EUV光源用コレクタ
【課題】EUV光源におけるEUVコレクタの反射表面からデブリを除去するための方法および装置を提供する。
【解決手段】電流源(DC電圧源)220は、コレクタミラー150、ミラー150のための金属製バッキング材(アルミニウムまたはニッケル)に接続されてよい。ミラー150は、チャンバ26の内側を満たす周囲ガス(ヘリウムガス)の温度よりも高い温度に加熱されてよい。デブリ洗浄のもう一つの側面、RF周波数電圧230およびチャンバ26内の232で模式的に示すアンテナからの、RFの導入が組込まれてもよい。RFは、ミラー150または金属製バッキング材に接続されてもよく、この場合、適切な導電性材料製で且つアース電位に接続された暗シールドが、コレクタミラー150の背面を覆って形成されてよく、これは絶縁体(空気ギャップ)および電圧(ミラー150にも接続されたDC電源220からのDC)によってミラーから分離される。
【解決手段】電流源(DC電圧源)220は、コレクタミラー150、ミラー150のための金属製バッキング材(アルミニウムまたはニッケル)に接続されてよい。ミラー150は、チャンバ26の内側を満たす周囲ガス(ヘリウムガス)の温度よりも高い温度に加熱されてよい。デブリ洗浄のもう一つの側面、RF周波数電圧230およびチャンバ26内の232で模式的に示すアンテナからの、RFの導入が組込まれてもよい。RFは、ミラー150または金属製バッキング材に接続されてもよく、この場合、適切な導電性材料製で且つアース電位に接続された暗シールドが、コレクタミラー150の背面を覆って形成されてよく、これは絶縁体(空気ギャップ)および電圧(ミラー150にも接続されたDC電源220からのDC)によってミラーから分離される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路リソグラフィー露出露光源として適用するための、EUV(軟X線)光の発生の分野に関し、特に、このような装置のための光コレクタに関する。
【0002】
[関連出願]
この出願は、2003年4月8日に出願された米国出願第10/409,254号の一部継続出願であり、その開示を本明細書の一部として援用する。
【背景技術】
【0003】
半導体集積回路を製造するために、更に小さい臨界寸法を適用することの必要性が常に増大しているので、深紫外(DUV)光から、軟X線とも呼ばれる極端紫外(EUV)光に移行する必要性が生じている。このような光を、EUVリソグラフィーツール(例えばステッパスキャナまたはスキャナ)での充分なスループットを可能にする有効なエネルギーレベルで、例えば主要な部品交換の間の許容可能な寿命に亘って発生させるための装置および方法についての種々の提案が存在している。
【0004】
例えば13.5nmを中心とする波長の光を発生するために、例えばリチウムを使用する提案が存在するが、このリチウムはプラズマを形成するために導入および/または照射されるものであり、該プラズマはリチウム原子をある状態へと励起させ、その状態からの崩壊により、約13.5nmを中心としたエネルギー分布を有するEUV光子の大部分が生じる。このプラズマは、例えば下記の特許および参照文献に述べられているように、固体または液体リチウム源の近傍において、高密度プラズマ集中電極を使用した放電によって形成されてもよい:即ち、2003年7月1日にMelynchuk et al. に対して発行された「活性バッファーガス制御を用いたプラズマ集中光源」と題する米国特許第6,586,757号、および2003年4月8日に出願された上記特許の米国出願第10/409,254号;2003年5月20日にRauch et al.に対して発行された「タンデム式楕円形ミラーユニットを備えたプラズマ集中光源」と題する米国特許第6,566,668号;および2003年5月20日にPartlo et al.に対して発行された「改善されたパルス電源システムを備えたプラズマ集中光源」と題する米国特許第6,566,668号(これらは本願の譲受人に譲渡されている)、およびそれらの中に引用されている出願、特許および他の参照文献(これらの開示は全て本明細書の一部として本願に援用される)、並びに他の代表的な特許もしくは公開された特許出願、例えば、Amemlya et al.を発明者として2002年1月24日に公開された「X線露光装置」と題する米国公開出願第2002−0009176A1号(その開示を本明細書の一部として本願に援用する)である。加えて、下記の特許および公開米国出願に述べられているように、当該プラズマは、ターゲット、例えば液体金属(例えばリチウム)の液滴、または液体または固体のターゲット金属(例えばリチウム)を液滴中に含む他の材料の液滴に対して、例えば該ターゲット上に集中されたレーザを照射することによって誘導されてもよい:即ち、2001年9月4日にKondo et al.に対して発行された「軟X線発生のための方法および装置」と題する米国特許第6,285,743号;2002年12月10日にBisschopsに対して発行された「極端短波長放射線を発生させる方法」と題する米国特許第6,493,423号;Richardsonを発明者として2002年10月3日に公開された「...レーザプラズマから作製されたEUV、XUVおよびX線波長光源」と題する米国公開出願2002−0141536A1;2002年4月23日にRichardsonに対して発行された「水滴ターゲットを使用した極端紫外線リソグラフィーのためのレーザプラズマ光源」と題する米国特許第6,377,651号;2001年10月23日にFoster et al.に対して発行された「X線、極端紫外線および紫外線放射の成形された光源」と題する米国特許第6,307,913号(これらの開示は本明細書の一部として本願に援用する)である。
【0005】
このようなプラズマの形成および得られたプラズマからのEUV光の発生から、望ましい帯域内で発生されることが望まれるEUV光におけるエネルギー量は、例えば100W/cm2と比較的莫大なので、EUV光の収集ができるだけ高い効率で行われることを保証することが必要である。この効率は、有意に劣化しないこと、即ち、比較的長期の動作期間に亘ってこのような高効率を維持できること、例えば、有効な100%のデューティーサイクルについての超高パルス反復速度(4KHz以上)で1年の有効な動作を維持できることが必要である。これらの目標を満たすためには多くの困難な問題が存在するが、その側面は、EUV光源用コレクタに関する本発明の側面の説明において扱われる。
【0006】
実行可能な設計において対処することが必要な幾つかの問題には、次のことが含まれる:即ち、例えば、入射反射ミラーに垂直に、例えばルテニウム(Ru)の外側コーティングを通して、モリブデン(MoまたはMoly)およびシリコン(Si)の交互層のような多層構造の層中へのLiの拡散、および例えば一次および/または二次コレクタの寿命に対するその影響;例えばLiとSiの間の化学反応、および例えば一次および/または二次コレクタの寿命に対するその影響;例えばプラズマを形成する着火のための照射を生じるレーザからの帯域外放射線(例えば、深UVレジストタイプがEUV範囲のリソグラフィーの中に持ち込まれ、ターゲットから散乱されたこのような帯域外の光が該レジストの効率的な露光を生じ得るとすれば、レジスト露光に対する何等かの影響を回避するように低く維持することが必要なKrFエキシマレーザからの248 nmの放射線)の散乱;中間焦点への出力光エネルギーの100Wデリバリーを達成すること;一次および二次コレクタが少なくとも5Gパルスの寿命を有すること;所定の光源、例えば所定のターゲット(例えばターゲット液滴、若しくは液滴内のターゲット、または他のターゲット)での必要な変換効率、並びに高温の動作温度および例えば13.5 nm近傍の波長を中心とする帯域外放射線での多層ミラーの必要な寿命の維持を達成することである。
【0007】
多層反射を利用することによって、EUVの問題の波長、例えば、約5〜20 nm、11.3 nm近傍、または13.0〜13.5 nmのための垂直入射反射(NIR)ミラーを構築できることが周知である。このようなミラーの性質は、これに含まれる幾つかまたは全ての層についての組成、数、順序、結晶性、表面粗さ、相互拡散、周期、および厚さの比、アニーリングの量等に依存し、また、例えば、拡散バリアが使用されるか否か、該バリア層が如何なる材料および厚さのものであるか、また該バリア層によって分離された層の組成に対するその影響にも依存するが、これらは例えば、Braun, et al., “Multi-component EUV multi-layer mirrors”, Proc. SPIE 5037 (2003) (“Braun”); Feigl, et al.,”Heat resistance of EUV multi-layer mirrors for long-time applications,” Microelectronic Engineering 57-58, p.3-8 (2001)(”Feigl”);2002年5月1日に出願された出願第10/847,744号に基づいて、2002年5月28日にBarbee,Jr. et al.に対して発行された「EUVおよび軟X線適用に使用するための、鮮鋭で安定な界面を備えた多層フィルム」と題する米国特許第6,396,900号(”Barbee”);および1992年4月21に出願された日本出願の優先権を主張して、1993年4月14日に出願された出願第45,763号に基づいて、1994年6月7日にItoh et al.に対して発行された「軟X線のための多層フィルム反射体」と題する米国特許第5,319,695号において述べられた通りである。
【0008】
Itohは、異なるX線反射率の材料、例えば、シリコン層、モリブデン層、および隣接する各一対の層の間に形成された水素添加界面層で構成される多層フィルムを形成するために、基板上に交互に堆積されたシリコン(Si)およびモリブデン(Mo)について述べている。Barbeeは、両方の界面(Mo−on−Si界面およびSi−on−Mo界面)に配置された第三の化合物、例えば炭化ホウ素(B4C)2の薄層について述べている。この第三の層は、炭化ホウ素ならびに他の炭素およびホウ素に基づく化合物からなっており、EUV波長および軟X線波長における低い吸収を有するものとして特徴付けられる。従って、MoおよびSiの交互の層を含んでなる多層フィルムは、各層の間に、炭化ホウ素(例えばB4C)および/またはホウ素ベースの化合物の中間層を含んでいる。この中間層は表面(界面)化学を変化させ、これにより反射率の増大および増大した熱的安定性をもたらすことができ、例えば、Mo/Siについては、相互拡散が防止または低減されて、これらの望ましい効果をもたらす。Barbeeはまた、Mo−on−Si界面からSi−on−Mo界面までの第三の層の厚さを変化させることについて述べている。Barbeeはまた、Mo−on−Si界面の鮮鋭度は、Si−on−Mo界面の鮮鋭度よりも典型的には約2.5倍劣るであろうと述べている;しかし、Mo−on−Si界面におけるB4C中間層の堆積に起因して、このような界面の鮮鋭度はSi−on−Mo界面のそれに匹敵するものである。Braunは、熱安定性を改善し且つ内部歪みを低下させると同時に、反射率を増大させるために、炭素バリア層を使用してMo−on−Si境界での相互拡散を減少させることについて述べている。Braunは、Mo−on−Si界面およびSi−on−Mo界面で厚さを変化させる際に、通常はMo−Si境界がMoSi2を形成すること、また、Moおよび/またはSi層の形態が、例えば炭素含有バリア層によって影響され得ることに特に言及している。加えて、Braunは、バリア層のないMo−Si界面の界面粗さに対する、バリア層形成の影響に注目している。Braunは、Mo/SiC多重層を使用して、λ=13.3 nmで70.1%の反射率を報告している。Mo/Si/CB4Cの使用はアニーリングを伴っても、多重層に比較して内部歪みを減少させることについても述べられており、これはかかる多重層ミラーを湾曲したミラーのために使用する能力に影響する。Braunはまた、多重層構成における中間層コントラスト、衝撃反射および吸収の間のトレードオフ、例えば、Nbでの吸収は低いが低コントラストであるNbSi層、および高コントラストであるがRu層での吸収が高いRu/Si(両者共に、Mo/Si多重層スタックよりも特性が低い)について述べている。Braunはまた、三つの層、例えばMo/Si/Ag、またはMo/Si/Ruを使用することの理論的有用性について述べており、これらは理論的には高い反射率を有しているが、Agの実施形態は、望ましい厚さでのAg層における空隙、およびMo/Si/C/Ru多重層のλ=13.5 nmにおける計算された最良の反射率(Mo層中で制限される厚さがMo層における結晶化を妨げる)に起因して、理論的反射率を達成できない。しかし、Braunはまた、Mo/Si/C/Ru多重層スタックが、該スタックを通して上方に広がる初期のMo層堆積表面粗さに起因して、恐らくは理論的に計算された反射率の期待に応えられないことを見出している。Feiglは、Mo/Si、および超薄膜Mo2Cバリア層の使用を含むMo/Mo2C/Si/Mo2C多重層スタックの構造的安定性に対する、500℃以下の上昇温度の影響について述べている。Feiglは、例えば200℃を越える温度でのMoおよびSiのアニーリングにより、このバリア層がMoSixの内部拡散層の形成を防止すること、並びにMo/No2C/Si/Mo2CおよびMo2/Si系は600℃まで安定なまま残ることについて言及している。超薄膜Mo2Cバリア層および複数層を有する前者の系(MoSi2も示唆されているが試験されてはいない)および後者は、多重層系におけるMoをMo2Cで置きかえることによって形成される。Feiglによれば、Mo2C/Si系の反射率は600℃を通して0.8を越えたまま残るのに対して、Mo/No2C/Si/Mo2C系は前記温度において0.7よりも僅かに低い値まで徐々に減衰し、400℃では約0.7にまで低下する。
【0009】
本願の出願人は、バリア層のための他の一定の材料、並びにEUV適用のための多重層スタックの潜在的な他の改良を提案する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
EUV光源におけるEUVコレクタの反射表面からデブリを除去するための方法および装置が開示され、これは第一の材料からなる反射表面および第二の材料および/または第二の材料の化合物からなるデブリを含んでなり、前記システムおよび方法は、制御されたスパッタリングイオン源(該イオン源は前記スパッタリングイオン材料の原子を含有するガスを含んでよく)と;前記スパッタリング材料の原子をイオン化された状態に励起する誘導機構とを含んでよく、前記イオン化された状態は、前記第二の材料をスパッタリングする高い可能性、および前記第一の材料をスパッタリングする非常に低い可能性を有する選択されたエネルギーピークの周囲の分布を有するように選択される。前記誘導機構は、RFまたはマイクロ波誘導機構を含んでよい。前記ガスは、前記選択されたエネルギーピークを部分的に決定する圧力に維持され、また前記誘導機構は、前記第二の材料のプラズマデブリ原子の流入速度以上の、前記反射表面からの前記第二の材料のスパッタ密度を形成する、前記スパッタリングイオン材料のイオンの流入を形成してよい。スパッタ速度は、前記反射表面の所定の望ましい寿命について選択されてよい。前記反射表面はキャップされてもよい。前記コレクタは、楕円形ミラー、および半径方向に伸びるチャンネルを含み得るデブリシールドを具備してよい。前記第一の材料はモリブデンであってよく、前記第二の材料はリチウムであってよく、また前記イオン材料はヘリウムであってよい。前記システムは、前記反射表面から前記第二の材料を蒸発させるためのヒータを有してよい。前記誘導機構は、着火時と着火時との間は前記反射表面に接続されてよい。前記反射表面はバリア層を有してよい。前記コレクタは、入射反射シェルの視射角と組合された球形ミラーであってよく、これは、反射体シェル上の多層スタックのための層材料の選択により分光学的フィルタとして作用してもよい。前記スパッタリングは加熱と組合されることができ、後者はリチウムを除去し、前者はリチウムの化合物を除去し、また前記スパッタリングは、励起されたガス原子ではなくプラズマ中で生成したイオンによるものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一つの側面に従う、レーザで発生されたプラズマEUV光源のための全体的な広範な概念を表す概略図を示している。
【図1A】本発明の一実施形態の一つの側面に従う、システムコントローラの動作を概略的に示す。
【図2A】照射着火点から本発明の一実施形態に従う実施形態に向って見たときの、本発明の一つの側面に従うEUV光コレクタの一実施形態を示す側面図である。
【図2B】図2Aにおける線2Bに沿った、図2Aの実施形態の断面図を示す。
【図3】本発明の一つの側面に従う、垂直角度の入射コレクタの別の替実施形態を示す。
【図4】本発明の一つの側面に従う垂直角度の入射コレクタデブリ管理システムの概略図を示す。
【図5】図5のA〜Cは、本発明の一実施形態の一つの側面に従う、コレクタ洗浄信号/コレクタミラーへのRFおよび/またはDC電流の提供のタイミングを示す。
【図6A】入射コレクタの視射角に関する、本発明の実施形態の側面の概略断面図を示す。
【図6B】入射コレクタの視射角に関する、本発明の実施形態の側面の概略断面図を示す。
【図7】5°の入射角および所定の関連波長での、種々の反射表面における視射角入射反射率のプロットを示す。
【図8】15°についての、種々の反射表面における所定の関連波長での視射角入射反射率のプロットを示す。
【図9】本発明の一側面によるコレクタの別の実施形態の概略図を示す。
【図10】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、液滴当りのリチウム原子の計算された数 vs.液滴の直径を示す。
【図11】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、ミラー表面へのリチウム原子の計算された流入vs.ミラーの半径を示す。
【図12】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、計算された必要なリチウム厚さスパッタ速度vs.ミラー直径を示す。
【図13】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、300対の多層コートされたミラーを用いて1年の寿命を得るための、モリブデンスパッタ速度のリチウムスパッタ速度に対する必要な比vs.ミラー半径を示す。
【図14】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、ヘリウムイオンを用いたリチウム、シリコン、およびモリブデンについてのスパッタ収量を示す。
【図15】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについてのスパッタ収量と共に、正規化されたヘリウムイオンエネルギーを示す。
【図16】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについてのスパッタ収量と共に、ヘリウムイオンの電流密度を示す。
【図17】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについての全ヘリウムイオンスパッタ速度を示す。
【図18】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについてのスパッタ収量と共に、正規化されたリチウムイオンエネルギーを示す。
【図19】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、黒体についての放射電力密度 vs.温度を示す。
【図20】本発明の一実施形態の一つの側面の概略図を示す。
【図21A】本発明の一実施形態の側面に従った、錫およびリチウムイオンに対するヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力に関する実験結果を示す。
【図21B】本発明の一実施形態の側面に従った、錫およびリチウムイオンに対するヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力に関する実験結果を示す。
【図22A】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22B】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22C】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22D】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22E】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、EUV光源、例えば本発明の一つの側面に従った、レーザにより発生されるプラズマEUV光源20についての、全体的な広義の概念の概略図が示されている。光源20は、パルスレーザシステム22、例えばガス放電レーザ、例えばエキシマガス放電レーザ、例えば大電力および高パルス反復速度で動作するKrFもしくはArFレーザを含んでよく、また、例えば米国特許第6,625,191号、同第6,549,551号、および同第6,567,450号に示されたようなMOPA構成のレーザシステムであってよい。また、このレーザは、例えばソリッドステートのレーザ、例えばYAGレーザであってよい。光源20はまた、例えば液滴、固体粒子または液滴内に含まれた固体粒子の形態のターゲットを送達するターゲット送達システム24を含んでいてもよい。当該ターゲットは、ターゲット送達システム24によって、例えばチャンバー26の内部の、着火部位もしくは火球としても知られる照射部位28へと送達される。ターゲット送達システム24の実施形態については、以下で更に詳細に説明する。
【0013】
パルスレーザシステム22から、レーザ光学軸55に沿ってチャンバ26のウインドウ(図示せず)を通り、照射部位へと送達されたレーザパルスは、ターゲット送達システム24によって生じたターゲットの到達に関連して以下で更に詳細に述べるように、適切に集光されて着火または火球を形成し、これはターゲットの材料に従って、生成されるX線光の波長を含む一定の特徴をもったX線(または軟X線(EUV))を放出するプラズマ、着火の際または着火の後にプラズマから放出される種類および量のデブリを形成する。
【0014】
当該光源はまた、レーザ光が着火部位28に侵入するためのアパーチャを備えたコレクタ30、例えば反射体(例えば短縮された楕円系)を含んでもよい。該コレクタシステムの実施形態については以下で更に詳細に説明する。コレクタ30は、例えば、着火部位28に第一の焦点および所謂中間点40に第二の焦点(中間焦点40とも呼ばれる)を有する楕円形ミラーであってよく、ここでは当該光源からEUV光が出力され、例えば集積回路リソグラフィーツール(図示せず)へと入力される。当該システム20はまた、ターゲット位置検出システム42を含んでもよい。パルスシステム22は、例えば、発振器レーザシステム44のためのパルス電力タイミングモニターシステム56および増幅器レーザシステム48のためのパルス電力タイミングモニターシステム56と共に、発振器レーザシステム44のための例えば磁気リアクタ切り替えパルス圧縮およびタイミング回路50、および増幅レーザシステム48のための磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路52を備えた、例えば発振器レーザシステムおよび増幅器レーザシステム48を有する二重チャンバーガス放電レーザシステムで構成された、マスター発振器電力増幅器(MOPA)を含んでもよい。当該パルス電力システムは、例えばYAGレーザからレーザ出力を形成するための電源を含んでもよい。当該システム20はまた、EUV光源コントローラシステム60を含んでもよく、これはまた、例えばレーザビーム位置決めシステム66と共に、ターゲット位置検出フィードバックシステム62および発火制御システム64を含んでもよい。
【0015】
ターゲット位置検出システムは、複数の液滴撮像装置70,72および74を含んでよく、これらはターゲット液滴の位置に関する(例えば着火部位に関する)入力を提供し、これらの入力をターゲット位置検出フィードバックシステムに提供し、これらは例えばターゲットの位置および軌跡を計算することができ、これらから、液滴毎ではなく平均ベースではあってもターゲットエラーを計算することができ、次いでこれがシステムコントローラ60への入力として提供されて、該コントローラは、例えばレーザの位置および方向補正信号を例えばレーザビーム位置決めシステム66に提供することができ、該レーザビーム位置決めシステムは、例えばレーザ位置および方向変更器68を制御するためにこれを使用して、レーザビームの焦点を異なる着火点28に変更することができる。
【0016】
撮像器72は、例えばターゲット送達機構92から望ましい着火部位28へのターゲット液滴の望ましい軌道経路と共に整列された、例えば撮像ライン75に沿って照準されてよく、また撮像器74および76は、例えば望ましい着火部位28以前の経路に沿った幾つかの点80において望ましい軌道経路と単独で交叉する、撮像ライン76および78に沿って照準されてよい。
【0017】
ターゲット送達制御システム90は、システムコントローラ60からの信号に応答して、例えば、ターゲット送達機構92によって放出されるときのターゲット液滴94の放出点を変更して、望ましい着火部位28に到達する標的液滴における誤差を補正してもよい。
【0018】
中間焦点40の近傍におけるEUV光源検出器100はまた、例えばレーザパルスのタイミングおよび集光における誤差を示すことができるフィードバックをシステムコントローラ60に提供して、ターゲット液滴を、効果的および効率的なLPP・EUV光生成のための正しい位置および時間に適正にインターセプトしてもよい。
【0019】
次に図1Aを参照すると、図1に示したコントローラシステム60および関連のモニタリングおよび制御システム62,64および66の更なる詳細が概略的に示されている。該コントローラは、例えばシステムクロック116によりクロックバス115上でシステム部品に提供されるシステムクロック信号に相関されたターゲット位置検出フィードバック信号から、例えば複数の位置信号134,136、軌道信号136を受取る。コントローラ60は、例えば、システム時間における或る時点でのターゲットの実際の位置を計算することができる予備到着トラッキングおよびタイミングシステム110、或るシステム時間におけるターゲット液滴の実際の軌道を計算することができるターゲット軌道計算システム112、着火を起こすための幾つかの空間的および時間的に望ましい点に比較した時間的および空間的エラー信号を計算することができる、照射部位の時間および空間的エラー計算システム114を有してもよい。
【0020】
次いで、コントローラ60は、時間エラー信号140を発火制御システム64に提供し、空間的エラー信号138をレーザビーム位置決めシステム66に提供する。該発火制御システム64は計算して、レーザ発振器44磁気リアクタ切り替えパルス圧縮およびタイミング回路50の共鳴放充電部分118に共鳴充電開始信号122を提供し、また、例えばPA磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路52に共鳴充電開始信号124を提供してよく、これらは両者共に同じ信号であってよい。また、発振器レーザ44磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路50に対してトリガー信号130を提供し、増幅器レーザシステム48磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路52の圧縮回路部分に対してトリガー信号132を提供してもよい。これらは同じ信号でなくてもよく、また一部は時間的エラー信号140および光アウト検出装置54および56(夫々発振器レーザシステムおよび増幅器レーザシステムのためのもの)からの入力から計算されてよい。
【0021】
空間エラー信号は、レーザ位置および方向制御システム66に提供されてよく、これらは例えば、発火点信号および視線信号をレーザビーム位置決め装置に提供し、該位置決め装置は、例えば、発火時点におけるレーザシステム増幅器レーザ48の出力位置および該レーザ出力ビームの照準方向の一方または両方を変更することによって、着火部位のための焦点を変更するようにレーザを位置決めしてよい。
【0022】
次に、図2Aおよび図2Bを参照すると、それぞれ、コレクタミラー150の内部を見ているコレクタ30の側面図、および図2Aの切断線2Bに沿った回転対称コレクタミラー150の断面図が示されている(但し、図2Aの如何なる半径方向軸に沿った場合にも断面図は同じであろう)。
【0023】
図2Aに示すように、楕円形コレクタミラー150は、該ミラーを覗く断面において円形であり、これは該ミラーの最も大きな範囲での断面(図2Aには楕円ミラー150の殆ど焦点28にあるように示されている)であり、ターゲット液滴94が焦点28にあるように設計された着火点に届くのを阻止しないようになっている。しかし、該ミラーは中間焦点に向って更に広がってもよく、該焦点へのターゲット液滴の通過を可能にするように、ミラーのなかに適切な孔(図示せず)を備えていてもよい。該楕円形ミラーはまた、集光光学系156を通り、ミラー150を通して集光されたLPPレーザビーム154が、楕円形ミラーの焦点であることが望まれる着火点28へのエントリーを可能にするように、例えば、図2Aでは円形に示されたアパーチャ152を有していてもよい。該アパーチャ152はまた、用いる制御システムの種類に応じて、レーザビーム154の焦点を着火部位上に補正するようにビーム光学経路を変更する要件(もし存在するなら)内において、例えば、例えば一般には矩形のビームプロファイルに加工することができる。
【0024】
また、図2Aおよび図2Bには、本発明の一実施形態の側面に従うデブリシールド180が示されている。該デブリシールド180は、望ましい着火部位から半径方向外側に広がって、デブリシールド180を通して半径方向に広がる狭い平坦なチャンネル184を定義する、例えばモリブデン箔製の複数の薄いプレート182で作製されてよい。図2Aの説明は非常に概略的であり、且つ一定の縮尺に従っておらず、チャンネルは実際には可能な限り細く作製される。好ましくは、着火部位28に集光されたレーザビームによるターゲット液滴94の点火によって形成されたプラズマから放出されるX線を殆どブロックしないように、該箔プレート182はチャンネル184よりも更に細くすることができる。
【0025】
図2Bの断面を見れば、デブリシールドにおけるチャンネル182の機能を見ることができる。単一の放射状チャンネルが図2Bに見られ、この同じチャンネルは、コレクタミラー150およびデブリシールド180のチャンネル内のデブリシールドの回転対称軸を通る如何なる断面にも見られるであろう。着火部位28から放出されたEUV光(および他の光エネルギー)の各光線190は、着火部位28から半径方向外側へと移動し、デブリシールド180における夫々のチャンネルを通過し、図2Bに示すように、所望であれば、これはコレクタミラー150の反射表面へと完全に広がるであろう。何れかの入射角で楕円形ミラー150の表面に衝突すると、光線190は、図1に示した中間焦点40上に集光される反射光線192と同じチャンネル180内で反射されるであろう。
【0026】
次に図3を参照すると、本発明の実施形態の一つの側面に従う別の実施形態が示されている。この実施形態では、単純化のためにデブリシールド180が示されておらず、またこの実施形態は、例えば図2Aおよび図2Bに示した楕円形コレクタミラーと同様、適切なときには、以下で更に詳細に述べるようにデブリシールドと共に、またはデブリシールドなしで利用することができる。この実施形態では、第二のコレクタ反射ミラーが加えられており、該ミラーは着火部位28、即ち楕円形ミラー150の焦点に中心を有し、コレクタミラー150から中間焦点40(図1に示されている)へと光を通すためのアパーチャ210を備えた球形ミラー202の断面を具備している。該コレクタミラー150は、着火点28からコレクタミラー150に向けて放出された光線190に関して、図2Aおよび図2Bについて上述したようにして機能する。着火部位28からコレクタミラー150を離れて放出され、球形ミラー202に衝突した光線204は、楕円形コレクタミラーの焦点を通って逆方向に反射し、あたかも楕円形ミラー150の焦点28から放出されたかのようにして楕円形コレクタミラー150上へと通過し、従って、これもまた中間焦点40へと集光されるであろう。図2Aおよび図2Bに関連して説明したように、これはデブリシールド180が存在してもしなくても生じるであろうことは明らかであろう。
【0027】
次に図4を参照すると、本発明の実施形態に従うデブリ管理のもう一つの側面が概略的に示されている。図4は、電流源、例えばDC電圧源220に接続されたコレクタミラー150を示している。この電流は、例えば堆積したリチウムを蒸発させるための選択された温度に反射体を維持するような、本発明の一実施形態であることができる。第一のコレクタミラーからリチウムを除去するための別の概念は、ヘリウムイオンもしくは水素イオンのスパッタリングを用いることである。これらイオンの小さい質量は、低エネルギー(例えば<50eV)に維持されたときに、例えばMo/Si層で作製されたEUV多層ミラーのモリブデン層および/またはシリコン層について、極めて低いスパッタ収量を導くことができる。
【0028】
図4に戻ると、本発明の実施形態の一側面に従うデブリ洗浄装置が示されている。図4似示すように、電流源(例えばDC電圧源)220は、例えばコレクタミラー150、例えばミラー150のための金属製バッキング材(例えばアルミニウムまたはニッケル)に接続されてよい。こうして、ミラー150は、EUV光源チャンバ26の内側を満たす周囲ガス(例えばヘリウムガス)の温度よりも高い温度に加熱されてよい。本発明の別の実施形態に従って、反射体の他の加熱、例えば容器26内の加熱ランプ(図示せず)からの放射加熱による加熱が生じてもよい。
【0029】
デブリ洗浄のもう一つの側面、例えば図4に示すような、例えばRF周波数電圧230および図4のチャンバ26内の232で模式的に示すアンテナからの、RFの導入が組込まれてもよい。事実、図4に示したDCと同様に、RFは、ミラー150または金属製バッキング材(図示せず)に接続されてもよく、この場合に、適切な導電性材料製で且つアース電位に接続された暗シールド(図示せず)が、コレクタミラー150の背面を覆って形成されてよく、これは絶縁体(例えば空気ギャップ)および電圧(例えばミラー150にも接続されたDC電源220からのDC)によってミラーから分離される。
【0030】
図5A〜図5Cに示すように、時刻t1、t2、t3での所定の周期的なLPP着火のために、t1、t2、t3で着火が生じる間、および着火時点の何れの側でも短時間だけ、RFはDC電圧によって置きかえられてよく、このような時間の間、次の着火の際のDC電圧の次の発生まで、完全にではなくとも少なくとも着火の直後にはRFが用いられる。また、電源220からのDCは、それぞれの着火時点の間は正の電位であってよく(おそらくはRF源230からの連続的な電圧と共存してよい)、またこのような正のパルスの間では不の電位であってよい。
【0031】
コレクタミラー150に印加される電圧は、一方では金属デブリ、例えばリチウムまたは他のターゲット金属材料のようなターゲット液滴の着火の際およびその後に、プラズマから放出されるリチウムを蒸発させることを意味する。また、例えばリチウムターゲット液滴自体の中の不純物に起因して現れ、且つ着火後にコレクタミラー150上に同様に堆積されるK、Fe、Na等の金属元素も、蒸発させることができるであろう。
【0032】
このRFは、コレクタミラー150表面の近傍において、励起されたHe原子の局在化されたイオン性プラズマを形成することを意味し、局在化されたプラズマ中のこれら励起されたイオンが、コレクタミラー150上のリチウム原子またはリチウム化合物に衝撃を与えて、これらをミラー表面からスパッタ除去することを意図している。本発明のこの実施形態は、例えば、蒸発機構とスパッタ機構との間でバランスさせることを想定しており、例えば、RFが<500W電力(RF周波数スパッタリングについての連邦規制によって指示されるように、13.65MHzにおいて)であれば、ミラー温度は或る望ましい温度またはその近傍に維持されるべきであり、またRFが増大すれば(例えば13.65MHzにおいて>500W)、これに対応して温度は低下させることができるであろう。
【0033】
次に、図6Aおよび図6Bを参照すると、別のコレクタ装置に関する本発明の実施形態の側面が示されている。図6Aおよび図6Bに示されるように、コレクタ225は、例えば複数の入れ子式シェルで構成されてよく、これら入れ子式シェルは、例えば楕円形反射シェルおよびパラボラ反射シェル(例えば、図6Aにおけるパラボラ形シェル230および240、楕円形シェル250および260)で作られた異なる区画を形成している。パラボラ形シェル、例えば230および240は、それぞれが第一のパラボラ反射表面233,242、および第二のパラボラ反射表面234,244から構成されている。楕円形区画250および260は、例えば、楕円形反射表面252および262を含んでいてよい。図6Bには、追加の二つのパラボラ形シェル区画232および236を備えた別の実施形態が示されており、区画232は、例えば第一のパラボラ反射表面231および第二のパラボラ反射表面234を含んでおり、また第二の区画236は、例えば第一のパラボラ反射表面237、第二のパラボラ反射表面238および第三のパラボラ反射表面239を含んでいる。
【0034】
それぞれの反射シェル230,240,250および260は、それらの間で、一般にコレクタ225反射シェルの焦点に整列した回転軸310から11°〜55°の球区画内において、着火点21から放出された光を100%反射するように構成されており、シェル230,240,250および260はまた、一般にこの回転軸310の回りに対称である。例として、図6Aの実施形態は、説明したばかりの球の一部において、全ての光が、シェル230.240,250,および260の少なくとも一つに導入される実施形態を示している。パラボラ形シェル区画230および240の場合、第一の反射表面233,242に入射して、中間焦点40に向って反射されるか、またはそれぞれの第二の反射表面234,244から中間焦点へと反射される。楕円形シェル区画250,260の場合、例えば、反射表面252,262によって形成される楕円は、各々が着火点28に第一の焦点を有し、また中間焦点40に第二の焦点を有するので、各シェル250,260に導入される全ての光は中間焦点へと反射される。
【0035】
それぞれの反射表面233,234,242,244,252および262の材料、特定の光線の入射角度、所定のシェル区画230,240,250および260における反射の回数に応じて、一定の平均反射効率が生じ、またこれらシェルの構造に応じて、一定のパーセンテージの利用可能な光が各区画230,240,250および260に導入されて、図6Aに示すように、シェル区画230では65%の平均合計効率で19%が反射および集光され、シェル区画240では75%の平均合計効率で17%が反射および集光され、シェル区画250では80%の平均合計効率で43%が反射および集光され、シェル区画260では91%の平均合計効率で21%が反射および集光されるであろう。
【0036】
図6Bは、二つのパラボラシェル区画232,236を加えた別の実施形態を示している。これらの追加された区画は、例えば、回転軸から約85%までの光を集めるように働くことができ、また追加された区画の少なくとも一方は、第一の反射表面237、第二の反射表面238および第三の反射表面239を有していてよい。図6Bから分かるように、例えば光源または着火点から放出された光の光線290は、パラボラ反射シェル区画236に導入され光線292として第二の反射表面238へと反射され、次いで光線294として第三の反射表面239へと反射され、次いで集光された光線296を形成することができる。同様にして、光線300は、該シェル開口部の他端でパラボラ反射体シェル236に導入され、第一の反射表面で光線320として反射され、第二の反射表面237で光線304として反射され、第三の反射表面の正に末端で光線306に集光されてよい。例えばパラボラシェル区画の一つ、例えば区画240の場合、光線280はこの区画240に導入されて、光線282として第一のパラボラ反射表面242から反射され、集光された光線283として第二の反射表面の正に端部から反射されるに違いなく、またもう一つの光線284は該区画に導入され、集光された光線286として第二の反射表面から反射されるに違いない。楕円形シェル区画の一つ(例えば250)の場合、着火点から放出された光線308はシェル区画250に導入され、集光された光線309として楕円形反射表面252から反射されてよく、また光線318は、光線308とは反対側でシェル区画250に導入され、集光された光線319として反射されてよい。
【0037】
次に図7および図8を参照すると、各々が5°および15°の視射角のための(1)単一層のルテニウム反射表面、(2)厚さ14nmの単一Mo層および4nmの単一Si層のMo/Si二層スタック、(3)ピッチが9.2nmでMo/Si厚さ比が22.5:1であり、例えば40多層スタックを有する10周期の多層Mo/Siスタックについての、入射反射率の視射角のプロットが示されている。Mo/Siを備えた各反射体においては、モリブデン基体が仮定される。分光学的純度が送達される光についての明細の一部である場合、コレクタは、例えば図6Aおよび図6Bの実施形態において、例えば選択された中心波長近傍の反射率に有利な入れ子式シェルコレクタの反射特性を使用することにより、或る所定のバンド幅の広がりを持った一定の波長に調節することができる。
【0038】
図9は、本発明の一つの実施形態の側面を示している。この実施形態において、コレクタアセンブリー330は、例えば、球形ミラー反射表面332の一部を含んでよく、これは着火点28から生じた光を、入れ子式楕円形シェルコレクタ334における例えば三つの入れ子式楕円シェル区画336,338および340の一つへと反射させる、垂直入射角の多層スタックであってよい。シェル区画336,338および340の各々は、それぞれのシェル360,362および364の内側にある反射表面366,368,369を有してよい。図9に示すように、例えばシェル区画336は、球形ミラー332のリム区画370から光を受取ってよく、シェル区画338は球形ミラー332の中間区画から光を受取ってよく、またシェル区画340は球形ミラー322の中央部分から反射された光を受取る。
【0039】
シェル区画336,338および340は、従来提案されていた厚い単層のRuではなく、多層のMo/Siでコートされてよい。本発明の一つの実施形態の側面に従えば、約5°〜15°の視射角で2回の反射、例えば1回は球形ミラーから、1回は各シェル(例えば楕円形反射表面を有するシェル)からの反射が生じる。これは、例えば13.5が望ましい帯域であると仮定すれば、例えば帯域外のEUV放射の有意な量を顕著に低減することができる。例えばWolter型構成のRuミラーは、5°および15°の入射視射角においては、13.5 nmおよび11 nmの両方について非常に反射性のままであるのに対して、Mo/Siスタックの入射反射視射角のコーティングは、図7および図8に示すように、特に約15°において遥かに選択的であることができる。
【0040】
上記で述べた実施形態は、当該技術で提案されているような、例えば格子分光純度フィルタの空間的純度を有していないが、帯域内のEUV放射の反射率および維持においては、当該技術において提案された他の解決策(例えば格子フィルタ)に対して顕著な利点を有している。
【0041】
本発明の実施形態の側面に従うリチウムLPP・EUV光源は、液体リチウムまたはリチウム液滴源の固体流を用いることができるであろう。液滴源については液滴あたりの原子の和を計算することができ、また固体流については、集光された光線内の材料だけが着火における液滴を構成すると仮定できるが、デブリの観点からは、特に集光されたレーザ光線のエネルギー分布のスカートにおける低エネルギーレーザ放射によって衝撃を受けるときには、当該流れの中の隣接する材料もまたデブリを形成する可能性がある。
【0042】
液滴源は、集光された光線に合致する液滴サイズを有するのが望ましいと考えられるので、両タイプのターゲット源も、液滴直径ddropletによって与えられる同じ液滴サイズを有すると考えることができる。従って、液滴の容積は次式によって与えられる:
【数1】
液滴あたりの原子数の計算は、例えばリチウムの密度およびその原子量から生じる。液滴の質量は次式で表される:
【数2】
ここで、ρlithium=0.535g/cm3がリチウムの密度であり、その結果は下記の通りである。
【数3】
ここで、液滴の直径はセンチメータ単位であり、得られる質量はグラム単位である。従って、液滴中の原子数は、液滴質量をリチウムの原子量で乗算し、単位を適正に変換することによって与えられる。
【数4】
ここで、Mlithium atom=6.941amuであり、従って、
【数5】
である。ここで、液滴の直径はセンチメータ単位である。液滴の直径をセンチメータからマイクロメータに変換すると、次式が与えられる:
【数6】
【0043】
液滴あたりの原子数vs.液滴サイズが、図10に示されている。図10にはまた、例えば一つの40mJパルスに含まれる13.5nm光子の数が示されている。40mJパルスの例は、4πステラジアンおよび400mJレーザパルスへの10%の変換効率を仮定している。パルスあたりの13.5nm光子の数は次式で与えられる:
NPhotons=13.5nm光パルスエネルギー(mJ)/EPhoton(eV)・1.6×10-16(mJ/eV) {7};
ここで、13.5nm光子のエネルギーは91.6eVである。40mJパルスについて得られる光子の数は、2.72×1015である。例えば、50μmの液滴は、13.5nm光子毎に一つのリチウム原子を有している。通常は、それぞれの放出元素から放出される複数の光子を仮定することができるであろう。この仮定は、50μmよりも小さい液滴直径の使用を可能にするであろう。例えば、コレクタ光学系でのリチウムの使用およびリチウムの堆積速度は液滴直径の3乗に比例するから、より小さい液滴直径は重要であり得る。
【0044】
本発明の実施例の可能な側面に従って、リチウムの回収が存在しないと仮定すれば、例えばリチウムの年間使用量の計算は、年間当りのパルス数にパルス当りの量を乗じることによって与えられる。例として、反復速度RR、およびデューティーサイクルDCを仮定すれば、得られる質量使用は、例えば次式で与えられる:
1年当りの質量
=Mdroplet・RR・60sec/min・60min/hr・24hr/day・365day/yr・DC {8}.
即ち、
1年当りの質量=8.83×10-6・d3droplet・RR・DC {9};
ここで、液滴直径はマイクロメータ単位であり、得られる質量はグラム単位である。例えば、リチウム回収なしで6kHzで運転され、また50μmの液滴直径で、100%デューティーサイクルで運転されるシステムは、1年フル可動について、6,622グラムまたは約12.3リットル容積のリチウムを消費するであろう。同様の条件下において、25μmの液滴直径であれば、828グラムまたは約1.5リットルのリチウムしか消費しないであろう。
【0045】
リチウム液滴が、レーザパルスによって加熱されたときに全方向に均一に膨張されると仮定すれば、原子フラックスは、レーザ/液滴の相互作用点(着火部位)からの距離の二乗で低下するであろう。1秒当りに相互作用点から放出される原子の数は、液滴当りの原子数に反復速度を乗じたものである:
合計原子放出=2.43×1010・d3droplet・RR {10};
ここで、液滴直径はマイクロメータ単位であり、RRは、Hz単位でのレーザ反復速度である。
【0046】
着火部位を中心とする仮想球の表面を通る原子フラックス(原子数/cm2)は、センチメータ単位での表面積で除算された合計原子放出であろう:
原子フラックス=1.93×109(d3droplet・RR/r2sphere) {11};得られるフラックスは、原子/cm2の単位である。図11は、6kHzの反復速度および100%のデューティーサイクルを仮定した時の、ミラー表面上へのリチウム流入速度vs.幾つかの液滴直径[即ち、(1)25μm、(2)55μm、(3)100μm、および(4)200μm]についてのミラー半径を示している。
【0047】
高いミラー反射率を維持するために、ミラー表面上へのリチウムの流入は、例えばヘリウムイオンの入射によって生じるリチウムのスパッタ速度によって越えられることができる。加えて、ミラーの長い寿命のために、これらの同じイオン(例えばヘリウムイオン)によるモリブデンのスパッタ速度は、例えばリチウムの速度よりも多くの次数だけ遅くなければならない。
【0048】
例えば多層コートされたコレクタミラーについて1年の寿命を達成するために、第一および第二の金属のスパッタ速度の必要な比、例えばモリブデンのリチウムに対する比は、例えば、最初の200層対が腐蝕しても未だ快適かつ有効な100の良好な層対が残って、高い反射率が維持されるように、例えば300層対の多層スタックの使用を仮定することによって計算することができる。また、第一の金属(例えばモリブデン層)のスパッタ速度よりも高く、従ってミラー寿命に対する無視可能な寄与を与えるシリコン層のスパッタ速度が仮定される。
【0049】
典型的なEUVミラーは、このミラーの寿命が終わる前に、犠牲腐蝕のための200対が例えば552nmのモリブデン腐蝕を与えるように、例えばモリブデン層の厚さが2.76nmのモリブデン層およびシリコン層の対からなることができる。1年の有用な寿命のためには、モリブデンのスパッタ速度は552nm/年以下、即ち、1.75×10-5nm/sec以下でなければならない。
【0050】
1秒当り1cm2当りの原子数でのリチウムスパッタ速度(上記で導いたリチウム流入速度に等しい)は、その質量密度当りのリチウム原子数密度(atomic number density)および原子量が与えられれば、以下の適切な単位変換により、リチウム単層の厚さからnm/secへと変換される:
原子数密度
=ρlithium(g/cm3)/[Mlithium atom(amu)・{1.6605×10-24g/1amu}] {12};
ここで、ρlithium=0.535 g/cmであり、またMlithium atom=6.941amuである。リチウムについての得られた原子数密度は、4.64×1022原子/cm3である。この数のリチウム原子を各辺が1cmの立方体の中に整列させたならば、エッジに沿った1cm当りの原子数は、原子数密度の平方根、即ち、3.58×107原子/cmであろう。得られる単層厚さは、2.78×10-8cm、または0.278nmである。従って、単層中の1cm当りの原子数は、エッジに沿った1cm当りの原子数の二乗、即ち、1.28×1015原子/cm2である。
【0051】
1秒当りでスパッタリングにより除去される原子(例えばリチウム)の数は、式11に与えられた流入速度に合致しなければならない。従って、1秒当りに除去される単層の数は、流入速度を、単層中の1cm2当りの原始数で除算したものに等しい。厚さ除去速度は、単層除去速度に単層厚さを乗じたものである。即ち、
厚さ除去速度
=単層厚さ(nm)×[流入速度(atoms/cm2s)/単層中の原子数(atoms/cm2)] {13}.
リチウムについての値を使用すれば、下記の通りである。
リチウム厚さ除去速度=2.17×10-16・リチウム流入速度(atoms/cm2s) {14}.
得られる単位は、nm/secである。図11に示されたリチウム流入速度は、同じ1〜4の液滴サイズ、反復速度およびデューティーサイクルについて、図12に示した必要なリチウム厚さスパッタ速度に変換される。この結果は、小さい液滴サイズおよび大きなミラー変形の必要性を更に強調するものである。そうでなければ、必要なスパッタ速度は非実用的になる可能性がある。
【0052】
リチウムについての必要な厚さスパッタ速度は、モリブデンについての許容可能な最大厚さスパッタ速度、例えば1年コレクタ寿命と比較することができる。許容可能な最大モリブデンスパッタ速度、1.75×10-5 nm/secに分割された図12のデータが、同じ1〜4の液滴サイズ、反復速度およびデューティーサイクルについて図13に示されている。
【0053】
問題は、リチウムスパッタ速度よりも4桁以上小さいモリブデンスパッタ速度を得るために何が必要とされるかである。ヘリウムイオンよって攻撃されたときのリチウムおよびモリブデンのスパッタ収量が、例えば、W. Eckstein, “Calculated Sputtering, Reflection and Range Values”, June 24, 2002に述べられている。このスパッタ収量データvs.イオンエネルギーが、(3)Eth=52.7eVでMo中へのリチウム、(2)Eth=10.1eVでSi中へのリチウム、(1)Li中へのヘリウム、のイオンエネルギーについてのシリコンのデータと共に、図14に示されている。これから分かるように、選ばれたヘリウムイオンエネルギーが低いと、許容可能なリチウムスパッタ収量を生じ、また実質的にモリブデンスパッタ収量をもたらさない。しかし、入射イオンエネルギーを完全には制御できないとの事実から問題が生じ得る。即ち、入射ヘリウムイオンのエネルギースペクトルはデルタ関数ではない。リチウムとモリブデンとの間のスパッタリングの差を決定するときに評価されなければならないのは、イオンエネルギーの広がりである。
【0054】
RF誘導(RFI)プラズマの文献には、例えば、J. Hopwood,”Ion Bombardment Energy Distributions in a Radio Frequency Induction Plasma”, Applied Physics Letters, Vol. 62, No. 9 (March 1,1993), pp 940-942.に述べられているように、例えば2.5eVのFWHMのガウス形であるイオンエネルギー分布を形成している例が存在する。
【0055】
このイオンエネルギー分布のピークは、例えば、電界強度およびヘリウム圧力を適正に選択して調節することができる。例えば、20eVのピークイオンエネルギーを選択することによって、ヘリウムイオンはリチウムに対する高スパッタ収量を有するが、安全に、モリブデンのスパッタ閾値未満のエネルギーを有する。図15には、20eVおよび2.5eVのFWHMにセンタリングされた正規化されたイオンエネルギー分布のプロット(1はlogスケール、2は線型スケール)が、(3)リチウム、(4)シリコン、および(5)モリブデンについてのスパッタ収量と共に示されている。モリブデンのスパッタ閾値を越えるエネルギーをもったヘリウムイオンは、非常に僅かしか存在しないことを見ることができる。これらの条件下におけるモリブデンのスパッタ速度を決定するためには、ミラー表面をリチウム原子から清浄に維持するために必要な、ヘリウムイオンの流入を計算することが必要である。ヘリウムイオンエネルギー分布のバルクは略一定なリチウムスパッタ収量の領域内に入るから、イオン当り0.2原子の一定のスパッタ収量を想定することができる。
ヘリウムイオン流入(イオン数/cm2s)
=リチウム流入(原子/cm2s)/スパッタ収量(原子/イオン) {15}.従って、ヘリウムイオン密度は、図11に種々の条件について示したリチウム流入密度の値の5倍でなければならない。
【0056】
式15に表されたこのヘリウムイオン流入は、例えばリチウムが完全に均一には堆積しないと仮定したときの、最小限に過ぎないとみなされてよい。この場合、リチウムの島が発生しないことを保証するためには、より高い合計スパッタ速度が必要とされるかもしれない。他方、他の研究者等は、LPPプラズマからの材料の放出がレーザ源に向って移動する傾向にあることを示している。従って、このデブリの多くがコレクタミラーに衝突しないように、レーザがコレクタから離れた方向からリチウム液滴を照射するように、またはコレクタミラーのアパーチャを通して照射するようにシステムを構成することができる。こうして、ミラーに対する全リチウム負荷は、ミラーに衝突する合計の理論量から低減されてよい。
【0057】
ヘリウムイオンの全フラックスを知り、また20eVのピークおよび2.5eVのFWHMをもったガウスエネルギー分布を仮定すれば、正規化ガウス分布の隻分は√(2πσ2)であり、ここでのσ2は、次式によってFWHMに関連付けられた分布の分散を与える。
【数7】
従って、正規化されたガウス関数の積分は、√(π(FWHM)2/2ln(4))であり、ヘリウムイオンのピーク電流密度は次式によって与えられる。
ピークヘリウム電流密度(イオン数/cm2s/eV)
=ヘリウムイオン流入(イオン数/cm2s)/√(π(FWHM)2/2ln(4)) {17}.
ミラー半径が10cmで25μmの液滴の場合をとれば、合計1.88×1015リチウム原子/cm2sをスパッタするために、ピークヘリウム電流密度は、1eV当り3.38×1015イオン/cm2でなければならない。このヘリウム電流密度分布(1)は、(2)シリコンスパッタ密度、および(3)リチウムスパッタ密度、並びに経験的に決定された(4)リチウム、(5)シリコン、および(6)モリブデンのスパッタ収量、並びにこれら関数とイオン電流密度の積と共に、logスケールで図16にプロットされている。この分析の驚くべき有益な結果は、モリブデンについてのピークスパッタ密度が、3.5×10-205原子/cm2/eV(グラフ上には図示せず)と信じ難いほど小さい値であることを示している。事実、ピークシリコンスパッタ密度でさえ、リチウムの場合よりも3桁以上小さい。
【0058】
全てのヘリウムイオンエネルギーに亘るこれらスパッタ密度の積分が、全スパッタ速度を与える。これらの積分は、(1)リチウム、および(2)シリコンについての破線曲線として、それぞれ図17に示されている。この積分されたリチウムスパッタ密度は1.88×1015原子/cm2sで、リチウム流入速度に合致している。積分されたシリコンスパッタ密度は、9.17×1010原子/cm2sである。積分されたモリブデンスパッタ密度は、1.16×10-205原子/cm2sである。従って、モリブデンとリチウムの間の示差スパッタ速度は非常に低いので、例えばコレクタミラーには少ない層数しか用いる必要がなく、例えば以前に予想された300基本対のミラー概念よりも遥かに少なくてよい。単一のモリブデン層は、これらの条件およびこのスパッタ収量モデルの下において、1年以上持続するであろう。この特性は、着火点とコレクタ主ミラーまたは副ミラーとの間にデブリシールドを使用することによって更に改善できるであろうが、これらの結果から分かるように、該デブリシールドは、少なくともリチウムターゲットについては完全に省略されてもよい。EUV光学系に由来するデブリの、このタイプの刺激されたプラズマ誘導イオン化スパッタリング(特にリチウムターゲットについて)は、上記から解るように、他のターゲットタイプ(例えば移動テープまたは他のタイプの移動式固体ターゲット系)の使用をも可能にできるであろう。ヘリウムイオンスパッタリングは、コレクタミラーからリチウム原子を充分な速度で除去する一方、モリブデンについては、1年よりも遥かに長い寿命のための充分に遅い速度でスパッタするように構成することができる。
【0059】
議論されている本発明の実施形態においては、例えばリチウムイオンによるモリブデンのスパッタリングも考慮しれなければならない。何故なら、例えば、光学系の表面には到達しないがスパッタリングプラズマには利用可能で、且つヘリウムイオンと同じエネルギー分布でミラー表面に向けて加速される、点火プラズマからのデブリ形成リチウムイオンが存在するからである。文献は、リチウムイオンでのリチウムおよびモリブデンのスパッタ収量に関するデータをも提供している。このデータは、図18において、ヘリウムイオンについて使用したのと同じ正規化されたリチウムイオンエネルギー分布と共に、Eth=36.3eVでのリチウムについての曲線1に示されている。リチウムからモリブデンスパッタ密度を計算するためには、全リチウムイオン流入を知らなければならない。ヘリウムについてのこの計算(式15)とは異なり、全リチウム流入が何になるか明瞭ではないが、保存的選択は、LPP着火プラズマによって発生される全リチウム原子流入であろう。式17を使用し、また25μmの液滴およびミラー半径10cmの仮定を使用すれば、1.88×1015リチウムイオン/cm2sがミラーに入射するであろう。そして、ピークリチウムイオン電流密度は、入射イオンエネルギー中に広がった2.5eVのFWHMを仮定すれば、1eV当り7.06×1015リチウムイオン/cm2sであり、これは、モリブデンについてのスパッタ収量を乗算し且つ全イオンエネルギーに亘って積分したときに、2.54×10-48原子/cm2sの全モリブデンスパッタ密度を与える。これは、ヘリウムイオンについてのものよりも遥かに高いが、それでも、1年の有用な寿命について必要とされる速度よりも遥かに低い。
【0060】
リチウムイオンでのモリブデンスパッタ密度は、式12および式13を使用することによって、厚さ喪失速度に変換することができる。モリブデンについては、
ρmoly=10.2g/cm3
Mmoly atom=95.94 amu=1.59×10-22g
モリブデン原子数密度=6.40×1022 atoms/cm3
モリブデン単層厚さ=2.50×10-8 cm= 0.250 nm
モリブデン単層原子密度=1.59×10l5 atoms/cm2
である。
【0061】
従って、モリブデンについてのスパッタ厚さ速度は、リチウム原子によって攻撃されたときには、3.99×10-64nm/sec、または1.25×10-56nm/yearである。これはまた、例えばヘリウムイオンスパッタリングによるEUV光学系のスパッタリングプラズマイオン化洗浄の上記で述べた有益な結果が、例えばモリブデンのリチウムスパッタリングを用いた場合でさえ実現可能であるとの結論を導く。
【0062】
追加の有益な結果は、先に提案した例えばルテニウムキャッピング層を、例えば多層ミラー上に使用することの再考である。ルテニウムキャッピング層は、Mo/Siスタックにおける第一のシリコン層のEUVに補助された酸化を防止するために提案されてきた。モリブデン層は室内の空気に露出されると迅速に酸化されるので、多層ミラーは、通常はモリブデン層ではなくシリコン層で終端する。出願人は、EUV光学系のスパッタリングプラズマ洗浄に関する上記の分析の前に、例えばシリコンで終端する多層ミラーについて、第一のシリコン層が腐蝕されて第一のモリブデン層またはルテニウムキャッピング層が露出され、該アプローチが採用されれば第一のモリブデン層の酸化を回避するであろうとの予測をもって考察した。モリブデンの超遅い腐蝕速度、およびルテニウムについての予測される同様の低腐蝕速度は、ミラーの有用な寿命のあいだ持続することが期待されるルテニウムキャッピング層の使用を可能にする。これは、第一のシリコン層の喪失をもたらさず、またスパッタされたシリコン原子が何を生じるかに関して悩まされる必要をも生じず、また露出されたモリブデン層についての酸化の問題も生じない。リチウムおよびヘリウムでのルテニウムのスパッタ収量は、モリブデンの場合と同様であることが予想されるが、ルテニウムはモリブデンよりも高い原子量を有しているので、未だ決定されるべく残されている。
【0063】
光学表面またはその近傍において、望ましいスパッタリングプラズマを形成するために必要な最小RF電力は、例えば、形成される全てのヘリウムイオンがコレクタミラーに衝突すると仮定することにより計算することができ、これは必要なRF電力を過小評価するであろうが、大きさのおおよその見積りを与えるはずである。コレクタミラーに衝突する各ヘリウムイオンは、イオン化するために24.5eVを必要とし、また本発明の一実施形態の上記例に従えば、それがコレクタミラーに到達するときに20eVの平均運動エネルギーを有していなければならない。これらの二つのエネルギー値に、必要とされるヘリウムイオンの流入(図15からの9.40×1015ions/cm2s)を乗じると、プラズマ電力が得られる。エネルギー単位をeVからJに変換すると、66.9mW/cm2の最小プラズマ電力密度が与えられる。半径10cmのミラー表面積の半分(628cm2)を乗算することにより、42Wの最小全プラズマ電力が得られる。プラズマ電力の1%だけが有効に使用されることを保存的に仮定すれば、必要とされるプラズマ電力は4.2kWであり、これは、特に該電力が消費され得る非常に大きな面積を考慮したときに許容可能である。このプラズマ電力の見積りは、6kHzのLPPレーザ電力(2.4kW)でのパルス当り400mJの先の仮定に匹敵し、またπステラジアンを定めるコレクタミラーを仮定すれば、それはこのレーザ電力の半分、即ち、1.2kWに曝されるであろう。LPPからの熱的負荷は、プラズマ洗浄の熱的負荷と同様である。この二つの電力の合計は5.4kWであり、8.6W/cm2のミラー上での電力密度をもたらす。出願人は、10W/cm2以下の電力密度に露出されたコレクタミラーが、例えば該ミラーの背面に沿った、または接地されたシールドと該ミラーとの間の水チャンネルで容易に冷却されると確信する。
【0064】
プラズマ電力効果が10%大きければ、ミラー上での全電力密度は2.6W/cm2に過ぎず、ステファンの放射の法則に従って、該ミラーを放射的に冷却することを可能にする。この法則は、温度Tの黒体1平方メータ当りからの放射電力が、次式で与えられることを述べており、
【数8】
ここでの温度はケルビン単位で、得られる電力密度はW/cm2単位であり、これは図19にプロットされている。この入射電力の全てを放射させるためには500℃を越える温度が必要とされるであろうから、当該多層スタックへの損傷を防止するためには、集光ミラーの能動冷却が必要とされるように思われる。
【0065】
次に図20を参照すると、例えば反射表面上に堆積した材料(例えば炭素および/または炭素ベースの分子)により、損傷を受けたEUV光学系(例えば反射性を失ってしまったもの)を再生するための、本発明の一実施形態に従う装置および方法が概略的に示されており、前記堆積した材料は、例えばEUVプラズマチャンバに導入される汚染物、またはEUV装置野反射表面上にコートされた多層反射スタックの層からのスパッタリングもしくは光子的除去されたものに由来する。図20に見られるように、光化学的洗浄装置400は、洗浄のためにコレクタを保持するように適合されたコレクタ保持治具402を装着し得るチャンバを含むことができる。また、光源410からの光がコレクタの焦点での供給点(例えば上記で述べた着火点28)から来る光をシミュレートして、コレクタ404があたかもターゲット着火部位からの光で照射されるように、コレクタ保持治具402および光源410と共に、例えば光子エネルギーの供給源(例えばDUV光源410)が含められてもよい。
【0066】
本発明の一実施形態に従えば、例えばチャンバ401は、先ずN2バルブを通してチャンバに供給された後に、ガス出口弁を使用してチャンバ401から排出される窒素の使用によりパージされてよく、続いてフッ素含有ガス(例えば分子状F2またはNF3)を導入してもよい。コレクタ404は、次いで、例えば約4kHzのパルス反復速度をもった約40Wの高電力用MOPA構成の、193nmのKrFエキシマレーザからの光源(例えば160〜300nmのλ範囲のDUV光)による照射を受ける。これは、例えば気相におけるフッ素ベースの炭素材料(例えばCF4)の生成を誘導するように働くことができ、この炭素材料は、次いで第二の窒素パージの下で、ガス出口バルブ420を通してチャンバ401から排出することができる。
【0067】
KrF・DUV光源の別の例は、商業的に入手可能なDUVランプ、例えばKrCl・DVUランプであることができるであろう。
【0068】
出願人は、EUV光学系、例えばコレクタ反射表面上における厚さ約3.5nmの炭素原子の堆積が、約5%だけ反射率を減少させ、また10nmの堆積は約14%だけ減少させ得ると予測している。このような堆積物の厚さレベルは、選択された濃度および上記で挙げたDUV光レベルを用いた、選択された時間のフッ素での処理の下で、例えばコレクタ光学系の反射表面から除去されることが期待される。このプロセスはまた、例えば洗浄プロセスの際に望ましいフッ素濃度を維持するように、ガス流制御バルブ(図示せず)を用いたフッ素供給の補充を採用することができるであろう。
【0069】
また、出願人はここに、本発明の実施形態の側面に従って、例えば13.5nmのEUV光反射率について最適化されたMo/Si反射スタックの熱安定性および反射率の改善を補助するために、他のタイプのバリア材料を多層反射ミラースタックに使用してよいことを提案する。例えばMo/Siおよび恐らくはMoSi2とも適合して、例えば13.5nmの光に対する適切なレベルの透明性を保持する非常に薄い(例えば1nm)バリア層の平滑化を促進するために、出願人は、ZrC、NbC、SiC、からなる群から選択される炭化物、ZrB2、NbB2、からなる群から選択されるホウ化物、ZrSi2、NbSi2、からなる群から選択されるジシリサイド、並びに窒化物BN、ZrN、NbNおよびSi3N4を含んでなる相互拡散バリア層の使用を提案する。他のこのような層には、イットリウム、スカンジウム、ストロンチウムの化合物および/または純粋な形態のこれら金属を含むことができるであろう。上記のうち、このような材料を用いてより滑らかな拡散バリア層を形成する能力の故に、上述した炭化物およびホウ化物が好ましい。
【0070】
本発明の一実施形態の側面に従って、出願人は、MoSi2/Si、Mo2C/Si、Mo/C/Si/C、およびMo/X/Si/Xを含む多層スタックを想定しており、ここで最初の二つはMLMであり、MoSi2またはMo2Cは、通常は相互拡散バリアのないMo/Siミラーコーティングに使用されるMoの代りに使用される。他の二つは、所謂相互拡散バリアと共に使用され、ここでのCは炭素を意味し、Xは更なる化合物(X材料としての例えば上記のホウ化物、ジシリサイドおよび窒化物)を含む適切な材料を意味する。窒化物は、本発明の実施形態に従う適用における相互拡散バリア層のための、出願人による現在の好ましい実施形態である。MoSi2/Siは、「Mo/Si、MoSi2/Si、およびMo5Si3/Si多層軟X線ミラーの熱抵抗性」と題するY. Ishii et al.の論文(J. Appl. Phys. 78, (1995) p.5227)に記載されている。
【0071】
ヘリウムはEUVに対して高い透明性を有しており、これはバファーガス(透過率90%が代表的である)のための良好な選択である。効率的なスパッタリングのために必要とされる分圧(僅か数mTorr)に基づけば、ヘリウムバッファガスの透過は概ね100%である。可能なコレクタ多層表面は、例えば通常の90対の代りに300コーティング対を含んでいる。この余分な対は90対に対して反射率を改善しないであろうが、これらの余分な層は、必要とされれば、頂部層が腐蝕されて除去されるときに使用される。300層対のミラーであれば、リチウムとミラーとの間のスパッタ速度の差は、一つのミラー層が、例えば一度で数ヶ月もつほど高い必要はない。その代りに、持続し得るミラー腐蝕のために有益な、例えば余分な210層対が存在できるであろう。
【0072】
LPP容器内で発生するかもしれないリチウム化合物、例えばLiH、LiOH、Li2CO3等は600℃を越える融点を有する可能性があり、従って、当該ミラーから蒸発しない可能性がある。これらは、或る場合には、ミラー表面に堆積したリチウムを覆う殻を形成することもあるであろう。しかし、これらは、例えばイオン化されたHe原子を含むスパッタリングイオンプラズマによって非常に効率的にスパッタされることができ、または該プラズマから放出される高速のリチウムイオンおよび原子形態のリチウム自身によってスパッタされ得るであろう。
【0073】
リチウム堆積を前もって止めるために必要とされるスパッタ速度は、EUV光源では、例えば現代の堆積およびエッチング機構において実施されている文献中に指定されたものよりも遥かに高くなり得るであろう。その理由の少なくとも一部は、例えば、リチウムをミラー表面から離間しておくための組合されたアプローチによるものである。本発明の一実施形態の側面に従って、出願人は、リチウムのバルクを除去するために蒸発を使用する一方、ミラー表面に堆積した不可避的なリチウムおよび炭素化合物を除去するための非常に軽いスパッタ速度を用いることを想定している。しかし、少なくとも主反射表面および副反射表面上に衝突する非常に軽いスパッタリングプラズマでさえも、同じく有益な炭素および他のリチウム化合物の除去特性を有することができるであろう。中間焦点以外、例えば照射体反射表面および投影反射表面にもこの着想を用いることは、リソグラフィーツールの反射表面にたまたま到達するデブリを除去する上でも有益であることが立証されるであろう。リソグラフィーツール自身においては、例えば堆積速度が小さいため、熱負荷およびスパッタリング速度は、これが有効であるために充分に低くてよいかもしれない。
【0074】
プラズマから放出されたリチウムと共にスパッタされ、且つ反射表面に集められないリチウムおよびリチウム化合物は、EUV光源容器内に含まれる冷フィンガー(図示せず)、例えば該容器の内壁から延出し、且つコレクタから中間焦点への光学経路の外に延出する冷却された形態の水冷フィンまたはプレートにおいてトラップされることができる。
【0075】
例えばソース元素としての錫の場合、錫ベースのLPP光源におけるコレクタを洗浄するために、水素プラズマと共に、室温で蒸気である例えば金属の水素化物(例えばSnH4)を使用することが可能であるかもしれない。水素は高い13.5nm透過率を有しており、また得られるSnH4は、リチウムのように冷フィンガー上にトラップされるのではなく、ポンプ排出できるであろう。
【0076】
出願人は、錫イオンおよびリチウムイオンの両方に対する、例えばヘリウムおよびアルゴンの停止力を試験した。この結果が図21Aおよび図21Bに示されている。この二つのグラフは、スケールだけが異なる同じデータを有している。ソースプラズマからの異なる測定距離(それぞれ96.5cm、61cmおよび32.5cm)の錫についての線500、502および503は、実線はヘリウムバッファであり、破線はアルゴンバッファである。線506はリチウムについてのものである。圧力*距離の積のスケーリングが適用されれば、錫データについてのこれら三つの組は、相互の頂部が概ね重なるであろう。
【0077】
出願人はまた、所定のガス圧力について、アルゴンがヘリウムより少なくとも10倍高い停止力を有することを観測した。また、リチウムは、錫よりも少ないバッファーガスで停止されることができる。また、LPPコレクタの真の作業距離(〜10cm)にスケールを合わせると、必要とされるバッファー圧力は、アルゴンの場合でさえも、錫について約10mTの範囲にあることが必要とされるであろう。キセノンおよび錫は概ね同じ原子量を有するので、出願人は、キセノンLPPのための必要とされるバッファー圧力もまた、10mTの範囲にあるであろうと予想する。このような高いバッファー圧力は、キセノンおよび錫について、EUV自己吸収の問題を提示し得る。しかし、リチウムの低いバッファー圧力要件および低いEUV吸収の両方のために、リチウムについてはそうではない。
【0078】
例えば、増大する異なるバッファーガス圧力で、既知のアパーチャーサイズを通して、既知の距離でイオンを収集および測定するファラデーカップを使用して、例えば高速イオンに対するバッファーの停止力を試験することを継続する場合、このファラデーカップ信号が減少すれば、イオン停止力の測定を与える。錫およびリチウムについての結果が、図22A〜図22Eに示されている。図22Aおよび図22Bは、それぞれ錫およびリチウムについての生のファラデーカップ信号 vs.時間を示している。図22Cおよび図22Dにおいて、これらの信号は、それぞれ錫およびリチウムについての飛行時間(time−of−flight)を使用して、イオンエネルギーに対してプロットされている。図22Eにおいては、これら曲線の下の面積が、バッファーガスの圧力*距離の積に対してプロットされており、下の方のプロット線(1)は錫であり、上の方のプロット線(2)はリチウムである。
【0079】
出願人によるこの分析の驚くべき結果は、最後のグラフが、錫およびリチウムの両者についてのファラデーカップ信号vs.バッファガスのP*D積が、両方の元素について概ね同じであることを示すことであった。出願人は、これが、該分析はファラデーカップによって捕捉されたイオンの喪失を実際に測定しておらず、その代りにバッファーガスによるイオンの中和(所謂イオンによる電子捕獲)を測定していたことにおいて説明可能であると確信している。イオンが中和されると、それはファラデーカップ内において登録されないであろう。これは例えば、特に錫イオンが高度に帯電し(7〜11回イオン化される)、またリチウムは最大でも3回しかイオン化され得ないことを考慮すれば、錫はリチウムよりも大きな電子捕獲断面を有することが可能であることから説明することができる。図22Eに示した停止力の結果は、停止力がこれら曲線による予測値よりも良好であり得ない点において、バッファーガス停止力の課題評価と考えることができる。
【0080】
停止力の観察された値を上限と見ることにより、コレクタミラーの寿命を100Bパルスに延長するための、アルゴンバッファーガスの必要な圧力を計算することができる。キセノンLPPおよび12cmのコレクタ距離を用いた一つの多層ミラー対が15Mパルス毎に腐蝕されることを報告した、EUV・LLCによって制定された工業試験規格(Engineering Test Standard;ETS)から出発し、また多層ミラーの反射率は10層対が除去されるまでは顕著に劣化しないと仮定すると、ETSコレクタミラーは、100Bパルスの要件に比較して、150Mパルスの寿命を有するであろう。これは、腐蝕速度における666Xの低下が必要であるとの結論を導く。図22Eにおいて、このレベルの低下を達成するためには、約500mT*cmのP*D積が要求されるであろう。例えば12cmの作業距離は、例えば、42mTのアルゴン圧力の必要性を生じる。これはまた、アルゴンバッファー中で捕捉されるキセノンの強いEUV吸収のために、キセノンLPPについては42mTのバッファー圧力が全く充分ではないので、リチウムが例えばキセノンよりも良好なターゲットであるとの結論をもたらすことができる。しかしリチウムの場合、バッファー圧力のこの量は、リチウム吸収にとっては問題ではない。錫もまた、例えば、SnH4の蒸気圧およびコレクタミラー表面からの蒸発速度に依存して充分である可能性がある。従って、比較的大きなバッファーガス圧力が必要とされるように思われ、これは、キセノンは良好なターゲットでない(錫もそうであろう)が、リチウムは最良のように見えるとの結論を導く。
【0081】
出願人はまた、コレクタ反射表面を加熱する効果が、公表された蒸気圧が実現される前に、蒸発される材料は例えば一定の厚さ(例えば50Å、例えば10単分子層)を有する必要があるとの事実、即ち、材料(例えばリチウム)はミラー表面から直接蒸発され難いかもしれないとの事実によって悪影響を受けるとしても、ミラー表面上のこのような厚さのリチウムの透過率は約95%および90%(2回通過)であり、このようなミラー上の層は全体のCE、例えば13.5nmから顕著には損なわれないであろうと決定した。加えて、このようなリチウムの「蒸発のない」層は、これがコレクタミラーを高速リチウム原子およびイオンの猛攻撃から保護できる点において、実際には有益である可能性がある。このリチウム層は、多層ミラーのモリブデン層の代りにスパッタされるであろう。キセノンはガスであるから、このような保護層を形成せず、また、錫層はその非常に高いEUV吸収のために、52%しか透過させないであろう。
【0082】
例えば約1keVのイオンエネルギーについて(このエネルギーレベルを超えるとスパッタ速度は飽和する傾向にある)、モリブデンに対するリチウムのスパッタ収量がモリブデンに対するキセノンのスパッタ収量よりも遥かに低いとすれば:
入射イオン
ターゲット材料 リチウム キセノン
リチウム 0.21 ??
モリブデン 0.081 1.45
キセノンはリチウムよりも18倍高い速度でモリブデンをスパッタするであろう。この差は単独で、他に何も変更することなく、2.7Bパルスのコレクタ寿命を与えるであろう。「蒸発のない」定常状態のリチウムの薄層は、スパッタ速度における残りの37Xの低下を与えるであろう。そうでないとしても、〜100の余分な犠牲層対を持ったミラーを製造するEUV・LLCの概念は、寿命における10X、例えば27Bパルスの増大を加えることができ、これはリチウムからの低い腐蝕と組合せて、100Bパルスのコレクタ寿命を与えることができるであろう。
【0083】
出願人はまた、コレクタミラーの静電的保護の効果を試験した。この概念、即ち、高エネルギーのイオンがミラーの方に向って移動するときに電位井戸をよじ登るように、光源LPPとコレクタミラーの間に電界を発生させることは、文献において提案されてきた。この電位井戸は、これらイオンがミラーに到達する前に、それらの運動エネルギーを全て失うために充分に深くすることができる。事実、それらは電位井戸の回りで向きを換え、電位井戸の下へと追い払われる。しかし、出願人は、容器を通してコレクタミラーへと電気接続を走らせることによってこれを行う試みは、レーザをパルシングする際にゼロ近傍にまで降下させるターゲットバイアスに起因して無効であることを発見し、これはバイアス電圧を維持するために必要とされる高いピーク電流および必要とされる大きなワイヤ(従って、該ワイヤのインダクタンスに沿った電圧の全てを低下させた)の結果であると決定した。この問題を補正するために、出願人は、真空容器内部にキャパシタを設置して、アースとターゲットプレートとの間に低インダクタンスバスワークを構築した。インダクタンスは、銅シートを上に向け且つターゲットの回りに配置して、アースに取り付けることにより測定した。キャパシタを低電圧に充電し、またターゲットに対して銅シートを押圧することによりこれを放電することによって、出願人はリング電圧波形を測定し、インダクタンスを推論した。その結果は、697nsで104nHの半周期放電波形であった。この放電周期はレーザパルスおよびその後のEUV放出よりも遥かに長く、このバイアスが、イオンが形成されてプラズマ領域を出るときの臨界周期(〜20ns)の際に維持され得るかどうかについての懸念が生じる。しかし、出願人は、このような短い時間スケールは重要でないと決定した。重要なことは、例えば。ターゲットからミラーへのイオンの移動時間に比較して短い時間スケール内で、ターゲットバイアスを維持または再樹立することである。現在の形状において、イオン移動時間は2.5μsであり、従って0.7μsの回路半周期は充分なはずである。
【0084】
この装置の試験において、出願人は、完全な0.47μFのキャパシタンスが、銅ストラップを使用したインダクタンス測定の際と殆ど正確に同じ時間スケールで、その−1000Vから流出したことを発見して驚かされた。出願人は、レーザパルスはターゲットプレートと容器壁との間で放電を開始させると決定した。この放電は、キャパシタの高電圧端末とアースとの間の回路を完成させて、銅ストラップがそれらを横切って配置されたかのように、キャパシタから流出させる。明らかに、レーザパルスの最中およびその直後に展開される事象は、ターゲット点においてプラズマが形成されること、および該プラズマが容器全体に亘って大量の硬UVおよびEUV放射を放射することである。これら光子の殆どのエネルギーは、容器内部の金属の仕事関数を越えるものであり、従って全ての該金属表面において光電子が発生する。これらの光子はまた、当該容器内に存在する如何なるガス原子をもイオン化するのに充分なエネルギーを有している。この場合、アルゴンはバッファーガスとして使用され、LPPによって生じた硬UVおよびEUV放射によって容易にイオン化される。そして最終的には、LPPにおいて、および容器の容積中への外方への流れの中に電子およびイオンが形成される。バイアスされたターゲットプレートに引寄せられるイオンについては例外である。それらはプレートに衝突して、二次電子を形成する。本質的には、当該装置がレーザにトリガーされた放電スイッチであるかのように、相互間の電位に保持された二つの金属プレートの間で放電形成が生じる。
【0085】
更に、効果的な静電的反発を行わせるための幾つかの可能性が存在するが、これは更に複雑になり、また実際には静電的ではない。このアイデアは、それがレーザパルスの初期事象の後にのみ存在するように、バイアスをパルスすることである。僅か数百nsの間に、殆どの電子は容器壁に衝突し、勿論放射が起きるであろう。このときに、コレクタミラーからイオンを遠ざけるようにバイアスを印加してイオンを反発させ、または引寄せることが可能であろう。
【0086】
当業者は、上記で述べた本発明の好ましい実施形態およびその側面が排他的なものではなく、本願に開示した発明の精神および範囲を逸脱することなく、上記で述べた実施形態への他の変形および追加がなされ得ることを承認するであろう。従って、特許請求の範囲は、上記で開示した実施形態および側面に限定されるように解釈されるべきではなく、記載された要素およびこれら記載された要素の均等物が、特許請求の範囲およびその精神内に含まれるように解釈されるべきである。例として、他のターゲット材料および多層反射コーティング材料は、例えば、光反射表面の近傍でのスパッタリングプラズマの形成によって誘導されたイオン(このイオンはヘリウム以外、例えばH、NまたはOであってもよい)のスパッタリングにより連続的な洗浄を可能にする、上記で述べたのと同じ関係を有してよい。また、例えば反射表面のための加熱機構は、反射表面に向けられた加熱ランプであることもできるであろう。当業者は、他のこのような変更および追加を理解することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路リソグラフィー露出露光源として適用するための、EUV(軟X線)光の発生の分野に関し、特に、このような装置のための光コレクタに関する。
【0002】
[関連出願]
この出願は、2003年4月8日に出願された米国出願第10/409,254号の一部継続出願であり、その開示を本明細書の一部として援用する。
【背景技術】
【0003】
半導体集積回路を製造するために、更に小さい臨界寸法を適用することの必要性が常に増大しているので、深紫外(DUV)光から、軟X線とも呼ばれる極端紫外(EUV)光に移行する必要性が生じている。このような光を、EUVリソグラフィーツール(例えばステッパスキャナまたはスキャナ)での充分なスループットを可能にする有効なエネルギーレベルで、例えば主要な部品交換の間の許容可能な寿命に亘って発生させるための装置および方法についての種々の提案が存在している。
【0004】
例えば13.5nmを中心とする波長の光を発生するために、例えばリチウムを使用する提案が存在するが、このリチウムはプラズマを形成するために導入および/または照射されるものであり、該プラズマはリチウム原子をある状態へと励起させ、その状態からの崩壊により、約13.5nmを中心としたエネルギー分布を有するEUV光子の大部分が生じる。このプラズマは、例えば下記の特許および参照文献に述べられているように、固体または液体リチウム源の近傍において、高密度プラズマ集中電極を使用した放電によって形成されてもよい:即ち、2003年7月1日にMelynchuk et al. に対して発行された「活性バッファーガス制御を用いたプラズマ集中光源」と題する米国特許第6,586,757号、および2003年4月8日に出願された上記特許の米国出願第10/409,254号;2003年5月20日にRauch et al.に対して発行された「タンデム式楕円形ミラーユニットを備えたプラズマ集中光源」と題する米国特許第6,566,668号;および2003年5月20日にPartlo et al.に対して発行された「改善されたパルス電源システムを備えたプラズマ集中光源」と題する米国特許第6,566,668号(これらは本願の譲受人に譲渡されている)、およびそれらの中に引用されている出願、特許および他の参照文献(これらの開示は全て本明細書の一部として本願に援用される)、並びに他の代表的な特許もしくは公開された特許出願、例えば、Amemlya et al.を発明者として2002年1月24日に公開された「X線露光装置」と題する米国公開出願第2002−0009176A1号(その開示を本明細書の一部として本願に援用する)である。加えて、下記の特許および公開米国出願に述べられているように、当該プラズマは、ターゲット、例えば液体金属(例えばリチウム)の液滴、または液体または固体のターゲット金属(例えばリチウム)を液滴中に含む他の材料の液滴に対して、例えば該ターゲット上に集中されたレーザを照射することによって誘導されてもよい:即ち、2001年9月4日にKondo et al.に対して発行された「軟X線発生のための方法および装置」と題する米国特許第6,285,743号;2002年12月10日にBisschopsに対して発行された「極端短波長放射線を発生させる方法」と題する米国特許第6,493,423号;Richardsonを発明者として2002年10月3日に公開された「...レーザプラズマから作製されたEUV、XUVおよびX線波長光源」と題する米国公開出願2002−0141536A1;2002年4月23日にRichardsonに対して発行された「水滴ターゲットを使用した極端紫外線リソグラフィーのためのレーザプラズマ光源」と題する米国特許第6,377,651号;2001年10月23日にFoster et al.に対して発行された「X線、極端紫外線および紫外線放射の成形された光源」と題する米国特許第6,307,913号(これらの開示は本明細書の一部として本願に援用する)である。
【0005】
このようなプラズマの形成および得られたプラズマからのEUV光の発生から、望ましい帯域内で発生されることが望まれるEUV光におけるエネルギー量は、例えば100W/cm2と比較的莫大なので、EUV光の収集ができるだけ高い効率で行われることを保証することが必要である。この効率は、有意に劣化しないこと、即ち、比較的長期の動作期間に亘ってこのような高効率を維持できること、例えば、有効な100%のデューティーサイクルについての超高パルス反復速度(4KHz以上)で1年の有効な動作を維持できることが必要である。これらの目標を満たすためには多くの困難な問題が存在するが、その側面は、EUV光源用コレクタに関する本発明の側面の説明において扱われる。
【0006】
実行可能な設計において対処することが必要な幾つかの問題には、次のことが含まれる:即ち、例えば、入射反射ミラーに垂直に、例えばルテニウム(Ru)の外側コーティングを通して、モリブデン(MoまたはMoly)およびシリコン(Si)の交互層のような多層構造の層中へのLiの拡散、および例えば一次および/または二次コレクタの寿命に対するその影響;例えばLiとSiの間の化学反応、および例えば一次および/または二次コレクタの寿命に対するその影響;例えばプラズマを形成する着火のための照射を生じるレーザからの帯域外放射線(例えば、深UVレジストタイプがEUV範囲のリソグラフィーの中に持ち込まれ、ターゲットから散乱されたこのような帯域外の光が該レジストの効率的な露光を生じ得るとすれば、レジスト露光に対する何等かの影響を回避するように低く維持することが必要なKrFエキシマレーザからの248 nmの放射線)の散乱;中間焦点への出力光エネルギーの100Wデリバリーを達成すること;一次および二次コレクタが少なくとも5Gパルスの寿命を有すること;所定の光源、例えば所定のターゲット(例えばターゲット液滴、若しくは液滴内のターゲット、または他のターゲット)での必要な変換効率、並びに高温の動作温度および例えば13.5 nm近傍の波長を中心とする帯域外放射線での多層ミラーの必要な寿命の維持を達成することである。
【0007】
多層反射を利用することによって、EUVの問題の波長、例えば、約5〜20 nm、11.3 nm近傍、または13.0〜13.5 nmのための垂直入射反射(NIR)ミラーを構築できることが周知である。このようなミラーの性質は、これに含まれる幾つかまたは全ての層についての組成、数、順序、結晶性、表面粗さ、相互拡散、周期、および厚さの比、アニーリングの量等に依存し、また、例えば、拡散バリアが使用されるか否か、該バリア層が如何なる材料および厚さのものであるか、また該バリア層によって分離された層の組成に対するその影響にも依存するが、これらは例えば、Braun, et al., “Multi-component EUV multi-layer mirrors”, Proc. SPIE 5037 (2003) (“Braun”); Feigl, et al.,”Heat resistance of EUV multi-layer mirrors for long-time applications,” Microelectronic Engineering 57-58, p.3-8 (2001)(”Feigl”);2002年5月1日に出願された出願第10/847,744号に基づいて、2002年5月28日にBarbee,Jr. et al.に対して発行された「EUVおよび軟X線適用に使用するための、鮮鋭で安定な界面を備えた多層フィルム」と題する米国特許第6,396,900号(”Barbee”);および1992年4月21に出願された日本出願の優先権を主張して、1993年4月14日に出願された出願第45,763号に基づいて、1994年6月7日にItoh et al.に対して発行された「軟X線のための多層フィルム反射体」と題する米国特許第5,319,695号において述べられた通りである。
【0008】
Itohは、異なるX線反射率の材料、例えば、シリコン層、モリブデン層、および隣接する各一対の層の間に形成された水素添加界面層で構成される多層フィルムを形成するために、基板上に交互に堆積されたシリコン(Si)およびモリブデン(Mo)について述べている。Barbeeは、両方の界面(Mo−on−Si界面およびSi−on−Mo界面)に配置された第三の化合物、例えば炭化ホウ素(B4C)2の薄層について述べている。この第三の層は、炭化ホウ素ならびに他の炭素およびホウ素に基づく化合物からなっており、EUV波長および軟X線波長における低い吸収を有するものとして特徴付けられる。従って、MoおよびSiの交互の層を含んでなる多層フィルムは、各層の間に、炭化ホウ素(例えばB4C)および/またはホウ素ベースの化合物の中間層を含んでいる。この中間層は表面(界面)化学を変化させ、これにより反射率の増大および増大した熱的安定性をもたらすことができ、例えば、Mo/Siについては、相互拡散が防止または低減されて、これらの望ましい効果をもたらす。Barbeeはまた、Mo−on−Si界面からSi−on−Mo界面までの第三の層の厚さを変化させることについて述べている。Barbeeはまた、Mo−on−Si界面の鮮鋭度は、Si−on−Mo界面の鮮鋭度よりも典型的には約2.5倍劣るであろうと述べている;しかし、Mo−on−Si界面におけるB4C中間層の堆積に起因して、このような界面の鮮鋭度はSi−on−Mo界面のそれに匹敵するものである。Braunは、熱安定性を改善し且つ内部歪みを低下させると同時に、反射率を増大させるために、炭素バリア層を使用してMo−on−Si境界での相互拡散を減少させることについて述べている。Braunは、Mo−on−Si界面およびSi−on−Mo界面で厚さを変化させる際に、通常はMo−Si境界がMoSi2を形成すること、また、Moおよび/またはSi層の形態が、例えば炭素含有バリア層によって影響され得ることに特に言及している。加えて、Braunは、バリア層のないMo−Si界面の界面粗さに対する、バリア層形成の影響に注目している。Braunは、Mo/SiC多重層を使用して、λ=13.3 nmで70.1%の反射率を報告している。Mo/Si/CB4Cの使用はアニーリングを伴っても、多重層に比較して内部歪みを減少させることについても述べられており、これはかかる多重層ミラーを湾曲したミラーのために使用する能力に影響する。Braunはまた、多重層構成における中間層コントラスト、衝撃反射および吸収の間のトレードオフ、例えば、Nbでの吸収は低いが低コントラストであるNbSi層、および高コントラストであるがRu層での吸収が高いRu/Si(両者共に、Mo/Si多重層スタックよりも特性が低い)について述べている。Braunはまた、三つの層、例えばMo/Si/Ag、またはMo/Si/Ruを使用することの理論的有用性について述べており、これらは理論的には高い反射率を有しているが、Agの実施形態は、望ましい厚さでのAg層における空隙、およびMo/Si/C/Ru多重層のλ=13.5 nmにおける計算された最良の反射率(Mo層中で制限される厚さがMo層における結晶化を妨げる)に起因して、理論的反射率を達成できない。しかし、Braunはまた、Mo/Si/C/Ru多重層スタックが、該スタックを通して上方に広がる初期のMo層堆積表面粗さに起因して、恐らくは理論的に計算された反射率の期待に応えられないことを見出している。Feiglは、Mo/Si、および超薄膜Mo2Cバリア層の使用を含むMo/Mo2C/Si/Mo2C多重層スタックの構造的安定性に対する、500℃以下の上昇温度の影響について述べている。Feiglは、例えば200℃を越える温度でのMoおよびSiのアニーリングにより、このバリア層がMoSixの内部拡散層の形成を防止すること、並びにMo/No2C/Si/Mo2CおよびMo2/Si系は600℃まで安定なまま残ることについて言及している。超薄膜Mo2Cバリア層および複数層を有する前者の系(MoSi2も示唆されているが試験されてはいない)および後者は、多重層系におけるMoをMo2Cで置きかえることによって形成される。Feiglによれば、Mo2C/Si系の反射率は600℃を通して0.8を越えたまま残るのに対して、Mo/No2C/Si/Mo2C系は前記温度において0.7よりも僅かに低い値まで徐々に減衰し、400℃では約0.7にまで低下する。
【0009】
本願の出願人は、バリア層のための他の一定の材料、並びにEUV適用のための多重層スタックの潜在的な他の改良を提案する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
EUV光源におけるEUVコレクタの反射表面からデブリを除去するための方法および装置が開示され、これは第一の材料からなる反射表面および第二の材料および/または第二の材料の化合物からなるデブリを含んでなり、前記システムおよび方法は、制御されたスパッタリングイオン源(該イオン源は前記スパッタリングイオン材料の原子を含有するガスを含んでよく)と;前記スパッタリング材料の原子をイオン化された状態に励起する誘導機構とを含んでよく、前記イオン化された状態は、前記第二の材料をスパッタリングする高い可能性、および前記第一の材料をスパッタリングする非常に低い可能性を有する選択されたエネルギーピークの周囲の分布を有するように選択される。前記誘導機構は、RFまたはマイクロ波誘導機構を含んでよい。前記ガスは、前記選択されたエネルギーピークを部分的に決定する圧力に維持され、また前記誘導機構は、前記第二の材料のプラズマデブリ原子の流入速度以上の、前記反射表面からの前記第二の材料のスパッタ密度を形成する、前記スパッタリングイオン材料のイオンの流入を形成してよい。スパッタ速度は、前記反射表面の所定の望ましい寿命について選択されてよい。前記反射表面はキャップされてもよい。前記コレクタは、楕円形ミラー、および半径方向に伸びるチャンネルを含み得るデブリシールドを具備してよい。前記第一の材料はモリブデンであってよく、前記第二の材料はリチウムであってよく、また前記イオン材料はヘリウムであってよい。前記システムは、前記反射表面から前記第二の材料を蒸発させるためのヒータを有してよい。前記誘導機構は、着火時と着火時との間は前記反射表面に接続されてよい。前記反射表面はバリア層を有してよい。前記コレクタは、入射反射シェルの視射角と組合された球形ミラーであってよく、これは、反射体シェル上の多層スタックのための層材料の選択により分光学的フィルタとして作用してもよい。前記スパッタリングは加熱と組合されることができ、後者はリチウムを除去し、前者はリチウムの化合物を除去し、また前記スパッタリングは、励起されたガス原子ではなくプラズマ中で生成したイオンによるものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一つの側面に従う、レーザで発生されたプラズマEUV光源のための全体的な広範な概念を表す概略図を示している。
【図1A】本発明の一実施形態の一つの側面に従う、システムコントローラの動作を概略的に示す。
【図2A】照射着火点から本発明の一実施形態に従う実施形態に向って見たときの、本発明の一つの側面に従うEUV光コレクタの一実施形態を示す側面図である。
【図2B】図2Aにおける線2Bに沿った、図2Aの実施形態の断面図を示す。
【図3】本発明の一つの側面に従う、垂直角度の入射コレクタの別の替実施形態を示す。
【図4】本発明の一つの側面に従う垂直角度の入射コレクタデブリ管理システムの概略図を示す。
【図5】図5のA〜Cは、本発明の一実施形態の一つの側面に従う、コレクタ洗浄信号/コレクタミラーへのRFおよび/またはDC電流の提供のタイミングを示す。
【図6A】入射コレクタの視射角に関する、本発明の実施形態の側面の概略断面図を示す。
【図6B】入射コレクタの視射角に関する、本発明の実施形態の側面の概略断面図を示す。
【図7】5°の入射角および所定の関連波長での、種々の反射表面における視射角入射反射率のプロットを示す。
【図8】15°についての、種々の反射表面における所定の関連波長での視射角入射反射率のプロットを示す。
【図9】本発明の一側面によるコレクタの別の実施形態の概略図を示す。
【図10】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、液滴当りのリチウム原子の計算された数 vs.液滴の直径を示す。
【図11】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、ミラー表面へのリチウム原子の計算された流入vs.ミラーの半径を示す。
【図12】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、計算された必要なリチウム厚さスパッタ速度vs.ミラー直径を示す。
【図13】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、300対の多層コートされたミラーを用いて1年の寿命を得るための、モリブデンスパッタ速度のリチウムスパッタ速度に対する必要な比vs.ミラー半径を示す。
【図14】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、ヘリウムイオンを用いたリチウム、シリコン、およびモリブデンについてのスパッタ収量を示す。
【図15】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについてのスパッタ収量と共に、正規化されたヘリウムイオンエネルギーを示す。
【図16】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについてのスパッタ収量と共に、ヘリウムイオンの電流密度を示す。
【図17】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについての全ヘリウムイオンスパッタ速度を示す。
【図18】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、リチウム、シリコンおよびモリブデンについてのスパッタ収量と共に、正規化されたリチウムイオンエネルギーを示す。
【図19】本発明の一実施形態の一つの側面の説明に有用な、黒体についての放射電力密度 vs.温度を示す。
【図20】本発明の一実施形態の一つの側面の概略図を示す。
【図21A】本発明の一実施形態の側面に従った、錫およびリチウムイオンに対するヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力に関する実験結果を示す。
【図21B】本発明の一実施形態の側面に従った、錫およびリチウムイオンに対するヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力に関する実験結果を示す。
【図22A】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22B】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22C】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22D】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【図22E】本発明の一実施形態の側面に従った、リチウムおよび錫の両者に対する、ヘリウムおよびアルゴンバッファーガスの停止力の更なる実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、EUV光源、例えば本発明の一つの側面に従った、レーザにより発生されるプラズマEUV光源20についての、全体的な広義の概念の概略図が示されている。光源20は、パルスレーザシステム22、例えばガス放電レーザ、例えばエキシマガス放電レーザ、例えば大電力および高パルス反復速度で動作するKrFもしくはArFレーザを含んでよく、また、例えば米国特許第6,625,191号、同第6,549,551号、および同第6,567,450号に示されたようなMOPA構成のレーザシステムであってよい。また、このレーザは、例えばソリッドステートのレーザ、例えばYAGレーザであってよい。光源20はまた、例えば液滴、固体粒子または液滴内に含まれた固体粒子の形態のターゲットを送達するターゲット送達システム24を含んでいてもよい。当該ターゲットは、ターゲット送達システム24によって、例えばチャンバー26の内部の、着火部位もしくは火球としても知られる照射部位28へと送達される。ターゲット送達システム24の実施形態については、以下で更に詳細に説明する。
【0013】
パルスレーザシステム22から、レーザ光学軸55に沿ってチャンバ26のウインドウ(図示せず)を通り、照射部位へと送達されたレーザパルスは、ターゲット送達システム24によって生じたターゲットの到達に関連して以下で更に詳細に述べるように、適切に集光されて着火または火球を形成し、これはターゲットの材料に従って、生成されるX線光の波長を含む一定の特徴をもったX線(または軟X線(EUV))を放出するプラズマ、着火の際または着火の後にプラズマから放出される種類および量のデブリを形成する。
【0014】
当該光源はまた、レーザ光が着火部位28に侵入するためのアパーチャを備えたコレクタ30、例えば反射体(例えば短縮された楕円系)を含んでもよい。該コレクタシステムの実施形態については以下で更に詳細に説明する。コレクタ30は、例えば、着火部位28に第一の焦点および所謂中間点40に第二の焦点(中間焦点40とも呼ばれる)を有する楕円形ミラーであってよく、ここでは当該光源からEUV光が出力され、例えば集積回路リソグラフィーツール(図示せず)へと入力される。当該システム20はまた、ターゲット位置検出システム42を含んでもよい。パルスシステム22は、例えば、発振器レーザシステム44のためのパルス電力タイミングモニターシステム56および増幅器レーザシステム48のためのパルス電力タイミングモニターシステム56と共に、発振器レーザシステム44のための例えば磁気リアクタ切り替えパルス圧縮およびタイミング回路50、および増幅レーザシステム48のための磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路52を備えた、例えば発振器レーザシステムおよび増幅器レーザシステム48を有する二重チャンバーガス放電レーザシステムで構成された、マスター発振器電力増幅器(MOPA)を含んでもよい。当該パルス電力システムは、例えばYAGレーザからレーザ出力を形成するための電源を含んでもよい。当該システム20はまた、EUV光源コントローラシステム60を含んでもよく、これはまた、例えばレーザビーム位置決めシステム66と共に、ターゲット位置検出フィードバックシステム62および発火制御システム64を含んでもよい。
【0015】
ターゲット位置検出システムは、複数の液滴撮像装置70,72および74を含んでよく、これらはターゲット液滴の位置に関する(例えば着火部位に関する)入力を提供し、これらの入力をターゲット位置検出フィードバックシステムに提供し、これらは例えばターゲットの位置および軌跡を計算することができ、これらから、液滴毎ではなく平均ベースではあってもターゲットエラーを計算することができ、次いでこれがシステムコントローラ60への入力として提供されて、該コントローラは、例えばレーザの位置および方向補正信号を例えばレーザビーム位置決めシステム66に提供することができ、該レーザビーム位置決めシステムは、例えばレーザ位置および方向変更器68を制御するためにこれを使用して、レーザビームの焦点を異なる着火点28に変更することができる。
【0016】
撮像器72は、例えばターゲット送達機構92から望ましい着火部位28へのターゲット液滴の望ましい軌道経路と共に整列された、例えば撮像ライン75に沿って照準されてよく、また撮像器74および76は、例えば望ましい着火部位28以前の経路に沿った幾つかの点80において望ましい軌道経路と単独で交叉する、撮像ライン76および78に沿って照準されてよい。
【0017】
ターゲット送達制御システム90は、システムコントローラ60からの信号に応答して、例えば、ターゲット送達機構92によって放出されるときのターゲット液滴94の放出点を変更して、望ましい着火部位28に到達する標的液滴における誤差を補正してもよい。
【0018】
中間焦点40の近傍におけるEUV光源検出器100はまた、例えばレーザパルスのタイミングおよび集光における誤差を示すことができるフィードバックをシステムコントローラ60に提供して、ターゲット液滴を、効果的および効率的なLPP・EUV光生成のための正しい位置および時間に適正にインターセプトしてもよい。
【0019】
次に図1Aを参照すると、図1に示したコントローラシステム60および関連のモニタリングおよび制御システム62,64および66の更なる詳細が概略的に示されている。該コントローラは、例えばシステムクロック116によりクロックバス115上でシステム部品に提供されるシステムクロック信号に相関されたターゲット位置検出フィードバック信号から、例えば複数の位置信号134,136、軌道信号136を受取る。コントローラ60は、例えば、システム時間における或る時点でのターゲットの実際の位置を計算することができる予備到着トラッキングおよびタイミングシステム110、或るシステム時間におけるターゲット液滴の実際の軌道を計算することができるターゲット軌道計算システム112、着火を起こすための幾つかの空間的および時間的に望ましい点に比較した時間的および空間的エラー信号を計算することができる、照射部位の時間および空間的エラー計算システム114を有してもよい。
【0020】
次いで、コントローラ60は、時間エラー信号140を発火制御システム64に提供し、空間的エラー信号138をレーザビーム位置決めシステム66に提供する。該発火制御システム64は計算して、レーザ発振器44磁気リアクタ切り替えパルス圧縮およびタイミング回路50の共鳴放充電部分118に共鳴充電開始信号122を提供し、また、例えばPA磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路52に共鳴充電開始信号124を提供してよく、これらは両者共に同じ信号であってよい。また、発振器レーザ44磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路50に対してトリガー信号130を提供し、増幅器レーザシステム48磁気リアクタ切換えパルス圧縮およびタイミング回路52の圧縮回路部分に対してトリガー信号132を提供してもよい。これらは同じ信号でなくてもよく、また一部は時間的エラー信号140および光アウト検出装置54および56(夫々発振器レーザシステムおよび増幅器レーザシステムのためのもの)からの入力から計算されてよい。
【0021】
空間エラー信号は、レーザ位置および方向制御システム66に提供されてよく、これらは例えば、発火点信号および視線信号をレーザビーム位置決め装置に提供し、該位置決め装置は、例えば、発火時点におけるレーザシステム増幅器レーザ48の出力位置および該レーザ出力ビームの照準方向の一方または両方を変更することによって、着火部位のための焦点を変更するようにレーザを位置決めしてよい。
【0022】
次に、図2Aおよび図2Bを参照すると、それぞれ、コレクタミラー150の内部を見ているコレクタ30の側面図、および図2Aの切断線2Bに沿った回転対称コレクタミラー150の断面図が示されている(但し、図2Aの如何なる半径方向軸に沿った場合にも断面図は同じであろう)。
【0023】
図2Aに示すように、楕円形コレクタミラー150は、該ミラーを覗く断面において円形であり、これは該ミラーの最も大きな範囲での断面(図2Aには楕円ミラー150の殆ど焦点28にあるように示されている)であり、ターゲット液滴94が焦点28にあるように設計された着火点に届くのを阻止しないようになっている。しかし、該ミラーは中間焦点に向って更に広がってもよく、該焦点へのターゲット液滴の通過を可能にするように、ミラーのなかに適切な孔(図示せず)を備えていてもよい。該楕円形ミラーはまた、集光光学系156を通り、ミラー150を通して集光されたLPPレーザビーム154が、楕円形ミラーの焦点であることが望まれる着火点28へのエントリーを可能にするように、例えば、図2Aでは円形に示されたアパーチャ152を有していてもよい。該アパーチャ152はまた、用いる制御システムの種類に応じて、レーザビーム154の焦点を着火部位上に補正するようにビーム光学経路を変更する要件(もし存在するなら)内において、例えば、例えば一般には矩形のビームプロファイルに加工することができる。
【0024】
また、図2Aおよび図2Bには、本発明の一実施形態の側面に従うデブリシールド180が示されている。該デブリシールド180は、望ましい着火部位から半径方向外側に広がって、デブリシールド180を通して半径方向に広がる狭い平坦なチャンネル184を定義する、例えばモリブデン箔製の複数の薄いプレート182で作製されてよい。図2Aの説明は非常に概略的であり、且つ一定の縮尺に従っておらず、チャンネルは実際には可能な限り細く作製される。好ましくは、着火部位28に集光されたレーザビームによるターゲット液滴94の点火によって形成されたプラズマから放出されるX線を殆どブロックしないように、該箔プレート182はチャンネル184よりも更に細くすることができる。
【0025】
図2Bの断面を見れば、デブリシールドにおけるチャンネル182の機能を見ることができる。単一の放射状チャンネルが図2Bに見られ、この同じチャンネルは、コレクタミラー150およびデブリシールド180のチャンネル内のデブリシールドの回転対称軸を通る如何なる断面にも見られるであろう。着火部位28から放出されたEUV光(および他の光エネルギー)の各光線190は、着火部位28から半径方向外側へと移動し、デブリシールド180における夫々のチャンネルを通過し、図2Bに示すように、所望であれば、これはコレクタミラー150の反射表面へと完全に広がるであろう。何れかの入射角で楕円形ミラー150の表面に衝突すると、光線190は、図1に示した中間焦点40上に集光される反射光線192と同じチャンネル180内で反射されるであろう。
【0026】
次に図3を参照すると、本発明の実施形態の一つの側面に従う別の実施形態が示されている。この実施形態では、単純化のためにデブリシールド180が示されておらず、またこの実施形態は、例えば図2Aおよび図2Bに示した楕円形コレクタミラーと同様、適切なときには、以下で更に詳細に述べるようにデブリシールドと共に、またはデブリシールドなしで利用することができる。この実施形態では、第二のコレクタ反射ミラーが加えられており、該ミラーは着火部位28、即ち楕円形ミラー150の焦点に中心を有し、コレクタミラー150から中間焦点40(図1に示されている)へと光を通すためのアパーチャ210を備えた球形ミラー202の断面を具備している。該コレクタミラー150は、着火点28からコレクタミラー150に向けて放出された光線190に関して、図2Aおよび図2Bについて上述したようにして機能する。着火部位28からコレクタミラー150を離れて放出され、球形ミラー202に衝突した光線204は、楕円形コレクタミラーの焦点を通って逆方向に反射し、あたかも楕円形ミラー150の焦点28から放出されたかのようにして楕円形コレクタミラー150上へと通過し、従って、これもまた中間焦点40へと集光されるであろう。図2Aおよび図2Bに関連して説明したように、これはデブリシールド180が存在してもしなくても生じるであろうことは明らかであろう。
【0027】
次に図4を参照すると、本発明の実施形態に従うデブリ管理のもう一つの側面が概略的に示されている。図4は、電流源、例えばDC電圧源220に接続されたコレクタミラー150を示している。この電流は、例えば堆積したリチウムを蒸発させるための選択された温度に反射体を維持するような、本発明の一実施形態であることができる。第一のコレクタミラーからリチウムを除去するための別の概念は、ヘリウムイオンもしくは水素イオンのスパッタリングを用いることである。これらイオンの小さい質量は、低エネルギー(例えば<50eV)に維持されたときに、例えばMo/Si層で作製されたEUV多層ミラーのモリブデン層および/またはシリコン層について、極めて低いスパッタ収量を導くことができる。
【0028】
図4に戻ると、本発明の実施形態の一側面に従うデブリ洗浄装置が示されている。図4似示すように、電流源(例えばDC電圧源)220は、例えばコレクタミラー150、例えばミラー150のための金属製バッキング材(例えばアルミニウムまたはニッケル)に接続されてよい。こうして、ミラー150は、EUV光源チャンバ26の内側を満たす周囲ガス(例えばヘリウムガス)の温度よりも高い温度に加熱されてよい。本発明の別の実施形態に従って、反射体の他の加熱、例えば容器26内の加熱ランプ(図示せず)からの放射加熱による加熱が生じてもよい。
【0029】
デブリ洗浄のもう一つの側面、例えば図4に示すような、例えばRF周波数電圧230および図4のチャンバ26内の232で模式的に示すアンテナからの、RFの導入が組込まれてもよい。事実、図4に示したDCと同様に、RFは、ミラー150または金属製バッキング材(図示せず)に接続されてもよく、この場合に、適切な導電性材料製で且つアース電位に接続された暗シールド(図示せず)が、コレクタミラー150の背面を覆って形成されてよく、これは絶縁体(例えば空気ギャップ)および電圧(例えばミラー150にも接続されたDC電源220からのDC)によってミラーから分離される。
【0030】
図5A〜図5Cに示すように、時刻t1、t2、t3での所定の周期的なLPP着火のために、t1、t2、t3で着火が生じる間、および着火時点の何れの側でも短時間だけ、RFはDC電圧によって置きかえられてよく、このような時間の間、次の着火の際のDC電圧の次の発生まで、完全にではなくとも少なくとも着火の直後にはRFが用いられる。また、電源220からのDCは、それぞれの着火時点の間は正の電位であってよく(おそらくはRF源230からの連続的な電圧と共存してよい)、またこのような正のパルスの間では不の電位であってよい。
【0031】
コレクタミラー150に印加される電圧は、一方では金属デブリ、例えばリチウムまたは他のターゲット金属材料のようなターゲット液滴の着火の際およびその後に、プラズマから放出されるリチウムを蒸発させることを意味する。また、例えばリチウムターゲット液滴自体の中の不純物に起因して現れ、且つ着火後にコレクタミラー150上に同様に堆積されるK、Fe、Na等の金属元素も、蒸発させることができるであろう。
【0032】
このRFは、コレクタミラー150表面の近傍において、励起されたHe原子の局在化されたイオン性プラズマを形成することを意味し、局在化されたプラズマ中のこれら励起されたイオンが、コレクタミラー150上のリチウム原子またはリチウム化合物に衝撃を与えて、これらをミラー表面からスパッタ除去することを意図している。本発明のこの実施形態は、例えば、蒸発機構とスパッタ機構との間でバランスさせることを想定しており、例えば、RFが<500W電力(RF周波数スパッタリングについての連邦規制によって指示されるように、13.65MHzにおいて)であれば、ミラー温度は或る望ましい温度またはその近傍に維持されるべきであり、またRFが増大すれば(例えば13.65MHzにおいて>500W)、これに対応して温度は低下させることができるであろう。
【0033】
次に、図6Aおよび図6Bを参照すると、別のコレクタ装置に関する本発明の実施形態の側面が示されている。図6Aおよび図6Bに示されるように、コレクタ225は、例えば複数の入れ子式シェルで構成されてよく、これら入れ子式シェルは、例えば楕円形反射シェルおよびパラボラ反射シェル(例えば、図6Aにおけるパラボラ形シェル230および240、楕円形シェル250および260)で作られた異なる区画を形成している。パラボラ形シェル、例えば230および240は、それぞれが第一のパラボラ反射表面233,242、および第二のパラボラ反射表面234,244から構成されている。楕円形区画250および260は、例えば、楕円形反射表面252および262を含んでいてよい。図6Bには、追加の二つのパラボラ形シェル区画232および236を備えた別の実施形態が示されており、区画232は、例えば第一のパラボラ反射表面231および第二のパラボラ反射表面234を含んでおり、また第二の区画236は、例えば第一のパラボラ反射表面237、第二のパラボラ反射表面238および第三のパラボラ反射表面239を含んでいる。
【0034】
それぞれの反射シェル230,240,250および260は、それらの間で、一般にコレクタ225反射シェルの焦点に整列した回転軸310から11°〜55°の球区画内において、着火点21から放出された光を100%反射するように構成されており、シェル230,240,250および260はまた、一般にこの回転軸310の回りに対称である。例として、図6Aの実施形態は、説明したばかりの球の一部において、全ての光が、シェル230.240,250,および260の少なくとも一つに導入される実施形態を示している。パラボラ形シェル区画230および240の場合、第一の反射表面233,242に入射して、中間焦点40に向って反射されるか、またはそれぞれの第二の反射表面234,244から中間焦点へと反射される。楕円形シェル区画250,260の場合、例えば、反射表面252,262によって形成される楕円は、各々が着火点28に第一の焦点を有し、また中間焦点40に第二の焦点を有するので、各シェル250,260に導入される全ての光は中間焦点へと反射される。
【0035】
それぞれの反射表面233,234,242,244,252および262の材料、特定の光線の入射角度、所定のシェル区画230,240,250および260における反射の回数に応じて、一定の平均反射効率が生じ、またこれらシェルの構造に応じて、一定のパーセンテージの利用可能な光が各区画230,240,250および260に導入されて、図6Aに示すように、シェル区画230では65%の平均合計効率で19%が反射および集光され、シェル区画240では75%の平均合計効率で17%が反射および集光され、シェル区画250では80%の平均合計効率で43%が反射および集光され、シェル区画260では91%の平均合計効率で21%が反射および集光されるであろう。
【0036】
図6Bは、二つのパラボラシェル区画232,236を加えた別の実施形態を示している。これらの追加された区画は、例えば、回転軸から約85%までの光を集めるように働くことができ、また追加された区画の少なくとも一方は、第一の反射表面237、第二の反射表面238および第三の反射表面239を有していてよい。図6Bから分かるように、例えば光源または着火点から放出された光の光線290は、パラボラ反射シェル区画236に導入され光線292として第二の反射表面238へと反射され、次いで光線294として第三の反射表面239へと反射され、次いで集光された光線296を形成することができる。同様にして、光線300は、該シェル開口部の他端でパラボラ反射体シェル236に導入され、第一の反射表面で光線320として反射され、第二の反射表面237で光線304として反射され、第三の反射表面の正に末端で光線306に集光されてよい。例えばパラボラシェル区画の一つ、例えば区画240の場合、光線280はこの区画240に導入されて、光線282として第一のパラボラ反射表面242から反射され、集光された光線283として第二の反射表面の正に端部から反射されるに違いなく、またもう一つの光線284は該区画に導入され、集光された光線286として第二の反射表面から反射されるに違いない。楕円形シェル区画の一つ(例えば250)の場合、着火点から放出された光線308はシェル区画250に導入され、集光された光線309として楕円形反射表面252から反射されてよく、また光線318は、光線308とは反対側でシェル区画250に導入され、集光された光線319として反射されてよい。
【0037】
次に図7および図8を参照すると、各々が5°および15°の視射角のための(1)単一層のルテニウム反射表面、(2)厚さ14nmの単一Mo層および4nmの単一Si層のMo/Si二層スタック、(3)ピッチが9.2nmでMo/Si厚さ比が22.5:1であり、例えば40多層スタックを有する10周期の多層Mo/Siスタックについての、入射反射率の視射角のプロットが示されている。Mo/Siを備えた各反射体においては、モリブデン基体が仮定される。分光学的純度が送達される光についての明細の一部である場合、コレクタは、例えば図6Aおよび図6Bの実施形態において、例えば選択された中心波長近傍の反射率に有利な入れ子式シェルコレクタの反射特性を使用することにより、或る所定のバンド幅の広がりを持った一定の波長に調節することができる。
【0038】
図9は、本発明の一つの実施形態の側面を示している。この実施形態において、コレクタアセンブリー330は、例えば、球形ミラー反射表面332の一部を含んでよく、これは着火点28から生じた光を、入れ子式楕円形シェルコレクタ334における例えば三つの入れ子式楕円シェル区画336,338および340の一つへと反射させる、垂直入射角の多層スタックであってよい。シェル区画336,338および340の各々は、それぞれのシェル360,362および364の内側にある反射表面366,368,369を有してよい。図9に示すように、例えばシェル区画336は、球形ミラー332のリム区画370から光を受取ってよく、シェル区画338は球形ミラー332の中間区画から光を受取ってよく、またシェル区画340は球形ミラー322の中央部分から反射された光を受取る。
【0039】
シェル区画336,338および340は、従来提案されていた厚い単層のRuではなく、多層のMo/Siでコートされてよい。本発明の一つの実施形態の側面に従えば、約5°〜15°の視射角で2回の反射、例えば1回は球形ミラーから、1回は各シェル(例えば楕円形反射表面を有するシェル)からの反射が生じる。これは、例えば13.5が望ましい帯域であると仮定すれば、例えば帯域外のEUV放射の有意な量を顕著に低減することができる。例えばWolter型構成のRuミラーは、5°および15°の入射視射角においては、13.5 nmおよび11 nmの両方について非常に反射性のままであるのに対して、Mo/Siスタックの入射反射視射角のコーティングは、図7および図8に示すように、特に約15°において遥かに選択的であることができる。
【0040】
上記で述べた実施形態は、当該技術で提案されているような、例えば格子分光純度フィルタの空間的純度を有していないが、帯域内のEUV放射の反射率および維持においては、当該技術において提案された他の解決策(例えば格子フィルタ)に対して顕著な利点を有している。
【0041】
本発明の実施形態の側面に従うリチウムLPP・EUV光源は、液体リチウムまたはリチウム液滴源の固体流を用いることができるであろう。液滴源については液滴あたりの原子の和を計算することができ、また固体流については、集光された光線内の材料だけが着火における液滴を構成すると仮定できるが、デブリの観点からは、特に集光されたレーザ光線のエネルギー分布のスカートにおける低エネルギーレーザ放射によって衝撃を受けるときには、当該流れの中の隣接する材料もまたデブリを形成する可能性がある。
【0042】
液滴源は、集光された光線に合致する液滴サイズを有するのが望ましいと考えられるので、両タイプのターゲット源も、液滴直径ddropletによって与えられる同じ液滴サイズを有すると考えることができる。従って、液滴の容積は次式によって与えられる:
【数1】
液滴あたりの原子数の計算は、例えばリチウムの密度およびその原子量から生じる。液滴の質量は次式で表される:
【数2】
ここで、ρlithium=0.535g/cm3がリチウムの密度であり、その結果は下記の通りである。
【数3】
ここで、液滴の直径はセンチメータ単位であり、得られる質量はグラム単位である。従って、液滴中の原子数は、液滴質量をリチウムの原子量で乗算し、単位を適正に変換することによって与えられる。
【数4】
ここで、Mlithium atom=6.941amuであり、従って、
【数5】
である。ここで、液滴の直径はセンチメータ単位である。液滴の直径をセンチメータからマイクロメータに変換すると、次式が与えられる:
【数6】
【0043】
液滴あたりの原子数vs.液滴サイズが、図10に示されている。図10にはまた、例えば一つの40mJパルスに含まれる13.5nm光子の数が示されている。40mJパルスの例は、4πステラジアンおよび400mJレーザパルスへの10%の変換効率を仮定している。パルスあたりの13.5nm光子の数は次式で与えられる:
NPhotons=13.5nm光パルスエネルギー(mJ)/EPhoton(eV)・1.6×10-16(mJ/eV) {7};
ここで、13.5nm光子のエネルギーは91.6eVである。40mJパルスについて得られる光子の数は、2.72×1015である。例えば、50μmの液滴は、13.5nm光子毎に一つのリチウム原子を有している。通常は、それぞれの放出元素から放出される複数の光子を仮定することができるであろう。この仮定は、50μmよりも小さい液滴直径の使用を可能にするであろう。例えば、コレクタ光学系でのリチウムの使用およびリチウムの堆積速度は液滴直径の3乗に比例するから、より小さい液滴直径は重要であり得る。
【0044】
本発明の実施例の可能な側面に従って、リチウムの回収が存在しないと仮定すれば、例えばリチウムの年間使用量の計算は、年間当りのパルス数にパルス当りの量を乗じることによって与えられる。例として、反復速度RR、およびデューティーサイクルDCを仮定すれば、得られる質量使用は、例えば次式で与えられる:
1年当りの質量
=Mdroplet・RR・60sec/min・60min/hr・24hr/day・365day/yr・DC {8}.
即ち、
1年当りの質量=8.83×10-6・d3droplet・RR・DC {9};
ここで、液滴直径はマイクロメータ単位であり、得られる質量はグラム単位である。例えば、リチウム回収なしで6kHzで運転され、また50μmの液滴直径で、100%デューティーサイクルで運転されるシステムは、1年フル可動について、6,622グラムまたは約12.3リットル容積のリチウムを消費するであろう。同様の条件下において、25μmの液滴直径であれば、828グラムまたは約1.5リットルのリチウムしか消費しないであろう。
【0045】
リチウム液滴が、レーザパルスによって加熱されたときに全方向に均一に膨張されると仮定すれば、原子フラックスは、レーザ/液滴の相互作用点(着火部位)からの距離の二乗で低下するであろう。1秒当りに相互作用点から放出される原子の数は、液滴当りの原子数に反復速度を乗じたものである:
合計原子放出=2.43×1010・d3droplet・RR {10};
ここで、液滴直径はマイクロメータ単位であり、RRは、Hz単位でのレーザ反復速度である。
【0046】
着火部位を中心とする仮想球の表面を通る原子フラックス(原子数/cm2)は、センチメータ単位での表面積で除算された合計原子放出であろう:
原子フラックス=1.93×109(d3droplet・RR/r2sphere) {11};得られるフラックスは、原子/cm2の単位である。図11は、6kHzの反復速度および100%のデューティーサイクルを仮定した時の、ミラー表面上へのリチウム流入速度vs.幾つかの液滴直径[即ち、(1)25μm、(2)55μm、(3)100μm、および(4)200μm]についてのミラー半径を示している。
【0047】
高いミラー反射率を維持するために、ミラー表面上へのリチウムの流入は、例えばヘリウムイオンの入射によって生じるリチウムのスパッタ速度によって越えられることができる。加えて、ミラーの長い寿命のために、これらの同じイオン(例えばヘリウムイオン)によるモリブデンのスパッタ速度は、例えばリチウムの速度よりも多くの次数だけ遅くなければならない。
【0048】
例えば多層コートされたコレクタミラーについて1年の寿命を達成するために、第一および第二の金属のスパッタ速度の必要な比、例えばモリブデンのリチウムに対する比は、例えば、最初の200層対が腐蝕しても未だ快適かつ有効な100の良好な層対が残って、高い反射率が維持されるように、例えば300層対の多層スタックの使用を仮定することによって計算することができる。また、第一の金属(例えばモリブデン層)のスパッタ速度よりも高く、従ってミラー寿命に対する無視可能な寄与を与えるシリコン層のスパッタ速度が仮定される。
【0049】
典型的なEUVミラーは、このミラーの寿命が終わる前に、犠牲腐蝕のための200対が例えば552nmのモリブデン腐蝕を与えるように、例えばモリブデン層の厚さが2.76nmのモリブデン層およびシリコン層の対からなることができる。1年の有用な寿命のためには、モリブデンのスパッタ速度は552nm/年以下、即ち、1.75×10-5nm/sec以下でなければならない。
【0050】
1秒当り1cm2当りの原子数でのリチウムスパッタ速度(上記で導いたリチウム流入速度に等しい)は、その質量密度当りのリチウム原子数密度(atomic number density)および原子量が与えられれば、以下の適切な単位変換により、リチウム単層の厚さからnm/secへと変換される:
原子数密度
=ρlithium(g/cm3)/[Mlithium atom(amu)・{1.6605×10-24g/1amu}] {12};
ここで、ρlithium=0.535 g/cmであり、またMlithium atom=6.941amuである。リチウムについての得られた原子数密度は、4.64×1022原子/cm3である。この数のリチウム原子を各辺が1cmの立方体の中に整列させたならば、エッジに沿った1cm当りの原子数は、原子数密度の平方根、即ち、3.58×107原子/cmであろう。得られる単層厚さは、2.78×10-8cm、または0.278nmである。従って、単層中の1cm当りの原子数は、エッジに沿った1cm当りの原子数の二乗、即ち、1.28×1015原子/cm2である。
【0051】
1秒当りでスパッタリングにより除去される原子(例えばリチウム)の数は、式11に与えられた流入速度に合致しなければならない。従って、1秒当りに除去される単層の数は、流入速度を、単層中の1cm2当りの原始数で除算したものに等しい。厚さ除去速度は、単層除去速度に単層厚さを乗じたものである。即ち、
厚さ除去速度
=単層厚さ(nm)×[流入速度(atoms/cm2s)/単層中の原子数(atoms/cm2)] {13}.
リチウムについての値を使用すれば、下記の通りである。
リチウム厚さ除去速度=2.17×10-16・リチウム流入速度(atoms/cm2s) {14}.
得られる単位は、nm/secである。図11に示されたリチウム流入速度は、同じ1〜4の液滴サイズ、反復速度およびデューティーサイクルについて、図12に示した必要なリチウム厚さスパッタ速度に変換される。この結果は、小さい液滴サイズおよび大きなミラー変形の必要性を更に強調するものである。そうでなければ、必要なスパッタ速度は非実用的になる可能性がある。
【0052】
リチウムについての必要な厚さスパッタ速度は、モリブデンについての許容可能な最大厚さスパッタ速度、例えば1年コレクタ寿命と比較することができる。許容可能な最大モリブデンスパッタ速度、1.75×10-5 nm/secに分割された図12のデータが、同じ1〜4の液滴サイズ、反復速度およびデューティーサイクルについて図13に示されている。
【0053】
問題は、リチウムスパッタ速度よりも4桁以上小さいモリブデンスパッタ速度を得るために何が必要とされるかである。ヘリウムイオンよって攻撃されたときのリチウムおよびモリブデンのスパッタ収量が、例えば、W. Eckstein, “Calculated Sputtering, Reflection and Range Values”, June 24, 2002に述べられている。このスパッタ収量データvs.イオンエネルギーが、(3)Eth=52.7eVでMo中へのリチウム、(2)Eth=10.1eVでSi中へのリチウム、(1)Li中へのヘリウム、のイオンエネルギーについてのシリコンのデータと共に、図14に示されている。これから分かるように、選ばれたヘリウムイオンエネルギーが低いと、許容可能なリチウムスパッタ収量を生じ、また実質的にモリブデンスパッタ収量をもたらさない。しかし、入射イオンエネルギーを完全には制御できないとの事実から問題が生じ得る。即ち、入射ヘリウムイオンのエネルギースペクトルはデルタ関数ではない。リチウムとモリブデンとの間のスパッタリングの差を決定するときに評価されなければならないのは、イオンエネルギーの広がりである。
【0054】
RF誘導(RFI)プラズマの文献には、例えば、J. Hopwood,”Ion Bombardment Energy Distributions in a Radio Frequency Induction Plasma”, Applied Physics Letters, Vol. 62, No. 9 (March 1,1993), pp 940-942.に述べられているように、例えば2.5eVのFWHMのガウス形であるイオンエネルギー分布を形成している例が存在する。
【0055】
このイオンエネルギー分布のピークは、例えば、電界強度およびヘリウム圧力を適正に選択して調節することができる。例えば、20eVのピークイオンエネルギーを選択することによって、ヘリウムイオンはリチウムに対する高スパッタ収量を有するが、安全に、モリブデンのスパッタ閾値未満のエネルギーを有する。図15には、20eVおよび2.5eVのFWHMにセンタリングされた正規化されたイオンエネルギー分布のプロット(1はlogスケール、2は線型スケール)が、(3)リチウム、(4)シリコン、および(5)モリブデンについてのスパッタ収量と共に示されている。モリブデンのスパッタ閾値を越えるエネルギーをもったヘリウムイオンは、非常に僅かしか存在しないことを見ることができる。これらの条件下におけるモリブデンのスパッタ速度を決定するためには、ミラー表面をリチウム原子から清浄に維持するために必要な、ヘリウムイオンの流入を計算することが必要である。ヘリウムイオンエネルギー分布のバルクは略一定なリチウムスパッタ収量の領域内に入るから、イオン当り0.2原子の一定のスパッタ収量を想定することができる。
ヘリウムイオン流入(イオン数/cm2s)
=リチウム流入(原子/cm2s)/スパッタ収量(原子/イオン) {15}.従って、ヘリウムイオン密度は、図11に種々の条件について示したリチウム流入密度の値の5倍でなければならない。
【0056】
式15に表されたこのヘリウムイオン流入は、例えばリチウムが完全に均一には堆積しないと仮定したときの、最小限に過ぎないとみなされてよい。この場合、リチウムの島が発生しないことを保証するためには、より高い合計スパッタ速度が必要とされるかもしれない。他方、他の研究者等は、LPPプラズマからの材料の放出がレーザ源に向って移動する傾向にあることを示している。従って、このデブリの多くがコレクタミラーに衝突しないように、レーザがコレクタから離れた方向からリチウム液滴を照射するように、またはコレクタミラーのアパーチャを通して照射するようにシステムを構成することができる。こうして、ミラーに対する全リチウム負荷は、ミラーに衝突する合計の理論量から低減されてよい。
【0057】
ヘリウムイオンの全フラックスを知り、また20eVのピークおよび2.5eVのFWHMをもったガウスエネルギー分布を仮定すれば、正規化ガウス分布の隻分は√(2πσ2)であり、ここでのσ2は、次式によってFWHMに関連付けられた分布の分散を与える。
【数7】
従って、正規化されたガウス関数の積分は、√(π(FWHM)2/2ln(4))であり、ヘリウムイオンのピーク電流密度は次式によって与えられる。
ピークヘリウム電流密度(イオン数/cm2s/eV)
=ヘリウムイオン流入(イオン数/cm2s)/√(π(FWHM)2/2ln(4)) {17}.
ミラー半径が10cmで25μmの液滴の場合をとれば、合計1.88×1015リチウム原子/cm2sをスパッタするために、ピークヘリウム電流密度は、1eV当り3.38×1015イオン/cm2でなければならない。このヘリウム電流密度分布(1)は、(2)シリコンスパッタ密度、および(3)リチウムスパッタ密度、並びに経験的に決定された(4)リチウム、(5)シリコン、および(6)モリブデンのスパッタ収量、並びにこれら関数とイオン電流密度の積と共に、logスケールで図16にプロットされている。この分析の驚くべき有益な結果は、モリブデンについてのピークスパッタ密度が、3.5×10-205原子/cm2/eV(グラフ上には図示せず)と信じ難いほど小さい値であることを示している。事実、ピークシリコンスパッタ密度でさえ、リチウムの場合よりも3桁以上小さい。
【0058】
全てのヘリウムイオンエネルギーに亘るこれらスパッタ密度の積分が、全スパッタ速度を与える。これらの積分は、(1)リチウム、および(2)シリコンについての破線曲線として、それぞれ図17に示されている。この積分されたリチウムスパッタ密度は1.88×1015原子/cm2sで、リチウム流入速度に合致している。積分されたシリコンスパッタ密度は、9.17×1010原子/cm2sである。積分されたモリブデンスパッタ密度は、1.16×10-205原子/cm2sである。従って、モリブデンとリチウムの間の示差スパッタ速度は非常に低いので、例えばコレクタミラーには少ない層数しか用いる必要がなく、例えば以前に予想された300基本対のミラー概念よりも遥かに少なくてよい。単一のモリブデン層は、これらの条件およびこのスパッタ収量モデルの下において、1年以上持続するであろう。この特性は、着火点とコレクタ主ミラーまたは副ミラーとの間にデブリシールドを使用することによって更に改善できるであろうが、これらの結果から分かるように、該デブリシールドは、少なくともリチウムターゲットについては完全に省略されてもよい。EUV光学系に由来するデブリの、このタイプの刺激されたプラズマ誘導イオン化スパッタリング(特にリチウムターゲットについて)は、上記から解るように、他のターゲットタイプ(例えば移動テープまたは他のタイプの移動式固体ターゲット系)の使用をも可能にできるであろう。ヘリウムイオンスパッタリングは、コレクタミラーからリチウム原子を充分な速度で除去する一方、モリブデンについては、1年よりも遥かに長い寿命のための充分に遅い速度でスパッタするように構成することができる。
【0059】
議論されている本発明の実施形態においては、例えばリチウムイオンによるモリブデンのスパッタリングも考慮しれなければならない。何故なら、例えば、光学系の表面には到達しないがスパッタリングプラズマには利用可能で、且つヘリウムイオンと同じエネルギー分布でミラー表面に向けて加速される、点火プラズマからのデブリ形成リチウムイオンが存在するからである。文献は、リチウムイオンでのリチウムおよびモリブデンのスパッタ収量に関するデータをも提供している。このデータは、図18において、ヘリウムイオンについて使用したのと同じ正規化されたリチウムイオンエネルギー分布と共に、Eth=36.3eVでのリチウムについての曲線1に示されている。リチウムからモリブデンスパッタ密度を計算するためには、全リチウムイオン流入を知らなければならない。ヘリウムについてのこの計算(式15)とは異なり、全リチウム流入が何になるか明瞭ではないが、保存的選択は、LPP着火プラズマによって発生される全リチウム原子流入であろう。式17を使用し、また25μmの液滴およびミラー半径10cmの仮定を使用すれば、1.88×1015リチウムイオン/cm2sがミラーに入射するであろう。そして、ピークリチウムイオン電流密度は、入射イオンエネルギー中に広がった2.5eVのFWHMを仮定すれば、1eV当り7.06×1015リチウムイオン/cm2sであり、これは、モリブデンについてのスパッタ収量を乗算し且つ全イオンエネルギーに亘って積分したときに、2.54×10-48原子/cm2sの全モリブデンスパッタ密度を与える。これは、ヘリウムイオンについてのものよりも遥かに高いが、それでも、1年の有用な寿命について必要とされる速度よりも遥かに低い。
【0060】
リチウムイオンでのモリブデンスパッタ密度は、式12および式13を使用することによって、厚さ喪失速度に変換することができる。モリブデンについては、
ρmoly=10.2g/cm3
Mmoly atom=95.94 amu=1.59×10-22g
モリブデン原子数密度=6.40×1022 atoms/cm3
モリブデン単層厚さ=2.50×10-8 cm= 0.250 nm
モリブデン単層原子密度=1.59×10l5 atoms/cm2
である。
【0061】
従って、モリブデンについてのスパッタ厚さ速度は、リチウム原子によって攻撃されたときには、3.99×10-64nm/sec、または1.25×10-56nm/yearである。これはまた、例えばヘリウムイオンスパッタリングによるEUV光学系のスパッタリングプラズマイオン化洗浄の上記で述べた有益な結果が、例えばモリブデンのリチウムスパッタリングを用いた場合でさえ実現可能であるとの結論を導く。
【0062】
追加の有益な結果は、先に提案した例えばルテニウムキャッピング層を、例えば多層ミラー上に使用することの再考である。ルテニウムキャッピング層は、Mo/Siスタックにおける第一のシリコン層のEUVに補助された酸化を防止するために提案されてきた。モリブデン層は室内の空気に露出されると迅速に酸化されるので、多層ミラーは、通常はモリブデン層ではなくシリコン層で終端する。出願人は、EUV光学系のスパッタリングプラズマ洗浄に関する上記の分析の前に、例えばシリコンで終端する多層ミラーについて、第一のシリコン層が腐蝕されて第一のモリブデン層またはルテニウムキャッピング層が露出され、該アプローチが採用されれば第一のモリブデン層の酸化を回避するであろうとの予測をもって考察した。モリブデンの超遅い腐蝕速度、およびルテニウムについての予測される同様の低腐蝕速度は、ミラーの有用な寿命のあいだ持続することが期待されるルテニウムキャッピング層の使用を可能にする。これは、第一のシリコン層の喪失をもたらさず、またスパッタされたシリコン原子が何を生じるかに関して悩まされる必要をも生じず、また露出されたモリブデン層についての酸化の問題も生じない。リチウムおよびヘリウムでのルテニウムのスパッタ収量は、モリブデンの場合と同様であることが予想されるが、ルテニウムはモリブデンよりも高い原子量を有しているので、未だ決定されるべく残されている。
【0063】
光学表面またはその近傍において、望ましいスパッタリングプラズマを形成するために必要な最小RF電力は、例えば、形成される全てのヘリウムイオンがコレクタミラーに衝突すると仮定することにより計算することができ、これは必要なRF電力を過小評価するであろうが、大きさのおおよその見積りを与えるはずである。コレクタミラーに衝突する各ヘリウムイオンは、イオン化するために24.5eVを必要とし、また本発明の一実施形態の上記例に従えば、それがコレクタミラーに到達するときに20eVの平均運動エネルギーを有していなければならない。これらの二つのエネルギー値に、必要とされるヘリウムイオンの流入(図15からの9.40×1015ions/cm2s)を乗じると、プラズマ電力が得られる。エネルギー単位をeVからJに変換すると、66.9mW/cm2の最小プラズマ電力密度が与えられる。半径10cmのミラー表面積の半分(628cm2)を乗算することにより、42Wの最小全プラズマ電力が得られる。プラズマ電力の1%だけが有効に使用されることを保存的に仮定すれば、必要とされるプラズマ電力は4.2kWであり、これは、特に該電力が消費され得る非常に大きな面積を考慮したときに許容可能である。このプラズマ電力の見積りは、6kHzのLPPレーザ電力(2.4kW)でのパルス当り400mJの先の仮定に匹敵し、またπステラジアンを定めるコレクタミラーを仮定すれば、それはこのレーザ電力の半分、即ち、1.2kWに曝されるであろう。LPPからの熱的負荷は、プラズマ洗浄の熱的負荷と同様である。この二つの電力の合計は5.4kWであり、8.6W/cm2のミラー上での電力密度をもたらす。出願人は、10W/cm2以下の電力密度に露出されたコレクタミラーが、例えば該ミラーの背面に沿った、または接地されたシールドと該ミラーとの間の水チャンネルで容易に冷却されると確信する。
【0064】
プラズマ電力効果が10%大きければ、ミラー上での全電力密度は2.6W/cm2に過ぎず、ステファンの放射の法則に従って、該ミラーを放射的に冷却することを可能にする。この法則は、温度Tの黒体1平方メータ当りからの放射電力が、次式で与えられることを述べており、
【数8】
ここでの温度はケルビン単位で、得られる電力密度はW/cm2単位であり、これは図19にプロットされている。この入射電力の全てを放射させるためには500℃を越える温度が必要とされるであろうから、当該多層スタックへの損傷を防止するためには、集光ミラーの能動冷却が必要とされるように思われる。
【0065】
次に図20を参照すると、例えば反射表面上に堆積した材料(例えば炭素および/または炭素ベースの分子)により、損傷を受けたEUV光学系(例えば反射性を失ってしまったもの)を再生するための、本発明の一実施形態に従う装置および方法が概略的に示されており、前記堆積した材料は、例えばEUVプラズマチャンバに導入される汚染物、またはEUV装置野反射表面上にコートされた多層反射スタックの層からのスパッタリングもしくは光子的除去されたものに由来する。図20に見られるように、光化学的洗浄装置400は、洗浄のためにコレクタを保持するように適合されたコレクタ保持治具402を装着し得るチャンバを含むことができる。また、光源410からの光がコレクタの焦点での供給点(例えば上記で述べた着火点28)から来る光をシミュレートして、コレクタ404があたかもターゲット着火部位からの光で照射されるように、コレクタ保持治具402および光源410と共に、例えば光子エネルギーの供給源(例えばDUV光源410)が含められてもよい。
【0066】
本発明の一実施形態に従えば、例えばチャンバ401は、先ずN2バルブを通してチャンバに供給された後に、ガス出口弁を使用してチャンバ401から排出される窒素の使用によりパージされてよく、続いてフッ素含有ガス(例えば分子状F2またはNF3)を導入してもよい。コレクタ404は、次いで、例えば約4kHzのパルス反復速度をもった約40Wの高電力用MOPA構成の、193nmのKrFエキシマレーザからの光源(例えば160〜300nmのλ範囲のDUV光)による照射を受ける。これは、例えば気相におけるフッ素ベースの炭素材料(例えばCF4)の生成を誘導するように働くことができ、この炭素材料は、次いで第二の窒素パージの下で、ガス出口バルブ420を通してチャンバ401から排出することができる。
【0067】
KrF・DUV光源の別の例は、商業的に入手可能なDUVランプ、例えばKrCl・DVUランプであることができるであろう。
【0068】
出願人は、EUV光学系、例えばコレクタ反射表面上における厚さ約3.5nmの炭素原子の堆積が、約5%だけ反射率を減少させ、また10nmの堆積は約14%だけ減少させ得ると予測している。このような堆積物の厚さレベルは、選択された濃度および上記で挙げたDUV光レベルを用いた、選択された時間のフッ素での処理の下で、例えばコレクタ光学系の反射表面から除去されることが期待される。このプロセスはまた、例えば洗浄プロセスの際に望ましいフッ素濃度を維持するように、ガス流制御バルブ(図示せず)を用いたフッ素供給の補充を採用することができるであろう。
【0069】
また、出願人はここに、本発明の実施形態の側面に従って、例えば13.5nmのEUV光反射率について最適化されたMo/Si反射スタックの熱安定性および反射率の改善を補助するために、他のタイプのバリア材料を多層反射ミラースタックに使用してよいことを提案する。例えばMo/Siおよび恐らくはMoSi2とも適合して、例えば13.5nmの光に対する適切なレベルの透明性を保持する非常に薄い(例えば1nm)バリア層の平滑化を促進するために、出願人は、ZrC、NbC、SiC、からなる群から選択される炭化物、ZrB2、NbB2、からなる群から選択されるホウ化物、ZrSi2、NbSi2、からなる群から選択されるジシリサイド、並びに窒化物BN、ZrN、NbNおよびSi3N4を含んでなる相互拡散バリア層の使用を提案する。他のこのような層には、イットリウム、スカンジウム、ストロンチウムの化合物および/または純粋な形態のこれら金属を含むことができるであろう。上記のうち、このような材料を用いてより滑らかな拡散バリア層を形成する能力の故に、上述した炭化物およびホウ化物が好ましい。
【0070】
本発明の一実施形態の側面に従って、出願人は、MoSi2/Si、Mo2C/Si、Mo/C/Si/C、およびMo/X/Si/Xを含む多層スタックを想定しており、ここで最初の二つはMLMであり、MoSi2またはMo2Cは、通常は相互拡散バリアのないMo/Siミラーコーティングに使用されるMoの代りに使用される。他の二つは、所謂相互拡散バリアと共に使用され、ここでのCは炭素を意味し、Xは更なる化合物(X材料としての例えば上記のホウ化物、ジシリサイドおよび窒化物)を含む適切な材料を意味する。窒化物は、本発明の実施形態に従う適用における相互拡散バリア層のための、出願人による現在の好ましい実施形態である。MoSi2/Siは、「Mo/Si、MoSi2/Si、およびMo5Si3/Si多層軟X線ミラーの熱抵抗性」と題するY. Ishii et al.の論文(J. Appl. Phys. 78, (1995) p.5227)に記載されている。
【0071】
ヘリウムはEUVに対して高い透明性を有しており、これはバファーガス(透過率90%が代表的である)のための良好な選択である。効率的なスパッタリングのために必要とされる分圧(僅か数mTorr)に基づけば、ヘリウムバッファガスの透過は概ね100%である。可能なコレクタ多層表面は、例えば通常の90対の代りに300コーティング対を含んでいる。この余分な対は90対に対して反射率を改善しないであろうが、これらの余分な層は、必要とされれば、頂部層が腐蝕されて除去されるときに使用される。300層対のミラーであれば、リチウムとミラーとの間のスパッタ速度の差は、一つのミラー層が、例えば一度で数ヶ月もつほど高い必要はない。その代りに、持続し得るミラー腐蝕のために有益な、例えば余分な210層対が存在できるであろう。
【0072】
LPP容器内で発生するかもしれないリチウム化合物、例えばLiH、LiOH、Li2CO3等は600℃を越える融点を有する可能性があり、従って、当該ミラーから蒸発しない可能性がある。これらは、或る場合には、ミラー表面に堆積したリチウムを覆う殻を形成することもあるであろう。しかし、これらは、例えばイオン化されたHe原子を含むスパッタリングイオンプラズマによって非常に効率的にスパッタされることができ、または該プラズマから放出される高速のリチウムイオンおよび原子形態のリチウム自身によってスパッタされ得るであろう。
【0073】
リチウム堆積を前もって止めるために必要とされるスパッタ速度は、EUV光源では、例えば現代の堆積およびエッチング機構において実施されている文献中に指定されたものよりも遥かに高くなり得るであろう。その理由の少なくとも一部は、例えば、リチウムをミラー表面から離間しておくための組合されたアプローチによるものである。本発明の一実施形態の側面に従って、出願人は、リチウムのバルクを除去するために蒸発を使用する一方、ミラー表面に堆積した不可避的なリチウムおよび炭素化合物を除去するための非常に軽いスパッタ速度を用いることを想定している。しかし、少なくとも主反射表面および副反射表面上に衝突する非常に軽いスパッタリングプラズマでさえも、同じく有益な炭素および他のリチウム化合物の除去特性を有することができるであろう。中間焦点以外、例えば照射体反射表面および投影反射表面にもこの着想を用いることは、リソグラフィーツールの反射表面にたまたま到達するデブリを除去する上でも有益であることが立証されるであろう。リソグラフィーツール自身においては、例えば堆積速度が小さいため、熱負荷およびスパッタリング速度は、これが有効であるために充分に低くてよいかもしれない。
【0074】
プラズマから放出されたリチウムと共にスパッタされ、且つ反射表面に集められないリチウムおよびリチウム化合物は、EUV光源容器内に含まれる冷フィンガー(図示せず)、例えば該容器の内壁から延出し、且つコレクタから中間焦点への光学経路の外に延出する冷却された形態の水冷フィンまたはプレートにおいてトラップされることができる。
【0075】
例えばソース元素としての錫の場合、錫ベースのLPP光源におけるコレクタを洗浄するために、水素プラズマと共に、室温で蒸気である例えば金属の水素化物(例えばSnH4)を使用することが可能であるかもしれない。水素は高い13.5nm透過率を有しており、また得られるSnH4は、リチウムのように冷フィンガー上にトラップされるのではなく、ポンプ排出できるであろう。
【0076】
出願人は、錫イオンおよびリチウムイオンの両方に対する、例えばヘリウムおよびアルゴンの停止力を試験した。この結果が図21Aおよび図21Bに示されている。この二つのグラフは、スケールだけが異なる同じデータを有している。ソースプラズマからの異なる測定距離(それぞれ96.5cm、61cmおよび32.5cm)の錫についての線500、502および503は、実線はヘリウムバッファであり、破線はアルゴンバッファである。線506はリチウムについてのものである。圧力*距離の積のスケーリングが適用されれば、錫データについてのこれら三つの組は、相互の頂部が概ね重なるであろう。
【0077】
出願人はまた、所定のガス圧力について、アルゴンがヘリウムより少なくとも10倍高い停止力を有することを観測した。また、リチウムは、錫よりも少ないバッファーガスで停止されることができる。また、LPPコレクタの真の作業距離(〜10cm)にスケールを合わせると、必要とされるバッファー圧力は、アルゴンの場合でさえも、錫について約10mTの範囲にあることが必要とされるであろう。キセノンおよび錫は概ね同じ原子量を有するので、出願人は、キセノンLPPのための必要とされるバッファー圧力もまた、10mTの範囲にあるであろうと予想する。このような高いバッファー圧力は、キセノンおよび錫について、EUV自己吸収の問題を提示し得る。しかし、リチウムの低いバッファー圧力要件および低いEUV吸収の両方のために、リチウムについてはそうではない。
【0078】
例えば、増大する異なるバッファーガス圧力で、既知のアパーチャーサイズを通して、既知の距離でイオンを収集および測定するファラデーカップを使用して、例えば高速イオンに対するバッファーの停止力を試験することを継続する場合、このファラデーカップ信号が減少すれば、イオン停止力の測定を与える。錫およびリチウムについての結果が、図22A〜図22Eに示されている。図22Aおよび図22Bは、それぞれ錫およびリチウムについての生のファラデーカップ信号 vs.時間を示している。図22Cおよび図22Dにおいて、これらの信号は、それぞれ錫およびリチウムについての飛行時間(time−of−flight)を使用して、イオンエネルギーに対してプロットされている。図22Eにおいては、これら曲線の下の面積が、バッファーガスの圧力*距離の積に対してプロットされており、下の方のプロット線(1)は錫であり、上の方のプロット線(2)はリチウムである。
【0079】
出願人によるこの分析の驚くべき結果は、最後のグラフが、錫およびリチウムの両者についてのファラデーカップ信号vs.バッファガスのP*D積が、両方の元素について概ね同じであることを示すことであった。出願人は、これが、該分析はファラデーカップによって捕捉されたイオンの喪失を実際に測定しておらず、その代りにバッファーガスによるイオンの中和(所謂イオンによる電子捕獲)を測定していたことにおいて説明可能であると確信している。イオンが中和されると、それはファラデーカップ内において登録されないであろう。これは例えば、特に錫イオンが高度に帯電し(7〜11回イオン化される)、またリチウムは最大でも3回しかイオン化され得ないことを考慮すれば、錫はリチウムよりも大きな電子捕獲断面を有することが可能であることから説明することができる。図22Eに示した停止力の結果は、停止力がこれら曲線による予測値よりも良好であり得ない点において、バッファーガス停止力の課題評価と考えることができる。
【0080】
停止力の観察された値を上限と見ることにより、コレクタミラーの寿命を100Bパルスに延長するための、アルゴンバッファーガスの必要な圧力を計算することができる。キセノンLPPおよび12cmのコレクタ距離を用いた一つの多層ミラー対が15Mパルス毎に腐蝕されることを報告した、EUV・LLCによって制定された工業試験規格(Engineering Test Standard;ETS)から出発し、また多層ミラーの反射率は10層対が除去されるまでは顕著に劣化しないと仮定すると、ETSコレクタミラーは、100Bパルスの要件に比較して、150Mパルスの寿命を有するであろう。これは、腐蝕速度における666Xの低下が必要であるとの結論を導く。図22Eにおいて、このレベルの低下を達成するためには、約500mT*cmのP*D積が要求されるであろう。例えば12cmの作業距離は、例えば、42mTのアルゴン圧力の必要性を生じる。これはまた、アルゴンバッファー中で捕捉されるキセノンの強いEUV吸収のために、キセノンLPPについては42mTのバッファー圧力が全く充分ではないので、リチウムが例えばキセノンよりも良好なターゲットであるとの結論をもたらすことができる。しかしリチウムの場合、バッファー圧力のこの量は、リチウム吸収にとっては問題ではない。錫もまた、例えば、SnH4の蒸気圧およびコレクタミラー表面からの蒸発速度に依存して充分である可能性がある。従って、比較的大きなバッファーガス圧力が必要とされるように思われ、これは、キセノンは良好なターゲットでない(錫もそうであろう)が、リチウムは最良のように見えるとの結論を導く。
【0081】
出願人はまた、コレクタ反射表面を加熱する効果が、公表された蒸気圧が実現される前に、蒸発される材料は例えば一定の厚さ(例えば50Å、例えば10単分子層)を有する必要があるとの事実、即ち、材料(例えばリチウム)はミラー表面から直接蒸発され難いかもしれないとの事実によって悪影響を受けるとしても、ミラー表面上のこのような厚さのリチウムの透過率は約95%および90%(2回通過)であり、このようなミラー上の層は全体のCE、例えば13.5nmから顕著には損なわれないであろうと決定した。加えて、このようなリチウムの「蒸発のない」層は、これがコレクタミラーを高速リチウム原子およびイオンの猛攻撃から保護できる点において、実際には有益である可能性がある。このリチウム層は、多層ミラーのモリブデン層の代りにスパッタされるであろう。キセノンはガスであるから、このような保護層を形成せず、また、錫層はその非常に高いEUV吸収のために、52%しか透過させないであろう。
【0082】
例えば約1keVのイオンエネルギーについて(このエネルギーレベルを超えるとスパッタ速度は飽和する傾向にある)、モリブデンに対するリチウムのスパッタ収量がモリブデンに対するキセノンのスパッタ収量よりも遥かに低いとすれば:
入射イオン
ターゲット材料 リチウム キセノン
リチウム 0.21 ??
モリブデン 0.081 1.45
キセノンはリチウムよりも18倍高い速度でモリブデンをスパッタするであろう。この差は単独で、他に何も変更することなく、2.7Bパルスのコレクタ寿命を与えるであろう。「蒸発のない」定常状態のリチウムの薄層は、スパッタ速度における残りの37Xの低下を与えるであろう。そうでないとしても、〜100の余分な犠牲層対を持ったミラーを製造するEUV・LLCの概念は、寿命における10X、例えば27Bパルスの増大を加えることができ、これはリチウムからの低い腐蝕と組合せて、100Bパルスのコレクタ寿命を与えることができるであろう。
【0083】
出願人はまた、コレクタミラーの静電的保護の効果を試験した。この概念、即ち、高エネルギーのイオンがミラーの方に向って移動するときに電位井戸をよじ登るように、光源LPPとコレクタミラーの間に電界を発生させることは、文献において提案されてきた。この電位井戸は、これらイオンがミラーに到達する前に、それらの運動エネルギーを全て失うために充分に深くすることができる。事実、それらは電位井戸の回りで向きを換え、電位井戸の下へと追い払われる。しかし、出願人は、容器を通してコレクタミラーへと電気接続を走らせることによってこれを行う試みは、レーザをパルシングする際にゼロ近傍にまで降下させるターゲットバイアスに起因して無効であることを発見し、これはバイアス電圧を維持するために必要とされる高いピーク電流および必要とされる大きなワイヤ(従って、該ワイヤのインダクタンスに沿った電圧の全てを低下させた)の結果であると決定した。この問題を補正するために、出願人は、真空容器内部にキャパシタを設置して、アースとターゲットプレートとの間に低インダクタンスバスワークを構築した。インダクタンスは、銅シートを上に向け且つターゲットの回りに配置して、アースに取り付けることにより測定した。キャパシタを低電圧に充電し、またターゲットに対して銅シートを押圧することによりこれを放電することによって、出願人はリング電圧波形を測定し、インダクタンスを推論した。その結果は、697nsで104nHの半周期放電波形であった。この放電周期はレーザパルスおよびその後のEUV放出よりも遥かに長く、このバイアスが、イオンが形成されてプラズマ領域を出るときの臨界周期(〜20ns)の際に維持され得るかどうかについての懸念が生じる。しかし、出願人は、このような短い時間スケールは重要でないと決定した。重要なことは、例えば。ターゲットからミラーへのイオンの移動時間に比較して短い時間スケール内で、ターゲットバイアスを維持または再樹立することである。現在の形状において、イオン移動時間は2.5μsであり、従って0.7μsの回路半周期は充分なはずである。
【0084】
この装置の試験において、出願人は、完全な0.47μFのキャパシタンスが、銅ストラップを使用したインダクタンス測定の際と殆ど正確に同じ時間スケールで、その−1000Vから流出したことを発見して驚かされた。出願人は、レーザパルスはターゲットプレートと容器壁との間で放電を開始させると決定した。この放電は、キャパシタの高電圧端末とアースとの間の回路を完成させて、銅ストラップがそれらを横切って配置されたかのように、キャパシタから流出させる。明らかに、レーザパルスの最中およびその直後に展開される事象は、ターゲット点においてプラズマが形成されること、および該プラズマが容器全体に亘って大量の硬UVおよびEUV放射を放射することである。これら光子の殆どのエネルギーは、容器内部の金属の仕事関数を越えるものであり、従って全ての該金属表面において光電子が発生する。これらの光子はまた、当該容器内に存在する如何なるガス原子をもイオン化するのに充分なエネルギーを有している。この場合、アルゴンはバッファーガスとして使用され、LPPによって生じた硬UVおよびEUV放射によって容易にイオン化される。そして最終的には、LPPにおいて、および容器の容積中への外方への流れの中に電子およびイオンが形成される。バイアスされたターゲットプレートに引寄せられるイオンについては例外である。それらはプレートに衝突して、二次電子を形成する。本質的には、当該装置がレーザにトリガーされた放電スイッチであるかのように、相互間の電位に保持された二つの金属プレートの間で放電形成が生じる。
【0085】
更に、効果的な静電的反発を行わせるための幾つかの可能性が存在するが、これは更に複雑になり、また実際には静電的ではない。このアイデアは、それがレーザパルスの初期事象の後にのみ存在するように、バイアスをパルスすることである。僅か数百nsの間に、殆どの電子は容器壁に衝突し、勿論放射が起きるであろう。このときに、コレクタミラーからイオンを遠ざけるようにバイアスを印加してイオンを反発させ、または引寄せることが可能であろう。
【0086】
当業者は、上記で述べた本発明の好ましい実施形態およびその側面が排他的なものではなく、本願に開示した発明の精神および範囲を逸脱することなく、上記で述べた実施形態への他の変形および追加がなされ得ることを承認するであろう。従って、特許請求の範囲は、上記で開示した実施形態および側面に限定されるように解釈されるべきではなく、記載された要素およびこれら記載された要素の均等物が、特許請求の範囲およびその精神内に含まれるように解釈されるべきである。例として、他のターゲット材料および多層反射コーティング材料は、例えば、光反射表面の近傍でのスパッタリングプラズマの形成によって誘導されたイオン(このイオンはヘリウム以外、例えばH、NまたはOであってもよい)のスパッタリングにより連続的な洗浄を可能にする、上記で述べたのと同じ関係を有してよい。また、例えば反射表面のための加熱機構は、反射表面に向けられた加熱ランプであることもできるであろう。当業者は、他のこのような変更および追加を理解することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デブリで汚染された反射表面を有するEUV光源用のコレクタを再生する方法であって、
炭素酸化剤を含むガスを含んだ洗浄チャンバ内で、紫外光源からの照射のもとで前記コレクタの反射面を光化学的に洗浄するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記紫外光源からの照射は、通常使用のコレクタのEUV光源のプラズマ着火部位に対応する実質的に点光源位置における供給点から照射される光源によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記紫外光源はDUV光源である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素酸化剤を含むガスは、分子状F2を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素酸化剤を含むガスは、NF3を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光化学的洗浄は、160〜300nmの範囲の波長を有する光を用いて行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記紫外光源は、DUVランプである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
気相におけるフッ素ベースの炭素材料を排出するために、洗浄チャンバをパージするステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
デブリで汚染された反射表面を有するEUV光源用のコレクタを再生する装置であって、
洗浄チャンバと、
紫外光源と、
前記洗浄チャンバ内で、前記紫外光源からの照射のもとで前記コレクタの反射面を光化学的に洗浄する、炭素酸化剤を含むガスの供給源と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
前記紫外光源は、160〜300nmの範囲の波長の光を生成する、請求項9に記載の装置。
【請求項1】
デブリで汚染された反射表面を有するEUV光源用のコレクタを再生する方法であって、
炭素酸化剤を含むガスを含んだ洗浄チャンバ内で、紫外光源からの照射のもとで前記コレクタの反射面を光化学的に洗浄するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記紫外光源からの照射は、通常使用のコレクタのEUV光源のプラズマ着火部位に対応する実質的に点光源位置における供給点から照射される光源によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記紫外光源はDUV光源である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素酸化剤を含むガスは、分子状F2を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素酸化剤を含むガスは、NF3を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光化学的洗浄は、160〜300nmの範囲の波長を有する光を用いて行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記紫外光源は、DUVランプである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
気相におけるフッ素ベースの炭素材料を排出するために、洗浄チャンバをパージするステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
デブリで汚染された反射表面を有するEUV光源用のコレクタを再生する装置であって、
洗浄チャンバと、
紫外光源と、
前記洗浄チャンバ内で、前記紫外光源からの照射のもとで前記コレクタの反射面を光化学的に洗浄する、炭素酸化剤を含むガスの供給源と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
前記紫外光源は、160〜300nmの範囲の波長の光を生成する、請求項9に記載の装置。
【図1】
【図1A】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図1A】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【公開番号】特開2011−181935(P2011−181935A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62167(P2011−62167)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2007−101959(P2007−101959)の分割
【原出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【出願人】(504010648)サイマー インコーポレイテッド (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2007−101959(P2007−101959)の分割
【原出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【出願人】(504010648)サイマー インコーポレイテッド (115)
【Fターム(参考)】
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