説明

カラー電子写真画像形成装置

【課題】本発明の目的は、カートリッジ支持部材により外側位置に移動されたカートリッジを見るだけで、交換すべきカートリッジを容易に判断することができるようにし、ユーザビリティーを向上させることである。
【解決手段】複数のカートリッジPY,PM,PC,PKを装置本体100に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、カートリッジを支持して装置本体の内側位置と外側位置との間を移動するカートリッジトレイ35と、カートリッジの現像剤の残量を検知する残量検知手段と、を有し、各カートリッジは、カートリッジトレイ35を外側位置に移動したときに確認できる位置に発光ダイオード49を有し、各カートリッジは、現像剤の残量が所定の量以下の場合に、外側位置にて、発光ダイオード49と電源とを接続するための接点部50,52,52,60を通して、電源から電流が印加されて発光ダイオード49が発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカートリッジを装置本体に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで、カラー電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて、記録媒体にカラー画像を形成するものである。そして、カラー電子写真画像形成装置の例としては、例えばカラー電子写真複写機、カラー電子写真プリンタ(例えばカラーレーザビームプリンタ、カラーLEDプリンタ等)、カラーフアクシミリ装置及びカラーワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
また、記録媒体とは、電子写真画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHPシート等が含まれる。
【0004】
また、カートリッジとは、例えば、プロセスカートリッジ或いは現像カートリッジであって、電子写真画像形成装置の本体に取り外し可能に装着されて、記録媒体に画像を形成する画像形成プロセスに寄与するものである。ここで、前記プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての現像手段と、前記電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置の本体に取り外し可能に装着するものである。また、前記プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての現像手段と、前記電子写真感光体ドラムの他に、プロセス手段としての帯電手段またはクリーニング手段を一体的にカートリッジ化して、前記本体に取り外し可能に装着するものである。尚、電子写真感光体ドラムと現像手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを所謂一体型と称する。また、電子写真感光体ドラムと現像手段以外のプロセス手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを所謂分離型と称する。
【0005】
ここで前記プロセスカートリッジは、使用者自身によって画像形成装置本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。尚、前記プロセス手段は、前記電子写真感光体ドラムに作用するものである。
【0006】
また、現像カートリッジとは、現像ローラを有し、前記現像ローラによって、前記電子写真感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するのに用いられる現像剤(トナー)を収納しており、前記本体に取り外し可能に装着されるものである。尚、前記現像カートリッジの場合には、前記電子写真感光体ドラムは前記装置本体或いは後述するカートリッジ支持部材に取り付けられている。或いは、前記電子写真感光体ドラムは、前記所謂分離型プロセスカートリッジに設けられている(この場合には、プロセスカートリッジは、現像手段を有してはいない)。尚、前記現像カートリッジも、使用者自身によって画像形成装置本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0007】
そこで、カートリッジとしては、前記所謂一体型又は所謂分離型のプロセスカートリッジが含まれる。また、カートリッジとしては、所謂分離型のプロセスカートリッジと前記現像カートリッジが対になって用いられる場合が含まれる。また、カートリッジとしては、前記電子写真感光体ドラムが前記装置本体或いは後述するカートリッジ支持部材に固定して取り付けられており、前記電子写真感光体ドラムに作用可能に前記現像カートリッジが着脱可能に用いられる場合が含まれる。
【背景技術】
【0008】
画像形成装置本体に対する複数のカートリッジの着脱構成に関しては、例えば特許文献1に示すような構成が知られている。これは、複数のカートリッジをカートリッジ支持部材に支持する。そして、カートリッジ支持部材を、装置本体の内側に位置する内側位置と、装置本体の外側に位置する外側位置との間をスライド移動する。使用者が、カートリッジ支持部材を内側位置から外側位置に引き出した状態で、カートリッジ支持部材に対してカートリッジを着脱する。そして、使用者がカートリッジ支持部材を内側位置に押し込むことによって、カートリッジを画像形成位置に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−121983
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような画像形成装置においては、どのカートリッジの現像剤の残量が足りなくなっているのかを、装置本体に設けられた表示部や、パソコン等の外部ホスト装置などを用いて使用者に報知する。その情報を見ることで使用者が交換するカートリッジを確認し、カートリッジを交換する。
【0011】
その際、カートリッジの交換に不慣れな使用者が作業する場合や、画像形成装置が外部ホスト装置から離れた場所にある場合に、使用者がどのカートリッジを交換すれば良いかに戸惑うおそれがある。
【0012】
このような場合、使用者がカートリッジを交換する際に多くの時間を消費してしまい、または交換する必要のないカートリッジを着脱してしまい、ユーザビリティーが低下してしまう。
【0013】
本発明の目的は、カートリッジ支持部材により外側位置に移動されたカートリッジを見るだけで、交換すべきカートリッジを容易に判断することができるようにし、ユーザビリティーを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、現像剤を収納している複数のカートリッジを装置本体に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置であって、前記カートリッジを支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動するカートリッジ支持部材と、前記カートリッジの現像剤の残量を検知する残量検知手段と、を有し、前記各カートリッジは、前記カートリッジ支持部材を前記外側位置に移動したときに確認できる位置に発光体を有し、前記各カートリッジは、現像剤の残量が所定の量以下の場合に、前記外側位置にて、前記発光体と電源とを接続するための接点部を通して、前記電源から電流が印加されて前記発光体が発光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カートリッジ支持部材を外側位置に移動してカートリッジの発光体を確認するだけで、交換すべきカートリッジを容易に判断することができる。これにより、使用者がカートリッジを交換する際の時間を短縮することができ、または交換する必要のないカートリッジを着脱するのを防止し、ユーザビリティーを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の断面図
【図2】トレイを引き出した状態の画像形成装置の部分断面図
【図3】トレイを引き出した状態の画像形成装置の部分斜視断面図
【図4】図4(a)は第1実施形態に係るカートリッジの斜視図、図4(b)はカートリッジの模式断面図
【図5】第1実施形態に係るカートリッジトレイの斜視図
【図6】第1実施形態に係る画像形成装置の接点部の拡大斜視図
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置の斜視断面図
【図8】第2実施形態に係るカートリッジの斜視図
【図9】第2実施形態に係るカートリッジの要部拡大斜視図
【図10】第2実施形態に係る画像形成装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
〔第1実施形態〕
<カラー電子写真画像形成装置の全体構成>
まず、図1乃至図3を参照して、第1実施形態に係るカラー電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称する)の全体構成について説明する。なお、図1は画像形成装置の断面説明図であり、図2はプロセスカートリッジ(以下、カートリッジと称する)の交換を示す部分断面説明図である。図3はカートリッジの交換を示す部分斜視断面図である。
【0019】
本実施形態の画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザプリンタである。そして、画像形成装置は、パソコン、イメージリーダ、相手方ファクシミリ装置等の外部ホスト装置(不図示)から入力する画像信号に基いて記録媒体(シート)に画像を形成する。
【0020】
以下の説明において、画像形成装置に関して、画像形成装置本体100とは、画像形成装置から、後述する各カートリッジの構成を除いたものである。また、画像形成装置本体100の前側(正面側)とは装置開閉ドア(開閉部材)31を配設した側である。後側(奥側)とはそれとは反対側である。また、左右とは画像形成装置本体100を前側から見て左または右である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置本体(以下、装置本体と称する)100内には後側から前側にかけて、第1から第4の4つのカートリッジP(PY,PM,PC,PK)が水平方向に並べて配設されている。各カートリッジPは、収納された現像剤の色が異なるだけで、互いに同様の構成である。なお、カートリッジPYはイエロー色の現像剤を収納している。また、カートリッジPMはマゼンタ色の現像剤を収納している。また、カートリッジPCはシアン色の現像剤を収納している。また,PKはブラック色の現像剤を収納している。
【0022】
尚、本実施形態においては、カートリッジPとして所謂一体型のプロセスカートリッジを用いた例を説明するが、本発明はプロセスカートリッジを用いた場合に限定されるものではない。カートリッジPとして、前述した構成のものが適用できる。
【0023】
装置本体100に装着されたカートリッジPの上方部には、レーザスキャナユニット11を配置してある。スキャナユニット11は、レーザ光によりカートリッジ枠体5の上面に設けた露光窓6を通して、各カートリッジのドラム面を走査露光する。これによって、表面が帯電ローラ2に帯電された感光体ドラム1に静電潜像が順次形成される。続いて、その静電潜像が現像器(現像手段)3によって現像されて、感光体ドラム1に現像剤像が形成される。
【0024】
装置本体100に装着されたカートリッジPの下方部には、中間転写ベルト13が配置されている。転写ベルト13は、駆動ローラ14、従動ローラ15、テンションローラ16で張架され、図1の矢印方向へ回転する。各カートリッジPの感光体ドラム1は、その下面が転写ベルト13の上面に接している(図1に示す各カートリッジPの位置が、画像形成位置である)。転写ベルト13の内側には、各カートリッジPの感光体ドラム1に対向させて4個の一次転写ローラ17が配置されている。
【0025】
駆動ローラ14には、転写ベルト13を介して二次転写ローラ22が接触している。装置本体100内の後側の上部には、定着装置23と、排出ローラ対24が配置されている。装置本体100の上面には排出トレイ25が配置されている。定着装置23は定着フィルム23aと加圧ローラ23bを有するものが用いられている。
【0026】
画像形成に際しては、各感光体ドラム1に形成された現像剤像が転写ベルト13に順次転写されて、転写ベルト13にカラー画像が形成される。この画像形成動作に同期するように、装置本体100の下部に配置された給送トレイ19に積載収納された記録媒体Sが、図1の矢印方向に回転する給送ローラ20により給送される。給送された記録媒体Sは、駆動ローラ14と二次転写ローラ22のニップ部へ送られる。
【0027】
次に、転写ベルト13に形成された現像剤像が、駆動ローラ14と二次転写ローラ22のニップ部に送られた記録媒体Sに転写される。さらに、現像剤像が転写された記録媒体Sは、定着フィルム23aと加圧ローラ23bのニップ部へ送られ、ここで加熱加圧される。これによって、現像剤像が記録媒体Sに定着する。現像剤像が定着された記録媒体Sは、排出ローラ対24により排出トレイ25に排出される。
【0028】
本実施形態では、ユーザビリティ向上のために、カートリッジPをカートリッジトレイ(カートリッジ支持部材)35に支持(収容)した状態で、トレイ35を装置本体100の前側に引き出す構成としている。これによって、使用者が、装置本体100の前側(ドア31が設けられている側)からカートリッジPの交換を行うことができる(所謂フロントアクセス)。トレイ35は、装置本体100に対してレール部材34で支持されている。そして、トレイ35は、使用者が把手部35aをもって前後方向(図1の矢印A,B方向)にスライド可能に設けられている。ドア31は装置本体100に対して軸(ヒンジ部)32を中心に回動可能に設けられている。図2及び図3はドア31を開いてトレイ35を装置本体100の外側に引き出した状態である。
【0029】
トレイ(カートリッジ支持部材)35は、カートリッジPを支持して、装置本体100の内側に位置する内側位置I(図1の位置)と、装置本体100の外側に位置する外側位置O(図2の位置)と、の間を移動する。
【0030】
尚、外側位置Oは、使用者がカートリッジPをトレイ35に対して着脱する位置(着脱可能位置)である。
【0031】
尚、外側位置Oでもって、トレイ35に支持された(装着された)カートリッジPは、使用者がトレイ35を装置本体100内に押し込むと内側位置Iに移動する。そしてカートリッジPは、画像形成に寄与する画像形成位置に位置する(図1)。尚、ここでは、画像形成位置とは、感光体ドラム1の一部分が転写ベルト13に接触している状態である。トレイ35が内側位置Iに位置した状態でドア31が閉じられると、トレイ35が下降してカートリッジPは画像形成位置に位置する。そして、ドア31が開放されると、トレイ35が上昇するのに連れてカートリッジPも上昇する。これによって、感光体ドラム1が転写ベルト13から離れる。この状態で、使用者がトレイ35を装置本体100の外側位置Oに向かって引き出す(矢印B方向)。
【0032】
そして、トレイ35を、図2及び図3のように、装置本体100外側の所定の位置まで十分に引き出すと、トレイ35に支持されている全てのカートリッジPY,PM,PC,PKが装置本体100外側に露出し、全カートリッジの上面が開放される。トレイ35には、トレイ35の引き出し方向への移動を規制する突起部35hが設けられている。突起部35hは、図2の矢印C方向に付勢されている。トレイ35は、所定の十分量引き出され、突起部35hがレール部材34に設けた溝部34bに係合することにより、それ以上の引き出し移動が阻止される。また、トレイ35は、所定の引き出し位置まで水平に引き出されている状態がレール部材34により安定に保たれる。そこで、交換すべき使用済みのカートリッジを、トレイ35から上方に持ち上げて抜き外す。そして、新しいカートリッジをトレイ35に対して上から嵌め入れて乗せる。
【0033】
<交換すべきカートリッジの判別構成>
本実施形態では、前述のカートリッジの交換の際に、トレイにより外側位置に移動されたカートリッジを見るだけで、交換すべきカートリッジを容易に判断することができるようにし、ユーザビリティーを向上させるために、以下のように構成している。
【0034】
まず図4乃至図6を用いて、カートリッジの構成及びカートリッジと装置本体とを接続するための接点部の構成について説明する。図4(a)はカートリッジの外観斜視図である。図4(b)はカートリッジの模式断面図である。図5(a)及び図5(b)はカートリッジトレイの斜視図である。図6(a)及び図6(b)は画像形成装置における接点部の拡大斜視図である。
【0035】
図4(b)に示すように、各カートリッジPは、カートリッジ枠体5の内側に、電子写真感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段が配置されている。ここでは、プロセス手段として、帯電ローラ(帯電手段)2と、現像器(現像手段)3と、クリーニング器(クリーニング手段)4が設けられている。帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する。クリーニング器4は、転写後に感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去する。現像器3は、感光体ドラム1に現像剤を送る現像ローラ3aと、現像剤を収納している現像剤容器3bを有し、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像する。
【0036】
また、各カートリッジPは、カートリッジ枠体5の外側に、発光体として発光ダイオード49が設けられている。発光ダイオード49は、カートリッジトレイ35を外側位置に移動したときに確認できる位置(ここではカートリッジ上面)に設けられている。
【0037】
各カートリッジの発光ダイオード49は、装置本体100に設けられている電源から電流が印加されて発光する。ここで、カートリッジの発光ダイオードと電源(不図示)とを接続するための接点部について説明する。
【0038】
図4(b)に示すように、各カートリッジは、カートリッジ枠体5の外側に、前記発光ダイオード49と導通のとれている導通部50が設けられている。また図5(a)及び図5(b)に示すように、カートリッジトレイ35は、内側に、各カートリッジの導通部50と接続可能な導通バネ52が設けられている。導通部50と導通バネ52は、カートリッジPをトレイ35で支持することで前記カートリッジPと前記トレイ35とを接続する第1接点部を構成している。
【0039】
またカートリッジトレイ35は、外側に、内側の導通バネ52と接続している接点板バネ60が設けられている。更に装置本体100には、前記トレイ35の接点板バネ60と接続可能な接点コイルバネ53が設けられている。接点板バネ60と接点コイルバネ53は、トレイ35を外側位置(着脱可能位置)に移動させることで前記トレイ35と前記電源(不図示)とを接続する第2接点部を構成している。
【0040】
図6(a)は発光ダイオード49と装置本体の電源とが導通された状態を示す。図6(b)は図6(a)からトレイ35を取り除いた状態での前記導通状態を示す。
【0041】
図6(a)及び図6(b)からわかるように、前述した第1接点部と第2接点部がともに接触している状態において、装置本体の電源と各カートリッジPの発光ダイオード49とが導通した状態となる。ここで、第2接点部はトレイ35が内側位置にある場合は接触していないため、発光ダイオード49と装置本体の電源は導通していない状態となる。
【0042】
次に、各カートリッジの現像剤の残量が予め設定された所定の量以下となったときに、そのカートリッジをユーザーが交換するまでの手順について説明する。
【0043】
画像形成装置は、図示していないが、各カートリッジの現像剤の残量を検知する現像剤残量検知手段と、この検知情報に基づいて制御を行う制御手段を有している。画像形成装置は、図示しない現像剤残量検知手段および制御手段によって、各カートリッジ内の現像剤の残量が所定の量以下となったことを検知する。このとき、カートリッジを支持しているトレイは、内側位置(画像形成位置)にある。ここで、現像剤残量検知手段としては、例えば特開2003−21955に開示されている光透過式現像剤残量検知などがある。
【0044】
画像形成装置は、複数のカートリッジのうち、現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジがある場合は、その現像剤の残量が所定の量以下と判断したカートリッジの接点コイルバネ53に電流の印加を開始する。
【0045】
画像形成装置は、接点コイルバネ53への電流の印加と同時またはそのすぐ後に、装置本体に設けられた表示部(不図示)あるいは外部ホスト装置(不図示)に、現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジがあることを警告として表示する。この状態では、トレイ35はまだ画像形成位置にあるため、第2接点部は非接触状態にある。そのため、発光ダイオード49は発光していない。
【0046】
現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジがあることを示す警告を見た使用者は、ドア31を開き、カートリッジトレイ35を図1の矢印B方向に引き出し、図2及び図3に示す所定の位置(着脱可能位置)まで移動させる。これにより、トレイ35に支持されている全てのカートリッジPY,PM,PC,PKが装置本体100外側に露出し、全カートリッジの上面が開放される。
【0047】
カートリッジトレイ35を着脱可能位置まで引き出すと、トレイ35に設けた突起部35hがレール部材34に設けた溝部34bに係合する。これにより、それ以上の引き出し移動が阻止される。また、そのときの衝撃が使用者にクリック感としてその感触が伝わり、その位置が着脱可能位置であることが使用者に伝わる。
【0048】
カートリッジトレイを着脱可能位置まで引き出すことによって、第1接点部と第2接点部がともに接触した状態となる。この接点部を通して、現像剤の残量が所定の量以下と判断されたカートリッジの発光ダイオード49に、装置本体の電源から電流が印加され、前記発光ダイオード49が発光を開始する。
【0049】
発光ダイオード49が発光していることを確認した使用者は、その発光ダイオード49が発光しているカートリッジを取り出す。このとき、第1接点部と第2接点部がともに導通した状態から再び導通がとれなくなった時点で、接点コイルバネ53への電流の印加を止めるよう設定しておく。
【0050】
前述の如くカートリッジを取り出した後、使用者は新品のカートリッジをカートリッジトレイ35に装着する。新品のカートリッジをトレイに装着する際、装置本体の電源から接点コイルバネ53への電流の印加は止まっている。このため、新品のカートリッジをトレイ35に装着したときには第1接点部と第2接点部はともに接触状態にあるが、発光ダイオード49は発光しない。
【0051】
前述の如くカートリッジを交換した後、使用者はカートリッジトレイ35を画像形成位置まで押し込み、ドア31を閉じる。
【0052】
ドア31を閉じると、現像剤残量検知手段が、画像形成位置まで移動されたトレイが支持しているカートリッジの現像剤の残量を検知し、この検知情報に基づいて制御手段が、カートリッジの現像剤の残量が所定の量以上であるかを判断する。カートリッジの現像剤の残量が所定の量以上であると判断されると、装置本体の表示部あるいは外部ホスト装置に表示されていた、現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジがあることを示す警告を消す。この警告が消えたことを確認して、使用者によるカートリッジの交換作業が完了する。
【0053】
なお、制御手段にてカートリッジの現像剤の残量が所定の量以上と判断した状態で、ドア31を開け、トレイを着脱可能位置まで引き出しても、発光ダイオード49には電流が印加されておらず、発光ダイオード49は発光しない。
【0054】
上述したように、トレイ35を外側位置に移動して各カートリッジの発光ダイオード49が発光しているのを確認するだけで、交換すべきカートリッジを容易に判断することができる。これにより、使用者がカートリッジを交換する際の時間を短縮することができ、または交換する必要のないカートリッジを着脱するのを防止し、ユーザビリティーを向上させることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
図7乃至図10を用いて、第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、前述した実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0056】
図7に第2実施形態に係る画像形成装置の要部断面図を、図8にカートリッジの斜視図をそれぞれ示す。図9にカートリッジの要部拡大斜視図を示す。図10にトレイを引き出した状態の画像形成装置の斜視図を示す。
【0057】
前述した第1実施形態では、発光ダイオード49を発光させるための電源として、画像形成装置本体の電源を用いたが、本実施形態では発光ダイオード49を発光させるための電源を各カートリッジに設けた構成としている。更に各カートリッジに設ける電源として、外側位置にて発電する電源を用いている。ここでは電源として太陽電池61を用いている。
【0058】
更に各カートリッジは、発光ダイオード49と太陽電池61とを接続又は遮断する切替部材としての電力ヒューズ63を有している。この電力ヒューズ63は、各カートリッジに取り付けられており、電力ヒューズ接点部64と導通している。電力ヒューズ63が電気回路的にショートしているときには太陽電池61から発光ダイオード62に電流が印加できない。
【0059】
装置本体100側には接点バネ65が取り付けられている。この接点バネ65は、内側位置(画像形成位置)におけるトレイ35に支持されている各カートリッジの電力ヒューズ接点部64と接触するように設けられている。この接点部を通して、装置本体から電力ヒューズ63に設定値以上の電流が印加されることで、電力ヒューズ63が切れる。電力ヒューズ63が切れることで、電気回路的に太陽電池61から発光ダイオード62に電流が印加可能な状態(接続状態)となる仕組みとなっている。
【0060】
電力ヒューズ63が切れ、電気回路的に太陽電池61から発光ダイオード49に電流が印加可能な状態となった後に、図10に示すようにトレイ35を外側位置に引き出すことで、太陽電池61が受光(発電)することができ、発光ダイオード49が発光する。
【0061】
次に、各カートリッジの現像剤の残量が予め設定された所定の量以下となったときに、そのカートリッジをユーザーが交換するまでの手順について説明する。
【0062】
画像形成装置は、複数のカートリッジのうち、現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジがある場合は、装置本体に設けられた表示部(不図示)あるいは外部ホスト装置(不図示)に、その警告を表示する。
【0063】
画像形成装置は、前記警告を表示すると同時またはそれ以前に、現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジの接点バネ65に設定値以上の電流を印加する。
【0064】
接点バネ65に電流が印加されると、電力ヒューズ63には電力ヒューズ接点部64を介して電流が印加され、電力ヒューズ63が切れる。なお、電力ヒューズ63が切れた後に、装置本体からの電流の印加を停止する。
【0065】
電力ヒューズ63が切れることで、太陽電池61から発光ダイオード62に電流が印加可能となる。この時点では、トレイ35はまた画像形成位置にあるため、太陽電池61は受光していないので発光ダイオード62は発光しない。
【0066】
現像剤の残量が所定の量以下になったカートリッジがあることを示す警告を見た使用者は、ドア31を開き、カートリッジトレイ35を図1の矢印B方向に引き出し、図10に示す所定の位置(着脱可能位置)まで移動させる。これにより、トレイ35に支持されている全てのカートリッジPY,PM,PC,PKが装置本体100外側に露出し、全カートリッジの上面が開放される。
【0067】
カートリッジトレイ35を着脱可能位置まで引き出すと、第1実施形態と同様に、トレイ35に設けた突起部35hがレール部材34に設けた溝部34bに係合する。これにより、それ以上の引き出し移動が阻止される。また、そのときの衝撃が使用者にクリック感としてその感触が伝わり、その位置が着脱可能位置であることが使用者に伝わる。
【0068】
図10に示すようにカートリッジトレイ35を着脱可能位置に引き出すと、全てのカートリッジの太陽電池61が受光状態となる。これにより、電力ヒューズ63が切れているカートリッジの発光ダイオード49が発光して、使用者に現像剤の残量が所定の量以下であることを視覚的に知らせる。
【0069】
発光ダイオード49が発光していることを確認した使用者は、その発光ダイオードが発光しているカートリッジを図10の矢印E方向に引き抜き出し、新品のカートリッジをカートリッジトレイ35に装着する。
【0070】
新品のカートリッジを装着し、カートリッジトレイ35を画像形成位置まで挿入し、ドア31を閉じる。ドア31を閉じると、現像剤残量検知手段が、画像形成位置まで移動されたトレイが支持しているカートリッジの現像剤の残量を検知し、この検知情報に基づいて制御手段が、カートリッジの現像剤の残量が所定の量以上であるかを判断する。カートリッジの現像剤の残量が所定の量以上であると判断されると、装置本体の表示部あるいは外部ホスト装置に表示されていた警告を消す。この警告が消えたことを確認して、使用者によるカートリッジの交換作業が完了する。
【0071】
上述したように、本実施形態においても、トレイ35を外側位置に移動して各カートリッジの発光ダイオード49が発光しているのを確認するだけで、交換すべきカートリッジを容易に判断することができる。これにより、使用者がカートリッジを交換する際の時間を短縮することができ、または交換する必要のないカートリッジを着脱するのを防止し、ユーザビリティーを向上させることができる。
【0072】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、発光体として発光ダイオードを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば電球などその他の発光体であっても良い。
【0073】
また前述した第2実施形態では、発光ダイオードを発光させるための電源として太陽電池を用いたが、他の電池や電池の代わりにコンデンサーなどを用いても良い。
【0074】
また前述した実施形態では、カートリッジが離間可能に当接するベルト部材として、トナー画像を担持して搬送する中間転写体を例示した。具体的には、中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を転写材に一括して転写する画像形成装置を例示して説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。カートリッジが離間可能に当接するベルト部材は、記録媒体を担持して搬送する記録媒体担持体であっても良い。具体的には、記録媒体担持体を使用し、該記録媒体担持体に担持された記録媒体に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0075】
また前述した各実施形態では、トレイ35は装置本体100の設置面(図示せず)に対して水平方向に移動する。しかしながら、本実施形態ではこれに限定されずに、トレイ35は装置本体100の設置面(図示せず)に対して、例えば斜め上方、或いは、斜め下方に直線的に移動しても良い。トレイ35は、支持する(収容する、装着する)カートリッジの長手方向と直交する方向に直線的に移動する。尚、カートリッジの長手方向とは、感光体ドラム1の長手方向、又は、現像ローラの長手方向である。
【0076】
また、前述した各実施形態において、カートリッジ着脱位置とは、トレイ35に対してカートリッジの着脱を行う位置である。そして、カートリッジ着脱位置は、各カートリッジが画像形成位置に位置している場合よりも、トレイの引き出し方向において、下流側に位置している。各本実施形態によれば、カートリッジ着脱位置とは、使用者が装置本体100の外側から、トレイ35に支持されているカートリッジをトレイ35から取り出すことができる位置である。及び、カートリッジ着脱位置とは、使用者が装置本体100の外側から、カートリッジをトレイ35に支持させることができる位置である。したがって、カートリッジ着脱位置とは、装置本体100の外側に限定されるものではなく、装置本体100の内側であっても、トレイ35に対してカートリッジの着脱を行うことができる位置ならば良い。
【0077】
また、前述した各実施形態によれば、トレイ35は、装置本体に対してカートリッジの長手方向と直交する方向に、直線的に移動可能である。しかしながら、トレイ35は、装置本体に対してカートリッジの長手方向と平行な方向に、直線的に移動可能であっても良い。
【0078】
また、前述した各実施形態によれば、トレイ35は、ストッパ(図示せず)を解除することによって、装置本体から取り外すことができるようにしても良い。
【0079】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0080】
また前述した実施形態では、複数のカートリッジとして、色の異なる4つのカートリッジを例示しているが、この使用個数や色はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【符号の説明】
【0081】
P,PY,PM,PC,PK …カートリッジ
S …記録媒体
35 …カートリッジトレイ
49,62 …発光ダイオード
50 …導通部
52 …導通バネ
53 …接点コイルバネ
60 …接点板バネ
61 …太陽電池
63 …電力ヒューズ
64 …電力ヒューズ接点部
65 …接点バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収納している複数のカートリッジを装置本体に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置であって、
前記カートリッジを支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記装置本体の外側に位置する外側位置と、の間を移動するカートリッジ支持部材と、
前記カートリッジの現像剤の残量を検知する残量検知手段と、
を有し、
前記各カートリッジは、前記カートリッジ支持部材を前記外側位置に移動したときに確認できる位置に発光体を有し、
前記各カートリッジは、現像剤の残量が所定の量以下の場合に、前記外側位置にて、前記発光体と電源とを接続するための接点部を通して、前記電源から電流が印加されて前記発光体が発光することを特徴とするカラー電子写真画像形成装置。
【請求項2】
前記接点部は、前記カートリッジを前記カートリッジ支持部材で支持することで前記カートリッジと前記カートリッジ支持部材とを接続する第1接点部と、前記カートリッジ支持部材を前記外側位置に移動させることで前記カートリッジ支持部材と前記電源とを接続する第2接点部と、を有し、
前記カートリッジ支持部材を前記外側位置に移動させることで前記接点部により前記電源と前記カートリッジとが接続され、
前記現像剤の残量が所定の量以下のカートリッジは、前記接点部を通して前記電源から電流が印加されて前記発光体が発光することを特徴とする請求項1に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジは、前記電源としての、前記外側位置にて発電する電源と、前記接点部としての、前記発光体と前記電源とを接続又は遮断する切替部材と、を有し、
現像剤の残量が所定の量以下の場合に、現像剤の残量が所定の量以下のカートリッジの切替部材を接続状態に切り替えると共に、前記カートリッジ支持部材を前記外側位置に移動させることで前記電源が発電し、
前記現像剤の残量が所定の量以下のカートリッジは、前記切替部材を通して前記電源から電流が印加されて前記発光体が発光することを特徴とする請求項1に記載のカラー電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−217812(P2010−217812A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67349(P2009−67349)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】