説明

音響センサ

【課題】音響検知部と振動検知部との間における機械的振動の伝達効率を向上させることによって音響センサのノイズ除去効果を高めることにある。
【解決手段】シリコン基板28に、表裏に貫通する縦孔部31aと水平に伸びた横孔部31bからなるバックチャンバ31を形成する。縦孔部31aの上端はシリコン基板28の上面で開口し、横孔部31bの先端はシリコン基板28によって塞がれている。シリコン基板28の上面には、縦孔部31aの上面開口を覆うように形成された振動電極板33aと振動電極板33aに対向する固定電極板34aによって音響検知部29を作製する。音響検知部29の固定電極板34aには、音響振動を通過させるための音響孔43aを開口する。また、横孔部31bの上方において、シリコン基板28の上面に、振動電極板33bと振動電極板33bに対向する固定電極板34bによって振動検知部30を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響センサに関し、具体的には、外部振動ノイズの除去機能を備えたMEMS型の音響センサに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフォン等に用いられる音響センサは、空気を伝達媒体とする音響振動を検知するものであるが、通常何らかの機器に設置されているため、外来の機械的振動などによりノイズを検知しやすい。
【0003】
このような外来の機械的振動によるノイズ(外部振動ノイズ)を低減するため、従来のコンデンサマイクでは、音響振動を検知する音響検知部と機械的振動だけを検知する振動検知部とを組み合わせている。このようなノイズ除去方式のコンデンサマイクとしては、特許文献1に開示されたものがある。
【0004】
特許文献1に開示されたコンデンサマイクの構造を図1に示す。このコンデンサマイク11では、ほぼ同一構造のエレクトレットコンデンサマイクユニットからなる音響検知部12と振動検知部13を剛体のホルダ14に納めている。音響検知部12と振動検知部13は、いずれもケーシング12a、13a内に振動検知用の振動膜15が保持され、振動膜15に対向して音響孔16が開口されている。音響検知部12と振動検知部13は、ホルダ14に設けられた隣接する納入部17、18内にほぼ平行に納められている。納入部17に納められた音響検知部12の音響孔16は、納入部17の開口19によって外部に開放されている。一方、納入部18に納められた振動検知部13の音響孔16はホルダ14により閉塞されている。
【0005】
したがって、音響振動は、開口19を通して音響検知部12でのみ検知される。また、外来の機械的振動は、ホルダ14を通じて音響検知部12と振動検知部13により検知される。図2(a)は音響検知部12から出力された信号波形(外部振動ノイズの乗った音響振動)の一例を表し、図2(b)は振動検知部13から出力された信号波形(機械的振
動)の一例を表す。なお、図2においては、音響振動の信号波形は正弦波と仮定している。
【0006】
このような2種の信号波形を用いて外部振動ノイズを除去するには、一般に差動アンプやノイズキャンセリング回路が用いられる。差動アンプを用いる場合には、図2(a)のような外部振動ノイズの乗った音響振動波形と図2(b)のような機械的振動波形を差動アンプに入力し、差動アンプから両信号波形の差分信号を出力させる。図2(b)に示す振動検知部13の出力波形は、音響検知部12から出力された音響振動に乗っているノイズ成分と同じであるので、図2(a)の信号波形と図2(b)の信号波形の差分信号を出力させれば、外部振動ノイズが除去されて音響振動波形のみを取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平4−53394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなコンデンサマイクでも、音響検知部12で検知する機械的振動と振動検知部13で検知する機械的振動との間に位相差(時間的なずれ)があると、ノイズ除去後の信号にかなりのノイズが残る。外来の機械的振動は、ホルダ14やケーシング12a、13aを通じ両検知部12、13の振動膜15に伝わって振動膜15を振動させるが、振動の伝わってくる方向や伝わり方によって音響検知部12の振動膜15に伝わる機械的振動と振動検知部13の振動膜15に伝わる機械的振動とで時間的なずれが生じることがある。そのため、振動検知部13の出力信号を利用して音響検知部12の出力信号から外部振動ノイズを除去しようとしても、図2(c)のような音響振動波形となりノイズが残る。
【0009】
また、音響振動に対する感度を向上させるためには、振動膜15の背後の空間(バックチャンバ)の容積を大きくすればよいが、図1のようなコンデンサマイク11では、振動膜背後の空間の容積に制限があって当該空間の容積を大きくすることができなかった。
【0010】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは音響検知部と振動検知部との間における機械的振動の伝達効率を向上させることによって音響センサのノイズ除去効果を高め、さらに音響検知部のバックチャンバの容積を大きくすることによって音響センサのS/N比を大きくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る音響センサは、一枚の基板に、音響振動及び機械的振動を感知して電気信号を出力する第1のトランスデューサと、機械的振動のみを感知して電気信号を出力する第2のトランスデューサとを設けた音響センサであって、前記第1のトランスデューサは、前記基板内に形成されたバックチャンバと、前記バックチャンバの上面開口を覆うようにして前記基板の表面に設けた第1の振動電極板と、前記第1の振動電極板に対向し且つ音響孔を開口された第1の固定電極板とを有し、前記第1の振動電極板の変位による前記第1の振動電極板と前記第1の固定電極板の間の静電容量の変化に基づいて電気信号を出力するものであり、前記第2のトランスデューサは、前記基板の表面に設けた第2の振動電極板と、前記第2の振動電極板に対向した第2の固定電極板とを有し、前記第2の振動電極板の変位による前記第2の振動電極板と前記第2の固定電極板の間の静電容量の変化に基づいて電気信号を出力するものであり、前記バックチャンバは、その一端が前記第1の振動電極板に対向して前記基板の上面で開口し、かつ、前記基板の上面に沿った方向へ伸びた部分を備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る音響センサにあっては、共通の基板に第1のトランスデューサと第2のトランスデューサを設けているので、音響センサに機械的振動が加わったとき、第1のトランスデューサの第1の振動電極板に伝わる機械的振動と第2のトランスデューサの第2の振動電極板に伝わる機械的振動との時間的ずれや機械的振動の信号強度の大小を小さくできる。特に、MEMS技術を利用して作製されるトランスデューサの場合には、基板材料としてシリコン等の硬くて弾性率の大きな材料が用いられるので、両トランスデューサの各振動電極板に伝わる機械的振動の時間的ずれや機械的振動の信号強度の大小を小さくできる。よって、第2のトランスデューサで検知した機械的振動を利用して第1のトランスデューサの出力信号から外部振動ノイズを除去する際の振動キャンセル効果が向上し、音響センサのS/N比が向上する。また、MEMS技術を利用してトランスデューサを製造する場合には、共通の基板上に同一工程で第1及び第2の両トランスデューサを作製することができ、音響センサの量産性が向上するとともに両トランスデューサ間の機械的振動に対する感度ばらつきを小さくできる。
【0013】
また、音響センサが小型になると、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサの機械的振動の時間ずれは小さくなるが、その一方で第1のトランスデューサは、バックチャンバが小さくなるため音響振動に対する感度が低くなる。しかし、本発明の音響センサでは、第1の振動電極板に対向して前記基板の上面で一端が開口し、かつ、基板の上面に沿った方向へ伸びたバックチャンバを備えているので、バックチャンバの容積を大きくでき、第1のトランスデューサの音響振動に対する感度を向上させることができる。
【0014】
本発明の第1の実施態様は、前記バックチャンバの他端が、前記基板の上面に垂直な方向から見て、前記第2のトランスデューサが設けられた領域に達していることを特徴としている。かかる実施態様では、一枚の基板に第1のトランスデューサと第2のトランスデューサを設け、第1のトランスデューサのバックチャンバを第2のトランスデューサの領域まで延ばしているので、第2のバックチャンバの領域を利用して第1のトランスデューサのバックチャンバを広げることができ、第1のトランスデューサの音響振動に対する感度を高めることができる。
【0015】
本発明の第2の実施態様は、前記バックチャンバの他端が前記基板によって塞がれていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、バックチャンバの他端が閉じているので、バックチャンバ側から第1のトランスデューサ内に音響振動が入ることがなく、第1の振動電極板の両面に音響振動が加わって第1のトランスデューサの音響振動に対する感度が低下するのを防ぐことができる。
【0016】
本発明の第2の実施態様におけるある態様では、前記第2のトランスデューサが、前記基板内にバックチャンバを有していない。かかる態様では、第2の固定電極板に音響振動の通過できる開口があったとしても、第2の振動電極板と基板表面との間のわずかな空間だけが第2のトランスデューサのバックチャンバとなるに過ぎないので、第2のトランスデューサは音響振動に対して感度を持たなくなり、機械的振動だけを検知する。
【0017】
また、第2の実施態様における別な態様では、前記第2のトランスデューサにおける前記第2の振動電極板が通孔を有している。かかる態様では、第2の振動電極板が通孔を有しているので、第2の固定電極板に音響振動の通過できる開口があったとしても、第2の固定電極板を通過した音響振動が第2の振動電極板の一方の面に加わると、同時にその音響振動は通孔を通って第2の振動電極板の他方の面にも加わる。よって、第2の振動電極板の両面に同時に音響振動が加わるので、第2の振動電極板の振動が妨げられ、第2のトランスデューサは音響振動に対して感度を持たなくなり、機械的振動だけを検知する。
【0018】
また、第2の実施態様におけるさらに別な態様では、前記第2のトランスデューサにおける前記第2の振動電極板が、前記基板と前記第2の固定電極板との間の空間に封止されている。かかる態様では、第2の振動電極板に音響振動が伝わらないので、第2のトランスデューサは機械的振動だけを検知する。
【0019】
本発明の第3の実施態様は、前記バックチャンバの他端が、前記第2の振動電極板に対向して前記基板の上面で開口していることを特徴としている。かかる実施態様では、第1のトランスデューサのバックチャンバが、第2のトランスデューサの第2の振動電極膜に対向する位置まで延びているので、第1のトランスデューサのバックチャンバの容積を非常に大きくでき、第1のトランスデューサの音響振動に対する感度を大きく向上させることができる。
【0020】
本発明の第3の実施態様におけるある態様では、開口を有しない前記第2の固定電極板によって、前記第2の振動電極板の位置する側の空間と前記第2の固定電極板よりも外側の空間とを気密的に仕切っている。かかる態様では、第2の振動電極板が開口を有しない第2の固定電極板で覆われるので、第2の振動電極板に音響振動が伝わらない。よって、第2のトランスデューサは、音響振動に対して感度を持たず、機械的振動だけを検知することができる。
【0021】
第3の実施態様における別な態様では、前記第2のトランスデューサにおける前記第2の振動電極板が通孔を有している。かかる態様では、第2の振動電極板が通孔を有しているので、第2の振動電極板の一方の側から音響振動が伝わっても音響振動が通孔を通って第2の振動電極板の他方の面にも加わる。よって、第2の振動電極板の両面に音響振動が加わるので、第2の振動電極板が振動せず、第2のトランスデューサは音響振動に対して感度を持たなくなり、機械的振動だけを検知する。
【0022】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、特許文献1に開示された音響センサの断面図である。
【図2】図2(a)は図1のコンデンサマイクにおける音響検知部の出力波形を示す図、図2(b)は図1のコンデンサマイクにおける振動検知部の出力波形を示す図、図2(c)は図2(b)の出力波形を用いて図2(a)の出力波形からノイズを除去した波形を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1による音響センサの構造を示す概略断面図である。
【図4】図4は、実施形態1の音響センサに用いられているセンサ本体の分解斜視図である。
【図5】図5は、実施形態1の音響センサに用いられているシリコン基板の裏面側の斜視図である。
【図6】図6(a)は実施形態1の音響センサの音響検知部からの出力波形を示す図、図6(b)は実施形態1の音響センサの振動検知部からの出力波形を示す図、図6(c)は図6(b)の出力波形を用いて図6(a)の出力波形からノイズを除去した波形を示す図である。
【図7】図7(a)〜(e)は、実施形態1によるセンサ本体の製造工程の一部を示す概略断面図である。
【図8】図8(a)〜(e)は、本発明の実施形態1によるセンサ本体の異なる製造工程を説明する概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態2による音響センサを構成するセンサ本体の概略断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態3による音響センサを構成するセンサ本体の概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態4の音響センサに用いられているセンサ本体の概略断面図である。
【図12】図12は、同上のセンサ本体の分解斜視図である。
【図13】図13は、実施形態4の音響センサに用いられているシリコン基板の裏面側の斜視図である。
【図14】図14(a)〜(e)は、実施形態4によるセンサ本体の製造工程の一部を示す概略断面図である。
【図15】図15(a)〜(e)は、本発明の実施形態4によるセンサ本体の別な製造工程を説明する概略断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態5による音響センサに用いられているセンサ本体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0025】
(第1の実施形態)
以下、図3〜図8を参照して本発明の実施形態1による音響センサ21を説明する。図3は音響センサ21の概略断面図である。この音響センサ21は、図3に示すように、主としてセンサ本体22と回路素子23、24(ICチップ)とからなり、センサ本体22及び回路素子23、24の下面は配線パターンを形成された配線基板25の上面に接着剤で固定されている。センサ本体22及び回路素子23、24は、配線基板25の上面に接合された電磁シールド用のカバー26によって覆われていて、配線基板25とカバー26によって形成された空間27内に納められている。
【0026】
図4はセンサ本体22の構造を示す分解斜視図である。このセンサ本体22はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して作製されたMEMS素子であり、一枚のシリコン基板28(基板)に音響検知部29(第1のトランスデューサ)と振動検知部30(第2のトランスデューサ)を設けている。音響検知部29は、シリコン基板28内にバックチャンバ31を有しているが、振動検知部30は、シリコン基板28内にバックチャンバを有しない。シリコン基板28のサイズは、平面視で一辺の長さが数mm以下であり、厚みが400〜500μm程度である。シリコン基板28の上面には酸化膜(SiO膜)等からなる絶縁被膜32が形成されている。
【0027】
音響検知部29のためのバックチャンバ31は、図3に示すように断面L字形に形成されており、図4及び図5に示すように、その上面は音響検知部29に対向する位置で開口し、下面は音響検知部29から振動検知部30にわたる領域で開口している。以下においては、このバックチャンバ31のうちシリコン基板28の表裏に貫通している部分を縦孔部31aと呼び、縦孔部31aの側面下部から水平に伸びた部分を横孔部31bと呼ぶ。縦孔部31aは音響検知部29の下方に位置しており、横孔部31bは縦孔部31aと連通していて振動検知部30(特に、振動電極板33b)の設けられている領域の下方に延びている。横孔部31bは、シリコン基板28の上面に垂直な方向から見たとき、振動検知部30の設けられている大部分の領域と重なっているが、横孔部31bの面積は振動検知部30の面積よりも大きくても小さくてもよい。バックチャンバ31の下面開口は、センサ本体22の下面を配線基板25の上面に接着してセンサ本体22を実装したとき、配線基板25によって塞がれる。なお、バックチャンバ31の壁面は垂直面となっていてもよく、テーパー状に傾斜していてもよい(図8参照)。
【0028】
図4に示すように、音響検知部29は、縦孔部31aの上方においてシリコン基板28の上面に振動電極板33a(第1の振動電極板)と固定電極板34a(第1の固定電極板)を対向させて配置することによって構成されている。また、振動検知部30は、シリコン基板28の上面に振動電極板33b(第2の振動電極板)と固定電極板34b(第2の固定電極板)を対向させて配置することによって構成されている。すなわち、振動電極板33aは、縦孔部31aの上面開口を覆うようにしてシリコン基板28の上面に設けられ、振動電極板33aの上方には微小ギャップ(空隙)を介して固定電極板34aが設けられている。また、振動電極板33bは、バックチャンバ31が開口していない領域においてシリコン基板28の上面に設けられ、振動電極板33bの上方には微小ギャップ(空隙)を介して固定電極板34bが設けられている。
【0029】
振動電極板33a、33bは、膜厚が1μm程度のポリシリコン薄膜によって形成されている。振動電極板33a、33bはほぼ矩形状の薄膜であって、その四隅部分には対角方向外側に向けて支持脚35a、35bが延出している。さらに、支持脚35a、35bの一つからは延出部36a、36bが延びている。振動電極板33aは、縦孔部31aの上面を覆うようにしてシリコン基板28の上面に配置され、四隅の支持脚35aと延出部36aを絶縁被膜32の上に固定されている。また、振動電極板33bは、バックチャンバ31の開口していない領域においてシリコン基板28の上面に配置され、四隅の支持脚35bと延出部36bを絶縁被膜32の上に固定されている。振動電極板33a、33bのうち固定されていない部分(この実施形態では、支持脚35a、35b及び延出部36a、36b以外の部分)はそれぞれ宙空に浮いたダイアフラム37a、37b(振動膜)となっている。
【0030】
固定電極板34a、34bは、いずれも窒化膜からなるバックプレート38a、38bの上面に金属薄膜からなる固定電極39a、39bを設けたものである。図4に示すように、固定電極板34a、34bは、それぞれダイアフラム37a、37bと対向する領域においては3μm程度の微小ギャップをあけてダイアフラム37a、37bを覆っており、固定電極39a、39bはダイアフラム37a、37bと対向してキャパシタを構成している。固定電極板34a、34bの外周部、すなわちダイアフラム37a、37bと対向する領域の外側の部分は、酸化膜等からなる絶縁被膜32を介してシリコン基板28の上面に固定されている。
【0031】
固定電極39a、39bからは引出し部40a、40bが延出されており、引出し部40a、40bの先端にはそれぞれ固定電極39a、39bと導通した電極パッド41a、41b(Au膜)が設けられている。さらに、固定電極板34a、34bには、振動電極板33a、33bの延出部36a、36bに接合して振動電極板33a、33bと導通させる電極パッド42a、42b(Au膜)が設けられている。電極パッド42a、42bはバックプレート38a、38bの上面に配置しており、電極パッド42a、42bはバックプレート38a、38bの開口を通して延出部36a、36bに接合している。
【0032】
固定電極39a及びバックプレート38aには、その上面から下面に貫通するようにして、音響振動を通過させるための音響孔43a(アコースティックホール)が穿孔されており、ダイアフラム37aとバックチャンバ31は音響的につながっている。また、固定電極39b及びバックプレート38bには、その上面から下面に貫通するようにして、貫通孔43bが穿孔されている。貫通孔43bの開口径や配置は、音響検知部29の音響孔43aと同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、振動電極板33a、33bは、音響振動や機械的振動に共鳴して振動するものであるから、1μm程度の薄膜となっているが、固定電極板34a、34bは音響振動や機械的振動によって励振されない電極であるので、その厚みは例えば2μm以上というように厚くなっている。
【0033】
図3に示すように、配線基板25の上面には、音響検知部29の出力信号を処理するための回路素子23が熱硬化性樹脂によって接着されており、音響検知部29と回路素子23はボンディングワイヤにより、あるいは配線基板25の配線パターンを通じて接続される。同様に、配線基板25の上面には、振動検知部30の出力信号を処理するための回路素子24が熱硬化性樹脂によって接着されており、振動検知部30と回路素子24はボンディングワイヤにより、あるいは配線基板25の配線パターンを通じて接続される。
【0034】
カバー26は、外部からの電磁ノイズを遮断するために電磁シールド機能を備えている。このためには、カバー26自体を導電性金属によって形成してもよく、樹脂製のカバーの内面をメッキ等の金属被膜で覆ってもよい。カバー26は、導電性接着剤によって外周下面を配線基板25に接着されており、カバー26は配線基板25の接地パターン(電磁シールド用のパターンを兼ねている。)に電気的に接続されている。また、カバー26の下面と配線基板25との間の隙間は、導電性接着剤によって封止されている。また、カバー26は開口44を形成されており、開口44と音響検知部29の間の空間は音響振動を伝搬させるための経路となっている。
【0035】
(作用効果)
つぎに、上記のような構造を有する音響センサ21の作用効果について説明する。この音響センサ21においては、その開口44から音響振動(音圧)が伝搬すると、音響孔43aから音響検知部29内に音響振動が入ってダイアフラム37aを振動させる。ダイアフラム37aが振動すると、ダイアフラム37aと固定電極39aとの間のギャップ距離が変化するので、それによってダイアフラム37aと固定電極39aの間の静電容量が変化する。よって、電極パッド41a、42a間に直流電圧を印加しておき、この静電容量の変化を電気的な信号として取り出すようにすれば、音響振動を電気的な信号に変換して検出することができる。
【0036】
一方、振動検知部30は、ダイアフラム37bの下面にバックチャンバを有しない(あるいは、振動電極板33bの下面とシリコン基板28の表面との間に、小さな容積のバックチャンバしか有しない)ので、貫通孔43bから音響振動が入ってもダイアフラム37bが振動せず、音響振動は振動検知部30で検知されない。
【0037】
また、この音響センサ21に機械的振動が加わると、シリコン基板28を通じて音響検知部29のダイアフラム37aと振動検知部30のダイアフラム37bに伝達するので、音響検知部29と振動検知部30の双方で機械的振動が検知される。
【0038】
したがって、音響検知部29で音響振動を検知することができるが、音響センサ21に機械的振動が加わると、音響検知部29はこの機械的振動も検知する。音響検知部29では、外来の機械的振動は検知対象ではないので、音響振動と同時に機械的振動が伝わると、音響検知部29からは図6(a)に示すような波形の信号が出力され、音響振動波形に機械的振動に基因するノイズが乗った信号となる。
【0039】
これに対し、振動検知部30では機械的振動のみが検知され、振動検知部30からは図6(b)のような音響検知部29のノイズに対応する機械的振動が出力される。
【0040】
よって、たとえば外部の差動アンプに音響検知部29の出力信号と振動検知部30の出力信号をそれぞれ入力して音響検知部29の出力と振動検知部30の出力との差分信号を出力させるようにすれば、機械的振動によるノイズがキャンセルされて音響振動のみが出力される。しかも、音響検知部29と振動検知部30は、硬くて弾性率の高いSiからなる1枚のシリコン基板28の上に形成されているので、音響検知部29のダイアフラム37aに伝わる機械的振動と振動検知部30のダイアフラム37bに伝わる機械的振動との間の時間的なずれや信号強度の大小が非常に小さくなり、両検知部29、30で検知される機械的振動の位相差や減衰がほとんどなくなる。また、音響検知部29と振動検知部30は同じ感度で機械的振動を検知するよう構成されている。その結果、音響検知部29の出力信号からノイズを除去する振動キャンセル効果を高くでき、S/N比の良好な音響振動波形を取り出すことが可能になる。
【0041】
さらに、音響検知部29は、バックチャンバ31が振動検知部30の下方まで延びていてバックチャンバ31の容積が非常に大きくなっている。バックチャンバの音響コンプライアンスCcavは、バックチャンバの容積Vbcに比例するので、音響検知部29ではバックチャンバ31の音響コンプライアンスCcavを大きくでき、音響検知部29の感度を高くすることができる。よって、音響検知部29においては、機械的振動に対する感度は変わらず音響振動に対する感度だけが向上するので、音響検知部29におけるS/N比が高くなり、ノイズ除去後の出力信号においてもS/N比が向上することになる。
【0042】
この結果、音響センサ21によれば、図6(c)に示すように、ノイズの少ないきれいな波形の音響振動を出力させることが可能になる。
【0043】
(製造方法1)
つぎに、センサ本体22の製造方法を説明する。図7(a)〜(e)は、上記センサ本体22の製造方法を説明する概略断面図である。図7(a)よりも前の工程では、シリコン基板28(ウエハ)の上面に熱酸化法によってSiOからなる絶縁被膜32を成膜し、ダイアフラム37aが形成される領域において絶縁被膜32に開口をあける。ついで、シリコン基板28の上に犠牲層55、振動電極板33a、33b及び犠牲層55を積層して上下の犠牲層55間に振動電極板33a、33bを形成する。さらに、これらの上には、犠牲層55等を覆うようにして固定電極板34a、34b(バックプレート38a、38b及び固定電極39a、39b)を形成し、固定電極板34a、34bにそれぞれ音響孔43aと貫通孔43bを開口する。この工程は、公知の工程であるので、詳細は省略する。
【0044】
この後、図7(a)に示すように、シリコン基板28の下面をSiO、SiNなどの絶縁膜からなるエッチングマスク51で覆い、縦孔部31aの開口位置に合わせてエッチングマスク51にエッチング窓52をあける。
【0045】
ついで、エッチング窓52を通してシリコン基板28を下面から上方へ向けて垂直に異方性エッチングし、図7(b)に示すように、シリコン基板28の上面まで達しないところで(あるいは、横孔部31bの高さと等しい厚み分だけシリコン基板28を残して)エッチングを停止し、シリコン基板28の下部に縦孔部31aの一部を形成する。このときのエッチング方法は、スパッタリングなどのドライエッチングであってもよく、ウェットエッチングであってもよい。
【0046】
さらに、エッチングマスク51の下面に、フォトレジスト53を塗布し、フォトレジスト53に露光しエッチングすることによってバックチャンバ31の下面開口に対応する領域に開口54をあける。この開口54を通してエッチングマスク51をエッチングし、図7(c)に示すように、エッチングマスク51のエッチング窓52をバックチャンバ31の下面開口と同じ大きさに広げる。
【0047】
フォトレジスト53をエッチングマスク51から剥離した後、エッチング窓52を通して再びシリコン基板28を垂直に異方性エッチングし、図7(d)に示すように、縦孔部31aがシリコン基板28の上面に達して縦孔部31aが貫通したらエッチングを停止する。この場合のエッチング方法も、ドライエッチングでもよく、ウェットエッチングでもよい。このとき広げられたエッチング窓52でエッチングされた領域には横孔部31bが形成される。
【0048】
こうしてシリコン基板28に縦孔部31aと横孔部31bとからなるバックチャンバ31を設けたら、固定電極板34aの音響孔43a、固定電極板34bの貫通孔43b及びバックチャンバ31を通して犠牲層55にエッチャントを接触させて犠牲層55を除去し、四隅を固定されてシリコン基板28の表面から浮いた振動電極板33a、33bを形成するとともに、振動電極板33a、33bと固定電極板34a、34bとの間にギャップを設ける。
【0049】
本実施形態のセンサ本体22では、このように音響検知部29及び振動検知部30としてMEMS素子を用いているので、センサ本体22を小型化することができる。さらに、上記のようにして音響検知部29と振動検知部30が一枚のシリコン基板28の上に形成されるので、音響検知部29と振動検知部30を同一工程によって一度に作製することができ、センサ本体22の製造工程や配線基板25への実装工程が簡単になり、センサ本体22の製造効率が向上する。
【0050】
(製造方法2)
図8(a)〜(e)は、上記センサ本体22の別な製造方法を説明する概略断面図である。この製造方法は、製造方法1とほぼ同じであって、図8(a)〜(e)はそれぞれ図7(a)〜(e)に対応している。ただし、図8(b)及び図8(d)において縦孔部31a及び横孔部31bをエッチングする工程では、ウェットエッチング又はドライエッチングによって縦孔部31a及び横孔部31bの側面を斜めにエッチングしている。このエッチング方法としては、等方性エッチングを行ってもよく、Si結晶の(111)面が斜面となって表れるように結晶異方性エッチングを行ってもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
図9は本発明の実施形態2におけるセンサ本体61の構造を示す概略断面図である。このセンサ本体61においては、振動検知部30の振動電極板33bに複数個の通気孔62を開口している。その他の構造については、実施形態1と同様である。
【0052】
センサ本体61では、振動電極板33bに通気孔62が明いているので、貫通孔43bから振動検知部30内に音響振動が入っても、音響振動が通気孔62を通り抜けて振動電極板33bの両面に加わる結果、音響振動(音圧)がダイアフラム37bの表裏から加わってダイアフラム37bの表裏で圧力差がなくなり、ダイアフラム37bが振動しにくくなる。よって、このような構造によれば、振動検知部30の音響振動に対する感度がより小さくなり、振動検知部30で機械的振動だけを検知させることができる。
【0053】
また、振動電極板33bに通気孔62が開口しているので、貫通孔43bからエッチング液を侵入させて犠牲層をエッチング除去する際、エッチング液が通気孔62を通って振動電極板33bの下面に達しやすくなり、犠牲層エッチングを確実に行え、エッチング時間を短縮することもできる。
【0054】
(第3の実施形態)
図10は本発明の実施形態3におけるセンサ本体71の構造を示す概略断面図である。このセンサ本体71においては、振動検知部30の固定電極板34bに貫通孔43bを設けていない。固定電極板34bに貫通孔43bが明いていないので、振動電極板33bが固定電極板34b内に密閉されていて音響振動を検知することができず、振動検知部30はより確実に機械的振動のみを検知することができる。
【0055】
もっとも、始めから固定電極板34bに貫通孔43bが明いていなければ犠牲層エッチングを行うことができないので、固定電極板34bに貫通孔43bを開口しておいて犠牲層エッチングを行った後で貫通孔43bを塞ぐようにすればよい。
【0056】
(第4の実施形態)
図11は本発明の実施形態4による音響センサにおいて、配線基板の上に実装されるセンサ本体81を示す概略断面図、図12はその分解斜視図である。また、図13はセンサ本体81に用いられているシリコン基板28の裏面側からの斜視図である。
【0057】
センサ本体81では、振動電極板33bの下方においても上下に貫通した縦孔部31cをシリコン基板28に形成し、横孔部31bによって振動電極板33aの下方の縦孔部31aと振動電極板33bの下方の縦孔部31cを連通させている。また、振動検知部30の固定電極板34bには、貫通孔43bその他の孔は開口されていない。センサ本体81の構造については、これ以外の点は実施形態1の場合と同じであるので、説明は省略する。
【0058】
このような形態によれば、音響検知部29のバックチャンバ31の容積をさらに大きくすることができるので、音響検知部29の音響振動に対する感度を向上させ、S/N比を向上させることができる。
【0059】
一方、振動検知部30の固定電極板34bは開口を有していないので、固定電極板34b側からダイアフラム37bに音響振動が伝わらない。また、音響検知部29内に入った音響振動は、バックチャンバ31内を通ってダイアフラム37bに達するまでに減衰し、しかも振動検知部30のバックチャンバ(ダイアフラム37bの上面と固定電極板34bの下面との間の隙間)は小さな容積しか持たないので、音響振動に対する感度が非常に小さくなる。よって、振動検知部30は機械的振動だけを検知することができる。
【0060】
実施形態4のセンサ本体81にあっても、音響検知部29のS/N比を大きくし、しかも、一枚のシリコン基板28に音響検知部29と振動検知部30を形成することで機械的振動の時間的なずれ(位相差)を小さくでき、音響検知部29の出力信号における振動キャンセル効果を高めることができる。
【0061】
(製造方法3)
つぎに、センサ本体81の製造方法を説明する。図14(a)〜(e)は、上記センサ本体81の製造方法を説明する概略断面図である。シリコン基板28の上面に振動電極板33a、33b、犠牲層55及び固定電極板34a、34bを形成した後、図14(a)に示すように、シリコン基板28の下面をSiO、SiNなどの絶縁膜からなるエッチングマスク51で覆い、縦孔部31a及び31cの開口位置に合わせてエッチングマスク51にエッチング窓52をあける。
【0062】
ついで、エッチング窓52を通してシリコン基板28を下面から上方へ向けて垂直に異方性エッチングし、図14(b)に示すように、シリコン基板28の上面まで達しないところで(あるいは、横孔部31bの高さと等しい厚み分だけシリコン基板28を残して)エッチングを停止し、シリコン基板28の下部に縦孔部31a、31cの一部を形成する。このときのエッチング方法は、スパッタリングなどのドライエッチングであってもよく、ウェットエッチングであってもよい。
【0063】
さらに、エッチングマスク51の下面に、フォトレジスト53を塗布し、フォトレジスト53に露光しエッチングすることによってバックチャンバ31の下面開口に対応する領域に開口54をあける。この開口54を通してエッチングマスク51をエッチングし、図14(c)に示すように、エッチングマスク51のエッチング窓52をバックチャンバ31の下面開口と同じ大きさに広げる。
【0064】
フォトレジスト53をエッチングマスク51から剥離した後、エッチング窓52を通して再びシリコン基板28を異方性エッチングし、図14(d)に示すように、縦孔部31a、31cがシリコン基板28の上面に達して縦孔部31a、31cが貫通したらエッチングを停止する。この場合のエッチング方法も、ドライエッチングでもよく、ウェットエッチングでもよい。このとき広げられたエッチング窓52でエッチングされた領域には横孔部31bが形成される。
【0065】
こうしてシリコン基板28に縦孔部31a、横孔部31b及び縦孔部31cからなるバックチャンバ31を設けたら、固定電極板34aの音響孔43a及びバックチャンバ31を通して犠牲層55にエッチャントを接触させて犠牲層55を除去し、四隅を固定されてシリコン基板28の表面から浮いた振動電極板33a、33bを形成するとともに、振動電極板33a、33bと固定電極板34a、34bとの間にギャップを設ける。
【0066】
本実施形態のセンサ本体81でも、このように音響検知部29及び振動検知部30としてMEMS素子を用いているので、センサ本体81を小型化することができる。さらに、上記のようにして音響検知部29と振動検知部30が一枚のシリコン基板28の上に形成されるので、音響検知部29と振動検知部30を同一工程によって一度に作製することができ、センサ本体22の製造工程や配線基板25への実装工程が簡単になり、本体センサ81の製造効率が向上する。
【0067】
(製造方法4)
図15(a)〜(e)は、上記センサ本体81の別な製造方法を説明する概略断面図である。この製造方法は、製造方法3とほぼ同じであって、図15(a)〜(e)はそれぞれ図14(a)〜(e)に対応している。ただし、図15(b)及び図15(d)において縦孔部31a、31c及び横孔部31bをエッチングする工程では、ウェットエッチング又はドライエッチングによって縦孔部31a、31c及び横孔部31bの側面を斜めにエッチングしている。このエッチング方法としては、等方性エッチングを行ってもよく、Si結晶の(111)面が斜面となって表れるように結晶異方性エッチングを行ってもよい。
【0068】
(第5の実施形態)
図16は本発明の実施形態5におけるセンサ本体91の構造を示す概略断面図である。このセンサ本体91は、実施形態4のセンサ本体81において、振動検知部30の振動電極板33bに複数個の通気孔62を開口したものである。
【0069】
センサ本体91では、振動電極板33bに通気孔62が明いているので、貫通孔43bから振動検知部30内に音響振動が入っても、音響振動が通気孔62を通り抜けて振動電極板33bの両面に加わる結果、音響振動(音圧)がダイアフラム37bの表裏から加わってダイアフラム37bの表裏で圧力差がなくなり、ダイアフラム37bが振動しにくくなる。よって、このような構造によれば、振動検知部30の音響振動に対する感度がより小さくなり、振動検知部30で機械的振動だけを検知させることができる。
【0070】
また、振動電極板33bに通気孔62が開口しているので、貫通孔43bからエッチング液を侵入させて犠牲層をエッチング除去する際、エッチング液が通気孔62を通って振動電極板33bの下面に達しやすくなり、犠牲層エッチングを確実に行え、エッチング時間を短縮することもできる。
【符号の説明】
【0071】
21 音響センサ
22、61、71、81、91 センサ本体
25 配線基板
28 シリコン基板
29 音響検知部
30 振動検知部
31 バックチャンバ
31a、31c 縦孔部
31b 横孔部
33a、33b 振動電極板
34a、34b 固定電極板
37a、37b ダイアフラム
43a 音響孔
43b 貫通孔
62 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の基板に、音響振動及び機械的振動を感知して電気信号を出力する第1のトランスデューサと、機械的振動のみを感知して電気信号を出力する第2のトランスデューサとを設けた音響センサであって、
前記第1のトランスデューサは、前記基板内に形成されたバックチャンバと、前記バックチャンバの上面開口を覆うようにして前記基板の表面に設けた第1の振動電極板と、前記第1の振動電極板に対向し且つ音響孔を開口された第1の固定電極板とを有し、前記第1の振動電極板の変位による前記第1の振動電極板と前記第1の固定電極板の間の静電容量の変化に基づいて電気信号を出力するものであり、
前記第2のトランスデューサは、前記基板の表面に設けた第2の振動電極板と、前記第2の振動電極板に対向した第2の固定電極板とを有し、前記第2の振動電極板の変位による前記第2の振動電極板と前記第2の固定電極板の間の静電容量の変化に基づいて電気信号を出力するものであり、
前記バックチャンバは、その一端が前記第1の振動電極板に対向して前記基板の上面で開口し、かつ、前記基板の上面に沿った方向へ伸びた部分を備えていることを特徴とする音響センサ。
【請求項2】
前記バックチャンバの他端は、前記基板の上面に垂直な方向から見て、前記第2のトランスデューサが設けられた領域に達していることを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項3】
前記バックチャンバの他端が前記基板によって塞がれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の音響センサ。
【請求項4】
前記第2のトランスデューサは、前記基板内にバックチャンバを有しないことを特徴とする、請求項3に記載の音響センサ。
【請求項5】
前記第2のトランスデューサにおいて、前記第2の振動電極板が通孔を有していることを特徴とする、請求項3に記載の音響センサ。
【請求項6】
前記第2のトランスデューサにおいて、前記第2の振動電極板は、前記基板と前記第2の固定電極板との間の空間に封止されていることを特徴とする、請求項3に記載の音響センサ。
【請求項7】
前記バックチャンバは、前記第2の振動電極板に対向して他端が前記基板の上面で開口していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の音響センサ。
【請求項8】
開口を有しない前記第2の固定電極板によって、前記第2の振動電極板の位置する側の空間と前記第2の固定電極板よりも外側の空間とを気密的に仕切ったことを特徴とする、請求項7に記載の音響センサ。
【請求項9】
前記第2のトランスデューサにおいて、前記第2の振動電極板が通孔を有していることを特徴とする、請求項7に記載の音響センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−176534(P2011−176534A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38294(P2010−38294)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】