説明

X線撮像装置及びX線CT装置

【課題】湾曲した撮像素子を用い且つ安価に製造することが可能なX線撮像装置及びX線CT装置を提供する。
【解決手段】被検体に対して照射され該被検体を透過したX線が入射することで蛍光を発するシンチレータと、該シンチレータが発する蛍光を受光して電気信号に変換する撮像素子とを組み合わせたX線撮像装置13において、前記シンチレータが湾曲して形成されており、前記撮像素子を構成する基板は可撓性を有するとともに前記撮像素子は前記シンチレータと対向する位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を可視光等に変換するシンチレータとこの可視光等を受光する撮像素子とを組み合わせたX線撮像装置及びX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を可視化して撮像するX線撮像装置は、X線を直接センシングするものと、例えば特許文献1、2、3、4、5記載の様に、X線をシンチレータを用いて可視化しこれをCCD等の撮像素子を用いて撮像するものとがある。
【0003】
シンチレータと撮像素子とを組み合わせ、例えばX線CT装置を構成する場合、従来は、図14に示す構成となっている。即ち、CT装置本体1には、ストレッチャ2に載せられた被検体3が挿入される円形開口部4が中央に設けられており、CT装置本体1内には、被検体3にX線を照射するX線照射器5と、被検体4を透過したX線を受光するX線撮像装置(シンチレータ+撮像素子)6と、X線照射5及びX線撮像装置6を一体に円形開口部2の周りで回転させる図示しない駆動機構と、X線撮像装置6から出力される被検体3の撮像画像を外部に伝送する伝送装置7とが設けられている。
【0004】
この図14に示す従来のX線CT装置1は、X線撮像装置6が平面状に形成されているため、このX線撮像装置6の大きさによってX線CT装置1の大きさが規定されてしまい、これ以上の小型化を図ることができない。
【0005】
X線撮像装置6を、中央開口部4の外周に沿って湾曲させることができれば、X線CT装置1を小型化することができる。そこで、図15に示す様に、細片化したシンチレータ及び撮像素子を湾曲形状に配列することでX線撮像装置6aを構成できれば、X線CT装置1の小型化を図ることが可能になる。
【0006】
【特許文献1】特開平5―152597号公報
【特許文献2】特開平6―214036号公報
【特許文献3】特開平11―151235号公報
【特許文献4】特開2000―56028号公報
【特許文献5】特開2003―17676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、X線撮像装置6aのうちシンチレータを細片化するのは容易であるが、撮像素子を細片化するのは困難である。例えば小さな撮像素子を多数製造して1つの大きな撮像装置を構成する様に配列することは可能であるが、多数の撮像素子の特性を揃えるのは難しく、個々の撮像素子の感度や感度オフセットなどの補正を高精度に施す必要が生じる。このため、図15の構成を採用するのはコスト的に不利となる。
【0008】
本発明の目的は、湾曲した撮像素子を用い且つ安価に製造することが可能なX線撮像装置及びX線CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のX線撮像装置は、被検体に対して照射され該被検体を透過したX線が入射することで蛍光を発するシンチレータと、該シンチレータが発する蛍光を受光して電気信号に変換する撮像素子とを組み合わせたX線撮像装置において、前記シンチレータが湾曲して形成されており、前記撮像素子を構成する基板は可撓性を有するとともに前記撮像素子は前記シンチレータと対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のX線撮像装置は、前記撮像素子が、該シンチレータの表面に沿うような形状で形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のX線撮像装置は、前記撮像素子が、入射光を光電変換する有機材料を含む感光層を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明のX線撮像装置の前記シンチレータと前記有機感光層とは、前記シンチレータが発する前記蛍光のピーク波長と前記有機感光層の受光感度のピーク波長とが所定範囲内で一致する材料でそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のX線CT装置は、被検体に対してX線を照射するX線照射器と、前記被検体を介して前記X線照射器に対向する位置に設けられた上記のいずれかに記載の前記X線撮像装置と、前記X線照射器と前記X線撮像装置とを対向させた状態で前記被検体の回りで一体回転させる駆動手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮像素子が湾曲形状となるため、小型で低コストのX線撮像装置やX線CT装置を提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るX線CT装置の構成図である。本実施形態に係るX線CT装置10は、装置本体11と、装置本体内に設けられたX線照射器12と、該X線照射器12に対向して配置され湾曲して配置されたX線撮像装置13と、中央開口部14の周りでX線照射器12及びX線撮像装置13を一体回転させる架台15と、架台15を回転駆動する架台駆動部16と、X線照射器12にスリップリングを介して高電圧を供給する高電圧発生装置17と、X線撮像装置13から出力されるX線撮像画像データを伝送するデータ電送装置18とを備える。
【0017】
このX線CT装置10は、更に、X線CT装置10を統括制御するCPU20と、メモリ21と、画像再構成演算部22と、操作部23と、データ電送装置12から送信されてきたX線撮像画像データを表示する表示部24と、この撮像画像データを記録する記録部25と、通信部26と、ストレッチャ駆動部27と、高電圧発生装置17、架台駆動部16、ストレッチャ駆動部27を制御するメカニカル制御部28とを備える。
【0018】
図2は、図1に示すX線撮像装置13の一部表面模式図である。X線撮像装置13の表面には、多数の画素30が、図示する例では正方格子状に配列形成されており、各画素30の底部には、各画素30で検出した被検体の断層画像に応じた画像信号を読み出す信号読出回路31が形成されている。
【0019】
本実施形態では、信号読出回路31は、CMOS型イメージセンサで用いられる3トランジスタ構成の信号読出回路を例として図示しているが、4トランジスタ構成の信号読出回路としても良い。該当画素が検出した画像信号を読み出すように該画素に対応する信号読出回路が垂直シフトレジスタ32、水平シフトレジスタ33で指定されたとき、画像信号がX線撮像装置13からデータ電送装置18に出力される。
【0020】
図3は、図2のIII―III線位置における断面模式図であり、ほぼ1.5画素分の断面に相当する。本実施形態のX線撮像装置13は、撮像素子13aと、撮像素子13aの上に配置されたシンチレータ13bとからなる。
【0021】
撮像素子13aは、可撓性基板35の上に形成される。本実施形態で用いる可撓性基板35は、薄く形成され湾曲させることが可能となるガラス基板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等の材料をシート状に形成した可撓性シートを用いる。
【0022】
そして、この可撓性基板35の表面にp型半導体層36を形成し、この半導体層36に、例えば特開平5−158070号公報に記載されている様な液晶基板のTFTマトリクス等を製造する技術や、有機EL素子等を製造する技術を用い、以下に述べるダイオード部や信号読出回路31を形成する。
【0023】
先ず、半導体層36の表面部所定箇所には、信号電荷蓄積領域となるダイオード部37が形成される。また、半導体層36の表面部には、信号読出回路31のトランジスタの一部を構成するn領域38が形成され、半導体層36の表面酸化層(図示省略)を介して設けられたゲート電極39に読出電圧が印加されたとき、ダイオード部37の蓄積電荷がn領域38に移動し、信号読出回路31(図2)によってX線撮像装置13の外部に読み出される。
【0024】
信号読出回路31は、半導体層36の表面に積層された絶縁層42内に埋設される光遮蔽層43によって遮光され、この光遮蔽層43の上で且つ絶縁層42内に、信号読出回路を図2の垂直シフトレジスタ32、水平シフトレジスタ33に接続する配線層40が敷設される。絶縁層42の表面には画素電極層45が積層され、画素電極層45とダイオード部37とを接続する縦配線46が立設される。そして、画素電極層45の上に、シンチレータが発する蛍光に感度を有する感光層(光電変換層)47が積層され、その上に透明な対向電極層49が積層される。可撓性基板35から対向電極層49までで撮像素子13aが構成される。
【0025】
本実施形態では、適宜箇所の画素間に、隣接する感光層47(電極層45、49)間と分離する隙間(空間)50を設け、可撓性基板35上に製造した撮像素子の可撓性を更に向上させ、図1に示す様に、湾曲させてX線CT装置の架台15内に配置することを容易にしている。しかし、湾曲させる曲率が小さく曲率半径が大きければ、この隙間50は必ずしも必要ではない。
【0026】
撮像素子13aの上に配置するシンチレータ13bは、本実施形態では、各画素間にセパレータ51を入れ、撮像画像データの解像度を落とさないようにしている。シンチレータ13bは、基本的に、加工可能なセラミクス状の物質で製造されるので、図3では直方体に描いているが、実際には、わずかに上部が狭まった形状に加工され、全体として曲面形状(弧状)となっている。図15で述べた様に、細片化したシンチレータを湾曲配置して構成することでも良い。
【0027】
上述した構成のX線撮像装置13を用いたX線CT装置で、図示しないストレッチャに搭載された被検体の断層画像を撮像する場合には、ストレッチャをX線CT装置本体11の中央開口部14内に移動させながら、X線照射器12及びX線撮像装置13を回転(スキャン)させる。
【0028】
X線照射器12から被検体に向けて照射されたX線は、被検体を透過し、シンチレータ13bに入射し、透過X線量に応じた蛍光がシンチレータ13bから発生する。この蛍光が撮像素子13aに入射すると、入射光は、感光層(有機光電変換層)47(図3)にて光電変換され、正孔電子対が発生する。
【0029】
感光層47には、必要に応じて、画素電極層45―対向電極層49間に電圧が印加される。この電圧によって感光層47内に電位勾配が生じ、正孔電子対のうちの電子がこの電位勾配に沿って画素電極層45に移動し、この電子が縦配線46を通してダイオード部37に流れ、ダイオード部37に蓄積される。
【0030】
図3に図示する例では、ダイオード部37は埋め込み型となっており、界面の格子欠陥の影響を受けないようにしているが、単なるダイオード(キャパシタ)でも良い。
【0031】
ダイオード部37への電荷蓄積のタイミングは、感光層47の電圧印加で決めることもできるし、下部のダイオード部37のリセットでも決めることができるが、スキャンのタイミングに合わせるためには、
(1)スキャン前に感光層に高電圧をかけて余剰電荷を感光層から排出し、
(2)ダイオード部37をリセットし、
(3)感光層へ電圧印加を印加して電位勾配を発生させ、
(4)X線照射開始およびスキャン開始
で、順次、MOSスイッチングにより、信号の読み出しを行うという方法が望ましい。
【0032】
ダイオード部37に蓄積された電荷は、信号読出回路の読出トランジスタのゲートを介してフローティング・ディフュージョン・アンプ(FDA)に読み出され、電荷/電圧変換される。変換された電圧を読み出すことで、画素毎の信号を得ることができる。また、信号読み出しの前に、必要に応じて、蓄積された電荷をリセットできる(通常のCMOS型イメージセンサの駆動方法と同様である。)。
【0033】
尚、X線撮像装置13を、ストレッチャの移動速度とスキャンの回転速度に応じてスライス方向からわずかに傾きを持たせると、ストレッチャを止めることなくスパイラル状の画像データが得られて都合がよい。
【0034】
図4は、感光層の詳細断面の説明図である。図3では、感光層を、単に、画素電極層と対向電極層との間に挟んだ構造として説明したが、実際には、図4に図示する構成とするのが良い。図4は、基板と反対側から光が入射する例であるが、基板が透明で光が基板側から入射する場合を図5に示す。材料その他の説明は図4と図5とで同じなため、図4についてのみ説明する。尚、図4、図5では、図3で説明したダイオード部、縦配線、信号読出回路、遮遮蔽層等は省略している。
【0035】
図4において、薄いアルミニウムによる画素電極層55(図3では“45”)の上に正孔ブロックキング層56をAlqで形成し、その上に、光電変換材料を積層して感光層57(図3では“47”)とし、その上に、透明な対向電極層58(図3では“49”)をITOまたはAuで形成する。
【0036】
アルミニウム、光電変換材料、Alqは夫々真空蒸着で成層することができる。真空度は10−4Pa程度が望ましい。画素電極層と対向電極層との間に電圧を印加した際、特に正孔の注入による暗電流が大きいため、Alqは正孔ブロッキング層として必要である。
【0037】
正孔ブロッキング層は、電極55からの正孔注入を防ぎつつ、感光層(光電変換層)57で発生した電子キャリアを受け取り、それを電極55まで輸送する働きを行う。また、少ないが感度も持つ。
【0038】
対向電極層(ITO、Au等)58は、スパッタや電子ビーム蒸着、イオンプレーティングなどで成層することができる。感光層57として有機層を用いた場合、有機層57の上にITO58を成層すると、一般にショートにより非常に歩留まりが悪くなるが、10nm程度未満の厚みにすると、歩留まりが改善する。
【0039】
有機層へのダメージが大きい場合には、ITOより光の透過率は落ちるが、金(Au)の薄層を対向電極層58として用いるのが良い。この場合も15nm程度未満の厚さが望ましい。
【0040】
感光層57は、厚さが100nm程度あれば、アルミ電極層55からの反射もあり、入射光の90〜99%を吸収できる。画素電極層55と対向電極層58との間の印加電圧は、通常1V〜30V程度であるが、15V程度で最大吸収波長での外部量子効率が20〜40%程度、それ以上に電圧を上げると、量子効率は上がるが電極55からのキャリア注入による暗電流が増加してS/Nが落ちる。
【0041】
有機材料による光電変換層57は、酸素や水分で劣化するため、対向電極層58(図3では、対向電極層49)の上に、窒化シリコンなどの封止層が必要である。その際、素子にダメージを与えないように、低ダメージスパッタや低ダメージプラズマCVDなどで封止層を成層すると良い。
【0042】
感光層57(図3では“47”)の材料として、銅フタロシアニン、ポルフィリン、Me−PTC、キナクリドンなどがあげられる。
【0043】
図6(a)は、CuPc(銅フタロシアニン)の吸収特性であり、図6(b)はその構造式である。「吸収されている」=「電荷変換されている」ことであるため、図6(a)はCuPcの分光感度特性と等価である。分光感度を見ると、620nm付近にもピークを持つが、最大ピークがシンチレータ発光波長と一致するシンチレータ材料と組み合わせれば良い。
【0044】

図7(a)は、ポルフィリンの分光感度であり、図7(b)はその構造式である。図8(a)は、Me−PTC(メチルPCT)の分光感度特性であり、図8(b)はその構造式である。
【0045】
図9(a)は、キナクリドンの分光感度であり、図9(b)はその構造式である。キナクリドンは、短波長(≦300nm)にも感度ピークを持つが、発光波長が560nm付近のシンチレータ材料と組み合わせれば良い。
【0046】
正孔ブロッキング層として用いるAlqも、感度を持つ。図10(a)は、Alqの分光感度であり、図10(b)は、その構造式である。このAlqは、CuPCやポルフィリンと組み合わせたとき、特に感度に貢献する。
【0047】
図11は、シンチレータ13bの材料と、撮像素子を構成する材料との組み合わせ対応表を示す図である。γ線やα線等を検出する用途に対する組み合わせも一緒に図示しているが、X線用途では、
(BaF)―(Al/CuPc/Alq/ITO)
(CsI(Pure))―(Al/CuPc/Alq/ITO)
(NaI(TI))―(Al/ポルフィリン/Alq/ITO)
(CsI(Na))―(Al/ポルフィリン/Alq/ITO)
(CaF(Eu))―(Al/ポルフィリン/Alq/ITO)
(CdWO)―(Al/キナクリドン/Alq/ITO)
の6種類の組み合わせが良いことが分かる。
【0048】
X線CT装置では演算処理する画像データ数が膨大となるため、画素数が多くなるほどX線撮像装置13から高速に画像データを読み出して画像再構成演算部22(図1)に出力するのが好ましい。この高速読出を図ったX線撮像装置13の構成を図12に示す。
【0049】
CMOS回路で構成された信号読出回路の読み出し速度を高速化するには、読み出しの並列化を図ることが有効である。そこで、図12に示す実施形態では、図2に示す実施形態に比較して、各信号読出回路の信号読出線61を(図12では、垂直読出線)を増やし、垂直方向4画素を同時に読み出すことができるようにしている。
【0050】
また、信号読出線61を増やすとそれに比例して出力信号線も増えるため、ADコンバータ62でデジタル信号に変換し、出力信号バス63に多重化して読み出すことで出力信号線数を減らしている。出力信号バス63は、パラレルバスでも良いが、シリアルバスにすることでさらに出力線数を減らすことができる。
【0051】
図3で説明したX線撮像装置では、シンチレータ13bと撮像素子13aとを別々に製造し、その後に組み合わせた構造をとっているが、シンチレータを湾曲した形状に形成し、その表面に、撮像素子を形成することも可能である。
【0052】
図13は、湾曲形成したシンチレータの表面に撮像素子を形成する製造装置の概略を示す図である。この製造装置は、湾曲形成されたシンチレータ65の表面に沿って湾曲したレール66が設けられており、このレール66に沿って移動しシンチレータ65の表面に有機感光層等を塗布する塗布器(例えばインクジェット)67を備える。
【0053】
この様に、シンチレータの表面に有機感光層等を塗布して撮像素子を形成するには、シンチレータ表面の平滑度が問題となるが、シンチレータ材料のセラミクスの表面は、かなりの程度の平滑度を達成することができるため、撮像素子の製造は可能である。また、この平滑度が足りない場合には、研磨したり、PETやガラス材をシンチレータ表面に塗布する表面処理を行えばよい。
【0054】
平滑な表面ができあがれば、これ表面の上に感光層や電極層、絶縁層等を積層し、最後に信号読出回路を製造することになる。この信号読出回路は、例えば、半導体基板の上に製造した信号読出回路を薄い層として半導体基板から剥ぎ取り、これをシンチレータの上に貼り付ければ良い。あるいは、PET等の上に薄い半導体層を形成してここに信号読出回路を製造し、これをシンチレータの上に貼り付ければ良い。これにより、シンチレータ一体の撮像素子(=X線撮像装置)が形成される。
【0055】
尚、上述した実施形態のX線撮像装置は、信号読出手段として従来のCMOS型イメージセンサで用いる3トランジスタ構成や4トランジスタ構成の信号読出回路を用いたが、信号読出手段として、従来のCCD型イメージセンサで用いる電荷転送路を用いる構成としても良いことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、小型化、低コスト化が容易なため、シンチレータを用いたX線撮像装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線CT装置の構成図である。
【図2】図1に示すX線撮像装置の一部表面模式図である。
【図3】図2のIII―III線断面模式図である。
【図4】感光層の断面詳細説明図である。
【図5】別の感光層の断面詳細説明図である。
【図6】銅フタロシアニンの分光感度及び構造式である。
【図7】ポルフィリンの分光感度及び構造式である。
【図8】Me−PTCの分光感度と構造式である。
【図9】キナクリドンの分光感度と構造式である。
【図10】Alqの分光感度と構造式である。
【図11】シンチレータと有機撮像素子との材料の対応を表す図である。
【図12】図2に代わる実施形態の高速読出可能なX線撮像装置の構成図である。
【図13】シンチレータ表面に有機撮像素子を製造する装置の一例の説明図である。
【図14】従来のX線CT装置の説明図である。
【図15】図14の改良されたX線CT装置の説明図である。
【符号の説明】
【0058】
10 X線CT装置
11 装置本体
12 X線照射器
13 X線撮像装置
13a 撮像素子
13b シンチレータ
14 中央開口部
30 画素
31 信号読出回路
35 可撓性基板
36 半導体層
37 信号電荷蓄積部(ダイオード部)
38 n領域(信号読出回路のトランジスタの一部領域)
45 画素電極層
46 縦配線
47 感光層(有機光電変換層)
49 対向電極層
50 隙間(空間)
51 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して照射され該被検体を透過したX線が入射することで蛍光を発するシンチレータと、該シンチレータが発する蛍光を受光して電気信号に変換する撮像素子とを組み合わせたX線撮像装置において、前記シンチレータが湾曲して形成されており、前記撮像素子を構成する基板は可撓性を有するとともに前記撮像素子は前記シンチレータと対向する位置に配置されていることを特徴とするX線撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子が、該シンチレータの表面に沿うような形状で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子が、入射光を光電変換する有機材料を含む感光層を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線撮像装置。
【請求項4】
前記シンチレータと前記有機感光層とは、前記シンチレータが発する前記蛍光のピーク波長と前記有機感光層の受光感度のピーク波長とが所定範囲内で一致する材料でそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載のX線撮像装置。
【請求項5】
被検体に対してX線を照射するX線照射器と、前記被検体を介して前記X線照射器に対向する位置に設けられた請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の前記X線撮像装置と、前記X線照射器と前記X線撮像装置とを対向させた状態で前記被検体の回りで一体回転させる駆動手段とを備えることを特徴とするX線CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−101256(P2007−101256A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288863(P2005−288863)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】