説明

ウエザストリップの取付け方法

【課題】装着が容易で、フランジの所定の場所に確実に取付基部を装着することができる自動車用ウエザストリップの取付け方法を提供する。
【解決手段】ウエザストリップ10をフランジに組付治具40を使用して取付ける取付け方法において、ウエザストリップ10は、取付基部20と、シール部30を有し、取付基部20は、少なくとも底壁26と車外側側壁21を有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁21の車内側面に両面接着テープ25が貼着される。組付治具40は、保持部60と、押圧部50を有する。保持部60で、取付基部20をフランジ7の先端方向側に湾曲させ、取付基部20を鈍角状に開かせてセットし、押圧部50で、フランジ7の先端に底壁26を押圧するとともに、車外側側壁21の両面接着テープ25をフランジ7の側面に押圧して、フランジに接着するウエザストリップの取付け方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア、トランクリッド、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップを車体開口部開閉部材の外周又は車体開口部周縁に形成されたフランジに取付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6のフランジ7に取付ける方法を例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図8に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナー4に取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、上記のフランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等とによって形成されている。
【0003】
ガラスラン150は、車外側側壁151、底壁152、車内側側壁153からなる断面略コ字形の内部にドアガラス5の端部を収納し、その端部を車外側側壁151と車内側側壁153の先端から延設した車外側シールリップ154と車内側シールリップ155とによりドアガラス5の端部を挟むようにしてシールしている。
【0004】
ドア2の外周に取付けられたドアウエザストリップ160は、取付基部161とその上部に一体に形成された中空シール部164とシールリップ部166から構成される。取付基部161は、ドアフレームの外周に設けられたリテーナー4に嵌め込まれてドアフレームに固定される。
【0005】
車体の開口部には、上記のフランジ7にオープニングトリムウエザストリップ110が取付けられており、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形の取付基部120によりフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレームの膨出部2aに当接してシールしている。この取付基部120は、フランジ7を把持するために、金属インサート等の芯材124が埋設され、その内部にフランジ保持リップを備えている。
【0006】
このオープニングトリムウエザストリップ110をフランジ7に取付けるには、断面略U字形の取付基部120を手作業でフランジ7に押付けて挿入する場合や、断面略U字形の取付基部120を若干開いて、取付基部120内にフランジ7を挿入し、その後治具で開いた取付基部120を閉じて、フランジ7を挟持させるロールフォーミング方式で取付ける場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
このオープニングトリムウエザストリップ110は、車体のドア部の開口である車体開口部周縁6の全周に装着される場合が多く、車体開口部周縁6のフランジ7は、その部位によって厚さが異なる。即ち、フランジ7は、車体を構成するパネルの先端が接合されて、形成されるが、接合されるパネルの数は、部位によって2枚から5枚程度まで変化し、その厚さは1.4mmから8mm程度まで変化する。
【0007】
このため、取付基部120が、フランジ7を挟持するための補強用の金属インサート等を芯材124として埋設された断面略U字形である場合、手作業では部位によって挿入力が異なり、挿入作業が手間取ったり、治具で取付けるときには、治具の構造が複雑になり取付けの自動化が困難であった。
また、金属インサート(芯材124)により重量が増加し、車両の軽量化の要請を満足しなくなっていたため、金属インサートを廃止することが望まれていた。
【0008】
そのため、図9に示すように、取付基部(トリム部)220の金属インサート等の芯材を無くし、柔軟性を増加させ、両面接着テープ225を使用してフランジ7に装着することも行なわれている(例えば、特許文献2参照。)。
この場合は、例えば、トリム部220の側壁の一方を短く形成し、長い側壁に両面接着テープ225を貼着して、治具を使用して、トリム部220の奥にフランジ7の先端を挿入し、トリム部220を矢印方向に回転させて、フランジ7の側面に両面接着テープ225を接着して、オープニングトリムウエザストリップ210を装着するようにしている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
このような、両面接着テープ225でオープニングトリムウエザストリップ210を取付ける方法では、オープニングトリムウエザストリップ210が取付ける途中でフランジ7から離れないように、そのトリム部220をフランジ7に仮止めして、両面接着テープ225の離形紙を剥がしながら、トリム部220を回転させて装着することを行なっている。
しかし、オープニングトリムウエザストリップ210の形状によっては、フランジ7に仮止めができないものもあり、また、離形紙を剥がした後に、両面接着テープ225がフランジ7の先端等に接触して、両面接着テープ225をフランジ7の所定の場所に接着することができなくなる場合があった。また、オープニングトリムウエザストリップ210は、車体開口部周縁6の全周に取付けるため、車体開口部周縁6の上部に取付ける場合には、仮止めが困難であり、組付治具でオープニングトリムウエザストリップ210を下から支えることが必要であった。
【特許文献1】特開平10−166280号公報
【特許文献2】特開平5−338567号公報
【特許文献3】特許第3180493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は、装着が容易で、フランジの所定の場所に確実に取付基部を接着することができる自動車用ウエザストリップの取付け方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップを車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに組付治具を使用して取付ける取付け方法において、
ウエザストリップは、フランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁とを有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着され、
組付治具は、ウエザストリップを保持する保持部と、取付基部をフランジに押圧する押圧部を有し、
組付治具の保持部と押圧部とで、ウエザストリップの取付基部をフランジの先端方向側に湾曲させ、底壁と車外側側壁を鈍角状に開かせて湾曲状にセットし、その状態で組付治具をフランジに沿わせ、押圧部で、フランジの先端に底壁を押圧するとともに、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面に押圧して、ウエザストリップをフランジに取付けることを特徴とするウエザストリップの取付け方法である。
【0012】
請求項1の本発明では、ウエザストリップは、フランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁とを有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着されている。このため、フランジの肉厚にかかわりなく、断面略L字形の車外側側壁をフランジの側面に押圧することが容易である。
【0013】
組付治具の保持部と押圧部とで、ウエザストリップの取付基部をフランジの先端方向側に湾曲させ、底壁と車外側側壁を鈍角状に開かせて湾曲状にセットし、その状態で組付治具をフランジに沿わせ、押圧部で、フランジの先端に底壁を押圧するとともに、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面に押圧して、ウエザストリップをフランジに取付けることができる。
【0014】
組付治具の保持部と押圧部とで、ウエザストリップの取付基部をフランジの先端方向側に湾曲させるため、フランジに両面接着テープを押圧する直前まで取付基部をフランジから離しておくことができ、フランジへ押圧前に両面接着テープがフランジの所定の場所以外のところに接触することがない。また、車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材のコーナー部においても取付け前の取付基部がフランジに当接することがなく、組付治具をスムースに移動させて、取付け作業をすることができる。
【0015】
底壁と車外側側壁を鈍角状に開かせて湾曲状にセットし、その状態で組付治具をフランジに沿わせるため、フランジを取付基部に挿入するときに、フランジの先端が両面接着テープに接触することなく、底壁に当接することができ、フランジに対して両面接着テープの位置決めをすることができる。
押圧部で、フランジの先端に底壁を押圧するとともに、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面に押圧して、ウエザストリップをフランジに取付けるため、確実にフランジの先端を底壁に押圧して、フランジの先端と底壁の間をシールすることができ、フランジの先端から騒音等が漏れることがない。また、両面接着テープをフランジの側面に確実に押圧して、接着することができる。
【0016】
請求項2の本発明は、組付治具の押圧部において、底壁をフランジの先端へ押圧する方法は、押圧部に設けられた押圧ローラーで行い、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面への押圧する方法は、押圧部に設けられた他の一対の押圧ローラーで行なうウエザストリップの取付け方法である。
【0017】
請求項2の本発明では、底壁をフランジの先端へ押圧する方法は、押圧部に設けられた押圧ローラーで行い、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面へ押圧する方法は、押圧部に設けられた他の一対の押圧ローラーで行なう。このため、組付治具を移動させることにより、押圧ローラーの回転で確実に、底壁へフランジの先端を押圧し、他の一対の押圧ローラーでフランジを挟持して車外側側壁の両面接着テープをフランジに押圧することができる。
【0018】
請求項3の本発明は、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面へ押圧する方法は、車外側側壁の車外側面に形成されたシール部を押圧して行なうウエザストリップの取付け方法である。
【0019】
請求項3の本発明では、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面へ押圧する方法は、車外側側壁の車外側面に形成されたシール部を押圧して行うため、シール部を車外側側壁の外面に形成しても、車外側側壁を強く押圧することができ、両面接着テープを確実にフランジの側面に接着することができる。
【0020】
請求項4の本発明は、フランジの先端に底壁を押圧するときに、フランジの先端を底壁の根元付近に形成された底壁段部に当接させて、次に、両面接着テープをフランジの側面に押圧するウエザストリップの取付け方法である。
【0021】
請求項4の本発明では、フランジの先端に底壁を押圧するときに、フランジの先端を底壁の根元付近に形成された底壁段部に当接させて、次に、両面接着テープをフランジの側面に押圧するため、フランジに対して両面接着テープを接着する位置を決めることを確実にすることができ、両面接着テープをフランジの所定の位置に接着することができ、シール部を所定位置に取り付けることができ、シール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、組付治具を使用して、車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材の全周に亘りウエザストリップを保持しつつ、取付基部をフランジに接着することができる。
組付治具の保持部と押圧部とで、ウエザストリップの取付基部をフランジの先端方向側に湾曲させるため、フランジに両面接着テープを押圧する直前に直前までフランジから離しておくことができ、コーナー部においても取付基部がフランジに当接することがなく、組付治具をスムースに移動させることができる。
また、底壁と車外側側壁を鈍角状に開かせて湾曲状にセットするため、フランジの先端が両面接着テープに接触することなく、底壁に当接させることができる。押圧部で、フランジの先端に底壁を押圧するとともに、車外側側壁の両面接着テープをフランジの側面に押圧するため、確実にフランジの先端を底壁に押圧して、フランジの先端をシールすることができ、両面接着テープをフランジの側面に確実に接着することができる方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態を、ドア2とオープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6のフランジ7に取付ける方法と装置を例にとり説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、スライディングルーフウエザストリップ、トランクウエザストリップ、バックドアウエザストリップ等の自動車の車体開口部と、その開口部を閉じる車体開口部開閉部材との間をシールするウエザストリップをフランジ7に取付ける方法と装置にも使用することができる。
【0024】
本発明を、図1〜図7に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10を、組付治具40を使用してフランジ7に取付ける状態を示す斜視図である。図2は、図1のD−D線に沿った断面図であり、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける直前に湾曲させた状態で保持する組付治具40の保持部60の部分の断面図である。図3は、図1のC−C線に沿った断面図であり、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付けるためにその取付基部(トリム部20)を押圧する組付治具40の押圧部50の部分の断面図である。
【0025】
図4は、図1のA−A線に沿った断面図であり、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける直前に湾曲させて、トリム部20が開いた状態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面図である。図5は、図1のB−B線に沿った断面図であり、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付けた後の取付状態を示す断面図である。
図6は自動車のドアを開いた状態において、オープニングトリムウエザストリップ10の車体開口部周縁6への取付状態を示す車体1の後方から見た斜視図である。図7は、車体開口部周縁6に装着されるオープニングトリムウエザストリップ10の全体の正面図である。
【0026】
図6に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6は車体1を構成するアウターパネル9やインナーパネル8等の先端が溶接されて、フランジ7(図1、図5参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が取付けられる。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が2枚〜5枚程度まで変化するためその厚さが車体1の部位により変化する。
【0027】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図7に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、組付治具40を使用して、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。環状に形成すると、装着することが容易となる。
【0028】
まず、図4及び図5に基づき、本発明の実施の形態においてフランジ7に取り付ける、オープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。組付治具40については後述する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略L字形のトリム部(取付基部)20と、トリム部20と一体的に形成され、ドア2のドアフレームの膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状のシール部(中空シール部)30を有する。
【0029】
トリム部20は、少なくとも車外側側壁21と底壁26とを有する断面略L字形の部分を備えている。トリム部20は、フランジ7の肉厚の変化に、柔軟に対応できるようにしたため、底壁26は所定の幅寸法を有している。トリム部20の車外側側壁21と底壁26は一体的に連続して形成され、フランジ7を挟持する挟持力を補強する金属板や硬質合成樹脂等で形成されたインサート(芯材)は埋設されていない。このためオープニングトリムウエザストリップ10を軽量化することができる。
【0030】
車外側側壁21は断面が車両の上下方向に沿って略平板状に形成され、車外側側壁21の車内側面には両面接着テープ25が貼着されている。オープニングトリムウエザストリップ10は、両面接着テープ25を組付治具を使用してフランジ7の側面に押圧することにより接着される。
両面接着テープ25を使用すると、フランジ7の車外側の面に接着するのみであるため、組付治具40を使用して、両面接着テープ25を圧着するのみであり、組付治具40の構造も簡単になり、車体開口部周縁6の部位によって、フランジ7の厚さが変化しても装着方法は同じであり、組付治具40もそのまま使用できる。また、同様に、フランジの厚さが変化してもフランジ7への接着力は同様であり、装着が容易である。また、車外側側壁21に両面接着テープ25を貼着すると貼着面積も大きく、強固にトリム部20を接着することができる。
両面接着テープ25をアクリルフォーム等のスポンジ材で形成し、肉厚を厚くしたり、車外側側壁21と両面接着テープ25の間にシール部30のスポンジ材と同じ材料での車外側側壁スポンジ層23を形成したりすると、車外側側壁21と両面接着テープ25の接着を強固にすることができるとともに、組付治具40で押圧するときに、フランジ7の側面に形成されたスポット痕等の凹凸に合わせて変形して密着させることができる。
【0031】
車外側側壁21の車内側面には車外側側壁突部24を設けてもよい。この車外側側壁突部24に沿って両面接着テープ25の側端を貼着すると、両面接着テープ25の位置決めをすることができる。これによって組付治具40のローラーが正しく両面接着テープ25部位を押圧することができ、車外側側壁21をフランジ7の所定位置に接着することができる。
車外側側壁21の車外側側壁突部24よりも先端側は、車外側側壁突部24よりも若干軟質のソリッド材で形成されている。このため、組付治具40へのセット時等で、トリム部20を幅方向に湾曲させることが容易となる。
【0032】
トリム部20のソリッド材は、IRHD60°〜85°のEPDMゴムやオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することができる。このため、フランジ7を保持するに十分な強度とフランジ7の形状の変化に追従することが可能な十分な柔軟性を併せ持つことができる。
底壁26と車外側側壁21とは、連続部27を介して、略L字形に連続して形成されており、車外側側壁21で底壁26を保持している。
【0033】
底壁26は、上記車外側側壁21から略垂直に横方向に延びて略平板状に形成される。底壁26と上記の連続部27は硬質の材料で形成されている。硬質の材料は、車外側側壁21の車外側側壁突部24付近から底壁26の先端まで連続して一体的に形成されている。
このため、フランジ7の先端が底壁26に当接して押しても、底壁26と車外側側壁21の連続部分が変形することが少なく、フランジ7の先端が固定され、車外側側壁21がフランジ7に接着される位置を定めることができ、フランジ7に確実に接着することができる。
【0034】
硬質の材料としては、硬質ゴムまたは硬質合成樹脂を使用することができ、硬質ゴムとしては、IRHD90°〜95°の硬質のEPDMゴム等を使用することができ、硬質合成樹脂としては、硬質のポリエチレン、ポリプロピレン等を使用することができる。さらに、IRHD90°〜95°の硬質のオレフィン系熱可塑性エラストマーも使用することができる。
【0035】
これらの硬質の材料は伸縮性が小さく、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に装着するときに、フランジ7に対して伸びが少なく、オープニングトリムウエザストリップ10の一部がフランジ7から浮上がったり、オープニングトリムウエザストリップ10にシワが寄ったりすることが無い。
【0036】
底壁26は、その根元付近、即ち、車外側側壁21との連続部分の付近の内面に、フランジ7の先端を係止する底壁段部29が形成されている。底壁段部29は、底壁26に断面がL字形の階段状に形成されてもよく、あるいは、後述する遮音スポンジ28の側面と底壁26の内面とでを形成してもよい。
後述するように、組付治具40を使用して取付ける場合において、組付治具40の第3押圧ローラー54により押圧されて、図5に示すように、底壁段部29の底の部分にフランジ7の先端、本実施の形態ではアウターパネル9の先端が当接して、底壁段部29の側面の部分にアウターパネル9の先端部分の側面が当接して、アウターパネル9の先端が係止される。これによって、オープニングトリムウエザストリップ10がフランジ7に装着される位置を確実に定めることができる。
【0037】
底壁26の内面には、コーキング材である遮音スポンジ28が設けられている。スポンジ材以外でも柔軟性があり、フランジ7のインナーパネル8等の先端を包み込んでシールすることができるものであればよい。遮音スポンジ28は底壁26の車内側の端から底壁段部29の付近まで中空状で断面が三角形に形成されており、フランジ7の最も長い先端であるアウターパネル9の先端が底壁段部29に当接することができるように形成されている。
【0038】
底壁26の硬質の材料は、上記のように、例えば、車外側側壁突部24と同様に、IRHD90°〜95°の硬質ゴムから形成することができる。このため、フランジ7の先端が底壁段部29に当接しても、十分な硬度を有しており、底壁段部29が変形されることが少ない。但し、組付治具40にセットする時等、曲率が大きくなるような湾曲させた場合には、IRHD90°〜95°の硬質ゴムで底壁26と車外側側壁21との連結部位が形成されていたとしても、底壁26と車外側側壁21が鈍角状に開くように、弾性変形することができる。
【0039】
車外側側壁21の外面には中空シール部30が一体的に設けられている。中空シール部30は、スポンジ材で形成され、車外側側壁21の外面に断面形状が略楕円形の中空状に形成される。スポンジ材はスポンジゴム、スポンジ熱可塑性エラストマー等を使用する。中空シール部30は、ドア閉時に、例えば、ドア2のドアフレームの膨出部2aに当接してドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。中空シール部30の代わりに中空状ではなく、リップ状のシール部を車外側側壁21の外面に設けてもよい。
【0040】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける組付治具40について説明する。図1に示すように、組付治具40は、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付け直前に保持する保持部60と、そのオープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20を保持するとともに、フランジ7に押圧する押圧部50と、保持部60と押圧部50を連結する連結部70から構成されている。
【0041】
保持部60は、図2に示すように、保持部フレーム61と、保持部フレーム61にそれぞれ回転可能に取付けられた第1保持ローラー62及び第2保持ローラー63から構成されている。第1保持ローラー62は、離形紙が剥がされた後の両面接着テープ25の部分を保持し、第2保持ローラー63は、トリム部20の底壁26と中空シール部30を保持して、後述する押圧部50とともにオープニングトリムウエザストリップ10の取付け直前の部分を湾曲させて保持している。第1保持ローラー62の表面は、高密度ポリエチレンやテフロン(登録商標)等の接着性の低い材料で形成されているため、第1保持ローラー62が両面接着テープ25の表面と接触しても、両面接着テープ25が第1保持ローラー62に接着することはない。
なお、離形紙の剥がしを第1保持ローラー62の通過直後に行なうようにしてもよい。この場合には、第1保持ローラー62の表面の材質を接着性の低い材料としなくてもよい。
【0042】
押圧部50は、図3に示すように、押圧部フレーム51と、押圧部フレーム51にそれぞれ回転可能に取付けられた第1押圧ローラー52、第2押圧ローラー53及び第3押圧ローラー54から構成されている。第1押圧ローラー52と第2押圧ローラー53は、フランジ7の肉厚の変化や凹凸を吸収するため、図3の横方向にスライド可能にしてもよい。このとき、第1押圧ローラー52又は第2押圧ローラー53は、バネ力でフランジ7方向に付勢されることが望ましい。
第1押圧ローラー52は、オープニングトリムウエザストリップ10の中空シール部30を押圧して、車外側側壁21の内面に貼着された両面接着テープ25をフランジ7の側面に押圧して接着する。
【0043】
第2押圧ローラー53は、フランジ7の車内側面に当接して、第1押圧ローラー52と第2押圧ローラー53とで車外側側壁21とフランジ7を挟むことにより、両面接着テープ25をフランジ7の車外側側面に強く接着することができる。
第3押圧ローラー54は、底壁26の外面と中空シール部30の側端とに当接して、底壁26をフランジ7の先端方向に押圧することができ、フランジ7の先端と底壁26を密着させ、その間をシールすることができるとともに、両面接着テープ25がフランジ7に接着される位置を決めることができる。
なお、上気したようにオープニングトリムウエザストリップ10は、押圧部50においても、第1、第2、第3押圧ローラー52、53、54によって保持されている。また、押圧部50においては、トリム部20がフランジ7に沿わせて配置される。
【0044】
連結部70は、保持部60と押圧部50を一体的に略直角の角度で接続している。連結部70の角度は、車体開口部周縁6のコーナー部の形状等に応じて変化させることができる。このため、オープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20を押圧部50でフランジ7に圧着して取付けしつつ、保持部60で取付け直前のトリム部20をフランジ7の先端方向が側に、略直角状に湾曲させることができる。このため、フランジ7の側面に両面接着テープ25を押圧する直前までフランジ7から離しておくことができ、両面接着テープ25がフランジ7の先端や側面の所定の場所以外のところに接触することがない。したがって、確実に車外側側壁21をフランジ7の所定の位置に取付けることができる。また、車体開口部周縁6のコーナー部においてもトリム部20がフランジ7の曲がりに応じてそれ以上に湾曲させられているので、フランジ7のコーナー部に当接することがなく、組付治具40をスムースに移動させることができる。
【0045】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける方法について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける場合には、まず、組付治具40を使用して、図2に示すように、保持部60にオープニングトリムウエザストリップ10を挿入し、その後、図3に示すように、押圧部50によりトリム部20の車外側側壁21に貼着された両面接着テープ25をフランジ7の側面に押圧して接着させる。そして、組付治具40をフランジ7に沿って、図1においては右から左の方向へ移動させることにより、順次、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける。
【0046】
このときオープニングトリムウエザストリップ10は、組付治具40の進行につれて、組付治具40の直前で、両面接着テープ25の離形紙が剥がされるとともに、フランジ7の先端の方向に、即ち、車外側側壁21の幅方向に、順次、略直角状に湾曲させられる。そのためトリム部20、特に、両面接着テープ25が、取り付け直前までフランジ7と接触することがない。
さらに、図4に示すように、トリム部20が大きな曲率で湾曲させられることにより、車外側側壁21と底壁26が鈍角をなすように開くことができる。このため、フランジ7の先端を両面接着テープ25に接触させることなく、底壁26に当接することができ、フランジ7に対して車外側側壁21の位置が定まり、図5に示すように、フランジ7の側面の所定の位置に両面接着テープ25接着することができる。
【0047】
そして、フランジ7の先端が底壁段部29に当接したのちに、組付治具40を進行方向(図1では右から左へ)に移動させることにより、押圧部50で、フランジ7の先端に底壁26を押圧するとともに、車外側側壁21の両面接着テープ25をフランジ7の側面に押圧、接着することができる。このようにして、組付治具40を移動させることのみで、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付けることができる。このため、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に仮止めすることなく、オープニングトリムウエザストリップ10を保持しつつ取付けることができ、取付け作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップを、組付治具を使用してフランジに取付ける状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップを保持する組付治具の保持部の部分の断面図であり、図1のD−D線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態であるのオープニングトリムウエザストリップをフランジ押圧する組付治具の押圧部の部分の断面図であり、図1のC−C線に沿った断面図である。
【図4】オープニングトリムウエザストリップのトリム部が開いた状態の断面図であり、図1のA−A線に沿った断面図である。
【図5】オープニングトリムウエザストリップをフランジに取付けた後の取付状態を示す断面図であり、図1のB−B線に沿った断面図である。
【図6】自動車の側面の後方から見た斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図8】従来のオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図9】従来の他のオープニングトリムウエザストリップをフランジに取付ける上体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
6 車体開口部周縁
7 フランジ
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部
21 車外側側壁
25 両面接着テープ
26 底壁
40 組付治具
50 押圧部
52 第1押圧ローラー
53 第2押圧ローラー
54 第3押圧ローラー
60 保持部
62 第1保持ローラー
63 第2保持ローラー
70 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップを上記車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに組付治具を使用して取付ける取付け方法において、
上記ウエザストリップは、上記フランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である上記車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、上記取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁とを有する断面略L字形部分を備え、該車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着され、
上記組付治具は、上記ウエザストリップを保持する保持部と、上記取付基部を上記フランジに押圧する押圧部を有し、
上記組付治具の保持部と押圧部とで、上記ウエザストリップの取付基部を上記フランジの先端方向側に湾曲させ、上記底壁と車外側側壁を鈍角状に開かせて湾曲状にセットし、その状態で上記組付治具を上記フランジに沿わせ、上記押圧部で、上記フランジの先端に上記底壁を押圧するとともに、上記車外側側壁の両面接着テープを上記フランジの側面に押圧して、上記ウエザストリップを上記フランジに取付けることを特徴とするウエザストリップの取付け方法。
【請求項2】
上記組付治具の押圧部において、上記底壁をフランジの先端へ押圧する方法は、上記押圧部に設けられた押圧ローラーで行い、上記車外側側壁の両面接着テープを上記フランジの側面へ押圧する方法は、上記押圧部に設けられた他の一対の押圧ローラーで行なう請求項1に記載のウエザストリップの取付け方法。
【請求項3】
上記車外側側壁の両面接着テープを上記フランジの側面へ押圧する方法は、上記車外側側壁の車外側面に形成された上記シール部を押圧して行なう請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップの取付け方法。
【請求項4】
上記フランジの先端に上記底壁を押圧するときに、上記フランジの先端を底壁の根元付近に形成された底壁段部に当接させて、次に、上記両面接着テープをフランジの側面に押圧する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウエザストリップの取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−253794(P2007−253794A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80935(P2006−80935)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】