説明

面状発熱体及びその製造方法

【課題】本発明は、高温で連続使用が可能で、極めて均一な発熱領域を有し、発熱層および絶縁層が強固に一体化されたフレキシブルな面状発熱体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る面状発熱体は、発熱層、電極、および絶縁層を積層してなる。発熱層では、ポリイミドからなるマトリックス樹脂中にカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粒子からなる導電性物質が実質的に均一に分散されて存在している。電極は、発熱層に電力を供給するためのものである。絶縁層は、発熱層および電極を被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一な温度分布を有し、発熱層と絶縁層が強固に一体化され、耐熱性、耐薬品性に優れ、高温で連続使用が可能な面状発熱体に関する。詳しくはパイプラインの加熱や保温に用いられる加熱ヒータおよび電子写真画像形成装置におけるトナー定着ヒータなどの用途に好適なフィルム状、テープ状等のフレキシブルな面状発熱体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、耐熱性、機械的特性、化学的特性、寸法安定性など多くの優れた特性を有し、フィルム状、チューブ状、成形物、塗料などの形態で市販されている。このポリイミドは一般的に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを極性溶媒中で重合して得られるポリイミド前駆体溶液を出発物として得られる。具体的には、ポリイミドは、例えば、前駆体溶液をキャスティング、浸漬、含浸、流延などの方法で成形した後、その前駆体溶液を加熱あるいは化学的にイミド化することによって得られる。このポリイミドは、高い絶縁耐力と共に耐熱性や自己消火性など優れた特性を持ち、高温度領域で使用する発熱体の絶縁材料としても信頼性が高く、その用途が拡大している。
【0003】
フレキシブルな面状発熱体は、フィルム状あるいはテープ状の薄層構造と柔軟性を活かし、水道管などに巻きつけて凍結を防止するためのあるいは薬液等の搬送パイプラインを加熱、保温するための加熱ヒータとして、また、床暖房やカーペットとして、また、電子写真画像形成装置の定着ヒータなどとして、低温から高温領域まで多くの用途に使用されている。これらのフレキシブルな面状発熱体は、大別して2つの構造のものが知られている。その1つは、ポリイミドなど耐熱性の高い絶縁フィルムでステンレスやニクロムなどの金属箔の抵抗発熱体をサンドイッチ状に被覆した構造の発熱体である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。もう1つは、発熱体材料としての導電性粉末をバインダー樹脂(マトリックス樹脂)に混合して導電性ペーストあるいは導電性組成物を作製し、この導電性ペースト等を絶縁フィルムや基板上にコーティングあるいはスクリーン印刷した後バインダー樹脂を硬化させた面状あるいは薄膜抵抗発熱体である(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0004】
前述した一連の面状発熱体に関する従来技術において、特許文献1及び2に開示されている金属箔を抵抗発熱材料として用いた面状発熱体では、金属箔と絶縁フィルム層間の十分な接着力が得られにくく、金属箔の温度上昇および下降に伴う熱膨張や収縮により、面状発熱体の反りや、金属箔と絶縁フィルムの層間で絶縁フィルムのウキや剥離が発生しやすく、この部分の局部発熱による絶縁破壊が発生しやすい問題がある。
【0005】
また、その一方、特許文献3には、導電性粉末とバインダー樹脂とからなる導電性組成物を抵抗発熱材料として用いた面状発熱体に使用される導電性粉末として、金属粉、金属ファイバー、黒鉛、カーボンブラック、カーボンファイバー、金属酸化物などが開示されている。また、特許文献4には、カーボンナノチューブやカーボンマイクロコイルが開示されている。また、さらに、特許文献5には、フィラメント状ニッケル粉末を導電性フィラーとして用いることが開示されている。
【0006】
しかし、特許文献3では発熱層の成分として数種類の導電性粉末が記載されているものの、溶剤可溶性のブロックポリイミド樹脂にカーボンブラックとグラファイとを混合した導電性ペーストが分散されているに過ぎない。このような材料選定では、体積抵抗率の低い領域の発熱体の設計に限界があり、発熱量の高い面状発熱体を得ることは難しい。
【0007】
また、特許文献4には、発熱体材料としてカーボンナノチューブやカーボンマイクコイルを用いた薄膜抵抗発熱体が開示されている。しかしながら、発熱体材料がカーボンナノチューブやカーボンマイクロコイルのみでは、本発明の比較例に記載したように、低い体積抵抗率を有する発熱抵抗体を作製することが難しく、また、体積抵抗率を低くするためにカーボンナノチューブ等の混合量を増加すると発熱体の機械的特性が急激に低下する問題がある。
【0008】
また、特許文献5には、電子機器などのプラスチック性筐体に用いられる導電性塗料として、フィラメント状ニッケル粉を用いた導電性コーティング用組成物が開示されている。しかしながら、これらの組成物は、積極的に電気を流す通電媒体、いわゆる電気回路として使用する場合には適しているものの、発熱体の抵抗発熱材料として用いるには体積抵抗率が低い。しかし、必要な発熱量を得るためにフィラメント状ニッケル粉の混合量を減量すると、分散不良になりやすく、またフィラメント状ニッケルは良導体であるため、局部的な通電による発熱ムラが発生しやすい問題点がある。
【0009】
さらに、上記一連の公知文献には面状発熱体の抵抗発熱材料のみならずバインダー樹脂や電気絶縁材料についても多く材料が開示されており、また、これらの公知文献では面状発熱体の構造や用途によって耐熱性の低い材料から高温で使用できる材料まで使い分けられている。特許文献5には、低温領域で使用される絶縁材料としてアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンなどが開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、比較的高温領域で使用できる絶縁材料やバインダー樹脂としてガラス転移点を有する溶剤可溶性のブロックポリイミド樹脂を用いる方法が開示されている。しかしながら、このようなバインダー樹脂はガラス転移点を有するため温度の上昇に伴い軟化しやすく、バインダー樹脂の軟化とともに、バインダー樹脂中の導電性粉末に極微細なズレや動きが伴い、使用中に電気抵抗値が変動してくる問題を有している。また、導電性粉末の微細なズレや動きは通電中に微小のスパークが発生する原因となり、このような状態で面状発熱体を長期間使用していると、スパーク部分の炭化が進むと共に絶縁耐力が低下し引いては絶縁破壊が起こる問題がある。
【特許文献1】特開2005−261851号公報
【特許文献2】特開2004−014178号公報
【特許文献3】特開平10−310698号公報
【特許文献4】特開2000−058228号公報
【特許文献5】特開2003−336011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した従来の問題を解決し、高温で連続使用が可能で、極めて均一な発熱領域を有し発熱層、および絶縁層が強固に一体化されたフレキシブルな面状発熱体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の面状発熱体は、発熱層、電極、および絶縁層が積層されてなる。
発熱層では、ポリイミドからなるマトリックス樹脂中にカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粒子からなる導電性物質が実質的に均一に分散されて存在している。電極は、発熱層に電力を供給するためのものである。絶縁層は、発熱層および前記電極を被覆する。
【0013】
請求項2に記載の面状発熱体は、請求項1に記載の面状発熱体であって、カーボンナノ材料は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、及びカーボンマイクロコイルの少なくとも1つである。
【0014】
請求項3に記載の面状発熱体は、請求項1に記載の面状発熱体であって、フィラメント状金属微粒子は、ストランドが三次元的に連なった形状を有するニッケル微粒子である。なお、フィラメント状ニッケル微粒子は、図3に示す形状を有するニッケル微粒子であることが好ましい。
【0015】
請求項4に記載の面状発熱体は、請求項1から3のいずれかに記載の面状発熱体であって、発熱層中の導電性物質が、一定方向に配向して存在している。
【0016】
請求項5に記載の面状発熱体は、請求項4に記載の面状発熱体であって、導電性物質は、電極を結ぶ方向に配向して存在する。また、発熱層の導電性物質配向方向の体積抵抗率は、導電性物質配向方向と直交する方向の体積抵抗率よりも小さい。
【0017】
請求項6に記載の面状発熱体は、請求項1から5のいずれかに記載の面状発熱体であって、発熱層中のマトリックス樹脂及び絶縁層は、少なくとも1種の芳香族ジアミンと少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物とを有機極性溶媒中で重合してなるポリイミド前駆体をイミド転化したポリイミドである。
【0018】
請求項7に記載の面状発熱体は、請求項6に記載の面状発熱体であって、芳香族ジアミンは、下記の化学式(A)のパラフェニレンジアミンである。また、芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記の化学式(B)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0019】
【化1】

【0020】
【化2】

【0021】
請求項8に記載の面状発熱体は、請求項1から7のいずれかに記載の面状発熱体であって、絶縁層の少なくとも片側層には、熱伝導性物質が含まれる。
【0022】
請求項9に記載の面状発熱体は、請求項1から8のいずれかに記載の面状発熱体であって、絶縁層の少なくとも片側層の外面には、フッ素樹脂層が成形されている。
【0023】
請求項10に記載の面状発熱体は、請求項9に記載の面状発熱体であって、フッ素樹脂は、熱伝導性物質を含む。
【0024】
請求項11に記載の面状発熱体の製造方法は、塗布工程、発熱層成形工程、電極成形工程、および絶縁層成形工程を備える。塗布工程では、ポリイミド前駆体溶液中にカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粉子が混合された導電性組成物が絶縁性基層の表面に塗布される。発熱層成形工程では、絶縁性基層上に塗布された導電性組成物が加熱されてイミド転化され発熱層が成形される。電極成形工程では、発熱層に電極が成形される。絶縁層成形工程では、発熱層及び電極を被覆する絶縁層が成形される。
【0025】
請求項12に記載の面状発熱体の製造方法は、請求項11に記載の面状発熱体の製造方法であって、塗布工程では、カーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粉子が一定方向に配向するように導電性組成物が絶縁層の表面に塗布される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の面状発熱体は、発熱層のマトリックス樹脂および絶縁層が熱硬化性ポリイミドあるいは非熱可塑性ポリイミドであるため、240℃を超える高温領域でも連続して使用が可能である。また、発熱層中に混合している導電性物質が、一定の方向に配向して存在しているため、体積抵抗率のばらつきが小さく、且つ、少ない導電性物質の混合量で所定の体積抵抗率を得ることができる。また、発熱層中の導電性物質が、カーボンナノ材料とフィラメント状ニッケル微粒子との混合物であるため、これらの混合比を変えることによって幅広い領域で、精度の高い体積抵抗率を有する発熱体を設計することができる。
【0027】
また、本発明の面状発熱層は、絶縁層の片側層あるいは両側層に熱伝導性粒子を含むため、発熱体で発生した熱量を効率よく被加熱物に供給することができる。また、絶縁層の片側層あるいは両側層外面にフッ素樹脂層を成形しているため面状発熱体の最外層の摩擦抵抗が低く、回転中の被加熱物等に直接面状発熱体を接触させ、回転させながら効率よく加熱することができる。
【0028】
また、本発明の面状発熱体は、すべての層がポリイミド前駆体をイミド転化することにより成形することができるため各層がイミド化によって強固に一体化され、またポリイミド前駆体溶液中において導電性物質あるいは熱伝導性粒子を直接混合できるため、均一な分散が得られ、均一な発熱特性と優れた耐久性を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1及び図2は本発明のテープ状のフレキシブルな面状発熱体の平面及び側面の概略図である。本発明の面状発熱体は、薄膜状の発熱層2と、この発熱層2に電力を供給するための電極3と、発熱層2及び電極3を被覆する絶縁性基層1及び絶縁層4とからなる面状発熱体である。なお、絶縁性基層1はあらかじめフィルムやシート状に成形されたものであり、絶縁層4は絶縁性基層1上に成形された発熱層2や電極3の上にポリイミド前駆体溶液を塗布した後に加熱してイミド転化させられるものである。
【0030】
発熱層2にはポリイミドからなるマトリックス樹脂中にカーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子とからなる導電性物質が実質的に均一に分散して存在しているため、発熱層2は導電性物質の最小の混合量で均一な温度分布を得ることができる。また、発熱層2のマトリックス樹脂、絶縁性基層1、および絶縁層4がすべて熱硬化性ポリイミドあるいは非熱可塑性ポリイミドであるため、発熱層2はフレキシブル性が高く、且つプラスチック材料からなる発熱体の中では最高の使用温度と耐熱性を有する。
【0031】
カーボンナノ材料は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、及びカーボンマイクロコイルの少なくとも1つであることが好ましい。これらのカーボンナノ材料は、その繊維径が数nm〜数百nmで、繊維長さは数μm〜数十μmであり、嵩密度0.01〜0.3g/cm3、比表面積10〜30m2/gの特性を持ち、燃料電池材料など様々分野に使用されている。本発明に用いるカーボンナノ材料は特に限定されるものではなく上記材料を単独でまたは混合して用いることができる。
【0032】
本発明の面状発熱体の発熱層2にはカーボンナノ材料と共にフィラメント状金属微粒子が含まれることが必須条件である。すなわち、本発明において、面状発熱体の所望の発熱量(例えば、本発明の面状発熱体の1つの用途である電子写真画像形成装置の定着部材では、面状発熱体は、発熱層2の厚みが30μm、幅15mm、長さ210mmのテープ状発熱体であって、その発熱量は100V、又は200Vの商用電圧の課電により500〜1000Wの範囲である)を得るためには、発熱層2の体積抵抗率を2x10-3〜20x10-3Ωcmの範囲で精密にコントロールする必要がある。
【0033】
しかし、上記範囲の体積抵抗率をカーボンナノ材料のみで精密にコントロールすることは難しく、また、カーボンナノ材料のみで低い領域の体積抵抗率を得るためにはポリイミド前駆体の固形分に対して50体積%の以上のカーボンナノ材料を混合する必要があり、これらの混合量ではイミド転化後の発熱層2の機械的特性が著しく低下することになる。したがって、発熱層2として所望の体積抵抗率を確保し、且つ、十分な機械的特性を両立させるためには、発熱層2はカーボンナノ材料とともにカーボンナノ材料よりも導電性の高いフィラメント状金属微粒子を含むことが必須条件である。
【0034】
フィラメント状金属微粒子としては、針状結晶状の銀、アルミニウム、ニッケルなどを用いることができる。より好ましくはストランドが三次元的に連なった形状を有するニッケル微粒子である。このニッケル微粒子は平均粒子径が0.5〜1.0μm、比表面積が1.5〜2.5m2/gであり、図3に示す写真のようにストランドが三次元的に連なった形状を有し、カーボンナノ材料と線状で絡み合うことによって、均一な体積抵抗率を有する発熱層2を形成できる。カーボンナノ材料と混合して用いる金属微粒子が粒状や粉末あるいは塊状の場合は、カーボンナノ材料と絡み合いがなく、点接触になり、均一な発熱層2を作製することができない。また、点接触の場合、通電中に極微細なスパークが発生しやすく、発熱体の寿命を著しく低下させることになる。
【0035】
次に、本発明において、発熱層2中の導電性物質が一定方向に配向して存在していることが好ましい。一般的なカーボンナノ材料は、繊維径が20〜200nm、繊維長さは5〜30μm、アスペクト比(繊維長さ/繊維径)5〜500の形状を有している。これらのカーボンナノ材料をポリイミド前駆体溶液に混合し、ガラス板上に流延するとカーボンナノ材料は縦横の方向がまちまちで存在し、この状態でイミド転化し発熱層2を作製すると抵抗値のばらつきも大きく、また、カーボンナノ材料を配向させて用いた場合と比較すると、より多くの混合量が必要であり、必然的に発熱層2の機械的特性の低下を招くことになる。
【0036】
したがって、これらのカーボンナノ材料を一定方向、すなわちカーボンナノ材料の個々の繊維がその長さ方向に束ねられたような状態に配向していることが最も好ましい。少ないカーボンナノ材料の混合量で電気抵抗値をコントロールでき、且つ、均一な発熱特性が得られるからである。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、導電性組成物をポリイミドフィルムなどの平面状の基材に塗布した後あるいは塗布しながらガラス棒などで一定方向に液状成形させると、組成物中のカーボンナノ材料は、ガラス棒を進行させた方向に向かって繊維が略一定方向に並び、一方向に配向した状態となる。その後、導電性組成物を乾燥し、イミド化を完結することによって、図4の写真のように、カーボンナノ材料が配向したままの状態で固形化し、最も好ましい発熱層2が成形できる。なお、写真のカーボンナノ材料は、カーボンナノファイバーを用いたものである。また、図4の写真からも判るように、カーボンナノ材料とともに混合しているフィラメント状金属微粒子も、カーボンナノ材料に絡み合い、カーボンナノ材料の配向方向に配列した状態で存在し、発熱層2として最も好ましい状態であることが確認できた。フィラメント状金属微粒子としては、ストランドが三次元的に連なった形状を有するニッケル微粒子を用いた。
【0038】
本発明において発熱層2中の導電性物質は一対の電極3を結ぶ方向に配向して存在し、この配向方向の体積抵抗率がこの配向方向と直交する方向の体積抵抗率よりも小さいことが好ましい。本発明者らは、導電性物質の配向方向と体積抵抗率の関係について多くの実験を重ねた結果、導電性物質の配向方向の体積抵抗率とこの方向と交差する方向の体積抵抗率とが異なることを見出た。すなわち、導電性物質の配向方向の体積抵抗率をMD、及び配向方向と直交する方向の体積抵抗率をTDとした場合、その比(Ra=TD/MD)が1.2〜2倍以上にもなることがわかった。また、本発明者らは、Ra値の大きい面状発熱体を作製し、この発熱層2の配向方向の両端および配向と直行する方向の両端にそれぞれ一対ずつ二対の電極3を設置し、各電極3に同一の電圧を片方ずつ課電した場合、1つの面状発熱体で異なる発熱量を得ることが可能であることも見出した。
【0039】
上記のように導電性物質は、Raの値が大きいほど一定の方向に、且つ、均一に配向していることになる。したがって、所望の発熱層2の作製において、配向をより均一にさせるほど、導電性物質の混合量は少ない量でよいことになる。
【0040】
このように、カーボンナノ材料を均一に配向させ、且つ、カーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子とを混在させることによって発熱層2の体積抵抗率の微調整が可能になり、発熱層2の機械的特性を低下させることなく、均一な体積抵抗率と優れた耐久性とを有する面状発熱体を得ることができる。
【0041】
本発明において、発熱層2中のカーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子との存在量はポリイミド固形分に対して5〜50体積%であることが好ましい。より好ましくは10〜40体積%の範囲である。存在量が5体積%以下であると体積抵抗率のバラつきが大きく、均一な発熱領域を得ることが難しい。50体積%以上になると、発熱層2の機械的特性、及び耐久性が低下し好ましくない。また、カーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子との混合比率は、発熱層2の体積抵抗率、及び面状発熱体として所望する発熱量等によって任意に選定できる。また、本発明において導電物質の存在量から規制される体積抵抗率は、一対の電極3を結ぶ方向に導電性物質を配向させた面状発熱体において、MD値が1×10-4〜1Ωcmの範囲であることが好ましい。より好ましくは1×10-3〜1×10-1のΩcmの範囲である。
【0042】
本発明において発熱層2のマトリックス樹脂および絶縁層4が少なくとも一種の芳香族ジアミンと少なくとも一種の芳香族テトラカルボン酸二無水物とを有機極性溶媒中で重合させて得られるポリイミド前駆体をイミド転化してなるポリイミドであることが好ましい。ポリイミドは一般的に明確なガラス転移点を持たず、発熱体の温度上昇によって軟化、あるいは溶融することがなく、優れた耐熱性を有するからである。
【0043】
芳香族ジアミンの代表例としては、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3′−ジクロロベンジジン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、m−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノプロピルテトラメチレン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3−メチルヘプタメチレンジアミン等を挙げることができる。
【0044】
また、芳香族テトラカルボン酸二無水物の代表例としては、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,3′,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等を挙げることができる。
【0045】
これらの芳香族ジアミン及び芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独であるいは混合して用いることができる。また、ポリイミド前駆体溶液として完成させ、それらの前駆体を混合して用いることもできる。
【0046】
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させる有機極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ピリジン、ジメチルテトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホン、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらの有機極性溶媒にはフェノール、キシレン、ヘキサン、トルエン等を混合することもできる。
【0047】
また、本発明によれば芳香族ジアミンが下記の化学式(A)のパラフェニレンジアミンであり、芳香族テトラカルボン酸二無水物が下記の化学式(B)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であることが好ましい。これらのモノマーから得られるポリイミドは機械的特性に優れ、高い耐熱性と共に、明確なガラス転位点を持たなく、温度が上昇しても熱可塑性樹脂のように軟化することがないからである。
【0048】
【化1】

【0049】
【化2】

【0050】
また、これらのポリイミド前駆体溶液は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機極性溶媒中で、通常は90℃以下で反応させることによって得られる。溶液中の固形分濃度は、導電性物質の混合割合や、あるいは塗布の条件によって調節することができる。その好ましい範囲は10〜30質量%である。
【0051】
また、有機極性溶媒中で芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させると、その重合状況によって溶液の粘度が上昇するが、使用に際しては所望の粘度に希釈して使用することができる。製造条件や作業条件によって通常1〜5000ポイズの粘度で使用される。
【0052】
本発明において、導電性組成物を一定方向に配向させて塗布するためには、上記組成物の粘度を10〜1500ポイズの範囲にすることが好ましい。より好ましくは50〜1000ポイズの範囲である。
【0053】
次に、本発明において絶縁性基層1および絶縁層4の少なくとも一方の少なくとも片側層が熱伝導性物質を含むことが好ましい。発熱層2で発生した熱量を被加熱物に効率よく伝達できるからである。熱伝導性物質は面状発熱体の絶縁性基層1および絶縁層4の両面に混合してもよく、また、いずれかの層のみに混合してもよい。面状発熱体の使用状況や使用方法によって、絶縁性基層1および絶縁層4の所望の面に導電性物質を混合することができる。
【0054】
導電性物質は電気絶縁性のものであれば特に限定するものではなく、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの微粒子や粉末を用いることができる。導電性物質を含む絶縁層4は、ポリイミド前駆体溶液中に導電性物質を混合し、溶液状で塗布し、加熱によりイミド化を完結させることによって得ることができる。
【0055】
次に、面状発熱体の絶縁性基層1および絶縁層4の少なくとも一方の少なくとも片側面の外面にフッ素樹脂層が成形されていることが好ましい。例えば、図5に示す複写機やレーザービームプリンターなどの定着装置において、トナー画像を熱定着する定着ロール11の表面に直接面状発熱体13を接触させ、定着ロール11の表面のみを加熱する場合、定着ロール11に接触させる面状発熱体の最外面にフッ素樹脂が形成されていると定着ロール11との摩擦抵抗が小さく、効率よく加熱することができるからである。
【0056】
面状発熱体の絶縁性基層1および絶縁層4の少なくとも一方の少なくとも片側層の外面にフッ素樹脂を成形する一つの方法としては、絶縁性基層1および絶縁層4の少なくとも一方の片側層、または両側に、フッ素樹脂ディスパージョンをコーティングし、融点以上の温度で焼成する方法が好ましい。なお、このとき、絶縁性基層1および絶縁層4の少なくとも一方との接着力を高めるためにプライマーを用いることが好ましい。
【0057】
また、絶縁性基層1および絶縁層4、特に絶縁層4の面にフッ素樹脂層を成形する他の方法としては、前述したフッ素樹脂ディスパージョンをコーティングする方法以外に、ポリイミド前駆体溶液中にフッ素樹脂粉末を直接混合して絶縁層用のフッ素混合ポリイミド前駆体溶液を作製し、電力供給のための電極3を除いて発熱層2の表面に前述のフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を塗布し、フッ素樹脂の融点以上の温度でフッ素樹脂の焼成とポリイミド前駆体のイミド転化とを同時に行うことにより、絶縁層4の外側表面に、フッ素樹脂を溶融析出させる方法がある。絶縁層4の外側表面にフッ素樹脂が成形された面状発熱体は摩擦抵抗が低いため、上述した定着装置の定着ロールなどの回転体に直接接触させて加熱する用途に使用できる。
【0058】
さらに、絶縁層4としてフッ素樹脂を使用することもできる。すなわち、絶縁性基層1の表面に発熱層2と電極3を成形した後、この表面に直接フッ素樹脂プライマー液を塗布し、乾燥してプライマー層を成形した後、プライマー層表面にフッ素樹脂ディスパージョンを塗布し、フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成することによって面状発熱体の片側面(絶縁層4の面)がフッ素樹脂単体の絶縁層4で被覆された面状発熱体を作製することができる。この面状発熱体は、絶縁層4の片側(絶縁層4の面)がフッ素樹脂単体で被覆されているため、柔軟性と耐薬品性に優れ、また、フッ素樹脂層が成形されている面を回転体の表面に直接接触させ加熱することによって、回転している被加熱物を効率よく加熱することができる。
【0059】
上述した面状発熱体の絶縁層4の少なくとも片側層に成形するフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)を単体で、又はこれらを混合して用いることができる。PTFE,PFA、FEPは高い耐熱性と共に低い摩擦係数を有し、最も好ましい材料である。
【0060】
また、フッ素樹脂は熱伝導性物質を含むことが好ましい。発熱層2で発生した熱量を効率よく被加熱物に伝達できるからである。フッ素樹脂に混合する熱伝導性物質も前述した絶縁層4に混合する熱伝導性物質を用いることが好ましい。
【0061】
そして、本発明の面状発熱体は塗布工程、発熱層成形工程、電極成形工程、および絶縁層成形工程を経て製造されるのが好ましい。塗布工程では、ポリイミド前駆体溶液中にカーボンナノ材料とフィラメント状金属微粉子とが混合された導電性組成物が絶縁性基層1の表面に塗布される。発熱層成形工程では、絶縁性基層上に塗布された導電性組成物が加熱されてイミド転化され発熱層2が成形される。電極成形工程では、発熱層2に電極3が成形される。絶縁層成形工程では、発熱層2及び電極3を被覆する絶縁層4が成形される。
【0062】
なお、本発明の製造方法では、塗布工程において導電性組成物を絶縁性基層(例えばフィルム、シートなど)の表面に塗布する際に、導電性組成物に混合されている導電性物質を一定方向に配向させながら塗布することが必須条件である。導電性組成物を配向させながら塗布する方法としてはバーコート法、外周にワイヤーを隙間なく巻き付けて固定した細い丸棒によって一定の厚みに導電性組成物をコートするワイヤーコーティング法、ロールコート法、ディッピング法、あるいは、スクリーン印刷法などの方法を挙げることができる。また、導電性組成物を配向させながら塗布するための粘度は10〜1500ポイズの範囲であることが好ましく、より好ましい粘度は50〜1000ポイズの範囲である。
【0063】
本発明の製造方法では、まず、カーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粒子をポリイミド前駆体溶液中に混合して導電性組成物を作製し、次いで絶縁性基層1の表面に導電性物質が配向するように導電性組成物を塗布し、イミド転化させて発熱層2を成形する。その後、発熱層2中の導電性物質が配向している方向の両端部に銀ペースト材料などによる電極3を取り付ける。そして、さらにその発熱層2および電極3の表面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、イミド転化させて絶縁層4を積層して発熱層2を被覆することによって面状発熱体を完成することができる。絶縁性基層1としてはポリイミドのシートやフィルムとして市販されているものを用いることができる。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、導電性組成物は、絶縁性基層1の表面に導電性物質を配向させながら液状成形される。そして、この導電性組成物は、80〜120℃の温度で10〜120分間乾燥された後に温度が200℃に上げられ、この温度で10〜180分間維持される。その後、この導電性組成物は温度が250〜400℃まで段階的に上げられ、この温度で30〜60分間維持されてイミド化が完結させられて、絶縁性基層1上に発熱層2が成形される。そして、発熱層2には銀ペースト等の導電性塗料あるいは金属箔や金属網などによって電力供給用電極3を設け、さらにこれらの表面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、イミド化を完結させて絶縁層4を成形し、本発明の面状発熱体を完成できる。なお、絶縁層4のイミド転化においても発熱層2のイミド転化と同じ条件で処理することが好ましい。
【0065】
また、絶縁性基層1、発熱層2、及び絶縁層4全ての層をポリイミド前駆体から作製することが好ましい。具体的には、まず、絶縁性基層1の素となるポリイミド前駆体溶液を金属ベルトなどの表面に流延した後に加熱して、イミド化を中間段階で止めた絶縁性基層1を作製する。次に、この絶縁性基層1の表面に、カーボンナノ材料とフィラメント状金属微粒子とを混合した導電性組成物を、導電性物質が一定の方向に配向するように所定の寸法に溶液状で成形した後に乾燥し、イミド化を中間段階で止める。その後、さらに絶縁性基層1と発熱層2とが積層されている表面に絶縁層4となるポリイミド前駆体溶液を塗布した後に乾燥し、次に前記3つの層を一度にイミド転化処理し、面状発熱体を作製する。この方法で面状発熱体を作製すると、各層間の接着力を向上させることができると共に一工程で一括処理ができ製造コストを抑えることができる。前述したイミド化を中間段階で止めるためのイミド化の方法としては、80〜120℃の温度で10〜120分間加熱した後に200℃に上げこの温度で10〜180分間維持する方法が好ましい。
【0066】
本発明において、面状発熱体の総厚みが50〜3000μmの範囲であると面状発熱体が柔軟性に富み、面状発熱体を円筒状あるいは複雑な曲面を有する形状の被加熱物に面接触させることができるので好ましい。また、絶縁性基層1および絶縁層4の厚みは10〜500μmの範囲が好ましく、発熱層2の厚みは5〜60μmの範囲であることが好ましい。但し、発熱層2の寸法は電気抵抗値に直接影響するため、所望の発熱量から設計する必要がある。また、面状発熱体は長尺のテープ状、フィルム状、あるいはシート状など所望の形状にすることができ、発熱層2も長方形、円形、あるいは必要とする発熱パターンにあわせて、所望の形状にすることができる。
【0067】
図5において、複写紙17上に形成されたトナー像18は、ポリイミド製加圧ベルト12と定着ロール11とのニップ部分Nに送り込まれ、加熱された定着ロール表面により熱定着される。この場合、定着ロールはその表面のみが加熱されていることが熱効率の面から最も好ましい。このようにすれば、本発明の面状発熱体のフレキシブル性および低摩擦性を生かすことができ、定着ロール表面に面状発熱体13を密着させた状態で定着ロールを回転させながら効率よく定着ロール表面のみを加熱することができる。定着ロール11はロール芯金部16により回転させられ、加圧定着ベルト12には、定着ロール11の加圧支持体15により押圧されることによって回転力が伝達される。符号14は加圧支持体15による押圧力と加圧ベルト内面の摩擦抵抗を軽減するための押圧パッドであり、押圧パッド14にはシリコンオイルなどの潤滑剤が塗布されている。また、定着ロールの内側は耐熱ゴムの発泡体の断熱層20からなり、ロール表面層は厚み30μmのシームレスのステンレス管状物19でカバーされている。また、ステンレス管状物の外面はフッ素樹脂がコーティングされた構造になっている。
【0068】
(実施例)
以下に実施例を用いて本発明に係る面状発熱体をさらに具体的に説明する。本発明に係る面状発熱体の評価方法は下記の条件および測定器で評価した。
(1)体積抵抗率の測定
デジタルマルチメーターModel7562(横河電気(株)製)において4線式プローブを用い発熱体の体積抵抗率を測定した。
(2)温度分布の測定
サーモトレーサTH1101(日本電気三栄(株)製)を用いて測定した。
【実施例1】
【0069】
(1)ポリイミド絶縁性基層の作製
ポリイミド絶縁性基層として、厚み50μmのポリイミドフィルム(ユーピレックスSフィルム:宇部興産(株)製)を幅50mm、長さ350mmに切断したものを使用した。
(2)絶縁層用ポリイミド前駆体溶液の作製
絶縁層を形成するためのポリイミド前駆体として(ポリイミドワニス:RC5063、固形分17.5%、(株)I.S.T社製)を用意した。このポリイミド前駆体溶液はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中でビフェニルテトラカルボン酸二無水物「BPDA」と、パラフェニレンジアミン「PPD」とを重合したものである。使用に当たっては、B型粘度計による23℃の粘度が200ポイズとなるように粘度を調整した。
(3)発熱層用導電性組成物の作製
ポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス:RC5063(株)I.S.T社製)100g、カーボンナノファイバー(VGCF−H、昭和電工(株)製)12.5g、フィラメント状ニッケル微粒子(TYPE210、インコ社製)18.54g、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gを容器に投入し1時間攪拌した後、150番のSUSメッシュでろ過し、全固形分に対してカーボンナノファイバーが30体積%、フィラメント状ニッケル微粒子が10体積%含まれる導電性組成物を作製した。23℃における回転粘度(B型粘度計による)は300ポイズであった。なお、ポリイミドワニス(RC5063)の固形分は17.5重量%であり、ポリイミドワニスのイミド転化後の比重は1.4g/cm3である。また、カーボンナノファイバー(VGCF−H)の真密度は2.0g/cm3であり、フィラメント状ニッケル微粒子(TYPE210)の真密度は8.9g/cm3である。
(4)導電性組成物の塗布及びイミド転化
前記(3)項で作製した発熱層用導電性組成物を、前記(1)項に記載のポリイミドフィルム(絶縁性基層)上にバーコート法で厚み200μm、幅15mm、長さ270mmの形状となるように、長さ方向に配向させながら塗布した。その後、その塗布フィルムを乾燥炉で120℃15分、200℃15分、250℃15分、300℃1時間、350℃15分、400℃15分間の条件下で加熱し、イミド化を完結させ、ポリイミドフィルム表面に発熱層が成形された面状発熱体の中間製品を作製した。発熱層のみの厚みは30μmであった。
(5)絶縁層の塗布及びイミド転化
前記(4)項で作製した面状発熱体中間品の発熱層表面に、前記(2)項で作製したポリイミド前駆体溶液を、発熱層の長さ方向の両端部各30mm部分を除いて厚みが120μmとなるように塗布し、120℃で5分乾燥した後、ピンホールや異物混入による絶縁不良などの問題をなくするために、その上にもう一度、先のポリイミド前駆体溶液を厚み120μmとなるようにコートした。その後、その面状発熱体中間品を120℃で再度5分乾燥し、さらに、200℃15分、250℃15分、300℃1時間、350℃15分、400℃15分間の条件下で加熱し、イミド化を完結させ、発熱層を絶縁層で被覆した。
(6)電極の作製
前記(5)項の工程で、絶縁層で被覆されていない発熱層部分に銀ペースト(DWP−025、東洋紡績(株)製)を塗布した後、150℃10分、230℃10分、300℃30分の条件下で銀ペーストの焼き付けを行い、発熱層に一対の電極を取り付けた。完成した面状発熱体の電極間の発熱層の寸法は、幅15mm、長さ210mm、厚み30μmであった。
(7)面状発熱体の評価
a.体積抵抗率及び電極間抵抗値の測定
デジタルマルチメーターModel7562を用いて電極間の体積抵抗率および電気抵抗を4線式で測定した。体積抵抗率(MD)は84×10-4Ωcmであり、電極間の電気抵抗値は38Ωであった。また、電極間と直交する方向の体積抵抗率(TD)の測定値は152×10-4Ωcmであり、Ra値は1.81であった。この面状発熱体においてカーボンナノファイバーの配向方向は、両電極間を結ぶ方向と同一方向に配向されていた。この面状発熱体に200Vの電圧を課電した時の電力は1000Wであった。
【0070】
b.発熱温度分布の測定
面状発熱体が水平となり且つ発熱部分が空間に配置されるように、面状発熱体の両端電極部を給電支持体に固定した。面状発熱体に供給する電源には可変電圧調整器を通じて電圧を設定しながら給電した。まず始めにサーモトレーサを標準モードにして、発熱体の表面温度を観測しながら発熱体の表面が300℃となる様に可変電圧調整器の出力電圧を調整した。これ以降はこの設定状態で給電し、温度分布を測定した。この時の出力電圧は45Vであった。出力電圧の設定を終了した後、面状発熱体への給電を停止し、面状発熱体が室温になるまで自然冷却した。次にサーモトレーサをタイムトレースモードに切り替えて通電開始から10秒間の発熱体表面の温度上昇変化を観測し記録した。記録データから通電開始10秒後の長さ方向の発熱体表面温度を読み取ると最大温度287.5℃、最小温度280.0℃であった。また、温度分布は10℃以内であり、非常に均一な発熱上昇特性が得られた。
【0071】
c.カーボンナノファイバーの配向状態の確認
発熱層のカーボンナノファイバー及びフィラメント状ニッケル微粒子の配向状態を電子顕微鏡で撮影した結果を図4に示す。カーボンナノファイバーは写真の左右方向に配向した状態で存在しており、フィラメント状ニッケル微粒子も、一定方向に配向しているカーボンナノファイバーに絡み合ったような状態で存在していることが確認できた。
【0072】
d.通電耐久評価
面状発熱体の発熱部表面の裏面にアルミニウム製放熱板を密着させて設置し、発熱体の長さ方向の中心部に相当する位置のアルミニウム製放熱板の部分に貫通穴を設けて、表面温度測定用熱電対を挿入し、発熱体表面に密着させて設置し、温度制御用検出器とした。面状発熱体の電極間に温度制御出力リレーの接点を介して200Vの電圧を課電し、オンオフ方式で面状発熱体表面温度が240℃になるように温度を制御しながら240時間通電した結果、絶縁特性等の熱劣化は全く認められなかった。
【実施例2】
【0073】
実施例1においてカーボンナノファイバーとフィラメント状ニッケル微粒子との混合比を表1の比率に変更した以外は実施例1と同様の条件で面状発熱体を作製し、その体積抵抗率、温度分布の測定値、及びRa値を測定した。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
実験例1〜3の面状発熱体に100Vの電圧を課電することによって実験例1では330W、実験例2では1100W、実験例3では520Wの発熱量が得られいずれも均一な温度分布と共に十分な耐久性が得られた。
【実施例3】
【0076】
実施例1において絶縁層を下記に記載の方法で作製した以外は実施例1と同様の条件で面状発熱体を作製した。
(1)絶縁層用ポリイミド前駆体溶液の作製
ビーカーにNMP100gと窒化ホウ素粉末(MBN-010T:平均粒子径:1.0μm、三井化学(株)製)36.38gとを、超音波を当てながらミキサーで15分間攪拌して分散液を作製した。この分散液109.1gとポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス:RC5063(株)I.S.T社製)400gとを混合し、1時間攪拌し、全固形分に対して窒化ホウ素が30重量%含まれる絶縁層用ポリイミド前駆体溶液を作製した。B型粘度計による23℃の回転粘度は320ポイズであった。このポリイミド前駆体溶液を実施例1と同様に塗布、及びイミド転化させ、面状発熱体を完成させた。この面状発熱体の絶縁層は、熱伝導性に優れ、被加熱物に接触させて加熱した結果、一定温度までに達する加熱時間を大幅に短縮することができた。
【実施例4】
【0077】
ステンレス板に幅50mm長さ400mmでイミド転化後の厚みが50μmになるようにポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス:RC5063(株)I.S.T社製)を流延し、120℃15分間、200℃15分間の条件下で加熱し、イミド化が中間段階のポリイミド絶縁性基層を作製した。その後、実施例1で使用したカーボンナノファイバーとフィラメント状ニッケル微粒子とを混合した導電性組成物を、ポリイミド絶縁性基層上に幅15mm、長さ270mm、溶液状の厚み約200μmとなるように長さ方向にバーコーターで導電性物質を配向させながら塗布した。
【0078】
その後、その塗布物を120℃の温度で15分間、200℃の温度で20分間加熱した後、乾燥炉から取出し冷却した。次に、ポリイミド絶縁性基層上に積層した発熱層の長さ方向の両端部各30mm部分を除いて再びポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス:RC5063(株)I.S.T社製)をイミド転化後の厚みが50μmになるよう塗布し、絶縁層を液状形成した後、乾燥炉で120℃15分、200℃15分、250℃15分、300℃1時間、350℃15分、400℃15分の条件下で加熱し、イミド化を完結させ発熱体を作製した。発熱層のみの厚みは31μmであった。この発熱体は、全ての層がイミド転化によって完全に一体化していた。その後、実施例1と同様に発熱層両端部に銀ペーストによる電極を焼き付け、通電による耐久試験を行った結果、各層間の浮きや剥離などの発生は皆無であり、耐久性の高い面状発熱体を得ることができた。
【実施例5】
【0079】
実施例4においてポリイミド前駆体溶液としてポリイミドワニス:RC5063(株)I.S.T社製に代えて(ポリイミドワニス:RC5019(株)I.S.T社製)を用いたい以外は実施例4と同様の条件で面状発熱体を作製した。ポリイミドワニスRC5019は、芳香属ジアミン成分の4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と芳香属テトラカルボン酸二無水物成分のピロメリット酸二無水物(PMDA)をNMP中で反応させたポリイミド前駆体溶液である。この面状発熱体は実施例1に記載の240℃のオンオフ制御による240時間の耐久試験で十分な耐久性を示した。
【実施例6】
【0080】
実施例4で作製した面状発熱体の絶縁層の外側表面に、粘度110cp(23℃)に調整したフッ素樹脂プライマー液(固形分濃度35%の855−300(デュポン(株)製)を乾燥後の厚さが約3μmになるようにコーティングし、常温で10分間自然乾燥した。その後、150℃で30分間加熱した後に冷却した。次に、プライマー層の表面にフッ素樹脂ディスパージョン855−510(デュポン社製商品名)を20μmの厚みでコーティングし、150℃で10分間乾燥させた後、380℃まで15間で昇温し、同温度で10分間保持し、ポリイミド絶縁層の外側表面にフッ素樹脂を積層した面状発熱体を作製した。その後、電極を取り付け完成した面状発熱体を、所定のサイズに切断して、ヒータホルダーに固定した後、図5に示す定着装置の定着ロール表面に面状発熱体のフッ素樹脂層面が接触するような状態で装着した。次に、定着ロールを回転させながら、面状発熱体に200Vの電圧を課電し、ロール表面が200℃になるようサーミスターで温度制御してロール表面のみを加熱し、定着ロール11と加圧ベルト12とのニップ(N)面に複写紙を、順次送り込んだ。その結果、複写紙上に形成されたトナー画像を定着することができた。また、定着ロールと面状発熱体の接触面との摩擦抵抗も小さく十分な耐久性が得られた。
【実施例7】
【0081】
実施例4においてポリイミド絶縁層に用いたポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス:RC5063(株)I.S.T社製)中に平均粒子径3.0μmのPTFE樹脂粉末(融点327℃:デュポン社製商品名"Zonyl MP1100")をポリイミドワニスの固形分100重量部に対して30重量部の割合になるように添加して攪拌し均一に分散させた。このフッ素混合ポリイミド前駆体溶液を絶縁層として用いた以外は実施例4と同様の条件で面状発熱体を作製した。この面状発熱体は、フッ素混合ポリイミド前駆体溶液を塗布後、フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成およびイミド転化することにより絶縁層の最外表面にフッ素樹脂を溶融させて析出させ、面状発熱体の絶縁層をフッ素樹脂で覆ったものである。この面状発熱体を実施例6に記載した定着装置の加熱ヒータとして使用した結果、ロールとの接触抵抗も低くトナー画像を定着することができた。
【実施例8】
【0082】
ポリイミド絶縁性基層として幅250mm、長さ400mmに切断したユーピレックスSフィルムを用い、カーボンナノファイバーとフィラメント状ニッケル微粒子との混合比を表2に記載のように変更し、発熱体塗布面積を幅210mmとし、長さ357mmとし、電極間を297mmとした以外は実施例1の条件と同一の条件で面状発熱体を作製した。その体積抵抗率、温度分布の測定値、及びRa値を表2に示す。この面状発熱体に100Vの電圧を課電することによって510Wの発熱量が得られ、幅210mm、長さ297mmの面積(A4の大きさ)が均一に発熱し、またに十分な耐久性が得られた。
【0083】
【表2】

【0084】
(比較例1)
実施例1においてカーボンナノファイバーとフィラメント状ニッケル微粒子との混合量を表3の混合率に変更した以外は実施例1と同様の条件で面状発熱体を作製した。その体積抵抗率とRa値および電極間抵抗値を表3に示す。
【0085】
【表3】

【0086】
表3に記載のように、カーボンナノファイバーのみを、ポリイミド前駆体溶液に混合し、配向させて塗布した発熱体では、Ra値は高くできるものの、配向方向の体積低効率MDをあまり下げることができず、100Vや200Vの商用電圧の課電では十分な発熱量を得ることができなかった。また、実験例7のようにカーボンナノファイバーの混合割合を多くすることによって、体積抵抗率を下げることは可能であったが、発熱層の機械的特性が低下し、十分な耐久性が得られなかった。さらに、発熱層の厚みを厚くして電極間抵抗を下げる試みを行ったが、面状発熱体のフレキシブル性がなくなり、円筒状物体や曲面を有する被加熱物に装着した場合、被加熱物表面との密着が悪くなり、熱効率が低下する問題が発生した。
【0087】
また、表3の実験例9のようにフィラメント状ニッケル微粒子のみをポリイミド前駆体溶液に30体積%混合させた場合、フィラメント状ニッケル微粒子はストランドが三次元的に連なった形状を有するため配向した状態のRa値が得られることがわかったが、体積抵抗率が低く発熱体として使用することができなかった。次に実験例8のようにフィラメント状ニッケル微粒子のみをポリイミド前駆体溶液に10体積%混合した場合には、電極間抵抗値は14Ωであり100Vの課電により700Wの発熱体が得られたが、カーボンナノファイバーよりも微細な微粒子であるため分散むらが発生しやすく、また、フィラメント状ニッケルは良導体であるため、局部的な通電による発熱ムラや、微細なスパークによる絶縁不良が発生し、十分な耐久性が得られなかった。
(比較例2)
厚み50μm、幅50mm、長さ350mmのポリイミドフィルム(ユーピレックス−Sフィルム:宇部興産(株)製)を、中央部に幅15mm、長さ270mmの開口部を残してステンレス箔でマスキングし、実施例1の(3)項で作製した導電性組成物を開口部分中央から流し込み、約200μmの厚みで塗布し、そのままの状態で乾燥炉に入れ120℃で15分間乾燥した。その後マスキングを外し、再び200℃15分、250℃15分、300℃1時間、350℃15分、400℃15分の条件下で加熱しイミド化を完結させ面状発熱体の中間製品を作製した。発熱層のみの厚みは約28μmであった。
【0088】
この発熱層中のカーボンナノファイバーの状態を電子顕微鏡で撮影した結果を図6に示す。発熱層中のカーボンナノファイバーは一定の方向へ配向しておらず、発熱層のMD方向およびTD方向それぞれの体積抵抗率は110×10-4Ωcm、150×10-4Ωcmであり、また、Ra値は1.36であった。さらに、この面状発熱体の中間製品の表面に絶縁層を成形し、この面状発熱体の長さ方向の両端に電極を取り付け、実施例1と同様に通電テストを行った結果、温度分布のばらつきが大きく、また、実施例1と同一の導電性組成物を用いたにもかかわらず、電極間(MD方向)の抵抗値が大きく、設計通りの発熱量が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】面状発熱体の平面概略図である。
【図2】図1に示す面状発熱体の側面断面の概略図である。
【図3】フィラメント状ニッケル微粒子の電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1に基づき作製した発熱層中のカーボンナノファイバーの配向状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】定着装置における定着ロールの加熱状態を表す概略図である
【図6】比較例2に基づき作製した面状発熱体の発熱層中のカーボンナノファイバーの無配向状態を示す電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0090】
1 絶縁性基層
2 発熱層
3 電極
4 絶縁層
11 定着ロール
12 加圧ベルト
13 面状発熱体
14 押圧パッド
15 加圧支持体
16 定着ロール芯金
17 複写紙
18 トナー像
19 ステンレス管状物
20 断熱層
21 カーボンナノファイバー
22 フィラメント状ニッケル微粒子
N ニップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドからなるマトリックス樹脂中にカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粒子からなる導電性物質が実質的に均一に分散されて存在している発熱層と、
前記発熱層に電力を供給するための電極と、
前記発熱層および前記電極を被覆する絶縁層と、
を積層してなる、面状発熱体。
【請求項2】
前記カーボンナノ材料は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、及びカーボンマイクロコイルの少なくとも1つである、
請求項1に記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記フィラメント状金属微粒子は、ストランドが三次元的に連なった形状を有するニッケル微粒子である、
請求項1に記載の面状発熱体。
【請求項4】
前記導電性物質は、一定方向に配向して存在している、
請求項1から3のいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項5】
前記導電性物質は、前記電極を結ぶ方向に配向して存在し、
発熱層の導電性物質配向方向の体積抵抗率は、導電性物質配向方向と直交する方向の体積抵抗率よりも小さい、
請求項4に記載の面状発熱体。
【請求項6】
前記発熱層中のマトリックス樹脂及び前記絶縁層は、少なくとも1種の芳香族ジアミンと少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物とを有機極性溶媒中で重合してなるポリイミド前駆体をイミド転化したポリイミドである、
請求項1から5のいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項7】
前記芳香族ジアミンは、下記の化学式(A)のパラフェニレンジアミンであり、
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記の化学式(B)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である、
請求項6に記載の面状発熱体。
【化1】

【化2】

【請求項8】
前記絶縁層の少なくとも片側層には、熱伝導性物質が含まれる、
請求項1から7のいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項9】
前記絶縁層の少なくとも片側層の外面には、フッ素樹脂層が成形されている、
請求項1から8のいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項10】
前記フッ素樹脂は、熱伝導性物質を含む、
請求項9に記載の面状発熱体。
【請求項11】
ポリイミド前駆体溶液中にカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粉子を混合した導電性組成物を絶縁性基層の表面に塗布する塗布工程と、
前記絶縁性基層上に塗布した導電性組成物を加熱してイミド転化し発熱層を成形する発熱層成形工程と、
前記発熱層に電極を成形する電極成形工程と、
前記発熱層及び電極を被覆する絶縁層を成形する絶縁層成形工程と、
を備える、面状発熱体の製造方法。
【請求項12】
前記塗布工程では、前記カーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粉子が一定方向に配向するように導電性組成物が絶縁性基層の表面に塗布される、
請求項11に記載の面状発熱体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−109640(P2007−109640A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246813(P2006−246813)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(391059399)株式会社アイ.エス.テイ (102)
【Fターム(参考)】