説明

エッチング方法

フッ素と、窒素および/またはアルゴンのような不活性ガスとの混合物を、半導体、ソーラーパネル、およびフラットパネル(TFTおよびLCD)をエッチングするため、ならびに半導体表面およびプラズマチャンバーをクリーニングするために使用することができる。二元混合物の中にフッ素が、15〜25容積%の量で含まれているのが好ましい。それらのガス混合物は、NFを含むそれぞれの混合物に対する、代替物またはドロップインとして使用することが可能であり、プラズマ装置の運転を極めてフレキシブルとすることができる。たとえば、NF/Ar混合物用に調整された装置を、さらなる調整をすることなく、フッ素とアルゴン、場合によっては窒素も加えて使用して運転することが可能である。フッ素、窒素およびアルゴンの三元混合物を使用する場合、そのフッ素含量は、1〜5容積%の範囲とするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fを含むガスを使用して基板をエッチングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)および原子層蒸着法(ALD)プロセスは、半導体を製造するために広く使用されている。そのようなプロセスによって、例えば、SiO(略してSiONと呼ぶこととする)層は、いわゆるTEOS/オゾンCVDプロセスによって調製することができるが、それでは、プラズマ装置の中でオゾンの存在下にテトラエトキシシランを処理する。SiOは、熱成長法によって析出させることができる。PVDプロセスを使用すれば、W、TiN、およびTaNを析出させることが可能である。
【0003】
それぞれの装置を運転している間に、基板の上だけではなく、反応器チャンバーの内壁の上にも析出が起きる。受容可能な粒子レベルで均質な表面を有する、安定で再現性のある析出結果を得るためには、そのような析出物を定期的に除去するのが望ましい。プロセスを安定に維持する必要性が高い場合には、チャンバーのクリーニングを頻繁に実施することになる。主要なクリーニングガスとして出現してきたNFは、かなり高価である。
【0004】
(特許文献1)には、チャンバーをクリーニングするためのクリーニングガスが開示されているが、それに含まれているのは、SFおよびFおよび/またはNFである。(特許文献2)には、チャンバーをクリーニングするためのプロセスが開示されており、そこでは、Fまたはフッ素化合物ならびに酸素または酸素化合物が使用されている。そのようなガス混合物を用いると、重合体フルオロカーボン汚染物を除去することができる。同様にして、半導体の表面上のそのような汚染物も除去することができる。そのような汚染物は多くの場合、エッチングガスとしてフルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボン、例えばCF、CおよびCHF、場合によっては水素を混合して使用する、プラズマチャンバーの中で半導体をエッチングするときに形成される。
【0005】
半導体を製造する場合にエッチングガスとしてNFが使用される場合が多い。それは、SiON、アモルファスSi、SiO、TiN、TaN、またはW(タングステン)のような無機コーティングをエッチングするために使用することができる。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0056388号明細書
【特許文献2】米国特許第5425842号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、チャンバーのクリーニングガスとして、および半導体製造の分野におけるその他の目的のために有効であり、環境破壊的な地球温暖化放出物を顕著に抑制した、エッチングガス組成物を規定することである。本発明の特定の課題は、混合物の形態であって、チャンバーのクリーニングの枠内において、特に無機汚染物をエッチングするのに使用することが可能な、無機材料をエッチングするために有用なエッチングガス組成物を規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のそれらおよびその他の目的は、特許請求項に記載の方法によって達成される。
【0008】
本発明による方法は、半導体材料のエッチング(例えば、反応性イオンエッチング、略してRIE)、半導体、ソーラーパネルおよびフラットパネルの表面クリーニングおよび表面調製(薄膜トランジスタ、液晶ディスプレー、略してTFT/LCD用途)、ならびに半導体製造のためのチャンバーのクリーニング(TFT/LCD用途)を提供するが、それは、フッ素と、窒素および貴ガス(He、Ar、XeおよびKr)からなる群から選択される1種または複数の不活性ガスとの混合物を適用することを特徴としている。一般的に、その混合物のフッ素含量は、好ましくは1〜35容積%の間、より好ましくは15〜25容積%の間である。特に好ましい実施態様においては、フッ素の含量は18〜22容積%の範囲に入る。その混合物は、反応器の中で形成させることもでき、あるいは、好ましくは、フッ素と1種または複数の不活性ガスとの混合物を、それを反応器の中に導入するより前に形成させる。ガスを、そのような予め混合した形態で反応器の中に導入すると、反応器チャンバー全体にわたって均質な混合物が与えられる。フッ素含有混合物をNFに対するドロップイン(drop-in)方式で使用する場合、そのフッ素含量はさらに低くてもよい。このことについては、以下において説明する。
【0009】
本発明の好ましい実施態様においては、そのガス混合物がフッ素と、1種または複数の不活性ガスとからなり、フッ素は上述の範囲の内で存在し、その1種または複数の不活性ガスは100容積%とするための残量で存在する。そのようなガス混合物は、SiON、アモルファスSi、SiO、TiN、TaN、またはWのような半導体材料をエッチングするため、または半導体の表面をクリーニングするため、もしくは上述のもののような無機材料もしくは有機材料によって汚染されたチャンバーをクリーニングするために有利に使用することができる。そのような有機材料は、すでに説明したように、ポリ−またはペルフルオロカーボン化合物を使用して半導体材料をエッチングしたときに生成する可能性がある。そのガス混合物を用いた処理は、プラズマの存在下で実施することもでき、またはプラズマの不存在下で実施することもできる。後者の場合には、その温度を、400℃以上、好ましくは450℃より高く、650℃までまたはそれ以上とするのが好都合である。好結果が得られる範囲は、400〜800℃の間、好ましくは400〜650℃、特に好ましくは450〜650℃の間の範囲である。
【0010】
フッ素と1種の不活性ガスとの混合物、例えば、フッ素とアルゴンとの混合物またはフッ素と窒素との混合物が、上述の目的のためには極めて有効であることが見出された。それらは、商業的な装置において実施されるCVD、PVD、またはALDプロセスにおいて使用することができる。それらの装置のいくつかは、上述の処理のために現在多く使用されているガスを用いて運転する目的で調整されている。例えば、そのような装置は、ある種の不活性ガスとNFとの混合物を用いて運転するように調整することができる。それに代えて、フッ素とそれぞれの不活性ガスとの混合物を用いてそのような装置を運転しようとする場合、装置を調整して、問題が起きないようにするべきである。フッ素とそれらの不活性ガスは、混合物として送入することもでき、あるいは相互に別個に送入することもできる。以下においては、この実施態様については、「ドロップイン」という用語を用いることとする。この用語は、例えばその装置の調整の観点から、そして多くの場合さらに反応器中におけるガスの物理的条件例えば、反応器中に適用される圧力および温度の観点から、実質的に同一の条件下で、典型的にNF/不活性ガスを用いてプロセスが実施されるということを表している。基本的には、ドロップイン法には、NF/不活性ガスとF/不活性ガスとを切り替えながら、装置が運転されるという状況が含まれる。「ドロップイン」という用語が、元々はNF/不活性ガスの混合物のために調整し、それを用いて運転可能となっている装置を、F/不活性ガスの混合物を用いてもそのまま運転できるような状況を表しているのが好ましい。
【0011】
本発明のこの態様を、そのようなプラズマ装置の中で窒素、フッ素およびアルゴンの適用を与える好ましい実施態様に関連させてさらに説明する。
【0012】
例えば、フッ素とアルゴンとの混合物は、NFを含む混合物、特にNFとArとを含むものに対する優れたドロップイン代替物である。同様にして、フッ素と窒素との混合物またはフッ素とヘリウムとの混合物は、前記不活性ガスとNFとを含む混合物を用いて運転される装置のための優れたドロップイン代替物である。通常、NFと特定の不活性ガス例えばアルゴンとのために調整された装置は、フッ素と各種のその他の不活性ガスとのガス混合物を用いてさえも運転することが可能であるが、そのためには、その装置を調整した、その特定の不活性ガスが、フッ素とその他の種類の不活性ガスとのガス混合物の中に、ある最小限の量で含まれている必要がある。例えば、アルゴンとNFとの混合物のために調整した装置は、フッ素と窒素との混合物を用いて運転することができるが、ただし、幾分かのアルゴンをそのチャンバーの中に追加として加える必要がある。多くの場合、その装置に何の調整を加えることなく、プラズマで運転可能に維持するには、最小限50容積%の量のアルゴンがあれば十分である。この最小量は、場合によっては具体的な装置に依存するが、プラズマの安定性をチェックすることにより簡単に見出すことができる。当然ながら、調整の観点から必要とされる追加の不活性ガスを、フッ素とその他の不活性ガスとの混合物の中に含ませておくことができ、あるいは、それを別途にその装置の中に供給することもできる。好適な貴ガスはアルゴンである。前述のようなことから、そのような好適なドロップインプロセスにおいては、不活性ガスをさらに含むガス混合物の構成成分として、NFに代えてFガスが選択されることは、明らかである。
【0013】
フッ素、窒素およびアルゴンを適用することが好ましいが、この場合、少なくともフッ素および窒素をガス混合物として供給する。アルゴンとは別に、フッ素と窒素とを混合物として供給する場合には、窒素/フッ素の混合物の中のフッ素含量は、上述したように、15〜25容積%の範囲とするのが好ましい。アルゴンをフッ素/窒素の混合物とは別個に供給する場合、窒素/フッ素の混合物の容積とアルゴンの容積を調節して、窒素/フッ素とアルゴンとを合計したものの中のアルゴンの含量が、好ましくは少なくとも50容積%となるようにする。基本的には、反応器中の混合物を形成するアルゴン、窒素、およびフッ素ガスを合計したものの内のフッ素の含量は各種変化させることが可能であって、1〜25容積%の範囲とすることができる。反応器中の窒素、フッ素、およびアルゴンガスを合計したものの内の窒素の含量もまた各種変化させることが可能であって、4〜50容積%の範囲とすることができる。アルゴンは、100容積%とするための残量であるのが好ましい。上述したように、フッ素と窒素は、混合物として供給するのが好ましく、フッ素の窒素に対する容積比は、15:85〜25:75の範囲とするのが好ましい。したがって、フッ素および窒素の含量は低いレベルである。窒素/フッ素の混合物とアルゴンとを反応器チャンバーに送入するのが特に好ましいが、その際、このガス供給を合計したものはフッ素、窒素、およびアルゴンからなり、そのフッ素の含量は1〜5容積%の範囲であり、フッ素対窒素の容積比は15:85〜25:75の範囲であり、アルゴンは100容積%とするための残量である。フッ素の最も好ましい範囲は1〜4容積%である。フッ素対窒素の好適な容積比は18:82〜22:78であり、アルゴンは100容積%とするための残量である。
【0014】
2本の異なった配管から別個に送入する代わりに、窒素/フッ素の混合物とアルゴンとを1本の配管で送入することも可能であるが、その場合、反応器チャンバーに入るより前にそれらを予備混合するか、あるいは、三元混合物の形態で予備混合して供給することもできる。そのような三元混合物は、耐圧びんの中で所望の量のフッ素、アルゴン、および窒素を凝縮させることによって、容易に調製することができる。
【0015】
例えば、半導体、ソーラーパネル、フラットパネルを処理するためのプラズマ使用の装置、それらの表面のクリーニング、ならびにチャンバーのクリーニングにおいて、NFに対するドロップインとしてのフッ素と不活性ガスとの混合物ならびに不活性ガスを使用することは、本発明のまた別な態様である。
【0016】
ほとんどの目的においては、アルゴン(Ar)が好適な不活性ガスである。タングステンをエッチングする場合には、Ar/Fに比較して、N/Fの方がより効果的である。
【0017】
本発明による方法は、半導体、ソーラーパネル、およびフラットパネル(TFT/LCD)の製造の分野において広く適用することが可能である。
【0018】
本発明の1つの態様は、半導体の製造に使用されるか、またはその結果物である材料のエッチングに関する。例えば、記載のフッ素と1種または複数の不活性ガスとの混合物を使用して、無機材料例えばアモルファスSi、特にSiON、TaN、TiN、W、およびSiOをエッチングすることができる。それらの材料は多くの場合、半導体を製造する際のCVD、PVDまたはALDプロセスを介して製造される。その混合物は、有機材料例えばフォトレジストをエッチングするのに使用することもできる。この場合、その混合物を酸素と共に使用すると有利である。
【0019】
本発明のまた別な態様においては、上述のガス混合物を、チャンバーをクリーニングするため、または半導体基板、フラットパネル(TFT/LCD)などの表面をクリーニングするために使用する。上述したように、CVD、PVD、またはALDプロセスの際に、使用されたチャンバー内や、さらにはそのチャンバーの中で処理された半導体材料の上で、無機または有機汚染が起きる可能性がある。
【0020】
タングステンをエッチングするために好適な混合物は、フッ素と窒素とからなっている。SiON、TaN、TiN、SiO、およびアモルファスSiなどのようなその他の無機材料をエッチングするために好適な混合物は、フッ素とアルゴンとからなっている。二元混合物を使用する場合、18〜22容積%のフッ素と、それぞれ残量の窒素またはアルゴンとからなる混合物が特に好ましい。場合によっては有利となりうる、三元混合物を使用する場合、この場合もまたフッ素含量が好ましくは1〜5容積%である。
【0021】
図1に、フッ素含量に関して正規化させた、半導体およびフラットパネルを製造する際によく使用されるいくつかの無機材料に適用した、フッ素と窒素またはアルゴンとのガス混合物の150℃における相対的なエッチング速度を示す。100%に設定したNFのエッチング速度を、比較のために点線で示している。図2は、300℃でエッチングを実施した場合の結果を示している。
【0022】
一般的には、エッチングまたはチャンバーのクリーニングの場合の圧力は周囲圧力(1バール)よりも低い、すなわち真空下で実施される。100〜2000Paの範囲の圧力でエッチングを実施するのが好ましい。極めて多くの場合、その圧力は、好ましくは100〜1000Paの範囲、特に好ましくは200〜800Paの範囲の圧力、さらにより好ましくは300〜600Paの範囲である。所望により、示したよりも低いまたは高い圧力でエッチングを実施することが可能ではあるが、エッチング速度が低下する。
【0023】
エッチングをプラズマの存在下に実施する場合、その温度は、周囲温度(約20℃)〜400℃の範囲とするのが好ましい。温度が100℃〜400℃の範囲であれば、特に好ましい。
【0024】
プラズマの不存在下でエッチングを実施する場合、好適な温度の範囲は上述したものである。
【0025】
また別な実施態様においては、チャンバーをクリーニングするために、フッ素と不活性ガスとの混合物を使用する。チャンバーの内側がWで汚染されている場合には、フッ素と窒素との混合物が極めて好適である。その他の汚染物に対しては、フッ素とアルゴンとの混合物が好ましい。温度および圧力の好ましい範囲は、エッチングについて上述したものと一致する。
【0026】
この実施態様においても、それらの混合物を、プラズマの不存在下で実施されるプロセスで使用することができ、あるいは、プラズマ使用のプロセスで使用することもできる。フッ素化されたポリカーボン材料のような有機物質を除去しようとする場合、酸素を添加するのが有利である。
【0027】
本発明による方法は、半導体、TFT、LCD、ソーラーパネル、およびフラットパネルを調製するのに一般的に使用される装置において実施することができる。例えば、プラズマの存在下または非存在下で作動している、CVD装置、PVD装置、またはALD装置の中でそれを使用することができる。本方法は、遠隔プラズマを使用する装置、および高周波エネルギーで導入されるか、マイクロ波エネルギーで導入されるかには関係なく、チャンバー内でプラズマが直接作りだされる装置には適している。
【0028】
1つの好ましい実施態様においては、フッ素と不活性ガスとをチャンバーの中に、別々にではなく、予め混合した均一な混合物として導入する。そうすることによって、所定の比のフッ素と不活性ガスとを、反応器全体にわたって均質に提供することが保証される。三元混合物を使用する場合には、それらを予め混合した形態で供給することもでき、あるいは、それらを部分的に混合して反応器の中に供給することもできる。好ましい実施態様では、すでに予め混合された、フッ素とアルゴン、またはフッ素と窒素の供給を適用するが、後者の場合、追加のアルゴンの供給を望むならば、それは個別に実施してもよく、あるいはフッ素および窒素と共に三元混合物の形態において実施してもよい。
【0029】
本発明による方法の利点は、NFを、GWPおよびオゾンの観点から環境に優しいガス混合物に取り替え可能であることであるが、その理由は、NFが極めて高いGWPを有するのに対して、Ar、N、Fおよびそれらの混合物のGWPはゼロである。本発明によるガス混合物は、多くの用途において(例えば、F/ArもしくはF/Nを用いて150℃でアモルファスSi、SiONもしくはSiOをエッチングする場合、またはF/Nを用いて300℃でTaNもしくはSiONをエッチングする場合、またはチャンバーのクリーニングにおいてそのような汚染物を除去する場合には)、NFを使用する従来からのエッチングまたはクリーニング方法に比較して、NFが3個のF原子を与え、Fが2個のF原子しか与えないことを考慮に入れれば、同等であるかまたは場合によってはより良好でさえあることが判明した。本方法のさらなる利点は、フッ素と不活性ガスとの混合物を、NFの代わりにフッ素を含むそれぞれの混合物として、ドロップイン代替物として使用することが可能である点にある。装置がNFと各種の不活性ガスとの混合物に合わせて調整(このことは、最適なエッチングガス効果を達成するための、ガスフロー調節器およびバルブの質量流量、サンプルプレートの加熱、流量および流速のようなパラメーター、反応器温度、反応器全体における流れの均質性などの調整を意味している)されている場合には、そのために装置が調整されるような不活性ガスを追加で供給しても、運転可能な状態を与える。したがって、その装置は、再調整することなく、最もフレキシブルに運転することが可能であり(再調整は、極めて時間がかかり、また大量の実験作業=実験計画を必要とする)、さらに、ある時はNFを用い、別な時にはフッ素を用いて、無駄な遅れを伴うことなくその装置を運転することさえ可能である。
【0030】
本発明のまた別な態様は、フッ素と、窒素および貴ガスからなる群から選択される1種または複数の不活性ガスとを含むか、好ましくはそれらからなるガス混合物に関する。1つの好ましい実施態様においては、フッ素は、1〜35容積%の範囲で二元混合物の中に存在する。その二元混合物の中で、フッ素の含量が15〜25容積%であれば極めて好ましく、18〜22容積%の範囲であればさらにより好ましい。好適な貴ガスはArである。特に好適なのは15〜25容積%のフッ素と75〜85容積%のArとからなる混合物であり、さらにより好ましいのは、18〜22容積%のフッ素と78〜82容積%のArとからなる混合物であり;最も好ましいのは、20容積%のフッ素と80容積%のArとからなる混合物である。当然ながら、そのような二元混合物は、追加して供給されるガスと共に使用することが可能であり、例えば上述の容積範囲でフッ素と窒素とを含む二元混合物を、アルゴンと共に使用することが可能であり、その結果、供給されるアルゴンの量に相応に依存して、反応器チャンバー中のフッ素の含量が低下する。
【0031】
本発明のまた別な態様は、フッ素、窒素、および1種または複数の貴ガスを含むか、好ましくはそれらからなる混合物に関する。三元混合物が好ましい。そのような三元ガス混合物の中のフッ素の含量は、好ましくは1〜25容積%の範囲、特に好ましくは1〜5容積%の範囲である。窒素の含量は、好ましくは4〜50容積%の範囲である。1種または複数の貴ガスは、100容積%とするための残量とするのが好ましい。フッ素対窒素の容積比は、特に好ましくは15:85〜25:75の範囲、さらにより好ましくは18:82〜22:78の範囲である。好適な貴ガスはアルゴンである。極めて好ましいガス混合物は、フッ素、窒素、およびアルゴンからなり、そのフッ素の含量は1〜5容積%の範囲であり、フッ素対窒素の容積比は15:85〜25:75の範囲であり、そしてアルゴンは100容積%とするための残量である。これらの混合物においては、フッ素の好ましい範囲は1〜4容積%である。フッ素対窒素の好適な容積比は18:82〜22:78であり、アルゴンは100容積%とするための残量である。
【0032】
それらのガス混合物の利点は、半導体産業における用途、例えば反応性イオンエッチング、チャンバーのクリーニングのため、または半導体基板、ソーラーパネル、フラットパネル(TFT/LCD)などの表面をクリーニングするために、それらが極めて適している点にある。
【0033】
本発明のまた別な態様は、処理、特に、半導体、ソーラーパネル、またはフラットパネル(TFTおよびLCD)をエッチングまたは表面クリーニングするために適した装置であるが、その装置は、NF含有ガスのために調整されているが、それにはフッ素と、窒素および貴ガスから選択される1種または複数の不活性ガスとを含むガス混合物が含まれる。「調整」という用語が意味していることは先に説明したが、ガスフロー調節器の質量流量およびバルブなどの調節を行って、NF含有ガスの使用にその装置が適するようにすることである。1つの好ましい実施態様においては、その装置を、例えば配管を介して、1つまたは複数の容器、例えば上述のようなフッ素含有ガス混合物を含む耐圧びんと接続する。
【0034】
本発明のさらにまた別な態様は、プラズマ使用の処理装置、例えばチャンバーをクリーニング、半導体、ソーラーパネル、およびフラットパネル(TFTおよびLCD)の表面処理またはエッチングをするためのものにおいて適用されるガス混合物の成分としての、NFに対するドロップイン代替物としてのフッ素の使用である。好適なのは、NF含有ガスのために調整されているが、代替物としてのフッ素含有ガスを用いて運転されるプラズマ装置における使用である。当然ながら、そのフッ素含有ガスは、別途に反応器に供給され、その装置の中でのみ混合物を形成するような、NFと例えばアルゴンとのガス混合物を取り替えることが可能であるが、それらはさらに、予備混合された形態で反応器の中に供給されるそのようなNF含有混合物を取り替えることも可能である。
【0035】
この使用法の利点は、異なったガス混合物に対する調整を実施する必要がなく、そのためにドロップインタイプを使用することによって、時間も経費も節約することができる点にある。
【0036】
以下の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、それらは、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
[実施例]
【0037】
使用装置:
実験は、遠隔アストロン・アステックス(Astron Astex)プラズマ源(MKS・アストロン(MKS Astron)製、13.56MHzで運転、サンプル上32cmに配置)を取り付けた、特注のステンレス鋼真空チャンバー(容積26リットル)の中で実施した。ターボ式分子ポンプとBOC・エドワーズ(BOC Edwards)ドライポンプを使用して、チャンバーを真空にした。質量分析法を用いて排気ガスの分析を行ったが、差分的にポンプ引きをした(differentially pumped)レイボルド−インフィコン・トランスペクター(Leybold−Inficon Transpector)200amu単位を使用した。サンプルは、反応器チャンバーの中央のチャックの上に置いた。チャンバーの中の温度を調節して、室温(約20℃)から300℃の間で変化させることが可能とした。
【0038】
実験を実施する前に、真空系を最初に低流量のF/Nを用いてフラッシングし、次いで高圧のF/N(流動させず)を数時間かけることによって、その真空系を不動態化させた。これを2回繰り返した。
【0039】
/ArおよびF/Nの混合物を容積比20:80で使用したが、それらは2リットルの耐圧びんの中に、それぞれ10バールまでおよび38バールまでで貯蔵しておいたものである。
【0040】
遠隔プラズマ源は通常は、純アルゴンの存在下で点火させた。プラズマが安定状態となった直後に、フッ素を含むガス混合物を導入した。フッ素とアルゴンとの混合物は、ドロップイン法で何の支障もなく供給することができた。その使用した装置は、安定なプラズマが得られるようにAr/NF混合物のために調整してあったが、不活性ガスとしてフッ素と窒素との混合物を使用した場合には、その装置にアルゴンを連続的にさらに供給した。この方法では、ドロップイン法でフッ素/窒素の混合物を使用することができた。フッ素/窒素とアルゴンの送入を別にすることによって、アルゴン含量を微調整することができる。フッ素、窒素およびアルゴンの三元混合物を使用すると、反応器に送入するときに、それらの混合物がすでに均質となっているという利点がある。
【0041】
エッチング速度の測定:
エッチング速度は、サンプルに直射させた645nmのレーザーを使用した反射率法(reflectrometry)により、インサイチュで測定した。エッチング速度は、除去終点が検出された場合には、膜の厚みを時間で除算することによって計算した。
【0042】
アルゴンとフッ素、および窒素とフッ素の混合物の調製法:
アルゴンとフッ素とを、容積比20:80で、2リットルの耐圧びんの中で凝縮させて、10バールの圧力まで充填し、それによって両方の化合物の均質な混合物を形成させた。
【0043】
窒素とフッ素とを、容積比20:80で、2リットルの耐圧びんの中で凝縮させて、38バールの圧力まで充填し、それによって両方の化合物の均質な混合物を形成させた。
【0044】
サンプル:
サンプルのサイズは20×20mmであった。検討する材料を150nmのサーマルSiO層の上に析出させて、干渉計による測定を可能とした。SiONおよびSiOのサンプルは、バルクのシリコンの上に析出させたが、それは、それらの光学的な性質が干渉計による測定を可能としているからである。
【0045】
以下のサンプルを使用した:
a)バルクのシリコン上1000nmのSiO(SiONと呼ばれているもの)、従来のTEOS/オゾンCVDプロセスにより析出させたもの。
b)1000nmのSiO、バルクのシリコンの上に熱的に成長させたもの。
c)300nmのタングステン、従来のPVDプロセスにより析出させたもの。
d)300nmのTiN、従来のPVDプロセスにより析出させたもの。
e)200nmのTaN、従来のPVDプロセスにより析出させたもの。
【0046】
プラズマの不存在条件下では、300℃までは、エッチングはまったく観察されなかった。これは、QMS(四重極質量分析計)測定におけるSiFのピークが存在しないことから検証された。
【0047】
実施例1:容積比20:80のフッ素と窒素との混合物を使用したSIONのエッチング
a)反応器内の温度を150℃に設定し、アルゴンを用いてプラズマを点火させ、プラズマ点火の直後にF/N混合物を、100sccmの流量で反応器の中に導入した。追加として、アルゴンを640sccmの流量で導入した。100Pa、200Pa、400Pa、および800Paの圧力で、相対的なエッチング速度を測定した。400Paでエッチング速度が最適となることが判った。
b)アルゴンガス流量900sccm、F/Nガス流量100sccmで、その実験を繰り返した。この場合もまた、400Paが最適であることが判ったが、フッ素の濃度が低いために相対的なエッチング速度が低くなった。
【0048】
比較例1:アルゴンとNFとの混合物を使用したSiONのエッチング
アルゴンとNFをそれぞれ350sccmと20sccmの流量で導入して、実施例1を繰り返した。この場合もまた、最適なエッチング速度は400Paで観察された。
【0049】
結果:(NF送入では3個のF原子であるのに対して、F送入では2個だけであるために)フッ素含量について正規化させた後では、実施例1a)の相対的なエッチング速度は、比較例1のそれよりはわずかに高かったが、それに対して実施例1b)のエッチング速度はわずかに低かった。
【0050】
実施例2:アルゴン/フッ素の混合物を使用したSiONのエッチング
アルゴンとフッ素との混合物(容積比80:20)を、各種の圧力および温度で、100sccmの流量で反応器の中に導入した。温度とは無関係に、400Paの圧力のときに最適な相対エッチング速度が得られることが判った。最高のエッチング速度は、300℃のところで観察された。
【0051】
結果:300℃では、100sccmのAr/フッ素のエッチング速度は、20sccmのNFのそれに50〜60%の違いで相当する。10.7sccmのNFが20sccmのF(Ar/フッ素混合物に含まれているもの)と質量的に等価であることから、わずかにエッチング速度が低下し、そのため、Ar/Fの質量単位あたりのエッチング速度がわずかに良好となる。
【0052】
実施例3:SiO、TiN、TaN、およびWのエッチング
実施例1および2ならびに比較例1と同様にして、SiO、TiN、TaN、およびWを、アルゴン/フッ素、窒素/フッ素(プラズマ安定化のために追加のアルゴンを供給)の混合物を用い、さらに比較のためにNFを用いてエッチングした。
a)150℃で実施したエッチング:
フッ素含量について正規化した相対的なエッチング速度を図1/2にまとめた。WおよびSiONの場合には、フッ素と窒素との混合物は、NF(100%に設定、点線で表してある)に比較して同等またはさらには明らかに高いことが認められる。SiON、TiNおよびSiOの場合には、フッ素とアルゴンとの混合物は、NFに比較して、同等またはさらには明らかに高い。TaNは、NFに比較して競合できる範囲で、フッ素およびアルゴンによってエッチングすることができ、フッ素とアルゴンとの混合物を用いたタングステンのエッチングは可能ではあるものの、そのエッチング速度は比較的に低い。
b)300℃で実施したエッチング:
結果を図2/2にまとめた。アルゴン/フッ素混合物を用いると、TaNでは極めて高いエッチング速度が得られ、窒素/フッ素の混合物を用いると、SiONのエッチングに極めて有効である。TiNおよびSiONをエッチングする場合には、アルゴン/フッ素はNFと競合的であり、窒素とフッ素との混合物(上述したように、プラズマ安定化のために追加のアルゴンを供給)を用いたWおよびSiONのエッチングでも同様である。アルゴン/フッ素を用いてWをエッチングすることも可能ではあるが、そのエッチング速度は比較的に低い。
【0053】
実施例4:プラズマ使用のチャンバーのクリーニング
a)SiO、SiON、TiN、TaN、およびWのような無機材料で汚染されたプラズマチャンバーを、アルゴンとフッ素の混合物、または窒素とフッ素との混合物(この場合もまた、その反応器がNF/Ar用に調整されている場合には、追加のアルゴンを供給するのが有利である)を使用して、クリーニングすることが可能である。アルゴンを用いてプラズマを開始させ、次いで、エッチングガス混合物(この場合には、クリーニングガス混合物である)を反応器の中に導入する。圧力は100〜800Paの範囲とするのが好ましいが、最適なのは400Paである。温度は150〜300℃の範囲とするのが好ましい。所望のレベルのクリーニングが達成されるまで処理を続ける。汚染物から生成するガス状の反応生成物(例えばSiF)は、クリーニングされる反応器チャンバーに真空をかけることによって除去することができる。
【0054】
そのようなクリーニングが望ましいときには、そのようなクリーニング工程を定期的な間隔で実施することができる。
b)プラズマチャンバーが、有機材料、例えば、部分的または全面的にフッ素化されていてもよい重合体炭素材料によって汚染されていることもあり得る。半導体またはフラットパネルを、エッチングガスとしてフルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボン、例えば、CF、CまたはCHFを使用するプラズマ条件下でエッチングしたような場合に、この汚染が起こりうる。そのような有機材料によって汚染されたチャンバーは、それぞれ実施例4a)に記載したようなアルゴンとフッ素との混合物、または窒素とフッ素との混合物を用い、温度250℃でクリーニングする。この場合もまた、アルゴンを用いてプラズマを開始させ、次いでクリーニングガスをチャンバーの中に導入する。クリーニングするチャンバーの中に酸素を導入することも極めて好ましい。有機汚染物から生成する反応生成物、例えばCO、(ヒドロ)フルオロカーボン反応生成物、またはフッ化カルボニルは、クリーニングされるチャンバーに真空をかけることによって除去することができる。そのようなクリーニング操作が望ましい場合には、このチャンバーのクリーニングは定期的に実施することができる。
【0055】
実施例5:半導体、フラットパネルなどの表面クリーニング
半導体、フラットパネルなどは、多くの場合、フルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボンエッチングガス、例えばCF、CまたはCHFを用いてエッチングされる。プラズマ条件下においては、有機材料が、反応器チャンバーの内部だけではなく、エッチングされた半導体またはフラットパネルの表面上にも形成される。そのような表面汚染物は、アルゴンとフッ素との混合物または窒素とフッ素との混合物、それぞれを使用して除去することができる。圧力と温度に関しては、実施例4aに好ましい範囲を挙げている。実施例4bと同様にして、その反応生成物は、半導体またはフラットパネルを入れたチャンバーから、真空をかけることによって除去することができる。
【0056】
実施例6:プラズマの不存在下の操作
エッチング、チャンバーのクリーニング、および半導体、フラットパネルなどの表面クリーニングは、プラズマの不存在条件下で実施することも可能である。その場合には、温度を少なくとも400℃に設定するのが好ましいが、かなり高く、650℃まで、800℃まで、さらにはもっと高く設定することも可能である。所望により、そのエッチングまたはクリーニング操作を、UV光によって支援することも可能である。
【0057】
実施例7:窒素とフッ素とアルゴンとからなる三元混合物を使用したチャンバーのクリーニング
A)ガス混合物の調製:
フッ素、窒素およびアルゴンを、下記の表(データは容積%で表示)に示された容積比で耐圧びんの中で凝縮させる。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例7.1〜7.3のガス混合物は、ガスフッ素と窒素との混合物(容積比20:80)を耐圧びんの中で加圧し、その前またはその後にアルゴンを添加することによっても、調製することができるということに留意されたい。
【0060】
B)エッチングのための三元混合物の適用:
完全に均質である実施例7.1〜7.3の混合物は、実施例1〜6と同様にして、半導体のエッチングまたはチャンバーのクリーニングのために使用することができる。それらの三元混合物が、反応器チャンバーの中に導入する前に、すでに均質な形態になっているということが有利な点である。
【0061】
実施例8:アモルファスSiの処理
アモルファスSiは、プラズマの不存在下またはプラズマ使用のCVD装置における半導体、ソーラーパネルまたはフラットパネルの製造のフレームにおいて生成する可能性がある。チャンバーの中、多くの場合はシリコン前駆体源の近くで、望ましくない析出が起きる。
【0062】
8.1:プラズマ使用チャンバーのクリーニング
望ましくないアモルファスSiの析出物があるプラズマチャンバーを、フッ素/アルゴンの混合物、フッ素/窒素の混合物(容積比20:80)を用いるか、または90容積%のArと、100容積%とするための残量のフッ素と窒素との混合物(容積比20:80)とを含む三元混合物を用いて、圧力400Pa、温度250℃で処理する。
【0063】
8.2:プラズマの不存在チャンバーのクリーニング
望ましくないアモルファスSiの析出物がある反応器チャンバーを、フッ素と窒素との混合物(容積比20:80)を用い、温度700℃で処理して、Si析出物を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】150℃における、NFの公知の最良の方法(BKM)に比較した、Ar/FおよびN/Fの、フッ素含量で正規化されたエッチング速度の比を示す。
【図2】300℃における、NFの公知の最良の方法(BKM)に比較した、Ar/FおよびN/Fの、フッ素含量で正規化されたエッチング速度の比を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料、ソーラーパネル、もしくはフラットパネル(TFTおよびLCD)の表面をエッチングもしくはクリーニングするか、または半導体製造のために使用された装置のチャンバーをクリーニングするための方法であって、フッ素と、窒素および貴ガスからなる群から選択される1種または複数の不活性ガスとを含むかまたはそれらからなる混合物を使用することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法がチャンバーのクリーニング方法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二元混合物を使用し、フッ素が前記二元混合物の中に、1〜35容積%、好ましくは15〜25容積%、特に好ましくは18〜22容積%の範囲で含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記二元混合物が、フッ素と窒素、またはフッ素とアルゴン、からなることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
フッ素、窒素、および貴ガスを含む三元混合物を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記三元混合物が、フッ素、窒素、およびアルゴンからなることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
フッ素含量が1〜5容積%の範囲であり、フッ素対窒素の容積比が、15:85〜25:75、好ましくは18:82〜22:78の範囲であり、アルゴンが100容積%とするための残量であることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
圧力が、100〜2000Pa、好ましくは100〜800Pa、特に好ましくは200〜600Paの間の範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法がプラズマ使用のものであり、温度が100〜350℃の間、好ましくは150〜300℃の間の範囲であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法がプラズマの不存在下で実施され、温度が少なくとも400℃、好ましくは400〜800℃の間、好ましくは100〜650℃の間、特に好ましくは450〜650℃の間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無機材料をエッチングするか、または無機材料によって汚染されたチャンバーをクリーニングすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記無機材料が、アモルファスSi、SiO、SiO、TaN、TiN、またはWであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記無機材料がWであり、前記ガス混合物がフッ素および窒素を含むかまたはそれらからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記無機材料が、アモルファスSi、SiO、SiO、TaN、またはTiNであり、前記ガス混合物がフッ素および窒素を含むかまたはそれらからなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記無機材料が、アモルファスSi、SiO、SiO、TaN、またはTiNであり、前記ガス混合物がフッ素およびアルゴンを含むかまたはそれらからなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
有機材料が半導体、ソーラーパネルまたはフラットパネル(TFTおよびLCD)の表面から除去されるか、または有機材料によって汚染されたチャンバーがクリーニングされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記有機材料が、エッチングガスとして、場合によっては水素の存在下に、フッ素化された炭素化合物を用いて半導体、ソーラーパネルまたはフラットパネル(TFTおよびLCD)をエッチングすることに由来するフッ素化されたポリマーであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有機材料の除去の際に、酸素をさらに存在させることを特徴とする、請求項1〜10、16または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
フッ素と1種または複数の不活性ガスとを含むかそれらからなる混合物を、NFと1種または複数の不活性ガスとを含むガス混合物に対する、好ましくは実質的に同一の条件下での、ドロップイン代替物として使用することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
CVD、PVDまたはALDプラズマ装置において、フッ素と1種または複数の不活性ガスとを含むかそれらからなるガス混合物を、NFおよび不活性ガスに対するドロップイン代替物として使用することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記フッ素/不活性ガスの混合物の不活性ガスが、前記NF/不活性ガスの混合物の不活性ガスに相当する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記フッ素/不活性ガスの混合物の不活性ガスが、前記NF/不活性ガスの混合物の不活性ガスには相当せず、そして前記NF/不活性ガスの混合物の不活性ガスが、前記プラズマ装置の中にさらに導入されることを特徴とする、請求項19または20に記載の方法。
【請求項23】
フッ素/アルゴンのガス混合物を、NF/アルゴンのガス混合物に対するドロップイン代替物として使用することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
フッ素/窒素のガス混合物をアルゴンと共に、NF/アルゴンのガス混合物に対するドロップイン代替物として使用することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記装置を前記フッ素含有ガス混合物に調整することなく、前記代替を実施することを特徴とする、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
フッ素と、窒素および貴ガスからなる群から選択される1種または複数の不活性ガスとを含むかそれらからなる混合物の内容を特徴とする、エッチングガス成分としてNFを使用するために調整された、半導体、ソーラーパネルおよびフラットパネル(TFTおよびLCD)をエッチングするためのプラズマ装置。
【請求項27】
それに接続された、フッ素と、窒素および貴ガスからなる群から選択される1種または複数の不活性ガスとを含むかそれらからなる混合物を含む容器を含むことを特徴とする、請求項26に記載のプラズマ装置。
【請求項28】
フッ素とアルゴン、フッ素と窒素、またはフッ素とアルゴンと窒素、からなる混合物を含むことを特徴とする請求項26または27に記載のプラズマ装置。
【請求項29】
NF/アルゴン混合物に対する調整がされていることを特徴とする、請求項26に記載のプラズマ装置。
【請求項30】
プラズマ装置に適用されるガス混合物の成分としてのNFに対するドロップイン代替物としての、フッ素の使用。
【請求項31】
半導体、ソーラーパネル、フラットパネルなどをエッチングするかもしくは表面クリーニングするため、またはチャンバーをクリーニングするための、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
NF含有ガスに対して調整されたプラズマ装置における、請求項30または31に記載の使用。
【請求項33】
前記ガス混合物が、窒素および貴ガスからなる群から選択される1種または複数の不活性ガスをさらに含む、請求項30〜32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記ガス混合物が、フッ素と窒素、フッ素とアルゴン、またはフッ素と窒素とアルゴン、からなることを特徴とする、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
フッ素と、窒素および貴ガスからなる群から選択される1種または複数の不活性ガスと、からなるガス混合物。
【請求項36】
容積比1:99〜35:65、好ましくは15:85〜25:75であるフッ素と窒素とからなるか、または、容積比が1:99〜35:65、好ましくは15:85〜25:75であるフッ素とアルゴンとからなる、請求項35に記載のガス混合物。
【請求項37】
前記容積比が18:82〜22:78である、請求項36に記載のガス混合物。
【請求項38】
フッ素と、窒素と、貴ガスの1種とからなる、請求項35に記載のガス混合物。
【請求項39】
フッ素と窒素とアルゴンとからなる、請求項38に記載のガス混合物。
【請求項40】
前記フッ素含量が1〜5容積%の範囲であり、フッ素対窒素の容積比が15:85〜25:75の範囲であり、貴ガス、好ましくはアルゴンが100容積%とするための残量である、請求項38または39に記載のガス混合物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−533853(P2009−533853A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504707(P2009−504707)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053421
【国際公開番号】WO2007/116033
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】