説明

クッションパッドの成形型およびその成形型を用いたクッションパッドの製造方法

【課題】成形したクッションパッドを抜型するとき、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部内側で発泡樹脂と一体に成形した補強布材が破損することを防止し、そして、肉厚変動部の内側に設けた凹部の幅や高さを、成形状況に応じて容易に変更することができる、クッションパッドの成形型を提供する。
【解決手段】上辺縁部から背面側に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部が、上辺縁部側の厚肉部と、延設部先端側の薄肉部と、厚肉部と薄肉部との間の肉厚変動部とを有し、少なくとも肉厚変動部の内側で発泡樹脂とその発泡樹脂を覆う補強布材とが一体に成形されるクッションパッドを成形する成形型が、下型と、中子型と、上型とを有し、肉厚変動部の内側表面に凹部を形成するために、中子型の材料より軟質な材料からなる凹部形成用入子を前記中子型の表面に取り外し可能に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のシート等に使用される発泡樹脂製のクッションパッドを成形する成形型、およびその成形型を用いたクッションパッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に自動車に代表される乗り物等の座席シートは、背もたれ部分と着座部分のクッションパッドを備えている。そして、例えば、背もたれ部分のクッションパッドには、その上辺縁部から背面側に延在する延設部が形成されて、クッションパッド上部が断面コ字状とされている。この延設部を有するクッションパッドを成形する製造方法として、特許文献1には、シート用パッドの製造方法が開示されている。
【0003】
特許文献1には、クッションパッドのパッド本体の背もたれ面から、クッションパッドの延設部に相当する張出し部の連結部の外面にわたって成形する下型と、その張出し部のフランジ部の外面を形成する上型と、パッド本体の背面と張出し部のフランジ部の内面および先端面とを形成する中子型とからなる3ツ割タイプの成形型を用いた製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の3ツ割タイプの成形金型を用いる製造方法において、張出し部のフランジ部で、先端部分の厚みが他の部分の厚みよりも薄く設定されている場合には、厚みの段差部分で発泡樹脂原料液の液流れが悪くなり、成形不良が発生することがある。さらに、この厚みの段差部分が、上型と中型のパーティングライン(張り合わせ面)よりも上側(高い位置)に形成されている場合に、ガス抜けが悪く、結果として成形不良となることがある。
【0005】
そこで、特許文献1には、上記した成形不良を改善するために、発泡樹脂原料液の液流れが悪くなる厚みの段差部分において、中子型の当該部分にインサート材として発泡樹脂原料液迂回部材を固定して、クッションパッド成形時の発泡樹脂原料液の液流れを改善し、ボイドの発生を防止する製造方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2にも、3ツ割タイプの成形金型を用いて、予め成形しておいた補助発泡体をインサート材として中子型表面に両面テープで固定してクッションパッドを成形する同様の製造方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に開示される製造方法で製造されるクッションパッドは、インサート材である発泡樹脂原料液迂回部材または補助発泡体が、クッションパッドに埋設されたままでクッションパッドの一部として供されるため、製造されるクッションパッド毎にインサート材を使用することとなり、クッションパッドの製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0008】
製造されるクッションパッド毎にインサート材を使用する問題を解決する技術として、特許文献3には、3ツ割タイプの成形金型において、発泡樹脂原料液の液流れが悪くなる部分について、中子型に凸部を形成した成形金型を用いた、クッションパッドの製造方法が開示されている。
【0009】
この特許文献3で開示される成形金型を用いてクッションパッドを成形した場合、中子型に設けた凸部は、延設部の内側の入り組んだ部位にあるため、成形したクッションパッドの抜型方向に対してアンダカット形状となるが、成形されたクッションパッドが発泡樹脂製で弾性を有するために、中子型から成形したクッションパッドを抜型するときに、成形したクッションパッドが弾性変形することによって抜型が可能となる。しかしながら、クッションパッドの延設部の内側では、補強布材をクッションパッド本体と一体に成形するため、成形したクッションパッドを抜型する際、中子型に設けた凸部に補強布材がひっかかり、補強布材が破損するという問題があった。
【0010】
また、上記したように、中子型に設けた凸部は、発泡樹脂原料液の液流れを改善することを目的とするが、発泡樹脂原料液の液流れは、その流路の幅や高さに影響することから、流路の幅や高さを決める中子型に設けた凸部の幅や高さは、容易に変更可能なことが望まれる。しかしながら、中子型は金型であるため、中子型に設けた凸部は、金属製で硬質である。従って、中子型に設けた凸部を加工して、その幅や高さを変更するのは容易ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007-82909号公報
【特許文献2】特開2008-23084号公報
【特許文献3】特開2008-183129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたもので、発泡樹脂製のクッションパッドの上辺縁部から背面側に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部が、その先端に薄肉部を有し、延設部の肉厚が急激に減少するために、この薄肉部の手前部位にボイドが発生する成形不良を改善するべく、その延設部の上辺縁部側の厚肉部と、延設部の先端側の薄肉部との間に、内側に凹部を有する肉厚変動部を設けたクッションパッドを成形するに際し、成形したクッションパッドを抜型するとき、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部の内側で発泡樹脂と一体に成形した補強布材が破損することを防止し、そして、肉厚変動部の内側に設けた凹部の幅や高さを成形状況に応じて容易に変更することができる、クッションパッドの成形型およびその成形型を用いたクッションパッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記した問題を解決するため、内側に凹部を有する肉厚変動部を形成することができる、クッションパッドの成形型について鋭意検討した。その結果、成形するクッションパッドにおける肉厚変動部の内側に形成する凹部に相当する部位の中子型の表面に、中子型よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を取り外し可能に固定することで、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部の内側表面で発泡樹脂と一体に成形される補強布材を破損することなく、発泡樹脂製のクッションパッドが得られることを見出した。そして、補強布材が破損しないのは、凹部形成用入子が中子型よりも軟質な材料であるが故に、成形したクッションパッドを抜型する際、成形したクッションパッドと共に凹部形成用入子が弾性変形して抜型抵抗が低下することにより、クッションパッドの背面のうち少なくとも肉厚変動部の内側に一体に成形される補強布材が、凹部形成用入子にひっかかることがないためであることを併せて知見した。
【0014】
また、凹部形成用入子を、中子型の材料である金属よりも軟質な材料とすることで、凹部形成用入子の加工を容易にし、その結果、凹部形成用入子によって肉厚変動部の内側に形成する凹部の幅や高さを容易に変更することができることを併せて知見した。
【0015】
本発明は、上記した知見に基づきなされたもので、その要旨構成は、以下の通りである。
(1)発泡樹脂製のクッションパッドの上辺縁部から背面側に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部が、前記上辺縁部側の厚肉部と、前記延設部先端側の薄肉部とを有するとともに、前記厚肉部と前記薄肉部との間の肉厚変動部を有し、少なくとも前記肉厚変動部の内側で発泡樹脂とその発泡樹脂を覆う補強布材とが一体に成形される前記クッションパッドを成形する成形型が、
前記クッションパッドの正面側の形状を形成するための下型と、
前記クッションパッドの裏面側の形状および前記延設部の内側の形状を形成するための中子型と、
前記クッションパッドの前記延設部の外側を含む背面側の形状を形成するための上型と、
を有し、
前記肉厚変動部の内側表面に凹部を形成するために、前記中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を前記中子型の表面に取り外し可能に固定したことを特徴とする、クッションパッドの成形型。
【0016】
(2)前記延設部の、その延設部の延設方向に対して直交する方向の幅をLとしたとき、前記凹部形成用入子の幅が少なくとも0.8Lであり、かつ前記凹部形成用入子の幅方向に垂直な両端面それぞれと前記延設部の外表面との距離aが15mm以上であることを特徴とする、上記(1)記載のクッションパッドの成形型。
【0017】
(3)前記凹部形成用入子は、JASO-B408の硬さ試験法による25%硬度で147〜1960Nのウレタンチップであることを特徴とする、上記(1)または(2)記載のクッションパッドの成形型。
【0018】
(4)前記クッションパッドは、自動車のシート用バックパッドであることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のクッションパッドの成形型。
【0019】
(5)発泡樹脂製のクッションパッドの上辺縁部から背面側に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部が、前記上辺縁部側の厚肉部と、前記延設部先端側の薄肉部とを有するとともに、前記厚肉部と前記薄肉部との間の肉厚変動部を有し、少なくとも前記肉厚変動部の内側で発泡樹脂とその発泡樹脂を覆う補強布材とが一体に成形される前記クッションパッドの製造方法であって、
前記クッションパッドの正面側の形状を形成するための下型と、
前記クッションパッドの裏面側の形状および前記延設部の内側の形状を形成するための中子型と、
前記クッションパッドの前記延設部の外側を含む背面側の形状を形成するための上型と、
前記肉厚変動部の内側表面に凹部を形成するために、前記中子型の表面に取り外し可能に固定する、前記中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子と、
を備える前記クッションパッドの成形型に発泡樹脂原料液を注入するに際し、前記凹部形成用入子を固定した前記中子型の表面のうち、少なくとも、前記肉厚変動部に相当する表面に前記補強布材を配設した状態で、発泡樹脂原料液を注入し、該発泡樹脂原料液を発泡および硬化させることを特徴とする、クッションパッドの製造方法。
【0020】
(6) 前記延設部の、その延設部の延設方向に対して直交する方向の幅をLとしたとき、前記凹部形成用入子の幅が少なくとも0.8Lであり、かつ前記凹部形成用入子の幅方向に垂直な両端面それぞれと前記延設部の外表面との距離aが15mm以上であることを特徴とする、上記(5)記載のクッションパッドの製造方法。
【0021】
(7)前記凹部形成用入子は、JASO-B408の硬さ試験法による25%硬度で147〜1960Nのウレタンチップであることを特徴とする、上記(5)または(6)記載のクッションパッドの製造方法。
【0022】
(8)前記クッションパッドは、自動車のシート用バックパッドであることを特徴とする、上記(5)〜(7)のいずれかに記載のクッションパッドの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明のクッションパッドの成形型によれば、中子型の表面に、中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を取り外し可能に固定することで、成形したクッションパッドの抜型時に、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部の内側で発泡樹脂と一体に成形した補強布材を破損することなく、発泡樹脂製のクッションパッドを得ることができる。そして、凹部形成用入子を、中子型の材料である金属よりも軟質ゆえ加工が容易な材料とすることで、成形不良発生防止のために設ける、肉厚変動部の内側の凹部の形状を、成形不良が発生しない形状に容易に変更することができる。
【0024】
よって、本発明のクッションパッドの成形型によれば、クッションパッドの肉厚変動部の内側の凹部の、発泡樹脂原料液の液流れに大きな影響を与える、延設部の延設方向に対して直角方向の幅を容易に変更してクッションパッドを成形でき、その種々の凹部幅での成形結果に基づき、凹部形成用入子における、延設部の延設方向に対して直角方向の幅を、延設部の上辺縁部と先端部との間に成形不良のないクッションパッドを得ることができる、所定の範囲とすることができる。
【0025】
また、本発明のクッションパッドの成形型においては、凹部形成用入子の硬さを、凹部形成用入子の耐久性を向上させることができる、所定の範囲とすることができる。
【0026】
さらに、本発明のクッションパッドの成形型は、自動車のシート用バックパッドを成形する際に好適に用いることができる。
【0027】
また、本発明のクッションパッドの製造方法によれば、中子型の表面に、中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を取り外し可能に固定することで、成形したクッションパッドの抜型時に、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部の内側で発泡樹脂と一体に成形した補強布材を破損することなく、発泡樹脂製のクッションパッドを得ることができる。そして、凹部形成用入子を、中子型の材料である金属よりも軟質ゆえ加工が容易な材料とすることで、成形不良発生防止のために設ける、肉厚変動部の内側の凹部の形状を、成形不良が発生しない形状に容易に変更して、延設部の上辺縁部と先端部との間に成形不良がないクッションパッドを得ることができる。
【0028】
そして、本発明のクッションパッドの製造方法によれば、肉厚変動部の内側の凹部の、発泡樹脂原料液の液流れに大きな影響を与える、延設部の延設方向に対して直角方向の幅を容易に変更してクッションパッドを成形でき、その種々の凹部幅での成形結果に基づき、凹部形成用入子における、延設部の延設方向に対して直角方向の幅を、延設部の上辺縁と先端部との間に成形不良のないクッションパッドを得ることができる、所定の範囲とすることができる。
【0029】
また、本発明のクッションパッドの製造方法においては、凹部形成用入子の硬さを、凹部形成用入子の耐久性を向上させることができる所定の範囲とすることができ、その結果、クッションパッドの製造コストを低減することができる。
【0030】
さらに、本発明のクッションパッドの製造方法は、自動車のシート用バックパッドを成形する際に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の成形型で成形するクッションパッドの斜視図である。
【図2】図1中のI−I線に沿う断面図である。
【図3】本発明の一実施形態である上記クッションパッド成形型の縦断面の模式図である。
【図4】上記クッションパッド成形型の縦断面の模式図であって、凹部形成用入子を固定する部位の周辺を拡大して示す説明図である。
【図5】図4に示す留め具を示す斜視図である。
【図6】図4に示す凹部形成用入子を示す斜視図である。
【図7】上記クッションパッド成形型の、発泡成形中の肉厚変動部付近のキャビティ内の状況を示す説明図である。
【図8】凹部形成用入子をクッションパッド成形型の中子型に固定しないでクッションパッドを成形した場合に、気泡が段差部形成部に滞留した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態の成形型で成形するクッションパッドの斜視図である。図2は、図1中のI−I線に沿う縦断面図である。図1中、符号500は、上記クッションパッドを示す。なお、クッションパッド500は、自動車のシート用バックパッドである。符号505はクッションパッドの正面側、符号510はクッションパッドの背面側、符号515は上辺縁部を示す。符号520は、上辺縁部515からクッションパッドの背面側510に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部である。符号525は延設部外側、符号530は延設部内側、符号535は延設部先端である。延設部520は、上辺縁部515側の厚肉部540と、延設部先端535側の薄肉部545とを有するとともに、厚肉部540と薄肉部545との間の肉厚変動部550を有する。肉厚変動部550は延設部内側530に、凹部555を有する。また肉厚変動部550は延設部外側525に、段差部560を有する。そして、クッションパッド500は、背面側510および延設部内側530の裏面に、発泡樹脂565と一体に成形されてその発泡樹脂565を覆う補強布材570を有する。
【0033】
薄肉部545は、クッションパッドの背面側510の見栄えを良くするバックボードと呼ばれる樹脂板を取り付ける座面となる。延設部520において、凹部555を形成しない場合、薄肉部545の、延設部先端535の反対側すなわち段差部560で延設部520の肉厚が急激に減少する。この急激な肉厚の減少により、発泡樹脂原料液の液流れ不良が生じ、段差部560におけるボイド発生等の成形不良の原因となる。そこで、このような発泡樹脂原料液の液流れ不良を改善すべく、この実施形態では厚肉部540と薄肉部545との間の延設部内側530の表面に凹部555を形成して肉厚変動部550を構成し、発泡樹脂原料液の液流れ不良を改善して、段差部560におけるボイド等の成形不良を防止する。
【0034】
次に、上記した凹部555を形成した肉厚変動部550を有するクッションパッドを成形する成形型について説明する。図3は、本発明の一実施形態である上記クッションパッド成形型の縦断面の模式図である。図3中、符号5は上記クッションパッド成形型を示す。なお、図3には、発泡樹脂を発泡成形する際に成形型に配設する補強布材570を併せて図示した。
【0035】
クッションパッド成形型5は3ツ割型であり、上型10、中子型20、下型30、凹部形成用入子40を有する。図3中、仮想線は、上型10と共に中子型20が型開きされた状態を示す。下型30はクッションパッド500の正面側505の形状を形成する。中子型20はクッションパッド500の裏面側の形状および延設部内側530の形状を形成する。上型10はクッションパッド500の延設部外側525の形状を含む背面側510の形状を形成する。凹部形成用入子40は、クッションパッド500の肉厚変動部550の内側表面の凹部555を形成する。
【0036】
符号PLは、上型10と中子型20とのパーティングラインを示す。
【0037】
上型10には、段差部形成部11が設けられ、これにより、クッションパッド500の延設部外側525に、延設部先端535に向かってクッションパッドの断面厚みが減少する段差部560が形成され、延設部520の肉厚は、薄肉部545の肉厚へ減少していく。
【0038】
パーティングラインPLは、クッションパッド成形型5内部に発泡樹脂原料液が注入され、クッションパッド成形型5内部に発泡樹脂原料液が充満する際に必要となる、クッションパッド成形型5内部のガス抜けの通路として機能している。段差部形成部11がパーティングラインPLの手前(発泡樹脂原料液流動の方向の上流側)に、かつパーティングラインPLよりも高い位置に設けられている場合、段差部形成部11が壁となってガス抜けを阻害するために、発泡樹脂原料液の液流れが悪くなり結果的に、ボイド発生等の成形不良になる。そこで、この実施形態のクッションパッド成形型5では、段差部形成部11でのガス抜けおよび発泡樹脂原料液の液流れを良好にすべく、中子型20の表面上の、クッションパッド500の凹部555を形成する位置に、凹部形成用入子40を取り外し可能に固定する。この凹部形成用入子40を取り外し可能に固定する位置は、段差部形成部11に対向している。この凹部形成用入子40によって、ガス抜けや発泡樹脂原料液の液流れが改善され、ボイド発生等の成形不良を防止することができる。
【0039】
ここで、凹部形成用入子40の、中子型20の表面への固定方法について説明する。図4は、クッションパッド成形型5の縦断面の模式図であって、凹部形成用入子40を固定する部位の周辺を拡大して示す説明図である。中子型20は、凹部形成用入子40が固定される部位に、留め具50を有する。
【0040】
図5は、留め具50を示す斜視図である。留め具50は、基部52、逆勾配部54および頂部56を有する。かかる留め具50は、例えば中子型20に圧入しても良く、螺着して設けても良い。
【0041】
図6は、凹部形成用入子40を示す斜視図である。凹部形成用入子40は、嵌入穴44を有する。凹部形成用入子40は、その凹部形成用入子40が有する嵌入穴44に留め具50を嵌め込んで中子型20に固定する。留め具50は、逆勾配部54を有するが、凹部形成用入子40を嵌め込む際には、凹部形成用入子40が弾性変形して嵌入される。一方、成形されたクッションパッド500を抜型する際には、凹部形成用入子40は、留め具50が有する逆勾配54によって、留め具50から外れることなく中子型20への固定を維持する。
【0042】
また、成形したクッションパッド500の凹部555の表面は、補強布材570を一体に持つように成形されているが、この凹部555を形成する凹部形成用入子40に相当する凹部形成部が、特許文献3に記載される中子型のように金属製である場合には、凹部555について十分な抜け勾配を付与したとしても、成形されたクッションパッド500を抜型する際に補強布材570が、中子型が有するその金属製の凹部形成部(中子型としては凸形状)にひっかかり、補強布材570を破損する可能性がある。これは、クッションパッドの成形時に、成形型のキャビティ内に注入した発泡樹脂原料液が発泡、硬化する際、成形型の内面には40〜100kPaの圧力が付加され、発泡樹脂原料液の硬化後に、中子型が有する金属製の凹部形成部(中子型としては凸形状)は、硬化した発泡樹脂で締め付けられている状態となっており、補強布材570がひっかかりやすくなっているためである。
【0043】
これに対し、この実施形態における凹部形成用入子40は、中子型20の材料よりも軟質な材料からなるため、成形されたクッションパッド500を抜型する際、僅かではあるが、凹部形成用入子40の外周が弾性変形するため、硬化後の発泡樹脂の凹部形成用入子40への締め付けが解除されて抜型抵抗を低減することができ、凹部形成用入子40の外周に抜け勾配が付与されていないか、あるいは逆勾配形状が付与されていたとしても、補強布材570を破損することなく、成形されたクッションパッド500を抜型することができる。つまり、凹部形成用入子40の形状を図6に示すような棒状としてもクッションパッド500の抜型を容易に行うことができるが、凹部形成用入子40の各稜線にRを付与する、凹部形成用入子の長手方向に対して垂直な断面を三角形、台形または半円形にすることによって抜型抵抗をさらに低減できることはもちろんである。
【0044】
そして、中子型20に固定した凹部形成用入子40を交換する際には、成形されたクッションパッドを抜型するときに凹部形成用入子40に与える力よりも大きい力で凹部形成用入子40を引き抜くことで、中子型20に固定された凹部形成用入子40を取り外すことができる。凹部形成用入子40を取り外す際に要する力は、工具を用いる必要がない程度のものとすると好ましい。
【0045】
なお、補強布材570は、主に、クッションパッド500の補強や保護、シートフレームとの間のこすれ音発生の抑制のために用いられ、その材料としては、例えば、フェルト、不織布、布が例示され、熱成形の観点からはフェルトまたは不織布が好ましく、特にフェルトが好ましい。補強布材570の厚みまたは目付けは、クッションパッドの仕様によって適宜設定できる。また、補強布材570を発泡樹脂と一体に成形する範囲であるが、発泡成形時に、凹部形成用入子40と発泡樹脂とが接着することを防止するために、少なくとも肉厚変動部550の内側表面では、発泡樹脂と補強布材570とが一体に成形される必要がある。そして、補強布材570は、クッションパッドの裏面側の形状や、中子型20および凹部形成用入子40の表面形状に沿うように立体成形され得る柔軟な材料が好ましい。また、補強布材570は、クッションパッドの裏面側の形状や、中子型20および凹部形成用入子40の表面形状に沿うように、予め熱成形されていることが好ましい。
【0046】
本実施形態で用いられる補強布材570は、フェルトで構成され、クッションパッドの裏面側および延設部内側530(凹部555を含む)の形状に沿うように、予め熱成形されている。フェルトの熱成形方法は、特に制限されない。
【0047】
凹部形成用入子40の材質としては、JASO-B408の硬さ試験法による25%硬度(以下、「25%硬度」という)で147〜1960Nの範囲のウレタンチップであることが好ましい。これは、25%硬度が147N未満の場合には、発泡樹脂の発泡、硬化の際に発生する圧力で凹部形成用入子40が変形したり、抜型の際の成形されたウレタンパッドとの摩擦により摩耗するなど耐久性に問題があり、一方、25%硬度が1960Nを超えると、クッションパッド500の抜型時に凹形成用入子40の外周における弾性変形の量が極めて小さくなり補強布材570が凹部形成用入子40にひっかかり補強布材570を破損する可能性が高くなるという問題がある。また、ウレタンチップの他に、25%硬度が147〜1960Nの範囲のウレタンスラブフォームも使用することができる。なお、本実施形態では、凹部形成用入子400の材質は、25%硬度が490Nのウレタンチップである。
【0048】
次に、凹部形成用入子40の寸法について説明する。図1に示すように、凹部形成用入子40は、延設部520の延設方向に対して直交する方向(図3では紙面と直交する方向)が長手方向である。従って、凹部形成用入子40の長手方向の寸法が、凹部形成用入子40の幅である。凹部形成用入子40は、ウレタンパッド500の成形時における発泡樹脂原料液の液流れを改善するために中子型20に固定される部材であるが、発泡樹脂原料液の液流れ改善には、凹部形成用入子の幅が特に重要である。成形されるクッションパッド500の延設部520の、その延設部の延設方向に対して直交する方向の幅をLとしたとき、凹部形成用入子40の幅は、少なくとも0.8Lであり、かつ凹部形成用入子40の幅方向に垂直な両端面それぞれと成形されるクッションパッドの延設部520の外表面との距離aが15mm以上であることが好ましい。これは、凹部形成用入子40の幅が0.8L未満であると、クッションパッド500を成形する際の発泡樹脂原料液70の液流れに関して、後述する液流れ迂回機能を有する凹部形成用入子40が成形型内で占める範囲が狭くなり成形不良防止効果が低下し、一方、距離aが15mm未満であると、成形後のクッションパッド500において凹部555の両端それぞれと延設部520の外表部との間の発泡樹脂肉厚が薄くなるため延設部520における延設部内側530の延設部530長手方向の剛性が低下し好ましくない。また、凹部形成用入子40の長手方向と直交する中心軸は、クッションパッド500の延設部520の延設方向に対して直交する中心軸と同一にすることが好ましい。なお、本実施形態では、凹部形成用入子40の幅は、0.8Lである。
【0049】
また、凹部形成用入子40の固定間隔については、図6に符号44a、44b、44cで示す本実施形態の嵌入穴44のように、凹部形成用入子40の幅方向で、中央と両端の少なくとも3箇所で固定することが好ましいが、これに限られるものではない。
【0050】
次に上記のクッションパッド成形型5を用いてクッションパッド500を製造する方法について説明する。
【0051】
まず、凹部形成用入子40が有する嵌入穴44に留め具50を嵌め込んで、凹部形成用入子40を中子型20の表面に固定した後、補強布材570を、凹部形成用入子40を固定した中子型20の所定位置に配設する。これにより、凹部形成用入子40が固定されている部分は、図4に示すように、凹部形成用入子40が、中子型20と補強布材570との間に配設されることとなる。
【0052】
次に、図3の仮想線で示される、上型10と共に中子型20が型開きされている状態において、下型30内に、例えば、軟質ポリウレタンフォームの発泡樹脂原料液を所定量注入する。
【0053】
そして、上型10および中子型20を下型30の上に閉合して内部にキャビティを構成し、所定温度で所定時間を維持して加熱することにより、発泡成形を行なう。図7は、発泡成形中の肉厚変動部550付近のキャビティ内の状況を示す説明図である。
【0054】
下型30内の発泡樹脂原料液70は、上型10と中子型20との間に流れ込む。すなわち、下型30内の発泡樹脂原料液70は、上型10の成形面72と、中子型20における、補強布材570を介して厚肉部540から薄肉部545まで形成する成形面74および延設部先端535を形成する成形面76との間を流れるが、かかる発泡樹脂原料液70は、凹部形成用入子40に衝突する。この凹部形成用入子40は邪魔板としての機能を有するため、発泡樹脂原料液70は、図7に矢印Aで示すように上方に迂回することとなる。
【0055】
迂回した発泡樹脂原料液70は、凹部形成用入子40の上を上型10の成形面72に沿って流れるので、発泡樹脂原料液70に混在した空気は、段差部形成部11に気泡となって滞留することなく、発泡樹脂原料液70と共に中子型20の成形面76の先端まで達する。
【0056】
さらに、クッションパッド500の肉厚変動部550に相当する部分を通過した空気は、肉厚変動部550の下流に位置する、上型10と中子型20とのパーティングラインPLから図7に矢印Bで示すように抜かれる。このパーティングラインPLは、肉厚変動部550よりも下流側の薄肉部545の角部に位置するため、空気が上型10と中子型20との間に残存することなく排気され、上型10と中子型20との間に発泡樹脂原料液70をまんべんなく充填することができる。なお、図8に、凹部形成用入子40を中子型20に固定しないでクッションパッドを成形した場合に、気泡90がクッションパッドの段差部形成部11に滞留する状態を示す。
【0057】
このようにしてクッションパッド500を成形した後は、必要に応じて成形型の冷却を行なうとともに、上型10を上方に回動させて型開きし、成形したクッションパッド500を保持する中子型20を上型10から離間させ、その後、中子型20から成形したクッションパッドを抜型する。ここで、発泡成形の終了した発泡樹脂は、補強部材570と一体となって抜型され、クッションパッド500となるが、凹部形成用入子40は、中子型20の表面に固定されたままとなる。従って、続いてクッションパッド500を成形する際には、補強布材570のみを、凹部形成入子40が固定された中子型に配設すればよい。なお、クッションパッド500の肉厚変動部550の内側に設ける凹部555の形状を変更したいとき、または、凹部成形用入子40を摩耗等の理由により交換したときには、補強布材570の配設前に、中子型20に固定されている凹部形成用入子40を取り外し、別の凹部形成用入子40を中子型20に再度固定した後、補強布材570を、凹部形成用入子40を固定した中子型20の所定位置に配設することができることは、もちろんである。
【実施例】
【0058】
本発明を以下の実施例でさらに説明する。
【0059】
上記実施形態の図3で示したクッションパッド成形型5を用いてクッションパッド500のサンプルを成形した。なお、クッションパッド500の延設部520の、その延設部520の延設方向に対して直交する方向の幅L(図1参照)を180mmとした。
【0060】
(サンプルNo.1〜9)
凹部形成用入子40をウレタンチップを用いて作製し、クッションパッド成形型5に組み込み、実施例1〜実施例9としてサンプルNo.1〜No.9をそれぞれ1個成形した。なお、サンプルNo.1〜9における凹部形成用入子40の幅およびウレタンチップの25%硬度を表1に示すように変化させた。
【0061】
【表1】

【0062】
(サンプルNo.10)
実施例10として、凹部形成用入子40を25%硬度で490Nのウレタンフォームスラブを用いて作製したこと以外は、サンプルNo.2と同様の条件でサンプルNo.10を1個成形した。
【0063】
(サンプルNo.11)
比較例1として、凹部形成用入子40をダイス鋼を用いて作製したこと以外は、サンプルNo.2と同様の条件でサンプルNo.11を1個成形した。
【0064】
なお、クッションパッド剛性、ボイド発生状況、凹部形成用入子変形量および補強布材破損状況を以下の要領で評価した。
【0065】
(クッションパッド剛性)
サンプルNo.1〜11のそれぞれについて、延設部520を荷重8Nでクッションパッド背面側510に折り返したときの延設部520の状態で次の通り評価した。
◎:凹部555における延設部520の折り返し角度が90°以上115°未満
○:凹部555における延設部520の折り返し角度が115°以上135°未満
×:凹部555における延設部520の折り返し角度が135°以上180°未満
【0066】
(ボイド発生状況)
サンプルNo.1〜11のそれぞれについて段差部560におけるボイドの発生状況を調査し、ボイドの発生の程度により次の通り評価した。
◎:ボイド発生なし
○:軽微なボイド発生(手直しすることにより良品)
×:重度のボイド発生(手直しによっても良品とならない)
【0067】
(凹部形成用入子変形発生状況)
成形されたクッションパッド500の凹部555が有する各面が正規の形状と比較して3mm以上変形している場合、凹部形成用入子40に変形が発生して交換が必要であると判断することとし、サンプルNo.1〜11のそれぞれについて、凹部555の、正規の形状に対する変形量を調査し、次の通り評価した。
◎:変形量1mm未満
○:変形量1mm以上3mm未満
×:変形量3mm以上
【0068】
(補強布材破損状況)
サンプルNo.1〜11のそれぞれについて凹部555における補強布材570の破損状況(抜型時の破れ等)を調査し、次の通り評価した。
◎:破損なし
○:軽微な破損(手直しすることにより良品)
×:重度の破損(手直しによっても良品とならない)
【0069】
評価結果を表1に併記した。同表から明らかなように、凹部形成用入子40をダイス鋼(金属)で作製した比較例1では、抜型時に補強布材570が手直しによっても良品とならないほど破損していたのに対して、ダイス鋼(金属)より軟質のウレタンチップまたはウレタンスラブフォームで凹部形成用入子40を作製した場合には、抜型時において補強布材570は破損していないか、または手直しすることにより良品となる軽微な破損のみであったことが分かる。特に、凹部形成用入子40の25%硬度を1960N以下としたとき、補強布材570の破損をなくすことができていることが分かる。
【0070】
また、凹部形成用入子40をウレタンチップのような軟質な材料としても、クッションパッド500の発泡成形あるいは抜型時に凹部形成用入子40が変形することはなく、実施例6〜実施例10が示すように凹部形成用入子40の25%硬度を147N以上とした場合、凹部形成用入子40の変形量は特に小さくなることが分かる。
【0071】
そして、凹部形成用入子40の幅がボイド発生状況およびクッションパッド500の延設部520の剛性に与える影響は大きく、実施例2および実施例3に示すように凹部形成用入子40の幅を少なくとも0.8Lとし、かつ凹部形成用入子40の幅方向に垂直な両端面それぞれと延設部520の外表面との距離aを15mm以上としたときに、ボイドの発生防止とクッションパッド500の延設部520の剛性確保とを特に良好に両立できていることが分かる。
【0072】
なお、上述したところは、本発明の実施形態の一例を示したに過ぎず、本発明は、特許請求の範囲の記載範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、本実施形態では、補強布材570を、クッションパッドの裏面側および延設部内側530のほぼ全面で発泡樹脂と一体に成形しているが、肉厚変動部延設部550の内側のみ、補強布材540と発泡樹脂とを一体で成形してもよい。
【0073】
また、肉厚変動部525において、延設部外側525がさらに外側に張出している形状であっても、同様に本発明の効果を得られる。
【0074】
そして、クッションパッドの原料としては、本実施形態で例示した軟質ポリウレタンフォームの他の、クッションパッドとしての機能を発揮する弾力性等を有する発泡樹脂を使用することもできる。
【0075】
さらに、発泡樹脂原料液の、キャビティへの注入は、上型10または下型30に注入口を設け、上型10および中子型20を下型30の上に閉口してから、注入口を通じて行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のクッションパッドの成形型によれば、中子型の表面に、中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を取り外し可能に固定することで、成形したクッションパッドの抜型時に、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部の内側で発泡樹脂と一体に成形した補強布材を破損することなく、発泡樹脂製のクッションパッドを得ることができる。そして、凹部形成用入子を、中子型の材料である金属よりも軟質ゆえ加工が容易な材料とすることで、成形不良発生防止のために設ける、肉厚変動部の内側の凹部の形状を、成形不良が発生しない形状に容易に変更することができる。
【0077】
また、本発明のクッションパッドの製造方法によれば、中子型の表面に、中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を取り外し可能に固定することで、成形したクッションパッドの抜型時に、クッションパッドの背面側部分のうち少なくとも肉厚変動部の内側で発泡樹脂と一体に成形した補強布材を破損することなく、発泡樹脂製のクッションパッドを得ることができる。そして、凹部形成用入子を、中子型の材料である金属よりも軟質ゆえ加工が容易な材料とすることで、成形不良発生防止のために設ける、肉厚変動部の内側の凹部の形状を、成形不良が発生しない形状に容易に変更して、延設部の上辺縁部と先端部との間に成形不良がないクッションパッドを得ることができる。
【符号の説明】
【0078】
5 クッションパッド成形型
10 上型
20 中子型
11 段差部形成部
30 下型
40 凹部形成用入子
44、44a、44b、44c 嵌入穴
50 留め具
52 基部
54 逆勾配部
56 頂部
70 発泡樹脂原料液
72 上型の成形面
74 中子型における補強布材を介しての厚肉部から薄肉部の成形面
76 延設部先端を形成する成形面
90 気泡
PL パーティングライン
500 クッションパッド
505 クッションパッドの正面側
510 クッションパッドの背面側
515 上辺縁部
520 延設部
525 延設部外側
530 延設部内側
535 延設部先端
540 厚肉部
545 薄肉部
550 肉厚変動部
555 凹部
560 段差部
565 発泡樹脂
570 補強布材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂製のクッションパッドの上辺縁部から背面側に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部が、前記上辺縁部側の厚肉部と、前記延設部先端側の薄肉部とを有するとともに、前記厚肉部と前記薄肉部との間の肉厚変動部を有し、少なくとも前記肉厚変動部の内側で発泡樹脂とその発泡樹脂を覆う補強布材とが一体に成形される前記クッションパッドを成形する成形型が、
前記クッションパッドの正面側の形状を形成するための下型と、
前記クッションパッドの裏面側の形状および前記延設部の内側の形状を形成するための中子型と、
前記クッションパッドの前記延設部の外側を含む背面側の形状を形成するための上型と、
を有し、
前記肉厚変動部の内側表面に凹部を形成するために、前記中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子を前記中子型の表面に取り外し可能に固定したことを特徴とする、クッションパッドの成形型。
【請求項2】
前記延設部の、その延設部の延設方向に対して直交する方向の幅をLとしたとき、前記凹部形成用入子の幅が少なくとも0.8Lであり、かつ前記凹部形成用入子の幅方向に垂直な両端面それぞれと前記延設部の外表面との距離aが15mm以上であることを特徴とする、請求項1記載のクッションパッドの成形型。
【請求項3】
前記凹部形成用入子は、JASO-B408の硬さ試験法による25%硬度で147〜1960Nのウレタンチップであることを特徴とする、請求項1または2記載のクッションパッドの成形型。
【請求項4】
前記クッションパッドは、自動車のシート用バックパッドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のクッションパッドの成形型。
【請求項5】
発泡樹脂製のクッションパッドの上辺縁部から背面側に延設されてクッションパッド上部を断面コ字状にする延設部が、前記上辺縁部側の厚肉部と、前記延設部先端側の薄肉部とを有するとともに、前記厚肉部と前記薄肉部との間の肉厚変動部を有し、少なくとも前記肉厚変動部の内側で発泡樹脂とその発泡樹脂を覆う補強布材とが一体に成形される前記クッションパッドの製造方法であって、
前記クッションパッドの正面側の形状を形成するための下型と、
前記クッションパッドの裏面側の形状および前記延設部の内側の形状を形成するための中子型と、
前記クッションパッドの前記延設部の外側を含む背面側の形状を形成するための上型と、
前記肉厚変動部の内側表面に凹部を形成するために、前記中子型の表面に取り外し可能に固定する、前記中子型の材料よりも軟質な材料からなる凹部形成用入子と、
を備える前記クッションパッドの成形型に発泡樹脂原料液を注入するに際し、前記凹部形成用入子を固定した前記中子型の表面のうち、少なくとも、前記肉厚変動部に相当する表面に前記補強布材を配設した状態で、発泡樹脂原料液を注入し、該発泡樹脂原料液を発泡および硬化させることを特徴とする、クッションパッドの製造方法。
【請求項6】
前記延設部の、その延設部の延設方向に対して直交する方向の幅をLとしたとき、前記凹部形成用入子の幅が少なくとも0.8Lであり、かつ前記凹部形成用入子の幅方向に垂直な両端面それぞれと前記延設部の外表面との距離aが15mm以上であることを特徴とする、請求項5記載のクッションパッドの製造方法。
【請求項7】
前記凹部形成用入子は、JASO-B408の硬さ試験法による25%硬度で147〜1960Nのウレタンチップであることを特徴とする、請求項5または6記載のクッションパッドの製造方法。
【請求項8】
前記クッションパッドは、自動車のシート用バックパッドであることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項記載のクッションパッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−201825(P2010−201825A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51090(P2009−51090)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】