説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】カラーフィルタの着色画素の矩形性を向上させ、且つ青色画素の剥がれを防止する。
【解決手段】支持体上に第1色目・青色層を形成し、ドライエッチング法を用いて、ストライプ状の青色パターン27を形成する。更に赤色層33Rを形成し、青色パターン27及び赤色層33Rをドライエッチングして、青色・赤色画素20B、20R、及び緑色画素形成領域39を形成する。次に緑色層を形成し、青色画素20Bが露出されるまで、支持体の全露出面を平坦化処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子等に設けられるカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子には、半導体基板等の支持体上に赤色画素、緑色画素、青色画素の複数色の着色画素が2次元配列されたカラーフィルタが設けられている。近年、固体撮像装置の画素数の増加は顕著であり、従来と同じインチサイズの固体撮像素子と比較した場合、画素サイズの縮小化は顕著である。また、画素サイズが縮小するにつれて、色分離の性能要求は厳しくなり、色シェーディング特性、混色防止などのデバイス特性維持のため、カラーフィルタに求められる性能に薄膜化、矩形化、及び各着色画素間に色同士が重なり合うオーバーラップ領域を無くす等の性能も要求されている。
【0003】
このようなカラーフィルタの製造方法として、以前からフォトリソ方法が多く用いられている。フォトリソ法は、支持体上に着色感光性組成物を塗布・乾燥させて着色層を形成した後、この着色層をパターン露光・現像・ベーキングして第1色目(例えば緑色)の着色画素を形成し、以下同様にして残りの色の着色画素を形成する方法である。フォトリソ法は、製造工程が半導体製造のフォトリソプロセスに準じているため、初期投資の抑制が可能であり、また、フォトリソプロセスの高精度な露光、重ね合わせ精度などにより、カラーフィルタを製造するのに好適な方法として広く利用されている。
【0004】
ところで、図25(A)に示すように、フォトリソ法で形成されたカラーフィルタ2には、各着色画素(赤色画素3、緑色画素4、青色画素5)の隅が集合する領域に、着色画素が形成されない空白領域6が形成されてしまう。また、(B)に示すように、各着色画素3〜5間の境界付近において各着色画素の膜厚が薄くなる凹み7が生じてしまう。これは、パターン露光用のフォトマスクに加えられるマスクバイアスが最適化されていないこと、露光光源に対する着色感光性組成物の硬化効率が低いこと等の原因で、各着色画素3〜5が設計通りの寸法・形状で形成されないためである。
【0005】
このような問題点に対する対策として、マスクバイアスなどの最適化や、着色感光性組成物の露光光源に対しての硬化効率を改善するなどの検討がなされているが限界がある。そこで、市松模様状に形成された緑色画素で囲まれる領域内に第2色目以降の着色画素(赤色画素、青色画素)をフォトリソ法で形成した後、熱リフロー処理を施して第2色目以降の着色画素を熱流動させて、上記領域内を第2色目以降の着色画素で埋めることで、前述の空白領域6や凹み7の発生を抑える技術が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1は、第2色目以降の着色画素の形成に用いられる着色感光性組成物の性能やプロセス条件に左右されやすい技術であり、例えば、温度が高い領域は着色画素が埋まり易いが、逆に温度が低い領域は着色が埋まり難い等の支持体の加熱分布がそのまま埋め込み性に反映されてしまうといった問題がある。
【0007】
また、フォトリソ法を用いてカラーフィルタを形成する場合、近年の固体撮像素子の微細化・高精細化に対応するため、2.0μmサイズを下回る高解像技術が必要となるが、これまでのフォトリソ法では解像力の点でパターンの形成限界に達しつつある。このため、フォトリソ法の上記問題点(空白領域6や凹み7の発生)は、ますます顕著になっている。
【0008】
なお、固体撮像素子の微細化・高精細化にフォトリソ法で対応するための技術として、染料を使用する技術も提案されている。しかしながら、染料含有の硬化性組成物は、例えば、耐光性、薄膜化、透過分光特性の変更の容易性が一般的に顔料に比べて劣る。また、特に固体撮像素子用カラーフィルタ作製用途の場合には1.0μm以下の膜厚が要求されるため、硬化性組成物中に多量の色素を添加しなければならず、これにより、基板との密着が不充分となったり、十分な硬化が得られなかったり、現像処理時に染料が抜けてしまうなどと、パターン形成性が著しく困難である、などの諸問題がある。
【0009】
ところで、フォトリソ法よりも、より薄膜で且つ微細パターンの形成に有効な方法としてドライエッチング法が知られている。ドライエッチング法は、パターン(各着色画素)を矩形に形成する方法として従来から採用されており、フォトリソ法とドライエッチング法を組みわせたパターン形成法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0010】
特許文献2及び3には、支持体上に第1色目の着色層を形成し、この第1色目の着色層をドライエッチング法でパターニングして第1色目の着色画素を形成した後、第2色目以降の着色画素をフォトリソ法で順次形成する技術が記載されている。なお、特許文献2では、第1色目の着色層を着色熱硬化性組成物による塗膜で形成し、特許文献3では、第1色目の着色層を蒸着法で形成している。
【特許文献1】特開2006−292842号公報
【特許文献2】特開2001−249218号公報
【特許文献3】特開2006−339376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3では、第1色目の着色画素は矩形に形成することができるが、第2色目、第3色目の着色画素はフォトリソ法で形成しているため、上述したフォトリソ法の問題点が生じる。更に、特許文献3の蒸着で形成された第1色目の着色層は、その薄膜化は容易であるが、耐溶剤性を確保するのは困難である。このため、ドライエッチング用のマスク(フォトレジスト)の剥離を行う際に、剥離溶剤により色が抜け出すおそれがある。
【0012】
また、特許文献2及び3では、支持体上に第1色目〜第3色目の着色層を形成した後、各着色層をパターニングして各着色画素、すなわち、複数の孤立パターン(アイランドパターン)を直接形成している。このような複数の孤立パターンは、パターンの幅方向の断面形状の矩形性(以下、単にパターンor着色画素の矩形性という)、孤立パターンを上面から観察した時における孤立パターンの角(以下、単に孤立パターンの角という)の丸みを抑制することが困難である。これは、フォトリソ法による孤立パターンの形成では、露光時に着色層上に結像されるパターン(露光像)のエッジのコントラストを十分に高くすることが困難であるので、孤立パターンの角が丸まるなどの症状が発生するためである。また、断面の矩形性は、パターンの重合性(着色層の光重合性)と現像性に影響されるので、フォトリソ法を運用する限り、断面角を鋭角に形成することは困難である。
【0013】
更に、フォトリソ法で孤立パターンを形成する場合に、特にカラーフィルタ材料に使用される着色感光性組成物は、一般のフォトレジストに対しパターンの矩形性が劣っているためである。また、ドライエッチング法による孤立パターンの形成を行う場合に、ドライエッチング用のレジストパターン(マスク)はフォトリソ法で形成されるが、色素を含有していないため露光光の散乱が少なく、孤立パターンの角の丸みの程度はフォトリソ法で着色層を形成した場合と比較して抑制程度が良好である。しかしながら、露光時の近接効果による孤立パターンの角の丸みを完全に抑制するのは困難である。
【0014】
更に、特許文献2及び3において、第2色目以降の着色画素として、フォトリソ法により青色素(特に青顔料)を有する青色層を露光・現像して青色画素を形成した場合には、この青色画素の密着性確保が困難となり、剥がれ生じるおそれがある。これは、着色層による露光光(ここでは365nm)の吸収係数が大きいため、露光光が基板まで到達し難く、着色層の光重合が十分ではない場合に、基板近傍の着色層が現像時の現像液に溶解してしまうからである。
【0015】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、パターン(各着色画素)の形成限界の向上及びパターンの微細化・薄膜化を図りつつ、着色画素の矩形性の更なる向上、及び青色画素の密着性確保が可能なカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、複数色の着色画素を2次元配列してなるカラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法において、前記支持体上に、少なくとも青色素を含む第1色の熱硬化性組成物からなるストライプ状の第1色パターンを形成する第1色パターン形成工程と、前記第1色パターンが形成された前記支持体上に、第2色の熱硬化性組成物からなる第2色着色層を形成する第2色着色層形成工程と、前記第1色パターン及び前記第2色着色層をドライエッチング法によりパターニングして、前記支持体上に、第1色画素及び第2色画素を形成するとともに、第3色画素を形成するための第3色画素形成領域を形成するパターニング工程と、前記第3色画素形成領域に、第3色の熱硬化性組成物で前記第3色画素を形成する第3色画素形成工程とを有することを特徴とする。
【0017】
前記第1色の熱硬化性組成物には、バイオレット色素が含まれることが好ましい。これにより、第1色パターン・画素、すなわち、青色パターン・画素が薄膜で形成されている場合でも、その分光特性をよりよいものにすることができる。
【0018】
前記第1色パターン形成工程は、前記支持体上に、前記第1色の熱硬化性組成物からなる第1色着色層を形成する第1色着色層形成工程と、前記第1色着色層上に、フォトレジストを用いて前記第1色パターンに対応するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記レジストパターンをマスクとして、前記第1色着色層をドライエッチングして前記第1色パターンを形成するドライエッチング工程とを有することが好ましい。
【0019】
前記第2色着色層形成工程では、前記第1色パターンが形成された支持体上に、前記第2色の熱硬化性組成物の塗膜を形成し、この塗膜をベーク処理して前記第2色着色層を形成することが好ましい。
【0020】
前記第3着色画素形成工程は、前記第1色画素、前記第2色画素、及び前記第3色画素形成領域が形成された前記支持体上に、前記第3色の熱硬化性組成物からなる第3色着色層を形成する第3色着色層形成工程と、少なくとも前記第1色画素及び前記第2色画素上から前記3色着色層が除去されるまで、前記第3色着色層の表面に平坦化処理を施して、前記第3色画素を形成する平坦化処理工程とを有することが好ましい。
【0021】
前記パターニング工程では、前記第2色着色層をパターニングして、前記第2色画素と、前記第1色画素の表面を覆う第2色パターンとを一体に形成するとともに、前記平坦化処理工程は、前記第1及び第2色画素上の前記第3色着色層を除去した後、前記第1色画素上から前記第2色パターンが除去されるまで、前記第2色パターン、前記第2色画素、及び前記第3色画素の各表面に平坦化処理を施すことが好ましい。
【0022】
前記平坦化処理は、エッチバック処理または研磨処理の少なくともいずれか一方の処理により行われることが好ましい。
【0023】
前記平坦化処理が前記研磨処理により行われる場合、前記研磨処理後に、被研磨面を水洗する水洗工程、及びこの水洗工程後に前記被研磨面に脱水処理を施す脱水処理工程を行うことが好ましい。
【0024】
前記レジストパターン形成工程前に、前記第1色着色層上に透明な平坦化処理のストッパー層を形成するストッパー層形成工程を有し、前記レジストパターン形成工程は、前記ストッパー層上に前記レジストパターンを形成し、前記ドライエッチング工程は、前記レジストパターンを用いて、前記ストッパー層を前記第1色パターンに対応するストライプ状にドライエッチングするとともに、前記パターニング工程は、ストライプ状の前記ストッパー層を、前記第1色画素に対応する形状にパターニングすることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のカラーフィルタ及びその製造方法は、支持体上に少なくとも青色素を含むストライプ状の第1色パターンを形成し、この第1色パターンが形成された支持体上に第2色着色層を形成し、更にこれら第1色パターン及び第2着色層をパターニングして第1色画素、第2色画素、及び第3色画素を形成するための領域を形成した後、この領域に第3色画素を形成することで、従来よりも孤立パターンを形成する工程を減らすことができる。これにより、各着色画素の角の丸みの発生を抑制することができるので、各着色画素の矩形性を向上させることができる。また、第1色画素(第1色パターン)として、青色画素・パターンをドライエッチング法により形成することで、フォトリソ法での光重合が十分ではない場合に、基板近傍の青色層が現像時の現像液に溶解してしまう要因を排除でき、青色画素の密着性を確保することができる。更に、フォトリソ法を用いないことで、前述の空白領域や凹みの発生を防止することができ、その結果、パターン(各着色画素)の形成限界を向上させるとともに、パターンの微細化・薄膜化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に示すように、固体撮像素子10は、支持体11上に設けられた受光素子(フォトダイオード)12、カラーフィルタ13、平坦化膜14、マイクロレンズ15等から構成される。なお、図1(他の図も同様)では、各部を明確にするため、相互の厚みや幅の比率は無視して一部誇張して表示している。
【0027】
支持体11としては、カラーフィルタに用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板、酸化膜、窒化シリコン等が挙げられる。また、これら支持体11とカラーフィルタ13との間には本発明を損なわない限り中間層などを設けても良い。
【0028】
支持体11の表層には、受光素子12が2次元マトリクス状(正方格子状)に配列されている。また、この表層には、図示は省略するが、周知の読み出しゲート、垂直転送路、水平転送路、出力アンプ等が各受光素子12の間に設けられている。
【0029】
支持体11の表面は、図示しない光透過性の絶縁膜で覆われており、この絶縁膜上には、前述の読み出しゲート、垂直転送路等を覆うように、転送電極17が形成されている。この転送電極17に印加する電圧を制御することで、受光素子12に蓄積された電荷が、読み出しゲートを介して、垂直転送路により垂直転送される。また、支持体11の表面には、転送電極17を覆い、且つ受光素子12の直上位置は開口するように、遮光膜18が形成されている。この遮光膜18上には、その全面及び開口を覆う透明なデバイス保護膜19が形成されている。
【0030】
カラーフィルタ13は、保護膜19上に形成されている。なお、以下の説明では、領域を区切らずに支持体11上に形成されている着色膜(所謂ベタ膜)を「着色(赤色、緑色、青色)層」といい、パターン状に領域を区切って形成されている着色膜(例えば、ストライプ状にパターニングされている膜等)を「着色(赤色、緑色、青色)パターン」という。また、着色パターンのうち、カラーフィルタ13を構成する要素となっている着色パターン(例えば、正方形にパターン化された着色パターン等)を「着色(赤色、緑色、青色)画素」という。
【0031】
ここで、パターン状に領域を区切って形成する形態(パターン化する形態)には、感光性の着色膜をパターン露光、現像してパターン化する形態の他、着色層上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとしてエッチングすることにより着色層をパターン化する形態、支持体11上に設けられたパターン状の凹部に埋め込むようにして着色層を形成し、形成された着色層のうち凹部からはみ出した部分を除去することによりパターン化する形態等が含まれる。
【0032】
また、図3以降の各図において、(A)は上面図、(B)は(A)のX1−X2線に沿う断面図、(C)は(A)のY1−Y2線に沿う断面図である。
【0033】
更に、各図の(A)において、「R」は赤色層、赤色パターン、赤色画素のいずれかを示し、「B」は、青色層、青色パターン、青色画素のいずれかを示し、「G」は、緑色層、緑色画素のいずれかを示し、「F」はレジストパターン(フォトレジスト)のいずれかを示す。また、「R+B」は、「R」上に「B」が積層されていることを示し、「R+B+G」は、「R」上に「B」及び「G」が積層されていることを示し、「B+G」は、「B」上に「G」が積層されていることを示す。
【0034】
カラーフィルタ13は、2次元配列された複数の赤色画素(第2色画素)20R、緑色画素(第3色画素)20G、青色画素(第1色画素)20Bから構成されている。各着色画素20R,20G,20Bは、それぞれ受光素子12の上方位置に形成されている。緑色画素20Gは市松模様に形成されるとともに、青色画素20B及び赤色画素20Rは各緑色画素20Gの間に形成される(図12(A)、図25参照)。なお、図1では、カラーフィルタ13が3色の画素から構成されていることを説明するために、各着色画素20R,20G,20Bを1列に並べて表示しているが、実際には図12(B),(C)に示すようになる。
【0035】
平坦化膜14は、カラーフィルタ13の上面を覆うように形成されており、平坦な上面を有している。マイクロレンズ15は、凸面を上にして設けられたレンズであり、平坦化膜14の上面且つ各受光素子12の上方に設けられている。各マイクロレンズ15は、被写体からの光を効率良く各受光素子12へ導く。
【0036】
[カラーフィルタ製造工程]
次に、図2を用いて、カラーフィルタ13を形成するカラーフィルタ製造工程22について説明を行う。カラーフィルタ製造工程22は、大別して、青色パターン形成工程(第1色パターン形成工程)23と、赤色層形成工程(第2色着色層形成工程)24と、緑色画素形成工程(第3色画素形成工程)25とから構成される。
【0037】
青色パターン形成工程23は、支持体11の表面に、ストライプ状の青色パターン27を形成する。青色パターン形成工程23は、青色層形成工程28、レジストパターン形成工程29、ドライエッチング工程30、フォトレジスト除去工程31から構成される。
【0038】
青色層形成工程28は、支持体11上に、少なくとも青色素を含む熱硬化性組成物(青色熱硬化性組成物)を用いて青色層33B(図3参照)を形成する。レジストパターン形成工程29は、青色層33B上に、フォトレジストを用いてストライプ状のレジストパターン34(図4参照)を形成する。レジストパターン34は、青色パターン27に対応する開口部34a(図4参照)を有している。
【0039】
ドライエッチング工程30は、レジストパターン34をマスクとして、青色層33Bをドライエッチング(パターニング)して青色パターン27を形成する。フォトレジスト除去工程31は、青色パターン27上からレジストパターン34を除去する。
【0040】
赤色層形成工程24では、青色パターン27が形成された支持体11の表面を覆うように、赤色熱硬化性組成物を用いて赤色層33R(図7参照)を形成する。赤色層33Rは、青色パターン27を覆いつつ、青色パターン27の各パターン間の領域(パターン同士で挟まれた領域)を埋め込むように形成される。
【0041】
緑色画素形成工程25は、大別して、緑色画素領域形成工程(パターニング工程)25aと、緑色層形成工程37と、平坦化処理工程38とから構成される。緑色画素領域形成工程25aは、支持体11の表面に、緑色画素(パターン)20Gを形成するための緑色画素形成領域39(図9(A)参照)を形成する、すなわち、緑色画素形成領域39上の青色パターン27及び赤色層33Rを除去する除去工程である。
【0042】
緑色画素領域形成工程25aは、レジストパターン形成工程40と、ドライエッチング工程41と、フォトレジスト除去工程42とから構成される。レジストパターン形成工程40は、赤色層33Rの表面に、フォトレジストを用いてレジストパターン43(図9参照)を形成する。レジストパターン43は、緑色画素形成領域39に対応する開口部43a(図8及び図9参照)を有しており、赤色層33Rの緑色画素形成領域39に対応する領域は露呈させ、それ以外の領域は保護する。
【0043】
ドライエッチング工程41は、レジストパターン43をマスクとして、青色パターン27及び赤色層33Rをドライエッチング法によりパターニングし、支持体11上に緑色画素形成領域39を形成する。緑色画素形成領域39は、緑色画素20Gの配列パターンに応じて市松模様状(緑色画素20Gの配列パターンが市松模様でない場合には、その配列パターンに応じたパターン)に形成される。
【0044】
また、ドライエッチング工程41が実行されると、支持体11上に青色画素20B及び赤色画素20Rが形成されるとともに、青色画素20Bの表面を覆う赤色パターン44(図9参照)が赤色画素20Rと一体に形成される。フォトレジスト除去工程42は、レジストパターン43を除去する。
【0045】
緑色層形成工程37は、緑色画素形成領域39等が形成された支持体11の表面を覆うように、緑色熱硬化性組成物を用いて緑色層33G(図11参照)を形成する。緑色層33Gは、赤色画素20R及び赤色パターン44を覆いつつ、緑色画素形成領域39を埋め込むように形成される。
【0046】
平坦化処理工程38は、青色画素20Bが露出するまで、支持体11の全露出面に平坦化処理を施す。この平坦化処理により、緑色画素20Gが形成される。
【0047】
平坦化処理としては、製造工程の簡略化や製造コストの観点から、支持体11の全露出面をドライエッチングするエッチバック処理が好ましい。また、エッチバック処理の代わりに、支持体11の全露出面を化学的機械的に研磨する化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;以下、「CMP」という)処理等の研磨処理を行ってもよい。
【0048】
[各着色画素(パターン)の幅・厚み]
青色画素20B・青色パターン27の幅(青色画素20Bが正方形の場合には一辺の長さ)は、パターン形成限界をより向上させる観点等から、それぞれ独立に、0.5〜1.7μmが好ましく、0.8〜1.5μmがより好ましい。また、緑色画素20G(緑色画素形成領域39)の幅は、同じ理由で0.5〜1.7μmが好ましく、0.6〜1.5μmがより好ましい。赤色画素20Rの幅の好ましい範囲は、青色画素20Bの幅と緑色画素20Gの幅とに制限されるため、ここでは記載しない。
【0049】
各着色画素20R,20G,20Bの具体的な厚さとしては、パターン形成限界をより向上させる観点等から0.005μm〜0.9μmが好ましく、0.05μm〜0.8μmが好ましく、0.1μm〜0.7μmが更に好ましい。
【0050】
次に、上記各工程のうち、レジストパターン形成工程29,40、ドライエッチング工程30,41(平坦化処理工程38のエッチバック処理)、フォトレジスト除去工程31,42、平坦化処理工程38の研磨処理の好ましい形態について説明を行う。
【0051】
[レジストパターン形成工程]
レジストパターン形成工程29においてレジストパターン34を形成する方法は、特に限定はなく、公知のフォトリソグラフィーの技術を適宜最適化して用いることができる。例えば、青色層33B上に後述のポジ又はネガ型の感光性樹脂組成物(フォトレジスト)を塗布し、これを乾燥させて(好ましくは更にプリベーク処理して)フォトレジスト層を形成する。次いで、このフォトレジスト層を放射線で露光し、現像して(好ましくは更にポストベーク処理して)レジストパターン34を形成する。フォトレジスト層の露光に用いる放射線としては、g線、h線、及びi線が好ましく、中でもi線が好ましい。また、現像に用いる現像液としては、着色剤を含む着色層には影響を与えず、未硬化部(ポジ型の場合は露光部、ネガ型の場合は未露光部)を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。なお、レジストパターン43も同様にして形成することができる。
【0052】
[フォトレジスト]
フォトレジストとしては、例えば、ポジ型の感光性樹脂組成物が用いられる。このポジ型の感光性樹脂組成物としては、紫外線(g線、h線、i線)、エキシマー・レーザー等を含む遠紫外線、電子線、イオンビームおよびX線等の放射線に感応するポジ型フォトレジスト用に好適なポジ型レジスト組成物が使用できる。放射線のうち、感光性樹脂層を露光するものとしては、本発明の目的からはg線、h線、i線が好ましく、中でもi線が好ましい。
【0053】
具体的にポジ型の感光性樹脂組成物は、キノンジアジド化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有する組成物が好ましい。キノンジアジド化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型の感光性樹脂組成物は、500nm以下の波長の光照射によりキノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、結果としてアルカリ不溶状態からアルカリ可溶性になることを利用してポジ型フォトレジストとして用いられている。このポジ型フォトレジストは解像力が著しく優れているので、ICやLSI等の集積回路の作製に用いられている。キノンジアジド化合物としては、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。
【0054】
[ドライエッチング工程(エッチバック処理を含む)]
ドライエッチング工程30,41やエッチバック処理で行われるドライエッチングの形態としては、特に限定はなく、公知の形態で行うことができる。ドライエッチングの代表的な例としては、特開昭59−126506号、特開昭59−46628号、同58−9108号、同58−2809号、同57−148706号、同61−41102号などの公報に記載されているような方法が知られている。
【0055】
[ドライエッチングの好ましい形態]
本発明におけるドライエッチングは、パターン断面をより矩形に近く形成する観点や、支持体11のダメージをより低減する観点から、以下の形態で行うことが好ましい。即ち、フッ素系ガスと酸素ガス(O)との混合ガスを用い、支持体11が露出しない領域(深さ)までエッチングを行う第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、窒素ガス(N)と酸素ガス(O)との混合ガスを用い、好ましくは支持体11が露出する領域(深さ)付近までエッチングを行う第2段階のエッチングと、支持体11が露出した後に行うオーバーエッチングとを含む形態が好ましい。以下、ドライエッチングの具体的手法、並びに、第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、及びオーバーエッチングについて説明する。
【0056】
[エッチング条件の算出]
ドライエッチングは、下記手法により事前にエッチング条件の構成を求めて行う。
(1)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)とをそれぞれ算出する。
(2)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。
(3)上記(2)で算出したエッチング時間に従って、第1段階のエッチングを実施する。
(4)上記(2)で算出したエッチング時間に従って、第2段階のエッチングを実施する。または、エンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施してもよい。
(5)上記(3)、(4)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出して、オーバーエッチングを実施する。
【0057】
[第1段階のエッチング工程]
第1段階のエッチング工程で用いる混合ガスは、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、フッ素系ガス及び酸素ガス(O)を含む。また第1段階のエッチング工程は、支持体11が露出しない領域までエッチングする形態にすることで、支持体11のダメージを回避することができる。
【0058】
[第2段階のエッチング工程、オーバーエッチング工程]
第1段階のエッチング工程で、フッ素系ガスと酸素ガスとの混合ガスにより支持体11が露出しない領域までエッチングを実施した後、支持体11のダメージ回避の観点から、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスを用い、第2段階のエッチング工程におけるエッチング処理、及びオーバーエッチング工程におけるエッチング処理を行う。
【0059】
[エッチング量の好ましい比率]
第1段階のエッチング工程におけるエッチング量と、第2段階のエッチング工程におけるエッチング量との比率は、第1段階のエッチング工程におけるエッチング処理による矩形性を損なわないように決定する必要がある。
【0060】
全エッチング量(第1段階のエッチング工程におけるエッチング量と第2段階のエッチング工程におけるエッチング量との総和)中における後者の比率としては、0%より大きく50%以下である範囲が好ましく、10〜20%がより好ましい。ここでエッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚のことである。
【0061】
[フォトレジスト除去工程]
フォトレジスト除去工程31,42では、ドライエッチング工程30,41の終了後、専用の剥離液や溶剤によってレジストパターン34,43(フォトレジスト層)を除去する。なお、本実施形態では、窒素ガスと酸素ガスとを含む第2の混合ガスを使用する第2段階のエッチング工程を行うため、剥離液や溶剤によるフォトレジスト層の剥離をより容易に行うことができる。
【0062】
フォトレジスト除去工程31,42は、(1)レジストパターン34,43上に、剥離液または溶剤を付与して、レジストパターン34,43を除去可能な状態にする第1除去工程と、(2)レジストパターン34,43を、洗浄水を用いて除去する第2除去工程とを含むことが好ましい。
【0063】
第1除去工程としては、例えば、剥離液または溶剤を、少なくともレジストパターン34,43上に付与し、所定の時間停滞させるパドル現像工程を挙げることができる。剥離液または溶剤を停滞させる時間としては、特に制限はないが、数十秒から数分であることが好ましい。
【0064】
第2除去工程としては、例えば、スプレー式またはシャワー式の噴射ノズルから、フォトレジスト層に洗浄水を噴射して、フォトレジスト層を除去する工程を挙げることができる。洗浄水としては、純水を好ましく用いることができる。また、噴射ノズルとしては、その噴射範囲内に支持体全体が包含される噴射ノズルや、可動式の噴射ノズルであってその可動範囲が支持体全体を包含する噴射ノズルを挙げることができる。可動式の噴射ノズルは、例えば、除去工程中に支持体11の中心部から支持体11の端部までを2回以上移動しながら洗浄水を噴射する。これにより、効果的にフォトレジスト層(レジストパターン)を除去することができる。
【0065】
剥離液は一般的には有機溶剤を含有するが、無機溶媒を更に含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、(1)炭化水素系化合物、(2)ハロゲン化炭化水素系化合物、(3)アルコール系化合物、(4)エーテルまたはアセタール系化合物、(5)ケトンまたはアルデヒド系化合物、(6)エステル系化合物、(7)多価アルコール系化合物、(8)カルボン酸またはその酸無水物系化合物、(9)フェノール系化合物、(10)含窒素化合物、(11)含硫黄化合物、(12)含フッ素化合物が挙げられる。
【0066】
また、本発明で用いられる剥離液としては、含窒素化合物を含有することが好ましく、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことがより好ましい。
【0067】
非環状含窒素化合物としては、水酸基を有する非環状含窒素化合物であることが好ましい。例えば、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、;好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミン(HNCHCHOH)である。
【0068】
環状含窒素化合物としては、イソキノリン、イミダゾール、N−エチルモルホリン、ε−カプロラクタム、キノリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピリジン、ピロリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N−フェニルモルホリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジンなどが挙げられ、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルモルホリンであり、より好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。
【0069】
また、本発明で用いられる剥離液は、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことが好ましいが、中でも、非環状含窒素化合物として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種と、環状含窒素化合物として、N−メチル−2−ピロリドン及びN−エチルモルホリンから選ばれる少なくとも1種とを含むことがより好ましく、モノエタノールアミンとN−メチル−2−ピロリドンとを含むことが更に好ましい。
【0070】
また、上記非環状含窒素化合物の含有量が、剥離液100質量部に対して、9質量部以上11質量部以下であって、環状含窒素化合物の含有量が65質量部以上70質量部以下であることが望ましい。また、本発明で用いられる剥離液は、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物の混合物を純水で希釈したものであることが好ましい。
【0071】
また、フォトレジスト除去工程31,42では、着色層(青色パターン27、赤色画素20R及び赤色パターン44)上から、レジストパターン34,43が除去されていればよく、着色層の側壁にエッチング生成物であるデポ物が付着している場合に、このデポ物が完全に除去されなくてもよい。ここで、デポ物とは、エッチング生成物が着色層の側壁に付着し堆積したものを表わす。
【0072】
更に、フォトレジスト除去工程31,42の終了後、上記着色層に吸収された水分を除去することが望ましい。具体的には90℃〜200℃のポストベーク処理をすることが望ましく、100℃〜180℃が更に好ましい。また時間は1分以上10分以下であれば製造工程の時間効率を低下させることはなく、吸収された水分を蒸発させるのには十分な条件である。
【0073】
[エッチバック工程の研磨(CMP)処理]
研磨(CMP)処理に用いるスラリーとしては、粒径10〜100nmのSiO砥粒を0.5〜20質量%含有させたpH9〜11の水溶液を用いることが好ましい。研磨パッドとしては、連続発砲ウレタン等の軟質タイプを好ましく用いることができる。前述のスラリー及び研磨パッドを使用して、スラリー流量:50〜250ml/min、ウエハ圧:0.2〜5.0psi、リテーナーリング圧:1.0〜2.5psiの条件により研磨することができる。また、研磨処理が終了した後、被研磨面を精密洗浄処理する洗浄工程、脱水ベーク(好ましくは、100〜200℃で1〜5分間)処理(脱水処理)を施す脱水処理工程を行う。
【0074】
[着色熱硬化性組成物]
カラーフィルタ製造工程22ではドライエッチング法を用いるので、各着色画素20R,20G,20Bは、光硬化性成分を含有しない非感光性の着色熱硬化性組成物を用いて形成する。これにより、各着色画素20R,20G,20B(各色層33R,33G,33B)から光硬化成分を除き、各層の硬化成分を熱硬化成分のみとすることで、着色成分の比率を高めることができるため、各着色画素20R,20G,20Bをより薄膜化し、且つ良好な分光特性が得られる。
【0075】
着色熱硬化性組成物は、着色剤と、熱硬化性化合物とを含み、全固形分中の着色剤濃度が50質量%以上100質量%未満であることが好ましい。着色剤濃度を高めることにより、より薄膜のカラーフィルタ13を形成することができる。
【0076】
[着色剤]
本発明で用いられる着色剤は、特に限定されず、従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0077】
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を挙げることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、平均粒子径がなるべく小さい顔料の使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0078】
このような顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0079】
C.I.ピグメント・イエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185;
C.I.ピグメント・オレンジ36,71;
C.I.ピグメント・レッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264;
C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32;
C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント・ブラック1
【0080】
[第1色目の着色層(青色層)]
第1色目の着色層は青色層33Bであり、青色素を含有するため、使用できる着色剤として、C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;;が挙げられる。更に、青色の分離性の観点から、更にバイオレット色素を含有することが望ましい。バイオレット色素としては、C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32;が挙げられる。これにより、青色パターン・画素が薄膜で形成されている場合でも、その分光特性をよりよいものにすることができる。
【0081】
本発明において、着色剤が染料である場合には、染料を組成物中に均一に溶解して非感光性の着色熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。このような染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。
【0082】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用可能である。
【0083】
着色熱硬化性組成物の全固形分中の着色剤含有率は特に限定はされないが、好ましくは30〜60質量%である。30質量%以上とすることでカラーフィルタとして適度な色度を得ることができる。また、60質量%以下とすることで硬化を充分に進めることができ、膜としての強度低下を抑制することができる。
【0084】
[熱硬化性化合物]
熱硬化性化合物としては、加熱により膜硬化を行えるものであれば特に限定はなく、例えば、熱硬化性官能基を有する化合物を用いることができる。このような熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基を有するものが好ましい。
【0085】
更に好ましい熱硬化性化合物としては、(a)エポキシ化合物、(b)メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物またはウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物またはヒドロキシアントラセン化合物が挙げられる。中でも、多官能エポキシ化合物が特に好ましい。
【0086】
着色熱硬化性組成物中における熱硬化性化合物の総含有量としては、素材により異なるが、着色熱硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.2〜40質量%がより好ましく、1〜35質量%が特に好ましい。
【0087】
[各種添加物]
また、着色熱硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加物、例えばバインダー、硬化剤、硬化触媒、溶剤、充填剤、前記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、分散剤等を配合することができる。
【0088】
[バインダー]
バインダーは、顔料分散液調製時に添加する場合が多く、アルカリ可溶性を必要とせず、有機溶剤に可溶であればよい。
【0089】
バインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0090】
これら各種バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0091】
上記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、例えばベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸、ベンジルメタアクリレート/ベンジルメタアクリルアミドのような各共重合体、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0092】
これらのバインダー中に前述の着色剤を高濃度に分散させることで、下層等との密着性を付与でき、これらはスピンコート、スリットコート(着色層形成)時の塗布面状にも寄与している。
【0093】
[硬化剤]
熱硬化性化合物として、エポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を添加することが好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は種類が非常に多く、性質、樹脂と硬化剤の混合物との可使時間、粘度、硬化温度、硬化時間、発熱などが使用する硬化剤の種類によって非常に異なるため、硬化剤の使用目的、使用条件、作業条件などによって適当な硬化剤を選ばねばならない。硬化剤に関しては、垣内弘編「エポキシ樹脂(昇晃堂)」第5章に詳しく解説されている。硬化剤の例を挙げると以下のようになる。
【0094】
触媒的に作用するものとしては、第三アミン類、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、エポキシ樹脂の官能基と化学量論的に反応するものとして、ポリアミン、酸無水物等;また、常温硬化のものとして、ジエチレントリアミン、ポリアミド樹脂、中温硬化のものの例としてジエチルアミノプロピルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;高温硬化の例として、無水フタル酸、メタフェニレンジアミン等がある。また化学構造別に見るとアミン類では、脂肪族ポリアミンとしてはジエチレントリアミン;芳香族ポリアミンとしてはメタフェニレンジアミン;第三アミンとしてはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;酸無水物としては無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素−モノエチルアミンコンプレックス;合成樹脂初期縮合物としてはフェノール樹脂、その他ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0095】
これら硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化するものである。薄膜化のためには、バインダー、硬化剤とも極力少量の方が好ましく、特に硬化剤に関しては熱硬化性化合物に対して35質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下とすることが好ましい。
【0096】
[硬化触媒]
本発明において高い着色剤濃度を実現するためには、上記硬化剤との反応による硬化の他、主としてエポキシ基同士の反応による硬化が有効である。このため、硬化剤は用いず、硬化触媒を使用することもできる。硬化触媒の添加量としてはエポキシ当量が150〜200程度のエポキシ樹脂に対して、質量基準で1/10〜1/1000程度、好ましくは1/20〜1/500程度さらに好ましくは1/30〜1/250程度のわずかな量で硬化させることが可能である。
【0097】
[溶剤]
着色熱硬化性組成物は、各種溶剤に溶解された溶液として用いられる。溶剤は、各成分の溶解性や着色熱硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されない
【0098】
[分散剤]
また、上記分散剤は、顔料の分散性を向上させるために添加する。分散剤としては、公知のものを適宜選定して用いることができ、例えば、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。
【0099】
これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000(日本ルーブリゾール社製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(旭電化(株)製)およびイソネットS−20(三洋化成(株)製)が挙げられる
【0100】
上記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。着色熱硬化性組成物への分散剤の添加量は、通常顔料100質量部に対して0.1〜50質量部程度が好ましい。
【0101】
[その他の添加剤]
また、着色硬化性組成物には、必要に応じて各種添加剤を更に添加することができる。
【0102】
次に、図3〜図12を用いて、カラーフィルタ製造工程22を構成する各工程について詳しく説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されるものではない。なお、図面の煩雑化を防止するため、ここでは3×3=9画素のカラーフィルタ13を製造する場合について説明を行うが、画素数が増加した場合も同じように製造することができる。
【0103】
図3(A),(B)に示すように、青色層形成工程28では、周知のスピンコータを用いて、青色素及びバイオレット色素を含む青色熱硬化性組成物を支持体11上に塗布する。次いで、支持体11をホットプレートやオーブンなどの周知の加熱装置によりベーキング(ポストベーク)処理する。これにより、青色熱硬化性組成物の塗膜が熱硬化して、支持体11上に青色層33Bが所定の膜厚で形成される。
【0104】
図4(A),(B)に示すように、レジストパターン形成工程29では、スピンコータを用いて、青色層33B上にフォトレジストを塗布した後、加熱装置により支持体11をプリベークする。これにより、フォトレジストが硬化して、青色層33B上にフォトレジスト層が形成される。
【0105】
次いで、周知の露光装置(i線ステッパー)を用いて、フォトレジスト層に露光光線を照射して、このフォトレジスト層を露光処理する。例えば、ポジ型のフォトレジストを用いた場合には、露光光線は、青色パターン27が形成される領域以外の領域に照射される。この露光処理後、周知の現像液を用いて、露光済みのフォトレジスト層を現像処理する。また、現像処理後に、加熱装置によりポストベーク処理を施す。これにより、青色パターン27に対応する開口部34aを有するレジストパターン34が青色層33B上に形成される。
【0106】
図5(A),(B)に示すように、ドライエッチング工程30では、周知のドライエッチング装置を用い、レジストパターン34をマスクとして、青色層33Bをドライエッチングする。このドライエッチングは、前述の第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、及びオーバーエッチングの3段階で行われる。これにより、レジストパターン34の開口部34aより露呈されている青色層33Bが除去されて、ストライプ状の青色パターン27が支持体11上に形成される。
【0107】
図6(A),(B)に示すように、フォトレジスト除去工程31では、剥離液または溶剤をレジストパターン34上に付与する第1除去工程と、洗浄水を用いてレジストパターン34を除去する第2除去工程とを実行する。これにより、青色パターン27上からレジストパターン34が除去される。
【0108】
図7(A),(B)に示すように、赤色層形成工程24では、前述の青色層形成工程28と同様の処理を行って、支持体11上に、青色パターン27を覆いつつ、その各パターン間の領域を埋め込むように赤色層33Rを形成する。
【0109】
図8(A)〜(C)に示すように、緑色画素領域形成工程25aのレジストパターン形成工程40では、前述のレジストパターン形成工程29と同様の処理を行って、赤色層33R上に、緑色画素形成領域39に対応する開口部43aを有するレジストパターン43を形成する。
【0110】
図9(A)〜(C)に示すように、ドライエッチング工程41では、前述のドライエッチング工程30と同様の方法で、レジストパターン43をマスクとして、青色パターン27及び赤色層33Rをドライエッチングする。これにより、レジストパターン43の開口部43aより露呈されている赤色層33R及びその下層の青色パターン27が除去されて、支持体11上に緑色画素形成領域39が市松模様状に形成される。また、これと同時に、青色画素20B、赤色画素20Rが支持体11上に形成されるとともに、赤色パターン44が青色画素20B上に形成される。
【0111】
図10(A)〜(C)に示すように、フォトレジスト除去工程42では、前述のフォトレジスト除去工程42と同様に、第1除去工程及び第2除去工程を実行して、赤色画素20R及び赤色パターン44上からレジストパターン43を除去する。
【0112】
図11(A)〜(C)に示すように、緑色層形成工程37では、前述の青色層形成工程28と同様の処理を行って、支持体11上に、赤色画素20R及び赤色パターン44を覆いつつ、緑色画素形成領域39を埋め込むように緑色層33Gを形成する。
【0113】
図12(A)〜(C)に示すように、平坦化処理工程38では、ドライエッチング装置或いは研磨(CMP)装置を用いて、支持体11の全露出面にエッチバック処理或いは研磨処理(平坦化処理)を施す。具体的には、青色画素20Bが露出するまで、赤色画素20R、赤色パターン44、及び緑色画素20Gの各表面をエッチバック処理或いは研磨処理する。これにより、各着色画素20R,20G,20Bの表面が面一になる。
【0114】
更に、最初に、赤色画素20R及び赤色パターン44上の緑色層33Gが除去されるまで、緑色層33Gの表面をエッチバック処理する。これにより、緑色画素形成領域39上に緑色画素20Gが形成される。引き続き、青色画素20Bが露出するまで、赤色画素20R、赤色パターン44、及び緑色画素20Gの各表面を研磨処理する形態をとってもよい。
【0115】
以上でカラーフィルタ製造工程22の全工程が終了し、支持体11に各着色画素20R,20G,20Bが2次元配列されてなるカラーフィルタ13が形成される。
【0116】
次に、図13を用いて、本発明の第2実施形態の固体撮像素子46のカラーフィルタ47について説明を行う。カラーフィルタ47は、基本的には上記第1実施形態の固体撮像素子10と同じ構成である。ただし、カラーフィルタ47の青色画素20B上には、平坦化処理(エッチバック処理、研磨処理)の終点検出に用いられるエッチングストッパー層(以下、単にストッパー層という)48が形成されている。なお、カラーフィルタ13(固体撮像装置10)と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0117】
ストッパー層48は、エッチバック処理におけるエッチングレート、又は、CMP等の研磨処理における研磨レートが各色層33R,33Gよりも低い層であることが好ましい。更に、ストッパー層48は、可視光に対して透明な硬化性組成物で形成される。これにより、カラーフィルタ47の青色画素20B上からストッパー層48を完全に除去する必要が無くなる。ここで、可視光に対して透明とは可視光の透過率が95%以上であることを意味する。
【0118】
また、ストッパー層48のエッチングレート・研磨レートが各色層33R,33Gと同等、もしくは高い場合には、ストッパー層48を残す必要はなく、エッチバック処理又は研磨処理時に除去してもよい。
【0119】
図14に示すように、カラーフィルタ47を製造するカラーフィルタ製造工程50は、青色パターン形成工程51が異なる以外は、上記第1実施形態のカラーフィルタ製造工程22と同じである。青色パターン形成工程51では、青色層形成工程28とレジストパターン形成工程29との間に、ストッパー層形成工程52が設けられている点が第1実施形態と異なる。
【0120】
ストッパー層形成工程52は、青色層形成工程28で形成された青色層33B上に、ストッパー層48の材料である硬化性組成物を用いて、ストッパー層(ストッパー層48と区別するため、以下、全面ストッパー層という、図15参照)53を形成する。レジストパターン形成工程29では、全面ストッパー層53上に前述のレジストパターン34を形成する。ドライエッチング工程30では、レジストパターン34をマスクとして、全面ストッパー層53及び青色層33Bをドライエッチングし、ストライプ状のストッパーパターン層53a(図17参照)及び青色パターン27を形成する。フォトレジスト除去工程31は、ストッパーパターン層53a上からレジストパターン34を除去する。
【0121】
赤色層形成工程24及び緑色画素形成工程25は、第1実施形態と基本的には同じであるが、緑色画素形成工程25のドライエッチング工程41では、ストッパーパターン層53aをドライエッチングして、青色画素20Bの表面上にストッパー層48を形成する。
【0122】
また、緑色画素形成工程25の平坦化処理工程では、ストッパー層48が露出するまで、支持体11の全露出面を平坦化処理する。ストッパー層48が露出したか否か(平坦化処理の終点)は、以下の方法で確認することができる。
【0123】
エッチバック処理を行っている場合には、例えば、ストッパー層48がドライエッチング(プラズマエッチング)されて生成された反応生成物のプラズマ発光の有無により、平坦化処理の終点を確認することができる。また、研磨処理を行っている場合には、例えば、被研磨面に検査光を照射すると共にその反射光を測定して、ストッパー層48により特定の周波数の光が吸収されたか否かに基づいて、平坦化処理の終点を確認することができる。
【0124】
平坦化処理時に、青色画素20Bの表面はストッパー層48で保護されているため、エッチバック処理や研磨処理により、青色画素20Bが膜減りしたり、ダメージを受けたりする現象をより効果的に防止することができる。これにより、カラーフィルタ47の青色画素20Bの透過分光特性の制御がさらに容易となる。
【0125】
[硬化性組成物]
ストッパー層48を形成する硬化性組成物としては、熱によって硬化可能な高分子化合物を含む組成物を好ましく用いることができる。高分子化合物としては、例えば、ポリシロキサン系高分子及びポリスチレン系高分子が好ましい。これらの中でも、スピン・オン・グラス(SOG)材料として知られている材料、又はポリスチレン誘導体若しくはポリヒドロキシスチレン誘導体を主成分とする熱硬化性組成物がより好ましい。
【0126】
硬化性組成物の耐エッチング性を示す指標としては、例えば、大西パラメータ(参考文献 特開2004−294638、特開2005−146182)を用いることができる。本発明においては、着色硬化性組成物の該パラメータ値が、3.5〜4.5である場合、ストッパー層48を形成する硬化性組成物の該パラメータ値が、2.5以下であると、着色硬化性組成物層に対し選択性が確保可能(ストッパー層48がエッチングされ難い)と判断することができる。大西パラメータは、下記式(I)で算出することができる。
【0127】
(C+O+H)/(C−O)・・・式(I)
【0128】
式(I)中のC、O、Hは、それぞれ、ポリマーの構成繰返し単位における、炭素原子、酸素原子、水素原子のモル数を表す。以下に、大西パラメータの算出例を示す。尚、小数点以下3桁は切り捨てて算出した。
【0129】
例1.フルオレン系アクリレート化合物
(C+O+H)/(C−O)=(33+6+25)/(33−6)=2.37
例2.ポリヒドロスチレン誘導体
(C+O+H)/(C−O)=(8+1+8)/(8−1)=2.42
【0130】
次に、図15〜図24を用いて、カラーフィルタ製造工程50の各工程について詳しく説明する。なお、各図の(A)において、「BS」は、青色層33B、青色パターン27、青色画素20B上に各ストッパー層48,53,53aが積層されていることを示す。
【0131】
[青色パターン形成工程]
図15(A),(B)に示すように、青色層形成工程28で支持体11上に青色層33Bが形成された後、ストッパー層形成工程52では、スピンコータを用いて硬化性組成物を青色層33上に塗布した後、加熱装置でベーキング処理を施して、全面ストッパー層53を青色層33B上に形成する。
【0132】
以下の工程は、基本的には第1実施形態と同じであり、図16(A),(B)に示すように、レジストパターン形成工程29において、全面ストッパー層53上にレジストパターン34が形成される。次いで、図17(A),(B)に示すように、ドライエッチング工程30において、青色パターン27及びストッパーパターン層53aが形成された後、図18(A),(B)に示すように、フォトレジスト除去工程31において、レジストパターン34が除去される。
【0133】
[赤色層形成工程]
図19(A),(B)に示すように、赤色層形成工程24において、ストッパーパターン層53aを覆いつつ、青色パターン27の各パターン間の領域を埋め込むように、赤色層33Rが支持体11上に形成される。
【0134】
[緑色画素形成工程]
図20(A)〜(C)に示すように、レジストパターン形成工程40において、レジストパターン43が赤色層33R上に形成される。次いで、図21(A)〜(C)に示すように、ドライエッチング工程41において、青色画素20B、赤色画素20R、赤色パターン44、緑色画素形成領域39、及びストッパー層48が形成された後、図22(A)〜(C)に示すように、フォトレジスト除去工程42において、レジストパターン43が除去される。
【0135】
図23(A)〜(C)に示すように、緑色層形成工程37において、赤色画素20R及び赤色パターン44を覆いつつ、緑色画素形成領域39を埋め込むように、緑色層33Gが支持体11上に形成される。そして、図24(A)〜(C)に示すように、平坦化処理工程38において、ドライエッチング装置或いは研磨装置を用いて、支持体11の全露出面にエッチバック処理或いは研磨処理を施す。
【0136】
エッチバック処理によりストッパー層48が露出すると、ストッパー層48がエッチングされて生成された反応生成物のプラズマ発光が確認される。また、研磨処理によりストッパー層48が露出すると、ストッパー層48による特定の周波数の光の吸収が確認される。これらの確認がなされた時に平坦化処理を終了する。これにより、青色画素20B上のストッパー層48、赤色画素20R、緑色画素20Gの表面が面一になる。
【0137】
以上でカラーフィルタ製造工程50の全工程が終了し、支持体11に各着色画素20R,20G,20Bが2次元配列されてなるカラーフィルタ47が形成される。
【0138】
以上のように本発明は、支持体11上にストライプ状の青色パターン27を形成するステップと、支持体11上に第2色目の赤色層33Rを形成するステップと、支持体11上に緑色画素形成領域39を形成するステップと、この緑色画素形成領域39に第3色目の緑色画素20Gを形成するステップとを経てカラーフィルタ13,47を製造するようにしたので、孤立パターン(各着色画素)を直接形成する工程を減らすことができる。これにより、各画素形成時において、孤立パターンの角の丸みの抑制、及びドライエッチングにより孤立パターンを加工した際に発生する断面形状の角の丸まりの抑制を図り、従来よりも各着色画素の矩形性を向上させることができる。
【0139】
特に、ドライエッチングのマスクとして、ストライプ状のレジストパターン34をフォトリソ法で形成する場合には、孤立パターンを形成する場合と比較して、露光時にフォトレジスト層上に結像されるレジストパターン像のエッジのコントラストが高くなる。更に、ストライプパターンは、その長手方向のコントラストが一定である。これにより、レジストパターン34のエッジの形状が丸まることが防止されるため、青色パターン27・青色画素20Bの角の丸まりを抑え、断面の矩形性を向上させることができる。
【0140】
また、第3色目の緑色画素20Gを形成するステップも、フォトレジストに対しパターンの矩形性が劣る着色感光性組成物を用いるフォトリソ法ではなく、パターンの矩形性に優れるフォトレジスト及びドライエッチング法及びCMP法を用いるようにしたので、各着色画素の矩形性をより向上させることができる。
【0141】
更に、第1色目の着色画素(着色パターン、着色層)として、青色画素20Bをドライエッチング法で形成することにより、フォトリソ法で問題となる、露光光の不足による光重合不足によって現像時に青色画素の溶解が発生することがなくなるため、青色画素20Bの剥がれの発生を防止することができる。また、青色画素20Bは、フォトリソ法(着色光感光性組成物)で形成する場合には薄膜化が困難であったが、ドライエッチング法(着色熱硬化性組成物)で形成することで、薄膜化が可能になる。
【0142】
また、本発明では孤立パターンを加工しないので、各着色画素20R,20G,20Bの隅が集合する領域における空白領域(図25(A)参照)の発生や、各着色画素20R,20G,20Bの境界付近における凹み(図25(B)参照)の発生を防止することができる。また、緑領域を形成するパターン(ここでは市松模様)は、フォトレジストを使用したドライエッチングにより形成し、且つ埋め込みを実施したのち不要部分を除去する工程を経て形成されるので、孤立パターンを形成する場合よりも各パターンの角の丸まりが小さくなる。これにより、パターン(各着色画素)の形成限界を向上させるとともに、パターンの微細化・薄膜化を図ることができる。
【0143】
また、本発明の固体撮像素子10,46は、それぞれ上記各工程で製造されたカラーフィルタ13,47を備えることで、色再現性が良好になる。カラーフィルタ13,47は、特に100万画素を超えるような高解像度の固体撮像素子に好適である。
【0144】
上記実施形態では、第2色目の着色層として赤色層33Rを形成し、第3色目の着色層として緑色層33Gを形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、順番が逆であってもよい。また、カラーフィルタが4色以上の着色画素で構成されている場合にも本発明を適用することができる。
【0145】
上記実施形態では、緑色画素形成工程25の平坦化処理工程38においてエッチバック処理又は研磨処理のいずれかを行う場合について説明したが、両者を共に行っても良い。また、エッチバック処理及び研磨処理以外の各種平坦化処理を行ってもよい。
【0146】
更に、上記実施形態では、緑色画素形成工程25(平坦化処理工程38)で青色画素20B上の赤色パターン44を同時に除去する場合について説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、緑色画素形成工程25の終了後に、赤色パターン44の除去を行ってもよい。
【0147】
上記実施形態では、緑色画素20Rが市松模様状に配列されている場合を例に挙げて説明を行ったが、緑色画素20Gが青色パターン27に対して平行な方向のストライプ状パターンである配列、或いは青色パターン27に対して傾斜する方向に並ぶ配列など、上記実施形態と異なる配列であっても本発明を適用することができる。また、各着色画素20R,20G,20Bを形成する方法は、上記各実施形態で説明した方法に限定されず、ドライエッチング法や平坦化処理法を適宜組み合せて形成してもよい。即ち、各着色画素20R,20G,20Bを有するカラーフィルタを形成する場合、ドライエッチング法、及び平坦化法のうちどの方法をどの色の画素の形成に適用してもよく、複数の方法を組み合わせて適用してもよい。
【0148】
上記実施形態では、固体撮像素子10,46に用いられるカラーフィルタ13,47の製造方法について説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタの製造にも本発明を適用することができる。
【実施例】
【0149】
以下、本発明の効果を実証するための実施例1〜4を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。また、以下の各工程において、市販の処理液を用いた処理を行う場合、特記しない限り各処理液の製造メーカ指定の方法に従って処理を行った。
【0150】
実施例1として、平坦化処理工程38でエッチバック処理を行って形成した上記第1実施形態のカラーフィルタ13を用意した。実施例2として、実施例1と同様にエッチバック処理を行って形成した上記第2実施形態のカラーフィルタ47を用意した。実施例3として、上記実施例1のエッチバック処理の代わりにCMP(研磨)処理を行って形成したカラーフィルタ13を用意した。実施例4として、上記実施例2のエッチバック処理の代わりにCMP処理を行って形成したカラーフィルタ47を用意した。
【0151】
実施例1〜4の材料として、下記の青色熱硬化性組成物、赤色熱硬化性組成物、緑色熱硬化性組成物を調製した。
【0152】
[青色熱硬化性組成物]
最初に下記に示す青色顔料分散液を調製した。
・ピグメントブルー15:6 125質量部
・ピグメントバイオレット 25質量部
・分散剤 PLADDED211(楠本化成(株)製) 40質量部
・ベンジルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体 15質量部
・PGMEA 755質量部
上記の各素材をホモジナイザーにて攪拌処理し、その後0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(デイスパーマット、GETZMANN社製)で微分散処理を5時間実施して、青色顔料分散液を調製した。
【0153】
次いで、上記青色顔料分散液に更に熱硬化性樹脂を添加することで、非感光性着色組成物、すなわち青色熱硬化性組成物を調製した。
・EHPE−3150 0.8質量部(上記青色顔料分散液に対し)
更に、上記青色顔料分散液と熱硬化性樹脂にPGMEAを添加し、組成物の固形分が13.0%になるように希釈した。
【0154】
[赤色熱硬化性組成物]
最初に下記に示す赤色顔料分散液を調製した。
・ピグメントレッド254 80質量部
・ピグメントイエロー139 20質量部
・分散剤 EDAPLAN472(楠本化成(株)製) 30質量部
・ベンジルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体 10質量部
・PGMEA 700質量部
以下、青色顔料分散液調製時と同様の処理を行って赤色顔料分散液を調製した。
【0155】
次いで、上記赤色顔料分散液に更に熱硬化性樹脂を添加することで、非感光性着色組成物、すなわち、赤色熱硬化性組成物を調製した。
・EHPE−3150 0.5質量部(上記赤色顔料分散液に対し)
更に、上記赤色顔料分散液と熱硬化性樹脂にPGMEAを添加し、組成物の固形分が15.0%になるように希釈した。
【0156】
[緑色熱硬化性組成物]
最初に下記に示す緑色顔料分散液を調製した。
・ピグメントグリーン36 90質量部
・ピグメントグリーン7 25質量部
・ピグメントイエロー139 40質量部
・分散剤 PALDDED151(楠本化成(株)製) 20質量部
・ベンジルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体 10質量部
・PGMEA 630質量部
以下、青色顔料分散液調製時と同様の処理を行って緑色顔料分散液を調製した。
【0157】
次いで、上記緑色顔料分散液に更に熱硬化性樹脂を添加することで、非感光性着色組成物、すなわち、緑色熱硬化性組成物を調整した。
・EHPE−3150 0.8質量部(上記緑色顔料分散液に対し)
更に、上記緑色顔料分散液と熱硬化性樹脂にPGMEAを添加し、組成物の固形分が13.0%になるように希釈した。
【0158】
[実施例1]
上記各色熱硬化性組成物を用いて実施例1を下記の条件で形成した。
【0159】
<青色パターン形成工程>
支持体11上にスピンコータにて、青色着色組成物を膜厚0.525μmの塗布膜となるように塗布した後、ホットプレートを使用して、220℃で5分間の加熱を行い、塗布膜の硬化を行って青色層33Bを形成した。この青色層33Bの膜厚は0.525μmであった。
【0160】
次いで、ポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布し、プリベークを実施し、膜厚0.8μmのフォトレジスト層を形成した。
【0161】
続いて、フォトレジスト層を、i線ステッパー(キャノン(株)製)を用い、350mJ/cmの露光量でパターン露光し、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が90℃となる温度で1分間、加熱処理を行なった。その後、現像液「FHD−5」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)で1分間の現像処理を行ない、さらに110℃で1分間のポストベーク処理を実施して、レジストパターン34を形成した。このレジストパターン34のLINE&SPACEのサイズは、エッチング変換差(エッチングによるパターン幅の縮小)を考慮して、LINE:1.25μm、SPACE:1.15μmで形成した。
【0162】
次に、レジストパターン34をエッチングマスクとして、青色層33Bのドライエッチングを以下の手順で行った。
【0163】
ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、U−621)にて、RFパワー:800W、アンテナバイアス:400W、ウエハバイアス:200W、チャンバーの内部圧力:4.0Pa、基板温度:50℃、混合ガスのガス種及び流量をCF:80mL/min.、O:40mL/min.、Ar:800mL/min.として、80秒の第1段階のエッチング処理を実施した。
【0164】
このエッチング条件での青色層33Bの削れ量は467nm(89%のエッチング量)となり、約58nmの残膜がある状態になった。
【0165】
次いで、同一のエッチングチャンバーにて、RFパワー:600W、アンテナバイアス:100W、ウエハバイアス:250W、チャンバーの内部圧力:2.0Pa、基板温度:50℃、混合ガスのガス種及び流量をN:500 mL/min.、O:50mL/min.、Ar:500mL/min.とし(N/O/Ar=10/1/10)、エッチングトータルでのオーバーエッチング率を20%として、第2段階エッチング処理、オーバーエッチング処理を実施した。
【0166】
第2段階のエッチング条件での青色層33Bのエッチングレートは600nm/min以上であって、青色層33Bの残膜をエッチングするのに約10秒の時間を要した。第1段階のエッチング時間の80秒と第2段階のエッチング時間10秒を加算したものをエッチング時間と算出した。その結果、エッチング時間:80+10=90秒、オーバーエッチング時間:90×0.2=18秒になり、全エッチング時間は90+18=108秒に設定した。
【0167】
上記条件でドライエッチングを行った後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施してレジストパターン34を除去し、更に純水による洗浄、スピン乾燥を実施した。その後、100℃で2分間の脱水ベーク処理を行った。以上により、青色パターン27を得た。この青色パターン27のLINE&SPACEのサイズは、LINE1.2μm、SPACE1.2μmであった。
【0168】
<赤色層形成工程>
次に、青色パターン27が形成された支持体11の表面を覆うように、青色層33Bの形成時と同じ方法で、赤色熱硬化性組成物からなる膜厚0.50μmの塗布膜の形成・加熱処理を行って、赤色層33Rを形成した。青色層33R(青色パターン27上に積層した部分を除く)の膜厚は、0.55μmであった。
【0169】
<緑色画素形成工程(緑色画素領域形成工程)>
続いて、赤色層33R上に、前述のレジストパターン34の形成時と同じ条件で、膜厚1.0μmのフォトレジスト層を形成した後、レジストパターン43を形成した。レジストパターン43の開口部43aは、市松模様状に配列され、それぞれ1.2μm角の正方形に形成された。
【0170】
次いで、レジストパターン43をエッチングマスクとして、青色パターン27及び赤色層33Rのドライエッチングを行った。上記青色パターン形成工程23におけるドライエッチング条件のうち、第1段階のエッチング時間を80秒に、第2段階のエッチング時間を20秒に、オーバーエッチング時間を20秒にそれぞれ変更して、総エッチング時間を120秒の条件でドライエッチング処理を実施し、緑色画素領域形成39上の青色パターン27及び赤色層33Rを除去した。これにより、青色画素20B、赤色画素20R(赤色パターン44)、緑色画素領域形成39を得た。
【0171】
次に、前述のレジストパターン34の除去時と同様にして、レジストパターン43の除去、純水による洗浄、スピン乾燥、脱水ベーク処理を行った。
【0172】
<緑色画素形成工程(緑色層形成工程、平坦化工程)>
次いで、緑色画素領域形成39等が形成された支持体11の表面を覆うように、青色層33Bの形成時と同じ方法で、緑色熱硬化性組成物からなる膜厚0.625μmの塗布膜の形成・加熱処理を行って緑色層33Gを得た。緑色層33G(赤色パターン44上及び赤色画素20R上に積層した部分を除く)の膜厚は、0.625μmであった。
【0173】
そして、下記条件のエッチバック処理(平坦化処理)を行った。即ち、ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、U−621)にて、RFパワー:600W、アンテナバイアス:100W、ウエハバイアス:250W、チャンバーの内部圧力:2.0Pa、基板温度:50℃、混合ガスのガス種及び流量をN :500mL/min.、Ar:500mL/min.(N/Ar=1/1)とし、青色画素20Bが露出するまで実施した。
【0174】
この時の緑色層33G、赤色パターン44のエッチングレートは共に150nm/minであって、青色画素20Bを露出させるには40秒(緑色層33G、赤色パターン44の双方を除去する時間)の時間を要する計算となった。これに4秒間のオーバーエッチングを加算してエッチング時間とした。その結果、エッチング時間:40秒、オーバーエッチング時間:4秒となり、全エッチング時間は40+4=44秒と設定した。
【0175】
以上により、緑色画素領域形成39上に緑色画素20Gが形成された。また、同じエッチバック処理にて、青色画素20B上の赤色パターン44が除去された。緑色画素20Gは、緑色画素領域形成39に埋め込む形で市松模様状に配列され、それぞれ1.2μm角の正方形に形成された。
【0176】
カラーフィルタ表面は、Δ0.1μm以内(膜厚最大値と膜厚最小値との差が0.1μm以内)のフラットな状態となって形成された。即ち、赤色画素20R:0.51μm、青色画素20B:0.515μm、及び緑色画素:0.515μmであった。初期膜厚0.525μmからの減膜は、オーバーエッチングによる削れ量であった。
【0177】
[実施例2]
上記各色熱硬化性組成物を用いて実施例2を下記の条件で形成した。
【0178】
<青色パターン形成工程>
支持体11上に、青色着色組成物を膜厚0.5μmの塗布膜となるように塗布した以外は実施例1と同じ条件で青色層33Bを形成した。この青色層33Bの膜厚は0.5μmであった。
【0179】
続いて、青色層33B上に、熱硬化性組成物「1TS−54S−300A」(ラサ工業株式会社製)を、膜厚30nmとなるようにスピンコータで塗布し、その後220℃で5分の加熱処理を行って硬化させて、青色層33B上に全面ストッパー層53を形成した。
【0180】
以下、前述の実施例1と同様に、レジストパターン形成処理、ドライエッチング処理、フォトレジト除去処理を行った。ドライエッチング処理の第1段階のエッチング時間が83秒、第2段階のエッチングで青色層33Bの残膜を除去するのに要した時間が12秒であり、エッチング時間:83+6=89秒、オーバーエッチング時間:89×0.2=18秒になり、全エッチング時間を89+18=107秒に設定した以外は、実施例1と同じ条件で行った。なお、第1段階のエッチングでの削れ量は467nm(93%のエッチング量)となり、全面ストッパー層53のエッチング時間:約3秒が必要であったため、約33nmの残膜がある状態になった。
【0181】
以上により、支持体11上に青色パターン27が形成され、その表面上にストッパーパターン層53aが形成された。なお、青色パターン27のLINE&SPACEのサイズは実施例1と同じである。
【0182】
<赤色層形成工程>
実施例1と同じ条件で赤色層33Rを形成した。
【0183】
<緑色画素形成工程>
基本的には実施例1と同じ条件で、レジストパターン形成処理、ドライエッチング処理、フォトレジスト除去処理、緑色層形成処理、エッチバック処理を行った。ただし、ドライエッチング処理の第1段階のエッチング時間を73秒、オーバーエッチング時間を19秒、総エッチング時間を112秒に変更した。また、エッチバック処理では、青色画素20B上のストッパー層48を露出させるのに38秒を要するとの計算になったので、エッチング時間:38秒、オーバーエッチング時間:4秒になり、全エッチング時間を38+4=42秒に変更した。
【0184】
以上により、支持体11上に、緑色画素20G、青色画素20B及びストッパー層48、赤色画素20Rが形成された。カラーフィルタ表面は、実施例1と同様に、Δ0.1μm以内のフラットな状態で形成された。即ち、青色画素20B及びストッパー層48の総厚:0.53μm、赤色画素:0.52μm、及び緑色画素:0.52μmであった。設定膜厚0.53μmからの減膜は、オーバーエッチングによる削れ量であった。
【0185】
[実施例3]
上記各色熱硬化性組成物を用いて実施例3を下記の手順で形成した。緑色層形成工程37までは実施例1と同じ条件で各処理を行った。緑色層形成工程37で得られた緑色層33G(赤色パターン44上及び赤色画素20R上に積層した部分を除く)の膜厚は、0.625μmであった。
【0186】
次いで、研磨(CMP)装置(AMT製 BC−15)にて、スラリーセミスパース25希釈液(原液:純水=1:19)にて研磨処理を行った。このとき、スラリー希釈液流量:300ml/min、ウエハ圧:1.2psi、リテーナーリング圧:1.5psi、研磨PAD回転数50rpm、ウエハ回転数50rpmの条件により研磨処理を実施した。
【0187】
この研磨処理により、青色画素20Bが露出するのに要する研磨時間は25秒必要であった。オーバー研磨率を20%と設定し、実際の研磨時間は25秒×1.2=30秒に設定した。実施例1及び2と同様にして緑色画素20Gが形成された。また、各着色画素20R,20G,20Bは、互いに隣り合う画素同士が面で接するように形成された。更に、各着色画素20R,20G,20Bの表面は面一に形成され、各着色画素20R,20G,20Bの膜厚は共に0.50μmであった。
【0188】
[実施例4]
上記各色熱硬化性組成物を用いて実施例4を下記の手順で形成した。緑色層形成工程37までは実施例2と同じ条件で各処理を行い、緑色層形成工程37で得られた緑色層33Gの膜厚は0.625μmであった。
【0189】
次いで、実施例3と同じ条件で研磨処理を行った。ただし、青色画素20B上のストッパー層48が露出するのに要する研磨時間が23秒必要であったので、オーバー研磨率を20%と設定し、実際の研磨時間は23秒×1.2=29秒に設定した。実施例3と同様に、互いに隣り合う画素同士が面で接するように形成されるとともに、各表面は面一に形成され、更に各膜厚は共に0.50μmであった。
【0190】
以上のように実施例1〜4を形成する際に、青色画素20B(青色パターン27)の密着性不良(剥がれ)を、フォトレジスト除去工程31,42の終了後にそれぞれ確認したが、剥がれは全く発生していなかった。これにより、青色画素20Bの密着性が確保されることが確認された。
【0191】
また、実施例1〜4では、従来のフォトリソ法で形成されたカラーフィルタとは異なり、着色画素が形成されない空白領域(図25(A)参照)や、各着色画素間の境界付近において各着色画素の膜厚が薄くなる凹み(図25(B)参照)の発生が抑制されることが確認された。この結果から、パターン形成限界が向上し、且つ微細で薄膜なパターンの形成が可能となることが確認された。
【0192】
また、実施例1〜4の各着色画素の矩形性を電子顕微鏡(SEM)で確認したところ、従来の孤立パターンを形成する方法(フォトリソ法、ドライエッチング法を含む)で形成されたカラーフィルタの着色画素よりも、孤立パターン(画素)コーナーの丸まりが非常に少なく、矩形性が向上することが確認された。これにより、本発明のように、孤立パターンを直接形成する工程を減らすことで、従来よりも各着色画素の矩形性が向上することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】第1実施形態の固体撮像素子及びカラーフィルタの断面図である。
【図2】第1実施形態のカラーフィルタ製造工程を示すフローチャートである。
【図3】青色パターン形成工程を構成する青色層形成工程を説明するための説明図である。
【図4】同工程を構成するレジストパターン形成工程を説明するための説明図である。
【図5】同工程を構成するドライエッチング工程を説明するための説明図である。
【図6】同工程を構成するフォトレジスト除去工程を説明するための説明図である。
【図7】赤色層形成工程を説明するための説明図である。
【図8】緑色画素形成工程のレジストパターン形成工程を説明するための説明図である。
【図9】同工程を構成するドライエッチング工程を説明するための説明図である。
【図10】同工程を構成するフォトレジスト除去工程を説明するための説明図である。
【図11】同工程を構成する緑色層形成工程を説明するための説明図である。
【図12】同工程を構成する平坦化処理工程を説明するための説明図である。
【図13】第2実施形態の固体撮像素子及びカラーフィルタの断面図である。
【図14】第2実施形態のカラーフィルタ製造工程を示すフローチャートである。
【図15】第2実施形態の青色パターン形成工程を構成する青色層形成工程及びストッパー層形成工程を説明するための説明図である。
【図16】同工程を構成するレジストパターン形成工程を説明するための説明図である。
【図17】同工程を構成するドライエッチング工程を説明するための説明図である。
【図18】同工程を構成するフォトレジスト除去工程を説明するための説明図である。
【図19】第2実施形態の赤色層形成工程を説明するための説明図である。
【図20】第2実施形態の緑色画素形成工程のレジストパターン形成工程を説明するための説明図である。
【図21】同工程を構成するドライエッチング工程を説明するための説明図である。
【図22】同工程を構成するフォトレジスト除去工程を説明するための説明図である。
【図23】同工程を構成する緑色層形成工程を説明するための説明図である。
【図24】同工程を構成する平坦化処理工程を説明するための説明図である。
【図25】フォトリソ法で形成された従来のカラーフィルタを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0194】
10,47 固体撮像素子
11 支持体
13,47 カラーフィルタ
20B 青色画素
20R 赤色画素
20G 緑色画素
27 青色パターン
33B 青色層
33R 赤色層
33G 緑色層
44 赤色パターン
48 エッチングストッパー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、複数色の着色画素を2次元配列してなるカラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法において、
前記支持体上に、少なくとも青色素を含む第1色の熱硬化性組成物からなるストライプ状の第1色パターンを形成する第1色パターン形成工程と、
前記第1色パターンが形成された前記支持体上に、第2色の熱硬化性組成物からなる第2色着色層を形成する第2色着色層形成工程と、
前記第1色パターン及び前記第2色着色層をドライエッチング法によりパターニングして、前記支持体上に、第1色画素及び第2色画素を形成するとともに、第3色画素を形成するための第3色画素形成領域を形成するパターニング工程と、
前記第3色画素形成領域に、第3色の熱硬化性組成物で前記第3色画素を形成する第3色画素形成工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記第1色の熱硬化性組成物には、バイオレット色素が含まれることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記第1色パターン形成工程は、
前記支持体上に、前記第1色の熱硬化性組成物からなる第1色着色層を形成する第1色着色層形成工程と、
前記第1色着色層上に、フォトレジストを用いて前記第1色パターンに対応するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記第1色着色層をドライエッチングして前記第1色パターンを形成するドライエッチング工程とを有することを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記第2色着色層形成工程では、前記第1色パターンが形成された支持体上に、前記第2色の熱硬化性組成物の塗膜を形成し、この塗膜をベーク処理して前記第2色着色層を形成することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記第3着色画素形成工程は、
前記第1色画素、前記第2色画素、及び前記第3色画素形成領域が形成された前記支持体上に、前記第3色の熱硬化性組成物からなる第3色着色層を形成する第3色着色層形成工程と、
少なくとも前記第1色画素及び前記第2色画素上から前記3色着色層が除去されるまで、前記第3色着色層の表面に平坦化処理を施して、前記第3色画素を形成する平坦化処理工程とを有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記パターニング工程では、前記第2色着色層をパターニングして、前記第2色画素と、前記第1色画素の表面を覆う第2色パターンとを一体に形成するとともに、
前記平坦化処理工程は、前記第1及び第2色画素上の前記第3色着色層を除去した後、前記第1色画素上から前記第2色パターンが除去されるまで、前記第2色パターン、前記第2色画素、及び前記第3色画素の各表面に平坦化処理を施すことを特徴とする請求項5記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
前記平坦化処理は、エッチバック処理または研磨処理の少なくともいずれか一方の処理により行われることを特徴とする請求項5または6いずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
前記平坦化処理が前記研磨処理により行われる場合、
前記研磨処理後に、被研磨面を水洗する水洗工程、及びこの水洗工程後に前記被研磨面に脱水処理を施す脱水処理工程を行うことを特徴とする請求項7記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記レジストパターン形成工程前に、前記第1色着色層上に透明な平坦化処理のストッパー層を形成するストッパー層形成工程を有し、
前記レジストパターン形成工程は、前記ストッパー層上に前記レジストパターンを形成し、
前記ドライエッチング工程は、前記レジストパターンを用いて、前記ストッパー層を前記第1色パターンに対応するストライプ状にドライエッチングするとともに、
前記パターニング工程は、ストライプ状の前記ストッパー層を、前記第1色画素に対応する形状にパターニングすることを特徴とする請求項3ないし8いずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−85700(P2010−85700A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254595(P2008−254595)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】