説明

めっき処理方法、導電性膜、透光性電磁波シールド膜および光学フィルター

【課題】 膜強度を悪化させず、膜がウエット状態のときでも耐傷性に優れ、高速めっき処理を可能にして高い生産性を実現するめっき処理方法を提供すること。該方法により得られる導電性膜、透光性電磁波シールド膜および光学フィルターを提供すること。
【解決手段】 フィルム表面を電解銅めっきするめっき処理方法であって、めっき液のpHが1以上4以下であることを特徴とするめっき処理方法、該方法により得られる導電性膜、透光性電磁波シールド膜および光学フィルター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき処理方法、導電性膜、透光性電磁波シールド膜および光学フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器などに使用されるフレキシブル配線板やプラズマディスプレイに使用される電磁波シールドフィルム等、絶縁体フィルム上に金属導電性薄膜を形成する技術の開発が望まれている。
例えば、特許文献1では、銀塩を含有する感光材料を露光および現像処理し、さらに現像銀に物理現像または銅めっき処理を加えることによって電磁波シールド膜を製造する方法が開示されている。特許文献1によれば、他の方式に比べて細線パターンを精密に形成でき、高い透明性、安価に大量生産が可能などのような優れた電磁波シールド膜が得られることが記載されている。
【0003】
一方、銅めっき処理は、硫酸銅系の強酸性めっき液や、ピロリン酸銅系のアルカリ性めっき液を用いる方法が知られている。
具体的には特許文献1に記載の技術では、例えば硫酸銅めっき液を用い、現像銀上に銅をめっきしている。
【0004】
特許文献2には、強酸性あるいはアルカリ性のめっき液がプリント配線版に塗布されたレジストにダメージを与えるという課題を解決することを目的として、硫酸銅めっき液に銅錯化剤を添加するとともにpHを5〜10に調整しためっき液が開示されている。
【特許文献1】特開2004−221564号公報
【特許文献2】特開平11−217689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、硫酸銅めっき液のような強酸性のめっき液による処理は膜強度を悪化させ、とくに膜がウエット状態のときに耐傷性を悪化させるという問題点がある。また、ピロリン酸系のめっき液は、めっき速度が遅い、液が不安定、廃液処理が難しいなどの問題点がある。また、特許文献2に開示された技術には、銅濃度を濃くできない、反応速度が遅いなどの問題があり、さらなる改良が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、膜強度を悪化させず、膜がウエット状態のときでも耐傷性に優れ、高速めっき処理を可能にして高い生産性を実現するめっき処理方法を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、該めっき処理方法を適用して得られる導電性膜、透光性電磁波シールド膜および光学フィルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のとおりである。
(1)
フィルム表面を電解銅めっきするめっき処理方法であって、めっき液のpHが1以上4以下であることを特徴とするめっき処理方法。
(2)
前記フィルムの表面抵抗が1〜1000Ω/□であることを特徴とする(1)に記載のめっき処理方法。
(3)
前記フィルムが銀のメッシュ状パターンを有することを特徴とする(1)または(2)に記載のめっき処理方法。
(4)
前記銀のメッシュ状パターンが現像銀により形成されていることを特徴とする(3)に記載のめっき処理方法。
(5)
前記めっき液が、硫酸銅めっき液であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のめっき処理方法。
(6)
前記めっき液が硫黄化合物を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のめっき処理方法。
(7)
前記めっき液が窒素化合物を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のめっき処理方法。
(8)
前記めっき液がポリマー成分を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のめっき処理方法。
(9)
(1)〜(8)のいずれかに記載のめっき処理方法を含む製造方法により製造された導電性膜。
(10)
(9)に記載の導電性膜からなる透光性電磁波シールド膜。
(11)
(10)に記載の透光性電磁波シールド膜と接着剤層とを備えた光学フィルター。
(12)
剥離可能な保護フィルムを有することを特徴とする(11)に記載の光学フィルター。
(13)
赤外線遮蔽性、ハードコート性、反射防止性、妨眩性、静電気防止性、防汚性、紫外線カット性、およびガスバリア性からなる群から選択された1つ以上の機能を有する機能層を有することを特徴とする(11)または(12)に記載の光学フィルター。
(14)
赤外線遮蔽性を有することを特徴とする(11)または(12)に記載の光学フィルター。
【発明の効果】
【0007】
本発明のめっき処理方法によれば、膜強度を悪化させず、膜がウエット状態のときでも耐傷性を悪化させることがない。したがって、高速めっき処理が可能になるとともに、大面積の膜のハンドリングが容易となり、低コストで高い生産性を実現することができる。また本発明によれば、該めっき処理方法を適用して得られる導電性膜、透光性電磁波シールド膜および光学フィルターが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るめっき処理方法の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係るめっき処理を好適に実施するためのめっき装置は、公知の装置と同様に、フィルムが巻き付けられた繰り出し用リール(図示せず)から順次繰り出されたフィルムに酸洗浄および水洗処理を施した後、電気めっき槽に送り込み、めっき処理を行い、めっき処理後のフィルムを巻取り用リール(図示せず)に順次巻き取る構成となっている。なお、下記では高生産性に優れる連続めっき方法を例にとり説明しているが、本発明は下記の連続めっき方法に制限されるものではない。
【0009】
図1に本発明に係るめっき処理方法に好適に用いられる電解めっき槽の一例を示す。この図1に示す電解めっき槽10は、長尺のフィルム16に連続してめっき処理を施すことができるものである。矢印はフィルム16の搬送方向を示している。
電解めっき槽10は、めっき液15を貯留するめっき浴11を備えている。めっき浴11内には、一対のアノード板13が平行に配設され、一対のアノード板13の内側には、一対のガイドローラ14が配設されている。ガイドローラ14は垂直方向に移動可能であり、フィルム16のめっき処理時間を調整できるようになっている。
【0010】
めっき浴11の上方には、フィルム16をめっき浴11に搬入・搬出するとともにフィルムに電流を供給する給電ローラ(カソード)12a,12bが配設されている。また、めっき浴11の上方には、搬出側の給電ローラ12bの下方に各一対の液切りローラ17が配設されており、この液切りローラ17と搬出側の給電ローラ12bとの間には、フィルムからめっき液を除去するための水洗用スプレー(図示せず)が設置されている。
アノード板13は、電線(図示せず)を介して電源装置(図示せず)のプラス端子に接続され、給電ローラ12a,12bは、電源装置(図示せず)のマイナス端子に接続されており、所定回路により、通電量を制御しうるように構成されている。
上記のように、陰極は給電ローラの形態であることが好ましい。給電ローラは全面給電でも部分給電でもよいが、電流密度の不均一を生じにくく、めっきムラが発生しにくいことから、全面給電であることが好ましい。
【0011】
上記の電解めっき槽10において、例えば、電解めっき槽のサイズが10cm×10cm×10cm〜100cm×200cm×300cmである場合は、入り口側の給電ローラ12aとフィルム16とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離La)は、0.5cm〜15cmとすることが好ましく、1cm〜10cmとすることがより好ましく、1cm〜7cmとすることがさらに好ましい。
また、出口側の給電ローラ12bとフィルム16とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離Lb)は、0.5cm〜15cmとすることが好ましい。
【0012】
次に、上記電解めっき槽10を備えためっき装置を使用して、フィルムにめっき処理する方法を説明する。まず、めっき浴11にめっき液15を貯留する。
めっき液15は、膜がウエット状態のときの耐傷性、銅イオンの安定性、めっき速度等の観点からpHが1以上4以下であることが必要である。めっき液15のより好ましいpHは、2〜4である。
【0013】
また、めっき液15としては、硫酸銅、シアン化銅、ホウフッ化銅、塩化銅、炭酸銅等の1つ以上を含む酸性銅めっき液等が挙げられるが、中でも建浴費が安く、管理が容易などの点から硫酸銅を含むめっき液を用いることが好ましく、硫酸銅五水和塩を用いることがより好ましい。
めっき液15において、前記以外の銅イオン源としては、通常酸性溶液において溶解するめっき液を形成できれば特に制限はない。この前記以外の銅イオン源の具体例としては、酸化銅、メタンスルホン酸銅、プロパンスルホン酸銅などのアルカンスルホン酸銅、プロパノールスルホン酸銅などのアルカノールスルホン酸銅、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などの有機酸銅及びその塩などがあげられる。銅化合物は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0014】
また、めっき液15中での銅濃度としては、特に制限はないが硫酸銅五水塩の質量換算で、150〜300g/Lの範囲とすることが好ましい。
通常、電解めっきを行う場合、めっき液における銅濃度は80g〜100g/Lとすることが多い。しかしながら、表面抵抗が高いフィルムに電解めっきを行う場合、電子が広い面積に行き渡りにくいため、単位面積当りの電流密度が高くなり、通常用いられる範囲の銅イオン濃度では電子の供給に対して銅イオンの供給が追いつかず、フィルム表面で水素が発生して質の悪い銅めっき(いわゆる「焦げ」)が付着し、均一にムラなくめっき被膜を形成することが困難となる。そこで、めっき液の銅濃度を150g/L以上とすることで、この「焦げ」の発生を防止し、均一でムラのないめっき被膜形成することができる。
300g/Lを超えて使用しても効果がほとんど増大せず不経済であり、また、溶解に時間が掛かる等の問題がある。
【0015】
銅濃度の好ましい範囲は150〜250g/Lであり、より好ましい範囲は180〜220g/Lである。
また、めっき液15中の硫酸の濃度としては、30〜300g/Lが好ましく、40〜110g/Lがより好ましい。ただしめっき液に加える酸は、めっき液のpHを1以上4以下に調整することができれば、硫酸には限定されず、例えば硝酸、塩酸であってもよい。
【0016】
めっき液15のpHの調整は、例えば緩衝剤を添加することにより行うことができる。例えば硫酸銅めっき液の場合は、緩衝剤として硫酸ナトリウム、硫酸カリウム,硫酸アンモニウム,硝酸ナトリウムなどを適当量添加することにより、めっき液15のpHの調整を行うことができる。緩衝剤は2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
上記成分の他に、めっき液中に塩素イオンが存在することが好ましく、その濃度は20〜150mg/Lであることが好ましく、30〜100mg/Lがより好ましい。
【0018】
また、めっき液は硫黄化合物を含有していることが好ましい。めっき液中に硫黄化合物を含有させることにより、めっきされた銅が緻密になり、耐擦傷性、耐熱性などが良化する。
硫黄化合物としては、スルホアルキルスルホン酸およびその塩、ビススルホ有機化合物およびジチオカルバミン酸誘導体からなる群、チオ硫酸またはその塩から選ばれる化合物を用いることができる。なお、硫黄化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。硫黄化合物の濃度としては、0.02〜2000mg/Lが好ましく、0.1〜300mg/Lがより好ましい。
【0019】
また、めっき液は窒素化合物を含有していることが好ましい。めっき液中に窒素化合物を含有させることにより、めっき厚みの均一性が良化する。
窒素化合物としては、ポリアルキレンイミン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン塩、オーラミンおよびその誘導体、メチルバイオレットおよびその誘導体、クリスタルバイオレットおよびその誘導体、ヤノスブラックおよびその誘導体、ヤノスグリーンからなる群から選ばれる化合物を用いることができる。なお、窒素化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。窒素化合物の濃度としては、0.1〜1000mg/Lが好ましく、0.5〜150mg/Lがより好ましい。
【0020】
また、めっき液はポリマー成分を含有していることが好ましい。めっき液中にポリマー成分を含有させることにより、基板との密着性が良化する。
ポリマー成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、グリセリンエーテル、ジアルキルエーテルからなる群から選ばれる化合物を用いることができる。なお、ポリマー成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリマー成分の濃度としては、0.02〜5000mg/Lが好ましく、0.1〜1000mg/Lがより好ましい。
【0021】
めっき液15の撹拌方法としては、一般的に用いられているエアレーションや超音波撹拌などを用いればよく、特に限定されない。また、めっき液や水洗用の水の温度としては15〜40℃が好ましく、20〜30℃が特に好ましい。
【0022】
めっき浴11にめっき液15を貯留した後、フィルム16を繰り出しリール(図示せず)に巻かれた状態でセットして、フィルム16のめっきを形成すべき側の面が給電ローラ12a,12bと接触するように、フィルム16を搬送ローラ(図示せず)に巻き掛ける。
アノード板13および給電ローラ12a,12bに電圧を印加し、フィルム16を給電ローラ12a,12bに接触させながら搬送する。フィルム16をめっき浴11に導入し、めっき液15に浸せきして銅めっきを形成する。液切りローラ17間を通過する際に、フィルム16に付着しためっき液15拭い取り、めっき浴11に回収する。これを複数の電解めっき槽で繰り返し、最後に水洗した後、巻取りリール(図示せず)に巻き取る。
【0023】
フィルム16の搬送速度は、1m/分〜30m/分の範囲で設定されることが好ましい。フィルム16の搬送速度は、より好ましくは、1m/分〜10m/分の範囲であり、さらに好ましくは、2m/分〜5m/分の範囲である。
【0024】
電解めっき槽の数は、特に限定されないが、2槽〜24槽が好ましく、6槽〜18槽がより好ましい。
印加電圧は、1V〜100Vの範囲であることが好ましく、2V〜60Vの範囲であることがより好ましい。電解めっき槽が複数設置されている場合は、徐々に印加電圧を下げることが好ましい。また、第1槽目の入り口側の電流量としては、1A〜30Aが好ましく、2A〜10Aがより好ましい。
給電ローラ12a,12bはフィルム全面(接触している面積のうちの実質的に電気的に接触している部分が80%以上)と接触していることが好ましい。
【0025】
なお、給電ローラ12a,12bおよび給電ローラ12a,12bとめっき液15の液面との間のフィルムの近傍にシャワー等を設けて、給電ローラ12a,12bおよびフィルム16を冷却することが好ましい。
【0026】
なお、上記電解めっき槽においてめっき処理を行う前に、水洗および酸洗浄を行うことが好ましい。酸洗浄の際に用いる処理液には、硫酸等が含まれるものを用いることができる。
【0027】
上記のようにしてめっき処理を行うことにより、フィルム表面が銅からなる導電性金属被膜によりめっきされる。めっきされたフィルムをディスプレイの電磁波シールド膜の用途として用いる場合、この導電性金属被膜の厚さが薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。また、フィルムを導電性配線材料の用途として用いる場合にも、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、めっきされる導電性金属被膜の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
【0028】
以上説明したように、本発明に係るめっき処理方法は、めっき液のpHを1以上4以下に調整しているので、例えばフィルムに後述する銀塩乳剤層のようにゼラチンバインダーが用いられても、膜強度が悪化することがない。また、めっき処理の生産性、コストの問題も解決される。
本発明のめっき処理方法は、一般的ないかなる方法でもかまわないが、一例として示したような連続めっき方法が、高生産性等の観点から好ましい。
【0029】
なお、本発明のめっき処理方法に適用できるフィルムは、いずれのフィルムにも適用することができる。表面抵抗が高い(1〜1000Ω/□)のフィルムに対してもめっき処理可能であり、表面抵抗の好ましい範囲は5〜500Ω/□であり、より好ましい範囲は10〜100Ω/□である。
また、フィルムは銀のメッシュ状パターン(銀メッシュパターン)を有するフィルムであることが望ましく、フィルム上の銀メッシュパターンは連続している(電気的に途切れていない)ことが好ましい。一部でも繋がっていればよく、導電性パターンが途切れると第1槽目の電解メッキ槽でメッキがつかない部分ができたり、ムラになったりするおそれがある。この連続した銀メッシュパターン上に上記めっき処理を施すことで銀メッシュ上に導電性金属被膜が形成され、めっき処理後のフィルム(導電性膜)は、例えば絶縁体フィルム上に形成されるプリント配線基板、PDP用電磁波シールド膜等として有用である。
【0030】
銀メッシュは、いずれの方法により形成されたものでも構わないが、現像銀により形成されていることが望ましい。現像銀により形成された銀メッシュパターンを持つフィルムは、支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有する感光材料を露光、現像して形成されたものを用いることが好ましい。以下、この感光材料の構成、および、この感光材料を用いて現像銀により形成された銀メッシュパターンを持つフィルムの製造方法について説明する。
本発明は、前述のように、銀塩乳剤層を支持体上に有する写真乳剤にメッシュ状パターン露光と現像処理して得られる銀メッシュパターンに適用することが最も好ましい態様であり、銀メッシュパターンは本発明のメッキ処理によって凹凸がなくかつ堅牢な透光性電磁波シールド膜となる。したがって、以下に銀塩乳剤から透光性電磁波シールド膜を得る一連の工程のうち、メッキ処理以外について説明する。
【0031】
1.感光材料[乳剤層]
上記感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む乳剤層を有することが好ましい。支持体上に乳剤層を形成するには、公知の塗布技術を用いて行うことが可能である。また、乳剤層には、銀塩乳剤のほか、必要に応じて、染料、バインダー、溶媒等を含有することができる。以下、乳剤層を構成する各成分について説明する。(染料)
乳剤層には染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
【0032】
このほか、使用することができる染料としては、現像または定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料および同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物および特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
【0033】
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料およびアゾ染料が挙げられる。中でも、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料およびベンジリデン染料が有用である。水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
【0034】
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止などの効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
【0035】
(銀塩乳剤)
銀塩乳剤としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩および酢酸銀などの有機銀塩が挙げられ、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施形態に係る感光材料においても用いることができる。
【0036】
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
【0037】
なお、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
【0038】
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成される銀メッシュパターンの形状の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
【0039】
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0040】
乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P. Glafkides 著 Chimie etPhysique Photographique (Paul Montel 社刊、1967年)、G. F. Dufin 著Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V. L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion (The ForcalPress 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0041】
すなわち、上記ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号各公報に記載されている。
好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10−5〜10−2モルが好ましい。
【0042】
上記コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、好ましく用いることができる。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号広報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く銀を成長させることが好ましい。
乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
【0043】
ハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物などを含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどや、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾールなど)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。
また、高感度化のためにはK〔Fe(CN)〕やK〔Ru(CN)〕、K〔Cr(CN)〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
【0044】
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、KRhBr等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0045】
上記イリジウム化合物としては、KIrCl、KIrCl等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K〔Ru(CN)〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0046】
上記ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML−n(ここで、MはRu、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。)
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
〔RuCl−3、〔RuCl(HO)−1、〔RuCl(NO)〕−2、〔RuBr(NS)〕−2、〔Ru(CO)Cl−2、〔Ru(CO)Cl−2、〔Ru(CO)Br−2、〔OsCl−3、〔OsCl(NO)〕−2、〔Os(NO)(CN)−2、〔Os(NS)Br−2、〔Os(CN)−4、〔Os(O)(CN)−4
【0048】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10−10〜10−2モル/モルAgであることが好ましく、10−9〜10−3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
【0049】
その他、Pd(II)イオンおよび/またはPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀の表層に存在させることも好ましい。
【0050】
ハロゲン化銀に含まれるPdイオンおよび/またはPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10−4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdClや、NaPdCl等が挙げられる。
【0051】
さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等カルコゲン増感、金増感などの貴金属増感、還元増感等を用いることができる。これらは、単独または組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などの組み合わせが好ましい。
【0052】
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−2モルが好ましく、より好ましくは10−5〜10−3モルである。
【0053】
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0054】
上記テルル増感剤に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許US第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980)、ibid 1102(1979)、ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellunium Compounds)、Vol1(1986)、同Vol2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5−313284号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0055】
セレン増感剤およびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10−8〜10−2モル、好ましくは10−7〜10−3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0056】
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10−7〜10−2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0057】
また、銀塩乳剤に対して還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)293917に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明に用いられる感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0058】
(バインダー)
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーを用いることができる。バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0059】
乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。
【0060】
(溶媒)
乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であることが好ましく、50〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
【0061】
[支持体]
感光材料に用いられる支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0062】
めっき処理後の導電性膜をディスプレイ用電磁波シールド膜として用いる場合、当該電磁波シールド膜は透明性が要求されるため、支持体は高い透明性を有していることが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板等は、導電性膜の用途として問題ない程度に着色したものを用いることもできる。
【0063】
プラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとしたものを用いることも可能である。
プラスチックフィルムおよびプラスチック板の厚みは200μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm〜180μm、最も好ましくは50μm〜120μmである。
【0064】
支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、導電性膜をディスプレイ用電磁波シールド膜の用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
【0065】
[保護層]
感光材料には、乳剤層上にゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる保護層を設けていてもよい。保護層を設けることにより擦り傷防止や力学特性を改良することができる。しかし、保護層はめっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方(厚みが例えば0.2μm以下)が好ましい。上記保護層の塗布方法の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
【0066】
2.銀メッシュパターンを持つフィルムの製造
上記の感光材料を露光、現像処理、および必要に応じてその他の処理を施すことにより銀メッシュパターンを持つフィルムを製造することができる。以下、この各工程について説明する。
[露光]
露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0067】
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色および青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
【0068】
また、露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、レーザーとしては、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
【0069】
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbOのSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
【0070】
また、露光では格子状等にパターン状に露光することが好ましい。パターン状に露光する方法としては、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0071】
[現像処理]
現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
リス現像液としては、KODAK社製のD85などを用いることができる。
【0072】
また、現像液としてジヒドロキシベンゼン系現像主薬を用いることができる。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などが挙げられるが、特にハイドロキノンが好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類やp−アミノフェノール類が挙げられる。本発明の製造方法において用いる現像液としては、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と1−フェニル−3−ピラゾリドン類との組合せ;またはジヒドロキシベンゼン系現像主薬とp−アミノフェノール類との組合せが好ましく用いられる。
【0073】
補助現像主薬として用いられる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体と組み合わせられる現像主薬としては、具体的に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/Lの量で用いられるのが好ましく、0.23モル/L以上で使用するのがより好ましく、さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/Lの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/L、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/L、後者を0.06モル/L以下、さらに好ましくは0.03モル/L〜0.003モル/Lの量で用いるのが好ましい。
【0074】
現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて単に「現像液」という場合がある)には、通常用いられる添加剤(例えば、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。上記保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩が挙げられる。該亜硫酸塩は、0.20モル/L以上用いられることが好ましく、さらに好ましくは0.3モル/L以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/Lである。
【0075】
また、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。ここでアスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸、および、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)などを包含する。上記アスコルビン酸誘導体としては、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。上記アスコルビン酸誘導体の添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。上記保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0076】
上記以外に現像液に用いることのできる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤や、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。上記ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的に、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらベンゾイミダゾール系化合物の含有量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは、0.1〜2mmolである。
【0077】
さらに上記現像液中には、各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。上記無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。一方、上記有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
【0078】
これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10−4〜1×10−1モル、より好ましくは1×10−3〜1×10−2モルである。
【0079】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0080】
現像処理温度および時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がさらに好ましい。また、現像時間は5秒〜2分が好ましく、7秒〜1分30秒がさらに好ましい。
【0081】
現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0082】
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。
すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。定着液に用いられる定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどが挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
【0083】
上記界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルホン化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤などが挙げられる。また、上記定着液には、公知の消泡剤を添加してもよい。
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物などが挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
【0084】
定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩が挙げられる。上記硬膜剤として好ましい化合物は、水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バンなどが挙げられる。上記硬膜剤の好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットルであり、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
【0085】
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m以下が好ましく、500ml/m以下がさらに好ましく、300ml/m以下が特に好ましい。
【0086】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施すのが好ましい。水洗処理または安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、即ち定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号各公報などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴または安定化浴に防黴手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴または安定化浴からのオーバーフロー液の一部または全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
【0087】
また、水洗処理または安定化処理においては、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。また、水洗処理に続いて安定化処理においては、特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号の各公報に記載の化合物を含有した浴を、感光材料の最終浴として使用してもよい。この際、必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程または安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩など)等によって殺菌された水を使用することが好ましい。また、特開平4−39652号、特開平5−241309号公報記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。
水洗処理または安定化温度における浴温度および時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
【0088】
現像処理後の露光部における金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができる。
【0089】
現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
【0090】
なお、現像処理後の金属銀部には物理現像処理を行ってもよい。ここで物理現像とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現像は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルム、印刷版等の製造に利用されており、本実施形態においてはこれらに用いられる技術を適用することができる。
また、物理現像は、上記現像処理と同時に行っても現像処理後に別途行ってもよい。
【0091】
[酸化処理]
現像処理後の現像銀部に酸化処理を施してもよい。酸化処理を行うことにより、例えば、現像銀部以外の光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光および現像処理後、或いは物理現像またはめっき処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像またはめっき処理後のそれぞれで行ってもよい。
【0092】
さらに露光および現像処理後の現像銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっきまたは物理現像速度を促進させることができる。
【0093】
3.透光性電磁波シールド膜・光学フィルター
上記のように銀塩乳剤を含む感光材料に露光・現像処理することにより得られる銀メッシュパターンを有するフィルムに対して、上述の本発明のめっき処理方法を適用することにより、銀メッシュ上に導電性金属被膜によるめっきが施された透光性導電性膜が得られる。
この透光性導電性膜は、高い電磁波シールド性および透光性を有しているため、CRT、EL、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示グラットパネル、あるいはCCDに代表される撮像用半導体集積回路などに組み込んで、電磁波シールド膜として用いることができる。また、本発明に係る導電性金属膜の用途としては、上記表示装置等に限定されず、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞくための窓や筐体や、電波塔や高圧線等により電磁波障害を受ける恐れのある建造物の窓や自動車の窓等に設けることができる。
【0094】
本発明に係る透光性導電性膜は、銀メッシュが現像銀により形成されていることから細線パターンが精密であり、輝度を著しく損なわずに、その画質を維持または向上させることができるため、特にプラズマディスプレイパネル等の画像表示装置の前面に用いる透光性電磁波シールド膜として有用である。
【0095】
なお、透光性電磁波シールド膜の電磁波シールド能を低下させないために、導電性金属部にアースをとることが望ましい。このため、透光性電磁波シールド膜上にアースをとるための導通部を形成し、この導通部がディスプレイ本体のアース部に電気的に接触するようにすることが望ましい。導通部は、透光性電磁波シールド膜の周縁部に沿って金属銀部或いは導電性金属部の周りに設けられていることが好適である。
導通部はメッシュパターンにより形成されていてもよいし、パターニングされていない、例えば金属箔ベタにより形成されていてもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタのようにパターニングされていないことが好ましい。
【0096】
また、本発明に係る透光性導電性膜を透光性電磁波シールド膜として用いる場合、透光性導電性膜(透光性電磁波シールド膜)に、接着剤層、ガラス板、後述する保護フィルムや機能性フィルム等を貼付して光学フィルターの形態とすることが好ましい。以下、透光性導電性膜(透光性電磁波シールド膜)に設けることができる各層について説明する。
【0097】
<接着剤層>
透光性電磁波シールド膜に接着剤層を設ける位置は、導電性金属部が形成されている側の面でも良いし、導電性金属部が形成されている側とは反対の面でもよい。透光性電磁波シールド膜と他の層(ガラス板、保護フィルム、機能性フィルム等)との貼合部分に形成してもよい。接着剤層の厚さは、金属銀部(または導電性金属部)厚さ以上とすることが好ましく、例えば、10〜80μmの範囲とすることができ、20〜50μmとすることがより好ましい。
【0098】
接着剤層における接着剤の屈折率は1.40〜1.70であることが好ましい。屈折率を1.40〜1.70とすることにより、透光性電磁波シールド膜の支持体の屈折率と接着剤の屈折率との差を小さくし、可視光透過率が低下するのを防ぐことができる。
【0099】
また、接着剤は、加熱または加圧により流動する接着剤であることが好ましく、特に、200℃以下の加熱または1kgf/cm(98kPa)以上の加圧により流動性を示す接着剤であることが好ましい。
このような接着剤を用いることにより、透光性電磁波シールド膜を被着体であるディスプレイやプラスチック板に接着剤層を流動させて接着することができるので、ラミネートや加圧成形、特に加圧成形により、また曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。
このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。透光性電磁波シールド膜の用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
【0100】
上記のような加熱または加圧により流動する接着剤としては、主に以下に示す熱可塑性樹脂が代表的なものとしてあげられる。たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.456)などのポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
【0101】
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)なども使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。
一方、接着剤ポリマーの質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下するおそれがある。
【0102】
接着剤には、硬化剤(架橋剤)を含有させることができる。接着剤の硬化剤としてはトリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、エチルメチルイミダゾールなどを使うことができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0103】
硬化剤の添加量は、接着剤ポリマー100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部の範囲で選択するのがよい。この添加量が、0.1質量部未満であると硬化が不十分となり、50質量部を越えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。
【0104】
また、硬膜剤の他にも、接着剤には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。
透光性電磁波シールド膜上に接着剤層を形成するには、上記の接着剤ポリマー、硬化剤、その他添加剤等を含む接着剤層組成物を、導電性金属部の一部または全面を被覆するように塗布し、溶媒乾燥、加熱硬化することにより形成することができる。
【0105】
<保護フィルム>
本発明に係る透光性電磁波シールド膜には、保護フィルムを貼付することができる。保護フィルムは、透過性電磁波シールド膜の両面に有していてもよいし、片面のみ(例えば、導電性金属部上)に有していてもよい。
透光性電磁波シールド膜は後述するように、最表面の強化、反射防止性の付与、防汚性の付与等の効果を有する機能性フィルムをさらに貼合することが多いので、このような機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜上に設ける場合には、保護フィルムを剥離することが望ましい。そこで、保護フィルムは剥離可能なものであることが望ましい。
保護フィルムの剥離強度は、5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フィルムが剥離する恐れがあり、好ましくなく、また上限を超えると、剥離のために大きな力を要する上、剥離の際に、メッシュ状の金属箔が透明基材フィルム(もしくは接着剤層から)剥離する恐れがあり、やはり好ましくない。
【0106】
保護フィルムを構成するフィルムとしては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムを用いることが好ましい。また、保護フィルムの貼合面にコロナ放電処理を施しておくか、易接着層を積層しておくことが好ましい。
【0107】
<機能性フィルム>
透光性電磁波シールド膜をディスプレイ(特にプラズマディスプレイ)に用いる場合には、以下に説明する機能性を有する機能性フィルムを貼付することにより、各機能性を付与することが好ましい。機能性フィルムは粘着剤等を介して透光性電磁波シールド膜に貼付することができる。
(反射防止性・防眩性)
透光性電磁波シールド膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、または、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、またはその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
【0108】
上記のような機能性フィルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
【0109】
防眩性層としては、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する層から形成することができる。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを塗布、硬化することにより形成することが可能である。粒子の平均粒径は、1〜40μm程度が好ましい。
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型または光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値または表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
防眩性層を設けた場合の透光性電磁波シールド膜のヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
【0110】
(ハードコート性)
透光性電磁波シールド膜に耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層および/または防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性および/または防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
ハードコート性が付与された透光性電磁波シールド膜の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
【0111】
(帯電防止性)
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、透過性電磁波シールド膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
帯電防止性を有する機能性フィルムとしては、導電性の高いフィルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011Ω/□程度以下であれば良い。
導電性の高いフィルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成しても良い。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
【0112】
(防汚性)
透光性電磁波シールド膜が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0113】
(紫外線カット性)
透光性電磁波シールド膜には、後述する色素や透明基材の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、透明基材自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や透明基材上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射または吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散または溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
【0114】
なお、紫外線カット性を有する機能性フィルムは、可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。
また、機能性フィルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
【0115】
(ガスバリア性)
透光性電磁波シールド膜を常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用すると、水分により後述する色素が劣化したり、貼り合せに用いる接着剤中や貼合界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で接着剤が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、透光性電磁波シールド膜はガスバリア性を有していることが好ましい。
このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や接着剤層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フィルムの水蒸気透過度が10g/m・day以下、好ましくは5g/m・day以下であることが好適である。
【0116】
(その他の光学特性)
プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、透光性電磁波シールド膜を特にプラズマディスプレイに用いる場合は、赤外線遮蔽性(特に近赤外遮断性)を付与することが好ましい。
近赤外線カット性を有する機能性フィルムとしては、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下であるものが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0117】
また、透光性電磁波シールド膜をプラズマディスプレイに用いる場合、その透過色がニュートラルグレーまたはブルーグレーであることが好ましい。これは、プラズマディスプレイの発光特性およびコントラストを維持または向上させるためであり、また、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。
【0118】
さらに、カラープラズマディスプレイはその色再現性が不十分と言われており、特に、赤色表示の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示しており、比較的強い短波長側の発光ピークにより赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。そこで、機能性フィルムはその原因である蛍光体または放電ガスからの不要発光を選択的に低減させる機能を有することが好ましい。
【0119】
これら光学特性は、色素を用いることによって制御できる。つまり、近赤外線カットには近赤外線吸収剤を用い、また、不要発光の低減には不要発光を選択的に吸収する色素を用いて、所望の光学特性とすることができ、また、光学フィルターの色調も可視領域に適当な吸収のある色素を用いて好適なものとすることができる。
【0120】
色素としては、可視領域に所望の吸収波長を有する一般の染料または顔料や、近赤外線吸収剤として知られている化合物を用いることができ、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、イモニウム系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、ジチオール系化合物、ジイミニウム系化合物等の一般に市販もされている有機色素が挙げられる。
【0121】
プラズマディスプレイはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときは透光性電磁波シールド膜の温度も上がるため、色素は、例えば80℃程度で劣化しない耐熱性を有していることが好適である。
また、色素によっては耐光性に乏しいものもあるが、このような色素を用いることでプラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、前述のように機能性フィルムに紫外線吸収剤を含有させたり、紫外線を透過しない層を設けることによって、紫外線や可視光線による色素の劣化を防止することが好ましい。
熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルターの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下する場合がある。
また、透明基材を形成するための樹脂組成物や、塗布層を形成するための塗布組成物中に溶解または分散させるために、色素は溶媒への溶解性や分散性も高いことが好ましい。
【0122】
また、色素の濃度は、色素の吸収波長・吸収係数、透光性電磁波シールド膜に要求される透過特性・透過率、そして分散させる媒体または塗膜の種類・厚さから適宜設定することができる。
機能性フィルムに色素を含有させる場合、透明基材の内部に含有していてもよいし、基材表面に色素を含有する層をコーティングしてもよい。また、粘着剤層中に色素を含有させてもよい。また、異なる吸収波長を有する色素2種類以上を混合して一つの層中に含有させてもよいし、色素を含有する層を2層以上有していても良い。
【0123】
また、色素は金属との接触によっても劣化する場合があるため、このような色素を用いる場合、色素を含有する機能性フィルムは、色素を含有する層が透光性電磁波シールド膜上の導電性金属部と接触しないように配置することが更に好ましい。
【実施例】
【0124】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0125】
〔実施例1〕(ハロゲン化銀感光材料の作製)
水媒体中のAg60gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはKRhBrおよびKIrClを濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNaPdClを添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/mとなるようにポリエチレンテレフタレート(PET)からなる支持体上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/2とした。
PET支持体の厚さは80μm、幅30cmのものを用いた。幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行い、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0126】
(露光)
ハロゲン化銀感光材料の露光は特開2004−1244号公報の発明に記載のDMD(デジタル・ミラー・デバイス)を用いた露光ヘッドを25cm幅になるように並べ、感光材料の感光層上にレーザー光が結像するように露光ヘッドおよび露光ステージを湾曲させて配置し、感材送り出し機構および巻取り機構を取り付けた上、露光面のテンション制御および巻取り、送り出し機構の速度変動が露光部分の速度に影響しないようにバッファー作用を有する撓みを設けた連続露光装置にて行った。露光の波長は400nmで、ビーム形は12μmの略正方形、およびレーザー光源の出力は100μJであった。
露光のパターンは、線幅12μmの格子状のパターンが45度の角度になるようにし、ピッチが300μm間隔で幅24cm長さ10m連続するように行った。後述するめっき処理後の銅のパターンが12μm線幅300ミクロンピッチであることが確認された。
【0127】
(現像処理)・現像液1L処方(補充液も同組成)
ハイドロキノン 23 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
【0128】
・定着液1L処方(補充液も同組成)
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
【0129】
上記処理剤を用いて露光済みハロゲン化銀感光材料を、富士写真フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像31℃ 30秒、定着31℃ 23秒、水洗 流水(5L/min)の20秒処理で行った。
ランニング条件として、感材の処理量を100m/日で現像液の補充を500ml/m、定着液を640ml/mで3日間行った。現像液および定着液の補充液は、スタート時の現像液および定着液と同じ組成である。
以上のようにして透明フィルム上に銀メッシュパターンが格子状に作製されたフィルムを作製した。このフィルムの表面抵抗は、55.26Ω/□であった。
【0130】
(めっき処理)
上記処理により銀メッシュパターンが形成されたフィルムに対して、図1に示す電解メッキ槽10と実質的に同じ構成でめっき液15を満たしたメッキ浴11を6連構成とした電解メッキ装置を用い、めっき処理を行った。なお、フィルムの銀メッシュ面が下向きとなるように(銀メッシュ面が給電ローラと接するように)、電解めっき装置にとり付けた。
なお、給電ローラ12a,12bとして、鏡面仕上げしたステンレス製ローラ(10cmφ、長さ70cm)の表面に0.1mm厚の電気銅めっきを施したものを使用し、ガイドローラ14およびその他の搬送ローラとしては、銅めっきしていない5cmφ、長さ70cmのローラを使用した。また、ガイドローラ14の高さを調製することで、ライン速度が違っても一定の液中処理時間が確保されるようにした。
【0131】
また入り口側の給電ローラ12aとフィルムの銀メッシュ面とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離La)を10cmとした。出口側の給電ローラと感光材料の銀メッシュ部分が接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離Lb)を18cmとした。また、ライン搬送速度を2.2m/分とした。
【0132】
めっき処理におけるめっき処理液の組成、各浴の浸漬処理時間(液中時間)および各めっき浴の印加電圧は以下のとおりである。なお、処理液や水洗の温度は全て28℃であった。
・電解銅めっき液組成(補充液も同組成)
硫酸銅五水塩 200g
硫酸(97%) 40g
硫酸ナトリウム (表1に記載のpHとなる量を添加)
塩酸(35%) 0.07mL
ビス−(スルホプロピル)ジスルフィド (表1に記載)
ヤーヌスグリーンB*1 (表1に記載)
ポリエチレングリコール*2 (表1に記載)
(平均分子量4000)
純水を加えて 1L
(*1,*2 和光純薬工業社製)
【0133】
・めっき浴の処理時間および印加電圧
酸洗浄 30秒
水洗 1分
めっき1 30秒 電圧 45V
水洗 30秒
めっき2 30秒 電圧 45V
水洗 30秒
めっき3 30秒 電圧 45V
水洗 30秒
めっき4 30秒 電圧 22V
水洗 30秒
めっき5 30秒 電圧 22V
水洗 30秒
めっき6 30秒 電圧 22V
水洗 30秒
めっき7 30秒 電圧 10V
水洗 30秒
めっき8 30秒 電圧 10V
水洗 30秒
めっき9 30秒 電圧 10V
水洗 30秒
めっき10 30秒 電圧 7V
水洗 30秒
めっき11 30秒 電圧 7V
水洗 30秒
めっき12 30秒 電圧 7V
水洗 30秒
めっき13 30秒 電圧 5V
水洗 30秒
めっき14 30秒 電圧 5V
水洗 30秒
めっき15 30秒 電圧 5V
水洗 30秒
めっき16 30秒 電圧 3V
水洗 2分
防錆 20秒
水洗 1分
【0134】
(評価)
フィルム試料を10mずつ処理し、処理後のメッシュ面の表面抵抗を測定した。表面抵抗測定は、ダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて行い、先頭および末尾の各50cm部分を除く任意の場所50箇所を測定し平均を求めた。各フィルムの表面抵抗を表2に示す。
また、ウエット状態の膜強度の評価を以下のように行った。
試料を1分間水に浸してから、先端に直径1mmφのサファイヤを取り付けた針で、荷重を変えながら引っ掻いて、傷のつき方を○△×の3段階で評価した。具体的には、○の評価は「キズが殆ど見えない」であり、△の評価は「キズがついた範囲が30%未満」であり、×の評価は「30%以上の範囲にキズがついた」である。
○と△は許容範囲である。
また、目視によりめっきムラを評価した。めっきムラ評価の基準は以下の通りとした。
1 :ムラが殆ど見えない
2 :ムラが見える部分の面積が全体の15%未満
3 :ムラが見える部分の面積が全体の15%以上30%未満
4 :ムラが見える部分の面積が全体の30%以上80%未満
5 :80%以上の面積にムラが観察される
1〜3は許容範囲である。
結果を表2に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
[実施例2]
実施例1の感光材料の代わりに、同じPETフィルム上に銅スパッタして表面抵抗を50Ω/□に下げた試料を使用して同様の実験を行ったところ、試料番号105の条件で、表面抵抗が0.20となり、実施例1の態様(銀メッシュ)が好ましいことが分った。
【0138】
[実施例3]
実施例1において、24cm幅の代わりに67cm幅の試料を作製し、同様のめっき処理を行ったところ実施例1と同様な結果が得られた。
【0139】
[実施例4]
上記実施例1の試料107に対して、銅黒化処理液で処理して銅表面を黒化した。使用した黒化処理液は市販のブラックニッケルGT(株式会社荏原ユージライト社製)を用いた。
PET支持体の金属メッシュと反対の面側に、総厚みが28μmの保護フィルム(パナック工業(株)製、品番;HT−25)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせを行った。また、金属メッシュ側にも、ポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤層が積層された総厚みが65μmの保護フィルム((株)サンエー化研製、品名;サニテクトY−26F)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせを行った。
【0140】
次いで、PET支持体の金属メッシュと反対の面を貼り合わせ面にして、厚さ2.5mm、外形寸法950mm×550mmのガラス板を透明なアクリル系粘着材を介して貼り合わせた。
【0141】
次に、外縁部20mmを除いた内側の金属メッシュ上に、厚さ25μmのアクリル系透光性粘着材を介して、厚さ100μmPETフィルム、反射防止層、近赤外線吸収剤含有層からなる反射防止機能付近赤外線吸収フィルム(住友大阪セメント(株)製 商品名クリアラスAR/NIR)を貼り合わせた。なお、該アクリル系透光性粘着材層中には光学フィルターの透過特性を調整する調色色素(三井化学製 PS−Red−G、PS−Violet−RC)を含有させた。
さらに、ガラス板には、粘着材を介して反射防止フィルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック8201)を貼り合わせ、光学フィルターを作製した。
【0142】
得られた光学フィルターは、保護フィルムを有した電磁波シールドフィルムを用いて作成されたため、傷や金属メッシュの欠陥な極めて少ないものであった。また金属メッシュが黒色であってディスプレイ画像が金属色を帯びることがなく、また、実用上問題ない電磁波遮蔽能および近赤外線カット能(300〜800nmの透過率が15%以下)を有し、両面に有する反射防止層により視認性に優れていた。また、色素を含有させることによって、調色機能を付与できており、プラズマディスプレイ等の光学フィルターとして好適に使用できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明のめっき処理方法に好適に用いられる電解めっき槽の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0144】
10 電解めっき槽
12a,12b 給電ローラ
13 アノード板
15 めっき液
16 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム表面を電解銅めっきするめっき処理方法であって、めっき液のpHが1以上4以下であることを特徴とするめっき処理方法。
【請求項2】
前記フィルムの表面抵抗が1〜1000Ω/□であることを特徴とする請求項1に記載のめっき処理方法。
【請求項3】
前記フィルムが銀のメッシュ状パターンを有することを特徴とする請求項1または2に記載のめっき処理方法。
【請求項4】
前記銀のメッシュ状パターンが現像銀により形成されていることを特徴とする請求項3に記載のめっき処理方法。
【請求項5】
前記めっき液が、硫酸銅めっき液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき処理方法。
【請求項6】
前記めっき液が硫黄化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のめっき処理方法。
【請求項7】
前記めっき液が窒素化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のめっき処理方法。
【請求項8】
前記めっき液がポリマー成分を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のめっき処理方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のめっき処理方法を含む製造方法により製造された導電性膜。
【請求項10】
請求項9に記載の導電性膜からなる透光性電磁波シールド膜。
【請求項11】
請求項10に記載の透光性電磁波シールド膜と接着剤層とを備えた光学フィルター。
【請求項12】
剥離可能な保護フィルムを有することを特徴とする請求項11に記載の光学フィルター。
【請求項13】
赤外線遮蔽性、ハードコート性、反射防止性、妨眩性、静電気防止性、防汚性、紫外線カット性、およびガスバリア性からなる群から選択された1つ以上の機能を有する機能層を有することを特徴とする請求項11または12に記載の光学フィルター。
【請求項14】
赤外線遮蔽性を有することを特徴とする請求項11または12に記載の光学フィルター。

【図1】
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【公開番号】特開2007−84886(P2007−84886A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276311(P2005−276311)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】