エネルギー照射装置、制御装置及び制御方法
【課題】 生体の深部に位置する病変部位を加熱治療するエネルギー照射装置において、生体の血管組織の個人差に関わらず、病変部位を適切な温度で加熱することができるようにする。
【解決手段】 生体にエネルギーを照射する医療用のエネルギー照射装置であって、所定量のエネルギーを、血管分布密度が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血管分布密度と該各生体内の組織の壊死面積との対応関係を示すデータを保持するハードディスク302と、前記ハードディスク302に保持されたデータと、所定の生体の血管分布密度と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の壊死面積とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出部(301、303)とを備える。
【解決手段】 生体にエネルギーを照射する医療用のエネルギー照射装置であって、所定量のエネルギーを、血管分布密度が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血管分布密度と該各生体内の組織の壊死面積との対応関係を示すデータを保持するハードディスク302と、前記ハードディスク302に保持されたデータと、所定の生体の血管分布密度と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の壊死面積とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出部(301、303)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光、マイクロ波、ラジオ波、超音波等のエネルギーを照射することにより、生体の所定の組織を加熱治療するエネルギー照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体腔を利用し、あるいは小切開して生体内に長尺状の挿入部を挿入し、この挿入部から病変を含む生体組織にレーザ光、マイクロ波、ラジオ波、超音波等のエネルギーを照射して、その病変部位の組織を、変性、壊死、凝固、焼灼あるいは蒸散により消滅させる医療用のエネルギー照射装置が知られている。
【0003】
このエネルギー照射装置は、一般には生体組織の表層またはその近傍に位置する病変部位にエネルギーを直接照射して治療するものであるが、前立腺などのように生体組織の深部に位置する病変部位の加熱治療にも利用されている。
【0004】
生体組織の深部に位置する病変部位の加熱治療を行うにあたっては、病変部位を適切な温度により加熱することが重要である。このため、これまでのエネルギー照射装置は、病変部位が所望の温度で加熱されるよう、照射部位(深部に位置する病変部位に向けてエネルギーを照射した場合において、エネルギーが入射する生体の表層部の位置)の温度を測定し、該照射部位の測定温度が所望の温度になるようエネルギーの出力制御を行っていた(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平7−116274号公報
【特許文献2】特表2002−514480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、照射部位の温度が所望の温度になるように、エネルギーの出力制御を行ったとしても、加熱治療の効果には個人差が生じることがわかっている。これは、照射部位の温度が所望の温度に加熱されたとしても、深部に位置する病変部位が適切な温度で加熱されているとは限らず、生体組織の個人差によるからである。以下に具体的に説明する。
【0006】
一般に、照射部位から入射したエネルギーは、生体内の血管組織等を通過し、病変部位に到達する。このとき、血管内を流れる血液は、エネルギーが通過することによりあたためられることになるが、当該あたためられた血液は、すぐに血管内の他の位置に運び出されてしまう。つまり、深部に位置する病変部位を加熱治療するにあたり、エネルギーの通過位置にある血管組織は、抜熱体として作用することとなる。
【0007】
通常、血管組織を規定する血液量、血管分布密度、血流速度等の所謂血流量に関する値には個人差があり、抜熱体として作用する場合の効果にも個人差がある(血液量が多い場合、血管分布密度が高い場合、血流速度が速い場合は、いずれも抜熱作用が大きく、反対に血流量が少ない場合、血管分布密度が低い場合、血流速度が遅い場合には、抜熱作用が小さい)。
【0008】
このように、従来の照射部位の温度に基づくエネルギーの出力制御の場合、生体の血管組織の個人差が原因で、(病変部位が適切な温度で加熱されず)加熱治療の効果にばらつきが生じてしまうことを回避することができない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、生体の深部に位置する病変部位を加熱治療するエネルギー照射装置において、生体の血管組織の個人差に関わらず、病変部位を適切な温度で加熱することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係るエネルギー照射装置は以下のような構成を備える。即ち、
生体にエネルギーを照射する医療用のエネルギー照射装置であって、
所定量のエネルギーを、流れる血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生体の深部に位置する病変部位を加熱治療するエネルギー照射装置において、生体の血管組織の個人差に関わらず、病変部位を適切な温度で加熱することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では加熱治療に使用するエネルギーの一例としてレーザ光を用いた場合について説明するが、エネルギーをレーザ光に限定する必要はなく、例えば、マイクロ波、ラジオ波、超音波等を使用してもよい。
【0013】
[第1の実施形態]
1.エネルギー照射装置の構成
図1は本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の概略構成(主に制御信号の流れを説明するための構成)を示す図である。
【0014】
同図において、101は生体の血管分布密度及び目標壊死面積を入力するための入力装置である。102は照射しようとするエネルギー(例えば、レーザ光)のエネルギー量を算出する照射出力コントローラであり、当該エネルギー量は、入力装置101より入力された血管分布密度等を用いて算出された値(具体的には、照射部位における目標温度)に基づいて求められる。103は、照射出力コントローラ102において求められたエネルギー量に応じたエネルギーを出力するエネルギー源出力ユニットである。104は、エネルギー源出力ユニットより出力されたエネルギーを生体にむけて出射する出射ユニットである。
【0015】
2.出射ユニットの構成
次に出射ユニット104のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の出射ユニット104のハードウェア構成を示す図である。
【0016】
図2において、201はエネルギー源出力ユニット103より出力されたエネルギーが実際に生体210の病変部位212に向けて出射される出射口である。出射口201はハウジング203により囲まれており、出射口201とハウジング203との間には、冷却水205が循環している。これにより、ハウジング203が接触する生体210の照射部位211は冷却され、熱傷害から保護されることとなる。
【0017】
204は出射ユニット104のハウジング203に接続され、出射口201とハウジング203との間に冷却水205を供給するための冷却水供給装置である(図1において不図示)。
【0018】
202は温度センサであり、照射部位211の温度を計測し、計測結果を照射出力コントローラ102に出力する(図1において不図示)。
【0019】
3.照射出力コントローラの機能構成
次に照射出力コントローラ102の機能構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を説明するための図である。
【0020】
同図において、301は目標温度算出部であり、照射部位211の温度が何度になるようにエネルギーの出力制御を行うべきか、その目標となる温度を算出する。目標温度算出部301では、入力される目標壊死面積と血管分布密度とに基づいて、ハードディスク302内に格納された「温度補正式」ならびに「壊死面積−血管分布密度対応データ」を参照しながら、照射部位211の目標温度を算出する(算出方法の詳細については後述)。なお、目標壊死面積及び血管分布密度は、操作者により入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力され、目標温度算出部301にて用いられるものとする。
【0021】
303はエネルギー量算出部であり、目標温度算出部301において算出された照射部位の目標温度(目標値)と、温度センサ202より出力された温度(計測値)とに基づいて、出力すべきエネルギー量(レーザ光の場合には、駆動電圧のワット数と照射時間)を決定する。
【0022】
4.目標温度算出部における算出方法
次に目標温度算出部301において、目標温度を算出するための算出方法について説明する。
【0023】
4.1 血管分布密度と壊死面積との関係
図4は、生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との関係を可視化した図である。
【0024】
図4において、401a〜401cが指す黒丸は血管を示しており、図4(a)から(c)に向かって血管分布密度が増加する。402a〜402bはレーザ光の照射により壊死した部分を示している。つまり、図4(a)は、血管分布密度の低い生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した結果、402aに示す部分が壊死したことを示している。また、図4(c)は、血管分布密度の高い生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した結果、壊死した部分がなかったことを示している。また、図4(b)は、血管分布密度が中程度の生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した結果、402bに示す部分が壊死したことを示している。
【0025】
図4(a)〜(c)から明らかなように、照射部位の温度が所定の温度になるようにレーザ光の出力制御を行ったとしても、生体の血管分布密度が異なると、加熱治療の効果(壊死面積の大きさ)は大きく異なってくる。
【0026】
図5(a)は、図4(a)〜(c)に示す図に基づいて、具体的な数値をカウントし、表にまとめたものである。また、図5(b)は図5(a)に示す表に基づいてグラフ化したものである。なお、グラフは横軸に血管分布密度を、縦軸に壊死面積をとっている。
【0027】
図5(a)、(b)からわかるように、照射部位の温度が所定の温度になるようにレーザ光の出力制御を行った場合、生体の血管分布密度と壊死面積とは比例関係になる。かかる特性を利用し、目標温度算出部301では目標温度を算出するにあたり、血管分布密度と壊死面積との間の比例関係を利用する。
【0028】
4.2 目標温度の算出方法
図5(b)を用いて、目標温度を算出する場合の算出方法について、具体例を挙げて説明する。
【0029】
目標壊死面積を10mm2とすると、照射部位の温度が34℃になるようにレーザ光の出力制御を行った場合、図5(b)より血管分布密度が226本/mm2の生体は、10mm2の壊死面積を実現できることとなる。
【0030】
これを基準とすると、目標となる壊死面積S0(=10mm2)を実現するのに必要な目標温度Tは、以下に示す「温度補正式」により求めることができる。
【0031】
T=Tcool+(T0−Tcool)×ρ/ρ0
ここで、T0:基準とする照射部位の温度=34℃
Tcool:冷却水の温度=20℃
ρ0:基準とする血管分布密度=226本/mm2
ρ:生体の血管分布密度
したがって、生体の血管分布密度が122本/mm2であった場合には、
T=20+(34−20)×122/226
=28℃
つまり、図4(a)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、照射部位の目標温度Tを28℃に設定すればよい。
【0032】
また、生体の血管分布密度が408本/mm2であった場合には、
T=20+(34−20)×408/226
=45℃
つまり、図4(c)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、照射部位の目標温度Tを45℃に設定すればよい。
【0033】
5. エネルギー照射装置使用時の作業フロー
次にエネルギー照射装置使用時の作業フローを図6を用いて説明する。ステップS601では、生体の照射部位の血管組織を診断する。具体的には、超音波振動子が接続された超音波画像診断装置を用いて、血管組織を診断する。ただし、診断方法は、血管分布密度が算出できる方法であれば特に限定されない。なお、診断にあたっては、造影剤等を用いて血管組織を強調した画像を取得できるようにするものとする。
【0034】
ステップS602では、診断結果を解析し、血管組織内の血管分布密度を算出する。ステップS603では、算出された血管分布密度を入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力する。
【0035】
ステップS604では、照射部位の目標温度を算出した後、該目標温度を実現するために必要なエネルギー量を算出する。ステップS605では、算出されたエネルギー量のエネルギーを生体に照射する。
【0036】
以降、照射部位の温度が、ステップS604で算出された目標温度となるようにエネルギーの出力制御が行われる。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、照射部位が所定の温度になるようにエネルギー照射した場合の、血流量に関する情報と壊死面積との対応関係をあらかじめ求めておき、実際に加熱治療を行う際に、生体の「血流量に関する情報」と、目標とする壊死面積とをあわせて入力し、上記対応関係を用いることにより、照射部位の温度が何度になるようにエネルギーの出力制御を行えばよいかを決定することが可能となる。
【0038】
この結果、生体ごとに異なる「血管組織の血流量」の影響を排除し、病変部位に適切な加熱治療を施す(所望の温度で加熱することで、所望の壊死面積を実現する)ことが可能となる。
【0039】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、エネルギー照射装置とは非接続の装置を用いて、血管組織を診断し、診断結果を解析することにより血管分布密度を算出し、入力装置を介して当該算出した血管分布密度を入力することとしたが、本発明は特にこれに限られない。
【0040】
例えば、エネルギー照射装置の出射ユニットに、超音波振動子を取り付けるとともに、超音波振動子が受信した反射エコーに基づいて血管分布密度を算出する超音波診断装置等の血管分布密度測定装置を照射出力コントローラに接続するよう構成してもよい。
【0041】
図7は、本発明の第2の実施形態にかかるエネルギー照射装置の構成を示す図である。同図において、702は超音波振動子であり、エネルギー照射装置の出射ユニット104に取り付けられている。
【0042】
エネルギーを照射する前に、超音波振動子702を照射部位に向けて動作させ、受信した反射エコーを血管分布密度測定装置701に入力する。血管分布密度測定装置701では、入力された反射エコーに基づいて、血管分布密度を算出したのち、当該血管分布密度を照射出力コントローラ102に送信する。
【0043】
これにより、照射出力コントローラ102では、上記第1の実施形態と同様に、血管分布密度に応じた適切な目標温度を算出し、適切なエネルギー量のエネルギーを照射することが可能となる。
【0044】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、照射部位における適切な目標温度を算出したのち、当該目標温度になるように、エネルギーの出力制御(フィードバック制御)を行うこととしたが、本発明は特にこれに限定されない。
【0045】
例えば、所定のワット数を所定時間照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との関係を予め求めておき、生体の血管分布密度と、目標壊死面積とを入力した際に、直接、ワット数と照射時間とを算出するよう構成してもよい。以下に詳細を説明する。
【0046】
1.エネルギー照射装置の構成
本実施形態にかかるエネルギー照射装置の構成は、上記第1または第2の実施形態において示したいずれかの構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
2.出射ユニットの構成
本実施形態にかかるエネルギー照射装置の出射ユニットは、基本的に上記第1または第2の実施形態において示した出射ユニットと同様の構成となる。ただし、本実施形態にかかるエネルギー照射装置では、出力されるエネルギー量は、計算により直接求められ、照射部位において測定された温度をフィードバックする必要がないため、温度センサは不可欠な構成ではない。ただし、加熱治療時に温度センサの計測結果を監視しておく必要があるため、温度センサは監視用として用いられることとなる。
【0048】
3.照射出力コントローラの機能構成
図8は、本実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を示す図である。
【0049】
同図において、801はエネルギー量算出部であり、入力される目標壊死面積と血管分布密度とに基づいて、ハードディスク802内の「エネルギー量補正式」ならびに「目標壊死面積−血管分布密度対応データ」を参照しながら、出力すべきエネルギー量(レーザの場合には、ワット数と時間)を算出する(算出方法の詳細については後述)。なお、目標壊死面積及び血管分布密度は、操作者により入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力され、エネルギー量算出部801にて用いられるものとする。
【0050】
4.エネルギー量算出部における算出方法
次にエネルギー量算出部801において、エネルギー量を算出するための算出方法について説明する。
【0051】
4.1 血管分布密度と壊死面積との関係
図9は、生体に対して所定のワット数(10ワット)で所定時間(3分間)、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との対応関係を可視化した図である(当該ワット数で当該時間出力したエネルギー量を、以下、「基準出力」と称す)。
【0052】
図9において、901a〜901cは血管を示しており、図9(a)から(c)に向かって血管分布密度が増加する。902a〜902bはレーザ光の照射により壊死した部分を示している。
【0053】
つまり、図9(a)は、血管分布密度の低い生体に対して10ワットで3分間、レーザ光を照射した結果、902aに示す部分が壊死したことを示している。また、図9(c)は、血管分布密度の高い生体に対して、10ワットで3分間、レーザ光を照射した結果、壊死した部分がなかったことを示している。また、図9(b)は、血管分布密度が中程度の生体に対して10ワットで3分間、レーザ光を照射した結果、902bに示す部分が壊死したことを示している。
【0054】
図9(a)〜(c)から明らかなように、同一ワット数で同一の照射時間、レーザ光の出力を行ったとしても、生体の血管分布密度が異なると、加熱治療の効果(壊死面積の大きさ)は大きく異なってくる。
【0055】
図10(a)は、図9(a)〜(c)に示す図に基づいて、具体的な数値をカウントし、表にまとめたものである。また、図10(b)は図10(a)に示す表に基づいてグラフ化したものである。なお、グラフは横軸に血管分布密度を、縦軸に壊死面積をとっている。
【0056】
図10(a)、(b)からわかるように、10ワットで3分間レーザ光の出力を行った場合、生体の血管分布密度と壊死面積とは比例関係になる。かかる特性を利用し、エネルギー量算出部801では出力すべきエネルギー量を算出するにあたり、血管分布密度と壊死面積との間の比例関係を利用する。
【0057】
4.2 エネルギー量の算出方法
図10(b)を用いて、エネルギー量を算出する場合の算出方法について、具体例を挙げて説明する。
【0058】
目標壊死面積を10mm2とすると、10ワットで3分間レーザ光の出力を行った場合、図10(b)より血管分布密度が226本/mm2の生体は、10mm2の壊死面積を実現できることとなる。
【0059】
これを基準とすると、目標となる壊死面積S0(=10mm2)を実現するのに必要なエネルギー量Eは、以下に示す「エネルギー量補正式」により求めることができる。
【0060】
E=E0×ρ/ρ0
ここで、E0:基準出力=10ワット、3分間
ρ0:基準とする血管分布密度=226本/mm2
ρ:生体の血管分布密度
したがって、生体の血管分布密度が122本/mm2であった場合には、
E=E0×122/226
=0.54E0
つまり、図9(a)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、エネルギー出力を基準出力の0.54倍に設定すればよい。
【0061】
また、生体の血管分布密度が408本/mm2であった場合には、
E=E0×408/226
=1.81E0
つまり、図9(c)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、エネルギー出力を基準出力の1.81倍に設定すればよい。
【0062】
5. エネルギー照射装置使用時の作業フロー
次にエネルギー照射装置使用時の作業フローを図11を用いて説明する。ステップS1101では、生体の照射部位の血管分布を診断する。具体的には、超音波振動子が接続された超音波画像診断装置を用いて、血管組織を診断する。ただし、診断方法は、血管分布密度が算出できる方法であれば特に限定されない。なお、診断にあたっては、造影剤等を用いて血管組織を強調した画像を取得するものとする。
【0063】
ステップS1102では、診断結果を解析し、血管組織内の血管分布密度を算出する。ステップS1103では、算出された血管分布密度を入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力する。
【0064】
ステップS1104では、出力するエネルギー量を算出する。ステップS1105では、算出されたエネルギー量によりエネルギーを生体に照射する。
【0065】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、上記第1及び第2の実施形態と同様の効果を享受しつつ、更に、上記第1及び第2の実施形態よりも制御システム(上記第1及び第2の実施形態の場合はフィードバック制御であったのに対して、本実施形態の場合は、オープンループ制御で構成される制御システム)が簡素化できるという付帯的な効果がある。
【0066】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、出力すべきエネルギー量を直接算出することとし、具体的なワット数及び照射時間の設定についてまでは言及しなかったが、ワット数及び照射時間の設定は、例えば、出力すべきエネルギー量が算出されたのち、当該エネルギー量に対応するワット数と照射時間との組み合わせを表示し、操作者が選択する構成としてもよい。
【0067】
図12は、本実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の構成を示す図である。上記第3の実施形態に対応する構成については同様の参照番号を付している。
【0068】
同図において、1201は、表示部であり、エネルギー量算出部において算出されたエネルギー量に、対応するワット数と照射時間との組み合わせを表示する。図13は、表示部1201に表示された表示画面の一例を示す図である。操作者は、図13に示す画面において、所望の組み合わせを選択することで、エネルギー量を設定することが可能となる。
【0069】
[他の実施形態]
上記第3及び第4の実施形態は、上記第2の実施形態において示したエネルギー照射装置の構成のもとにおいても実現可能であることはいうまでもない。
【0070】
また、上記第1乃至第4の実施形態では、血管分布密度と壊死面積との対応関係に基づいてエネルギー量を算出することとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、血管組織内の血液量や、血流速度等、他の血流量に関する情報を用いてもよい。
【0071】
また、上記各実施形態では、超音波振動子からの反射エコーに超音波画像診断を施すことにより血管分布密度を求めることとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、MRIやCTなどを用いて血管分布密度を求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の出射ユニット104の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を説明するための図である。
【図4】生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との対応関係を可視化した図である。
【図5】血管分布密度と壊死面積との対応関係を示す図である。
【図6】エネルギー照射装置使用時の作業フローを示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかるエネルギー照射装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を示す図である。
【図9】生体に対して所定のワット数(10ワット)で所定時間(3分間)、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との対応関係を可視化した図である。
【図10】血管分布密度と壊死面積との対応関係を示す図である。
【図11】エネルギー照射装置使用時の作業フローを示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の構成を示す図である。
【図13】表示部1201に表示された表示画面の一例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光、マイクロ波、ラジオ波、超音波等のエネルギーを照射することにより、生体の所定の組織を加熱治療するエネルギー照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体腔を利用し、あるいは小切開して生体内に長尺状の挿入部を挿入し、この挿入部から病変を含む生体組織にレーザ光、マイクロ波、ラジオ波、超音波等のエネルギーを照射して、その病変部位の組織を、変性、壊死、凝固、焼灼あるいは蒸散により消滅させる医療用のエネルギー照射装置が知られている。
【0003】
このエネルギー照射装置は、一般には生体組織の表層またはその近傍に位置する病変部位にエネルギーを直接照射して治療するものであるが、前立腺などのように生体組織の深部に位置する病変部位の加熱治療にも利用されている。
【0004】
生体組織の深部に位置する病変部位の加熱治療を行うにあたっては、病変部位を適切な温度により加熱することが重要である。このため、これまでのエネルギー照射装置は、病変部位が所望の温度で加熱されるよう、照射部位(深部に位置する病変部位に向けてエネルギーを照射した場合において、エネルギーが入射する生体の表層部の位置)の温度を測定し、該照射部位の測定温度が所望の温度になるようエネルギーの出力制御を行っていた(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平7−116274号公報
【特許文献2】特表2002−514480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、照射部位の温度が所望の温度になるように、エネルギーの出力制御を行ったとしても、加熱治療の効果には個人差が生じることがわかっている。これは、照射部位の温度が所望の温度に加熱されたとしても、深部に位置する病変部位が適切な温度で加熱されているとは限らず、生体組織の個人差によるからである。以下に具体的に説明する。
【0006】
一般に、照射部位から入射したエネルギーは、生体内の血管組織等を通過し、病変部位に到達する。このとき、血管内を流れる血液は、エネルギーが通過することによりあたためられることになるが、当該あたためられた血液は、すぐに血管内の他の位置に運び出されてしまう。つまり、深部に位置する病変部位を加熱治療するにあたり、エネルギーの通過位置にある血管組織は、抜熱体として作用することとなる。
【0007】
通常、血管組織を規定する血液量、血管分布密度、血流速度等の所謂血流量に関する値には個人差があり、抜熱体として作用する場合の効果にも個人差がある(血液量が多い場合、血管分布密度が高い場合、血流速度が速い場合は、いずれも抜熱作用が大きく、反対に血流量が少ない場合、血管分布密度が低い場合、血流速度が遅い場合には、抜熱作用が小さい)。
【0008】
このように、従来の照射部位の温度に基づくエネルギーの出力制御の場合、生体の血管組織の個人差が原因で、(病変部位が適切な温度で加熱されず)加熱治療の効果にばらつきが生じてしまうことを回避することができない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、生体の深部に位置する病変部位を加熱治療するエネルギー照射装置において、生体の血管組織の個人差に関わらず、病変部位を適切な温度で加熱することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係るエネルギー照射装置は以下のような構成を備える。即ち、
生体にエネルギーを照射する医療用のエネルギー照射装置であって、
所定量のエネルギーを、流れる血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生体の深部に位置する病変部位を加熱治療するエネルギー照射装置において、生体の血管組織の個人差に関わらず、病変部位を適切な温度で加熱することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では加熱治療に使用するエネルギーの一例としてレーザ光を用いた場合について説明するが、エネルギーをレーザ光に限定する必要はなく、例えば、マイクロ波、ラジオ波、超音波等を使用してもよい。
【0013】
[第1の実施形態]
1.エネルギー照射装置の構成
図1は本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の概略構成(主に制御信号の流れを説明するための構成)を示す図である。
【0014】
同図において、101は生体の血管分布密度及び目標壊死面積を入力するための入力装置である。102は照射しようとするエネルギー(例えば、レーザ光)のエネルギー量を算出する照射出力コントローラであり、当該エネルギー量は、入力装置101より入力された血管分布密度等を用いて算出された値(具体的には、照射部位における目標温度)に基づいて求められる。103は、照射出力コントローラ102において求められたエネルギー量に応じたエネルギーを出力するエネルギー源出力ユニットである。104は、エネルギー源出力ユニットより出力されたエネルギーを生体にむけて出射する出射ユニットである。
【0015】
2.出射ユニットの構成
次に出射ユニット104のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の出射ユニット104のハードウェア構成を示す図である。
【0016】
図2において、201はエネルギー源出力ユニット103より出力されたエネルギーが実際に生体210の病変部位212に向けて出射される出射口である。出射口201はハウジング203により囲まれており、出射口201とハウジング203との間には、冷却水205が循環している。これにより、ハウジング203が接触する生体210の照射部位211は冷却され、熱傷害から保護されることとなる。
【0017】
204は出射ユニット104のハウジング203に接続され、出射口201とハウジング203との間に冷却水205を供給するための冷却水供給装置である(図1において不図示)。
【0018】
202は温度センサであり、照射部位211の温度を計測し、計測結果を照射出力コントローラ102に出力する(図1において不図示)。
【0019】
3.照射出力コントローラの機能構成
次に照射出力コントローラ102の機能構成について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を説明するための図である。
【0020】
同図において、301は目標温度算出部であり、照射部位211の温度が何度になるようにエネルギーの出力制御を行うべきか、その目標となる温度を算出する。目標温度算出部301では、入力される目標壊死面積と血管分布密度とに基づいて、ハードディスク302内に格納された「温度補正式」ならびに「壊死面積−血管分布密度対応データ」を参照しながら、照射部位211の目標温度を算出する(算出方法の詳細については後述)。なお、目標壊死面積及び血管分布密度は、操作者により入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力され、目標温度算出部301にて用いられるものとする。
【0021】
303はエネルギー量算出部であり、目標温度算出部301において算出された照射部位の目標温度(目標値)と、温度センサ202より出力された温度(計測値)とに基づいて、出力すべきエネルギー量(レーザ光の場合には、駆動電圧のワット数と照射時間)を決定する。
【0022】
4.目標温度算出部における算出方法
次に目標温度算出部301において、目標温度を算出するための算出方法について説明する。
【0023】
4.1 血管分布密度と壊死面積との関係
図4は、生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との関係を可視化した図である。
【0024】
図4において、401a〜401cが指す黒丸は血管を示しており、図4(a)から(c)に向かって血管分布密度が増加する。402a〜402bはレーザ光の照射により壊死した部分を示している。つまり、図4(a)は、血管分布密度の低い生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した結果、402aに示す部分が壊死したことを示している。また、図4(c)は、血管分布密度の高い生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した結果、壊死した部分がなかったことを示している。また、図4(b)は、血管分布密度が中程度の生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した結果、402bに示す部分が壊死したことを示している。
【0025】
図4(a)〜(c)から明らかなように、照射部位の温度が所定の温度になるようにレーザ光の出力制御を行ったとしても、生体の血管分布密度が異なると、加熱治療の効果(壊死面積の大きさ)は大きく異なってくる。
【0026】
図5(a)は、図4(a)〜(c)に示す図に基づいて、具体的な数値をカウントし、表にまとめたものである。また、図5(b)は図5(a)に示す表に基づいてグラフ化したものである。なお、グラフは横軸に血管分布密度を、縦軸に壊死面積をとっている。
【0027】
図5(a)、(b)からわかるように、照射部位の温度が所定の温度になるようにレーザ光の出力制御を行った場合、生体の血管分布密度と壊死面積とは比例関係になる。かかる特性を利用し、目標温度算出部301では目標温度を算出するにあたり、血管分布密度と壊死面積との間の比例関係を利用する。
【0028】
4.2 目標温度の算出方法
図5(b)を用いて、目標温度を算出する場合の算出方法について、具体例を挙げて説明する。
【0029】
目標壊死面積を10mm2とすると、照射部位の温度が34℃になるようにレーザ光の出力制御を行った場合、図5(b)より血管分布密度が226本/mm2の生体は、10mm2の壊死面積を実現できることとなる。
【0030】
これを基準とすると、目標となる壊死面積S0(=10mm2)を実現するのに必要な目標温度Tは、以下に示す「温度補正式」により求めることができる。
【0031】
T=Tcool+(T0−Tcool)×ρ/ρ0
ここで、T0:基準とする照射部位の温度=34℃
Tcool:冷却水の温度=20℃
ρ0:基準とする血管分布密度=226本/mm2
ρ:生体の血管分布密度
したがって、生体の血管分布密度が122本/mm2であった場合には、
T=20+(34−20)×122/226
=28℃
つまり、図4(a)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、照射部位の目標温度Tを28℃に設定すればよい。
【0032】
また、生体の血管分布密度が408本/mm2であった場合には、
T=20+(34−20)×408/226
=45℃
つまり、図4(c)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、照射部位の目標温度Tを45℃に設定すればよい。
【0033】
5. エネルギー照射装置使用時の作業フロー
次にエネルギー照射装置使用時の作業フローを図6を用いて説明する。ステップS601では、生体の照射部位の血管組織を診断する。具体的には、超音波振動子が接続された超音波画像診断装置を用いて、血管組織を診断する。ただし、診断方法は、血管分布密度が算出できる方法であれば特に限定されない。なお、診断にあたっては、造影剤等を用いて血管組織を強調した画像を取得できるようにするものとする。
【0034】
ステップS602では、診断結果を解析し、血管組織内の血管分布密度を算出する。ステップS603では、算出された血管分布密度を入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力する。
【0035】
ステップS604では、照射部位の目標温度を算出した後、該目標温度を実現するために必要なエネルギー量を算出する。ステップS605では、算出されたエネルギー量のエネルギーを生体に照射する。
【0036】
以降、照射部位の温度が、ステップS604で算出された目標温度となるようにエネルギーの出力制御が行われる。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、照射部位が所定の温度になるようにエネルギー照射した場合の、血流量に関する情報と壊死面積との対応関係をあらかじめ求めておき、実際に加熱治療を行う際に、生体の「血流量に関する情報」と、目標とする壊死面積とをあわせて入力し、上記対応関係を用いることにより、照射部位の温度が何度になるようにエネルギーの出力制御を行えばよいかを決定することが可能となる。
【0038】
この結果、生体ごとに異なる「血管組織の血流量」の影響を排除し、病変部位に適切な加熱治療を施す(所望の温度で加熱することで、所望の壊死面積を実現する)ことが可能となる。
【0039】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、エネルギー照射装置とは非接続の装置を用いて、血管組織を診断し、診断結果を解析することにより血管分布密度を算出し、入力装置を介して当該算出した血管分布密度を入力することとしたが、本発明は特にこれに限られない。
【0040】
例えば、エネルギー照射装置の出射ユニットに、超音波振動子を取り付けるとともに、超音波振動子が受信した反射エコーに基づいて血管分布密度を算出する超音波診断装置等の血管分布密度測定装置を照射出力コントローラに接続するよう構成してもよい。
【0041】
図7は、本発明の第2の実施形態にかかるエネルギー照射装置の構成を示す図である。同図において、702は超音波振動子であり、エネルギー照射装置の出射ユニット104に取り付けられている。
【0042】
エネルギーを照射する前に、超音波振動子702を照射部位に向けて動作させ、受信した反射エコーを血管分布密度測定装置701に入力する。血管分布密度測定装置701では、入力された反射エコーに基づいて、血管分布密度を算出したのち、当該血管分布密度を照射出力コントローラ102に送信する。
【0043】
これにより、照射出力コントローラ102では、上記第1の実施形態と同様に、血管分布密度に応じた適切な目標温度を算出し、適切なエネルギー量のエネルギーを照射することが可能となる。
【0044】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、照射部位における適切な目標温度を算出したのち、当該目標温度になるように、エネルギーの出力制御(フィードバック制御)を行うこととしたが、本発明は特にこれに限定されない。
【0045】
例えば、所定のワット数を所定時間照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との関係を予め求めておき、生体の血管分布密度と、目標壊死面積とを入力した際に、直接、ワット数と照射時間とを算出するよう構成してもよい。以下に詳細を説明する。
【0046】
1.エネルギー照射装置の構成
本実施形態にかかるエネルギー照射装置の構成は、上記第1または第2の実施形態において示したいずれかの構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
2.出射ユニットの構成
本実施形態にかかるエネルギー照射装置の出射ユニットは、基本的に上記第1または第2の実施形態において示した出射ユニットと同様の構成となる。ただし、本実施形態にかかるエネルギー照射装置では、出力されるエネルギー量は、計算により直接求められ、照射部位において測定された温度をフィードバックする必要がないため、温度センサは不可欠な構成ではない。ただし、加熱治療時に温度センサの計測結果を監視しておく必要があるため、温度センサは監視用として用いられることとなる。
【0048】
3.照射出力コントローラの機能構成
図8は、本実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を示す図である。
【0049】
同図において、801はエネルギー量算出部であり、入力される目標壊死面積と血管分布密度とに基づいて、ハードディスク802内の「エネルギー量補正式」ならびに「目標壊死面積−血管分布密度対応データ」を参照しながら、出力すべきエネルギー量(レーザの場合には、ワット数と時間)を算出する(算出方法の詳細については後述)。なお、目標壊死面積及び血管分布密度は、操作者により入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力され、エネルギー量算出部801にて用いられるものとする。
【0050】
4.エネルギー量算出部における算出方法
次にエネルギー量算出部801において、エネルギー量を算出するための算出方法について説明する。
【0051】
4.1 血管分布密度と壊死面積との関係
図9は、生体に対して所定のワット数(10ワット)で所定時間(3分間)、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との対応関係を可視化した図である(当該ワット数で当該時間出力したエネルギー量を、以下、「基準出力」と称す)。
【0052】
図9において、901a〜901cは血管を示しており、図9(a)から(c)に向かって血管分布密度が増加する。902a〜902bはレーザ光の照射により壊死した部分を示している。
【0053】
つまり、図9(a)は、血管分布密度の低い生体に対して10ワットで3分間、レーザ光を照射した結果、902aに示す部分が壊死したことを示している。また、図9(c)は、血管分布密度の高い生体に対して、10ワットで3分間、レーザ光を照射した結果、壊死した部分がなかったことを示している。また、図9(b)は、血管分布密度が中程度の生体に対して10ワットで3分間、レーザ光を照射した結果、902bに示す部分が壊死したことを示している。
【0054】
図9(a)〜(c)から明らかなように、同一ワット数で同一の照射時間、レーザ光の出力を行ったとしても、生体の血管分布密度が異なると、加熱治療の効果(壊死面積の大きさ)は大きく異なってくる。
【0055】
図10(a)は、図9(a)〜(c)に示す図に基づいて、具体的な数値をカウントし、表にまとめたものである。また、図10(b)は図10(a)に示す表に基づいてグラフ化したものである。なお、グラフは横軸に血管分布密度を、縦軸に壊死面積をとっている。
【0056】
図10(a)、(b)からわかるように、10ワットで3分間レーザ光の出力を行った場合、生体の血管分布密度と壊死面積とは比例関係になる。かかる特性を利用し、エネルギー量算出部801では出力すべきエネルギー量を算出するにあたり、血管分布密度と壊死面積との間の比例関係を利用する。
【0057】
4.2 エネルギー量の算出方法
図10(b)を用いて、エネルギー量を算出する場合の算出方法について、具体例を挙げて説明する。
【0058】
目標壊死面積を10mm2とすると、10ワットで3分間レーザ光の出力を行った場合、図10(b)より血管分布密度が226本/mm2の生体は、10mm2の壊死面積を実現できることとなる。
【0059】
これを基準とすると、目標となる壊死面積S0(=10mm2)を実現するのに必要なエネルギー量Eは、以下に示す「エネルギー量補正式」により求めることができる。
【0060】
E=E0×ρ/ρ0
ここで、E0:基準出力=10ワット、3分間
ρ0:基準とする血管分布密度=226本/mm2
ρ:生体の血管分布密度
したがって、生体の血管分布密度が122本/mm2であった場合には、
E=E0×122/226
=0.54E0
つまり、図9(a)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、エネルギー出力を基準出力の0.54倍に設定すればよい。
【0061】
また、生体の血管分布密度が408本/mm2であった場合には、
E=E0×408/226
=1.81E0
つまり、図9(c)に示す血管分布密度を有する生体に対して、加熱治療を施すことにより、壊死面積=10mm2を実現しようとするならば、エネルギー出力を基準出力の1.81倍に設定すればよい。
【0062】
5. エネルギー照射装置使用時の作業フロー
次にエネルギー照射装置使用時の作業フローを図11を用いて説明する。ステップS1101では、生体の照射部位の血管分布を診断する。具体的には、超音波振動子が接続された超音波画像診断装置を用いて、血管組織を診断する。ただし、診断方法は、血管分布密度が算出できる方法であれば特に限定されない。なお、診断にあたっては、造影剤等を用いて血管組織を強調した画像を取得するものとする。
【0063】
ステップS1102では、診断結果を解析し、血管組織内の血管分布密度を算出する。ステップS1103では、算出された血管分布密度を入力装置101を介して照射出力コントローラ102に入力する。
【0064】
ステップS1104では、出力するエネルギー量を算出する。ステップS1105では、算出されたエネルギー量によりエネルギーを生体に照射する。
【0065】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、上記第1及び第2の実施形態と同様の効果を享受しつつ、更に、上記第1及び第2の実施形態よりも制御システム(上記第1及び第2の実施形態の場合はフィードバック制御であったのに対して、本実施形態の場合は、オープンループ制御で構成される制御システム)が簡素化できるという付帯的な効果がある。
【0066】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、出力すべきエネルギー量を直接算出することとし、具体的なワット数及び照射時間の設定についてまでは言及しなかったが、ワット数及び照射時間の設定は、例えば、出力すべきエネルギー量が算出されたのち、当該エネルギー量に対応するワット数と照射時間との組み合わせを表示し、操作者が選択する構成としてもよい。
【0067】
図12は、本実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の構成を示す図である。上記第3の実施形態に対応する構成については同様の参照番号を付している。
【0068】
同図において、1201は、表示部であり、エネルギー量算出部において算出されたエネルギー量に、対応するワット数と照射時間との組み合わせを表示する。図13は、表示部1201に表示された表示画面の一例を示す図である。操作者は、図13に示す画面において、所望の組み合わせを選択することで、エネルギー量を設定することが可能となる。
【0069】
[他の実施形態]
上記第3及び第4の実施形態は、上記第2の実施形態において示したエネルギー照射装置の構成のもとにおいても実現可能であることはいうまでもない。
【0070】
また、上記第1乃至第4の実施形態では、血管分布密度と壊死面積との対応関係に基づいてエネルギー量を算出することとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、血管組織内の血液量や、血流速度等、他の血流量に関する情報を用いてもよい。
【0071】
また、上記各実施形態では、超音波振動子からの反射エコーに超音波画像診断を施すことにより血管分布密度を求めることとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、MRIやCTなどを用いて血管分布密度を求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の出射ユニット104の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を説明するための図である。
【図4】生体の照射部位の温度が34℃になるように出力制御を行い、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との対応関係を可視化した図である。
【図5】血管分布密度と壊死面積との対応関係を示す図である。
【図6】エネルギー照射装置使用時の作業フローを示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかるエネルギー照射装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の機能構成を示す図である。
【図9】生体に対して所定のワット数(10ワット)で所定時間(3分間)、レーザ光を照射した場合の、血管分布密度と壊死面積との対応関係を可視化した図である。
【図10】血管分布密度と壊死面積との対応関係を示す図である。
【図11】エネルギー照射装置使用時の作業フローを示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態にかかるエネルギー照射装置の照射出力コントローラ102の構成を示す図である。
【図13】表示部1201に表示された表示画面の一例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体にエネルギーを照射する医療用のエネルギー照射装置であって、
所定量のエネルギーを、血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出手段と
を備えることを特徴とするエネルギー照射装置。
【請求項2】
前記データは、エネルギーが照射される面の温度が一定になるようにエネルギー量が制御された場合のデータであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項3】
前記エネルギーが照射される面の温度を計測する温度計測手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー照射装置。
【請求項4】
前記算出手段は、更に、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、エネルギーが照射される面の目標温度を算出する目標温度算出手段と、
前記温度計測手段において計測された温度と、前記目標温度算出手段において算出された目標温度とに基づいて、エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段と
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のエネルギー照射装置。
【請求項5】
前記目標温度算出手段は、
前記データを構成する血流量に関する情報をρ0、前記所定の生体の血流量に関する情報をρ、前記データを取得した際にエネルギーが照射された面の温度をT0、エネルギーの照射口を冷却する冷却水の温度をTcoolとした場合、前記目標温度Tを、T=Tcool+(T0−Tcool)×ρ/ρ0により算出することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー照射装置。
【請求項6】
前記エネルギーはレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエネルギー照射装置。
【請求項7】
前記データは、照射されるエネルギー量を一定とした場合のデータであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項8】
前記算出手段は、
前記データを構成する血流量に関する情報をρ0、前記所定の生体の血流量に関する情報をρ、前記データを取得した際に照射されたエネルギー量をE0とした場合、前記所定の生体に照射すべきエネルギー量Eを、E=E0×ρ/ρ0により算出することを特徴とする請求項7に記載のエネルギー照射装置。
【請求項9】
前記エネルギーはレーザ光であることを特徴とする請求項7または8に記載のエネルギー照射装置。
【請求項10】
前記算出手段において算出されたエネルギー量に基づいて、ワット数と照射時間との組み合わせを表示する表示手段と、
操作者の指示に基づいて、前記表示手段に表示された組み合わせのいずれかを設定する設定手段と
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載のエネルギー照射装置。
【請求項11】
前記血流量に関する情報とは、生体の血管分布密度であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のエネルギー照射装置。
【請求項12】
前記所定の生体内の組織の状態を計測する内部組織計測手段と、
前記内部組織計測手段より出力された信号に基づいて、前記血流量に関する情報を算出する血流量算出手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のエネルギー照射装置。
【請求項13】
生体にエネルギーを照射する照射装置と接続され、該照射装置において出力されるエネルギー量を制御する制御装置であって、
所定量のエネルギーを、血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項14】
生体にエネルギーを照射する照射装置と接続され、該照射装置において出力されるエネルギー量を制御する制御装置の制御方法であって、
所定量のエネルギーを、血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持工程と、
前記保持工程において保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出工程と
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項1】
生体にエネルギーを照射する医療用のエネルギー照射装置であって、
所定量のエネルギーを、血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出手段と
を備えることを特徴とするエネルギー照射装置。
【請求項2】
前記データは、エネルギーが照射される面の温度が一定になるようにエネルギー量が制御された場合のデータであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項3】
前記エネルギーが照射される面の温度を計測する温度計測手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー照射装置。
【請求項4】
前記算出手段は、更に、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、エネルギーが照射される面の目標温度を算出する目標温度算出手段と、
前記温度計測手段において計測された温度と、前記目標温度算出手段において算出された目標温度とに基づいて、エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段と
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のエネルギー照射装置。
【請求項5】
前記目標温度算出手段は、
前記データを構成する血流量に関する情報をρ0、前記所定の生体の血流量に関する情報をρ、前記データを取得した際にエネルギーが照射された面の温度をT0、エネルギーの照射口を冷却する冷却水の温度をTcoolとした場合、前記目標温度Tを、T=Tcool+(T0−Tcool)×ρ/ρ0により算出することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー照射装置。
【請求項6】
前記エネルギーはレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエネルギー照射装置。
【請求項7】
前記データは、照射されるエネルギー量を一定とした場合のデータであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項8】
前記算出手段は、
前記データを構成する血流量に関する情報をρ0、前記所定の生体の血流量に関する情報をρ、前記データを取得した際に照射されたエネルギー量をE0とした場合、前記所定の生体に照射すべきエネルギー量Eを、E=E0×ρ/ρ0により算出することを特徴とする請求項7に記載のエネルギー照射装置。
【請求項9】
前記エネルギーはレーザ光であることを特徴とする請求項7または8に記載のエネルギー照射装置。
【請求項10】
前記算出手段において算出されたエネルギー量に基づいて、ワット数と照射時間との組み合わせを表示する表示手段と、
操作者の指示に基づいて、前記表示手段に表示された組み合わせのいずれかを設定する設定手段と
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載のエネルギー照射装置。
【請求項11】
前記血流量に関する情報とは、生体の血管分布密度であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のエネルギー照射装置。
【請求項12】
前記所定の生体内の組織の状態を計測する内部組織計測手段と、
前記内部組織計測手段より出力された信号に基づいて、前記血流量に関する情報を算出する血流量算出手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のエネルギー照射装置。
【請求項13】
生体にエネルギーを照射する照射装置と接続され、該照射装置において出力されるエネルギー量を制御する制御装置であって、
所定量のエネルギーを、血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項14】
生体にエネルギーを照射する照射装置と接続され、該照射装置において出力されるエネルギー量を制御する制御装置の制御方法であって、
所定量のエネルギーを、血流量が異なる複数の生体にそれぞれ照射した場合の、該各血流量に関する情報と該各生体内の組織が壊死する量との対応関係を示すデータを保持する保持工程と、
前記保持工程において保持されたデータと、所定の生体の血流量に関する情報と、該所定の生体内において壊死させようとする組織の量とに基づいて、該所定の生体に照射すべきエネルギー量を算出する算出工程と
を備えることを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−89992(P2007−89992A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286897(P2005−286897)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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