説明

電話機能一体型電子キー及び電子キー機能部品

【課題】電話機能部品と電子キー機能部品とが一体化した構造をとる場合であっても、故障時や携帯電話交換時等に生じ得る不便さを感じ難くすることができる携帯電話一体型電子キー及び電子キー機能部品を提供する。
【解決手段】携帯電話29には、着せ替えパネルの取り付け先としてパネル取付部34が形成される。このパネル取付部34には、キー操作フリーシステムの電子キーとして機能するパネル形状をなすパネル型着脱式携帯機30が着脱可能に取り付けられている。このパネル型着脱式携帯機30は、車両からリクエストを受けるとキー固有のIDコードを車両に向けて返信し、車両にID照合を行わせる。パネル型着脱式携帯機30は、着せ替えパネルの代わりに携帯電話29に取り付け可能であって、これらが一体組み付けされた際には携帯電話一体型携帯機3と使用されるが、必要に応じて携帯電話29から取り外しが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機能と電子キー機能とが一体型となった電話機能一体型電子キー及び電子キー機能部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キー固有のコード情報を信号データとして無線発信可能な電子キーを車両キーとして用い、その電子キーから無線発信される車両用のキーコードを車両と照らし合わせてキー照合を行う電子キーシステムが広く普及している。この電子キーシステムの一種としては、車両からのリクエストを電子キーが受信するとこれに応答してキーコードを車両に返信してキー照合を行うキー操作フリーシステムがある。車両にこの種のキー操作フリーシステムを採用すれば、車両のドアロック施解錠やエンジン始動停止等の車両操作を行うに際して、メカニカルキーをキーシリンダに挿し込んでこれを回すという実際のキー操作を行う必要がなくなり、これら車両操作を楽な操作で行うことが可能となる。
【0003】
しかし、車両にこの種のキー操作フリーシステムを搭載した場合も、キーとしてメカニカルキーを使用した時と同様に、運転者はキー(電子キー)を常時携帯しておく必要がある。よって、運転者は車両乗り込み時において身の回りの種々の所持品とともに電子キーも所持する必要が生じるので、車両乗り込み時に携帯する必要のある所持品が多い場合には、電子キーの場合も合計の所持品数が変わらず多くなる問題があった。そこで、運転者が車両に乗り込む際に常時する所持品に電子キーを組み込むことで、多数物品所持時に感じる煩わしさを低減する技術が種々開発されている。この技術の一例としては、例えば携帯電話に電子キー機能を組み込む技術が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2007−181119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の開示技術のように携帯電話に電子キー機能を組み込んだ場合、携帯電話機能と電子キー機能とが同一の筐体内に収納される状態をとる。このため、携帯電話機能と電子キー機能とのどちらかの機能が故障した際には、電子キー機能付き携帯電話自体を交換、即ち携帯電話機能と電子キー機能との2機能をセットで交換することになり、故障していない側を無駄に廃棄することになる問題があった。また、電子キー機能が持つキーコードは車両ごとに個別であり、更にはその通信方式が車両ごとに異なる場合もあるので、車両を別の車両に乗り換えた際には、車両乗り換え時に携帯電話を新たなものに交換する必要が生じることもある。よって、車両を乗り換える度に携帯電話を交換する必要が生じ、携帯電話に必要となるコストが多くかかる問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、電話機能部品と電子キー機能部品とが一体化した構造をとる場合であっても、故障時や携帯電話交換時等に生じ得る不便さを感じ難くすることができる電話機能一体型電子キー及び電子キー機能部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、少なくとも通話の制御を行う電話機能部品と、キー固有のキーコードを狭域の無線通信によりキーから通信先に発信してキー照合を行う電子キーシステムの当該キーとして機能する電子キー機能部品とを一体に備えた電話機能一体型電子キーにおいて、前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とが着脱可能となっていることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、電話機能部品と電子キー機能部品とが着脱可能であるので、必要に際しては電話機能部品と電子キー機能部品とを分離することが可能である。このため、例えば仮に電話機能部品及び電子キー機能部品のうちの一方が故障した場合を想定すると、この状況下においては電話機能部品と電子キー機能部品とを別々にし、故障したものを新しいものに取り替えるようにすれば、故障していない側は続けて使用することが可能となる。よって、2つの機能部品のうちの一方が故障した場合に、故障していない側まで破棄する状況にならずに済み、部品の有効利用が可能となる。
【0008】
本発明では、前記電話機能部品には、当該電話機能部品の外観意匠性を高める着せ替え可能な意匠パネルが取り付け可能であり、前記電子キー機能部品は、前記電話機能部品において前記意匠パネルの取り付け箇所であるパネル取付部に対して着脱可能に形成されていることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、電子キー機能部品を電話機能部品に取り付ける際のその取り付け先は、意匠パネルの取り付け先であるパネル取付部であるので、電子キー機能部品の取り付け先が意匠パネルとの間で共用される。このため、電子キー機能部品を電話機能部品に取り付けるに際して、新たな取り付け箇所を設ける必要がなく、電話機能部品に大幅な設計変更が不要となる。また、電子キー機能部品のパネル取付部には、意匠パネルと電子キー機能部品との両方が取り付け可能であるので、その時々の使用形態に合わせて、意匠パネル及び電子キー機能部品のうち好きな方を電話機能部品に取り付けることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記通信先には、前記キー照合として機械式キー操作が必要な機械操作式キーシステムが前記電子キーシステムの代替システムとして設けられ、前記電子キー機能部品には、前記機械操作式キーシステムのメカニカルキーがエマージェンシーキーとして収納されていることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、電子キー機能部品(要は電話機能一体型電子キー)には、電子キーシステムの代替システムである機械操作式キーシステムに用いるメカニカルキーがエマージェンシーキーとして収納されているので、例えば仮に電子キーシステムが故障したり或いは電池が切れたりしたとしても、このエマージェンシーキーを使用すれば、問題なく通信先との間でキー照合を行うことが可能となる。これにより、仮に電子キーシステムに故障や電池切れ等のトラブルが生じても、機械操作式キーシステムを使用することによって、通信先の各種機器動作を許可又は実行することが可能となる。
【0012】
本発明では、少なくとも通話の制御を行う電話機能部品に対して一体に組み付けられ、キー固有のキーコードを狭域の無線通信によりキーから通信先に発信してキー照合を行う電子キーシステムの当該キーとして機能する電子キー機能部品において、前記電話機能部品に対して着脱可能となっていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電話機能部品と電子キー機能部品とが一体化した構造をとる場合であっても、故障時や携帯電話交換時等に生じ得る不便さを感じ難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した電話機能一体型電子キー及び電子キー機能部品の一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、実際に車両キーを操作しなくてもドアロック施解錠やエンジン始動停止等の車両動作を行うことが可能なキー操作フリーシステム2が搭載されている。本例のキー操作フリーシステム2は、キー固有のIDコード(キーコード)を無線通信で発信可能な電子キー機能が携帯電話に組み込まれた携帯電話一体型携帯機3が車両キーとして使用されている。キー操作フリーシステム2は、車両1からIDコード返信要求としてリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqを携帯機3が受信すると、それに応答する形で携帯機3が自身のIDコードを乗せたID信号Sidを狭域通信により車両1に返信し、携帯機3のIDコードが車両1のIDコードと一致すると、ドアロック施解錠やエンジン始動停止が許可又は実行されるシステムである。なお、車両1が通信先に相当し、携帯機3が電話機能一体型電子キーに相当する。
【0015】
キー操作フリーシステム2には、ドアロック施解錠操作の際に実際の車両キー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステム4がある。このスマートエントリーシステム4を以下に説明すると、車両1には、携帯機3との間で狭域通信を行う際にID照合を行う照合ECU5が設けられている。照合ECU5には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF対の信号を発信可能な車外LF発信機6と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の信号を発信可能な車内LF発信機7と、車内バックミラー等に埋設されてRF帯の信号を受信可能なRF受信機8とが接続されている。これらLF発信機6,7は、リクエスト信号Srqを周囲に発信可能であって、車外LF発信機6が車両周囲にリクエスト信号Srqの通信エリア(車外通信エリア)を形成し、車内LF発信機7が車内全域にリクエスト信号Srqの通信エリア(車内通信エリア)を形成する。
【0016】
照合ECU5には、例えば車外ドアハンドルノブ9に埋設されたタッチセンサ10が接続されている。タッチセンサ10は、操作者が施錠状態のドアロックを解除する時に車外ドアハンドルノブ9をタッチする操作を検出する。照合ECU5には、例えば車外ドアハンドルノブ9に設けられたロックボタン11が接続されている。ロックボタン11は、操作者が解錠状態のドアロックを施錠する時に押し操作される。照合ECU5には、ドアロックの施解錠を制御するドアECU12が車内LAN13を介して接続されている。ドアECU12は、照合ECU5から指令を基にドアロックモータ14を駆動制御することでドアロックを施錠状態又は解錠状態にする。
【0017】
車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック施錠状態)の際、照合ECU5は、車外LF発信機6からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺に車外通信エリアを形成する。携帯機3がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、携帯機3はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ15に登録されたIDコードを載せたID信号SidをRF帯の信号で返信する。照合ECU5は、RF受信機8でID信号Sidを受信すると、自身のメモリ16に登録されたIDコードと携帯機3のIDコードとを照らし合わせてID照合(車外照合)を行う。照合ECU5は、車外照合が成立した事を認識すると、メモリ16に車外照合フラグを一定時間の間において立てて、待機状態のタッチセンサ10をその期間の間において起動させる。ドアECU12は、車外ドアハンドルノブがタッチ操作された事を起動中のタッチセンサ10が検出すると、ドアロックモータ14を一方側に回転させて、施錠状態のドアロックを解錠する。
【0018】
一方、車両1が停止状態(エンジン停止及びドアロック解錠状態)の際、照合ECU5は、ロックボタン11が押されたことを検出すると、車外LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信させる。照合ECU5は、このリクエスト信号Srqを受けて携帯機3が返信してきたID信号Sidにおいて車外照合が成立した事を認識すると、ドアECU12にドアロック施錠要求を出力する。ドアロック施錠要求を受け付けたドアECU12は、ドアロックモータ14を他方側に回転させて、解錠状態のドアロックを施錠する。
【0019】
また、キー操作フリーシステム2には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステム17がある。このワンプッシュエンジンスタートシステム17を以下に説明すると、車両1の運転席には、車両1の電源状態(電源ポジション)を切り換える際の操作系としてエンジンスイッチ18が設けられている。エンジンスイッチ18は、操作箇所であるスイッチ操作部18aを押し込み操作可能な押圧操作式であって、スイッチ操作部18aが操作される度に電源状態が切り換わる。エンジンスイッチ18には、エンジン19を始動状態又停止状態に切り換えるエンジン始動停止操作機能と、電源状態をオフ状態からACCオン状態やIGオン状態に切り換える電源遷移操作機能とが設けられている。
【0020】
また、車両1には、エンジン19の点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU20と、セレクトレバーの操作を基に自動変速機を制御するシフトECU21と、車載電装品の電源管理を行う電源ECU22とが設けられている。これらECU20〜22は、車内LAN13を通じて照合ECU5等の各種ECUに接続されている。電源ECU22には、前述のエンジンスイッチ18の他に、車両1の速度を検出する車速センサ23と、ブレーキペダル(図示略)の操作量を検出するブレーキセンサ24とが接続されている。また、電源ECU22には、各種車載アクセサリに繋がるACCリレー25と、エンジンECU20に繋がるIGリレー26と、エンジン19のスタータモータに繋がるスタータリレー27とが接続されている。
【0021】
照合ECU5は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、例えばカーテシスイッチ28でドアが開けられて運転者が乗車した事を認識すると、車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU5は、携帯機3がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号SidをRF受信機8で受信すると、自身に登録されたIDコードと携帯機3のIDコードとを照らし合わせてID照合(車内照合)を行う。照合ECU5は、この車内照合が成立すると、メモリ16に車内照合成立フラグを立てて車内照合成立を認識する。
【0022】
電源ECU22は、ブレーキペダルが踏み込み操作された状態でエンジンスイッチ18が押圧操作されたことを検出すると、車内照合成立を条件として、停止状態のエンジン19を始動すべく3つのリレー25〜27をオンしつつ、エンジンECU20に起動信号を出力する。起動信号を受け付けたエンジンECU20は、車内照合結果の確認と、照合ECU5が自身とペアを成すものかを確認するペアリングとを暗号化通信により行う。これら両条件の確認を済ませたエンジンECU20は、点火制御及び燃料噴射制御を開始してエンジン19を始動する。一方、電源ECU22は、エンジン19が稼働中の際にエンジンスイッチ18が押圧操作された事を検出すると、車両1が停止(車速「0」)していることを条件に3つのリレー25〜27を全てオフ状態にして、エンジン19を停止状態にする。
【0023】
また、電源ECU22は、ブレーキペダルが踏み込み操作されずにエンジンスイッチ18のみが押圧操作されたことを検出すると、車内照合が成立していることとシフトレバーがPレンジ位置にあることを条件として、エンジンスイッチ18が操作される度に、操作一回りの間において電源状態をオフ状態→ACCオン状態→IGオン状態の順に切り換える。例えば、電源状態がオフ状態の際にエンジンスイッチ18のみが押圧操作されると、電源状態がACCオン状態となり、この状態から更にエンジンスイッチ18が押圧操作されると電源状態がIGオン状態となり、エンジンスイッチ18がもう一度押圧操作されると電源状態がオフ状態に戻る。
【0024】
図2に示すように、携帯電話一体型携帯機3は、少なくとも通話を制御する携帯電話29と、この携帯電話29に着脱可能に取り付けられるとともにキー操作フリーシステム2のキーとして機能する着脱式携帯機30とからなる。携帯電話29は、2つの筐体31,32がヒンジ機構33を介して開閉可能な折り畳み型である。携帯電話29には、表示部(ディスプレイ:図示略)が取り付けられた表示側筐体31と、テンキー等の各種操作ボタン(図示略)が取り付けられた操作側筐体32とが設けられている。なお、携帯電話29が電話機能部品に相当し、着脱式携帯機30が電子キー機能部品に相当する。
【0025】
図2及び図3に示すように、表示側筐体31の外面には、各種パネル部品の取り付け先としてパネル取付部34が設けられている。このパネル取付部34は、各種パネル部品が取り付けられた際に、このパネル部品を含めた携帯電話29の表面がほぼ面一となるように凹設されている。また、パネル取付部34の四隅には、パネル部品を取り付けに使用するネジ35,35…を螺合するためのネジ穴36,36…が形成されている。このパネル取付部34は、携帯電話29の外観デザインに高い意匠性を持たせるアクセサリとして機能する着せ替えパネル37(図3参照)の取り付け先として形成されたものである。
【0026】
この種の着せ替えパネル37は、薄い板形状(パネル形状)をなすとともに、種々のデザインのものが用意されている。着せ替えパネル37の四隅には、ネジ35,35を通すためのネジ通し孔38,38…が複数貫設されている。着せ替えパネル37は、これらネジ通し孔38,38…にネジ35,35…を通してこれらネジ35,35…をパネル取付部34のネジ穴36,36…に螺着することで携帯電話29に取り付け可能となっている。また、着せ替えパネル37には、ヒンジ機構33側の辺において、このヒンジ機構33の一部の一部を形成する突部41を避ける切欠部37aが形成されている。なお、着せ替えパネル37が意匠パネルに相当する。
【0027】
また、図2に示すように、パネル取付部34には、前述した着せ替えパネル37と同様に、電子キーとしての機能を満たす板形状(パネル形状)をなしたパネル型着脱式携帯機30も取り付け可能となっている。即ち、パネル取付部34には、着せ替えパネル37及びパネル型着脱式携帯機30のどちらが選択的に取り付け可能となっている。このパネル型着脱式携帯機30には、この携帯機30の各種部品群を収納するケースとして携帯機本体部39が設けられている。この携帯機本体部39は、着せ替えパネル37と同様に薄い四角形の板形状をなすとともに、四隅にネジ35,35…を通すためのネジ通し孔40,40…が複数貫設されている。パネル型着脱式携帯機30は、携帯機本体部39の四隅のネジ通し孔40,40…にネジ35,35…を通してこれらネジ35,35…をパネル取付部34のネジ穴36,36…に螺着することで携帯電話29に取り付けられる。また、携帯機本体部39においてヒンジ機構33側の辺には、携帯電話29の突部41を避けるように切欠部42が形成されている。携帯機本体部39の中央部には、表示側筐体31の外面の表示パネル43に映し出される各種表示が見えるように透明の表示窓44が形成されている。
【0028】
図4に示すように、携帯機本体部39の内部には、車両1との間でID照合時に無線通信を行う無線通信機構45が内蔵されている。この無線通信機構45は、受信信号(受信電波)が何であるかを識別するとともに、パネル型着脱式携帯機30が固有に持つIDコードを携帯電話一体型携帯機3のキーコードとして無線発信可能である。無線通信機構45には、無線通信機構45の各種部品群を実装する基板46が設けられている。基板46は、携帯電話29の外面の表示パネル43(表示窓44)を避けるように略コ字形状に形成されるとともに、各種電気部品群がワイヤボンディング等により実装されている。
【0029】
この基板46には、無線通信機構45のコントロールユニットとして機能する通信制御回路47と、外部で発信されたLF信号を受信可能なLF受信アンテナ48と、LF受信アンテナ48で受信したLF信号を復調及び増幅するLF受信回路49とが取り付けられている。また、基板46には、通信制御回路47からの指令に従い発信データを変調してRF信号を生成するRF発信回路50と、RF発信回路50のRF信号を外部に発信可能なRF発信アンテナ51とが取り付けられている。通信制御回路47は、LF受信アンテナ48でLF信号を受信するとこのLF信号をLF受信回路49で復調及び増幅して信号内容を解読し、このLF信号がリクエスト信号Srqであれば、自身のメモリ15に登録されたIDコードをRF発信回路50に送り、RF発信回路50で変調した後にこれをID信号SidとしてRF発信アンテナ51から車両1に向けて発信させる。
【0030】
また、図2に示すように、携帯機本体部39の側面には、パネル型着脱式携帯機30の電池52を収納するスライド開閉操作式の電池収納ケース53が設けられている。この電池収納ケース53は、携帯機本体部39の側面に形成された収納穴54に出し入れ可能であって、収納穴54に入り込んで電池52が基板46の各種電気部品と電気的に繋がった状態となる収納位置と、収納穴54から引き出されて電池52の交換が可能な状態となる開放位置との2位置の間をスライド往復移動可能である。
【0031】
図2及び図4に示すように、携帯機本体部39において切欠部42の反対側の辺には、車両の一キー種であるメカニカルキー55を収納可能なキー収納部56が形成されている。このメカニカルキー55は、車両1のドアロック施解錠やエンジン始動停止を機械式キー操作で行う機械操作式キーシステムで使用する車両キーであって、キー操作フリーシステム2がトラブル(故障、電池切れ等)に陥ってパネル型着脱式携帯機30でID照合が行えない状況になった際に用いるエマージェンシーキーとして使用される。キー収納部56には、メカニカルキー55のキープレート55aを挿し込む挿込穴56aと、メカニカルキー55のノブ部55bを嵌め込むべく切り欠き形成されたノブ嵌込部56bとからなる。メカニカルキー55は、携帯機本体部39(キー収納部56)に収納状態をとる際、ノブ部55bが携帯機本体部39の外縁部と面一の状態をとる。
【0032】
さて、本例で使用する電子キー(携帯機)は、着せ替えパネル37を携帯電話29に取り付ける際の取り付け先であるパネル取付部34に着脱可能なパネル型着脱式携帯機30である。よって、携帯電話29に電子キー機能を一体に組み付けたい場合には、携帯電話29のパネル取付部34に取り付いている着せ替えパネル37を取り外し、着せ替えパネル37に代えてパネル型着脱式携帯機30をパネル取付部34に取り付ける。これにより、携帯電話29と携帯機30とが一体状態となり、携帯電話29を所持していれば、必然的に携帯機30も所持した状態となる。よって、携帯電話29と携帯機30とを別々に所持する必要がなくなり、物品の携帯性において利便性がよくなる。
【0033】
また、本例の場合、携帯電話29に電子キー機能を組み付けて電話機能と電子キー機能とを一体化したとしても、パネル型着脱式携帯機30は携帯電話29から着脱可能であるので、本例の電子キー機能(パネル型着脱式携帯機30)は必要に応じて携帯電話29から取り外すことが可能となる。よって、例えば仮に電話機能と電子キー機能との両者のうちどちらかが故障した場合には、パネル型着脱式携帯機30を携帯電話29から外して故障側を新しいものに取り替えるようにすれば、故障してない側は続けて使用することが可能となる。これにより、電話機能と電子キー機能とを一体化した場合に、これら両者のうちどちらかが故障しても、これら機能部品をセットで交換する必要がなくなり、部品の有効利用を図ることが可能となる。
【0034】
更に、本例のように携帯電話29から着脱可能なパネル型着脱式携帯機30を使用すれば、これら携帯電話29及び携帯機30は各々独立した一部品として使用可能となる。このため、携帯電話29及びパネル型着脱式携帯機30のうち例えば携帯電話29が故障した際、携帯電話29を修理に出してもパネル型着脱式携帯機30は携帯電話29から取り外してそのまま使用可能となり、一方で携帯電話29及びパネル型着脱式携帯機30のうち例えばパネル型着脱式携帯機30が故障した際、パネル型着脱式携帯機30を修理に出しても携帯電話29はパネル型着脱式携帯機30を取り外してそのまま使用可能となる。よって、携帯電話29及びパネル型着脱式携帯機30の故障側を修理先に出しても、故障していない側は続けて使用することが可能となり、利便性がよくなる。
【0035】
ところで、携帯電話29の使用サイクルは例えば1〜2年程度の短年であるのに対し、車両1の買い替えは例えば5年以上の長い年月スパンであるのが一般的である。よって、携帯電話29と携帯機30とを一体型とするに際して、本例のように携帯電話29から携帯機30を着脱可能とすれば、買い替えた新規の携帯電話29のパネル取付部34が今までのものと同形状のものであれば、それまで使用していたパネル型着脱式携帯機30をそのまま使用することが可能である。よって、先に述べた部品の有効利用という効果は、このような携帯電話29の買い替えの時も同様に言えることになる。
【0036】
また、携帯電話29のパネル取付部34には、携帯電話29の見栄えをよくする着せ替えパネル37と、電子キーとして機能するパネル型着脱式携帯機30との両方が取り付け可能となっている。このため、携帯電話29の見栄えをよくしたい時にはパネル取付部34に着せ替えパネル37を取り付け、携帯電話29を電子キーとして使用した時にはパネル取付部34にパネル型着脱式携帯機30を取り付けることが可能となるので、携帯電話29の使用バリエーションを増やすことが可能となる。
【0037】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)電子キーとして機能する携帯機30を携帯電話29に一体に組み込むに際して、この携帯機30を携帯電話29に対して着脱可能とした。これにより、携帯電話29と携帯機30とを一体化した場合に、仮にこれら2部品のうち一方が故障したとしても、この故障時にはこれら部品を分離し、故障側を新しいものに取り替えれば、これら2部品をセットで交換する必要が生じない。よって、故障していない側の部品は続けて使用することが可能となるので、部品の有効利用を図ることができる。
【0038】
(2)携帯電話29に携帯機30を着脱可能とするに際して、携帯電話29における着せ替えパネル37の取り付け先であるパネル取付部34にこの携帯機30を着脱可能とした。これにより、携帯電話29を携帯機30に着脱可能とする場合に、携帯機30の取り付け先を新たに設ける必要がなくなるので、携帯電話29に大幅な設計変更を不要とすることができる。また、パネル取付部34に携帯機30と着せ替えパネル37の両方が取り付け可能であるので、その時の使用形態に合わせて、携帯機30及び着せ替えパネル37のうち好きな方を携帯電話29に取り付けることができる。
【0039】
(3)パネル型着脱式携帯機30にキー操作フリーシステム2のエマージェンシーキーとしてメカニカルキー55を収納したので、例えば仮にキー操作フリーシステム2が故障したり或いは電池が切れたりしたとしても、このメカニカルキー55を使用すれば、このような状況下でも問題なく車両1との間でキー照合を行うことができる。よって、仮にキー操作フリーシステム2に故障や電池切れ等のトラブルが生じても、このメカニカルキー55を使用することによって、車両1のドアロック施解錠操作やエンジン始動停止操作を問題なく行うことができる。
【0040】
(4)パネル型着脱式携帯機30の側面にスライド開閉操作式の電池収納ケース53を設けたので、パネル型着脱式携帯機30が携帯電話29に取り付いたままの状態であっても、この状態でパネル型着脱式携帯機30の電池52を交換することができる。よって、パネル型着脱式携帯機30の電池52を交換するに際して、携帯機30を携帯電話29からわざわざ取り外す作業が不要となり、簡単な操作で電池交換を行うことができる。
【0041】
(5)携帯電話29と携帯機30とが着脱式であるので、これら2部品のうち一方が故障した際には、これら2部品を分離して故障側を修理先に預け、故障していない側は手元に残しておける。よって、故障部品を修理先に預ける場合であっても、故障していない側はそれまで通り続けて使用することができる。
【0042】
(6)携帯電話29に携帯機30を取り付けるに際しては、着せ替えパネル37に代えて携帯機30を携帯電話29のパネル取付部34に取り付ける。よって、携帯電話29に携帯機30を取り付けたその取り付け状態は、携帯機30に着せ替えパネル37を取り付けた状態の時と比べて厚さが大きく増加する状態とならずに済むので、携帯電話29に携帯機30が取り付いた状態の時に、携帯電話29の携帯性等が大きく損なわれる状況を生じ難くすることができる。
【0043】
なお、実施形態はこれまでの構成に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ 携帯電話29に携帯機30を着脱可能に取り付けるに際して、携帯機30の取り付け先は携帯電話29のパネル取付部34であることに限定されない。例えば、図5に示すように、携帯機本体部39の操作側筐体32の端部に携帯機30のキー取付部61接続先を設け、ここに携帯機30を着脱可能に取り付けてもよい。図5の例は、携帯機本体部39が略直方体形状をなすとともに、この携帯機30自体にメカニカルキー55が取り付けられ、携帯機本体部39自体がメカニカルキーのノブ部として機能している。そして、携帯機30を携帯電話29に取り付けるに際しては、操作側筐体32の端部に形成された挿込穴61aにメカニカルキー55を挿し込むことによって取り付け操作を行う。
【0044】
・ 携帯電話29に携帯機30を着脱可能に取り付けるに際して、携帯機30の取り付け先や取り付け方式はこれまでに述べた構造に限らず、要は携帯電話29と携帯機30とが着脱可能に取り付けられていれば、その細かな構造は限定されない。
【0045】
・ 携帯電話29は、必ずしも折り畳み型に限定されず、折り畳みが不可能なストレート型や、操作側筐体が表示側筐体に対してスライド移動可能なスライド型等の種々のものを採用してもよい。
【0046】
・ パネル型着脱式携帯機30を携帯電話29に取り付ける際の取り付け方式は、必ずしもネジ35で取り付けるネジ式に限定されず、例えばスナップフィット構造を採用してもよい。
【0047】
・ パネル型着脱式携帯機30は、必ずしもエマージェンシーキーとしてメカニカルキー55を収納することに限定されず、これは省略してもよい。
・ アンテナ48,51は、基板46にアンテナ線が埋め込まれたパターンアンテナや、アンテナボビンにアンテナ線が巻回された立体アンテナなど種々のアンテナを採用することが可能である。
【0048】
・ スマートエントリーシステム4は、ドアロックの施解錠を行うに際して操作系の操作を必要とすることに限らず、例えば車外照合の成立を条件にドアロックが自動で施解錠されるものでもよい。
【0049】
・ ワンプッシュエンジンスタートシステム17は、エンジン19の始動操作時や停止操作時にエンジンスイッチ18のスイッチ操作部18aを押し込み操作する押圧操作式に限定されず、例えばスイッチ操作部18aを回転操作する回転操作式でもよい。また、リレー25〜27は電源ECU22がオンオフ制御する電気式に限らず、例えばスイッチ操作部18aの操作力によってオンオフ状態が機械的に切り換わる機械式でもよい。
【0050】
・ キー操作フリーシステム2は、必ずしもスマートエントリーシステム4及びワンプッシュエンジンスタートシステム17の両方を備える必要はなく、これら両機能のうちどちらかを持っていればよい。
【0051】
・ キー操作フリーシステム2は、携帯機30に内蔵した通信タグ部品を用いて無線ID照合を行うイモビライザーシステムを備えていてもよい。イモビライザーシステムは、携帯機30を車内のトランスポンダキーコイルに近づけることにより、このコイルから発信される駆動電波によって携帯機30内のトランスポンダを起動させ、起動したトランスポンダが返信してきたトランスポンダコード信号内のコード番号を車両1側で照らし合わせてID照合(イモビライザー照合)を行うシステムである。エンジンスイッチ18を押圧操作してエンジン19を始動する際、エンジン始動の前段階の認証動作として車内照合成立有無を確認するが、これはキー操作フリーシステム2に準じたID照合成立(車内照合)を条件とすることに限らずキー操作フリーシステム2とイモビライザーシステムとのどちらかのID照合が成立していればよい。
【0052】
・ キー操作フリーシステム2は、必ずしも車両1に採用されることに限定されず、例えば住宅の扉のドアロック施解錠など、種々の機器や装置等に採用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0053】
(1)請求項1〜4のいずれかにおいて、前記電話機能部品は、第1筐体が第2筐体に対してヒンジ機構を介して開閉可能な折り畳み型であり、前記第1筐体の外面に前記パネル取付部が形成されている。この場合、折り畳み型の電話機能部品に電子キー機能部品を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一実施形態におけるキー操作フリーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】携帯電話に携帯機を取り付ける前と取り付けた状態とを示す斜視図。
【図3】携帯電話に着せ替えパネルを取り付ける前と取り付けた状態とを示す斜視図。
【図4】パネル型着脱式携帯機の内部構成を示す部分破断断面図。
【図5】別例における携帯機が着脱可能な携帯電話の外観を示す斜視図。
【符号の説明】
【0055】
1…通信先としての車両、3…電話機能一体型電子キーとしての携帯電話一体型携帯機、29…電話機能部品としての携帯電話、30…電子キー機能部品としてのパネル型着脱式携帯機、34…パネル取付部、37…意匠パネルとしての着せ替えパネル、55…メカニカルキー(エマージェンシーキー)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも通話の制御を行う電話機能部品と、キー固有のキーコードを狭域の無線通信によりキーから通信先に発信してキー照合を行う電子キーシステムの当該キーとして機能する電子キー機能部品とを一体に備えた電話機能一体型電子キーにおいて、
前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とが着脱可能となっていることを特徴とする電話機能一体型電子キー。
【請求項2】
前記電話機能部品には、当該電話機能部品の外観意匠性を高める着せ替え可能な意匠パネルが取り付け可能であり、前記電子キー機能部品は、前記電話機能部品において前記意匠パネルの取り付け箇所であるパネル取付部に対して着脱可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電話機能一体型電子キー。
【請求項3】
前記通信先には、前記キー照合として機械式キー操作が必要な機械操作式キーシステムが前記電子キーシステムの代替システムとして設けられ、前記電子キー機能部品には、前記機械操作式キーシステムのメカニカルキーがエマージェンシーキーとして収納されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電話機能一体型電子キー。
【請求項4】
少なくとも通話の制御を行う電話機能部品に対して一体に組み付けられ、キー固有のキーコードを狭域の無線通信によりキーから通信先に発信してキー照合を行う電子キーシステムの当該キーとして機能する電子キー機能部品において、
前記電話機能部品に対して着脱可能となっていることを特徴とする電子キー機能部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−102835(P2009−102835A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273796(P2007−273796)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】