説明

電極接合方法及び電極接合構造体

【課題】ショート不良の発生を抑えるとともにマイグレーション不良の発生を抑えた電極接合方法及び電極接合構造体を提供する。
【解決手段】複数の第1の電極4Aを有する第1の回路形成体4と、複数の第2の電極5Aを有する第2の回路成形体5との対向領域51の縁部51Aに、導電性粒子を含まない熱硬化性の第1の絶縁性接着剤樹脂2を配置するとともに、対向領域の縁部51Aより内側に、導電性粒子3が分散された熱硬化性の第2の絶縁性接着剤樹脂を配置し、第1又は第2の回路形成体を介して第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂を加圧加熱して、それぞれの第1の電極4Aとそれぞれの第2の電極5Aとを導電性粒子3を介して電気的に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路形成体の電極に他の回路形成体の電極を、導電性粒子が分散された絶縁性接着剤樹脂を用いて接合する電極接合方法及び電極接合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板やフレキシブル基板等の回路形成体の電極に、他のガラス基板やフレキシブル基板、あるいは電子部品等の回路形成体の電極を電気的に接合する技術として、導電性粒子が分散された絶縁性接着剤樹脂、例えば異方性導電性シートを用いる技術が知られている。この技術は、接合対象となる電極間に異方性導電性シートを配置し、回路形成体を介して異方性導電性シートを圧着ツールで加圧するとともに加熱することで、上記絶縁性接着剤樹脂を溶融させて、導電性粒子を介して電極間を導通させる技術である。
【0003】
この異方性導電性シートを用いる電極接合技術は、様々な形態の電極接合に適応可能であり、例えば、ガラス基板とフレキシブル基板との電極接合(FOG)、ガラス基板とICチップ部品との電極接合(COG)、フレキシブル基板とICチップ部品との電極接合(COF)、プリント配線基板とICチップ部品との電極接合、フレキシブル基板とフレキシブル基板との電極接合、フレキシブル基板とプリント配線基板との電極接合等、幅広く適用されている。
【0004】
近年、例えばガラス基板とフレキシブル基板との電極接合に代表されるフラットパネルの接合技術においては、電極間に高電圧が印加されるときの信頼性の確保とともに、電子機器の高密度化に伴って隣接配線電極間の更なる狭ピッチ化(微細化)が求められている。具体的には、その隣接配線電極間のピッチは、従来求められていた200μm〜100μmから、100μm〜50μm以下まで狭ピッチ化することが求められている。また、例えばガラス基板とICチップ部品との電極接合やフレキシブル基板とICチップ部品との電極接合等の、ICチップ部品をフェイスダウン方式で接合する技術においても、同様に、多機能化に伴いバンプ電極間の更なる狭ピッチ化(微細化)が求められている。具体的には、それらの隣接配線電極間のピッチは、従来求められていた120μm〜80μmから、80μm〜40μm以下まで狭ピッチ化することが求められている。
【0005】
上記のレベルまで隣接配線電極間の狭ピッチ化が進むと、異方性導電性シートを用いる電極接合技術においては、ショート不良やマイグレーション不良等の不具合を生じる可能性が高くなる。
【0006】
ショート不良は、図9Aに示すように、異方性導電性シート101が、例えば第1の電極104Aを有するガラス基板104と、第1の電極104Aと対向するように形成された第2の電極105Aを有するフレキシブル基板105との対向領域100Xに配置された状態で、圧着ツール106により加圧及び加熱されることにより、図9B及び図9Cに示すように、異方性導電性シート101の絶縁性接着剤樹脂102が溶融して対向領域100Xの縁部の外側領域100Yに流動し、この流動に伴って異方性導電性シート101に分散された導電性粒子103が外側領域100Yに流動して凝集することによって起こるものである。
隣接配線電極間100P(図9C及び図9D参照)が狭ピッチ化(例えば100μm〜50μm以下)すると、隣接する電極と電極との間に電極接合に関与しない導電性粒子103が溜まることができる量が少なくなり、より多くの導電性粒子103が上記外側領域100Yに押し出されて上記外側領域100Yで凝集することになるため、ショート不良が起きやすくなる。
【0007】
一方、マイグレーション不良は、圧着ツール106による加圧及び加熱時に、絶縁性接着剤樹脂102の流動速度が速過ぎたり遅過ぎたりすることなどにより、ガラス基板104及びフレキシブル基板105と絶縁性接着剤樹脂102とが密着不足になったり、絶縁性接着剤樹脂102中にボイドが発生したりすることによって起こるものである。隣接配線電極間100Pが狭ピッチになると、隣接する電極と電極との間に絶縁性接着剤樹脂102が溜まることができる量が少なくなり、またこのとき、絶縁性接着剤樹脂102は圧縮されながら流動するために、絶縁性接着剤樹脂102の流動が速くなって加圧不足の部分が生じ、マイグレーション不良が起きやすくなる。
【0008】
上記ショート不良を解決する技術としては、例えば特許文献1(特開平06−349339号公報)や特許文献2(特開平05−013119号公報)に開示された技術が知られている。特許文献1の技術は、絶縁性接着剤樹脂に導電性粒子が分散された異方性導電性シートに、更に絶縁性粒子を分散させることで、ショート不良を防ぐものである。また、特許文献2の技術は、異方性導電性シートの上に絶縁性粒子を分散した絶縁層を形成することで、ショート不良を防ぐものである。
【特許文献1】特開平06−349339号公報
【特許文献2】特開平05−013119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、絶縁性接着剤樹脂中に導電性粒子に加えて、更に絶縁性粒子が存在することとなるために粒子密度が高くなる。これにより、絶縁性接着剤樹脂の流動性が悪くなり、回路形成体と絶縁性接着剤樹脂との密着性が低下するといった問題がある。また、絶縁性粒子が導電性粒子と回路形成体の電極との接触を阻害して、必要な導通が確保できない可能性もある。
【0010】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、回路形成体の電極に他の回路形成体の電極を、導電性粒子が分散された絶縁性接着剤樹脂を用いて接合する電極接合において、ショート不良の発生を抑えるとともにマイグレーション不良の発生を抑えた電極接合方法及び電極接合構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、複数の第1の電極を有する第1の回路形成体と、上記複数の第1の電極に対向するように形成された複数の第2の電極を有する第2の回路成形体との対向領域の縁部に、導電性粒子を含まない熱硬化性の第1の絶縁性接着剤樹脂を配置するとともに、上記対向領域の上記縁部より内側に、導電性粒子が分散された熱硬化性の第2の絶縁性接着剤樹脂を配置し、
上記第1又は第2の回路形成体を介して上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂を加圧加熱して、上記それぞれの第1の電極と上記それぞれの第2の電極とを上記導電性粒子を介して電気的に接合する、電極接合方法を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、上記加圧加熱により、上記それぞれの第1の電極と上記それぞれの第2の電極とを上記導電性粒子を介して電気的に接合するとき、第1の絶縁性接着剤樹脂を第2の絶縁性接着剤樹脂よりも先に溶融させて硬化させる、第1態様に記載の電極接合方法を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、上記第2の絶縁性接着剤樹脂が硬化し始めるとき、上記第1の絶縁性接着剤樹脂の溶融粘度は、上記第2の絶縁性接着剤樹脂の溶融粘度よりも高い、第2態様に記載の電極接合方法を提供する。
ここで、「溶融粘度」とは、加圧加熱された絶縁性接着剤樹脂の軟化状態での粘度をいう。
【0014】
本発明の第4態様によれば、上記加圧加熱のための圧力及び熱のエネルギーを供給する圧着ツールと上記第1又は第2の回路形成体との間において、上記第1の絶縁性接着剤樹脂の配置領域に相当する領域に第1の保護シートを配置するとともに、上記第2の絶縁性接着剤樹脂の配置領域に相当する領域に上記第1の保護シートとは異なる第2の保護シートを配置した状態で、上記圧着ツールにより上記加圧加熱して、上記圧着ツールから上記第1の保護シートを介して上記第1の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーが、上記圧着ツールから上記第2の保護シートを介して上記第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーよりも高くなるようにしている、第1〜3態様のいずれか1つに記載の電極接合方法を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、上記第1の保護シートと上記第2の保護シートの熱伝導率を異ならせることにより、上記圧力ツールから上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーを異ならせている、第4態様に記載の電極接合方法を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、上記第1の保護シートと上記第2の保護シートの厚みを異ならせることにより、上記圧力ツールから上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーを異ならせている、第4態様に記載の電極接合方法を提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、上記第1の保護シートと上記第2の保護シートの弾性率を異ならせることにより、上記圧力ツールから上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーを異ならせている、第4態様に記載の電極接合方法を提供する。
【0018】
本発明の第8態様によれば、上記第1の回路形成体の上記第1の電極又は上記第2の回路形成体の上記第2の電極が銀で形成されている、第1〜7態様のいずれか1つに記載の電極接合方法を提供する。
【0019】
本発明の第9態様によれば、複数の第1の電極を有する第1の回路形成体と、
上記第1の回路形成体の複数の上記第1の電極にそれぞれ対向して配置された複数の第2の電極を有する第2の回路形成体と、
上記第1の回路形成体と上記第2の回路形成体との対向領域に配置されて両者を接合する絶縁性接着剤樹脂と、
上記絶縁性接着剤樹脂中において、上記対向領域の縁部の内側領域よりも上記対向領域の上記縁部の外側領域が低い体積密度になるように分散され、上記第1の回路形成体の上記それぞれの第1の電極と、それらに対向する上記第2の回路形成体の上記それぞれの第2の電極とを電気的に接続する導電性粒子と、
を備える、電極接合構造体を提供する。
【0020】
本発明の第10態様によれば、上記縁部の外側領域における上記導電性粒子の体積密度は、上記縁部の内側領域における上記導電性粒子の体積密度の50%以下である、第9態様に記載の電極接合構造体を提供する。
【0021】
本発明の第11態様によれば、上記導電性粒子は、上記絶縁性接着剤樹脂の上記対向領域の上記縁部の内側領域にのみ分散されている、第9態様に記載の電極接合構造体を提供する。
【0022】
本発明の第12態様によれば、上記第1の回路形成体の上記第1の電極又は上記第2の回路形成体の上記第2の電極が銀で形成されている、第9〜11態様に記載の電極接合構造体を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電極接合方法によれば、対向領域の縁部に導電性粒子を含まない熱硬化性の第1の絶縁性接着剤樹脂を配置するとともに、対向領域の縁部より内側に導電性粒子が分散された熱硬化性の第2の絶縁性接着剤樹脂を配置した状態で、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂を加圧加熱して、それぞれの第1の電極とそれぞれの第2の電極とを導電性粒子を介して電気的に接合するようにしている。これにより、加圧加熱後の絶縁性接着剤樹脂中における対向領域の縁部の外側領域では、導電性粒子の体積密度が低くなり、導電性粒子の凝集が抑制される。したがって、ショート不良の発生が抑えられる。
また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂中には、導電性粒子と第1及び第2の回路形成体との接触を阻害する部材(例えば絶縁性粒子)が含まれていないので、電極間の導通も確保できる。また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂中の粒子密度が高くならないので、絶縁性接着剤樹脂の流動性は悪くならず、回路形成体と絶縁性接着剤樹脂との密着性は低下しない。したがって、マイグレーション不良の発生も抑えられる。
したがって、本発明の電極接合方法によれば、ショート不良の発生を抑えるとともにマイグレーション不良の発生を抑えて、高電圧での接続信頼性を確保するとともに、狭ピッチ化(例えば0.1mm以下)に対応することができる。
【0024】
本発明の電極接合構造体によれば、導電性粒子が絶縁性接着剤樹脂中において対向領域の縁部の内側領域よりも縁部の外側領域が低い体積密度になるように分散されているので、導電性粒子の凝集が抑制され、ショート不良の発生が抑えられる。また、対向領域の縁部の内側領域には、導電性粒子と第1及び第2の回路形成体との接触を阻害する部材(例えば絶縁性粒子)が含まれていないので、電極間の導通が確保できるとともに、粒子密度が高くならないので、第1及び第2の回路形成体と絶縁性接着剤樹脂との密着性は低下せず、マイグレーション不良の発生も抑えられる。したがって、高電圧での接続信頼性を確保するとともに、狭ピッチ化(例えば0.1mm以下)に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
《第1実施形態》
図1A〜図1Dを用いて、本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体の構成を説明する。図1Aは、本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体の構成を模式的に示す平面図であり、図1Bは、図1Aのa−a断面図であり、図1Cは、図1Aのb−b断面図であり、図1Dは、図1Aのc−c断面図である。
本発明の第1実施形態では、フラットパネルの端子部の接合構造であるガラス基板とフレキシブル基板の接合構造を例にとって説明する。
【0027】
本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体は、複数の第1の電極4Aを有する第1の回路形成体の一例であるガラス基板4と、ガラス基板4の複数の第1の電極4Aにそれぞれ対向して配置された複数の第2の電極5Aを有する第2の回路形成体の一例であるフレキシブル基板5と、ガラス基板4とフレキシブル基板5との対向領域51に配置されて両者を接合する絶縁性接着剤樹脂2と、絶縁性接着剤樹脂2中において、対向領域51の縁部51Aの内側領域よりも縁部51Aの外側領域52が低い体積密度になるように分散され、ガラス基板4のそれぞれの第1の電極4Aと、それらに対向するフレキシブル基板5のそれぞれの第2の電極5Aとを接続する導電性粒子3とを備えている。
【0028】
ここで、「対向領域51の縁部51A」は、全体の電極間の導通にほとんど影響がない部分に位置している。例えば、ガラス基板4又はフレキシブル基板5の厚み方向(図1Bの縦方向)でガラス基板4とフレキシブル基板5とに挟まれている領域と挟まれていない領域との境界線部分に位置している。
また、「縁部51Aの内側領域」とは、縁部51Aに内側で隣接している領域であってガラス基板4又はフレキシブル基板5の厚み方向(図1Bの縦方向)でガラス基板4とフレキシブル基板5とに挟まれた領域をいう。
また、「縁部51Aの外側領域52」とは、縁部51Aに外側で隣接している領域であって、ガラス基板4又はフレキシブル基板5の厚み方向(図1Bの縦方向)でガラス基板4とフレキシブル基板5とに挟まれていない領域をいう。言い換えれば、ガラス基板4とフレキシブル基板5との間に絶縁性接着剤樹脂2を挟んだ状態で加熱及び加圧したときに、絶縁性接着剤樹脂2がガラス基板4とフレキシブル基板5との間からはみ出した領域をいう。
【0029】
ガラス基板4の複数の第1の電極4Aは、例えば厚さ3〜15μm程度の銀で形成された銀電極で構成されている。一般に銀はマイグレーション不良を起こしやすい材質として知られている。
フレキシブル基板5の複数の第2の電極5Aは、例えば厚さ20μm程度の銅で形成された銅電極で構成されている。
【0030】
絶縁性接着剤樹脂2は、ガラス基板4の複数の第1の電極4Aとフレキシブル基板5の複数の第2の電極5Aとを封止するように配置されている。絶縁性接着剤樹脂2は、熱硬化性樹脂で形成され、例えば、加圧されるとともに加熱されたときに低温で且つ短時間で硬化するアクリル樹脂や、耐熱性、耐吸湿性、接着性、絶縁性等の面で機能的に優れたエポキシ樹脂等で形成されている。
【0031】
導電性粒子3は、例えば、ニッケル等の導電性の金属で構成された粒子である。導電性粒子3は、上記したように、絶縁性接着剤樹脂2中において、対向領域51の縁部51Aの内側領域よりも縁部51Aの外側領域52が低い体積密度になるように分散されている。ここで「低い体積密度」には、縁部51Aの内側領域と縁部51Aの外側領域52との体積密度の差が僅かである範囲は除かれる。また、縁部51Aの外側領域52における導電性粒子3の体積密度は、できるだけ低いことが好ましい。例えば、縁部51Aの外側領域52における導電性粒子3の体積密度は、縁部51Aの内側領域における導電性粒子3の体積密度の50%以下であることが好ましい。さらに好ましい、縁部51Aの外側領域52における導電性粒子3の体積密度は「0」である。すなわち、縁部51Aの外側領域52には導電性粒子3が含まれていないことが好ましい。
【0032】
導電性粒子3の平均粒子径は、3〜15μmの範囲内で形成されることが好ましい。導電性粒子3の平均粒子径が3μm未満である場合には電極間の導通(電気的接続)を確保することが困難であり、導電性粒子3の平均粒子径が15μmを越える場合には、電極間のピッチが0.1mm以下ではショート不良が発生しやすくなる。
【0033】
本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体は以上のように構成されている。
本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体によれば、導電性粒子3が絶縁性接着剤樹脂2中において対向領域51の縁部51Aの内側領域よりも縁部51Aの外側領域52が低い体積密度になるように分散されているので、導電性粒子3の凝集が抑制され、ショート不良の発生が抑えられる。また、対向領域51の縁部51Aの内側領域には導電性粒子3とガラス基板4及びフレキシブル基板5との接触を阻害する部材(例えば絶縁性粒子)が含まれていないので、電極間の導通が確保できるとともに、粒子密度が高くならないので、ガラス基板4及びフレキシブル基板5と絶縁性接着剤樹脂2との密着性は低下せず、マイグレーション不良の発生も抑えられる。したがって、高電圧での接続信頼性を確保するとともに、狭ピッチ化(例えば0.1mm以下)に対応することができる。
【0034】
また、本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体によれば、上記のようにマイグレーションの発生が抑えられるので、ガラス基板4の第1の電極4Aを銀で形成することができ、フラットディスプレイパネルなどへの適用が可能となる。
【0035】
次に、図1A〜図1D、図2A〜図2C、図3、及び図4を用いて、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法について説明する。図2A〜図2Cは、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法の手順を示す断面図である。図3は、絶縁性接着剤樹脂の、時間に対する溶融粘度の変化を示すグラフである。図4は、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法のフローチャートである。
【0036】
本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法の手順を説明する前に、まず、当該電極接合方法に使用する部材及び装置について説明する。
本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法において、ガラス基板4とフレキシブル基板5とを接合するための絶縁性接着剤樹脂は、導電性粒子3を含まない第1の絶縁性接着剤樹脂21と、導電性粒子3が(好ましくは均一に)分散された第2の絶縁性接着剤樹脂22とで構成されている。第2の絶縁性接着剤樹脂22は、ガラス基板4とフレキシブル基板5との全体の電極間の導通にほとんど影響がない部分に対応する大きさに形成されている。第1の絶縁性接着剤樹脂21は、第2の絶縁性接着剤樹脂22が加圧及び加熱されて溶融したとき主に流動する側、すなわち導電性粒子3の凝集が起きやすい側において、対向領域51の縁部51Aに対応する大きさに形成されている。本第1実施形態では、ガラス基板4の複数の第1の電極4A及びフレキシブル基板5の複数の第2の電極5Aは、図1Aの左右方向に平行に設けられ、第2の絶縁性接着剤樹脂22は、主に図1Aの右方向に向かって流動するものとしている。このため、第1の絶縁性接着剤樹脂21は、図1Aの右側の対向領域51の縁部51Aに対応するように形成されている。
【0037】
第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22は、それぞれ熱硬化性樹脂で構成されている。例えば、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22は、加圧されるとともに加熱されたときに低温で且つ短時間で硬化するアクリル樹脂や、耐熱性、耐吸湿性、接着性、絶縁性等の面で機能的に優れたエポキシ樹脂等で構成されている。
第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の形態は、それぞれペースト状であってもシート(フィルム)化されたものでもよい。例えば、導電性粒子3が分散された第2の絶縁性接着剤樹脂22は、異方性導電性ペーストや異方性導電性フィルム、異方性導電性シートであってもよい。それらの中でも異方性導電性シートが用いられることが、加工性や取り扱い性が優れているので好ましい。図2A及び図2Bでは、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂22がシート化されたものを図示している。
【0038】
また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の厚さ(図2Aの縦方向)は、それぞれ15μm〜60μmの範囲内で設定されることが好ましい。第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の厚さが15μm未満である場合には、第1及び第2の電極4A,5A間の電極接合強度が不足し剥がれ易くなり、60μmを越える場合には、第1及び第2の電極4A,5A間の電気的接続が取り難くなる。また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の厚さは、第1の電極4A又は第2の電極5Aの厚さに応じて適宜設定されることが好ましい。例えば、第1の電極4A又は第2の電極5Aの厚さが10〜20μmであれば、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の厚さは、35μm〜50μm程度の範囲内で設定されることが好ましい。
【0039】
また、第1の絶縁性接着剤樹脂21の厚さと第2の絶縁性接着剤樹脂22の厚さは、同程度であることが好ましいが、第1の絶縁性接着剤樹脂21の厚さが第2の絶縁性接着剤樹脂22の厚さに比べて小さくてもよい。
なお、第1の絶縁性接着剤樹脂21の厚さが、第2の絶縁性接着剤樹脂22の厚さに比べて大きい場合には、図2Bに示すようにガラス基板4とフレキシブル基板5とを重ね合わせたときに、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の厚さ方向の高さにバラツキが生じ、このバラツキにより位置ズレが生じて、接続不良に繋がる可能性がある。
【0040】
また、絶縁性接着剤樹脂2の幅(図2Aの奥行き方向)及び長さ(図2Aの横方向)は、1mm以上であることが好ましい。絶縁性接着剤樹脂2の幅又は長さが1mm未満である場合には、第1及び第2の電極4A,5A間の電極接合強度が不足し剥がれ易くなる恐れがある。
【0041】
また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22は、図3に示すように、第1の絶縁性接着剤樹脂21(図3では太線で示す)が溶融し始めたのち、第2の絶縁性接着剤樹脂22(図3では破線で示す)が溶融し始め、次いで、第1の絶縁性接着剤樹脂21が硬化し始めたのち、第2の絶縁性接着剤樹脂22が硬化し始めるように、それぞれの材質が選定されている。さらに、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22は、第2の絶縁性接着剤樹脂2が硬化し始めたときには、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融粘度が第2の絶縁性接着剤樹脂22の溶融粘度よりも高く又は同程度になるように、それぞれの材質が選定されている(図3では、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融粘度が第2の絶縁性溶融粘度よりも高い場合を示している)。
【0042】
このような構成は、例えば、第1の絶縁性接着剤樹脂21の最低溶融粘度Fに達する溶融温度を第2の絶縁性接着剤樹脂22の最低溶融粘度Fに達する溶融温度よりも低く又は同程度にすることで実現可能である。具体的には、例えば第2の絶縁性接着剤樹脂22として異方性導電性シートを用いたときには、一般的な異方性導電性シートの溶融温度が120〜130℃程度であるので、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融温度は、120〜130℃よりも低い温度(好ましくは80〜120℃)に設定すればよい。
【0043】
なお、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融温度を第2の絶縁性接着剤樹脂22の溶融温度よりも高く(上記例では120〜130℃以上)した場合には、第2の絶縁性接着剤樹脂22が先に最低溶融粘度に達して硬化を開始したのち、第1の絶縁性接着剤樹脂21が遅れて最低溶融粘度に達して硬化を開始することになる。この場合、対向領域51の縁部51A側により多くの量の導電性粒子3が流動して凝集しやすい状態になり、導電性粒子3の凝集を抑制することができない可能性がある。
上記のように、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の溶融粘度及び溶融温度を調整する方法としては、例えば、第1の絶縁性接着剤樹脂21と第2の絶縁性接着剤樹脂22の材質を異種材料(異種成分)とする方法や、分子量に差をつける方法などがある。また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の、時間に対する溶融粘度の変化に差をつける方法としては、例えば、第1の絶縁性接着剤樹脂21の熱伝導率が第2の絶縁性接着剤樹脂22の熱伝導率よりも低くなるようにそれぞれの材質を適宜選択する方法などがある。
【0044】
また、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法においては、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を溶融(軟化)させるのに、図2A及び図2Bに示す圧着ツール8を使用する。圧着ツール8は、図2Bに示すように、その下端部に加熱用ヒータ8Aを備えるとともに、その上部にエアシリンダ8Bを備え、エアシリンダ8Bに接続されたモータ8Cが駆動することにより上下動可能に構成されている。圧着ツール8は、モータ8Cの駆動によりガラス基板4又はフレキシブル基板5にその下端部の加圧加熱面が接触し、その接触状態で、エアシリンダ8Bにエアーが供給されてエアシリンダ8Bが駆動するとともに、加熱用ヒータ8Aが発熱することで、圧力及び熱のエネルギーを発生させ、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を同時的に加圧するとともに加熱できるように構成された装置である。
なお、圧着ツール8の加圧加熱面は、圧力及び熱のエネルギーをその全面にわたって一様に供給できるように構成されている。すなわち、圧着ツール8の加圧加熱面のどの部分においても、供給される圧力及び熱のエネルギーは同様である。
【0045】
また、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法においては、図示していないが、ガラス基板4を下にした状態で圧着ステージである支持台に載置されて電極接合が行われるものとする。
【0046】
また、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法においては、圧着ツール8により第1及び第2の絶縁性接着剤21,22を加圧及び加熱するとき、第1及び第2の保護シート6,7を介して行う。
【0047】
第2の保護シート7は、絶縁性接着剤樹脂22に対応する大きさに形成されている。第1の保護シート6は、第1の絶縁性接着剤樹脂21に対応する大きさに形成され、第2の保護シート7よりも熱伝導率が高い材質で構成されている。例えば、第2の保護シート7はテフロン(登録商標)やポリイミドなどの非金属で構成され、第1の保護シート6は銅などの金属で構成されている。このように構成することにより、圧着ツール8により第1及び第2の保護シート6,7を介して第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を同時的に加圧及び加熱した際、圧着ツール8より第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される熱のエネルギーを異ならせることができる。これにより、例えば、第1の絶縁性接着剤樹脂21と第2の絶縁性接着剤樹脂22との温度差を15℃以上にすることも可能である。
なお、第1及び第2の保護シート6,7は、一体化されて一枚のシート状に形成されていてもよいし、それぞれ分離されていてもよい。
【0048】
次に、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法の手順を説明する。
まず、ステップS1では、図2A及び図2Bに示すように、複数の第1の電極4Aを有するガラス基板4と、ガラス基板4の複数の第1の電極4Aにそれぞれ対向するように形成された複数の第2の電極5Aを有する第2の回路成形体5との対向領域51の縁部51Aに第1の絶縁性接着剤樹脂21を配置するとともに、対向領域51の縁部51Aより内側に、第1の絶縁性接着剤樹脂21に隣接して第2の絶縁性接着剤樹脂22を配置する。
なお、このとき、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22は一体的に構成されて、ガラス基板4又はフレキシブル基板5に予め貼り付けられていてもよい。また、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22はそれぞれ別個に構成されて、一方がガラス基板4に予め貼り付けられ、他方がフレキシブル基板5に予め貼り付けられていてもよい。
【0049】
次いで、ステップS2では、圧着ツール8により、第1の保護シート6及びフレキシブル基板5を介して第1の絶縁性接着剤樹脂21の加圧及び加熱を開始すると同時的に、第2の保護シート7及びフレキシブル基板5を介して第2の絶縁性接着剤樹脂22の加圧及び加熱を開始する。
【0050】
次いで、ステップS3では、圧着ツール8の加圧及び加熱により、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融を開始させる。なお、図3では、第1の絶縁性接着剤樹脂21が溶融を開始してから、第1の絶縁性接着剤樹脂21が最低溶融粘度Fに達するまでの区間を領域Aで示している。
次いで、ステップS4では、圧着ツール8の加圧及び加熱により、第2の絶縁性接着剤樹脂22の溶融を開始させる。なお、図3では、第1の絶縁性接着剤樹脂21が溶融を開始してから、第2の絶縁性接着剤樹脂22が最低溶融粘度Fに達するまでの区間を領域Cで示している。
【0051】
次いで、ステップS5では、ステップS3により溶融を開始して最低溶融粘度Fに達した第1の絶縁性接着剤樹脂21を、圧着ツール8の加圧及び加熱により徐々に硬化させる。
次いで、ステップS6では、ステップS4により溶融を開始して最低溶融粘度Fに達した第2の絶縁性接着剤樹脂22を、圧着ツール8の加圧及び加熱により徐々に硬化させる。なお、このとき、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融粘度は、第2の絶縁性接着剤樹脂22の溶融粘度よりも高く又は同程度になっている。
【0052】
次いで、ステップS7では、ステップS5〜S6の過程でガラス基板4のそれぞれの第1の電極4Aとそれらに対向するフレキシブル基板5のそれぞれの第2の電極5Aとに接触するように導電性粒子3が移動した状態で、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の硬化を完了させて、ガラス基板4のそれぞれの第1の電極4Aとフレキシブル基板5のそれぞれの第2の電極5Aとを導電性粒子3を介して電気的に接合する。なお、図3では、第1の絶縁性接着剤樹脂21が硬化を開始してから、第1の絶縁性接着剤樹脂21が硬化状態に達するまでの区間を領域Bで示し、第2の絶縁性接着剤樹脂22が硬化を開始してから、第2の絶縁性接着剤樹脂22が硬化状態に達するまでの区間を領域Dで示している。
【0053】
なお、上記ステップS3〜S7は、上記ステップS2において開始した第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22への加圧及び加熱を、上記ステップS3〜S7の間、続けることで行われる工程である。
以上のステップS1〜ステップS7により、ガラス基板4とフレキシブル基板5との電極接合が完了する。
【0054】
上記のような溶融状態の変化の関係から、第1の絶縁性接着剤樹脂21が溶融(軟化)して流動を開始してから、第2の絶縁性接着剤樹脂22が溶融(軟化)して流動を開始するまでの図3のIの期間は、複数の第1又は第2の電極4A,5Aの電極間への絶縁性接着剤樹脂2の充填性を高めて、加圧不足による絶縁性接着剤樹脂2とガラス基板4及びフレキシブル基板5との密着性を向上させるプロセスとなる。
【0055】
また、第2の絶縁性接着剤樹脂22が溶融(軟化)して流動を開始してから最低溶融粘度Fに達するまでの図3のIIの期間は、第1の絶縁性接着剤樹脂21が第2の絶縁性接着剤樹脂22に先行して溶融し硬化することにより、第2の絶縁性接着剤樹脂22及び導電性粒子3の流動性が緩和されるので、加圧不足による絶縁性接着剤樹脂2とガラス基板4及びフレキシブル基板5との密着性を向上させるとともに導電性粒子3の凝集を抑制するプロセスとなる。
【0056】
また、第2の絶縁性接着剤樹脂22が最低溶融粘度Fに達してから硬化状態に達するまでの図3のIIIの期間は、導電性粒子3の凝集が抑制された状態で第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22が硬化するプロセスとなる。
【0057】
なお、本第1実施形態においては、第1の絶縁性接着剤樹脂21と第2の絶縁性接着剤樹脂22とが同時的に加圧及び加熱されて、それらの一部が境界付近で混在して一体化したものを絶縁性接着剤樹脂2(図2C参照)としている。
【0058】
本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法によれば、対向領域51の縁部51Aに導電性粒子3を含まない熱硬化性の第1の絶縁性接着剤樹脂21を配置するとともに、対向領域51の縁部51Aより内側に導電性粒子3が分散された熱硬化性の第2の絶縁性接着剤樹脂22を配置した状態で、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を同時的に加圧及び加熱して、第1の絶縁性接着剤樹脂21を第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも先に溶融させて硬化させるようにしているので、第1の絶縁性接着剤樹脂21により導電性粒子3及び第2の絶縁性接着剤樹脂22の流動速度が緩和(減速)される。これにより、対向領域51の縁部51Aの外側領域52への導電性粒子3の流動量が少なくなり、加圧及び加熱後の絶縁性接着剤樹脂2中における対向領域51の縁部51Aの外側領域52では導電性粒子3の凝集が抑制され、ショート不良の発生が抑えられる。
また、第1の絶縁性接着剤樹脂21により第2の絶縁性接着剤樹脂22の流動速度が緩和(減速)されるので、第2の絶縁性接着剤樹脂22に圧着ツール8から加圧力を効果的に伝えることができ、加圧不足に起因するマイグレーション不良の発生も抑えられる。
さらに、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22中には、導電性粒子3とガラス基板4及びフレキシブル基板5との接触を阻害する部材(例えば絶縁性粒子)が含まれていないので、電極間の導通も確保できるとともに、粒子密度が高くならないので第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の流動性は悪くならず、ガラス基板4及びフレキシブル基板5と第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22との密着性は低下しない。
【0059】
したがって、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法によれば、ショート不良の発生を抑えるとともにマイグレーション不良の発生を抑えて、高電圧での接続信頼性を確保するとともに、狭ピッチ化(例えば0.1mm以下)に対応することができる。本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法は、特に、上記効果が求められるガラス基板とフレキシブル基板との電極接合に代表されるフラットパネルの接合技術においては、より有用である。
【0060】
また、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法によれば、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を同時的に加圧するとともに加熱するという簡単な(1つの)作業で、上記効果を得ることができるので、1組の回路形成体の電極接合を行うのにかかる時間が短いという特有な効果もある。
【0061】
また、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法によれば、第2の絶縁性接着剤樹脂22が溶融して硬化し始めたとき、第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融粘度が第2の絶縁性接着剤樹脂2の溶融粘度よりも高く又は同程度になるように構成されているので、導電性粒子3及び第2の絶縁性接着剤樹脂22の流動速度を、さらに効果的に緩和することが可能となる。
【0062】
なお、上記では、第1の絶縁性接着剤樹脂21が第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも先に溶融するように、第1の絶縁性接着剤樹脂21と第2の絶縁性接着剤樹脂22の材質を異ならせたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記のように第1の保護シート6の熱伝導率を第2の保護シート7の熱伝導率よりも高くすることで、圧着ツール8から第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される熱のエネルギーを高くし、第1の絶縁性接着剤樹脂21が第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも先に溶融するようにすることも可能であるので、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22は同一の材質であってもよい。すなわち、導電性粒子3を含まない領域と導電性粒子3が分散された領域とを有する単一の絶縁性接着剤樹脂であってもよい。
なお、圧着ツール8から第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される熱のエネルギーを異ならせる方法として、第1及び第2の保護シート6,7の熱伝導率を異ならせる方法を一例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、他の方法により上記熱のエネルギーを異ならせてもよい。
【0063】
また、上記では、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を、第1及び第2の保護シート6,7とフレキシブル基板5とを介して同時的に加圧及び加熱するようにしたが、これに代えて、第1及び第2の保護シート6,7を圧着ツール8とガラス基板4との間に配置して、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を、第1及び第2の保護シート6,7とガラス基板4とを介して同時的に加圧及び加熱するようにしてもよい。
【0064】
また、上記では、ガラス基板4を第1の回路形成体の一例として挙げたが、第1の回路形成体としては、ガラス基板の他、ガラエポ配線基板、ポリエチレンテレフタレート基板、ポリカーボネート基板、ポリエチレンナフタレート基板、ポリイミド基板、セラミック基板、プリント配線基板、フレキシブル基板等が用いられてもよい。
また、上記では、フレキシブル基板5を第2の回路形成体の一例して挙げたが、第2の回路形成体としては、フレキシブル基板の他に、ガラス基板、ガラエポ配線基板、ポリエチレンテレフタレート基板、ポリカーボネート基板、ポリエチレンナフタレート基板、ポリイミド基板、セラミック基板、プリント配線基板、ICチップ等が用いられてもよい。
第1及び第2の回路形成体を上記のような構成にすることにより、高い生産性を保ちつつ高品質な電極接合構造体を安価に提供することができる。
【0065】
なお、上記では、ガラス基板4とフレキシブル基板5との電極接合における第1の絶縁性接着剤樹脂21の配置について説明したが、フレキシブル基板5に代えて矩形の電子部品15をガラス基板4に接合する場合、第1の絶縁性接着剤樹脂21を以下のように配置すればよい。
【0066】
すなわち、電子部品15の複数の電極が各辺部分に沿って配置され、図5に示すように、それに対向するようにガラス基板4の複数の電極4Aが配置されて、第2の絶縁性接着剤樹脂22が図5の主に上下左右方向に流動するような場合、例えば、図5に示すように第1の絶縁性接着剤樹脂21を第2の絶縁性接着剤樹脂22の全周に沿って配置すればよい。(なお、図5においては、図示を理解し易くするため電子部品15を取り除いた状態を示している)。また、電子部品15の角部においては、他の部分に比べて加圧及び加熱された第2の絶縁性接着剤樹脂22の流動速度が遅く、導電性粒子3が凝集したとしてもショート不良を起こす可能性が低い。このため、図6に示すように、第1の絶縁性接着剤樹脂21を電子部品15の角部以外の縁部51Aに対応するように形成してもよい(なお、図6も図5と同様に、図示を理解し易くするため電子部品15を取り除いた状態を示している)。
【0067】
《実施例》
次に、本発明の第1実施形態の電極接合方法の具体例の1つである実施例を、図2A〜図2C、図3及び図4を参照しながら説明する。まず、各構成要素の具体的構成について説明する。
【0068】
本実施例において、第1の回路形成体は、厚さ1.8mmのポリイミドフィルム上に、厚さ3μmの銀で形成した複数の第1の電極4AをL/S=50μm/50μmの幅で配置したガラス基板4で構成している。なお、Lは電極の幅を示し、Sは隣り合う電極と電極との間の幅を示す。すなわち、上記構成の電極間のピッチは50μm+50μm=100μm=0.1mmである。
また、本実施例において、第2の回路形成体は、厚さ50μmのポリイミドフィルム上に、厚さ20μmの銅で形成した複数の第2の電極5AをL/S=50μm/50μmの幅で配置したフレキシブル基板5で構成している。
また、本実施例において、第1の絶縁性接着剤樹脂は、長さ2mm、幅2mm、厚さ25μmの熱硬化性のエポキシ樹脂を主成分とした樹脂シート21で構成している。
また、本実施例において、第2の絶縁性接着剤樹脂は、ニッケルを平均粒径8μm程度に形成した導電性粒子3を均一に分散した、長さ2mm、幅2mm、厚さ25μmの熱硬化性のエポキシ樹脂を主成分とした異方性導電性シート22で構成している。
また、本実施例において、第1の保護シート6は、長さ2mm、幅2mm、厚さ130μmの銅で形成されている。
また、本実施例において、第2の保護シート7は、長さ2mm、幅2mm、厚さ130μmのテフロン(登録商標)で形成されている。
【0069】
以下、本実施例の電極接合方法を説明する。
まず、ガラス基板4の複数の電極4A上で且つ対向領域51の縁部51Aより内側に異方性導電性シート22を貼り付けるとともに対向領域51の縁部51Aに樹脂シート21を貼り付けたのち、図2Bに示すように、ガラス基板4のそれぞれの第1の電極4Aとフレキシブル基板5のぞれぞれの第2の電極5Aとが対向するように位置合わせしてガラス基板4とフレキシブル基板5とを重ね合わせる(図4のステップS1)。
【0070】
次いで、圧着ツール8の加熱用ヒータ8A、エアシリンダ8B及びモータ8Cを駆動して、第1及び第2の保護シート6,7とフレキシブル基板5とを介して同時的に樹脂シート21及び異方性導電性シート22の加圧及び加熱を開始する(図4のステップS2)。
次いで、圧着ツール8による加圧及び加熱により、樹脂シート21の溶融を開始(図4のステップS3)させたのち、異方性導電性シート22の溶融を開始(図4のステップS4)させる。
【0071】
次いで、圧着ツール8による加圧及び加熱により、最低溶融粘度に達した樹脂シート21の硬化を開始(図4のステップS5)させたのち、最低溶融粘度に達した異方性導電性シート22の硬化を開始(図4のステップS6)させる。
【0072】
次いで、上記樹脂シート21及び異方性導電性シート22の溶融及び硬化の過程でガラス基板4のそれぞれの第1の電極4Aとそれらに対向するフレキシブル基板5のそれぞれの第2の電極5Aとに接触するように導電性粒子3が移動した状態で、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22を硬化状態にして、ガラス基板4のそれぞれの第1の電極4Aとフレキシブル基板5のそれぞれの第2の電極5Aとを導電性粒子3を介して電気的に接合する(図4のステップS7)。
なお、このとき、加熱用ヒータ8Aによる加熱温度は樹脂シート21及び異方性導電性シート22に対して180℃となるように設定し、エアシリンダ8Bによる加圧力は3MPaに設定し、それらの加圧及び加熱時間は10秒に設定した。
【0073】
上記電極接合方法により接合された電極接合構造体においては、図2Cに示すように、樹脂シート21と異方性導電性シート22とが加圧及び加圧されてそれらの一部が混在した絶縁性接着剤樹脂2中において、導電性粒子3が対向領域51の縁部51Aの内側領域よりも対向領域51の縁部51Aの外側領域52が低い体積密度(0に近い体積密度)になるように分散され、導電性粒子3の凝集は発生しなかった。また、隣接する電極と電極との間にも絶縁性背着剤樹脂2が隙間無く充填された。したがって、電極間のピッチが0.1mmの第1及び第2のフレキシブル基板4,5において、ショート不良及びマイグレーション不良が発生しないことが確認された。
【0074】
《第2実施形態》
図7A〜図7Cを用いて、本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法について説明する。図7A〜図7Cは、本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法の手順を示す断面図である。本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法は、第1の保護シート6に代えて第1の保護シート61を備える点で、本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法と相違する。また、ここでは、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22とは、同一の熱硬化性の樹脂で構成されているものとする。それ以外の点については同様であるので重複する説明は省略し、主に相違点を説明する。
【0075】
第1の保護シート61は、第2の保護シート7と材質が同一で、第2の保護シート7よりも厚さが厚くなるように構成されている。それ以外の点は第1の保護シート6と同様に構成されている。
【0076】
このように構成された第1の保護シート61を介して第1の絶縁性接着剤樹脂21を加圧及び加熱したとき、第1の絶縁性接着剤樹脂21には、第2の保護シート6を介して加圧及び加熱された第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも強い圧力のエネルギーが圧着ツール8から供給される。第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも第1の絶縁性接着剤樹脂21に強い圧力のエネルギーが供給されると、第1の絶縁性接着剤樹脂21の最低溶融粘度が第2の絶縁性接着剤樹脂22の最低溶融粘度よりも低くなるとともに、第1の保護シート61は第2の保護シート7よりも厚さが厚いために加圧及び加熱したときに第1の保護シート61の方がより早く熱が伝導することよって、第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも第1の絶縁性接着剤樹脂21の溶融及び硬化が促進され、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の溶融粘度の状態が図3に示すように変化する。このため、上記構成によれば、第1の絶縁性接着剤樹脂21は第2の絶縁性接着剤樹脂22よりも先に硬化し、第2の絶縁性接着剤樹脂22及び導電性粒子3の流動速度が緩和されることとなる。
【0077】
したがって、本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法によれば、加圧及び加熱後の絶縁性接着剤樹脂2中における対向領域51の縁部51Aの外側領域52では導電性粒子3の凝集が抑制され、ショート不良の発生が抑えられるとともに、加圧不足によるマイグレーション不良の発生も抑えることができる。
【0078】
なお、上記では、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される圧着ツール8の圧力のエネルギーが異なることの理解を容易にするために、第1及び第2の保護シートの材質が同一として説明したが、本発明はこれに限定されない。第1の保護シート6と第2の保護シート7の厚みを異ならせることにより、圧力ツール8から第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される圧力のエネルギーを異ならせることができるように構成されていればよい。例えば、図8に示すように、一枚のテフロン(登録商標)やポリイミド等の非金属からなる第2の保護シート7上に、銅等の金属からなる第1の保護シート6を貼り付けることで、厚みを異ならせてもよい。このように構成した場合、第1及び第2の保護シートの製造が容易となる。
【0079】
また、上記では、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される圧着ツール8の圧力のエネルギーが異なることにより、最低溶融粘度等が異なることの理解を容易にするために、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22とは、同一の熱硬化性の樹脂で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22の材質は、上記圧力のエネルギーが供給されることにより、第1の絶縁性接着剤樹脂21の最低溶融粘度が第2の絶縁性接着剤樹脂22の最低溶融粘度よりも低くなる材質であればよい。
【0080】
また、第2の保護シート7よりも厚さを厚くした第1の保護シート61は、圧着ツール8とガラス基板4又はフレキシブル基板5との間に配置され、圧着ツール8により第2の保護シート7と同一の厚さになるまで圧縮できるように、ある程度の弾性力を有する材質で構成されることが好ましい。第2の保護シート7と同一の厚さになるまで圧縮できない場合、第1の保護シート61と第2の保護シート7との間に段差を生じて、この段差により位置ズレが生じて、接続不良に繋がる可能性がある。
【0081】
なお、上記第2実施形態では、第1及び第2の保護シート6,7の厚さを異ならせることにより、圧力ツール8から第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される圧力のエネルギーを異ならせるように構成したが、これに代えて、第1及び第2の保護シート6,7の弾性率を異ならせることにより、圧力ツール8から第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂21,22に供給される圧力のエネルギーを異ならせるように構成してもよい。
【0082】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
なお、上記各実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明にかかる電極接合方法及び電極接合構造体は、ショート不良の発生を抑えるとともにマイグレーション不良の発生を抑える効果を有するので、回路形成体の電極に他の回路形成体の電極を導電性粒子が分散された絶縁性接着剤樹脂を用いて接合する技術、特にガラス基板とフレキシブル基板との電極接合に代表されるフラットパネルの接合技術において、隣接する電極間の狭ピッチ化が求められるときに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】本発明の第1実施形態にかかる電極接合構造体の構成を模式的に示す平面図である。
【図1B】図1Aのa−a断面図である。
【図1C】図1Aのb−b断面図である。
【図1D】図1Aのc−c断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法の手順を示す断面図である。
【図2B】本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法の手順を示す他の断面図である。
【図2C】本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法の手順を示すさらに他の断面図である。
【図3】第1の絶縁性接着剤樹脂と第2の絶縁性接着剤樹脂の、時間に対する溶融粘度の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる電極接合方法のフローチャートである。
【図5】第2の回路形成体が電子部品であるときにおける、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂の配置構成を示す平面図である。
【図6】第2の回路形成体が電子部品であるときにおける、第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂の他の配置構成を示す平面図である。
【図7A】本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法の手順を示す断面図である。
【図7B】本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法の手順を示す他の断面図である。
【図7C】本発明の第2実施形態にかかる電極接合方法の手順を示すさらに他の断面図である。
【図8】第1及び第2の保護シートの他の構成を示す断面図である。
【図9A】従来の電極接合方法の手順を示す断面図である。
【図9B】従来の電極接合構造体の断面図である。
【図9C】従来の電極接合構造体の平面図である。
【図9D】図9Bのx−x断面図である。
【符号の説明】
【0085】
2 絶縁性接着剤樹脂
3 導電性粒子
4 ガラス基板
4A 第1の電極
5 フレキシブル基板
5A 第2の電極
6 第1の保護シート
7 第2の保護シート
8 圧着ツール
21 第1の絶縁性接着剤樹脂
22 第2の絶縁性接着剤樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電極を有する第1の回路形成体と、上記複数の第1の電極に対向するように形成された複数の第2の電極を有する第2の回路成形体との対向領域の縁部に、導電性粒子を含まない熱硬化性の第1の絶縁性接着剤樹脂を配置するとともに、上記対向領域の上記縁部より内側に、導電性粒子が分散された熱硬化性の第2の絶縁性接着剤樹脂を配置し、
上記第1又は第2の回路形成体を介して上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂を加圧加熱して、上記それぞれの第1の電極と上記それぞれの第2の電極とを上記導電性粒子を介して電気的に接合する、電極接合方法。
【請求項2】
上記加圧加熱により、上記それぞれの第1の電極と上記それぞれの第2の電極とを上記導電性粒子を介して電気的に接合するとき、第1の絶縁性接着剤樹脂を第2の絶縁性接着剤樹脂よりも先に溶融させて硬化させる、請求項1に記載の電極接合方法。
【請求項3】
上記第2の絶縁性接着剤樹脂が硬化し始めるとき、上記第1の絶縁性接着剤樹脂の溶融粘度は、上記第2の絶縁性接着剤樹脂の溶融粘度よりも高い、請求項2に記載の電極接合方法。
【請求項4】
上記加圧加熱のための圧力及び熱のエネルギーを供給する圧着ツールと上記第1又は第2の回路形成体との間において、上記第1の絶縁性接着剤樹脂の配置領域に相当する領域に第1の保護シートを配置するとともに、上記第2の絶縁性接着剤樹脂の配置領域に相当する領域に上記第1の保護シートとは異なる第2の保護シートを配置した状態で、上記圧着ツールにより上記加圧加熱して、上記圧着ツールから上記第1の保護シートを介して上記第1の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーが、上記圧着ツールから上記第2の保護シートを介して上記第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーよりも高くなるようにしている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電極接合方法。
【請求項5】
上記第1の保護シートと上記第2の保護シートの熱伝導率を異ならせることにより、上記圧力ツールから上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーを異ならせている、請求項4に記載の電極接合方法。
【請求項6】
上記第1の保護シートと上記第2の保護シートの厚みを異ならせることにより、上記圧力ツールから上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーを異ならせている、請求項4に記載の電極接合方法。
【請求項7】
上記第1の保護シートと上記第2の保護シートの弾性率を異ならせることにより、上記圧力ツールから上記第1及び第2の絶縁性接着剤樹脂に供給される上記圧力又は熱のエネルギーを異ならせている、請求項4に記載の電極接合方法。
【請求項8】
上記第1の回路形成体の上記第1の電極又は上記第2の回路形成体の上記第2の電極が銀で形成されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の電極接合方法。
【請求項9】
複数の第1の電極を有する第1の回路形成体と、
上記第1の回路形成体の複数の上記第1の電極にそれぞれ対向して配置された複数の第2の電極を有する第2の回路形成体と、
上記第1の回路形成体と上記第2の回路形成体との対向領域に配置されて両者を接合する絶縁性接着剤樹脂と、
上記絶縁性接着剤樹脂中において、上記対向領域の縁部の内側領域よりも上記対向領域の上記縁部の外側領域が低い体積密度になるように分散され、上記第1の回路形成体の上記それぞれの第1の電極と、それらに対向する上記第2の回路形成体の上記それぞれの第2の電極とを電気的に接続する導電性粒子と、
を備える、電極接合構造体。
【請求項10】
上記縁部の外側領域における上記導電性粒子の体積密度は、上記縁部の内側領域における上記導電性粒子の体積密度の50%以下である、請求項9に記載の電極接合構造体。
【請求項11】
上記導電性粒子は、上記絶縁性接着剤樹脂の上記対向領域の上記縁部の内側領域にのみ分散されている、請求項9に記載の電極接合構造体。
【請求項12】
上記第1の回路形成体の上記第1の電極又は上記第2の回路形成体の上記第2の電極が銀で形成されている、請求項9〜11のいずれか1つに記載の電極接合構造体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【公開番号】特開2008−147474(P2008−147474A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334027(P2006−334027)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】