説明

セキュリティ装置

【課題】セキュリティ装置の各種機器の設定を特定の者だけに許可できるようにすること。
【解決手段】指紋を読み取る指紋読取センサ10と、予め登録されている指紋の情報を記憶する指紋情報記憶部20と、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報とを照合し、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報の中に指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する指紋認証を行う照合処理部30とを備え、照合処理部30による指紋認証の結果、一致したものがあった場合には、セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を行おうとする者による各種機器70,70,・・・の設定を可能とし、一致したものがなかった場合には、その者による各種機器70,70,・・・の設定を不可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ装置に関し、詳細には、指紋認証を行うことによって、そのようなセキュリティ装置の各種機器の設定を特定の者だけに許可する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の盗難防止用や、建物への不審者の侵入防止用等のセキュリティ装置として、様々なものが知られている。このようなセキュリティ装置には、センサや、警報器、表示器等の各種の機器が備えられており、これら各種機器の中には、その設定をユーザが行うことができるものもある。
【0003】
ここで、車両の盗難防止用のセキュリティ装置(車両用セキュリティ装置)を例に説明すると、車両用セキュリティ装置には、人体の接近を検知する人体センサ、車体の傾きを検知する傾斜センサ、車体の振動を検知する振動センサ、ドアの開放を検知する電流センサ等のセンサが用いられており、また、ドアの解錠・施錠を行うためのドアロック装置やエンジンを始動するためのエンジン始動装置、セキュリティ作動時(上述のようなセンサにより車両を盗難しようとする者が検知されたとき)に警報音を発するホーン等の警報器や、セキュリティ作動時に点灯したり点滅するLED等の照明器、セキュリティ作動時に車両を盗難しようとする者が検知された旨を車両の所有者等に知らせる通信機等の各種の機器が備えられている。
【0004】
そして、これら各種機器のユーザが行うことができる設定としては、例えば、上記のようなセンサの感度の設定、上記のようなセンサをそれぞれ使用するか否かの設定、警報器の警報音の音量の設定やその警報音の音色の設定、遠隔操作で離れた場所から強制的に警報器の警報音を鳴らす緊急警報を利用するか否かの設定、セキュリティ作動時に照明器を点灯させたり点滅させたりするか否かの設定、セキュリティ作動時に通信機により車両を盗難しようとする者が検知された旨を車両の所有者等に知らせるか否かの設定等がある。
【0005】
そして、従来では、上述のようなセキュリティ装置における各種機器の設定は、リモートコントローラ(リモコン)等のような設定操作手段を用いて行われており、リモコンさえあれば、誰でもセキュリティ装置における各種機器の設定を行うことができた。しかし、リモコンの設定操作でセンサの感度の設定やセンサを使用するか否かの設定等を変更することによって、セキュリティ装置のセキュリティ機能が全く働かないような設定とすることも可能である。したがって、セキュリティの面からは好ましくないという問題点がある。
【0006】
一方、セキュリティ装置における各種機器の設定は、通常、最適な設定にしておくことが多い。しかし、その最適な設定が知らない間に変えられてしまう可能性があり、場合によっては、設定が変更されたことに気付かない可能性さえある。したがって、安心してセキュリティ装置を使用できないという問題点がある。また、変更された設定を元の最適な設定に戻すことは、非常に煩わしく面倒な作業であり、しかも、元の最適な設定に戻すには、その最適な設定を全て記憶しておかなければならないという問題点もある。
【0007】
特許文献1には、車両用セキュリティ装置の場合、同じIDコードを長期間使用しつづけることは防犯面で問題があるため、一定期間ごとにIDコードを変更することが好ましいという観点から考案されたリモートコントローラを有するIDコード変更可能な電子機器に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−270387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、セキュリティ装置において、指紋認証を行うことにより、セキュリティ装置の各種機器の設定を特定の者だけに許可できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、各種機器の設定を特定の者だけに許可するように構成されているセキュリティ装置であって、各種機器の設定を行おうとする者の指紋を読み取る指紋読取手段と、予め登録されている指紋の情報を記憶する指紋情報記憶手段と、前記指紋読取手段により読み取られた指紋の情報と前記指紋情報記憶手段に記憶されている指紋の情報とを照合し、前記指紋情報記憶手段に記憶されている指紋の情報の中に前記指紋読取手段により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する指紋認証を行う照合処理手段とを備え、前記照合処理手段による指紋認証の結果、一致したものがあった場合には、各種機器の設定を行おうとする者による各種機器の設定を可能とし、一致したものがなかった場合には、その者による各種機器の設定を不可能とすることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、指紋認証の結果、予め登録されている特定の指紋の持ち主(特定の者)だけが指紋認証に成功し、その者だけにセキュリティ装置の各種機器の設定が許可される。一方、予め登録されていない指紋の持ち主(特定の者以外の者)に対しては、セキュリティ装置の各種機器の設定が禁止される。このように、指紋認証に成功して、はじめて各種機器の設定を行うことができる。したがって、特定の者だけがセキュリティ装置の各種機器の設定を行うことができる。そして、特定の者の知らない間に、特定の者以外の者が各種機器の設定を行うことを防止することができ、これにより、セキュリティ装置の信頼性を向上させることができる。例えば、特定の者以外の者にリモコン等の設定操作でセンサの感度の設定やセンサを使用するか否かの設定等が変更されることによって、セキュリティ装置のセキュリティ機能が全く働かないような設定とされることを防止することができる。
【0011】
さらに、セキュリティ装置における各種機器の設定を最適な設定としておいた場合に、特定の者以外の者がその最適な設定が変えることは不可能であるため、安心してセキュリティ装置を使用することができる。
【0012】
ここで、前記照合処理手段による指紋認証に失敗した回数(NG回数)が所定回数に達した場合には、該照合処理手段は、所定時間が経過するまで、指紋読取手段により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止するようにしてもよい。
【0013】
これにより、特定の者以外の者が、セキュリティ装置における各種機器の設定を行おうとしても、指紋の情報の受け付けが禁止されている所定時間の間、無駄に時間を費やさせることで、その設定をあきらめさせるようにしている。一方、所定時間が経過すると、指紋の情報の受け付けの禁止が解除され、再度指紋読取を行うことが可能となる。したがって、指紋認証に所定回数失敗したとしても、その所定時間だけ待てば、再度指紋読取を行って各種機器の設定を行うことが可能となる。
【0014】
また、前記指紋読取手段、前記指紋情報記憶手段、および前記照合処理手段を、各種機器の設定操作を行うための設定操作手段(例えば、リモコン等)に設けることができる。このように、設定操作手段に指紋読取手段、指紋情報記憶手段、および照合処理手段を組み込むことにより、設定操作手段において指紋認証を行うことが可能となる。そして、指紋認証に成功すると、引き続きその設定操作手段を用いてそのまま各種機器の設定操作を行うことが可能となり、利便性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明のセキュリティ装置において、前記各種機器の設定に関する情報を、前記指紋情報記憶手段に記憶されている指紋の情報に対応付けられて記憶する設定情報記憶手段を備え、前記照合処理手段による指紋認証の結果、一致したものがあった場合には、前記設定情報記憶手段に記憶されている各種機器の設定に関する情報に基づいて、前記指紋読取手段により読み取られた指紋の情報に対応する各種機器の設定処理が行われることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、セキュリティ装置の各種機器の設定を行う際、例えば、リモコン等のような設定操作手段により設定操作を行わなくても、指紋認証に成功すると、各種機器の設定が、設定情報記憶手段に記憶されている各種機器の設定に関する情報に基づいて自動的に行われる。このように、セキュリティ装置の各種機器の設定処理が指紋の情報に対応して自動的に行われるので、各種機器の設定を容易かつ迅速に行うことが可能となる。また、特定の者にとって最適な各種機器の設定を設定情報記憶手段に記憶させておけば、各種機器の設定を直ちにその最適な設定に変更することができ、しかも、その最適な設定を記憶しておく必要がなくなる。
【0017】
そして、前記設定情報記憶手段には、指紋の情報に対応付けられて記憶されている各種機器の設定に関する情報を複数記憶させることができる。ここで、複数記憶される各種機器の設定に関する情報としては、異なる複数人の指紋の情報に対応するものであってもよいし、同一人の異なる指の指紋の情報に対応するものであってもよい。各種機器の設定に関する情報を異なる複数人の指紋の情報に対応させると、特定の者にとって最適な各種機器の設定を各自記憶させておくことが可能となる。また、各種機器の設定に関する情報を同一人の異なる指の指紋の情報に対応させると、周囲の環境等に応じて各種機器の設定を使い分けることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上述のように構成されているから、指紋認証の結果、予め登録されている特定の指紋の持ち主(特定の者)だけが指紋認証に成功し、その者だけにセキュリティ装置の各種機器の設定が許可される。一方、予め登録されていない指紋の持ち主(特定の者以外の者)に対しては、セキュリティ装置の各種機器の設定が禁止される。このように、指紋認証に成功して、はじめて各種機器の設定を行うことができる。したがって、特定の者だけがセキュリティ装置の各種機器の設定を行うことができる。そして、特定の者の知らない間に、特定の者以外の者が各種機器の設定を行うことを防止することができ、これにより、セキュリティ装置の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0020】
以下では、本発明の実施の形態について車両の盗難防止用のセキュリティ装置(車両用セキュリティ装置)に適用した例を説明する。この例の車両用セキュリティ装置は、特定の者だけが車両用セキュリティ装置における各種機器の設定を行うことができるように構成されている。ただし、セキュリティ装置における各種機器の設定を行うものであれば、車両用セキュリティ装置に限定されるものではなく、建物への不審者の侵入防止用や、それ以外の用途のセキュリティ装置にも同様に適用することができる。
【0021】
まず、図1、図2を用いて、車両用セキュリティ装置の第1の例について説明する。
【0022】
図1に示すように、車両用セキュリティ装置は、指紋読取センサ10、指紋情報記憶部20、照合処理部30、LED40、設定処理部50、リモコン60、設定の対象となる各種の機器70,70,・・・を備えている。なお、車両用セキュリティ装置には、機器70,70,・・・以外にも、設定の対象とはならない機器も備えられている。
【0023】
指紋読取センサ10は、車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定を行おうとする者の指紋を読み取るために設けられている。各種機器70,70,・・・の設定を行おうとする者は、その設定を行う際、指紋認証のために、この指紋読取センサ10に指紋を読み取らせる。指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報は、照合処理部30に送られる。指紋読取センサ10として、例えば、静電容量式のものを用いることができるが、これ以外にも、感圧式のもの、光学式のもの、導電式のもの、感熱式のものであってもよい。また、指を押し当てる方式のものでも、スライドさせる方式のものでもよい。
【0024】
指紋情報記憶部20には、予め登録された指紋の情報が記憶されている。指紋情報記憶部20は、例えば、EPROM等のような不揮発性の半導体記憶装置として構成されている。このように、指紋情報記憶部20を不揮発性の半導体記憶装置とすることで、電力の供給がなくても記憶されている指紋の情報を消失するすることなく確実に保存することができる。なお、指紋情報記憶部20に記憶する指紋の情報を暗号化したものとすることで、安全性を向上させることができる。指紋の情報の暗号化は、例えば、チェックサム方式、ヌル点制御、数式によるデータ変換等によって可能である。
【0025】
この指紋情報記憶部20には、複数の指紋の情報を記憶させておくことができる。したがって、車両の本来の所有者の指紋の情報に加え、所有者以外であってその車両の車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を許可された者(例えば、その所有者の家族、会社の従業員等)があれば、その者の指紋の情報を記憶させておくことができる。なお、車両の本来の所有者の指紋の情報は、その車両の購入時に予め登録しておけばよい。また、所有者以外であってその車両の車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を許可された者の指紋は、必要に応じて随時登録するようにすればよい。また、車両の車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を許可されている者に対し、以降の設定を許可しないようにする場合には、その者の指紋の情報を随時抹消するようにすればよい。
【0026】
照合処理部30は、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報とを照合し、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報の中に、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する指紋認証処理を行う。そして、このような指紋認証処理の結果、一致したものがあった場合には、設定操作許可信号を設定処理部50に出力し、逆に、一致したものがなかった場合には、指紋認証に失敗した回数(「NG回数」と称する。)をカウントする処理を行う。
【0027】
また、照合処理部30は、NG回数が所定回数に達したか否かを判定する処理を行う。そして、NG回数が所定回数に達した場合には、所定時間が経過するまで、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止する処理を行う。なお、照合処理部30は、内部タイマを備えている。照合処理部30における各処理の詳細については後述する。
【0028】
LED40は、後述する指紋認証に失敗したとき、指紋読取を行った者に対し、指紋認証に失敗した旨を報知するために設けられている。このLED40の点灯により、指紋読取センサ10で再度指紋を読み取らせるように視覚を通じて促すようにしている。
【0029】
設定処理部50は、後述するリモコン60の設定操作に応じ、車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定処理を行う。設定処理部50は、照合処理部30から設定操作許可信号が入力されると、この場合に限り、リモコン60の設定操作ボタン64の設定操作に応じた各種機器70,70,・・・の設定処理を行うことが可能な状態(設定処理可能状態)となる。逆に言えば、照合処理部30から設定操作許可信号が入力されなければ、設定処理部50は、設定処理可能状態とはならない。設定処理部50は、設定処理可能状態になった後、所定の設定操作ボタン64の設定操作によって各種機器70,70,・・・の設定処理が完了したか、あるいは、所定時間が経過すると、設定処理可能状態が解除されて元の状態に戻る。なお、設定処理部50は、内部タイマを備えている。
【0030】
ここで、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・としては、例えば、人体の接近を検知する人体センサ、車体の傾きを検知する傾斜センサ、車体の振動を検知する振動センサ、ドアの開放を検知する電流センサ等のセンサ、ドアの解錠・施錠を行うためのドアロック装置や、エンジンを始動するためのエンジン始動装置、セキュリティ作動時(上述のようなセンサにより車両を盗難しようとする者が検知されたとき)に警報音を発するホーン等の警報器や、セキュリティ作動時に点灯したり点滅するLED等の照明器、セキュリティ作動時に車両を盗難しようとする者が検知された旨を車両の所有者等に知らせる通信機等がある。また、これら各種機器70,70,・・・のユーザが行うことが可能な設定としては、例えば、上記のようなセンサの感度の設定、上記のようなセンサをそれぞれ使用するか否かの設定、警報器の警報音の音量の設定やその警報音の音色の設定、遠隔操作で離れた場所から強制的に警報器の警報音を鳴らす緊急警報を利用するか否かの設定、セキュリティ作動時に照明器を点灯させたり点滅させたりするか否かの設定、セキュリティ作動時に通信機により車両を盗難しようとする者が検知された旨を車両の所有者等に知らせるか否かの設定等がある。
【0031】
また、設定処理部50は、照合処理部30から設定操作許可信号が入力されると、リモコン60へ設定操作可能信号を送る。これにより、リモコン60のLED63が所定の発光パターンで点灯・点滅して、指紋認証を行った者に対し、各種機器70,70,・・・の設定操作が可能である旨が報知される。設定処理部50における各処理の詳細については後述する。
【0032】
リモコン60は、車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定操作を行うための設定操作手段として設けられている。リモコン60には、制御部61、送受信部62、LED63、設定操作ボタン64、メモリ65が設けられている。
【0033】
制御部61は、リモコン60における各種の処理を司る。送受信部62により設定処理部50との間で赤外線等による信号の送受信が可能となっている。この送受信部62を介して、設定処理部50からの各種の信号が受信される一方、設定処理部50への各種の信号が送信される。
【0034】
LED63は、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者に対して各種の情報を報知するために設けられている。この例では、LED63が点灯・点滅する発光パターンにより各種の情報を報知するようにしている。LED63の発光パターンによって報知される各種の情報には、例えば、各種機器70,70,・・・の設定操作が可能である旨を表す情報、リモコン60による設定操作の対象となる機器70を表す情報、その対象となる機器70の設定操作後の設定を表す情報、各種機器70,70,・・・の設定処理が完了した旨を表す情報、リモコン60の設定操作が誤りであり、再度の設定操作を行うように促す旨を表す情報等がある。LED63が点灯・点滅する発光パターンは、メモリ65に記憶されている。
【0035】
各種の情報を報知する際には、制御部61によりメモリ65の発光パターンが読み出され、その読み出された発光パターンでLED63が点灯・点滅する。LED63の数は特に限定されず、1つであっても複数であってもよく、また、複数の場合、異なる発光色のものを用いることができる。なお、LED63に替えて、液晶パネル等のディスプレイを設けて、各種の情報を文字情報として表示するようにしてもよい。
【0036】
設定操作ボタン64は、リモコン60に複数設けられている。そして、複数の設定操作ボタン64は、各種機器70,70,・・・の設定操作を行う際に用いられる。各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者が所定の設定操作ボタン64の設定操作を行うと、その設定操作に対応する信号が送受信部62から設定処理部50へ送られる。これにより、設定処理部50によって入力された信号に応じた各種機器70,70,・・・の設定処理が行われる。ここで、上述のように、指紋認証に成功し、LED63が所定の発光パターンで点灯・点滅した後、各種機器70,70,・・・の設定処理と対応づけられて予め定められている設定操作ボタン64の設定操作パターン(複数の設定操作ボタン64を設定操作する順序)と一致する設定操作ボタン64の設定操作が行われると、その設定操作に対応する信号が送受信部62から設定処理部50へ送られるようになっている。設定操作ボタン64の設定操作パターンには、設定処理の対象となる機器70を決定するパターンと、その対象となった機器70の設定を決定するパターンが含まれている。各種機器70,70,・・・の設定処理と対応づけられた設定操作ボタン64の設定操作パターンは、メモリ65に記憶されている。
【0037】
上述のような各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者が行った設定操作ボタン64の設定操作がメモリ65に記憶されているいずれかの設定操作パターンと一致するか否かの判定は、制御部61によって行われる。一方、各種機器70,70,・・・の設定処理と対応づけられた設定操作ボタン64の設定操作パターンと一致しない設定操作ボタン64の設定操作が行われた場合には、LED63が所定の発光パターンで点灯・点滅して、設定操作ボタン64の設定操作を行った者に対し、その設定操作が誤りであり、再度の設定操作を行うように促す旨を報知する。
【0038】
なお、上述したように、LED63に替えて液晶パネルが設けられる場合には、この液晶パネルに設定操作ボタン64の替わりとなる設定操作部を設けることができる。この液晶パネルの設定操作部は、例えば、設定処理の対象となりうる機器70を表示し、対象となる機器70を決定する部分、その対象となった機器70の設定可能な設定を表示し、その機器70の設定を決定する部分等となっている。
【0039】
以上のように構成されている車両用セキュリティ装置においては、指紋認証を行うことによって、特定の者だけに車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定操作を許可するようにしている。以下、各種機器70,70,・・・の設定操作を行う際の車両用セキュリティ装置における処理の手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】
まず、指紋読取センサ10により指紋読取動作が行われると(ステップS1)、つまり、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者が指紋読取センサ10で指紋を読み取らせると、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報が照合処理部30へ送られる。
【0041】
照合処理部30は、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報を取得すると(ステップS2)、次に、指紋認証処理を行う(ステップS3)。具体的には、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報とを照合し、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報の中に、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する。
【0042】
このような指紋認証処理の結果、一致したものがなかった場合には、照合処理部30は、指紋認証に失敗したと判断し、NG回数をカウントする(ステップS4)。ここでは、現在のNG回数に、「1」を加える処理を行う。この場合には、待機状態からの最初の指紋読取動作であるため、NG回数としては、「1」がカウントされる。
【0043】
次に、照合処理部30は、NG回数が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS5)。この結果、NG回数が所定回数に達していない場合には、照合処理部30は、指紋読取を行った者に対し、報知用のLED40を通じて指紋読取センサ10で再度指紋を読み取らせるように促した後(ステップS6)、指紋読取センサ10によって再度読み取られた指紋の情報を取得し(ステップS7)、ステップS3へ移行する。そして、NG回数が所定回数に達するか、あるいは、ステップS3の判定において、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報の中に、指紋読取センサ10により再度読み取られた指紋の情報と一致するものがあるまで、ステップS6、S7、S3、S4、S5の処理を繰り返す。
【0044】
これに対し、NG回数が所定回数に達した場合には、照合処理部30は、内部タイマを起動する(ステップS8)。そして、所定時間が経過するまで、照合処理部30は、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止(拒否)する(ステップS9、S10)。つまり、所定時間の間、照合処理部30には、指紋の情報が入力されない。したがって、ステップS3における指紋認証等の処理も行われない。そして、所定時間の経過、内部タイマを停止し、内部タイマの計時をリセットし、さらにNG回数をリセットして、この制御を終了する。
【0045】
一方、上記ステップS3における指紋認証処理の結果、一致したものがあった場合、照合処理部30は、指紋認証に成功したと判断し、設定操作許可信号を設定処理部50に送る(ステップS11)。この場合、指紋認証を行った者が、その車両の本来の所有者、または、所有者以外であってその車両の車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を許可された者(「所有者等」と称する)であれば、指紋認証に成功し、設定操作許可信号が設定処理部50に送られる。
【0046】
次に、設定処理部50は、照合処理部30から設定操作許可信号を受け取ると、リモコン60の設定操作ボタン64の設定操作に応じた各種機器70,70,・・・の設定処理を行うことが可能な状態(設定処理可能状態)となり(ステップS12)、さらに、設定操作可能信号をリモコン60へ送信するとともに、内部タイマを起動する(ステップS13)。この設定操作可能信号が送受信部62を介してリモコン60で受信されると、リモコン60のLED63が所定の発光パターンで点灯・点滅して、指紋認証を行った者に対し、各種機器70,70,・・・の設定操作が可能である旨が報知される。
【0047】
これにより、指紋認証を行った者(各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者)によるリモコン60の設定操作ボタン64の設定操作が可能となる。そして、所定の設定操作ボタン64の設定操作が行われると、その設定操作に対応する信号が送受信部62から設定処理部50へ送られる。このとき、メモリ65に記憶されている各種機器70,70,・・・の設定処理と対応づけられた設定操作ボタン64の設定操作パターンと一致する設定操作ボタン64の設定操作が行われると、その設定操作に対応する信号が送受信部62から設定処理部50へ送られるようになっている。
【0048】
そして次に、設定処理部50は、所定時間内にリモコン60の設定操作ボタン64の設定操作に対応する信号を受信したか否かを判定する(ステップS14、S15)。つまり、各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者により所定の設定操作ボタン64の設定操作が行われ、その設定操作に対応する信号が送受信部62から設定処理部50へ送られたか否かを判定する。この結果、所定時間内にリモコン60の設定操作ボタン64の設定操作に対応する信号を受信した場合には、設定処理部50は、その信号に応じた各種機器70,70,・・・の設定処理を行う(ステップS16)。また、内部タイマを停止し、内部タイマの計時をリセットする。これにより、リモコン60の設定操作ボタン64の設定操作に応じた各種機器70,70,・・・の設定処理が行われる。
【0049】
その後、設定処理部50は、上述の設定処理可能状態が解除され、元の状態に戻る。そして、設定処理部50から設定処理完了信号がリモコン60へ送信され、この信号が送受信部62を介してリモコン60で受信されると、リモコン60のLED63が所定の発光パターンで点灯・点滅して、設定操作を行った者に対し、各種機器70,70,・・・の設定処理が完了した旨が報知される(ステップS17)。一方、所定時間内にリモコン60の設定操作ボタン64の設定操作に対応する信号を受信しない場合には、設定処理部50は、内部タイマを停止し、内部タイマの計時をリセットして、上述の設定処理可能状態が解除されて元の状態に戻り(ステップS18)、この制御を終了する。
【0050】
この例の車両用セキュリティ装置によれば、上述のように、指紋認証の結果、予め登録されている特定の指紋の持ち主、つまり、その車両の所有者等だけが指紋認証に成功し、その者だけに車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を許可するようにしている。一方、予め登録されていない指紋の持ち主、つまり、その車両の所有者等以外の者に対しては、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を禁止するようにしている。このように、指紋認証に成功して、はじめて各種機器70,70,・・・の設定を行うことができる。したがって、車両の所有者等の特定の者だけが車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を行うことができる。そして、車両の所有者等が知らない間に、それ以外の者が各種機器70,70,・・・の設定操作を行うことを防止することができ、これにより、車両用セキュリティ装置の信頼性を向上させることができる。例えば、所有者等以外の者にリモコン60の設定操作でセンサの感度の設定やセンサを使用するか否かの設定等が変更されることによって、車両用セキュリティ装置のセキュリティ機能が全く働かないような設定とされることを防止することができる。
【0051】
さらに、車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定を最適な設定としておいた場合に、所有者等以外の者がその最適な設定が変えることは不可能であるため、安心して車両用セキュリティ装置を使用することができる。
【0052】
また、上述のように、NG回数が所定回数に達した場合に、所定時間の間、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止するようにして、指紋認証を行わないようにしている。なお、所定時間の間、指紋読取センサ10で指紋読取動作を行わないようにしてもよい。
【0053】
これにより、車両の所有者等以外の者が、車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとしても、指紋の情報の受け付けが禁止されている所定時間の間、無駄に時間を費やさせることで、その設定操作をあきらめさせるようにしている。一方、所定時間が経過すると、指紋の情報の受け付けの禁止が解除され、再度指紋読取を行うことが可能となる。したがって、車両の所有者等が指紋認証に所定回数失敗したとしても、その所定時間だけ待てば、再度指紋読取を行って各種機器70,70,・・・の設定操作を行うことが可能となる。
【0054】
ここで、上述した指紋読取センサや照合処理部等をリモコン60に組み込むことが可能である。例えば、図3に示すように、指紋読取センサ66をリモコン60に設けることができる。この場合には、リモコン60の送受信部62を介して指紋読取センサ66により読み取られた指紋の情報を照合処理部30へ送信するようにする。また、リモコン60のLED63を所定の発光パターンで点灯・点滅させることによって、指紋認証に失敗したとき、指紋読取を行った者に対し、指紋読取センサ66で再度指紋を読み取らせるように視覚を通じて促すことができる。この場合には、報知用のLEDを別途設ける必要がなくなる。
【0055】
また、例えば、図4に示すように、指紋読取センサ66、指紋情報記憶部67をリモコン60に組み込んで、上述したような指紋認証処理をリモコン60で行うようにすることができる。この場合には、リモコン60の制御部61が上述した例の照合処理部30の役割も担うようにする。つまり、リモコン60の制御部61が上述した例の照合処理手段としても機能する。
【0056】
具体的には、制御部61は、指紋読取センサ66により読み取られた指紋の情報と、指紋情報記憶部67に記憶されている指紋の情報とを照合し、指紋情報記憶部67に記憶されている指紋の情報の中に、指紋読取センサ66により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する指紋認証を行う。そして、指紋認証の結果、一致したものがあった場合には、送受信部62を介して設定操作許可信号を設定処理部50に送信し、逆に、一致したものがなかった場合には、NG回数をカウントする。また、制御部61は、NG回数が所定回数に達したか否かを判定し、NG回数が所定回数に達した場合には、所定時間が経過するまで、指紋読取センサ66により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止(拒否)する。なお、NG回数が所定回数に達した場合には、設定処理部50との間の送受信を禁止するようにしてもよい。
【0057】
このように、リモコン60に組み込まれている制御部61、指紋読取センサ66、指紋情報記憶部67により指紋認証を行うことが可能となる。そして、指紋認証に成功すると、引き続きそのリモコン60を用いてそのまま各種機器70,70,・・・の設定操作を行うことが可能となり、利便性を向上させることができる。
【0058】
次に、車両用セキュリティ装置の第2の例について説明する。
【0059】
上述の第1の例では、各種機器70,70,・・・の設定を行うには、指紋認証に成功した後、各種機器70,70,・・・の設定処理に対応する設定操作をリモコン60により行う必要がある。これに対し、第2の例では、各種機器70,70,・・・の設定を行う際、上述したような第1の例におけるリモコン60による設定操作が不要となっている。以下、図5、図6、図7を用いて、具体的に説明する。なお、第1の例の車両用セキュリティ装置と同様の構成の部分については、第1の例の場合と同じ番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0060】
図5に示すように、この例の車両用セキュリティ装置は、指紋読取センサ10、指紋情報記憶部20、照合処理部130、LED40、設定処理部150、設定操作の対象となる各種の機器70,70,・・・、設定情報記憶部180、LED190を備えている。
【0061】
照合処理部130は、指紋認証処理の結果、一致したものがあった場合には、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報を設定処理部150に送る点で、第1の例の照合処理部30とは主に異なる。設定処理部150は、指紋認証に成功した後、照合処理部130から指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報が送られてくると、設定情報記憶部180に記憶されている車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定に関する情報(設定情報テーブル181)に基づいて車両用セキュリティ装置における各種機器70,70,・・・の設定処理を行う点で、第1の例の設定処理部50とは主に異なる。照合処理部130、設定処理部150における各処理の詳細については後述する。LED190は、後述する各種機器70,70,・・・の設定処理が完了したとき、その設定処理の完了を報知するために設けられている。
【0062】
設定情報記憶部180には、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定に関する情報が指紋の情報と対応付けられて予め記憶されている。ここで、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定に関する情報に対応付けられる指紋の情報は、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報と同じ情報である。設定情報記憶部180は、指紋情報記憶部20と同様に、例えば、EPROM等のような不揮発性の半導体記憶装置として構成されている。なお、設定情報記憶部180に記憶する指紋の情報を暗号化したものとすることができる。
【0063】
車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定に関する情報は、対応する指紋の情報ともに、例えば、図6に示すような設定情報テーブル181として記憶されている。設定情報テーブル181は、設定処理部150による各種機器70,70,・・・の設定処理を行う際に参照される。この設定情報テーブル181には、設定処理部150に送られてきた指紋の情報により、どのような車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定処理を行うかが登録されている。
【0064】
具体的には、図6に示すように、設定情報テーブル181には、「指紋」、「機器」、「設定」の欄が設けられており、各種機器70,70,・・・の設定に関する情報が指紋の情報に対応付けられて登録されている。なお、予め、指紋の情報と、その指紋の情報に対応付けられる各種機器70,70,・・・の設定に関する情報とを登録しておく必要があるが、この登録は、例えば、上述の第1の例のリモコン60のような設定操作手段を用いて行う。そして、指紋の情報と、その指紋の情報に対応付けられる各種機器70,70,・・・の設定に関する情報とを必要に応じて随時登録したり、更新したり、抹消したりするようにすればよい。
【0065】
次に、各種機器70,70,・・・の設定を行う際の車両用セキュリティ装置における処理の手順について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
まず、指紋読取センサ10により指紋読取動作が行われると(ステップS101)、つまり、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定操作を行おうとする者が指紋読取センサ10で指紋を読み取らせると、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報が照合処理部130へ送られる。
【0067】
照合処理部130は、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報を取得すると(ステップS102)、次に、指紋認証処理を行う(ステップS103)。具体的には、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報とを照合し、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報の中に、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する。
【0068】
このような指紋認証処理の結果、一致したものがなかった場合には、照合処理部130は、指紋認証に失敗したと判断し、NG回数をカウントする(ステップS104)。ここでは、現在のNG回数に、「1」を加える処理を行う。この場合には、待機状態からの最初の指紋読取動作であるため、NG回数としては、「1」がカウントされる。
【0069】
次に、照合処理部130は、NG回数が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS105)。この結果、NG回数が所定回数に達していない場合には、照合処理部130は、指紋読取を行った者に対し、報知用のLED40を通じて指紋読取センサ10で再度指紋を読み取らせるように促した後(ステップS106)、指紋読取センサ10によって再度読み取られた指紋の情報を取得し(ステップS107)、ステップS103へ移行する。そして、NG回数が所定回数に達するか、あるいは、ステップS103の判定において、指紋情報記憶部20に記憶されている指紋の情報の中に、指紋読取センサ10により再度読み取られた指紋の情報と一致するものがあるまで、ステップS106、S107、S103、S104、S105の処理を繰り返す。
【0070】
これに対し、NG回数が所定回数に達した場合には、照合処理部130は、内部タイマを起動する(ステップS108)。そして、所定時間が経過するまで、照合処理部130は、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止(拒否)する(ステップS109、S110)。つまり、所定時間の間、照合処理部130には、指紋の情報が入力されない。したがって、ステップS103における指紋認証等の処理も行われない。そして、所定時間の経過、内部タイマを停止し、内部タイマの計時をリセットし、さらにNG回数をリセットして、この制御を終了する。
【0071】
一方、上記ステップS103における指紋認証処理の結果、一致したものがあった場合、照合処理部130は、指紋認証に成功したと判断し、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報を設定処理部150に送る(ステップS111)。この場合、指紋認証を行った者が、車両の所有者等の特定の者であれば、指紋認証に成功し、指紋の情報が設定処理部150に送られる。
【0072】
次に、設定処理部150は、照合処理部130から指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報を受け取ると、設定情報記憶部180に記憶されている設定情報テーブル181を参照して、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報に対応する各種機器70,70,・・・の設定を読み出す(ステップS112)。そして、設定処理部150は、このとき読み出した各種機器70,70,・・・の設定の内容に応じて各種機器70,70,・・・の設定処理を実行する(ステップS113)。このように、設定情報記憶部180に記憶されている各種機器70,70,・・・の設定に関する情報に基づいて各種機器70,70,・・・の設定処理が行われる。そして、各種機器70,70,・・・の設定処理が完了すると、LED190が点灯してその設定処理の完了が報知される(ステップS114)。
【0073】
この例の車両用セキュリティ装置によれば、上述した第1の例における作用効果に加えて、次のような作用効果も奏する。車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を行う際、上述したような第1の例におけるリモコン60による設定操作を行わなくても、指紋認証に成功すると、各種機器70,70,・・・の設定が、設定情報記憶部180に記憶されている各種機器70,70,・・・の設定に関する情報に基づいて自動的に行われる。つまり、指紋認証に成功すると、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報に対応する各種機器70,70,・・・の設定処理が自動的に行われる。
【0074】
このように、車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定処理が指紋の情報に対応して自動的に行われるので、各種機器70,70,・・・の設定を容易かつ迅速に行うことが可能となる。また、車両の所有者等にとって最適な各種機器70,70,・・・の設定を設定情報記憶部180に記憶させておけば、各種機器70,70,・・・の設定を直ちにその最適な設定に変更することができ、しかも、その最適な設定を記憶しておく必要がなくなる。例えば、車両の所有者等が複数であり、各自が最適な各種機器70,70,・・・の設定を設定情報記憶部180に記憶させている場合に、各種機器70,70,・・・の設定が知らない間に変更され、最適な設定と異なっていても、指紋読取センサ10に指紋の情報を読み取らせれば、各種機器70,70,・・・の設定を直ちに各自にとって最適な設定に戻すことができる。これにより、安心して車両用セキュリティ装置を使用できる。
【0075】
ここで、設定情報記憶部180には、指紋の情報に対応付けられた各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を複数記憶させておくことができる。複数記憶される各種機器70,70,・・・の設定に関する情報としては、異なる複数人の指紋の情報に対応するものであってもよいし、同一人の異なる指の指紋の情報に対応するものであってもよい。各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を異なる複数人の指紋の情報に対応させると、車両の所有者等にとって最適な各種機器70,70,・・・の設定を各自記憶させておくことが可能となる。例えば、車両の本来の所有者の指紋の情報に対応する各種機器70,70,・・・の設定に関する情報に加え、所有者以外であってその車両の車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を許可された者(例えば、その所有者の家族、会社の従業員等)があれば、その者の指紋の情報に対応する各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を記憶させておくことができる。一方、各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を同一人の異なる指の指紋の情報に対応させると、周囲の環境等に応じて各種機器70,70,・・・の設定を使い分けることが可能となる。例えば、昼用の各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を親指の指紋の情報に対応させて記憶させたり、夜用の各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を人差し指の指紋の情報に対応させて記憶させたり、人通りの多い場所における各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を中指の指紋の情報に対応させて記憶させたり、人通りの少ない場所における各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を薬指の指紋の情報に対応させて記憶させたりすることができる。
【0076】
なお、上述では、指紋認証に成功すると、指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報が照合処理部130から設定処理部150に送られるようにしているが、指紋の情報の代わりとなる識別記号を送るようにしてもよい。この場合、指紋情報記憶部20に記憶されている各指紋の情報に対し、指紋の情報の代わりとなる識別記号を割り当てておき、さらに、設定情報記憶部180にその割り当てられた各識別記号に対応付けて各種機器70,70,・・・の設定に関する情報を記憶させておく。そして、指紋認証に成功すると、照合処理部130が指紋読取センサ10により読み取られた指紋の情報に対応する識別記号を指紋情報記憶部20から読み出して設定処理部150に送るようにする。
【0077】
また、上述では、指紋情報記憶部20と設定情報記憶部180とが別々の記憶手段として構成されているが、単一の記憶手段として構成してもよい。この場合、その単一の記憶手段に、図6に示すような設定情報テーブル181を記憶させておけば、その設定情報テーブル181の指紋の情報を用いて指紋認証を行うことができ、さらに、指紋認証に成功すると、その設定情報テーブル181を参照して車両用セキュリティ装置の各種機器70,70,・・・の設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】車両用セキュリティ装置の第1の例を示すブロック図である。
【図2】各種機器の設定を行う際の車両用セキュリティ装置における処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】指紋読取センサをリモコンに設けた変形例を示すブロック図である。
【図4】指紋認証処理をリモコンで行うようにした変形例を示すブロック図である。
【図5】車両用セキュリティ装置の第2の例を示すブロック図である。
【図6】設定情報テーブルを示す図である。
【図7】各種機器の設定を行う際の車両用セキュリティ装置における処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10 指紋読取センサ(指紋読取手段)
20 指紋情報記憶部(指紋情報記憶手段)
30 照合処理部(照合処理手段)
50 設定処理部(設定処理手段)
60 リモコン(設定操作手段)
70 各種機器
180 設定情報記憶部(設定情報記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種機器の設定を特定の者だけに許可するように構成されているセキュリティ装置であって、
各種機器の設定を行おうとする者の指紋を読み取る指紋読取手段と、予め登録されている指紋の情報を記憶する指紋情報記憶手段と、前記指紋読取手段により読み取られた指紋の情報と前記指紋情報記憶手段に記憶されている指紋の情報とを照合し、前記指紋情報記憶手段に記憶されている指紋の情報の中に前記指紋読取手段により読み取られた指紋の情報と一致するものがあるか否かを判定する指紋認証を行う照合処理手段とを備え、
前記照合処理手段による指紋認証の結果、一致したものがあった場合には、各種機器の設定を行おうとする者による各種機器の設定を可能とし、一致したものがなかった場合には、その者による各種機器の設定を不可能とすることを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項2】
前記照合処理手段による指紋認証に失敗した回数が所定回数に達した場合には、該照合処理手段は、所定時間が経過するまで、指紋読取手段により読み取られた指紋の情報の受け付けを禁止することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項3】
前記指紋読取手段、前記指紋情報記憶手段、および前記照合処理手段は、各種機器の設定操作を行うための設定操作手段に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセキュリティ装置。
【請求項4】
前記各種機器の設定に関する情報を、前記指紋情報記憶手段に記憶されている指紋の情報に対応付けられて記憶する設定情報記憶手段を備え、
前記照合処理手段による指紋認証の結果、一致したものがあった場合には、前記設定情報記憶手段に記憶されている各種機器の設定に関する情報に基づいて、前記指紋読取手段により読み取られた指紋の情報に対応する各種機器の設定処理が行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセキュリティ装置。
【請求項5】
前記設定情報記憶手段には、指紋の情報に対応付けられて記憶されている各種機器の設定に関する情報が複数記憶されていることを特徴とする請求項4に記載のセキュリティ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−65438(P2008−65438A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240076(P2006−240076)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(596078256)フジ電機工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】