説明

駐車場内経路案内システム、車載用ナビゲーション装置、駐車場内経路案内方法

【課題】 ユーザ所望の場所上の特徴を有する空きマスへ自動的に誘導する。
【解決手段】 駐車場管理装置6は駐車場1の空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報と、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を路側機5を通じて車両側へ配信する。駐車場入口に到達した車両で受信された駐車場情報は車載用ナビゲーション装置30の制御部41が記憶部34に記憶させ、駐車場地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を表示装置38に表示させる。登録部43は駐車する度に駐車した駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶部42に登録しておく。空きマス経路案内部44は今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、履歴情報中に一番多く出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスとし、通路情報を参照して現在地から目的マスまで経路案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車場内経路案内システム、車載用ナビゲーション装置、駐車場内経路案内方法に係り、とくにユーザ所望の場所または条件の空きマスへ車両を誘導可能な駐車場内経路案内システム、車載用ナビゲーション装置、駐車場内経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置は現在地を検出しながら光ディスクまたはハードディスク装置に保持された地図データを用いて自車位置周辺の地図画像を自動表示させる。地図画像には道路、建物の外、ガソリンスタンド、駐車場等、ユーザが良く利用する地図要素が含まれており、駐車場のマークから、目的地近くに来たとき近くの駐車場がどこにあるか容易に認識することができる。駐車場内についても、予め地図データに駐車場内データを含めておくことで、駐車場内地図画像の表示が可能であり、駐車マスがどのように配置されているか簡単に判る。但し、駐車場内地図画像だけでは空きマスの位置まで判らなかった。
これとは別に駐車場入口に到達した車両を場内の空きマスまで誘導する駐車場システムがある(特許文献1)。このシステムは、駐車場に入った車両の無線通信端末の検索条件通知手段が路車間通信により、「車椅子専用駐車スペース」、「地下2階の駐車場」、「普通車」、「大型車」といった検索条件が駐車場管理センタに通知されると、センタは検索条件に合致した駐車スペースを検索し、車両の駐車スペースを決定する。次に、駐車場入口から目的とする駐車スペースまでの経路途中で適宜、路車間通信により、左折、右折等の進路案内を行い目的とする駐車スペースまで車両を誘導する。
【0003】
けれども、上記した従来技術では、無線通信端末の検索条件通知手段が検索条件を通知するためには、ユーザが駐車場に入る前に何らかの設定操作で検索条件を設定をしておかなければならず、手間が掛かる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−67517号公報の段落0055〜0057
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、ユーザ所望の場所上または駐車条件上の特徴を有する空きマスへ自動的に誘導可能な駐車場内経路案内システム、車載用ナビゲーション装置、駐車場内経路案内方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の駐車場内経路案内システムは、駐車場の空きマスを管理し、空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を送出する駐車場管理装置と、駐車場管理装置と接続されて駐車場管理情報を車両側へ配信する通信装置と、駐車場情報を受信する車載用通信装置と、車載用通信装置と接続された車載用ナビゲーション装置とから成り、車載用ナビゲーション装置は、車載用通信装置で受信された駐車場情報を記憶する記憶手段と、駐車する度に駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶手段に登録して履歴情報を作成しておく登録手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、地図画像を表示する表示手段と、今回受信した駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で描画し、表示手段に表示させる制御手段と、今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定する決定手段と、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまで経路案内を行う経路案内手段とを備えたこと、を特徴としている。
請求項2の車載用ナビゲーション装置は、駐車場の空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を受信する受信手段と、受信手段で受信された駐車場情報を記憶する記憶手段と、駐車する度に駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶手段に登録して履歴情報を作成しておく登録手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、地図画像を表示する表示手段と、今回受信した駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で描画し、表示手段に表示させる制御手段と、今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定する決定手段と、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまで経路案内を行う経路案内手段とを備えたこと、を特徴としている。
請求項3の駐車場内経路案内方法は、駐車場の空きマスを管理し、空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を送出する駐車場管理装置と通信装置を接続し、該通信装置により駐車場管理装置から送出された駐車場情報を車両側へ配信させ、車両の側では、車載用通信装置で駐車場情報が受信されると記憶手段に記憶し、駐車する度に駐車マスの特徴情報を登録して履歴情報を作成しておき、今回受信した駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で表示するとともに、今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定し、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまで経路案内を行うようにしたこと、を特徴としている。
なお、経路案内手段は、表示または音声により経路案内することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の駐車場内経路案内システム、車載用ナビゲーション装置、駐車場内経路案内方法によれば、駐車場管理装置から通信装置を通じて配信された駐車場情報中の空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報を用いてユーザが駐車する度に駐車マスの特徴情報を登録して累積情報を作成しておく。また、今回受信した駐車場情報中の駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で表示するとともに、今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定し、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して現在地から目的マスまで経路案内を行うようにしたので、ユーザが空きマスに対する検索条件の設定操作をしなくても、自動的に過去に利用した場所上または駐車条件上の特徴を有する空きマスへ経路案内させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
駐車場管理装置は、空きマスを含む駐車場内地図データ(ここでは画像データとする)、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を駐車場入口等に設置した路側機を通じて車両側へ送信させる。特徴カテゴリは例えば、「コーナ近辺」、「駐車場出口近く」、「店舗入口近辺」、「軽車両専用」、「福祉車両専用」である。
車両に搭載された車載用通信装置は路側機から駐車場情報を受信すると車載用ナビゲーション装置へ出力する。車載用ナビゲーション装置の制御部は受信された駐車場情報を記憶させる。登録部はユーザが駐車する度に駐車マスの特徴情報を登録して履歴情報を作成しておく。制御部は今回受信とた駐車場情報中の駐車場内地図データに基づき表示装置に空きマス付の駐車場内地図画像を自車位置マークとともに表示させ、空きマス経路案内部は今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に一番多く出現する特徴カテゴリを含む空きマスの内、現在地から通路に沿った距離が最短の1つを選別して目的マスを決定し、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまでを通路に沿って最短で結ぶ最適経路を決定する。そして、最適経路情報を用いて、駐車場内地図画像上に最適経路を重ねて描画するとともに入口から目的マスまで音声と画像で「○○M先直進です」、「○○M先右折です」、「○○M先左折です」の出力を行い経路案内をする。
路側機と車載用通信装置の路車間通信には、5.8GHzのアクティブ方式双方向通信DSRC(Dedicated Short Range Communication )を利用する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の一つの実施例に係る駐車場内経路案内システムを示す説明図である。
1は駐車場であり、最大48台駐車可能で東西に広がった長方形の駐車場敷地2を有する。駐車場1の内、図1の左下が入口IN、右上が出口OUTである。P01〜P08、P11〜P18、P21〜P28、P31〜P38、P41〜P48、P51〜P58は駐車マス、ハッチング領域は駐車場内の通路であり、白抜き矢印で示す入口通路RI、出口通路RO、駐車通路RA〜RC、連絡通路RD、REの4種類の部分通路から成る。各部分通路の矢印は一方通行を示す。3は入口ゲート装置であり、入口ゲート4を開閉する。入口ゲート装置3は後述する駐車場管理装置からの指令で制御でゲートを開き、所定箇所に設置された車両センサ(図示せず)が車両のゲート通過を検知すると入口ゲート4を閉じる。5は入口通路RIの脇に設置された路側機であり、入口通路RIの内、入口ゲート4の手前に来た車両と路車間通信を行い、車両に入庫時間、空きマス地図を表示させるための駐車場情報を送信したり、車両から車両識別情報を受信したりする。6は駐車場管理装置であり、路側機5、入口ゲート装置3と接続されている。駐車場管理装置6は路側機5から車両識別情報を入力すると、入口ゲート装置3にゲート開指令を与えて入口ゲート4を開かせる。入庫時間は車両側に記憶され、駐車場管理装置6が出口に設けた路側機(図示せず)を通じて出口に来た車両から入庫時間を読み出し、料金を算出して車両側へ提供する。
駐車場管理装置6は駐車場内の各駐車マスに敷設されたセンサ(図示せず)とも接続されており、リアルタイムで空きマスの位置を管理している。7は駐車場内に設けられた店舗、8は店舗の出入口である。
【0010】
各駐車マスの内、P01、P08、P11、P18、P21、P28、P31、P38、P41、P48、P51、P58はコーナ近辺に有り、P41〜P43、P51〜P53は駐車場出口近辺に有り、P11〜P13、P21〜P23は店舗入口近辺に有る。また、P05〜P08は軽車両専用である。駐車場管理装置6は、駐車場内の空きマスを地図表示するための空きマス付き駐車場内地図データ(ここでは、方形の地図領域の駐車場内画像データとし、駐車場内画像の上方向の方位θ、画像の四隅の経緯度座標、縮尺のデータを付属させる)、空きマスの位置、空きマス毎の場所上及び駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリ(特徴点)を表す特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を路側機5に出力し、車両に送信させる。空きマス毎の特徴情報の内、場所上の特徴カテゴリは「コーナ近辺」、「駐車場出口近辺」、「店舗入口近辺」等であり、駐車条件上の特徴点は「軽車両専用」、「大型車専用」、「福祉車専用」等である(図5参照)。
【0011】
図2に通路情報の構成例を示す。ここでは、図3、図4に示す如く通路の中心線上に通路ノードN01、N02、・・・を並べるとともに、駐車マス毎に駐車ノードNP01、NP02、・・を配置し、2つのノードを方向付きで結ぶリンクとリンク間の接続関係で通路情報を定義するものとする。図2においてノードリストNLは各ノードの識別符号と位置(経緯度座標)のリストであり、リンクリストLLは、リンクの識別符号とリンクの始端ノードと先端ノード(始端側から先端側へ走行可能。或るリンクの区間が双方向通行の場合は2つのリンクとなる)のノードリスト上の番号、先端ノードから走行可能な隣接リンクの識別符号のリストである。
【0012】
図1に戻って20は車両Vに搭載された車載用通信装置、30は車載用ナビゲーション装置であり、この内、車載用通信装置20は5.8GHzのアクティブ方式双方向通信DSRCにより路側機5と路車間通信を行い、内部に記憶した車両識別情報を路側機へ送信したり、路側機5から駐車場情報を受信して車載用ナビゲーション装置30へ出力する。
【0013】
車載用ナビゲーション装置30の構成を図6に示す。車載用ナビゲーション装置30の内、31はGPS衛星を用いた衛星航法と車速センサ・ジャイロセンサを用いた自立航法を併用して現在位置と現在方位を検出する検出部、32は地図データを記憶した地図データ記憶部、33は車載用通信装置20との間で情報の授受を行う通信インタフェース、34は駐車場情報を記憶する駐車場情報記憶部、35は地図画像を記憶する第1画像記憶部、36は「直進です」、「○○M先左折です」、「○○M先右折です」等の文字と進路を示す矢印から成る進路案内画像を記憶する第2画像記憶部、37は合成部であり、第2画像記憶部36に進路案内画像が描画されていないときは第1画像記憶部35に描画された地図画像をそのまま映像信号に変換して出力し、第2画像記憶部36に進路案内画像が描画されているときは第1画像記憶部35に描画された地図画像の上に進路案内画像を重ねながら映像信号に変換して出力する。38は合成部37の映像出力を画面表示する表示装置、39は入力文章の音声合成を行う音声合成部、40はスピーカである。
【0014】
41は制御部であり、駐車場入口に到達するまでは周期的に検出部31から現在位置と現在方位を入力し、地図データを用いて現在地周辺の地図画像を自車位置マーク付で第1画像記憶部35に描画する。駐車場入口に到達し、車載用通信装置20で駐車場情報が受信されると制御部41は通信インタフェース33を介して入力して駐車場情報記憶部34に記憶させ、駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で第1画像記憶部35に描画する。42は車両が駐車したときの駐車マスの特徴情報の履歴情報を記憶する履歴情報記憶部、43は車両が駐車したときの駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶部に登録して履歴情報を作成する登録部である。
【0015】
44は空きマス経路案内部であり、各空きマスの特徴情報と履歴情報を比較し、今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に一番多く出現する特徴カテゴリを含む空きマスの内、現在地から通路に沿った距離が最短の1つを選別して目的マスを決定し、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して現在地から目的マスまでを通路に沿って最短で結ぶ最適経路を決定する。そして、入口から目的マスまで最適経路に沿って車両を案内するため第1画像記憶部35の駐車場場内地図画像に重ねて最適経路を所定色で太く描画したり、「直進です」、「○○M先左折です」、「○○M先右折です」等の文字と進路を示す矢印から成る進路案内画像を第2画像記憶部36に描画したり、「直進です」、「○○M先左折です」、「○○M先右折です」等の文字列データを音声合成部39へ出力し音声合成により音声信号に変換させたのちスピーカ40へ出力させる。
【0016】
図7は履歴情報記憶部43に記憶される履歴情報の例を示す説明図、図8と図9は車載用ナビゲーション装置の各部の処理を示すフローチャート、図10は目的マス決定方法の説明図、図11〜図17は表示装置38の画面表示例を示す説明図であり、以下、これらの図を参照して上記した実施例の動作を説明する。なお、初め車両は駐車場1から離れた場所に有り、第2画像記憶部36には何も記憶されていないものとする。また、履歴情報記憶部43には、過去に6回駐車したときの駐車マスの特徴情報が登録済であるとする(図7参照)。
駐車場管理装置6は各駐車マスに敷設されたセンサの出力に基づきリアルタイムで空きマスの位置を判別している。
一方、車載用ナビゲーション装置30は電源オン後、制御部41が検出部31から現在位置と現在方位を入力し(図8のステップS10)、地図データ記憶部32に記憶された地図データを用いて現在地周辺の地図画像を現在位置マーク付で第1画像記憶部35に描画する(ステップS11)。第1画像記憶部35に記憶された地図画像は合成部37により読み出され映像信号に変換して表示装置38へ出力されて画面表示される(ステップS12。図11参照)。地図画像からユーザは現在位置と道路や駐車場などとの地理的関係が判る。このあと制御部41は通信インタフェース33を介して駐車場情報が入力されたかチェックし(ステップS13)、NOであればステップS10に戻って同様の処理を繰り返す。
【0017】
路側機5は入庫時間情報、車両識別情報読み出しコマンド、空きマス付き駐車場内地図データ(ここでは、方形の地図領域の駐車場内画像データとし、駐車場内画像の上方向の方位、駐車場内画像の四隅の経緯度座標、縮尺を付属させる)、空きマス毎の位置、空きマス毎の場所上及び駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリ(特徴点)を表す特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報をPUSH配信している。ユーザが図1に示す駐車場1に駐車させるため入口通路RIに入り、入口ゲート4の手前の路側機5の通信エリアに入ると車載用通信装置20が入庫時間情報、車両識別情報読み出しコマンド、駐車場情報を受信し、入庫時間を内蔵メモリ(図示せず)に記憶するとともに駐車場情報を車載用ナビゲーション装置30に出力し、車両識別情報読み出しコマンドに応答して車両識別情報を路側機5へ送信する。このときの駐車場内の駐車済マスと空きマスの状況は図10の如くであったとする。図10において、空きマスはP04、P08、P22、P23、P35〜P37、P41、P52、P56であり、この内、P08、P41は特徴情報に「コーナ近辺」を含み、P22、P23は特徴情報に「店舗入口近辺」を含み、P41、P52は特徴情報に「駐車場出口近辺」を含む(図5参照)。
路側機5から車両識別情報を入力した駐車場管理装置6は入口ゲート装置3に開指令を与え入口ゲート4を開かせる。
【0018】
車載用通信装置20で受信された駐車場情報は、通信インタフェース33を介して制御部41に入力される。駐車場情報を入力した制御部41はステップS13でYESと判断し、駐車場情報を駐車場情報記憶部34に記憶させ(ステップS14)、駐車場内地図画像データに基づき空きマス付きの駐車場内全体の地図画像を上がθの向きになるようにして第1画像記憶部35に描画する(ステップS15。図12参照)。そして、空きマス経路案内部44に対し経路案内指令を与え、該指令を受けた空きマス経路案内部44は、今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報(図5参照)と履歴情報(図7参照)を比較し、任意の空きマスの任意の1つの特徴カテゴリが履歴情報に存在するかチェックする(ステップS16)。ここではYESなので続いて、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に一番多く出現する特徴カテゴリを含む空きマスを選別して候補マスとする。ここでは、図10のP22、P23が該当する。続いて、候補マスの内、通路情報を用いて現在地(ここでは入口)から通路に沿った距離が一番短い1つを目的マスとして決定する(ステップS17)。入口からP22、P23までの距離をLa、Lbとすると、Laが一番短いのでP22が目的マスとなる(図10参照)。次に通路情報を用いて現在地(ここでは入口)から目的マスまでを最短で結ぶ最適経路を決定する(図9のステップS20)。そして、入口から目的マスまで最適経路に沿って車両を案内するため第1画像記憶部35の駐車場内地図画像に重ねて最適経路を所定色で太く描画する(ステップS21)。続いて、制御部41が第1画像記憶部35の地図画像上の現在位置に相当する箇所に現在方位に相当する向きで自車位置マークを描画する(ステップS22。図13参照)。
【0019】
このあと、空きマス経路案内部44が最適経路上の進路変更箇所(図10のH1、H2、H3)と進路変更可能箇所(図10のH0)を進路案内箇所に設定し(ステップS23)、現在位置と最適経路を比較して進路案内箇所の手前一定距離内(例えば10m以内)の位置に来たときを進路案内タイミングとして、進路案内タイミングに成ったか判別し(ステップS24)、YESのとき、進路案内文字と矢印から成る進路案内画像を第2画像記憶部36に描画し、進路案内文字列データを音声合成部39へ出力し音声合成により音声信号に変換させたのちスピーカ40へ出力させる(ステップS25)。最初、図10のH0の手前一定距離内に有るとき、H0での最適経路上の進路は直進なので、「直進です」の文字と直進矢印から成る進路案内画像を第2画像記憶部36に描画し、「直進です」の文字列データを音声合成部39へ出力し音声合成により音声信号に変換させたのちスピーカ40へ出力させる。合成部37は第2画像記憶部36に進路案内画像が描画されると第1画像記憶部35に描画された地図画像の上に第2画像記憶部36に描画された進路案内画像を重ねながら映像信号に変換して表示装置38へ出力し、画面38Aに図14の如く表示させる(ステップS26)。これにより、ユーザは駐車することの多い店舗入口近辺の目的マスの位置と目的マスへの最適経路、最初の進路が判る。なお、進路案内箇所を過ぎたとき目的マス案内部44は今回の進路案内画像を消去し、音声出力も停止させる(ステップS29、S31)。
【0020】
次に、制御部41は現在位置と現在方位を入力し、第1画像記憶部35の地図画像上の自車位置マークを今回入力した現在位置と現在方位に合致する位置及び向きに描画し直し(ステップS27、S28)、空きマス経路案内部44が現在位置と最適経路を比較して車両が今回の進路案内箇所を過ぎたか判別し(ステップS29)、NOであれば目的マスまたは他の空きマスに到達したか判別し(ステップS30)、ここでもNOであればステップS26に進む。その後、ステップS29でYESとなれば第2画像記憶部36の画像を消去し、音声出力も停止させる(ステップS31)。これにより、画面の進路案内画像は一旦消える(ステップS26)。以下、ステップS27〜S29、S30、S26の処理を繰り返す。車両が図10のH1から一定範囲内に来たときも空きマス経路案内部44はステップS24でYESと判断し、「10M先右折です」の文字と右折矢印から成る進路案内画像を第2画像記憶部36に描画し、「10M先右折です」の文字列データを音声合成部39へ出力し音声合成により音声信号に変換させたのちスピーカ40へ出力させる。画面38Aには図15の如く進路案内画像GMが表示される(ステップS25、S26)。同様に、車両が図10のH2、H3から一定範囲内に来たとき、画面38Aには図16、図17の如く進路案内画像GMが表示される。
このようにして、最適経路表示、進路案内文字及び進路矢印表示、進路案内音声出力がなされることでユーザCは良く利用する店舗の入口近辺に有る目的マスへ間違いなく走行して容易に駐車させることができる。
【0021】
車両が目的マスに到達すると、登録部43が今回受信した駐車場情報を参照して今回駐車した駐車マスP22の特徴カテゴリを全て履歴情報記憶部42に追加して登録したあと(ステップS30、S32、図7(2)参照)、車両が目的マスに到達すると、空きマス経路案内部45は経路案内を終え(ステップS32、S35)、制御部41が自車位置マーク付の駐車場内地図画像の描画をする(ステップS37)。ユーザが通常モードへの復帰操作をすると、図8のステップS10に戻る(ステップS36でYES)。若し、ユーザが今回は駐車場出口近辺に駐車したいため、空きマスP52に駐車したとき、登録部43は「駐車場出口近辺」を追加登録する。
なお、図7のステップS16でNOとなったとき、目的マス案内部44は任意の1つの空きマスを目的マスとする(ステップS19)。
【0022】
この実施例によれば、車両が駐車場入口に到達し、駐車場管理装置6から路側機5を通じて配信された空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報が送信されると、車載用通信装置20が受信し、車載用ナビゲーション装置30の駐車場情報記憶部34に記憶される。登録部43は車両が駐車する度に駐車した駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶部42に追加登録して履歴情報を作成しておく。一方、制御部41は今回受信した駐車場情報中の駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で表示させ、空きマス経路案内部44は今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に一番多く出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定し、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して現在地から目的マスまで表示と音声により経路案内を行う。これにより、ユーザが空きマスに対する検索条件の設定操作をしなくても、自動的に過去に良く利用した場所上または駐車条件上の特徴を有する空きマスへ経路案内させることができる。
【0023】
なお、上記した実施例では車載用通信装置は車載用ナビゲーション装置と別体としたが、一体としても良い。
また、空きマス付き駐車場内地図データは駐車場内画像データとしたが、ベクトルデータとしても良い。
また、空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に一番多く出現する特徴カテゴリを含む空きマスを選別し目的マスを決定しているが、履歴情報を場所上の履歴情報と駐車条件上の履歴情報と個別に記録し、両方の履歴情報中に合致するマスを選択するようにしてもよい。また、候補マスの内、現在地から最も近いマスを選択しているが、複数ある候補マスを履歴情報中に出現する他の特徴カテゴリを利用して選択するようにしてもよい。また候補マスを表示させユーザーに選択させるようにしてもよい。選択させる場合は音声での操作が望ましい。
【0024】
また、目的マスと最適経路の決定に用いる通路情報として図2に示すノードリスト、リンクリストを例に挙げたが、駐車場内地図画像の領域を図18の如く縦×横をm×n個の同じ大きさの正方形のブロックa1、a2、・・に分けておき、隣接ブロック間での進行可能な方向を図19の矢印の如く設定し、図20に示す如くブロック毎に、ブロック識別符号、ブロック中心の経緯度座標、通路のブロックか否かを示す通路ブロックフラグ(1;通路、0;非通路)、駐車マスのブロックか否かを示す駐車マスブロックフラグ(1;駐車マス、0;非駐車マス)、出口のブロックか否かを示す出口ブロックフラグ(1;出口、0;非出口)、進行可能な隣接ブロックのブロック識別符号を定義したブロックリストを通路情報として用いることもできる。駐車マスブロックはc4〜c11、h4〜h11、j4〜j11、o4〜o11、q4〜q11、v4〜v11であり、出口ブロックはs1、t1である。
例えば、図18の現在地S−目的マスP22間の最適経路の探索法を簡単に説明すると、まず現在地の存在するスタートブロック(e16)と目的マスP22のブロック(j5)を判別しておき、スタートブロックを起点にして、途中、或るブロックから目的マスブロック以外の駐車マスブロックへは進行不能としながら、目的マスブロックまで進行可能な隣接ブロックを並べたブロック列の内、最短距離のブロック列を最適経路とする(図18の符号DF参照)。
図18〜図20のブロック分割を用いる場合、地下駐車場等でGPS衛星航法による現在地検出ができないときに、自車位置をブロック単位で検出することができる。例えば、GPS衛星航法で最後に検出した経緯度地点Yから車速センサ、ジャイロセンサを用いた自立航法を開始し、単位距離移動する毎に経緯度変化分を計測しYの経緯度に累積加算して現在地の経緯度Zを求める。求めた経緯度Zを各ブロック中心の経緯度と比較し、最も近いブロックを自車位置ブロックとして認識することができる。また、また、駐車場内画像データに付属した四隅の経緯度と縮尺、縦×横のブロック分割数を用いることで現在地の経緯度Zがどのブロックに該当するか認識可能なので、図20のブロック中心経緯度は省略可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、乗用車、バス、トラック等の車載用ナビゲーション装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る駐車場内経路案内システムの構成を示す説明図である(実施例1)。
【図2】通路情報のデータ構成を示す説明図である。
【図3】通路情報の説明図である。
【図4】通路情報の説明図である。
【図5】空きマス毎の特徴情報の説明図である。
【図6】図1の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図5の履歴情報記憶部の記憶内容の説明図である。
【図8】図5の車載用ナビゲーション装置各部の動作処理を示すフローチャートである。
【図9】図5の車載用ナビゲーション装置各部の動作処理を示すフローチャートである。
【図10】図5の空きマス経路案内部による目的マス決定方法の説明図である。
【図11】画面表示例を示す説明図である。
【図12】第1画像記憶部に記憶される画像の説明図である。
【図13】第1画像記憶部に記憶される画像の説明図である。
【図14】画面表示例を示す説明図である。
【図15】画面表示例を示す説明図である。
【図16】画面表示例を示す説明図である。
【図17】画面表示例を示す説明図である。
【図18】通路情報の他の例を示す説明図である。
【図19】通路情報の他の例の説明図である。
【図20】通路情報の他の例のデータ構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 駐車場
5 路側機
6 駐車場管理装置
7 店舗
8 出入口
20 車載用通信装置
30 車載用ナビゲーション装置
31 検出部
32 地図データ記憶部
34 駐車場情報記憶部
35 第1画像記憶部
36 第2画像記憶部
38 表示装置
39 音声合成部
40 スピーカ
41 制御部
42 履歴情報記憶部
43 登録部
44 空きマス経路案内部
P01〜P58 駐車マス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の空きマスを管理し、空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を送出する駐車場管理装置と、駐車場管理装置と接続されて駐車場管理情報を車両側へ配信する通信装置と、駐車場情報を受信する車載用通信装置と、車載用通信装置と接続された車載用ナビゲーション装置とから成り、
車載用ナビゲーション装置は、
車載用通信装置で受信された駐車場情報を記憶する記憶手段と、
駐車する度に駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶手段に登録して履歴情報を作成しておく登録手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
地図画像を表示する表示手段と、
今回受信した駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で描画し、表示手段に表示させる制御手段と、
今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定する決定手段と、
今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまで経路案内を行う経路案内手段とを備えたこと、
を特徴とする駐車場内経路案内システム。
【請求項2】
駐車場の空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を受信する通信手段と、
受信手段で受信された駐車場情報を記憶する記憶手段と、
駐車する度に駐車マスの特徴情報を履歴情報記憶手段に登録して履歴情報を作成しておく登録手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
地図画像を表示する表示手段と、
今回受信した駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で描画し、表示手段に表示させる制御手段と、
今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定する決定手段と、
今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまで経路案内を行う経路案内手段とを備えたこと、
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
駐車場の空きマスを管理し、空きマスを含む駐車場内地図データ、空きマス位置、空きマス毎の場所上または駐車条件上の1または複数の特徴カテゴリを含む特徴情報、駐車場内の通路情報を含む駐車場情報を送出する駐車場管理装置と通信装置を接続し、該通信装置により駐車場管理装置から送出された駐車場情報を車両側へ配信させ、
車両の側では、車載用通信装置で駐車場情報が受信されると記憶手段に記憶し、駐車する度に駐車マスの特徴情報を登録して履歴情報を作成しておき、
今回受信した駐車場内地図データを用いて空きマスを含む駐車場内地図画像を自車位置マーク付で表示するとともに、
今回受信した駐車場情報の空きマス毎の特徴情報と履歴情報を比較し、各空きマスの任意の特徴カテゴリの内、履歴情報中に出現する特徴カテゴリを含む空きマスを1つ選別して目的マスを決定し、今回受信した駐車場情報の空きマス位置と通路情報を参照して入口または現在地から目的マスまで経路案内を行うようにしたこと、
を特徴とする駐車場内経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−285734(P2007−285734A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110325(P2006−110325)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】