説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】ホットオフセットが発生せず、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易な静電荷像現像用トナー、該静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】90℃でpH8の水中に1時間保持したときの重量平均分子量の保持率Aが95%以上であり、98℃でpH9の水中に1時間保持したときの重量平均分子量の保持率Bが70%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、該静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電荷像を経て画像を可視化する方法は現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては帯電、露光工程により感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いられるトナーは、これまで各種の樹脂が検討されているが、現在は主にスチレン系樹脂・ポリエステル系樹脂・エポキシ系樹脂が使用されている。
ところで、近年の環境保護や廃棄物処理の観点から、使用済み古紙の再利用を行う試みは年々重要性が増してきている。特に、近年電子写真法による複写機・プリンターが広く普及したこともあり、複写機・プリンターからの用紙廃棄量も増加しており、これら使用済み用紙から脱墨パルプを得ようとする試みも提案されている。
【0003】
また、ポリαヒドロキシカルボン酸などの分解性ポリエステルを結着樹脂として用いる技術(例えば、特許文献1参照)や、ポリαヒドロキシカルボン酸と他のポリエステル樹脂を併用する技術、スチレン系樹脂あるいはポリオール系樹脂を併用する技術(例えば、特許文献2〜4参照)、あるいはポリ3ヒドロキシブチレートなど生分解性を有するポリヒドロキシアルカノエートを結着樹脂として用いる技術(例えば、特許文献5参照)、特定のポリ乳酸系樹脂を用いる技術(例えば、特許文献6参照)などが紹介されている。また、アスパラギン酸・グルタミン酸とヒドロキシカルボン酸を用いる技術も紹介されている(例えば、特許文献7参照)。
【0004】
更に、ポリエステル樹脂に特定構造を有するモノマーを使用することで、耐加水分解性を付与する技術が提案されている(例えば、特許文献8参照)。
【特許文献1】国際公開第92/01245号パンフレット
【特許文献2】特開2002−55491号公報
【特許文献3】特開2002−55489号公報
【特許文献4】特開2002−55490号公報
【特許文献5】特開2002−327047号公報
【特許文献6】特開平7−120975号公報
【特許文献7】特開2004−12834号公報
【特許文献8】特開2008−7527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、使用済み用紙から脱墨パルプを得ようとする場合、紙上に定着されたトナーを効率的に除去することが用紙再生・再資源化の観点からは重要になるが、上記のように、現在主に使用されているスチレン系樹脂・ポリエステル系樹脂・エポキシ系樹脂では加水分解性が低く、紙の繊維からの分離が困難であった。前記特許文献1〜7に提案された技術は、上記課題の改善を目的としたものである。
しかしながら、例えば、いわゆる乳化凝集・合一法によるトナーは、主に水中で製造されることから、これら樹脂の使用は、トナー製造中に加水分解が進行してしまうという欠陥があり、乳化凝集・合一法によるトナーでは脱墨性確保が困難であった。
乳化凝集・合一法では乳化重合法や転相乳化法などにより、樹脂粒子分散液を調製し、得られた粒子分散液を凝集させたのち、ガラス転移温度以上の熱を加えることで、凝集した粒子を溶融・合一させることで、トナー粒子を形成させる。通常、これらのトナー化工程を通して、温度は室温〜95℃程度、pHは2〜10程度まで変動することになる。
【0006】
前記特許文献8に提案された技術は、上記のトナー製造中の加水分解の進行を防ぐために提案された技術であるが、かかる技術では耐加水分解性の向上は期待できるものの、脱墨性が低下することは明白である。
本発明は、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易な静電荷像現像用トナー、該静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、90℃でpH8の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Aが95%以上であり、98℃でpH9の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Bが70%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
【0008】
請求項2に係る発明は、樹脂粒子分散液及び着色剤分散液を混合し、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、前記樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合、合一する融合、合一と、を経て製造されたことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0009】
請求項3に係る発明は、ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記ポリエステル樹脂が、樹脂を構成するアルコール成分として、下記一般式(A)で示される2価のアルコール成分を全アルコール成分の20mol%以上含有することを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナーである。
式(A)
HO−(CH−OH
(一般式(A)中、xは2以上9以下の整数を示す。)
【0011】
請求項5に係る発明は、前記ポリエステル樹脂の含有量が3質量%以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0012】
請求項6に係る発明は、硫黄元素を0.02%以上含有することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0013】
請求項7に係る発明は、トナーを含み、該トナーが請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする静電荷像現像剤である。
【0014】
請求項8に係る発明は、トナーが少なくとも収められ、該トナーが請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とするトナーカートリッジである。
【0015】
請求項9に係る発明は、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0016】
請求項10に係る発明は、像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の像保持体上の残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を有し、前記現像剤が請求項7に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
請求項11に係る発明は、前記クリーニング手段が回転ブラシを有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易な静電荷像現像用トナーが得られる。
本発明の請求項2に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され用紙のリサイクルが容易な、凝集合一法で製造される静電荷像現像用トナーが得られる。
【0019】
本発明の請求項3に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、より容易に脱墨され用紙のリサイクルがより容易になる静電荷像現像用トナーが得られる。
本発明の請求項4に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、より容易に脱墨され用紙のリサイクルがより容易になる静電荷像現像用トナーが得られる。
【0020】
本発明の請求項5に係る発明によれば像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、より容易に脱墨され用紙のリサイクルがより容易になる静電荷像現像用トナーが得られる。
本発明の請求項6に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、より容易に脱墨され用紙のリサイクルがより容易になる静電荷像現像用トナーが得られる。
【0021】
本発明の請求項7に係る発明によれば像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易な静電荷像現像剤が得られる。
【0022】
本発明の請求項8に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易なトナーカートリッジが得られる。
【0023】
本発明の請求項9に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易なプロセスカートリッジが得られる。
【0024】
本発明の請求項10に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生を抑制し、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され、用紙のリサイクルが容易な画像形成装置が得られる。
本発明の請求項11に係る発明によれば、像保持体上のフィルミングの発生をより抑制する画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、「本実施形態のトナー」という場合がある。)は、90℃でpH8の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Aが95%以上であり、98℃でpH9の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Bが70%以下であることを特徴とする。
【0026】
ここで、90℃でpH8の水中に1時間保持したときの重量平均分子量の保持率は、以下のようにして求める。
(1)先ず、試料(トナー)0.2gをテトラヒドロフラン99.8gに溶解した溶液について、重量平均分子量を測定し、その値をA1とする。
(2)次に、試料10gをイオン交換水100gに投入し、超音波分散機にて2分間、分散を行いトナー分散液を調製した。更に分散液を撹拌しながら90℃まで加熱し、90℃到達後、水酸化ナトリウム水溶液にてpHを8.0±0.05に調製し、1時間保持した。
(3)1時間経過後、分散液を徐冷し、25℃まで冷却後、硝酸水溶液にてpHを7.0±0.1に調整後、凍結乾燥を行い、トナー固形分を得る。得られたトナー固形分0.2gをテトラヒドロフラン99.8gに溶解した溶液について、重量平均分子量を測定し、その値をA2とする。
(4)下記式より、保持率Aを求める。
保持率A(%)= (A2/A1) × 100
【0027】
また、98℃でpH9の水中に1時間保持したときの重量平均分子量の保持率Bは、以下のようにして求める。
(1)先ず、試料(トナー)0.2gをテトラヒドロフラン99.8gに溶解した溶液について、重量平均分子量を測定し、その値をB1とする。
(2)次に、試料10gをイオン交換水100gに投入し、超音波分散機にて2分間、分散を行いトナー分散液を調製した。更に分散液を撹拌しながら98℃まで加熱し、98℃到達後、水酸化ナトリウム水溶液にてpHを9.0±0.05に調製し、1時間保持した。
(3)1時間経過後、分散液を徐冷し、25℃まで冷却後、硝酸水溶液にてpHを7.0±0.1に調整後、凍結乾燥を行い、トナー固形分を得る。得られたトナー固形分0.2gをテトラヒドロフラン99.8gに溶解した溶液について、重量平均分子量を測定し、その値をB2とする。
(4)下記式より、保持率Aを求める。
保持率B(%)= (B2/B1) × 100
【0028】
尚、前記重量平均分子量の測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて以下の条件で行った。
東ソー(株)HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSK geli,SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
【0029】
本実施形態のトナーは、98℃でpH9の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Bが70%以下であることを特徴とする。ここで、トナーの98℃でpH9の水中への保持は、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程を仮想したものであり、前記保持率Bが70%以下であると、前記脱墨工程により、アルカリ下での加水分解等により、トナー成分が充分分解し、容易に脱墨される。一方、前記保持率Bが70%を超えると、前記脱墨工程或いは用紙の再生工程でのアルカリ下での加水分解等により、トナー成分が充分分解せず、紙繊維中からトナーが脱離せずに残りやすくなる。前記保持率Bは65%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
【0030】
本実施形態のトナーは、90℃でpH8の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Aが95%以上であることを特徴とする。ここで、トナーの90℃でpH8の水中への保持は、トナー製造時の条件を仮想したものである。例えば、乳化凝集・合一法では通常、25℃〜95℃程度の温度変化、pHに関しては2〜10程度まで変化が生じる。pHが低い(酸性側)状態は主に初期の凝集工程で発生し、そのときの温度は25℃〜50℃程度であり、逆にpHが高い(アルカリ性側)環境は主に凝集を停止させる工程で発生するため温度はやはり50℃程度である。高温環境となるのは、溶融・合一工程であるが、この工程では、pHは通常6〜8程度であり、95℃/pH10や95℃/pH2といった過度にストレスな環境は通常の製造工程では発生しない。
【0031】
前記保持率Aが95%未満であると、トナー製造時に、加水分解等により樹脂の分解が進行する。その結果、低分子量成分が発生し、粉体特性の悪化や帯電障害、あるいは感光体への付着(フィルミング)などによる画質障害が発生しやすくなる。また、もとの樹脂の分子量が低下することにより、定着時にホットオフセットが発生しやすくなるなどの問題が生じる。前記保持率Aは96%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
以上のことより、本実施形態のトナーは、保持率Aが95%以上であり、保持率Bが70%以下であることにより、ホットオフセットが発生せず、複写機やプリンターなどでの使用後の脱墨工程において、容易に脱墨され用紙のリサイクルが容易になる。
【0032】
本実施形態のトナーは、例えば、以下の(1)〜(5)の少なくとも何れかを適用することにより、保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御される。
(1)結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる。
(2)ポリエステル樹脂が後記一般式(A)で示される2価のアルコール成分を全アルコール成分の20mol%以上含有させる。
(3)トナー中のポリエステル樹脂の含有量を3質量%以上にする。
(4)製造する際に硫酸金属塩を用いる(結果として、得られたトナーは硫黄元素を含有することになる)。
(5)乳化凝集法でトナーを製造する場合は、(4)の硫酸金属塩とともにポリ塩化アルミニウムを用いる。
以下、本実施形態のトナーを構成ごとに、保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御する方法も含めて詳細に説明する。
【0033】
(結着樹脂)
本実施形態のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、上述のように保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御しやすい点で、ポリエステル樹脂が好ましい。該ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂があり、何れも本実施形態において使用することができる。また、結晶性ポリエステル樹脂および非結晶性ポリエステル樹脂をそれぞれ単独で、結着樹脂として使用してもよいが、これらを併用することが好ましい。
【0034】
なお、本実施形態において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。一方、DSCにおいて階段状の吸熱量変化が認められる樹脂は、本実施形態における非結晶性ポリエステル樹脂を意味する。
【0035】
−結晶性ポリエステル樹脂−
本実施形態のトナーでは、結晶性ポリエステル樹脂を含むことにより、低温定着を実現させる。なお、前記低温定着とはトナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう(プロセス速度100mm/s、80gsmの用紙、単位面積当りのトナー載り量1.5mg/cmの条件下)。
本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂とは、前記のように示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂を指し、該吸熱ピークを有する樹脂であればなんでもよく、結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50構成モル%以下であれば、この共重合体も結晶性ポリエステル樹脂とする。即ち吸熱ピークを示すことより、結晶性ポリエステル樹脂とする。以下、結晶性ポリエステルの好ましい例を示すが、ここに示されるものに限定されない。
【0036】
前記結晶性ポリエステル樹脂において、酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、中でも脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、特に脂肪族ジカルボン酸は直鎖型のカルボン酸が好ましい。前記酸由来構成成分としてのジカルボン酸は、1種に限定されず、2種以上のジカルボン酸由来構成成分を含んでもよい。また、前記ジカルボン酸は、乳化凝集法における乳化性を良好にする為、スルホン酸基を含ませることがある。
なお、前記「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0037】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸が好ましい。
【0038】
また、前記脂肪族ジカルボン酸には芳香族ジカルボン酸を添加してもよく、該芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、中でもテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸が、入手容易性、易乳化性の観点で好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸の添加量は、20構成モル%以下であることが好ましく、10構成モル%以下であることがより好ましく、更に好適には5構成モル%以下である。前記芳香族ジカルボン酸の添加量が20構成モル%を超えると乳化性が困難になる場合や、結晶性が阻害され、結晶性ポリエステル樹脂特有の画像光沢性を得ることができなくなる、更に融点降下を起こして画像の保存性も悪くなる場合がある。
【0039】
前記結晶性ポリエステル樹脂において、アルコール由来構成成分となる為のアルコールとしては、脂肪族ジオールが好ましく、前記脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘンキンサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0040】
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度を180℃以上230℃以下として行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
重合性単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0041】
前記ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
【0042】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下の範囲であることが好ましく、6,000以上30,000以下の範囲であることがより好ましい。分子量(Mw)が6,000未満であると、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下する場合があり、重量平均分子量(Mw)が35,000を超えると、高分子量の非晶性樹脂中に取り込まれにくくなる場合がある。
【0043】
上記重量平均分子量の測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行った。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
【0044】
本実施形態で用いる結晶性ポリエステル樹脂の融解温度(Tm)は、60℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、70℃以上100℃以下の範囲であるのがより好適である。前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が60℃未満であると、粉体の凝集が起こり易くなったり、定着画像の保存性が悪くなったりすることがある。一方120℃を越えると、画像荒れを起こし低温定着性を阻害することがある。
なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融点は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
【0045】
−非結晶性ポリエステル樹脂−
本実施形態において用いられる非結晶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル樹脂を使用することができる。非結晶性ポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、前記非結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。また非結晶性ポリエステル樹脂は、1種の非結晶性ポリエステル樹脂でも構わないが、2種以上のポリエステル樹脂の混合であっても構わない。
【0046】
非結晶性ポリエステル樹脂における多価アルコール成分としては、例えば、2価のアルコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等を用いることができる。また、3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ソルビトール、1,4−ソルビタン、トリメチロールプロパン等を用いる。
【0047】
また、上記多価アルコール成分と縮合させる2価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族飽和カルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;及びこれらの酸の低級アルキルエステル、酸無水物などが挙げられ、これらを1種又は2種以上用いる。
【0048】
これら多価カルボン酸の中でも、脂肪族不飽和ジカルボン酸類は構造が平面的であり、直線性の高い結晶性ポリエステル樹脂との親和性を高める上で好ましく、特にフマル酸は、二重結合のトランス位にカルボン酸が位置しているため、樹脂構造の直線性がより向上し、さらに親和性が向上するため好適である。
また、アルケニルコハク酸もしくはその無水物を用いると、他の官能基に比べ疎水性の高いアルケニル基が存在することにより、より容易に結晶性ポリエステル樹脂と相溶させることができる。アルケニルコハク酸成分の例としては、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、並びにこれらの酸無水物、酸塩化物及び炭素数1以上3以下の低級アルキルエステルが挙げられる。
【0049】
更に、3価以上のカルボン酸を含有することにより、高分子鎖が架橋構造をとることができ、該架橋構造をとることにより、一旦非晶性樹脂と相溶した結晶性ポリエステル樹脂を固定化し分離しにくくする効果が得られる。
上記3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸や1,2,5−ベンゼントリカルボン酸などのトリメリット酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、並びにこれらの酸無水物、酸塩化物及び炭素数1〜3の低級アルキルエステルなどが挙げられるが、トリメリット酸が特に好適である。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、結着樹脂粒子分散液を作製する際に、ジカルボン酸成分がスルホン酸基を有していれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁することも可能である。
【0051】
上記の理由から、非結晶性ポリエステル樹脂には脂肪族不飽和ジカルボン酸及びその無水物の少なくとも1種と、アルケニルコハク酸及びその無水物のうちの少なくとも1種と、トリメリット酸及びその無水物のうちの少なくとも1種と、を含んで反応させた成分が含有されることが好ましい。また、前述のごとく、全酸成分中における脂肪族不飽和ジカルボン酸量は、高分子量の非結晶性ポリエステル樹脂に比べ低分子量の非結晶性ポリエステル樹脂の方が多くなるようにする。
重合方法については、前記結晶性ポリエステル樹脂の場合に準ずる。
【0052】
非結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、特に制限されないが、例えば高分子量成分・低分子量成分の樹脂を各々合成して、それらを用いて結着樹脂とする場合は、高分子量成分の樹脂の重量平均分子量Mwは30000以上200000以下の範囲であることが好ましく、30000以上100000以下の範囲であることがより好適であり、35000以上80000以下の範囲であることがさらに好適である。
高分子量成分の分子量をこの範囲に制御することで、前記凝集工程におけるシェル効果(最表面が非結晶性ポリエステル樹脂で覆われること)を有効に発現させることができる。Mwが200000を越えると、溶融・合一時に温度・時間が必要となり、内部から結晶性ポリエステル樹脂等が露出しシェル効果が発揮できなくなる場合がある。逆に30000未満では、分子量が低いことによる親和性が向上し、やはりシェル効果が期待できなくなる場合がある。
【0053】
既述したように、保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御しやすい点で、ポリエステル樹脂(結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂の双方において)は、樹脂を構成するアルコール成分として、下記一般式(A)で示される2価のアルコール成分を全アルコール成分の20mol%以上含有することが好ましく、25mol%以上含有することがより好ましい。また、粉体流動性や保管性、あるいは、帯電性の点で、前記全アルコール成分に対する下記一般式(A)で示される2価のアルコール成分の比率は50mol%以下であることが好ましい。
式(A)
HO−(CH−OH
(一般式(A)中、xは2以上9以下の整数を示し、4以上9以下の整数が好ましい)
【0054】
前記一般式(A)で示される2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールが挙げられ、1,6−ヘキサンジオールあるいは1,9−ノナンジオールが好ましい。
【0055】
また、既述したように、保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御しやすい点で、ポリエステル樹脂(結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂の双方を含む場合は合計量)の含有量を3質量%以上にすることが好ましく、5質量%以上にすることがより好ましい。また、本願においては保持率Aおよび保持率Bを満足する限り、結着樹脂全量がポリエステル樹脂であってもなんら問題ない。
【0056】
(着色剤)
本実施形態のトナーに用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が好ましい。
例えば、イエロー顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG 等を挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が好適に用いられる。
【0057】
マゼンタ顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC 、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ、ナフトール系顔料としては、ピグメントレッド31、 同 146、同147、同150、同176、同238、同269などが挙げられ、キナクリドン系顔料としては、ピグメントレッド122、同202、同209などが挙げられ、この中でも特に製造性、帯電性の観点からピグメントレッド185、同238、同269、同122が好適である。
【0058】
シアン顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が好適に用いられる。
【0059】
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG 等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等を挙げることができる。
【0060】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料なども用いられる。また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。
【0061】
黒色トナーに用いられる黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等を挙げることができ、特にカーボンブラックが好適に用いられる。カーボンブラックは比較的分散性が良いため、特に特別な分散を必要としないが、カラー着色剤に準じた製造方法で製造されることが好ましい。
【0062】
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が好ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
【0063】
(離型剤)
本実施形態のトナーには、さらに離型剤を含有することが好ましい。
上記離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス類;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス類;ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス類;ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、モノステアリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、ペンタエリスリトールテトラベヘネート等の高級脂肪酸と単価または多価低級アルコールとのエステルワックス類;ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステルワックス類;ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステルワックス類;コレステリルステアレート等のコレステロール高級脂肪酸エステルワックス類などが挙げられる。
本実施形態において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いても良い。
【0064】
本実施形態における離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定された示差走査熱量測定(DSC)における融解温度(主体極大吸熱ピーク温度)が75℃以上100℃以下であることが好ましく、80℃以上90℃以下であることがより好適である。
融解温度が75℃未満では、後述する乳化凝集法によるトナーの製造において乳化粒子融合時に剥型剤の粘度が極端に低くなり、小粒径・高円形度トナー比率が増加し、個数粒径粒径分布/円形度分布を所望の範囲とすることができない場合がある。100℃を超えると、離型剤の変化温度が高すぎて融合時等の温度でも十分溶融せず、粒径分布/円形度分布の制御に関与できない場合がある。
【0065】
上記観点から、後述するトナーの製造時の融合温度との関係で、用いる離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、などを用いることが好ましく、特に結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンなどを用いることが好適である。
【0066】
前記離型剤のトナー中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより好ましい。離型剤の含有量が0.5質量%未満であると、特にオイルレス定着において剥離不良となるおそれがある。離型剤の含有量が15質量%を超えると、トナーの流動性が悪化する等、画質および画像形成の信頼性を低下させるおそれがある。
【0067】
本実施形態のトナーは、既述のように、保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御するために硫酸金属塩を用いることが好ましいが、硫酸金属塩を用いることにより、硫黄元素を含有することになる。トナー中の硫黄元素の含有量は、0.02質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、帯電性の点で、トナー中の硫黄元素の含有量は、2.5質量%以下が好ましい。
尚、硫黄元素の含有量は、蛍光X線のスペクトル強度を定量分析することにより求めることができる。
【0068】
(その他の添加剤)
本実施形態のトナーには、前記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
【0069】
無機粒子としては、種々の目的のために添加されるが、トナーにおける粘弾性調整のために添加されてもよい。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みを調整することができる。無機粒子としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用することができるが、発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0070】
その他、トナーには帯電制御剤などの公知の材料を添加してもよい。その際に添加される材料の平均粒径としては、1μm以下であることが好ましく、0.01〜1μmであるのがより好適である。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる電子写真用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招く場合がある。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
【0071】
さらに、本実施形態の静電荷像現像用トナーについて、その製造方法とともにより詳細に述べる。
本実施形態のトナーを製造する方法としては、特に制限はないが、湿式造粒法によることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が好適に挙げられる。以下、乳化凝集法を例に説明する
【0072】
乳化凝集法は、少なくとも樹脂を含む粒子を分散(乳化)させた分散液(以下、「乳化液」という場合がある)中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程(凝集工程)と、前記凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合する工程(融合工程)を含む製造方法である。また、凝集工程及び融合工程間に、凝集粒子分散液中に、粒子を分散させた粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)を設けたものであってもよい。
【0073】
以下、前記本実施形態のトナーを作製するより好適な製造方法について、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いた場合を例に挙げて説明する。
本実施形態における好適なトナーの製造方法は、ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、有機溶剤との混合物に水性溶媒を加え転相乳化する、あるいは、前記混合物を水性溶媒中に乳化分散することにより、結着樹脂及び着色剤を含む複合粒子の分散液を調製する乳化工程と、該分散液中の複合粒子及び離型剤粒子を凝集して凝集粒子とする凝集工程と、該凝集粒子を前記離型剤の融解温度以下の温度で融合・合一させる融合工程とを含む。
【0074】
−乳化工程−
例えばポリエステル樹脂粒子の形成は、水系媒体とポリエステル樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行うことができる。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成することができる。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用することもできる。さらに、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、ポリエステル樹脂粒子の分散液を作製することができる。
【0075】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0076】
前記乳化工程における乳化液に含まれる樹脂粒子の含有量は、10〜50質量%の範囲とすることが望ましく、より望ましくは20〜40質量%の範囲である。前記含有量が10質量%より少ないと粒度分布が広がり、トナー特性が悪化する場合がある。また50質量%を超えるとばらつきのない撹拌が困難となり、粒度分布が狭く特性の揃ったトナーを得ることが困難となる場合がある。
【0077】
前記乳化液の分散法としては、前記乳化液の分散に用いる分散機として、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.01〜1.0μmの範囲が望ましく、0.03〜0.6μmがより望ましく、0.03〜0.4μmがさらに望ましい。
【0078】
着色剤の分散方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。
【0079】
必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色剤分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結晶性ポリエステル樹脂等を分散させる際に用い得る分散剤に準じたものを用いることができる。
【0080】
着色剤の添加量としては、ポリマーの総量に対して1〜20質量%の範囲とすることが好ましく、1〜10質量%の範囲とすることがより好ましく、2〜10質量%の範囲とすることがさらに好ましく、2〜7質量%の範囲とすることが特に好ましい。
【0081】
なお、乳化工程で着色剤を混入させておく場合、ポリマーと着色剤との混合は、ポリマーの有機溶剤溶解液に、着色剤あるいは着色剤の有機溶剤分散液を混合することで行うこともできる。
【0082】
−凝集工程−
前記凝集工程においては、まず得られたポリエステル樹脂粒子の分散液、及び着色剤分散液等を混合して混合液とし、ポリエステル樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる。pHとしては、2〜7の範囲が望ましく、2.2〜6の範囲がより望ましく、2.4〜5の範囲がさらに望ましい。
【0083】
既述のように、保持率Aを95%以上に、保持率Bを70%以下に制御するためには、凝集粒子を形成する際に、硫酸金属塩及びポリ塩化アルミニウムを用いることが好ましい。具体的には、複合粒子の分散液及び離型剤分散液等を混合する際に、硫酸金属塩及びポリ塩化アルミニウムを添加して混合する。
前記硫酸金属塩としては、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛などが挙げられ、中でも硫酸アルミニウムが好ましい。
【0084】
硫酸金属塩の添加量は、凝集剤の種類や価数によって変動するが、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。
また、ポリ塩化アルミニウムの添加量は、0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上2.5質量%以下がより好ましい。
【0085】
−融合工程−
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度または結晶性ポリエステル樹脂の融解温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。ただしこの場合、融合温度を含まれる離型剤の融解温度以下とする。
【0086】
融合温度を結晶性ポリエステル樹脂の融解温度以上、離型剤の融解温度に対して5℃乃至10℃低い温度に設定することが好ましい。
また、加熱の時間としては、所望の合一が為される程度行えばよく、0.5乃至20時間程度行えばよい。その後、樹脂のTg以下まで降温して、粒子を固化する。
【0087】
融合工程を終了した後は、粒子を洗浄し乾燥してトナー粒子を得る。トナーの帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄を施すことが好ましく、洗浄度合いはろ液の伝導度でモニターするのが一般的で、最終的に、伝導度が25μS/cm以下となるようにすることが好ましい。洗浄の際、酸やアルカリでイオンを中和する工程を含んでも良く、酸による処理はpHを4.0以下に、アルカリによる処理はpHを8.0以上にすることが好ましい。また、洗浄後の固液分離は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、フィルタープレスなどの加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに、乾燥も、特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられ、最終的なトナーの水分率は1質量%以下、より好適には0.7質量%以下になるように乾燥する。
【0088】
また、本実施形態のトナーは、混練粉砕法によっても好ましく製造される。
混練粉砕法は従来公知のものであれば特に制限はなく、具体的には、少なくとも、トナー形成材料を混練し、混練物を調製する混練工程と、少なくとも、該混練物を粉砕及び分級し、トナー粒子を調製する粉砕分級工程と、少なくとも、該トナー粒子に外添剤を混合する外添混合工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を有してなる。
【0089】
混練には、公知の1軸もしくは2軸の押し出し機又は公知の1軸もしくは2軸の混練機を使用することができる。2軸の混練機を使用するときは、スクリューの回転方向は、異方向でもよく同方向でもよい。
【0090】
前記混練物排出温度は、スクリューとバレルとのギャップやスクリュー形状、混練時間、スクリュー回転数、バレル温度等で調整することができる。蒸発潜熱を利用して混練物の温度を下げ、シェアを上げるために混練中に水を添加する方法もよく使用される。
このように混練されたものは、冷却固化された後、粗砕/破砕そして粉砕・分級を経て、重量平均粒径5〜9μmの粒子に調整される。本発明で使用される粉砕・分級機は、公知のジェット式又は機械式粉砕機、公知の遠心式や慣性式の分級機等が挙げられる。
【0091】
本実施形態のトナーには、流動性助剤、クリーニング助剤、研磨剤等として、無機粒子および有機粒子を外添混合することができる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子があげられる。これらの無機粒子は、その表面が疎水化されたものであることが好ましく、帯電性、粉体特性、保存性などのトナー諸特性や、現像性や転写性といったシステム適性を制御するために用いられる。有機粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。
【0092】
これらの粒子は転写性を向上させる目的で添加され、その1次粒径は0.01μm乃至0.5μmであることが好ましい。さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えばエチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩ユニリンなどの高級アルコールなどがあげられる。これらは一般にクリーニング性を向上させる目的で添加され、その1次粒径は、0.5μm乃至8.0μmのものが用いられる。
【0093】
また、前記無機粒子のなかでも少なくとも2種以上を使用し、該無機粒子の少なくとも1種は30nm乃至200nmの、さらに好適には30nm乃至180nmの平均1次粒子径を有することが好ましい。トナーが小粒径化することによって、感光体との非静電的付着力が増大するため、転写不良やホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こされ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因となるため、平均1次粒子径が30nm乃至200nmの大径の外添剤を添加し、転写性を改善させることが好ましい。平均1次粒子径が30nmより小さいと、初期的なトナーの流動性は良好であるが、トナーと感光体との非静電的付着力を低減できず転写効率が低下し画像のぬけや、画像の濃度ばらつきを悪化させてしまい、また経時による現像機内でのストレスによって粒子がトナー表面に埋め込まれ、帯電性が変化し、濃度の低下や背景部へのカブリ等の問題を引き起こす場合がある。また、平均1次粒子径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離しやすく、また流動性の悪化にもつながる場合がある。
【0094】
具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、特に、疎水化されたシリカを必須成分として添加することが好ましい。特にシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、粒径80nm乃至500nmの有機粒子を併用することも転写性向上には好ましい。外添剤を疎水化処理する疎水化剤としては公知の材料が挙げられ、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤、シリコーンオイルやポリマーコーティング処理などが挙げられる。
前記外添剤は、サンプルミルやヘンシェルミキサーなどで機械的衝撃力を加えられてトナー表面に付着又は固着させられる。
【0095】
(トナーの特性)
本実施形態のトナーの個数平均粒径は3μm以上8μm以下の範囲であることが好ましく、3.5μm以上7.5μm以下の範囲であることがより好ましく、5μm以上8μm以下の範囲であることが更に好ましい。個数平均粒径が3μmより小さいと、トナー流動性が低下し、各粒子の帯電性が低下しやすく、また帯電分布が広がるため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる。また3μmより小さいと、格段にクリーニング性が困難となる場合がある。個数平均粒径が8μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなり、近年の高画質要求を満たすことが困難となる場合がある。
【0096】
また、本実施形態のトナーは、上記円形度の平均値(平均円形度)が0.940以上0.980以下の範囲の形状であることが好ましい。平均円形度がこの範囲の球状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像形成を行うことができる。
上記個数平均粒径及び平均円形度の測定はSysmex社製FPIA3000を用いて実施する。
【0097】
<静電荷像現像剤>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0098】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0099】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲にあり、好ましくは30μm以上100μm以下の範囲にある。
【0102】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0103】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0104】
前記二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が好ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより好ましい。
【0105】
<画像形成装置>
次に、既述の本実施形態の静電荷像現像剤を用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を、用紙等の記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として既述の本実施形態の静電荷像現像剤を用いるものである。
【0106】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、前記の静電荷像現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0107】
図1は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0108】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に所定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
【0109】
上述した第1〜第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0110】
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0111】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V〜−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0112】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0113】
現像装置4Y内には、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0114】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0115】
クリーニング装置(クリーニング手段)6Yは、感光体1Y表面の残留トナーを回転ブラシ(クリーニングブラシ)11Yで処理し、クリーニングブレード12Yで掻き取る構成である(クリーニング装置6M、6C、6Kも同様の構成である。)。
尚、本実施形態の画像形成装置は、より効率的にフィルミングの発生を抑制する点で、クリーニング手段が少なくとも回転ブラシを有していることが好ましく、図1に示すように、回転ブラシ及びクリーニングブレードの双方を有していることがより好ましい。
【0116】
回転ブラシ11Yの材質としては、公知の材質を用いることが可能であるが、その中でも、ナイロン、アクリル又はポリプロピレンが好ましく、この中でも特にナイロンが長期安定性に優れるため好ましい。ブラシ表面の繊維太さは2〜17デニールの範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜10デニールの範囲である。繊維太さを上記範囲にすることにより感光体表面からのトナーの除去が効率的に行える。
尚、本実施形態の画像形成装置は、クリーニング手段が少なくとも回転ブラシを有していることが好ましく、図1に示すように、回転ブラシ及びクリーニングブレードの双方を有していることがより好ましい。
【0117】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0118】
第1〜第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0119】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0120】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体(像保持体)107とともに、帯電ローラ108、現像装置(現像手段)111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、300は記録紙である。
【0121】
図2で示すプロセスカートリッジでは、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。尚、クリーニング装置113は、感光体107表面の残留トナーを回転ブラシ(クリーニングブラシ)121で処理し、クリーニングブレード122で掻き取る構成である。尚、本実施形態の画像形成装置は、クリーニング手段が少なくとも回転ブラシを有していることが好ましく、図2に示すように、回転ブラシ及びクリーニングブレードの双方を有していることがより好ましい。

【0122】
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収めるトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本発明のトナーであることを特徴とする。なお、本発明のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
【0123】
従って、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本発明のトナーを収めたトナーカートリッジを利用することにより、特に容器が小型化されたトナーカートリッジにおいても保存性を保つことができ、高画質を維持しつつ低温定着化を図ることが可能となる。
【0124】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換することができる。
【実施例】
【0125】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0126】
まず、本実施例における物性値の測定方法について説明する。
(1)分子量の測定
分子量分布は以下の条件で行った。東ソー(株)HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSK geli, SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
【0127】
(2)トナーの粒度の測定
トナー粒度及び粒度分布測定は、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径D50vを求めた。測定する粒子数は50000であった。
【0128】
(3)樹脂微粒子、着色剤粒子等の体積平均粒径の測定
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定する。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径dとする
【0129】
(4)ガラス転移温度の測定
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度3℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。
【0130】
(トナーの作製)
[樹脂粒子分散液Aの調製]
・テレフタル酸ジメチル:150部
・フマル酸ジメチル:15部
・トリメリット酸無水物:20部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物:240部
・エチレングリコール:19部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド2.4部を加え、窒素ガス気流下、約195℃で約6時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃にあげて、約6時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下0.5時間撹拌反応させ、黄色透明なポリエステルである樹脂Aを得た。
ついで得られた樹脂AをキャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用い、分散を行った。イオン交換水80%、ポリエステル樹脂濃度20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.0に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm、熱交換器による加熱140℃の条件でキャビトロンを運転し、固形分20%のポリエステルを含む樹脂粒子分散液Aを得た。得られた樹脂Aの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Aの体積平均粒径を表1に示す。
【0131】
[樹脂粒子分散液Bの調製]
・テレフタル酸ジメチル:135部
・フマル酸ジメチル:45部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物:290部
・エチレングリコール:10部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド2.7部を加え、以下樹脂Aと同様に合成して、淡黄色透明なポリエステルである樹脂Bを得た。
ついで、樹脂Bを樹脂粒子分散液Aと同様に分散して、樹脂粒子分散液Bを得た。得られた樹脂Bの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Bの体積平均粒径を表1に示す。
【0132】
[樹脂粒子分散液Cの調製]
・テレフタル酸ジメチル:125部
・ドデセニルコハク酸無水物:65部
・トリメリット酸無水物:19部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物:45部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物:290部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド2.7部を加え以下樹脂Aと同様に合成して、黄色透明なポリエステルである樹脂Cを得た。
ついで、樹脂Cを樹脂粒子分散液Aと同様に分散して、樹脂粒子分散液Cを得た。得られた樹脂Cの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Cの体積平均粒径を表1に示す。
【0133】
[樹脂粒子分散液Dの調製]
・ドデカン2酸ジメチル:205部
・セバシン酸ジメチル:45部
・1,9−ノナンジオール:160部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてチタンテトラブトキシド1.7部を加え、以下ポリエステル樹脂粒子Aと同様に合成して、白色透明なポリエステルである樹脂Dを得た。
ついで、樹脂Dを樹脂Aと同様に分散して、樹脂粒子分散液Dを得た。得られた樹脂Dの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Dの体積平均粒径を表1に示す。
【0134】
[樹脂粒子分散液Eの調製]
・テレフタル酸ジメチル:130部
・ドデセニルコハク酸無水物:65部
・トリメリット酸無水物:13部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物:110部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物:220部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド2.7部を加え以下樹脂Aと同様に合成して、黄色透明なポリエステルである樹脂Eを得た。
ついで、樹脂Eを樹脂粒子分散液Aと同様に分散して、樹脂粒子分散液Eを得た。得られた樹脂Eの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Eの体積平均粒径を表1に示す。
【0135】
[樹脂粒子分散液Fの調製]
・テレフタル酸ジメチル:145部
・フマル酸ジメチル:35部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物:95部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物:240部
上記成分を撹拌機・温度計・コンデンサー・窒素ガス導入管を備えた反応容器に投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド3.3部を加え以下樹脂Aと同様に合成して、淡黄色透明なポリエステルである樹脂Fを得た。
ついで、樹脂Fを樹脂粒子分散液Aと同様に分散して、樹脂粒子分散液Fを得た。得られた樹脂Fの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Fの体積平均粒径を表1に示す。
【0136】
[樹脂粒子分散液Gの調製]
・スチレン:296部
・アクリル酸n−ブチル:104部
・アクリル酸:6部
・ドデカンチオール:10部
・アジピン酸ジビニル:1.8部
(以上、和光純薬(株)製)
上記成分を混合し溶解した混合物を、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)12部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)8部をイオン交換水610部に溶解した溶液に加えて、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬(株)製)8部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換を0.1リットル/分で20分行った。その後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が73℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量40%の樹脂Gを含む樹脂粒子分散液Gを調製した。得られた樹脂Gの重量平均分子量、ガラス転移温度および樹脂粒子分散液Gの体積平均粒径を表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
[離型剤分散液の調製]
・パラフィンワックスHNP9(融点:74℃、日本精蝋社製):45部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:200部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20%)を調製した。
【0139】
[着色剤分散液の調製]
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):1000部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):150部
・イオン交換水:9000部
以上の成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は0.15μm、着色剤粒子濃度は23%であった。
【0140】
[トナーの作製]
丸型ステンレス製フラスコ中に、それぞれ、表2に示す材料(樹脂粒子分散液A〜G、離型剤分散液、着色剤分散液)を表2に示す量入れ、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)で混合・分散した。次いで、これに凝集剤として硫酸アルミニウムの10%水溶液及び1%ポリ塩化アルミニウム水溶液を表2に示す量をそれぞれ加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を調整しながら、40℃まで、0.5℃/分で昇温し、40℃で15分保持した後、0.05℃/分で昇温しながら、10分ごとに、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:100μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.2μmとなったところで、追加樹脂分散液(樹脂粒子分散液A〜G)として、表2に記載の追加樹脂粒子分散液(樹脂粒子分散液A〜G)を3分間かけてそれぞれ投入した。投入後30分間保持した後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.0に、凝集を停止させた。
【0141】
その後、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。30分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察し、凝集粒子が十分融合した後、氷水にて冷却し、粒子を固定化させた
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水にて洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、トナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径を表3に示す。
得られたトナー100部に対して疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製、RY―50)1部および疎水性酸化チタン粒子0.8部を加え、ヘンシェルミキサーにて外添混合を行い、静電荷像現像用トナーA〜G(トナーA〜G)をそれぞれ得た。更にトナーA〜Gに対して、体積平均粒径、初期の重量平均分子量(前記A1、B1)、前記A2、前記B2、保持率A、保持率B、硫黄元素の含有量を、既述の方法でそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
【0142】
【表2】

【0143】
・ポリエステル樹脂D:20部
・ポリエステル樹脂E:156部
・カーボンブラック(キャボット社製:モーガルL):6部
・ポリエチレンワックス(東洋ペトロライト社製、Polywax725):50部
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これをエクストルーダー(設定温度105℃)により溶融混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級し、トナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径を表3に示す。
得られたトナー100部に対して疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製、RY―50)1部および疎水性酸化チタン粒子0.8部を加え、ヘンシェルミキサーにて外添混合を行い、静電荷像現像用トナーH(トナーH)を得た。更にトナーHに対して、体積平均粒径、初期の重量平均分子量(前記A1、B1)、前記A2、前記B2、保持率A、保持率B、硫黄元素の含有量を、既述の方法でそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
【0144】
【表3】

【0145】
(静電荷像現像剤の作製)
トルエン1.25部にカーボンブラック(商品名;VXC−72、キャボット社製)0.10部を混合し、サンドミルで20分攪拌分散したカーボン分散液に、3官能性イソシアネート80%酢酸エチル溶液(タケネートD110N、武田薬品工業社製)1.25部を混合攪拌したコート剤樹脂溶液と、Mn−Mg−Srフェライト粒子(体積平均粒径:35μm;パウダーテック株式会社製 EF−35B)と、をニーダーに投入し、25℃で5分間混合攪拌した後、常圧にて150℃まで昇温し溶剤を留去した。さらに30分混合攪拌後、ヒーターの電源を切り50℃まで降温した。得られたコートキャリアを75μmメッシュで篩分し、キャリアを作製した。
Vブレンダーにて、このキャリア95部と、前記トナーA〜Hそれぞれ5部と、を混合し、静電荷像現像剤A〜H(現像剤A〜H)をそれぞれ得た。
【0146】
<実施例1〜5、比較例1〜3>
(フィルミング評価)
前記現像剤A〜Hをそれぞれ、富士ゼロックス(株)社製カラー複写機”DocuCentre−II C7500”の改造機を用いて印字評価を行った。その結果を表4に示す。なお、改造は単一の現像機のみに現像剤が入っている状態であっても動作するようにしたものである。また、クリーニング装置は、図1に示した画像形成装置と同様に、クリーニング装置6(Y〜K)が、感光体(1Y〜1K)の回転方向上流側から順に、回転ブラシ(11Y〜11K)とクリーニングブレード(12Y〜12K)が設置されている。
【0147】
評価はそれぞれの現像剤を投入後、高温高湿環境下(32℃・90%RH)、プロセス方向に帯状の画像を画像密度5%となる様な画像パターンを作成し、連続10000枚の印字を行った。印字終了後、A3全面ハーフトーン(画像密度40%)を採取し、画質評価を行った(初期及び10000枚印字後)。また、改造機から感光体を取り出し、目視により、感光体表面へのフィルミング状態を反射率の違いから観察し、以下の基準で評価した(初期及び10000枚印字後)。
◎:画質上まったく問題なく、感光体上も均一でフィルミングは見られない。
○:画質上は問題ないが、感光体上に画像パターンと一致する薄いフィルミング(光沢差)が発生しているが、許容範囲である。
△:画質上、帯状のうっすらと濃淡差が生じている。感光体上もフィルミングがはっきりと確認でき、許容できないレベルである。
×:画質上ハッキリと濃淡差が生じており、感光体上も明確なフィルミングが発生。許容できないレベルである。
【0148】
(脱墨性評価)
前記現像剤A〜Hをそれぞれ、フィルミング評価で用いた富士ゼロックス(株)社製カラー複写機”DocuCentre−II C7500”の改造機を用いて、それぞれの現像剤投入後、黒白比6%の試験用画像を75g/mの紙の表面に作像して試験紙を作成した。この試験紙を使って、次の条件で評価用手抄シートを作成した。
(1) 画像の離解:以下の組成の水分散液がはいったビーカー中に試験紙を投入し、50℃で20分間撹拌して、画像を離解した。
試験紙:5.0%
NaOH:0.7%
ケイ酸ナトリウム:3.0%
:1.0%
脱墨剤(リプトールS2800;ライオン社製):0.2%
【0149】
(2) 希釈・脱水・ニーダー処理:(1)の試験紙を投入し、撹拌した水分散液に、水を加え5%に希釈した後、遠心脱水し、さらにパルプ20%、ケイ酸ナトリウム3.0%、NaOH0.5%となるようにパルプ、ケイ酸ナトリウムを加えニーダーで離解した。
(3) 熟成:ニーダー離解物を50℃で2時間熟成した。
フローテーション:熟成物に水を加えパルプ濃度1%の分散液を調製し、分散液中に微細な気泡を7分間放出し、液中のトナーを気泡に吸着させて水面に浮上させトナーと水を分離する。
(4) 洗浄:脱墨されたパルプ2.4gを水各1リットルにより2回洗浄する。
(5) 試験用手抄シートの作製:タッピシートマシンにより手抄シート(坪量100g/m)を作製した。
【0150】
脱墨性評価は、得られた手抄シート9cm中に存在するトナーの個数として、目視および顕微鏡により100μm以上(目に見える大きさ)の個数と60〜100μmの個数とを測定した。その結果を表4に示す。
100μm以上のトナーの個数が15個以下、60〜100μmのトナーの個数が20個以下であれば、実用上問題ないレベルの脱墨性である。
【0151】
<実施例6>
実施例1において、”DocuCentre−II C7500”の改造機におけるクリーニング装置6(Y〜K)を、回転ブラシ(11Y〜11K)のみが設置され、クリーニングブレード(12Y〜12K)が設置されていないものに変更したこと以外、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表4に示す。
【0152】
<実施例7>
実施例1において、”DocuCentre−II C7500”の改造機におけるクリーニング装置6(Y〜K)を、クリーニングブレード(12Y〜12K)のみが設置され、回転ブラシ(11Y〜11K)が設置されていないものに変更したこと以外、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表4に示す。
【0153】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0155】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
90℃でpH8の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Aが95%以上であり、98℃でpH9の水中に1時間保持したときのテトラヒドロフラン可溶分について測定した重量平均分子量の保持率Bが70%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
樹脂粒子分散液及び着色剤分散液を混合し、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、前記樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合、合一する融合、合一と、を経て製造されたことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂が、樹脂を構成するアルコール成分として、下記一般式(A)で示される2価のアルコール成分を全アルコール成分の20mol%以上含有することを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
式(A)
HO−(CH−OH
(一般式(A)中、xは2以上9以下の整数を示す。)
【請求項5】
前記ポリエステル樹脂の含有量が3質量%以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
硫黄元素を0.02%以上含有することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
トナーを含み、該トナーが請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項8】
トナーが少なくとも収められ、該トナーが請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項9】
現像剤保持体を少なくとも備え、請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の像保持体上の残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を有し、前記現像剤が請求項7に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記クリーニング手段が回転ブラシを有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−66501(P2010−66501A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232520(P2008−232520)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】