説明

エラスターゼ活性阻害剤

【課題】 これまで育毛剤などの効果しか見出されていなかったカッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物を利用して、新たな用途を提供する。
【解決手段】 カッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物は真皮線維芽細胞由来のエラスターゼを阻害する。さらに抽出物と保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤、エラスターゼ活性阻害剤の特定の薬剤のいずれか1種または2種以上を配合することにより、しわ、肌荒れ、肌のくすみなど、種々の皮膚の老化症状を予防および改善することが見いだされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の属の植物から抽出された抽出物が皮膚真皮の線維芽細胞のエラスターゼ活性を優位に阻害し、これと保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤、エラスターゼ活性阻害剤の特定した薬剤を組み合わせ配合することにより、しわ、肌荒れ、肌のくすみなど、種々の皮膚の老化症状を改善する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カッコウアザミ属はキク科に属し、本邦ではカッコウアザミ(Ageratum conyzoides)、およびオオカッコウアザミ(Ageratum houstonianum)の2種類が知られている。カッコウアザミ属はその特長ある花の形態からしばしば園芸用に賞用されている。またカッコウアザミ は、中国では漢薬の1種として解熱、咽喉痛、外傷等に対して使用され、熱帯アジアでは民間薬として用いられる植物の1種である(非特許文献1)。
【0003】
カッコウアザミ属の化粧品原料として利用は、特許文献1及び特許文献において、発毛剤およびチロシナーゼ活性阻害剤として利用されているのみであり、利用分野はごく限られた範囲に留まっている。
【0004】
皮膚の組成は大きく三つに分類され、外層から表皮、真皮、皮下組織から形成されており、それぞれは身体の恒常維持、外界からの防御など、種々役割を担っている。なかでも、皮膚真皮の機能は、外界からの衝撃を吸収するいわばクッションの役割を果たしている。このクッションの効果、すなわち、真皮の厚さ、柔軟性は老化とともに失われていく傾向にあり、皮膚科学的にも皮膚のはりの消失にともない、しわ、たるみの発生が起こる。真皮の老化は、外観の老化に直結するものである。
【0005】
真皮の構成成分は主に、コラーゲン、エラスチン、線維芽細胞でそのほとんどを占めており、老化とともにコラーゲン、エラスチンの劣化、減少あるいは変性により、はりの消失、しわ、たるみの形成などの老化症状が現れる。健状な真皮中ではコラーゲンおよびエラスチンは古くなったものは吸収・排出される一方、新たにコラーゲンおよびエラスチンが線維芽細胞から生産され、一定した質および量を恒常的に保っている。しかし、年齢を重ねると、外的および内的な要因において、その恒常性は崩れ、線維芽細胞由来のエラスターゼが必要以上にエラスチンを分解することにより、老化症状が促進する。
【非特許文献1】世界有用植物事典(平凡社)55頁参照
【特許文献1】特開平09−295919号公報
【特許文献2】特開平10−265366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、今まで糖尿病改善薬としてしか効果の知られていないカッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物をさらに有効に活用するために種々検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、カッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物に、特定の薬剤(保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラーゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤など)を配合することによって、しわ、肌荒れ、肌のくすみなど、種々の皮膚の老化症状を予防および改善することがわかった。
【0008】
カッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物の形態はなんら限定されるものではないが、好ましくはカッコウアザミ属の全草を陰乾し、粉砕後、抽出溶媒(例えばエタノール等のアルコール、水またはこれら混合)とともに、3日間浸漬または1時間100度にて加温、冷却後、ろ過した液を使用する。
【0009】
線維芽細胞由来エラスターゼ阻害活性試験
ヒト由来線維芽細胞(NHDF)を100mm径シャーレに分植し、コンフルエントになるまで培養後、0.4ng/mL IL-βを含む無血清MEM培地に交換してさらに48時間培養する。細胞をPBS(-)で2回洗浄した後、セルスクレパーで細胞を剥がし、5mMCaCl2、0.1%TritonXを含む100mMトリスブァッファー(pH8.3)1.5mLに分散し、ソニケート後10,000rpmで遠心分離した上澄みを酵素液とした。
酵素反応はエッペンチューブに酵素液89μL、上記緩衝液に溶解した試験品10μL(終濃度0.01%)を入れ、37℃でプレインキュベートした後、基質(100mM Suc-ala-ala-ala-pNa-N-メチル-2-ピロリドン)1μLを加えて37℃で2時間反応させた。酢酸50μLで反応停止後、反応液を遠心分離し、得られた上澄みをプレートリーダーに移し405nmの吸光度を測定した。
試験品は以下に示し、試験結果を表1に示す。
Sample1:カッコウアザミの葉の乾燥物(10g)の熱水(200mL)エキス
Sample2:カッコウアザミの葉の乾燥物(10g)の50%エタノール-水(200mL)エキス
Sample3:カッコウアザミの葉の乾燥物(10g)のエタノール(200mL)エキス
Sample4:キツネアザミの葉の乾燥物(10g)のエタノール(200mL)エキス(注1)
Sample5:ハハコグサの葉の乾燥物(10g)のエタノール(200mL)エキス(注2)
Sample6:フジアザミの葉の乾燥物(10g)のエタノール(200mL)エキス(注3)
Sample7:EDTA 10mM
(注1)キツネアザミはキク科キツネアザミ属
(注2)ハハコグサはキク科ハハコグサ属
(注3)フジアザミはキク科アザミ属
【0010】
【表1】

【0011】
カッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物は乾燥物換算で0.000001〜20重量%にて配合することが望ましい。
さらにカッコウアザミ属の抽出物に特定の薬剤(保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラーゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤、エラスターゼ活性阻害剤など)を配合するとしわ、肌荒れ、肌のくすみなど、種々の皮膚の老化症状を改善することがわかった。
とくに有効なものを列記すると、アサガオカラクサの全草、アサムの材、アダトダ バシカ(Adhatoda vasica)の材、イエロウメランチの材、イステカ(Ixcate)(Hippocratea celastroides)の樹皮、イボナシツヅラフジの枝、インドサルサの根、インドセンダンの樹皮、ウッドフォディア フルティコサ(Woodfordia fruticosa)の花および葉、ウバメガシの材、オオバナサルスベリ(lagerstroemia speciosa)の葉、カスカ‐ドーチェ(CASCA‐DOCE)(学名Pradosia lactescens又はLucumaglyciphloea又はChrysophyllum buranhem) 、カツラの材、カプールの材、カミメボウキの茎や枝、カワラケツメイ属(決明子、センナ、望江南、山扁豆、ナンバンサイカチ)、キレンソウの全草、キンコウボクの花、クアチャララテ(Cuachalalate)(Juliania adstringens Schl)の樹皮、グァバの葉、クウェルクス ピダンクレイト(Quercus pedunculate)の果実、クミンの種子、ケブラコの心材、コウスイガヤの根茎、コスティラス(Costillas)(Acalypha diversifolia Jacq.)の幹や枝、コバノブラッシュノキ(Melaleuca leucadendron)の樹皮、ゴルドロボ(Gordolobo)(Gnaphalium sphacellatum)の全草、サフランのめしべ、サラカ インディカ(Saraka indica )の樹皮、ジェキティバ(JEQUITIBA)(Carinianabrasiliensis又はCouratari legalis又はPyxidaria macrocarpa)の樹皮、シモニロの全草、ジャトバ(JATOBA)(Hymenaea coubaril)の果皮、ジャンボラン(Eugenia jambolana)の樹皮、シロバナチョウセンアサガオの種子、スファランサス インディクス(Sphaeranthus indicus)の全草、スプールースの樹皮、スミラックス ゼイラニカ(Smilax zeylanica)の根、セプターの材、タブノキの樹皮、チャバコショウの根、デスモディウム ガンゲチクム(Desmodium gangeticm)の全草、テルミナリア ホーリダ(Terminalia horrida)の果実、トラギア インボルクラタ(Tragia involucrata)の全草、ニゲラ サティバの種子、ハマビシの全草、ヒエルバデルサボ(Hierba del sapo)(Eryngium comosum)の全草、ヒハツの根、ピルル(Pirul)(Schinus molle)の全草、フィランサス ヌリリ(Phyllanthus nuriri)の全草、フウセンカズラの全草、プサ(PUCA)(Cissus antiparaliticus)の実、ベチバーの根、ヘデサルム アウストロシビリクス(Hedysarum austrosibiricus)の根、ヘルペストリス モンニエス(Herpestris monnies)の全草、ベロニカ(VERONICA)(Veronica officinalis)の樹皮、ボッレリア ヒスピダの根や茎、ポンガミア グラブラ(Pongamia glabra )の根、ミズキの樹皮、ミズメの樹皮、ミムソプス エレンギ(Mimusops elengi ミサキノハナ)の全草、ムラヤ コエニギイ(Murraya koenigii)の茎枝、ムンロニア プミラの全草、メラピーの材、モクレン科ホオノキ属の樹皮、ヤマザクラの材、ランボの材、ルウメックス シプリウス(Rumex cyprius)の葉、ワットルの樹皮、愛玉子、一條根、王不留行、化石草、貝母、貫衆、岩弁慶の根、Paeonia anomalaの根、栗いが、栗葉、鶏血藤、沙棗、使君子、小金櫻、秦皮、辛夷、西河柳、石蓮子、石榴根皮、石榴実皮、石榴樹皮、仙鶴草、穿破石、蒼朮、谷精草、中国産白朮、鉄包金、冬葵子、琵琶葉、菱実、鳳尾草、了哥王、蓮の葉、檳榔子、胖大海、茘枝、訶子、鉤藤、鵝不食、イシゲ科の海藻;真珠末、コンキオリン、コンキオリン加水分解物、コンキオリンの加水分解物を無水コハク酸で処理した物質、貝類の粘液を加水分解して得られる物質、貝類肉より得られたステロール類、貝類肉より得られる酸性多糖類、貝類肉より得られたコラーゲン、貝類肉より得られたグリコーゲン、貝類肉より得られたリン脂質、貝類肉より得られたデオキシリボ核酸、チオサリチル酸及びその塩、マグノロール、ホオノキオール、1−(4−ヒドロキシフェニチオ)−2−プロパノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジチアン、2−(4−アセトキシフェニル)−1,3−ジチアン、2,5−ジヒドロキシベンズアミド、2,6−ジヒドロキシベンズアミド、4−アミノフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール、4−ヒドロキシベンズアミド、5−ヒドロキシインドール、6-dihydroxy)-dihydrobenzofuran-3-yl-(3'4'-dihydroxy)-phenyl ketone、スチルベンガロイル配糖体、シトラシンC、エチレンジアミン誘導体、カラハナエノン誘導体、カシューナッツ殻油、カルダノール、カルドール、アナカルド酸、センノサイド、α−アルブチン、Glu−Glu−Met−Gln−Arg−Argの配列を含むペプチドもしくはこのペプチドのカルボキシル基末端をアミド体に変換したまたは/およびアミノ基末端をアシル化体に変換したペプチドが挙げられる。
エチレンジアミン誘導体を例示すれば、N‐フェニル‐N‐(2,3,3トリメチル‐1‐シクロペンテン‐1‐エチル)‐N′,N′‐ジメチルエタンジアミン、N‐2‐ピリジル‐N‐(3,7‐ジメチル‐6‐オクテン‐1‐イル)‐N′,N′‐ジメチルエタンジアミン、N‐2‐ピリジル‐N‐(2‐ピネン‐10‐イル)‐N′,N′‐ジメチルエタンジアミン、N‐2‐ピリジル‐N‐(1,8‐p‐メンタジエン‐7‐イル)‐N′,N′‐ジメチルエタンジアミンが挙げることができる。
カラハナエノン誘導体を例示すれば、N−p−ヒドロキシフェニル−3,3,6−トリメチル−5−シクロヘプタン−2−オン−1−カルボキシアミド、2−ヒドロキシ−N−p−ヒドロキシフェニル−3,3,6−トリメチル−5−シクロヘプテン−1−カルボキシアミドが挙げることができる。 スチルベンガロイル配糖体を例示すれば、3,5,4′−トリヒドロキシスチルベン4′−0−β−D−(6″ガロイル)グルコピラノシド、3,5,4′−トリヒドロキシスチルベン4′−0−β−D−(2″ガロイル)グルコピラノシドが挙げることができる。
【0012】
さらに水酸基を2つ以上含む多価アルコール、低級アルコール、界面活性剤、低分子ベタインのいずれか1種または2種以上を配合するとより効果が得られることもわかった。
【0013】
利用できる多価アルコールに特に限定はないが例示すれば、グリセリン、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、トレハロース、マルトース等が挙げられる。これらを0.1〜80重量%、好ましくは1〜30重量%を配合するが、多価アルコールの種類によって配合量は変化し、また、複数の多価アルコールを利用で
きることはいうまでもない。
【0014】
低級アルコールを配合することによって吸収性が向上する。低級アルコールの種類は種々あるが通常エタノールを用いる。配合量は特に限定はないが、2〜70重量%が好ましい。
カッコウアザミ属(Ageratum)の花の抽出物を含む多価アルコールの組み合わせに界面活性剤を併せて配合することも有効であり、さらに前記の低級アルコールをも合わせて配合することも有効である。
界面活性剤には特に限定はなく、用途や剤形によって種類や量を選択すればよい。
界面活性剤は、油剤等の乳化や可溶化等のために用いられ、アニオン性(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、非イオン性(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)及び両性(カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤)その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)の活性剤を適宜用いることができる。
【0015】
低分子ベタインも選択されるべき原料の1つであり、これを配合することによってさらに効果は向上し、且つ塗布感もよくなり、皮膚外用剤として有効性は増す。
利用できる低分子ベタインは、分子量200以下の、第四アンモニウム塩基、スルホニウム塩基、ホスホニウム塩基等の分子内塩で両性イオンを形成するものを包含し得る。例示すれば、トリメチルグリシン、N,N,N−トリメチルアラニン、N,N,N−トリメチルグルタミン酸、トリエチルグリシンなどがあるが、トリメチルグリシンが好適である。
なお、分子量200以上のものは界面活性能を有し、低分子ベタインの効果とは異なるもので、上述したように界面活性剤を用いることは本発明の効果を高めるが低分子ベタインとは効果が異なる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、常法に従い、通常の皮膚外用剤として知られる種々の形態の基材に配合して調製することができる。
【0017】
外用剤の形態としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、水溶液、パック等の任意の剤形を選択することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤には、上記した必須成分の他に通常の外用剤に配合される成分、例えば、油剤、粉体、精製水、高分子化合物、ゲル化剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、色素、防腐剤、香料、美容成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
【実施例】
【0019】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。また、使用した薬剤の抽出液についての抽出方法は何ら限定されるものではない。
実施例の処方を表2から表4に示す。作成方法は常法により行った。なお、表2はローション、表3は美容液、表4はクリームの処方であり、配合量は重量部で示す。
【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】
【表4】

【0023】
(注1)カッコウアザミ抽出液1はカッコウアザミの葉(乾燥物)10gに精製水200mlを加えて1時間煮沸した後、ろ過した抽出液を用いた。
(注2)カッコウアザミ抽出液2はカッコウアザミの葉(乾燥物)10gに精製水100mlとエタノール100mlを加えて10日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注3)カッコウアザミ抽出液3はカッコウアザミの葉(乾燥物)10gにエタノール200mlを加えて10日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注4)加水分解コンキオリン液はコンキオリンを硫酸分解し、分子量1000以下のものを用いた。
(注5)サフランめしべ抽出液はサフランめしべ10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注6)ホオノキ抽出液はファルコレックスホオノキE[一丸ファルコス(株)製]を用いた。
(注7)グァバ抽出液はグァバの葉10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注8)西河柳抽出液は西河柳エキス[日本精化株]製]を用いた。
(注9)海藻抽出液はマリンパージ[一丸ファルコス(株)製]を用いた。
(注10)アカシア樹皮抽出液は樹皮10gにエタノール300mlを加えて5日間放置後、ろ過した抽出液を用いた。
(注11)ムラヤコエンギイ抽出液はムラヤコエンギイ]抽出液[山川貿易(株)製を用いた。
(注12)オオバナサルスベリ抽出液はオオバナサルスベリ抽出液 [山川貿易(株)製]を用いた。
【0024】
表1〜表3記載の実施例1〜12及び比較例1〜3の美肌効果試験を実施した。試験方法は25〜55才の女性20名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験外用剤の適量を顔面に塗布した。塗布による美肌効果の結果を表5に示す。
【0025】
【表5】

【0026】
表5の結果から線維芽細胞由来エラスターゼ活性阻害効果を有するカッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物と特定の薬剤(保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラーゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤など)のいずれか1種または2種以上を配合するとシミ、ソバカス、肝斑、シワの予防、減少、改善効果がより効果的になった。さらに、上記効果が相乗的に高まることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物を配合することを特徴とするエラスターゼ活性阻害剤
【請求項2】
カッコウアザミ属(Ageratum)の抽出物と保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤、エラスターゼ活性阻害剤のいずれか1種または2種以上を含む請求項1のエラスターゼ活性阻害剤
【請求項3】
保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、美白剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、抗プラスミン剤、活性酸素抑制剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、抗ヒスタミン剤、エラスターゼ活性阻害剤がアサガオカラクサの全草、アサムの材、アダトダ バシカ(Adhatoda vasica)の材、イエロウメランチの材イステカ(Ixcate)(Hippocratea celastroides)の樹皮、イボナシツヅラフジの枝、インドサルサの根、インドセンダンの樹皮、ウッドフォディア フルティコサ(Woodfordia fruticosa)の花および葉、ウバメガシの材、オオバナサルスベリ(lagerstroemia speciosa)の葉、カスカ‐ドーチェ(CASCA‐DOCE)(学名Pradosia lactescens又はLucumaglyciphloea又はChrysophyllum buranhem) 、カツラの材、カプールの材、カミメボウキの茎や枝、カワラケツメイ属(決明子、センナ、望江南、山扁豆、ナンバンサイカチ)、キレンソウの全草、キンコウボクの花、クアチャララテ(Cuachalalate)(Juliania adstringens Schl)の樹皮、グァバの葉、クウェルクス ピダンクレイト(Quercus pedunculate)の果実、クミンの種子、ケブラコの心材、コウスイガヤの根茎、コスティラス(Costillas)(Acalypha diversifolia Jacq.)の幹や枝、コバノブラッシュノキ(Melaleuca leucadendron)の樹皮、ゴルドロボ(Gordolobo)(Gnaphalium sphacellatum)の全草、サフランのめしべ、サラカ インディカ(Saraka indica )の樹皮、ジェキティバ(JEQUITIBA)(Carinianabrasiliensis又はCouratari legalis又はPyxidaria macrocarpa)の樹皮、シモニロの全草、ジャトバ(JATOBA)(Hymenaea coubaril)の果皮、ジャンボラン(Eugenia jambolana)の樹皮、シロバナチョウセンアサガオの種子、スファランサス インディクス(Sphaeranthus indicus)の全草、スプールースの樹皮、スミラックス ゼイラニカ(Smilax zeylanica)の根、セプターの材、タブノキの樹皮、チャバコショウの根、デスモディウム ガンゲチクム(Desmodium gangeticm)の全草、テルミナリア ホーリダ(Terminalia horrida)の果実、トラギア インボルクラタ(Tragia involucrata)の全草、ニゲラ サティバの種子、ハマビシの全草、ヒエルバデルサボ(Hierba del sapo)(Eryngium comosum)の全草、ヒハツの根、ピルル(Pirul)(Schinus molle)の全草、フィランサス ヌリリ(Phyllanthus nuriri)の全草、フウセンカズラの全草、プサ(PUCA)(Cissus antiparaliticus)の実、ベチバーの根、ヘデサルム アウストロシビリクス(Hedysarum austrosibiricus)の根、ヘルペストリス モンニエス(Herpestris monnies)の全草、ベロニカ(VERONICA)(Veronica officinalis)の樹皮、ボッレリア ヒスピダの根や茎、ポンガミア グラブラ(Pongamia glabra)の根、ミズキの樹皮、ミズメの樹皮、ミムソプス エレンギ(Mimusops elengi ミサキノハナ)の全草、ムラヤ コエニギイ(Murraya koenigii)の茎枝、ムンロニア プミラの全草、メラピーの材、モクレン科ホオノキ属の樹皮、ヤマザクラの材、ランボの材、ルウメックス シプリウス(Rumex cyprius)の葉、ワットルの樹皮、愛玉子、一條根、王不留行、化石草、貝母、貫衆、岩弁慶の根、Paeonia anomalaの根、栗いが、栗葉、鶏血藤、沙棗、使君子、小金櫻、秦皮、辛夷、西河柳、石蓮子、石榴根皮、石榴実皮、石榴樹皮、仙鶴草、穿破石、蒼朮、谷精草、中国産白朮、鉄包金、冬葵子、琵琶葉、菱実、鳳尾草、了哥王、蓮の葉
、檳榔子、胖大海、茘枝、訶子、鉤藤、鵝不食草、イシゲ科の海藻、;真珠末、コンキオリン、コンキオリン加水分解物、コンキオリンの加水分解物を無水コハク酸で処理した物質、貝類の粘液を加水分解して得られる物質、貝類肉より得られたステロール類、貝類肉より得られる酸性多糖類、貝類肉より得られたコラーゲン、貝類肉より得られたグリコーゲン、貝類肉より得られたリン脂質、貝類肉より得られたデオキシリボ核酸、チオサリチル酸及びその塩、マグノロール、ホオノキオール、1−(4−ヒドロキシフェニチオ)−2−プロパノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジチアン、2−(4−アセトキシフェニル)−1,3−ジチアン、2,5−ジヒドロキシベンズアミド、2,6−ジヒドロキシベンズアミド、4−アミノフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール、4−ヒドロキシベンズアミド、5−ヒドロキシインドール、6-dihydroxy)-dihydrobenzofuran-3-yl-(3'4'-dihydroxy)-phenyl ketone、スチルベンガロイル配糖体、シトラシンC、エチレンジアミン誘導体、カラハナエノンの誘導体、カシューナッツ殻油、カルダノール、カルドール、アナカルド酸、センノサイド、α−アルブチン、Glu−Glu−Met−Gln−Arg−Argの配列を含むペプチドもしくはこのペプチドのカルボキシル基末端をアミド体に変換したまたは/およびアミノ基末端をアシル化体に変換したペプチドである請求項2のエラスターゼ活性阻害剤
【請求項4】
さらに水酸基を2つ以上含む多価アルコール、低級アルコール、界面活性剤、低分子ベタインのいずれか1種または2種以上を含む請求項1および請求項3のエラスターゼ活性阻害剤

【公開番号】特開2006−62988(P2006−62988A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244903(P2004−244903)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【Fターム(参考)】