説明

シャフトを振動させながら誘導するための装置

シャフト(20)をシャフト軸上に位置する回転中心(22)を中心にして振動させながら誘導するための装置であって、重ね合せられかつ固定支持体(26)に取り付けられた2つのボールベアリング(46,50,52)に内側にシャフト上に取り付けられた球状のボールベアリング(30,40,46)を含む装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトをシャフト軸上に位置する点を中心にして振動させながら誘導するための装置であって、特に生物学的試料を含有する管の高速振動に適用されて、試料とともに管に含まれる小さなガラス又はセラミックビーズによってそのような試料を粉砕するための装置に関する。
【0002】
特に本出願人の特許文献WO2004/012851には、シャフトの一端に取り付けられた管保持プレートを含み、そのシャフトが、固定支持体上で振動しながら誘導され、電気モータの出力シャフトによって支持される偏心ベアリングに取り付けられたその他端を介して駆動されるものである装置が開示されている。
【0003】
この従来技術文献に記載されている誘導装置は、2個の偏心ベアリングのセットを含み、その一方がボールソケットベアリングであり、他方がボールベアリングであり、ボールソケットベアリングがボールベアリングの内側でシャフトに取り付けられ、ボールベアリングがボールソケットベアリングと固定支持体との間に取り付けられている。
【0004】
この公知の誘導装置は非常に効果的である。電気モータ出力シャフトの回転速度は通常速度で約6500〜8000rpmであることができ(その場合、管中の試料は約600〜800gの加速度に付される)、その耐用寿命は2分ごとに45秒間の運転サイクルで数千時間を超える。
【0005】
この公知の装置では、ボールソケットベアリングは、プレートを支持するシャフトにスリーブ嵌合された内側円柱形レース及びこのレースと外側レースとの間に配設されたボールの2個のリングを含み、内部球面がボールと接触し、ボールは内側レースの外面の二つの半円柱形溝の中で誘導され、保持される。
【0006】
この公知の装置の欠点は、シャフト及びプレートの移動の限られた可能角度範囲であり、これは、市販されているボールソケットベアリングでは、中間位置の各側で約4°に等しく、プレートによって担持されるチューブの動程を制限する。この動程を増し、ひいては管に含まれた試料が付される加速度を増すためには、管とシャフト軸との間の距離を増すことが必要であるが、それは、プレートの有効直径、ひいてはその重量及びそれを振動させながら駆動するため、特に必要なエネルギーを増すことになる。
【0007】
本発明の目的は、中間位置の各側でのシャフトの移動の許容角度範囲を増す、又はプレートの直径を減らすためにこの公知の誘導装置を改良することである。
【0008】
この理由のため、本発明は、シャフトをシャフト軸上に位置する回転中心を中心にして振動させながら誘導するための、シャフトと固定支持体との間で一方が他方の内側に取り付けられたボールソケットベアリング及びボールベアリングを含む装置であって、ボールソケットベアリングが、ベアリングの内側レースを形成する球体の一部分に外側凸面を有するボールソケットジョイント及びボールソケットジョイントとベアリングの2個の重ね合わせた外側レースとの間に配設され、レースの半円柱形環状スロット又は溝の中を誘導されるボールの2個のリングを含むことを特徴とする装置を発案する。
【0009】
ボールの2個の重ね合わせたリングの間のボールソケットジョイントのこの配設は、シャフトが回転中心を中心にして振動しながら駆動されるときシャフトによって支持されたプレートへの回転トルクの印加を防ぎながら、中間位置の各側でのボールソケットジョイントの移動の許容角度範囲を増すことを可能にする。
【0010】
ボールソケットベアリングのボールの各リングのボールは、ボールソケットジョイントとボールソケットベアリングの外側円柱形レースとの間に取り付けられた円柱形ケージの円形オリフィスに収容されている。
【0011】
本発明の好ましい実施態様では、ボールソケットジョイントはシャフトに固着され、2個の重ね合わせたボールベアリングは固定支持体とボールソケットベアリングの重ね合わせた外側レースとの間に取り付けられている。
【0012】
この場合、有利には、ボールソケットベアリングの外側レースは、ボールソケットベアリングを包囲するボールベアリングの内側レースによって形成される。
【0013】
本発明のもう一つの特徴によると、ボールソケットベアリングの2個の重ね合わせた外側レースと2個の重ね合わせたボールベアリングとは、実質的に軸方向に隣接し、弾性変形性材料、たとえばゴム又は類似の材料でできたシムによって分けられている。
【0014】
本発明の装置は、有利には、2個の減摩ベアリングの間の軸方向距離を調節するための手段を含み、これらの調節手段は、たとえば、固定支持体に螺着され、一方の減摩ベアリングが固定支持体を押す間に他方の減摩ベアリングを押すナットを含む。
【0015】
この構造は、ボールソケットジョイントの運転すきまを正確に調節することを可能にする。
【0016】
この調節が実施されると、固定支持体に螺着されたナットは、適切な手段により、回転を阻止される。
【0017】
本発明のもう一つの態様では、上記の構造が逆にされ、ボールソケットベアリングが、シャフトによって支持されたボールベアリングの周囲にあり、固定支持体とボールベアリングとの間にある。
【0018】
この場合、ボールソケットベアリングのボールソケットジョイントはボールベアリングの外側レースに回転可能に固着され、ベールベアリングの内側レースはシャフトに回転可能に固着される。ボールソケットベアリングの2個の外側レースは固定支持体に固着される。
【0019】
これら2個の外側レースはゴム又は類似のシムによって軸方向に分けられ、ボールソケットジョイントの運転すきまを決定するそれらの距離は、第一の実施態様と同じ手段によって調節され、そのような手段は、固定支持体に螺着され、2個の外側レースの一方を押す環状部品を含み、他方の外側レースが固定支持体を押す。
【0020】
この変形態様では、ボールソケットジョイントの寸法は、第一の実施態様におけるよりも大きいが、作動原理は同じままである。
【0021】
本発明は、特に、ただし非排他的に、生物学的試料を含有する管を高速振動させるための装置であって、前記シャフトの一端に取り付けられた管保持プレートを含み、シャフトの他端が駆動手段に接続され、モータの出力シャフトによって支持される偏心ベアリングに取り付けられている装置に適用される。
【0022】
好ましくは、この偏心ベアリングは、固定支持体によって支持された減摩ベアリングケースに取り付けられたディスクによって支持され、このディスクは、弾性結合を介してモータの出力シャフトに接続されている。
【0023】
たとえば集中を要する作業をする人たちがいる実験室で使用する場合、不快感や疲労を感じさせないようこの装置を静音性にするために、騒音及び振動を減衰するための手段が固定支持体と前記シャフトを誘導し、駆動するための手段との間に取り付けられる。
【0024】
本発明の好ましい実施態様では、騒音及び振動を減衰するためのこれらの手段は、55〜85の範囲、好ましくは約70のショアーA硬さを有するエラストマーリングを含む。
【0025】
固定支持体と、シャフトを誘導し、駆動するための手段との間のこれらのエラストマーリングの取り付けが運転中の騒音及び振動レベルを約5〜10dBまで軽減することを可能にし、その結果、装置は今や運転中でも非常に静かであり、そのすぐ近くで作業する人たちの集中を損なわせるであろう不快感又は疲労をもはや生じさせないということが注目されている。
【0026】
この好ましい実施態様では、シャフトの一端とその駆動手段とを接続する偏心器が、プレートによって支持される減摩ベアリングの中で回転可能に誘導され、プレートそのものは前記エラストマーリングによって固定支持体の円柱形ハウジング中に取り付けられている。
【0027】
ボールソケットベアリング及びボールベアリングを含むプレートのシャフトを誘導するための手段は、金属ソケットの内側に取り付けられ、この金属ソケットそのものは前記エラストマーリングによって固定部品の穴に取り付けられている。
【0028】
もう一つのエラストマーリングは、この固定部品と装置の固定支持体との間に取り付けられている。
【0029】
本発明のさらに別の特徴によると、前記騒音及び振動減衰手段は、装置の上部を弾性的に懸垂するための手段を含み、シャフトを装置の下部でセンタリングし、誘導するための手段を少なくとも含み、固定支持体及びシャフトを駆動するための手段をさらに含む。
【0030】
これらの弾性懸垂手段は、有利には、エラストマーストッパもしくはブロック又はケーブルを備えたタイプであり、シャフトを駆動するためのモータの始動時及び停止時の低周波及び中間周波振動をろ波することを可能にし、一方で前記エラストマーリングは、連続運転中の高めの周波数を効果的にろ波する。
【0031】
一般に、これらのエラストマーリング及びこれらの懸垂手段は、プレートのシャフトのセンタリング及び誘導の精度を損なわせることなく、また、センタリング及び誘導手段の耐用寿命を減らすことなく、装置によって運転中に発生する騒音のレベルを相当に減らすことを可能にする。
【0032】
また、「サイレントブロック」タイプの減衰手段が、装置と支持体に載るその足場との間に設けられて、モータの始動時及び停止時に発生するおそれのある超低周波振動を減衰する。
【0033】
図面を参照しながら一例として記す以下の説明を読むと、本発明がより良く理解され、本発明の他の特徴、詳細及び利点がより明確に見えるであろう。
【0034】
図1に示す装置は、本質的に、生物学的試料を収容してそれを小さなガラス又はセラミックビーズによって粉砕することができるように設計された管12をその周縁で支持するプレート10を含み、このプレート10は、管12を保持するためにカバー14を装着され、このカバー14は、前記特許文献WO2004/012851で詳細に説明されているように、プレート10の中央部とカバー14の中央部との間に画定されたチャンバ16中の真空によってプレート10に押し付けられる。
【0035】
プレート10は、ねじ18により、シャフト20の上端に取り付けられ、シャフトの下端(図示せず)は、特許文献WO2004/012851に記載されているタイプの駆動手段に接続され、この駆動手段は偏心ベアリングを含み、この偏心ベアリングがシャフト20の下端を受け、電気モータの出力シャフトによって回転させられるディスクに取り付けられており、このディスクは、弾性懸架装置を介してこの出力シャフトに取り付けられている。
【0036】
公知の方法で、この手段は、シャフト20を、シャフト20の軸24上、この軸とシャフト20の下端を受ける偏心ベアリングを支持するディスクの軸との交点に位置する回転中心22を中心にして振動させながら駆動することを可能にする。
【0037】
シャフト20を回転中心22を中心にして振動させながら誘導するための手段はリング26によって支持され、このリングそのものは、図示しない、図2を参照しながら説明する弾性懸垂手段によって固定支持体に取り付けられている。
【0038】
シャフト20を誘導するための手段は、シャフト20に取り付けられたボールソケットベアリング及びボールソケットベアリングの周囲にボールソケットベアリングとリング26との間で取り付けられた2個の重ね合わせたボールベアリングを含む。
【0039】
ボールソケットベアリングはボールソケットジョイント30を含み、このジョイントは、シャフト20の上部に圧力嵌めされ、圧力ワッシャ36及び止めワッシャ38を介してボールソケットジョイントの一端を押す、シャフトに螺着されたナット34により、このシャフトの肩32に押し当てて維持される。止めワッシャ38は、図示するように、シャフト20の円柱面の縦方向溝にその内側円柱面で係合するタブにより、シャフト20の軸24を中心とする回転を阻止される。
【0040】
ボールソケットジョイント30の半径方向外側面は凸状であり、中心で約90°の角度を有する球体のセグメントを形成し、その上にボール40の2個のリングが回転中心22の各側で対称に押し付けられ、各リングのボールは、ボール40が係合するオリフィスを含む円柱形ケージ42によって保持され、ボールはまた、ボール40の対応するリングを包囲する円柱形レース46の内面の半円柱形の環状スロット又は溝44によって形成される軌道中に保持され、誘導される。ケージ42は、ケージ42のオリフィス及び溝44に係合したボール40により、図示する位置で軸方向かつ半径方向に保持される。
【0041】
ボールソケットベアリングの外側レースを形成するレース46はまた、このボールソケットベアリングの周囲に取り付けられた2個のボールベアリングの内側レースを形成し、これらはそれぞれ、この目的のため、対応するボールベアリングのボール50が係合する半円柱形の溝48をその外側円柱面に含み、ボールベアリングは外側レース52を含み、この外側レースの内側円柱面には、ボール50を誘導し、保持するための半円柱形の溝54が形成されている。
【0042】
ボールベアリングの外側レース52は、リング26の内側にスリーブ嵌合され、リングに回転可能に固着されている。
【0043】
2個の重ね合わせたボールベアリングは、2個のボールベアリングの外側レース52の間に挿入された、たとえばゴム又はエラストマーのような弾性変形性材料でできた薄いシム58によって決まる小さな距離だけ軸方向に離れている。
【0044】
下ボールベアリングの外側レース52がリング26の内面の肩を押し、ナット60がリング26の上部に螺着され、上ボールベアリングの外側レース52を押し、ナット60の螺着が、2個の減摩ベアリング間の軸方向距離、ひいてはボールソケットジョイントの運転すきまを調節することを可能にする。
【0045】
実際には、ユーザは、ナット60をリング26の上部に最大限に螺着して、ボールソケットジョイントを押すボール40の2個のリングを互いに向けて押すことによってこの運転すきまを実質的になくして開始し、次いで、ナット60をわずかに緩めてボールソケットジョイント30上に、たとえば0.05〜0.1ミリメートルの範囲である運転すきまを設け、ナット60を、適切な手段、たとえばこのナットの薄い周縁の塑性変形によってリング26に対して回転可能に押し付ける。
【0046】
変形態様として、2個の減摩ベアリングは、上部にタブを含むケージに取り付けられ、このタブが折り曲げられて、ボールソケットジョイントが正しく作動するために必要な空間で減摩ベアリングを正しい位置に保持する。
【0047】
さらには、有利には、エラストマー又は類似の材料でできた騒音防止ストッパが金属部品の間の界面に設けられて、高速運転時の騒音を軽減する。
【0048】
運転中、シャフト20は、それ自体の軸24を中心にして回転することなく、点22を中心にして振動しながら高速で駆動され、この軸を中心とするプレート20の回転は、当業者には周知である方法で、たとえば前記特許文献WO2004/012851に記載されているようにして、このプレートをリング26又は装置の固定フレームに接続する手段によって阻止される。
【0049】
振動するシャフト20の高速運動は、シャフト20に回転可能に固定されているボールソケットジョイント30及びリング26に回転可能に固定されているボールベアリングの外側レース52に対するレース46の高速回転によって平行移動される。
【0050】
本発明の装置は、中間位置の各側でのシャフト20の移動の角度範囲を増すことを可能にし、この移動の角度範囲は、図示する例示的な実施態様では8°以上であることができる。この移動の角度範囲は、一方では、ボールソケットジョイントの軸方向寸法(又は球体の、シャフト20の軸沿いの部分の寸法)によって決まり、他方では、ボール40の2個のリング間の軸方向距離によって決まる。特許文献WO2004/012851に記載されている実施態様に対する移動の角度範囲の倍増が、曲線往復運動における管12の同じ動程、ひいては管12の高速振動及びこれらの管に含まれる生物学的試料の粉砕における同じ性能を保持しながらも、プレート10の外径を半分に減らすことを可能にする。
【0051】
プレート10の直径を減らすと、結果として、その重量が減り、このプレートを駆動するために必要なエネルギーが減る。
【0052】
さらには、本発明によるシャフト20を誘導するための装置は数多くの利点を有する。
【0053】
市販のボールソケットジョイント30を使用することができ、ボール40が誘導されてボールソケットジョイント30を押すところの環状溝44は市販の標準的減摩ベアリングの内側レースにおいてミクロンオーダの「正規の」精度で機械加工されている。
【0054】
したがって、本発明の誘導装置は、比較的単純であり、廉価である。加えて、ボールソケットジョイント30の運転すきまは調節可能であり、それが、ボール40を誘導するために溝44を高い精度で機械加工する必要なく、正確な寸法が原則的にわからない市販のボールソケットジョイントとでも最適な運転を保証することを可能にする。
【0055】
先に指摘したように、ボールソケットベアリングとボールベアリングとの相対的配置を逆にしてもよく、その場合、ボールソケットベアリングが固定支持体とシャフト20に取り付けられたボールベアリングとの間に位置する。
【0056】
図2及び3に示す装置はまた、生物学的試料及びガラス又はセラミックのビーズを含むように設計された管12であって、カバー14を装着されたプレート10によって支持され、プレート10及びカバー14に対して軸方向に延びるシャフト20の上端に固着された管12を高速振動させるための装置である。
【0057】
シャフト20は、プレート10の下方に位置し、固定フレーム70によって支持された電気モータMによって駆動される。
【0058】
シャフト20の下端は、シャフト20の端部に取り付けられた減摩ベアリング74を含む偏心器76を介してモータMの出力シャフト72に接続され、偏心器の円柱形キャビティに収容されており、偏心器そのものは、減摩ベアリング80によってプレート78の円柱形キャビティの中に取り付けられ、誘導される。プレート78は金属リング82の中に取り付けられており、この金属リングは、プレート78の外周縁と金属リング82との間に挿入され、金属リング82及びプレート78上で軸方向平行移動可能かつ回転可能に固定化されているエラストマーリング84によって固定フレーム70に取り付けられている。
【0059】
有利には、エラストマーリング84は、その場で鋳造され、加硫されるか、あるいはまた、プレート78及び金属リング82に接合される。加えて、図示するように、金属リング82の内面に突出し、エラストマーリング84の対応する溝と係合する環状リブを形成してもよく、エラストマーリングそのものは、プレート78の外周縁の適合する溝と係合して軸方向ねじれに対する抵抗を増す、突出した環状部分をその内面に含む。
【0060】
ディスク76に減摩ベアリング74を取り付けるための円柱形ハウジングは、モータMの出力シャフト72の軸に対して偏心し、斜めに向き、シャフト20の軸とシャフト72の軸とは、プレート10及びシャフト20の回転中心である点86で互いに交差する。
【0061】
シャフト20をセンタリングし、誘導するための手段は、この回転中心86に位置し、ボールソケット及びボールベアリングを含み、そのボールソケットジョイント92がシャフト20に固着され、円柱形ケージによって支持され、ボールソケットジョイント92と2個の軸方向に重ね合わせた外側円柱形レースとの間に取り付けられたボール94の2個のリングと相互作用し、その側円柱形レースはまた、軸方向に重ね合わせ、わずかな距離だけ離れている2個のボールベアリング96の内側レースをも形成する。
【0062】
2個のボールベアリング96は、外側金属レース98に取り付けられ、このレースそのものは、固定部品102によって支持された上円柱形スリーブ100に取り付けられ、固定部品の円柱形の下端106は、前記金属レース82と類似し、前記金属レースと軸方向に並ぶ金属環108に取り付けられている。
【0063】
エラストマーリング110及び112は、それぞれ、減摩ベアリング96を支持する金属レース98とスリーブ100との間及び部品102の下端106と環108との間に挿入されている。これらのエラストマーリング110及び112は、プレート78を取り付けるためのエラストマーリング84に関してすでに記載したように、その場で鋳造され、加硫され、又は接合され、さらに、外側部品のリブの上かつ外側部品とで相互作用する内側部品の溝の中に収まることによって軸方向に保持される。
【0064】
これら3個のエラストマーリング84、110及び112の本質的な機能は、プレート10を誘導し、一方で駆動するための手段と、他方で固定フレーム70との間での高周波騒音及び振動の伝達を防ぐことである。騒音及び振動のこの吸収を十分に達成するために、これらのリングは、約55〜85の範囲、好ましくは約70のショアーA硬さを有するエラストマーでできている。
【0065】
環108は、ここではらせん巻きケーブルタイプであるが、変形態様として、エラストマーブロック又はストッパを含むこともできる弾性懸垂手段116によって端部がフレーム70に接続されている2個の平行なビーム114によって支持されている(図2)。この弾性懸垂手段116は、モータMの始動時及び停止時に回転速度が0rpmから約7000rpmに増すとき及びその反対に減るときに発生する低周波及び中間周波振動をろ波する機能を有する。
【0066】
この手段の組み合わせのおかげで、運転中の装置の騒音レベルは少なくとも5〜10dB減少し、運転中の装置はもはやそのすぐ近くの環境で不快感を生じさせない。
【0067】
装置のフレーム70は、モータMの停止時及び始動時に発生しがちである超低周波振動を減衰する「サイレントブロック」タイプの減衰手段を介して、支持面に載るための脚部118に接続されている。
【0068】
消音リング84、110及び112ならびに懸垂手段116の取り付けは、6000〜8000rpmの高い回転速度で運転することができ、非常に長い耐用寿命を有するセンタリング及び誘導手段を有する装置の性能に影響しない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の装置を含む、管の高速振動装置の軸方向部分断面図である。
【図2】この装置の変形態様の略正面図である。
【図3】図2の装置の上部を軸方向断面で示す拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトをシャフト軸上に位置する回転中心を中心にして振動させながら誘導するための、シャフトと固定支持体との間で一方が他方の内側に取り付けられたボールソケットベアリング及びボールベアリングを含む装置であって、ボールソケットベアリング(30、40、46)が、ベアリングの内側レースを形成する球体の一部分に外側凸面を有するボールソケットジョイント(30)と、ボールソケットジョイント(30)とベアリングの2個の重ね合わせた外側レース(46)との間に配設され、前記レース(46)の半円柱形環状スロット又は溝(44)の中を誘導されるボール(40)の2個のリングと、を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
各リングのボール(40)が、ボールソケットジョイント(30)とボールソケットベアリングの対応する外側レース(46)との間に配設された円柱形ケージ(42)のオリフィスに収容されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
ボールソケットジョイント(30)がシャフト(20)に固着され、2個の実質的に重ね合わせたボールベアリング(50、52)が固定支持体(26)とボールソケットベアリングとの間に取り付けられている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
ボールソケットベアリングの外側円柱形レース(46)がボールベアリング(50、52)の内側円柱形レースによって形成されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
ボールソケットベアリングのボール(40)の2個のリングがシャフト(20)の回転中心(22)に対して対称的に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
回転中心(22)を中心とするシャフト(20)の移動の角度範囲が中間位置の各側で約8°以上である、請求項項1〜5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
ボールソケットベアリングの2個の外側レース(46)が実質的に隣接し、弾性変形性材料でできたシム(58)によって分けられている、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
2個の重ね合わせた外側レース(46)の間の軸方向距離を調節するための手段(60)を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
調節手段が、固定支持体(26)に螺着され、前記外側レースを押すナット(60)を含み、他方の外側レースが固定支持体(26)を押す、請求項8記載の装置。
【請求項10】
2個の外側レースの間の軸方向距離が調節されたのちナット(60)の回転を止めるための手段を含む、請求項9記載の装置。
【請求項11】
シャフト(20)が、生物学的試料管(12)を支持するためのプレート(10)をその一方の端部で支持し、モータの出力シャフトによって支持される偏心ベアリングに取り付けられたその他方の端部を介して駆動手段に接続されている、請求項1〜10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
騒音及び振動を減衰するための手段(84、110、112)が固定フレーム(70)とシャフト(20)を誘導し、駆動するための手段との間に取り付けられている、請求項1〜11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
騒音及び振動を減衰するための手段がエラストマーリング(84、110、112)を含む、請求項12記載の装置。
【請求項14】
リング(84、110、112)が、55〜85の範囲のショアーA硬さを有するエラストマーでできている、請求項13記載の装置。
【請求項15】
リング(84、110、112)が、約70のショアーA硬さを有するエラストマーでできている、請求項14記載の装置。
【請求項16】
シャフト(20)の一端を駆動シャフト(72)に接続する偏心器(74、76)が、プレート(78)に取り付けられた減摩ベアリング(80)の中で回転しながら誘導され、プレートそのものが前記エラストマーリング(84)によって固定フレーム(70)に取り付けられている、請求項13〜15のいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
ボールソケットベアリング及びシャフトを誘導するためのボールベアリング(92、94、96)が金属レース(98)の内側に取り付けられ、金属レースそのものが前記エラストマーリング(110)によって円柱形スリーブ(100)に取り付けられている、請求項13〜16のいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
エラストマーリング(112)が、スリーブ(100)を支持する固定部分(102)と固定フレーム(70)に接続された環(108)との間に取り付けられている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記エラストマーリング(84、110、112)が、それらが間に取り付けられている部品上で平行移動可能に固定化されている、請求項13〜18のいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
エラストマーリング(84、110、112)が、その場で鋳造され、加硫されているか、それらが間に取り付けられている部品に接合されている、請求項13〜19のいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
騒音及び振動減衰手段が、装置の上部を弾性的に懸垂するための手段(116)を含み、シャフト(20)を装置の下部にセンタリングし、誘導するためのベアリング及び減摩ベアリング(92、94、96)を少なくとも含み、固定フレーム(70)及びシャフト(20)を駆動するための手段(M、72)をさらに含む、請求項12〜20のいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
弾性懸垂手段(76)が、シャフト(20)を駆動するためのモータ(M)の停止段階及び始動段階における低及び中間周波数の吸収のためのエラストマーストッパもしくはブロック又はケーブルを備えたタイプである、請求項21記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−503698(P2008−503698A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517363(P2007−517363)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001580
【国際公開番号】WO2006/008397
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(505040202)ベルタン・テクノロジーズ (9)
【氏名又は名称原語表記】BERTIN TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】