電解析出によって製造されたカーボンナノチューブに基づく電子デバイス及びその応用
電解析出により製造されたカーボンナノチューブに基づくデバイス及びその応用が提供される。デバイスは少なくとも1つのマイクロエレクトロニクス基板に堆積されたアクティブなカーボンナノチューブ接合アレイを少なくとも1つ有する。デバイスは基板、基板に配置され電源に接続された少なくとも1対の電極、及び少なくとも1対の電極間に配置された、半導電性カーボンナノチューブから本質的に構成されたカーボンナノチューブの束を有する。半導電性デバイスは2つの電極間でのカーボンナノチューブの電着により形成されてもよい。また、半導電性デバイスを形成する方法は、カーボンナノチューブロープにバイアス電圧を印加することによる。複数の金属性単層カーボンナノチューブは半導電性デバイスの形成に十分な量だけ(例えば、バイアス電圧の印加により)除去される。デバイスは、化学的又は生物学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET)、トンネル接合、ショットキー接合、及び多次元ナノチューブアレイを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブに基づく電子デバイスに関する。特に、本発明は電解析出(electrolytic deposition)によって製造されたカーボンナノチューブに基づく電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は、100nmより小さい造りを製造するようになるにつれ、ますます困難な技術的課題に直面している。特に困難な課題は、100nmより小さい寸法を有する手ごろなスケーリング及びリソグラフィを実現すること、新材料及び新構造を利用すること、並びにギガヘルツ周波数動作及び非常に高いデバイス密度をチップ上に実現することである。100nmの壁を超えて存在する製造課題を如何に解決するかについては産業界で同意がとれていない。産業界が直面する問題は、チップ作成に使用される優位技術である光リソグラフィが、シリコン上にパターンを形成するために光を用いることである。100nmを下回ると、一般的にチップ製造に用いられている光の波長(193nm及び157nm)は大きすぎて有用ではない。現在、光リソグラフィの後継技術として選定されるために幾つかの候補技術が優劣を競っているところである。それらには、極紫外線リソグラフィ(EUV)、スカルペル(scalpel)と呼ばれる電子ビーム法、及びX線リソグラフィが含まれる。何れも未だ好適な選択として浮上してはいない。
【0003】
カーボンナノチューブに基づく分子(molecular)エレクトロニクスの発展によって、何十億個というトランジスタを有する論理デバイスの構築が可能になるであろうことが広く認識されている。このようなコンピュータは今日のマシンより桁違いに強力なマシンとなる。これが現実となるためには、分子エレクトロニクスデバイスを大量生産する方法が発見されることが不可欠である。走査プローブ法は一度に単一のデバイスをナノチューブに製造できることが証明されているが、何十億個ものトランジスタを実用化するのに十分なだけプロセスを高速化する手法は未だ発見されていない。化学的な自己組織化(self-assembly)プロセスも提案されているが、現段階では、この方法を用いて最も単純な構造のみが構築されるにとどまっている。異なる材料と分子エレクトロニクスデバイスの組立とを特有の造りに結合させる問題は大きな課題を抱えたままである。故に、ナノサイズの直径(例えば、0.7nmから50nm)、ミクロンからサブミクロンサイズの長さ(例えば、100nmから1000nm)、及び数nm長さ(例えば、0.1nmから5nm)のゲート構造を有するカーボンナノチューブ分子エレクトロニクスデバイスをコスト効率良く製造する可能性を実証することが望まれる。
【0004】
ナノチューブ又はナノチューブ束/ロープは一般に1nmより遙かに長い。故に、所望のナノスケール密度を実現するためには、各ナノチューブ又はナノチューブロープの長さ方向に沿って多数の入力又は接合が必要とされる。ナノチューブ接合すなわち使用可能なナノチューブ接合は、ナノチューブが互いに近接していて電気的に加工され得る位置又は箇所になる。
【0005】
Chico等による理論研究により、五員環−七員環ペア欠陥を六員環ナノチューブ構造に導入することによって、ナノスケールのナノチューブデバイスの基礎として、位相的に(topologically)又は電気的に異なる2つのナノチューブ間に接合を作り出すことが提案されている(非特許文献1参照)。また、S.Saitoにより、分子エレクトロニクスデバイスとして機能し得るカーボンナノチューブの理論的に可能な設計が述べられている(非特許文献2参照)。それら及びその他の同様の理論研究は、カーボンナノチューブを分子デバイスとして利用する可能性について概説しているものの、そのようなデバイスの設計及びその製造方法の提案には成功していない。
【0006】
Collins等により、単層(single-wall)のカーボンナノチューブの整流特性が実験的に実証されている(非特許文献3参照)。この研究もまた、カーボンナノチューブ分子エレクトロニクスデバイスの設計及び製造方法の提案には成功していない。
【0007】
故に、高コスト且つ非実用的な現在の製造手法を克服するために、カーボンナノチューブに基づく電子デバイスを効率的、コスト効率的且つ拡大縮小可能に大量生産する方法が望まれる。
【非特許文献1】Chico等、「Pure carbon nanoscale devices: nanotube heterojunctions」、Physical Review Letters、1996年
【非特許文献2】S.Saito、「Carbon nanotubes for next generation electronic devices」、Science、1997年
【非特許文献3】Collins等、「Nanoscale electronic devices on carbon nanotubes」、Fifth Foresight Conference on Molecular Nanotechnology、1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はカーボンナノチューブ技術により形成された電気デバイスを提供することを目的とする。また、本発明はカーボンナノチューブ電気デバイスを大量生産する経済的な製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明はカーボンナノチューブデバイスを用いて回路密度を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電解析出によって製造されたカーボンナノチューブに基づく電子デバイス及びその応用に関する。本発明は、電解析出によって製造されたナノチューブに基づく電子デバイス、例えば、これらに限られないが、化学的又は生物学的なセンサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET)、トンネル接合、ショットキー接合、及び高い回路密度を必要とする信号処理用途における基礎的要素としての使用に適したナノチューブ接合の2次元アレイを含む。
【0010】
また、本発明は単層ナノチューブデバイスを製造する新規な方法を含み、当該方法は、電解析出処理と、その後、染み入るように含まれている金属性ナノチューブを選択的に“焼却”し、それにより半導電性ナノチューブに基づく電子デバイスを形成する処理との組み合わせを含んでいる。
【0011】
さらに、本発明に係る製造方法は、ナノチューブに基づく電子デバイスを大量生産する効率的且つコスト効率的で拡大縮小可能なプロセスを提供するものである。
【0012】
本発明の好適な一実施形態に従ったデバイスは、少なくとも1つのマイクロエレクトロニクス基板に堆積されたアクティブなカーボンナノチューブ接合のアレイを少なくとも1つ有する。本発明の他の好適な一実施形態に従ったデバイスは、基板、前記基板に配置された少なくとも1対の電極であり、1対又は複数対の電極が電源に接続されているところの少なくとも1対の電極、及び前記少なくとも1対の電極間に配置された、半導電性カーボンナノチューブから本質的に構成されるカーボンナノチューブの束を有する。他の一実施形態では、カーボンナノチューブの束は半導電性カーボンナノチューブ及び分離された金属性ナノチューブから構成される。他の好適な一実施形態では、半導電性デバイスは2つの電極間でのカーボンナノチューブの電着により形成されている。
【0013】
また、本発明に係る半導電性デバイスを形成する好適な方法は、単層カーボンナノチューブロープにかかるバイアス電圧を傾斜変化させることによる。単層カーボンナノチューブロープは、好ましくは、複数の半導電性単層カーボンナノチューブ及び複数の金属性単層カーボンナノチューブを有する。複数の金属性単層カーボンナノチューブは半導電性デバイスを形成するに十分な量だけ(例えば、バイアス電圧の印加により)除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の好適な一実施形態に従った最も単純な形態の単層カーボンナノチューブ(single-wall carbon nanotube;SWNT)デバイス100の側面図を示している(縮尺通りには描かれていない)。より具体的には、SWNTデバイス100の構造は基板110を有し、その上には一対の電極112、例えば電極112a及び電極112b、が堆積されている。さらに、SWNTロープ114が基板110上の電極112aと電極112bとの間に堆積され、それらの電極と電気的に接続されている。SWNTロープ114は半導電性ナノチューブ(nanotube;NT)116と、例えば金属性NT118等の分離された金属的NTとの混合体から形成され得る。半導電性NT116は典型的な半導体の電流−電圧特性を示すカーボンナノチューブであり、金属性NT118は抵抗性(ohmic)の電流−電圧特性を示すカーボンナノチューブである。このデバイスを形成するために半導電性の単一のナノチューブが用いられてもよい。
【0015】
基板110は、例えば窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)及びシリコン(Si)等の、半導体製造で一般的に用いられる如何なる非導電性材料からも形成され得る。電極112a及び電極112bは、例えば金(Au)等の導電性材料から形成されることができ、SWNTデバイス100の電気的コンタクトとしての役割を果たす。電極112は、例えば約0.1μmと50μmとの間の厚さと、例えば約0.5μmと75μmとの間の幅とを有するが、SWNTロープ114が接触する部分の電極112の幅はおよそ0.3μmとし得る。電極112aと電極112bとの間隔は、これに限られないが、例えば約0.5μmと75μmとの間である。
【0016】
SWNTロープ114は、電極112aと電極112bとに架かるロープ状構造に並べられた個々の半導電性SWNTの束とし得る。SWNTロープ114を形成する半導電性SWNTは互いに接触するように並列に配置される。SWNTロープ114を形成するSWNTの外径は約0.7nmから3nmの範囲であり、SWNTの長さは最長で数μmとなり得る。SWNTロープ114全体の直径は、例えば、約0.7nmと500nmとの間である。SWNTロープ114は電着(electro-deposition)法によって形成され得る。この堆積法については図2を参照してより詳細に述べる。
【0017】
引き続き図1を参照し、SWNTデバイス100は、SWNTを用いて作成される電気デバイスの最も単純な形態を表している。例えば、カーボンナノチューブは本質的に光電性であるため、一実施形態においては、SWNTデバイス100は光検出器(又はフォトダイオード)としての使用に適している。動作時には、電極112aと電極112bとの間に電位差を与えることにより、あるいはSWNTデバイス100を光源に晒すことにより、SWNTロープ114内に電流が誘起される。光源が取り除かれると、SWNTデバイス100を流れる電流は消滅する。この光電性は、例えば、光学回路のナノチューブデバイス部分を作成するために利用可能である。
【0018】
図2は、電解析出を選択的“焼却(burn-out)”処理と組み合わせて使用する、例えばSWNTデバイス100等の半導電性SWNTデバイスをコスト効率良く大量生産する方法200を示すフロー図である。電解析出溶液は金属性、半金属性、及び半導電性のSWNTから成る混合物を含むので選択的焼却処理が好ましい。半導電性デバイスを作り出すため、本発明の一実施形態に従って、高い導電性を有する金属性SWNTが選択的に除去される。
【0019】
方法200はSWNT製造プロセスと選択的“焼却”処理とを結合する半導電性SWNTデバイスを製造する好適な方法である。文献(P.Jaynes、T.Tiano、M.Roylance、C.Carey及びK.McElrath著、「Alignment and Deposition of Single Wall Carbon Nanotubes under the Influence of an Electric Field」、Nano- and Microelectromechanical Systems (NEMS and MEMS) and Molecular Machines、編集D.A.LaVan、A.A.Ayon、T.E.Buchheit及びM.J.Madou、MRS Proceedings vol.741、2003年、J8.5.1乃至J8.5.6頁(参照することにより全体がここに組み込まれる)による好適な製造プロセスが、方法200の工程210乃至218を参照してまとめられている。金属性SWNTの選択的焼却工程については、方法200の工程220、並びに図3A、3B、3C及び3Dを参照して説明する。なお、電着溶液が半導電性SWNTのみを含む場合は、工程220の選択的焼却処理は不要である。
【0020】
方法200を参照するに、電界中でSWNTを配列させる能力に寄与する変数には、例えば、SWNT懸濁液濃度、堆積時間、電界強度(電圧V)、電界の周波数(MHz)、及び電極設計(形状、線幅、及び間隔)が含まれる。
【0021】
工程210にて、方法200は最初に電極組立体を取得することを含んでいる。例えば平面状電極組立体等の電極組立体は、何れかの従来手段により所定パターン状に形成された複数の電極対(例えば、図1の電極112a及び112b)をその上に具備した基板を有する。電極の線幅及び間隔は、例えば、約0.15μmと75μmとの間である。
【0022】
一実施形態では、ナノチューブの分散(dispersion)の程度(例えば、単一のナノチューブから何百ものナノチューブで構成されたロープにまで及ぶナノチューブロープの長さ)は、高周波の音波を当てる時間を変えること、音響励振の振幅を変えること、又はナノチューブが分散された流動体を選択すること、により変化させられ得る。ナノチューブを濡らす流動体はナノチューブが再凝集する傾向を低減することにより分散度を増大させる。分散度は溶媒の表面エネルギーとナノチューブの表面エネルギーとに依存する。なお、これらの表面エネルギーは例えば逆クロマトグラフィ法によって測定される、分散はまた、ナノチューブ又はナノチューブロープの機能化(例えば、ナノチューブ凝集体に分子を化学的に付着させること)によって制御され得る。
【0023】
ナノチューブの分散を制御する上でナノチューブの濃度が重要となり得る。ナノチューブの線状の束における、より大きい凝塊へのナノチューブの再凝集は線状ナノチューブ束の濃度の平方に正比例する。一実施形態では、ナノチューブ濃度は、化学修飾されたナノチューブに対する1mlの溶媒当たり10-4グラムの線状ナノチューブロープから、実用的な懸濁時間で単一ナノチューブを得るための10-8g/mlまでの範囲となり得る。
【0024】
分散はナノチューブが3次元凝集体を形成する傾向を制御するために利用可能である。ナノチューブはナノメートル規模で平坦であり、故にそれらをくっつける非常に大きいファンデルワールス力を有するため、3次元凝集体を形成する傾向がある。3次元凝集体を破壊する方法は溶液中にナノチューブの線状凝集体を懸濁するために利用され得る。一実施形態では、線状凝集体の電気泳動はナノチューブの線状凝集体の溶液から始まる。
【0025】
超音波分散はナノチューブの線状凝集体の溶液を作成する最も一般的な方法である。このような溶液は本質的に非平衡(不安定)状態にある。ナノチューブ凝塊の分解速度は溶液に印加される音響エネルギーに比例する。再凝集速度は、nを2又はそれより幾分大きい値として、濃度のn乗に比例する。故に、一実施形態では、連続的に高周波の音波を当てることが適用される。あるいは、堆積期間中のナノチューブ凝集体の再凝集を回避するように十分に低濃度の溶液内では、分散は連続的に高周波音波を印加することなく達成される。
【0026】
工程212にて、電着溶液を形成するために、SWNTは例えばエタノール等の有機溶媒の溶液内で分散される。一実施形態では、SWNT懸濁液濃度は5.059×10-7g/mlである。極性有機溶媒で高度に分散されたSWNT懸濁を得るため、分散は大振幅の超音波エネルギーを用いて実行される。この例では、分散装置はブランソン社のチタン製のくさび状先端の超音波溶着ホーン、及びブランソン社の940B型電源である。分散装置の設定の一例では、周波数は40kHz、振幅利得は2:1、電力は700W連続、振幅は最大45%である。電着溶液は、SWNTを溶媒に付加し、それを例えば30分間にわたって超音波分解することによって作成され得る。電着溶液は金属性、半金属性及び半導電性のSWNTの混合物を含んでいる。
【0027】
工程214にて、電極組立体の電極対が電源に電気的に接続され、その電極対を電着溶液内で懸濁することにより、平面状電極組立体が電着溶液内に浸される。
【0028】
工程216にて、電極112に接続された電源が作動され、従って、電着処理が実行され、例えば、図1の基板110の電極112aと112bとの間に架かる図1のSWNTロープ114等の、SWNTロープが電極対間に形成される。例えば、電着処理は、5Vから30Vの交流電界強度を周波数5MHzで10分から105分間にわたって電極112に印加することにより実行される。この電界の存在下で、SWNTは溶液から電界源の方へと移動する。各SWNTの表面電界の存在下で双極子が生成され、それは堆積されるときにSWNTを電界方向に配向させる。単一ナノチューブ又はSWNTロープの幅及び配置は電極形状に依存し、一方、堆積されるSWNTの体積は堆積時間に依存する。従って、電極間の抵抗値は堆積時間、故にSWNT架橋部の数が増大するに連れて低下する。電着処理は電極112間の抵抗値を測定する標準的な器具類を用いて実時間で監視されてもよい。
【0029】
工程218にて、電源が停止され、例えばSWNTデバイス100等の複数のSWNTデバイスが堆積された電極組立体が電着溶液から取り出される。
【0030】
工程220にて、半導電性デバイスを作り出すために、例えばSWNTロープ114等のSWNTロープ内の金属性SWNTがその中のパーコレーション(percolation)経路に沿って選択的に焼却される。選択的焼却処理は、例えば電極112a及び112b等の2つの電極間のバイアス電圧を、例えば、約-1.0Vから+1.0Vに傾斜変化させることによって実行され、その結果の電流が導電性の金属性SWNTをバルク状に焼却して半導電性デバイスを作り出す。電圧は、例えば、約0.1秒から5秒にわたって傾斜変化させられる。その過程と結果が図3A、3B、3C及び3Dに例示されている。好ましくは、バイアス電圧は半導電性デバイスを形成するに十分な量だけSWNTロープ内の金属性SWNTを除去する(例えば、電極間に連続した金属性SWNT経路を残さないように焼却処理される)。例えば、一実施形態では、分離された金属性SWNTが電界印加後に半導電性デバイス内に(例えば、非パーコレーション経路に沿って)存在してもよい。連続した金属性SWNT経路の除去は所望の半導体的デバイス動作を得るために好ましいものである。
【0031】
本発明のこの実施形態では、得られた半導電性デバイスのカーボンナノチューブは好ましくは半導電性カーボンナノチューブで本質的に構成される。“本質的に構成される”という用語は、半導電性デバイスの基本的で新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料を含むものである。例えば、電気的に分離された金属性カーボンナノチューブの存在はデバイスの半導体的特性に実質的に影響を及ぼすものではない。
【0032】
図3Aは、例えば、方法200の工程210乃至218によって形成されたSWNTデバイス100の上面図を例示している。図3Aは、例えば5μmの間隔を空けられた電極112aと112bとを橋渡しするSWNTロープ114の長さを示している。
【0033】
図3Bは、工程220の焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられたSWNTロープ114の断面図を例示している。この図は、SWNTロープ114は、平行に配向され且つ互いに接触した、複数の半導電性SWNT310及び複数の金属性SWNT312をさらに含んでいることを示している。SWNTの長さと直径との比はおよそ1000:1である。
【0034】
図3Cは、工程220の焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線B−Bに沿ってとられたSWNTロープ114の断面図を例示している。
【0035】
図3Dは、工程220の焼却処理にかけられた後の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられたSWNTロープ114の断面図を例示している。この図は、SWNTロープ114のパーコレーション経路に沿った金属性SWNT312がバルク焼却処理によって除去され、半導電性SWNT310及び分離された金属性SWNT312のみが残されている。
【0036】
図1、2、3A、3B、3C及び3Dを参照するに、電界の影響下でナノチューブを堆積し且つ配列させられることは、単一ナノチューブ又はSWNTロープのバルク配列を行う標準的な巨視的技術を用いてナノ材料を操作することができることを実証可能な処理技術である。方法200から成る製造技術は、SWNTに基づく材料及びデバイスをコスト効率良く大量生産することに拡張可能である。これらのデバイスは、例えば、方向性のある導電率及び強度を具備するナノ複合材料、並びにナノ電子回路及びデバイスを含む。図2の方法200で説明された工程後のさらなる後処理工程により、種々の用途で利用される様々なカーボンナノチューブ電気デバイスの形成が可能になる。それら用途には、これらに限られないが、光検出器、化学的又は生物学的なセンサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及び高い回路密度を必要とする信号処理用途における基礎的要素としての使用に適したナノチューブ接合の2次元アレイ等がある。このようなデバイスの例は図4乃至9Bを参照して提示される。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に従った典型的なカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET)400の側面図を例示している。SWNTデバイス100と同様に、CNFET400は電極112a及び112bに架かるSWNTロープ114を有しており、図4に示されるように、電極112a及び112bは誘電体層410上に堆積され、誘電体層410はゲート層412上に堆積されている。
【0038】
誘電体層410は、半導体製造で一般的に用いられるように、例えば二酸化シリコン(SiO2)又はSiN等の絶縁体から形成可能であり、最大で例えば約150nmの厚さを有する。ゲート層412はドーピングされたシリコンで形成され、標準ウェハを有する。この場合のドーピングは半導体結晶格子に特定の不純物原子を意図的に導入し、その結晶格子の電気特性を変化させるものである。この例では、電極112a及び112bがCNFET400のソース及びドレインを形成する一方で、ゲート層412への電気接続(図示せず)がゲートを形成している。図4の例ではCNFET400はバックゲート型デバイスであるが、フロントゲート型又はサイドゲート型のデバイスが形成されてもよい。CNFET400は従来方式で動作し、それにより、ソースとドレイン(すなわち、電極112aと112b)との間に電位差が印加され、CNFET400はゲート、すなわち、ゲート層412の電圧制御によってターンオン又はオフされるスイッチのように機能する。
【0039】
本発明の他の一実施形態では、複数のナノスケール接合(例えば、間隔が密(中心の間隔で10nmから1000nm)な0.7nmから100nmの造りサイズ)が線状のナノチューブ凝集体の長さ方向に沿って形成され、電気泳動を用いた従来のマイクロエレクトロニクス回路又はチップに組み込まれ得る。例えば、このような手法により、ナノメートルの造りサイズを有する回路が標準的なリソグラフィを用いて作成され得る。この例では、従来のリソグラフィを用いて、標準的なマイクロエレクトロニクス回路とナノチューブの電気泳動析出を導く電極アレイとが作成される。この例で作成される従来のエレクトロニクスを封止し、チップを電気泳動槽に置くことにより、本発明に従ってナノチューブが析出されてナノスケール回路が実現される。
【0040】
他の一実施形態では、ナノチューブデバイスは堆積された線状のナノチューブ凝集体上に電気的活性分子の自己組織化によって形成され得る。例えば、ここで説明される生物学的センサはこのようにして形成され得る。あるいは、堆積された互いに急角度で接触する(例えば、直角に交わる、或いは接触する)線状ナノチューブ凝集体群から電極の2次元又は多次元アレイが形成され得る。図9A及び9Cに例示されるように、線状ナノチューブ凝集体の直角の重なりはアクティブ・ナノデバイスを作成するために使用可能な電気的接合を形成可能である。
【0041】
他の一実施形態では、電極群の2次元又は多次元アレイが1度に1対ずつ活性化される。このようにして、線状ナノチューブ凝集体は活性化された電極対に接続するように堆積される。この例では、堆積された線状ナノチューブ凝集体は金属性(電極を接続する連続した金属性経路を有する)、半導電性(電極を接続する連続した金属性経路を有さない)とされてもよく、或いは単一の金属性又は半導電性ナノチューブとされてもよい。
【0042】
他の一実施形態では、橋渡しされる電極対の選択と焼却電圧の印加とが自動的に(例えば、コンピュータ制御下で)適用されてもよい。この典型的な処理を自動化することにより、多数のナノチューブを堆積させることが許されるようになる。電極間の空間を橋渡しするナノチューブ数が増加するにつれ、次の電極対を橋渡しすることはますます多くの接合を作り出すことになる。コンピュータ駆動された電気泳動析出は、故に、ナノスケールデバイス回路を製造する効果的な処理を実現するものである。ナノチューブ架橋部のアレイが堆積されると、ある適当なマイクロエレクトロニクス材料から成る平面状の膜がナノチューブ上に堆積されることができ、また、電極はナノチューブを堆積し且つそれと接触するように使用され得る。そして、もう1層のナノチューブが第1の膜上に堆積され得る。故に、本発明のこの実施形態では、ナノチューブデバイスの3次元アレイが製造され得る。
【0043】
図5Aは他の典型的なカーボンナノチューブ電気デバイスを示している。図5Aは本発明の一実施形態に従ったナノチューブ(NT)生物学的センサ500の側面図を例示している。NT生物学的センサ500は生物学的又は化学的な受容体(receptor)で機能化されたFETである。例えばNT生物学的センサ500等の生物学的センサを形成するナノチューブ束の側壁は、例えばボツリヌス神経毒素(botulinum neurotoxin;BoNT)、炭疽菌及びリシン等の様々な危険物質に対する受容体で修飾され得る。
【0044】
図5AのNT生物学的センサ500は単なる一例である。より具体的には、NT生物学的センサ500はBoNT受容体で機能化されたバックゲート型FETである。NT生物学的センサ500は、図1乃至4を参照して説明したように、電極112a及び112bに架かるSWNTロープ114、誘電体層410、及びゲート層412を有している。しかしながら、この例ではSWNTロープ114はバイオセンサデバイスとして機能化されるように化学的に修飾されている。従って、図5Aの細部Aの拡大図である図5Bに示されるように、図5A及び5BのNT生物学的センサ500はさらに、SWNTロープ114の長さ方向に沿って1つ又は複数のピレン受容体512を介して付着された1つ又は複数のBoNT抗体510を有している。この例では、BoNT抗体510がNT生物学的センサ500のBoNT検知素子である。NT生物学的センサ500は、たった1μmの長さの単一ナノチューブロープに沿って複数の抗原を有するという利点をもたらすものである。
【0045】
例えばNT生物学的センサ500等のバイオセンサの典型的な動作について説明する。所与の官能基のバイオセンサはその電極間に一定の電子伝導率を有する。FETが機能化された対象である毒素がSWNTロープに結合すると(例えば、BoNTがその受容体に結合すると)、毒素の電気陰性度がデバイスの活性領域から電子を引き抜き、それによりバイオセンサの電気応答を変化させる。電気応答の変化はその電流又は電圧を電極112を介して測定することにより検出可能である。例えば、バイオセンサが空乏型デバイスである場合、電子が毒素(例えば、BoNT)から取り出されるとSWNTロープ114の抵抗値の増加が検出される。以下にて、例えばNT生物学的センサ500等のBoNTバイオセンサを形成するためにSWNTにBoNT検知素子を付着させる手法例について説明する。
【0046】
例えばBoNT抗体510であるBoNT検知素子をSWNT(例えば、SWNTロープ114)に付着させる一手法は、ピレン修飾されたBoNT受容体、例えばピレン受容体512、のSWNT表面への非共有結合を介して為される。ピレンをBoNT抗体とBoNTに対する天然の受容体であるGT1bとに化学的に付着させるための具体的詳細について、図6及び7を参照して説明する。
【0047】
修飾ピレンをカーボンナノチューブ表面に結合させることは、修飾ピレンを含む溶液にSWNTを24時間、室温で晒すことによって実行される。未反応物質が水洗処理によって除去される。SWNTへの付着は、例えばラマン法、蛍光法、近接場走査型顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)等の光学的及び微視的技術を用いて確認することができる。さらに、カーボンナノチューブに付着されたBoNT受容体の構造を導出するため核磁気共鳴(NMR)分光法が使用可能である。
【0048】
図6は、抗BoNTをピレンに付着させ、続いてSWNTに付着させる典型的な付着処理600を例示している。抗体をピレンに共有結合させる手法は、蛍光で抗体を付け加える確立された手順に頼るものである。商業的に利用可能な化学物質であるブタン酸ピレン・スクシンイミジル・エステル(Pyrenebutanoic acid succinimidyl ester;Pyr-NHS)が適当な緩衝溶液中で多クローン性ウサギ抗BoNT−A抗体と培養される。これにより、抗体中に一般に見られるアミン基とのアミド結合が形成され、故に、ピレンが図6に示されるように抗体に付着する(例えば、ピレン受容体512がBoNT抗体510に付着する)。
【0049】
図7は、GT1bをピレンに付着させる典型的な付着処理700を例示している。トリシアロガングリオシド(trisialoganglioside)GT1bはBoNTに対する天然の結合受容体である。この受容体はSWNTに化学的に付着されるのに適している。なぜなら、重鎖とGT1b分子との結合特性は、BoNT分子と結合部位との間に殆ど解離がなく、非常に高い結合親和力を示すからである。BoNTに対する天然の受容体を用いる利点は、実際に検出される抗原を正常な生物学的機能と確実に干渉させることである。ここで説明された合成手法は、BoNTに特有のものであったが、多様な抗体に基づいたペプチドに基づくセンサが作成されるように容易に変更されるものである。
【0050】
最初に、無水酢酸とピリジン乾燥GT1bとの1:2混合物の付加により、GT1bの水酸基の保護が遂行される。図7の処理段階1のスフィンゴシン二重結合の酸化が、t-BuOH/H2O/NaIO4/KMnO4を用いる中性酸化条件で行われる。この方法は過アセチル化スフィンゴ糖脂質内のスフィンゴシン二重結合を開裂するのに効果的である。なお、スフィンゴシン鎖の除去はGT1bの結合特性には悪影響を及ぼさない。反応終了後、未反応の酸化剤は奪われ、且つ修飾ガングリオシドがエーテルで引き抜かれ、それにより図7の処理段階2に示される化合物が得られる。
【0051】
ピレンのGT1bへの付着は、末端アミン官能性化合物に変化された1-ブタン酸ピレン・スクシンイミジル・エステル(Pyr-NHS)から、それの5%エチレン・ジアミン水溶液との反応によって開始される。図7の処理段階2で示される化合物へのアミノ官能性ピレンの結合は、図7の処理段階3に示されるように、カルボン酸反応性1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC)及びN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)を用いて遂行され、それにより図7の処理段階4に示される化合物が得られる。最後に、トリエチルアミンの付加によって水酸基の脱保護が遂行され、図7の処理段階5に示される化合物が得られる。GT1bのピレンへの付着は光学的及び微視的技術を用いて測定可能である。
【0052】
GT1bをピレンに付着させる付着処理700は、図7の典型的な方法に示されるように、以下のようにまとめられる:
処理段階1:GT1bの水酸基の保護;
処理段階2:二重結合を酸化してカルボン酸に;
処理段階3:処理段階2の結果物をEDCと反応させ、N-スクシンイミドエステル中間体を生成;
処理段階4:N-スクシンイミドエステル中間体をアミン官能性ピレンと反応させる;及び
処理段階5:水酸基の脱保護。
【0053】
BoNT検知素子をSWNTに付着させる代替方法は共有鎖(covalent tether)に基づく。その方法はSWNTの側壁をアミン結合で機能化することを含む。アミン官能性SWNTは抗体とGT1b受容体との双方を結合するための出発物質である。GT1bに関し、図6及び7を参照して説明されたように受容体をピレンアミンと反応させることに関して述べられたのと同一の手順によって、受容体はアミン官能性SWNTと反応させられる。より具体的には、抗体への結合を遂行するため、アミン官能性SWNTのアミノ基はヘテロ二官能性架橋剤スルホSMCCと結合バッファ内で反応することができ、その結果、抗体及びその他のタンパク質のスルフヒドリル基と反応可能なマレイミド活性表面が得られる。標準的な文献手順によってSWNTに結合させるために、抗体の何れかが部分的に還元されてスルフヒドリルを生成する、すなわち、スルフヒドリル基が抗体に付加される。
【0054】
カーボンナノチューブ電気デバイスのさらに他の実施形態として、図8Aは本発明の一実施形態に従った2次元ナノチューブアレイ800の上面図を例示している。2次元ナノチューブアレイ800は、図2の方法200の電着処理により形成され、且つ高い回路密度を必要とする信号処理用途における基礎的要素としての使用に適した、ナノチューブ・マイクロエレクトロニクスデバイスの典型例である。2次元ナノチューブアレイ800は基板810、複数の電極812、複数の電極814、電極816、電極818、複数の単一ナノチューブ又はSWNTロープ820、及び、単一ナノチューブ又はSWNTロープ820の交点に形成された複数の交差ナノチューブ接合822を有している。より具体的には、一組の平行配置された電極812a、812b、812c、812d及び812eが、一組の平行配置された電極814a、814b、814c、814d及び814eの反対側に配置されており、また、電極816が電極818の反対側に配置されている。電極816及び電極818は、電極812及び電極814に対して直角であり且つそれらの間の中心にある。図8Aに示される電極配置は単なる一例であり、ユーザが定める如何なるパターンも可能である。本発明の好適な一実施形態に従って、ナノチューブの使用可能な接合の1つ又は複数のアレイ(例えば、線状のナノチューブの凝集体)が、好適な如何なる基板(例えば、マイクロエレクトロニクス基板)上にも設けられ得る。
【0055】
電極812、電極814、電極816及び電極818は、例えば、金などの導電体で形成された、何れかの従来プロセスにより基板810上に堆積された0.5μmの金属線である。例えば電極812a及び814a、又は電極816及び818等の対向電極間の間隔は、例えば、約0.5μmと75μmとの間とし得る。基板810は、例えばSiN、SiO及びSi等の半導体製造で一般的に用いられる非導電体の何れかで形成される。あるいは、基板810は、例えばプラスチック、液晶高分子膜又はポリイミド等で形成されたフレキシブル基板である。
【0056】
単一ナノチューブ又はSWNTロープ820は、図1のSWNTロープ114を参照して説明されたものと同様である。単一ナノチューブ又はSWNTロープ820は、図2の方法200を参照して説明された電解析出法を用いて形成される。電解析出処理中、交差ナノチューブ接合822は単一ナノチューブ又はSWNTロープ820の交点に形成される。より具体的には、例えば電極812aと電極814cとの間、又は電極818と電極814dとの間などの電極間を橋渡しするナノチューブを作り出すために、2つの電極間に電位を与えることによって2次元ナノチューブアレイが形成され得る。この処理は各電極がその他の電極の各々と交差ナノチューブ接合822によって電気的に接続されるまで繰り返される。これは、例えば、各電極に探針を配置し電極を対にして活性化することにより自動的に実行される。2次元ナノチューブアレイ800は、0.5μmのリソグラフィを用いる、ナノスケールの接合密度を有するナノチューブ回路の起源を表すものである。2次元ナノチューブアレイ800はいったん堆積されると、単一ナノチューブ又はSWNTロープ820と相互作用する例えば量子ドット等の他のナノ構造の自己組織化の基礎として機能してもよい。量子ドットは、ナノチューブと電気的又は光学的に相互作用するように接合層上に自己組織化可能な多層材料から成る微小ドット(50nm未満)である。
【0057】
2次元ナノチューブアレイ800は、方法200を用いて形成され得るものであり、個々のナノチューブを基板上に原子間力顕微鏡を用いて配置することを含む現行手法より拡張可能に、実用的に、且つ効率的に、ナノチューブからナノスケールの電子デバイス・アレイ、例えばメモリ・アレイ、を作り出す方法の典型的なものである。方法200を用いて形成された2次元ナノチューブアレイ800は、その他のナノ粒子と比較して高い、ナノチューブのアスペクト比を活用するものである。SWNTは、平均長が1μmであり、例えば幅が数nm、長さが5μmとし得る単一ナノチューブ又はSWNTロープを形成している。他の一実施形態では、例えばナノチューブの束又はロープ構造に配置された、多層のナノチューブを有する多次元アレイが形成され得る。
【0058】
図8Bは、本発明に従った交差ナノチューブ接合822の拡大図を例示している。交差ナノチューブ接合822は2つのナノチューブ(又はSWNTロープ)が、図8Bに示されるように、90°に近い急角度で交差するようにされた接合である。この形態は図1に示された直線型接合とは異なっている。交差接合は数nm間隔の接合アレイを組み立てるのにより適したものである。ここで説明された全ての交差ナノチューブ接合822は、例えば、SWNTロープ820等の単一ナノチューブ又はSWNTロープを用いて作成されてもよい。
【0059】
図8Cは、図8Bの直線D−Dに沿ってとられた交差ナノチューブ接合822の断面図を例示している。半導電性ナノチューブと接触している金属性ナノチューブ(束/ロープ又はSWNT)はショットキー接合に類似の接合を形成している。なぜなら、図8Cに示されるように、金属性ナノチューブから半導電性ナノチューブに電子が注入されるからである。半導電性ナノチューブの接合付近の領域にある電子数は、FETの場合と類似して、金属性ナノチューブと半導電性ナノチューブとの間に電圧を印加することによって制御可能である。処理状況では、電位差はナノチューブの各々に印加される電圧に依存する。接合の等価回路は2つのナノチューブ間に接続されたダイオードになる。この構成はダイオード論理アレイの実施に使用可能である。
【0060】
金属性及び半導電性のナノチューブの双方を含む焼却されたロープが用いられるとき、一部の交差ナノチューブ接合822はショットキー接合(金属−半導体接触)を形成し、一部は抵抗性接合(金属−金属接触)を形成する。染み入っている(percolating)金属性ナノチューブ経路を有するロープ内の半導電性ナノチューブは金属性媒体のように見える。なぜなら、図8B及び8Cに示されるように、金属性ナノチューブは半導電性ナノチューブと接線接触しており、半導体への電子注入を非常に効率的にしているからである。これが意味するのは、染み入っているナノチューブが接触部材の1つとして使用されるとき、絶縁性接触は見られないということである。故に、染み入るように含まれているロープ内の半導電性部分は高濃度にドーピングされた半導体のように見える。好ましくは、適度な密度のショットキー接合を得るために、複数層の少なくとも1つは焼却されたSWNTロープでなければならない。
【0061】
さらに他の典型的なカーボンナノチューブ電気デバイスとして、図9Aは本発明に従った、接合層を有する2次元ナノチューブ配列の上面図を例示している。2次元ナノチューブアレイ900は、図2の方法200の電着処理により形成され、且つ高い回路密度を必要とする信号処理用途における使用に適したナノチューブ・マイクロエレクトロニクスデバイスのさらに他の一例である。2次元ナノチューブアレイ900は、図8のナノチューブアレイ800を参照して述べられたように、基板810、電極812、電極814、電極816、電極818を有している。2次元ナノチューブアレイ900はさらに、第1のナノチューブ層910及び第2のナノチューブ層912、並びにそれらの間に挟み込まれた接合層914を有している。第1のナノチューブ層910及び第2のナノチューブ層920は各々、電極対の間に形成された、例えば2次元ナノチューブアレイ800の単一ナノチューブ又はSWNTロープ820等の、複数の単一ナノチューブ又はSWNTロープを有している。
【0062】
2次元ナノチューブアレイ900は以下のように形成され得る:(1)図2の方法200による、第1のナノチューブ層910を形成する一組の単一ナノチューブ又はSWNTロープの堆積;(2)何れかの従来プロセスによる接合層914の堆積;及び(3)図2の方法200による、第2のナノチューブ層912を形成する一組の単一ナノチューブ又はSWNTロープの堆積。交差ナノチューブ接合916は、接合層914内の第2のナノチューブ層912のSWNTロープ820が第1のナノチューブ層910のSWNTロープ820と交差する如何なる位置にも形成され得る。これを図9Bにより詳細に示す。
【0063】
図9Bは、図9Aの直線C−Cに沿ってとられた2次元ナノチューブアレイ900の断面図を例示しており、接合層914内に形成された典型的な交差ナノチューブ接合916を示している。交差ナノチューブ接合916は、図9Bに示されるように、第1のナノチューブ層910のSWNTロープ820と第2のナノチューブ層912のSWNTロープ820との間の最も近い接触点に、例えば接合層914等の薄い材料層(例えば、約10nm程度)を堆積することにより形成される。
【0064】
図9Cは、本発明の一実施形態に従った交差ナノチューブ接合916の拡大図を例示している。図9Cの交差ナノチューブ接合916は、図示されるようにSWNTロープ820に巻き付く分子920により形成された接合層914の作用を示している。分子920は、これには限られないが、例えばポリアニリン分子である。
【0065】
図8A乃至9Cを参照するに、例えば2次元ナノチューブアレイ900の接合層914等の薄層をSWNTロープ間に挿入して交差ナノチューブ接合を製造することは、図8A、8B及び8Cの2次元ナノチューブアレイ800に示されるようにSWNTロープを直接接触するように配置して製造することと比較して、接合特性のより多くの制御を可能にする。しかしながら、2次元ナノチューブアレイ800の場合のように、SWNTロープを直接接触させることにより交差ナノチューブ接合を製造することは容易さの面で優れている。
【0066】
図8A乃至9Cを参照して述べられたように、SWNTロープ又は単一ナノチューブは、ナノチューブ間への好適材料層の挿入により接合を形成することに使用され得る。さらに、約10nm厚さの分子の巻物や絶縁層はトンネル接合を形成する。トンネル接合から形成される、マイクロエレクトロニクス技術で標準的なデバイスには多くの種類が存在する。最も単純なトンネル接合の用途は、低電圧での低導電率状態と閾値レベルの電圧より上での高導電率状態とを有する2状態論理デバイスである。高品質の酸化膜を用いて、一方のナノチューブの電圧が他方のナノチューブの電子を空乏化する、或いは電子を注入するFETを実現してもよい。この場合、一方のナノチューブは半導電性又は焼却されたSWNTロープであり、他方は金属性ナノチューブ又は金属性パーコレーション経路を有するSWNTロープである。
【0067】
例えば、2次元ナノチューブアレイ800の交差ナノチューブ接合822、又は2次元ナノチューブアレイ900の交差ナノチューブ接合916等の、交差ナノチューブ接合によって非常に密な接合アレイが作成され得る。従来からのリソグラフィで形成される制御線すなわち入力・出力線と結合するために、これらのアレイは約1μm長さのナノチューブを用いる。サブミクロン(50nm)スケールの接合を定めるためにクロスバー配置が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に従った最も単純な形態の単層カーボンナノチューブデバイスを例示する側面図である。
【図2】電解析出を“焼却”処理と組み合わせて使用することによる、半導電性単層カーボンナノチューブデバイスのコスト効率に優れた大量生産方法を例示するフロー図である。
【図3A】図2に例示された方法により形成された単層カーボンナノチューブデバイスを例示する上面図である。
【図3B】本発明の一実施形態に従って焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられた単層カーボンナノチューブロープの断面図である。
【図3C】本発明の一実施形態に従って焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線B−Bに沿ってとられた単層カーボンナノチューブロープの断面図である。
【図3D】本発明の一実施形態に従って焼却処理にかけられた後の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられた単層カーボンナノチューブロープの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に従ったカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを例示する側面図である。
【図5A】本発明の一実施形態に従ったナノチューブ生物学的センサを例示する側面図である。
【図5B】図5Aの細部Aを例示する拡大図である。
【図6】抗BoNTをピレンに付着させ、続いて単層カーボンナノチューブに付着させる典型的な付着処理を例示する図である。
【図7】GT1bをピレンに結合させる典型的な結合処理を例示する図である。
【図8A】本発明の一実施形態に従った2次元ナノチューブアレイを例示する上面図である。
【図8B】本発明の一実施形態に従った交差ナノチューブ接合を例示する拡大図である。
【図8C】図8Bの直線D−Dに沿ってとられた交差ナノチューブ接合の断面図である。
【図9A】本発明の一実施形態に従った、接合層を有する2次元ナノチューブアレイを例示する上面図である。
【図9B】図9Aの直線C−Cに沿ってとられた2次元ナノチューブアレイの断面図である。
【図9C】本発明の一実施形態に従った、接合の制御を改善するための2つの活性マイクロエレクトロニクス材料層を有する交差ナノチューブ接合を例示する拡大図である。
【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブに基づく電子デバイスに関する。特に、本発明は電解析出(electrolytic deposition)によって製造されたカーボンナノチューブに基づく電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は、100nmより小さい造りを製造するようになるにつれ、ますます困難な技術的課題に直面している。特に困難な課題は、100nmより小さい寸法を有する手ごろなスケーリング及びリソグラフィを実現すること、新材料及び新構造を利用すること、並びにギガヘルツ周波数動作及び非常に高いデバイス密度をチップ上に実現することである。100nmの壁を超えて存在する製造課題を如何に解決するかについては産業界で同意がとれていない。産業界が直面する問題は、チップ作成に使用される優位技術である光リソグラフィが、シリコン上にパターンを形成するために光を用いることである。100nmを下回ると、一般的にチップ製造に用いられている光の波長(193nm及び157nm)は大きすぎて有用ではない。現在、光リソグラフィの後継技術として選定されるために幾つかの候補技術が優劣を競っているところである。それらには、極紫外線リソグラフィ(EUV)、スカルペル(scalpel)と呼ばれる電子ビーム法、及びX線リソグラフィが含まれる。何れも未だ好適な選択として浮上してはいない。
【0003】
カーボンナノチューブに基づく分子(molecular)エレクトロニクスの発展によって、何十億個というトランジスタを有する論理デバイスの構築が可能になるであろうことが広く認識されている。このようなコンピュータは今日のマシンより桁違いに強力なマシンとなる。これが現実となるためには、分子エレクトロニクスデバイスを大量生産する方法が発見されることが不可欠である。走査プローブ法は一度に単一のデバイスをナノチューブに製造できることが証明されているが、何十億個ものトランジスタを実用化するのに十分なだけプロセスを高速化する手法は未だ発見されていない。化学的な自己組織化(self-assembly)プロセスも提案されているが、現段階では、この方法を用いて最も単純な構造のみが構築されるにとどまっている。異なる材料と分子エレクトロニクスデバイスの組立とを特有の造りに結合させる問題は大きな課題を抱えたままである。故に、ナノサイズの直径(例えば、0.7nmから50nm)、ミクロンからサブミクロンサイズの長さ(例えば、100nmから1000nm)、及び数nm長さ(例えば、0.1nmから5nm)のゲート構造を有するカーボンナノチューブ分子エレクトロニクスデバイスをコスト効率良く製造する可能性を実証することが望まれる。
【0004】
ナノチューブ又はナノチューブ束/ロープは一般に1nmより遙かに長い。故に、所望のナノスケール密度を実現するためには、各ナノチューブ又はナノチューブロープの長さ方向に沿って多数の入力又は接合が必要とされる。ナノチューブ接合すなわち使用可能なナノチューブ接合は、ナノチューブが互いに近接していて電気的に加工され得る位置又は箇所になる。
【0005】
Chico等による理論研究により、五員環−七員環ペア欠陥を六員環ナノチューブ構造に導入することによって、ナノスケールのナノチューブデバイスの基礎として、位相的に(topologically)又は電気的に異なる2つのナノチューブ間に接合を作り出すことが提案されている(非特許文献1参照)。また、S.Saitoにより、分子エレクトロニクスデバイスとして機能し得るカーボンナノチューブの理論的に可能な設計が述べられている(非特許文献2参照)。それら及びその他の同様の理論研究は、カーボンナノチューブを分子デバイスとして利用する可能性について概説しているものの、そのようなデバイスの設計及びその製造方法の提案には成功していない。
【0006】
Collins等により、単層(single-wall)のカーボンナノチューブの整流特性が実験的に実証されている(非特許文献3参照)。この研究もまた、カーボンナノチューブ分子エレクトロニクスデバイスの設計及び製造方法の提案には成功していない。
【0007】
故に、高コスト且つ非実用的な現在の製造手法を克服するために、カーボンナノチューブに基づく電子デバイスを効率的、コスト効率的且つ拡大縮小可能に大量生産する方法が望まれる。
【非特許文献1】Chico等、「Pure carbon nanoscale devices: nanotube heterojunctions」、Physical Review Letters、1996年
【非特許文献2】S.Saito、「Carbon nanotubes for next generation electronic devices」、Science、1997年
【非特許文献3】Collins等、「Nanoscale electronic devices on carbon nanotubes」、Fifth Foresight Conference on Molecular Nanotechnology、1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はカーボンナノチューブ技術により形成された電気デバイスを提供することを目的とする。また、本発明はカーボンナノチューブ電気デバイスを大量生産する経済的な製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明はカーボンナノチューブデバイスを用いて回路密度を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電解析出によって製造されたカーボンナノチューブに基づく電子デバイス及びその応用に関する。本発明は、電解析出によって製造されたナノチューブに基づく電子デバイス、例えば、これらに限られないが、化学的又は生物学的なセンサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET)、トンネル接合、ショットキー接合、及び高い回路密度を必要とする信号処理用途における基礎的要素としての使用に適したナノチューブ接合の2次元アレイを含む。
【0010】
また、本発明は単層ナノチューブデバイスを製造する新規な方法を含み、当該方法は、電解析出処理と、その後、染み入るように含まれている金属性ナノチューブを選択的に“焼却”し、それにより半導電性ナノチューブに基づく電子デバイスを形成する処理との組み合わせを含んでいる。
【0011】
さらに、本発明に係る製造方法は、ナノチューブに基づく電子デバイスを大量生産する効率的且つコスト効率的で拡大縮小可能なプロセスを提供するものである。
【0012】
本発明の好適な一実施形態に従ったデバイスは、少なくとも1つのマイクロエレクトロニクス基板に堆積されたアクティブなカーボンナノチューブ接合のアレイを少なくとも1つ有する。本発明の他の好適な一実施形態に従ったデバイスは、基板、前記基板に配置された少なくとも1対の電極であり、1対又は複数対の電極が電源に接続されているところの少なくとも1対の電極、及び前記少なくとも1対の電極間に配置された、半導電性カーボンナノチューブから本質的に構成されるカーボンナノチューブの束を有する。他の一実施形態では、カーボンナノチューブの束は半導電性カーボンナノチューブ及び分離された金属性ナノチューブから構成される。他の好適な一実施形態では、半導電性デバイスは2つの電極間でのカーボンナノチューブの電着により形成されている。
【0013】
また、本発明に係る半導電性デバイスを形成する好適な方法は、単層カーボンナノチューブロープにかかるバイアス電圧を傾斜変化させることによる。単層カーボンナノチューブロープは、好ましくは、複数の半導電性単層カーボンナノチューブ及び複数の金属性単層カーボンナノチューブを有する。複数の金属性単層カーボンナノチューブは半導電性デバイスを形成するに十分な量だけ(例えば、バイアス電圧の印加により)除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の好適な一実施形態に従った最も単純な形態の単層カーボンナノチューブ(single-wall carbon nanotube;SWNT)デバイス100の側面図を示している(縮尺通りには描かれていない)。より具体的には、SWNTデバイス100の構造は基板110を有し、その上には一対の電極112、例えば電極112a及び電極112b、が堆積されている。さらに、SWNTロープ114が基板110上の電極112aと電極112bとの間に堆積され、それらの電極と電気的に接続されている。SWNTロープ114は半導電性ナノチューブ(nanotube;NT)116と、例えば金属性NT118等の分離された金属的NTとの混合体から形成され得る。半導電性NT116は典型的な半導体の電流−電圧特性を示すカーボンナノチューブであり、金属性NT118は抵抗性(ohmic)の電流−電圧特性を示すカーボンナノチューブである。このデバイスを形成するために半導電性の単一のナノチューブが用いられてもよい。
【0015】
基板110は、例えば窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)及びシリコン(Si)等の、半導体製造で一般的に用いられる如何なる非導電性材料からも形成され得る。電極112a及び電極112bは、例えば金(Au)等の導電性材料から形成されることができ、SWNTデバイス100の電気的コンタクトとしての役割を果たす。電極112は、例えば約0.1μmと50μmとの間の厚さと、例えば約0.5μmと75μmとの間の幅とを有するが、SWNTロープ114が接触する部分の電極112の幅はおよそ0.3μmとし得る。電極112aと電極112bとの間隔は、これに限られないが、例えば約0.5μmと75μmとの間である。
【0016】
SWNTロープ114は、電極112aと電極112bとに架かるロープ状構造に並べられた個々の半導電性SWNTの束とし得る。SWNTロープ114を形成する半導電性SWNTは互いに接触するように並列に配置される。SWNTロープ114を形成するSWNTの外径は約0.7nmから3nmの範囲であり、SWNTの長さは最長で数μmとなり得る。SWNTロープ114全体の直径は、例えば、約0.7nmと500nmとの間である。SWNTロープ114は電着(electro-deposition)法によって形成され得る。この堆積法については図2を参照してより詳細に述べる。
【0017】
引き続き図1を参照し、SWNTデバイス100は、SWNTを用いて作成される電気デバイスの最も単純な形態を表している。例えば、カーボンナノチューブは本質的に光電性であるため、一実施形態においては、SWNTデバイス100は光検出器(又はフォトダイオード)としての使用に適している。動作時には、電極112aと電極112bとの間に電位差を与えることにより、あるいはSWNTデバイス100を光源に晒すことにより、SWNTロープ114内に電流が誘起される。光源が取り除かれると、SWNTデバイス100を流れる電流は消滅する。この光電性は、例えば、光学回路のナノチューブデバイス部分を作成するために利用可能である。
【0018】
図2は、電解析出を選択的“焼却(burn-out)”処理と組み合わせて使用する、例えばSWNTデバイス100等の半導電性SWNTデバイスをコスト効率良く大量生産する方法200を示すフロー図である。電解析出溶液は金属性、半金属性、及び半導電性のSWNTから成る混合物を含むので選択的焼却処理が好ましい。半導電性デバイスを作り出すため、本発明の一実施形態に従って、高い導電性を有する金属性SWNTが選択的に除去される。
【0019】
方法200はSWNT製造プロセスと選択的“焼却”処理とを結合する半導電性SWNTデバイスを製造する好適な方法である。文献(P.Jaynes、T.Tiano、M.Roylance、C.Carey及びK.McElrath著、「Alignment and Deposition of Single Wall Carbon Nanotubes under the Influence of an Electric Field」、Nano- and Microelectromechanical Systems (NEMS and MEMS) and Molecular Machines、編集D.A.LaVan、A.A.Ayon、T.E.Buchheit及びM.J.Madou、MRS Proceedings vol.741、2003年、J8.5.1乃至J8.5.6頁(参照することにより全体がここに組み込まれる)による好適な製造プロセスが、方法200の工程210乃至218を参照してまとめられている。金属性SWNTの選択的焼却工程については、方法200の工程220、並びに図3A、3B、3C及び3Dを参照して説明する。なお、電着溶液が半導電性SWNTのみを含む場合は、工程220の選択的焼却処理は不要である。
【0020】
方法200を参照するに、電界中でSWNTを配列させる能力に寄与する変数には、例えば、SWNT懸濁液濃度、堆積時間、電界強度(電圧V)、電界の周波数(MHz)、及び電極設計(形状、線幅、及び間隔)が含まれる。
【0021】
工程210にて、方法200は最初に電極組立体を取得することを含んでいる。例えば平面状電極組立体等の電極組立体は、何れかの従来手段により所定パターン状に形成された複数の電極対(例えば、図1の電極112a及び112b)をその上に具備した基板を有する。電極の線幅及び間隔は、例えば、約0.15μmと75μmとの間である。
【0022】
一実施形態では、ナノチューブの分散(dispersion)の程度(例えば、単一のナノチューブから何百ものナノチューブで構成されたロープにまで及ぶナノチューブロープの長さ)は、高周波の音波を当てる時間を変えること、音響励振の振幅を変えること、又はナノチューブが分散された流動体を選択すること、により変化させられ得る。ナノチューブを濡らす流動体はナノチューブが再凝集する傾向を低減することにより分散度を増大させる。分散度は溶媒の表面エネルギーとナノチューブの表面エネルギーとに依存する。なお、これらの表面エネルギーは例えば逆クロマトグラフィ法によって測定される、分散はまた、ナノチューブ又はナノチューブロープの機能化(例えば、ナノチューブ凝集体に分子を化学的に付着させること)によって制御され得る。
【0023】
ナノチューブの分散を制御する上でナノチューブの濃度が重要となり得る。ナノチューブの線状の束における、より大きい凝塊へのナノチューブの再凝集は線状ナノチューブ束の濃度の平方に正比例する。一実施形態では、ナノチューブ濃度は、化学修飾されたナノチューブに対する1mlの溶媒当たり10-4グラムの線状ナノチューブロープから、実用的な懸濁時間で単一ナノチューブを得るための10-8g/mlまでの範囲となり得る。
【0024】
分散はナノチューブが3次元凝集体を形成する傾向を制御するために利用可能である。ナノチューブはナノメートル規模で平坦であり、故にそれらをくっつける非常に大きいファンデルワールス力を有するため、3次元凝集体を形成する傾向がある。3次元凝集体を破壊する方法は溶液中にナノチューブの線状凝集体を懸濁するために利用され得る。一実施形態では、線状凝集体の電気泳動はナノチューブの線状凝集体の溶液から始まる。
【0025】
超音波分散はナノチューブの線状凝集体の溶液を作成する最も一般的な方法である。このような溶液は本質的に非平衡(不安定)状態にある。ナノチューブ凝塊の分解速度は溶液に印加される音響エネルギーに比例する。再凝集速度は、nを2又はそれより幾分大きい値として、濃度のn乗に比例する。故に、一実施形態では、連続的に高周波の音波を当てることが適用される。あるいは、堆積期間中のナノチューブ凝集体の再凝集を回避するように十分に低濃度の溶液内では、分散は連続的に高周波音波を印加することなく達成される。
【0026】
工程212にて、電着溶液を形成するために、SWNTは例えばエタノール等の有機溶媒の溶液内で分散される。一実施形態では、SWNT懸濁液濃度は5.059×10-7g/mlである。極性有機溶媒で高度に分散されたSWNT懸濁を得るため、分散は大振幅の超音波エネルギーを用いて実行される。この例では、分散装置はブランソン社のチタン製のくさび状先端の超音波溶着ホーン、及びブランソン社の940B型電源である。分散装置の設定の一例では、周波数は40kHz、振幅利得は2:1、電力は700W連続、振幅は最大45%である。電着溶液は、SWNTを溶媒に付加し、それを例えば30分間にわたって超音波分解することによって作成され得る。電着溶液は金属性、半金属性及び半導電性のSWNTの混合物を含んでいる。
【0027】
工程214にて、電極組立体の電極対が電源に電気的に接続され、その電極対を電着溶液内で懸濁することにより、平面状電極組立体が電着溶液内に浸される。
【0028】
工程216にて、電極112に接続された電源が作動され、従って、電着処理が実行され、例えば、図1の基板110の電極112aと112bとの間に架かる図1のSWNTロープ114等の、SWNTロープが電極対間に形成される。例えば、電着処理は、5Vから30Vの交流電界強度を周波数5MHzで10分から105分間にわたって電極112に印加することにより実行される。この電界の存在下で、SWNTは溶液から電界源の方へと移動する。各SWNTの表面電界の存在下で双極子が生成され、それは堆積されるときにSWNTを電界方向に配向させる。単一ナノチューブ又はSWNTロープの幅及び配置は電極形状に依存し、一方、堆積されるSWNTの体積は堆積時間に依存する。従って、電極間の抵抗値は堆積時間、故にSWNT架橋部の数が増大するに連れて低下する。電着処理は電極112間の抵抗値を測定する標準的な器具類を用いて実時間で監視されてもよい。
【0029】
工程218にて、電源が停止され、例えばSWNTデバイス100等の複数のSWNTデバイスが堆積された電極組立体が電着溶液から取り出される。
【0030】
工程220にて、半導電性デバイスを作り出すために、例えばSWNTロープ114等のSWNTロープ内の金属性SWNTがその中のパーコレーション(percolation)経路に沿って選択的に焼却される。選択的焼却処理は、例えば電極112a及び112b等の2つの電極間のバイアス電圧を、例えば、約-1.0Vから+1.0Vに傾斜変化させることによって実行され、その結果の電流が導電性の金属性SWNTをバルク状に焼却して半導電性デバイスを作り出す。電圧は、例えば、約0.1秒から5秒にわたって傾斜変化させられる。その過程と結果が図3A、3B、3C及び3Dに例示されている。好ましくは、バイアス電圧は半導電性デバイスを形成するに十分な量だけSWNTロープ内の金属性SWNTを除去する(例えば、電極間に連続した金属性SWNT経路を残さないように焼却処理される)。例えば、一実施形態では、分離された金属性SWNTが電界印加後に半導電性デバイス内に(例えば、非パーコレーション経路に沿って)存在してもよい。連続した金属性SWNT経路の除去は所望の半導体的デバイス動作を得るために好ましいものである。
【0031】
本発明のこの実施形態では、得られた半導電性デバイスのカーボンナノチューブは好ましくは半導電性カーボンナノチューブで本質的に構成される。“本質的に構成される”という用語は、半導電性デバイスの基本的で新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料を含むものである。例えば、電気的に分離された金属性カーボンナノチューブの存在はデバイスの半導体的特性に実質的に影響を及ぼすものではない。
【0032】
図3Aは、例えば、方法200の工程210乃至218によって形成されたSWNTデバイス100の上面図を例示している。図3Aは、例えば5μmの間隔を空けられた電極112aと112bとを橋渡しするSWNTロープ114の長さを示している。
【0033】
図3Bは、工程220の焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられたSWNTロープ114の断面図を例示している。この図は、SWNTロープ114は、平行に配向され且つ互いに接触した、複数の半導電性SWNT310及び複数の金属性SWNT312をさらに含んでいることを示している。SWNTの長さと直径との比はおよそ1000:1である。
【0034】
図3Cは、工程220の焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線B−Bに沿ってとられたSWNTロープ114の断面図を例示している。
【0035】
図3Dは、工程220の焼却処理にかけられた後の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられたSWNTロープ114の断面図を例示している。この図は、SWNTロープ114のパーコレーション経路に沿った金属性SWNT312がバルク焼却処理によって除去され、半導電性SWNT310及び分離された金属性SWNT312のみが残されている。
【0036】
図1、2、3A、3B、3C及び3Dを参照するに、電界の影響下でナノチューブを堆積し且つ配列させられることは、単一ナノチューブ又はSWNTロープのバルク配列を行う標準的な巨視的技術を用いてナノ材料を操作することができることを実証可能な処理技術である。方法200から成る製造技術は、SWNTに基づく材料及びデバイスをコスト効率良く大量生産することに拡張可能である。これらのデバイスは、例えば、方向性のある導電率及び強度を具備するナノ複合材料、並びにナノ電子回路及びデバイスを含む。図2の方法200で説明された工程後のさらなる後処理工程により、種々の用途で利用される様々なカーボンナノチューブ電気デバイスの形成が可能になる。それら用途には、これらに限られないが、光検出器、化学的又は生物学的なセンサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及び高い回路密度を必要とする信号処理用途における基礎的要素としての使用に適したナノチューブ接合の2次元アレイ等がある。このようなデバイスの例は図4乃至9Bを参照して提示される。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に従った典型的なカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET)400の側面図を例示している。SWNTデバイス100と同様に、CNFET400は電極112a及び112bに架かるSWNTロープ114を有しており、図4に示されるように、電極112a及び112bは誘電体層410上に堆積され、誘電体層410はゲート層412上に堆積されている。
【0038】
誘電体層410は、半導体製造で一般的に用いられるように、例えば二酸化シリコン(SiO2)又はSiN等の絶縁体から形成可能であり、最大で例えば約150nmの厚さを有する。ゲート層412はドーピングされたシリコンで形成され、標準ウェハを有する。この場合のドーピングは半導体結晶格子に特定の不純物原子を意図的に導入し、その結晶格子の電気特性を変化させるものである。この例では、電極112a及び112bがCNFET400のソース及びドレインを形成する一方で、ゲート層412への電気接続(図示せず)がゲートを形成している。図4の例ではCNFET400はバックゲート型デバイスであるが、フロントゲート型又はサイドゲート型のデバイスが形成されてもよい。CNFET400は従来方式で動作し、それにより、ソースとドレイン(すなわち、電極112aと112b)との間に電位差が印加され、CNFET400はゲート、すなわち、ゲート層412の電圧制御によってターンオン又はオフされるスイッチのように機能する。
【0039】
本発明の他の一実施形態では、複数のナノスケール接合(例えば、間隔が密(中心の間隔で10nmから1000nm)な0.7nmから100nmの造りサイズ)が線状のナノチューブ凝集体の長さ方向に沿って形成され、電気泳動を用いた従来のマイクロエレクトロニクス回路又はチップに組み込まれ得る。例えば、このような手法により、ナノメートルの造りサイズを有する回路が標準的なリソグラフィを用いて作成され得る。この例では、従来のリソグラフィを用いて、標準的なマイクロエレクトロニクス回路とナノチューブの電気泳動析出を導く電極アレイとが作成される。この例で作成される従来のエレクトロニクスを封止し、チップを電気泳動槽に置くことにより、本発明に従ってナノチューブが析出されてナノスケール回路が実現される。
【0040】
他の一実施形態では、ナノチューブデバイスは堆積された線状のナノチューブ凝集体上に電気的活性分子の自己組織化によって形成され得る。例えば、ここで説明される生物学的センサはこのようにして形成され得る。あるいは、堆積された互いに急角度で接触する(例えば、直角に交わる、或いは接触する)線状ナノチューブ凝集体群から電極の2次元又は多次元アレイが形成され得る。図9A及び9Cに例示されるように、線状ナノチューブ凝集体の直角の重なりはアクティブ・ナノデバイスを作成するために使用可能な電気的接合を形成可能である。
【0041】
他の一実施形態では、電極群の2次元又は多次元アレイが1度に1対ずつ活性化される。このようにして、線状ナノチューブ凝集体は活性化された電極対に接続するように堆積される。この例では、堆積された線状ナノチューブ凝集体は金属性(電極を接続する連続した金属性経路を有する)、半導電性(電極を接続する連続した金属性経路を有さない)とされてもよく、或いは単一の金属性又は半導電性ナノチューブとされてもよい。
【0042】
他の一実施形態では、橋渡しされる電極対の選択と焼却電圧の印加とが自動的に(例えば、コンピュータ制御下で)適用されてもよい。この典型的な処理を自動化することにより、多数のナノチューブを堆積させることが許されるようになる。電極間の空間を橋渡しするナノチューブ数が増加するにつれ、次の電極対を橋渡しすることはますます多くの接合を作り出すことになる。コンピュータ駆動された電気泳動析出は、故に、ナノスケールデバイス回路を製造する効果的な処理を実現するものである。ナノチューブ架橋部のアレイが堆積されると、ある適当なマイクロエレクトロニクス材料から成る平面状の膜がナノチューブ上に堆積されることができ、また、電極はナノチューブを堆積し且つそれと接触するように使用され得る。そして、もう1層のナノチューブが第1の膜上に堆積され得る。故に、本発明のこの実施形態では、ナノチューブデバイスの3次元アレイが製造され得る。
【0043】
図5Aは他の典型的なカーボンナノチューブ電気デバイスを示している。図5Aは本発明の一実施形態に従ったナノチューブ(NT)生物学的センサ500の側面図を例示している。NT生物学的センサ500は生物学的又は化学的な受容体(receptor)で機能化されたFETである。例えばNT生物学的センサ500等の生物学的センサを形成するナノチューブ束の側壁は、例えばボツリヌス神経毒素(botulinum neurotoxin;BoNT)、炭疽菌及びリシン等の様々な危険物質に対する受容体で修飾され得る。
【0044】
図5AのNT生物学的センサ500は単なる一例である。より具体的には、NT生物学的センサ500はBoNT受容体で機能化されたバックゲート型FETである。NT生物学的センサ500は、図1乃至4を参照して説明したように、電極112a及び112bに架かるSWNTロープ114、誘電体層410、及びゲート層412を有している。しかしながら、この例ではSWNTロープ114はバイオセンサデバイスとして機能化されるように化学的に修飾されている。従って、図5Aの細部Aの拡大図である図5Bに示されるように、図5A及び5BのNT生物学的センサ500はさらに、SWNTロープ114の長さ方向に沿って1つ又は複数のピレン受容体512を介して付着された1つ又は複数のBoNT抗体510を有している。この例では、BoNT抗体510がNT生物学的センサ500のBoNT検知素子である。NT生物学的センサ500は、たった1μmの長さの単一ナノチューブロープに沿って複数の抗原を有するという利点をもたらすものである。
【0045】
例えばNT生物学的センサ500等のバイオセンサの典型的な動作について説明する。所与の官能基のバイオセンサはその電極間に一定の電子伝導率を有する。FETが機能化された対象である毒素がSWNTロープに結合すると(例えば、BoNTがその受容体に結合すると)、毒素の電気陰性度がデバイスの活性領域から電子を引き抜き、それによりバイオセンサの電気応答を変化させる。電気応答の変化はその電流又は電圧を電極112を介して測定することにより検出可能である。例えば、バイオセンサが空乏型デバイスである場合、電子が毒素(例えば、BoNT)から取り出されるとSWNTロープ114の抵抗値の増加が検出される。以下にて、例えばNT生物学的センサ500等のBoNTバイオセンサを形成するためにSWNTにBoNT検知素子を付着させる手法例について説明する。
【0046】
例えばBoNT抗体510であるBoNT検知素子をSWNT(例えば、SWNTロープ114)に付着させる一手法は、ピレン修飾されたBoNT受容体、例えばピレン受容体512、のSWNT表面への非共有結合を介して為される。ピレンをBoNT抗体とBoNTに対する天然の受容体であるGT1bとに化学的に付着させるための具体的詳細について、図6及び7を参照して説明する。
【0047】
修飾ピレンをカーボンナノチューブ表面に結合させることは、修飾ピレンを含む溶液にSWNTを24時間、室温で晒すことによって実行される。未反応物質が水洗処理によって除去される。SWNTへの付着は、例えばラマン法、蛍光法、近接場走査型顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)等の光学的及び微視的技術を用いて確認することができる。さらに、カーボンナノチューブに付着されたBoNT受容体の構造を導出するため核磁気共鳴(NMR)分光法が使用可能である。
【0048】
図6は、抗BoNTをピレンに付着させ、続いてSWNTに付着させる典型的な付着処理600を例示している。抗体をピレンに共有結合させる手法は、蛍光で抗体を付け加える確立された手順に頼るものである。商業的に利用可能な化学物質であるブタン酸ピレン・スクシンイミジル・エステル(Pyrenebutanoic acid succinimidyl ester;Pyr-NHS)が適当な緩衝溶液中で多クローン性ウサギ抗BoNT−A抗体と培養される。これにより、抗体中に一般に見られるアミン基とのアミド結合が形成され、故に、ピレンが図6に示されるように抗体に付着する(例えば、ピレン受容体512がBoNT抗体510に付着する)。
【0049】
図7は、GT1bをピレンに付着させる典型的な付着処理700を例示している。トリシアロガングリオシド(trisialoganglioside)GT1bはBoNTに対する天然の結合受容体である。この受容体はSWNTに化学的に付着されるのに適している。なぜなら、重鎖とGT1b分子との結合特性は、BoNT分子と結合部位との間に殆ど解離がなく、非常に高い結合親和力を示すからである。BoNTに対する天然の受容体を用いる利点は、実際に検出される抗原を正常な生物学的機能と確実に干渉させることである。ここで説明された合成手法は、BoNTに特有のものであったが、多様な抗体に基づいたペプチドに基づくセンサが作成されるように容易に変更されるものである。
【0050】
最初に、無水酢酸とピリジン乾燥GT1bとの1:2混合物の付加により、GT1bの水酸基の保護が遂行される。図7の処理段階1のスフィンゴシン二重結合の酸化が、t-BuOH/H2O/NaIO4/KMnO4を用いる中性酸化条件で行われる。この方法は過アセチル化スフィンゴ糖脂質内のスフィンゴシン二重結合を開裂するのに効果的である。なお、スフィンゴシン鎖の除去はGT1bの結合特性には悪影響を及ぼさない。反応終了後、未反応の酸化剤は奪われ、且つ修飾ガングリオシドがエーテルで引き抜かれ、それにより図7の処理段階2に示される化合物が得られる。
【0051】
ピレンのGT1bへの付着は、末端アミン官能性化合物に変化された1-ブタン酸ピレン・スクシンイミジル・エステル(Pyr-NHS)から、それの5%エチレン・ジアミン水溶液との反応によって開始される。図7の処理段階2で示される化合物へのアミノ官能性ピレンの結合は、図7の処理段階3に示されるように、カルボン酸反応性1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC)及びN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)を用いて遂行され、それにより図7の処理段階4に示される化合物が得られる。最後に、トリエチルアミンの付加によって水酸基の脱保護が遂行され、図7の処理段階5に示される化合物が得られる。GT1bのピレンへの付着は光学的及び微視的技術を用いて測定可能である。
【0052】
GT1bをピレンに付着させる付着処理700は、図7の典型的な方法に示されるように、以下のようにまとめられる:
処理段階1:GT1bの水酸基の保護;
処理段階2:二重結合を酸化してカルボン酸に;
処理段階3:処理段階2の結果物をEDCと反応させ、N-スクシンイミドエステル中間体を生成;
処理段階4:N-スクシンイミドエステル中間体をアミン官能性ピレンと反応させる;及び
処理段階5:水酸基の脱保護。
【0053】
BoNT検知素子をSWNTに付着させる代替方法は共有鎖(covalent tether)に基づく。その方法はSWNTの側壁をアミン結合で機能化することを含む。アミン官能性SWNTは抗体とGT1b受容体との双方を結合するための出発物質である。GT1bに関し、図6及び7を参照して説明されたように受容体をピレンアミンと反応させることに関して述べられたのと同一の手順によって、受容体はアミン官能性SWNTと反応させられる。より具体的には、抗体への結合を遂行するため、アミン官能性SWNTのアミノ基はヘテロ二官能性架橋剤スルホSMCCと結合バッファ内で反応することができ、その結果、抗体及びその他のタンパク質のスルフヒドリル基と反応可能なマレイミド活性表面が得られる。標準的な文献手順によってSWNTに結合させるために、抗体の何れかが部分的に還元されてスルフヒドリルを生成する、すなわち、スルフヒドリル基が抗体に付加される。
【0054】
カーボンナノチューブ電気デバイスのさらに他の実施形態として、図8Aは本発明の一実施形態に従った2次元ナノチューブアレイ800の上面図を例示している。2次元ナノチューブアレイ800は、図2の方法200の電着処理により形成され、且つ高い回路密度を必要とする信号処理用途における基礎的要素としての使用に適した、ナノチューブ・マイクロエレクトロニクスデバイスの典型例である。2次元ナノチューブアレイ800は基板810、複数の電極812、複数の電極814、電極816、電極818、複数の単一ナノチューブ又はSWNTロープ820、及び、単一ナノチューブ又はSWNTロープ820の交点に形成された複数の交差ナノチューブ接合822を有している。より具体的には、一組の平行配置された電極812a、812b、812c、812d及び812eが、一組の平行配置された電極814a、814b、814c、814d及び814eの反対側に配置されており、また、電極816が電極818の反対側に配置されている。電極816及び電極818は、電極812及び電極814に対して直角であり且つそれらの間の中心にある。図8Aに示される電極配置は単なる一例であり、ユーザが定める如何なるパターンも可能である。本発明の好適な一実施形態に従って、ナノチューブの使用可能な接合の1つ又は複数のアレイ(例えば、線状のナノチューブの凝集体)が、好適な如何なる基板(例えば、マイクロエレクトロニクス基板)上にも設けられ得る。
【0055】
電極812、電極814、電極816及び電極818は、例えば、金などの導電体で形成された、何れかの従来プロセスにより基板810上に堆積された0.5μmの金属線である。例えば電極812a及び814a、又は電極816及び818等の対向電極間の間隔は、例えば、約0.5μmと75μmとの間とし得る。基板810は、例えばSiN、SiO及びSi等の半導体製造で一般的に用いられる非導電体の何れかで形成される。あるいは、基板810は、例えばプラスチック、液晶高分子膜又はポリイミド等で形成されたフレキシブル基板である。
【0056】
単一ナノチューブ又はSWNTロープ820は、図1のSWNTロープ114を参照して説明されたものと同様である。単一ナノチューブ又はSWNTロープ820は、図2の方法200を参照して説明された電解析出法を用いて形成される。電解析出処理中、交差ナノチューブ接合822は単一ナノチューブ又はSWNTロープ820の交点に形成される。より具体的には、例えば電極812aと電極814cとの間、又は電極818と電極814dとの間などの電極間を橋渡しするナノチューブを作り出すために、2つの電極間に電位を与えることによって2次元ナノチューブアレイが形成され得る。この処理は各電極がその他の電極の各々と交差ナノチューブ接合822によって電気的に接続されるまで繰り返される。これは、例えば、各電極に探針を配置し電極を対にして活性化することにより自動的に実行される。2次元ナノチューブアレイ800は、0.5μmのリソグラフィを用いる、ナノスケールの接合密度を有するナノチューブ回路の起源を表すものである。2次元ナノチューブアレイ800はいったん堆積されると、単一ナノチューブ又はSWNTロープ820と相互作用する例えば量子ドット等の他のナノ構造の自己組織化の基礎として機能してもよい。量子ドットは、ナノチューブと電気的又は光学的に相互作用するように接合層上に自己組織化可能な多層材料から成る微小ドット(50nm未満)である。
【0057】
2次元ナノチューブアレイ800は、方法200を用いて形成され得るものであり、個々のナノチューブを基板上に原子間力顕微鏡を用いて配置することを含む現行手法より拡張可能に、実用的に、且つ効率的に、ナノチューブからナノスケールの電子デバイス・アレイ、例えばメモリ・アレイ、を作り出す方法の典型的なものである。方法200を用いて形成された2次元ナノチューブアレイ800は、その他のナノ粒子と比較して高い、ナノチューブのアスペクト比を活用するものである。SWNTは、平均長が1μmであり、例えば幅が数nm、長さが5μmとし得る単一ナノチューブ又はSWNTロープを形成している。他の一実施形態では、例えばナノチューブの束又はロープ構造に配置された、多層のナノチューブを有する多次元アレイが形成され得る。
【0058】
図8Bは、本発明に従った交差ナノチューブ接合822の拡大図を例示している。交差ナノチューブ接合822は2つのナノチューブ(又はSWNTロープ)が、図8Bに示されるように、90°に近い急角度で交差するようにされた接合である。この形態は図1に示された直線型接合とは異なっている。交差接合は数nm間隔の接合アレイを組み立てるのにより適したものである。ここで説明された全ての交差ナノチューブ接合822は、例えば、SWNTロープ820等の単一ナノチューブ又はSWNTロープを用いて作成されてもよい。
【0059】
図8Cは、図8Bの直線D−Dに沿ってとられた交差ナノチューブ接合822の断面図を例示している。半導電性ナノチューブと接触している金属性ナノチューブ(束/ロープ又はSWNT)はショットキー接合に類似の接合を形成している。なぜなら、図8Cに示されるように、金属性ナノチューブから半導電性ナノチューブに電子が注入されるからである。半導電性ナノチューブの接合付近の領域にある電子数は、FETの場合と類似して、金属性ナノチューブと半導電性ナノチューブとの間に電圧を印加することによって制御可能である。処理状況では、電位差はナノチューブの各々に印加される電圧に依存する。接合の等価回路は2つのナノチューブ間に接続されたダイオードになる。この構成はダイオード論理アレイの実施に使用可能である。
【0060】
金属性及び半導電性のナノチューブの双方を含む焼却されたロープが用いられるとき、一部の交差ナノチューブ接合822はショットキー接合(金属−半導体接触)を形成し、一部は抵抗性接合(金属−金属接触)を形成する。染み入っている(percolating)金属性ナノチューブ経路を有するロープ内の半導電性ナノチューブは金属性媒体のように見える。なぜなら、図8B及び8Cに示されるように、金属性ナノチューブは半導電性ナノチューブと接線接触しており、半導体への電子注入を非常に効率的にしているからである。これが意味するのは、染み入っているナノチューブが接触部材の1つとして使用されるとき、絶縁性接触は見られないということである。故に、染み入るように含まれているロープ内の半導電性部分は高濃度にドーピングされた半導体のように見える。好ましくは、適度な密度のショットキー接合を得るために、複数層の少なくとも1つは焼却されたSWNTロープでなければならない。
【0061】
さらに他の典型的なカーボンナノチューブ電気デバイスとして、図9Aは本発明に従った、接合層を有する2次元ナノチューブ配列の上面図を例示している。2次元ナノチューブアレイ900は、図2の方法200の電着処理により形成され、且つ高い回路密度を必要とする信号処理用途における使用に適したナノチューブ・マイクロエレクトロニクスデバイスのさらに他の一例である。2次元ナノチューブアレイ900は、図8のナノチューブアレイ800を参照して述べられたように、基板810、電極812、電極814、電極816、電極818を有している。2次元ナノチューブアレイ900はさらに、第1のナノチューブ層910及び第2のナノチューブ層912、並びにそれらの間に挟み込まれた接合層914を有している。第1のナノチューブ層910及び第2のナノチューブ層920は各々、電極対の間に形成された、例えば2次元ナノチューブアレイ800の単一ナノチューブ又はSWNTロープ820等の、複数の単一ナノチューブ又はSWNTロープを有している。
【0062】
2次元ナノチューブアレイ900は以下のように形成され得る:(1)図2の方法200による、第1のナノチューブ層910を形成する一組の単一ナノチューブ又はSWNTロープの堆積;(2)何れかの従来プロセスによる接合層914の堆積;及び(3)図2の方法200による、第2のナノチューブ層912を形成する一組の単一ナノチューブ又はSWNTロープの堆積。交差ナノチューブ接合916は、接合層914内の第2のナノチューブ層912のSWNTロープ820が第1のナノチューブ層910のSWNTロープ820と交差する如何なる位置にも形成され得る。これを図9Bにより詳細に示す。
【0063】
図9Bは、図9Aの直線C−Cに沿ってとられた2次元ナノチューブアレイ900の断面図を例示しており、接合層914内に形成された典型的な交差ナノチューブ接合916を示している。交差ナノチューブ接合916は、図9Bに示されるように、第1のナノチューブ層910のSWNTロープ820と第2のナノチューブ層912のSWNTロープ820との間の最も近い接触点に、例えば接合層914等の薄い材料層(例えば、約10nm程度)を堆積することにより形成される。
【0064】
図9Cは、本発明の一実施形態に従った交差ナノチューブ接合916の拡大図を例示している。図9Cの交差ナノチューブ接合916は、図示されるようにSWNTロープ820に巻き付く分子920により形成された接合層914の作用を示している。分子920は、これには限られないが、例えばポリアニリン分子である。
【0065】
図8A乃至9Cを参照するに、例えば2次元ナノチューブアレイ900の接合層914等の薄層をSWNTロープ間に挿入して交差ナノチューブ接合を製造することは、図8A、8B及び8Cの2次元ナノチューブアレイ800に示されるようにSWNTロープを直接接触するように配置して製造することと比較して、接合特性のより多くの制御を可能にする。しかしながら、2次元ナノチューブアレイ800の場合のように、SWNTロープを直接接触させることにより交差ナノチューブ接合を製造することは容易さの面で優れている。
【0066】
図8A乃至9Cを参照して述べられたように、SWNTロープ又は単一ナノチューブは、ナノチューブ間への好適材料層の挿入により接合を形成することに使用され得る。さらに、約10nm厚さの分子の巻物や絶縁層はトンネル接合を形成する。トンネル接合から形成される、マイクロエレクトロニクス技術で標準的なデバイスには多くの種類が存在する。最も単純なトンネル接合の用途は、低電圧での低導電率状態と閾値レベルの電圧より上での高導電率状態とを有する2状態論理デバイスである。高品質の酸化膜を用いて、一方のナノチューブの電圧が他方のナノチューブの電子を空乏化する、或いは電子を注入するFETを実現してもよい。この場合、一方のナノチューブは半導電性又は焼却されたSWNTロープであり、他方は金属性ナノチューブ又は金属性パーコレーション経路を有するSWNTロープである。
【0067】
例えば、2次元ナノチューブアレイ800の交差ナノチューブ接合822、又は2次元ナノチューブアレイ900の交差ナノチューブ接合916等の、交差ナノチューブ接合によって非常に密な接合アレイが作成され得る。従来からのリソグラフィで形成される制御線すなわち入力・出力線と結合するために、これらのアレイは約1μm長さのナノチューブを用いる。サブミクロン(50nm)スケールの接合を定めるためにクロスバー配置が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に従った最も単純な形態の単層カーボンナノチューブデバイスを例示する側面図である。
【図2】電解析出を“焼却”処理と組み合わせて使用することによる、半導電性単層カーボンナノチューブデバイスのコスト効率に優れた大量生産方法を例示するフロー図である。
【図3A】図2に例示された方法により形成された単層カーボンナノチューブデバイスを例示する上面図である。
【図3B】本発明の一実施形態に従って焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられた単層カーボンナノチューブロープの断面図である。
【図3C】本発明の一実施形態に従って焼却処理にかけられる前の、図3Aの直線B−Bに沿ってとられた単層カーボンナノチューブロープの断面図である。
【図3D】本発明の一実施形態に従って焼却処理にかけられた後の、図3Aの直線A−Aに沿ってとられた単層カーボンナノチューブロープの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に従ったカーボンナノチューブ電界効果トランジスタを例示する側面図である。
【図5A】本発明の一実施形態に従ったナノチューブ生物学的センサを例示する側面図である。
【図5B】図5Aの細部Aを例示する拡大図である。
【図6】抗BoNTをピレンに付着させ、続いて単層カーボンナノチューブに付着させる典型的な付着処理を例示する図である。
【図7】GT1bをピレンに結合させる典型的な結合処理を例示する図である。
【図8A】本発明の一実施形態に従った2次元ナノチューブアレイを例示する上面図である。
【図8B】本発明の一実施形態に従った交差ナノチューブ接合を例示する拡大図である。
【図8C】図8Bの直線D−Dに沿ってとられた交差ナノチューブ接合の断面図である。
【図9A】本発明の一実施形態に従った、接合層を有する2次元ナノチューブアレイを例示する上面図である。
【図9B】図9Aの直線C−Cに沿ってとられた2次元ナノチューブアレイの断面図である。
【図9C】本発明の一実施形態に従った、接合の制御を改善するための2つの活性マイクロエレクトロニクス材料層を有する交差ナノチューブ接合を例示する拡大図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極間のカーボンナノチューブの束の電着により形成された半導電性デバイス。
【請求項2】
基板;
前記基板に配置され、電源に接続された少なくとも1対の電極;及び
前記少なくとも1対の電極間に配置された、半導電性カーボンナノチューブから本質的に構成されるカーボンナノチューブの束;
を有する半導電性デバイス。
【請求項3】
基板;
前記基板に配置され、電源に接続された少なくとも1対の電極;並びに
前記少なくとも1対の電極間に配置された、1つ以上の半導電性カーボンナノチューブ及び1つ以上の電気的に分離された金属性カーボンナノチューブから構成されるカーボンナノチューブの束;
を有する半導電性デバイス。
【請求項4】
前記束が1つ以上のカーボンナノチューブを有する、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記束が1つ以上のカーボンナノチューブを有する、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記束が1つ以上のカーボンナノチューブを有する、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブの束が電解析出により形成されている、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブの束が電解析出により形成されている、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記束が第2のカーボンナノチューブの束に接触する第1のカーボンナノチューブの束を有する、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1のカーボンナノチューブの束が前記第2のカーボンナノチューブの束に対してある角度をなして配置されている、ところの請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1のカーボンナノチューブの束と前記第2のカーボンナノチューブの束との間の接点に半導体接合が形成されている、ところの請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つのカーボンナノチューブの束が、1つ以上の半導体デバイスを形成する1つ以上のカーボンナノチューブの半導体接合を有する、ところの請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記束が1つ以上の生物物質又は化学物質で機能化されている、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記束が1つ以上の生物物質又は化学物質で機能化されている、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項15】
前記束が1つ以上の生物物質又は化学物質で機能化されている、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項16】
光センサ、生物学的センサ、化学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及びカーボンナノチューブ半導体接合の多次元アレイから構成されるグループから選択される、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
光センサ、生物学的センサ、化学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及びカーボンナノチューブ半導体接合の多次元アレイから構成されるグループから選択される、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項18】
光センサ、生物学的センサ、化学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及びカーボンナノチューブ半導体接合の多次元アレイから構成されるグループから選択される、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つのマイクロエレクトロニクス基板に堆積された2つ以上のカーボンナノチューブ半導体接合から成るアレイを少なくとも1つ有するデバイス。
【請求項20】
半導体デバイスの製造方法であって:
電源に接続された2つの電極を有する基板を設ける工程;
複数の半導電性カーボンナノチューブ及び複数の金属性カーボンナノチューブを有する溶媒を設ける工程;
前記基板を前記溶媒に浸す工程であり、前記複数の半導電性カーボンナノチューブ及び前記複数の金属性カーボンナノチューブが前記2つの電極間に配置されたカーボンナノチューブの束を形成するところの浸す工程;及び
前記2つの電極間のバイアス電圧を傾斜変化させるランピング工程であり、前記半導体デバイスを形成するに十分な量だけ前記複数の金属性カーボンナノチューブを除去するところのランピング工程;
を有する製造方法。
【請求項1】
2つの電極間のカーボンナノチューブの束の電着により形成された半導電性デバイス。
【請求項2】
基板;
前記基板に配置され、電源に接続された少なくとも1対の電極;及び
前記少なくとも1対の電極間に配置された、半導電性カーボンナノチューブから本質的に構成されるカーボンナノチューブの束;
を有する半導電性デバイス。
【請求項3】
基板;
前記基板に配置され、電源に接続された少なくとも1対の電極;並びに
前記少なくとも1対の電極間に配置された、1つ以上の半導電性カーボンナノチューブ及び1つ以上の電気的に分離された金属性カーボンナノチューブから構成されるカーボンナノチューブの束;
を有する半導電性デバイス。
【請求項4】
前記束が1つ以上のカーボンナノチューブを有する、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記束が1つ以上のカーボンナノチューブを有する、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記束が1つ以上のカーボンナノチューブを有する、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブの束が電解析出により形成されている、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブの束が電解析出により形成されている、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記束が第2のカーボンナノチューブの束に接触する第1のカーボンナノチューブの束を有する、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1のカーボンナノチューブの束が前記第2のカーボンナノチューブの束に対してある角度をなして配置されている、ところの請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1のカーボンナノチューブの束と前記第2のカーボンナノチューブの束との間の接点に半導体接合が形成されている、ところの請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つのカーボンナノチューブの束が、1つ以上の半導体デバイスを形成する1つ以上のカーボンナノチューブの半導体接合を有する、ところの請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記束が1つ以上の生物物質又は化学物質で機能化されている、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記束が1つ以上の生物物質又は化学物質で機能化されている、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項15】
前記束が1つ以上の生物物質又は化学物質で機能化されている、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項16】
光センサ、生物学的センサ、化学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及びカーボンナノチューブ半導体接合の多次元アレイから構成されるグループから選択される、ところの請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
光センサ、生物学的センサ、化学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及びカーボンナノチューブ半導体接合の多次元アレイから構成されるグループから選択される、ところの請求項2に記載のデバイス。
【請求項18】
光センサ、生物学的センサ、化学的センサ、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ、及びカーボンナノチューブ半導体接合の多次元アレイから構成されるグループから選択される、ところの請求項3に記載のデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つのマイクロエレクトロニクス基板に堆積された2つ以上のカーボンナノチューブ半導体接合から成るアレイを少なくとも1つ有するデバイス。
【請求項20】
半導体デバイスの製造方法であって:
電源に接続された2つの電極を有する基板を設ける工程;
複数の半導電性カーボンナノチューブ及び複数の金属性カーボンナノチューブを有する溶媒を設ける工程;
前記基板を前記溶媒に浸す工程であり、前記複数の半導電性カーボンナノチューブ及び前記複数の金属性カーボンナノチューブが前記2つの電極間に配置されたカーボンナノチューブの束を形成するところの浸す工程;及び
前記2つの電極間のバイアス電圧を傾斜変化させるランピング工程であり、前記半導体デバイスを形成するに十分な量だけ前記複数の金属性カーボンナノチューブを除去するところのランピング工程;
を有する製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公表番号】特表2008−505044(P2008−505044A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505264(P2007−505264)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010305
【国際公開番号】WO2005/094298
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(506324242)フォスター−ミラー,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010305
【国際公開番号】WO2005/094298
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(506324242)フォスター−ミラー,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
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