説明

エリア警戒自動識別監視システム

【課題】監視対象物の識別精度を高くし、挙動が不審な監視対象物も検知する。
【解決手段】監視対象識別部22は、監視対象物パターンを登録し、撮影された映像からパターンマッチング技法を用いて監視対象物を識別処理する。ざわつき排除部21は、排除対象となる、ざわつきパターンを登録し、映像内のざわつきが、ざわつきパターンと一致すると、パターンマッチング技法を用いて排除処理する。挙動不審パターン登録部25は監視対象物の挙動不審パターンを登録処理し、挙動不審パターン識別部24は監視対象物の移動行動パターンが、登録処理された監視対象物の挙動不審パターンと一致するかオプティカルフローの画像処理技術を用いて識別処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術であるパターンマッチング技術とオプティカルフロー技術を用いたエリア警戒自動識別監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエリア警戒自動識別監視システムでは、監視カメラを用いて撮影した映像から不審人物、車輌等の侵入を検知して警報発報するようにしている(文献公知発明に係るものではない)。このようなエリア警戒自動識別監視システムは、例えば、埠頭のゲートやフェンス、船舶や波止場に監視カメラを設置して、監視カメラが撮影した映像情報から物体の映像情報を抽出し、人物や車輌を検知し識別した場合には警報を発報する。監視センターの画像モニタが監視カメラの撮影映像を映し出し、監視員が不審者や不審車輌を発見した場合、直ちに警戒発報を発し警察等に通報する。
【0003】
しかし、監視員による監視カメラ画像の目視による監視では、少人数の監視員が多数の画像モニタを監視している場合、全ての画像モニタ画面に対して注意が届かず不審行動や異常行動を見落とす恐れがある。また、カメラ監視を行っているふ頭作業エリア等では、フェンスおよびゲートにセンサーを装備する場合があるが、そのセンサー発報は監視員によって、確認する人為的行為によって行うため、故障や切断または風等の自然現象による外的要因で誤発報する場合がある問題がある。この場合、監視員は画像モニタ画面で毎回確認する必要がある。更に、映像情報から人物、車輌等の映像情報を抽出するパターンマッチングによる画像処理方法も周知である。
【0004】
この種の従来技術を記載した特許文献として、監視領域に進入した物体がない状態で撮像入力される画像を初期画像用メモリ、初期画像を所定の大きさに細分割処理した領域毎に得られる像が示す物体までの距離を距離マップ用メモリに、それぞれ格納しておき、監視領域に物体が進入して監視画像用メモリに監視画像が得られると、初期画像用メモリに格納されている初期画像との間で、例えば差分処理を実行して初期画像中に存在しない画像成分を検出することにより移動物体の像を移動物体画像用メモリに格納し、この検出物体像に対して距離マップ用メモリを参照し、移動物体が検出された細分割領域の距離情報を求めことにより移動物体までの距離を求めるようにした「監視装置」が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、監視領域に対する撮影前後の画像の差分画像をデジタル化したデジタル画像に含まれる所定値を有する画素の固まりを検出し、検出された固まりについて面積が大きい順に当該固まりを含む所定形状の領域を設定し、この領域内に存在する固まりの合計面積を求め、それが所定範囲内である場合に、領域内に存在する固まりが侵入者の画像として認知されるようにした「侵入者識別システム」も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特公平6−095008(第2頁−第3頁、図1)
【特許文献2】特許第2612662号(第2頁−第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したパターンマッチングによる画像処理方法では、人物や車輌等を検知することは出来ても、不特定多数の人物や車輌が出入りし、作業する場所の場合、撮影した映像情報から不審者や不審車輌であることを見分けることは極めて困難である。例えば、ふ頭エリア内にてゲートやフェンスをよじ登ったり、破壊したりして侵入する場合、ふ頭内の作業者や作業車輌を撮影している監視カメラ映像から不審行動や異常行動と、通常の作業行動とを自動的に切り分け、警戒発報をすることはできない。
【0008】
また、特許文献1記載の技術では、移動物体の大きさを判断して警報を発するため、人,二輪車,車,船等のように移動物体の形を判断して警報するものではないので、監視対象物の識別精度が低いため、対象外の物まで識別してしまう誤検出が非常に多いという問題点がある。これは、この技術は、進入物体によって遮られた画像部分は少なくとも進入物体より遠くの位置に存在することから、進入物体は距離マップ用メモリから求められる最短距離情報の位置に存在するとして、これにより、3次元画像処理等の複雑な画像処理なくして物体までの距離を求めることを意図したものであるからである。
【0009】
また、特許文献2記載の技術でも、指定エリア内で動いている物体の面積サイズにより、人のみを判断して発報するだけで、他の対象物の識別検出、従って挙動が不審な行動の監視対象物を自動的に検知することができないし、通常の作業者や通行人や作業車輌と、挙動不審な行動をする者との識別もできないという問題点がある。また、映像内のざわつき(例えば木の揺れ、波)を不要な監視対象物として排除するのも物体の面積サイズで判断するため、ざわつき内に物体が入ると識別できなかったり誤発報することがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、監視エリア内の監視対象物である人・車・二輪などの識別精度を高くし、監視対象物の識別精度を維持し、更に挙動が不審な監視対象物も検知できるエリア警戒自動識別監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のエリア警戒自動識別監視システムは、監視対象物パターンを登録し、撮影された映像からパターンマッチングの画像処理技術を用いて監視対象物を識別処理する監視対象識別部(図1の22)と、識別処理の結果により監視対象物以外を映像から排除処理する監視対象外排除部(図1の23)を設けたことを特徴とする。登録する監視対象物パターンは、監視対象物の画像ピクセルの一番外側にある頂点を抽出して接続した模擬図形とすることが望ましい。
【0012】
また、排除対象となる、ざわつきパターンを登録し、映像内のざわつきが、ざわつきパターンと一致すると、パターンマッチングの画像処理技術を用いて、それを排除処理するざわつき排除部(図1の21)を設けたことを特徴とする。
【0013】
更に、監視対象物の挙動不審パターンを登録処理する挙動不審パターン登録部(図1の25)と、監視対象識別部で識別処理された監視対象物の移動行動パターンが、登録処理された監視対象物の挙動不審パターンと一致するかオプティカルフローの画像処理技術を用いて識別処理する挙動不審パターン識別部(図1の24)と、識別処理の結果により監視対象物の移動行動パターンが挙動不審パターンに一致すると発報処理する挙動不審発報部(図1の26)を設けたことを特徴とする。監視対象物の移動行動パターンは、映像画面を分割したブロックまたはピクセルの遷移を辿ることにより得るのが良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の効果は、監視対象物をパターンマッチングの画像処理技術を用いて検知することとしたため、監視エリア内の監視対象物である人・車・二輪などの識別精度を高くして、対象外の物を識別しないようにすることができるということである。
【0015】
本発明の第2の効果は、パターンマッチングの画像処理技術を用いて、画像のざわつきを排除することとしたため、監視対象物の識別精度を約10倍以上に高めることができるということである。
【0016】
本発明の第3の効果は、挙動不審パターンを登録しておき、オプティカルフローの画像処理技術を用いて把握する監視対象物の行動移動パターンとの一致をチェックすることとしたため、挙動が不審な行動の監視対象物と通常の作業者や通行人や作業車輌とを自動に区別することができ、識別精度を更に上げることができるということである。
【0017】
本発明の第4の効果は、挙動が不審な行動のパターンをいくつでも追加登録することができ、不審者の検出の精度を更に上げることができる。また、通常の移動パターンの登録(排除パターン)も追加登録をすることができるということである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[構成の説明]
図1は、本発明のエリア警戒自動識別監視システムを示すブロック図である。このエリア警戒自動識別監視システムは、ふ頭エリア内を警戒・監視するシステムであって、カメラ1と対象物取込検出装置10と対象物検出装置20と表示装置30で構成されている。
【0020】
対象物取込検出装置10は、カメラ1と対象物検出装置20に接続されており、カメラ1によって撮影された、ふ頭エリア内の様子の映像情報を対象物取込検出装置10に送信する。このとき、対象物取込検出装置10はカメラから受信したアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換して、細分化および警戒するエリア範囲を指定し、また動体を検知して映像情報を対象物検出装置20へ送信する。対象物検出装置20は、対象物取込検出装置10から送信されてくる映像情報からパターンマッチングにて対象物を検出・識別し、オプティカルフローにて移動軌跡を検出・識別し表示装置30に送信する。表示装置30は、対象物または移動軌跡に対して警報を発報するときにブザー音および画面にて表示する。パターンマッチングおよびオプティカルフローは周知の技法である。
【0021】
図1を参照すると、対象物取込検出装置10は、A/D変換部11,画像処理部12,警戒エリア指定部13および動体検知部14から成る。A/D変換部11は、カメラ1からのアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換処理する。画像処理部12は、デジタル映像信号のカラー画像を白黒化(2値化)し、更に映像情報の輪郭を際立たせる補正を行って細分化処理する。警戒エリア指定部13は、映像情報内の警戒したいエリアを指定処理する。動体検知部14は、警戒エリア内にて動体を検知して対象物検出装置20へ映像情報を送信処理する。
【0022】
対象物検出装置20は、ざわつき排除部21,監視対象識別部22,監視対象外排除部23,挙動不審パターン識別部24,挙動不審パターン登録部25,挙動不審発報部26およびパターン外排除部27から成る。また、対象物検出装置20内の図示しないメモリには、排除対象となる、ざわつきパターン,監視対象物パターン,挙動不審パターン及び監視対象外パターンが予め登録されている。なお、ざわつきパターン,監視対象物パターン,挙動不審パターン及び挙動不審パターンは、予め登録しておくことの外、処理の途中で新規に追加登録することも可能である。
【0023】
ざわつき排除部21は、排除対象となる、ざわつきパターンを予め登録し、動体検知部14から送信されてくる映像内のざわつき(木の揺れ,波等)が、ざわつきパターンと一致すると、それを排除処理する。監視対象識別部22は、監視対象物パターンを予め登録し、ざわつきが排除処理された後の映像から監視対象物(人,車,二輪,船など)を識別処理し、監視対象外排除部23は、監視対象物以外を映像から排除処理する。
【0024】
挙動不審パターン登録部25は、監視対象物の挙動不審パターンを予め登録処理する。挙動不審パターン識別部24は、監視対象識別部22で識別処理された監視対象物の移動行動パターンが、挙動不審パターン登録部25で登録処理された監視対象物の挙動不審パターンと一致するか識別処理する。挙動不審発報部26は、監視対象物の移動行動パターンが挙動不審パターン識別部24にて一致した場合に発報処理する。パターン外排除部27は、監視対象外パターンを予め登録し、監視対象物の移動行動パターンが挙動不審パターン識別部24にて不一致または監視対象外パターンに一致した場合に排除処理する。
【0025】
挙動不審表示部31は、挙動不審発報部26が発報した場合に、その内容を画面表示する。また、ブザー音およびランプ点灯等にて確認することもできる。動体検知物識別表示部32は、監視対象識別部22にて監視対象物を識別した場合に、監視対象物を画面表示する。
【0026】
[動作の説明]
図2は、以上のように構成された本発明のエリア警戒自動識別監視システムの動作手順を示すフローチャートである。以下、図2に沿い、かつ図3〜図16参照しながら、このエリア警戒自動識別監視システムの動作について説明する。
【0027】
先ず、対象物取込検出装置10のA/D変換部11は、カメラ1でキャプチャしたアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換処理する(図2のステップS1)。次に、画像処理部12は、例えば、埠頭の風景を写したデジタル映像信号(カラー)の元画像を白黒化(2値化)し、更に映像情報の輪郭を際立たせるための補正を行って細分化処理する(図2のステップS2)。この輪郭補正は、白黒化した画像データを反転させて、色の濃淡の差を抽出し、濃いところを強調し、細かいノイズ(薄い点等)を排除して行なう。
【0028】
警戒エリア指定部13は、このような映像情報内の警戒したいエリアを指定処理する(図2のステップS3)。この指定は、例えば四角形でエリアを指定する場合は、4つの角の座標を指定して行なう。
【0029】
動体検知部14は、輪郭補正された画像の警戒エリア内にて動体を検知する(図2のステップS4)が、動体検知が無い場合は(図2のステップS5)、処理を最初(図2のステップS1)から繰り返し実施する。図3は、動体検知を説明するための第1の図であり、警戒エリア指定13にて指定した警戒エリア内の人物画像を細分化することを示している。
【0030】
図4は、動体検知を説明するための第2の図である。画像フレームは、図4(A)に示すように時間と共に更新されている。図4(B)は、このような画像フレームから取り出した、人の顔を写した1つの画像フレームを示す。このような画像フレームを例えば450ブロックに分割し、各ブロックを図4(C)に示すように例えば64ピクセルに分割する。
【0031】
動体検知部14は、現在の画像フレームと過去の6画像フレームの合計7画像フレームについて、同じ座標ピクセルを調べる。その結果、4つ以上同じ場合は「変化無し」のピクセルと判断する。違っていた場合には「動体」と判断する。これを画面上の全ピクセルについて処理を行い、8×8ピクセルにして計算を行う。この64ピクセルのうち25ピクセル以上(設定により変更できる)が白だった場合は、このブロックを動いているブロックを判断する。動いているブロックが25ブロック以上(設定により変更できる)だった場合は動体認識とし、対象物検出装置20へ送信する。
【0032】
対象物検出装置20では、ざわつき排除部21が映像内のざわつき(木の揺れ、波等)を排除処理する(図2のステップS6)。図5は、ざわつき排除処理を説明するための模式図である。図5(A)は登録してある、ざわつきパターン(パターンブレ成分)の例であり、図5(B)に示すように、画像がこのようなパターンブレ成分ρ(X,Y)と動体φ(X,Y)の合成である場合、登録してあるパターンブレ成分と画像内で一致したパターンブレ成分ρ(X,Y)を排除する。動体は排除対象外とする。なお、ざわつきが大きい場合には、図3で説明した細分化の単位を大きくして誤検出を減らす動作を行う。
【0033】
図6は、ざわつき排除処理を説明するための、より現実的な図である。ここでは、図6(A)に示すように、パターンブレ成分ρ(X,Y)として雨や雪、動体φ(X,Y)として人の顔を示している。図6(B)に示すように、雨や雪の画像上における存在確率は画面上の位置に拘わらず一定であるのに対して、人の顔の画像上における存在確率は、図6(C)に示すように、画面中央部が高い。従って、このような存在確率の特性によりパターンブレ成分等の動体の物体以外を排除することもできる。
【0034】
次に、監視対象識別部22はざわつきの排除された映像について監視対象物識別処理を行う(図2のステップS7)。動体検知処理(図2のステップS4)された物が、登録されている監視対象物パターンに当てはまらない場合は(図2のステップS8)、監視対象物以外は監視対象外排除部23にて排除処理して最初(図2のステップS1)から繰り返し実施する。
【0035】
なお、監視対象物パターンは、画像ピクセルの一番外側にある頂点を抽出することにより得ることができる。例えば、人であれば縦長の長方形、自動車であれば横長の長方形、二輪車であれば三角形、船であれば台形様の図形で模擬する。このような大胆な模擬も、本エリア警戒自動識別監視システムが適用される環境に特化して考えれば、出現確率上妥当なものとして肯定することができる。
【0036】
一方、監視対象物パターンに当てはまる場合は、動体検知物識別表示部32が監視対象物(人,車,二輪,船など)を画面表示し(図2のステップS10)、挙動不審パターン識別部24は、監視対象識別部22で識別処理された監視対象物の移動行動パターンが、挙動不審パターン登録部25で登録処理された監視対象物の挙動不審パターンと一致するか識別処理する(図2のステップS11)。
【0037】
図7は、監視対象物の移動遷移を説明するための模式図である。図7では、人が画面の左下から上方、右方、車の間を下方、右方へと移動していることを矢印で示している。実際には、人はブロックとして取り扱われるので、そのブロックの軌跡を辿ることになる。このような矢印の結合から監視対象物の移動行動パターンを得ることができる。なお、監視対象物の移動行動パターンはピクセル単位に行なうこともできる。
【0038】
厳密には、時間の経過とともに観測した複数の画像から、動体の移動方向と速度を求める解析手法として、オプティカルフロー法が周知である。オプティカルフロー法とは、動画像中の濃淡パターンの動き(ベクトル)を各画素点で表示したものである。図8は、挙動不審パターン識別部24における動体の移動方向検出の概念を説明するための図である。
【0039】
いま、図8(A)に示すように、座標(x,y) に位置する濃淡パターンρの物体がδt 秒後に、座標(x+δx,y+δy) に移動したとすると、動体の移動方向は図8(B)に示すようにベクトル表示することができる。また、濃淡パターンρは移動の前後で変わらないため、ρ(x,y,t)=ρ(x+δx,y+δy,t+δt )
挙動不審パターン識別処理(図2のステップS11)の結果、監視対象物の移動行動パターンが挙動不審パターンに一致した場合(図2のステップS12)、挙動不審発報部26は発報処理する。これを受けて、表示装置30の挙動不審表示部31は発報内容を画面表示し、またブザー音やランプ点灯等で報知する。
【0040】
一方、監視対象物の移動行動パターンが挙動不審パターン識別にて不一致または対象外パターンに一致した場合(図2のステップS12)、パターン外排除部27は、排除処理をして処理を最初(図2のステップS1)から繰り返し実施する。
【0041】
図9〜図16は、挙動不審パターン登録部25によって登録される様々な挙動不審パターンを示す。パターンは複数登録することができる。検出設定時間は任意設定が可能とする。また、パターンはある程度のバラツキがあっても近い移動軌跡を識別対象として判断する。
【0042】
図9は、電光型移動識別パターンを示す。このパターンは、電光型ジグザグ(ギザギザに折れ曲がって)移動し、移動軌跡が一定推移でない。図10は、侵入禁止方向識別パターンを示す。このパターンは、x方向にaからbへ移動する様を表す。
【0043】
図11は、乗り越え動作識別パターン、すなわちy方向の所定の位置を越えるパターンである。図12は、潜り抜け動作識別パターン、すなわちy方向の所定の位置を潜るパターンである。
【0044】
図13は、頻繁出没動作識別パターン、すなわち頻繁に上下に移動して出没し、隠れたり(消えたり)出たりする様を表す。上下移動検出時間は任意設定が可能とする。図14は、伸縮移動動作識別パターン、すなわち人が屈み込み等伸縮移動動作する様を表す。移動時間検出は任意設定が可能とする。
【0045】
以上に説明したように、このエリア警戒自動識別監視システムによれば、埠頭エリアを撮影する監視カメラからの映像情報からパターンマッチングおよびオプティカルフローパターンの一致により異常状態を検知して警報発報を発生することができる。
【0046】
[産業上の利用可能性]
本発明は、埠頭監視システムへの適用を想定して記載したが、税関違法出入国者監視システム,駐車場入退場車数監視システム,店舗入退場者数監視システム,鉄道置き石監視システム,土砂崩れ災害監視システム,不審船監視システム,不法投棄監視システム,工場不法侵入監視システム,無人施設不法侵入監視システム,ダム河川監視システム等、より広範な防災・防犯・セキュリティ現場に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のエリア警戒自動識別監視システムを示すブロック図
【図2】本発明のエリア警戒自動識別監視システムの動作手順を示すフローチャート
【図3】動体検知を説明するための第1の図
【図4】動体検知を説明するための第2の図
【図5】ざわつき排除処理を説明するための模式図
【図6】ざわつき排除処理を説明するための、より現実的な図
【図7】監視対象物の移動遷移を説明するための模式図
【図8】挙動不審パターン識別部における動体の移動方向検出の概念を説明するための図
【図9】第1の挙動不審パターンを示す図
【図10】第2の挙動不審パターンを示す図
【図11】第3の挙動不審パターンを示す図
【図12】第4の挙動不審パターンを示す図
【図13】第5の挙動不審パターンを示す図
【図14】第6の挙動不審パターンを示す図
【符号の説明】
【0048】
1 カメラ
10 対象物取込検出装置
11 A/D変換部
12 画像処理部
13 警戒エリア指定部
14 動体検知部
20 対象物検出装置
21 ざわつき排除部
22 監視対象識別部
23 監視対象外排除部
24 挙動不審パターン識別部
25 挙動不審パターン登録部
26 挙動不審発報部
27 パターン外排除部
30 表示装置
31 挙動不審表示部
32 監視対象物識別表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物パターンを登録し、撮影された映像からパターンマッチングの画像処理技術を用いて監視対象物を識別処理する監視対象識別部と、
前記識別処理の結果により監視対象物以外を映像から排除処理する監視対象外排除部を設けたことを特徴とするエリア警戒自動識別監視システム。
【請求項2】
前記登録する監視対象物パターンは、監視対象物の画像ピクセルの一番外側にある頂点を抽出して接続した模擬図形とすることを特徴とする請求項1記載のエリア警戒自動識別監視システム。
【請求項3】
排除対象となる、ざわつきパターンを登録し、映像内のざわつきが前記ざわつきパターンと一致すると、パターンマッチングの画像処理技術を用いて、それを排除処理するざわつき排除部を設けたことを特徴とする請求項2または請求項2記載のエリア警戒自動識別監視システム。
【請求項4】
前記監視対象物の挙動不審パターンを登録処理する挙動不審パターン登録部と、
前記監視対象識別部で識別処理された監視対象物の移動行動パターンが、前記登録処理された監視対象物の挙動不審パターンと一致するかオプティカルフローの画像処理技術を用いて識別処理する挙動不審パターン識別部と、
前記識別処理の結果により前記監視対象物の移動行動パターンが前記挙動不審パターンに一致すると発報処理する挙動不審発報部を設けたことを特徴とする請求項3ないし請求項3のいずれかに記載のエリア警戒自動識別監視システム。
【請求項5】
前記監視対象物の移動行動パターンは、前記映像画面を分割したブロックまたはピクセルの遷移を辿ることにより得ることを特徴とする請求項4記載のエリア警戒自動識別監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−152586(P2008−152586A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340610(P2006−340610)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】