説明

3次元画像データ生成システムおよび生成方法

【課題】3次元画像データを自動的に合成するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】3次元データ取得装置110は、少なくとも3方向から被写体を撮像する計測ヘッド111を備える。3次元データ合成装置120は、3次元データ取得装置110から送信される画像データから3次元画像データを自動生成する装置であって、画像データを送信させる命令を出力するデータ処理部125と、被写体の背景画像を抽出し、抽出された背景画像に基づいて計測ヘッドの位置を算出するとともに、背景画像を除いた被写体のみの画像を抽出し、抽出された画像をフィルタリング処理して特徴画像を抽出し、複数の特徴画像を比較するマッチング処理を行って特徴画像上の同一座標を定め、算出された計測ヘッドの位置などのパラメータ情報と特徴画像上の同一座標の情報とから3次元画像データを自動的に合成する3次元データ合成手段124とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元画像データ生成システムおよび生成方法に関する。より詳細には、3次元画像データを自動的に合成するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元画像データの対象となる被写体はオープンスペースや限られた部屋の中などで撮影されていた。かかる場合には、撮影に使用するカメラの1つ1つについてキャリブレーションを行った上で、カメラの位置を被写体の方向に合わせて、場合によっては、複数台のカメラを使用して被写体の計測及び撮像をしていた。オープンスペースや限られた部屋の中などで撮像を行うためには、これらの作業を必ず行う必要があった。
【0003】
また、被写体を撮像する際には、被写体にターゲットを貼り、撮像した画像を合成する際に利用できるようにすることも行われていた。「ターゲット」とは、被写体に貼るシールであって、画像合成の作業時に目印として使用されるものである。例えば、図5に示すように、円柱形状の被写体にターゲット501などを貼って、ターゲットとし、被写体の左右からカメラで撮像する。その後、撮像した画像を見比べながら、ターゲット501が貼られている箇所が同一箇所であると見なして、左右の画像を合成する作業を手作業にて行っていた。
【0004】
つまり、このターゲットを貼ることによって、図5に簡略的に示したように、撮像した複数の画像データの中のどの部分とどの部分を隣どうし張り合わせれば良いのかを判断しやすくなり、そのターゲットを含む画像を特徴画像として利用することで、3次元画像データを手動で合成する際の目安として役立てることが行われていた。なお、画像を合成する作業は、作業者がこのターゲットを視覚で判断して手作業で行っていた。
【0005】
一方、3次元画像データを撮影するために、オープンスペースではなく、撮影用の固定された部屋(箱)を用意して、その中に被写体を入れ、効率的に撮影することも知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第3524837号公報
【特許文献2】国際公開第2005/026659号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、オープンスペースであっても、限られた部屋の中であっても、被写体の撮影に使用するカメラをキャリブレーションするという下準備は撮影の度に必要であった。
【0008】
また、従来の3次元画像データ合成の作業は、手作業で行われていたため、被写体にターゲットを貼って合成作業をやり易くする手間も発生していた。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、3次元画像データを自動的に合成するシステムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、相互にネットワークで接続された3次元データ取得装置および3次元データ合成装置を有する3次元画像データ生成システムであって、3次元データ取得装置は、予め形状および寸法が定められ、任意に定められる1つの背景色を壁面、天井、および床に有し、少なくとも3方向から被写体を撮像して被写体の画像データを取得する計測ヘッドであって、被写体の周囲を囲むように3次元データ取得装置内部の任意の位置に固定的に設置される計測ヘッドと、被写体の画像データを格納するメモリとを備え、3次元データ合成装置は、3次元データ取得装置から送信される被写体の画像データを画像処理して3次元画像データを自動生成する装置であって、3次元データ取得装置から3次元データ合成装置に対して被写体の画像データを送信させる命令を出力するデータ処理手段と、被写体の背景画像を抽出し、抽出された背景画像に基づいて計測ヘッドの位置を算出するとともに、併せて背景画像を除いた被写体のみの画像を抽出し、抽出された画像にフィルタリング処理を施した計測画像から特徴画像を抽出し、抽出された複数の特徴画像を比較するマッチング処理を行って複数の特徴画像上の同一座標を定め、算出された計測ヘッドの位置などのパラメータ情報と特徴画像上の同一座標の情報とから3次元画像データを自動的に合成する3次元データ合成手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、画像合成をしやすくするために被写体に対して、縞状パターン、レーザ光、格子パターン、またはランダムドットなどを照射しなくても3次元画像データの合成処理をより精度高く、かつ自動的に実行できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の3次元画像データ生成システムであって、3次元データ取得装置は、パターン照射装置をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の3次元画像データ生成システムであって、パターン照射装置は、縞状パターンを出力することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の3次元画像データ生成システムであって、パターン照射装置は、レーザ光を出力することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の3次元画像データ生成システムであって、パターン照射装置は、格子パターンを出力することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、相互にネットワークで接続された3次元データ取得装置および3次元データ合成装置を有する3次元画像データ生成システムにおいて3次元画像データを自動的に生成する方法であって、(a)3次元データ取得装置内において被写体の周囲を囲むように任意の位置に固定的に設置される少なくとも3つの計測ヘッドが、被写体を撮像して被写体の画像データを取得するステップ(401)と、(b)3次元データ取得装置が、取得された被写体の画像データを3次元データ合成装置に送信するステップ(402)と、(c)3次元データ合成装置内の3次元データ合成手段が、ステップ(b)において3次元データ取得装置から送信された被写体の画像データから被写体を除いた背景のみの画像を抽出するステップ(403)と、(d)3次元データ合成手段が、ステップ(c)において抽出された背景のみの画像に基づいて、計測ヘッドの位置などのパラメータ情報を取得するステップ(404)と、(e)3次元データ合成手段が、ステップ(b)において3次元データ取得装置から送信された被写体の画像データから被写体のみの画像を抽出するステップ(405)と、(f)3次元データ合成手段が、ステップ(e)において抽出された被写体のみの画像をフィルタリング処理し、フィルタリング処理された画像から特徴画像を抽出するステップ(406、407)と、(g)3次元データ合成手段が、ステップ(f)において抽出された複数の特徴画像同士を比較することによって、特徴画像の座標位置の値を求めるステップ(408)と、(h)3次元データ合成手段が、ステップ(d)において特定された計測ヘッドの位置などのパラメータ情報と、ステップ(g)において求められた特徴画像の座標位置の値とを用いて、特徴画像の3次元座標の値を計算するステップ(409)と、(i)3次元データ合成手段が、ステップ(h)において計算された特徴画像の3次元座標の値に基づいて、3次元画像データを合成するステップ(410)とを備えることを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、画像合成をしやすくするために被写体に対して、縞状パターン、レーザ光、格子パターン、またはランダムドットなどを照射しなくても3次元画像データの合成処理をより精度高く、かつ自動的に実行できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の3次元画像データを自動的に生成する方法であって、ステップ(a)は、3次元データ取得装置内のパターン照射装置が、予め定められたパターンを被写体に照射するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の3次元画像データを自動的に生成する方法であって、パターン照射装置は、縞状パターンを出力することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の3次元画像データを自動的に生成する方法であって、パターン照射装置は、レーザ光を出力することを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の3次元画像データを自動的に生成する方法であって、パターン照射装置は、格子パターンを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、画像合成をしやすくするために被写体に対して、縞状パターン、レーザ光、格子パターン、またはランダムドットなどを照射しなくても3次元画像データの合成処理をより精度高く、かつ自動的に実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る3次元画像データ合成システム100の概略を示す構成図である。3次元画像データ合成システム100は、互いにネットワーク130を介して相互に接続される3次元データ取得装置110および3次元データ合成装置120を含む。
【0025】
3次元データ取得装置110は、複数個の計測ヘッド111、複数個の光源112、台113、および被写体114を備える。
【0026】
計測ヘッド111は、被写体を撮像するカメラ111a、撮像した被写体の画像データを格納するメモリ111b、被写体の表面に予め定められたパターン(例えば、レーザ光、縞状パターン、格子パターン、またはランダムドットなど)を照射するパターン照射装置111cを含む。
【0027】
カメラ111aは、被写体の画像データを撮像できるものであれば何でもよく、広く普及している市販のデジタルカメラなどであっても構わないし、携帯電話に内蔵されているカメラであっても構わない。
【0028】
また、メモリ111bは、計測ヘッド111内に存在する構成で図1において説明しているが、カメラ111aに内蔵されても構わないし、あるいは、3次元データ取得装置110内に計測ヘッド111とは独立した構成要素として存在していても構わない。
【0029】
また、パターン照射装置111cは、被写体114に可視光及び/または赤外線によるレーザ光、縞状パターン、格子パターン、またはランダムドットなどを投影するものであるが、特に限定されない。すなわち、後述する3次元画像データ合成の際に、画像における座標位置の値を計算するために役立つものであれば何でも良い。なお、パターン照射装置111cは、本発明において必須の構成要素ではないため、パターン照射装置111cを設けないことも可能である。また、パターン照射装置111cは、計測ヘッド111の中に存在しても構わないし、計測ヘッド111の外部の独立した存在であっても構わない。
【0030】
光源112は、被写体に光を照射するものであり、3次元データ取得装置110内に複数個の光源112が固定的に設置される。複数個の光源112は、3次元データ取得装置110内のいずれの場所に設置されてもよく、被写体に陰影ができないように光を照射できればよい。
【0031】
台113は、被写体114を置くための領域を示すものである。
【0032】
また、3次元データ合成装置120は、制御部121、記憶部122、出力部123、3次元データ合成部124、およびデータ処理部125を含み、各構成要素121〜125は、データをやり取りするための伝送路126によって相互に接続されている。
【0033】
制御部121は、3次元データ合成装置120全体を制御するCPUを備え、3次元データ取得装置110において撮像された画像データを、ネットワーク130を介して取得する処理や、または後述する3次元画像データを合成する処理などを統括的に制御する。
【0034】
記憶部122は、生成された3次元画像データや合成作業途中の画像データなどを格納する。出力部123は、生成された3次元画像データや合成作業途中の画像データなどを表示するためのディスプレイを備える。
【0035】
3次元データ合成部124は、3次元データ取得装置110において撮像された画像データに基づいて、3次元画像データを合成するための処理を行う。当該処理の詳細については、図4を参照しながら後述する。
【0036】
データ処理部125は、制御部121に対して被写体の計測を開始するための計測指示を出力し、記憶部122または3次元データ合成部124から受信した画像データに基づいて、出力部123に当該画像データを表示させる。
【0037】
なお、3次元データ合成装置120は、本発明専用のコンピュータを用意しても構わないし、広く普及しているパーソナルコンピュータを使用しても構わない。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態に係る3次元データ取得装置110の一例を示す図である。3次元データ取得装置110は、部屋または箱などの限られた空間であり、四方の壁面、天井および床は、ブルーバック(青い背景)やグリーンバック(緑の背景)など被写体114に使用している色と重複しない任意の背景とすることが可能である。3次元データ取得装置110内には、複数個の計測ヘッド111、複数個の光源112、被写体114を乗せる台113が備えられている。
【0039】
なお、台113は、被写体114を置く領域を示すためのものであって、後述するように計測ヘッド111が被写体114までの距離などの合成に際して利用される情報を得やすくするために設置してある。
【0040】
本発明の一実施形態に係る3次元データ取得装置110内の計測ヘッド111は、被写体114の周囲を囲むように設置され、かつ固定されていることが必須である。計測ヘッド111を固定しておくことにより、計測ヘッド111のキャリブレーションは、台113がターンテーブルではないこと及び被写体114が台113上に必ず置かれることとあいまって、3次元データ取得装置110の使用開始時およびメンテナンス時に行っておくだけで、被写体114を撮像する度にキャリブレーションを行う必要はなくなる。
【0041】
複数個の光源112は、3次元データ取得装置110内のいずれの場所に設置されてもよく、被写体に陰影ができないように光を照射できればよい。これによって、被写体114は、撮像時に不必要な陰影を持たなくなる。
【0042】
ここで、3次元データ取得装置110の使用開始時およびメンテナンス時に行うキャリブレーションについて説明する。
【0043】
まず、複数個の計測ヘッド111を3次元データ取得装置110内部に固定的に設置する。図3は、複数の計測ヘッド111が被写体114を撮像する際に、各計測ヘッド111の有するカメラ111aの視野と被写体114の関係を説明する図である。計測ヘッド111を3次元データ取得装置110内部に固定する際には、例えば、図3に示すように、少なくとも被写体114の画像データをくまなく撮像できる位置に固定することが必要である。
【0044】
次に、複数個の計測ヘッド111のそれぞれのキャリブレーションを行うために、初期設定用の被写体114を台113に置く。かかる場合の被写体114は、計測ヘッド111のキャリブレーションを行うためのものであるので、どのような形態の被写体であってもよい。そして、複数個の計測ヘッド111のそれぞれについて初期設定用の被写体114に基づいてキャリブレーションを行っていく。ここで行われるキャリブレーションは、当技術分野で通常行われているキャリブレーションである。
【0045】
上記のように複数個の計測ヘッド111のそれぞれについてキャリブレーションが完了すると、被写体114を別のものに変更したとしても、新たな被写体114を台113の上に置くことは変わらず、撮像環境は変化しないので、撮像の度にキャリブレーションを行う必要はなくなる。
【0046】
次に、本発明の一実施形態に係る3次元画像データ合成システム100を使用して3次元画像データを合成するフローについて図4を参照しながら説明する。
【0047】
ステップS401において、固定されたキャリブレーション済みの各計測ヘッド111は、被写体114を任意の背景(例えば、ブルーバック)とともに撮像する。あるいは、被写体114を撮像する前に、任意の背景のみを撮像しておいてもよい。ステップS404にて後述するように、当該撮像をすることによって、3次元データ取得装置110内における被写体114の位置、計測ヘッド111から被写体114までの距離、光軸の方向、倍率などのパラメータ情報を得ることができる。なお、計測ヘッド111は、予め固定された位置に設置されているため、計測ヘッド111の位置、計測ヘッド111が向いている方向などのパラメータ情報は予め定まっている。撮像された画像データおよびパラメータ情報は、メモリ111bに格納される。
【0048】
ステップS402において、データ処理部125から発信された画像データ取得命令がネットワーク130を介して3次元データ取得装置110に到達すると、3次元データ取得装置110は、メモリ111bに格納されている画像データを3次元データ合成装置120に送信する。
【0049】
ステップS403において、3次元データ合成部124は、受信した画像データから背景画像を抽出する処理を行う。詳細に説明すると、3次元データ合成部124は、事前に撮像された背景のみの画像または被写体114と同時に撮像された画像から背景画像の全部または一部を抽出する。本明細書では、このように抽出された背景画像を「キャリブレーション画像」と呼ぶこととする。
【0050】
ステップS404において、3次元データ合成部124は、キャリブレーション画像から三角測量の手法を使用してカメラ位置を特定する。より詳細に説明すれば、本発明の一実施形態に係る3次元画像データ合成システム100においては、計測ヘッド111は3次元データ取得装置110内部に固定されているため、任意のカメラ111aから任意の背景(例えば、ブルーバック)までの距離、被写体114の位置、3次元データ取得装置110内部に固定されたカメラ111aの位置、傾き、光軸の方向、倍率などのパラメータ情報、および被写体114のテクスチャデータなどを得ることができる。このようなパラメータ情報は、メモリ111bに一時的に格納され、3次元データ取得装置110は、メモリ111bに格納されているパラメータ情報を3次元データ合成装置120に送信する。
【0051】
ステップS405において、3次元データ合成部124は、ステップS401にて撮像された被写体114を含む画像データから背景画像を除いた画像である被写体114の画像を抽出する。上述したように、背景画像は、ブルーバックなどに相当する画像であるため、被写体114の画像を抽出することは容易である。
【0052】
ステップS406において、3次元データ合成部124は、ステップS405において抽出された画像データに対してノイズ除去等のフィルタリングを行う。フィルタリングされた画像データは、計測画像と呼ぶことにする。
【0053】
ステップS407において、3次元データ合成部124は、計測画像から特徴画像を抽出する処理を行う。本明細書において、特徴画像は、2値化画像、グレースケール画像、色強調画像などの画像であって、後述のステップにおいて、複数の角度から撮像された撮像画像を比較し、画像上の各座標を特定するのに必要な計測画像上の画像の一部に相当する画像である。
【0054】
ステップS408において、3次元データ合成部124は、複数の計測ヘッド111によって撮像された画像データ、すなわち、複数の角度から撮像された撮像画像上の特徴画像のマッチングを行う。当該マッチング処理は、特徴画像の座標位置(例えば、(X座標=1,Y座標=1))の情報に基づいて行われる。
【0055】
ステップS409において、3次元データ合成部124は、特徴画像の3次元座標の値を計算する。より詳細に説明すると、3次元データ合成部124は、ステップS404において特定されたカメラ位置などの各パラメータ情報に基づき、特徴画像の複数の点における各座標から三角測量の手法を利用して特徴画像の複数の点における3次元座標の値を計算する。また、3次元データ合成部124は、3次元座標の値以外にテクスチャデータ、ワイヤーフレーム等の3次元データについても生成する。
【0056】
ステップS410において、3次元データ合成部124は、ステップS409において計算された特徴画像の複数の点における3次元座標の値に基づいて、3次元画像データを合成する処理を行う。つまり、本実施形態によれば、従来、手作業により撮像された複数の画像データを貼り合わせて3次元画像データを合成していた作業が、予め計算された特徴画像の3次元座標の値を基に、自動的に合成作業を行うことが可能となる。仮に、計測ヘッド111によって撮像された画像の精度が悪かった場合に3次元画像データが若干ずれて合成されたとしても、修正作業も3次元データ合成装置120においてより短時間で行うことができ、最初から手作業で行うよりは、はるかに効率的に3次元画像データを生成することが可能となる。
【0057】
上記で説明した本発明の特徴についてまとめると、以下のようになる。
【0058】
まず、オープンスペースで撮像するのではなく、予め規格の定まった部屋(箱)を3次元データ取得装置として用意する。そして、計測ヘッドが設置される位置は、3次元データ取得装置内部で固定される。計測ヘッドは、被写体を囲むように(つまり、「全周」に)設置される。このような構成をとることにより、計測ヘッドと被写体の関係(パラメータ情報で表される)、計測ヘッドと3次元データ取得装置内部の壁面(背景)との関係(これも、パラメータ情報で表される)などを算出することが容易となり、計測ヘッドが任意の位置に移動可能な状態で設置可能である場合よりも、3次元画像データの合成処理をより精度高く、かつ自動的に実行できるという特徴がある。
【0059】
また、計測ヘッドを複数(少なくとも3台以上)用意すること、および被写体の周囲を囲むように計測ヘッドを設置することは特許文献1、2と技術思想を同じくするが、計測ヘッドを一列に並べるのではなく、3次元データ取得装置内部の任意の場所に固定的に設置可能なこと、および縞状のパターン以外にもレーザ光、格子パターン、またはランダムドットを用いて計測することができ、または縞状のパターンなどを用いなくても3次元画像データの合成が可能になる点に差異があるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元画像データ合成システムの概略を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る3次元データ取得装置の一例を示す図である。
【図3】複数の計測ヘッドが被写体を撮像する際に、各計測ヘッドの有するカメラの視野と被写体の関係を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる3次元画像データを合成する方法を示すフローチャートである。
【図5】従来技術であるターゲットを貼った被写体を合成するプロセスを簡略的に説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
100 3次元画像データ合成システム
110 3次元データ取得装置
111 計測ヘッド
111a カメラ
111b メモリ
111c パターン照射装置
112 光源
113 台
114 被写体
120 3次元データ合成装置
121 制御部
122 記憶部
123 出力部
124 3次元データ合成部
125 データ処理部
126 伝送路
130 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互にネットワークで接続された3次元データ取得装置および3次元データ合成装置を有する3次元画像データ生成システムであって、
前記3次元データ取得装置は、予め形状および寸法が定められ、任意に定められる1つの背景色を壁面、天井、および床に有し、
少なくとも3方向から被写体を撮像して前記被写体の画像データを取得する計測ヘッドであって、前記被写体の周囲を囲むように前記3次元データ取得装置内部の任意の位置に固定的に設置される計測ヘッドと、
前記被写体の画像データを格納するメモリと
を備え、
前記3次元データ合成装置は、前記3次元データ取得装置から送信される前記被写体の画像データを画像処理して3次元画像データを自動生成する装置であって、
前記3次元データ取得装置から3次元データ合成装置に対して前記被写体の画像データを送信させる命令を出力するデータ処理手段と、
前記被写体の背景画像を抽出し、抽出された背景画像に基づいて計測ヘッドの位置を算出するとともに、併せて前記背景画像を除いた前記被写体のみの画像を抽出し、抽出された画像にフィルタリング処理を施した計測画像から特徴画像を抽出し、抽出された複数の特徴画像を比較するマッチング処理を行って複数の特徴画像上の同一座標を定め、前記算出された計測ヘッドの位置などのパラメータ情報と前記特徴画像上の同一座標の情報とから3次元画像データを自動的に合成する3次元データ合成手段と
を備えることを特徴とする3次元画像データ生成システム。
【請求項2】
前記3次元データ取得装置は、パターン照射装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元画像データ生成システム。
【請求項3】
前記パターン照射装置は、縞状パターンを出力することを特徴とする請求項2に記載の3次元画像データ生成システム。
【請求項4】
前記パターン照射装置は、レーザ光を出力することを特徴とする請求項2に記載の3次元画像データ生成システム。
【請求項5】
前記パターン照射装置は、格子パターンを出力することを特徴とする請求項2に記載の3次元画像データ生成システム。
【請求項6】
相互にネットワークで接続された3次元データ取得装置および3次元データ合成装置を有する3次元画像データ生成システムにおいて3次元画像データを自動的に生成する方法であって、
(a)3次元データ取得装置内において被写体の周囲を囲むように任意の位置に固定的に設置される少なくとも3つの計測ヘッドが、前記被写体を撮像して前記被写体の画像データを取得するステップと、
(b)3次元データ取得装置が、前記取得された前記被写体の画像データを3次元データ合成装置に送信するステップと、
(c)3次元データ合成装置内の3次元データ合成手段が、ステップ(b)において3次元データ取得装置から送信された前記被写体の画像データから前記被写体を除いた背景のみの画像を抽出するステップと、
(d)3次元データ合成手段が、ステップ(c)において抽出された前記背景のみの画像に基づいて、計測ヘッドの位置などのパラメータ情報を取得するステップと、
(e)3次元データ合成手段が、ステップ(b)において3次元データ取得装置から送信された前記被写体の画像データから前記被写体のみの画像を抽出するステップと、
(f)3次元データ合成手段が、ステップ(e)において抽出された前記被写体のみの画像をフィルタリング処理し、フィルタリング処理された画像から特徴画像を抽出するステップと、
(g)3次元データ合成手段が、ステップ(f)において抽出された複数の特徴画像同士を比較することによって、特徴画像の座標位置の値を求めるステップと、
(h)3次元データ合成手段が、ステップ(d)において特定された計測ヘッドの位置などのパラメータ情報と、ステップ(g)において求められた特徴画像の座標位置の値とを用いて、特徴画像の3次元座標の値を計算するステップと、
(i)3次元データ合成手段が、ステップ(h)において計算された特徴画像の3次元座標の値に基づいて、3次元画像データを合成するステップと
を備えることを特徴とする3次元画像データを自動的に生成する方法。
【請求項7】
前記ステップ(a)は、前記3次元データ取得装置内のパターン照射装置が、予め定められたパターンを前記被写体に照射するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン照射装置は、縞状パターンを出力することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記パターン照射装置は、レーザ光を出力することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記パターン照射装置は、格子パターンを出力することを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−47642(P2009−47642A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216051(P2007−216051)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(500124253)
【Fターム(参考)】