説明

CB2受容体モジュレーターとしてのピリジン誘導体

式(I)で示される新規ピリジン誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物、およびカンナビノイド受容体の活性の増加または減少により直接または間接的に起こる疾患、特に、疼痛の処置におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は新規ピリジン誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物、およびカンナビノイド受容体の活性の増加または減少によって直接または間接的に起こる疾患、特に、疼痛の処置におけるそれらの使用に関する。
【0002】
カンナビノイドは、約60種類の異なる分子を包含するインド大麻(Cannabis sativa)に存在する特定のクラスの精神活性化合物であり、最も代表的なものは、カンナビノール、カンナビジオールおよびテトラヒドロカンナビノールの数種類の異性体である。大麻の治療活性についての知見は、5000年前の中国の古代王朝に遡り、そこでは、大麻が喘息、片頭痛およびいくつかの婦人科障害の治療に用いられていた。これらの使用は後に確立されてきて、1850年頃には大麻抽出物が米国薬局方に収載され、1947年までそのまま収載されていた。
【0003】
カンナビノイドは種々の系および/または器官に異なる影響を引き起こすことが知られており、最も重要なものは中枢神経系および心血管系に対するものである。これらの影響としては記憶および認識における変化、多幸感および鎮静が挙げられる。カンナビノイドはまた心拍数を増加させ、全身の動脈圧を変化させる。気管支収縮、免疫調節および炎症に関連する末梢の影響もまた観察されている。カンナビノイドの眼内圧減少能ならびに呼吸器系および内分泌系に影響を及ぼす能力もよく報告されている。例えば、L.E. Hollister, Health Aspects of Cannabis, Pharmacological Reviews, Vol. 38, pp. 1-20, (1986)を参照。より最近では、カンナビノイドが細胞性および体液性免疫応答を抑制し、抗炎症性を示すことが見出された。Wirth et al., Antiinflammatory Properties of Cannabichrome, Life Science, Vol. 26, pp. 1991-1995, (1980)を参照。
【0004】
上記の利益にもかかわらず、大麻の治療的使用はその精神活性的な作用(依存症および耽溺を引き起こす)のためおよび未だ完全には解明されていない多種多様な副作用のために議論の余地がある。この分野における研究は1940年代から継続されてきたが、カンナビノイドの末梢作用は直接媒介されるのであってCNS作用に二次的なものではないということを示す証拠は、受容体の特徴付け不足および内在性カンナビノイドリガンドに関する情報不足によって、ならびに最近までは受容体サブタイプ選択的化合物の不足によって制限されていた。
【0005】
第1のカンナビノイド受容体は、主に、脳、神経細胞系、およびより低い程度ではあるが末梢レベルに位置することが見出された。その位置を考慮して、それは中枢受容体(「CB1」)と呼ばれた。Matsuda et al.,“Structure of a Cannabinoid Receptor and Functional Expression of the Cloned cDNA,”Nature, Vol. 346, pp. 561-564 (1990)を参照。第2のカンナビノイド受容体(「CB2」)は、脾臓において同定され、カンナビノイドの非精神活性作用を調節すると想定された。Munro et el., “Molecular Characterization of a Peripheral Receptor for Cannabinoids,”Nature, Vol. 365, pp. 61-65 (1993)を参照。
【0006】
最近、どちらのカンナビノイド受容体に対してもアゴニストとして作用する能力を有するいくつかの化合物が調製されてきた。例えば、緑内障の治療におけるジヒドロキシピロール−(1,2,3−d,e)−1,4−ベンゾオキサジンの誘導体の使用および種々の神経病理、片頭痛、癲癇、緑内障などの治療における免疫調節薬または向精神薬としての1,5−ジフェニル−ピラゾールの誘導体の使用が知られている。各々、米国特許第5,112,820号およびEP576357を参照。しかしながら、これらの化合物はCB1およびCB2受容体のどちらに対する活性もあるので、それらは深刻な精神活性作用を引き起こす可能性がある。
【0007】
上記の記載および免疫系におけるCB2受容体の優先的な局在性は、異なる供給源の刺激に対する免疫および抗炎症応答の調節におけるCB2の特異的な役割を確かなものとする。
【0008】
疼痛をわずらっている患者集団の全体の大きさは膨大(ほとんど3億人)であり、背痛、変形性関節症痛および術後痛をわずらっている患者が優位を占める。神経因性疼痛(糖尿病、HIV、ヘルペス感染または脳卒中発作によって誘発されるようなニューロン病変と関連)は癌痛と同様に低いが、依然としてかなりの罹患率で起こっている。
【0009】
疼痛症状を起こす発病メカニズムは2つの主要なカテゴリー:
炎症性組織応答の成分であるもの(炎症性疼痛);
ある形態のニューロン病変に起因するもの(神経因性疼痛)
に分類することができる。
【0010】
慢性炎症性疼痛は主に変形性関節症、慢性腰痛および関節リウマチからなる。疼痛は急性および進行性の傷害および/または炎症に起因する。自然発症的疼痛および誘発性疼痛のどちらもあり得る。
【0011】
生理学的過剰興奮性およびさらにこの過剰興奮性を増強する炎症媒介物質の放出の結果として、根本的な病理学的過敏性がある。CB2受容体は、炎症細胞(T細胞、B細胞、マクロファージ、マスト細胞)において発現され、細胞相互作用/炎症媒介物質放出の阻害を介して免疫抑制を媒介する。CB2受容体はまた知覚神経終末において発現されることもあり、したがって、痛覚過敏を直接阻害することもある。
【0012】
免疫調節、炎症、骨粗鬆症、心血管疾患、腎疾患および他の疾患症状におけるCB2の役割は現在研究されている。カンナビノイドが異なる機能的作用を調節する能力を有する受容体に対して作用するという事実を考えて、そして、CB2とCB1との間のホモロジーの低さを考慮すると、特異的受容体サブタイプに選択的な薬物のクラスを開発することの重要性は明らかである。現在入手可能な天然または合成カンナビノイドはどちらの受容体に対する活性もあるのでこの機能を満足しない。
【0013】
上記に基づいて、カンナビノイドに対する受容体を選択的に調節する能力、および、したがって、かかる受容体に関連する病態を選択的に調節する能力を有する化合物が必要とされている。かくして、CB2モジュレーターは、免疫障害、炎症、骨粗鬆症、腎虚血および他の病態生理学的症状の薬物療法に対する独特のアプローチを提供する。
【0014】
本発明は、式(I)で示される新規なピリジン誘導体およびその医薬上許容される誘導体、これらの化合物または誘導体を含有する医薬組成物、および種々の障害の治療に有用なCB2受容体モジュレーターとしてのその使用を提供する。
【0015】
本発明は、さらに、ヒトを包含する動物におけるCB2受容体によって媒介される疾患を治療する方法であって、かかる治療を必要とする動物に式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の有効量を投与することを含む、方法を含む。
【0016】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
Yは1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり;
1は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキルから選択され;
2は(CH2)m3であり;
3は非置換または置換5員〜6員芳香族ヘテロサイクリル基、または基A:
【化2】

であり;
4は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキル、COCH3、およびSO2Meから選択され;
6は非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R10は水素であるか、またはR10は非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R6は水素であり;
Raは独立して水素、フルオロ、クロロまたはトリフルオロメチルから選択され得;
Rbは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2、COOH、SO2CH3、NHCOCH3、NHSO2CH3およびCONHCH3から選択され得;
mは1または2である]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0017】
一の特定の実施態様において、Yは1または2個の置換基によって置換されている。一置換されている場合、一の特定の実施態様において置換基は3位にある。
【0018】
Yについての置換基はC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、C1−6アルキルスルホニル、およびCOOHから選択される。さらなる置換基はハロ置換C1−6アルコキシ、CONH2、NHCOCH3、C1−6アルキニル、C1−6アルケニル SO2NR8a8b(ここで、R8aおよびR8bは独立してHおよびC1−6アルキルから選択される)から選択され得る。
【0019】
一の特定の実施態様において、Yはハロ、シアノ、メトキシ、メチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシによって置換される。
【0020】
一の特定の実施態様において、R2はCH23である。
【0021】
本発明のさらなる態様は、式(Ia):
【化3】

[式中、
1は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキルから選択され;
3は、置換されていないかまたはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2およびCOOHから選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、フラニル、ジオキサアラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはテトラジニルであるか、またはR3は基A:
【化4】

であり;
4は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキル、COCH3、およびSO2Meから選択され;
6は非置換もしくは置換(C1−6)アルキル、クロロであり、R10は水素であるか、またはR10は非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R6は水素であり;
Raは独立して水素、フルオロ、クロロまたはトリフルオロメチルから選択され得;
Rbは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2、COOH、SO2CH3、NHCOCH3、NHSO2CH3およびCONHCH3から選択され得;
11はC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、C1−6アルキルスルホニル、CONH2、NHCOCH3、COOH、ハロ置換C1−6アルコキシ、C1−6アルキニル、C1−6アルキニル、SO2NR8a8bであり;
dは1、2、または3であり:
mは1または2であり;
8aおよびR8bは独立して水素またはC1−6アルキルから選択される]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体である。
【0022】
一の特定の実施態様において、R1は水素またはC1−6アルキルであり、特に、水素である。
【0023】
一の特定の実施態様において、R4は水素またはメチルであり、特に、水素である。
【0024】
一の特定の実施態様において、R3は、置換されていないかまたは置換されていてもよい、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリルまたはピラジニルであるか、または基Aである。一の特定の実施態様において、R3は基A、ピリジニルまたはピリミジニルである。さらなる特定の実施態様において、R3は基Aまたはピリジニルである。
【0025】
3が置換5員〜6員芳香族ヘテロサイクリル基である場合、置換基は好ましくはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2、およびCOOHから選択される。好ましくは、ハロはフルオロである。
【0026】
一の特定の実施態様において、R3が5員〜6員芳香族ヘテロサイクリル基である場合、置換基はハロ、メトキシ、およびシアノである。
【0027】
6またはR10が置換アルキル基である場合、それらはヒドロキシ、C1−6アルコキシ、シアノ、ハロ、NR8a8b、CONR8a8b、SO2NR8a8b、NR8aCOR8bまたはNR8aSO28b、好ましくはヒドロキシまたはフッ素から選択される1、2または3個の置換基で置換され得る。
【0028】
一の特定の実施態様において、R6は置換もしくは非置換(C1−6)アルキル、クロロまたはCHxn(ここで、nは1、2、または3であり、xは0、1または2であり、nとxの和は3である)であり、R10は水素であるか、またはR10は置換もしくは非置換(C1−6)アルキル、クロロまたはCHxn(ここで、nは1、2、または3であり、xは0、1または2であり、nとxの和は3である)であり、R6は水素である。
【0029】
一の特定の実施態様において、R6はt−ブチル、イソプロピルまたはCHxnであり、より好ましくは、R6はイソプロピルまたはCHxnであり、さらに好ましくは、イソプロピルまたはCF3であり、R10は水素であるか、またはR10はt−ブチル、イソプロピルまたはCHxnであり、より好ましくは、R10はイソプロピルまたはCHxnであり、より好ましくは、イソプロピルまたはCF3であり、R6は水素である。
【0030】
あるいは、Rbは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2およびCOOHから選択され得る。
【0031】
一の特定の実施態様において、Rbはハロ、メトキシ、およびシアノから選択される。
【0032】
一の特定の実施態様において、R6は(C1−6)アルキル、クロロまたはCHxn(ここで、nは1、2、または3であり、xは0、1または2であり、nとxの和は3である)であり、R10は水素である。
【0033】
あるいは、式(I)で示される化合物は式(Ib):
【化5】

[式中、
Yは1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり;
1は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキルから選択され;
2はCH23であり;
3は置換されていてもよい5員〜6員芳香族ヘテロサイクリル基、または基A:
【化6】

であり;
4は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキル、COCH3、またはSO2Meから選択され;
6は(C1−6)アルキル、クロロまたはCHxn(ここで、nは1、2、または3であり、xは0、1または2であり、nとxの和は3である)であり、R10は水素であるか、またはR10は(C1−6)アルキル、クロロまたはCHxn(ここで、nは1、2、または3であり、xは0、1または2であり、nとxの和は3である)であり、R6は水素であり;
Raは独立して水素、フルオロ、クロロまたはトリフルオロメチルから選択され得;
Rbは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロ、スルホニル基、CONH2、またはCOOHから選択され得る]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体である。
【0034】
一の特定の実施態様において、該化合物はCB1に対するよりもCB2に対して選択的である。好ましくは、該化合物は100倍選択的であり、すなわち、式(I)で示される化合物は、クローン化ヒトカンナビノイドCB2受容体でのEC50値がクローン化ヒトカンナビノイドCB1受容体でのEC50値の少なくとも100倍であるか、またはCB1受容体での有効性が10%未満である。
【0035】
本発明は、特記しない限り、以下の定義を用いて記載される。
【0036】
「医薬上許容される誘導体」なる語は、式(I)で示される化合物のいずれもの医薬上許容される塩、エステル、かかるエステルの塩もしくは溶媒和物、またはレシピエントに投与されると式(I)で示される化合物またはその活性な代謝産物もしくは残基を(直接的または間接的に)提供することのできるいずれもの他の化合物を意味する。
【0037】
式(I)で示される化合物が該化合物における官能基のいずれかにおいてその医薬上許容される誘導体を提供するように修飾されてもよいこと、および式(I)で示される化合物が2つ以上の位置で誘導体化されてもよいことは、当業者に明らかであろう。
【0038】
医薬的使用については、上記の塩は生理学上許容される塩であるが、他の塩は例えば式(I)で示される化合物およびその生理学上許容される塩の調製に有用であることは明らかであろう。医薬上許容される塩としては、Berge, Bighley and Monkhouse, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19によって記載されるものが挙げられる。「医薬上許容される塩」なる語は、無機塩基および有機塩基を包含する医薬上許容される非毒性の塩基から調製される塩を表す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン酸塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛などが挙げられる。医薬上許容される有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第一、第二および第三アミン、自然発生の置換アミンを包含する置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトロメタミンなどの塩が挙げられる。本発明の化合物が塩基性の場合、塩は無機酸および有機酸を包含する医薬上許容される非毒性の酸から調製されうる。かかる酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸およびp−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0039】
医薬上許容される塩の好ましい例としては、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩、ならびにマレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、塩酸、硫酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アルパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸および硝酸から形成される塩が挙げられる。
【0040】
「ハロゲンまたはハロ」なる用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示すために使用される。
【0041】
「アルキル」なる用語は、基または基の一部として、直鎖もしくは分枝鎖アルキル基またはその組み合わせ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、またはその組み合わせを意味する。
【0042】
「アルコキシ」なる用語は、基または基の一部として、鎖と結合した酸素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状鎖アルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ基、ペントキシ、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシまたはシクロヘキシルオキシ基を意味する。
【0043】
「シクロアルキル」なる用語は、閉環3員〜7員非芳香環、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。
【0044】
「シクロアルケニル」なる用語は、1つまたはそれ以上の二重結合を含有する閉環非芳香族炭素環、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニル、またはシクロオクテニルを意味する。
【0045】
「アルキニル」なる用語は、基または基の一部として、1つまたはそれ以上の三重炭素結合を含有する直鎖状または分枝鎖状の炭素鎖またはその組み合わせ、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはその組み合わせを意味する。
【0046】
「アリール」なる用語は、5員もしくは6員芳香環、例えば、フェニル、または環の少なくとも1個が芳香族である7員〜12員二環式環系、例えば、ナフチルを意味する。
【0047】
3が芳香族ヘテロサイクリル基である場合、該環はヘテロ原子1、2、3、または4個を含有することができる。一の特定の実施態様において、ヘテロ原子は酸素、窒素または硫黄から選択される。この場合、5員ヘテロサイクリル基の例としては、フラニル、ジオキサアラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピラゾリルまたはテトラゾリルが挙げられる。6員ヘテロサイクリル基の例はピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはテトラジニルである。
【0048】
本発明の好ましい化合物は、
6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
N−ベンジル−6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−N−(4−シアノ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(3−シアノ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(2,4−ジクロロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(2−クロロ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
6−(4−シアノ−2−メチル−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド;
およびその医薬上許容される誘導体
から選択され得る。
【0049】
式(I)で示される化合物はスキーム1に示すように製造され得る:
【0050】
【化7】

【0051】
ここで、R1、R3、R4、R6、Y、mおよびR10は式(I)で示される化合物について定義したとおりであり、Lは脱離基、例えば、ハロであり、PGは保護基、例えば、メチル、エチルまたはベンジルである。
【0052】
さらにまた、式(I)で示される化合物は、R10が非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R6が水素である場合、スキーム2に示されるように製造され得る。
【0053】
スキーム2
【化8】

【0054】
ここで、Lは脱離基、例えば、ハロゲン、例えば、クロロであり、R1、R2、Y、R4は式(I)で示される化合物について定義したとおりである。
【0055】
さらにまた、式(I)で示される化合物は、R10が非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R6が水素である場合、スキーム3に示されるように製造され得る。
【0056】
スキーム3:
【化9】

【0057】
ここで、Lは脱離基、例えば、ハロゲン、例えば、クロロであり、R1、R2、Y、R4は式(I)で示される化合物について定義したとおりである。
【0058】
さらにまた、式(I)で示される化合物は、スキーム4に示されるように製造され得る。
【0059】
スキーム4
【化10】

【0060】
ここで、Lは脱離基、例えば、ハロゲン、例えば、クロロであり、R1、R3、R4、Y、R10およびmは式(I)で示される化合物について定義したとおりである。
【0061】
さらにまた、式(I)で示される化合物はスキーム4に示されるように製造され得る。
【化11】

【0062】
ここで、Lは脱離基、ハロゲン、例えば、クロロであり、R1、R3、R4、Y、R10およびmは式(I)で示される化合物について定義したとおりである。
【0063】
本発明は、式(I)で示される化合物の全ての異性体およびその医薬上許容される誘導体を包含し、全ての幾何、互変および光学形態およびその混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含することが理解されるべきである。付加的なキラル中心が式(I)で示される化合物に存在する場合、本発明はその範囲内に全ての可能なジアステレオマー(その混合物を包含)を包含する。常法によって異なる異性形態の一つを他から分離または分割してもよく、または通常の合成方法または立体特異的合成もしくは不斉合成によって、所定の異性体を得てもよい。
【0064】
本発明はまた、1個またはそれ以上の原子が天然において通常見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されているという事実を除けば式Iおよびそれ以降の式で示される化合物と同一である、同位体で標識した化合物を包含する。本発明の化合物中に組み込むことのできる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体、例えば、3H、11C、14C、18F、123Iおよび125Iが挙げられる。
【0065】
上記の同位体および/または他の原子の同位体を含有する本発明の化合物および該化合物の医薬上許容される塩は本発明の範囲内にある。本発明の同位体標識化合物、例えば、3H、14Cのような放射性同位体がその中に組み込まれた化合物は薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、3H、および炭素−14、すなわち、14C同位体はそれらの調製し易さおよび検出能力のために特に好ましい。11Cおよび8F同位体はPET(陽電子放射型断層撮影法)において特に有用であり、125I同位体はSPECT(単一光子放射型コンピューター断層撮影法)において特に有用であり、全て、脳画像化において有用である。さらに、ジュウテリウム、すなわち、2Hのようなより重い同位体での置換はより大きな代謝安定性に起因するある特定の治療的利益、例えば、イン・ビボ半減期の増加または必要な投与量の減少を提供することができ、したがって、ある状況では望ましいことがある。本発明の式Iおよびそれ以降の式で示される同位体標識化合物は、一般に、非同位体標識試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を用いることによって、スキームおよび/または下記の実施例に記載される方法を行うことによって調製できる。
【0066】
式(I)で示される化合物は結晶または非結晶形態で調製されてもよく、結晶の場合、所望により、水和化または溶媒和化されてもよい。本発明は、その範囲内に、化学量論量の水和物または溶媒和物ならびに可変量の水および/または溶媒を含有する化合物を包含する。
【0067】
本発明の化合物は、CB2受容体に選択的に結合し、したがって、CB2受容体媒介疾患を治療するのに有用である。
【0068】
それらのCB2受容体との結合能を考慮すると、本発明の化合物は下記の障害の治療に有用でありうる。かくして、式(I)で示される化合物は鎮痛剤として有用でありうる。例えば、それらは疾患修飾および関節構造保存の特性を包含する慢性炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎に関連した疼痛)の治療;筋骨格疼痛;腰および頚の疼痛;捻挫および挫傷;神経因性疼痛;交感神経性に維持される疼痛;筋炎;癌および線維筋痛症に関連した疼痛;片頭痛に関連した疼痛;インフルエンザまたは感冒のような他のウイルス感染症に関連した疼痛;リウマチ熱;非潰瘍性消化不良のような機能的腸障害、非心臓性胸痛および過敏性大腸症候群に関連した疼痛;心筋虚血に関連する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難症、慢性痛、歯の痛覚(dental pain algesia)、骨盤痛、脳卒中発作後痛および月経痛の治療において有用でありうる。
【0069】
本発明の化合物はまた、多発性硬化症、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎における疾患修飾または関節構造保存にも有用でありうる。
【0070】
本発明の化合物は神経因性疼痛の治療に特に有用でありうる。神経因性疼痛症候群はニューロン損傷に続いて発症することがあり、結果として起こる疼痛は何ヶ月もまたは何年もの間、本来の損傷が治癒した後であっても持続することがある。ニューロン損傷は末梢神経、後根、脊髄、または脳における特定領域において起こりうる。神経因性疼痛症候群は伝統的にはそれらを引き起こした疾患または事象にしたがって分類される。神経因性疼痛症候群としては、糖尿病性ニューロパシー;坐骨神経痛;非特異性腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV関連ニューロパシー;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および物理的外傷、切断、癌、毒素または慢性炎症症状に起因する疼痛が挙げられる。これらの症状は治療が困難であり、限られた効力を有するいくつかの薬物が知られているが、完全な疼痛管理が達成されることはめったにない。神経因性疼痛の徴候は信じられないほど不均一であり、しばしば、自然発生的な激痛および電撃痛、または継続している灼熱痛として描写される。さらに、「しびれの直りかけのピリピリ感(pins and needles)」のような通常の無痛性感覚に関連する疼痛(知覚異常および感覚不全)、接触に対する感受性増大(知覚過敏症)、非侵害性刺激後の有痛性感覚(動的、静的または熱的異痛症)、侵害刺激に対する感受性増大(熱的、寒冷的、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の痛覚の継続(痛覚過敏)または選択的感覚経路の不在もしくは該経路における欠損(痛覚鈍麻)がある。
【0071】
式(I)で示される化合物はまた発熱の治療においても有用でありうる。
【0072】
式(I)で示される化合物はまた炎症の治療、例えば、皮膚症状(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織に対する急性傷害(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸困難症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD));咳、胃腸管障害(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、痘瘡状胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流症嘔吐、食道炎、臓器移植;炎症要素を伴う他の症状、例えば、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群の治療においても有用でありうる。
【0073】
式(I)で示される化合物はまた膀胱炎後の膀胱反射亢進の治療においても有用であり得る。
【0074】
式(I)で示される化合物はまた、免疫疾患、例えば、自己免疫疾患、免疫不全症の治療または臓器移植においても有用である。式(I)で示される化合物はまた、HIV感染の潜伏期間を長くするのにも有用である。
【0075】
式(I)で示される化合物はまた、異常な血小板機能の疾患(例えば、閉塞性血管疾患)の治療においても有用である。
【0076】
式(I)で示される化合物はまた、神経炎、胸焼け、嚥下障害、骨盤過敏症、尿失禁、膀胱炎または掻痒症の治療においても有用である。
【0077】
式(I)で示される化合物はまた、利尿作用を有する薬物の調製にも有用である。
【0078】
式(I)で示される化合物はまた、性交不能症または勃起不全の治療においても有用である。
【0079】
式(I)で示される化合物はまた、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID's)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤の血行力学的副作用を緩和するのにも有用である。
【0080】
式(I)で示される化合物はまた、神経変性疾患および神経変性、例えば、認知症、特に変性認知症(老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト−ヤコブ病、運動ニューロン疾患を包含);血管性認知症(多発梗塞性認知症を包含);ならびに頭蓋内空間占有性病変に関連した認知症;外傷;感染および関連症状(HIV感染を包含);パーキンソン病における認知症;代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏症;および加齢に関連した軽度認知障害、特に、年齢関連記憶障害の治療においても有用である。該化合物はまた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および神経炎の治療にも有用である。
【0081】
式(I)で示される化合物はまた、神経防護において、および脳卒中発作、心停止、肺バイパス、外傷性脳損傷または脊髄損傷などに続いて起こる神経変性の治療においても有用である。
【0082】
式(I)で示される化合物はまた耳鳴の治療においても有用である。
【0083】
式(I)で示される化合物はまた、精神病、例えば、統合失調症、うつ病(本明細書において、精神病性特徴、緊張病性特徴、うつ病性特徴、非定型特徴もしくは産後発症を伴うかまたは伴わない、双極性うつ病、単極性うつ病、単発性もしくは反復性大うつ病エピソード、季節性情動障害、非定型特徴を伴うかまたは伴わない早発性または遅発性の気分変調障害、神経症うつ病および社会恐怖症、例えばアルツハイマー型の認知症に付随的なうつ病、うつ病型分裂情動性障害、および心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎などを包含するがそれらに限定されるものではない一般的な医学的症状に起因する抑うつ性障害を包含するものとして使用される)、不安障害(汎発性不安障害および社会的不安障害を包含)、パニック障害、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害および心的外傷後ストレス障害、認知症、健忘性障害および年齢関連記憶障害を包含する記憶障害、神経性食欲不振症および神経性大食症を包含する摂食行動の障害、性的機能不全、睡眠障害(概日リズムの妨害、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを包含)、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジン(フェンシクリジン様化合物)、アヘン剤(例えば、大麻、ヘロイン、モルヒネ)、アンフェタミンまたはアンフェタミン関連薬物(例えば、デキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミン)またはその組み合わせのような薬物の乱用からの離脱の治療においても有用である。
【0084】
式(I)で示される化合物はまた、依存症誘発性薬剤に対する依存の予防または軽減、または該薬剤に対する耐性または逆耐性の予防または軽減にも有用である。依存症誘発性薬剤の例としては、オピオイド(例えば、モルヒネ)、CNS抑制剤(例えば、エタノール)、覚醒剤(例えば、コカイン)およびニコチンが挙げられる。
【0085】
式(I)で示される化合物はまた、腎不全(腎炎、特に、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能不全(肝炎、肝硬変)、胃腸障害(下痢)および大腸癌の治療においても有用である。
【0086】
式(I)で示される化合物は膀胱炎後の膀胱反射亢進の治療に有用であり得る。
【0087】
治療に対する言及は、特に他に明記されない限り、確立された徴候の治療および予防的治療の両方を包含すると理解されるべきである。
【0088】
本発明のさらなる態様によると、発明者らはヒトまたは獣医学用医薬において使用するための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0089】
本発明の別の態様によると、発明者らはカンナビノイド2受容体の活性によって媒介される症状の治療において使用するための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0090】
本発明のさらなる態様によると、発明者らはカンナビノイド2受容体の活性によって媒介される症状をわずらっているヒトまたは動物対象の治療方法であって該対象に式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の治療上有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0091】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは免疫障害、炎症性障害、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症または骨粗鬆症をわずらっているヒトまたは動物対象の治療方法であって該対象に式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の有効量を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、疼痛は、炎症性疼痛、内臓痛、癌痛、神経障害性疼痛、腰痛、筋骨格疼痛、術後疼痛、急性痛および片頭痛から選択される。より好ましくは、炎症性疼痛は関節リウマチまたは変形性関節症に関連した疼痛である。
【0092】
本発明の態様により、免疫障害、炎症性障害、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症または骨粗鬆症のような症状の治療または予防のための治療薬の製造のための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0093】
好ましくは、疼痛は炎症性疼痛、内臓痛、癌痛、神経因性疼痛、腰痛、筋骨格疼痛、術後疼痛、急性痛および片頭痛から選択される。より好ましくは、炎症性疼痛は関節リウマチまたは変形性関節症に関連した疼痛である。
【0094】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体をヒトおよび他の哺乳動物の治療に使用するために、それは通常、標準的な製薬習慣にしたがって医薬組成物として処方される。したがって、本発明の別の態様において、ヒトまたは獣医学用医薬において使用するのに適応した式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物が提供される。
【0095】
本明細書で用いられる場合、「モジュレーター」なる語は、アンタゴニスト、完全または部分アゴニストおよびインバースアゴニストのいずれもを意味する。一の具体例において、該モジュレーターはアゴニストである。
【0096】
本明細書で用いられる場合、「治療」または「治療する」なる用語は、確立した障害の治療を含み、また、その予防も含む。「予防」なる用語は、本明細書において、すでに罹患した対象の症状の予防または罹患した対象の症状の再発の予防を意味し、罹患の完全な予防に限定されるものではない。
【0097】
式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体は、示された疾患の治療のための標準的な方法において、例えば、経口、非経口、舌下、皮膚、鼻腔内、経皮、直腸、吸入またはバッカル投与によって投与されうる。
【0098】
経口により投与される場合に活性である式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の組成物は、シロップ剤、錠剤、カプセル剤およびロゼンジ剤として処方することができる。シロップ製剤は、一般に、例えばフレーバー剤もしくは着色料を含有する、エタノール、落花生油、オリーブ油、グリセリンまたは水のような液体担体中における化合物または塩の懸濁液または溶液からなる。組成物が錠剤の剤形である場合、固形製剤を調製するのに慣用的に使用されるいずれの医薬担体を用いてもよい。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびシュークロースが挙げられる。組成物がカプセル剤の剤形である場合、いずれの慣用的なカプセル封入も適当であり、例えば、上記の担体を用いてハードゼラチンカプセルシェルに封入する。組成物がソフトゼラチンカプセル剤の剤形である場合、分散液または懸濁液の調製に慣用的に使用されるいずれかの医薬担体、例えば、水性ガム、セルロース、珪酸塩または油が考えられ、ソフトゼラチンカプセルシェルに配合される。
【0099】
典型的な非経口組成物は、非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油を含有していてもよい滅菌水性または非水性担体中における化合物または誘導体の溶液または懸濁液からなる。
【0100】
吸入のための典型的な組成物は、乾燥粉末として、またはジクロロジフルオロメタンもしくはトリクロロフルオロメタンのような慣用の噴霧剤を用いるエアゾール剤の剤形で投与されうる溶液、懸濁液またはエマルジョンの形態である。
【0101】
典型的な坐剤製剤は、この方法で投与した場合に活性な式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体ならびに結合剤および/または滑沢剤、例えば、グリコール重合体、ゼラチン、カカオ脂または他の低融点植物性ワックスもしくは脂肪またはその合成アナログを含む。
【0102】
典型的な皮膚および経皮製剤は慣用的な水性または非水性ビヒクルを含むものであり、例えば、クリーム、軟膏、ローションまたはペーストであるか、または薬用硬膏剤、パッチ剤または膜剤の剤形である。
【0103】
好ましくは、組成物は単位投与形態、例えば、錠剤、カプセル剤または定量型エアゾール剤であり、それにより患者は単一投与量を投与できる。
【0104】
経口投与のための各投与単位は、適当には、遊離酸として計算された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を0.01mg/kg〜500mg/kg、例えば0.1mg〜500mg/kg、好ましくは0.01mg〜100mg/kg、例えば1mg/kg〜100mg/kgを含有し、非経口投与のための各投与量単位は、適当には、0.1mg〜100mg/kgを含有する。鼻腔内投与のための各投与量単位は、一人あたり適当には、1〜400mg、好ましくは、10〜200mgを含有する。局所製剤は、適当には、式(I)で示される化合物を0.01〜5.0%含有する。
【0105】
経口投与のための一日の投与方針は、適当には、遊離酸として計算された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が約0.01mg/kg〜40mg/kgである。非経口投与のための一日の投与方針は、適当には、遊離の酸として計算された式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が約0.001mg/kg〜40mg/kgである。鼻腔内投与および経口吸入のための一日の投与方針は、適当には、約10〜約500mg/人である。活性成分は所望の活性を示すのに十分な、一日に1〜6回投与されてもよい。
【0106】
本発明の化合物をナノ粒子として調製することは有益でありうる。これにより化合物の経口バイオアベイラビリティーが改善されうる。本発明の目的の場合、「ナノ粒子」は粒子の50%が1μm未満、より好ましくは0.75μm未満の粒度を有する固形粒子として定義される。
【0107】
式(I)で示される化合物の固形粒子の粒度はレ−ザー回析によって測定されうる。レーザー回析による粒度の測定に適当な機械はQUIXEL分散ユニットを装着したHELOS光学ベンチを用いるLecotracレーザー粒度分析器である。
【0108】
ナノ粒子形態の固形粒子の合成法は数多く知られている。典型的には、これらの方法は、微粉砕法、好ましくは、いったん形成されたナノ粒子の凝集および/または結晶成長を阻害する表面修飾剤の存在下における湿式微粉砕法を含む。別法では、これらの方法は、沈殿法、好ましくは、薬物の非水性溶媒中溶液から水性媒体中に沈殿させる方法を含みうる。
【0109】
したがって、さらなる態様において、本発明は、微粉砕または沈殿を含む、上記で定義されたようなナノ粒子形態の化合物(I)の調製法を提供する。
【0110】
ナノ粒子形態の固形粒子の調製のための代表的な方法は下記の特許および公報において記載される。
Violanto & Fischerの米国特許第4,826,689号、Liversidge et alの米国特許第5,145,684、
Na & Rajagopalanの米国特許第5,298,262号、Liversidge et alの米国特許第5,302,401号、
Na & Rajagopalanの米国特許第5,336,507号、Illig & Sarpotdarの米国特許第5,340,564号、
Na Rajagopalanの米国特許第5,346,702号、Hollister et alの米国特許第5,352,459号、
Lovrecichの米国特許第5,354,560号、Courteille et alの米国特許第5,384,124号、Juneの米国特許第5,429,824号、Ruddy et alの米国特許第5,503,723号、Bosch et alの米国特許第5,510,118号、Bruno et alの米国特許第5,518号、Eickhoff et alの米国特許第5,518,738号、De Castroの米国特許第5,534,270号、Canal et alの米国特許第5,536,508号、Liversidge et alの米国特許第5,552,160号、Eickhoff et alの米国特許第5,560,931号、Bagchi et alの米国特許第5,560,932号、Wong et alの米国特許第5,565,188号、Eickhoff et alの米国特許第5,571,536号、Desieno & Stetskoの米国特許第5,573,783号、Ruddy et alの米国特許第5,580,579号、Ruddy et alの米国特許第5,585,108号、Wongの米国特許第5,587,143号、Franson et alの米国特許第5,591456号、Wongの米国特許第5,622,938号、Bagchi et alの米国特許第5,662,883号、Bagchi et alの米国特許第5,665,331号、Ruddy et alの米国特許第5,718,919号、Wiedmann et alの米国特許第5,747,001号、WO93/25190、WO96/24336、WO 97/14407、WO 98/35666、WO 99/65469、WO 00/18374、WO 00/27369、WO 00/30615 および WO 01/41760。
【0111】
かかる方法はナノ粒子形態の化合物(I)の調製に容易に適応させることができる。かかる方法は本発明のさらなる態様を形成する。
【0112】
本発明の方法は、好ましくは、化合物のナノ粒子形態を製造するために、分散ミルのようなミルにて行われる湿式微粉砕工程を用いる。本発明は、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, Chapter 2,“Milling”p.45 (1986)において記載されるような慣用の湿式微粉砕技術を用いて実行してもよい。
【0113】
さらなる精製において、WO02/00196(SmithKline Beecham plc)には、ナノ粒子形態の薬物物質の固形粒子の調製において使用するための、表面の少なくとも一部が1種類またはそれ以上の内部滑沢剤を含むナイロン(ポリアミド)でできているミルを用いる湿式微粉砕法が記載されている。
【0114】
別の態様において、本発明は、WO02/00196に記載のように、少なくとも1つのチャンバーおよび攪拌手段を有するミル中において化合物の懸濁液を湿式微粉砕することを含む、ナノ粒子形態の本発明の化合物の調製法であって、該チャンバーおよび/または攪拌手段が潤滑化されたナイロンを含むものである、ナノ粒子形態の本発明の化合物の調製法を提供する。
【0115】
湿式微粉砕において使用するための本発明の化合物の懸濁液は、典型的には、液体媒体中における粗粒化合物の懸濁液である。「懸濁液」なる語は化合物が本質的には液体媒体に溶解しないことを意味する。代表的な液体媒体としては水性媒体が挙げられる。本発明の方法を用いると、本発明の粗粒化合物の平均粒度は直径1mmまでであり得る。これにより、有利には、化合物を前処理する必要が回避される。
【0116】
本発明のさらなる態様において、微粉砕に付すべき水性媒体は、化合物(I)を約1%〜約40%w/w、好ましくは約10%〜約30%w/w、より好ましくは約20%w/w含む。
【0117】
水性媒体は、さらに、立体安定化およびその後の微粉砕後の化合物(I)の医薬組成物への例えばスプレー乾燥による加工に適当な1種類またはそれ以上の医薬上許容される水溶性担体を含んでいてもよい。立体安定化およびスプレー乾燥に最も適当な医薬上許容される賦形剤は、ポロキサマー、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートなどのような界面活性剤;セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような安定剤;および炭水化物、例えば、マンニトールのような担体である。
【0118】
本発明のさらなる態様において、微粉砕に付すべき水性媒体は、さらに、約0.1〜約10%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含んでいてもよい。
【0119】
本発明の方法は、その後に、粉末を得るために本発明の化合物を乾燥する工程を含んでいてもよい。
【0120】
したがって、さらなる態様において、本発明は、ナノ粒子形態の式(I)で示される化合物を製造し、次いで、所望により、乾燥させて粉末を得ることを含む、本発明の化合物を含有する医薬組成物の調製法を提供する。
【0121】
本発明のさらなる態様は、ナノ粒子形態の固形粒子において存在する式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を1種類またはそれ以上の医薬上許容される担体または賦形剤と混合して含む医薬組成物である。
【0122】
「乾燥」とは、式(I)で示される化合物を液体懸濁液または溶液に維持するための工程の間に使用されたいずれかの水または他の液体ビヒクルの除去を意味する。この乾燥工程は凍結乾燥、スプレー造粒またはスプレー乾燥を包含する当該技術分野で知られているいずれの乾燥法であってもよい。これらの方法のうちスプレー乾燥が特に好ましい。これらの技術の全ては当該分野でよく知られている。微粉砕した組成物のスプレー乾燥/流動床造粒は、最も適当には、Mobile Minor Spray Dryer[デンマーク国のNiro]のようなスプレー乾燥器、またはドイツ国のGlattによるもののような流動床乾燥器を用いて行われる。
【0123】
さらなる態様において、本発明は、式(I)で示される化合物の固形粒子を湿式微粉砕し、次いで、得られた懸濁液をスプレー乾燥することによって得ることができる、乾燥粉末形態の、上記にて定義した医薬組成物を提供する。
【0124】
好ましくは、上記にて定義した医薬組成物は、さらに、15%w/w未満、好ましくは0.1〜10%w/wの範囲のHPMCを含む。
【0125】
本発明において用いるためのCB2受容体化合物は、他の治療薬、例えば、COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ、デラコキシブ(deracoxib)、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブまたはCOX−189;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;NSAID's、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、ナブメトンまたはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD's、例えば、メトトレキサート;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャネル遮断剤、例えば、ラモトリジン;NMDA受容体モジュレーター、例えば、グリシン受容体アンタゴニスト;ガバペンチンおよび関連化合物;三環式抗うつ剤、例えば、アミトリプチリン;ニューロン安定性抗癲癇薬;モノアミン作動性取り込み阻害剤、例えば、ベンラファキシン;オピオイド鎮痛剤;局所麻酔薬;5HT1アゴニスト、例えば、トリプタン、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタン;EP1受容体リガンド;EP4受容体リガンド;EP2受容体リガンド;EP3受容体リガンド;EP4アンタゴニスト;EP2アンタゴニストおよびEP3アンタゴニスト;ブラジキニン受容体リガンドおよびバニロイド受容体リガンド、抗関節リウマチ薬、例えば、抗TNF薬、例えば、エンブレル、レミケード、抗IL−1薬、またはDMARDS、例えば、レフルナミド(leflunamide)と組み合わせて使用してもよい。該化合物を他の治療薬と組み合わせて使用する場合、該化合物は、いずれかの好都合な経路によって連続的または同時に投与すればよい。
【0126】
付加的なCOX−2阻害剤は、米国特許第5,474,995号、米国特許第5,633,272号;米国特許第5,466,823号、米国特許第6,310,099号および米国特許第6,291,523号;およびWO96/25405、WO97/38986、WO98/03484、WO97/14691、WO99/12930、WO00/26216、WO00/52008、WO00/38311、WO01/58881およびWO02/18374において開示される。
【0127】
本発明の化合物は、5HT3アンタゴニスト、NK−1アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環式抗うつ剤および/またはドーパミン作動性抗うつ剤のような他の活性物質と組み合わせて投与することができる。
【0128】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当な5HT3アンタゴニストとしては、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが挙げられる。
【0129】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なセロトニンアゴニストとしては、スマトリプタン、ロウウォルスシン(rauwolscine)、ヨヒンビン、メトクロプラミドが挙げられる。
【0130】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なSSRIsとしては、フロキセチン、シタロプラム、フェモキセチン(femoxetine)、フルボキサミン、パロキセチン、インダルピン(indalpine)、セルトラリン、ジメルジン(zimeldine)が挙げられる。
【0131】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なSNRIsとしては、ベンラファキシンおよびレボキセチンが挙げられる。
【0132】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当な三環式抗うつ剤としては、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが挙げられる。
【0133】
本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適当なドーパミン作動性抗うつ剤としては、ブプロピオンおよびアミネプチンが挙げられる。
【0134】
上記の組み合わせまたは組成物の化合物を同時に(同じまたは異なる医薬処方において)、別々にまたは逐次的に投与してもよいことは明らかであろう。
【0135】
かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体とさらなる治療剤とを含む組み合わせを提供する。
【0136】
上記の組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態における使用のために提供されてもよく、かくして、上記の組み合わせと医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬処方は本発明のさらなる態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、別々または一緒にした医薬処方において、連続的または同時に投与してもよい。
【0137】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が同じ病態に対する活性がある第二の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、該化合物の単独使用の場合と異なっていてもよい。当業者であれば適当な投与量は容易に明らかであろう。
【0138】
カンナビノイドCB1受容体アゴニスト活性の測定
下記の実験方法に従って式(I)で示される化合物のカンナビノイドCB1受容体アゴニスト活性を測定した。
【0139】
実験方法
ヒトカンナビノイドCB1受容体を発現している酵母(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))細胞を、酵母MMY23株のura3染色体座中への発現カセットの組み込みによって作成した。このカセットは、酵母GPDプロモーターがCB1の5’末端側に隣接し、酵母転写ターミネーター配列がCB1の3’末端側に隣接するヒトCB1受容体をコードしているDNA配列から構成された。MMY23は、Gpa1のC末端5アミノ酸がヒトGαi3のC末端5アミノ酸に置き換わっている酵母/哺乳動物キメラG−タンパク質アルファサブユニットを発現する(Brown et al. (2000), Yeast 16:11-22に記載のように)。ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠く液体Synthetic Complete(SC)酵母培地(Guthrie and Fink (1991), Methods in Enzymology, Vol. 194)中にて30℃で細胞を後期対数期まで増殖させた(約6OD600/ml)。
【0140】
アゴニストをDMSO中10mMストックとして調製した。DMSO中3〜5倍希釈(BiomekFX、Beckman)を用いてEC50値(50%最大応答を生じるのに必要な濃度)を概算した。DMSO中におけるアゴニスト溶液(1%最終アッセイ容量)をNUNCからの黒色透明底マイクロタイタープレート(96ウェルまたは384ウェル)中に移した。10mM 3−アミノトリアゾール、0.1Mリン酸ナトリウムpH7.0および20μMフルオレセインジ−β−D−グルコピラノシド(FDGlu)を加えた、ヒスチジン、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠くSC培地中に細胞を0.2OD600/ml密度で懸濁させた。該混合物(384ウェルプレートの場合は50μl/ウェル、96ウェルの場合は200μl/ウェル)をアッセイプレート(Multidrop 384、Labsystems)中のアゴニストに加えた。30℃で24時間インキュベートした後、アゴニスト刺激性細胞増殖の間に生じた内在性酵母酵素であるエキソグルカナーゼによるFDGluのフルオレセインへの分解に起因する蛍光を、Spectrofluorマイクロタイタープレートリーダー(Tecan;励起波長:485nm;発光波長:535nm)を用いて測定した。蛍光を化合物濃度に対してプロットし、4パラメーター・フィットを用いて曲線の当て嵌めを繰り返し行って濃度効果値を得た。効力(Emax)は、方程式:
Emax=Max[化合物X]−Min[化合物X]/Max[HU210]−Min[HU210]×100%
[式中、Max[化合物X]およびMin[化合物X]は、それぞれ、化合物Xの濃度効果曲線からの当て嵌められた最大値および最小値であり、Max[HU210]およびMin[HU210]は、それぞれ、(6aR,10aR)−3−(1,1'−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール(HU210;Tocrisから入手可能)の濃度効果曲線からの当て嵌められた最大値および最小値である]
から算出された。等有効モル比(EMR)値は、方程式:
EMR=EC50[化合物X]/EC50[HU210]
[式中、EC50[化合物X]は化合物XのEC50であり、EC50[HU210]はHU210のEC50である]
から算出された。
この方法に従って試験された実施例の化合物はクローン化ヒトカンナビノイドCB1受容体でのEC50値が>30,000nMであった。
【0141】
カンナビノイドCB2受容体アゴニスト活性の測定
下記の実験方法に従って式(I)で示される化合物のカンナビノイドCB2受容体アゴニスト活性を測定した。
【0142】
実験方法
ヒトカンナビノイドCB2受容体を発現している酵母(サッカロミセス・セレビシエ)細胞を、酵母MMY23株のura3染色体座中への発現カセットの組み込みによって作成した。このカセットは、酵母GPDプロモーターがCB2の5'末端側に隣接し、酵母転写ターミネーター配列がCB2の3'末端側に隣接するヒトCB2受容体をコードしているDNA配列から構成された。MMY23は、Gpa1のC末端5アミノ酸がヒトGαi3のC末端5アミノ酸に置き換わっている酵母/哺乳動物キメラG−タンパク質アルファサブユニットを発現する(Brown et al. (2000), Yeast 16:11-22に記載のように)。ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠く液体Synthetic Complete(SC)酵母培地(Guthrie and Fink (1991), Methods in Enzymology, Vol. 194)中にて30℃で細胞を後期対数期まで増殖させた(約6OD600/ml)。
【0143】
アゴニストをDMSO中10mMストックとして調製した。DMSO中3〜5倍希釈(BiomekFX、Beckman)を用いてEC50値(50%最大応答を生じるのに必要な濃度)を概算した。DMSO中におけるアゴニスト溶液(1%最終アッセイ容量)をNUNCからの黒色透明底マイクロタイタープレート(96ウェルまたは384ウェル)中に移した。10mM 3−アミノトリアゾール、0.1Mリン酸ナトリウムpH7.0および20Mフルオレセインジ−β−D−グルコピラノシド(FDGlu)を加えた、ヒスチジン、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンを欠くSC培地中にて細胞を0.2OD600/ml密度で懸濁した。該混合物(384ウェルプレートの場合は50μl/ウェル、96ウェルの場合は200μl/ウェル)をアッセイプレート(Multidrop 384、Labsystems)中のアゴニストに加えた。30℃で24時間インキュベートした後、アゴニスト刺激性細胞増殖の間に生じた内在性酵母酵素であるエキソグルカナーゼによるFDGluのフルオレセインへの分解に起因する蛍光を、Spectrofluorマイクロタイタープレートリーダー(Tecan;励起波長:485nm;発光波長:535nm)を用いて測定した。蛍光を化合物濃度に対してプロットし、4パラメーター・フィットを用いて曲線の当て嵌めを繰り返し行って濃度効果値を求めた。効力(Emax)は、方程式:
【0144】
Emax=Max[化合物X]−Min[化合物X]/Max[HU210]−Min[HU210]×100%
[式中、Max[化合物X]およびMin[化合物X]は、それぞれ、化合物Xの濃度効果曲線からの当て嵌められた最大値および最小値であり、Max[HU210]およびMin[HU210]は、それぞれ、(6aR,10aR)−3−(1,1'−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール(HU210;Tocrisから入手可能)の濃度効果曲線から当てはめられた最大および最小値である]
から算出された。等有効モル比(EMR)値は、方程式:
【0145】
EMR=EC50[化合物X]/EC50[HU210]
[式中、EC50[化合物X]は化合物XのEC50であり、EC50[HU210]はHU210のEC50である]
から算出された。
【0146】
この方法に従って試験された実施例1〜4、15、17〜24、44〜58、70〜73および78の化合物はクローン化ヒトカンナビノイドCB2受容体でのEC50値が300nM未満であり、効力値が>50%であった。
【0147】
実施例5〜8、14、16、および25〜32、74〜76の化合物はクローン化ヒトカンナビノイドCB2受容体でのEC50値が>300nMであるが<1000nMであり、効力値が>50%であった。
【0148】
実施例9〜13、33〜43および59〜69、77および79の化合物はクローン化ヒトカンナビノイドCB2受容体でのEC50値が>1000nMであり、および/または効力値が<50%であった。
【0149】
以下の実施例は例示的なものであり、本発明の実施態様を制限するものではない。
【0150】
本明細書において以下のように表す略語を使用する。
THFはテトラヒドロフランである;
DDQは2,3,−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンである;
PTFEはポリテトラフルオロエチレンである;
HPLCは高速液体クロマトグラフィーである;
DMFはN,N−ジメチルホルムアミドである;
EtOHはエタノールである。
【0151】
全てのNMR実験データは特記しない限り400MHzで記録された。
【0152】
質量特異的自動精製に使用された条件、ハードウェアおよびソフトウェア
ハードウェア
Waters 600勾配ポンプ、Waters 2700サンプルマネージャー、Waters Reagent Manager、Micromass ZMD質量分析計、Gilson 202−フラクションコレクター、Gilson Aspec−廃液コレクター
【0153】
ソフトウェア
Micromass Masslynxバージョン3.5
【0154】
カラム
使用カラムは、典型的には、内径10mm×長さ100mmの寸法のSupelco ABZ+カラムである。固定相粒度は5μmである。
【0155】
溶媒
A.水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B.有機溶媒=MeCN:水(95:5)+0.05%ギ酸
メイクアップ溶媒=MeOH:水(80:20)+50mMol酢酸アンモニウム
針リンス溶媒=MeOH:水:DMSO(80:10:10)
【0156】
方法
目的化合物の分析保持時間に依存する5つの方法を用いる。
それらは全て流速が20ml/分であり、実行時間が10分の勾配に次ぐ5分のカラム洗浄および再平衡化工程からなる15分である。
方法1 MDP 1.5−2.2 = 0−30%B
方法2 MDP 2.0−2.8 = 5−30%B
方法3 MDP 2.5−3.0 = 15−55%B
方法4 MDP 2.8−4.0 = 30−80%B
方法5 MDP 3.8−5.5 = 50−90%B
【0157】
Biotage Horizon HPFC Systemに使用された条件、ハードウェアおよびソフトウェア
カラム:Biotage C18HS 25+S
フラクション体積:9ml; UV閾値:0.03AU
溶媒A=水、B=アセトニトリル;勾配:
体積(ml) A B
0 70% 30%
240 0% 100%
【0158】
記載例1: 6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸メチル
【化12】

6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸メチル(0.7g、Fluorochemから)および3−クロロアニリン(0.62mL)の混合物を120℃で6時間加熱した。該反応混合物を固化し、粗製結晶をそれ以上精製せずに次工程に使用した。
LC−MS(ESI+):t=10.20分、(MH+) 331および333。
【0159】
記載例2: 6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸・塩酸塩
【化13】

6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸メチル(記載例1)(1.0g)のエタノール(5mL)中懸濁液に水酸化カリウム(510mg)の水(5mL)中溶液を添加し、該溶液を還流下にて30分間撹拌した。減圧下でエタノールを除去した後、該混合物を水(10mL)で希釈し、ジクロロメタンで2回洗浄した。濃塩酸を添加してpHを1に調節し、沈殿した固体を濾過し、60℃で真空乾燥して6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸をその塩酸塩として得た(0.62g)。
LC−MS(ESI+):t=8.51分、(MH+) 317および319。
【0160】
記載例3: 6−クロロ−4−イソプロピル−ニコチン酸
【化14】

窒素下にて0℃の6−クロロニコチン酸(Aldrich)(6.0g)の乾燥テトラヒドロフラン(100ml)中溶液にテトラヒドロフラン中2Mイソプロピルマグネシウムブロミド(48ml)を1時間にわたって滴下し、該溶液を0℃で3時間攪拌し、次いで、室温で15時間攪拌した。−60℃に冷却し、酢酸(48ml)、テトラヒドロフラン(40ml)および酢酸マンガン(III)・二水和物(20.4g)を連続的に添加した。該混合物を−70℃で30分間撹拌し、次いで、室温で1時間攪拌した。懸濁液をCeliteで濾過し、濾液を減圧蒸発させた。残留物をジクロロメタン(150ml)と水(120ml)との間で分配させ、水性層を分取し、ジクロロメタン(2×50ml)で洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧蒸発させ、イソヘキサン:酢酸エチル(3:1)を用いてシリカゲルクロマトグラフィー処理した後、6−クロロ−4−イソプロピル−ニコチン酸(2.31g)を得た。
NMR(DMSO−d6)δ 1.21(6H,d)、3.76(1H,m)、7.60(1H,s)、8.67(1H,s)、13.55(1H,br s)。
LC/MS t=2.6分、[MH+] 200、分子式C91035ClNO2と一致。
【0161】
記載例4: 6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチン酸
【化15】

6−クロロ−4−イソプロピル−ニコチン酸(記載例3)(0.50g)および3−クロロアニリン(265mg)の混合物を120℃で1.5時間攪拌した。イソプロパノールを添加し、該混合物を冷却した。不溶性固体を濾過し、イソプロパノールおよびエーテルで連続的に洗浄し、50℃で真空乾燥させて6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチン酸を得た(0.51g)。
NMR(DMSO−d6)δ 1.19(6H,d)、3.93(1H,m)、6.85(1H,s)、6.99(1H,d)、7.31(1H,t)、7.53(1H,d)、8.00(1H,s)、8.64(1H,s)、9.73(1H,s)、12.6(1H,br s)。
LC/MS t=3.63分、[MH+] 291、分子式C151535ClNO2と一致。
【0162】
記載例5: 6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−ニコチンアミド
【化16】

窒素下にて0℃の6−クロロニコチノイルクロリド(Lancaster Synthesis)(6.46g)のジクロロメタン(60ml)中溶液に4−フルオロベンジルアミン(4.6g)およびトリエチルアミン(5.57g)のジクロロメタン(60ml)中溶液を1時間にわたって滴下した。撹拌を1時間続け、該反応を周囲温度に加温した。該溶液をジクロロメタンで希釈し、1M塩酸水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液および水で洗浄した。乾燥させた(Na2SO4)有機層を蒸発乾固させ、ジクロロメタンと一緒にトリチュレートして6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−ニコチンアミド(6.83g)を得た。
NMR(d6−DMSO)δ 4.47(2H,d)、7.18(2H,t)、7.37(2H,m)、7.66(1H,d)、8.28(1H,d)、8.85(1H,s)、9.31(1H,t)。
LC/MS t=2.50分、[MH+] 265
【0163】
記載例6: 6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド
【化17】

窒素下にて0℃の6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−ニコチンアミド(記載例5)(6.83g)のTHF(35ml)中撹拌溶液にイソプロピルマグネシウムクロリド(テトラヒドロフラン中2M、38ml)を30分間にわたって滴下した。周囲温度で16時間攪拌した後、該溶液を0℃に冷却し、乾燥メタノール(6ml)で3分間にわたって処理した。15分後、DDQ(6.45g)を添加し、撹拌を30分間続けた。該混合物を6〜7mlに減圧濃縮した。油状物を50℃に加温し、t−ブチルメチルエーテル(120ml)で処理し、55℃で1時間攪拌した。該混合物を濾過し、固体をt−ブチルメチルエーテルで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、残留物をシリカゲル(40g)にてBiotageクロマトグラフィー処理し、イソヘキサン/酢酸エチル(7:3)で溶離することにより精製して6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド(4.45g)を得た。
NMR(d6−DMSO)δ 1.20(6H,d)、3.22(1H,多重項)、4.46(2H,d)、7.18(2H,t)、7.39(2H,m)、7.55(1H,s)、8.37(1H,s)、9.15(1H,t)。
LC/MS t=3.0分、[MH+] 307
【0164】
記載例7: 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチル−ニコチン酸
【化18】

記載例1からの粗製混合物にKOH(1.68g、31mmol)のEtOH/H2O(1:1)30mL中溶液を添加し、得られた混合物を還流下にて3時間撹拌した。該溶液を真空濃縮し、水で希釈し、ジエチルエーテルで3回(3×15mL)洗浄した。水性層を37%HClでpH1に酸性化すると標記化合物が塩酸塩として沈殿し、それを濾過し、真空乾燥させた。次いで、この固体(2.05g、5.82mmol)をPS−ジイソプロピルエチルアミン(1.5g、5.8mmol、負荷3.88mmol/g、Argonaut Technologiesから)の存在下にてジクロロメタン(25mL)に懸濁させ、室温で30分間撹拌した。樹脂を濾過し、溶媒を真空蒸発させた後、標記化合物を白色固体として単離した(1.5g)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:13.16(s br,1H);10.28(s,1H);8.80(s,1H);8.01(dd,1H);7.58(ddd,1H);7.35(dd,1H);7.28(s,1H);7.06(ddd,1H)。
MS m/z(ESI+):317(MH+)。
【0165】
記載例8: C−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メチルアミン・二塩酸塩
(a)4−ブロモメチル−2−フルオロ−ピリジン
2−フルオロ−4−メチルピリジン(1.0g、Lancasterから)の四塩化炭素(10ml)中溶液にN−ブロモスクシンイミド(1.6g、Lancasterから)および1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(100mg、Aldrichから)を添加した。次いで、該混合物を24時間還流させた。四塩化炭素を減圧除去し、粗製油状固体を精製せずに次工程にて使用した。
LC/MS、t=2.38分、[MH+] 190および192。
【0166】
(b)(2−フルオロ−ピリジン−4−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化19】

氷浴中の粗製4−ブロモメチル−2−フルオロ−ピリジンに25%アンモニア溶液(10ml、BDHから)を添加し、該混合物を0℃で5時間攪拌した。アンモニア溶液を減圧除去し、黄色油状固体残留物をジクロロメタン(10ml)およびジメチルホルムアミド(1ml)に溶解させた。該溶液を氷浴中にて冷却し、トリエチルアミン(1.5ml、BDHから)を添加し、次いで、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(1.0g、Avocadoから)を添加した。該溶液を0℃で1時間攪拌し、次いで、ジクロロメタンを減圧除去した。残留物を酢酸エチルに溶解し、水で2回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて黄色油状物を得た。これをBiotageクロマトグラフィー(100g、シリカカラム)処理してヘキサン中30%酢酸エチルで溶離することにより精製して標記化合物を白色固体として得た(358mg)。
NMR(DMSO−d6)δ 1.40(9H,s)、4.20(2H,d)、6.97(1H,s)、7.20(1H,d)、7.60(1H,t)、8.17(1H,d)
LC/MS、t=2.60分、[M−Me2C=CH2+H]+ 171
【0167】
c)室温にて(2−フルオロ−ピリジン−4−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(350mg)を1,4−ジオキサン中4N塩酸(5ml)で処理し、2時間攪拌した。白色沈澱物を濾過し、新鮮なエーテルで洗浄し、乾燥させて標記化合物を得た(200mg)。
NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 4.14(2H,d)、7.38(1H,s)、7.51(1H,d)、8.28(1H,d)、8.82(3H,s)。
【化20】

【0168】
記載例9: 6−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチル−ニコチン酸メチルエステル
【化21】

6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸メチル(2.0g、8.37mmol、Fluorochemから)および2,3−ジクロロアニリン(4.06g、25mmol)の混合物を130℃で18時間加熱して標記化合物を得、それ以上は精製せずに次工程に用いた。
MS m/z(ESI+):365(MH+)。
【0169】
記載例10: 6−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチル−ニコチン酸
【化22】

記載例9からの粗製混合物にKOH(1.4g、25mmol)のEtOH/H2O(1:1)20mL中溶液を添加し、得られた混合物を還流下にて3時間攪拌した。該溶液を真空濃縮し、水で希釈し、ジエチルエーテルで3回(3×15mL)洗浄した。水性層を37%HClでpH1に酸性化すると標記化合物が塩酸塩として沈殿し、これを濾過し、真空乾燥させた。次いで、この固体(2.7g、7mmol)をPS−ジイソプロピルエチルアミン(1.80g、7mmol、負荷3.88mmol/g、Argonaut Technologiesから)の存在下にてジクロロメタン(20mL)に懸濁させ、室温で30分間撹拌した。樹脂を濾過し、溶媒を真空蒸発させた後、標記化合物を白色固体として単離した(2.45g)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:13.17(s br,1H);9.61(s,1H);8.68(s,1H);7.88(dd,1H);7.44(dd,1H);7.42(s,1H);7.37(dd,1H)。
MS m/z(ESI+):351(MH+)。
【0170】
記載例11: 6−(2,4−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチル−ニコチン酸メチルエステル
【化23】

6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸メチル(2.0g、8.37mmol、Fluorochemから)および2,4−ジクロロアニリン(4.05g、25mmol)の混合物を130℃で15時間加熱して標記化合物を得、それ以上は精製せずに次工程に使用した。
MS m/z(ESI+):365(MH+)。
【0171】
記載例12: 6−(2,4−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチル−ニコチン酸
【化24】

記載例11からの粗製混合物にKOH(1.4g、25mmol)のEtOH/H2O(1:1)20mL中溶液を添加し、得られた混合物を還流下にて3時間攪拌した。該溶液を真空濃縮し、水で希釈し、ジエチルエーテルで3回(3×15mL)洗浄した。水性層を37%HClでpH1に酸性化すると標記化合物が塩酸塩として沈殿し、それを濾過し、真空乾燥させた。次いで、この固体(2.89g、7.5mmol)をPS−ジイソプロピルエチルアミン(1.93g、7.5mmol、負荷3.88mmol/g、Argonaut Technologiesから)の存在下にてジクロロメタン(20mL)に懸濁させ、室温で30分間撹拌した。樹脂を濾過し、溶媒を真空蒸発させた後、標記化合物を白色固体として単離した(2.62g)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:13.16(s br,1H);9.49(s,1H);8.67(s,1H);7.94(d,1H);7.67(d,1H);7.43(dd,1H);7.40(s,1H)。
MS m/z(ESI+):351(MH+)。
【0172】
記載例13: 6−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−N−(シクロブチル)−4−トリフルオロメチル−ニコチンアミド
【化25】

6−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルニコチン酸(記載例10)(50mg、0.14mmol)のジメチルホルムアミド(3mL)中溶液にN−メチルモルホリン(48uL、0.43mmol)、シクロブチルアミン(13mg、0.18mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(30mg、0.22mmol)、1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(32mg、0.17mmol)を添加した。室温で6時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧蒸発させ、ジクロロメタンを添加した。該溶液を5%NaHCO3の水溶液(5mL)で洗浄し、水(10mL)で洗浄し、次いで、食塩水(2×3mL)で洗浄し、減圧蒸発させた。粗製残留物をジエチルエーテルと一緒にトリチュレートし、濾過し、真空乾燥させて標記化合物を得た(46mg、収率=81%)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:9.27(s br,1H);8.66(d br,1H);8.27(s,1H);7.90(dd,1H);7.42−7.31(m,3H);4.30(m,1H);2,21(m,2H);1.97(m,2H);1.66(m,2H)。
MS m/z(EI+);TSQ 700;source 180℃;70V;200uA:403(M+.)、375、332。
【0173】
記載例14: 6−(2,4−ジクロロ−フェニルアミノ)−N−(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−4−トリフルオロメチル−ニコチンアミド
【化26】

6−(2,4−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルニコチン酸(記載例12)(75mg、0.21mmol)のジクロロメタン3mL中溶液に1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(33mg、0.24mmol)、テトラヒドロピラン−4−イルメチルアミン(17mg、0.14mmol)およびPS−カルボジイミド(218mg、0.28mmol、負荷1.31mmol/g、Argonaut Technologiesから)を添加した。室温で一夜オービタル振盪した後、樹脂を濾過し、ジクロロメタンで繰り返し洗浄し;濾液を5%NaHCO3の水溶液で処理した。有機層をPhase Separatorカートリッジで分取し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空蒸発させた。固体残留物をアセトニトリルと一緒にトリチュレートし、濾過し、真空乾燥させて標記化合物を得た(44mg、収率=46%)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:9.18(s,1H);8.48(t br,1H);8.27(s,1H);7.98(d,1H);7.66(d,1H);7.42(dd,1H);7.37(s,1H);3.84(dd,2H);3.26(dd,2H);3.10(dd,1H);1.74(m,1H);1.60(d br,2H);1.18(m,2H)。
MS m/z(EI+);TSQ 700;source 180℃;70V;200uA:447(M+.)、412、333、314。
【0174】
記載例15: (6−メチル−ピリジン−3−イル)−メチルアミン・二塩酸塩
【化27】

5−シアノ−2−メチルピリジン(Lancasterから)(0.5g)、ラネーニッケル(0.5g)および酢酸(15ml)の混合物を50psiで24時間水素添加した。触媒を濾去し、濾液を減圧蒸発させた。水(20ml)を添加し、該溶液を炭酸ナトリウムでpH9に塩基性化した。該混合物をジクロロメタン(25ml、次いで、2×10ml)で抽出し、合わせた抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧蒸発させた。残留物をエーテルに溶解し、該溶液をジオキサン中4N塩化水素(1.5ml)で処理した。溶媒を減圧除去し、熱イソプロパノールと一緒にトリチュレートした後、(6−メチル−ピリジン−3−イル)−メチルアミン・二塩酸塩(35mg)を得た。
NMR(DMSO−d6) δ 2.71(3H,s)、4.19(2H,d)、7.84(1H,d)、8.43(1H,d)、8.66(3H,br s)、8.86(1H,s)。
【0175】
記載例16: 6−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【化28】

4,4,4−トリフルオロアセト酢酸エチル(14.7mL、0.1mol、1.6当量)、アクリルアミド(4.5g、0.063mol、1.0当量)およびp−トルエンスルホン酸(0.156g、0.82mmol、0.013当量)のトルエン(60mL)中混合物を、水を共沸除去しながら(ディーン−スターク条件)、38時間還流させた。次いで、大気圧下にてトルエンをゆっくりと蒸留することによって反応混合物を少量に濃縮した。トルエン(60mL)を添加し、再度、トルエンをゆっくりと蒸留することにより反応混合物を濃縮した。この操作を3回繰り返した後、反応混合物を真空濃縮し、固体残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離勾配:ヘキサン/酢酸エチル(9:1)からヘキサン/酢酸エチル(8:2)まで)により精製した。標記化合物を茶色がかった固体として得た(3.8g、収率=25%)。
LC−MS(ESI+)、MH+:238、210、190。
【0176】
記載例17 6−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル
【化29】

6−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチルエステル(記載例16)(4.7g、19.8mmol、1当量)およびN−ブロモスクシンイミド(3.51g、19.8mmol、1当量)の四塩化炭素15mL中溶液を還流下にて20時間加熱した。得られた沈澱物を濾過し、濾液を減圧濃縮して茶色がかった固体を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離勾配:ヘキサン/酢酸エチル(9:1)からヘキサン/酢酸エチル(8:2)まで)により精製した。標記化合物を白色固体として得た(4.3g、収率=92%)。
LC−MS(ESI+)、MH+:236。
【0177】
記載例18 6−クロロ−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル
【化30】

6−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル(記載例17)(2.6g、11.0mmol、1.0当量)およびジクロロリン酸フェニル(2.47mL、16.5mmol、1.5当量)の混合物をマイクロ波照射下にて30分間加熱した(170℃、仕事率=70W)。反応混合物を氷中に注ぎ、20分間撹拌し、酢酸エチル(50mL)で希釈した。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(50mL)の添加によりpHを10に調節し、次いで、有機層を分取し、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。得られた固体残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離勾配:ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル(98:2)まで)により精製して標記化合物1.7gを得た(収率=61%)。
LC−MS(ESI+)、MH+:254および256。
【0178】
記載例19 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル
【化31】

6−クロロ−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル(記載例18)(1.4g、5.53mmol、1.0当量)および3−クロロアニリン(2.91mL、27.6mmol、5.0当量)の混合物を160℃で52時間加熱して黒色固体を得、それ以上は精製せずに次工程に使用した。
LC−MS(ESI+)、MH+:345および347。
【0179】
記載例20 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸・塩酸塩
【化32】

KOH(1.18g)の水(25mL)中溶液を記載例19からの粗製6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステルのエタノール(25mL)中混合物に添加し、8時間還流した。減圧下にてエタノールを蒸発させた後、該反応混合物を水(35mL)で希釈し、ジエチルエーテル(200mL×5回)で繰り返し洗浄した。水性層を濃HClで処理してpHを3に調節し、塩酸塩として沈殿した標記化合物を濾過し、オーブン中にて40℃で乾燥させた(1.71g)。
LC−MS(ESI+)、MH+:317および319。
【0180】
酸とカップリングさせて実施例の化合物を製造するアミンは、C−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−メチルアミン・二塩酸塩(記載例8)、およびCAS登録番号53332−80−2を有しており、合成方法が文献に開示されているC−(1H−イミダゾール−2−イル)−メチルアミン、4−アミノメチル−ベンズアミド(実施例8)(UpJohnの特許出願公開WO97/45403 (1997))、N−(4−アミノメチル)−フェニル)−メタンスルホンアミド(実施例12)(Scheringの特許出願公開WO90/00548)、公知の手段により塩酸塩に転換できる遊離塩基をWO94/17035の記載に従って製造する4−アミノメチル−N−メチル−ベンズアミド(実施例13)を除く全てが商業的に入手可能である。
【0181】
実施例1: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリジン−5−カルボン酸(ピリジン−4−イルメチル)アミド
【化33】

6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸・塩酸塩(記載例2)(0.2g)のジメチルホルムアミド(5mL)中溶液にN−メチルモルホリン(283μL)、C−ピリジン−4−イル−メチルアミン(62μL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・水和物(104mg)、1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(118mg)を添加した。室温で6時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドを減圧蒸発させ、ジクロロメタンを添加した。該溶液を炭酸カリウムの5%水溶液(5mL)で洗浄し、次いで、食塩水(2×3mL)で洗浄し、減圧蒸発させた。クロマトグラフィー精製(シリカゲル;ヘキサン:酢酸エチル(8:2))により標記化合物を得た(62mg)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6) δ 9.95(1H,br s)、9.1(1H,t)、8.55(3H,m)、8.05(1H,s)、7.5(1H,d)、7.35(3H,t)、7.22(1H,s)、7.05(1H,d)、4.5(2H,d)。
MS m/z(EI+):406および408(M+.)、299、236。
IR(KBr):3467cm-1、3248、1646。
【0182】
実施例2: 2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリジン−5−カルボン酸ベンジルアミド
【化34】

上記の方法と同様の方法で6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸・塩酸塩(記載例2)(0.2g)とベンジルアミン(67μL)とを反応させて2−(3−クロロフェニルアミノ)−4−トリフルオロメチルピリジン−5−カルボン酸ベンジルアミド(48mg)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 9.9(1H,s)、9.0(1H,t)、8.5(1H,s)、8.02(1H,s)、7.5(1H,d)、7.15−7.4(7H,m)、7.02(1H,d)、4.45(2H,d)。
MS m/z(EI+):405および407(M+.)、336、299、236。
IR(KBr):3401cm-1、3308、1648。
【0183】
実施例3: 6−(3−クロロフェニルアミノ)−N−(4−フルオロベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド
【化35】

6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチン酸(記載例4)(48mg)のジメチルホルムアミド(2.5ml)中溶液にN−エチルモルホリン(69μl)、4−フルオロベンジルアミン(23μl)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・水和物(40mg)および1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(40mg)を連続的に添加した。該溶液を3時間攪拌し、一夜放置した。ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル(8ml)を添加した。該溶液を5%重炭酸ナトリウム水溶液(5ml)、水(5ml)および食塩水(2×5ml)で逐次的に洗浄した。乾燥させた(MgSO4)溶液を蒸発させて標記化合物を得た(56mg)。
NMR(DMSO−d6)δ 1.15(6H,d)、3.43(1H,m)、4.41(2H,d)、6.79(1H,s)、6.93(1H,d)、7.17(2H,t)、7.28(1H,t)、7.38(2H,m)、7.46(1H,d)、8.06(1H,t)、8.21(1H,s)、8.91(1H,t)、9.44(1H,s)。
LC/MS t=3.5分、[MH+] 398。
【0184】
表1
実施例3に記載した方法と同様の方法で実施例4〜13の化合物を製造した。
【表1−1】


【表1−2】

【0185】
実施例14: N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−ニコチンアミド
【化36】

6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド(記載例6)(80mg)、3−トリフルオロメチル−アニリン(63mg)、メタンスルホン酸(50mg)、および1,4−ジオキサン(0.8ml)の混合物をマイクロ波装置にて180℃で30分間加熱した。該混合物をメタノール(3ml)で希釈し、Biotage Horizon HPFC Systemにて精製してN−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−ニコチンアミド(43mg)を得た。
NMR(d6−DMSO)δ 1.20(6H,d)、3.47(1H,m)、4.42(2H,d)、6.85(1H,s)、7.1−7.3(3H,m)、7.4(2H,br s)、7.5(1H,m)、7.85(1H,d)、8.25(1H,s)、8.35(1H,s)、8.95(1H,br s)、9.65(1H,s)。
LC/MS t=3.69分、[MH+] 432、分子式C201543Oと一致。
【0186】
実施例15: 6−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド
【化37】

6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド(記載例6)(100mg)、3−クロロ−4−フルオロアニリン(47mg)、メタンスルホン酸(31mg)、および1,4−ジオキサン(1ml)の混合物にマイクロ波装置にて180℃で30分間照射した。該溶液を蒸発させ、残留物を酢酸エチルと食塩水との間で分配させた。有機層を食塩水で洗浄し、蒸発させた。残留物をBiotage Horizon HPFC Systemにて精製して白色固体として6−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド(41mg)を得た。
NMR(d6−DMSO)δ 1.12(6H,d)、3.42(1H,多重項)、4.40(2H,d)、6.77(1H,s)、7.19(2H,t)、7.3−7.4(3H,m)、7.45−7.5(1H,m)、8.17(1H,dd)、8.21(1H,s)、8.9(1H,t)、9.45(1H,s)。
LC/MS t=3.50分、[MH+] 416、分子式C222035ClF23Oと一致。
【0187】
実施例16: 6−(2−シアノ−3−メチル−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド
【化38】

6−クロロ−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド(記載例6)(100mg)、2−アミノ−6−メチル−ベンゾニトリル(43mg)、炭酸セシウム(168mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Aldrichから、3.36mg)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(Aldrichから、2.3mg)および1,4−ジオキサン(1ml)の混合物を窒素下にて24時間加熱還流させた。冷却した後、該混合物を酢酸エチルで希釈し、PTFEディスク(1.0M)ディスクで濾過し、濾液を蒸発させた。Biotage Horizon HPFC Systemを用いて残留物を精製し、得られた生成物をエーテルと一緒にトリチュレートし、エーテルで洗浄し、40℃で真空乾燥させて6−(2−シアノ−3−メチル−フェニルアミノ)−N−(4−フルオロ−ベンジル)−4−イソプロピル−ニコチンアミド(15mg)を得た。
NMR(d6−DMSO) 1.16(6H,d)、2.46(3H,s)、3.35−3.45(1H,m)、4.36−4.47(2H,m)、6.95(1H,s)、7.08(1H,d)、7.13(1H,t)、7.35(2H,m)、7.39(2H,t)、7.68(1H,d)、8.07(1H,s)、8.9(1H,m)、9.14(1H,s)。
LC/MS t=3.27分、[MH+] 403、分子式C2423FN4Oと一致。
【0188】
表2
実施例14(方法A)または実施例15(方法B)と同様の方法で実施例17〜24の化合物を製造した。
【表2−1】


【表2−2】

【0189】
表3
実施例14(方法A)または実施例15(方法B)と同様の方法で実施例25〜32の化合物を製造した。
【表3−1】


【表3−2】

【0190】
表4
実施例14(方法A)、実施例15(方法B)または実施例16(方法C)と同様の方法で実施例33〜42の化合物を製造した。
【表4−1】


【表4−2】

【0191】
実施例43: 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−N−(1H−イミダゾール−2−イルメチル)−4−トリフルオロメチル−ニコチンアミド
【化39】

6−(3−クロロフェニルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−ニコチン酸(記載例7)(0.07g、0.22mmol)の乾燥ジクロロメタン(3mL)中溶液にPS−カルボジイミド(0.31g、0.4mmol、負荷1.31mmol/g、Argonaut Technologiesから)および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(0.046g、0.34mmol)を添加し、該混合物を室温で一夜撹拌した。樹脂を濾過し、ジクロロメタンで繰り返し洗浄し、次いで、溶媒を真空除去した。固体残留物を無水N−メチルピロリドン(1mL)に溶解し、2−アミノメチルイミダゾール(19mg、0.22mmol)を添加した。該溶液を封管中でマイクロ波照射下にて140℃で30分間加熱した(仕事率=20〜30W)。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%K2CO3の水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧蒸発させた。分取HPLC(Symmetry C18カラム)でクロマトグラフィー精製し、水/TFA(99.9:0.1)(A)およびCH3CN/TFA(99.9:0.1)(B)の溶媒系を用いて以下の勾配:5%B(3分);5%B→95%B(11分);95%B(1分);95%B→5%B(2分)で勾配溶離して、標記化合物をそのトリフルオロ酢酸塩として得、それをジクロロメタンに懸濁させ、0.5N NaOHで処理した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧蒸発させて標記化合物(50mg、収率=57%)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:9.90(s,1H);9.01(t br,1H);8.58(s,1H);8.04(t,1H);7.49(ddd,1H);7.34(dd,1H);7.17(s,1H);7.06(m,2H);7.04(ddd,1H);4.48(d,2H)。
MS m/z(ESI+):AQA;Spray 3.5kV;Skimmer 30V;Probe 250℃:396(MH+)。
【0192】
表5
記載例13(方法A)または記載例14(方法B)と同様の方法で実施例44〜58の化合物を製造した。
【化40】

【表5−1】


【表5−2】


【表5−3】


【表5−4】


【表5−5】

【0193】
表6
上記記載例14(方法B)および実施例43(方法D)の方法と同様の方法で実施例59〜67の化合物を製造した。
【化41】

【表6−1】


【表6−2】

【0194】
実施例67: 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−N−ピリミジン−4−イルメチル−ニコチンアミド
【化42】

6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチン酸(記載例4)(30mg)のジメチルホルムアミド(1.5ml)中溶液にN−エチルモルホリン(42μl)、ピリミジン−4−イル−メチルアミン(参考文献:Maury et al., Bull. Soc. Chim. Belg., 91(2), 153, (1982))(14mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・水和物(25mg)および1−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(25mg)を連続的に添加した。該溶液を3時間攪拌し、一夜放置した。ジメチルホルムアミドを減圧除去し、酢酸エチル(5ml)を添加した。該溶液を5%重炭酸ナトリウム溶液(3ml)、水(3ml)、食塩水(2×3ml)で逐次的に洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて標記化合物を得た(25mg)。
NMR(DMSO−d6) δ 1.18(6H,d)、3.45(1H,m)、4.51(2H,d)、6.82(1H,s)、6.94(1H,d)、7.29(1H,t)、7.47(1H,d)、7.52(1H,d)、8.09(1H,t)、8.36(1H,s)、8.77(1H,d)、9.04(1H,t)、9.13(1H,s)、9.48(1H,s)。
LC/MS t=2.9分、[MH+] 382、分子式C202035ClN5Oと一致。
【0195】
実施例68: 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−N−ピラジン−2−イルメチル−ニコチンアミド
【化43】

実施例67と同様の方法で6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチン酸(記載例4)(30mg)およびピラジン−2−イル−メチルアミン(参考文献:Hirschberg and Mattner, J. Med. Chem., 11(4), 911, (1968))(14mg)から標記化合物を得た(28mg)。
LC/MS t=3.0分、[MH+] 382、分子式C202035ClN5Oと一致。
【0196】
実施例69: 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−N−(6−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−ニコチンアミド
【化44】

実施例67と同様の方法で6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4−イソプロピル−ニコチン酸(記載例4)(30mg)および(6−メチル−ピリジン−3−イル)−メチルアミン・二塩酸塩(記載例15)(24.5mg)から標記化合物を得た(17mg)。
LC/MS t=2.6分、[MH+] 395、分子式C222335ClN4Oと一致。
【0197】
表7
実施例14−方法Aまたは実施例15−方法Bについての同様の方法で下記表における実施例70〜77の化合物を製造した。
【表7−1】


【表7−2】


【表7−3】

【0198】
実施例78: 6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−N−(ピリジン−4−イルメチル)−2−トリフルオロメチル−ニコチンアミド
【化45】

6−(3−クロロ−フェニルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ニコチン酸・塩酸塩(記載例20)(200mg、0.56mmol、1.0当量)の無水DMF(10mL)中溶液にN−メチルモルホリン(0.25mL、2.27mmol、4.0当量)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(120mg、0.88mmol、1.5当量)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド・塩酸塩(130mg、0.68mmol、1.2当量)および4−(アミノメチル)−ピリジン(0.076mL、0.73mmol、1.3当量)を連続的に添加し、周囲温度で16時間攪拌した。溶媒を真空蒸発させた後、該混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、NaHCO3の飽和水溶液(20mL×2回)および食塩水(20mL)で逐次的に洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮して黒色残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離勾配:ヘキサン/酢酸エチル(7:3)からヘキサン/酢酸エチル(6:4)まで)により精製した。標記化合物を灰色の固体として得た(130mg、収率=60%)。
EI;TSQ 700;source 180℃;70V;200uA:406(M+.)、337、299。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:9.86(s,1H);9.06(t br,1H);8.53(m,2H);8.02(dd,1H);7.85(d,1H);7.52(ddd,1H);7.24(dd,1H);7.33(m,2H);7.13(d,1H);7.02(ddd,1H);4.46(d,2H)。
【0199】
実施例79
適当な出発物質から、記載例16〜20に記載した中間体と同様の方法で製造した類似の中間体を経由して実施例78に記載したと同様に製造した。
【化46】

【表8】

【0200】
本発明の化合物を配合する医薬製剤を種々の剤形で、多くの賦形剤を用いて製造することができる。かかる製剤の例を以下に記載する。
【0201】
実施例80:吸入処方
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体(1mg〜100mg)を定量型吸入器から噴霧して使用1回あたり所望の量の薬物を送達する。
【0202】
実施例81:錠剤処方
錠剤/成分 錠剤1個につき
1.活性成分 40mg
(式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体)
2.コーンスターチ 20mg
3.アルギン酸 20mg
4.アルギン酸ナトリウム 20mg
5.ステアリン酸マグネシウム 1.3mg
【0203】
錠剤処方のための方法
成分1、2、3および4を適当なミキサー/ブレンダーにてブレンドする。塊が湿顆粒に変わることができるようなコンシステンシーを有するまで、該ブレンドに十分量の水を何回かに分けて添加し、各添加の後に注意深く混合する。湿塊を、No.8メッシュ(2.38mm)スクリーンを使用して振動式グラニュレーターに通して顆粒に変える。次いで、湿顆粒をオーブン中にて140°F(60℃)で乾燥するまで乾燥させる。乾燥顆粒を成分5で潤滑化し、潤滑化した顆粒を適当な錠剤プレスにて圧縮する。
【0204】
実施例83:非経口処方
加熱しながら適当な量の式(I)で示される化合物をポリエチレングリコールに溶解することにより非経口投与用医薬組成物を調製する。次いで、この溶液をヨーロッパ薬局方注射用水で(100mlに)希釈する。次いで、該溶液を0.22ミクロン膜フィルターで濾過することにより滅菌し、滅菌容器中に密封する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Yは1、2または3個の置換基で置換されているフェニルであり;
1は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、またはハロ置換C1-6アルキルから選択され;
2は(CH2)m3であり;
3は非置換もしくは置換5員〜6員芳香族ヘテロサイクリル基、または基A:
【化2】

であり;
4は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキル、COCH3、およびSO2Meから選択され;
6は非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R10は水素であるか、またはR10は非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R6は水素であり;
Raは独立して水素、フルオロ、クロロまたはトリフルオロメチルから選択され得;
Rbは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2、COOH、SO2CH3、NHCOCH3、NHSO2CH3およびCONHCH3から選択され得;
mは1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
化合物が式(Ia):
【化3】

[式中、
1は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキルから選択され;
3は、置換されていないかまたはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2およびCOOHから選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、フラニル、ジオキサアラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはテトラジニルであるか、またはR3は基A:
【化4】

であり;
4は水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、またはハロ置換C1−6アルキル、COCH3、およびSO2Meから選択され;
6は非置換もしくは置換(C1−6)アルキル、クロロであり、R10は水素であるか、またはR10は非置換もしくは置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり、R6は水素であり;
Raは独立して水素、フルオロ、クロロまたはトリフルオロメチルから選択され得;
Rbは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、スルホニル、CONH2、COOH、SO2CH3、NHCOCH3、NHSO2CH3およびCONHCH3から選択され得;
11はC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、C1−6アルキルスルホニル、CONH2、NHCOCH3、COOH、ハロ置換C1−6アルコキシ、C1−6アルキニル、C1−6アルキニル、SO2NR8a8bであり;
dは1、2、または3であり:
mは1または2であり;
8aおよびR8bは独立して水素またはC1−6アルキルから選択される]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1が水素またはC1−6アルキルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
4が水素またはメチルである、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
3が基A、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリルまたはピラジニルから選択される、請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
実施例1〜79のいずれか1つの化合物またはその医薬上許容される誘導体から選択される、請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物。
【請求項8】
さらに、医薬担体または希釈剤を含む、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
カンナビノイド2受容体の活性により媒介される症状をわずらっているヒトまたは動物対象体の治療方法であって、該対象体に請求項1〜6いずれか1項記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の治療上有効量を投与することを含む、方法。


【公表番号】特表2006−508065(P2006−508065A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539059(P2004−539059)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010935
【国際公開番号】WO2004/029027
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】