説明

高分子微粒球の製造方法及びその方法により製造された高分子微粒球

本発明は高分子微粒球の製造方法及びその方法により製造された高分子微粒球に関するもので、具体的には高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含む乳剤を製造する段階、及び製造された乳剤に塩基又は酸を添加し、水不溶性有機溶媒を乳剤から除去する段階を含む高分子微粒球の製造方法、その方法により製造された高分子微粒球及び前記微粒球を含む薬物伝達用組成物に関するものである。本発明は塩基又は酸を利用して水不溶性有機溶媒を乳剤から除去する新たな高分子微粒球の製造方法、前記製造方法により製造された高分子微粒球及び前記高分子微粒球を含む薬物伝達用組成物を提供する。従って、本発明の製造方法は既存の溶媒蒸発又は溶媒抽出工程とは異なり、少量の水を使用して廃水発生を最小化しながら短時間内に簡便に目的とする薬物含有高分子微粒球を製造するために使用できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子微粒球の製造方法及びその方法により製造された高分子微粒球に関する。具体的には高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含む乳剤を製造する段階、及び製造された乳剤に塩基又は酸を添加して、乳剤から水不溶性有機溶媒を除去する段階を含む高分子微粒球の製造方法、その方法により製造された高分子微粒球及び前記微粒球を含む薬物伝達用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水液剤、懸濁剤及び乳剤のような従来の注射剤形等は筋肉や皮下投与後、速やかに体内で除去されるので、慢性疾患治療時には頻繁な注射投与が必須であった。このような問題を解決するために考案されたマイクロカプセル化(microencapsulation)は、高分子化合物で構成された微粒球(microsphere、以下において微粒球は超微粒球(nanosphere)を含む)剤形に薬物を封入させる製造工程に関するものである。微粒球は普通μm単位の大きさを有し、人体や動物に筋肉又は皮下注射で投与可能で、多様な薬物放出速度を有するように製造することができ、薬物伝達期間を制御することができる。したがって、たった一度の投与だけでも長時間有効な治療薬物濃度を維持することができるとともに、治療に必要な薬物総投与量を極小化することができ、患者の薬物治療順応度を向上させることができる。このため、現在世界中の有名な製薬会社が、薬物含有高分子微粒球製造に多大な関心を示している。
【0003】
マイクロカプセル化による高分子微粒球の製造において、ポリ-d,1-ラクチドコグリコライド(poly-d,1-lactideco-glycolide,PLGA)が高分子化合物として、最も広く使用されている。PLGAは生体内で加水分解されて無毒性のラクト酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)とに変換される生体親和的な高分子化合物である。そこで製薬産業界はPLGAを使用した医薬品剤形の開発に多くの努力を注いでおり、現在市販されるPLGAで作った微粒球製品の例としてリスパダルコンスタ(Risperdal Consta)、サンドスターチン(Sandostatin)LAR、ビビトロール(Vivitrol)、さらに、ルプロンデポト(Luprpn Depot)等が挙げられる。これらの各々は患者に1回注射投与され、リスペリドン(risperidone)、オクトレオチドアセテート(octreotide acetate)、ナルトレキソン(naltrexone)及びルプロライドアセテート(leuprolide acetate)の放出を2週間から4ヶ月まで調節する。
【0004】
このような薬物含有高分子微粒球は通常、メチレンクロライド及びエチルアセテートのような有機溶媒を使用する溶媒蒸発法又は溶媒抽出法により製造される。
【0005】
まず、溶媒蒸発法に対して簡単に説明すれば(米国特許第6,471,996号、第5,985,309号及び第5,271,945号参照)、高分子化合物を溶解させた有機溶媒相に薬物を分散又は溶解後、水のような分散媒で乳化させ、水中油型(O/W,oil-in-water)乳剤を製造し、乳剤に含まれている有機溶媒を分散媒で拡散させ、空気/水界面を通じて有機溶媒を蒸発させることにより、薬物含有高分子微粒球を形成する。この際、有機溶媒の分散媒への拡散を促進するために、減圧、温度上昇、過量の水を使用した有機溶媒抽出等の技法を活用する。PLGA高分子化合物を溶かすために、一般的に使用される分散有機溶媒はメチレンクロライドである。このメチレンクロライドが多様な分子量とラクタイド:グリコライド比を有するPLGA共重合体を容易に溶解させることができ、水溶解度が1.32重量%と低く、水と容易に混ざらないので、水中油型形態の乳剤製造に適しているからである。39.8℃の低い沸点であるため、乳剤液体滴から水に拡散した少量のメチレンクロライド分子等が水と空気界面を通じてよく蒸発する。このような過程が持続的に繰返されると乳剤滴からメチレンクロライドが除去されることにより微粒球が作れる。最後に低い沸点により微粒球に存在する残留メチレンクロライドを乾燥して除去することが極めて容易な長所を有する。
【0006】
このようにメチレンクロライドは強力な揮発性を有し、水とよく混合せず水より遥かに低い沸点を有する等、乳剤を作る為の最適の有機溶媒であるにも拘らず、次のような深刻な問題点を有する:(a)実験的に確認された発癌物質である;(b)大気のオーゾン層を破壊させ、環境毒性を引起こし、このような結果により人体皮膚癌発生を増加させる;(c)米国保健福祉部所属の毒性物質及び疾病担当部署(Agency for Toxic Substaces and Disease Registry)で規定している最も危険な38種の毒性有害物質の内の一つに属する;(d)水溶解度が約1.32重量%と低く、使用された総量のメチレンクロライドの内、ごく一部だけが水に溶解され蒸発されることにより、乳剤滴にあるメチレンクロライドが完全に除去されるには、かなりの時間が所要される。例えば、米国特許第6,884,435号では乳剤からメチレンクロライドを除去する為に、夜通し乳剤を撹拌していて、微粒球製造時間を短縮する為に、反応槽(reactor)の温度を上昇又は減圧条件を導入したりする(米国特許第3,691,090号、第3,891,570号、第6,270,700号、第6,572,894号参照)。
【0007】
一方、薬物含有高分子微粒球の製造に使用される溶媒抽出法は、乳剤滴にある有機溶媒を大量の可溶化溶媒を使用して効果的に抽出する方法である。有機溶媒が乳剤滴から抽出されると、溶解されていた高分子化合物が硬化され、乳剤滴が微粒球に転換される。一般的に、使用される可溶化溶媒は水であるものの、有機溶媒の水溶解度程度が必要とされる水の量に大きな影響を及ぼす。例えば、メチレンクロライドの場合、水溶解度が1.32重量%であるので、極めて大量の水を使用してこそ乳剤にあるメチレンクロライドを抽出することができる。しかしながら、この場合、メチレンクロライドを含む廃水が大量生成され、このような廃水の処理がさらに問題となることから、溶媒抽出法にはメチレンクロライドに比べて水溶解度が高いエチルアセテートが主に使用される。エチルアセテートは水溶解度が8.7重量%に達し、メチレンクロライドに比べて相対的に少量の水でも抽出が可能であり、さらに、非ハロゲン化有機溶媒と言う長所を有する。しかしながら、エチルアセテートの沸点は77℃であり、メチレンクロライドの沸点の39.8℃より遥かに高く、乾燥の際、残留溶媒を除去することが相対的に難しい短所を有する。さらに、特定分子量とラクチド:グリコライド比を有するPLAG高分子化合物がエチルアセテートによく溶けない物性を示す。
【0008】
ここに、米国特許第4,389,840号、第4,530,840号、第6,544,559号、第6,368,632号及び第6,572,894号等は溶媒蒸発法と溶媒抽出法を同時に活用する技術を開示する。つまり、乳剤を作った後、一部有機溶媒は蒸発過程を通じて除去し、残存する有機溶媒は溶媒抽出法を用いて除去する。例えば、米国特許第4,389,840号の場合、薬物とPLGA高分子化合物をメチレンクロライドに溶解させた後、水に乳化させ、水中油型乳剤を製造し、40乃至60重量%のメチレンクロライドを蒸発過程を通じて除去し、残存するメチレンクロライドを多量の水で抽出することにより、微粒球を製造する方法を開示している。
【0009】
しかしながら、これら既存の方法を全て使用された有機溶媒の水溶解度が十分に高くない為、過量の水(有機溶媒の水溶解度×10倍以上)を使用しなければならない。従って、この為、極めて大きい容量の反応槽が必要で、有機溶媒を含有する廃水が多量生成され、廃水処理の為の付帯費用が増加する非効率性の問題に直面するようになる。さらに、微粒球内に残存する有機溶媒を効果的に除去することすら難しいという問題を有する。
【0010】
特に、微粒子に顕著な量の有機溶媒が残留する場合、乾燥途中発生する微粒子が凝集しやすくなる。このため、乾燥後微粒子が個別的に分散されないので注射過程に問題が発生する素地が大きくなり、薬物放出再現性が落ち、さらに、残留溶媒量が許可限界値を越えて規制当局から製品許可を受けることが難しくなるという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここに、本発明者等は前記問題点を解決して簡便に薬物含有高分子微粒球を製造できる方法の研究を重ねる中、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含む乳剤を作った後、塩基又は酸を利用して水に存在する有機溶媒を化学反応により分解して水溶性溶媒に変化させ、乳剤滴にある有機溶媒が水状に継続して拡散するように誘導して分解反応を効果的に誘発させ、このような過程を通じて乳剤滴を微粒球に硬化させることにより、簡便に高分子微粒球を製造し得ることを確認して本発明を完成した。
【0012】
従って、本発明の目的は高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含む乳剤に塩基又は酸を添加して水不溶性有機溶媒を除去する新たな高分子微粒球の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成する為に、本発明は
(a)高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含むO/W(oil-in-water)型、O/O(oil-in-oil)型又はW/O/W(water-in oil-in-water)型乳剤を製造する段階;及び
(b)前記(a)段階で製造した乳剤に塩基又は酸溶液を添加して乳剤から水不溶性有機溶媒を除去する段階を含む高分子微粒球の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の他の目的を達成する為に、本発明は前記製造方法により製造された高分子微粒球を提供する。
【0015】
本発明のさらに他の目的を達成する為に、本発明は高分子微粒球を有効成分として含む薬物伝達用組成物を提供する。
【0016】
以下、本発明の内容をより詳細に説明する。
【0017】
本発明の高分子微粒球製造方法は
(a)高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含む
O/W(oil-in-water)型、O/O(oil-in-oil)型又はW/O/W(water-in oil-in-water)型乳剤を製造する段階;及び
(b)前記(a)段階で製造した乳剤に塩基溶液又は酸を添加して乳剤から水不溶性有機溶媒を除去する段階を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の高分子微粒球製法を段階別に分けて具体的に説明すれば下記の通りである。
(a)段階:乳剤を製造する段階
高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含むO/W(oil-in-water)型、O/O(oil-in-oil)型又はW/O/W(water-in oil-in-water)型乳剤を製造する。
【0019】
乳剤の製造は当業界に公知の一般的な方法が利用でき、より具体的にはO/W(oil-in-water)型、又はO/O(oil-in-oil)型乳剤の製造の為、高分子化合物、薬物及び水溶性有機溶媒を含む分散相を分散溶媒に添加して製造することができる。W/O/W(water-in oil-in-water)型乳剤の製造のためには、薬物が溶けている水溶液を高分子化合物が溶けている水不溶性有機溶媒に乳化させ、W/O(water-in oil)型乳剤を作った後、これを再度分散溶媒に添加してW/O/W(water-in oil-in-water)型乳剤を製造し得る。
【0020】
高分子微粒球の製造のために使用される高分子化合物は、当業界に公知のものであれば制限なく使用し得るものの、好ましくは、ポリラクト酸、ポリラクチド、ポリラクチック−コ−グリコール酸酸、ポリラクチドーコーグリコライド(PLGA)、ポリホスファジン、ポリイミノカーボネート、ポリホスホエステル、ポリアンハイドライド、ポリオルソエステル、ラクト酸とカプロラクトンの共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシバレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアミノ酸、ラクト酸とアミノ酸の共重合体及びこれらの混合物を使用できる。
【0021】
本発明に使用される薬物は親水性薬物と疎水性薬物を全て含み、高分子微粒子に封入できれば制限なく使用し得る。前記薬物は例えば、プロゲステロン(progesterone)、ハロペリドル(haloperidol)、チオチキセン(thiothixene)、オランザピン(olanzapine)、クロザピン(clozapine)、ブロムペリドル(bromperidol)、ピモザイド(pimozide)、リスペリドン(risperidone)、ジプラシドン(zi)、ジアゼプマ(ziprasidone)、 デアゼフマ(diazepma) 、エチルロフラゼペート(ethyl loflazepate)、アルプラゾラム(alprazolam)、ネモナプライド(nemonapride)、フルオキセチン(fluoxetine)、セルトラリン(sertraline)、ベヌラファキシン(venlafaxine)、ドネペジル(donepezil)、タクリン(tacrine)、ガランタミン(galantamine)、リバスチグミン(rivastigmine)、セレギリン(selegiline)、ロピニロール(ropinirole)、ペルゴリド(pergolide)、トリヘキシフェニジル(trihexyphenidyl)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ベンズトロピン(benztropine)、コルキシン(colchicine)、ノルダーゼパム(nordazepam)、エチゾラム(etizolam)、ブロマーゼパム(bromazepam)、クロチアーゼパム(clotiazepam)、メキサゾラム(mexazolum)、ブスピロン(buspirone)、ゴセレリンアセテート(goserelin acetate)、ソマトトロピン(somatotropin)、ルプロライドアセテート(leuprolide acetate)、オクトレオチド(octreotide)、セトロレリクス(cetrorelix)、サンドスタチンアセテート(sandostatin acetate)、ゴナドトロピン(gonadotropin)、フルコナゾル(fluconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、ミゾリビン(mizoribine)、サイクロスポリン(cyclosporin)、タクロリムス(tacrolimus)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、クラドリビン(cladribine)、クロラムブシル(chlorambucil)、トレチノイン(tretinoin)、カルムシチン(carmusitne)、アナグレライド(anagrelide)、ドキソルビシン(doxorubicin)、アナストロゾル(anastrozole)、イダルビシン(idarubicin)、シスプラチン(cisplatin)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、エピルビシン(epirubicin)、レトロゾル(letrozole)、メフロキン(mefloquine)、プリマキン(primaquine)、オキシブチニン(oxybutynin)、トレロジン(tolterodine)、アリルエストレノール(allylestrenol)、ロボスタチン(lovostatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プロバスタチン(provastatin)、アトロバスタチン(atrovastatin)、アレンドロナート(alendronate)、サルカトニン(salcatonin)、ラロキシフェン(raloxifene)、オキサドローロン(oxadrolone)、コンジュゲーチドエストロゲン(conjugated estrogen)、エストラジオール(estradiol)、エストラジオールバレラート(estradiol valerate)、エストラジオールベンゾエート(estradiol benzoate)、エチニルエストラジオール(ethinylestradiol)、エトノゲストレール(etonogestrel)、レボノルゲストレール(levonorgestrel)、チボロン(tibolone)、ピロキシカム(piroxicam)、ノルエチステロン(norethisterone)の場合があり、蛋白質、核酸等のような高分子物質もあり得る。
【0022】
本発明の水不溶性有機溶媒は当業界に公知の高分子微粒球の製造のために使用される高分子化合物を溶解でき、酸や塩基により加水分解され、加水分解産物が全てよく溶ける成分であれば制限なく使用できる。一般的に、アミド(amide)、エステル(ester)、アンハイドライド(anhydride)及びハロゲン酸(halogen acid)構造を有する化合物は酸/塩基により加水分解されるものとしてよく知られている。
【0023】
アンハイドライド構造を有する化合物は、加水分解反応を経て水溶性であるカルボキシ酸が生成され、エステル構造を有する化合物は、水溶性であるカルボキシ酸とアルコールに加水分解される。ハロゲン構造を有する化合物は水溶性であるカルボキシ酸とハロゲン酸(HF,HC1,HBr,HI等)に加水分解される。アミド構造を有する化合物の場合、カルボキシ酸とアミンに加水分解されるので、この時、生成されるアミンが水に溶解される産物である場合、前記アミドは本発明の水不溶性有機溶媒に含まれる。
【0024】
本発明における水不溶性有機溶媒としては、ハロゲン酸(acid halogen)構造を有する化合物、アンハイドライド(anhydride)構造を有する化合物、ホスホリックアンハイドライド(phosphoric anhydride)化合物、エステル構造を有する化合物、カルボキシルエステル(carboxylic esters)化合物、ホスホリックエステル(phosphoric esters)化合物、硫酸エステル化合物、硝酸エステル化合物、硼酸エステル化合物、アミド構造を有する化合物及びカルボキシルアミド(carboxylic amides)化合物を用いることができる。好ましくは、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、プロピルアセテート(propyl acetate)、イソプロピルアセテート(isopropyl acetate)、ブチルアセテート(butyl acetate)、メチルホルメート(methyl formate)、エチルホルメート(ethyl formate)、イソプロピルホルメート(isopropyl formate)、プロピルホルメート(propyl formate)、ブチルホルメート(butyl formate)、メチルダイクロロアセテート(methyl dichloroacetate)、メチルクロロアセテート(methyl chloroacetate)、エチルクロロアセテート(ethyl chloroacetate)、エチルダイクロロアセテート(ethyl dichloroacetate)、メチルフルロアセテート(methyl fluoroacetate)、メチルダイフルロアセテート(methyl difluoroacetate)、エチルフルロアセテート(ethyl fluoroacetate)、エチルダイフルロアセテート(ethyl difluoroacetate)、マレイン酸アンハイドロライド(maleic anhydride)、アセトアンハイドライド(acetic anhydride)、プロピオニックアンハイドライド(propionic anhydride)、ホスホリックアンハイドライド(phosphoric anhydride)、アセトアミド(acetamide)、プロピオンアミド(propionamide)、ブチルアミド(butylamide)及びカルボキシルアミド(carboxyl amide)を用いることができる。
【0025】
より好ましくは、エチルアセテート(ethyl acetate)、メチルアセテート(methyl acetate)、メチルホルメート(methyl formate)、エチルホルメート(ethyl formate)、イソプロピルホルメート(isopropyl formate)、プロピルホルメート(propyl formate)、アセトアンハイドライド(acetic anhydride)又はプロピオニックアンハイドライド(propionic anhydride)を用いることができる。
【0026】
さらに、必要に応じて水不溶性有機溶媒は1種以上の他の有機溶媒が混合された共溶媒を使用することにより、微粒球に封入しようとする薬物の溶解度を調節するか、又は乳剤滴の硬化速度を任意に制御し得る。
【0027】
本発明に使用される分散溶媒は、乳化剤を含有する水性分散溶媒又は非水性分散溶媒を含み、O/W型及びW/O/W型乳剤製造の際には水性分散溶媒が、O/O型乳剤製造の際には非水性分散溶媒が使用される。水性分散溶媒には親水性乳化剤、例えば、ポリビニルアルコール及びポリソルベート(Polysorbate)系(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート85)のような乳化剤を含有する水溶液又はこれの共溶媒を使用することもできる。非水性分散溶媒には親油性乳化剤、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(Glycerin Esters of Fatty acids)、レシチン(lecithin)、のような乳化剤を含有するシリコンオイル、野菜油、トルエン又はキシレンを使用し得る。前記分散溶媒に含有されている乳化剤の濃度は0.05乃至15%(w/v)とすることができる。
【0028】
前記高分子化合物は薬物1重量部を基準に、1乃至500重量部、好ましくは、1乃至50重量部の量で使用することができ、乳剤に含有されている高分子化合物の濃度は3乃至30%(w/v)とすることができる。
【0029】
さらに、前記分散相又はW/O(water-in-oil)型乳剤と分散溶媒の嵩比は1:1-100、好ましくは、1:3-15範囲とすることができる。さらに、薬物が溶解されている水溶液と高分子化合物が溶解されている水不溶性有機溶媒の嵩比は1:1-50、好ましくは、1:2-20範囲とすることができる。
【0030】
(b)段階:乳剤から水不溶性有機溶媒を除去する段階
【0031】
前記(a)段階で製造されたO/W型、W/O/W型又はO/O型乳剤に塩基又は酸溶液を添加して乳剤から水不溶性有機溶媒を除去する段階である。
【0032】
本発明において塩基又は酸溶液を添加して水不溶性有機溶媒を除去する段階は、好ましくは加水分解反応によりなされる。加水分解反応は水が添加されて2種の物質に分解される反応である。エステル構造を有する化合物は、カルボキシ酸とアルコールに加水分解され、アンハイドロライド構造を有する化合物は、カルボキシ酸に加水分解され、アミド構造を有する化合物は、カルボキシ酸とアミンに加水分解され、ハロゲン酸構造を有する化合物は、カルボキシ酸とハロゲン酸(HF,HC1,HBr,HI等)に加水分解される。これを通じて一つの層(例えば、水層(water phase))に少量で拡散されている(又は溶けている)前記水不溶性有機溶媒を水に完全に溶解される水溶性有機溶媒に変換させ、変換された分の水不溶性有機溶媒が水層に拡散できるようにする。このような過程が継続的に進行されて乳剤内の水不溶性有機溶媒が除去され、乳剤滴を微粒球に硬化させることにより、目的とする薬物含有高分子微粒球を製造できる。前記にて乳剤内における水不溶性有機溶媒の除去は水不溶性有機溶媒を完全に又は実質的に(検出されない水準に)無くすばかりでなく、水不溶性有機溶媒を酸又は塩基投入前の初期水準に比べて減少させることを含む。この際、乳剤滴の速やかな硬化によって乳剤滴粒子間の相互作用が抑制されて、凝集することなく目的とする微粒球が得られる。この際、酸は前記反応を触媒し、塩基は反応に消耗される。酸又は塩基が一応添加されるとその量が水不溶性有機溶媒に比べて少ないか又は多くても前記反応が起こるには大きな支障はない。ただ、多過ぎるモル数の酸又は塩基を添加すれば薬物と高分子化合物の安定性に問題があり得るため、適切な量を考慮すべきである。好ましくは、塩基溶液は、水不溶性有機溶媒のモル数と塩基溶液のモル数の比が1:0.1乃至10になるように添加することができ、より好ましくは、1:0.2乃至5、さらに好ましくは、1:0.3乃至3、最も好ましくは、1:0.5乃至1.5になるように添加できる。
【0033】
塩基は好ましくは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム (NH4OH)、水酸化銅 (Cu(OH)2)、及び水酸化鉄 (Fe(OH)3)とすることができる。酸は好ましくは、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、アセト酸 (CH3COOH)、硼酸(H3BO3)及び炭酸(H2CO3)とすることができる。前記塩基又は酸は本明細書において分解試液とも称される。
【0034】
このような本発明の方法により製造された高分子微粒球は0.1乃至3500μm、好ましくは、10乃至 350μmの平均粒経を有し、望みにより多様な重量の薬物を含有できる。
【0035】
このように、本発明の方法によれば、既存の溶媒蒸発又は溶媒抽出工程を必要とせず、少量の水を用いて廃水発生を最小化しながら短時間内に簡便に薬物含有高分子微粒球を製造し得る。
【0036】
さらに、本発明の高分子微粒球は、高分子微粒球に含まれる薬物を効果的に伝達できる。このため、本発明は、製造された高分子微粒球を有効成分として含む薬物伝達用組成物を提供する。
【0037】
本発明の薬物伝達用組成物は、含まれる薬物によって対象疾患が異なることがあり、これは当業者が容易に理解できる。
【0038】
ヌクレオチド及び蛋白質作業については下記の文献を参照することができる。
[Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA(1990)]
【0039】
本発明の一実施例では、酸又は塩基を利用してエチルアセテート、エチルホルメート、プロピルホルメート、イソプロピルホルメートが水相において分解されるか否かをGC分析を通じて調べた。その結果、水相に何等の試液を添加しない場合(Blank)経時に従いエチルアセテート、エチルホルメート、プロピルホルメート、イソプロピルホルメートの一部が水相に少しずつ転移され、水相での濃度が増加され、ついには飽和されてこれ以上水相への転移が進行されないものの、酸又は塩基を添加した場合加水分解されて、加水分解産物であるエタノール濃度が継続して増加することが分った。
【0040】
本発明の他の実施例では酸又は塩基により、プロピオニックアンハイドライドが加水分解されて水相に混合されるか否かを調べた。その結果、酸又は塩基を添加しない場合、0.5%ポビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)に混合されたプロピオニックアンハイドライドは乳剤状態を維持するものの、酸又は塩基が添加された場合、乳剤状態が消え去って明るく透明な一つの相の様子を呈することを確認した。
【0041】
さらに、本発明の他の実施例では、イソプロピルホルメートを利用し、分解試液として塩基を使用し、水不溶性有機溶媒のモル数に比べて少量から大量まで多様なモル数の分解試液を水相に加えて、全ての場合において乳剤滴を速やかに微粒子に硬化させうることを示した。これに比べて水相に分解試液を添加しない場合には、乳剤滴が微粒子に硬化されないので分解試液の使用が微粒子製造に重要であることが分った。
【0042】
さらに、本発明の他の実施例では、プロゲステロン、アナストラゾル、オランザピンをモデル薬物に選定してこれを多様な条件で封入した微粒子を製造して、これの性状、封入率、有機溶媒残留量等を調べた。その結果、それぞれの薬物に対して球形の微粒子がよく製造され、高い封入率を有することが分った。従って、極めて低い水準の有機溶媒残留量を有することが分った。
【0043】
以下に、本発明の図面について記載する。
【0044】
図1はエチルアセテート/水状(aqueous phase)システムを徐々に撹拌した後、経時に伴う水相試料に対するガスクロマトグラフィー(gas chromatography, GC)のクロマトグラムを示す。それぞれ水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2mlと5mlの10MNaOHを添加した場合に観測された結果(EA=エチルアセテート;IS=内部標準物質(internal standard)、EtOH=エタノール)。
【0045】
図2は経時に伴う水相のエタノールとエチルアセテート濃度の変化を示す。(A)2mlと5mlの10MNaOHを使用した場合観測される水相のエタノール濃度、(B)NaOHを使用しなかった場合、及び2mlと5mlの10MNaOHを使用した場合経時に伴う水相のエチルアセテート濃度変化。
【0046】
図3はエチルホルメート/水状システムを徐々に撹拌した後、時間別の水相試料に対するGCクロマトグラムを示す。水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2mlと5mlの10MNaOHを添加した場合に観測された結果(EA=エチルホルメート;IS=内部標準物質 EtOH=エタノール)。
【0047】
図4はエチルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、時間別の水相試料のGCクロマトグラムを示す。水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2mlと6mlの10MNaOHを添加した場合に観測された結果(EF=エチルホルメート;IS=内部標準物質、 EtOH=エタノール)。
【0048】
図5は経時に伴う水相のエタノール濃度の変化を示す。(A)2mlと5mlの10MNaOHを使用時、生成される水相のエタノール濃度、(B)2mlと6mlの10MHClを使用した場合経時に伴い変化する水相のエタノール濃度。
【0049】
図6はプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、それぞれ時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2mlと5mlの10MNaOHを添加した場合に観測された結果(PF=プロピルホルメート;IS=内部標準物質、PrOH=プロパノール)。
【0050】
図7は経時に伴う水相のプロパノール/プロピルホルメート濃度の変化を示す。(A)2mlと5mlの10MNaOHを使用した場合、生成される水相のプロパノール濃度、(B)水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2ml及び 5mlの10MNaOHを使用した場合生成される水相のプロピルホルメート濃度。
【0051】
図8はプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、それぞれ時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2mlと5mlの10M-HClを添加した場合に観測された結果(PF=プロピルホルメート;IS=内部標準物質、PrOH=プロパノール)。
【0052】
図9は経時に伴う水相のプロパノール/プロピルホルメート濃度の変化を示す。(A)2mlと5mlの10MHClを使用した場合、生成される水相のプロパノール濃度、(B)水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2ml及び5mlの10M-HClを使用した場合生成される水相のプロピルホルメート濃度。
【0053】
図10はイソプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2mlと5mlの10M-NaOHを添加した場合に観測された結果(IF=イソプロピルホルメート;IS=内部標準物質)。
【0054】
図11は経時に伴う水相のイソプロパノール/イソプロピルホルメート濃度の変化を示す。(A)2mlと5mlの10MNaOHを使用した場合、生成される水相のイソプロパノール濃度、(B)水相に何等の分解試液を添加しない場合、及び2ml及び6mlの10M-NaOHを使用した場合生成される水相のイソプロピルホルメート濃度。
【0055】
図12はイソプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。水相に2mlと5mlの10M-HClを添加した場合に観測された結果(IF=イソプロピルホルメート;IS=内部標準物質)。
【0056】
図13は経時に伴う水相のイソプロパノール濃度の変化を示す。2ml又は5mlの10MHClを添加した場合、イソプロピルホルメートが分解されてイソプロパノールが形成されたことを示した。
【0057】
図14はプロピオニックアンハイドロライド/水相システムを(A)酸又は塩基を添加せずに、そのまま撹拌した時、(B)濃塩酸2mlを添加して撹拌した時、(C)10M-NaOH3mLを添加して撹拌した時の、経時に伴う乳剤の変化結果の写真。経時に伴い酸又は塩基を添加しない場合、2相を維持するものの酸(B)又は塩基(C)を添加した場合、乳剤状態が消え去り透明な1相の様子を示す。
【0058】
図15はアイソプロピルホルメートを有機溶媒として使用し、分解試液でNaOHを濃度別に使用して製造した7E微粒子の光学顕微鏡写真を示す。図15AはNaOHを添加しないもので(0ml)、図15Bから15Fまでは10MのNaOH 1ml,2ml,3ml,4ml,5mlをそれぞれ添加して製造した7Eの写真である。NaOHを添加しない場合、乳剤滴が凝集されてpolymeric filmが形成されるのが見える。
【0059】
図16はエチルアセテート分解試液でNaOHを用いて製造した7E微粒子の電子顕微鏡写真を示す。(a)と(c)は60mgのプロゲステロンを使用して製造した微粒子の外部及び内部の様子であり、(b)と(d)は250mgのプロゲステロンを使用して製造した微粒子の外部及び内部の様子である。
【0060】
図17はエチルホルメート分解試液でNaOHを用いて製造した7E微粒子の電子顕微鏡写真を示す。(a)と(c)は60mgのプロゲステロンを使用して製造した微粒子の外部及び内部の様子であり、(b)と(d)は250mgのプロゲステロンを使用して製造した微粒子の外部及び内部の様子である。
【0061】
図18は4APLGA0.25gとエチルアセテート分解試液でNaOHを用いて製造した7E微粒子の電子顕微鏡写真を示す。(a)と(c)は60mgのプロゲステロンを使用して製造した微粒子の外部及び内部の様子であり、(b)と(d)は250mgのプロゲステロンを用いて製造した微粒子の外部及び内部の様子である。
【0062】
図19は4APLGA0.25gとエチルホルメート分解試液でNaOHを用いて製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。(a)と(c)は60mgのプロゲステロンを用いて製造した微粒子の外部及び内部の様子であり、(b)と(d)は250mgのプロゲステロンを用いて製造した微粒子の外部及び内部の様子である。
【0063】
図20はイソプロピルホルメート分解試液として10M-NaOHを用いて製造した微粒子の外部形状を表す電子顕微鏡写真を示す。(a),(b),(c),(d),(e)及び(f)の場合において、使用したプロゲステロンの量はそれぞれ0,60,100,160,200及び250mgであった。
【0064】
図21はイソプロピルホルメート分解試液として10M-NaOHを用いて製造した微粒子の内部形状を表す電子顕微鏡写真を示す。(a),(b),(c),(d),(e)及び(f)の場合において、使用したプロゲステロンの量はそれぞれ0,60,100,160,200及び250mgであった。
【0065】
図22はプロピルホルメートを分解溶媒として使用し、分解試液として2mlのHClを用いて製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。(a)0.25gの7E高分子のみを用いて製造した微粒子、(b)0.25gの7E高分子と250mgのプロゲステロンを用いて製造した微粒子。
図23は微粒子サンプルの熱質量分析結果を示す。プロゲステロンを含有した微粒子の場合、揮発性残留有機溶媒の含量は極めて微々たるものであることが分かり、プロゲステロンを含有しない微粒子より少ない含量の残留有機溶媒を有することが示されている。
【0066】
図24はアナストラゾル60mg/7E0.15g/4A0.1gを用い、エチルアセテート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【0067】
図25はアナストラゾル60mg/7E0.15g/4A0.1gを使用し、エチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【0068】
図26はアナストラゾル封入率分析条件下で観測した多様な試料等のHPLCクロマトグラムを示す。(a)テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)と50%アセトニトリル(acetonitrile)水溶液の混合溶液。(b)エチルアセテートを(a)検体にスパイキン(spiking)した溶液。(c)薬物を含有しないブランク(blank)微粒子を実験条件によって処理した濾液。(d)アナストラゾルを含有している微粒子から実験条件よって処理した濾液。(e)50%アセトニトリル水溶液を用いて製造したアナストラゾル標準溶液。2種類の微粒子検体から極少量のエチルアセテートが検出されたこと、及びアナストラゾル変形産物は本実験条件下では生成されないことが示されている。
【0069】
図27はオランザピン60mg/7E0.15g/4A0.1gを使用し、エチルアセテート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【0070】
図28はリスペリドン60mg/4A0.25gを使用し、エチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【0071】
図29はアリピプラゾル40mg/4A0.25gを使用し、エチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、水不溶性有機溶媒を塩基又は酸を利用して乳剤より除去する段階を含む新たな高分子微粒球の製造方法、前記製造方法によって製造された高分子微粒球及び前記高分子微粒球を含む薬物伝達用組成物を提供する。従って、本発明の製造方法は既存の溶媒蒸発又は溶媒抽出を必要とせず、少量の水を使用して廃水発生を最小化しながら短時間内で簡便に目的とする薬物含有高分子微粒球製造に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1はエチルアセテート/水相(aqueous phase)システムを徐々に撹拌した後、経時に伴う水相試料に対するガスクロマトグラフィー(gas chromatography, GC)のクロマトグラムを示す。
図2は経時に伴う水相のエタノールとエチルアセテート濃度の変化を示す。
図3はエチルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後における時間別の水相試料に対するGCクロマトグラムを示す。
図4はエチルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後における時間別の水相試料のGCクロマトグラムを示す。
図5は経時に伴う水相のエタノール濃度の変化を示す。
図6はプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、それぞれ時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。
図7は経時に伴う水相のプロパノール/プロピルホルメート濃度の変化を示す。
図8はプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌させ、それぞれ時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。
図9は経時に伴う水相のプロパノール/プロピルホルメート濃度の変化を示す。
図10はイソプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。
図11は経時に伴う水相のイソプロパノール/イソプロピルホルメート濃度の変化を示す。
図12はイソプロピルホルメート/水相システムを徐々に撹拌した後、時間別に採った水相試料のGCクロマトグラムを示す。
図13は経時に伴う水相のイソプロパノールを濃度の変化を示す。
図14はプロピオニックアンハイドライト/水相システムを(A)酸又は塩基を添加せずにそのまま撹拌した時、(B)濃塩酸2mlを添加して撹拌した時、(C)10M-NaOH3mLを添加して撹拌した時の、経時に伴う乳剤の変化結果の写真である。
図15はアイソプロピルホルメートを有機溶媒として使用し、分解試液としてNaOHを容量別に使用して製造した7E微粒子の光学顕微鏡写真を示す。図15AはNaOHを0ml添加したもので、図15Bから図15Fまでは10MのNaOHを1mlから5mlまで添加して製造した7E写真である。
図16はエチルアセテート分解試液としてNaOHを使用して製造した7E微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図17はエチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した7E微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図18は 4A 0.25gとエチルアセテート分解試液としてNaOHを使用して製造した7E微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図19は 4A 0.25gとエチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図20はイソプロピルホルメート分解試液として10M-NaOHを使用して製造した微粒子の外部形状を表す電子顕微鏡写真を示す。
図21はイソプロピルホルメート分解試液として10M-NaOHを使用して製造した微粒子の内部形状を表す電子顕微鏡写真を示す。
図22はプロピルホルメートを分解溶媒として使用し、分解試液として2mlのHClを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図23は微粒子サンプルの熱質量分析結果を示す。
図24はアナストラゾル60mg/7E0.15g/4A0.1gを使用し、エチルアセテート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図25はアナストラゾル60mg/7E0.15g/4A0.1gを使用し、エチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図26はアナストラゾル封入率分析条件下で観測された多様な試料等のHPLCクロマトグラムを示す。
図27はオランザピン60mg/7E0.15g/4A0.1gを使用し、エチルアセテート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図28はリスペリドン60mg/4A0.25gを使用し、エチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図29はアリピプラゾル40mg/4A0.25gを使用し、エチルホルメート分解試液としてNaOHを使用して製造した微粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0075】
ただし、下記実施例は本発明を例示するものであるのみ、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0076】
<実施例1>
酸又は塩基を利用した有機溶媒(エチルアセテート)除去確認
エチルアセテートが酸又は塩基により分解されて除去されるか否かを確認した。エチルアセテートが酸又は塩基により分解されると、水溶性のエタノールとアセト酸が形成される。これに着目して水溶液の中に溶けているエチルアセテートとエタノールをガスクロマトグラフィー(GC, gas chromatography)方法で定量した。
【0077】
ビーカーに 0.5%ポリビニルアルコール(p0lyvinyl alcohol)水溶液40mlを入れて10M-NaOH又は10M-HCl該当量(対照群の場合未添加、実験群の場合2ml又は5ml添加)を入れてエチルアセテート4mlを器壁に沿って添加した。二つの相が完全に混ざらないように撹拌しながら、3,15,25,35,45,60及び75分内に水状(water phase)からそれぞれ200のサンプルを採りGC分析を行った。
【0078】
GC分析はGC-2010(Shimadzu, Japan)で行い、分析カラムで6%-シアノプロピルペニル-94%-メチルポリシロキサン(6%-cyanoprophlphenyl-94%-methyl polysiloxane)を固定相としたゼブロン(Zebron) ZB-624(Phenomennex,USA)を使用した。イソプロパノールを内部標準物質として、エチルアセテートの分解産物であるエタノールとエチルアセテートの量を測定した。
【0079】
その結果、図1及び図2に示した通り、水相に何等の試液も添加しない場合(Blank)、経時に伴いエチルアセテートの一部が水状に少しずつ転移され、水相に溶けたエチルアセテートの濃度が増加し、ついには一定の濃度に達することが分った。これはつまり水相がエチルアセテートにより飽和されたことを意味し、エチルアセテートが分解されずエタノールは全く水相において検出されないことも確認できた。
【0080】
これとは逆に 10M-NaOHを5mlを添加した場合、エチルアセテートの加水分解産物の内の一つであるエタノールの濃度が継続増加することが分った。これは水相で溶けるエチルアセテートが加水分解され、エタノールとアセト酸ナトリウム(sodium acetate)が形成されるからである。従って、水相で溶けているエチルアセテートはNaOHにより、速やかに分解されるので検出されないことも確認できた。よって、反応終結後には初期の二つの相(two phases)は完全に混ざって一つの相(one phase)に変化することも確認できた。
【0081】
さらに、10M-NaOH2mlを添加した場合には、初期には水相に溶けているエチルアセテートを効果的に分解させてエタノールが生成されるものの、経時後NaOHが全て消費される場合、エタノールの量はこれ以上増加せず、水相に溶けているエチルアセテートが検出されることが分った。
【0082】
<実施例2>
酸又は塩基を利用した有機溶媒(エチルホルメート)除去確認
エチルホルメートが酸又は塩基により分解されて除去されるか否かを確認した。エチルホルメートが酸又は塩基により分解されると、水溶性のエタノールとホルム酸(formic acid)が形成される。これに着目して多様な実験条件下で水溶液中に溶けているエチルホルメートとエタノールを下記のGCクロマトグラフィー方法で定量した。
【0083】
ビーカーに0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlを入れて2又は6mlの10M-NaOH又は10MHClを入れ、(対照群(Blank)の場合未添加)エチルホルメート4mlを器壁に沿って添加した。さらに、二つの相が混ざらないように撹拌しながらエチルホルメートの一部が水相に拡散するようにした。拡散開始後5,10,15,20,30,45及び60分で水相からそれぞれ200のサンプルを採ってGC分析を行った。
【0084】
GC分析はGC-2010(Shimadzu, Japan)で行い、分析カラムで 6%-シアノプロピルペニル-94%-メチルポリシロキサンを固定相としたゼブロン(Zebron)ZB-624(Phenomennex, USA)を使用した。メタノールを内部標準物質として、エチルホルメートの分解産物であるエタノールとエチルホルメートの量を測定した。
【0085】
その結果、図3及び図4に示した通り、何等の試液も添加しない場合、経時に伴い使用したエチルホルメートの一部が水相に少しずつ転移され、水相に存在するエチルホルメートの濃度が増加し、ついには一定の濃度に達することが分った。これは直ぐに水相がエチルホルメートにより飽和されたことを意味し、エチルホルメートが分解されずエタノールは全く水相において検出されないことも確認できた。
【0086】
これとは逆に 10M-NaOHを6mlを添加した場合、エチルホルメートの加水分解産物の内の一つであるエタノールの濃度が継続増加することが分った。これはエチルホルメートが加水分解され、エタノールとホルム酸ナトリウム(sodium formate)が形成されるからである。従って、水相に溶けているエチルホルメートはNaOHにより、速やかに分解されるので検出されないことも確認できた。よって、反応終結後には初期の二つの相(two phases)は完全に混ざって一つの相(one phases)に変化することも確認できた。
【0087】
さらに、10M-NaOH2mlを添加した場合には、初期には水相で溶けるエチルホルメートを効果的に分解させてエタノールが形成されるものの、経時後NaOHが全て消費される場合、エタノールの量はこれ以上増加せず、水相で溶けているエチルホルメートが検出されることが分った。
【0088】
一方、10M-NaOHの代わりに10MHClをエチルホルメート分解試液として用いた場合、図4及び図5Bに示した通り、HClを使用するとNaOHとは別に6mlや2mlを使用しても反応時間を延長すれば、エチルホルメート全てを効果的に分解し得ることを確認できた。これは反応中NaOHは消耗するものの、HClは消耗されず触媒として作用するからである。
【0089】
<実施例3>
酸又は塩基を利用した有機溶媒(プロピルホルメート)除去確
プロピルホルメートが酸又は塩基により分解されて除去されるか否かを確認した。プロピルホルメートが酸又は塩基により分解されると、水溶性のプロパノール(propanol)とホルム酸が形成される。これに着目して水溶液中に溶けているプロピルホルメートとプロパノールをガスクロマトグラフィー方法で定量した。
【0090】
ビーカーに0.5%ポリビニルアルコール水溶液40mlを入れて10M-NaOH又は10MHClを該当量(対照群の場合未添加、実験群の場合2ml又は6ml添加)を入れ、プロピルホルメート4mlを器壁に沿って添加した。さらに、二つの相が混ざらないように撹拌しながら撹拌開始後5,10,15,20,30,45,60,85,120及び160分で水状からそれぞれ200のサンプルを採ってGC分析を行った。
【0091】
GC分析はGC-2010(Shimadzu, Japan)で行い、分析カラムで 6%-シアノプロピルペニル-94%-メチルポリシロキサンを固定相としたゼブロン(Zebron) ZB-624(Phenomennex, USA)を使用した。メタノールを内部標準物質として、プロピルホルメートの分解産物であるプロピルホルメートの量を測定した。
【0092】
その結果、図 6及び図7に示した通り、水相に何等の試液も添加しない場合、経時に伴い使用したプロピルホルメートの一部が水相に少しずつ転移され、水相に存在するプロピルホルメートの濃度が増加し、ついには一定の濃度に達することが分った。これは直ぐに水相のプロピルホルメートにより飽和されたことを意味し、プロピルホルメートが分解されずプロパノールは全く水相において検出されないことも確認できた。
【0093】
これとは逆に10M-NaOHを5mlを添加した場合、プロピルホルメートの加水分解産物の内の一つであるエタノールの濃度が継続増加することが分った。これはプロピルホルメートが加水分解され、プロパノールとホルム酸ナトリウム(sodium formate)が形成されるからである。従って、水相に溶けているプロピルホルメートは、NaOHにより速やかに分解されるので検出されないことも確認できた。よって、反応終結後には初期の二つの相(two phases)は完全に混ざって一つの相(one phases)に変化することも確認できた。
【0094】
さらに、10M-NaOH2mlを添加した場合には、初期には水相に溶けるプロピルホルメートを効果的に分解させてプロパノールが形成されるものの、経時後NaOHが全て消費される場合、プロパノールの量はこれ以上増加せず、水相に溶けているプロピルホルメートが検出されることが分った。
【0095】
一方、10M-NaOHの代わりに10MHClをプロピルホルメート分解試液として用いた場合、図8及び図9に示した通り、HClを使用するとNaOHとは別に6mlや2mlを使用しても反応時間を延長すれば、プロピルホルメート全てを効果的に分解し得ることを確認できた。これは反応中NaOHは消耗するものの、HClは消耗されず触媒として作用するからである。
【0096】
<実施例4>
酸又は塩基を利用した有機溶媒(イソプロピルホルメート)除去確認
イソプロピルホルメートが酸又は塩基により分解されて除去されるか否かを確認した。イソプロピルホルメートが酸又は塩基により分解されると、水溶性のイソプロパノールとホルム酸が形成される。これに着目して水溶液中に溶けているイソプロピルホルメートとイソプロパノールをガスクロマトグラフィー方法で定量した。
【0097】
ビーカーに0.5%ポリビニルアルコール水溶液40mlを入れて10M-NaOH又は10MHClを該当量(対照群の場合未添加、実験群の場合2ml又は5ml添加)を入れ、4mlのイソプロピルホルメートを添加した。二つの相が完全に混ざらないように撹拌しながら3,15,25,35,45,60,75,90,120,150及び180分で水状からそれぞれ200のサンプルを採ってGC分析を行った。
【0098】
GC分析はGC-2010(Shimadzu,Japan)で行い、分析カラムで6%-シアノプロピルペニル-94%-メチルポリシロキサンを固定相としたゼブロン(Zebron)ZB-624(Phenomennex,USA)を使用した。メタノールを内部標準物質として、イソプロピルホルメートの分解産物であるイソプロパノールの量を測定した。
【0099】
その結果、図10及び図11に示した通り、水相に何等の試液も添加しない場合、経時に伴い使用したイソプロピルホルメートの一部が水相に少しずつ転移され、水相に存在するイソプロピルホルメートの濃度が増加し、ついには一定の濃度に達することが分った。これは直ちに水相のイソプロピルホルメートにより飽和されたことを意味し、イソプロピルホルメートが分解されずイソプロパノールは全く水相において検出されないことも確認できた。
【0100】
これとは逆に10M-NaOHを5ml添加した場合、イソプロピルホルメートの加水分解産物中の一つであるイソプロパノールの濃度が継続増加することが分った。これはイソプロピルホルメートが加水分解され、イソプロパノールとホルム酸ナトリウム(sodium formate)が形成されるからである。従って、水相に溶けているイソプロピルホルメートはNaOHにより、速やかに分解されるので検出されないことも確認できた。よって、反応終結後には初期の二つの相(two phases)は完全に混ざって一つの相(one phases)に変化することも確認できた。
【0101】
さらに、10M-NaOH2mlを添加した場合には、初期には水相に溶けるイソプロピルホルメートを効果的に分解させてイソプロパノールが形成されるものの、経時後NaOHが全て消費される場合、イソプロパノールの量はこれ以上増加せず、水相に溶けているイソプロピルホルメートが検出されることが分った。
【0102】
一方、10M-NaOHの代わりに10MHClをイソプロピルホルメート分解試液として用いた場合、図12及び図13に示した通り、HClを使用するとNaOHとは別に6mlや2mlを使用しても反応時間を延長すれば、イソプロピルホルメート全てを効果的に分解し得ることを確認できた。これは反応中NaOHは消耗するものの、HClは消耗されず触媒として作用するからである。
【0103】
<実施例5>
酸又は塩基を利用した有機溶媒(プロピオニックアンハイドライド)除去確認
プロピオニックアンハイドライド(Propionic anhydride)が酸又は塩基により分解されて除去されるか否かを確認した。
【0104】
プロピオニックアンハイドライドが酸又は塩基により分解されると、水溶性のプロピオニック酸(Propionic acid)が形成される。これに着目して初期の二つの相(two phase)が反応終結後完全に混ざって一つの相に(one phase)に変化するかを確認した。
【0105】
ビーカーに0.5%ポリビニルアルコール水溶液40mlを入れて3mLの10M-NaOH(又は2mlの濃塩酸)を添加し、撹拌器の撹拌速度を550rpmに設定した。ここに4mLプロピオニックアンハイドライドを添加した後、時間に伴う相(phase)の変化を観察した。対照実験(control experiment)では、NaOHやHClを添加せずに、4mLのプロピオニックアンハイドライドを40mLの0.5%ポリビニルアルコール水溶液で乳化させた後、相の変化を観察した。
【0106】
その結果、図14に示した通り、酸又は塩基を添加しない場合には、撹拌後20分が経過しても乳剤状態が維持され、かすんだ状態(実際では二つの相)で観察された。つまり、水状は使用したプロピオニックアンハイドライドの一部により容易に飽和され、残りのプロピオニックアンハイドライドは分散相の乳剤滴に継続存在していることを証明している。しかしながら、酸又は塩基を添加した場合には、全て20分以内に乳剤状態は消え去り、明るく透明な一つの相の様子を示した。このような結果は直ちに酸又は塩基により水不溶性のプロピオニックアンハイドライドが水溶性のプロピオニックに完全に変化したことを証明している。
【0107】
<実施例6>
有機溶媒を分解する分解試液の量に伴う微粒子硬化
本実施例6乃至12に使用した高分子化合物はポリ-d,1-ラクチド−コ−グリコリド(poly-d,l-lactide-co-glycolide, PLGA)であり、具体的には、PLGA75:25(i.v.=0.70 dL/g in CHCl3 部分中略字を使用する際は7Eで表現)PLGA50:50 (i.v.=0.46dL/g in CHCl3 部分中略字を使用する際は4Aで表現)、及びPLGA50:50 (i.v.= 0.18dL/g in CHCl3 部分中略字を使用する際は2Aで表現)を使用した。
【0108】
有機溶媒アイソプロピルホルメート(isopropyl formate)4mLに0.25gの7Eを完全に溶かした。本分散相を0.5ポリビニルアルコール水溶液40mLが入れてあるビーカーに入れて撹拌器で乳化させた。本乳剤に0,1,2,3,4,及び5mLの10M-NaOHを添加した後、15分間撹拌した。以降、サンプルの一部を採ってスライドガラス(glass slide)の上に乗せ光学顕微鏡で観察した。
【0109】
その結果、図15に示した通り、有機溶媒としてアイソプロピルホルメートを使用した場合、NaOHを添加しないと15分間撹拌しても乳剤滴は液体状態そのまま存在した。そこで、撹拌を止めて光学顕微鏡を写すために、スライドガラス(glass slide)の上にサンプルを乗せたとき、乳剤滴は互いに凝集され(coalesced)微粒子でないフィルム状の凝集体(aggregates)になった。しかしながら、1mLの10M-NaOHを添加した場合には乳剤滴の凝集現象が防止されることを確認した。2mL乃至5mLのNaOHを添加した場合にも乳剤滴等の凝集現象を効果的に防止することができた。
【0110】
<実施例7>
プロゲステロンを封入した微粒子の製造
<7−1>エチルアセテート又はエチルホルメートを使用したプロゲステロンを封入した微粒子の製造
0.25gの7E又は4Aを4mlのエチルアセテートに入れて溶かした。ここに、多様な含量のプロゲステロン(progesterone)(60又は250mg)を入れて溶かした分散相を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌させ、o/w(oil-in-water)型の乳剤を製造した。以降、乳剤に10M-NaOH5mlを入れて30分間反応させ、蒸留水40mlを入れて撹拌後濾過して微粒子を回収した。本微粒子を0.5%PVA溶液16mlに再分散させて、蒸留水で総80mlにして撹拌させた。濾過後微粒子を真空乾燥機で一夜乾燥させた。
【0111】
従って、エチルホルメートの場合、エチルアセテートの代わりにエチルホルメートを使用したこと及び分解試液として6mlの10M-NaOH又は5mlの10M-NaOHを使用したことを除いては、前記方法と同一にしてプロゲステロンが封入された微粒子を製造した。
【0112】
その結果、図16,図17,図18及び図19に示した通り、それぞれのプロゲステロンが封入された球形の微粒子がよく製造されることが分った。エチルアセテートとエチルホルメートを有機溶媒として使用したとき、微粒子の内部及び外部形状は互いに類似していた。7E高分子を使用したときには、プロゲステロンの量に関係なく微粒子の外部は薬物クリスタルが見えない滑らかな形状を示した。
【0113】
<7−2>プロゲステロンの封入率の分析
前記実施例<7−1>で製造した微粒子の一部を正確に秤量した後、テトラハイドロフラン(tetrahydrofuran)4mlに溶かして、メタノールで6倍に希釈してフィルターで濾過してPLGA沈殿物を除去した。濾液の一部 (20μl)をHPCL(Shimadzu)LC-20AD,Luna 5m C18(2)カラム)に注入してプロゲステロンの濃度を測定した。下記の式を使用して薬物の理論負荷量(%)と実際負荷量(%)を求めてその百分率(%)で定義した。
【0114】
薬物の理論負荷量(%)=(使用した薬物重量(mg)/使用したPLGA重量(mg)+使用した薬物重量(mg))×100
【0115】
薬物の実際負荷量(%)=(微粒子に封入された薬物重量(mg)/封入率測定のために使用した微粒子の)重量(mg))×100

【0116】
薬物封入率(%)=(薬物の実際負荷量(%)/薬物の理論負荷量(%))×100
【0117】
その結果、下記表1(エチルアセテート)と表2(エチルホルメート)に示した通り、使用した大部分のプロゲステロンが微粒子に封入されたことが分った。使用した有機溶媒の種類はプロゲステロンの封入率に顕著な差を誘発しなかった。さらに、エチルホルメートを使用した場合、10M-NaOHや10MHClは類似した封入率を示した。それぞれの実験に対して全ての場合、培地再現性が観測され培地別封入率は一定したことが分った。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
<7−3>プロピルホルメート又はイソプロピルホルメートを使用したプロゲステロンを封入した微粒子製造
7E 0.25gをイソプロピルホルメート又はプロピルホルメート4mlを入れて溶かした。ここにそれぞれの含量によって、60乃至250mgのプロゲステロンを溶かして分散相を作った。この溶液を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌した。本 o/w(oil-in-water)乳剤に10M-NaOH4mlを入れて30分間反応させ、蒸留水40mlを入れて撹拌した後、濾過して微粒子を回収した。本微粒子を0.5%PVA水溶液16mlに再分散させ、蒸留水で総80mlにして撹拌した。以降、濾過して微粒子を真空乾燥機で乾燥した。
【0121】
その結果、図20,図21及び図22に示した通り、イソプロピルホルメート又はプロピルホルメートを使用した場合、プロゲステロンが封入された球形の微粒子がよく製造されたことが分った。
【0122】
<7−4>プロゲステロンの封入率の分析
前記実施例<7−3>で製造したそれぞれの微粒子に対して前記実施例<7−2>の方法によりプロゲステロンの封入率を分析した。
【0123】
その結果、表3(プロピルホルメート)及び表4(イソプロピルホルメート)に示した通り、使用した大部分のプロゲステロンが微粒子に封入されていることが分った。使用した有機溶媒種類及びプロゲステロンの量はプロゲステロンの封入率に顕著な差を誘発しなかった。
【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
<7−5>微粒子に存在する有機溶媒の残留量測定
微粒子に存在する有機溶媒の残留量を測定するために、前記実施例<7−3>でイソプロピルホルメートを有機溶媒として使用して製造した微粒子を真空状態で3日間保管した後、微粒子に存在するイソプロピルホルメートの残留量を測定した。
【0127】
微粒子検体一定量(約30mg内外)を正確に秤量して2mlのメチレンクロライド(methylene chloride)に完全に溶かした。これをブタノールを使用して5倍に希釈して沈殿したPLGAを濾過、除去した。濾液に含まれたイソプロピルホルメートの濃度を前記実施例4に記載した方法によりGC分析で測定した。
【0128】
その結果、下記表5に示した通り、本発明で製造した微粒子は極めて低い水準のイソプロピルホルメート残留量を示した。このような結果から本微粒子製造方法は乳剤滴から水状に転移されたイソプロピルホルメートを効果的に分解させ除去することにより、乳剤滴から水状にイソプロピルホルメートが継続的に転移され除去されることで、有機溶媒除去に卓越な効能があることが分かる。さらに、残留溶媒の量は微粒子に封入されるプロゲステロンの薬物(使用)量に反比例することが分った。
【0129】
【表5】

【0130】
<7−6>微粒子の熱質量分析
微粒子の熱質量分析のために、前記実施例<7−3>で製造した微粒子(イソプロピルホルメート、0.25g 7E,250mgのプロゲステロン使用)及びプロゲステロンを含有しない微粒子を検体にして、熱質量分析器(TGA 2050)を利用して分析した。この際、パージガス(purge gas)として窒素ガスを使用し、温度を分当たり10℃ずつ上昇させながら微粒子の重さ変化を自動的に記録した。
【0131】
その結果、図23に示した通り、プロゲステロンと薬物が分解される前までの温度と見なし得る150℃までにおいて、プロゲステロンを含有していない微粒子検体の重さの減損は3.74%であった。これに対して250mgのプロゲステロンを含む微粒子の150℃までにおける重さの減損は0.75%にすぎなかった。このような結果は前述したGCを活用した微粒子内のイソプロピルホルメート残留量データと類似した傾向を示している。結論的に本製造工程を通じて微粒子を製造した際、乳剤滴から使用した有機溶媒が効果的に除去され、微粒子に残留する有機溶媒の量が微々たるものであることが分った。
【0132】
<実施例8>
アナストラゾールを封入した微粒子製造
<8−1>エチルアセテート又はエチルホルメートを使用したアナストラゾールを封入した微粒子の製造
7E,4A及び2A高分子をエチルアセテート4mlを入れてそれぞれ溶かした、ここにアナストラゾール(anastrazole)60mgを溶かして分散相を作った。この溶液を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌した。本 o/w(oil-in-warew)乳剤に10M-NaOH5mlをいれて反応させ、蒸留水40mlを入れて撹拌した後、濾過して微粒子を回収した。本微粒子を0.5% PVA水溶液16mlに再分散させて蒸留水で総80mlにして撹拌した。濾過後微粒子を真空乾燥機で一夜乾燥させた。
【0133】
従って、エチルアセテートの代わりにエチルホルメートを使用したこと及び10M-NaOH添加量を6mlにしたことを除いては、前記方法と同一にエチルホルメートを利用した微粒子を製造した。
【0134】
その結果、図24及び図25に示した通り、本発明の方法により球形の微粒子がよく製造されたことが分った。
【0135】
<8−2>アナストラゾール封入率測定
前記<8−1>で製造した微粒子に対して封入率を下記の通り測定した。前記<8−1>で製造した微粒子の一部を正確に秤量した後、4mlのテトラハイドロフラン(tetrahydrofuran)に完全に溶かした。50%アセトニトリル(acetonitrile)を使用して6倍に希釈して、0.45μm注射器フィルターを使用してPLGA沈殿物を除去した。濾液の一部(20μl)をHPLC(Shimadzu LC-20AD)に注入してアナストラゾール濃度を測定した。この時、分析カラムとしてはLuna 5m C18(2)を使用した。薬物の封入率(%)は前記実施例<7−2>の式で算出した。
【0136】
その結果、下記表6に示した通り、本発明の方法により製造された微粒子はアナストラゾールに対して高い水準の封入率を示し、配置別に類似した封入率を観察できて配置再現性を確認することができた。さらに、アナストラゾールの場合、封入率の面でエチルホルメートを使用した時、エチルアセテートを使用した時より若干低い封入率を示した。
【0137】
【表6】

【0138】
<8−3>アナストラゾールHPLCクロマトグラム分析
前記実施例<8−1>でエチルアセテート/PLGA75:25/NaOHを使用して微粒子を製造した時、微粒子製造工程途中アナストラゾール分解産物薬物や、変形物が生成されるか否かを間接的に判断するために、種々の試料(基本製造方法は実施例<8−1>参照)を作りそれらのクロマトグラムを分析した。
【0139】
その結果、図26に示した通り、アナストラゾールを微粒子に封入させた後、再度回収した時、標準品と同一のアナストラゾールを回収することができ、アナストラゾール分解産物や変形物が生成されないことを確認した。
【0140】
<実施例9>
オランザーピンを封入した微粒子製造
<9−1>エチルアセテートを使用したオランザーピンを封入した微粒子の製造
0.15gの7E及び0.1gの4A又は2Aをエチルアセテート4mlを入れて溶かした。ここにオランザーピン(olanzapine)60mgを溶かして分散相を作った。この溶液を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌した。本 o/w(oil-in-water)乳剤に10M-NaOH5mlを入れて30分間反応させ、蒸留水40mlを入れてさらに撹拌させ、濾過して微粒子を回収した。本微粒子を0.5%PVA溶液16mlに再分散させて蒸留水で総80mlにして撹拌した。濾過後微粒子を真空乾燥機で一夜乾燥させた。
【0141】
その結果、図27に示した通り、本発明の方法により球形の微粒子がよく製造されたことが分った。
【0142】
<9−2>オランザーピン封入率測定
オランザーピンを含有している微粒子の一部を正確に秤量した後、4mlのテトラヒドロフランに完全に溶かした。エタノールを使用して6倍に希釈し、0.45μm注射器フィルターを使用してPLGA沈殿物を除去した。濾液20μlをHPLC(Shimadzu LC-20AD)に注入してオランザーピン濃度を測定した。本実験のため、分析カラムとしてはLuna 5m C18(2)カラムを使用した。薬物の封入率(%)は前記実施例<7−2>の式で算出した。
【0143】
その結果、表7に示した通り、本発明の方法により製造された微粒子はオランザーピンに対して高い水準の封入率を示し、配置別に類似した封入率を観察できて配置再現性を確認することができた。これら4つの配置から算出した封入率は7E/4A剤形の場合、83.5±4.4%であり、7E/2Aの組合わせの場合には79.8±2.7%であった。
【0144】
【表7】

【0145】
<実施例10>
リスペリドンを封入した微粒子製造
<10−1>エチルホルメートを使用したリスペリドンを封入した微粒子の製造
0.25gの4Aをエチルホルメート4mlに入れて溶かした。ここにリスペリドン(risperidone)60mgを溶かして分散相を作った。この溶液を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌した。本o/w(oil-in-water)乳剤に 8M-NaOH 5mlを入れて30分間反応させ、蒸留水40mlを入れてさらに撹拌させ、濾過して微粒子を回収した。本微粒子を0.5%PVA溶液16mlに再分散させて蒸留水で総80mlにして撹拌した。濾過後微粒子を真空乾燥機で一夜乾燥させた。
【0146】
その結果、図28に示した通り、本発明の方法により球形の微粒子がよく製造されたことを分った。
【0147】
<10−2>リスペリドン封入率測定
リスペリドンを含有している微粒子の一部を正確に秤量した後、4mlのテトラヒドロフランに完全に溶かした。エタノールを使用して6倍に希釈した後、濾過してPLGA沈殿物を除去した。濾液20μlをHPLCに注入してリスペリドン濃度を測定した。薬物の封入率(%)は前記実施例<7−2>の式で算出した。
その結果、表8に示した通り、本発明の方法により製造された微粒子はリスペリドンに対して高い水準の封入率を示し、配置別に類似した封入率を観察できて配置再現性を確認することができた。これら3つの配置から算出した封入率は75.0±1.4%であった。
【0148】
【表8】

【0149】
<実施例11>
アリピプラゾールを封入した微粒子製造
<11−1>エチルホルメートを使用したアリピプラゾールを封入した微粒子の製造
0.25gの4Aをエチルホルメート4mlに入れて溶かした。ここにアリピプラゾール40mgを溶かして分散相を作った。この溶液を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌した。本o/w(oil-in-water)乳剤に8M-NaOH 5mlを入れて30分間反応させ、蒸留水40mlを入れてさらに撹拌させ、濾過して微粒子を回収した。本微粒子を0.5%PVA溶液16mlに再分散させて蒸留水で総80mlにして撹拌した。濾過後微粒子を真空乾燥機で一夜乾燥させた。
【0150】
その結果、表29に示した通り、本発明の方法により製造された微粒子がよく製造されることが分った。
【0151】
<11−2>アリピプラゾール封入率測定
アリピプラゾールを含有している微粒子の一部を正確に秤量した後、4mlのテトラヒドロフランに完全に溶かした。エタノールを使用して6倍に希釈した後、濾過してPLGA沈殿物を除去した。濾液20μlをHPLCに注入してアリピプラゾール濃度を測定した。薬物の封入率(%)は前記実施例<7−2>の式で算出した。
【0152】
その結果、表9に示した通り、本発明の方法により製造された微粒子はアリピプラゾールに対して高い水準の封入率を示し、配置別に類似した封入率を観察できて配置再現性を確認することができた。これら3つの配置から算出した封入率は72.3±2.0%であった。
【0153】
【表9】

【0154】
<実施例12>
ドセタキセル、ピロキシカム、リバスチグミン、トルテロジンを封入した微粒子の製造
<12−1>ドセタキセル、ピロキシカム、リバスチグミン、トルテロジンを封入した微粒子の製造
ドセタキセル 50mg、をエチルアセテート4mlに、ピロキシカム50mgをエチルホルメート4mlに、リバスチグミン40μlをエチルアセテート4mlに、トルテロジン40mgエチルホルメートそれぞれ溶かした。ここに0.25gの7Eを溶かして分散相を作った。この溶液を0.5%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液40mlに入れて撹拌した。本o/w(oil-in-water) 乳剤に7M-NaOH 5mlを入れて30分間反応させ、蒸留水40mlを入れてさらに撹拌後、濾過させて微粒子を回収した。本微粒子を0.5%PVA溶液16mlに再分散させて蒸留水で総80mlにして撹拌した。濾過後微粒子を真空乾燥機で一夜乾燥させた。
【0155】
<12−2>ドセタキセル、ピロキシカム、リバスチグミン、トルテロジン封入率測定
それぞれドセタキセル、ピロキシカム、リバスチグミン、トルテロジンを含有して製造された微粒子の一部を正確に秤量した後、4mlのテトラヒドロフランに完全に溶かした。エタノールを使用して6倍に希釈した後、濾過してPLGA沈殿物を除去した。濾液20μlをHPLCに注入して各薬物の濃度を測定した。薬物の封入率は前記実施例<7−2>での式で算出した。
【0156】
その結果、表10に示した通り、本発明の方法により製造された微粒子はそれぞれの薬物に対して高い水準の封入率を示した。
【0157】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0158】
以上説明した通り、本発明は水不溶性有機溶媒を塩基又は酸を利用して乳剤で除去する段階を含む新たな微粒球の製造方法、前記製造方法により製造された高分子微粒球及び高分子微粒球を含む薬物伝達用組成物を提供する。従って、本発明の製造方法は既存の溶媒蒸発又は溶媒抽出工程を必要とせず、少量の水を使用して廃水発生を最小化しながら短時間内に簡便に目的とする薬物含有高分子微粒球製造に使用し得る。


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14(A)】

【図14(B)】

【図14(C)】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)高分子化合物、薬物、水不溶性有機溶媒及び分散溶媒を含むO/W(oil-in-water)型、O/O(oil-in-oil)型又はW/O/W(water-in oil-in-water)型乳剤を製造する段階;及び
(b)前記(a)段階で製造した乳剤に塩基又は酸を添加して乳剤から水不溶性有機溶媒を除去する段階を含む高分子微粒球の製造方法。
【請求項2】
前記高分子化合物がポリラクト酸、ポリラクチド、ポリラクチック−コ−グリコール酸酸、ポリラクチドーコーグリコライド(PLGA)、ポリホスファジン、ポリイミノカーボネート、ポリホスホエステル、ポリアンハイドライド、ポリオルソエステル、ラクト酸とカプロラクトンの共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシバレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアミノ酸、ラクト酸とアミノ酸の共重合体及びこれらの混合物からなる群より選ばれたことを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項3】
前記薬物は、プロゲステロン(progesterone)、ハロペリドル(haloperidol)、チオチキセン(thiothixene)、オランザピン(olanzapine)、クロザピン(clozapine)、ブロムペリドル(bromperidol)、ピモザイド(pimozide)、リスペリドン(risperidone)、ジプラシドン(zi)、ジアゼプマ(ziprasidone)、デアゼフマ(diazepma)、エチルロフラゼペート(ethyl loflazepate)、アルプラゾラム(alprazolam)、ネモナプライド(nemonapride)、フルオキセチン(fluoxetine)、セルトラリン(sertraline)、ベヌラファキシン(venlafaxine)、ドネペジル(donepezil)、タクリン(tacrine)、ガランタミン(galantamine)、リバスチグミン(rivastigmine)、セレギリン(selegiline)、ロピニロール(ropinirole)、ペルゴリド(pergolide)、トリヘキシフェニジル(trihexyphenidyl)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ベンズトロピン(benztropine)、コルキシン(colchicine)、ノルダーゼパム(nordazepam)、エチゾラム(etizolam)、ブロマーゼパム(bromazepam)、クロチアーゼパム(clotiazepam)、メキサゾラム(mexazolum)、ブスピロン(buspirone)、ゴセレリンアセテート(goserelin acetate)、ソマトトロピン(somatotropin)、ルプロライドアセテート(leuprolide acetate)、オクトレオチド(octreotide)、セトロレリクス(cetrorelix)、サンドスタチンアセテート(sandostatin acetate)、ゴナドトロピン(gonadotropin)、フルコナゾル(fluconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、ミゾリビン(mizoribine)、サイクロスポリン(cyclosporin)、タクロリムス(tacrolimus)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、クラドリビン(cladribine)、クロラムブシル(chlorambucil)、トレチノイン(tretinoin)、カルムシチン(carmusitne)、アナグレライド(anagrelide)、ドキソルビシン(doxorubicin)、アナストロゾル(anastrozole)、イダルビシン(idarubicin)、シスプラチン(cisplatin)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ドセタキセル(docetaxel)、パクリタキセル(paclitaxel)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、エピルビシン(epirubicin)、レトロゾル(letrozole)、メフロキン(mefloquine)、プリマキン(primaquine)、オキシブチニン(oxybutynin)、トレロジン(tolterodine)、アリルエストレノール(allylestrenol)、ロボスタチン(lovostatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プロバスタチン(provastatin)、アトロバスタチン(atrovastatin)、アレンドロナート(alendronate)、サルカトニン(salcatonin)、ラロキシフェン(raloxifene)、オキサドローロン(oxadrolone)、コンジュゲーチドエストロゲン(conjugated estrogen)、エストラジオール(estradiol)、エストラジオールバレラート(estradiol valerate)、エストラジオールベンゾエート(estradiol benzoate)、エチニルエストラジオール(ethinylestradiol)、エトノゲストレール(etonogestrel)、レボノルゲストレール(levonorgestrel)、チボロン(tibolone)、ピロキシカム(piroxicam)、ノルエチステロン(norethisterone)からなる群より選ばれた一つ又は二つ以上であることを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項4】
前記水不溶性はハロゲン酸(acid halogen)、アンハイドライド(anhydride)、ホスホリックアンハイドライド(phosphoric anhydride)、エステル、カルボキシルエステル(carboxylic esters)、ホスホリックエステル(phosphoric esters)、硫酸エステル、硝酸エステル、アミド(amide)及びカルボキシルアミド(carboxlic amides)からなる群より選ばれたいずれか一つの構造を有する水不溶性有機溶媒であることを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項5】
前記水不溶性有機溶媒はメチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、プロピルアセテート(propyl acetate)、イソプロピルアセテート(isopropyl acetate)、ブチルアセテート(butyl acetate)、メチルホルメート(methyl formate)、エチルホルメート(ethyl formate)、イソプロピルホルメート(isopropyl formate)、プロピルホルメート(propyl formate)、ブチルホルメート(butyl formate)、メチルダイクロロアセテート(methyl dichloroacetate)、メチルクロロアセテート(methyl chloroacetate)、エチルクロロアセテート(ethyl chloroacetate)、エチルダイクロロアセテート(ethyl dichloroacetate)、メチルフルロアセテート(methyl fluoroacetate)、メチルダイフルロアセテート(methyl difluoroacetate)、エチルフルロアセテート(ethyl fluoroacetate)、エチルダイフルロアセテート(ethyl difluoroacetate)、マレイン酸アンハイドロライド(maleic anhydride)、アセトアンハイドライド(acetic anhydride)、プロピオニックアンハイドライド(propionic anhydride)、ホスホリックアンハイドライド(phosphoric anhydride)、アセトアミド(acetamide)、プロピオンアミド(propionamide)、ブチルアミド(butylamide)及びカルボキシルアミド(carboxyl amide)からなる群より選ばれたことを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項6】
前記分散溶媒がポリビニルアルコール水溶液、ポリソベート系水溶液又はこれの共用媒である水性分散溶媒か、又はグリセリン脂肪酸エステル(Glycerin Esters of Fatty Acids)、レシチン(lecitin)のような乳化剤を含有するシリコンオイル、野菜油、トルエン及びキシレンからなる群より選ばれた非水性分散溶媒であることを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項7】
前記塩基は水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化銅(Cu(OH)2)、水酸化鉄(Fe(OH)3)からなる群より選ばれたことを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項8】
前記酸は塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、酢酸(CH3COOH)、硼酸(H3BO3)及び炭酸(H2CO3)からなる群より選ばれたことを特徴とする第1項記載の高分子微粒球の製造方法。
【請求項9】
第1項乃至第8項の内いずれか一つの項の方法により製造された高分子微粒球。
【請求項10】
第9項の高分子微粒球を有効成分として含む薬物伝達用組成物。



【公表番号】特表2012−508731(P2012−508731A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536249(P2011−536249)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006690
【国際公開番号】WO2010/056065
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511118263)イファ ユニバーシティ−インダストリー コラボレーション ファウンデーション (1)
【出願人】(511117543)エスケー ケミカルス カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】