説明

高い位置正確性で物体を処理するための装置

装置は半導体ウェハのような物体を正確に制御された位置で処理する。物体(19)は経路に沿って移動可能な作業テーブル(12)上に支持される。作業プラットフォーム(12)に取り付けられた懸架アクチュエータ部(14)は、経路に沿って支持構造上の軟磁素子(34)の表面に面する極を有する軟磁コア(24)と、極を介してコア(24)を通じて流れ、且つ、軟磁素子(34)を介して戻る磁界を発生するために電流を加えるための巻線(20)とを含む。センサ(17)は、位置基準素子(16)に対する懸架アクチュエータ部(14)の測定された位置を感知する。制御回路は、外部制御回路(40)と、内部制御回路(42)とを含む。外部制御回路(40)は、感知結果を受信し、アクチュエータ部(14)の測定された位置を所定値に規制するために、力設定点情報を決定する。内部制御回路(42)は、力設定点情報を受信し、力設定点情報に従って、アクチュエータ部(14)と支持構造(10)との間に力を実現するために、電流を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正確に位置付けられたテーブル上の物体を処理するために荷電粒子ビームを用いる精密機器に関し、テーブルは走査又は段階的動作を行う。本発明は、例えば、リソグラフィ機器のための正確な位置決め機器にも関する。さらに、本発明は、磁気抵抗アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2003/0007140号(Korenaga)は、ウェハ台移動装置を記載している。半導体ウェハの処理中、テーブルの段階的又は走査動作と共に、ウェハを載置するテーブルの極めて正確な位置決めを行うことが必要である。テーブルの位置は周囲の振動から自由でなければならない。これはテーブルの移動及び懸架のための特別な機器を要求する。この目的のために、ローレンツ原理に従って動作するリニアモータが従来用いられてきた。即ち、そのようなモータは、磁界内に移動可能に懸架された巻線と、巻線を通じた電流の適用によって力を発生するための電流源とを有する。一連の永久磁石が巻線の移動する空間内に磁界を発生する。ローレンツ原理に従って磁気ベアリング(磁気浮上)を実現するために、類似の技術を用い得る。ローレンツ原理に基づいた移動制御を用いることの1つの利点は、発生した力が支持構造の振動によって殆ど影響を受けないことである。
【0003】
ローレンツ原理に基づいた動作又は磁気ベアリングの問題の1つは、それが相当な電力損を含むことである。熱効果によって引き起こされる冷却又は変形の必要の故に、直接的あるいは間接的に、派生的な熱は追加的振動のような様々な問題を引き起こす。Korenagaはエネルギー消費を低減するための解決策を記載している。Korenagaは短行程精細位置決め台を移動する長行程リニアモータを用いている。リニアモータの巻線は鉄コアの周りに巻回され、それは動作を発生するための所用電力消費を低減するが、コアはモータの磁石に詰まる傾向があるという事実を被り、それは磁石からの振動がテーブルに伝播され、正確な位置決め制御の実現を困難にするという結果を有する。
【0004】
それにも拘わらず、精密な位置決め台を追加することによって、Korenagaは正確な位置決めを実現する。それもローレンツ原理を用いる小さなアクチュエータを有するが、巻線内に鉄コアを含まない。リニアモータは、短行程アクチュエータが範囲外に行く恐れがあるときに動作を実現するためにのみ用いられる。ローレンツ原理に従って用いられるコア無し巻線は振動を殆ど或いは全く伝播しない。何故ならば、それらは磁界を発生する巻線及び磁石の相対位置に殆ど依存しない力を発生するからである。
【0005】
加えて、Korenagaは短行程アクチュエータと最終テーブルとの間の電磁結合を用いる。電磁結合は中央磁化可能シリンダと数々のE字形状磁気コアとを用いて実現されており、磁界を発生するために、磁気コアは、シリンダに面する脚部と、脚部の周りの巻線とを備える。電磁結合は、テーブル上のリニアモータの加速の影響を補償するために用いられる。位置は精密位置決め台の左側である。よって、磁気コアの目詰まりの影響は何の役割も果たさない。
【0006】
そのような移動システムにおけるローレンツ原理の利用は様々な欠点を有する。Korenagaによって既に記されているように、巻線がコア無しで用いられるならば、熱発生の問題がある。そのような巻線を精密動作のためにのみ用いることによって、この問題はある程度低減される。
【0007】
その上、モータ又はベアリングによって支持されるテーブルに向けられた荷電粒子のビームを用いる映像機器(例えば、電子ビーム書込装置)では、アクチュエータの磁界がビームを混乱させるという追加的な問題がある。機械的伝達がテーブルとモータ又はベアリングとの間に結合された状態で、これはモータ及び磁気ベアリングの配置をビームから大きく離間した位置に強いることが多い。そのような長距離の伝達は位置制御を行い難くにする。巻線内に磁化可能コアを用いることによって、このコアが磁界を局地化する範囲で、この問題も低減され得るが、Korenagaによって示された目詰まり問題はこれを問題のあるものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
荷電粒子のビームに適合し及び/又は殆ど熱を発生しない正確な位置決め機器を備えた装置を提供するのが本発明の目的である。
【0009】
とりわけ、磁気材料がステータ及び変換機構の双方に用いられ且つ振動の伝播が低減されるそのような装置を提供するのが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの特徴に従った装置が請求項1に示されている。この特徴によれば、物体の精密処理の間、処理経路に沿って移動される物体テーブルを懸架するために、磁気抵抗アクチュエータが用いられる。磁気抵抗アクチュエータは、テーブルのための支持構造上の処理経路と平行に延びる受動軟磁対向面を含む。テーブルと接続されて、磁気抵抗アクチュエータは、対向面に面する極を備えた軟磁コアを含む活性部を含む。表面に対して直交する活性部の位置は、コアの周りの巻線を通じる電流によって磁力を発生することによって規制される。
【0011】
巻線を通じる電流は、ネスト化された制御回路内で制御される。外部制御回路では、対向面から機械的に隔離された基準に対する活性部の位置に関する情報が測定され、磁気抵抗アクチュエータによって及ぼされるべき力を示す力設定点情報を計算するために用いられる。力設定点情報は、例えば、力又は力の平方根に比例する数を示し得る。
【0012】
内部制御回路では、力設定点情報は、巻線を通じる電流を制御するために用いられる。内部ループは、外部ループよりも速い応答特性を有し、外部ループの応答速度は機械的要因によって制限される。その結果、目詰まりが防止され、且つ、対向面の振動又は誘発変形は位置に影響を与えないのに加え、それは精密処理のために磁気抵抗アクチュエータを用いることを可能にする。
【0013】
後知恵によって、米国特許第5,814,774号は、円滑な乗り心地を提供するために、制御された力を備えた磁気抵抗アクチュエータが適用されたエレベータを開示し、米国特許第5,387,851号は、エンジン振動がエンジンのベース部部に伝播されるのを防止するために、制御された力を備えた磁気抵抗アクチュエータ用いる潜水艦用のエンジンを開示している。これらの刊行物は、正確に位置付けられた物体テーブルを備える処理機器の技術分野にはないことが明らかである。
【0014】
所要力を保証するレベルに電流を調節するために、極と対向面及び/又は極における磁束との間の間隙距離に関するリアルタイム測定情報が測定されるのが好ましい。しかしながら、たとえ間隙距離が測定されるとしても、力設定点を選択するために用いられず、力設定点を実現するのに必要な電流を調節するだけである。
【0015】
装置の実施態様において、軟磁素子及び磁化可能コアがスロット内に設けられている。スロットはテーブルの移動経路と平行に延びる側壁を有する。磁界をコア及び軟磁素子から遮蔽するために、側壁は高い透磁性を有する。よって、懸架機構は荷電粒子ビーム処理機器により適合させ得る。さらなる実施態様において、テーブル及び支持構造に交互に接続されて、多数の組の側壁が提供され得る。他の実施態様において、側壁はテーブルを処理経路に沿って駆動するために用いられるリニアモータの磁石も遮蔽する。
【0016】
他の実施態様において、消磁磁石は、磁化可能コアの極の近傍に提供され、且つ、経路に沿った動作中、極の通過後に軟磁界の残余磁化が低減されるよう配置される。テーブルの後進時及前進時に消磁磁石が極を追うよう、消磁磁石は極の両側に設けられるのが好ましいが、懸架が活性であるときに、もしテーブルが著しい距離に亘って後進しないことが保証されるならば、単一の側部上の消磁磁石で十分であり得る。
【0017】
他の実施態様において、予張力永久磁石がテーブルに接続されて設けられている。予張力永久磁石は、磁化可能コアと平行に或いは磁化可能コアを通じて軟磁素子に働く。よって、電力消費が減少される。
【0018】
とりわけ、磁界強度が低く維持されるべき装置における磁気抵抗アクチュエータの有用性を向上することが本発明の目的である。
【0019】
本発明の特徴によれば、磁気抵抗アクチュエータの活性部は2つの配列の磁化可能指部を備え、それらは受動面に面する活性部の面に噛合した状態で延びて位置する。指部の各配列は独自の磁化可能ベース部を有する。配列の指部のみがベース部に接続され、ベース部は磁化可能戻り経路を介して相互に結合される。電気コイルを用いて、戻り経路に磁界を発生し得る。このようにして、多くの極を有する磁界を小さな空間内に発生し得る。そのような磁界が受動面に沿って移動されると、それはE字又はU字形状コアよりも少ない残余磁化を残す。また、活性部から離間した磁界はより急激に減衰する。指部は相互に対向方向にベース部から延びるのが好ましい。これは所要空間を最小限化する。
【0020】
実施態様において、活性部の組の指部、ベース部及び戻り経路は、磁化可能材料の板から形成される。指部は板の両端部に刻み目(ギザギザ)端部を形成し、両端部の指部が噛合した状態で活性部の面に位置するよう、板は折り曲げられる。よって、活性部を簡単な方法で実現し得る。
【0021】
本発明のこれらの及び他の目的及び有利な特徴を以下の図面を用いてより詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は位置決め機器を備えた荷電粒子ビーム処理装置を示している。この装置は、支持構造10と、基板テーブル12と、活性部14を備えた磁気抵抗アクチュエータ(支持構造は図示されない受動部を提供している)と、基準構造16と、センサ17と、荷電粒子源18と、基板19とを含む。基準のために、X、Y及びZ方向(Z軸は図面の平面に対して直交しているのが表示されている)。テーブル12は、支持構造10に亘るX方向における位置範囲(矢印で表示されている)に亘って移動可能である。単一(X軸)方向の経路に沿った可動性が示されているが、1つ以上の方向(Z軸においても)の経路に従ったテーブル12の可動性も提供され得る。テーブル12と基準構造16との間の距離を測定するために、センサ17が配置されている。活性部14に面する支持構造の部分から区別されているという意味で、また、仮に結合されているならば、好ましくは、フォトリソグラフェ機器における度量衡フレームのためにそれ自体は既知であるような、制振接続を介して結合されることで、基準構造16は支持構造10から機械的に隔離されている。よって、対向面の振動及び変形は基準構造16に実質的に伝達されない(例えば、20%以下及びより好ましくは1%以下)。荷電粒子源18は、テーブル12上の基板19に照準を定められた荷電粒子のビーム18aを生成するために配置されている。
【0023】
図2は活性部14をより詳細に示している。活性部14は、支持構造10の表面方向に向けられた3つの脚部を備えたE字形状の軟磁コア24と、コア24の中央脚部の周りの電流巻線20と、中央脚部と支持構造10の表面との間の間隙内の間隙距離センサ22とを含む。(本明細書において、「軟磁」材料は、磁界の影響下で高磁化を発現する材料であり、磁界が除去されると磁化も実質的に消滅する)。ある特定のセンサに関しては、センサ22を中央脚部と支持構造との間の間隙に配置する必要はないことが理解されるであろう。その代わり、センサのために間隙サイズを増大させる必要のないように、センサ22は脚部の近傍に位置してもよいし、或いは、他の脚部に形成された間隙に位置してもよい。
【0024】
操作時、例えば、基板19への材料の追加又は除去のために、基板19の特性を測定するために、或いは、表面若しくは表面近傍で基板19の材料特性を変化させるために、荷電粒子のビーム18aが基板19上に投射される。テーブル12はビーム18aに対する異なる位置に移動される。活性部14は、支持構造10に対して直交するY軸における制御位置にテーブル12を保持するための懸架部材として用いられる。磁力が活性部14と支持構造10の磁化可能部分との間に及ぼされる。テーブル12は(図示されない何らかの手段によって)Y軸に沿って作用する予張力に晒されるが、それはこの磁力によって補償されることで、テーブル12はY軸における所定位置に維持される。
【0025】
簡潔性のために、テーブル12に下向きの力を及ぼすよう作用する活性部14の実施例が示されているが、他の配置を用いて、上向きの力が実現され得ることが理解されるであろう。活性部14による下向きの力の場合、予張力は勿論上向き方向であるのに対し、活性部14による下向きの力の場合、予張力は下向き方向である等。また、簡潔性のために、1つのアクチュエータのみが示されているが、例えば、テーブル12を所定向きに維持するよう、Y軸方向に他の力を及ぼすために、他のアクチュエータが存在し得ること、及び/又は、例えば、位置及び/又は向きを制御するために、横方向に作用する1つ又はそれ以上のアクチュエータがZ方向に存在し得ることが理解されるであろう。
【0026】
図3は、力を及ぼす目的のために、支持構造の関連面を形成する磁化ストリップ34に面する活性部14のYZ断面を示している。ストリップ34は、起こり得るテーブルのX方向動作の実質的に全範囲に亘ってX軸に沿って延びている。ストリップ34は、高透磁性材料の側壁23と、側壁32を接続する高透磁性材料の底部とを備える遮蔽構造内に取り付けられている。側壁及び底部はストリップ34まで延び、或いは、さらにX軸に延びる。テーブル12がX方向に移動すると、活性部14は側壁32間を移動する。ストリップ34は実質的に非磁性接続を介して側壁32に取り付けられるのが好ましい。
【0027】
閉鎖側壁30が設けられており、閉鎖側壁は底部によって相互に接続され、且つ、テーブル12に取り付けられており、よって、側壁32の頂部は閉鎖側壁30間に包含され、活性部14の磁化可能部分は頂部で閉鎖側壁30及びそれらの接続底部によって囲まれている。閉鎖側壁30及びそれらの接続底部は極めて磁化可能な材料であり、活性部14の磁気可能部分は、実質的に非磁化可能な材料によって、閉鎖側壁30及びそれらの接続底部から分離されている。閉鎖側壁30はコア24の側方脚部を超えてX方向に延びている。
【0028】
閉鎖側壁30及び側壁32は、漂遊磁界を活性部14及びストリップ34から遮蔽する働きをする。テーブル12が支持構造に対し上下に或いは支持構造に沿ってX方向に移動するときに、側壁32の頂端部は閉鎖側壁30間に包含されたままである。その結果、漂遊磁界は実質的に抑制される。1つの実施態様において、支持構造に取り付けられた側壁及びテーブルに取り付けられた側壁の複数の互いに入り込んだ交代が、さらなる遮蔽を実現するために用いられ得る。他の実施態様において、支持構造10に取り付けられた側壁32のみが存在し、閉鎖側壁は存在しない。他の実施態様において、テーブルに取り付けられた閉鎖側壁のみが存在し、支持構造に取り付けられた側壁は存在しない。同様に、1つの実施態様において、テーブル12に取り付けられた側壁は支持構造に取り付けられた側壁の間に位置し得る。側壁の数は所要遮蔽量に依存する。
【0029】
他の実施態様において、テーブル12とコア24との間の接続は、実質的に非磁化可能な首部を有し、首部はコア24よりも狭い。閉鎖側壁30は、閉鎖側壁から内向きに突出する1つ又は複数の頂部を有し、よって、コア24は、首部を通すためのスロットを除いて、上方から部分的に囲まれている。さらに、ストリップ34及びコア24は、ストリップとコアとの間の磁界が側壁と平行して走るよう位置する必要がないことが理解されるであろう。例えば、磁界が側壁に対して直交して走るよう、ストリップ34及びコア24は90°に亘って回転されて設けられてもよい。このようにして、選択的な方向における位置決めが実現され得る。
【0030】
図3aはさらなる実施態様を示しており、そこでは、テーブル12をその主行程方向(X方向)に沿って移動するために、リニアモータが用いられる。それ自体は既知のリニアモータを簡潔に記載する。リニアモータは、支持構造に取り付けられた一組の平行な壁部を含む。側壁間の空間に空間的に交互する方向に磁界を発生するために、交互配列に極化された磁石が壁上に設けられている。テーブル12に接続されたモータ巻線38が壁の間の空間に位置し、電流がモータ巻線を通じて駆動されることで、テーブルを磁界方向の交代方向に移動する。加えて、高磁化可能材料の遮蔽側壁32は、磁石及びそれらの支持構造が遮蔽側壁の間に包含される位置に設けられてもよい。
【0031】
本発明の1つの特徴によれば、リニアモータの側壁は、磁界を磁気抵抗アクチュエータから遮蔽するためにも用いられる。モータ巻線38はコア24とテーブル12との間の接続部に取り付けられるのが好ましい。このようにして、遮蔽側壁32は、リニアモータからの磁界の遮蔽及び磁気抵抗アクチュエータからの磁界の遮蔽の双方のために用いられる(他の種類のアクチュエータ、例えば、ローレンツアクチュエータのからの磁界は同様に遮蔽され得ることが理解されるであろう)。リニアモータの磁石は、実質的に非磁化可能接続を介して、遮蔽側壁に機械的に接続されるのが好ましい。典型的には、ストリップ34は側壁に接続する壁部と平行に取り付けられ、或いは、それは、対向する支持壁部を接続する、磁石36のための磁化可能支持構造の一部であり、或いは、それに取り付けられている。しかし、コア24の脚部の端部が側壁に面するとき、ストリップ34は側壁又は接続壁部にも接続され得る。
【0032】
操作中、テーブル12と支持構造10との間に力を及ぼすために、電流が巻線20を通じて供給され、それは、コア24の中央脚部を通過し、間隙を通じてストリップ34へ、ストリップ34から間隙を通じてコア24の側方部脚部へ、そこから中央脚部へ戻る磁束を発生する。磁束はコア24及びストリップ34の双方に磁化を引き起こし、その結果、力がストリップ34とコア24との間(よって、支持構造10とテーブル12との間)に及ぼされる。この力は誘発された磁化に磁束を乗じたものに比例する。磁束は、コア24の脚部と間隙内のストリップ34との間の距離の合計「d」で割られた、巻線20に供給される電流Iに概ね比例する。磁化は磁束に比例する。その結果、コア24とストリップとの間の力は以下に概ね比例する。
【0033】
【数1】

【0034】
図4は、力を制御するための回路を示している。この回路は、センサ17と、外部制御回路40と、内部制御回路42と、巻線20と、間隙距離センサ22とを含む。センサ17は基準構造16とテーブル12(図示せず)との間の距離を感知し、外部制御回路40に結合された感知信号出力を有する。外部制御回路40は、内部制御回路42の第一入力に結合された力設定点出力を有し、内部制御回路42は間隙距離センサ22の出力に結合された第二入力を有する。内部制御回路42は巻線20に結合された出力を有する。
【0035】
操作時、センサ17は、例えば、干渉技術又は他の任意の精密測定技術を用いて、基準構造16とテーブル12との間の距離を感知する。外部制御回路40は、測定された位置を所要位置と比較する。所要位置は制御コンピュータ(図示せず)によって選択されるのが典型的であるが、外部制御回路40内に局地的に設定された所定値であってもよい。測定距離ymと所要距離yrとの間の差の符号及びサイズに依存して、外部制御回路40は力設定値Fsを選択する。例として、外部制御回路40は、差ym−yrに比例する力設定値Fp又はこの差の低域周波数フィルタリング版を選択し得る。
【0036】
所定力が実現されるよう、内部制御回路42は巻線20を通じる電流を設定する。これは、間隙距離センサ22によって決定された測定間隔距離d及び力設定値の平方根に比例するサイズを備えた(勿論、外部制御回路42はこの平方根に比例する信号の形態の設定点を提供し得る)、次の電流Iを発生するフィードフォワード回路を用いても実現し得る。
【0037】
【数2】

【0038】
ここで、比例定数Cはコア24及びストリップ34等の材料特性に依存する。フィードフォワード回路を用い得る。代替的に、内部制御回路42は、電流Iを選択されたサイズに規制する帰還ループを包含し得る。
【0039】
間隙距離センサ22の代わり(又は追加)として、磁束センサを用い得る。磁束センサは、コア24の脚部とストリップ34との間の間隙に位置するホール効果センサであってよく、交流電流又は含浸コア24の場合には、脚部又は基幹コア24の周りの1つ又はそれ以上のピックアップ巻線であってもよい。コア24とストリップ34との間に及ぼされる力は測定された磁束Bの二乗に比例するが、間隙サイズd(間隙サイズは磁束を通じる力のみに影響を及ぼす)にそれ以上依存しない。
【0040】
図5は、測定磁束値Bが力設定点のための所要値に対応するよう、巻線20を通じる電流を規制するためのセンサ42と局所帰還増幅器54とを備えた内部制御回路42の実施態様を示している。この場合、外部制御回路40は、所要力の平方根を計算し、内部制御回路42の入力52での設定値としてのこの根に比例する信号を供給するのが好ましい。この帰還ループの速度は内部制御回路42の応答速度よりもずっと遅い(もし内部制御回路が帰還ループを含むならば、内部制御回路は位置帰還ループ内に的確に収容されるループを形成する)。内部制御回路42の応答速度は、ストリップ34の振動に起因する間隙の変化及び/又はテーブル12が支持構造10に沿って活性部14を移動するときのストリップ34の高さ変化が、測定された距離のための帰還ループの速度の時間スケールに及ぼされた力に影響を与えないように設定される。有効に、電流の調節速度は、間隙サイズの如何なる顕著な変化よりも速い。内部制御回路42は高速アナログ回路又は帰還回路として実施されるのに対し、外部制御回路40は適切にプログラムされたコンピュータ又は信号プロセッサ(それは他の機能も遂行する)を備えて実施されるのが典型的である。しかしながら、磁束センサを用いてさえも、磁束帰還ループは厳密に必要ではない。巻線20を通じる電流を磁束によって分割することによって、磁束センサは間隙距離センサとして用い得る。結果は間隙距離に比例し、電流を制御するために、フィードフォワードループ内で用いられ得る。
【0041】
最も単純な形態において、制御回路は、基準構造16に対するテーブル12の位置の測定値を用いて、その位置を設定値に規制する力を選択する。しかしながら、より複雑な制御スキームを用いてもよい。例えば、動作中、この力は予測された力に構成され得る。
【0042】
図4aは、より高度な制御システムを示しており、位置設定点発生器44と、位置制御ループ45と、ベアリング設定点発生器46と、フィードフォワード力発生器47と、ベアリング制御ループ48とを含む。位置制御ループ45は、テーブルをX方向に沿って移動するモータ49を駆動し、モータから戻る位置情報或いはテーブルの位置を測定するセンサからの位置情報を受信する。位置制御ループ45は設定点発信機44から設定値を受信する。位置制御ループ45は、テーブルの位置を、設定点発生器44からのX位置設定値に制御する。
【0043】
ベアリング制御ループ48は、図4及び/又は図5に関して記載された回路を包む。ベアリング制御ループ48は、ベアリング設定点発生器46からの設定点と、間隙サイズ測定値及び/又は磁束測定値と、基準構造16に対する位置の測定値とを受信する。ベアリング制御ループ48は、例えば、設定値からの偏差に直線的に比例する力を設定することによって、或いは、例えば、偏差が最大値より上であるとき、所定力に飽和する関数のような任意の他の関数に従って、基準構造16に対する測定位置を設定値に規制するための力を計算する。
【0044】
例えば、基準構造への一定距離に対応する、或いは、集束情報に依存する位置を規制するための帰還ループに依存して、ベアリング設定点発生器46は設定点を選択する。さらなる実施態様では、例えば、基板19上の既知の高さ変化の理由を説明するために、ベアリング設定点発生器は、X位置設定点に依存するベアリング設定点を発生し得る。
【0045】
フィードフォワード発生器47は、モータ49によって駆動される動作中に、テーブルによって経験される慣性に起因する力を計算し、計算された力の値に関する情報をベアリング制御ループ48に供給する。ベアリング制御ループ48は、テーブル位置を規制するために選択された力からこれらの力を減じ、計算された差に従って、及ぼされた力を制御する。よって、動作によって発生した力はベアリング位置制御に影響を与えない。
【0046】
装置は例示によってのみ記載されており、多くの変形が可能であることが理解されよう。例えば、X動作機構に加え、テーブルをZ方向に移動するために、Z動作機構が設けられてもよい。派生的な力は同様に補償され得る。さらに、全体的な力を補償する必要はなくてもよく、或いは、補償は状況に依存する。
【0047】
別々のユニットが図4aに示されているが、実際上、ユニットの全て又は一部は、1つ又は複数のコンピュータ上で動作するコンピュータプログラムとして実施され得る。
【0048】
さらに、単一のアクチュエータが示されているが、実際上、例えば、位置及び多数の自由度における回転を制御するために、より類似の又は他のアクチュエータが存在し得ることが理解されよう。また、動作方向に沿って延びるE形状のコアが示されているが、他の向きもある得ることが理解されよう。
【0049】
図6は活性部14のさらなる実施態様を示している。この実施態様において、コア24よりも支持構造10により大きな間隙を備えて、永久磁石60がコア24の隣でテーブル12上にある。操作時、磁力Fpが永久磁石60と支持構造10との間に及ぼされる。その結果、テーブル12と支持構造10との間に及ぼされるべき全体の力Ptの一部のみが、コア24によって及ぼされる力Feによって提供されなければならない。これは電力消費を低減する。ストリップ34に達する永久磁石からの磁束が主としてコア24を通じて流れ、或いは、コア24の別の部分が永久磁石を介して接続され得るよう、別個の永久磁石を用いる代わりに、この永久磁石をコア24に取り付け得ることも理解されよう。
【0050】
加えて、別個の磁石が用いられるとき、永久磁石60の間隙距離は好ましくは大きく選択されることで、全体的な力に比例して、永久磁石60によって及ぼされる力Fpは、コア24によって及ぼされる力Fe((d(Fp+Fe)/dy)/(Fp+Fe)<(dFe/dy)/Fe))よりも小さな負の剛性(テーブル12と支持構造10との間の距離に対する偏差dFp/dy)を有する。
【0051】
図7は、磁気抵抗アクチュエータを備えた懸架の代替手段を示している。この代替手段では、永久磁石70a,b及び72a,bが支持構造10上に設けられ、永久磁石70a,b及び72a.bの極はテーブル(図示せず)が(X方向に沿って)移動される経路の全長に実質的に沿って延びている。テーブル(図示せず)に取り付けられた巻線74が対向する組の永久磁石70a,b及び72a,bの間のスロットに設けられている。巻線74はテーブル12の広がりよりも少ない範囲に亘って、或いは、少なくともテーブル12の広がりを実質的に越えずに延びており、従って、永久磁石70a,b及び72a,bの広がりの小さな一部分に亘ってのみ延びている。永久磁石70a,b及び72a,bは組でスロットの両側に配置され、Z方向において、スロットの1つの側部からテーブルの移動方向に対し他の横に流れる磁束を発生する。より高い組の磁石70a,b及びより低い組の磁石72a,bの各々によって、相互に反対の極性の磁束がもたらされている。よって、ローレンツアクチュエータが形成され、電流が巻線74を通じて供給されるときに、それはY軸方向の力を及ぼすよう作用する。
【0052】
この構造を磁気抵抗アクチュエータの代替手段として用い得る。ローレンツアクチュエータを用いる利点はその応答が極めて直線的であることであり、それは制御システムの設計を単純化し、それが及ぼす力は振動に対し反応しない。しかしながら、荷電粒子のビームを用いる機器の場合のように、磁気漂遊磁界が問題であるとき、漂遊磁界からの外乱を防止するために遮蔽が必要である。
【0053】
磁気ベアリングは多くの利点を有する。即ち、移動する機械的接触が不要であり(その結果、磨耗又は振動は殆ど或いは全く発生しない)、ベアリング力は極めて正確に制御可能であり、且つ、操作は高真空に適合する等。これらの利点に鑑みると、磁気ベアリングを荷電粒子を用いる映像装置においても用いることが望ましい。しかしながら、この場合には、磁気ベアリングによって発生した磁界が荷電粒子の標的に影響を与え得るという点で、問題が生じる。ローレンツアクチュエータは特にこの影響を受ける。何故ならば、それらは、磁界を発生する永久磁石と、巻線が移動する空間とを含むからである。操作時、磁界問題は、主として、磁気ベアリングを磁界の影響を受け易い装置の領域から空間的に分離することによって解決される。しかしながら、分離が大きければ大きい程、装置の構造はより扱い難くなる。
【0054】
この問題を解消する簡易且つ低電力な磁気ベアリングを実現するために、磁気抵抗ベアリングを用い得る。表面から少し離れて懸架された活性部が表面に沿って移動しなければならない磁気抵抗アクチュエータにおいて、表面は受動的で軟磁化可能であってよいが、非磁化可能な表面であるのが一般的である。磁化は、活性部によって、表面に局部的に引き起こされる。活性部はE字又はU字形状の磁石であるのが典型的であり、受動面に面するN極及びS極と、脚部の1つの周りの磁気コイルとを備える。活性部の外側及び活性部に面する表面の部分に磁界を発生させる必要はない。その結果、受動的且つ常時非磁化の表面が用いられるとき、表面は装置の磁界感知領域に極めて近接して位置し得る。
【0055】
しかしながら、操作時、軟磁化可能表面は不可避的に小さな残余磁界を示す。これは、この種のベアリングの有用性に限界を課す。その上、活性部は、それが少し離れて位置するときでさえも、過度に強力な磁界を発生し得る。
【0056】
とりわけ、磁界強度が低く維持されるべき装置における磁気抵抗アクチュエータの有用性を向上することが本発明の目的である。
【0057】
図8は、磁化可能表面89及び活性部80,82,84,86,87,88を備えた磁気抵抗アクチュエータの他の実施態様の一部を示している。概して、このアクチュエータはE形状コア24を置換し、表面89はストリップ34又は支持構造10の一部である。アクチュエータは例えば磁気ベアリングの一部として機能し、それは活性部及び表面89を表面89(Y方向)に対し直交する方向において相互に所定距離に維持するのに対し、表面89に沿った1つ又はそれ以上の方向(X又はZ方向)における移動の自由を許容する。
【0058】
活性部は、2つの配列の指部80,82と、ベース部84,86と、戻り経路88とを含む。巻線87が戻り経路88の周りに巻回されている。双方の配列の指部80,82は表面89に面する面に位置している。第一配列の指部80は第二配列の指部82と交互になっている。第一配列の指部80は第一ベース部84から延び、第一ベース部は戻り経路88を介して第二ベース部86に接続されている。第二配列の指部82は第二ベース部86から延びている。
【0059】
典型的に、活性部は、軟磁金属の板から開始し、板の相互に正反対の部分に刻み目部を形成し、板を折返すことで、刻み目部を互いに噛合することで構成され得る。
【0060】
操作時、表面89に対し直交する方向(Y方向)に力を発生するために、アクチュエータを用い得る。典型的に、活性部を表面89から離間するよう付勢するよう作用する予張力が実現される(もし活性部が表面より下方であれば、例えば、重力を用いて)。ベース部84,86、戻り経路88、指部80,81及び第一配列の指部80と第二配列の指部82との間の空間を通じて通過する磁界を発生するために、電流が巻線87を通じて供給される。指部80,82の配列間の磁界の一部は表面に達し、活性部と表面89との間に引力を発生するという効果を伴って、磁界はそこで磁化を引き起こす。活性部を表面89から離間するよう移動させる他の力を引力が補償するよう、巻線87を通じる電流が規制されるのが典型的である。
【0061】
この構造の利点は、漂遊電極が低減されることである。表面89の狭いストリップのみが残余磁化を示すので、これは指部の配列方向の双方に沿った動作の場合に当て嵌まるが、各指部からの磁界は極めて小さいので、配列に対して直交する動作の場合にも当て嵌まる。この種類の活性部も、予張力をもたらすための永久磁石を伴い得ることが理解されよう。
【0062】
図9は、一旦コアが動いた後に、対向面(ストリップ34又は表面89)における残余磁化を低減するために、消磁磁石90,92がE字形状コア24に加えられた実施態様を概略的に示している。消磁技術それ自体は既知であり、例えば、コアによって適用される磁界の極性と反対の極性を対向面上の位置に備えるが、実質的にゼロ正味残余磁気が対向面に得られるように小さな強度を備える磁界を対向面の近傍に引き起こすことを含む。図面において、コア24の極(Xで印されている)が沿って位置する線は、テーブルの移動方向(X方向)に対して直交している。第一消磁磁石90の各々は、コア24の一方の側部上の移動方向に沿った各極に隣接して配置されている。第二消磁磁石92の各々はコア24の他方の側部上の移動方向に沿った各極に隣接して配置されている。しかしながら、処理中、テーブル12が1つの方向にのみX方向に沿って相当程度の距離に亘って移動することが保証されるならば、懸架が能動的であるとき、単一の側部上にある消磁磁石で十分であり得る。
【0063】
そのような消磁磁石は図8の噛合コアのためにも用い得ることが理解されよう。この場合、磁石は指部の配列の端部に隣接するいずれの側部上に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】荷電粒子ビーム処理装置を示す概略図である。
【図2】磁気抵抗アクチュエータの一部を示す概略図である。
【図3】遮断構造を示す概略図である。
【図3a】さらなる遮断構造を示す概略図である。
【図4】制御回路を示す概略図である。
【図4a】さらなる制御回路を示す概略図である。
【図5】他の制御回路を示す概略図である。
【図6】追加的磁石を備えた磁気抵抗アクチュエータを示す概略図である。
【図7】長行程ローレンツアクチュエータを備えたベアリングを示す概略図である。
【図8】磁気抵抗アクチュエータの実施例を示す概略図である。
【図9】消磁磁石を備えたアクチュエータを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を正確に制御された位置で処理するための精密位置決め装置であって、
処理されるべき前記物体を支持するための作業プラットフォームと、
該作業プラットフォームに支持をもたらすための支持構造と、
前記作業プラットフォームに取り付けられた懸架アクチュエータ部とを有し、
前記作業プラットフォームは、経路に沿って前記支持構造に対して移動可能であり、
前記支持構造は、前記経路と平行に延びる表面を備える軟磁素子を有し、
前記懸架アクチュエータ部は、前記軟磁素子の表面に面する極を備えた軟磁コアと、前記極を介して前記コアを通じて流れ、且つ、前記軟磁素子を介して戻る次回を発生するために、電流を適用するための巻線とを有し、
当該精密位置決め装置は、
前記軟磁素子から機械的に分離された位置基準素子と、
該位置基準素子に対する懸架アクチュエータ部の測定位置を示す感知結果を生成するためのセンサと、
外部制御回路と内部制御回路とを有する制御回路とをさらに含み、
前記外部制御回路は、前記感知結果を受信し、且つ、アクチュエータ部の測定位置を所定値に規制するための測定力設定点情報を決定し、
前記内部制御回路は、該測定力設定点情報を受信し、且つ、力設定点情報に従って前記アクチュエータ部と前記支持構造との間に力を実現するために電流を制御する、
ことを特徴とする精密位置決め装置。
【請求項2】
前記懸架アクチュエータ部は、前記内部制御回路に結合された磁束センサ及び/又は間隙サイズセンサを有し、前記内部制御回路は、前記力設定点情報に従って前記力を実現するために、感知された磁束又は間隙サイズに依存した電流を適合することを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項3】
磁界遮蔽壁をスロットの両側に有し、前記軟磁素子と前記軟磁コアの前記極とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項4】
第一及び第二の組の前記磁界遮蔽壁を前記スロットの両側に有し、前記第一の組の磁界遮蔽壁は、前記支持構造に取り付けられ、且つ、前記スロットの両側上の前記経路の全長に実質的に沿う前記経路と平行に延び、前記第二の組の磁界遮蔽壁は、前記作業プラットフォームに接続され、且つ、前記スロットの両側上の前記経路の部分と平行に延びていることを特徴とする請求項3に記載の精密位置決め装置。
【請求項5】
前記経路に沿って移動するために前記作業プラットフォームを駆動するためのリニアモータを有し、該リニアモータは、前記作業プラットフォームに取り付けられたモータ巻線と、前記支持構造に取り付けられ、且つ、前記磁界遮蔽壁の間に位置する交互に磁極化された磁石の配列とを有し、前記モータ巻線は、前記磁石の配列の間で、前記作業プラットフォームと前記軟磁コアとの間の接続に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の精密位置決め装置。
【請求項6】
前記移動方向に沿って前記コアを追う少なくとも1つの側で前記コアの近傍に位置する消磁磁石を有し、該消磁磁石は、前記コアからの磁界によって前記軟磁素子内に残された残余磁化を低減するために配置されていることを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項7】
前記コアと平行に或いは前記コアを通じて軟磁素子に作用するよう、前記作業プラットフォームに接続された少なくとも1つの予張力永久磁石を有することを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項8】
前記懸架アクチュエータ部は、第一及び第二配列の磁化可能指部と、第一及び第二磁化可能共通ベース部と、前記第一及び第二ベース部に結合する磁化可能戻り経路とを有し、前記第一及び第二配列の全ての前記指部の各々は、前記第一及び第二ベース部上に取り付けられ、
前記第一及び第二配列の双方の指部は、前記軟磁素子の対向面に面するコア配置の面に位置し、第一配列の指部は、前記面内の前記第二配列の指部と噛合状態で延びて位置し、前記巻線は前記戻り経路の周りに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項9】
前記第一及び第二配列の指部は、前記第一及び第二ベース部から相互に対向方向に延びることを特徴とする請求項8に記載の精密位置決め装置。
【請求項10】
前記第一及び第二配列の双方の前記指部と、前記第一及び第二ベース部と、前記戻り経路は磁化可能材料の板の統合部分であり、前記第一及び第二配列の前記指部は、前記板の相互に正反対部から延びる刻み目部を各々形成し、前記正反対部が前記面に位置するよう、前記板は折り曲げられ、前記反対端部の前記刻み目部が前記面内で相互に噛合して位置することを特徴とする請求項8に記載の精密位置決め装置。
【請求項11】
前記外部制御回路は、前記経路に沿った動作に起因して前記作業プラットフォームによって経験される力に関係する動作を示す情報を受信するための入力を有し、前記外部制御回路は、力に関係する動作のための力設定点を補償することを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項12】
前記作業プラットフォーム上の物体に向けられた電気的荷電粒子のビームを発生するための粒子ビーム源を有することを特徴とする請求項1に記載の精密位置決め装置。
【請求項13】
荷電粒子のビームで物体を処理するための荷電粒子処理装置であって、
処理されるべき前記物体を支持するための作業プラットフォームと、
該作業プラットフォームに支持をもたらすための支持構造と、
前記作業プラットフォームに接続された懸架アクチュエータ部とを有し、
前記作業プラットフォームは、前記支持構造に対して経路に沿って移動可能であり、
前記支持構造は、前記経路と平行に延びる面を有する軟磁素子を有し、
前記懸架アクチュエータ部は、前記軟磁素子の表面に面する極を備えた軟磁コアと、前記極を介して前記コアを通じて流れ、且つ、前記軟磁素子を介して戻る次回を発生するために、電流を適用するための巻線とを有し、
当該荷電粒子処理装置は、
スロットの両側に磁界遮蔽壁をさらに有し、前記軟磁素子と前記軟磁コアの極とは、前記磁界遮蔽壁内に設けられている、
ことを特徴とする荷電粒子処理装置。
【請求項14】
第一及び第二の組の前記磁界遮蔽壁を前記スロットの両側に有し、前記第一の組の磁界遮蔽壁は、前記支持構造に取り付けられ、且つ、前記スロットの両側上の前記経路の全長に実質的に沿う前記経路と平行に延び、前記第二の組の磁界遮蔽壁は、前記作業プラットフォームに接続され、且つ、前記スロットの両側上の前記経路の部分と平行に延びていることを特徴とする請求項13に記載の荷電粒子処理装置。
【請求項15】
前記経路に沿って移動するために前記作業プラットフォームを駆動するためのリニアモータを有し、該リニアモータは、前記作業プラットフォームに取り付けられたモータ巻線と、前記支持構造に取り付けられ、且つ、前記磁界遮蔽壁の間に位置する交互に磁極化された磁石の配列とを有し、前記モータ巻線は、前記磁石の配列の間で、前記作業プラットフォームと前記軟磁コアとの間の接続に設けられていることを特徴とする請求項13に記載の荷電粒子処理装置。
【請求項16】
磁化可能材料の対向面と、
該対向面に対し移動可能に取り付けられ、且つ、磁化可能指部の第一及び第二配列と、該第一及び第二配列の前記指部の全部が各々取り付けられている第一及び第二磁化可能共通ベース部と、前記第一及び第二ベース部に結合された磁化可能戻り経路と、を有する可動部と、
前記戻り経路に沿って磁界を引き起こすよう配置された少なくとも1つの巻線を有する電気コイルとを有し、
前記第一及び第二配列の双方の指部は、前記対向面に面するコア配置の面に位置し、前記第一配列の指部は、前記面において、前記第二配列の指部と噛合した状態で延びて位置する、
ことを特徴とする磁気抵抗アクチュエータを有する装置。
【請求項17】
前記第一及び第二配列の指部は、前記第一及び第二ベース部から相互に対向方向に延びていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第一及び第二配列の双方の前記指部と、前記第一及び第二ベース部と、前記戻り経路は磁化可能材料の板の統合部分であり、前記第一及び第二配列の前記指部は、前記板の相互に正反対部から延びる刻み目部を各々形成し、前記正反対部が前記面に位置するよう、前記板は折り曲げられ、前記反対端部の前記刻み目部が前記面内で相互に噛合して位置することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記活性部の動作後、前記対向面内の前記指部からの磁界によって前記軟磁素子内に残された残余磁化を低減するために、前記対向面に沿った前記移動方向に沿って前記コアを追う少なくとも1つの側で前記コアの近傍に位置する消磁磁石を有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記歯部からの或いは前記歯部を通じた磁界と平行な前記対向面に作用するよう、前記活性部に結合された少なくとも1つの予張力磁石を有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項21】
ビーム空間と、該ビーム空間内に電気的荷電粒子のビームを発生するための粒子源とを有し、前記対向面は前記ビーム空間に隣接して位置することを特徴とする請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−510182(P2006−510182A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560105(P2004−560105)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005935
【国際公開番号】WO2004/055607
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】