説明

センサ装置及びセンサ装置の製造方法

【課題】センシング精度を向上させることのできるセンサ装置を提供する。
【解決手段】このセンサ装置は、リードフレーム30のチップ搭載部31に実装された半導体チップ10を封止した第1の樹脂部材20からリードフレーム30のリード部32a〜32cが導出された半導体パッケージ1を有する。そして、このセンサ装置では、半導体パッケージ1が第2の樹脂部材21によって覆われている。ここでは、リード部32a,32cの第1の樹脂部材20によって覆われていない部分に、リードフレーム30及び半導体パッケージ1のそれぞれの位置決めに利用される貫通孔33a,33bをそれぞれ形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば磁気検出素子などを備える半導体チップを樹脂部材によって覆うようにしたセンサ装置、及び同センサ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のセンサ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載のセンサ装置では、リードフレームに形成されたチップ搭載部に半導体チップを実装した後、この半導体チップを、リードフレームと共々、樹脂部材により封止するようにしている。このようなセンサ装置によれば、半導体チップの外周を樹脂部材によって覆うことができるため、半導体チップを外部環境から的確に保護することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−133484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなセンサ装置は、例えば図6〜図9に示す工程を経て製造される。まず、図6に示すように、チップ搭載部71及びリード部72a〜72cが形成されたリードフレーム70を用意する。なお、チップ搭載部71は、架設部73を介してアウターフレーム74に連結されている。また、リード部72a〜72cは、チップ搭載部71の一辺から導出されるとともに、それらの先端部がアウターフレーム74にそれぞれ連結されている。さらに、アウターフレーム74の一部には、貫通孔75が形成されている。
【0005】
そして、センサ装置の製造に際してはまず、アウターフレーム74の貫通孔75に図示しない位置決め部材に形成されたピンなどを挿入してリードフレーム70全体の位置決めを行う。その後、チップ搭載部71の先端部に、例えば磁気検出素子を備える半導体チップ80を実装する。次いで、図7(a)に示すように、例えば適宜の金型などを用いて、半導体チップ80及びチップ搭載部71を第1の樹脂部材90により一体にモールドして樹脂封止する。なお、この樹脂成形に伴い、図7(b)に併せ示すように、第1の樹脂部材90の正面91及び背面92に凹部91a,92aをそれぞれ形成する。こうして半導体チップ80を樹脂封止した後、図7(a)に点ハッチングで示す部分を切断することで、半導体パッケージ100が完成する。
【0006】
こうして半導体パッケージ100が完成した後、続く2次成形として、リード部72a〜72cの先端部に図示しないコネクタの各端子を接続した後、半導体パッケージ100及びコネクタの外周に第2の樹脂部材を成形する。具体的には、図8に示すように、2次成形の際に用いられる金型110は、センサ装置の正面部分の形状に対応したキャビティC1を有する第1の金型111と、センサ装置の背面部分の形状に対応したキャビティC2を有する第2の金型112とからなる。なお、図8では、便宜上、金型110のうち、半導体パッケージ100の周辺に対応する部分のみを図示している。同図に示すように、第1の金型111の内壁には、半導体パッケージ100の凹部91aに挿入される突出部111aが形成されている。また、第2の金型112の内壁には、半導体パッケージ100の凹部92aに挿入される突出部112aが形成されている。そして、2次成形では、半導体パッケージ100の凹部91a,92aに第1の金型111及び第2の金型112の突出部111a,112aをそれぞれ挿入することで、図中に示す態様にて半導体パッケージ100の位置決めが行われる。その後、キャビティC1,C2内に樹脂材料を注湯してこれを硬化させることで、半導体パッケージ100及びコネクタの外周が第2の樹脂部材によって覆われる。これにより、図9に示すように、半導体パッケージ100を封止したセンシング部121と、同センシング部121が導出される側面122aを有する本体部122とからなる第2の樹脂部材120が成形されて、センサ装置が完成する。
【0007】
なお、このセンサ装置の実用に際しては、例えば図中に二点鎖線で示すように、第2の樹脂部材120の側面122aを適宜のハウジング130の内壁面131に当接させた状態で、図示しないボルトなどにより第2の樹脂部材120の本体部122をハウジング130に締結固定する。これにより、半導体チップ80は、例えば磁石などにより形成された被検出体140から所定距離Laだけ離間した位置に配置されることとなる。そして、このセンサ装置では、被検出体140の変位に伴い同被検出体140によって形成される磁界が変化すると、半導体チップ80に付与される磁界が変化する。これにより、半導体チップ80の出力信号が変化するため、その出力信号の変化に基づいて被検出体140の位置を検出することができるようになっている。
【0008】
ところで、このようなセンサ装置では、半導体チップ80から被検出体140までの距離Laが、被検出体140の位置検出精度(センシング精度)を高める上で重要な寸法となる。そして、この距離Laは、第2の樹脂部材120の側面122aから半導体チップ80までの寸法Lbによって定まるため、同寸法Lbの公差ΔLbをできる限り小さくすることが望ましい。ここで、前述した製造方法によれば、寸法公差ΔLbは、先の図6〜図8に示す寸法L10〜L12の公差ΔL10〜ΔL12の合計となる(ΔLb=ΔL10+ΔL11+ΔL12)。なお、各寸法公差ΔL10〜ΔL12は以下の(a1)〜(a3)に示す通りである。
【0009】
(a1)図6に示すように、貫通孔75から半導体チップ80までの寸法L10の公差ΔL10。これは、貫通孔75へのピンの挿入によりリードフレーム70の位置決めを行いつつ、チップ搭載部71に半導体チップ80を実装する際に発生するものである。
【0010】
(a2)図7(a)に示すように、貫通孔75から凹部91a,92aまでの寸法L11の公差ΔL11。これは、貫通孔75へのピンの挿入によりリードフレーム70の位置決めを行いつつ、金型などを用いて第1の樹脂部材90を成形する際に発生するものである。
【0011】
(a3)図9に示すように、第2の樹脂部材120の側面122aから半導体パッケージ100の凹部91a,92aまでの寸法L12の公差ΔL12。これは、凹部91a,92aに金型110の突出部111a,112aを挿入して半導体パッケージ100の位置決めを行いつつ、第2の樹脂部材120を成形する際に発生するものである。
【0012】
そしてこのように、第2の樹脂部材120の側面122aから半導体チップ80までの寸法公差ΔLbが図6〜図9に示す3つの寸法公差ΔL10〜ΔL12により定まる場合、この寸法公差ΔLbが自ずと大きくなってしまう。このため、各センサ装置において半導体チップ80と被検出体140との間の距離Laにばらつきが生じやすくなり、このことがセンサ装置のセンシング精度の悪化を招く一つの要因となっている。
【0013】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、センシング精度を向上させることのできるセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、リードフレームのチップ搭載部に実装された半導体チップを封止した第1の樹脂部材から前記リードフレームのリード部が導出された半導体パッケージを有し、該半導体パッケージを第2の樹脂部材によって覆うようにしたセンサ装置において、前記リード部には、前記第1の樹脂部材によって覆われていない部分に、前記リードフレーム及び前記半導体パッケージのそれぞれの位置決めに利用される位置決め部が形成されていることを要旨とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、半導体チップが実装されるチップ搭載部と、位置決め部が形成されたリード部とを有するリードフレームに対し、前記位置決め部を用いて前記リードフレームを位置決めしつつ、前記チップ搭載部に前記半導体チップを実装する工程と、前記位置決め部を用いて前記リードフレームを位置決めしつつ、前記位置決め部を第1の樹脂部材によって覆わないように、前記チップ搭載部に実装された前記半導体チップを前記第1の樹脂部材により封止して半導体パッケージを成形する工程と、同半導体パッケージを前記リードフレームのアウターフレームから切り離す工程と、前記位置決め部を用いて前記半導体パッケージを位置決めしつつ、同半導体パッケージを第2の樹脂部材によって覆う工程とを備えることを要旨とする。
【0016】
上記構成及び製造方法によれば、リードフレームのチップ搭載部に半導体チップを実装する工程では、リード部に形成された位置決め部を用いてリードフレーム全体を位置決めすることができる。また、半導体パッケージが完成したとき、リード部の位置決め部は、第1の樹脂部材によって覆われることなく、外部に露出している。このため、センサ装置を最終成形する工程でも、同じくリード部の位置決め部を用いて半導体パッケージを位置決めすることができる。そしてこのように、リードフレームの位置決め、及び半導体パッケージの位置決めの双方において共通の位置決め部を用いることとすれば、位置決め基準の共通化が図られる。したがって、各センサ装置における半導体チップの実装位置のばらつきを抑制することができるため、センシング精度が向上するようになる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ装置において、前記リード部には、前記位置決め部として、貫通孔が形成されていることを要旨とする。
同構成によるように、リード部に位置決め部として貫通孔を形成することとすれば、この貫通孔に例えばピンなどを挿入するだけでリードフレーム及び半導体パッケージを位置決めすることができるため、それらの位置決めを容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるセンサ装置によれば、センシング精度を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかるセンサ装置の一実施形態についてその部分的に破断した平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のセンサ装置の製造方法についてその製造プロセスの一部を示す平面図。
【図3】同実施形態のセンサ装置の製造方法についてその製造プロセスの一部を示す平面図。
【図4】同実施形態のセンサ装置の製造方法についてその製造プロセスの一部を示す断面図。
【図5】本発明にかかるセンサ装置の他の例についてその部分的に破断した平面構造を示す平面図。
【図6】従来のセンサ装置についてその製造プロセスの一部を示す平面図。
【図7】(a),(b)は、同従来のセンサ装置についてその製造プロセスの一部を示す平面図。
【図8】同従来のセンサ装置についてその製造プロセスの一部を示す断面図。
【図9】同従来のセンサ装置についてその部分的に破断した平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかるセンサ装置の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかるセンサ装置の概略構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、このセンサ装置も、先の図9に例示したセンサ装置と同様に、基本的には、半導体チップ10を第1の樹脂部材20により覆った構造からなる半導体パッケージ1を有している。そして、この半導体パッケージ1が、第2の樹脂部材21により覆われることで、外部環境から保護されている。
【0022】
半導体チップ10は、例えば磁気抵抗素子(MRE)などの磁気検出素子(電磁変換素子)を有するチップである。半導体チップ10は、その変換された電気信号を処理する処理回路等と共にリードフレーム30のチップ搭載部31に実装されるとともに、同処理回路を介してリードフレーム30のリード部32a〜32cに電気的に接続されている。そして、半導体チップ10及びチップ搭載部31が第1の樹脂部材20により一体に封止(モールド)されることにより、一次成形体である半導体パッケージ1が構成されている。すなわち、半導体パッケージ1は、半導体チップ10、チップ搭載部31、リード部32a〜32c、及び第1の樹脂部材20により構成されている。なお、リード部32a,32cのチップ搭載部31に近接する側の端部には、第1の樹脂部材20によって覆われていない部分に、センサ装置の製造時に位置決め部として利用される貫通孔33a,33bがそれぞれ形成されている。そして、こうした構造からなる半導体パッケージ1が第2の樹脂部材21により一体に封止されている。
【0023】
第2の樹脂部材21は、半導体パッケージ1を封止したセンシング部22と、同センシング部22が導出される側面23aを有する本体部23とを備えている。本体部23には、例えば出力端子や給電端子、GND(接地)端子などを有するコネクタ(図示略)が設けられている。コネクタの各端子は、上記リード部32a〜32cを介して半導体チップ10に電気的に接続されている。すなわち、半導体チップ10への給電、並びにセンサ装置の出力信号の外部機器への取り込みは、本体部23に設けられたコネクタを介して行われる。
【0024】
なお、このセンサ装置も、先の図9に例示したセンサ装置と同様に用いられる。すなわち、図1に2点鎖線で示すように、第2の樹脂部材21の側面23aを適宜のハウジング40の内壁面41に当接させた状態で、図示しないボルトなどによって第2の樹脂部材21の本体部23をハウジング40に締結固定する。これにより、半導体チップ10は、例えば磁石などにより形成された被検出体50から所定距離Laだけ離間した位置に配置される。そして、このセンサ装置でも、被検出体50の変位に伴い同被検出体50によって形成される磁界が変化すると、半導体チップ10に付与される磁界が変化する。これにより、半導体チップ10の出力信号が変化するため、その出力信号の変化に基づいて被検出体50の位置を検出することができるようになっている。
【0025】
次に、図2〜図4を参照して、こうした構造からなるセンサ装置の製造方法について説明する。なお、図2及び図3では、便宜上、上記チップ搭載部31及びリード部32a〜32cが複数形成されたリードフレーム30のうち、半導体パッケージ1個分に相当する部分のみを拡大して示している。
【0026】
同図2に示すように、このリードフレーム30には、チップ搭載部31が形成されるとともに、その一辺から導出されるかたちでリード部32a〜32cが形成されている。ここで、チップ搭載部31は、架設部34を介してアウターフレーム35に連結されている。一方、リード部32a〜32cは、その先端部がそのままアウターフレーム35に連結されている。なお、これら3つのリード部のうち、両端に位置するリード部32a,32cには、チップ搭載部31から離間した位置に、貫通孔33a,33bがそれぞれ形成されている。
【0027】
そして、このセンサ装置の製造に際してはまず、リード部32a,32cの貫通孔33a,33bに図示しない位置決め部材に形成されたピンなどを挿入することにより、リードフレーム30全体の位置決めを行う。その後、チップ搭載部31に半導体チップ10及びその処理回路を実装する。次いで、図3に示すように、例えば適宜の金型などを用いて、図中に実線のハッチングで示す樹脂モールド領域Mに第1の樹脂部材20に対応した樹脂部材を充填した後、これを熱硬化等により硬化させる。これにより、半導体チップ10、チップ搭載部31、及びリード部32a〜32cの貫通孔33a,33bよりも基端側の部分が、第1の樹脂部材20により一体的にモールドされて樹脂封止される。その後、図中に点ハッチングで示す部分、すなわちリード部32a〜32cとアウターフレーム35とが連結されている部分A、及び架設部34をプレス等により打ち抜く、いわゆるリードカットを施すことで、半導体パッケージ1が完成する。なお、完成した半導体パッケージ1では、リード部32a,32cの貫通孔33a,33bが外部に露出している。
【0028】
こうして、半導体パッケージ1が完成した後、続く2次成形として、リード部32a〜32cの先端部に図示しないコネクタの各端子を接続した後、半導体パッケージ1及びコネクタの外周に上記第2の樹脂部材21を成形する。具体的には、図4に示すように、2次成形の際に用いられる金型60は、センサ装置の正面部分の形状に対応したキャビティC1を有する第1の金型61と、センサ装置の背面部分の形状に対応したキャビティC2を有する第2の金型62とからなる。なお、図4では、便宜上、金型60のうち、半導体パッケージ1の周辺に対応する部分のみを図示している。同図に示すように、第1の金型61の内壁には、リード部32a,32cの貫通孔33a,33bに挿通される2つの突出部61aが形成されている。そして、2次成形では、リード部32a,32cの貫通孔33a,33bに2つの突出部61aをそれぞれ挿通することで、図中に示す態様にて半導体パッケージ1の位置決めが行われる。その後、キャビティC1,C2内に上記第2の樹脂部材21に対応した樹脂材料を注湯した後、これを熱硬化などにより硬化させることで、先の図1に示したセンサ装置が完成する。
【0029】
以下、本実施形態の作用について先の図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態では、先の図2に示したように、リードフレーム30の位置決めの際に、貫通孔33a,33bを用いるようにしている。また、先の図4に示したように、半導体パッケージ1の位置決めの際にも、貫通孔33a,33bを用いるようにしている。そしてこのように、リードフレーム30の位置決め、及び半導体パッケージ1の位置決めの双方を共通の貫通孔33a,33bを用いて行うこととすれば、位置決め基準の共通化が図られる。これにより、図1に示す本体部23の側面23aから半導体チップ10までの寸法Lbの公差ΔLbは、図1及び図2に示す寸法L1,L2の公差ΔL1,ΔL2の合計となる(ΔLb=ΔL1+ΔL2)。なお、各寸法公差ΔL1,ΔL2は以下の(b1),(b2)に示す通りである。
【0030】
(b1)図2に示すように、リード部32a,32cの貫通孔33a,33bから半導体チップ10までの寸法L1の公差ΔL1。これは、貫通孔33a,33bへのピンの挿入によりリードフレーム30を位置決めしつつ、チップ搭載部31に半導体チップ10を実装する際に発生するものである。
【0031】
(b2)図1に示すように、本体部23の側面23aからリード部32a,32cの貫通孔33a,33bまでの寸法L2の公差ΔL2。これは、金型60の突出部61aをリード部32a,32cの貫通孔33a,33bに挿入して半導体パッケージ1を位置決めしつつ、第2の樹脂部材21を成形する際に発生するものである。
【0032】
これにより、先の図6〜図9に例示したセンサ装置のように、寸法公差ΔLbが上記(a1)〜(a3)に示した3つの寸法公差ΔL10〜ΔL12の合計となるセンサ装置と比較すると、本実施形態のセンサ装置の方が寸法公差ΔLbを小さくすることができる。したがって、各センサ装置における半導体チップ10の実装位置のばらつきを抑制することができるため、センシング精度が向上するようになる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態にかかるセンサ装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)半導体パッケージ1のリード部32a,32cには、第1の樹脂部材20によって覆われていない部分に、貫通孔33a,33bを形成することとした。そして、半導体パッケージ1を成形する工程では、貫通孔33a,33bを用いてリードフレーム30の位置決めを行うこととした。また、センサ装置を最終成形する工程でも、同じく貫通孔33a,33bを用いて半導体パッケージ1の位置決めを行うこととした。これにより、各センサ装置における半導体チップ10の実装位置のばらつきを抑制することができるため、センシング精度が向上するようになる。
【0034】
(2)リード部32a,32cには、位置決め部として貫通孔33a,33bをそれぞれ形成することとした。これにより、貫通孔33a,33bにピンなどを挿入するだけでリードフレーム30及び半導体パッケージ1を位置決めすることができるため、それらの位置決めを容易に行うことができるようになる。また、リードフレーム30及び半導体パッケージ1が2点で位置決めされるため、それらの位置決めを確実に行うことができる。このため、各センサ装置における半導体チップ10の実装位置のばらつきを、より的確に抑制することができるようになる。
【0035】
(3)貫通孔33a,33bを、リード部32a,32cのチップ搭載部31に近接する側の端部に設けることとした。これにより、半導体チップ10に近接して位置決め部が配置されるため、リードフレーム30のチップ搭載部31に半導体チップ10を実装する際に、半導体チップ10が位置ずれし難くなる。したがって、各センサ装置における半導体チップ10の実装位置のばらつきを抑制する上で有効である。
【0036】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、貫通孔33a,33bをリード部32a,32cのチップ搭載部31に近接する側の端部に形成することとしたが、例えばリード部32a,32cの中央部や先端部など、リード部32a,32cの適宜の部位に形成してもよい。
【0037】
・上記実施形態では、リード部32a,32cに貫通孔33a,33bをそれぞれ形成することとしたが、これに代えて、例えばリード部32a〜32cのいずれか一つにのみ貫通孔を形成してもよい。また、リード部32a〜32cの全てに貫通孔をそれぞれ形成してもよい。さらに、図5に示すように、第1の樹脂部材20の両側辺から突出するリード部32d,32eを長めに切り出した上で、これらのリード部32d,32eに貫通孔33c,33dを形成してもよい。要は、リード部の第1の樹脂部材20によって覆われていない部分に、リードフレーム30及び半導体パッケージ1のそれぞれの位置決めに利用される位置決め部が形成されていればよい。
【0038】
・上記実施形態では、リード部32a,32cに、位置決め部として、貫通孔33a,33bをそれぞれ形成することとしたが、これら貫通孔33a,33bに代えて、例えば突出部をそれぞれ形成してもよい。この場合、リードフレーム30及び半導体パッケージ1の位置決めを例えば次のように行う。まず、リードフレーム30の位置決めについては、リード部32a,32cの突出部に係合する凹部を適宜の位置決め部材に設ける。そして、位置決め部材の凹部にリード部32a,32cの突出部を挿入することにより、リードフレーム30の位置決めを行う。また、半導体パッケージ1の位置決めについては、上記第1の金型61に、突出部61aに代えて、リード部32a,32cの突出部に係合する凹部を形成する。そして、第1の金型61の凹部にリード部32a,32cの突出部を係合することにより、半導体パッケージ1の位置決めを行う。
【0039】
・上記実施形態では、本発明にかかるセンサ装置及びその製造方法を、磁気検出素子を利用して被検出体50の位置を検出するセンサ装置に適用することとした。これに代えて、例えば磁気検出素子を利用して被検出体を流れる電流を検出する電流センサなど、適宜のセンサ装置に適用することが可能である。要は、第1の樹脂部材からリード部が導出された半導体パッケージを有するとともに、同半導体パッケージを第2の樹脂部材によって覆うようにしたセンサ装置であれば、本発明にかかるセンサ装置及びその製造方法を適用することが可能である。
【0040】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項1又は2に記載のセンサ装置において、前記リード部には、前記位置決め部が複数設けられていることを特徴とするセンサ装置。同構成によれば、複数の位置決め部によってリードフレーム及び半導体パッケージを複数点で位置決めすることができるため、センサ装置の製造の際に、これらの位置決めを確実に行うことができる。このため、各センサ装置における半導体チップの実装位置のばらつきを、より的確に抑制することができるようになる。
【0041】
(ロ)請求項1,2、及び付記イのいずれか一項に記載のセンサ装置において、前記位置決め部が、前記リード部の前記チップ搭載部に近接する側の端部に形成されていることを特徴とするセンサ装置。同構成によれば、半導体チップに近接して位置決め部が配置されるため、リードフレームのチップ搭載部に半導体チップを実装する際に、半導体チップが位置ずれし難くなる。したがって、各センサ装置における半導体チップの実装位置のばらつきを抑制する上で有効である。
【符号の説明】
【0042】
C1…キャビティ、C2…キャビティ、1,100…半導体パッケージ、10,80…半導体チップ、20,90…第1の樹脂部材、21,120…第2の樹脂部材、22,121…センシング部、23,122…本体部、23a,122a…側面、30,70…リードフレーム、31,71…チップ搭載部、32a〜32e,72a〜72c…リード部、33a〜33d,75…貫通孔、34,73…架設部、35,74…アウターフレーム、40,130…ハウジング、41,131…内壁面、50,140…被検出体、60,110…金型、61,111…第1の金型、61a,111a,112a…突出部、62,112…第2の金型、91…正面、91a,92a…凹部、92…背面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームのチップ搭載部に実装された半導体チップを封止した第1の樹脂部材から前記リードフレームのリード部が導出された半導体パッケージを有し、該半導体パッケージを第2の樹脂部材によって覆うようにしたセンサ装置において、
前記リード部には、前記第1の樹脂部材によって覆われていない部分に、前記リードフレーム及び前記半導体パッケージのそれぞれの位置決めに利用される位置決め部が形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記リード部には、前記位置決め部として、貫通孔が形成されている
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
半導体チップが実装されるチップ搭載部と、位置決め部が形成されたリード部とを有するリードフレームに対し、前記位置決め部を用いて前記リードフレームを位置決めしつつ、前記チップ搭載部に前記半導体チップを実装する工程と、
前記位置決め部を用いて前記リードフレームを位置決めしつつ、前記位置決め部を第1の樹脂部材によって覆わないように、前記チップ搭載部に実装された前記半導体チップを前記第1の樹脂部材により封止して半導体パッケージを成形する工程と、
同半導体パッケージを前記リードフレームのアウターフレームから切り離す工程と、
前記位置決め部を用いて前記半導体パッケージを位置決めしつつ、同半導体パッケージを第2の樹脂部材によって覆う工程と
を備えることを特徴とするセンサ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−11512(P2013−11512A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144264(P2011−144264)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】