説明

コネクタ

【課題】光モジュールを省スペースに実装したコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ100が、当該コネクタ100の接続方向に対して垂直な実装面を備える回路基板131の実装面に光素子132が実装された光モジュール130と、クラッド部142及び該クラッド部142内に形成されたコア部143を備えた光導波路部材140であって、回路基板131の実装面に対向して配置された第1端面144及び該第1端面144の反対側の第2端面145を備え、該第2端面145に対向して配置される別のコネクタ200によって支持された光ファイバ241と光素子132との間で光を伝搬するようにコア部143が形成された光導波路部材140と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
信号伝送技術、特に、光信号伝送技術において、光導波路部材は、光スイッチ、光カプラ等の機能を付加的に備え得る光伝搬素子として知られており、近年、高分子材料から作製されるいわゆるポリマー光導波路部材が開発されている。
【0003】
ところで、電気信号と光信号とを相互変換するための光電変換素子(以下、「光素子」と称す)を一表面(以下、「実装面」と称す)に実装した回路基板を備えた光電変換モジュール(以下、「光モジュール」と称す)と、回路基板の実装面に設置され、光素子の光電変換作用(すなわち発光作用又は受光作用)に関わる光を実装面に平行な方向へ導く光導波路部材とを備えたコネクタが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−241200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の光モジュールは、光導波路部材により、回路基板に実装した光素子に対し、実装面に垂直な方向へ作用する(すなわち発光又は受光する)光を、実装面に平行な方向へ伝搬させて、例えば外部の光ケーブルに装着した光コネクタとの間に着脱自在な光接続を形成している。従って、光コネクタに装着された光ケーブルの数が多ければ多いほど、光素子の数もそれに応じて多くなり、光モジュールの回路基板も大きくなる。
【0006】
例えば、光コネクタのレセプタクル側を、サーバ等で、マザーボードと称されるようなより大きい主回路基板上に光モジュールと伴に実装する場合には、実装される光モジュールの主回路基板上の占有面積はより小さい方が望ましい。
【0007】
さらに、光の伝搬に関わる部材の回路基板への実装の際、アライメント精度は光の伝搬効率にも多大な影響を与えるため、より高い精度が求められる。
【0008】
本発明は、一態様において、光モジュールを省スペースに実装したコネクタを提供する。
本発明は、別の態様において、光の伝搬に関わる部材を精度良く実装したコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、コネクタであって、当該コネクタの接続方向に対して垂直な実装面を備える回路基板の前記実装面に光素子が実装された光モジュールと、クラッド部及び該クラッド部内に形成されたコア部を備えた光導波路部材であって、前記回路基板の前記実装面に対向して配置された第1端面及び該第1端面の反対側の第2端面を備え、該第2端面に対向して配置される別のコネクタによって支持された光ファイバと前記光素子との間で光を伝搬するように前記コア部が形成された光導波路部材と、を具備することを特徴とするコネクタが提供される。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明では、コネクタの接続方向に対して光モジュールの回路基板の実装面を垂直に配置することによって、光素子の受光面又は発光面を接続方向に向けることができ、光モジュールの回路基板をコンパクトで省スペースにすることが可能となる。また、例えば、当該コネクタをさらに別の主回路基板上に実装し、該主回路基板の実装面に平行な方向の接続を行う場合、光モジュールはコネクタ内に実装されているため、主回路基板上に光モジュールを別途設ける必要がなく、主回路基板の実装面を有効に利用することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、電気信号コンタクトをさらに具備し、前記別のコネクタとの間で電気信号を伝搬可能であることを特徴とするコネクタが提供される。
【0012】
すなわち、請求項2に記載の発明では、当該コネクタが、電気信号コンタクトをさらに具備することによって、光接続と電気接続とを同時に実現することができる。従って、電気接続の部分は他のインターフェース規格を利用しつつ、光接続を組み込むことも可能となる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば請求項2に記載の発明において、前記電気信号コンタクトが、USB規格に準拠して形成されていることを特徴とするコネクタが提供される。
【0014】
すなわち、請求項3に記載の発明では、電気接続として、パーソナルコンピュータ分野において周知のインターフェース規格であるUSB規格2.0,3.0等に、さらに光接続を追加することが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明によれば請求項1から3のいずれか1つに記載の発明において、前記光モジュール及び前記光導波路部材が、いずれか一方に備わる係合凸部と他方に備わる係合凹部との係合によって、前記接続方向に直列する配置で互いに連結されていることを特徴とするコネクタが提供される。
【0016】
すなわち、請求項4に記載の発明では、光モジュール及び光導波路部材を係合凸部及び係合凹部によって係合させることによって、光ファイバと光素子とを正確に位置合わせし、位置合わせの誤差による光損失を低減することが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば請求項1から4のいずれか1つに記載の発明において、前記光導波路部材が、前記別のコネクタに備わり光ファイバを支持するファイバ支持部材と連結する連結部を有し、該係合によって当該コネクタと前記別のコネクタとの接続時に互いに連結されることを特徴とするコネクタが提供される。
【0018】
すなわち、請求項5に記載の発明では、光導波路部材が連結部を有し、別のコネクタのファイバ支持部材と係合することによって、光導波路部材とファイバ支持部材とを正確に位置合わせし、位置合わせの誤差による光損失を低減することが可能となる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば、コネクタであって、当該コネクタの接続方向に対して垂直な実装面を備える回路基板の前記実装面に光素子が実装された光モジュールと、該光モジュールに接続され、当該コネクタに接続される別のコネクタとの間で電気信号を伝搬する電気信号コンタクトと、を具備することを特徴とするコネクタが提供される。
【0020】
すなわち、請求項6に記載の発明では、コネクタの接続方向に対して光モジュールの回路基板の実装面を垂直に配置することによって、光素子の受光面又は発光面を接続方向に向けることができ、光モジュールの回路基板をコンパクトで省スペースにすることが可能となる。また、光モジュールと電気信号コンタクトとが接続されていることから、電気接続を利用した他のインターフェース規格を利用しつつ、ケーブル内の信号の伝搬はより高速な光ケーブルを利用することが可能となる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明によれば請求項6に記載の発明において、前記光モジュールの前記実装面上に実装され、光ファイバと前記光素子との間で光接続を形成する光接続部材をさらに具備することを特徴とするコネクタが提供される。
【0022】
すなわち、請求項7に記載の発明では、光接続部材を備えることによって、光ファイバと光素子との間でより確実な光接続を形成することが可能となる。
【0023】
また、請求項8に記載の発明によれば請求項6又は7に記載の発明において、前記光モジュールの前記実装面上にマーカーを配置し、前記実装面上への前記光接続部材の実装が、前記マーカーを画像認識することにより相対位置を決定することによって行われることを特徴とするコネクタが提供される。
【0024】
すなわち、請求項8に記載の発明では、マーカーを利用した画像認識技術を用いることによって、より精度良く部材の位置決めをすることが可能となる。
【0025】
また、請求項9に記載の発明によれば請求項6から8のいずれか1つに記載の発明において、前記電気信号コンタクトが、USB規格に準拠して形成されていることを特徴とするコネクタが提供される。
【0026】
すなわち、請求項9に記載の発明では、電気接続として、パーソナルコンピュータ分野において周知のインターフェース規格であるUSB規格2.0,3.0等のインターフェース規格を利用しつつ、ケーブル内の信号の伝搬はより高速な光ケーブルを利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
各請求項に記載の発明によれば、コネクタにおいて光モジュールを省スペースに実装することが可能となるという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一態様によるレセプタクルコネクタの、(a)正面図と、(b)線A−Aによる断面図と、(c)線B−Bによる断面図である。
【図2】図1に示されるレセプタクルコネクタの分解斜視図である。
【図3】図1に示されるレセプタクルコネクタに接続されるプラグコネクタの斜視図である。
【図4】図3に示されるプラグコネクタの分解斜視図である。
【図5】図1に示されるレセプタクルコネクタと図3に示されるプラグコネクタとが接続した状態の上面図である。
【図6】図5の線C−Cによる断面図である。
【図7】図5に示されるレセプタクルコネクタとプラグコネクタが分離した状態の線C−Cによる断面図である。
【図8】図1に示されるレセプタクルコネクタと図3に示されるプラグコネクタとが接続した状態の側面図である。
【図9】図8の線D−Dによる断面図である。
【図10】図9のR部分の拡大断面図である。
【図11】本発明の別の態様によるプラグコネクタの部分分解斜視図である。
【図12】図11に示されるプラグコネクタの別の角度から見た部分分解斜視図である。
【図13】光モジュールの正面図である。
【図14】ファイバ支持部材の斜視図である。
【図15】光モジュール上に光接続部材を実装した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0030】
図1は、本発明の一態様によるレセプタクルコネクタ100の、(a)正面図と、(b)線A−Aによる断面図と、(c)線B−Bによる断面図であり、図2は、図1に示されるレセプタクルコネクタ100の分解斜視図である。また、図3は、図1に示されるレセプタクルコネクタ100に接続されるプラグコネクタ200の斜視図であり、図4は、図3に示されるプラグコネクタ200の分解斜視図である。
【0031】
また、図5は、図1に示されるレセプタクルコネクタ100と図3に示されるプラグコネクタ200とが接続した状態の上面図であり、図6は、図5の線C−Cによる断面図であり、図7は、図5に示されるレセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200が分離した状態の線C−Cによる断面図であり、図8は、図1に示されるレセプタクルコネクタ100と図3に示されるプラグコネクタ200とが接続した状態の側面図であり、図9は、図8の線D−Dによる断面図であり、図10は、図9のR部分の拡大断面図である。
【0032】
本明細書の説明においては、図1を参照し、レセプタクルコネクタ100において電気接続を形成するコンタクトが突出する面を、下面と称し、その反対側の面を上面と称する。同様に、プラグコネクタ200について、図3及び図4の上方及び下方の面をそれぞれ、上面及び下面と称する。また、各コネクタにおいて、接続相手側を前とし、その反対側を後ろとする。
【0033】
本態様によるレセプタクルコネクタ100及びプラグコネクタ200は、電気接続と光接続とを同時に実現することができるものであり、電気接続に関しては、USB(Universal Serial Bus)規格、特にUSB3.0に準拠している。
【0034】
図1及び図2を参照すると、レセプタクル100は、シェル部材110と、絶縁部材120と、光モジュール130と、光導波路部材140とを有している。光モジュール130と光導波路部材140とが組み合わされて絶縁部材120内に受容され、さらにそれらがシェル部材110内に受容されることでレセプタクル100が形成される。
【0035】
シェル部材110は、シールドケース111を有し、シールドケース111の上面及び下面には、レセプタクルコネクタ100と接続されるプラグコネクタ200との接続を助力する保持片112が設けられている。また、シールドケース111の下面には、レセプタクルコネクタ100が実装される回路基板等への取り付けるための下面から突出する固定片113が設けられている。さらに、シールドケース111の側面には、絶縁部材120の嵌合凸部124を受容する嵌合凹部114が設けられている。
【0036】
絶縁部材120は、本体部121を有し、本体部121は、前方に突出する突出部121aを有している。また、本体部121は、その上面から下面に向かって配置され、レセプタクルコネクタ100の外部部材と電気接続を形成する5つのコンタクトからなるレセプタクル側第1コンタクト群122と、突出部121aの下面から本体部121内を通って配置され、レセプタクルコネクタ100の外部部材と電気接続を形成する4つのコンタクトからなるレセプタクル側第2コンタクト群123とを有している。本体部121の側面には、シェル110の嵌合凹部114に受容される嵌合凸部124が設けられている。
【0037】
光モジュール130は、回路基板131と、回路基板131の実装面に実装された光素子部材132と、レセプタクルコネクタ100の外部部材と電気接続を形成し、回路基板131の一側から外方へ実装面に平行な方向へ延びる複数のコンタクトからなる第3コンタクト群133とを有している。光素子部材132は、発光作用を奏する発光素子と受光作用を奏する受光素子とを有している。また、回路基板131の4つの角部には、光導波路部材140の係合凸部149と係合する切り欠き状の係合凹部134が設けられている。
【0038】
光導波路部材140は、基台部141と、クラッド部142と、クラッド部142内に形成されたコア部143とを有している。基台部141は、クラッド部142及びコア部143を含む導波構造領域を実質的に包囲して固定的に支持している。コア部143は、2本の光ファイバ241と光モジュール130の光素子部材132との間で光を伝搬する光導波路として機能する。クラッド部142及びコア部143を含む導波構造領域と基台部141とは、金型成形工程により一体成形されることが好ましいが、別部品として成形されて後工程で互いに連結される構成としてもよい。
【0039】
光導波路部材140のクラッド部142は、光モジュール130の回路基板131の実装面に対向して配置された第1端面144と、その反対側に位置し、プラグコネクタ200の光ファイバ241に対向して配置された第2端面145とを有している。第1端面144には、コア部143と光モジュール130の光素子部材132との間の位置合わせの誤差による光損失を低減させるために第1レンズ部146が設けられていることが好ましい。また、第2端面145には、光ファイバ241とコア部143との位置合わせの誤差による光損失を低減させるために第2レンズ部147が設けられていることが好ましい。第1レンズ部146及び第2レンズ部147は、光導波路部材140と一体成形されてもよく、別体で設けてもよい。
【0040】
また、光導波路部材140の前面には、プラグコネクタ200の光ファイバ241を支持するファイバ支持部材240と連結するための一対の連結突起148が設けられている。さらに、光導波路部材140の後面には、回路基板131の係合凹部134と係合する係合凸部149が設けられている。回路基板131の係合凹部134と光導波路部材140の係合凸部149とが係合することによって、光モジュール130と光導波路部材140とをコンパクトに組み合わせ可能となり、また、光ファイバ421と光素子部材132とを正確に位置合わせし、位置合わせの誤差による光損失を低減することが可能となる。
【0041】
図3及び図4を参照すると、プラグコネクタ200は、弾性の絶縁材料からなるカバー部材210と、シェル部材220と、絶縁部材230と、ファイバ支持部材240とを有している。ファイバ支持部材240が連結された絶縁部材230がシェル部材220内に受容され、さらにそれらがカバー部材210によって覆われることでプラグコネクタ200が形成される。
【0042】
シェル部材220は、シールドケース221を有し、シールドケース221の上面及び下面には、レセプタクルコネクタ100の保持片112を受容して接続を助力する保持凹部222が設けられている。
【0043】
絶縁部材230は、本体部231を有し、本体部231は、前方に突出する突出部231aを有している。また、本体部231は、突出部231aの上面前方部分に、レセプタクルコネクタ100との接続状態において、レセプタクル側第1コンタクト群122と電気接続されるプラグ側第1コンタクト群232と、さらにその上面前方部分に、レセプタクル側第2コンタクト群123と電気接続されるプラグ側第2コンタクト群233とを有している。突出部231aの前端面231bには、ファイバ支持部材240に当接しながら前方へ付勢する一対のスプリング部材234が設けられている。前端面231bの両側には、ファイバ支持部材240を係止するための一対の係合爪235が設けられている。
【0044】
ファイバ支持部材240は、一対の光ファイバ241を支持するファイバ支持本体部242を有している。光ファイバ241は、絶縁部材230の突出部231aの下方を通って図示しない後方の接続ケーブルへと延びている。ファイバ支持本体部242は、両側面に係合突起243を有し、絶縁部材230の係合爪235と係合し、スプリング部材234によって前方に付勢されながら係合爪235間に係止される。また、ファイバ支持本体部242の前端面244には、レセプタクルコネクタ100の光導波路部材140の連結突起148を受容する一対の連結凹部245が設けられており、光導波路部材140とファイバ支持部材242とを正確に位置合わせし、位置合わせの誤差による光損失を低減することが可能となる。さらに、光ファイバ241の線端には、光導波路部材140の第2レンズ部147と対向して配置された第3レンズ部246が設けられていることが好ましい。第3レンズ部246は、ファイバ支持部材240一体成形されてもよく、別体で設けてもよい。
【0045】
図6及び図7には、レセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とを接続することによって、レセプタクル側第1コンタクト群122とプラグ側第1コンタクト群232との間の電気接続及びレセプタクル側第2コンタクト群123とプラグ側第2コンタクト群233との間の電気接続、並びに、光導波路部材140の第2レンズ部147とファイバ支持部材240の第3レンズ部246とが対向して配置されることによって形成される光接続の様子が明示されている。
【0046】
図10を参照しながら、光導波路部材140を介した光接続についてさらに説明する。上述のように、本発明の態様によれば、光モジュール130は、レセプタクルコネクタ100内に収容されることから、小さければ小さいほど好ましく、従って、光モジュール130の回路基板131に実装される光素子部材132は、小さければ小さいほど好ましい。しかしながら、微小な光素子部材132に合わせて光を伝搬する光ファイバ241の間隔(ピッチ)を小さくすると、クロストークの影響が大きくなる。そこで、光導波路部材140を用いることによって、光ファイバ241の間隔を所定に維持しつつ、光の伝搬経路を微小な光素子部材132へと導くことが可能となる。
【0047】
すなわち、上述のように、光導波路部材140のコア部143と、光モジュール130の光素子部材132とが、第1レンズ部146を介して光接続されている。第1レンズ部146のレンズ面は、光源、すなわち光ファイバ241から発せられコア部143を伝搬した光の拡がりを抑制して光素子部材132の受光面へと集光するように形成されている。従って、逆に、第1レンズ部146のレンズ面によって、光素子部材132の発光面から発せられた光の拡がりを抑制してコア部143へと集光する。
【0048】
一方、上述のように、光導波路部材140のコア部143と、プラグコネクタ200のファイバ支持部材240の光ファイバ241とが、それぞれ第2レンズ部147と第3レンズ部246とを介して光接続されている。第2レンズ部147と第3レンズ部246のレンズ面は、光源、すなわち光ファイバ241又は光素子部材132の発光素子から発せられコア部143を伝搬した光を平行光線にするよう形成されている。従って、逆に、光ファイバ241又はコア部143へ向かう平行光線は、第2レンズ部147又は第3レンズ部246のレンズ面によって光ファイバ241又はコア部143に集光する。
【0049】
第2レンズ部147と第3レンズ部246とを対向して配置し、これらレンズ間を伝搬する光を平行にして光接続を形成することによって、位置合わせや部品形成時の誤差、例えば、光導波路部材140とファイバ支持部材240との間の連結、ファイバ支持部材240に対する光ファイバ241の取り付け、クラッド部142内に形成されたコア部143等に起因する光損失を低減させることが可能となる。すなわち、例えば、50μmの直径のコア部を有する光ファイバ241と、同様の径のコア部143を有する光導波路部材140とを光接続しようとした場合に、5μmの位置合わせ誤差は、すなわち10%の誤差となる。一方、レンズ面の作用によって500μmの径の平行光線になった場合、5μmの位置合わせ誤差は、1%の誤差に過ぎない。従って、対向したレンズを用いることにより、位置合わせ等の誤差の影響を低減させることができ、その結果、光損失も低減させることができる。
【0050】
上述した本発明の態様では、図2に示されるように、コネクタの接続方向に対して光モジュール130の回路基板131の実装面を垂直に配置することによって、光素子部材132の受光面又は発光面を接続方向に向けることができ、光モジュール130の回路基板131をコンパクトにすることが可能となる。例えば、レセプタクルコネクタ100をさらに別の主回路基板上に実装し、該主回路基板の実装面に平行な方向の接続を行う場合、光モジュール130はコネクタ内に実装されているため、主回路基板上に光モジュールを別途設ける必要がなく、主回路基板の実装面を有効に利用することが可能となる。
【0051】
また、光接続と電気接続とを同時に実現することができるため、電気接続の部分は上述のUSB3.0以外の他のインターフェース規格を利用しつつ、光接続を組み込むことも可能となる。また、電気接続のない、光接続専用のコネクタとすることも可能である。
【0052】
また、上述した本発明の態様では、光導波路部材140は、コア部によって形成された光伝搬経路を2本有していたが、光ファイバの数に応じて1本や3本以上であってもよい。
【0053】
上述した本発明の態様によれば、光接続と電気接続とを同時に実現することができる。従って、電気接続の部分はUSB3.0規格以外の他のインターフェース規格を利用しつつ、光接続を組み込むことも可能となる。
【0054】
次に、本発明の別の態様によるプラグコネクタ300について説明する。プラグコネクタ300全体の外観は、上述した本発明の態様の説明で参照した図3のプラグコネクタ200と同様である。
【0055】
図11は、本発明の別の態様によるプラグコネクタ300の部分分解斜視図であり、図12は、図11に示されるプラグコネクタ300の別の角度から見た部分分解斜視図であり、図13は、光モジュール330の正面図であり、図14は、ファイバ支持部材340の斜視図であり、図15は、光モジュール330上に光接続部材360を実装した状態を示す斜視図である。
【0056】
本態様によるプラグコネクタ300は、上述した本発明の態様とは異なり、電気接続のみを実現するものであり、電気接続に関しては、USB(Universal Serial Bus)規格、特にUSB3.0に準拠している。
【0057】
プラグコネクタ300は、シェル部材310と、絶縁部材320と、光モジュール330と、ファイバ支持部材340とを有している。シェル部材310は、上述したプラグコネクタ200のシェル部材220と同様である。
【0058】
絶縁部材320は、基本的には、上述したプラグコネクタ200の絶縁部材230と同様に突出部やコンタクト群を有しているが、プラグコネクタ200の本体部231の後方部分に相当する箇所に光モジュール330を実装するスペースが設けられている。すなわち、絶縁部材320は、その前方でプラグコネクタ200が接続されるレセプタクルコネクタとの電気接続を形成すると共に、後方で光モジュール330と電気接続を形成するコンタクト群321を有している。
【0059】
図13を参照すると、光モジュール330は、回路基板331を有し、回路基板331は、その実装面に実装された光素子部材、すなわち発光素子332及び受光素子333と、一対のマーカー334とを有している。回路基板331に対して絶縁部材320のコンタクト群321が電気接続されている。従って、光ファイバ350によって伝搬された光信号は、光モジュール330の受光素子333を介して電気信号に変換され、変換された電気信号は、対応するコンタクト群321を介して接続されたレセプタクルコネクタへと伝搬する。一方、接続されたレセプタクルコネクタからコンタクト群321を介して伝搬された電気信号は、光モジュール330の発光素子332を介して光信号に変換され、変換された光信号は、対応する光ファイバ350へと伝搬する。
【0060】
光モジュール330の実装面には、光ファイバ350との光接続を形成するため、光接続部材360が実装される(図14)。光接続部材360は、本体部361を有し、本体部361は、発光素子332及び受光素子333を囲むように配置される回路基板331の実装面に対して垂直な側壁361aと開口を封鎖する頂壁361bとを有する直方形状である。頂壁361bの発光素子332及び受光素子333に対応する位置には、光接続部材360と一体成形されるか、又は別体の一対のレンズ部362が設けられている。また、頂壁361bには、一対の接続ピン363が突出し、ファイバ支持部材340の対応する接続凹部に接続される。光接続部材360は、本体部361、レンズ部362、及び接続ピン363が一体成形されてもよく、別体で設けられてもよい。なお、光接続部材360は、本体部361の側壁361aと実装面との接着剤364による接着によって固定される。
【0061】
図15を参照すると、ファイバ支持部材340は、本態様の場合には一対の光ファイバ(図示せず)を支持する。また、ファイバ支持部材340は、光接続部材360の本体部361の外側に嵌合する直方形状とされており、光接続部材360の接続ピン363を嵌合する図示しない接続凹部が内部に設けられている。
【0062】
回路基板331の実装面に対して、発光素子332及び受光素子333、光接続部材360等、その他部品を実装する際には、マーカー334を画像認識することにより相対的な実装位置を決定し実装を行う。それによって、より精度良く部材の位置決めをすることが可能となる。
【0063】
図11及び図12に示されるように、コネクタの接続方向に対して光モジュール330の回路基板331の実装面を垂直に配置することによって、光素子部材の受光面又は発光面を接続方向に向けることができ、光モジュール330の回路基板331をコンパクトにすることが可能となる。また、光モジュール330とコンタクト群321とが電気接続されていることから、電気接続を利用した他のインターフェース規格を利用しつつ、ケーブル内の信号の伝搬はより高速な光ケーブルを利用することが可能となる。
【0064】
上述した本発明の態様のコネクタでは、一対の光ファイバを有していたが、用途に応じて1本や3本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
100 レセプタクルコネクタ
130 光モジュール
131 回路基板
132 光素子
140 光導波路部材
142 クラッド部
143 コア部
144 第1端面
145 第2端面
241 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタであって、
当該コネクタの接続方向に対して垂直な実装面を備える回路基板の前記実装面に光素子が実装された光モジュールと、
クラッド部及び該クラッド部内に形成されたコア部を備えた光導波路部材であって、前記回路基板の前記実装面に対向して配置された第1端面及び該第1端面の反対側の第2端面を備え、該第2端面に対向して配置される別のコネクタによって支持された光ファイバと前記光素子との間で光を伝搬するように前記コア部が形成された光導波路部材と、
を具備することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
電気信号コンタクトをさらに具備し、前記別のコネクタとの間で電気信号を伝搬可能であることを特徴とする請求項1に記載コネクタ。
【請求項3】
前記電気信号コンタクトが、USB規格に準拠して形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記光モジュール及び前記光導波路部材が、いずれか一方に備わる係合凸部と他方に備わる係合凹部との係合によって、前記接続方向に直列する配置で互いに連結されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記光導波路部材が、前記別のコネクタに備わり光ファイバを支持するファイバ支持部材と連結する連結部を有し、該係合によって当該コネクタと前記別のコネクタとの接続時に互いに連結されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のコネクタ。
【請求項6】
コネクタであって、
当該コネクタの接続方向に対して垂直な実装面を備える回路基板の前記実装面に光素子が実装された光モジュールと、
該光モジュールに接続され、当該コネクタに接続される別のコネクタとの間で電気信号を伝搬する電気信号コンタクトと、
を具備することを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
前記光モジュールの前記実装面上に実装され、光ファイバと前記光素子との間で光接続を形成する光接続部材をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記光モジュールの前記実装面上にマーカーを配置し、前記実装面上への前記光接続部材の実装が、前記マーカーを画像認識することにより相対位置を決定することによって行われることを特徴とする請求項6又は7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記電気信号コンタクトが、USB規格に準拠して形成されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか1つに記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−220541(P2012−220541A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83027(P2011−83027)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】