セラミック電子部品
【課題】外部電極を構成しているめっき膜が剥がれにくいセラミック電子部品を提供する。
【解決手段】セラミック電子部品1は、直方体状のセラミック素体10と、第1の外部電極13と、第2の外部電極14とを備えている。第1の外部電極13は、セラミック素体10の外表面の直上に形成されている第1のめっき膜13aを含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第2の外部電極14は、セラミック素体10の外表面の直上に形成されている第2のめっき膜14aを含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第1及び第2のめっき膜13a、14aのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が、1.02以上である。
【解決手段】セラミック電子部品1は、直方体状のセラミック素体10と、第1の外部電極13と、第2の外部電極14とを備えている。第1の外部電極13は、セラミック素体10の外表面の直上に形成されている第1のめっき膜13aを含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第2の外部電極14は、セラミック素体10の外表面の直上に形成されている第2のめっき膜14aを含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第1及び第2のめっき膜13a、14aのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が、1.02以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品に関する。特に、本発明は、直方体状のセラミック素体と、そのセラミック素体の上に形成された外部電極とを備えるセラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電子装置において、セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品が種々使用されている。例えば、下記の特許文献1には、セラミック電子部品の一例として、第1及び第2の内部電極が内部に設けられた直方体状のセラミック素体と、セラミック素体の第1の端面の上に設けられた第1の外部電極と、セラミック素体の第2の端面の上に設けられた第2の外部電極とを備える積層セラミックコンデンサが開示されている。特許文献1では、第1及び第2の外部電極をめっきにより形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2007/049456 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のセラミックコンデンサでは、配線基板上の電極と第1及び第2の外部電極とを半田により接合して実装しようとした場合に、めっき膜の剥がれが生じやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みて成されたものであり、その目的は、外部電極を構成しているめっき膜が剥がれにくいセラミック電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセラミック電子部品は、直方体状のセラミック素体と、第1の外部電極と、第2の外部電極とを備えている。セラミック素体は、互いに対向している第1及び第2の主面と、互いに対向している第1及び第2の側面と、互いに対向している第1及び第2の端面とを有する。第1の外部電極は、セラミック素体の外表面の直上に形成されている第1のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第2の外部電極は、セラミック素体の外表面の直上に形成されている第2のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積は、1.02以上である。
【0007】
本発明に係るセラミック電子部品のある特定の局面では、第1のめっき膜が第1の端面の直上に形成されており、第2のめっき膜が第2の端面の直上に形成されている。
【0008】
本発明に係るセラミック電子部品の他の特定の局面では、第1及び第2のめっき膜のそれぞれが第1及び第2の主面の少なくとも一方の直上に形成されている。
【0009】
本発明に係るセラミック電子部品の別の特定の局面では、セラミック電子部品は、セラミック素体の内部に設けられた複数の第1の内部電極と複数の第2の内部電極とをさらに備える。第1及び第2の外部電極の第1及び第2の内部電極の上に位置する部分の表面がセラミック素体側に向かって凹む凹面となっている。
【0010】
本発明に係るセラミック電子部品のさらに他の特定の局面では、第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.15以下である。
【0011】
本発明に係るセラミック電子部品のさらに別の特定の局面では、第1の外部電極は、第1のめっき膜と、第1のめっき膜の上に形成されている第3のめっき膜と、第3のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第5のめっき膜との積層体からなり、第2の外部電極は、第2のめっき膜と、第2のめっき膜の上に形成されている第4のめっき膜と、第4のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第6のめっき膜との積層体からなる。
【0012】
本発明に係るセラミック電子部品のまたさらに他の特定の局面では、第3及び第4のめっき膜がNiまたはNi合金からなり、第1及び第2のめっき膜は、CuまたはCu合金からなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部電極を構成しているめっき膜が剥がれにくいセラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。
【図2】図1の線II−IIにおける略図的断面図である。
【図3】図2のIII部分を拡大した略図的断面図である。
【図4】図2のIV部分を拡大した略図的断面図である。
【図5】第1の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的側面図である。
【図6】第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【図8】第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【図9】第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。
【図10】第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【図11】第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示すセラミック電子部品1を例に挙げて説明する。但し、下記のセラミック電子部品1は、単なる例示である。本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック電子部品1に何ら限定されない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図2は、図1の線II−IIにおける略図的断面図である。図3は、図2のIII部分を拡大した略図的断面図である。図4は、図2のIV部分を拡大した略図的断面図である。図5は、本実施形態に係るセラミック電子部品の略図的側面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、セラミック電子部品1は、セラミック素体10を備えている。セラミック素体10は、直方体状に形成されている。セラミック素体10は、互いに対向している第1及び第2の主面10a、10bと、互いに対向している第1及び第2の側面10c、10dと、互いに対向している第1及び第2の端面10e、10fとを有する。第1及び第2の主面10a、10bのそれぞれは、長さ方向L及び幅方向Wに沿って延びている。第1及び第2の側面10c、10dのそれぞれは、長さ方向L及び厚み方向Tに沿って延びている。第1及び第2の端面10e、10fのそれぞれは、幅方向W及び厚み方向Tに沿って延びている。なお、長さ方向Lと幅方向Wとは互いに垂直である。厚み方向Tは、長さ方向L及び幅方向Wのそれぞれに対して垂直である。
【0018】
本発明において、「直方体」には、角部や稜線部が丸められた直方体も含まれるものとする。すなわち、セラミック素体10は、角部や稜線部の少なくとも一部が丸められた直方体状に形成されていてもよい。
【0019】
本実施形態においては、図2に示すように、セラミック素体10は、複数のセラミック層15が厚み方向Tに沿って積層された積層体により構成されている。セラミック層15の厚みは、0.5μm〜5μmであることが好ましい。
【0020】
セラミック素体10は、適宜のセラミック材料により形成されている。セラミック素体10を構成するセラミック材料は、セラミック電子部品1の特性などにより適宜選択される。
【0021】
例えば、セラミック電子部品1がセラミックコンデンサ素子である場合は、セラミック素体10は、誘電体セラミックを主成分とする材料により形成することができる。誘電体セラミックの具体例としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などが挙げられる。セラミック素体10には、例えば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を適宜添加してもよい。
【0022】
また、例えば、セラミック電子部品1がセラミック圧電素子である場合には、セラミック素体10は、例えば、圧電セラミックを主成分とする材料により形成することができる。圧電セラミックの具体例としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミックなどが挙げられる。
【0023】
例えば、セラミック電子部品1がサーミスタ素子である場合には、セラミック素体10は、例えば、半導体セラミックにより形成することができる。半導体セラミックの具体例としては、例えば、スピネル系セラミックなどが挙げられる。
【0024】
例えば、セラミック電子部品1がインダクタ素子である場合には、セラミック素体10は、磁性体セラミックにより形成することができる。磁性体セラミックの具体例としては、例えば、フェライトセラミックなどが挙げられる。
【0025】
以下、本実施形態では、セラミック電子部品1が、セラミックコンデンサであり、セラミック素体10が、誘電体セラミックを主成分とする材料により形成されている例について説明する。
【0026】
セラミック素体10の内部には、複数の第1の内部電極11と、複数の第2の内部電極12とが設けられている。第1及び第2の内部電極11,12のそれぞれは、セラミック素体10の内部において、長さ方向L及び幅方向Wに沿って配置されている。第1及び第2の内部電極11,12は、厚み方向Tに沿って交互に配列されている。第1及び第2の内部電極11,12の一部同士は、セラミック層15を介して厚み方向Tにおいて対向している。
【0027】
第1の内部電極11は、第1の端面10eに引き出されている。第1の内部電極11は、第2の端面10f、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dには露出していない。第2の内部電極12は、第2の端面10fに引き出されている。第2の内部電極12は、第1の端面10e、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dには露出していない。
【0028】
第1及び第2の内部電極11,12の厚みは、0.3μm〜2.0μmであることが好ましい。
【0029】
第1及び第2の内部電極11,12は、導電性を有するものである限りにおいて特に限定されない。第1及び第2の内部電極11,12は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag−Pd合金などの、これらの金属のうちの少なくとも一種を含む合金により形成することができる。
【0030】
セラミック素体10の第1の端面10eの上には、第1の外部電極13が形成されている。第1の外部電極13は、第1の内部電極11に接続されている。一方、セラミック素体10の第2の端面10fの上には、第2の外部電極14が形成されている。第2の外部電極14は、第2の内部電極12に接続されている。なお、本実施形態では、第1及び第2の外部電極13,14は、第1または第2の端面10e、10fの上にのみ形成されているが、第1及び第2の外部電極13,14のそれぞれの一部は、主面10a、10bや側面10c、10dの上に形成されていてもよい。
【0031】
本実施形態では、第1及び第2の外部電極13,14それぞれは、少なくともひとつのめっき膜により構成されている。具体的には、本実施形態では、第1及び第2の外部電極13,14それぞれは、複数のめっき膜の積層体により構成されている。
【0032】
より具体的には、第1の外部電極13は、めっき膜13a〜13cの積層体により構成されている。めっき膜13aは、第1の端面10eの直上に形成されている。めっき膜13bは、めっき膜13aの上に形成されている。めっき膜13cは、めっき膜13bの上に形成されている。ただし、第1の外部電極13は、めっき膜13aだけで形成されていてもよい。
【0033】
第2の外部電極14は、めっき膜14a〜14cの積層体により構成されている。めっき膜14aは、第2の端面10fの直上に形成されている。めっき膜14bは、めっき膜14aの上に形成されている。めっき膜14cは、めっき膜14bの上に形成されている。ただし、第2の外部電極14は、めっき膜14aだけで形成されていてもよい。
【0034】
第1または第2の端面10e、10fの直上に形成されているめっき膜13a、14aは、例えば、CuまたはCu合金からなるめっき膜により構成することができる。例えば、第1及び第2の内部電極11,12をNiまたはNi合金からなるにより構成し、めっき膜13a、14aをCuまたはCu合金からなるめっき膜により構成することにより、第1及び第2の内部電極11,12とめっき膜13a、14aとの接合強度を高めることができる。
【0035】
めっき膜13a、14aの厚みは、特に限定されないが、例えば、2.5μm〜10μmとすることができる。
【0036】
めっき膜13a、14aの上に形成されているめっき膜13b、14bは、半田と第1及び第2の外部電極13,14との接合強度を高めるためのめっき膜である。このため、めっき膜13a、14aは、半田に対する親和性が高く、且つめっき膜13a、14aに対する親和性も高いものであることが好ましい。めっき膜13b、14bは、例えば、NiまたはNi合金からなるめっき膜により構成することができる。
【0037】
めっき膜13b、14bの厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜5μmであることが好ましい。めっき膜13b、14bの厚みが5μmより厚くなる場合、めっき膜13a、14aの凹凸が平滑になってしまい、本発明の効果が得られにくくなる場合がある。
【0038】
本実施形態では、めっき膜13b、14bの上に形成されているめっき膜13c、14cは、SnまたはSn合金からなるめっき膜である。このため、第1及び第2の外部電極13,14に半田を接合させる際には、めっき膜13c、14cは実質的に溶解し、半田と一体になる。半田とは、めっき膜13b、14bが実質的に接合されることとなる。
【0039】
めっき膜13c、14cの厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
【0040】
ここで、本実施形態では、第1または第2の端面10e、10fの直上に形成されているめっき膜13a、13bのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積(以下、「Sレシオ」と称呼する。)が1.02以上とされている。このため、下記の実験例においても裏付けられるように、第1及び第2の外部電極13,14は、めっき膜13a、14aとめっき膜13b、14bとの接合強度が高く、めっき膜13b、14bが剥がれにくい。また、Sレシオを1.02〜1.15にすることにより、第1及び第2の外部電極13,14のめっき膜13a、14aとめっき膜13b、14bとの接合強度だけでなく、第1及び第2の外部電極13,14の半田に対する濡れ性も向上することができる。
【0041】
めっき膜13a、13bのSレシオが小さすぎると、めっき膜13b、14bが剥がれやすくなってしまう。これは、めっき膜13a、14aとめっき膜13b、14bとの接合界面の面積が小さくなるためであると考えられる。
【0042】
一方、めっき膜13a、14aのSレシオが大きすぎると、第1及び第2の外部電極13,14の半田に対する濡れ性が低くなってしまう。これは、第1及び第2の外部電極13,14の表面の凹凸が大きくなりすぎるためであると考えられる。
【0043】
なお、上述の通り、最外層に位置するめっき膜13c、14cは、半田による実装時に半田に溶解する。このため、第1及び第2の外部電極13,14は、半田とはめっき膜13b、14bの表面において接合することとなる。このため、直接的には、めっき膜13b、14bのSレシオが半田濡れ性に影響を及ぼすものと考えられる。ここで、めっき膜13b、14bが5μm以下の範囲内であれば、めっき膜13a、14aが、薄く形成されているため、めっき膜13b、14bのSレシオは、めっき膜13a、14aのSレシオと実質的に等しくなる。このため、めっき膜13b、14bのSレシオを好適な範囲とすることにより、好適な半田濡れ性を得ることができる。
【0044】
なお、本発明において、Sレシオは、以下の要領で測定することができる。
【0045】
まず、めっき膜13a、14aを露出させる。具体的には、例えば、めっき膜13b、13c、14b、14cが形成されている場合は、めっき膜13b、13c、14b、14cを除去することによりめっき膜13a、14aを露出させる。めっき膜13b、13c、14b、14cの除去は、例えば、めっき膜13b、14bがNiめっき膜であり、めっき膜13c、14cがSnめっき膜である場合は、50mlの蒸留水と、50mlの89%エタノール、50mlの32%塩酸及び10gの硫酸銅(II)を混合した水溶液中に、セラミック電子部品1を浸漬することによって行うことができる。
【0046】
次に、片方のめっき膜13cの中央部に位置する領域A(図5を参照)に位置する50μm四方の測定範囲における表面積を、走査型プローブ顯微鏡を用いて測定する。より具体的には、50μm四方の測定範囲において、256×256点のスキャンを行い、その各点を直線で結んで255×255個の四辺形を形成する。これら255×255個の四辺形の総面積を算出する。そして、得られた総面積を50μm四方の測定範囲における表面積とする。そして、その表面積を、測定範囲の面積である2500μm2で除算することによりめっき膜13aのSレシオを得ることができる。めっき膜14aのSレシオも同様にして算出することができる。ここで、片方のめっき膜13cの中央部に位置する領域A(図5を参照)だけを測定している理由としては、めっき膜13cはその表面形状が一様に形成されているため、めっき膜13cの中央部に位置する領域Aだけで、全体のSレシオとみなすことができるためである。
【0047】
本実施形態のセラミック電子部品1の製造方法は、特に限定されない。セラミック電子部品1は、例えば以下の要領で製造することができる。
【0048】
まず、セラミック素体10を形成するためのセラミックグリーンシートを用意する。セラミックグリーンシートは、例えば、スクリーン印刷法などの各種印刷法により形成することができる。
【0049】
次に、セラミックグリーンシートに導電性ペーストを印刷することにより内部電極形成用パターンを形成する。なお、内部電極形成用パターンの印刷は、スクリーン印刷法などにより行うことができる。内部電極形成用パターンの印刷に用いるペーストは、導電性微粒子に加えて、有機バインダーや有機溶剤を含むものであってもよい。
【0050】
次に、内部電極形成用パターンが印刷されていない外層部形成用のセラミックグリーンシートを複数枚積層し、その上に、内部電極形成用パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを順次積層し、さらにその上に、内部電極形成用パターンが印刷されていない外層部形成用のセラミックグリーンシートを複数枚積層することにより、マザー積層体を作成する。なお、マザー積層体を静水圧プレス手段などを用いて積層方向にプレスしてもよい。
【0051】
次に、マザー積層体から、生のセラミック積層体を切り出す。この生のセラミック積層体にバレル研磨などを施すことにより角部や稜線部を面取り状またはR面取り状に加工してもよい。
【0052】
次に、生のセラミック積層体を焼成することにより、セラミック素体を得る。焼成温度は、セラミック積層体の組成等に応じて適宜設定することができる。焼成温度は、例えば、900℃〜1300℃程度とすることができる。
【0053】
次に、めっき工程を順次行うことにより、めっき膜13a〜13c、14a〜14cの積層体からなる第1及び第2の外部電極13,14を形成することにより、セラミック電子部品1を完成させることができる。
【0054】
なお、めっき膜13a〜13c、14a〜14cは、電解めっき法により形成することもできるし、無電解めっき法により形成することもできる。なお、めっき膜の形成後、必要に応じて熱処理等を行っても良い。
【0055】
本実施形態では、めっき膜13a、14a形成後に熱処理を行うことにより、めっき膜13a、14aと内部電極11,12とを相互拡散させ、合金化させる。ここで、めっき膜13a、14aの金属と内部電極11,12が相互に拡散することによって、内部電極11,12上のめっき膜13a、14aの表面がセラミック素体10に向かって凹む、凹部形状となる。ここで、めっき膜13a、14aと内部電極11,12とを合金化させることによって、めっき膜13a、14aの金属が内部電極11,12に拡散し、めっき膜13a、14aの内部電極11,12上に位置する部分の表面が、セラミック素体10に向かって凹む凹面となる。これは、例えば、めっき膜13a、14aの金属がCu、内部電極11,12がNiの場合、めっき膜13a、14aのCuの拡散係数は、内部電極11,12のNiの拡散係数よりも高いため、めっき膜13a、14aのCuはエネルギー的に不安定になる。不安定なエネルギーは安定した場所、つまり、拡散係数の低い内部電極11,12のNiの方に移動する特性があるため、このような凹部形状になる。
【0056】
上記製造方法において、めっき膜13a、14aのSレシオは、例えば、めっき膜13a、14a形成後の熱処理条件、めっき膜13a、14aの厚み、成長速度等により制御することができる。具体的には、例えば、めっき膜13a、14aを薄くしたり、めっき膜13a、14a形成後の熱処理温度を高くしたり、熱処理時間を長くしたりすることにより、Sレシオを大きくすることができる。また、例えば、めっき膜13a、14aを厚くしたり、めっき膜13a、14a形成後の熱処理温度を低くしたり、熱処理時間を短くしたりすることにより、Sレシオを小さくすることができる。
【0057】
なお、めっき膜13a、14a形成後の熱処理温度を高くしたり、熱処理時間を長くしたりすることによりSレシオを大きくできるのは、めっき膜13a、14aと内部電極11,12との合金化が進行し、端面10e、10fのSレシオが大きくなるためであると考えられる。
【0058】
以下、本発明を実施した好ましい形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0059】
(第2及び第3の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図7は、第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。図8は、第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。図9は、第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図10は、第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。図11は、第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【0060】
第2及び第3の実施形態に係るセラミック電子部品2,3は、第1及び第2の内部電極11,12と第1及び第2の外部電極13,14との構成以外は、上記第1の実施形態に係るセラミック電子部品1と実質的に同様の構成を有する。
【0061】
第2の実施形態に係るセラミック電子部品2では、図6〜図8に示すように、第1の外部電極13は、第1の主面10a上に形成された第1の電極部13Aと、第2の主面10bの上に形成された第2の電極部13Bとを有する。第2の外部電極14は、第1の主面10a上に形成された第1の電極部14Aと、第2の主面10bの上に形成された第2の電極部14Bとを有する。第1及び第2の電極部13A、13Bは、長さ方向LのL1側に位置しており、第1及び第2の電極部14A、14Bは、長さ方向LのL2側に位置している。
【0062】
第3の実施形態に係るセラミック電子部品3では、図9〜図11に示すように、第1及び第2の外部電極13,14のそれぞれは、第2の主面10bの上に形成されている。
【0063】
第2及び第3の実施形態のいずれにおいても、複数の第1及び第2の内部電極11,12のそれぞれは、長さ方向L及び厚み方向Tに沿って設けられている。複数の第1及び第2の内部電極11,12は、幅方向Wにおいて交互に積層されている。
【0064】
第2及び第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、第1の外部電極13は、めっき膜13a〜13cの積層体により構成されており、第2の外部電極14は、めっき膜14a〜14cの積層体により構成されている。そして、第1及び第2のめっき膜13a、14aのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.02以上とされている。従って、上記第1の実施形態と同様に、第2及び第3の実施形態においても、めっき膜13a、14aが剥がれにくくなる。また、第1及び第2のめっき膜13a、14aのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.02〜1.15とすることで、外部電極13,14は、優れた半田濡れ性を実現できる。なお、第2及び第3の実施形態も、第1の実施形態と同様に、めっき膜13cの中央部に位置する50μm四方においてSレシオを測定する。
【0065】
以下、具体的な実験例に基づいて本発明についてさらに詳細に説明する。
【0066】
(実験例)
上記第1の実施形態に係るセラミック電子部品1と実質的に同様の構成を有するセラミックコンデンサを、上記第1の実施形態において説明した製造方法により、下記の条件で作製した。なお、実験例1〜6のそれぞれについてサンプルを作製し、Sレシオが、表1の値になっているのを200個準備した。なお、実験例1においては、小数点第4位以下を、実験例2〜6においては、少数点第3位以下を四捨五入して算出した。
【0067】
セラミックコンデンサの寸法:長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mm
セラミック素体の材質:チタン酸バリウム系誘電体セラミック
内部電極の主成分:Ni
内部電極の厚み:0.5μm
内部電極の総数:230層
セラミック層の厚さ:1.1μm
定格電圧:6.3V
静電容量:2.2μF
めっき膜13a、14a:Cuめっき膜
めっき膜13a、14aの厚み:6.5μm
めっき膜13a、14aの形成に用いためっき浴:上村工業社製ピロブライトプロセス(pH:8.8,55℃)
熱処理条件:
実験例1:熱処理なし、
実験例2:700℃で20分、
実験例3:700℃で60分、
実験例4:700℃で120分、
実験例5:700℃で180分、
実験例6:700℃で240分
めっき膜13b、14b:Niめっき膜
めっき膜13b、14bの厚み:約4μm
めっき膜13b、14bの形成に用いためっき浴:ワット浴(弱酸性単純Ni浴)(pH:4.2,60℃)
めっき膜13c、14c:Snめっき膜
めっき膜13c、14cの厚み:約4μm
めっき膜13c、14cの形成に用いためっき浴:ディップソール社製Sn−235(pH:5.0、33℃)
めっき膜13a〜13c、14a〜14cの加工条件:
工法:水平回転バレル方式
回転数:12rpm
導電性メディアの直径:0.4mm
めっき膜13a、14aの形成における電流密度×時間:0.5A/dm2×70分、
めっき膜13b、14bの形成における電流密度×時間:0.4A/dm2×60分
めっき膜13c、14cの形成における電流密度×時間:0.1A/dm2×60分
【0068】
実験例1〜6において作製したセラミックコンデンサにおけるめっき膜13a、14aのSレシオを上記第1の実施形態で説明した方法により測定した。結果を下記の表1に示す。
【0069】
(めっき膜13b、14bの接合強度)
実験例1〜6において作製したセラミックコンデンサ100個を、105℃、100%Rhの雰囲気に4時間放置した。その後、ガラスエポキシ基板にはんだ実装し、セラミックコンデンサの側面に、加圧治具を0.7mm/secのスピードで押し当て、加圧治具による加圧力が5Nに達した際にめっき膜13a、13bとめっき膜13b、14bとの間に剥離が発生したか否かを検査した。加圧治具による加圧力が5Nに達した際にめっき膜13a、13bとめっき膜13b、14bとの間に剥離が発生しなかった場合を合格とし、剥離が発生した場合を不合格(NG)とし、100サンプルあたりの不合格数を求めた。結果を下記の表1に示す。
【0070】
(半田濡れ性試験)
実験例1〜6において作製したセラミックコンデンサ100個を、105℃、100%Rhの雰囲気に4時間放置した。その後、外部電極の半田濡れ性を検査した。具体的には、ソルダーチェッカ(総合機)(Model:SAT−5100、レスカ社製)を用いて、濡れ開始時間、濡れ上がり時間、最大濡れ力を測定した。その後、濡れ上がり時間と最大濡れ力が判定基準を満足するかで判定した。濡れ開始時間(T0)+濡れ上がり時間(T1)がT0+T1≦1.0秒、最大濡れ力(Fmax)≧0.25mNを満たしているものを合格とし、上記2式が満足されなかった場合を不合格(NG)とし、100サンプルあたりの不合格数を求めた。結果を下記の表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
上記表1に示すように、めっき膜13a、14aのSレシオを1.02以上とすることにより、めっき膜13b、14bの剥離を効果的に抑制できることが分かる。また、めっき膜13a、14aのSレシオを1.02〜1.15の範囲内にすることにより、優れた半田濡れ性も実現することが可能になる。
【符号の説明】
【0073】
1〜3…セラミック電子部品
10…セラミック素体
10a…第1の主面
10b…第2の主面
10c…第1の側面
10d…第2の側面
10e…第1の端面
10f…第2の端面
11…第1の内部電極
12…第2の内部電極
13…第1の外部電極
13A,14A,13B,14B…電極部
14…第2の外部電極
13a〜13c、14a〜14c…めっき膜
15…セラミック層
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品に関する。特に、本発明は、直方体状のセラミック素体と、そのセラミック素体の上に形成された外部電極とを備えるセラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電子装置において、セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品が種々使用されている。例えば、下記の特許文献1には、セラミック電子部品の一例として、第1及び第2の内部電極が内部に設けられた直方体状のセラミック素体と、セラミック素体の第1の端面の上に設けられた第1の外部電極と、セラミック素体の第2の端面の上に設けられた第2の外部電極とを備える積層セラミックコンデンサが開示されている。特許文献1では、第1及び第2の外部電極をめっきにより形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2007/049456 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のセラミックコンデンサでは、配線基板上の電極と第1及び第2の外部電極とを半田により接合して実装しようとした場合に、めっき膜の剥がれが生じやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みて成されたものであり、その目的は、外部電極を構成しているめっき膜が剥がれにくいセラミック電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセラミック電子部品は、直方体状のセラミック素体と、第1の外部電極と、第2の外部電極とを備えている。セラミック素体は、互いに対向している第1及び第2の主面と、互いに対向している第1及び第2の側面と、互いに対向している第1及び第2の端面とを有する。第1の外部電極は、セラミック素体の外表面の直上に形成されている第1のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第2の外部電極は、セラミック素体の外表面の直上に形成されている第2のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる。第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積は、1.02以上である。
【0007】
本発明に係るセラミック電子部品のある特定の局面では、第1のめっき膜が第1の端面の直上に形成されており、第2のめっき膜が第2の端面の直上に形成されている。
【0008】
本発明に係るセラミック電子部品の他の特定の局面では、第1及び第2のめっき膜のそれぞれが第1及び第2の主面の少なくとも一方の直上に形成されている。
【0009】
本発明に係るセラミック電子部品の別の特定の局面では、セラミック電子部品は、セラミック素体の内部に設けられた複数の第1の内部電極と複数の第2の内部電極とをさらに備える。第1及び第2の外部電極の第1及び第2の内部電極の上に位置する部分の表面がセラミック素体側に向かって凹む凹面となっている。
【0010】
本発明に係るセラミック電子部品のさらに他の特定の局面では、第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.15以下である。
【0011】
本発明に係るセラミック電子部品のさらに別の特定の局面では、第1の外部電極は、第1のめっき膜と、第1のめっき膜の上に形成されている第3のめっき膜と、第3のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第5のめっき膜との積層体からなり、第2の外部電極は、第2のめっき膜と、第2のめっき膜の上に形成されている第4のめっき膜と、第4のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第6のめっき膜との積層体からなる。
【0012】
本発明に係るセラミック電子部品のまたさらに他の特定の局面では、第3及び第4のめっき膜がNiまたはNi合金からなり、第1及び第2のめっき膜は、CuまたはCu合金からなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部電極を構成しているめっき膜が剥がれにくいセラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。
【図2】図1の線II−IIにおける略図的断面図である。
【図3】図2のIII部分を拡大した略図的断面図である。
【図4】図2のIV部分を拡大した略図的断面図である。
【図5】第1の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的側面図である。
【図6】第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【図8】第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【図9】第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。
【図10】第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【図11】第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示すセラミック電子部品1を例に挙げて説明する。但し、下記のセラミック電子部品1は、単なる例示である。本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック電子部品1に何ら限定されない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図2は、図1の線II−IIにおける略図的断面図である。図3は、図2のIII部分を拡大した略図的断面図である。図4は、図2のIV部分を拡大した略図的断面図である。図5は、本実施形態に係るセラミック電子部品の略図的側面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、セラミック電子部品1は、セラミック素体10を備えている。セラミック素体10は、直方体状に形成されている。セラミック素体10は、互いに対向している第1及び第2の主面10a、10bと、互いに対向している第1及び第2の側面10c、10dと、互いに対向している第1及び第2の端面10e、10fとを有する。第1及び第2の主面10a、10bのそれぞれは、長さ方向L及び幅方向Wに沿って延びている。第1及び第2の側面10c、10dのそれぞれは、長さ方向L及び厚み方向Tに沿って延びている。第1及び第2の端面10e、10fのそれぞれは、幅方向W及び厚み方向Tに沿って延びている。なお、長さ方向Lと幅方向Wとは互いに垂直である。厚み方向Tは、長さ方向L及び幅方向Wのそれぞれに対して垂直である。
【0018】
本発明において、「直方体」には、角部や稜線部が丸められた直方体も含まれるものとする。すなわち、セラミック素体10は、角部や稜線部の少なくとも一部が丸められた直方体状に形成されていてもよい。
【0019】
本実施形態においては、図2に示すように、セラミック素体10は、複数のセラミック層15が厚み方向Tに沿って積層された積層体により構成されている。セラミック層15の厚みは、0.5μm〜5μmであることが好ましい。
【0020】
セラミック素体10は、適宜のセラミック材料により形成されている。セラミック素体10を構成するセラミック材料は、セラミック電子部品1の特性などにより適宜選択される。
【0021】
例えば、セラミック電子部品1がセラミックコンデンサ素子である場合は、セラミック素体10は、誘電体セラミックを主成分とする材料により形成することができる。誘電体セラミックの具体例としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などが挙げられる。セラミック素体10には、例えば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を適宜添加してもよい。
【0022】
また、例えば、セラミック電子部品1がセラミック圧電素子である場合には、セラミック素体10は、例えば、圧電セラミックを主成分とする材料により形成することができる。圧電セラミックの具体例としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミックなどが挙げられる。
【0023】
例えば、セラミック電子部品1がサーミスタ素子である場合には、セラミック素体10は、例えば、半導体セラミックにより形成することができる。半導体セラミックの具体例としては、例えば、スピネル系セラミックなどが挙げられる。
【0024】
例えば、セラミック電子部品1がインダクタ素子である場合には、セラミック素体10は、磁性体セラミックにより形成することができる。磁性体セラミックの具体例としては、例えば、フェライトセラミックなどが挙げられる。
【0025】
以下、本実施形態では、セラミック電子部品1が、セラミックコンデンサであり、セラミック素体10が、誘電体セラミックを主成分とする材料により形成されている例について説明する。
【0026】
セラミック素体10の内部には、複数の第1の内部電極11と、複数の第2の内部電極12とが設けられている。第1及び第2の内部電極11,12のそれぞれは、セラミック素体10の内部において、長さ方向L及び幅方向Wに沿って配置されている。第1及び第2の内部電極11,12は、厚み方向Tに沿って交互に配列されている。第1及び第2の内部電極11,12の一部同士は、セラミック層15を介して厚み方向Tにおいて対向している。
【0027】
第1の内部電極11は、第1の端面10eに引き出されている。第1の内部電極11は、第2の端面10f、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dには露出していない。第2の内部電極12は、第2の端面10fに引き出されている。第2の内部電極12は、第1の端面10e、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dには露出していない。
【0028】
第1及び第2の内部電極11,12の厚みは、0.3μm〜2.0μmであることが好ましい。
【0029】
第1及び第2の内部電極11,12は、導電性を有するものである限りにおいて特に限定されない。第1及び第2の内部電極11,12は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag−Pd合金などの、これらの金属のうちの少なくとも一種を含む合金により形成することができる。
【0030】
セラミック素体10の第1の端面10eの上には、第1の外部電極13が形成されている。第1の外部電極13は、第1の内部電極11に接続されている。一方、セラミック素体10の第2の端面10fの上には、第2の外部電極14が形成されている。第2の外部電極14は、第2の内部電極12に接続されている。なお、本実施形態では、第1及び第2の外部電極13,14は、第1または第2の端面10e、10fの上にのみ形成されているが、第1及び第2の外部電極13,14のそれぞれの一部は、主面10a、10bや側面10c、10dの上に形成されていてもよい。
【0031】
本実施形態では、第1及び第2の外部電極13,14それぞれは、少なくともひとつのめっき膜により構成されている。具体的には、本実施形態では、第1及び第2の外部電極13,14それぞれは、複数のめっき膜の積層体により構成されている。
【0032】
より具体的には、第1の外部電極13は、めっき膜13a〜13cの積層体により構成されている。めっき膜13aは、第1の端面10eの直上に形成されている。めっき膜13bは、めっき膜13aの上に形成されている。めっき膜13cは、めっき膜13bの上に形成されている。ただし、第1の外部電極13は、めっき膜13aだけで形成されていてもよい。
【0033】
第2の外部電極14は、めっき膜14a〜14cの積層体により構成されている。めっき膜14aは、第2の端面10fの直上に形成されている。めっき膜14bは、めっき膜14aの上に形成されている。めっき膜14cは、めっき膜14bの上に形成されている。ただし、第2の外部電極14は、めっき膜14aだけで形成されていてもよい。
【0034】
第1または第2の端面10e、10fの直上に形成されているめっき膜13a、14aは、例えば、CuまたはCu合金からなるめっき膜により構成することができる。例えば、第1及び第2の内部電極11,12をNiまたはNi合金からなるにより構成し、めっき膜13a、14aをCuまたはCu合金からなるめっき膜により構成することにより、第1及び第2の内部電極11,12とめっき膜13a、14aとの接合強度を高めることができる。
【0035】
めっき膜13a、14aの厚みは、特に限定されないが、例えば、2.5μm〜10μmとすることができる。
【0036】
めっき膜13a、14aの上に形成されているめっき膜13b、14bは、半田と第1及び第2の外部電極13,14との接合強度を高めるためのめっき膜である。このため、めっき膜13a、14aは、半田に対する親和性が高く、且つめっき膜13a、14aに対する親和性も高いものであることが好ましい。めっき膜13b、14bは、例えば、NiまたはNi合金からなるめっき膜により構成することができる。
【0037】
めっき膜13b、14bの厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜5μmであることが好ましい。めっき膜13b、14bの厚みが5μmより厚くなる場合、めっき膜13a、14aの凹凸が平滑になってしまい、本発明の効果が得られにくくなる場合がある。
【0038】
本実施形態では、めっき膜13b、14bの上に形成されているめっき膜13c、14cは、SnまたはSn合金からなるめっき膜である。このため、第1及び第2の外部電極13,14に半田を接合させる際には、めっき膜13c、14cは実質的に溶解し、半田と一体になる。半田とは、めっき膜13b、14bが実質的に接合されることとなる。
【0039】
めっき膜13c、14cの厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
【0040】
ここで、本実施形態では、第1または第2の端面10e、10fの直上に形成されているめっき膜13a、13bのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積(以下、「Sレシオ」と称呼する。)が1.02以上とされている。このため、下記の実験例においても裏付けられるように、第1及び第2の外部電極13,14は、めっき膜13a、14aとめっき膜13b、14bとの接合強度が高く、めっき膜13b、14bが剥がれにくい。また、Sレシオを1.02〜1.15にすることにより、第1及び第2の外部電極13,14のめっき膜13a、14aとめっき膜13b、14bとの接合強度だけでなく、第1及び第2の外部電極13,14の半田に対する濡れ性も向上することができる。
【0041】
めっき膜13a、13bのSレシオが小さすぎると、めっき膜13b、14bが剥がれやすくなってしまう。これは、めっき膜13a、14aとめっき膜13b、14bとの接合界面の面積が小さくなるためであると考えられる。
【0042】
一方、めっき膜13a、14aのSレシオが大きすぎると、第1及び第2の外部電極13,14の半田に対する濡れ性が低くなってしまう。これは、第1及び第2の外部電極13,14の表面の凹凸が大きくなりすぎるためであると考えられる。
【0043】
なお、上述の通り、最外層に位置するめっき膜13c、14cは、半田による実装時に半田に溶解する。このため、第1及び第2の外部電極13,14は、半田とはめっき膜13b、14bの表面において接合することとなる。このため、直接的には、めっき膜13b、14bのSレシオが半田濡れ性に影響を及ぼすものと考えられる。ここで、めっき膜13b、14bが5μm以下の範囲内であれば、めっき膜13a、14aが、薄く形成されているため、めっき膜13b、14bのSレシオは、めっき膜13a、14aのSレシオと実質的に等しくなる。このため、めっき膜13b、14bのSレシオを好適な範囲とすることにより、好適な半田濡れ性を得ることができる。
【0044】
なお、本発明において、Sレシオは、以下の要領で測定することができる。
【0045】
まず、めっき膜13a、14aを露出させる。具体的には、例えば、めっき膜13b、13c、14b、14cが形成されている場合は、めっき膜13b、13c、14b、14cを除去することによりめっき膜13a、14aを露出させる。めっき膜13b、13c、14b、14cの除去は、例えば、めっき膜13b、14bがNiめっき膜であり、めっき膜13c、14cがSnめっき膜である場合は、50mlの蒸留水と、50mlの89%エタノール、50mlの32%塩酸及び10gの硫酸銅(II)を混合した水溶液中に、セラミック電子部品1を浸漬することによって行うことができる。
【0046】
次に、片方のめっき膜13cの中央部に位置する領域A(図5を参照)に位置する50μm四方の測定範囲における表面積を、走査型プローブ顯微鏡を用いて測定する。より具体的には、50μm四方の測定範囲において、256×256点のスキャンを行い、その各点を直線で結んで255×255個の四辺形を形成する。これら255×255個の四辺形の総面積を算出する。そして、得られた総面積を50μm四方の測定範囲における表面積とする。そして、その表面積を、測定範囲の面積である2500μm2で除算することによりめっき膜13aのSレシオを得ることができる。めっき膜14aのSレシオも同様にして算出することができる。ここで、片方のめっき膜13cの中央部に位置する領域A(図5を参照)だけを測定している理由としては、めっき膜13cはその表面形状が一様に形成されているため、めっき膜13cの中央部に位置する領域Aだけで、全体のSレシオとみなすことができるためである。
【0047】
本実施形態のセラミック電子部品1の製造方法は、特に限定されない。セラミック電子部品1は、例えば以下の要領で製造することができる。
【0048】
まず、セラミック素体10を形成するためのセラミックグリーンシートを用意する。セラミックグリーンシートは、例えば、スクリーン印刷法などの各種印刷法により形成することができる。
【0049】
次に、セラミックグリーンシートに導電性ペーストを印刷することにより内部電極形成用パターンを形成する。なお、内部電極形成用パターンの印刷は、スクリーン印刷法などにより行うことができる。内部電極形成用パターンの印刷に用いるペーストは、導電性微粒子に加えて、有機バインダーや有機溶剤を含むものであってもよい。
【0050】
次に、内部電極形成用パターンが印刷されていない外層部形成用のセラミックグリーンシートを複数枚積層し、その上に、内部電極形成用パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを順次積層し、さらにその上に、内部電極形成用パターンが印刷されていない外層部形成用のセラミックグリーンシートを複数枚積層することにより、マザー積層体を作成する。なお、マザー積層体を静水圧プレス手段などを用いて積層方向にプレスしてもよい。
【0051】
次に、マザー積層体から、生のセラミック積層体を切り出す。この生のセラミック積層体にバレル研磨などを施すことにより角部や稜線部を面取り状またはR面取り状に加工してもよい。
【0052】
次に、生のセラミック積層体を焼成することにより、セラミック素体を得る。焼成温度は、セラミック積層体の組成等に応じて適宜設定することができる。焼成温度は、例えば、900℃〜1300℃程度とすることができる。
【0053】
次に、めっき工程を順次行うことにより、めっき膜13a〜13c、14a〜14cの積層体からなる第1及び第2の外部電極13,14を形成することにより、セラミック電子部品1を完成させることができる。
【0054】
なお、めっき膜13a〜13c、14a〜14cは、電解めっき法により形成することもできるし、無電解めっき法により形成することもできる。なお、めっき膜の形成後、必要に応じて熱処理等を行っても良い。
【0055】
本実施形態では、めっき膜13a、14a形成後に熱処理を行うことにより、めっき膜13a、14aと内部電極11,12とを相互拡散させ、合金化させる。ここで、めっき膜13a、14aの金属と内部電極11,12が相互に拡散することによって、内部電極11,12上のめっき膜13a、14aの表面がセラミック素体10に向かって凹む、凹部形状となる。ここで、めっき膜13a、14aと内部電極11,12とを合金化させることによって、めっき膜13a、14aの金属が内部電極11,12に拡散し、めっき膜13a、14aの内部電極11,12上に位置する部分の表面が、セラミック素体10に向かって凹む凹面となる。これは、例えば、めっき膜13a、14aの金属がCu、内部電極11,12がNiの場合、めっき膜13a、14aのCuの拡散係数は、内部電極11,12のNiの拡散係数よりも高いため、めっき膜13a、14aのCuはエネルギー的に不安定になる。不安定なエネルギーは安定した場所、つまり、拡散係数の低い内部電極11,12のNiの方に移動する特性があるため、このような凹部形状になる。
【0056】
上記製造方法において、めっき膜13a、14aのSレシオは、例えば、めっき膜13a、14a形成後の熱処理条件、めっき膜13a、14aの厚み、成長速度等により制御することができる。具体的には、例えば、めっき膜13a、14aを薄くしたり、めっき膜13a、14a形成後の熱処理温度を高くしたり、熱処理時間を長くしたりすることにより、Sレシオを大きくすることができる。また、例えば、めっき膜13a、14aを厚くしたり、めっき膜13a、14a形成後の熱処理温度を低くしたり、熱処理時間を短くしたりすることにより、Sレシオを小さくすることができる。
【0057】
なお、めっき膜13a、14a形成後の熱処理温度を高くしたり、熱処理時間を長くしたりすることによりSレシオを大きくできるのは、めっき膜13a、14aと内部電極11,12との合金化が進行し、端面10e、10fのSレシオが大きくなるためであると考えられる。
【0058】
以下、本発明を実施した好ましい形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0059】
(第2及び第3の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図7は、第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。図8は、第2の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。図9は、第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図10は、第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。図11は、第3の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【0060】
第2及び第3の実施形態に係るセラミック電子部品2,3は、第1及び第2の内部電極11,12と第1及び第2の外部電極13,14との構成以外は、上記第1の実施形態に係るセラミック電子部品1と実質的に同様の構成を有する。
【0061】
第2の実施形態に係るセラミック電子部品2では、図6〜図8に示すように、第1の外部電極13は、第1の主面10a上に形成された第1の電極部13Aと、第2の主面10bの上に形成された第2の電極部13Bとを有する。第2の外部電極14は、第1の主面10a上に形成された第1の電極部14Aと、第2の主面10bの上に形成された第2の電極部14Bとを有する。第1及び第2の電極部13A、13Bは、長さ方向LのL1側に位置しており、第1及び第2の電極部14A、14Bは、長さ方向LのL2側に位置している。
【0062】
第3の実施形態に係るセラミック電子部品3では、図9〜図11に示すように、第1及び第2の外部電極13,14のそれぞれは、第2の主面10bの上に形成されている。
【0063】
第2及び第3の実施形態のいずれにおいても、複数の第1及び第2の内部電極11,12のそれぞれは、長さ方向L及び厚み方向Tに沿って設けられている。複数の第1及び第2の内部電極11,12は、幅方向Wにおいて交互に積層されている。
【0064】
第2及び第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、第1の外部電極13は、めっき膜13a〜13cの積層体により構成されており、第2の外部電極14は、めっき膜14a〜14cの積層体により構成されている。そして、第1及び第2のめっき膜13a、14aのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.02以上とされている。従って、上記第1の実施形態と同様に、第2及び第3の実施形態においても、めっき膜13a、14aが剥がれにくくなる。また、第1及び第2のめっき膜13a、14aのそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.02〜1.15とすることで、外部電極13,14は、優れた半田濡れ性を実現できる。なお、第2及び第3の実施形態も、第1の実施形態と同様に、めっき膜13cの中央部に位置する50μm四方においてSレシオを測定する。
【0065】
以下、具体的な実験例に基づいて本発明についてさらに詳細に説明する。
【0066】
(実験例)
上記第1の実施形態に係るセラミック電子部品1と実質的に同様の構成を有するセラミックコンデンサを、上記第1の実施形態において説明した製造方法により、下記の条件で作製した。なお、実験例1〜6のそれぞれについてサンプルを作製し、Sレシオが、表1の値になっているのを200個準備した。なお、実験例1においては、小数点第4位以下を、実験例2〜6においては、少数点第3位以下を四捨五入して算出した。
【0067】
セラミックコンデンサの寸法:長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mm
セラミック素体の材質:チタン酸バリウム系誘電体セラミック
内部電極の主成分:Ni
内部電極の厚み:0.5μm
内部電極の総数:230層
セラミック層の厚さ:1.1μm
定格電圧:6.3V
静電容量:2.2μF
めっき膜13a、14a:Cuめっき膜
めっき膜13a、14aの厚み:6.5μm
めっき膜13a、14aの形成に用いためっき浴:上村工業社製ピロブライトプロセス(pH:8.8,55℃)
熱処理条件:
実験例1:熱処理なし、
実験例2:700℃で20分、
実験例3:700℃で60分、
実験例4:700℃で120分、
実験例5:700℃で180分、
実験例6:700℃で240分
めっき膜13b、14b:Niめっき膜
めっき膜13b、14bの厚み:約4μm
めっき膜13b、14bの形成に用いためっき浴:ワット浴(弱酸性単純Ni浴)(pH:4.2,60℃)
めっき膜13c、14c:Snめっき膜
めっき膜13c、14cの厚み:約4μm
めっき膜13c、14cの形成に用いためっき浴:ディップソール社製Sn−235(pH:5.0、33℃)
めっき膜13a〜13c、14a〜14cの加工条件:
工法:水平回転バレル方式
回転数:12rpm
導電性メディアの直径:0.4mm
めっき膜13a、14aの形成における電流密度×時間:0.5A/dm2×70分、
めっき膜13b、14bの形成における電流密度×時間:0.4A/dm2×60分
めっき膜13c、14cの形成における電流密度×時間:0.1A/dm2×60分
【0068】
実験例1〜6において作製したセラミックコンデンサにおけるめっき膜13a、14aのSレシオを上記第1の実施形態で説明した方法により測定した。結果を下記の表1に示す。
【0069】
(めっき膜13b、14bの接合強度)
実験例1〜6において作製したセラミックコンデンサ100個を、105℃、100%Rhの雰囲気に4時間放置した。その後、ガラスエポキシ基板にはんだ実装し、セラミックコンデンサの側面に、加圧治具を0.7mm/secのスピードで押し当て、加圧治具による加圧力が5Nに達した際にめっき膜13a、13bとめっき膜13b、14bとの間に剥離が発生したか否かを検査した。加圧治具による加圧力が5Nに達した際にめっき膜13a、13bとめっき膜13b、14bとの間に剥離が発生しなかった場合を合格とし、剥離が発生した場合を不合格(NG)とし、100サンプルあたりの不合格数を求めた。結果を下記の表1に示す。
【0070】
(半田濡れ性試験)
実験例1〜6において作製したセラミックコンデンサ100個を、105℃、100%Rhの雰囲気に4時間放置した。その後、外部電極の半田濡れ性を検査した。具体的には、ソルダーチェッカ(総合機)(Model:SAT−5100、レスカ社製)を用いて、濡れ開始時間、濡れ上がり時間、最大濡れ力を測定した。その後、濡れ上がり時間と最大濡れ力が判定基準を満足するかで判定した。濡れ開始時間(T0)+濡れ上がり時間(T1)がT0+T1≦1.0秒、最大濡れ力(Fmax)≧0.25mNを満たしているものを合格とし、上記2式が満足されなかった場合を不合格(NG)とし、100サンプルあたりの不合格数を求めた。結果を下記の表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
上記表1に示すように、めっき膜13a、14aのSレシオを1.02以上とすることにより、めっき膜13b、14bの剥離を効果的に抑制できることが分かる。また、めっき膜13a、14aのSレシオを1.02〜1.15の範囲内にすることにより、優れた半田濡れ性も実現することが可能になる。
【符号の説明】
【0073】
1〜3…セラミック電子部品
10…セラミック素体
10a…第1の主面
10b…第2の主面
10c…第1の側面
10d…第2の側面
10e…第1の端面
10f…第2の端面
11…第1の内部電極
12…第2の内部電極
13…第1の外部電極
13A,14A,13B,14B…電極部
14…第2の外部電極
13a〜13c、14a〜14c…めっき膜
15…セラミック層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している第1及び第2の主面と、互いに対向している第1及び第2の側面と、互いに対向している第1及び第2の端面とを有する直方体状のセラミック素体と、
前記セラミック素体の外表面の直上に形成されている第1のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる第1の外部電極と、
前記セラミック素体の外表面の直上に形成されている第2のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる第2の外部電極と、
を備え、
前記第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.02以上である、セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1のめっき膜が前記第1の端面の直上に形成されており、前記第2のめっき膜が前記第2の端面の直上に形成されている、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2のめっき膜のそれぞれが前記第1及び第2の主面の少なくとも一方の直上に形成されている、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記セラミック素体の内部に設けられた複数の第1の内部電極と複数の第2の内部電極とをさらに備え、
前記第1及び第2の外部電極の前記第1及び第2の内部電極の上に位置する部分の表面が前記セラミック素体側に向かって凹む凹面となっている、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.15以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1の外部電極は、
前記第1のめっき膜と、
前記第1のめっき膜の上に形成されている第3のめっき膜と、
前記第3のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第5のめっき膜と、
の積層体からなり、
前記第2の外部電極は、
前記第2のめっき膜と、
前記第2のめっき膜の上に形成されている第4のめっき膜と、
前記第4のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第6のめっき膜と、
の積層体からなる、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記第3及び第4のめっき膜がNiまたはNi合金からなり、
前記第1及び第2のめっき膜は、CuまたはCu合金からなる、請求項6に記載のセラミック電子部品。
【請求項1】
互いに対向している第1及び第2の主面と、互いに対向している第1及び第2の側面と、互いに対向している第1及び第2の端面とを有する直方体状のセラミック素体と、
前記セラミック素体の外表面の直上に形成されている第1のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる第1の外部電極と、
前記セラミック素体の外表面の直上に形成されている第2のめっき膜を含む少なくともひとつのめっき膜からなる第2の外部電極と、
を備え、
前記第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.02以上である、セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1のめっき膜が前記第1の端面の直上に形成されており、前記第2のめっき膜が前記第2の端面の直上に形成されている、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2のめっき膜のそれぞれが前記第1及び第2の主面の少なくとも一方の直上に形成されている、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記セラミック素体の内部に設けられた複数の第1の内部電極と複数の第2の内部電極とをさらに備え、
前記第1及び第2の外部電極の前記第1及び第2の内部電極の上に位置する部分の表面が前記セラミック素体側に向かって凹む凹面となっている、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1及び第2のめっき膜のそれぞれの平面視における単位面積あたりの表面積が1.15以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1の外部電極は、
前記第1のめっき膜と、
前記第1のめっき膜の上に形成されている第3のめっき膜と、
前記第3のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第5のめっき膜と、
の積層体からなり、
前記第2の外部電極は、
前記第2のめっき膜と、
前記第2のめっき膜の上に形成されている第4のめっき膜と、
前記第4のめっき膜の上に形成されており、SnまたはSn合金からなる第6のめっき膜と、
の積層体からなる、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記第3及び第4のめっき膜がNiまたはNi合金からなり、
前記第1及び第2のめっき膜は、CuまたはCu合金からなる、請求項6に記載のセラミック電子部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−209540(P2012−209540A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24978(P2012−24978)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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