インバーテッドマイクロストリップ伝送線路
【課題】 線路間の結合を小さくして回路の面積を小型化できるインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を提供する。
【解決手段】 誘電体基板11上に帯状のストリップ電極12を形成し、ストリップ電極12の上および両側面を覆うように誘電体層13を形成し、この誘電体層13上および側面さらに誘電体層13の形成されていない誘電体基板11上を覆うようにグランド電極14を形成し、ストリップ電極12からの電磁界をグランド電極14によって閉じ込め、線路間の結合を小さくする。
【解決手段】 誘電体基板11上に帯状のストリップ電極12を形成し、ストリップ電極12の上および両側面を覆うように誘電体層13を形成し、この誘電体層13上および側面さらに誘電体層13の形成されていない誘電体基板11上を覆うようにグランド電極14を形成し、ストリップ電極12からの電磁界をグランド電極14によって閉じ込め、線路間の結合を小さくする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はインバーテッドマイクロストリップ伝送線路に関し、特に、誘電体基板上に帯状のストリップ電極が形成され、そのストリップ電極上に誘電体層が形成され、誘電体層上にグランド電極が形成されたインバーテッドマイクロストリップ伝送線路に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波,ミリ波回路の伝送線路には、図15に示すようなマイクロストリップ線路が用いられることが多い。この図15に示した例は、誘電体基板1の一方主表面に帯状の導電体からなるストリップ電極2を形成し、他方主表面にグランド電極3を全面に形成したものである。このようなマイクロストリップ線路は、ストリップ電極2を隣接して配置すると、隣接電極間の電磁結合が大きく、それを抑えるために線路間隔を大きくする必要があり、回路の小型化の妨げとなっている。
【0003】また、マイクロ波,ミリ波回路用伝送線路としてこの他に、図16に示すインバーテッドマイクロストリップ線路も使われている。インバーテッドマイクロストリップ線路は、誘電体基板1上に帯状のストリップ電極2を形成し、その上に厚みが基板に比べて薄い誘電体層4、さらにその上にグランド電極3を形成したものである。
【0004】この図16に示したインバーテッドマイクロストリップ線路は、図15に示した通常のマイクロストリップ線路に比べて、ベースとなる誘電体基板1の上に誘電体層4を設けているので、誘電体層4の厚みを薄くでき、これによって隣接する線路間の結合を小さくできるという特徴がある。これはマイクロストリップ線路がインバーテッドマイクロストリップ線路の場合、ストリップ電極とグラウンド電極の間の誘電体層が厚いと電磁界の広がりが大きくなるからである。
【0005】すなわち、図17に示すように、誘電体基板1の上に2本のストリップ電極21と22とを平行に配置し、各ストリップ電極21,22の幅をwとし、ストリップ電極21と22との間隔をdとし、誘電体基板の誘電率をε、厚みをhとすると、2線路間の結合度は図18に示すようになる。図18において、ストリップ電極21と22の間隔dに対する誘電体基板1の厚みhの比(d/h)が大きくなるほど結合度が弱くなることがわかる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マイクロ波回路の小型化のためには、隣接線路間の電磁結合度をさらに小さくする必要が生じてきたが、従来のインバーテッドマイクロストリップ線路では、電磁結合度を弱めるにも限界がある。その理由は、図19の電磁界強度の等高線分布図から明らかなように、ストリップ電極2で生じた電磁界はグランド電極3よりも上には拡がらないが、左右および下方向に拡がっているためである。図20に示すようにたとえば20μmの幅のストリップ電極21,22を40μmの間隔を隔てて配置した場合、ストリップ電極21,22の両方で生じる電磁界が結合し、結合度として−18.0dB程度になり、それ以下にするのが極めて困難であった。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、線路間の結合を小さくし、回路の面積を小型化し得るインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は誘電体基板上に帯状のストリップ電極が形成され、そのストリップ電極上に誘電体層が形成され、その誘電体層上に接地電極が形成されたインバーテッドマイクロストリップ伝送線路において、誘電体層はストリップ電極上とその周囲を覆うように形成されていて、接地電極は誘電体層上および側面を覆い、さらに誘電体層で覆われていない誘電体基板上を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0009】したがって、この発明では、接地電極がストリップ電極の上方だけでなくストリップ電極と同一面まで形成されているので、接地電極による電磁界の閉じ込め性を良好にできる。このため、同一構造のストリップ電極が隣接して存在していても、線路間の結合を小さくでき、回路の面積を小型化できる。
【0010】さらに、この発明では、従来のインバーテッドマイクロストリップ線路と異なり、線路の実効比誘電率が誘電体基板の誘電率に大きく依存する。したがって,誘電体基板の誘電率Kを大きくすると、線路の実効比誘電率Keffも大きくでき、回路において必要な線路長の短縮に役立つ。これはこの線路の電磁界が誘電体基板にも漏れていることによる。
【0011】結合線路の場合は、帯状のストリップ電極は互いに結合するように一定の間隔を有して平行に少なくとも2本配置されていて、誘電体層は少なくとも2本のストリップ電極上とその間と周囲を覆うように形成されていて、接地電極は少なくとも2本のストリップ電極上の誘電体層を覆うように形成されることを特徴とする。
【0012】また、ストリップ電極はその長さが1/2波長に選ばれていて、かつその両端が解放された共振器を構成することを特徴とする。
【0013】また、ストリップ電極はその長さが1/4波長に選ばれていて、かつその一端が解放され、その他端が接地電極と短絡されて共振器を構成することを特徴とする。
【0014】また、接地電極の側面には、スリットが形成されていて、ストリップ電極をアンテナとして使用することを特徴とする。
【0015】また、誘電体層内において、ストリップ電極に結合する結合電極が設けられていてフィルタを構成することを特徴とする。
【0016】また、この発明の共振アンテナ、フィルタの少なくとも1つを用いて高周波回路を構成することを特徴とする。
【0017】また、高周波回路を用いてモジュールを構成することを特徴とする。また、この発明の伝送線路を誘電体基板の両面に形成して両面回路を構成することを特徴とする。
【0018】また、両面回路を用いてモジュールを構成することを特徴とする。また、モジュールを用いて通信装置を構成することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の一実施形態のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を示す図であり、図2は電磁界強度の等高線分布図である。
【0020】図1において、誘電体基板11上に帯状のストリップ電極12が形成されており、このストリップ電極12に沿ってその上およびその両側を覆うように誘電体層13が形成される。この誘電体層13の上方および側面さらに誘電体基板11の誘電体層13の側面に沿う部分を覆うようにグランド電極14が形成される。
【0021】ストリップ電極12上の誘電体層13としては、BCB(Benzo Cyclo Butene:ベンゾ・シクロ・ブテン)などの有機膜を用いることができる。このBCBは誘電率が3程度の誘電体であり、たとえばフォトソリグラフィとエッチング技術とを用いて形成できる。この場合、有機膜を塗布して誘電体層13を作製するので、誘電体基板11上にストリップ電極12がパターニングされていて、誘電体基板11の表面が平坦になっていなくとも、隙間空間が発生することなく、誘電体基板11表面を有機膜で覆うことができる。
【0022】図1に示したインバーテッドマイクロストリップ伝送線路は、ストリップ電極12とグランド電極14の2導体線路であるので、伝搬モードがTEMモードとなる。また、特性インピーダンスは、誘電体基板11と誘電体層13の比誘電率と誘電体層13の幅および厚みで決定される。したがって、所望の特性インピーダンスに合わせて誘電体層13の幅と厚みが決定される。
【0023】図1に示すように、グランド電極14をストリップ電極12の上方だけでなく、ストリップ電極12と同一面まで形成することによって、図2に示すようにグランド電極14による電磁界の閉じ込め性を良好にできる。すなわち、従来例の電磁界は、図18に示すようにストリップ電極12の横方向にも拡がっていたのに対して、図1に示した実施形態では、ストリップ電極12から生じた電磁界がグランド電極14によってストリップ電極12の横方向に拡がることはなく閉じ込めることができ、同じインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を隣接させても互いの電磁結合を小さくできる。
【0024】図3はこの発明の実施形態によるインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を隣接させた場合の結合度を具体的に説明するための図である。
【0025】前述の図19と同様にして、誘電体基板11の誘電率εr=10,ストリップ電極121,122の幅を20μm,ストリップ電極121と122の間隔を40μmに選んだ場合、図19に示した例では結合度が−18.0dBであったのに対して、図3に示した実施形態では、−31.6dBまで結合度を小さくすることができた。その結果、従来例に比べて、ストリップ電極121,122をさらに近接して配置することが可能となり、回路の面積を小さくできる。
【0026】以下、この実施形態の応用例について説明する。図4はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いた結合2線路を示す断面図である。この実施形態は、ストリップ電極121と122との結合度を強くするものである。すなわち、2本のストリップ電極121,122が所定の間隔を隔てて誘電体基板11上に平行に配置され、これらのストリップ電極121と122の上および間とストリップ電極121の一方側と122の他方側に誘電体層13が形成され、この誘電体層13の上と両側面とを覆うようにグランド電極142が形成される。
【0027】したがって、この実施形態によれば、2本のストリップ電極121と122との間の結合は従来と同等のままで、結合線路外への電磁界の拡がりが小さな結合2線路を得ることができ、カップラやフィルタなどに応用できる。
【0028】図5はさらに結合線路数を増やした実施形態を示す図である。この図5においては、4本のストリップ電極121,122,123および124がそれぞれ所定の間隔を有して平行に配列され、これらの上に誘電体層13が形成される。ストリップ電極121〜124の上とストリップ電極121の一方側側面とストリップ電極122の他方側側面を覆うようにグランド電極143が形成される。それによって、ストリップ電極121〜124のそれぞれの間の電磁結合を高めることができ、結合線路外への電磁界の拡がりを抑制できる。この例もカップラやフィルタなどに応用できる。
【0029】図6はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成した1/2波長共振器を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。図6において、ストリップ電極125は1/2の波長の長さに選ばれ、両端が解放されてλ/2共振器が構成される。
【0030】図7はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成したλ/4共振器を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。この図7に示した例は、ストリップ電極126を1/4波長の長さに選び、一端を解放し、他端をスルーホールまたはビアホールなどの短絡電極127によってグランド電極14に接続して短絡するようにしたものである。
【0031】図8はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いてスロットアンテナを構成した例を示し、(a)は正面図を示し、(b)は斜視図を示す。この図8に示した例は、グランド電極14の一部を取除いたスロット150を形成し、ストリップ電極12からの電磁界がスロット150を介して外部に放射させるものである。この場合、グランド電極14のスロット150の形状および位置を選択することで、電磁界の放射方向やビーム角などを調整できる。
【0032】図9はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いてフィルタを構成したものであり、図4の結合線路と図6および図7の共振器に外部結合電極を設けてフィルタとして作用させるものである。
【0033】図9(a)は平面図であり、グランド電極を破断して示している。ストリップ電極128の両側にはそれぞれが結合電極129a,130aと接続したストリップ電極129,130が所定の間隔を隔てて配置される。グランド電極144はストリップ電極128と結合電極129a,130aの上と周囲を囲むように図1〜図8と同じ形態で形成される。ただし、グランド電極144のうち結合電極129aと130aの端子引出し部分のみ切り欠かれている。
【0034】また、図9(b)に示すように、結合電極129a,130aの引出し部分の線路に対応して、誘電体基板11の下面にはグランド電極145,146が形成されており、この部分は通常のマイクロストリップ線路として構成される。
【0035】図10は図9に示したフィルタの変形例である。図9では結合電極129a,130aの引出し部分を通常のマイクロストリップ線路と同様に構成したのに対して、図10に示した例は、結合電極129a,130aの引出し部の線路に沿ってグランド電極を線路の両側に設けたコプレーナ線路として構成したものである。
【0036】なお、このコプレーナ線路に代えて、引出し部の線路をインバーテッドマイクロストリップ伝送線路とし、引出し部の線路もフィルタを構成するストリップ電極と同様にしてグランド電極で覆うようにしてもよい。
【0037】図11は誘電体基板の片面に、この発明のインバーテッドマイクロストリップ線路やFETからなる高周波回路を形成した図である。従来例で説明した図16のインバーテッドマイクロストリップ線路では、隣接線路間の結合性の問題と、絶縁体に適した比誘電率の高い材料がないため実効比誘電率が小さいという問題から回路の小型化が不十分であった。
【0038】これに対し、図11に示した例は、図1に示したグランド電極を形成することによって隣接線路との結合をほとんど生じることなく、しかも実効比誘電率を大きくすることができるので、回路の小型化の効果を高めることができる。この図11に示した例では、誘電体基板11の一方主表面にFET100とこのFET100の各ドレイン,ソース,ゲートがインバーテッドマイクロストリップ伝送線路101,102,103によって他の回路部分に接続される。
【0039】図12は誘電体基板の両面に高周波回路を形成した例を示す図である。すなわち、誘電体基板11の両面に図11に示したFET100とインバーテッドマイクロストリップ伝送線路101、102、103からなる高周波回路が形成されている。
【0040】図13はこの発明の各実施形態で構成された素子を用いて構成したモジュールを示す図である。図13において、アンテナ132は図8に示したスロットアンテナが用いられ、伝送線路133は図1に示したものであり、フィルタ134としては図9に示したフィルタが用いられる。さらに、図11に示したような高周波回路として、受信用ローノイズアンプ135が用いられている。これらによってモジュール131が構成される。
【0041】このような高周波回路は、図14に示した携帯型電話機やその他の無線機器などに応用することができる。
【0042】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、誘電体基板上に帯状のストリップ電極を形成し、ストリップ電極上とその周囲を覆うように誘電体層を形成し、誘電体層上および側面を接地電極で覆うようにしたので、接地電極による電磁界の閉じ込め性を良好にでき、同一構造の線路が隣接して存在しても、線路間の結合を小さくでき、回路の面積を小型化できる。
【0044】さらに、複数のストリップ電極を基板上に平行に配置し、これらのストリップ電極上とその間と周囲を覆うように誘電体層を形成し、さらにストリップ電極上および側面の誘電体層を覆うように接地電極を形成すれば、各ストリップ電極間の結合は従来と同等のままで、結合線路外への電磁界の拡がりを小さくした結合線路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を示す図である。
【図2】 図1に示したインバーテッドマイクロストリップ伝送線路における電磁界強度の等高線分布を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態によるインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を隣接させた場合の図である。
【図4】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いた結合2線路を示す断面図である。
【図5】 結合線路をさらに増やした実施形態を示す図である。
【図6】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成した1/2波長共振器を示す図である。
【図7】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成した1/4波長共振器を示す図である。
【図8】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成したスロットアンテナを示す図である。
【図9】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成したフィルタを示す図である。
【図10】 図9に示したフィルタの変形例を示す図である。
【図11】 誘電体基板の片面にこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を形成した高周波回路を示す図である。
【図12】 誘電体基板の両面にこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を形成した高周波回路を示す図である。
【図13】 この発明の各実施形態で構成されたコンポーネントを用いて構成した高周波回路を示す図である。
【図14】 図12に示した高周波回路を用いて構成した携帯電話機の外観図である。
【図15】 従来のマイクロストリップ線路を示す図である。
【図16】 従来のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を示す図である。
【図17】 従来のマイクロストリップ伝送線路における平行2線路間の結合度を説明するための図である。
【図18】 図16に示したマイクロストリップ伝送線路における電極間距離と誘電体基板の厚みに対する結合度を示す図である。
【図19】 従来のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路における電磁界強度の等高線分布図である。
【図20】 従来のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路における平行2線路間の結合度を説明するための図である。
【符号の説明】
11 誘電体基板、12,121〜126,128〜130 ストリップ電極、13 誘電体層、14,141〜146 グランド電極、101〜106 インバーテッドマイクロストリップ伝送線路、127 短絡電極、131 モジュール、132 アンテナ、133 インバーテッドマイクロストリップ線路、134 フィルタ、135 ローノイズアンプ、150 スロット。
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はインバーテッドマイクロストリップ伝送線路に関し、特に、誘電体基板上に帯状のストリップ電極が形成され、そのストリップ電極上に誘電体層が形成され、誘電体層上にグランド電極が形成されたインバーテッドマイクロストリップ伝送線路に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波,ミリ波回路の伝送線路には、図15に示すようなマイクロストリップ線路が用いられることが多い。この図15に示した例は、誘電体基板1の一方主表面に帯状の導電体からなるストリップ電極2を形成し、他方主表面にグランド電極3を全面に形成したものである。このようなマイクロストリップ線路は、ストリップ電極2を隣接して配置すると、隣接電極間の電磁結合が大きく、それを抑えるために線路間隔を大きくする必要があり、回路の小型化の妨げとなっている。
【0003】また、マイクロ波,ミリ波回路用伝送線路としてこの他に、図16に示すインバーテッドマイクロストリップ線路も使われている。インバーテッドマイクロストリップ線路は、誘電体基板1上に帯状のストリップ電極2を形成し、その上に厚みが基板に比べて薄い誘電体層4、さらにその上にグランド電極3を形成したものである。
【0004】この図16に示したインバーテッドマイクロストリップ線路は、図15に示した通常のマイクロストリップ線路に比べて、ベースとなる誘電体基板1の上に誘電体層4を設けているので、誘電体層4の厚みを薄くでき、これによって隣接する線路間の結合を小さくできるという特徴がある。これはマイクロストリップ線路がインバーテッドマイクロストリップ線路の場合、ストリップ電極とグラウンド電極の間の誘電体層が厚いと電磁界の広がりが大きくなるからである。
【0005】すなわち、図17に示すように、誘電体基板1の上に2本のストリップ電極21と22とを平行に配置し、各ストリップ電極21,22の幅をwとし、ストリップ電極21と22との間隔をdとし、誘電体基板の誘電率をε、厚みをhとすると、2線路間の結合度は図18に示すようになる。図18において、ストリップ電極21と22の間隔dに対する誘電体基板1の厚みhの比(d/h)が大きくなるほど結合度が弱くなることがわかる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マイクロ波回路の小型化のためには、隣接線路間の電磁結合度をさらに小さくする必要が生じてきたが、従来のインバーテッドマイクロストリップ線路では、電磁結合度を弱めるにも限界がある。その理由は、図19の電磁界強度の等高線分布図から明らかなように、ストリップ電極2で生じた電磁界はグランド電極3よりも上には拡がらないが、左右および下方向に拡がっているためである。図20に示すようにたとえば20μmの幅のストリップ電極21,22を40μmの間隔を隔てて配置した場合、ストリップ電極21,22の両方で生じる電磁界が結合し、結合度として−18.0dB程度になり、それ以下にするのが極めて困難であった。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、線路間の結合を小さくし、回路の面積を小型化し得るインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は誘電体基板上に帯状のストリップ電極が形成され、そのストリップ電極上に誘電体層が形成され、その誘電体層上に接地電極が形成されたインバーテッドマイクロストリップ伝送線路において、誘電体層はストリップ電極上とその周囲を覆うように形成されていて、接地電極は誘電体層上および側面を覆い、さらに誘電体層で覆われていない誘電体基板上を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0009】したがって、この発明では、接地電極がストリップ電極の上方だけでなくストリップ電極と同一面まで形成されているので、接地電極による電磁界の閉じ込め性を良好にできる。このため、同一構造のストリップ電極が隣接して存在していても、線路間の結合を小さくでき、回路の面積を小型化できる。
【0010】さらに、この発明では、従来のインバーテッドマイクロストリップ線路と異なり、線路の実効比誘電率が誘電体基板の誘電率に大きく依存する。したがって,誘電体基板の誘電率Kを大きくすると、線路の実効比誘電率Keffも大きくでき、回路において必要な線路長の短縮に役立つ。これはこの線路の電磁界が誘電体基板にも漏れていることによる。
【0011】結合線路の場合は、帯状のストリップ電極は互いに結合するように一定の間隔を有して平行に少なくとも2本配置されていて、誘電体層は少なくとも2本のストリップ電極上とその間と周囲を覆うように形成されていて、接地電極は少なくとも2本のストリップ電極上の誘電体層を覆うように形成されることを特徴とする。
【0012】また、ストリップ電極はその長さが1/2波長に選ばれていて、かつその両端が解放された共振器を構成することを特徴とする。
【0013】また、ストリップ電極はその長さが1/4波長に選ばれていて、かつその一端が解放され、その他端が接地電極と短絡されて共振器を構成することを特徴とする。
【0014】また、接地電極の側面には、スリットが形成されていて、ストリップ電極をアンテナとして使用することを特徴とする。
【0015】また、誘電体層内において、ストリップ電極に結合する結合電極が設けられていてフィルタを構成することを特徴とする。
【0016】また、この発明の共振アンテナ、フィルタの少なくとも1つを用いて高周波回路を構成することを特徴とする。
【0017】また、高周波回路を用いてモジュールを構成することを特徴とする。また、この発明の伝送線路を誘電体基板の両面に形成して両面回路を構成することを特徴とする。
【0018】また、両面回路を用いてモジュールを構成することを特徴とする。また、モジュールを用いて通信装置を構成することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の一実施形態のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を示す図であり、図2は電磁界強度の等高線分布図である。
【0020】図1において、誘電体基板11上に帯状のストリップ電極12が形成されており、このストリップ電極12に沿ってその上およびその両側を覆うように誘電体層13が形成される。この誘電体層13の上方および側面さらに誘電体基板11の誘電体層13の側面に沿う部分を覆うようにグランド電極14が形成される。
【0021】ストリップ電極12上の誘電体層13としては、BCB(Benzo Cyclo Butene:ベンゾ・シクロ・ブテン)などの有機膜を用いることができる。このBCBは誘電率が3程度の誘電体であり、たとえばフォトソリグラフィとエッチング技術とを用いて形成できる。この場合、有機膜を塗布して誘電体層13を作製するので、誘電体基板11上にストリップ電極12がパターニングされていて、誘電体基板11の表面が平坦になっていなくとも、隙間空間が発生することなく、誘電体基板11表面を有機膜で覆うことができる。
【0022】図1に示したインバーテッドマイクロストリップ伝送線路は、ストリップ電極12とグランド電極14の2導体線路であるので、伝搬モードがTEMモードとなる。また、特性インピーダンスは、誘電体基板11と誘電体層13の比誘電率と誘電体層13の幅および厚みで決定される。したがって、所望の特性インピーダンスに合わせて誘電体層13の幅と厚みが決定される。
【0023】図1に示すように、グランド電極14をストリップ電極12の上方だけでなく、ストリップ電極12と同一面まで形成することによって、図2に示すようにグランド電極14による電磁界の閉じ込め性を良好にできる。すなわち、従来例の電磁界は、図18に示すようにストリップ電極12の横方向にも拡がっていたのに対して、図1に示した実施形態では、ストリップ電極12から生じた電磁界がグランド電極14によってストリップ電極12の横方向に拡がることはなく閉じ込めることができ、同じインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を隣接させても互いの電磁結合を小さくできる。
【0024】図3はこの発明の実施形態によるインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を隣接させた場合の結合度を具体的に説明するための図である。
【0025】前述の図19と同様にして、誘電体基板11の誘電率εr=10,ストリップ電極121,122の幅を20μm,ストリップ電極121と122の間隔を40μmに選んだ場合、図19に示した例では結合度が−18.0dBであったのに対して、図3に示した実施形態では、−31.6dBまで結合度を小さくすることができた。その結果、従来例に比べて、ストリップ電極121,122をさらに近接して配置することが可能となり、回路の面積を小さくできる。
【0026】以下、この実施形態の応用例について説明する。図4はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いた結合2線路を示す断面図である。この実施形態は、ストリップ電極121と122との結合度を強くするものである。すなわち、2本のストリップ電極121,122が所定の間隔を隔てて誘電体基板11上に平行に配置され、これらのストリップ電極121と122の上および間とストリップ電極121の一方側と122の他方側に誘電体層13が形成され、この誘電体層13の上と両側面とを覆うようにグランド電極142が形成される。
【0027】したがって、この実施形態によれば、2本のストリップ電極121と122との間の結合は従来と同等のままで、結合線路外への電磁界の拡がりが小さな結合2線路を得ることができ、カップラやフィルタなどに応用できる。
【0028】図5はさらに結合線路数を増やした実施形態を示す図である。この図5においては、4本のストリップ電極121,122,123および124がそれぞれ所定の間隔を有して平行に配列され、これらの上に誘電体層13が形成される。ストリップ電極121〜124の上とストリップ電極121の一方側側面とストリップ電極122の他方側側面を覆うようにグランド電極143が形成される。それによって、ストリップ電極121〜124のそれぞれの間の電磁結合を高めることができ、結合線路外への電磁界の拡がりを抑制できる。この例もカップラやフィルタなどに応用できる。
【0029】図6はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成した1/2波長共振器を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。図6において、ストリップ電極125は1/2の波長の長さに選ばれ、両端が解放されてλ/2共振器が構成される。
【0030】図7はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成したλ/4共振器を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。この図7に示した例は、ストリップ電極126を1/4波長の長さに選び、一端を解放し、他端をスルーホールまたはビアホールなどの短絡電極127によってグランド電極14に接続して短絡するようにしたものである。
【0031】図8はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いてスロットアンテナを構成した例を示し、(a)は正面図を示し、(b)は斜視図を示す。この図8に示した例は、グランド電極14の一部を取除いたスロット150を形成し、ストリップ電極12からの電磁界がスロット150を介して外部に放射させるものである。この場合、グランド電極14のスロット150の形状および位置を選択することで、電磁界の放射方向やビーム角などを調整できる。
【0032】図9はこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いてフィルタを構成したものであり、図4の結合線路と図6および図7の共振器に外部結合電極を設けてフィルタとして作用させるものである。
【0033】図9(a)は平面図であり、グランド電極を破断して示している。ストリップ電極128の両側にはそれぞれが結合電極129a,130aと接続したストリップ電極129,130が所定の間隔を隔てて配置される。グランド電極144はストリップ電極128と結合電極129a,130aの上と周囲を囲むように図1〜図8と同じ形態で形成される。ただし、グランド電極144のうち結合電極129aと130aの端子引出し部分のみ切り欠かれている。
【0034】また、図9(b)に示すように、結合電極129a,130aの引出し部分の線路に対応して、誘電体基板11の下面にはグランド電極145,146が形成されており、この部分は通常のマイクロストリップ線路として構成される。
【0035】図10は図9に示したフィルタの変形例である。図9では結合電極129a,130aの引出し部分を通常のマイクロストリップ線路と同様に構成したのに対して、図10に示した例は、結合電極129a,130aの引出し部の線路に沿ってグランド電極を線路の両側に設けたコプレーナ線路として構成したものである。
【0036】なお、このコプレーナ線路に代えて、引出し部の線路をインバーテッドマイクロストリップ伝送線路とし、引出し部の線路もフィルタを構成するストリップ電極と同様にしてグランド電極で覆うようにしてもよい。
【0037】図11は誘電体基板の片面に、この発明のインバーテッドマイクロストリップ線路やFETからなる高周波回路を形成した図である。従来例で説明した図16のインバーテッドマイクロストリップ線路では、隣接線路間の結合性の問題と、絶縁体に適した比誘電率の高い材料がないため実効比誘電率が小さいという問題から回路の小型化が不十分であった。
【0038】これに対し、図11に示した例は、図1に示したグランド電極を形成することによって隣接線路との結合をほとんど生じることなく、しかも実効比誘電率を大きくすることができるので、回路の小型化の効果を高めることができる。この図11に示した例では、誘電体基板11の一方主表面にFET100とこのFET100の各ドレイン,ソース,ゲートがインバーテッドマイクロストリップ伝送線路101,102,103によって他の回路部分に接続される。
【0039】図12は誘電体基板の両面に高周波回路を形成した例を示す図である。すなわち、誘電体基板11の両面に図11に示したFET100とインバーテッドマイクロストリップ伝送線路101、102、103からなる高周波回路が形成されている。
【0040】図13はこの発明の各実施形態で構成された素子を用いて構成したモジュールを示す図である。図13において、アンテナ132は図8に示したスロットアンテナが用いられ、伝送線路133は図1に示したものであり、フィルタ134としては図9に示したフィルタが用いられる。さらに、図11に示したような高周波回路として、受信用ローノイズアンプ135が用いられている。これらによってモジュール131が構成される。
【0041】このような高周波回路は、図14に示した携帯型電話機やその他の無線機器などに応用することができる。
【0042】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、誘電体基板上に帯状のストリップ電極を形成し、ストリップ電極上とその周囲を覆うように誘電体層を形成し、誘電体層上および側面を接地電極で覆うようにしたので、接地電極による電磁界の閉じ込め性を良好にでき、同一構造の線路が隣接して存在しても、線路間の結合を小さくでき、回路の面積を小型化できる。
【0044】さらに、複数のストリップ電極を基板上に平行に配置し、これらのストリップ電極上とその間と周囲を覆うように誘電体層を形成し、さらにストリップ電極上および側面の誘電体層を覆うように接地電極を形成すれば、各ストリップ電極間の結合は従来と同等のままで、結合線路外への電磁界の拡がりを小さくした結合線路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を示す図である。
【図2】 図1に示したインバーテッドマイクロストリップ伝送線路における電磁界強度の等高線分布を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態によるインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を隣接させた場合の図である。
【図4】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いた結合2線路を示す断面図である。
【図5】 結合線路をさらに増やした実施形態を示す図である。
【図6】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成した1/2波長共振器を示す図である。
【図7】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成した1/4波長共振器を示す図である。
【図8】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成したスロットアンテナを示す図である。
【図9】 この発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を用いて構成したフィルタを示す図である。
【図10】 図9に示したフィルタの変形例を示す図である。
【図11】 誘電体基板の片面にこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を形成した高周波回路を示す図である。
【図12】 誘電体基板の両面にこの発明のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を形成した高周波回路を示す図である。
【図13】 この発明の各実施形態で構成されたコンポーネントを用いて構成した高周波回路を示す図である。
【図14】 図12に示した高周波回路を用いて構成した携帯電話機の外観図である。
【図15】 従来のマイクロストリップ線路を示す図である。
【図16】 従来のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路を示す図である。
【図17】 従来のマイクロストリップ伝送線路における平行2線路間の結合度を説明するための図である。
【図18】 図16に示したマイクロストリップ伝送線路における電極間距離と誘電体基板の厚みに対する結合度を示す図である。
【図19】 従来のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路における電磁界強度の等高線分布図である。
【図20】 従来のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路における平行2線路間の結合度を説明するための図である。
【符号の説明】
11 誘電体基板、12,121〜126,128〜130 ストリップ電極、13 誘電体層、14,141〜146 グランド電極、101〜106 インバーテッドマイクロストリップ伝送線路、127 短絡電極、131 モジュール、132 アンテナ、133 インバーテッドマイクロストリップ線路、134 フィルタ、135 ローノイズアンプ、150 スロット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 誘電体基板上に帯状のストリップ電極が形成され、該ストリップ電極上に誘電体層が形成され、該誘電体層上に接地電極が形成されたインバーテッドマイクロストリップ伝送線路において、前記誘電体層は前記ストリップ電極上とその周囲を覆うように形成されていて、前記接地電極は、前記誘電体層上および側面を覆いさらに該誘電体層で覆われていない誘電体基板上を覆うように形成されていることを特徴とする、インバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項2】 前記帯状のストリップ電極は互いに結合するように一定の間隔を有して平行に少なくとも2本配置されていて、前記誘電体層は、前記少なくとも2本のストリップ電極上とその間と周囲を覆うように形成されていて、前記接地電極は、前記少なくとも2本のストリップ電極上の誘電体層を覆うように形成されることを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項3】 前記ストリップ電極は、その長さが1/2波長に選ばれていてかつその両端が解放された共振器を構成することを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項4】 前記ストリップ電極は、その長さが1/4波長に選ばれていて、かつその一端が解放され、その他端が前記接地電極と短絡されて共振器を構成することを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項5】 前記接地電極の側面にはスリットが形成されていて、前記ストリップ電極をアンテナとして使用することを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項6】 前記誘電体層内において、前記ストリップ電極に結合する結合電極が設けられていてフィルタを構成することを特徴とする、請求項3または4に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項7】 前記共振器と前記アンテナと前記フィルタの少なくとも1つを用いて高周波回路を構成することを特徴とする、請求項3から6のいずれかに記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項8】 前記高周波回路を用いてモジュールを構成することを特徴とする、請求項7に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項9】 前記モジュールを用いて通信装置を構成することを特徴とする、請求項8に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項10】 前記マイクロストリップ伝送線路を前記誘電体基板の両面に形成して平面回路の伝送線路として用いることを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項11】 前記平面回路の伝送線路を用いてモジュールを構成することを特徴とする、請求項10に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項12】 前記モジュールを用いて通信装置を構成することを特徴とする、請求項11に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項1】 誘電体基板上に帯状のストリップ電極が形成され、該ストリップ電極上に誘電体層が形成され、該誘電体層上に接地電極が形成されたインバーテッドマイクロストリップ伝送線路において、前記誘電体層は前記ストリップ電極上とその周囲を覆うように形成されていて、前記接地電極は、前記誘電体層上および側面を覆いさらに該誘電体層で覆われていない誘電体基板上を覆うように形成されていることを特徴とする、インバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項2】 前記帯状のストリップ電極は互いに結合するように一定の間隔を有して平行に少なくとも2本配置されていて、前記誘電体層は、前記少なくとも2本のストリップ電極上とその間と周囲を覆うように形成されていて、前記接地電極は、前記少なくとも2本のストリップ電極上の誘電体層を覆うように形成されることを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項3】 前記ストリップ電極は、その長さが1/2波長に選ばれていてかつその両端が解放された共振器を構成することを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項4】 前記ストリップ電極は、その長さが1/4波長に選ばれていて、かつその一端が解放され、その他端が前記接地電極と短絡されて共振器を構成することを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項5】 前記接地電極の側面にはスリットが形成されていて、前記ストリップ電極をアンテナとして使用することを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項6】 前記誘電体層内において、前記ストリップ電極に結合する結合電極が設けられていてフィルタを構成することを特徴とする、請求項3または4に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項7】 前記共振器と前記アンテナと前記フィルタの少なくとも1つを用いて高周波回路を構成することを特徴とする、請求項3から6のいずれかに記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項8】 前記高周波回路を用いてモジュールを構成することを特徴とする、請求項7に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項9】 前記モジュールを用いて通信装置を構成することを特徴とする、請求項8に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項10】 前記マイクロストリップ伝送線路を前記誘電体基板の両面に形成して平面回路の伝送線路として用いることを特徴とする、請求項1に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項11】 前記平面回路の伝送線路を用いてモジュールを構成することを特徴とする、請求項10に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【請求項12】 前記モジュールを用いて通信装置を構成することを特徴とする、請求項11に記載のインバーテッドマイクロストリップ伝送線路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図9】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2001−358505(P2001−358505A)
【公開日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−174916(P2000−174916)
【出願日】平成12年6月12日(2000.6.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年6月12日(2000.6.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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