説明

エンジンの排気装置

【課題】 きわめて簡単な手段で以って可変容量過給機のノズルベーンを駆動するリンク組立品の連結部へのノズルベーンの振動の伝達を阻止することにより、前記連結部の摩耗を防止して可変ノズル機構の安定した作動を維持できるエンジンの排気装置を提供する。
【解決手段】 アクチュエータの駆動力をリンク組立品を介してタービンケーシングに回動可能に支持されたノズルベーンに伝達し、該ノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構によりタービンの容量を可変とした可変容量型排気ターボ過給機を備えたエンジンの排気装置において、排気ブレーキ作動時に前記タービンケーシング内のノズルベーンが設けられたノズル室と該タービンケーシング内に形成されて前記リンク組立品が収納されるリンク室との間に圧力差を生成して、該圧力差により前記ノズルベーンを該ノズル室の一方側の側壁に押し付ける差圧生成手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として車両用排気ターボ過給機付きエンジンに適用され、ノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構によりタービンの容量を可変としたエンジンの排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ターボ過給機を備えたエンジンにおいては、アクチュエータの駆動力をドライブリング、レバープレート及び該ドライブリングとレバープレートとを連結するピンを含むリンク組立品を介してタービンケーシングに回動可能に支持されたノズルベーンに伝達し、該ノズルベーンの翼角をエンジン出力(エンジン負荷)によって変化せしめる可変ノズル機構を装備した可変容量型排気ターボ過給機が広く用いられている。
【0003】
かかる可変ノズル機構は、エンジン出力(エンジン負荷)により制御されるアクチュエータの駆動力によって精度よくノズルベーンの翼角を変化せしめることを要するため、アクチュエータとノズルベーンとを連結するリンク機構に「がた」の発生を回避する手段が提案されている。
前記手段の1つに特許文献1(特開2001−27124号公報)で開示されている技術がある。
かかる技術においては、アクチュエータの駆動力をノズルベーンに伝達するリンク機構を構成するドライブリングとレバープレートとを連結する該ドライブリング側に固定されたピンと、レバープレートの連結用溝との間にばね(弾性部材)を介装し、該ばねによって前記ピンの側面を常時連結用溝側に押し付け、前記ピン連結部の「がた」の発生を回避している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−27124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機付きエンジンにおいては、該排気ターボ過給機の出口側に設けられている排気ブレーキを作動させてタービン下流の排気通路を閉じると、可変ノズル機構のノズルベーンに作用する排気の脈動が変化(タービン上流と下流の圧力が逆転する現象が発生する)し、この脈動の変化に起因してノズルベーンにその回転軸廻りの振動が発生する。この振動によって該ノズルベーンを駆動するドライブリング、レバープレート及び該ドライブリングとレバープレートとを連結するピンを含むリンク組立品の連結部に摩耗が発生し易い状況となる。
【0006】
前記特許文献1(特開2001−27124号公報)で開示されている技術にあっては、前記のようにして発生した振動が、ドライブリング側に固定されたピンとレバープレートとの間の連結部に伝達されると、該ばねによって前記ピンの側面を常時連結用溝側に押し付け、前記ピン連結部の「がた」の発生を回避しているが、前記ノズルベーン側からの振動が前記ピン連結部まで伝達されて来るため、ばねによってピンの側面を連結用溝側に押し付けるのみでは、該ピン連結部の摩耗を確実に低減するのは困難を伴う。
従ってかかる従来技術にあっては、前記ピン連結部の摩耗を防止して可変ノズル機構の安定した作動を維持するのは困難である。
【0007】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、きわめて簡単な手段で以ってノズルベーンを駆動するリンク組立品の連結部へのノズルベーンの振動の伝達を阻止することにより、前記連結部の摩耗を防止して可変ノズル機構の安定した作動を維持できる可変容量型排気ターボ過給機を備えたエンジンの排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はかかる目的を達成するもので、アクチュエータの駆動力をリンク組立品を介してタービンケーシングに回動可能に支持されたノズルベーンに伝達し、該ノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構によりタービンの容量を可変とした可変容量型排気ターボ過給機を備えるとともに、排気通路に排気ブレーキ装置を備えたエンジンの排気装置において、
前記排気ブレーキ装置の作動時にタービンケーシング内の前記ノズルベーンが設けられたノズル室と該タービンケーシング内に形成されて前記リンク組立品が収納されるリンク室との間に圧力差を生成して、該圧力差により前記ノズルベーンを該ノズル室の一方側の側壁に押し付ける差圧生成手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記のように、可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機においては、排気ブレーキを作動させてタービン下流の排気通路を閉じると、ノズルベーンに作用する排気脈動が変化し、かかる排気脈動によって前記ノズルベーンにその回転軸廻りの振動が発生し、この振動によって該ノズルベーンを駆動するドライブリング、レバープレート及び該ドライブリングとレバープレートとを連結するピンを含むリンク組立品の連結部に摩耗が発生する。
【0010】
然るにかかる発明によれば、排気ブレーキ装置を作動させて排気ガス流量が減少している運転時においても、タービンケーシング内の前記ノズルベーンが設けられたノズル室と前記リンク組立品が収納されるタービンケーシング内のリンク室の間に、差圧生成手段によって常時一定の圧力差を生成しているので、この圧力差によって前記ノズルベーンがノズル室の一方側の側壁に片寄せて押し付けられ、かかる押付力の作用に伴うノズルベーンと前記側壁との接触による摩擦抵抗によって該ノズルベーンの振動が抑制される。
【0011】
これにより、前記ノズルベーンから該ノズルベーンを駆動するドライブリング、レバープレート及び該ドライブリングとレバープレートとを連結するピンを含むリンク組立品の連結部への振動の伝播が阻止されて、該連結部の振動が抑制されることとなって、かかる振動に伴う該連結部の摩耗を防止できる。
この場合、排気ブレーキ装置の作動中は可変ノズル機構は作動しないので、前記圧力差によってノズルベーンがノズル室の一方側の側壁に片寄せて押し付けられていても、エンジンの運転に支障はない。
【0012】
かかる発明において好ましくは、前記差圧生成手段は、前記リンク室と前記エンジンの吸気通路とを接続する空気抜出し通路を備え、該リンク室内の圧力を該空気抜出し通路を通して前記吸気通路内に開放する吸気側圧力開放手段からなる。
このように構成すれば、排気ブレーキ装置の作動中においては排気ターボ過給機が殆ど作動せず、従って吸気圧力が低くなっている吸気通路内に前記リンク室内の圧力を開放するので、該リンク室内の圧力は常時ノズル室の圧力よりも低くなって、ノズル室とリンク室との間に確実に差圧を生成でき、該差圧によって前記ノズルベーンをノズル室の側壁に押し付け、該ノズルベーンの振動を抑制し前記リンク組立品の連結部の摩耗を防止できる。
【0013】
また、かかる発明において好ましくは、前記差圧生成手段は、前記リンク室と排気ブレーキ装置の下流側排気通路とを接続する空気抜出し通路を備え、該リンク室内の圧力を該空気抜出し通路を通して前記排気通路内に開放する排気側圧力開放手段からなる。
このように構成すれば、排気ブレーキ装置の作動中においては、常時ノズル室内圧力よりも低圧になっている排気ブレーキ装置の下流側部位の排気通路に空気抜出し通路を通してリンク室内の圧力を開放するので、該リンク室内の圧力は常時ノズル室の圧力よりも低くなって、ノズル室とリンク室との間に確実に差圧を生成でき、該差圧によって前記ノズルベーンをノズル室の側壁に押し付け、該ノズルベーンの振動を抑制し前記リンク組立品の連結部の摩耗を防止できる。
【0014】
さらに、前記構成において、前記排気ブレーキ装置よりも下流の前記排気通路に排ガス浄化装置を備え、排気側圧力開放手段の空気抜出し通路の出口側を、前記排気ブレーキ装置と排ガス浄化装置との間の部位に接続するのが好ましい。
このように構成すれば、排気ガスが混入したリンク室内のガスを排ガス浄化装置に導入して主排気ガスとともに浄化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、好ましくはリンク室内のガスを低圧部位に抜き出す空気抜出し通路を備えた差圧生成手段により、ノズルベーンが設けられたノズル室と前記リンク組立品が収納されるリンク室の間に差圧を生成して、該差圧によりノズルベーンをノズル室の一方側の側壁に片寄せて押し付け、該押付力の作用に伴うノズルベーンと前記側壁との接触による摩擦抵抗によって該ノズルベーンの振動を抑制し、該ノズルベーン側から前記リンク組立品側への振動の伝達を阻止するという、きわめて簡単かつ低コストの手段で以ってリンク組立品における連結部の摩耗を防止でき、可変ノズル機構の安定した作動を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0017】
図4は、本発明が適用される可変容量型排気ターボ過給機の軸心線に沿う断面図である。
図4において、30はタービンケーシング、30aは該タービンケーシング30内の外周部に渦巻状に形成されたスクロール室、34aはタービンロータで膨張仕事をした排ガスを系外に送出するための排気ガス出口である。31はコンプレッサハウジング、36は該コンプレッサハウジング31と前記タービンケーシング30とを連結する軸受ハウジングである。
34はタービンホイール、35はコンプレッサホイール、33は該タービンホイール34とコンプレッサホイール35とを連結するタービンシャフト、37は前記軸受ハウジング36に取り付けられて前記タービンシャフト33を支持する軸受である。01は該タービンシャフト33の回転軸心である。
【0018】
40はノズルベーンで、前記スクロール室30aの内周側にタービンの円周方向等間隔に複数個配置されるとともに、これに一体形成されたノズルシャフト40aが前記タービンケーシング30に取り付けられたノズルマウント41に回動可能に支持され、該ノズルシャフト40aの回転により該ノズルベーン40の翼角が変化せしめられるようになっている。
70は前記ノズルベーン40の翼角を制御する可変ノズル機構(詳細は後述)、50はアクチュエータで、該アクチュエータ50の駆動力が前記可変ノズル機構70を介して前記ノズルベーン40を回動させ、その翼角を変化せしめるようになっている。
【0019】
本発明は、かかる可変容量型排気ターボ過給機における可変ノズル機構70の構成部材の摩耗防止に係るものである。
図1(A)は本発明の第1,第2実施例に係る可変容量型排気ターボ過給機における可変ノズル機構設置部近傍の要部断面図、(B)は(A)おけるA―A矢視図である。
図において、70は可変ノズル機構で次のように構成されている。
73は環状に形成され前記タービンケーシング30(図4のようにノズルマウント41でもよい)の外周に回動可能に支持されたドライブリングである。71は該ドライブリング73とノズルシャフト40a及びノズルベーン40とを連結するレバープレートで、根元部を前記ノズルシャフト40aに固定されている。
また、該ドライブリング73とレバープレート71とは、図1(B)に示すように、一端を該ドライブリング73に固定されたピン72を、該レバープレート71に形成された長溝71aに嵌合することにより連結されている。
【0020】
30bは前記タービンケーシング30内に形成されたリンク室で、前記ドライブリング73、レバープレート71,ピン72等のリンク組立品700が収納されている。
2は前記タービンケーシング30に前記リンク室30bに連通して穿孔された空気抜出し孔、1は該空気抜出し孔2にフランジ1aを介して接続された空気抜出し通路で、前記リンク室30b内の圧力を該空気抜出し孔2を通して空気抜出し通路1に開放するようになっている。
30aはスクロール室、30hは前記ノズルベーン40が設置されたノズル室である。
【実施例1】
【0021】
図2は本発明の第1実施例における差圧生成手段の吸気側圧力開放手段の構成を示す平面図である。
図において、100はエンジン、101は該エンジン100のシリンダ、102は吸気マニホールド、103は排気マニホールド、106はラジエータである。110は詳細を前記図4のように構成された排気ターボ過給機であり、前記エンジン100からの排気管107を通して該排気ターボ過給機110のタービン110aに排気ガスが導入されて該タービン110aを駆動するようになっている。
110bは該排気ターボ過給機110のコンプレッサで該タービン110aにより同軸駆動され、吸気管104を通して前記エンジン100の吸気マニホールド102に空気(吸気)を送給するようになっている。105は該吸気管104に設けられた空気冷却器である108は前記タービン110aの排気出口に接続された排気管で、該排気管108には排気ブレーキ109及び排ガス浄化装置111が設置されている。
【0022】
1は空気抜出し通路で、図1のように、入口側を前記タービンケーシング30の空気抜出し孔2にフランジ1aを介して接続されて、前記リンク室30bに空気抜出し孔2を介して連通され、出口側を前記吸気マニホールド102にフランジ1bを介して接続されている。従って前記リンク室30bの圧力は、該空気抜出し孔2及び空気抜出し通路1を介して前記吸気マニホールド102内に開放されることとなる。
図2において、実線矢印は排気ガスの流れ、破線矢印は空気(吸気)の流れを示す。
【0023】
次に図1及び図2に基づきかかる第1実施例の動作を説明する。
前記のように構成された可変ノズル機構70を備えた可変容量型排気ターボ過給機付きエンジンの運転時において、前記可変ノズル機構70を備えた可変容量型排気ターボ過給機110からの排気管108に設けられている排気ブレーキ109を作動させて、タービン下流の排気通路を閉じると、排気脈動に変化が生じ、かかる排気脈動の変化によって、前記ノズルベーン40が、その回転軸つまり前記ノズルシャフト40aの中心40s廻りに加振される。
【0024】
然るにかかる実施例によれば、前記排気ブレーキ109を作動させて排気ガス流量が減少している運転時においても、前記リンク室30b内は前記空気抜出し孔2及び空気抜出し通路1を介して前記吸気マニホールド102内に接続されており、かつ該排気ブレーキ109の作動中においては排気ターボ過給機110の出力が低下して該吸気マニホールド102内の吸気圧力及び該吸気マニホールド102内に連通されている前記リンク室30b内の圧力Pは前記吸気マニホールド102内に開放されて、前記ノズルベーン40が設けられたノズル室30hの圧力Pよりも低くなる。
【0025】
かかる差圧P−Pによる力Fによって、前記ノズルベーン40がノズル室30hの一方側の側壁30fに片寄せて押し付けられ、かかる押付力Fの作用に伴うノズルベーン40と前記側壁30fとの接触による摩擦抵抗によって該ノズルベーン40の振動が抑制される。
かかるノズル室30hの圧力Pとリンク室30b内の圧力Pとの差圧によって、該ノズル室30h内のガスが、図1の矢印のように、前記タービンケーシングの孔30cと前記ノズルシャフト40aとのリーク隙間30eを通ってリンク室30b内に流出可能となっても、前記のようにリンク室30b内の圧力Pが吸気マニホールド102内に開放されているため、前記差圧P−Pが確実に保持される。
【0026】
前記のようにして、前記ノズルベーン40の振動が抑制されることにより、前記ノズルベーン40から該ノズルベーン40を駆動するドライブリング73、レバープレート71及び該ドライブリング73とレバープレート71とを連結するピン72を含むリンク組立品700の連結部への振動の伝播が阻止されて、該連結部の振動が抑制されることとなって、殊に図1(B)のように、レバープレート71の長溝71aとピン72との接触部における前記振動に伴う摩耗を防止できる。
尚、前記排気ブレーキ109の作動中は可変ノズル機構70は作動しないので、前記差圧P−Pによってノズルベーン40がノズル室30hの一方側の側壁30fに片寄せて押し付けられていてもエンジンの運転に支障はない。
また、前記排気ブレーキ109が解除されるとタービンの回転が上昇することにより、吸気圧力も上昇し、この吸気圧力の上昇によってリンク室30bの圧力が高められることになり、ノズルベーン40と側壁30fとの接触が離間されるので、排気ブレーキ109非作動時の通常運転時は、ノズルベーン40の開度制御を支障なく行うことができる。
【実施例2】
【0027】
図3は本発明の第2実施例における差圧生成手段の排気側圧力開放手段の構成を示す排気ブレーキ近傍の要部断面図である。
かかる第2実施例においては、前記空気抜出し通路1の出口端を排気管108の排気ブレーキ109の下流側部位に接続している。
即ち、図3において、109aは前記排気ブレーキ109の弁体で、弁軸109b廻りに回転可能に設けられている。109cは空気圧シリンダで、該空気圧シリンダ109cからリンク109dを介して前記弁軸109b及び弁体109aを回転させ、前記排気管108内の排気通路の通路面積を変化せしめるようになっている。111は排ガス浄化装置で、前記排気ブレーキ109の下流側に設置されている。
かかる排気ブレーキ109及び排ガス浄化装置111の構成は公知である。
1は前記空気抜出し通路で、フランジ1fを介して前記排気管108の排気ブレーキ109と排ガス浄化装置111との間に接続されている。
【0028】
かかる第2実施例によれば、前記弁体109aを閉じる排気ブレーキ109の作動中においては、常時ノズル室30h内圧力Pよりも低圧になっている排気ブレーキ109の下流側部位の排気管108内に空気抜出し通路1を通して、リンク室30b内の圧力を開放するので、該リンク室30b内の圧力Pは常時ノズル室30hの圧力Pよりも低くなって、該ノズル室30hとリンク室30bとの間に確実に差圧P−Pを生成でき、該差圧P−Pによって前記ノズルベーン40をノズル室30hの側壁30fに押し付け、該ノズルベーン40の振動を抑制し、前記リンク組立品700の連結部の摩耗を防止できる。
【0029】
さらに、前記空気抜出し通路1の出口側を、前記排気管108の前記排気ブレーキ109と排ガス浄化装置111との間の部位に接続したので、排気ガスが混入したリンク室30b内のガスを排ガス浄化装置111に導入して主排気ガスとともに浄化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、きわめて簡単な手段で以ってノズルベーンを駆動するリンク組立品の連結部へのノズルベーンの振動の伝達を阻止でき、これにより前記連結部の摩耗を防止して可変ノズル機構の安定した作動を維持できる可変容量型排気ターボ過給機を備えたエンジンの排気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(A)は本発明の第1,第2実施例に係る可変容量型排気ターボ過給機における可変ノズル機構設置部近傍の要部断面図、(B)は(A)におけるA―A矢視図である。
【図2】本発明の第1実施例における差圧生成手段の吸気側圧力開放手段の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施例における差圧生成手段の排気側圧力開放手段の構成を示す排気ブレーキ近傍の要部断面図である。
【図4】本発明が適用される可変容量型排気ターボ過給機の軸心線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 空気抜出し通路
2 空気抜出し孔
30b リンク室
30f 側壁
30h ノズル室
40 ノズルベーン
70 可変ノズル機構
71 レバープレート
72 ピン
73 ドライブリング
100 エンジン
109 排気ブレーキ
110 排気ターボ過給機
111 排ガス浄化装置
700 リンク組立品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの駆動力をリンク組立品を介してタービンケーシングに回動可能に支持されたノズルベーンに伝達し、該ノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構によりタービンの容量を可変とした可変容量型排気ターボ過給機を備えるとともに、排気通路に排気ブレーキ装置を備えたエンジンの排気装置において、
前記排気ブレーキ装置の作動時にタービンケーシング内の前記ノズルベーンが設けられたノズル室と該タービンケーシング内に形成されて前記リンク組立品が収納されるリンク室との間に圧力差を生成して、該圧力差により前記ノズルベーンを該ノズル室の一方側の側壁に押し付ける差圧生成手段を備えたことを特徴とするエンジンの排気装置。
【請求項2】
前記差圧生成手段は、前記リンク室と前記エンジンの吸気通路とを接続する空気抜出し通路を備え、該リンク室内の圧力を該空気抜出し通路を通して前記吸気通路内に開放する吸気側圧力開放手段からなることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気装置。
【請求項3】
前記差圧生成手段は、前記リンク室と前記排気ブレーキ装置の下流側排気通路とを接続する空気抜出し通路を備え、該リンク室内の圧力を該空気抜出し通路を通して前記排気通路内に開放する排気側圧力開放手段からなることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気装置。
【請求項4】
前記排気ブレーキ装置よりも下流の前記排気通路に排ガス浄化装置を備え、排気側圧力開放手段の空気抜出し通路の出口側を、前記排気ブレーキ装置と排ガス浄化装置との間の部位に接続したことを特徴とする請求項3記載のエンジンの排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−144715(P2006−144715A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338138(P2004−338138)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】