説明

インバータ回路および表示装置

【課題】消費電力を抑えつつ、出力電圧のばらつきをなくすことの可能なインバータ回路、およびこのインバータ回路を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】5Tr2Cで構成されるインバータ回路において、容量素子C1がトランジスタTr5のソースに接続されるとともに、トランジスタTr4を介してトランジスタTr2のソースに接続されている。これにより、入力端子INに立下り電圧が入力され、トランジスタTr1,Tr3がオフしたときに、Vdd2が充電された容量素子C1によって、トランジスタTr2のゲートがVSS+Vth2以上の電圧にチャージされ、トランジスタTr2がオンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた表示装置に好適に適用可能なインバータ回路に関する。また、本発明は、上記インバータ回路を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、画素の発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL素子を用いた表示装置が開発され、商品化が進められている。有機EL素子は、液晶素子などと異なり自発光素子である。そのため、有機EL素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)では、有機EL素子に流れる電流値を制御することで、発色の階調が得られる。
【0003】
有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様、その駆動方式として単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は、構造が単純であるものの、大型かつ高精細の表示装置の実現が難しいなどの問題がある。そのため、現在では、アクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式は、画素ごとに配した発光素子に流れる電流を駆動トランジスタによって制御するものである。
【0004】
上記の駆動トランジスタでは、閾値電圧Vthや移動度μが経時的に変化したり、製造プロセスのばらつきによって閾値電圧Vthや移動度μが画素ごとに異なったりする場合がある。閾値電圧Vthや移動度μが画素ごとに異なる場合には、駆動トランジスタに流れる電流値が画素ごとにばらつくので、駆動トランジスタのゲートに同じ電圧を印加しても、有機EL素子の発光輝度がばらつき、画面の一様性(ユニフォーミティ)が損なわれる。そこで、閾値電圧Vthや移動度μの変動に対する補正機能を組み込んだ表示装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
閾値電圧Vthや移動度μの変動に対する補正は、画素ごとに配した画素回路によって行われる。この画素回路は、例えば、図19に示したように、有機EL素子111に流れる電流を制御する駆動トランジスタTr100と、信号線DTLの電圧を駆動トランジスタTr100に書き込む書き込みトランジスタTr200と、保持容量Csとによって構成されており、2Tr1Cの回路構成となっている。駆動トランジスタTr100および書き込みトランジスタTr200は、例えば、nチャネルMOS型の薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により形成されている。
【0006】
図18は、画素回路に印加される電圧波形の一例と、駆動トランジスタTr100のゲート電圧Vgおよびソース電圧Vsの変化の一例とを表したものである。図18(A)には信号線DTLに、信号電圧Vsigと、オフセット電圧Vofsが印加されている様子が示されている。図18(B)には書込線WSLに、書き込みトランジスタTr200をオンする電圧Vddと、書き込みトランジスタTr200をオフする電圧Vssが印加されている様子が示されている。図18(C)には電源線PSLに、ハイ電圧VccHと、ロー電圧VccLが印加されている様子が示されている。さらに、図18(D),(E)には、電源線PSL、信号線DTLおよび書込線WSLへの電圧印加に応じて、駆動トランジスタTr100のゲート電圧Vgおよびソース電圧Vsが時々刻々変化している様子が示されている。
【0007】
図18から、1H内に2回、WSパルスPが書込線WSLに印加されており、1回目のWSパルスPによって閾値補正が行われ、2回目のWSパルスPによって移動度補正と信号書き込みが行われていることがわかる。つまり、図18において、WSパルスPは、信号書込みだけでなく、駆動トランジスタTr100の閾値補正や移動度補正にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−083272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、アクティブマトリクス方式の表示装置では、信号線DTLを駆動する水平駆動回路(図示せず)や、各画素113を順次選択する書き込み走査回路(図示せず)は、いずれも基本的にシフトレジスタ(図示せず)を含んで構成されており、画素113の各列または各行に対応して、1段ごとにバッファ回路(図示せず)を備えている。例えば、書き込み走査回路内のバッファ回路は、典型的には、2つのインバータ回路を直列に接続して構成されている。ここで、インバータ回路は、例えば、図20に示したように、2つのnチャネルMOS型のトランジスタTr1,Tr2が直列接続された単チャネル型の回路構成となっている。図20に記載のインバータ回路200は、ハイレベルの電圧が印加される高電圧配線LHと、ローレベルの電圧が印加される低電圧配線LLとの間に挿入されている。高電圧配線LH側のトランジスタTr2のゲートが高電圧配線LHに接続されており、低電圧配線LL側のトランジスタTr1のゲートが入力端子INに接続されている。さらに、トランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点Cが出力端子OUTに接続されている。
【0010】
インバータ回路200では、例えば、図21に示したように、入力端子INの電圧VinがVssとなっている時、出力端子OUTの電圧VoutがVddとはならず、Vdd−Vthとなってしまう。つまり、出力端子OUTの電圧Voutには、トランジスタTr2の閾値電圧Vthが含まれており、出力端子OUTの電圧Voutは、トランジスタTr2の閾値電圧Vthのばらつきの影響を大きく受けてしまう。
【0011】
そこで、例えば、図22のインバータ回路300に示したように、トランジスタTr2のゲートとドレインとを互いに電気的に分離し、ドレインの電圧Vddよりも高い電圧Vdd2(≧Vdd+Vth)が印加される高電圧配線LH2にゲートを接続することが考えられる。また、例えば、図23のインバータ回路400に示したようなブートストラップ型の回路構成が考えられる。具体的には、トランジスタTr2のゲートと高電圧配線LHとの間にトランジスタTr12を挿入し、トランジスタTr10のゲートを高電圧配線LHに接続するとともに、トランジスタTr2のゲートとトランジスタTr10のソースとの接続点Dと、接続点Cとの間に容量素子C10を挿入した回路構成が考えられる。
【0012】
しかし、図20、図22、図23のいずれの回路においても、入力端子INの電圧Vinがハイとなっている時、つまり、出力端子OUTの電圧Voutがローとなっている時まで、トランジスタTr1,Tr2を介して、高電圧配線LH側から低電圧配線LL側に向かって電流(貫通電流)が流れてしまう。その結果、インバータ回路での消費電力も大きくなってしまう。また、図20、図22、図23の回路においては、例えば、図21(B)の破線で囲んだ箇所に示したように、入力端子INの電圧VinがVddとなっている時、出力端子OUTの電圧VoutがVssとはならず、出力端子OUTの電圧Voutの波高値がばらついてしまう。その結果、画素回路112内の駆動トランジスタTr100の閾値補正や移動度補正が画素回路112ごとにばらついてしまい、そのばらつきが輝度のばらつきとなってしまうという問題があった。
【0013】
なお、上述の問題は、表示装置の走査回路に限って生じるものではなく、他のデバイスにおいても同様に生じ得るものである。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、消費電力を抑えつつ、出力電圧の波高値を所望の値にすることの可能なインバータ回路、およびこのインバータ回路を備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1のインバータ回路は、互いに同一チャネル型の第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタと、第1容量素子と、入力端子および出力端子とを備えたものである。ここで、第1トランジスタは、入力端子の電圧(入力電圧)と第1電圧線の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて出力端子と第1電圧線との電気的な接続を継断するようになっている。第2トランジスタは、第4トランジスタのソースまたはドレインである第1端子の電圧と、出力端子の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて第2電圧線と前記出力端子との電気的な接続を継断するようになっている。第3トランジスタは、入力端子の電圧と第3電圧線の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて第1端子と第3電圧線との電気的な接続を継断するようになっている。第4トランジスタは、当該第4トランジスタのゲートに入力される第1制御信号に応じて第1容量素子と第2トランジスタのゲートとの電気的な接続を継断するようになっている。第5トランジスタは、当該第5トランジスタのゲートに入力される第2制御信号に応じて第1容量素子と第4電圧線との電気的な接続を継断するようになっている。第1容量素子は、第5トランジスタのソースおよびドレインのうち第4電圧線と未接続の端子と第5電圧線との間に挿入されている。
【0016】
本発明の第1の表示装置は、行状に配置された複数の走査線と、列状に配置された複数の信号線と、行列状に配置された複数の画素とを含む表示部を備えており、さらに、各画素を駆動する駆動部を備えている。駆動部は、走査線ごとに設けられた複数のインバータ回路を有しており、駆動部内の各インバータ回路は、上記の第1のインバータ回路と同一の構成要素を含んでいる。
【0017】
本発明の第1のインバータ回路および第1の表示装置では、第2トランジスタのゲートと第3電圧線との間には、入力電圧と第3電圧線の電圧との電位差に応じてオンオフ動作する第3トランジスタが設けられている。さらに、第2トランジスタのソースと第1電圧線との間には、入力電圧と第1電圧線の電圧との電位差に応じてオンオフ動作する第1トランジスタが設けられている。これにより、例えば、入力電圧が立ち下がる時に、第3トランジスタおよび第1トランジスタのそれぞれのオン抵抗が徐々に大きくなり、第2トランジスタのゲートおよびソースが第3電圧線および第1電圧線の電圧に充電されるのに要する時間が長くなる。さらに、例えば、入力電圧が立ち上がる時に、第3トランジスタおよび第1トランジスタのそれぞれのオン抵抗が徐々に小さくなり、第2トランジスタのゲートおよびソースが第3電圧線および第1電圧線の電圧に充電されるのに要する時間が短くなる。また、本発明では、例えば、入力電圧が立ち下がった時に、トランジスタTr2のゲートが、トランジスタTr2のオン電圧以上の電圧にチャージされる。これにより、例えば、入力端子に立下り電圧が入力されたときに、第3トランジスタおよび第1トランジスタがオフし、その直後に第2トランジスタがオンするので、出力電圧が第2電圧線側の電圧となる。また、例えば、入力電圧が立ち上がった時に、第3トランジスタおよび第1トランジスタがオンし、その直後に第2トランジスタがオフする。これにより、出力電圧が第1電圧線側の電圧となる。
【0018】
本発明の第2のインバータ回路は、互いに同一チャネル型の第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタと、第1容量素子と、入力端子および出力端子とを備えたものである。ここで、第1トランジスタのゲートは入力端子に電気的に接続され、第1トランジスタのドレインまたはソースは第1電圧線に電気的に接続され、第1トランジスタのドレインおよびソースのうち第1電圧線に未接続の端子は出力端子に電気的に接続されている。第2トランジスタのドレインまたはソースは第2電圧線に電気的に接続され、第2トランジスタのドレインおよびソースのうち第2電圧線に未接続の端子は出力端子に電気的に接続されている。第3トランジスタのゲートは入力端子に電気的に接続され、第3トランジスタのドレインまたはソースは第3電圧線に電気的に接続され、第3トランジスタのドレインおよびソースのうち第3電圧線に未接続の端子は第2トランジスタのゲートに電気的に接続されている。第4トランジスタのゲートには第1制御信号が供給される。第4トランジスタのドレインまたはソースは第2トランジスタのゲートに電気的に接続されている。第5トランジスタのゲートには第2制御信号が供給される。第5トランジスタのドレインまたはソースは第4電圧線に電気的に接続されている。第5トランジスタのドレインおよびソースのうち第4電圧線に未接続の端子は第4トランジスタのドレインおよびソースのうち第2トランジスタのゲートに未接続の端子に電気的に接続されている。第1容量素子は、第5トランジスタのソースおよびドレインのうち第4電圧線と未接続の端子と第5電圧線との間に挿入されている。
【0019】
本発明の第2の表示装置は、行状に配置された複数の走査線と、列状に配置された複数の信号線と、行列状に配置された複数の画素とを含む表示部を備えており、さらに、各画素を駆動する駆動部を備えている。駆動部は、走査線ごとに設けられた複数のインバータ回路を有しており、駆動部内の各インバータ回路は、上記の第2のインバータ回路と同一の構成要素を含んでいる。
【0020】
本発明の第2のインバータ回路および第2の表示装置では、第2トランジスタのゲートと第3電圧線との間には、ゲートが入力端子に接続された第3トランジスタが設けられている。さらに、第2トランジスタのソースと第1電圧線との間には、ゲートが入力端子に接続された第1トランジスタが設けられている。これにより、例えば、入力電圧が立ち下がる時に、第3トランジスタおよび第1トランジスタのそれぞれのオン抵抗が徐々に大きくなり、第2トランジスタのゲートおよびソースが第3電圧線および第1電圧線の電圧に充電されるのに要する時間が長くなる。さらに、例えば、入力電圧が立ち上がる時に、第3トランジスタおよび第1トランジスタのそれぞれのオン抵抗が徐々に小さくなり、第2トランジスタのゲートおよびソースが第3電圧線および第1電圧線の電圧に充電されるのに要する時間が短くなる。また、本発明では、例えば、入力電圧が立ち下がった時に、トランジスタTr2のゲートが、トランジスタTr2のオン電圧以上の電圧にチャージされる。これにより、例えば、入力端子に立下り電圧が入力されたときに、第3トランジスタおよび第1トランジスタがオフし、その直後に第2トランジスタがオンするので、出力電圧が第2電圧線側の電圧となる。また、例えば、入力電圧が立ち上がった時に、第3トランジスタおよび第1トランジスタがオンし、その直後に第2トランジスタがオフする。これにより、出力電圧が第1電圧線側の電圧となる。
【0021】
本発明の第1および第2のインバータ回路ならびに第1および第2の表示装置において、第2トランジスタのゲート−ソース間に第2容量素子が挿入されていてもよい。このようにした場合、第2容量素子の容量が、第1容量素子の容量よりも小さくなっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のインバータ回路および表示装置によれば、第1トランジスタおよび第2トランジスタが同時にオンしたり、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタが同時にオンしたりしている期間がないようにした。これにより、これらのトランジスタを介して、電圧線同士の間を流れる電流(貫通電流)はほとんど存在しないので、消費電力を抑えることができる。また、入力電圧が立ち下った時に出力電圧が第2電圧線側の電圧または第1電圧線側の電圧となり、入力電圧が立ち上がった時に出力電圧が上記とは逆側の電圧となるようにした。これにより、出力電圧の波高値が所望の値からずれてしまうのを低減することができる。その結果、例えば、画素回路内の駆動トランジスタの閾値補正や移動度補正の、画素回路ごとのばらつきを低減することができ、さらには画素ごとの輝度のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係るインバータ回路の一例を表す回路図である。
【図2】図1のインバータ回路の入出力信号波形の一例を表す波形図である。
【図3】図1のインバータ回路の動作の一例を表す波形図である。
【図4】図1のインバータ回路の動作の一例について説明するための回路図である。
【図5】図4に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図6】図5に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図7】図6に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図8】図7に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図9】図8に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図10】図9に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図11】図10に続く動作の一例について説明するための回路図である。
【図12】図1のインバータ回路の入出力信号波形の他の例を表す波形図である。
【図13】図1のインバータ回路の動作の他の例を表す波形図である。
【図14】図1のインバータ回路の一変形例を表す回路図である。
【図15】図14のインバータ回路の動作の一例を表す波形図である。
【図16】上記実施の形態およびその変形例のインバータ回路の適用例の一例である表示装置の概略構成図である。
【図17】図16の書込線駆動回路および画素回路の一例を表す回路図である。
【図18】図16の表示装置の動作の一例を表す波形図である。
【図19】従来の表示装置の画素回路の一例を表す回路図である。
【図20】従来のインバータ回路の一例を表す回路図である。
【図21】図20のインバータ回路の入出力信号波形の一例を表す波形図である。
【図22】従来のインバータ回路の他の例を表す回路図である。
【図23】従来のインバータ回路のその他の例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(図1〜図11)
2.変形例(図12〜図15)
3.適用例(図16〜図18)
4.従来技術の説明(図19〜図23)
【0025】
<実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るインバータ回路1の全体構成の一例を表したものである。インバータ回路1は、入力端子INに入力されたパルス信号の信号波形(例えば図2(A))をほぼ反転させたパルス信号(例えば図2(B))を出力端子OUTから出力するものである。インバータ回路1は、アモルファスシリコンやアモルファス酸化物半導体上に好適に形成されるものであり、例えば、互いに同一のチャネル型の5つのトランジスタTr1〜Tr5を備えたものである。インバータ回路1は、上記の5つのトランジスタTr1〜Tr5の他に、2つの容量素子C1,C2と、入力端子INおよび出力端子OUTとを備えており、5Tr2Cの回路構成となっている。
【0026】
トランジスタTr1が本発明の「第1トランジスタ」の一具体例に相当し、トランジスタTr2が本発明の「第2トランジスタ」の一具体例に相当し、トランジスタTr3が本発明の「第3トランジスタ」の一具体例に相当する。また、トランジスタTr4が本発明の「第4トランジスタ」の一具体例に相当し、トランジスタTr5が本発明の「第5トランジスタ」の一具体例に相当する。また、容量素子C1が本発明の「第1容量素子」の一具体例に相当し、容量素子C2が本発明の「第2容量素子」の一具体例に相当する。
【0027】
トランジスタTr1〜Tr5は、互いに同一チャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)であり、例えば、nチャネルMOS(金属酸化膜半導体: Metal Oxide Semiconductor)型の薄膜トランジスタ(TFT)である。トランジスタTr1は、例えば、入力端子INの電圧(入力電圧Vin)と低電圧線LLの電圧VLとの電位差Vgs1(またはそれに対応する電位差)に応じて、出力端子OUTと低電圧線LLとの電気的な接続を継断するようになっている。トランジスタTr1のゲートが入力端子INに電気的に接続されており、トランジスタTr1のソースまたはドレインが低電圧線LLに電気的に接続されており、トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち低電圧線LLに未接続の端子が出力端子OUTに電気的に接続されている。トランジスタTr2は、トランジスタTr3のソースまたはドレインのうち低電圧線LLに未接続の端子(端子A)の電圧Vs3と、出力端子OUTの電圧(出力電圧Vout)との電位差Vgs2(またはそれに対応する電位差)に応じて高電圧線LH1と出力端子OUTとの電気的な接続を継断するようになっている。トランジスタTr2のゲートがトランジスタTr3の端子Aに電気的に接続されている。トランジスタTr2のソースまたはドレインが出力端子OUTに電気的に接続されており、トランジスタTr2のソースおよびドレインのうち出力端子OUTに未接続の端子が高電圧線LH1に電気的に接続されている。
【0028】
トランジスタTr3は、入力電圧Vinと低電圧線LLの電圧VLとの電位差Vgs3(またはそれに対応する電位差)に応じてトランジスタTr2のゲートと低電圧線LLとの電気的な接続を継断するようになっている。トランジスタTr3のゲートが入力端子INに電気的に接続されている。トランジスタTr3のソースまたはドレインが低電圧線LLに電気的に接続されており、トランジスタTr3の端子AがトランジスタTr2のゲートに電気的に接続されている。つまり、トランジスタTr1,Tr3は互いの同一の電圧線(低電圧線LL)に接続されている。従って、トランジスタTr1の低電圧線LL側の端子と、トランジスタTr3の低電圧線LL側の端子とは、互いに同電位となっている。トランジスタTr4は、制御端子AZ1に入力される制御信号に応じて容量素子C1とトランジスタTr2のゲートとの電気的な接続を継断するようになっている。トランジスタTr4のゲートが制御端子AZ1に電気的に接続されている。トランジスタTr4のソースまたはドレインが容量素子C1に電気的に接続されており、トランジスタTr4のソースおよびドレインのうち容量素子C1に未接続の端子がトランジスタTr2のゲートに電気的に接続されている。トランジスタTr5は制御端子AZ2に入力される制御信号に応じて高電圧線LH2と容量素子C1との電気的な接続を継断するようになっている。トランジスタTr5のゲートが制御端子AZ2に電気的に接続されている。トランジスタTr5のソースまたはドレインが高電圧線LH2に電気的に接続されている。トランジスタTr5のソースおよびドレインのうち高電圧線LH2に未接続の端子が容量素子C1に電気的に接続されている。
【0029】
低電圧線LLが本発明の「第1電圧線」、「第3電圧線」の一具体例に相当する。高電圧線LH1が本発明の「第2電圧線」の一具体例に相当し、高電圧線LH2が本発明の「第4電圧線」の一具体例に相当する。
【0030】
高電圧線LH1,LH2は、低電圧線LLの電圧VLよりも高電圧(一定電圧)を出力する電源(図示せず)に接続されている。高電圧線LH1の電圧は、インバータ回路1の駆動時にVdd1となっており、高電圧線LH2の電圧VH2は、インバータ回路1の駆動時にVdd2(≧Vdd1+Vth2)となっている。なお、電圧Vth2は、トランジスタTr2の閾値電圧である。一方、低電圧線LLは、高電圧線LH1の電圧VH1よりも低電圧(一定電圧)を出力する電源(図示せず)に接続されており、低電圧線LLの電圧VLは、インバータ回路1の駆動時に電圧Vss(<Vdd1)となっている。
【0031】
制御端子AZ1は、所定のパルス信号を出力する電源S1(図示せず)に接続されている。制御端子AZ2は、所定のパルス信号を出力する電源S2(図示せず)に接続されている。電源S1は、例えば、図2(C)に示したように、制御端子AZ2にローが印加されている間に、ハイを出力するようになっている。一方、電源S2は、例えば、図2(B)に示したように、制御端子AZ1にローが印加されている間に、ハイを出力するようになっている。つまり、電源S1および電源S2は、トランジスタTr4,Tr5が同時にオン状態とならないように、交互にハイを出力する(つまり、トランジスタTr4,Tr5を交互にオンオフする)ようになっている。電源S1は、入力電圧Vinが立ち下がるタイミングとは異なるタイミングで、電源S1の出力電圧がローからハイに変移する(つまり、トランジスタTr4をオンする)ようになっている。電源S1は、例えば、入力電圧Vinが立ち下がる直前に電源S1の出力電圧がローからハイに変移するようになっている。
【0032】
容量素子C1は、トランジスタTr5のソースおよびドレインのうち高電圧線LH2に未接続の端子と低電圧線LLとの間に挿入されている。容量素子C2は、トランジスタTr2のゲートとトランジスタTr2のソースの間に挿入されている。容量素子C1,C2のそれぞれの容量は、トランジスタTr1〜Tr5の寄生容量よりも十分に大きな値となっている。容量素子C2の容量は、容量素子C1の容量よりも小さな値となっている。容量素子C1の容量は、入力端子INに立下り電圧が入力され、トランジスタTr3がオフしたときに、トランジスタTr2のゲートをVSS+Vth2以上の電圧にチャージすることの可能な値となっている。なお、Vth2は、トランジスタTr2の閾値電圧である。容量素子C1,C2のそれぞれの容量は、以下の数1を満たしていることが好ましい。容量素子C1,C2が出力端子OUTと低電圧線LLとの間に生じる寄生容量Cout(図示せず)よりも十分に小さな値であるとすると、容量素子C1,C2が数1を満たすならば、後述する入力電圧Vinが立ち下がった時、トランジスタTr4がオン状態でトランジスタTr2のゲート−ソース間電圧をトランジスタTr2の閾値電圧Vth2以上とすることができ、出力電圧Voutがローからハイに変移することができる。
(数1)
1(Vdd2−Vss)/(C1+C2)>Vth2
【0033】
ところで、インバータ回路1は、従来のインバータ回路(図20のインバータ回路200)との関係では、出力段のトランジスタTr1,Tr2と入力端子INとの間に、制御素子10および容量素子C2を挿入したものに相当する。ここで、制御素子10は、例えば、図1に示したように、入力端子INに電気的に接続された端子P1、低電圧線LLに電気的に接続された端子P2、トランジスタTr2のゲートに電気的に接続された端子P3、および高電圧線LH2に電気的に接続された端子P4を有している。制御素子10は、さらに、例えば、図1に示したように、トランジスタTr3〜Tr5、および容量素子C1を含んで構成されている。
【0034】
制御素子10は、例えば、端子P1に立下り電圧が入力されたときに、端子P3に電気的に接続されたトランジスタTr2のゲートを、VSS+Vth2以上の電圧にチャージするようになっている。また、制御素子10は、例えば、端子P1に立上り電圧が入力されたときに、端子P3に電気的に接続されたトランジスタTr2のゲート電圧Vg2を、VSS+Vth2未満の電圧にするようになっている。なお、制御素子10の動作説明は、下記のインバータ回路1の動作説明と併せて行うものとする。
【0035】
[動作]
次に、図3〜11を参照しつつ、インバータ回路1の動作の一例について説明する。図3は、インバータ回路1の動作の一例を表す波形図である。図4〜図11は、インバータ回路1の一連の動作の一例を表す回路図である。
【0036】
まず、図4に示したように、入力電圧Vinがロー(Vss)となっており、トランジスタTr5がオンしており、トランジスタTr4がオフしているとする。このとき、トランジスタTr1,Tr3はオフしており、容量素子C1にはVdd2が充電されており、トランジスタTr5のソース電圧Vs5がVdd2となっている。さらに、トランジスタTr2のゲート電圧Vg2もVdd2となっており、トランジスタTr2がオンしている。従って、このときは、出力端子OUTには、出力電圧VoutとしてVdd1が出力されている。
【0037】
次に、図5に示したように、入力電圧Vinがロー(Vss)となっている状態で、トランジスタTr5がオフしたのちトランジスタTr4がオンする。つまり、入力電圧Vinがロー(Vss)からハイ(Vdd1)に変化する前に、トランジスタTr4がオンする。トランジスタTr2のゲート電圧Vg2は、トランジスタTr4がオンする前からVdd2となっている。そのため、トランジスタTr4がオフからオンに変化しても、トランジスタTr2はオン状態を維持しており、出力電圧VoutについてもVdd1が維持されている。
【0038】
次に、入力電圧Vinがロー(Vss)となっている状態で、トランジスタTr4がオフしたのちトランジスタTr5がオンする。同様にして、トランジスタTr4,Tr5がオン、オフを繰り返したのち、トランジスタTr4がオンしている時(トランジスタTr5がオフしている時)に、入力電圧Vinがロー(Vss)からハイ(Vdd1)に変化する(図6)。すると、トランジスタTr1,Tr3がオンし、トランジスタTr2のゲートおよびソースが低電圧線LLの電圧VL(=Vss)に充電される。これにより、トランジスタTr2がオフし、出力端子OUTには、出力電圧VoutとしてVssが出力される。また、トランジスタTr4がオンすると、Vdd2が充電された容量素子C1がトランジスタTr4を介して低電圧線LLに接続される。これにより、容量素子C1のトランジスタTr5側の端子(端子B)の電圧がVdd2から徐々に低下し、最終的にVssとなる。
【0039】
その後、入力電圧Vinがハイ(Vdd1)となっている状態で、トランジスタTr4がオフしたのちトランジスタTr5がオンする。同様にして、トランジスタTr4,Tr5がオン、オフを繰り返したのち、トランジスタTr4がオンしている時(トランジスタTr5がオフしている時)に、入力電圧Vinがハイ(Vdd1)からロー(Vss)に変化する。すると、トランジスタTr1,Tr3がオフする。
【0040】
ここで、トランジスタTr4がオンすると、容量素子C1の電圧(端子Bの電圧)は、上述したように、Vdd2から徐々に低下することとなる(図7)。なお、図7中のVxは、入力電圧Vinがハイ(Vdd1)からロー(Vss)に変化する直前の容量素子C1の電圧(端子Bの電圧)である。その後、トランジスタTr4がオンした後に、入力電圧Vinがハイ(Vdd1)からロー(Vss)に変化してトランジスタTr3がオフする(図8)。この時、容量素子C1がトランジスタTr2のゲートにトランジスタTr4を介して接続されるので、容量素子C1がトランジスタTr2のゲートをチャージする。その結果、容量素子C1の電圧およびトランジスタTr2のゲート電圧Vg2はそれぞれ、Vyという電圧となる。
【0041】
このとき、Vyが、低電圧線LLの電圧(=Vss)と、トランジスタTr2の閾値電圧Vth2との和(Vss+Vth2)以上の値となっている場合は、トランジスタTr2がオンし、トランジスタTr2に電流が流れ、出力電圧Voutが徐々に増加してゆく(図8)。一定期間経過後、出力電圧Voutは、VZという電圧となる。トランジスタTr2のゲート−ソース間には、容量素子C2が接続されている。そのため、容量素子C2によるブートストラップ動作により、トランジスタTr2のソース電圧Vs2の変化に連動してトランジスタTr2のゲート電圧Vg2も変化しようとする。しかし、トランジスタTr4がオンしており、トランジスタTr2に容量素子C1が接続されているので、トランジスタTr2のゲート電圧Vg2はほぼVyとなる。
【0042】
ここで、Vyという電圧について考える。トランジスタTr1〜Tr5の寄生容量が容量素子C1,C2と比べて無視できるくらい小さく、さらに、出力端子OUTの寄生容量Cout(図9参照)が容量素子C2と比べて非常に大きいとする。このとき、VyはVxを用いて式(1)のように表される。
y=C1(Vx−Vss)/(C1+C2)+Vss…(1)
【0043】
式(1)から、Vyは容量素子C1,C2の容量によって決定され、容量素子C1の容量が大きければVyはほぼVxとなることがわかる。
【0044】
入力電圧Vinがハイ(Vdd1)からロー(Vss)に変化したのち、トランジスタTr4がオフする。このとき、トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgs2がトランジスタTr2の閾値電圧Vth2以上となっていれば(Vy−VZ>Vth2)、トランジスタTr2がオンし、トランジスタTr2のソース電圧Vs2が上昇を続ける(図10)。トランジスタTr2のソース電圧Vs2が上昇する際に、トランジスタTr4はオフしており、トランジスタTr2のゲートと容量素子C1とが互いに分離されている。そのため、トランジスタTr2のゲート電圧Vg2は、容量素子C2によるブートストラップ動作により、トランジスタTr2のソース電圧Vs2の変化に連動して変化する。一定時間経過後、出力端子OUTには、出力電圧VoutとしてVdd1という電圧が出力される。トランジスタTr4がオフしたのち、トランジスタTr5が再びオンする。これにより、容量素子C1がVdd2という値にチャージされる
【0045】
トランジスタTr5がオフしたのち、トランジスタTr4が再びオンする(図11)。これにより、再び容量結合が発生し、容量素子C1がトランジスタTr2のゲートをチャージする。その結果、容量素子C1およびトランジスタTr2のゲートの電圧はそれぞれ、同一の電圧となる。このときのトランジスタTr2のゲート電圧Vg2をVaとする。トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgs2は、Va−Vdd1となり、トランジスタTr4がオフする。これらの動作を繰り返すことにより、トランジスタTr2のゲート電圧Vg2は、Vdd2となる。これにより、出力端子OUTには、出力電圧VoutとしてVdd1が出力される。
【0046】
以上のようにして、本実施の形態のインバータ回路1では、入力端子INに入力されたパルス信号の信号波形(例えば図2(A))をほぼ反転させたパルス信号(例えば図2(B))が出力端子OUTから出力される。
【0047】
[効果]
ところで、例えば、図20に示したような従来のインバータ回路200は、2つのnチャネルMOS型のトランジスタTr1,Tr2が直列接続された単チャネル型の回路構成となっている。インバータ回路200では、例えば、図21に示したように、入力電圧VinがVssとなっている時、出力電圧VoutがVddとはならず、Vdd−Vth2となってしまう。つまり、出力電圧Voutには、トランジスタTr2の閾値電圧Vth2が含まれており、出力電圧Voutは、トランジスタTr2の閾値電圧Vthのばらつきの影響を大きく受けてしまう。
【0048】
そこで、例えば、図22のインバータ回路300に示したように、トランジスタTr2のゲートとドレインとを互いに電気的に分離し、ドレインの電圧Vddよりも高い電圧Vdd2(=Vdd+Vth2)が印加される高電圧配線LH2にゲートを接続することが考えられる。また、例えば、図23のインバータ回路400に示したようなブートストラップ型の回路構成が考えられる。
【0049】
しかし、図20、図22、図23のいずれの回路においても、入力電圧Vinがハイとなっている時、つまり、出力電圧Voutがローとなっている時まで、トランジスタTr1,Tr2を介して、高電圧配線LH側から低電圧配線LL側に向かって電流(貫通電流)が流れてしまう。その結果、インバータ回路での消費電力も大きくなってしまう。また、図20、図22、図23の回路においては、例えば、図21(B)の破線で囲んだ箇所に示したように、入力電圧VinがVddとなっている時、出力電圧VoutがVssとはならず、出力電圧Voutの波高値がばらついてしまう。そのため、例えば、これらのインバータ回路を、アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置におけるスキャナに用いた場合には、画素回路内の駆動トランジスタの閾値補正や移動度補正が画素回路ごとにばらついてしまい、そのばらつきが輝度のばらつきとなってしまうという。
【0050】
一方、本実施の形態のインバータ回路1では、トランジスタTr2のゲートと低電圧線LLとの間、トランジスタTr2のソースと低電圧線LLとの間には、入力電圧Vinと低電圧線LLの電圧VLとの電位差に応じてオンオフ動作するトランジスタTr1,Tr3が設けられている。これにより、トランジスタTr1,Tr3のそれぞれのゲート電圧がハイ(Vdd1)からロー(Vss)に変移(低下)する時に、トランジスタTr1,Tr3のそれぞれのオン抵抗が徐々に大きくなり、トランジスタTr2のゲートおよびソースが低電圧線LLの電圧VLに充電されるのに要する時間が長くなる。さらに、トランジスタTr1,Tr3のそれぞれのゲート電圧がロー(Vss)からハイ(Vdd1)に変移(上昇)する時に、トランジスタTr1,Tr3のそれぞれのオン抵抗が徐々に小さくなり、トランジスタTr2のゲートおよびソースが低電圧線LLの電圧VLに充電されるのに要する時間が短くなる。また、本実施の形態のインバータ回路1では、容量素子C1がトランジスタTr5のソースに接続されるとともに、トランジスタTr4を介してトランジスタTr2のゲートに接続されている。これにより、入力端子INに立下り電圧が入力され、トランジスタTr1,Tr3がオフしたときに、Vdd2が充電された容量素子C1によって、トランジスタTr2のゲートがVSS+Vth2以上の電圧にチャージされる。その結果、トランジスタTr2がオンし、出力電圧Voutが高電圧線LH1側の電圧(Vdd1)となる。
【0051】
このように、本実施の形態のインバータ回路1では、トランジスタTr1とトランジスタTr2とが同時にオンしている期間や、トランジスタTr3〜Tr5が同時にオンしている期間がないようにした。これにより、トランジスタTr1,Tr2を介したり、トランジスタTr3〜Tr5を介したりして、高電圧線VH1と低電圧線LLとの間、高電圧線VH2と低電圧線LLとの間を流れる電流(貫通電流)はほとんど存在しない。その結果、消費電力を抑えることができる。また、入力電圧Vinがハイ(Vdd1)からロー(Vss)に変移(低下)したときに出力電圧Voutが高電圧線VH1側の電圧となり、入力電圧Vinがロー(Vss)からハイ(Vdd1)に変移(上昇)したときに出力電圧Voutが低電圧線LL側の電圧となるようにした。これにより、出力電圧Voutのばらつきをなくすことができる。その結果、例えば、画素回路内の駆動トランジスタの閾値補正や移動度補正の、画素回路ごとのばらつきを低減することができ、さらには画素ごとの輝度のばらつきを低減することができる。
【0052】
<変形例>
上記実施の形態において、例えば、図12、図13に示したように、入力端子INに立下り電圧が入力される時に、トランジスタTr4をオフしておき、入力端子INに立下り電圧が入力された後に、トランジスタTr4をオンするようにしてもよい。このようにした場合には、容量素子C1の電圧(トランジスタTr5のソース電圧)がトランジスタTr3によってVdd2から低下することを防ぐことができる。その結果、インバータ回路1を高速に動作させることが可能となる。
【0053】
また、上記実施の形態およびその変形例において、例えば、図14に示したように、インバータ回路1において、容量素子C2を削除することも可能である。そのようにした場合には、上述の式(1)に示したゲート電圧VyをほぼVxにすることができる(図15(E)参照)。これにより、インバータ回路1をより高速に動作させることができる。
【0054】
また、上記実施の形態およびその変形例では、トランジスタTr1〜Tr5が、nチャネルMOS型のTFTにより形成されていたが、例えば、pチャネルMOS型のTFTにより形成されていてもよい。ただし、この場合には、トランジスタTr1〜Tr5がローからハイに変移(上昇)する時の過渡応答と、トランジスタTr1〜Tr7がハイからローに変移(下降)する時の過渡応答とが互いに逆となる。さらに、高電圧線VH1が低電圧線LL1に置き換えられ、高電圧線VH2が低電圧線LL2に置き換えられ、低電圧線LLが高電圧線VHに置き換えられる。
【0055】
なお、この場合に、低電圧線LL1,LL2は、高電圧線VHの電圧よりも低電圧(一定電圧)を出力する電源(図示せず)に接続されている。低電圧線LL1の電圧は、インバータ回路の駆動時にVss1となっており、低電圧線LL2の電圧は、インバータ回路の駆動時にVss2(≦Vss1−Vth2)となっている。一方、高電圧線VHは、低電圧線LL1,LL2の電圧よりも高電圧(一定電圧)を出力する電源(図示せず)に接続されており、高電圧線VHの電圧は、インバータ回路の駆動時に電圧Vdd(>Vss1)となっている。
【0056】
<適用例>
図16は、上記各実施の形態およびそれらの変形例に係るインバータ回路1の適用例の一例である表示装置100の全体構成の一例を表したものである。この表示装置100は、例えば、表示パネル110(表示部)と、駆動回路120(駆動部)とを備えている。
【0057】
(表示パネル110)
表示パネル110は、発光色の互いに異なる3種類の有機EL素子111R,111G,111Bが2次元配置された表示領域110Aを有している。表示領域110Aとは、有機EL素子111R,111G,111Bから発せられる光を利用して映像を表示する領域である。有機EL素子111Rは赤色光を発する有機EL素子であり、有機EL素子111Gは緑色光を発する有機EL素子であり、有機EL素子111Bは青色光を発する有機EL素子である。なお、以下では、有機EL素子111R,111G,111Bの総称として有機EL素子111を適宜、用いるものとする。
【0058】
(表示領域110A)
図17は、表示領域10A内の回路構成の一例を、後述の書込線駆動回路124の一例と共に表したものである。表示領域110A内には、複数の画素回路112が個々の有機EL素子111と対となって2次元配置されている。なお、本適用例では、一対の有機EL素子111および画素回路112が1つの画素113を構成している。より詳細には、図12に示したように、一対の有機EL素子111Rおよび画素回路112が1つの赤色用の画素113Rを構成し、一対の有機EL素子111Gおよび画素回路112が1つの緑色用の画素113Gを構成し、一対の有機EL素子111Bおよび画素回路112が1つの青色用の画素113Bを構成している。さらに、互いに隣り合う3つの画素113R,113G,113Bが1つの表示画素114を構成している。
【0059】
各画素回路112は、例えば、有機EL素子111に流れる電流を制御する駆動トランジスタTr100と、信号線DTLの電圧を駆動トランジスタTr100に書き込む書き込みトランジスタTr200と、保持容量Csとによって構成されたものであり、2Tr1Cの回路構成となっている。駆動トランジスタTr100および書き込みトランジスタTr200は、例えば、nチャネルMOS型の薄膜トランジスタ(TFT)により形成されている。駆動トランジスタTr100または書き込みトランジスタTr200は、例えば、pチャネルMOS型のTFTであってもよい。
【0060】
表示領域110Aにおいて、複数の書込線WSL(走査線)が行状に配置され、複数の信号線DTLが列状に配置されている。表示領域110Aには、さらに、複数の電源線PSL(電源電圧の供給される部材)が書込線WSLに沿って行状に配置されている。各信号線DTLと各書込線WSLとの交差点近傍には、有機EL素子111が1つずつ設けられている。各信号線DTLは、後述の信号線駆動回路123の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr200のドレイン電極およびソース電極のいずれか一方(図示せず)に接続されている。各書込線WSLは、後述の書込線駆動回路124の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr200のゲート電極(図示せず)に接続されている。各電源線PSLは、後述の電源線駆動回路125の出力端(図示せず)と、駆動トランジスタTr100のドレイン電極およびソース電極のいずれか一方(図示せず)に接続されている。書き込みトランジスタTr200のドレイン電極およびソース電極のうち信号線DTLに未接続の方(図示せず)は、駆動トランジスタTr100のゲート電極(図示せず)と、保持容量Csの一端に接続されている。駆動トランジスタTr100のドレイン電極およびソース電極のうち電源線PSLに未接続の方(図示せず)と保持容量Csの他端とが、有機EL素子111のアノード電極(図示せず)に接続されている。有機EL素子111のカソード電極(図示せず)は、例えば、グラウンド線GNDに接続されている。
【0061】
(駆動回路120)
次に、駆動回路120内の各回路について、図16、図17を参照して説明する。駆動回路120は、タイミング生成回路121、映像信号処理回路122、信号線駆動回路123、書込線駆動回路124、および電源線駆動回路125を有している。
【0062】
タイミング生成回路121は、映像信号処理回路122、信号線駆動回路123、書込線駆動回路124、および電源線駆動回路125が連動して動作するように制御するものである。タイミング生成回路121は、例えば、外部から入力された同期信号120Bに応じて(同期して)、上述した各回路に対して制御信号121Aを出力するようになっている。
【0063】
映像信号処理回路122は、外部から入力された映像信号120Aに対して所定の補正を行うと共に、補正した後の映像信号122Aを信号線駆動回路123に出力するようになっている。所定の補正としては、例えば、ガンマ補正や、オーバードライブ補正などが挙げられる。
【0064】
信号線駆動回路123は、制御信号121Aの入力に応じて(同期して)、映像信号処理回路122から入力された映像信号122A(信号電圧Vsig)を各信号線DTLに印加して、選択対象の画素113に書き込むものである。なお、書き込みとは、駆動トランジスタTr1のゲートに所定の電圧を印加することを指している。
【0065】
信号線駆動回路123は、例えばシフトレジスタ(図示せず)を含んで構成されており、画素113の各列に対応して、1段ごとにバッファ回路(図示せず)を備えている。この信号線駆動回路123は、制御信号121Aの入力に応じて(同期して)、各信号線DTLに対して、2種類の電圧(Vofs、Vsig)を出力可能となっている。具体的には、信号線駆動回路123は、各画素113に接続された信号線DTLを介して、書込線駆動回路124により選択された画素113へ2種類の電圧(Vofs、Vsig)を順番に供給するようになっている。
【0066】
ここで、オフセット電圧Vofsは、信号電圧Vsigの値に依らず一定電圧値となっている。また、信号電圧Vsigは、映像信号122Aに対応する電圧値となっている。信号電圧Vsigの最小電圧はオフセット電圧Vofsよりも低い電圧値となっており、信号電圧Vsigの最大電圧はオフセット電圧Vofsよりも高い電圧値となっている。
【0067】
書込線駆動回路124は、例えばシフトレジスタ(図示せず)を含んで構成されており、画素113の各行に対応して、1段ごとにバッファ回路5を備えている。バッファ回路5は、上述したインバータ回路1を複数含んで構成されたものであり、入力端に入力されたパルス信号の位相とほぼ同一位相のパルス信号を出力端から出力するものである。書込線駆動回路124は、制御信号121Aの入力に応じて(同期して)、各書込線WSLに対して、2種類の電圧(Vdd1、Vss)を出力可能となっている。具体的には、書込線駆動回路124は、各画素113に接続された書込線WSLを介して、駆動対象の画素113へ2種類の電圧(Vdd1、Vss)を供給し、書き込みトランジスタTr200を制御するようになっている。
【0068】
ここで、電圧Vdd1は、書き込みトランジスタTr200のオン電圧以上の値となっている。Vdd1は、後述の消光時や閾値補正時に、書込線駆動回路124から出力される電圧値である。Vssは、書き込みトランジスタTr200のオン電圧よりも低い値となっており、かつ、Vdd1よりも低い値となっている。
【0069】
電源線駆動回路125は、例えばシフトレジスタ(図示せず)を含んで構成されており、例えば、画素113の各行に対応して、1段ごとにバッファ回路(図示せず)を備えている。この電源線駆動回路125は、制御信号121Aの入力に応じて(同期して)、2種類の電圧(VccH、VccL)を出力可能となっている。具体的には、電源線駆動回路125は、各画素113に接続された電源線PSLを介して、駆動対象の画素113へ2種類の電圧(VccH、VccL)を供給し、有機EL素子111の発光および消光を制御するようになっている。
【0070】
ここで、電圧VccLは、有機EL素子111の閾値電圧Velと、有機EL素子111のカソードの電圧Vcaとを足し合わせた電圧(Vel+Vca)よりも低い電圧値である。また、電圧VccHは、電圧(Vel+Vca)以上の電圧値である。
【0071】
次に、本適用例の表示装置100の動作(消光から発光までの動作)の一例について説明する。本適用例では、駆動トランジスタTr100の閾値電圧Vthや移動度μが経時変化したりしても、それらの影響を受けることなく、有機EL素子111の発光輝度を一定に保つようにするために、閾値電圧Vthや移動度μの変動に対する補正動作が組み込まれている。
【0072】
図18は、画素回路112に印加される電圧波形の一例と、駆動トランジスタTr100のゲート電圧Vgおよびソース電圧Vsの変化の一例とを表したものである。図18(A)には信号線DTLに、信号電圧Vsigと、オフセット電圧Vofsが印加されている様子が示されている。図18(B)には書込線WSLに、書き込みトランジスタTr200をオンする電圧Vddと、書き込みトランジスタTr200をオフする電圧Vssが印加されている様子が示されている。図18(C)には電源線PSLに、電圧VccHと、電圧VccLが印加されている様子が示されている。さらに、図18(D),(E)には、電源線PSL、信号線DTLおよび書込線WSLへの電圧印加に応じて、駆動トランジスタTr100のゲート電圧Vgおよびソース電圧Vsが時々刻々変化している様子が示されている。
【0073】
(Vth補正準備期間)
まず、Vth補正の準備を行う。具体的には、書込線WSLの電圧がVoffとなっており、電源線DSLの電圧がVccHとなっている時(つまり有機EL素子111が発光している時)に、電源線駆動回路125が電源線DSLの電圧をVccHからVccLに下げる(T1)。すると、ソース電圧VsがVccLとなり、有機EL素子111が消光する。その後、信号線DTLの電圧がVofsとなっている時に書込線駆動回路124が書込線WSLの電圧をVoffからVonに上げ、駆動トランジスタTr100のゲートをVofsとする。
【0074】
(最初のVth補正期間)
次に、Vthの補正を行う。具体的には、書込みトランジスタTr200がオンしており、信号線DTLの電圧がVofsとなっている間に、電源線駆動回路125が電源線DSLの電圧をVccLからVccHに上げる(T2)。すると、駆動トランジスタTr100のドレイン−ソース間に電流Idsが流れ、ソース電圧Vsが上昇する。その後、信号線駆動回路123が信号線DTLの電圧をVofsからVsigに切り替える前に、書込線駆動回路124が書込線WSLの電圧をVonからVoffに下げる(T3)。すると、駆動トランジスタTr100のゲートがフローティングとなり、Vthの補正が休止する。
【0075】
(最初のVth補正休止期間)
th補正が休止している期間中は、例えば、先のVth補正を行った行(画素)とは異なる他の行(画素)において、信号線DTLの電圧のサンプリングが行われる。なお、このとき、先のVth補正を行った行(画素)において、ソース電圧VsがVofs−Vthよりも低いので、Vth補正休止期間中にも、先のVth補正を行った行(画素)において、駆動トランジスタTr100のドレイン−ソース間に電流Idsが流れ、ソース電圧Vsが上昇し、保持容量Csを介したカップリングによりゲート電圧Vgも上昇する。
【0076】
(2回目のVth補正期間)
次に、Vth補正を再び行う。具体的には、信号線DTLの電圧がVofsとなっており、Vth補正が可能となっている時に、書込線駆動回路124が書込線WSLの電圧をVoffからVonに上げ、駆動トランジスタTr100のゲートをVofsにする(T4)。このとき、ソース電圧VsがVofs−Vthよりも低い場合(Vth補正がまだ完了していない場合)には、駆動トランジスタTr100がカットオフするまで(ゲート−ソース間電圧VgsがVthになるまで)、駆動トランジスタTr100のドレイン−ソース間に電流Idsが流れる。その後、信号線駆動回路123が信号線DTLの電圧をVofsからVsigに切り替える前に、書込線駆動回路124が書込線WSLの電圧をVonからVoffに下げる(T5)。すると、駆動トランジスタTr100のゲートがフローティングとなるので、ゲート−ソース間電圧Vgsを信号線DTLの電圧の大きさに拘わらず一定に維持することができる。
【0077】
なお、このVth補正期間において、保持容量CsがVthに充電され、ゲート−ソース間電圧VgsがVthとなった場合には、駆動回路120は、Vth補正を終了する。しかし、ゲート−ソース間電圧VgsがVthにまで到達しない場合には、駆動回路120は、ゲート−ソース間電圧VgsがVthに到達するまで、Vth補正と、Vth補正休止とを繰り返し実行する。
【0078】
(書き込み・μ補正期間)
th補正休止期間が終了した後、書き込みとμ補正を行う。具体的には、信号線DTLの電圧がVsigとなっている間に、書込線駆動回路124が書込線WSLの電圧をVoffからVonに上げ(T6)、駆動トランジスタTr100のゲートを信号線DTLに接続する。すると、駆動トランジスタTr100のゲート電圧Vgが信号線DTLの電圧Vsigとなる。このとき、有機EL素子111のアノード電圧はこの段階ではまだ有機EL素子111の閾値電圧Velよりも小さく、有機EL素子111はカットオフしている。そのため、電流Idsは有機EL素子111の素子容量(図示せず)に流れ、素子容量が充電されるので、ソース電圧VsがΔVyだけ上昇し、やがてゲート−ソース間電圧VgsがVsig+Vth−ΔVyとなる。このようにして、書き込みと同時にμ補正が行われる。ここで、駆動トランジスタTr100の移動度μが大きい程、ΔVyも大きくなるので、ゲート−ソース間電圧Vgsを発光前にΔVyだけ小さくすることにより、画素113ごとの移動度μのばらつきを取り除くことができる。
【0079】
(発光期間)
最後に、書込線駆動回路124が書込線WSLの電圧をVonからVoffに下げる(T7)。すると、駆動トランジスタTr100のゲートがフローティングとなり、駆動トランジスタTr100のドレイン−ソース間に電流Idsが流れ、ソース電圧Vsが上昇する。その結果、有機EL素子111に閾値電圧Vel以上の電圧が印加され、有機EL素子111が所望の輝度で発光する。
【0080】
本適用例の表示装置100では、上記のようにして、各画素113において画素回路112がオンオフ制御され、各画素113の有機EL素子111に駆動電流が注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こり、その光が外部に取り出される。その結果、表示パネル110の表示領域110Aにおいて画像が表示される。
【0081】
ところで、本適用例では、例えば、書込線駆動回路124内のバッファ回路5は、上述したインバータ回路1を複数含んで構成されている。これにより、バッファ回路5内を流れる貫通電流はほとんど存在しないので、バッファ回路5の消費電力を抑えることができる。また、バッファ回路5の出力電圧のばらつきが少ないので、画素回路112内の駆動トランジスタTr100の閾値補正や移動度補正の、画素回路112ごとのばらつきを低減することができ、さらには画素113ごとの輝度のばらつきを低減することができる。
【0082】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0083】
例えば、上記適用例では、上記各実施の形態に係るインバータ回路1が書込線駆動回路124の出力段に用いられていたが、書込線駆動回路124の出力段の代わりに、電源線駆動回路125の出力段に用いられていてもよいし、書込線駆動回路124の出力段と共に、電源線駆動回路125の出力段に用いられていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,200,300,400…インバータ回路、5…バッファ回路、10…制御素子、100…表示装置、110…表示パネル、110A…表示領域、111,111R,111G,111B…有機EL素子、112…画素回路、113,113R,113G,113B…画素、114…表示画素、120…駆動回路、120A,122A…映像信号、120B…同期信号、121…タイミング生成回路、121A…制御信号、122…映像信号処理回路、123…信号線駆動回路、124…書込線駆動回路、125…電源線駆動回路、A,B…端子、AZ1,AZ2…制御端子、C,D…接続点、C1,C2…容量素子、Cs…保持容量、DTL…信号線、GND…グラウンド線、IN…入力端子、Ids…電流、LH,LH1,LH2…高電圧線、LL,LL1,LL2…低電圧線、OUT…出力端子、P…WSパルス、P1〜P4…端子、PSL…電源線、S1,S2…電源、Tr1〜Tr5…トランジスタ、Tr100…駆動トランジスタ、Tr200…書き込みトランジスタ、VCCH,VCCL,Vdd,Vdd1,Vdd2,VH1,VH2,VL,Vss,Vy,…電圧、Vg,Vg2…ゲート電圧、Vgs,Vgs1〜Vgs3…ゲート−ソース間電圧、Vin…入力電圧、Vofs…オフセット電圧、Vout…出力電圧、Vs,Vs2,Vs5…ソース電圧、Vsig…信号電圧、Vth,Vth2,Vel…閾値電圧、WSL…書込線、μ…移動度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同一チャネル型の第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタと、
第1容量素子と、
入力端子および出力端子と
を備え、
前記第1トランジスタは、前記入力端子の電圧と第1電圧線の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて前記出力端子と前記第1電圧線との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第2トランジスタは、前記第4トランジスタのソースまたはドレインである第1端子の電圧と、前記出力端子の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて第2電圧線と前記出力端子との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第3トランジスタは、前記入力端子の電圧と第3電圧線の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて前記第1端子と前記第3電圧線との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第4トランジスタは、当該第4トランジスタのゲートに入力される第1制御信号に応じて前記第1容量素子と前記第2トランジスタのゲートとの電気的な接続を継断するようになっており、
前記第5トランジスタは、当該第5トランジスタのゲートに入力される第2制御信号に応じて前記第1容量素子と第4電圧線との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第1容量素子は、前記第5トランジスタのソースおよびドレインのうち前記第4電圧線と未接続の端子と第5電圧線との間に挿入されている
インバータ回路。
【請求項2】
互いに同一チャネル型の第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタと、
第1容量素子と、
入力端子および出力端子と
を備え、
前記第1トランジスタのゲートは前記入力端子に電気的に接続され、前記第1トランジスタのドレインまたはソースは第1電圧線に電気的に接続され、前記第1トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第1電圧線に未接続の端子は前記出力端子に電気的に接続され、
前記第2トランジスタのドレインまたはソースは第2電圧線に電気的に接続され、前記第2トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第2電圧線に未接続の端子は前記出力端子に電気的に接続され、
前記第3トランジスタのゲートは前記入力端子に電気的に接続され、前記第3トランジスタのドレインまたはソースは第3電圧線に電気的に接続され、前記第3トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第3電圧線に未接続の端子は前記第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第4トランジスタのゲートには第1制御信号が供給され、前記第4トランジスタのドレインまたはソースは前記第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第5トランジスタのゲートには第2制御信号が供給され、前記第5トランジスタのドレインまたはソースは第4電圧線に電気的に接続され、前記第5トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第4電圧線に未接続の端子は前記第4トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第2トランジスタのゲートに未接続の端子に電気的に接続され、
前記第1容量素子は、前記第5トランジスタのソースおよびドレインのうち前記第4電圧線と未接続の端子と第5電圧線との間に挿入されている
インバータ回路。
【請求項3】
前記第2トランジスタのゲート−ソース間に挿入された第2容量素子をさらに備えた
請求項1または請求項2に記載のインバータ回路。
【請求項4】
前記第2容量素子の容量は、前記第1容量素子の容量よりも小さくなっている
請求項3に記載のインバータ回路。
【請求項5】
前記第1容量素子および前記第2容量素子のそれぞれの容量は、以下の式を満たす
請求項3または請求項4に記載のインバータ回路。
1(Vdd2−Vss)/(C1+C2)>Vth2
1:前記第1容量素子の容量
2:前記第2容量素子の容量
dd2:前記第4電圧線の電圧
ss:前記第1電圧線の電圧
th2:前記第2トランジスタの閾値電圧
【請求項6】
前記第1電圧線、前記第3電圧線および前記第5電圧線は、互いに同電位となっている
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインバータ回路。
【請求項7】
前記第2電圧線および前記第4電圧線は、前記第1電圧線、前記第3電圧線および前記第5電圧線の電圧よりも高電圧を出力する電源に接続されている
請求項6に記載のインバータ回路。
【請求項8】
前記第4電圧線は、前記第2電圧線の電圧よりも、少なくとも前記第2トランジスタの閾値電圧分だけ高い電圧を出力する電源に接続されている
請求項7に記載のインバータ回路。
【請求項9】
前記第4トランジスタおよび前記第5トランジスタは、前記第4トランジスタおよび前記第5トランジスタが同時にオン状態とならないように、交互にオンオフされる
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のインバータ回路。
【請求項10】
前記第4トランジスタは、前記入力端子の電圧が立ち下がる前にオンする
請求項9に記載のインバータ回路。
【請求項11】
前記第4トランジスタは、前記入力端子の電圧が立ち下がった後にオンする
請求項9に記載のインバータ回路。
【請求項12】
行状に配置された複数の走査線と、列状に配置された複数の信号線と、行列状に配置された複数の画素とを含む表示部と、
各画素を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部は、前記走査線ごとに設けられた複数のインバータ回路を有し、
前記インバータ回路は、
互いに同一チャネル型の第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタと、
第1容量素子と、
入力端子および出力端子と
を有し、
前記第1トランジスタは、前記入力端子の電圧と第1電圧線の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて前記出力端子と前記第1電圧線との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第2トランジスタは、前記第4トランジスタのソースまたはドレインである第1端子の電圧と、前記出力端子の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて第2電圧線と前記出力端子との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第3トランジスタは、前記入力端子の電圧と第3電圧線の電圧との電位差またはそれに対応する電位差に応じて前記第1端子と前記第3電圧線との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第4トランジスタは、当該第4トランジスタのゲートに入力される第1制御信号に応じて前記第1容量素子と前記第2トランジスタのゲートとの電気的な接続を継断するようになっており、
前記第5トランジスタは、当該第5トランジスタのゲートに入力される第2制御信号に応じて前記第1容量素子と第4電圧線との電気的な接続を継断するようになっており、
前記第1容量素子は、前記第5トランジスタのソースおよびドレインのうち前記第4電圧線と未接続の端子と第5電圧線との間に挿入されている
表示装置。
【請求項13】
行状に配置された複数の走査線と、列状に配置された複数の信号線と、行列状に配置された複数の画素とを含む表示部と、
各画素を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部は、前記走査線ごとに設けられた複数のインバータ回路を有し、
前記インバータ回路は、
互いに同一チャネル型の第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタおよび第5トランジスタと、
第1容量素子と、
入力端子および出力端子と
を有し、
前記第1トランジスタのゲートは前記入力端子に電気的に接続され、前記第1トランジスタのドレインまたはソースは第1電圧線に電気的に接続され、前記第1トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第1電圧線に未接続の端子は前記出力端子に電気的に接続され、
前記第2トランジスタのドレインまたはソースは第2電圧線に電気的に接続され、前記第2トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第2電圧線に未接続の端子は前記出力端子に電気的に接続され、
前記第3トランジスタのゲートは前記入力端子に電気的に接続され、前記第3トランジスタのドレインまたはソースは第3電圧線に電気的に接続され、前記第3トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第3電圧線に未接続の端子は前記第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第4トランジスタのゲートには第1制御信号が供給され、前記第4トランジスタのドレインまたはソースは前記第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第5トランジスタのゲートには第2制御信号が供給され、前記第5トランジスタのドレインまたはソースの一方は第4電圧線に電気的に接続され、前記第5トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第4電圧線に未接続の端子は前記第4トランジスタのドレインおよびソースのうち前記第2トランジスタのゲートに未接続の端子に電気的に接続され、
前記第1容量素子は、前記第5トランジスタのソースおよびドレインのうち前記第4電圧線に未接続の端子と第5電圧線との間に挿入されている
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−217175(P2011−217175A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84224(P2010−84224)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】