説明

電気的応答デバイス

電気応答デバイス及び電気応答デバイスを製造する方法であって、電気応答材料(例えば、圧電材料)(132)を基板材料(104)の表面の少なくとも一部の上に適用するステップと、前記電気応答材料の表面の少なくとも一部の上に電極材料(140)を適用するステップとを含む。電極材料(140)の少なくとも1つの領域が選択的に除去されて、前記電気応答材料が露出される(244)。前記電気応答材料の少なくとも一部が、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において選択的に除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、電気的に応答性のデバイスと、電気的に応答性のデバイスを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的応答デバイスとは、電気信号に応答して出力信号を発生する、及び/又は、入力信号に応答して電気信号を発生するデバイスである。典型的なタイプの入力及び出力信号には、電気信号、光信号、電磁気信号、振動信号及び熱信号が含まれる。1つのタイプの電気的応答信号に、共鳴(resonant)デバイスがある。
【0003】
実質的に、表面音響波デバイス、バルク音響波デバイス、撓み板/ラム(lamb)波デバイス、水晶振動子マイクロバランスデバイスなどの共鳴デバイスは、水晶などのモノリシックな材料から、又は、電気活性(electroactive)材料(例えば、スズ酸化物、鉛ジルコネート・チタネート−PZT、アルミニウム窒化物、インジウム窒化物、ゾル−ゲル・ピエゾセラミック材料など)とそれ以外のマイクロマシン加工が可能な材料(例えば、シリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ニッケル鉄など)との組合せで構成される一様な薄膜を含む層状の材料から、製造される。これらの共鳴デバイスは、好ましくは適切な材料を用いてコーティングされる及び/又は適切な環境においてパッケージングされると、例えば、電気フィルタ(例えば、受動)、気相検出器、液相センサとして用いられる。
【0004】
電気フィルタとして、共鳴デバイスは、共鳴エネルギを送信する及びそのデバイスの通過帯域の外部にある信号をフィルタリングするのに用いられる。電気フィルタ(例えば、表面音響波(SAW)デバイスや、フィルム・バルク音響共鳴(FBAR)デバイスなど)は、典型的には、その挿入性、透過性、反射性によって特徴付けられる。共鳴動作の高透過性、孤立した狭帯域性及び安定性が、ワイアード及びワイアレス信号を変調及び復調するのに用いられるフィルタの望ましい特徴である。定義され安定的な狭通過帯域フィルタの特性により、与えられた帯域幅の中により多くの搬送波周波数を詰め込むことが可能になる。
【0005】
共鳴デバイスは、また、気相及び液相のサンプルにおける様々な測定量の存在及び値を決定するのに用いられることもある。共鳴センサは、例えば、アエロゾルにおける化学気相及び生物物質の存在及び大きさ、液体のバルク特性(例えば、濃度、粘度、音速など)、溶液における被検物(analytes)の濃度を判断するのに用いられる。
【0006】
気相での動作では、共鳴デバイスの表面は、典型的には、共鳴デバイスの表面上を通過した特定の気相プロダクトと選択的に相互作用し結合する吸収性材料を用いてコーティングされている。吸収性材料と結合する気相プロダクトは、共鳴デバイスの質量ローディングを増加させる。質量ローディングの増加により、デバイスの特性が変化する(例えば、デバイスの剛性や共鳴など)。共鳴デバイスによって生じた電気信号は、デバイスの共鳴の変化を反映する。
【0007】
液体動作では、共鳴デバイスの表面は、液体に露出される。共鳴デバイスの表面は液体と相互作用し、その後で、液体と共鳴デバイスとの物理的相互作用によってロードされる。いくつかのデバイスでは、共鳴デバイスのローディングは、コヒーレントな発振圧縮とデバイスの表面に近い液体の運動とを介して、生じる。共鳴デバイスは、ローディングが変動することにつれて変動する電気信号を生じる。液体の運動が安定的で発振的である場合には、検出可能な共鳴応答が結果的に生じ、この発振的な運動は、共鳴デバイスの移動する表面のピークが保存された潜在的エネルギよりも雲散霧消が実質的に少ない。液体の特性の変化は、共鳴デバイスによって生じた電気信号に基づいて決定される。
【0008】
一般に、様々な動作環境において用いられるときには(例えば、真空、気相、液相など)、共鳴デバイスが、孤立した共鳴モードと、通過狭帯域と、低い損失と、安定的で反復可能な動作特性を有することが望ましい。デバイスにおける変動(例えば、製造時の公差に起因する)は、結果的に、孤立していない共鳴モードと、広い共鳴帯域と、高い損失と、不安定で反復不可能な動作特性を生じる傾向を有する。
【0009】
従って、改善された電気的応答デバイスと、電気的応答デバイスを製造する方法とに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、電気応答デバイスと電気応答デバイスを製造する方法とに関する。いくつかの実施例では、本発明は、共鳴デバイスと共鳴デバイスを製造する方法とに関する。
本発明は、ある1つの特徴では、空間的に変調された構造特性を有するデバイスに関する。このデバイスの励起及び/又は感知手段は、変調された構造特性と実質的に相関している。構造特性(例えば、剛性や質量特性)の選択的な変調の結果として、好適な共鳴モード形状が生じる。例えば、励起手段を構造変調と相関させることによって、好適な共鳴が選択的に励起され、結果的に好適な通過帯域が生じる。感知手段を構造変調と相関させることによって、好適な共鳴の選択的な感知が可能になり、また、結果的に、好適な通過帯域が得られる。
【0011】
ある実施例では、励起及び感知手段をデバイスの構造特性の変調と相関させる結果として、構造的な修正なしに達成される場合よりも、より好適な通過帯域、より狭い帯域幅、より低い伝送損失を有する電気フィルタ(例えば、表面音響波(SAW)デバイスや、フィルム・バルク音響共鳴子(FBAR)デバイス)が得られる。
【0012】
いくつかの実施例では、好適な剛性及び質量変調が、材料を実質的に平坦(プレーナ)なデバイスとの間で選択的に除去及び/又は追加することによって達成される。変調は、デバイスのモード形状の中の1つと(実質的に)一致するように設定された空間周期性を用いて、周期的にすることができる。
【0013】
いくつかの実施例では、このデバイスは、変調された構造特性を有するように製造された材料の複合体である。いくつかの実施例では、このデバイスは、実質的に一様な厚さを有する。例えば、デバイスの第1の材料を除去し、次に、第1の材料を除去することによって露出した領域を第1の材料とは異なる剛性を有する第2の材料を用いて充填することによって、一様な厚さを有するデバイスを製造することができる。
【0014】
ある実施例では、このデバイスは、本発明の例示的な実施例による電極材料、電気活性材料、基板材料を有する。電気活性材料は、基板材料と組み合わされて、特性(例えば、剛性及び/又は質量)がデバイスに沿って変動するような複合的な構造特性が達成される。好適な励起及び感知モードは、電極材料をデバイスの実質的な面積にわたる電気活性材料に適用(例えば、積層)することによって、達成される。いくつかの実施例では、別の材料を代わりに用いて、本発明の原理を組み入れたデバイスを作ることもできる。例えば、静電的な又は容量的な励起及び/又は管理を可能にするような材料を用いてデバイスを作ることも可能である。
【0015】
本発明は、別の側面では、電気応答(例えば、共鳴)デバイスを製造する方法に関する。この方法は、電気応答材料(例えば、電気活性又は電気光材料)を基板材料の表面の少なくとも一部に適用するステップと、前記電気応答材料の表面の少なくとも一部に電極材料を適用するステップと、を含む。この方法は、また、前記電極材料の少なくとも1つの領域を選択的に除去して前記電気応答材料を露出させるステップを含む。この方法は、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において、前記電気応答材料の少なくとも一部を選択的に除去するステップ(すなわち、電極材料を除去することによって領域を露出させる)を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記電極材料の選択的除去と前記電気応答材料の除去とが、前記デバイスの帯域通過応答(例えば、第1のモードよりも大きなモード)を実質的に改善する。
【0017】
いくつかの実施例では、前記デバイスの応答の共鳴モードを実行することによって、前記デバイスの応答の共鳴モードを修正する方法に関する。いくつかの実施例では、電極材料の特定のパターンを用いて、前記デバイスの応答の共鳴モードを実行する。いくつかの実施例では、前記電気応答材料の除去により、前記デバイスの他の共鳴モードと関連するモード・オーバラップ及びスピルオーバを減少させることによって前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップを含む。
【0018】
いくつかの実施例では、この方法は、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記基板材料の少なくとも一部を選択的に除去するステップを含む。前記電極材料の除去と前記電気応答材料の除去とはエッチング・プロセス(ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、プラズマ・エッチング、レーザ支援エッチング、レーザ・アブレーション、イオンビーム・ミリング及び電子ビーム・エッチングの中の1又は複数の方法による)を含む。
【0019】
前記電極材料の除去と前記電気応答材料の除去とは単一の除去ステップを用いて実行される(例えば、単一エッチング・ステップが実行されて、材料が除去される)。電極材料の除去は、電極において櫛形パターンを生じることを含む。前記電気応答材料を前記基板材料の表面に適用する前記ステップは、例えば、前記電気応答材料の反応性スパッタリングによって、前記電気応答材料を前記電極材料の表面の上に適用するステップを含む。
【0020】
前記電極材料を前記電気応答材料の表面に適用する前記ステップは、前記電極材料を前記電気応答材料の表面の上に適用するステップを含む。いくつかの実施例では、前記電極材料は物理的蒸着法(例えば、eビーム蒸着プレーティング及びスパッタリング)によって適用される。いくつかの実施例では、前記基板材料と前記電気応答材料との間に電極材料を適用するステップが含まれる。
【0021】
いくつかの実施例では、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記電気応答材料を選択的に除去する前記ステップは、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記電気応答材料をすべて除去するステップを含む。いくつかの実施例では、別の材料が前記領域に適用されるが、この領域は、本発明の原理に従って、電極材料と電気応答材料とが除去されて、変調された剛性及び/又は質量特性を依然として有しながら、実質的に一様な厚さを有するデバイスを生じている領域である。
【0022】
いくつかの実施例では、この方法は、前記基板材料の一部を選択的に除去するステップを含む。前記基板材料の一部を選択的に除去する前記ステップは、結果的に、前記基板に支持されない少なくとも1つの領域を有する電気応答材料を生じさせる。いくつかの実施例では、前記支持されていない電気応答材料はカンチレバー式の電気活性要素である。前記電気応答材料は、例えば、電気活性材料(例えば、圧電材料、ピエゾセラミック材料、電気セラミック材料及び単結晶電気活性材料)である。
【0023】
基板、電気応答材料及び電極材料の組合せは、集積回路パッケージの中に組み入れることができる。この方法に従って製造されたデバイスは、フィルタ又はセンサ(例えば、物理的、生物的又は化学的センサ)でありうる。
【0024】
いくつかの実施例では、選択的に除去された前記電気応答材料の前記領域に充填材料が適用される。前記充填材料は前記電気応答材料の剛性とは異なる剛性を有している。
本発明は、別の側面では、電気応答デバイス(例えば、共鳴デバイス)を製造する方法であって、電極材料を電気応答材料の表面の少なくとも一部に適用するステップを含む。この方法は、更に、前記電極材料の少なくとも1つの領域を選択的に除去して前記電気応答材料を露出させるステップを含む。この方法は、更に、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記電気応答材料の少なくとも一部を選択的に除去して前記デバイスの少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップを含む。
【0025】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスを製造する方法に関する。この方法は、電気応答材料を基板材料の表面に選択的に適用するステップと、電極材料を前記電気応答材料の表面に選択的に適用して前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップと、を含む。
【0026】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスに関する。このデバイスは、基板材料と、前記基板の上にある少なくとも1つの電気応答要素と、を含む。このデバイスは、更に、前記少なくとも1つの電気応答要素の表面の上にある電極材料を備えており、前記電気応答要素と前記電極材料とはこのデバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを修正するように構成されている。
【0027】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスであって、基板材料と、前記基板の上にある少なくとも1つの電気応答要素と、を含む電気応答デバイスに関する。このデバイスは、更に、前記少なくとも1つの電気応答要素の表面の上にある電極材料を備えており、前記電気応答要素と前記電極材料とは、このデバイスの他の共鳴モードと関連するモード・オーバラップ及びスピルオーバを減少させることによって、このデバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを修正するように、前記基板層においてパターニングされている。
【0028】
いくつかの実施例では、前記電気応答材料と電極材料とは、少なくとも1つの付勢要素と少なくとも1つの感知要素とを生じるようにパターニングされている。いくつかの実施例では、前記電気応答材料と電極材料とは、少なくとも1つの開始(launch)要素と少なくとも1つの受取(receiver)要素とを生じるようにパターニングされている。この共鳴デバイスは、前記電気応答材料と前記基板材料との間に導電材料(例えば、金属材料)を備えている。
【0029】
本発明は、別の側面では、表面を有し平面を定義する基板材料を含む電気応答デバイスに関する。このデバイスは、更に、前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料を含む、このデバイスは、更に、前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料を含んでいる。
【0030】
いくつかの実施例では、前記電極材料の領域は前記電気応答材料のより厚い領域の上にある。また、いくつかの実施例では、前記電極材料の領域は前記電気応答材料のより薄い領域の上にある。
【0031】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスに関する。このデバイスは、表面を有する基板材料であって前記基板材料の平面において厚さが変動する基板材料を有する。このデバイスは、更に、前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にある電気応答材料を有する。このデバイスは、更に、前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料を含む。
【0032】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスを製造する方法に関する。この方法は、基板材料の表面の少なくとも一部の上に電気応答材料を適用するステップを含む。また、この方法は、前記電気応答材料の少なくとも一部を選択的に除去するステップを含む。この方法は、更に、前記電気応答材料の表面の少なくとも一部に電極材料を適用するステップを含む。
【0033】
いくつかの実施例では、前記電極材料を適用する前記ステップは、櫛形の電極パターンを生じるステップを含む。いくつかの実施例では、前記電極材料を適用する前記ステップは、環状の形状の電極パターンを生じるステップを含む。
【0034】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスを製造する方法に関する。本発明は、基板材料の表面の一部に第1の電極材料を適用するステップを含む。更に、本発明は、前記第1の電極材料の表面の少なくとも一部に電気応答材料を適用するステップを含む。本発明は、また、前記電気応答材料の表面の少なくとも一部に第2の電極材料を適用するステップを含む。本発明は、更にまた、前記電気応答材料又は前記基板材料の少なくとも一方の一部を選択的に除去して前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを修正するステップを含む。
【0035】
本発明は、別の側面では、被検物質を検出する装置に関する。この装置は、流体チャネルを含む。この装置は、前記流体チャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも一部を定義する電気応答デバイスを含む。この装置は、また、このデバイスによって出力された少なくとも1つの信号をモニタするモニタリング・デバイスを含む。このデバイスは、表面を有し平面を定義する基板材料を有する。このデバイスは、また、前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料を含む。このデバイスは、更にまた、前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料を有する。
【0036】
本発明は、別の側面では、被検物質を検出するカートリッジに関する。このカートリッジは、流体チャネルと、前記流体チャネルの内部に配置される又は前記流体チャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも一部を定義する電気応答デバイス(例えば、共鳴デバイス)とを含む。このデバイスは、表面を有し平面を定義する基板材料を含む。更に、このデバイスは、前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料を含む。このデバイスは、更にまた、前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料を含む。
【0037】
本発明は、別の側面では、被検物質を検出するキットに関する。このキットは、流体チャネルと、前記デバイスの表面に前記被検物質を特異的に結合する第1のコンポーネントとを含む。このカートリッジは、更に、前記流体チャネルの内部に配置され、又は、前記流体チャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも一部を定義する電気応答デバイス(例えば、共鳴デバイス)を含む。このデバイスは、表面を有し平面を定義する基板材料を含む。このデバイスは、更に、前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料を含む。このデバイスは、更に、前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料を含む。このキットは、また、前記被検物質と特異的に結合する第2のコンポーネントを含む粒子(例えば、磁気ビーズ)を含む。
【0038】
本発明は、別の実施例では、電気応答デバイスを製造する方法に関する。この方法は、基板材料の少なくとも一部の上に電気応答材料を提供するステップを含む。この方法は、更に、前記電気応答材料又は前記基板材料の少なくとも一方の特性(例えば、構造特性)を変化させて狭くかつ低損失の通過帯域を生じさせるステップを含む。
【0039】
特性を変更させる前記ステップは、前記電気応答材料又は前記基板材料の一部の上の剛性を変化させるステップを含む。また、特性を変更させる前記ステップは、前記電気応答材料又は前記基板材料の一部の上の質量の分配を変化させるステップを含む。更に、特性を変更させる前記ステップは、前記電気応答材料の一部を前記電気応答材料の表面の上の電極パターンと実質的に対応するように除去するステップを含む。
【0040】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスに関する。このデバイスは、基板材料を含む。このデバイスは、また、前記基板の少なくとも一部の上の電気応答材料を含み、前記基板材料又は前記電気応答材料の少なくとも一方の特性は、このデバイスの剛性を変化させることによって、このデバイスの共鳴モードを孤立させる。
【0041】
本発明は、別の側面では、電気応答デバイスを製造する方法に関する。この方法は、基板材料の表面の少なくとも一部の上に電気応答材料を適用するステップを含む。この方法は、また、前記電気応答材料の表面の少なくとも一部の上に電極材料を適用するステップを含む。この方法は、更にまた、前記デバイスの前記表面の少なくとも一部の上に材料を適用して、前記デバイスの上の質量分配を変化させ前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップを含む。
【0042】
本発明は、別の側面では、空間的に変調された構造特性を有する複合構造を有する電気応答デバイスに関する。このデバイスは、また、前記空間的に変調された特性と実質的に相関する構造の運動を励起及び感知して狭く(例えば、周波数に関して)低損失(例えば、伝達関数がより明確なピークを有する)の通過帯域を生じる手段を備えている。本発明による効果は、流体ローディングに、又は、流体ローディングに露出されていないデバイスにおいて、達成することができる。
【0043】
いくつかの実施例では、複合的な構造は、電気活性材料を含む。またいくつかの実施例では、空間的に変調された特性は、構造の表面に沿って周期的である。更にいくつかの実施例では、複合的な構造は、生物又は化学物質を結合することができるコンポーネントを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の以上の及びそれ以外の目的、特徴及び効果と発明自体とは、以下の説明的な記載を添付の図面を参照して読むことにより、より完全に理解されうる。ただし、添付の図面は、必ずしも寸法通りではない。
【0045】
図1Aは、電気的応答デバイス100の概略的な図解である。この実施例では、電気的応答デバイス100は、この技術分野において既知であるマイクロファブリケーション技術を用いて基板108(例えば、シリコン・ウエハ)から構築される共鳴デバイスである。本発明の範囲から逸脱することなく、別の代替的な製造方法も可能である。この実施例では、空洞124が基板108の内部にエッチングによって作られ、約1.6mmの長さ(X軸に沿って)と、0.3mmの幅(Z軸に沿って)と、2μmの厚さ(Y軸に沿って)とを有する薄い吊り下げられた膜104を生じる。全体的な基板108の厚さは、約500μmであり、従って、空洞124の深さは基板108の厚さよりも若干小さいだけである。電気的応答材料132(例えば、電気活性又は電子光学材料)の0.5μmの層が、図1Bの拡大された視野挿入に示されているデバイス100の領域120に示されているように、膜104の外側表面160(すなわち、空洞124とは反対側の表面)の上に積層されている。ある実施例では、流体チャネルが空洞124の代わりに用いられて、その場合には、流体チャネルは、例えば、流体を膜104まで運ぶ、及び/又は、流体を膜104から離れる方向へ導く。
【0046】
ある実施例では、電気的応答デバイスは、複合構造を形成する様々な材料から製造される。このデバイスは、また、複合構造の付勢と複合構造の運動の感知とを可能にする付勢及び感知構造を含む。ある実施例では、この複合構造は、図2の領域120を含む図1に示された吊り下げられた構造142である。
【0047】
電気的応答材料132は、例えば、電気活性材料(例えば、圧電材料、ピエゾセラミック材料、電子セラミック材料、単結晶電気活性材料などである)でありうる。ある実施例では、電気活性材料は、アルミ窒化物(AIN)である。櫛形(interdigitated)金属の電極材料140の2つの集合の形式を有する電極材料が、電気的応答材料132の外側表面の上に積層される。いくつかの実施例では、チタニウム及び/又は金が適切な電極材料である。ある実施例では、チタニウムの100オングストロームの層が、電極材料140として用いられる。いくつかの実施例では、金属(例えば、金)の薄膜が、電極材料140の積層の前に、電気的活性材料132の外側表面164の上に積層される。
【0048】
この実施例では、膜104を形成する基板108は、シリコンである。シリコン膜104は、下側の電極として機能する。櫛形の電極材料140と膜104との集合の間に電場が印加される。この実施例では、電極材料140と膜104との間の電場は、実質的にX−Y平面内に存在する。しかし、いくつかの実施例では、膜は導電性ではなく、導電材料が膜の下側に配置されることはない(X−Y平面で見たときに)。これらの実施例では、追加的な別個の電極材料のリード又は層(図示せず)が提供され、櫛形の電極材料140から電気的に分離されるようになっている。追加的な電極材料は、電極材料のそれぞれの集合の間に配置され、電場が、電極材料と追加的な材料とのそれぞれの間に加えられ、例えば、電気的応答材料を付勢する。このようにして、電場は、実質的にX−Z平面内に加えられる。
【0049】
金属(例えば、約500オングストロームの金)の層136が、膜104の内側表面138(すなわち、空洞124に面する側の表面)の上に積層され、例えば、捕捉エージェントの不動化を容易にする。生物的又は化学的物質が、デバイス100が例えば流体サンプルの中にある物質を数量化するのに用いられる状況下で、層136の上の捕捉エージェントに結合する。いくつかの実施例では、金属の層136は用いられない。
【0050】
動作の際には、機器/制御電子装置128(図1Aを参照)が、時間変動する電気信号を電極材料の集合に(膜104に対して)加え、吊り下げられた膜104において振動112を発生させる。機器/制御電子装置128は、また、膜104に対する電極材料140の第2の集合からセンサ信号を受け取ることによって、膜104の振動特性をモニタする。
【0051】
ある実施例では、いくつかの流体を共鳴デバイスを加える際に用いて、流体の中で吊り下げられている生物的な分子の存在を検出する。基準バッファ流体は、層136に露出されて、ベースラインの共鳴応答を確立する。生物的な分子を含むサンプル溶液が、デバイス100の層136の上を流される。生物的分子の少なくとも一部は層136に結合し、デバイス100の共鳴特性を変化させる。生物分子が結合したデバイス100の共鳴が、ベースライン共鳴と比較され、どのくらいの生物材料がデバイス100の層136に結合しているかが判断される。
【0052】
ある実施例では、流体が膜104の空洞側124と接触しているときに、板構造の最大応答は、デバイス100の様々な特性(例えば、膜104の長さ、厚さ、剛性など)によって決定されるように約15−25MHzである。ある実施例では、機器/制御電子装置128が、基準信号と電極材料140の第2の集合からの信号と比較し、信号の相対的な大きさと位相角とにおける変化を周波数の関数として決定する。器具/制御電子装置128は、これらの変化を解釈して、例えば、膜104の層136に付着した目的の被検物質の存在を検出する。いくつかの実施例では、機器/制御電子装置128は、また、例えば、膜104の層136の上にある目的とする被検物質の濃度を決定する。
【0053】
いくつかの実施例では、基板108と電気活性材料132と電極材料140とが、この技術分野において既知の技術を用いて集積回路パッケージの中に一体化されているデバイス100の一部である。いくつかの実施例では、デバイス100は、フィルタ・デバイス(例えば、表面音響波(SAW)デバイスや、フィルム・バルク音響共鳴子(FBAR)デバイスなど)である。いくつかの実施例では、デバイス100は、例えば、流体又は気体の生物的、化学的又は物理的性質を検出又は測定するのに用いられるセンサである。
【0054】
しかし、図1A及び1Bのデバイス100などのデバイスは、最適状態には及ばない性能を有する。これらのデバイスは、非孤立共鳴モードと、高い損失と、広い共鳴帯域と、不安定かつ非反復的な動作特性とを有する。更に、これらのデバイスの応答は、例えば、膜104と電気応答材料132との上、下又はそれらの間に配置された空洞124と膜104と電気応答材料132とそれ以外の材料とによって定義される142の吊り下げ構造によって定義される構造の境界条件に対して敏感である。いくつかの実施例では、製造の間に、X軸及びY軸に沿った吊り下げ構造142の寸法と、吊り下げ構造142の境界に対する電極材料140のアライメントと吊り下げ構造142の境界における領域の整合性(コンプライアンス)とを制御して、デバイス100の反復可能な性能を達成することが望ましい。
【0055】
図2は、従来技術のデバイスの制限を克服する本発明の原理を組み入れた電気応答デバイス(例えば、図1Aのデバイス100)の領域120の概略的な図解である。デバイスの領域120は、膜104と、膜104の複数の部分にわたって分散されている電気応答材料132(例えば、AIN)とを有する。この実施例では、電気応答デバイスの領域120は、更に、電気応答材料132の上に配置された櫛形電極材料の2つの集合を有している。
【0056】
電気応答デバイスの領域120のこの実施例は、電気応答材料を有していない位置244が存在する点で、図1Bの領域120とは異なる。位置244には電気応答材料が存在しないことにより、デバイスの構造特性を変更することにより、デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードが実質的に修正される。この実施例では、位置244に材料が存在しないことで、デバイスのX軸に沿ったデバイスの剛性が変更される。図2を参照すると、電気応答材料を欠いている位置244は、電気応答デバイスの所望のモード応答を強制することになり、電子装置()によって電極材料140に加えられた電気的刺激と組み合わされると、結果的に、モード孤立と動的増幅とが改善される。
【0057】
モード孤立(modal isolation)とは、特定の周波数範囲において電気応答デバイスによって示された他の共鳴モードでの1つの共鳴モードの狭帯域の好適な応答である。動的増幅の改善は、デバイス・モード形状とトランスデューサ手段とのアライメント(すなわち、電気応答材料132に対する電極材料140の位置)の改善の結果として生じる。電気応答材料を
欠いた位置を有する電気応答デバイスは、また、デバイスと関連する信号の動的増幅を改善する。これは、電気応答材料が位置244に配置されている場合には生じるである材料の減衰が減少することに起因する。
【0058】
電気応答材料132を欠いたデバイス位置244は、様々な方法で達成できる。例えば、位置244は、電気応答材料132の選択的な除去によって作成することができる。いくつかの実施例では、位置244は、電気応答材料132を有することが望ましいこれらの位置だけに電気応答材料132を選択的に適用又は積層することによって作成される。
【0059】
この実施例では(図2を参照のこと)、位置244は、電気応答材料132を完全に欠いている。しかし、別の実施例では、位置244において、電気応答材料の一部だけが書けている場合もある。いくつかの実施例では、位置244に残存している電気応答材料は、例えば、正方形、矩形、半円、くさびなどの形状を有することがある。いくつかの実施例では、位置244における電気応答材料132は、不規則な敬樹尾を有する(例えば、粗いテクスチャ)。
【0060】
例えば、等方エッチング・プロセスを用いて、X−Y平面で見ると半円の形状を生じさせることができる。いくつかの実施例では、位置244における電気応答材料132の一部又は全部を除去するエッチング・プロセスにより、隣接箇所(例えば、電極材料140の位置の下)にある電気応答材料132の一部が除去される。本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの実施例では、本発明の原理が組み入れられている電気応答デバイスを製造するのに用いられる1又は複数の材料は、一様ではない寸法を有する(例えば、X−Y平面で見た厚さ)。例えば、X軸及び/又はZ軸に沿った厚さがほぼ滑らかに変動する電気応答材料の層を生じさせることを可能にする製造技術が存在する。このようにして、デバイス100の剛性を、本発明の原理に従って、X軸及び/又はZ軸に沿ってへのウェブサイトセルことが可能である。
【0061】
いくつかの実施例では、制御可能なエッチング・プロセスを用いて、電気応答デバイスの1又は複数の層の構造的な特性を修正又は変調する。いくつかの実施例では、エッチングされた深さの一様性及び反復可能性が、約500オングストローム以内に制御される。いくつかの実施例では、約1500オングストロームの電気応答材料が、電気応答デバイスの位置244において除去される(例えば、エッチングされる)。いくつかの実施例では、電気応答デバイスを製造するのに用いられるステップが、電気応答材料が例えばエッチングされることが望ましくなるまで、プロセスの間に電気応答材料を保護する順序で実行される。
【0062】
いくつかの実施例では、充填材料が、後で、位置244に適用される。この充填材料は、電気応答材料132の剛性とは異なる剛性を有することができる。充填材料(又は、別の材料)は、電気応答デバイスのX−Z平面において実質的に平面状又は平坦(プレーナ)な表面を生じさせるように適用することができる。
【0063】
本発明の原理は、本発明の他の実施例においても達成することができる。デバイスの1又は複数の特性を、電気応答デバイスのX軸、Y軸又はZ軸の1又は複数に沿って、変更することが可能である。電気応答デバイスの剛性は、例えば、基板材料又は電気応答材料(例えば、図2の基板材料108や電気応答材料132)から材料を除去することによって変更することが可能である。デバイスの剛性は、基板材料や電気応答材料の一部を修正又はドープすることによって、変更できる。また、デバイスの一部の上の質量の分配を変更して、デバイスの少なくとも1つの共鳴モードを修正することが可能である。
【0064】
ある実施例では、剛性及び/又は質量の分配は、デバイスの上に(例えば、電極材料、電気応答材料及び/又は基板材料の上に)特定のパターンで材料(例えば、MEMSプロセス技術と互換性のある材料)を加えることによって変更される。いくつかの実施例では、材料が追加されるのは、例えばエッチングに関連するタイミングがより大きな可変性を有するエッチング・プロセスの場合よりも積層プロセスを制御する方が容易であるからである。
【0065】
いくつかの実施例では、電気応答デバイスは、膜だけを含む(例えば、図1Aの膜104)。膜は、その一部120が図2に図解されているような特徴を有するように調整される。いくつかの実施例では、被検物質を検出するカートリッジには、電気応答デバイスと流体チャネルとが組み入れられている。電気応答デバイスは、流体チャネルの中に配置されるか、又は、流体チャネルの表面の少なくとも一部を定義する。カートリッジは、装置の消費可能なコンポーネントであり、取外しや取り替えが可能である。いくつかの実施例では、カートリッジ又はカートリッジを組み入れた装置を通過する流れを変更する流体制御デバイス(例えば、プラグ、妨害物、バッフルなど)を含む場合もある。
【0066】
本発明のある実施例では、被検物質又はそれ以外の目的物質(例えば、化学的又は生物的物質)の検出にキットが用いられる。このキットは、電気応答デバイスと流体チャネルとを含むカートリッジを含む。電気応答デバイスは、また、被検物質と結合することができる第1のコンポーネント(例えば、材料、膜、物質、化学物質など)を含む。このコンポーネント又は材料は、電気応答デバイスの表面に結合される物質である(例えば、図1A及び2のデバイス100の膜104の層136の表面)。いくつかの実施例では、このキットは、また、被検物質に結合することができる第2のコンポーネントを含む粒子(例えば、ビーズ)を含む。この粒子は、例えば、カートリッジとは別個であるか、又は、カートリッジの中に配置されている空洞又はチャネルにおいて、カートリッジの中に配置されている。他の実施例では、被検物質を含むサンプルが、カートリッジの中の又はカートリッジの外部の粒子と混合される。被検物質の少なくとも一部が、粒子と結合する。これらの粒子は、次に、第1のコンポーネントを有する電気応答デバイスの表面を通過して流れる。粒子に結合している被検物質は、第2のコンポーネントに結合する。次に、上述した態様で、電子装置(例えば、図1Aの電子装置)が、例えば、オペレータによって又はプロセッサによって自動的に用いられ、存在する被検物質の量の存在と量との少なくとも一方が検出される。
【0067】
いくつかの実施例では、気相の選択的吸収性の層が、電気応答デバイスを製造するのに用いられる材料の1又は複数の表面に提供される。この吸収性の層は、電気応答デバイスに露出される気体と選択的に結合する又はそれと選択的に接着する。吸収性の層の構造的な特性(例えば、質量、剛性、損失など)は、吸収性の層の中への気体の拡散の度合いに基づいて変化する。これらの構造的な変化は、デバイスの通過帯域特性の変化に基づいて決定される。このようにして、気体の存在及び/又は量を、デバイスに提供された気体を含むサンプルに対して決定することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、液体が、電気応答デバイスの1又は複数の表面に提供される。液体の電気応答デバイスへの結合(例えば、音響結合)によりデバイスがロードされ、ロードされたデバイス通過帯域が生じる(図9の曲線912及び916は、液体がロードされた電気応答デバイスに対する伝達関数のプロットである)。露出された液体特性の変化は、液体ローディングが存在しない場合に得られた同様の曲線と比較することによって、曲線のデバイス通過帯域特性の変化から決定される。
【0069】
図3は、本発明の例示的な実施例による電気応答デバイス(例えば、図2のデバイス領域120を含む共鳴デバイス)を製造する方法300における異なる段階を示す概略的な側面図である。方法300は、基板材料108の膜104の表面160の少なくとも一部の上に電気応答材料132(例えば、電気活性材料)を適用する(ステップ304)ことを含む。ある実施例では、電気応答材料132は、電気応答材料132の反応性スパッタリングによって膜104の表面160に適用される。あるいは、他の適切な方法を用いて、電気応答材料132を基板材料108上に適用することができる。
【0070】
方法300は、また、電気応答材料132の表面164の少なくとも一部の上に電極材料140を適用する(ステップ308)ことを含む。様々な方法を用いて、電極材料140を適用することが可能である。ある実施例では、電極材料140は、物理的蒸着法(eビーム蒸着プレーティング又はスパッタリング)によって適用される。
【0071】
いくつかの実施例では、最適なステップが、電極材料140の適用(ステップ308)の前に実行される。いくつかの実施例では、中間層が、電極材料140の適応の前に、電気応答材料132の表面164に最初に適用される。ある実施例では、中間層が、電気応答材料132への電極材料140の以後の結合を改善する。いくつかの実施例では、本発明によって、追加的な材料層が電極材料140の上に積層され、下位にある材料をコーティング又は保護し、構造的な特性を変更する。
【0072】
方法300は、また、電気応答材料132を露出している電極材料140の少なくとも1つの領域320を選択的に除去する(ステップ312)ことを含む。この除去のステップ(ステップ312)は、任意の適当な除去プロセスを含む(例えば、適切な半導体材料除去プロセス)。この実施例では、電極材料140は、エッチング処理を用いて除去される(例えば、ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、プラズマ・エッチング、レーザ支援エッチング、レーザ・アブレーション、イオンビーム・ミリング、電子ビーム・エッチングなど)。電極材料140の領域320を除去することにより、電気応答材料132の表面164の上に電極材料140の複数の位置が生じる。
【0073】
方法300は、また、領域320における電気応答材料132の少なくとも一部を選択的に除去し(ステップ316)、領域244を生じるステップを含む。ステップ316は、この出願において述べられている様々なタイプの除去プロセス(例えば、エッチング・プロセス)を用いて実行することができる。この実施例では、すべての電気応答材料が、電極材料140に対応する領域320において除去される。このようにして、電気応答材料132の領域244は、電極材料140の領域320と、X軸及びZ軸に沿って幾何学的には実質的に同一である。
【0074】
しかし、いくつかの実施例では、電気応答材料132の一部だけが領域320において除去され、結果的に、電気応答材料132の領域244は、X軸及びZ軸に沿った電極材料140の領域320と比較して、幾何学的により小さくなる。いくつかの実施例では、電極材料の除去(ステップ308)と電気応答材料の除去(ステップ312)とは、単一の除去ステップを用いて実行される。
【0075】
図4は、本発明の例示的な実施例による電気応答デバイスの領域120の概略的な図解である。この実施例では、基板108が、デバイスの領域120の領域404から除去される。基板108の領域404は、電極材料140の領域320及び電気応答材料132の領域244の両方と、X軸及びZ軸に沿って幾何学には実質的に同一である。基板108の領域404を作成することによって、デバイスの所望のモード応答が得られる。他の実施例では、領域320、244及び404は、X軸及びZ軸に沿って相互に幾何学的に異なっている。
【0076】
図5は、本発明の例示的な実施例による電気応答デバイスの膜104の領域120の概略的な図解である。膜104の領域120は、基板108の上に積層された電気応答材料132の層を有する。電極材料140は、電気応答材料132の上に配置されている。この実施例では、図5の領域120を含むデバイスのモード応答は、領域504における基板108の除去によって修正される。領域504は、電極材料140と関連する領域320における電極材料140の幾何学的形状と(X軸及びZ軸に沿って)実質的に対応している。
【0077】
いくつかの実施例では、電気応答デバイスのモード応答は、その代わりに、基板108の、Y軸に沿って電極材料140の下に配置された領域に、領域(基板材料を欠いた)領域を作成することによって修正される。いくつかの実施例では、少なくとも1つの領域504は、電気応答材料132の下には基板材料108を含まない。このようにして、電気応答材料は、この領域では、基板材料108によって支持されていない。このようにして、支持されていない電気応答材料は、カンチレバー式の電気応答要素を生じることができる。いくつかの実施例では、カンチレバー式の電気応答要素は、曲げられることによって付勢されるカンチレバー式の電気活性要素である。
【0078】
いくつかの実施例では、充填材料が、後で、領域504に適用される。この充填材料は、基板材料108の剛性とは異なる剛性を有することができる。このようにして、電気応答デバイスの特性を変更して、デバイスの共鳴を実質的に修正することが可能である。
【0079】
図6は、本発明の例示的な実施例による、図2の電極材料140などの電極材料のパターン600の概略的な図解である。パターン600は、感知又は受取側604と付勢又は開始側608とを有する。感知又は受取側604は、デバイスからの出力信号を提供する(例えば、図1A及び1Bのデバイス100)。付勢又は開始側608は、入力信号をデバイスに提供するのに用いられる。側604は、例えば、図2の電極材料140に関して上述したものと同様の電極材料位置140a及び140b(全体では140)の2つの集合を有する。同様に、側608は、上述したものと同様の電極材料位置140c及び140d(全体で140)の2つの集合を有する。
【0080】
ある実施例での動作では、時間変動する極性が対向する電気信号が、側608の電極材料位置140c及び140dに加えられて、共鳴デバイスの膜104において振動を発生する。膜104の外側のエッジ612は、図6に示されている。動作では、電極材料位置140a及び140bが、共鳴デバイスと接触する流体の効果を測定するのに用いられる(例えば、膜104の表面、又は、膜104の上もしくは下に配置された材料の表面)。いくつかの実施例では、電極材料位置140c及び140dと電極材料位置140a及び140bとが組み合わされて用いられて、例えば、膜104の表面と接触している生物的物質の効果を測定される。
【0081】
図7は、本発明の例示的な実施例による図2の電極材料140などの電極材料のパターン700の概略的な図解である。パターン700は、感知又は受取側704と付勢又は開始側708とを有する。側704は、電極材料位置140a及び140bの2つの集合を有する。同様に、側708は、電極材料位置140c及び140dの2つの集合を有する。本発明によるデバイスは、電極材料と電気応答材料との組合せにより1又は複数の感知又は受取要素が得られるように、製造することができる。同様に、本発明によるデバイスは、電極材料と電気応答材料との組合せにより1又は複数の付勢又は開始要素が得られるように製造することができる。
【0082】
ある実施例での動作では、時間変動する極性が対向する電気信号が、電極材料位置140c及び140dに加えられて、共鳴デバイスの膜104において振動を発生する。膜104の外側のエッジ712は、図7に示されている。動作では、電極材料位置140c及び140dと電極材料位置140a及び140bとの組合せを用いることにより、共鳴デバイスと接触する流体の効果を測定するのに用いられる。
【0083】
この実施例では、膜104は、X−Z平面において見ると矩形の形状を有する。本発明の原理を組み入れて、これとは異なる幾何学的形状を有する膜(そして、例えば、図1の吊り下げ醸造142)を考えることができる。更に、この実施例では、側704と側708とは、共に、X−Z平面平面で見てほぼ矩形の形状を有する。本発明の原理を組み入れて、これとは異なる幾何学的形状を有する一方又は両方の側704及び708を考えることができる。例えば、膜104、吊り下げ構造142、電極140(例えば、側704及び側708)は、X−Z平面において見ると、様々な形状を有することができる。
【0084】
ある実施例では、膜104、吊り下げ構造142、側704及び708は、X−Z平面において見ると、ほぼ正方形の形状を有する。別の実施例では、膜104と吊り下げ構造142とは、X−Z平面で見ると、ほぼ円形の形状を有する。この実施例では、電極材料位置140a、140b、140c及び140dは、X−Z平面において見ると、ほぼ円形の形状を有する。この実施例では、電極材料位置140a、140b、140c及び140dは、(X−Z平面において見ると)それぞれが環状の形状をしており、相互にほぼ同心円的になっている。
【0085】
説明として、ある実験が行われ、本発明の原理を組み入れた共鳴デバイスのためにデータが取得された、この実験は、米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)社によって市販されている1xのフォスフェート・バッファード・サリン流体(phosphate buffered saline fluid)に露出されたデバイスの空洞及び感知表面(例えば、図1Aのデバイス100の空洞124と、空洞124の中の表面)を用いて実行された。図8には、図1Aのデバイス100を用いて得られた伝達関数のプロット800が図解されている。プロット800のY軸804は、デバイス100の出力信号に対するデバイス100に加えられた入力信号の大きさである。プロット800のX軸808は、ヘルツ(Hz)を単位とする周波数である。
【0086】
曲線812は、本発明の原理を組み入れていない領域120(例えば、図1Bの領域120)を有する電気活性材料デバイス100の場合の、周波数を横軸とした伝達関数の大きさである。曲線816は、本発明の原理を組み入れた領域120(例えば、図2の領域120)を有する電気活性材料デバイス100の場合の、周波数を横軸とした伝達関数の大きさである。これらを参照すると、曲線812及び816と関連するデータを得るのに用いられた共鳴デバイス100は、それぞれが、図6のパターン600と対応する電極材料のパターンを有する。
【0087】
曲線812は、電気応答デバイスの様々な支配的な共鳴モードに対応する領域820及び824を有する。曲線816は、しかし、共鳴デバイスの共鳴モードが曲線816上の他の位置と比較して相対的に支配的であるような1つの領域828を有する。この実験では、曲線816の領域828は好適な通過帯域であるが、その理由は、それが、領域828の左側及び右側に曲線816が外れたという観察によって示される電気応答デバイスの隣接する共鳴モードからほぼ分離されているからである。このようにして、図2のデバイス100の領域120材料132を構成する材料132の少なくとも一部を選択的に除去することで、デバイスの少なくとも1つの共鳴モードが実質的に修正される。約16MHzと約26MHzとの間のいくつかの共鳴モードと関連するモード・オーバラップ及びスピルオーバは減少され、曲線816の領域828に図解されているように、デバイス100の応答の少なくとも1つの共鳴モードが得られる。
【0088】
説明のために、別の実験が行われ、本発明の原理を組み入れた共鳴デバイスのためにデータが取得された、この実験は、米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ・アルドリッチ社によって市販されている1xのフォスフェート・バッファード・サリン流体に露出されたデバイスの空洞及び感知表面(例えば、図1Aのデバイス100の空洞124と、空洞124の中の表面)を用いて実行された。図9には、図1Aのデバイス100を用いて得られた伝達関数のプロット900が図解されている。プロット900のY軸904は、デバイス100の出力信号に対するデバイス100に加えられた入力信号の大きさである。プロット900のX軸908は、ヘルツ(Hz)を単位とする周波数である。
【0089】
曲線912は、本発明の原理を組み入れていない領域120(例えば、図1Bの領域120)を有する電気活性材料デバイス100の場合の、周波数を横軸とした伝達関数の大きさである。曲線916は、本発明の原理を組み入れた領域120(例えば、図2の領域120)を有する電気活性材料デバイス100の場合の、周波数を横軸とした伝達関数の大きさである。これらを参照すると、曲線912及び916と関連するデータを得るのに用いられた共鳴デバイス100は、それぞれが、図7のパターン700と対応する電極材料のパターンを有する。
【0090】
曲線912は、共鳴デバイスの様々な支配的な共鳴モードに対応する領域920を有する。曲線916は領域928を有しており、この領域928では、共鳴デバイスの少なくとも1つの共鳴モードが修正され、曲線916上の他の位置と比較して、領域928に図解されている少なくとも1つの共鳴モードを得られる。この実験では、曲線916の領域928は好適な通過帯域であるが、その理由は、それが、領域928の左側及び右側に曲線816が外れており領域928の左側及び右側に示されている共鳴モードが実質的に存在しないという観察によって示される電気応答デバイスの隣接する共鳴モードからほぼ分離されているからである。対照的に、例えば、曲線912の領域920は、領域920に隣接する少なくとも1つの実質的な共鳴モードを有する。このようにして、曲線912に対応するデバイスは、好適である度合いが低い通過帯域領域920を有するが、これは、少なくとも1つの共鳴モード940が存在するからである。このデバイスは、周波数とより低い伝送損失とに関して、好適な通過帯域、より狭い帯域幅を有するが、これは、本発明の原理を組み入れていない場合に達成されるよりも、領域920におけるピークと比較して領域928におけるピークがより鮮明である。また、好適な通過帯域、より狭い帯域、より低い伝送損失が、流体ローディングの存在しない場合でも、このデバイスにおいて達成される。
【0091】
更に、曲線916の領域928は、領域928における少なくとも1つの共鳴モードは、曲線912の匹敵する領域920と比較されると、実質的に修正されていることを図解している。この実質的な修正は、図2のデバイス100の領域120の領域244を生じさせる電気活性材料132の少なくとも一部の除去に起因する。約16MHzと約26MHzとの間のいくつかの共鳴モードと関連するモード・オーバラップ及びスピルオーバは減少され、曲線916の領域928に図解されているように、デバイス100の応答の少なくとも1つの共鳴モードが得られる。
【0092】
以上で説明した内容の変更、修正及びそれ以外の実装は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、この技術分野の当業者には明らかであり、本発明の範囲に含まれると考えるべきである。従って、本発明は、上述の詳細な説明だけによっては画定されない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】電気的応答デバイスの概略的な図解である。
【図1B】図1Aのデバイスの一部の概略的な図解である。
【図2】本発明の例示的な実施例による電気的応答デバイスの一部の図解である。
【図3】本発明の例示的な実施例による電気的応答デバイスを製造する方法を構成する複数の異なる段階の概略的な図解である。
【図4】本発明の例示的な実施例による電気的応答デバイスの一部の概略的な図解である。
【図5】本発明の例示的な実施例による電気的応答デバイスの一部の概略的な図解である。
【図6】本発明の例示的な実施例による電極材料のパターンの概略的な図解である。
【図7】本発明の例示的な実施例による電極材料のパターンの概略的な図解である。
【図8】本発明の原理を組み入れた共鳴デバイスと本発明の原理を組み入れていない共鳴デバイスとに対し、周波数を横軸にとった伝達関数の大きさのグラフ表現である。
【図9】本発明の原理を組み入れた共鳴デバイスと本発明の原理を組み入れていない共鳴デバイスとに対し、周波数を横軸にとった伝達関数の大きさのグラフ表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
電気応答材料を基板材料の表面の少なくとも一部に適用するステップと、
前記電気応答材料の表面の少なくとも一部に電極材料を適用するステップと、
前記電極材料の少なくとも1つの領域を選択的に除去して前記電気応答材料を露出させるステップと、
前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において、前記電気応答材料の少なくとも一部を選択的に除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記電気応答材料は電気活性又は電気光材料であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記電極材料の除去と前記電気応答材料の除去とは、前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記少なくとも1つの共鳴モードは前記デバイスの第1のモードよりも大きいなモードであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、前記1又は複数の共鳴モードを修正する前記ステップは前記デバイスの応答の前記少なくとも1つの共鳴モードを実行するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記デバイスの応答の前記少なくとも1つの共鳴モードを実行する前記ステップは、前記電極材料の特定のパターンと関連する前記デバイスの王との前記少なくとも1つの共鳴モードを実行するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記電気応答材料の除去は、前記デバイスの他の共鳴モードと関連するモード・オーバラップ及びスピルオーバを減少させることによって前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記基板材料の少なくとも一部を選択的に除去するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記電極材料の除去と前記電気応答材料の除去とはエッチング・プロセスを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記エッチング・プロセスは、ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、プラズマ・エッチング、レーザ支援エッチング、レーザ・アブレーション、イオンビーム・ミリング及び電子ビーム・エッチングによるエッチング・プロセスから構成されるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記電極材料の除去と前記電気応答材料の除去とは単一の除去ステップを用いて実行されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記電気応答材料を前記基板材料の表面に適用する前記ステップは、前記電気応答材料を前記電極材料の表面の上に適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記電気応答材料は前記電気応答材料の反応性スパッタリングによって適用されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記電極材料を前記電気応答材料の表面に適用する前記ステップは、前記電極材料を前記電気応答材料の表面の上に適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記電極材料は物理的蒸着法によって適用されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、物理的蒸着法は、eビーム蒸着プレーティング及びスパッタリングから構成されるグループから選択されるプロセスを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記基板材料と前記電気応答材料との間に電極材料を適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記電気応答材料を選択的に除去する前記ステップは、前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記電気応答材料をすべて除去するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記基板材料の一部を選択的に除去するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記基板材料の一部を選択的に除去する前記ステップは、結果的に、前記基板に支持されない少なくとも1つの領域を有する電気応答材料を生じさせることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、前記支持されない電気応答材料はカンチレバー式の電気活性要素を生じることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、前記電気応答材料は、圧電材料、ピエゾセラミック材料、電気セラミック材料及び単結晶電気活性材料から構成されるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、前記電極材料の除去は前記電極において櫛形パターンを生じさせることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1記載の方法において、前記基板、電気応答材料、電極材料の組合せを集積回路パッケージの中に組み入れるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、前記デバイスはフィルタ又はセンサであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1記載の方法において、選択的に除去された前記電気応答材料の前記領域に充填材料を適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、前記充填材料は前記電気応答材料の剛性とは異なる剛性を有していることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1記載の方法において、前記電気応答デバイスは流体との物理的相互作用によってロードされる音響波デバイスであることを特徴とする方法。
【請求項29】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
電極材料を電気応答材料の表面の少なくとも一部に適用するステップと、
前記電極材料の少なくとも1つの領域を選択的に除去して前記電気応答材料を露出させるステップと、
前記電極材料の前記少なくとも1つの領域に対応する領域において前記電気応答材料の少なくとも一部を選択的に除去して前記デバイスの少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
電気応答材料を基板材料の表面に選択的に適用するステップと、
電極材料を前記電気応答材料の表面に選択的に適用して前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
電気応答デバイスであって、
基板材料と、
前記基板の上にある少なくとも1つの電気応答要素と、
前記少なくとも1つの電気応答要素の表面の上にある電極材料と、
を備えており、前記電気応答要素と前記電極材料とはこのデバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを修正するように構成されていることを特徴とする電気応答デバイス。
【請求項32】
電気応答デバイスであって、
基板材料と、
前記基板の上にある少なくとも1つの電気応答要素と、
前記少なくとも1つの電気応答要素の表面の上にある電極材料と、
を備えており、前記電気応答要素と前記電極材料とは、このデバイスの他の共鳴モードと関連するモード・オーバラップ及びスピルオーバを減少させることによって、このデバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを修正するように、前記基板層においてパターニングされていることを特徴とする電気応答デバイス。
【請求項33】
請求項32記載のデバイスにおいて、前記電気応答材料は電気活性材料であり、前記電気応答材料と前記電極材料とは少なくとも1つの付勢要素と少なくとも1つの感知要素とを生じるようにパターニングされていることを特徴とするデバイス。
【請求項34】
請求項32記載のデバイスにおいて、前記電気応答材料と電極材料とは、少なくとも1つの開始(launch)要素と少なくとも1つの受取(receiver)要素とを生じるようにパターニングされていることを特徴とするデバイス。
【請求項35】
請求項32記載のデバイスにおいて、前記電気応答材料と前記基板材料との間に導電材料を備えていることを特徴とするデバイス。
【請求項36】
電気応答デバイスであって、
表面を有し平面を定義する基板材料と、
前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料と、
前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料と、
を備えていることを特徴とする電気応答デバイス。
【請求項37】
請求項36記載のデバイスにおいて、前記電極材料の領域は前記電気応答材料のより厚い領域の上にあることを特徴とするデバイス。
【請求項38】
請求項36記載のデバイスにおいて、前記電極材料の領域は前記電気応答材料のより薄い領域の上にあることを特徴とするデバイス。
【請求項39】
電気応答デバイスであって、
表面を有する基板材料であって、前記基板材料の平面において厚さが変動する基板材料と、
前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にある電気応答材料と、
前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料と、
を備えていることを特徴とする電気応答デバイス。
【請求項40】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
基板材料の表面の少なくとも一部の上に電気応答材料を適用するステップと、
前記電気応答材料の少なくとも一部を選択的に除去するステップと、
前記電気応答材料の表面の少なくとも一部に電極材料を適用するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40記載の方法において、前記電極材料を適用する前記ステップは、櫛形の電極パターンを生じるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40記載の方法において、前記電極材料を適用する前記ステップは、環状の形状の電極パターンを生じるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
基板材料の表面の一部に第1の電極材料を適用するステップと、
前記第1の電極材料の表面の少なくとも一部に電気応答材料を適用するステップと、
前記電気応答材料の表面の少なくとも一部に第2の電極材料を適用するステップと、
前記電気応答材料又は前記基板材料の少なくとも一方の一部を選択的に除去して前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを修正するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
被検物質を検出する装置であって、
流体チャネルと、
前記流体チャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも一部を定義する電気応答デバイスであって、
表面を有し平面を定義する基板材料と、
前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料と、
前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料と、
を備えている電気応答デバイスと、
前記デバイスによって出力される少なくとも1つの信号をモニタするモニタリング・デバイスと、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項45】
被検物質を検出するカートリッジであって、
流体チャネルと、
前記流体チャネルの内部に配置される又は前記流体チャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも一部を定義する電気応答デバイスであって、
表面を有し平面を定義する基板材料と、
前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料と、
前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料と、
を備えている電気応答デバイスと、
を備えていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項46】
被検物質を検出するキットであって、
流体チャネルと、
前記流体チャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも一部を定義する電気応答デバイスであって、前記デバイスの表面に前記被検物質を特異的に結合する第1のコンポーネントと、表面を有し平面を定義する基板材料と、前記基板材料の前記表面の少なくとも一部の上にあり、前記基板材料の前記平面の厚さによって変動する電気応答材料と、前記電気応答材料の前記表面の上にあり櫛形パターンを有する電極材料と、を有する電気応答デバイスと、
前記被検物質と特異的に結合する第2のコンポーネントを含む粒子と、
を備えていることを特徴とするキット。
【請求項47】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
基板材料の少なくとも一部の上に電気応答材料を提供するステップと、
前記電気応答材料又は前記基板材料の少なくとも一方の特性を変化させて狭くかつ低損失の通過帯域を生じさせるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47記載の方法において、前記特性は構造的特性であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項47記載の方法において、特性を変更させる前記ステップは、前記電気応答材料又は前記基板材料の一部の上の剛性を変化させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項47記載の方法において、特性を変更させる前記ステップは、前記電気応答材料又は前記基板材料の一部の上の質量の分配を変化させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項47記載の方法において、特性を変更させる前記ステップは、前記電気応答材料の一部を前記電気応答材料の表面の上の電極パターンと実質的に対応するように除去するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
電気応答デバイスであって、
基板材料と、
前記基板の少なくとも一部の上の電気応答材料と、
を備えており、前記基板材料又は前記電気応答材料の少なくとも一方の特性は、このデバイスの剛性を変化させることによって、このデバイスの共鳴モードを孤立させることを特徴とする電気応答デバイス。
【請求項53】
電気応答デバイスを製造する方法であって、
基板材料の表面の少なくとも一部の上に電気応答材料を適用するステップと、
前記電気応答材料の表面の少なくとも一部の上に電極材料を適用するステップと、
前記デバイスの前記表面の少なくとも一部の上に材料を適用して、前記デバイスの上の質量分配を変化させ前記デバイスの応答の少なくとも1つの共鳴モードを実質的に修正するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
電気応答デバイスであって、
空間的に変調された構造特性を有する複合構造と、
前記空間的に変調された特性と実質的に相関する構造の運動を励起及び感知して狭く低損失の通過帯域を生じる手段と、
を備えていることを特徴とする電気応答デバイス。
【請求項55】
請求項54記載のデバイスにおいて、前記複合構造は電気活性材料を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項56】
請求項54記載のデバイスにおいて、前記空間的に変調された構造特性は前記構造の表面に沿って周期的であることを特徴とするデバイス。
【請求項57】
請求項54記載のデバイスにおいて、前記複合構造は、生物的又は化学的物質と結合することができるコンポーネントを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項58】
請求項55記載のデバイスにおいて、約1500オングストロームの材料が前記電気活性材料の領域から除去されて前記複合構造の構造特性を空間的に変調することを特徴とするデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−536395(P2008−536395A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505449(P2008−505449)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012491
【国際公開番号】WO2006/107961
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507255101)バイオスケール・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】