説明

センサ、半導体基板、および半導体基板の製造方法

【課題】効率よく光電変換ができる光吸収体を有する半導体基板、半導体基板の製造方法、および当該半導体基板を含む光センサを提供する。
【解決手段】シリコンを含むベース基板と、ベース基板上方に設けられたシード体と、シード体に格子整合または擬格子整合し、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体とを備え、光熱吸収体が、光熱吸収体に入射する入射光または光熱吸収体に加わる熱に応じて電気信号を出力するセンサを提供する。また、シリコンを含むベース基板と、ベース基板の上方に形成され、ベース基板の表面を露出する開口を有し、結晶成長を阻害する阻害体と、開口の内部に設けられたシード体と、シード体に格子整合または擬格子整合し、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体とを備える半導体基板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、半導体基板、および半導体基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、信号転送回路が形成された信号転送回路基板(シリコン基板)上方に光電変換部が設けられた固体撮像素子を開示する。光電変換部は、例えば440から480nmにバンドギャップを持つInAlPからなる第1光電変換層、520から580nmにバンドギャップを持つInGaAlPからなる第2光電変換層、及び600nmより長波長側にバンドギャップを持つGaAsからなる第3光電変換層を積層して構成されている。
(特許文献1)特開2006−66456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直接遷移型の化合物半導体は、光吸収における量子効率が高いことから、センサ材料に適している。しかし、シリコン基板上に化合物半導体をエピタキシャル成長させる場合、シリコン基板とエピタキシャル成長層との格子定数の違いに起因して、結晶層を貫通する欠陥が形成される場合がある。センサを形成する化合物半導体に貫通欠陥があると、センサの性能が低下するので好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、シリコンを含むベース基板と、ベース基板の上方に設けられたシード体と、シード体に格子整合または擬格子整合し、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体とを備え、光熱吸収体が、光熱吸収体に入射する入射光または光熱吸収体に加わる熱に応じて電気信号を出力するセンサが提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、シリコンを含むベース基板と、ベース基板の上方に形成され、ベース基板の表面を露出する開口を有し、結晶成長を阻害する阻害体と、開口の内部に設けられたシード体と、シード体に格子整合または擬格子整合し、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体とを備える半導体基板が提供される。
【0006】
上記のセンサまたは半導体基板は、ベース基板の上方に形成され、ベース基板の少なくとも一部の領域を露出する開口を有し、結晶成長を阻害する阻害体をさらに備え、シード体が、開口の内部に形成されていてもよい。当該阻害体が複数の開口を有し、当該センサは、複数の開口内に形成された複数の光熱吸収体を備えてもよい。
【0007】
当該センサまたは半導体基板においては、例えば、光熱吸収体が、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)を有し、シード体が、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)、または、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)からなる。当該光熱吸収体は、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなる第1層と、Gax4In1−x4y4z4Asw3Sb1−y4―z4−w3(0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1、0≦w3≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなり、禁制帯幅が第1層の禁制帯幅より大きな第2層とを積層した超格子構造体であってもよい。
【0008】
また、シード体は、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)からなり、基板とシード体との界面に接して、基板内に、組成がCx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、0<x2+y2+z2≦1、かつy2<y2´<1)である界面領域をさらに含んでもよい。
【0009】
上記のセンサまたは半導体基板は、例えば、光熱吸収体の側壁に接して形成され、光熱吸収体よりも禁制帯幅の大きな半導体または光熱吸収体よりも禁制帯幅の大きな誘電体を有し、側壁におけるキャリアの再結合を抑制する再結合抑制体をさらに備える。光熱吸収体は、ベース基板に平行な面の中心からの距離がより大きな位置において、より大きな禁制帯幅となる組成分布を有してもよい。光熱吸収体は、x1≠1である場合に、中心からの距離がより大きな位置において、Inの割合がより小さくなる組成分布を有してもよい。
【0010】
当該センサまたは半導体基板において、ベース基板は、例えば、シリコンのバルク領域が有する不純物と反対の伝導型の不純物を有する不純物領域を有し、光熱吸収体は、シード体を介して不純物領域と電気的に結合されている。また、ベース基板は不純物を有する不純物領域を有し、シード体は不純物領域に接して設けられ、複数の光熱吸収体のうちの少なくとも2つの光熱吸収体が、シード体を介して不純物領域と電気的に結合されていてもよい。
【0011】
さらに、当該センサは、入射光の少なくとも一部を集光して光熱吸収体に入射する集光部をさらに備えてもよい。当該集光部が、ベース基板に対して、光熱吸収体が設けられている側と反対の側に設けられており、入射光を集光してベース基板を介して光熱吸収体に入射当該センサは、入射光が光熱吸収体に入射する経路に配置された光学フィルタをさらに備えてもよい。
【0012】
当該センサが、ベース基板の上方に形成され、ベース基板の少なくとも一部の領域を露出する複数の開口を有し、結晶成長を阻害する阻害体と、複数の開口に設けられた複数のシード体と、各々対応する複数のシード体に設けられ、対応するシード体とそれぞれ格子整合または擬格子整合する複数の光熱吸収体とを備え、集光部は、複数の光熱吸収体のそれぞれに入射光の少なくとも一部を入射してもよい。
【0013】
また、当該センサは、例えば、複数の光熱吸収体のそれぞれに対応してベース基板に形成された複数の増幅素子と、複数の増幅素子および複数の光熱吸収体を接続し、阻害体上方に形成されている配線とをさらに備える。上記のシード体が入射光に応じて電気信号を発生してもよい。
【0014】
本発明の第3の態様においては、シリコンを含むベース基板の上方に阻害体を形成する段階と、阻害体に、ベース基板の表面を露出する開口を形成する段階と、開口の内部にシード体を形成する段階と、シード体を加熱する段階と、加熱されたシード体の上方に、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体を、シード体に格子整合または擬格子整合させてエピタキシャル成長させる段階とを備える半導体基板の製造方法が提供される。
【0015】
当該製造方法は、シード体を加熱する段階をさらに備え、光熱吸収体を形成する段階においては、加熱されたシード体の上方に光熱吸収体をエピタキシャル成長させてもよい。また、シード体を形成する段階においては、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)、または、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)からなるシード体を形成し、シード体を加熱する段階においては、ベース基板とシード体との界面に接して、ベース基板内に、組成がCx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、0<x2+y2+z2≦1、かつy2<y2´<1)である界面領域を形成し、光熱吸収体を形成する段階においては、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなる光熱吸収体をエピタキシャル成長させてもよい。
【0016】
シード体を加熱する段階においては、シード体の吸収係数が阻害体の吸収係数よりも大きい電磁波を照射してもよい。当該電磁波は、例えばレーザー光である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】半導体基板100の断面の一例を示す。
【図1B】センサ150の断面の一例を示す。
【図2】センサ200の断面の一例を示す。
【図3】センサ200の製造過程における断面例を示す。
【図4】センサ200の製造過程における断面例を示す。
【図5】センサ200の製造過程における断面例を示す。
【図6】センサ300の断面の一例を示す。
【図7】センサ400の断面の一例を示す。
【図8】半導体基板100における光熱吸収体のエネルギーバンドの一例を示す。
【図9】センサ900の断面の一例を示す。
【図10】センサ1000の断面の一例を示す。
【図11】センサ1100の断面の一例を示す。
【図12】センサ1200の断面の一例を示す。
【図13】センサ1300の断面を概略的に示す。
【図14】センサ1300を表面側から観察したレーザー顕微鏡写真である。
【図15】センサ1300の光電流−電圧特性および暗電流−電圧特性を示す。
【図16】Si基板とGe結晶層との界面近傍における断面SEM写真を示す。
【図17】図16の分析領域におけるエネルギー分散型蛍光X線分析の結果を示す。
【図18】InGaP結晶の室温カソードルミネッセンスによる650nm発光像を示す。
【図19】InGaP結晶の室温カソードルミネッセンスによる700nm発光像を示す。
【図20】センサ1400の断面の一例を概略的に示す。
【図21】センサ1500の製造過程における断面例を示す。
【図22】センサ1500の製造過程における断面例を示す。
【図23】センサ1500の製造過程における断面例を示す。
【図24】センサ1500の製造過程における断面例を示す。
【図25】センサ1500の断面の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aは、半導体基板100の断面の一例を示す。半導体基板100は、ベース基板102、阻害体104、シード体110、および光熱吸収体120を備える。
【0019】
ベース基板102はシリコンを含む。シリコンを含む基板として表面がシリコンである基板が挙げられる。例えば、ベース基板102は、基板全体がシリコンであるSi基板(Wafer)、または、基板の一部がシリコンであるSOI(silicon−on−insulator)基板である。ベース基板102は、例えばBドーピング量が2.0×1019cm−3のSi基板である。
【0020】
阻害体104は、ベース基板102の上方に形成される。阻害体104は、ベース基板102の表面を露出する開口106を有する。阻害体104は、結晶の成長を阻害する。具体的には、エピタキシャル成長法により半導体の結晶を成長させる場合において、阻害体104の表面では、半導体結晶のエピタキシャル成長が阻害される。その結果、半導体結晶は、開口106の内部で選択的にエピタキシャル成長する。
【0021】
阻害体104の厚みは、例えば0.05μm以上5μm以下である。開口106の大きさは、開口106の内部に選択成長する半導体を無転位で形成することができる大きさであることが好ましい。阻害体104は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層等、またはこれらを積層した層である。阻害体104は、例えば、熱酸化法およびCVD法等により形成される。
【0022】
シード体110は、開口106の内部に形成される。シード体110は、例えば、ベース基板102に格子整合または擬格子整合する半導体である。例えば、シード体110は、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)である。つまり、シード体110は、例えばSi、Geの一元系半導体または金属である。シード体110は、SiC、SiGe、SiSn、GeSnのような二元系化合物半導体であってもよい。シード体110は、CSiGe、SiGeSnのような三元系化合物であってもよい。シード体110は、CSiGeSnのような四元系化合物であってもよい。
【0023】
本明細書において、「擬格子整合」とは、完全な格子整合ではないが、互いに接する2つの半導体の格子定数の差が小さく、格子不整合による欠陥の発生が顕著でない範囲で、互いに接する2つの半導体を積層できる状態をいう。このとき、各半導体の結晶格子が、弾性変形できる範囲内で変形することで、上記格子定数の差が吸収される。例えば、GeとGaAs、InGaAs、またはInGaPとの積層状態は、擬格子整合した状態である。
【0024】
また、シード体110は、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)であってもよい。例えば、シード体110はGaAsである。
【0025】
シード体110が、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)からなり、ベース基板102とシード体110との界面よりもベース基板102に近い側に、Cx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2≦1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、かつ0≦x2+y2+z2≦1)からなる結晶層をさらに含んでもよい。
【0026】
シード体110は、複数の層を含んでもよい。シード体110は、光熱吸収体120の結晶成長に適した結晶シード面を提供する。シード体110は、ベース基板102の表面に存在する不純物が、光熱吸収体120の結晶性に悪影響を及ぼすことを抑制する。シード体110は、開口106の内部に表面を露出するベース基板102に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。
【0027】
光熱吸収体120は、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体である。例えば、光熱吸収体120は、光を吸収すると電子および正孔を生成し、電気信号を出力する。光熱吸収体120は、熱を受けることによって増加する電子および正孔の量に応じた電気信号を出力する熱センサとして機能してもよい。
【0028】
光熱吸収体120は、一例として、シード体110に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。光熱吸収体120は、複数の層を有してもよい。光熱吸収体120は、ヘテロ接合を有してもよい。光熱吸収体120は、PN接合を有してもよい。
【0029】
光熱吸収体120は、例えば、シード体110に接して、エピタキシャル成長によって形成される。半導体基板100は、シード体110と光熱吸収体120との間に、他の半導体を備えてもよい。例えば、光熱吸収体120は、シード体110と光熱吸収体120との間に形成されたバッファ層上でエピタキシャル成長することにより形成されてもよい。
【0030】
図1Bは、センサ150の断面の一例を示す。センサ150は、ベース基板102、シード体110、および光熱吸収体120を備える。センサ150は、半導体基板100から阻害体104を削除することにより形成されている。センサ150においては、半導体基板100と同様に、阻害体104を備え、阻害体104に形成された開口106の内部にシード体110が形成されていてもよい。
【0031】
図2は、センサ200の断面の一例を示す。センサ200は、例えば、入射する光を検出する。センサ200は、ベース基板202、ウェル203、阻害体204、第1シード体212、第2シード体214、アノード層216、ドリフト層218、カソード層220、コンタクト層222、パッシベーション層224、絶縁膜226、上部電極層228、および配線230を備える。
【0032】
センサ200は、阻害体204に形成された複数の開口206内部に形成されている複数の光熱吸収体を備える。図2においては、光熱吸収体C1および光熱吸収体C2の2つ光熱吸収体を例示するが、センサ200は、更に多くの光熱吸収体を備えてもよい。また、光熱吸収体C1および光熱吸収体C2は、同じ構成を有してよい。従って、以下の説明においては光熱吸収体C1を中心に説明するが、特別に光熱吸収体C2の説明を加える場合を除き、光熱吸収体C1についての説明は光熱吸収体C2にも適用できる。
【0033】
ベース基板202は、図1Aにおけるベース基板102に対応する。ベース基板202は、例えば、不純物原子のドーピング量が1×1015cm−3以上1×1021cm−3のP型Si基板である。一例として、ベース基板202は、Bのドーピング量が2×1019cm−3のP型Si基板である。
【0034】
阻害体204は阻害体104に対応する。阻害体204は、例えば複数の開口206を有する。センサ200は、阻害体204に二つの開口206が設けられ、各々の開口206の内部に、第1シード体212等を選択成長させることによって形成される。
【0035】
センサ200が備えるシード体は、2層構造を有してもよい。例えば、光熱吸収体C1は、第1シード体212および第2シード体214を有する。第1シード体212および第2シード体214は、図1Aにおけるシード体110に対応する。
【0036】
第1シード体212および第2シード体214は、それぞれ異なる組成を有してもよい。例えば、ベース基板202がSi基板であり、アノード層216がGaAsである場合に、第1シード体212はSiGe結晶であり、第2シード体214はGaAsに近い格子定数を有するGe結晶である。光熱吸収体C1が上記の組成を有することにより、SiとGaAsとの格子定数の違いによる内部応力をより効果的に緩和でき、結晶欠陥の形成を抑制することができる。
【0037】
なお、本実施形態において、アノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220が、ベース基板202の側からこの順に積層されて光センサが構成される例を説明しているが、アノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220が積層される順序は逆でもよい。例えば、カソード層220、ドリフト層218、アノード層216の順にベース基板202の側から積層されてもよい。この場合、カソード層220は、第2シード体214に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)であってよい。以下に説明する実施態様および実施例において、ベース基板を基準としたアノード層、ドリフト層およびカソード層の積層順序は、アノード層、ドリフト層、カソード層の順、またはカソード層、ドリフト層、アノード層の順の何れでもよい。
【0038】
第1シード体212は、不純物原子のドーピング量が1×1015cm−3以上1×1021cm−3以下のP型SiGeである。一例として、第1シード体212は、Ga、Al、またはBのドーピング量が2×1019cm−3のP型Si0.1Geである。第1シード体212は、例えば0.001μm以上1μm以下の厚さを有する。一例として、第1シード体212は、0.02μmの厚さを有する。
【0039】
第2シード体214は、例えばGeである。第2シード体214は、例えば0.05μm以上5μm以下の厚さを有する。一例として、第2シード体214は2.0μmの厚さを有する。
【0040】
アノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220は、図1Aに示した光熱吸収体120に対応する。アノード層216は、第2シード体214に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。
【0041】
アノード層216は、不純物原子のドーピング量が5×1017cm−3以上1×1021cm−3以下のP型InGaAsである。一例として、アノード層216は、Znのドーピング量が5×1018cm−3以上のP型In0.03Ga0.97Asである。アノード層216は、例えば0.05μm以上1μm以下の厚さを有する。一例として、アノード層216は、0.5μmの厚さを有する。
【0042】
アノード層216は、第2シード体214に接して、エピタキシャル成長によって形成される。光熱吸収体C1は、アノード層216と第2シード体214との間に他の半導体層を有してもよい。例えば、光熱吸収体C1はアノード層216と第2シード体214との間に設けられたバッファ層を有する。この場合に、アノード層216は、当該バッファ層上でエピタキシャル成長することにより形成されてもよい。
【0043】
ドリフト層218は、アノード層216に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。ドリフト層218は、例えば、アノード層216に接して、エピタキシャル成長によって形成される。
【0044】
ドリフト層218は、I型InGaAsであってよく、または不純物原子のドーピング量が2×1016cm−3未満のP型InGaAsである。一例として、ドリフト層218は、P型In0.03Ga0.97Asである。ドリフト層218は、例えば0.3μm以上10μm以下の厚さを有する。一例として、ドリフト層218は、1.5μmの厚さを有する。
【0045】
カソード層220は、ドリフト層218に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。カソード層220は、ドリフト層218に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。
【0046】
カソード層220は、不純物原子のドーピング量が5×1017cm−3以上1×1021cm−3のN型InGaAsである。その一例として、カソード層220は、Siのドーピング量が2×1018cm−3以下のN型In0.03Ga0.97Asである。カソード層220は、例えば0.05μm以上1μm以下の厚さを有する。一例として、カソード層220は、0.1μmの厚さを有する。
【0047】
アノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220は、In0.03Ga0.97Asによって構成される場合に、例えば1.35eVの禁制帯幅を有する。センサ200は、可視光および近赤外線を吸収して検知することができる。
【0048】
コンタクト層222は、その上方に形成される上部電極層228とカソード層220との電気的伝導性を確保するために設けられた半導体である。コンタクト層222は、例えば、カソード層220と同一の伝導型を有する。コンタクト層222は、カソード層220に格子整合または擬格子整合する半導体である。コンタクト層222は、例えば、カソード層220上にエピタキシャル成長法により形成される。
【0049】
コンタクト層222は、例えば、不純物原子のドーピング量が1×1018cm−3以上1×1021cm−3以下のN型GaAsである。一例として、コンタクト層222は、Siのドーピング量が6×1018cm−3のN型GaAsである。コンタクト層222は、例えば0.02μm以上1μm以下の厚さを有する。一例として、コンタクト層222は、0.05μmの厚さを有する。
【0050】
コンタクト層222は、例えば、カソード層220に接して、エピタキシャル成長によって形成される。光熱吸収体C1は、カソード層とコンタクト層222との間に、他の半導体層を有してもよい。光熱吸収体C1は、カソード層とコンタクト層222との間に、例えばウインドウ層を有する。
【0051】
第1シード体212、第2シード体214、アノード層216、ドリフト層218、カソード層220、およびコンタクト層222は、エピタキシャル成長法により形成することができる。エピタキシャル成長法として、化学気相析出法(CVD法と称する)、有機金属気相成長法(MOCVD法と称する)、分子線エピタキシ法(MBE法と称する)および原子層成長法(ALD法と称する)等を例示できる。
【0052】
例えば、ベース基板202の上方に熱酸化法により阻害体204を形成して、エッチング等のフォトリソグラフィ法により、ベース基板202の表面を露出する開口206を阻害体204に形成する。そして、MOCVD法により、当該開口206の内部に第1シード体212を選択成長させる。続いて、第2シード体214、アノード層216、ドリフト層218、カソード層220およびコンタクト層222を順次選択成長させる。
【0053】
第1シード体212を開口106の内部に選択成長させることにより、第1シード体212とベース基板202との格子定数の相違による格子欠陥の生成を抑制できる。その結果、結晶性の高い第2シード体214、アノード層216、ドリフト層218、カソード層220、およびコンタクト層222が得られるので、センサ200の感度を高めることができる。第1シード体212、第2シード体214、アノード層216、ドリフト層218、カソード層220、およびコンタクト層222は、阻害体204の開口206の内部に形成されてよく、開口206からはみ出て、阻害体204の上方にその一部が形成されてもよい。
【0054】
上部電極層228は、例えばコンタクト層222に接して形成される。上部電極層228は、光熱吸収体C1が発生する電力を外部に出力する。上部電極層228は、導電性を有し、光熱吸収体C1に入射する光を遮断しない材料を有する。上部電極層228の材料として、ITO(Indium Tin Oxide)およびZnO等を例示できる。上部電極層228の形成方法としては、スパッタ法等を例示できる。
【0055】
ウェル203は、ベース基板202に含まれるシリコンに形成される低抵抗シリコン結晶層である。光熱吸収体C1および光熱吸収体C2は、第1シード体212、ウェル203、および第2シード体214を介して、電気的に結合される。ウェル203は、一例として、当該シリコンのバルク領域からは電気的に分離されている。例えば、ウェル203は、当該シリコンと異なる伝導型を有する場合には、ウェル203と当該シリコンとの間にPN接合が形成されるので、ウェル203は当該シリコンのバルク領域から電気的に分離される。光熱吸収体C1および光熱吸収体C2が発生する電気信号を、ウェル203および上部電極層228の間から取り出すことができる。
【0056】
ウェル203は、イオン注入法により形成することができる。例えば、エッチング等のフォトリソグラフィ法により、ベース基板202の上方に、ウェル203が形成される予定位置に開口が設けられたマスクを形成してからイオン注入することにより、ウェル203を形成することができる。例えば、N型Siベース基板202にBを注入してP型ウェル203を形成する。
【0057】
パッシベーション層224は、光熱吸収体C1の側壁に形成され、当該側壁における電荷の再結合を抑制する。パッシベーション層224は、アノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220等の、光熱吸収体を構成する半導体よりも大きい禁制帯幅を有してよい。パッシベーション層224の材料として、誘電体を例示できる。パッシベーション層224の形成方法として、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD法、MOCVD法、MBE法、およびALD法等を例示できる。
【0058】
絶縁膜226は、各光熱吸収体を電気的に分離する。絶縁膜226の材料として、Al、SiO、およびZrO等を例示できる。絶縁膜226は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD法、およびMOCVD法等により形成することができる。
【0059】
配線230は、上部電極層228に接続されている。配線230は、上部電極層228を介して、光熱吸収体C1が発生する電力を取り出す。配線230の材料として、Cu、Ag、Al等を例示できる。配線230の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法、およびスパッタ法等を例示できる。
【0060】
図3から図5は、センサ200の製造過程における断面例を示す。センサ200は、ウェルを形成する段階、阻害体を形成する段階、シード体を形成する段階、シード体を加熱する段階、光熱吸収体を形成する段階、およびパッシベーション処理をする段階を備える半導体基板を製造する方法により半導体基板を実施した後で、光熱吸収体を接続することにより製造される。
【0061】
ウェルを形成する段階においては、ベース基板202にウェル203を形成する。例えば、N型シリコン基板のベース基板202にP型ウェル203を形成する場合には、エッチング等のフォトリソグラフィ法により、ベース基板202の上方に、ウェル203が形成される予定位置に開口を有するマスクを形成してから、Bイオンを注入することによりウェル203を形成することができる。
【0062】
阻害体を形成する段階においては、図3に示すように、ベース基板202の上方に、ベース基板202に達する開口206を有する阻害体204を形成する。阻害体204の形成は、例えば、熱酸化法によって、まずベース基板202の全面に酸化シリコン膜を形成する。エッチング等のフォトリソグラフィ法により、酸化シリコン膜に、ベース基板202の表面を露出する複数の開口206を形成することにより、阻害体204を形成することができる。
【0063】
シード体を形成する段階においては、図4に示すように、開口206の内部に、選択エピタキシャル成長法により、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)、または、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)からなる第1シード体212および第2シード体214を形成する。例えば、MOCVD法を用いて、P型SiGeの第1シード体212と、P型Geの第2シード体214とをエピタキシャル成長させることができる。
【0064】
具体的には、開口206を有する阻害体204が形成されたSiベース基板202を、減圧バレル型MOCVD炉の加熱台に載置する。炉内を高純度水素で十分置換した後、ベース基板202の加熱を開始する。結晶成長時の基板温度は、例えば500℃から800℃である。ベース基板202が適切な温度に安定したところで、炉内にSi原料を導入し、続いてGe原料を導入して、P型SiGeの第1シード体212をエピタキシャル成長させてよい。また、第1シード体212の上方に、P型Geの第2シード体214をエピタキシャル成長させてもよい。
【0065】
Siの原料として、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、シラン、またはジシランを例示できる。Geの原料として、ゲルマン、テトラメチルゲルマニウム((CHGe)等を例示できる。アクセプタ不純物原子をGaにして、P型の伝導型を示す不純物原子を含む化合物としてトリメチルガリウム(TMG)を用いてもよい。
【0066】
エピタキシャル成長条件の一例として、反応炉内圧力0.1atm、成長温度650℃、成長速度1〜3μm/hrが挙げられる。原料のキャリアガスとして、高純度水素を用いることができる。後述の各半導体を形成する場合においても、同じMOCVD法を用いて、原料ガス、炉内圧力、成長温度、成長時間等のパラメータを調整することによって、エピタキシャル成長させることができる。
【0067】
シード体を加熱する段階においては、第1シード体212および第2シード体214を加熱する。第1シード体212および第2シード体214を加熱することで、ベース基板202と第1シード体212および第2シード体214との格子定数の違い等によって第1シード体212および第2シード体214の内部に発生した転位等の格子欠陥を低減して、第1シード体212および第2シード体214の結晶性を向上させることができる。上記加熱は、複数回に分けて実施してもよい。例えば、第1シード体212および第2シード体214の融点に達しない温度での高温アニールを実施した後、高温アニールの温度より低い温度での低温アニールを実施する。このような2段階のアニールを複数回繰り返してもよい。
【0068】
シード体を加熱する段階において、ベース基板202と第1シード体212との界面よりもベース基板202の側に、Cx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2≦1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、0≦x2+y2+z2≦1、かつy2<y2´<1)からなる結晶層を形成してもよい。シード体を加熱する段階においては、例えばシード体の吸収係数が阻害体の吸収係数よりも大きい電磁波を、シード体に選択的に照射する。上記電磁波は、例えばレーザー光である。
【0069】
第1シード体212および第2シード体214を全て形成した後で第1シード体212および第2シード体214を加熱してもよい。P型SiGeの第1シード体212だけを形成した後で、上記加熱を施してもよい。この場合に、高温アニールの温度および時間は、例えば、850〜900℃で2〜10分間である。低温アニールの温度および時間は、例えば、650〜780℃で2〜10分間である。
【0070】
光熱吸収体を形成する段階において、図4に示すように、エピタキシャル成長法により、第2シード体214の上方に、第2シード体214に格子整合または擬格子整合させて、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなるアノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220を順次形成する。例えば、MOCVD法を用いて、まず、第2シード体214に接して、P型In0.03Ga0.97Asのアノード層216をエピタキシャル成長させる。その後、アノード層216の上方に、順次P型In0.03Ga0.97Asのドリフト層218およびN型In0.03Ga0.97Asのカソード層220をエピタキシャル成長させてよい。更に、N型GaAsのコンタクト層222をエピタキシャル成長させてよい。
【0071】
Asの原料として、アルシン(AsH)を例示できる。Inの原料として、トリメチルインジウム(TMI)を例示できる。アクセプタ不純物原子として、更にC、Zn等を例示できる。ドナー不純物原子として、P、Si、Se、Ge、Sn、TeおよびS等を例示できる。
【0072】
パッシベーション処理する段階においては、図5に示すように、光熱吸収体C1および光熱吸収体C2の側壁にパッシベーション層224および絶縁膜226を形成して、上部電極層228を形成する。例えば、MOCVD法を用いて、光熱吸収体C1および光熱吸収体C2の側面に、InGaPのパッシベーション層224をエピタキシャルに形成する。絶縁膜226は、例えば、Al膜、SiO膜、ZrO膜をスパッタ法により形成する。
【0073】
次に、エッチング等のフォトリソグラフィ法により、上部電極層228を形成する位置の絶縁膜226を部分的に除去して開口を設け、コンタクト層222を露出する。続いて、上部電極層228を形成する位置に開口が設けられたマスクを形成してから、スパッタ法により、例えばITOからなる上部電極層228を形成する。その後、マスクをリフトオフすることにより、図5に示すように、上部電極層228を形成する。
【0074】
光熱吸収体を接続する段階においては、図2に示すように、配線230を形成して光熱吸収体C1と光熱吸収体C2とを接続する。例えば、配線230を形成する位置に開口が設けられたマスクを形成してから、真空蒸着法により、例えばAlからなる金属膜を蒸着する。その後、マスクをリフトオフすることにより、配線230を形成することができる。
【0075】
図2において、光熱吸収体C1のアノード層216と光熱吸収体C2のアノード層216とが、ウェル203を介して電気的に接続されている。従って、配線230によって、それぞれのカソード層220を接続すれば、光熱吸収体C1と光熱吸収体C2とを並列に接続することができる。
【0076】
図6は、センサ300の断面の一例を示す。センサ300は、ベース基板302、ウェル303、阻害体304、シード体312、バッファ層314、アノード層316、ドリフト層318、カソード層320、ウインドウ321、コンタクト層322、パッシベーション層324、絶縁膜326、上部電極層328、および配線330を備える。
【0077】
ベース基板302は、図2におけるベース基板202に対応する。ウェル303は、図2におけるウェル203に対応する。阻害体304は、図2における阻害体204に対応する。シード体312は、図2における第1シード体212に対応し、例えばSiGeである。
【0078】
コンタクト層322は、図2におけるコンタクト層222に対応する。パッシベーション層324は、図2におけるパッシベーション層224に対応する。絶縁膜326は、図2における絶縁膜226に対応する。上部電極層328は、図2における上部電極層228に対応する。配線330は、図2における配線230に対応する。センサ300の説明において、センサ200と同様の構成部についての説明を省略する場合がある。
【0079】
バッファ層314は、アノード層316、ドリフト層318、およびカソード層320より大きい禁制帯幅を有してよい。バッファ層314は、光熱吸収体C1および光熱吸収体C2の光電効果により生成した電荷の再結合を抑制する半導体である。バッファ層314は、例えば、シード体312の上方に形成される。バッファ層314は、シード体312に格子整合または擬格子整合する半導体である。
【0080】
バッファ層314は、不純物原子のドーピング量が1×1018cm−3以上5×1019cm−3以下のP型InPである。その一例として、バッファ層314は、Znのドーピング量が5×1018cm−3以上のP型InPである。バッファ層314は、例えば0.1μm以上5μm以下の厚さを有する。一例として、バッファ層314は、0.5μmの厚さを有する。
【0081】
バッファ層314は、シード体312に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。エピタキシャル成長法として、CVD法、MOCVD法、MBE法、およびALD法等を例示できる。例えば、バッファ層314は、MOCVD法により、阻害体304の開口306の内部で選択成長したシード体312に接して、エピタキシャル成長によって形成される。バッファ層314は、阻害体304の開口306の内部に形成されてよく、開口306からはみ出て、阻害体304の上方にその一部が形成されてもよい。InPのバッファ層314を形成する場合には、Inの原料として、トリメチルインジウム(TMI)を例示できる。Pの原料として、ホスフィン(PH)を例示できる。
【0082】
アノード層316は、図2におけるアノード層216に対応する。アノード層316は、例えば、バッファ層314に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。
【0083】
アノード層316は、不純物原子のドーピング量が5×1017cm−3以上5×1019cm−3以下のP型InGaAsである。その一例として、アノード層316は、Znのドーピング量が5×1018cm−3以上のP型In0.5Ga0.5Asである。アノード層316は、例えば0.1μm以上2μm以下の厚さを有する。一例として、アノード層316は、0.2μmの厚さを有する。アノード層316は、バッファ層314に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。
【0084】
ドリフト層318は、図2におけるドリフト層218に対応する。ドリフト層318は、例えば、アノード層316に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。ドリフト層318は、アノード層316に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。
【0085】
ドリフト層318は、I型InGaAsであってよく、または不純物原子のドーピング量が2×1016cm−3未満のP型InGaAsであってもよい。一例として、ドリフト層318は、P型In0.5Ga0.5Asである。ドリフト層318は、0.3μm以上10μm以下の厚さを有してよい。一例として、ドリフト層318は、1.5μmの厚さを有する。
【0086】
カソード層320は、図2におけるカソード層220に対応する。カソード層320は、例えば、ドリフト層318に格子整合または擬格子整合するGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である。カソード層320は、ドリフト層318に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。
【0087】
カソード層320は、不純物原子のドーピング量が5×1017cm−3以上5×1019cm−3以下のN型InGaAsである。一例として、カソード層320は、Siのドーピング量が2×1018cm−3のN型In0.5Ga0.5Asである。カソード層320は、0.1μm以上2μm以下の厚さを有する。一例として、カソード層320は、0.1μmの厚さを有する。
【0088】
アノード層316、ドリフト層318、およびカソード層320は、In0.5Ga0.5Asによって構成される場合に、0.89eVの禁制帯幅を有する。センサ300は、近赤外線を吸収して検知することができる。
【0089】
ウインドウ321は、光熱吸収体の光電効果により生成した電荷の再結合を抑制する半導体である。ウインドウ321は、アノード層316、ドリフト層318、およびカソード層320より大きい禁制帯幅を有してもよい。ウインドウ321は、例えば、カソード層320の上方に形成される。ウインドウ321は、カソード層320に格子整合または擬格子整合する半導体である。
【0090】
ウインドウ321は、不純物原子のドーピング量が5×1017cm−3以上5×1019cm−3以下のN型InPである。一例として、ウインドウ321は、Siのドーピング量が5×1018cm−3のN型InPである。ウインドウ321は、例えば0.05μm以上2μm以下の厚さを有する。一例として、ウインドウ321は、0.1μmの厚さを有する。
【0091】
ウインドウ321は、カソード層320に接して、例えばエピタキシャル成長によって形成される。エピタキシャル成長法として、CVD法、MOCVD法、MBE法、およびALD法等を例示できる。例えば、ウインドウ321は、MOCVD法により、選択成長したカソード層320に接して、エピタキシャル成長によって形成される。ウインドウ321は、阻害体304の開口306の内部に形成されてよく、開口306からはみ出て、阻害体304の上方にその一部が形成されてもよい。InPのウインドウ321を形成する場合に、Inの原料として、トリメチルインジウム(TMI)を例示できる。Pの原料として、ホスフィン(PH)を例示できる。
【0092】
図7は、センサ400の断面の一例を示す。センサ400は、ベース基板402、ウェル403、阻害体404、開口406、第1シード体412、第2シード体414、アノード層416、ドリフト層418、カソード層420、コンタクト層422、パッシベーション層424、絶縁膜426、上部電極層428、および配線430を備える。
【0093】
ベース基板402は、図2におけるベース基板202に対応する。ウェル403は、図2におけるウェル203に対応する。阻害体404および開口406は、図2における阻害体204および開口206に対応する。第1シード体412は、図2における第1シード体212に対応する。第2シード体414は、図2における第2シード体214に対応し、例えばSiGeまたはGeである。
【0094】
アノード層416は、図2におけるアノード層216に対応する。カソード層420は、図2におけるカソード層220に対応する。コンタクト層422は、図2におけるコンタクト層222に対応する。パッシベーション層424は、図2におけるパッシベーション層224に対応する。絶縁膜426は、図2における絶縁膜226に対応する。
【0095】
上部電極層428は、図2における上部電極層228に対応する。配線430は、図2における配線230に対応する。センサ400の説明において、センサ200と同様の構成部について説明を省略する場合がある。
【0096】
ドリフト層418は、図2におけるドリフト層218に対応する。ドリフト層418は、例えば、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなる第1層と、Gax4In1−x4y4z4Asw3Sb1−y4―z4−w3(0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1、0≦w3≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなり、禁制帯幅が第1層の禁制帯幅より大きな第2層とを積層した超格子構造体である。
【0097】
例えば、InGaAsを第1層、InGaAsの禁制帯幅より大きい禁制帯幅を有するGaInPを第2層とした2層構造を75回繰り返して、超格子構造体を形成することができる。当該超格子構造体において、InGaAsの第1層は、例えば0.003μm以上0.02μm以下の厚さを有する。一例として、InGaAsの第1層は、0.005μmの厚さを有する。GaInPの第2層は、0.01μm以上0.05μm以下の厚さを有してよい。一例として、GaInPの第2層は、0.013μmの厚さを有する。
【0098】
ドリフト層418が超格子構造を有することによって、伝導帯内にサブバンドが形成されるので、当該サブバンド間の電子遷移により、光熱吸収体C1および光熱吸収体C2は波長の長い光を吸収できる。光熱吸収体C1および光熱吸収体C2は、例えば当該禁制帯幅に対応する遠赤外線等の光を吸収して検知することができる。
【0099】
図8は、半導体基板100における光熱吸収体のエネルギーバンドの一例を示す。図8の上部は、半導体基板100の断面を示す。図8の下部は、光熱吸収体120のエネルギーバンドを示す。横軸は、光熱吸収体120におけるベース基板102に平行する面内位置を示す。縦軸は、光熱吸収体120のエネルギーバンドを示す。下の曲線は価電子帯の上端を示し、上の曲線は伝導帯の下端を示す。上の曲線と下の曲線との間隔は禁制帯幅を示す。
【0100】
光熱吸収体120は、例えば、ベース基板102に平行する面内において、ベース基板102に平行な面の中心からの距離がより大きな位置において、より大きな禁制帯幅となる組成分布を有する。つまり、光熱吸収体120は、中心部に比較して周辺部の禁制帯幅が大きくなるような組成分布を有してよい。
【0101】
例えば、図8に示すように、光熱吸収体120の中心部にEgの禁制帯幅を有し、周辺部にEgより大きいEgの禁制帯幅を有する。光熱吸収体120がSiGeである場合に、中心部から周辺部に向かって徐々にSiの組成を増やすことにより、光熱吸収体120は、図8に示すように変化する禁制帯幅を有する。光熱吸収体120がGax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)である場合に、x1≠1の時、中心からの距離がより大きな位置において、Inの割合がより小さくなる組成分布とすることにより、光熱吸収体120は、図8に示すように変化する禁制帯幅を有する。
【0102】
光熱吸収体120の周辺部が、中心部より広い禁制帯幅Egを有することによって、光電変換によって発生したキャリアが周辺部において再結合することを抑制することができる。上記のセンサ200におけるアノード層216、ドリフト層218、およびカソード層220のいずれの層においても、ベース基板202に平行する面内において、図8に示すように変化する禁制帯幅を有してもよい。
【0103】
図9は、センサ900の断面の一例を示す。センサ900は、ベース基板902、上部電極層972、配線978、光学フィルタ979、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、光熱吸収体C3、集光部材982、および封止部材984を備える。
【0104】
ベース基板902は、センサ200におけるベース基板202に対応する。上部電極層972は、上部電極層228に対応する。配線978は、配線230に対応する。光熱吸収体C1、光熱吸収体C2および光熱吸収体C3は、センサ200、センサ300またはセンサ400における光熱吸収体C1に対応する。以下の説明において、光熱吸収体C1を中心に説明するが、特別に光熱吸収体C2または光熱吸収体C3の説明を加える場合を除き、光熱吸収体C1についての説明は光熱吸収体C2および光熱吸収体C3にも適用することができる。
【0105】
集光部材982は、入射された光を集光する集光部材である。集光部材982は、光学レンズである。集光部材982は、例えば、ガラスまたはプラスチック等のように、光を透過する材料によって構成される。集光部材982は、光を集束できるレンズ効果を有する部材である。
【0106】
集光部材982は、集光した光が光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、または光熱吸収体C3に入射するように、配置されている。センサ900は、各光熱吸収体のそれぞれに対応して配置された複数の集光部材982を備えてもよい。各光熱吸収体に入射する光を集束する複数の集光部材982は、図9に示すように一体に形成されていてもよい。
【0107】
光学フィルタ979は、例えば入射光の経路上に配置される。光学フィルタ979は、例えば、光熱吸収体C1の禁制帯幅に相当する波長より長い波長の光を吸収または反射する機能を有する。光学フィルタ979は、重金属を含有して耐放射線機能を有してもよい。
【0108】
図9に示すように、封止部材984を用いてセンサ900が一体になるように封止してもよい。封止部材984は、例えば、ガラスまたはプラスチック等のような透明な材料によって構成される。封止部材984は、集光部材982と一体で形成されてもよい。集光部材982は、封止部材984により保持されてもよい。
【0109】
センサ900は、それぞれの光熱吸収体に対応する、ベース基板902に形成された増幅素子を備えてもよい。当該増幅素子は、各光熱吸収体のそれぞれに、配線978を通じて接続される。当該増幅素子は、各光熱吸収体が発生する電気信号を増幅する。配線978は、例えば阻害体の上方に形成される。
【0110】
図10は、センサ1000の断面の一例を示す。センサ1000は、ベース基板1002、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、光熱吸収体C3、集光部材1082、および封止部材1084を備える。ベース基板1002は、センサ900におけるベース基板902に対応する。
【0111】
センサ1000は、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3が設けられたベース基板1002の面の反対面から入射する光を検出する。例えば、入射光がシリコンを通過する赤外光である場合には、入射光がベース基板1002を通過して光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3に入射する。
【0112】
集光部材1082は、センサ900における集光部材982に対応する。集光部材1082は、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3に入射する光を集光する。集光部材1082は、集光された光が光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、または光熱吸収体C3に入射するように、配置されている。センサ900は、各光熱吸収体のそれぞれに対応して配置された複数の集光部材1082を備えてもよい。各光熱吸収体に入射する光を集束する複数の集光部材1082は、図10に示すように一体に形成されてもよい。
【0113】
ベース基板1002がSi基板である場合には、集光部材1082は、Siベース基板1002を透過できる赤外線を集束して、光熱吸収体C1に入射するレンズであってもよい。Siベース基板1002は、Siの禁制帯幅以上のエネルギーを有する光を吸収して、一種のフィルタ効果を果たす。
【0114】
図11は、センサ1100の一例を示す。センサ1100は、ベース基板1102、ウェル1103、阻害体1104、上部電極層1172、配線1178、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3を備える。
【0115】
ベース基板1102は、センサ200におけるベース基板202に対応する。ウェル1103は、ウェル203に対応する。阻害体1104は、阻害体204に対応する。上部電極層1172は、上部電極層228に対応する。配線1178は、配線230に対応する。光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3は、センサ200における光熱吸収体C1に対応する。
【0116】
図11に示すように、センサ1100において、各光熱吸収体の底部に接するウェル1103は、互いに分離して独立している。配線1178によって、光熱吸収体C2の下部に形成されたウェル1103に光熱吸収体C3の上部電極層1172を接続するとともに、光熱吸収体C1の下部に形成されたウェル1103に光熱吸収体C2の上部電極層1172を接続すれば、光吸収対C1、光吸収対C2、および光吸収対C3を直列に接続することができる。センサ1100が発生する電気信号は、例えば、光熱吸収体C1における上部電極層1172と光熱吸収体C3におけるウェル1103との間から出力される。
【0117】
また、光熱吸収体C1の上部電極層1172、光熱吸収体C2の上部電極層1172、および光熱吸収体C3上部電極層1172を配線1178によって接続するとともに、光熱吸収体C1の下部にあるウェル1103、光熱吸収体C2の下部にあるウェル1103、および光熱吸収体C3の下部にあるウェル1103を配線1178と異なる配線によって接続すれば、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3を並列に接続することもできる。以上、3つの光熱吸収体を接続する例を示したが、センサ1100は、互いに接続された、より多くの光熱吸収体を備えてもよい。
【0118】
図12は、センサ1200の一例を示す。センサ1200は、ベース基板1202、阻害体1204、上部電極層1272、配線1278、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3を備える。
【0119】
ベース基板1202は、センサ200におけるベース基板202に対応する。阻害体1204は、阻害体204に対応する。上部電極層1272は、上部電極層228に対応する。配線1278は、配線230に対応する。光熱吸収体C1、光熱吸収体C2および光熱吸収体C3は、センサ200における光熱吸収体C1に対応する。
【0120】
ベース基板1202は、基板全体が導電性を有する。光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3のアノード層は、例えば、シード体を介して、ベース基板1202に電気的に結合する。光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3のアノード層は、ベース基板1202を通じて、互いに電気的に結合してもよい。この場合、光熱吸収体C1の上部電極層1272、光熱吸収体C2の上部電極層1272、および光熱吸収体C3上部電極層1272を配線1278によって接続すれば、光熱吸収体C1、光熱吸収体C2、および光熱吸収体C3を並列に接続することもできる。以上、3つの光熱吸収体を接続する例を示したが、センサ1200は、互いに接続された、より多くの光熱吸収体を備えてもよい。
【0121】
以上の実施態様において、Siを含む基板の上方に、開口を有する阻害体を形成して、当該開口内に選択的にシード体、光熱吸収体をエピタキシャルに成長させた。これにより、Siと化合物半導体との格子定数の相違に起因する格子欠陥を低減し、結晶性の高い光熱吸収体を形成することができた。光熱吸収体の結晶性を高めたことによって、安定した特性を有するセンサが得られた。また、集光部材を組み合わせることによって、効率よく光を集束して光熱吸収体に光を入射でき、センサの感度を高めることができた。
【実施例】
【0122】
(実施例1)
図13に示すセンサ1300を作製した。シリコンを含むベース基板1302として、ベース基板1302の全体がシリコンであるp型Si基板を準備した。ベース基板1302の表面に、阻害体1304として、熱酸化法により酸化シリコン層を形成した。酸化シリコン層の厚さの平均値は、0.1μmであった。フォトリソグラフィ法により、阻害体1304の一部にベース基板1302を露出する複数の開口1306を形成した。開口1306の大きさは、20μm×20μmとした。
【0123】
ベース基板1302を反応炉の内部に配置し、第1シード体1312として、Ge結晶層を形成した。Ge結晶層は、CVD法により、開口1306の内部に選択的に形成した。Ge結晶層は、ゲルマンを原料ガスに用いて、反応炉内の圧力を2.6kPa、温度を600℃にして、1μmの厚さで成膜した。
【0124】
次に、反応炉の中で、Ge結晶層をアニール処理した。温度を800℃、時間を10分間としてアニールを実行した後、温度を680℃、時間を10分間とするアニールを10回繰り返した。アニール処理は、Ge結晶層を形成した後、ベース基板1302を反応炉から取り出すことなく実施した。
【0125】
Ge結晶層をアニールした後、第2シード体1314としてGaAs結晶層をMOCVD法により形成した。GaAs結晶層は、トリメチルガリウムおよびアルシンを原料ガスに用いて結晶成長させた。GaAs結晶層は、まず550℃の成長温度でGaAs結晶を成長した後、成長温度を650℃とし、反応炉内の圧力を8.0kPaの条件で成膜した。GaAs結晶層は、開口1306の内部で、Ge結晶層の表面をシード面として成長した。
【0126】
得られたGe結晶層とGaAs結晶層の表面をエッチピット法により検査したところ、いずれの結晶層の表面にも欠陥は発見されなかった。透過型電子顕微鏡によりこれらの結晶層の断面観察をしたところ、いずれの結晶層を貫通する転位も発見されなかった。
【0127】
得られたGaAs結晶層の上に、カソード層1320としてのGaAs結晶層およびInGaP結晶層、ドリフト層1318としてのGaAs結晶層、アノード層1316としてのGaAs結晶層をベース基板1302側からこの順でMOCVD法により形成した。アノード層1316、ドリフト層1318およびカソード層1320は、光熱吸収体120に対応する。GaAs結晶層は、トリメチルガリウムおよびアルシンを原料ガスに用いた。InGaP結晶層は、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムおよびホスフィンを原料ガスに用いた。以上のようにして半導体基板が作製できた。
【0128】
引き続き、フォトリソグラフィ法による加工を行い、アノード層1316、ドリフト層1318およびカソード層1320を用いたセンサ1300を作製した。アノード層1316およびドリフト層1318をエッチングしてメサ構造を形成し、アノード層1316の上にアノード電極1322を形成した。そしてカソード層1320の上にカソード電極1324を形成した。
【0129】
図14は、作製したセンサ1300を半導体基板の表面側から観察したレーザー顕微鏡写真である。図15は、アノード電極1322およびカソード電極1324間の電流−電圧特性を、暗電流Idおよび光電流Ipについて測定した結果を示す。図15において実線が暗電流Idを示し、破線が光電流Ipを示す。図15に示す通り、逆バイアス電圧において2桁以上の光感度が観察され、暗電流Idおよび光電流Ipのそれぞれにおいて正常なダイオード特性が観察された。すなわちセンサ1300は、正常に動作することが確認された。
【0130】
また、暗電流Idの電流−電圧特性において、デバイス品質の良し悪しを決める理想因子(n値)が1.18であった。n値が理想値である1に近いことから、結晶性の高い光吸収体が得られたことを示している。さらに光電流Ipの電流−電圧特性において、逆方向バイアスから順方向バイアスまで光感度を持ち、高感度なセンサとして動作することが確認できた。なお、理想因子(n値)とは、降伏していない領域におけるpn接合ダイオードの電流−電圧特性を、J=J(exp(qV/nkT)−1)の式(ただし、Jを電流、Vを電圧、Jを逆方向飽和電流、qを電気素量、kをボルツマン定数、Tを温度とする。)に当てはめた場合のnの値であり、実験により求められる。
【0131】
図16は、Si基板とGe結晶層との界面近傍における断面SEM写真を示す。図17は、図16の分析領域におけるエネルギー分散型蛍光X線分析の結果を示す。図17に示すように、分析領域がSi基板とGe結晶層との界面よりSi基板側にあるにも関わらず、Ge元素の信号が強く検出された。この結果は、Ge原子がSi基板内に拡散し、ベース基板1302であるSi基板と第1シード体1312であるGe結晶層との界面に接して、SiGeである界面領域をベース基板1302の内部に含むことを示している。
【0132】
(実施例2)
開口1306の大きさを30μm×30μmとした以外は、実施例1と同様にして、ベース基板1302であるp型Si基板上に、阻害体1304として酸化シリコン層を形成し、阻害体1304の一部にベース基板1302を露出する複数の開口1306を形成した。引き続き、実施例1と同様に、第1シード体1312としてGe結晶層を形成し、Ge結晶層をアニールした後に、第2シード体1314としてGaAs結晶層を形成した。
【0133】
実施例2においては、第2シード体1314であるGaAs結晶層の上に、光吸収体となるInGaP結晶層を形成した。このInGaP結晶層の禁制帯幅近傍の電子状態を、カソードルミネッセンス(CLと記す)分光法により解析した。
【0134】
図18は、InGaP結晶の室温カソードルミネッセンス分光による650nm発光像を示す。図19は、InGaP結晶の室温カソードルミネッセンス分光による700nm発光像を示す。図18に示す650nm発光像は、1.91電子ボルト(eVと記す)の遷移エネルギーに相当する発光像であり、図19に示す700nm発光像は、1.77eVの遷移エネルギーに相当する発光像である。
【0135】
図18および図19から、中心部の発光強度に比べて周辺部の発光強度は、700nm発光像において低く、650nm発光像において高いことがわかる。また、InGaP結晶層の室温カソードルミネッセンス分光測定のスペクトル分析から、InGaP結晶層の中心部における禁制帯幅は、680nm発光の遷移エネルギーに相当する1.82eV程度であった。
【0136】
これらの結果は、InGaP結晶層が、図8に示すようなバンド構造、すなわち周辺部が中心部より広い禁制帯幅を有するバンド構造であることに起因すると考えられる。周辺部が中心部より広い禁制帯幅を有するので、光電変換によって発生したキャリア(電子正孔対)の周辺部における再結合が抑制され、実施例1に示たように、センサ1300が高感度に動作したと考えられる。
【0137】
(実施例3)
実施例1と同様にして、ベース基板1302であるp型Si基板上に、阻害体1304として酸化シリコン層を形成し、阻害体1304の一部にベース基板1302を露出する複数の開口1306を形成する。引き続き、実施例1と同様に、第1シード体1312としてGe結晶層を形成し、Ge結晶層をアニールし、この後第2シード体1314としてGaAs結晶層を形成する。
【0138】
実施例3においては、第2シード体1314であるGaAs結晶層の上に、アノード層、ドリフト層、およびカソード層を、ベース基板1302の側からアノード層、ドリフト層、カソード層の順に形成する。アノード層をGaAs結晶層およびInGaP結晶層、ドリフト層をGaAs結晶層、カソード層をGaAs結晶層とする。各層はMOCVD法により形成する。アノード層、ドリフト層、およびカソード層は、光吸収体に対応する。
【0139】
フォトリソグラフィ法によりアノード層、ドリフト層、およびカソード層を加工してメサ構造を形成し、アノード層に接するアノード電極、および、カソード層に接するカソード電極を形成する。このようにしてアノード層、ドリフト層、およびカソード層を用いた光センサを作製した。カソード電極とアノード電極との間の電流−電圧特性を測定して光センサの動作試験を実施する。光センサは正常に動作することが確認される。
【0140】
(実施例4)
実施例1と同様にして、ベース基板1302であるp型Si基板上に、阻害体1304として酸化シリコン層を形成し、阻害体1304の一部にベース基板1302を露出する複数の開口1306を形成する。引き続き、実施例1と同様に、ベース基板1302を反応炉の内部に配置して、シード体としてGe結晶層を形成した。さらに反応炉の中でGe結晶層をアニール処理する。
【0141】
Ge結晶層をアニール後、実施例4においては、Ge結晶層の上にアノード層、ドリフト層、およびカソード層を、ベース基板1302の側からアノード層、ドリフト層、カソード層の順に形成する。アノード層をInGaAs結晶層、ドリフト層をInGaAs結晶層、カソード層をInGaAs結晶層とする。各層はMOCVD法により形成する。アノード層、ドリフト層およびカソード層は、光吸収体に対応する。InGaAs結晶層の形成では、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびアルシンを原料ガスに用いる。InGaAs結晶層は、開口1306の内部で、Ge結晶層の表面をシード面として成長させる。InGaAs結晶層からなるカソード層の上に、GaAs結晶層からなるコンタクト層をMOCVD法により形成する。
【0142】
コンタクト層であるGaAs結晶層の上に、パッシベーション層として絶縁膜であるSiO層をCVD法により形成する。これらにより、半導体基板を作製する。フォトリソグラフィ法によりパッシベーション層、コンタクト層、アノード層、ドリフト層、およびカソード層を加工してメサ構造を形成し、アノード層に接するアノード電極、カソード層に接するカソード電極を形成する。このようにしてアノード層、ドリフト層およびカソード層を用いた光センサを作製する。カソード電極とアノード電極との間の電流−電圧特性を測定して光センサの動作試験を実施する。光センサは正常に動作することが確認される。
【0143】
(実施例5)
図20は、センサ1400の断面の一例を概略的に示す。シリコンを含むベース基板1402として、ベース基板1402の全体が低抵抗シリコン結晶であるSi基板を準備する。実施例1と同様にして、Si基板の上に、阻害体1304として酸化シリコン層を形成し、阻害体1304の一部にベース基板1402を露出する複数の開口1306を形成する。引き続き、実施例1と同様に、第1シード体1312としてGe結晶層を形成し、Ge結晶層をアニールし、この後第2シード体1314としてGaAs結晶層を形成する。
【0144】
第2シード体1314であるGaAs結晶層の上に、実施例5においては、アノード層1416、ドリフト層1418およびカソード層1420を、ベース基板1402の側からアノード層1416、ドリフト層1418、カソード層1420の順に形成する。アノード層1416をGaAs結晶層およびInGaP結晶層、ドリフト層1418をGaAs結晶層、カソード層1420をGaAs結晶層とする。各層はMOCVD法により形成する。アノード層1416、ドリフト層1418およびカソード層1420は、光吸収体に対応する。
【0145】
アノード層1416、ドリフト層1418およびカソード層1420を、フォトリソグラフィ法により加工してメサ構造を形成し、アノード層1416に接するアノード電極1422、カソード層1420に接するカソード電極1424を形成する。このようにしてアノード層1416、ドリフト層1418およびカソード層1420を用いた光センサを作製する。アノード電極1422とカソード電極1424との間の電流−電圧特性を測定して光センサの動作試験を実施する。光センサは正常に動作することが確認される。
【0146】
また、ベース基板1402の裏面に裏面アノード電極1426を形成し、カソード電極1424と裏面アノード電極1426との間の電流−電圧特性を測定して光センサの動作試験を実施する。光センサは正常に動作することが確認される。この結果から、光吸収体が低抵抗シリコン結晶と電気的に結合されていることが確認できたる。
【0147】
(実施例6)
実施例1と同様にして、ベース基板1302であるp型Si基板上に、阻害体1304として酸化シリコン層を形成し、阻害体1304の一部にベース基板1302を露出する複数の開口1306を形成する。引き続き、実施例1と同様に、第1シード体1312としてGe結晶層を形成し、Ge結晶層をアニールし、この後第2シード体1314としてGaAs結晶層を形成する。
【0148】
実施例6においては、第2シード体1314であるGaAs結晶層の上に、カソード層、ドリフト層およびアノード層を、ベース基板1302の側からカソード層、ドリフト層およびアノード層の順に形成する。カソード層をGaAs結晶層およびInGaP結晶層とし、ドリフト層を厚さ20nmのInGaP結晶層と厚さ40nmのGaAs結晶層の積層を10周期繰り返す構造からなる超格子構造とし、アノード層をGaAs結晶層とする。各層はMOCVD法により形成する。カソード層、ドリフト層およびアノード層は、光吸収体に対応する。
【0149】
カソード層、ドリフト層およびアノード層を、フォトリソグラフィ法により加工してメサ構造を形成し、アノード層に接するアノード電極、カソード層に接するカソード電極を形成する。このようにしてカソード層、ドリフト層およびアノード層を用いた光センサを作製する。カソード電極とアノード電極との間の電流−電圧特性を測定して光センサの動作試験を実施する。光センサは正常に動作することが確認される。
【0150】
(実施例7)
図21から図24は、センサ1500の製造過程における断面例を示す。図25は、センサ1500の断面の一例を概略的に示す。図21に示すように、実施例1と同様にして、ベース基板1302であるp型Si基板上に、阻害体1304として酸化シリコン層を形成し、阻害体1304の一部にベース基板1302を露出する複数の開口1306を形成する。引き続き、実施例1と同様に、第1シード体1312としてGe結晶層を形成し、Ge結晶層をアニールし、この後第2シード体1314としてGaAs結晶層を形成する。
【0151】
次に図22に示すように、第2シード体1314を覆う酸化シリコン層1502を形成し、後に光吸収体が形成される領域に開口1504を形成する。開口1504の内部に露出される、第2シード体1314であるGaAs結晶層の上に、カソード層1506、ドリフト層1508、およびアノード層1510を、ベース基板1302の側からカソード層1506、ドリフト層1508およびアノード層1510の順に形成する。カソード層1506をGaAs結晶層およびInGaP結晶層とし、ドリフト層1508をGaAs結晶層とし、アノード層1510をGaAs結晶層とする。各層はMOCVD法により形成する。カソード層1506、ドリフト層1508およびアノード層1510は、光吸収体に対応する。
【0152】
次に図23に示すように、アノード層1510を覆う酸化シリコン層1512を形成し、後に増幅素子が形成される領域に開口1514を形成する。開口1514の内部に露出される、第2シード体1314であるGaAs結晶層の上に、コレクタ層1516としてGaAs結晶層を、ベース層1518としてInGaP結晶層を、エミッタ層1520としてInGaAs結晶層をMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。コレクタ層1516、ベース層1518およびエミッタ層1520からなるエピタキシャル積層構造は、増幅素子であるヘテロ接合バイポーラトランジスタになる。
【0153】
次に図24に示すように、アノード層1510の上にある酸化シリコン層1512を除去して開口1522を形成し、カソード層1506、ドリフト層1508およびアノード層1510を、フォトリソグラフィ法により加工してメサ構造を形成し、カソード層1506に接するカソード電極1524、アノード層1510に接するアノード電極1526を形成する。このようにしてカソード層1506、ドリフト層1508、およびアノード層1510を用いた光センサ素子を作製する。アノード電極1526とカソード電極1524の間の電流−電圧特性を測定して光センサ素子の動作試験を実施する。光センサは正常に動作することが確認される。
【0154】
さらに、フォトリソグラフィ法によりコレクタ層1516、ベース層1518、およびエミッタ層1520を加工してメサ構造を形成し、コレクタ層1516に接してコレクタ電極1528を、ベース層1518に接してベース電極1530を、エミッタ層1520に接してエミッタ電極1532を形成して増幅素子を作製する。
【0155】
最後に、図25に示すように、光センサ素子および増幅素子を覆う絶縁層1534を形成し、絶縁層1534にエッチングを施してビアホールを形成する。当該ビアホールを介して、カソード電極1524、アノード電極1526、コレクタ電極1528、ベース電極1530、およびエミッタ電極1532の間を相互に接続する配線1536を形成する。以上のようにして、センサ1500を製造する。
【0156】
絶縁層1534としてポリイミド膜が挙げられる。配線1536として、アルミニウム、金、チタニウムと金の2層構造、チタニウム、白金、及び金の3層構造等の金属膜が挙げられる。配線1536は、阻害体1304を挟んで形成される光センサ素子と増幅素子とを接続するべく、阻害体1304の上に形成される。コレクタ電極1528、ベース電極1530およびエミッタ電極1532の間の電気特性を測定して、増幅素子であるヘテロ接合バイポーラトランジスタの動作試験を実施する。ヘテロ接合バイポーラトランジスタは正常な動作が確認される。
【0157】
なお、配線1536が形成できる場合には絶縁層1534は必要でない。また、阻害体1304と酸化シリコン層1502との間、または酸化シリコン層1502と酸化シリコン層1512との間に配線を形成して、当該配線を配線1536とのインターコネクトに利用してもよい。
【符号の説明】
【0158】
100 半導体基板、102 ベース基板、104 阻害体、106 開口、110 シード体、120 光熱吸収体、150 センサ、200 センサ、202 ベース基板、203 ウェル、204 阻害体、206 開口、212 第1シード体、214 第2シード体、216 アノード層、218 ドリフト層、220 カソード層、222 コンタクト層、224 パッシベーション層、226 絶縁膜、228 上部電極層、230 配線、300 センサ、302 ベース基板、303 ウェル、304 阻害体、306 開口、312 シード体、314 バッファ層、316 アノード層、318 ドリフト層、320 カソード層、321 ウインドウ、322 コンタクト層、324 パッシベーション層、326 絶縁膜、328 上部電極層、330 配線、400 センサ、402 ベース基板、403 ウェル、404 阻害体、406 開口、412 第1シード体、414 第2シード体、416 アノード層、418 ドリフト層、420 カソード層、422 コンタクト層、424 パッシベーション層、426 絶縁膜、428 上部電極層、430 配線、900 センサ、902 ベース基板、972 上部電極層、978 配線、979 光学フィルタ、982 集光部材、984 封止部材、1000 センサ、1002 ベース基板、1082 集光部材、1084 封止部材、1100 センサ、1102 ベース基板、1103 ウェル、1104 阻害体、1172 上部電極層、1178 配線、1200 センサ、1202 ベース基板、1204 阻害体、1272 上部電極層、1278 配線、1300 センサ、1302 ベース基板、1304 阻害体、1306 開口、1312 第1シード体、1314 第2シード体、1316 アノード層、1318 ドリフト層、1320 カソード層、1322 アノード電極、1324 カソード電極、1400 センサ、1402 ベース基板、1416 アノード層、1418 ドリフト層、1420 カソード層、1422 アノード電極、1424 カソード電極、1426 裏面アノード電極、1500 センサ、1502 酸化シリコン層、1504 開口、1506 カソード層、1508 ドリフト層、1510 アノード層、1512 酸化シリコン層、1514 開口、1516 コレクタ層、1518 ベース層、1520 エミッタ層、1522 開口、1524 カソード電極、1526 アノード電極、1528 コレクタ電極、1530 ベース電極、1532 エミッタ電極、1534 絶縁層、1536 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含むベース基板と、
前記ベース基板の上方に設けられたシード体と、
前記シード体に格子整合または擬格子整合し、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体と
を備え、
前記光熱吸収体が、前記光熱吸収体に入射する入射光または前記光熱吸収体に加わる熱に応じて電気信号を出力するセンサ。
【請求項2】
前記ベース基板の上方に形成され、前記ベース基板の少なくとも一部の領域を露出する開口を有し、結晶成長を阻害する阻害体をさらに備え、
前記シード体が、前記開口の内部に形成されている請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記ベース基板は、前記シリコンのバルク領域が有する不純物と反対の伝導型の不純物を有する不純物領域を有し、
前記光熱吸収体は、前記シード体を介して前記不純物領域と電気的に結合されている請求項1または請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記阻害体が複数の前記開口を有し、前記複数の開口内に形成された複数の前記光熱吸収体を備える請求項2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記ベース基板は不純物を有する不純物領域を有し、
前記シード体は前記不純物領域に接して設けられ、
前記複数の光熱吸収体のうちの少なくとも2つの光熱吸収体が、前記シード体を介して前記不純物領域と電気的に結合されている請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記複数の光熱吸収体のそれぞれに対応して前記ベース基板に形成された複数の増幅素子と、
前記複数の増幅素子および前記複数の光熱吸収体を接続し、前記阻害体上に形成されている配線と
をさらに備える請求項4または請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記光熱吸収体が、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)を有し、
前記シード体が、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)、または、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)からなる請求項1から請求項6の何れか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記光熱吸収体が、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなる第1層と、Gax4In1−x4y4z4Asw3Sb1−y4―z4−w3(0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1、0≦w3≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなり、禁制帯幅が前記第1層の禁制帯幅より大きな第2層とを積層した超格子構造体である請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記シード体が、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)からなり、
前記ベース基板と前記シード体との界面に接して、前記ベース基板内に、組成がCx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0<x2≦1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、0<x2+y2+z2≦1、かつy2<y2´<1)である界面領域をさらに含む請求項7または請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
前記光熱吸収体の側壁に接して形成され、前記光熱吸収体よりも禁制帯幅の大きな半導体または前記光熱吸収体よりも禁制帯幅の大きな誘電体を有し、前記側壁における前記キャリアの再結合を抑制する再結合抑制体をさらに備える請求項1から請求項9の何れか一項に記載のセンサ。
【請求項11】
前記光熱吸収体は、前記ベース基板に平行な面の中心からの距離がより大きな位置において、より大きな禁制帯幅となる組成分布を有する請求項1から請求項10の何れか一項に記載のセンサ。
【請求項12】
前記光熱吸収体は、x1≠1である場合に、前記中心からの距離がより大きな位置において、Inの割合がより小さくなる組成分布を有する請求項7から請求項11の何れか一項に記載のセンサ。
【請求項13】
前記シード体が前記入射光に応じて電気信号を発生する請求項1から請求項12の何れか一項に記載のセンサ。
【請求項14】
シリコンを含むベース基板と、
前記ベース基板の上方に設けられたシード体と、
前記シード体に格子整合または擬格子整合し、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体と
を備える半導体基板。
【請求項15】
前記ベース基板の上方に形成され、前記ベース基板の少なくとも一部の領域を露出する開口を有し、結晶成長を阻害する阻害体をさらに備え、
前記シード体が、前記開口の内部に形成されている請求項14に記載の半導体基板。
【請求項16】
前記ベース基板は、前記シリコンのバルク領域が有する不純物と反対の伝導型の不純物を有する不純物領域を有し、
前記光熱吸収体は、前記シード体を介して前記不純物領域と電気的に結合されている請求項14または請求項15に記載の半導体基板。
【請求項17】
前記阻害体が複数の前記開口を有し、前記複数の開口内に形成された複数の前記光熱吸収体を備える請求項15に記載の半導体基板。
【請求項18】
前記ベース基板は不純物を有する不純物領域を有し、
前記シード体は前記不純物領域に接して設けられ、
前記複数の光熱吸収体のうちの少なくとも2つの光熱吸収体が、前記シード体を介して前記不純物領域と電気的に結合されている請求項17に記載の半導体基板。
【請求項19】
前記光熱吸収体が、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)を有し、
前記シード体が、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)、または、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)からなる請求項14から請求項18の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項20】
前記光熱吸収体が、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなる第1層と、Gax4In1−x4y4z4Asw3Sb1−y4―z4−w3(0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1、0≦w3≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなり、禁制帯幅が前記第1層の禁制帯幅より大きな第2層とを積層した超格子構造体である請求項19に記載の半導体基板。
【請求項21】
前記シード体が、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0≦x2<1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)からなり、
前記基板と前記シード体との界面に接して、前記基板内に、組成がCx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0<x2≦1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、0<x2+y2+z2≦1、かつy2<y2´<1)である界面領域をさらに含む請求項19または請求項20に記載の半導体基板。
【請求項22】
前記光熱吸収体の側壁に接して形成され、前記光熱吸収体よりも禁制帯幅の大きな半導体または前記光熱吸収体よりも禁制帯幅の大きな誘電体を有し、前記側壁における前記キャリアの再結合を抑制する再結合抑制体をさらに備える請求項14から請求項21の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項23】
前記光熱吸収体は、前記ベース基板に平行な面の中心からの距離がより大きな位置において、より大きな禁制帯幅となる組成分布を有する請求項14から請求項22の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項24】
前記光熱吸収体は、x1≠1である場合に、前記中心からの距離がより大きな位置において、Inの割合がより小さくなる組成分布を有する請求項19から請求項23の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項25】
シリコンを含むベース基板の上方に阻害体を形成する段階と、
前記阻害体に、前記ベース基板の表面を露出する開口を形成する段階と、
前記開口の内部にシード体を形成する段階と、
前記シード体を加熱する段階と、
前記加熱された前記シード体の上方に、光または熱を吸収してキャリアを生成する3−5族化合物半導体からなる光熱吸収体を、前記シード体に格子整合または擬格子整合させてエピタキシャル成長させる段階と
を備える半導体基板の製造方法。
【請求項26】
前記シード体を加熱する段階をさらに備え、
前記光熱吸収体を形成する段階においては、前記加熱された前記シード体の上方に前記光熱吸収体をエピタキシャル成長させる請求項25に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項27】
前記シード体を形成する段階においては、Cx2Siy2Gez2Sn1−x2−y2−z2(0<x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、かつ0<x2+y2+z2≦1)、または、Gax3In1−x3y3z3Asw2Sb1−y3−z3−w2(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0≦z3≦1、0≦w2≦1、かつ0≦y3+z3+w2≦1)からなる前記シード体を形成し、
前記シード体を加熱する段階においては、前記ベース基板と前記シード体との界面に接して、前記ベース基板内に、組成がCx2Siy2´Gez2Sn1−x2−y2−z2(0<x2≦1、0<y2´≦1、0≦z2≦1、0<x2+y2+z2≦1、かつy2<y2´<1)である界面領域を形成し、
前記光熱吸収体を形成する段階においては、Gax1In1−x1y1z1Asw1Sb1−y1−z1−w1(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、0≦w1≦1、かつ0≦y1+z1+w1≦1)からなる前記光熱吸収体をエピタキシャル成長させる請求項30に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項28】
前記シード体を加熱する段階においては、前記シード体の吸収係数が前記阻害体の吸収係数よりも大きい電磁波を照射する請求項27に記載の半導体基板の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2011−14898(P2011−14898A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128368(P2010−128368)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】