基板処理方法及び基板処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】試料の概要を示す断面図。
【図2】金属膜の分光特性を示す図。
【図3】Ti、TiN膜の分光特性を示す図。
【図4】TiN膜の屈折率n、消衰係数kの値を示す図。
【図5】波長毎の屈折率n、消衰係数kを最小二乗法を用いて多項式で一致させた状態を示す図。
【図6】多層膜を模式的に示す図。
【図7】算出された反射率と実際に観測された反射率との重ね合わせを示す図。
【図8】この発明の第1の実施形態に係る金属膜の膜厚測定方法を利用した膜厚測定装置の一例を概略的に示す図。
【図9】カーブフィッティングの例を示す図。
【図10】強度比較の例を示す図。
【図11】膜厚と成膜時間との関係を示す図。
【図12】この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。参照する図面全てにわたり、同一の部分については同一の参照符号を付す。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、試料の概要を示す断面図である。
図1に示すように、試料1は、基板2(例えば、シリコンウエハ)上に膜厚が100nmのシリコン酸化膜3(例えば、SiO2膜)を形成し、このシリコン酸化膜3の上面上に、所定の膜厚の金属膜4を形成したものである。金属膜4としては、本例では、膜厚9nmのチタン(Ti)膜、膜厚12nmの窒化チタン(TiN)膜、膜厚400nmのタングステン(W)膜、膜厚11nmのルテニウム(Ru)膜の四種類とした。これら四つの試料1から得た各金属膜4の分光特性を図2に示す。
【0017】
図2に示すように、これら四種類の金属膜4のうち、膜厚9nmのTi膜、膜厚12nmのTiN膜においては、波長600nm付近に反射率が極端に低下する干渉縞らしき波形が観測された。
【0018】
さらに、Ti膜、TiN膜については、観測範囲を400nm以下の短波長領域まで拡げ、観測を続けた。また、TiN膜については、膜厚を12nmの他、図1に示す試料1と同様の試料にて30nm、10nm、5.5nmの三種類を加え、それぞれ分光特性を観測した。この結果得られた分光特性を図3に示す。
【0019】
図3に示すように、膜厚が薄いTi膜、及びTiN膜の反射率には、波長700nmから500nmの範囲にバレー、波長400nmから300nmの範囲にピーク、及び波長300nmから200nmの範囲にバレーが観測された。これは、金属膜4で反射された反射光と、金属膜4を透過してシリコン酸化膜3の表面で反射された反射光とが干渉して出来た干渉縞である、と推測される。
【0020】
もしも、干渉縞であれば、膜厚が薄い金属膜4は、内部に透過してきた光を全て吸収せずに、下地、本例ではシリコン酸化膜3の表面で反射させ、かつ、表面から再度放射する性質がある、と推測される。この性質を利用すれば、金属膜4であっても、膜厚が薄ければ、光、電磁波等を利用した膜厚の測定が可能となる。
【0021】
さらに、図3に示した波形が干渉縞であることを裏付けるために、下記の手法にて証明を実施した。尚、証明には、四種類の膜厚において観測結果を得ているTiN膜を取り扱った。証明には、フレネルの公式を利用することとした。
【0022】
フレネルの公式を利用するために、TiN膜の屈折率n、消衰係数kの値を公知のデータベースから得た(図4)。光エネルギEは、振動数νに比例し、その比例定数はプランク定数hに等しい。この関係に基づき、下記(1)式を用いて、波長毎の屈折率n、消衰係数kを求め、かつ、最小二乗法を用いて図5に示すように多項式で一致させた。
E=hν=h(c/λ) …(1)
h:プランク定数、ν:振動数、c:光の速さ、λ:光の波長
複素屈折率Nは、下記(2)式で表される。
N=n+ik …(2)
n:屈折率、k:消衰係数
図6に多層膜の模式図を示す。図6に示す多層膜において、n番目の層での2つの光波の位相差δは、下記(3)式で表される。
【0023】
δn=(2π/λ)Nn・dn …(3)
δn:n番目の層での2つの光波の位相差
λ:光の波長、Nn:n番目の層の複素屈折率、dn:n番目の層の膜厚
また、入射側の媒体の屈折率をninc、透過側の媒体の屈折率をntraとすると、
垂直入射における振幅反射係数rは、下記(4)式で表される(フレネルの公式)。
r=(ninc−ntra)/(ninc+ntra) …(4)
図6に示す多層膜において、TiN膜とSiO2膜との界面における振幅反射係数(第1の反射光)と、SiO2膜とSi基板との界面における振幅反射係数(第2の反射光)との干渉は、下記(5)式で表される。
【0024】
R´=(r12+r23exp(2iδ2))/(1+r12r23exp(2iδ2))…(5)
さらに、上記第1、第2の反射光と、空気とTiN膜との界面における振幅反射係数(第3の反射光)との干渉は、下記(6)式で表される。
R=(r01+R´exp(2iδ1))/(1+r01R´exp(2iδ1))…(6)
R´、R:フレネルの振幅反射率
r01:空気とTiN膜との界面における振幅反射係数
r12:TiN膜とSiO2膜との界面における振幅反射係数
r23:SiO2膜とSi基板との界面における振幅反射係数
δ2:2層目(SiO2膜)での位相差
δ1:1層目(TiN膜)での位相差
観測にかかる反射率は、フレネルの振幅反射率の絶対値を二乗した値であるから、第1乃至第3の反射光が干渉した場合の反射率は、下記(7)式となる。
反射率=|R|2…(7)
以上、(1)式から(7)式を用いて算出された反射率(計算にかかる反射率)を、実際に観測された反射率に重ね合わせてみたものが、図7である。
【0025】
図7に示すように、観測された反射率と、算出された反射率とは良い一致をみせる。図7において“exp”は測定値、“cal”は計算値である。また、反射率を測定した測定装置は、自記分光光度計U−3400(日立製作所製)である。
【0026】
また、図7には、金属膜4を形成せず、シリコン酸化膜3のみの場合で反射率を算出した結果を示す。観測された反射率のいずれもが、シリコン酸化膜3のみの場合で算出された反射率とは一致しない。このため、シリコン酸化膜3による干渉ではないことが分かった。これらのことから、図3に示した波形は、干渉縞であることが裏付けられた。
【0027】
このように、第1の実施形態によれば、金属膜4であっても、膜厚が薄ければ、光、電磁波等を利用した膜厚の測定が可能となる。光、電磁波等を利用した金属膜の膜厚測定は、非破壊で測定できるので、インラインにおいて、金属膜の実際の膜厚を測定することが可能である。
【0028】
図8は、この発明の第1の実施形態に係る金属膜の膜厚測定方法を利用した膜厚測定装置の一例を概略的に示す図である。
図8に示すように、膜厚測定装置10は、膜厚測定用の測定光、又は測定電磁波(以下単に光という)を測定対象物11に出射する光、電磁波等の源(以下単に光源という)12と、測定対象物11において反射された反射光からこの測定対象物11の反射率を検出する検出器13と、膜厚判断の基礎データが蓄積され、蓄積された基礎データと、検出された測定対象物11の反射率とに基づいて、測定対象物11の膜厚を決定する処理部14とを備えている。
【0029】
また、本例では、膜厚測定用の光を、測定対象物11に対して垂直またはほぼ垂直に出射する例を示している。この構成においては、測定対象物11からの反射光を検出器13に導くように、光路を変換する光路変換部15が設けられる。光路変換部15の一例は、ハーフミラーである。
【0030】
膜厚の測定方法の例としては、いろいろな膜厚毎に、図3に示すような膜厚判断の基礎データとなる反射率波形を得て、処理部14に蓄積しておく。ここで、金属膜の下層膜種、膜厚は実際の製品と同じでなければならない。この基礎データとなる反射率波形と、実際の製品中の金属膜から測定した反射率波形とを比較する。そして、基礎データとなる反射率波形の中から、最も近い反射率波形を、例えば、カーブフィッティング法等により選び、これを測定された膜厚として決定する。
【0031】
具体的には、図9に示すように、測定波長範囲における反射率波形をカーブフィッティングさせることになるので、光源12は、測定光として、ある波長範囲に及んだ連続波長、あるいは複数波長を発振する。これにより、測定対象物11からの反射光は、上記連続波長、あるいは複数波長を含んだものとなる。このような反射光を波長毎に分光する分光器を検出器13の前段に設け、分光器で分光された反射光を検出器13に入力する。これにより、反射率が、測定波長範囲において波長毎に求められることとなる。波長毎に求められた反射率は、処理部14に入力され、ここで、例えば、図3に示したような測定対象物11の反射率波形を示すデータに変換される。処理部14は、変換したデータを、蓄積データと比較、例えば、カーブフィッティングさせる。そして、処理部14は、基礎データから、最も近い反射率波形を選び出し、これを測定された膜厚と決定する。
【0032】
また、光源からの波長は連続波長、あるいは複数波長に限らず、単一波長でも良い。金属膜の膜厚を、単一波長で測定する場合には、膜厚毎に、膜厚判断の基礎となる単一波長における反射率を得ておく。この基礎となる反射率と、実際の製品中の金属膜から観測した反射率とを比較する。そして、基礎となる反射率から、最も近い反射率を選び、これを測定された膜厚と決定する。このように、単一波長での測定は、例えば、図10に示すように、測定すべき金属膜の膜厚は、反射率の値のみにより決定される。この場合には、分光器は必ずしも必要はなく、測定対象物11からの反射光がそのまま検出器13に入力される、あるいは上記単一波長を通過させる光学的バンドパスフィルタを介して検出器13に入力され、単一波長における反射率の値が求められることとなる。
【0033】
光源としては、可視光領域を波長380nm以上780nm以下、紫外光領域を波長380nm未満、赤外光領域を波長780nm超、と定義した場合、可視光領域から紫外光領域に発光強度分布を持つものを採用されることが良い。
【0034】
例えば、Ti膜、及びTiN膜の膜厚を測定する場合には、図3に示したように、反射率として、波長700nmから500nmの範囲にバレー、波長400nmから300nmの範囲にピーク、及び波長300nmから200nmの範囲にバレーが観測されたので、発光強度分布に700nm以下の波長を含む光源が採用されることが良い。
【0035】
このような光源の例としては、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、水銀ランプ、及び放電ランプ(アークランプ)等を挙げることができる。
【0036】
LEDの発振波長例は、赤=波長おおよそ660nm、黄=おおよそ590nm、緑=おおよそ520nm、青=おおよそ450nmである。
【0037】
ハロゲンランプの場合の発振波長例は、封入されるガスにより変わるが、おおよそ波長380nm以上2000nm以下である。
【0038】
水銀ランプの発振波長例は、高圧水銀ランプ=おおよそ波長253nm以上580nm以下、低圧水銀ランプ=おおよそ波長184nm以上253nm以下である。
【0039】
放電ランプの発振波長例は、封入されるガスにより変わるが、おおよそ波長380nm以上2000nm以下である。200nm以下の短波長の発振も可能である。
【0040】
これらの光源は、一つ、もしくは複数組み合わせて膜厚測定用の光源として用いることができる。
【0041】
また、干渉縞は、測定対象物となる金属毎に異なる。そこで、干渉縞が現れる波長領域に合わせて、光源から照射された光を、光学的バンドパスフィルタにより選択する、あるいは、例えば、回折格子等を用いて特定の波長のみを選択することで、測定対象物に照射することも可能である。
【0042】
また、検出器としては、可視光領域から紫外光領域に受光感度分布を持つものを採用されることが良い。
【0043】
例えば、Ti膜、及びTiN膜の膜厚を測定する場合には、波長200nmから700nmの範囲に受光感度がある検出器を採用されることが良い。
【0044】
このような検出器の例としては、シリコンフォトダイオードを挙げることができる。
【0045】
シリコンフォトダイオードの受光感度分布例は、おおよそ波長200nm以上1100nm以下である。
【0046】
また、本例において、測定される金属膜は、導電性を有する金属膜である。このような金属膜において、測定可能な金属膜の膜厚は、金属膜に透過した測定光が金属膜中で全て吸収されない膜厚以下である。
【0047】
このように第1の実施形態によれば、インラインにおいても金属膜の実際の膜厚を測定することが可能な金属膜の膜厚測定方法と、この膜厚測定方法を用いた膜厚測定装置を得ることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
装置間機差により、プロセス条件(ガス流量・プロセス温度・プロセス圧力・プロセス時間等)が同じであっても、各チャンバーで成膜される膜厚は異なる。
【0049】
そこで、事前に各チャンバーにおいてウエハを処理し、“y(膜厚)=a・t(プロセス時間)+b”におけるaとbとを算出しておく(図11)。
【0050】
成膜される膜厚は、インキュベーション時間などの不安定要因はあるものの、各チャンバーにおいては“y=at+b”の関係を満たすものと思われる。
【0051】
成膜後に、上記第1の実施形態に係る膜厚測定方法に基づいて測定された膜厚と、プロセス条件中のプロセス時間から割り出された上記yとを比較し、所定の値以上の差があれば、基板処理装置を停止させる。これにより、不良品の発生を抑制することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
図12は、この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の一例を概略的に示す平面図である。
【0053】
図12に示すように、第3の実施形態に係る基板処理装置101は、被処理基板Wに処理を施す処理部102と、この処理部102に被処理基板Wを搬入出する搬入出部103と、装置101を制御する制御部104とを備えている。
【0054】
本例に係る基板処理装置101は、クラスターツール型(マルチチャンバータイプ)の半導体製造装置であり、被処理基板Wは半導体ウエハである。
【0055】
処理部102は、本例では、被処理基板Wに処理を施す処理室(PM)を二つ備えている(処理室21a、21b)。これらの処理室21a及び21bはそれぞれ、内部を所定の真空度に減圧可能に構成され、例えば、処理室21a及び21bにおいては、高真空(低圧)での処理であるPVD処理、例えば、スパッタリング処理が行われ、被処理基板W、例えば、半導体ウエハ上に所定の金属又は金属化合物膜の成膜処理が実施される。処理室21a及び21bは、ゲートバルブG1、G2を介して、一つの搬送室(TM)22に接続されている。
【0056】
搬入出部103は、搬入出室(LM)31を備えている。搬入出室31は、内部を大気圧、又はほぼ大気圧、例えば、外部の大気圧に対してわずかに陽圧に調圧可能である。搬入出室31の平面形状は、本例では、平面から見て長辺、この長辺に直交する短辺を有した矩形である。矩形の長辺は上記処理部102に隣接する。本例では長辺に沿った方向をY方向、短辺に沿った方向をX方向、高さ方向をZ方向と呼ぶ。搬入出室31は、被処理基板Wが収容されているキャリアCが取り付けられる被処理基板用ロードポート(LP)を備えている。本例では、搬入出室31の処理部102に相対した長辺に、三つの被処理基板用ロードポート32a、32b、及び32cがY方向に沿って設けられている。本例においては、被処理基板用ロードポートの数を三つとしているが、これらに限られるものではなく、数は任意である。被処理基板用ロードポート32a乃至32cには各々、図示せぬシャッターが設けられており、被処理基板Wを格納した、あるいは空のキャリアCがこれらのロードポート32a乃至32cに取り付けられると、図示せぬシャッターが外れて外気の侵入を防止しつつ、キャリアCの内部と搬入出室31の内部とが連通される。
【0057】
処理部102と搬入出部103との間にはロードロック室(LLM)、本例では二つのロードロック室51a及び51bが設けられている。ロードロック室51a及び51bは各々、内部を所定の真空度、及び大気圧、もしくはほぼ大気圧に切り換え可能に構成されている。ロードロック室51a及び51bは各々、ゲートバルブG3、G4を介して搬入出室31の、被処理基板用ロードポート32a乃至32cが設けられた一辺に対向する一辺に接続され、ゲートバルブG5、G6を介して搬送室22の、処理室21a及び21bが接続された二辺以外の辺のうちの二辺に接続される。ロードロック室51a及び51bは、対応するゲートバルブG3又はG4を開放することにより搬入出室31と連通され、対応するゲートバルブG3又はG4を閉じることにより搬入出室31から遮断される。また、対応するゲートバルブG5又はG6を開放することにより搬送室22と連通され、対応するゲートバルブG5、又はG6を閉じることにより搬送室22から遮断される。
【0058】
搬入出室31の内部には搬入出機構35が設けられている。搬入出機構35は、被処理基板用キャリアCに対する被処理基板Wの搬入出を行う。これらとともに、ロードロック室51a及び51bに対する被処理基板Wの搬入出を行う。搬入出機構35は、例えば、二つの多関節アーム36a及び36bを有し、Y方向に沿って延びるレール37上を走行可能に構成されている。多関節アーム36a及び36bの先端には、ハンド38a及び38bが取り付けられている。被処理基板Wは、ハンド38a又は38bに載せられ、上述した被処理基板Wの搬入出が行われる。
【0059】
搬送室22の内部には、処理室21a及び21b、並びにロードロック室51a、51b相互間に対して被処理基板Wの搬送を行う搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、搬送室22の略中央に配設されている。搬送機構24は、回転及び伸縮可能なトランスファアームを、例えば、複数本有する。本例では、例えば、二つのトランスファアーム24a及び24bを有する。トランスファアーム24a及び24bの先端には、ホルダ25a及び25bが取り付けられている。被処理基板Wは、ホルダ25a又は25bに保持され、上述したように、処理室21a及び21b、並びにロードロック室51a、51b相互間に対する被処理基板Wの搬送が行われる。
【0060】
処理部104は、プロセスコントローラ41、ユーザーインターフェース42、及び記憶部43を含んで構成される。
プロセスコントローラ41は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなる。
ユーザーインターフェース42は、オペレータが基板処理装置101を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置101の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を含む。
【0061】
記憶部43は、基板処理装置101において実施される処理を、プロセスコントローラ41の制御にて実現するための制御プログラム、各種データ、及び処理条件に応じて基板処理装置101に処理を実行させるためのレシピが格納される。レシピは、記憶部43の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体はコンピュータ読み取り可能なもので、例えば、ハードディスクであっても良いし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば、専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。任意のレシピはユーザーインターフェース42からの指示等にて記憶部43から呼び出され、プロセスコントローラ41において実行されることで、プロセスコントローラ41の制御のもと、基板処理装置101において被処理基板Wに対する処理が実施される。
【0062】
このような基板処理装置101において、第1の実施形態において説明した金属膜の膜厚測定方法を実行する膜厚測定装置105a、105bを、ロードロック室51a、51bに設ける。膜厚測定装置105a、105bによる膜厚測定は、成膜が終わった後、ロードロック室51a、又は51bに搬送され、真空から大気への圧力変換をしている間に行う。
【0063】
このように、膜厚測定を、ロードロック室51a、又は51bにおいて圧力変換をしている間に行うことで、膜厚測定に要する時間を圧力変換時間内に収めることができる。このため、第1の実施形態において説明した金属膜の膜厚測定方法を、インラインで実行したとしても、スループットが低下することが無くなる。
【0064】
(第4の実施形態)
第1の実施形態において示した膜厚測定方法を用いて、第2の実施形態において示した処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す直線y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)をインラインで漸進的に校正することができる。この場合の操作を、例えば第3の実施形態に係る基板処理装置101の処理室21aを成膜装置の例として、以下に説明する。
【0065】
即ち、制御部104に上述の式y=at+bを処理室21aに対する式として設定する。そして、処理室21aにおいて、この式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えばあるロットに属する第1のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第1のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a(または51b)において、膜厚測定装置105a(または105b)により測定して膜厚の測定値を得る。次に、第1のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により式に対して定数a及びbを変更する校正を行ってこの式を改良する。この際に“インキュベーション時間”は一定と考え、直線と時間(t)軸との交点は変わらないものとする。
【0066】
次に、処理室21aにおいて、改良された式に基づいて、膜厚の目標値(通常は上述の目標値と同じ)に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えば第1のウエハと同じロットに属する第2のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第2のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a(または51b)において、膜厚測定装置105a(または105b)により測定して膜厚の測定値を得る。次に、第1及び第2のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により式に対して定数a及びbを変更する校正を行ってこの式を更に改良する。
【0067】
このように、例えば第1のウエハと同じロットに属する後続の複数のウエハに対して、金属膜を成膜する工程と、膜厚の測定値を得る工程と、校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行うことにより、式をインラインで漸進的に校正することができる。
【0068】
(第5の実施形態)
第1の実施形態において示した膜厚測定方法と第2の実施形態において示した処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す直線y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)とを用いて、金属膜を成膜するための複数の成膜装置の装置間機差に起因する膜厚誤差をインラインで修正することができる。例えば第3の実施形態においては、2つの処理室21a及び21bが存在し、これらは装置間機差を有する可能性のある2つの成膜装置としてみなすことができる。この場合の操作を、以下に説明する。
【0069】
即ち、制御部104に上述の式y=at+bを2つの処理室21a及び21bに対する共通式として設定する。そして、2つの処理室21a及び21bの夫々において、この共通式において膜厚の目標値(通常は共通の目標値)に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えば同じロットに属する第1及び第2のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第1及び第2のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a及び51bにおいて、膜厚測定装置105a、105bにより測定して膜厚の測定値を得る。次に、この成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により共通式に対して定数a及びbを変更する校正を行って各処理室21a及び21bの夫々に適用する第1及び第2の改良式を得る。この際に“インキュベーション時間”は一定と考え、直線と時間(t)軸との交点は変わらないものとする。
【0070】
次に、2つの処理室21a及び21bの夫々において、第1及び第2の改良式に基づいて、膜厚の目標値(通常は上述の目標値と同じ)に対応する所定時間の成膜処理を行って、例えば第1及び第2のウエハと同じロットに属する第3及び第4のウエハ上に金属膜を成膜する。次に、第3及び第4のウエハ上に成膜された金属膜の膜厚を、ロードロック室51a及び51bにおいて、膜厚測定装置105a、105bにより測定して膜厚の測定値を得る。次に、処理室21aでの第1及び第3のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により第1の改良式に対して定数a及びbを変更する校正を行って第3の改良式を得る。同様に、処理室21bでの第2及び第4のウエハに対する成膜処理における所定時間及び膜厚の測定値及び膜厚の目標値を用いて制御部104により第2の改良式に対して定数a及びbを変更する校正を行って第4の改良式を得る。この際に“インキュベーション時間”は一定と考え、直線と時間(t)軸との交点は変わらないものとする。
【0071】
このように、2つの処理室21a及び21bの夫々において、後続の複数のウエハに対して、金属膜を成膜する工程と、膜厚の測定値を得る工程と、校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行うことにより、第4実施形態と同様に式を漸進的に校正する。これにより、2つの処理室21a及び21bの装置間機差に起因する膜厚誤差をインラインで漸進的に修正することができる。
【0072】
以上、この発明を第1乃至第5の実施形態に従って説明したが、この発明は上記第1乃至第5の実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
【0073】
例えば、第1乃至第5の実施形態においては、Ti、TiNの膜厚測定を例示してきたが、測定される膜は、Ti、TiNに限られるものではなく、導電性の金属膜に透過した測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下であれば、如何なる導電性の金属膜においても、この発明を適用することができる。または、測定光を全反射しない膜厚以下であれば、如何なる導電性の金属膜においても、この発明を適用することができる。
【0074】
さらに、上記第1乃至第5の実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを示したが、被処理基板は半導体ウエハに限定されず、FPD基板等の他の基板であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜厚測定用の測定光を測定対象物に照射する工程と、
前記測定対象物からの反射光からこの測定対象物の反射率を検出する工程と、
前記検出された測定対象物の反射率から得た測定反射率データと、膜厚判断の基礎となる基礎反射率データとに基づいて、前記測定対象物の膜厚を決定する工程と、を備え、
前記測定対象物が導電性を有する金属膜であり、
前記金属膜の膜厚が、前記金属膜に透過した前記測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下であることを特徴とする金属膜の膜厚測定方法。
【請求項2】
前記測定光の波長が連続波長、もしくは複数波長であり、かつ、前記測定反射率データ及び前記基礎反射率データの双方が反射率波形を示すデータを含み、
前記測定対象物の膜厚が、前記基礎反射率データと測定反射率データとの前記反射率波形のカーブフィッティングにより決定されることを特徴とする請求項1に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項3】
前記測定光の波長が単一波長であり、かつ、前記測定反射率データ及び前記基礎反射率データの双方が反射率の値を示すデータを含み、
前記測定対象物の膜厚が、前記基礎反射率データと測定反射率データとの前記反射率の値の比較により決定されることを特徴とする請求項1に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項4】
前記金属膜が、チタン膜及び窒化チタン膜からなる群から選択される膜を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項5】
前記測定光の波長が、200nm以上700nm以下の波長を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項6】
成膜装置を用いて、被処理基板上に金属膜を成膜する工程と、
前記成膜された金属膜の膜厚を、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を用いて測定する工程と、
前記測定された金属膜の膜厚t1と、プロセス条件中のプロセス時間から割り出された前記金属膜の膜厚t2とを比較し、膜厚t1と膜厚t2との差が所定の値以上であれば、前記成膜装置を停止させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
金属膜を成膜するための成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、
前記成膜装置において、前記式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、
前記第1の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、
前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記式を改良する工程と、
前記成膜装置において、前記第1の被処理基板と同じロットに属する後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、順次繰り返し行って前記式を漸進的に校正する工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
金属膜を成膜するための第1及び第2の成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す共通式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、
前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、前記共通式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1及び第2の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、
前記第1及び第2の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、
前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記共通式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記第1及び第2の成膜装置の夫々に適用する改良式を得る工程と、
前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行って前記改良式を漸進的に校正することにより、前記第1及び第2の成膜装置の装置間機差に起因する膜厚誤差を漸進的に修正する工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
被処理基板に対して金属膜の成膜処理を施す、真空保持可能な処理室を少なくとも一つ含む処理部と、
前記処理部に含まれた処理室に接続された、真空保持可能な基板搬送室と、
前記基板搬送室に接続され、真空と大気との間で圧力変換可能なロードロック室と、を備えた基板処理装置であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を実行する膜厚測定装置を、前記ロードロック室に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項1】
膜厚測定用の測定光を測定対象物に照射する工程と、
前記測定対象物からの反射光からこの測定対象物の反射率を検出する工程と、
前記検出された測定対象物の反射率から得た測定反射率データと、膜厚判断の基礎となる基礎反射率データとに基づいて、前記測定対象物の膜厚を決定する工程と、を備え、
前記測定対象物が導電性を有する金属膜であり、
前記金属膜の膜厚が、前記金属膜に透過した前記測定光がこの金属膜中で全て吸収されない膜厚以下であることを特徴とする金属膜の膜厚測定方法。
【請求項2】
前記測定光の波長が連続波長、もしくは複数波長であり、かつ、前記測定反射率データ及び前記基礎反射率データの双方が反射率波形を示すデータを含み、
前記測定対象物の膜厚が、前記基礎反射率データと測定反射率データとの前記反射率波形のカーブフィッティングにより決定されることを特徴とする請求項1に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項3】
前記測定光の波長が単一波長であり、かつ、前記測定反射率データ及び前記基礎反射率データの双方が反射率の値を示すデータを含み、
前記測定対象物の膜厚が、前記基礎反射率データと測定反射率データとの前記反射率の値の比較により決定されることを特徴とする請求項1に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項4】
前記金属膜が、チタン膜及び窒化チタン膜からなる群から選択される膜を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項5】
前記測定光の波長が、200nm以上700nm以下の波長を含むことを特徴とする請求項4に記載の金属膜の膜厚測定方法。
【請求項6】
成膜装置を用いて、被処理基板上に金属膜を成膜する工程と、
前記成膜された金属膜の膜厚を、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を用いて測定する工程と、
前記測定された金属膜の膜厚t1と、プロセス条件中のプロセス時間から割り出された前記金属膜の膜厚t2とを比較し、膜厚t1と膜厚t2との差が所定の値以上であれば、前記成膜装置を停止させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
金属膜を成膜するための成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、
前記成膜装置において、前記式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、
前記第1の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、
前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記式を改良する工程と、
前記成膜装置において、前記第1の被処理基板と同じロットに属する後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、順次繰り返し行って前記式を漸進的に校正する工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
金属膜を成膜するための第1及び第2の成膜装置の制御部に、処理時間と金属膜の膜厚との関係を示す共通式y=at+b(yは膜厚、tは処理時間、a及びbは定数)を設定する工程と、
前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、前記共通式において膜厚の目標値に対応する所定時間の成膜処理を行って第1及び第2の被処理基板上に前記金属膜を成膜する工程と、
前記第1及び第2の被処理基板上に成膜された前記金属膜の膜厚を、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を用いて測定して膜厚の測定値を得る工程と、
前記所定時間、前記測定値、及び前記目標値を用いて前記制御部により前記共通式に対して前記定数a及びbを変更する校正を行って前記第1及び第2の成膜装置の夫々に適用する改良式を得る工程と、
前記第1及び第2の成膜装置の夫々において、後続の複数の被処理基板に対して、前記金属膜を成膜する工程と、前記膜厚の測定値を得る工程と、前記校正を行う工程とを、更に順次繰り返し行って前記改良式を漸進的に校正することにより、前記第1及び第2の成膜装置の装置間機差に起因する膜厚誤差を漸進的に修正する工程と、
を具備することを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
被処理基板に対して金属膜の成膜処理を施す、真空保持可能な処理室を少なくとも一つ含む処理部と、
前記処理部に含まれた処理室に接続された、真空保持可能な基板搬送室と、
前記基板搬送室に接続され、真空と大気との間で圧力変換可能なロードロック室と、を備えた基板処理装置であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の金属膜の膜厚測定方法を実行する膜厚測定装置を、前記ロードロック室に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−169667(P2010−169667A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283581(P2009−283581)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】
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