説明

チロシナーゼ阻害剤

本発明は、式I(式中、置換基AA1、AA2、oおよびRは、請求項1で示した意味を有する)の化合物、ならびにその塩および溶媒和物および混合物、その調製方法、調製物ならびにその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、置換基AA1、AA2およびRは、請求項1で示す意味を有する)の化合物、ならびにその塩および溶媒和物および混合物、その調製方法、組成物、ならびに、特にヒトの皮膚の美白あるいは色素沈着過度、夏日斑(freckle)、加齢斑(age spot)、黒子(sun spot)および環境により引き起こされる皮膚老化などの色素欠損の予防および/または治療に好適なチロシナーゼ阻害剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
皮膚および毛髪の色は、メラニン細胞、メラニンを形成することができる細胞から生成されるメラニン(窒素を含有する暗色の色素)の含量、寸法および種類に左右される。メラニンが、チロシンから出発して、チロシナーゼまたはチロシナーゼ関連タンパク質などの様々なメラニン細胞特異酵素を用いてメラノソーム内で生成し、その後、メラノソームがケラチン生成細胞に変換する。
【0005】
皮膚の中のメラニンは、UV照射からの好適な防護であるが、より暗色の、または過色素沈着の皮膚(overpigmented skin)は、既に述べたように、美しさに影響を及ぼし、重大な美的問題をもたらす恐れがある。色素過剰症の皮膚の状態または病変は、肝班(褐色斑としても知られている)、すなわち、異形の黄褐色の斑点を含む。
【0006】
色素斑の場合、一般に、夏日斑(雀卵斑(ephelide))、加齢斑(黒痣(lentigine))、いわゆる加齢いぼ(脂漏性疣贅)と色素沈着過度(例えば、褐色斑(chloasma)または肝班(melasma))は区別され、太陽がここで重要な役割を果たすことが非常に多い。非常に青白い皮膚および赤みがかった毛髪を有する人々は、夏日斑が生じやすい傾向がある。対照的に、色素沈着過度(褐色斑)は、定期的にエストロゲンを体内に導入する女性に見られることが多い。
【0007】
予防は、特に、高い日焼け防止指数(light protection factor)を有する標準的な日焼け止め(sun protection)により達成することができる。しかし、一旦発生すると、美しくない加齢斑を除去するために、レーザー、皮膚擦傷法または他の電気外科的方法およびいわゆる漂白クリームなどの様々な選択肢が利用可能である。後者の選択肢(漂白クリーム)は、患者にとって電気外科的方法より著しく安価であるという利点を有する。
【0008】
皮膚美白作用を有する多数の化合物が、色素斑の治療用に市販されている。
【0009】
この化合物は、とりわけ、皮膚の中のメラニン生成を抑制する、コウジ酸、アルブチン、アロエシンまたはルシノールなどの化合物である。これらの化合物は、酵素チロシナーゼを遮断することにより、チロシンのメラニンへの変換を遅延させる。
【0010】
しかし、これらの化合物は、例えば、低色素脱失効率、皮膚刺激または皮膚剥脱(皮膚剥離)、細胞損傷などの副作用、配合物の皮膚浸透力の低さまたは低安定性などの、いくつかの欠点を有する。したがって、より高い有効性を有する新規な皮膚美白剤(skin lightener)の必要性がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、皮膚を美白する能力を有する新規な化合物を調製することであった。
【0012】
非置換の4−アルキルレゾルシノールは、皮膚色素沈着を減少させる能力を有することが知られている化合物である。このことは、多くの刊行物、例えば、EP0341664、EP904774、WO2004/103940、EP1317425、US2006/0210498、US2004/0109832に記載されている。
【0013】
4−アルキルレゾルシノールモノアセテートおよびジアセテートの調製方法は、WO2004/052827に記載されている。米国特許US6,863,897およびUS6,869は、4−アルキルレゾルシノールまたは4−アルキルレゾルシノールジアセテートを含む化粧用組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】EP0341664
【特許文献2】EP904774
【特許文献3】WO2004/103940
【特許文献4】EP1317425
【特許文献5】US2006/0210498
【特許文献6】US2004/0109832
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
驚いたことに、以下に記載する式Iの化合物が、優れた皮膚美白特性を有することが見出された。式Iの化合物は、メラニンの合成を抑制し、メラニンの過剰生成を予防し、したがって全ての種類の色素斑の治療に適している。
【0016】
したがって、本発明は、第一に、式I
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、
AA1およびAA2は、それぞれ、互いに独立に、OHまたはタンパク質構成もしくは非タンパク質構成アミノ酸基を示し、
Rは、いずれの場合も、互いに独立に、場合により置換されており、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、3〜9個のC原子を有するシクロアルキルまたは5〜9個のC原子を有するシクロアルケニルを示し、
oは、0、1または2であり、
ただし、AA1およびAA2は、同時にOHではない)
の化合物、ならびにその塩および溶媒和物に関する。
【0019】
式Iの化合物の溶媒和物は、その相互吸引力により形成する、式Iの化合物上への不活性溶媒分子の付加物(adduction)を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば、一水和物もしくは二水和物、またはアルコール、例えば、メタノールもしくはエタノールなどとの付加化合物である。
【0020】
式Iの化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、その化合物は、いくつかの立体異性体の形態で発生することができる。これらの全ての形態(例えば、D体およびL体)およびその混合物(例えば、DL体)は、該式に含まれる。
【0021】
タンパク質構成アミノ酸(proteinogenic amino acid)は、例えば、グリシン、アラニン、セリン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、トリプトファンまたはヒスチジンである。非タンパク質構成アミノ酸は、例えば、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、N,N’−ジメチル−4−アミノ酪酸、N,N’−ジメチルグリシン、ベタイン、クレアチン、カルニチン、サルコシン、ベタニン、2−ピロリジノン−5−カルボン酸、エクトイン、ヒドロキシエクトイン、チロキシン、ジヨードチロシン、L−ドーパ、ホスフィノトリシン、1−アミノシクロプロパンカルボン酸またはナイアシンである。
【0022】
好ましい実施形態では、基Rは、部分式II、IIIまたはIV:
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、
ZおよびZ’は、それぞれ独立に、H、R、OCOCH3、OCOC65、CH265またはOCOC(CH33を示し、
1は、H、またはOH、OR、SH、SR、NH2、NHR、NR2により場合により置換された1〜30個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、置換もしくは非置換のグアニジン、(NR3+、COOH、COOR、CONH2、CONHR、CONR2、COR、ArもしくはHetを示し、
Rは、いずれの場合も、互いに独立に、場合により置換されており、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、3〜9個のC原子を有するシクロアルキルまたは5〜9個のC原子を有するシクロアルケニルを示し、
Yは、−CH2−または−NZ−を示し、
AおよびBは、それぞれ、互いに独立に、H、RまたはOHを示し、またはAおよびBは、それらが結合したC原子と一緒になってカルボニル基を形成することができ、
nは、1、2または3であり、
Arは、非置換の、またはR、OHもしくはORにより一置換、二置換もしくは三置換されたフェニルを示し、
Hetは、5〜13個の環員を有する飽和または不飽和の単環式または二環式の複素環式基であって、1、2もしくは3個のNおよび/または1もしくは2個のSもしくはO原子が存在してもよく、R、OHまたはORにより一置換されていても多置換されていてもよい複素環式基を示し、
二重結合は、式IV中の環の中に存在してもよい)
の1つと一致する。
【0025】
式Iの化合物の好ましい群は、式Ia
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、置換基AA1、AA2およびRは、上または下でより詳細に記載している意味の1つを有する)
の化合物を含む。
【0028】
式IおよびIaでは、Rは、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、好ましくはメチル、さらにはエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第2ブチルもしくは第3ブチル、さらにはペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−もしくは3,3−ジメチルブチル、1−もしくは2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピル、または3〜9個のC原子を有するシクロアルキル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルもしくはシクロヘプチル、または5〜9個のC原子を有するシクロアルケニル、好ましくはシクロペンテニル、シクロヘキセニルもしくはシクロヘプテニルを示す。
【0029】
Rは、場合により、置換されていてもよく、すなわち、少なくとも1つのHが、例えば、1〜12個のC原子を有する直鎖、分岐鎖または環式のアルキル、1〜12個のC原子を有する直鎖、分岐鎖または環式のアルケニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい。
【0030】
Rは、好ましくは1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基である。Rは、特に好ましくはヘキシルを表す。
【0031】
式Iの好ましい化合物は、o=0または1である化合物、特に好ましくはo=0であるものである。
【0032】
部分式IIおよびIIIでは、R1は、H、または1〜30個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖の、場合により置換されたアルキル基を示す。
【0033】
1、Z、Z’、A、B、ArおよびHetの定義におけるRは、好ましくはメチル、エチルまたはプロピル、特に好ましくはメチルを示す。
【0034】
Arは、非置換の、またはR、OHもしくはORにより一置換、二置換もしくは三置換されたフェニル、例えば、フェニル、o−、m−もしくはp−メチルフェニル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−第3ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニルまたはo−、m−もしくはp−プロポキシフェニルを示す。
【0035】
1、2もしくは3Nおよび/または1もしくは2SまたはO原子が存在し得る、5〜13個の環員を有する複素環式基は、好ましくは、置換または非置換の2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらには好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズオキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニルまたは1−、2−もしくは3−ピロリジニルを示す。
【0036】
Hetは、特に好ましくは、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリルまたは1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリルである。
【0037】
部分式IVは、好ましくは、環の中に二重結合を有さない。
【0038】
化合物の好ましい群は、AA1が部分式IIと一致し、AA2がOHを示すか、またはAA2が部分式IIと一致し、AA1がOHを示す式Iaの化合物を含む。
【0039】
化合物の特に好ましい群は、AA1が部分式IIIと一致し、AA2がOHを示すか、またはAA2が部分式IIIと一致し、AA1がOHを示す式Iaの化合物を含む。
【0040】
化合物の特に好ましい群は、AA1が部分式IVと一致し、AA2がOHを示すか、またはAA2が部分式IVと一致し、AA1がOHを示す式Iaの化合物を含む。
【0041】
さらに好ましい組合せは、特許請求の範囲で開示している。
【0042】
特に好ましい式IまたはIaの化合物は、2−ピロリジノン−5−カルボン酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル、2−ピロリジノン−5−カルボン酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル、4−ジメチルアミノ酪酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル、4−ジメチルアミノ酪酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル、ジメチルアミノ酢酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル、ジメチルアミノ酢酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニルならびにその塩および溶媒和物である。
【0043】
さらに、請求項1に記載の式Iの化合物、さらにその調製のための出発物質は知られており、前記反応に好適な反応条件下に正確に置かれるように、文献(例えば、Houben-Weyl、Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry]、Georg-Thieme-Verlag、Stuttgartなどの権威ある文献(standard work))に記載されている、それ自体が知られている方法により調製される。本明細書ではより詳細に述べない、それ自体が知られている変形形態を本発明で使用することもできる。
【0044】
本発明は、さらに、
(a)式VまたはVa
【0045】
【化5】

【0046】
(式中、Rおよびoは、請求項1で示す意味を有する)
の化合物を、タンパク質構成もしくは非タンパク質構成アミノ酸と、または式VI
【0047】
【化6】

【0048】
式VII
【0049】
【化7】

【0050】
もしくは、式VIII
【0051】
【化8】

【0052】
(式中、置換基Z、Z’、R1、Y、A、Bおよびnは、上で示した意味の1つを有する)
の化合物と反応させ、
(b)場合により、塩基性または酸性の式Iの化合物を、酸または塩基を用いた処理によりその塩または溶媒和物の1つに変換する
ことを特徴とする、式IまたはIaの化合物ならびにその塩および溶媒和物の調製方法にも関する。
【0053】
式VおよびVaの化合物は、様々な方法により調製されるか、または場合により市販されてもいる、知られている化合物である。
【0054】
例えば、レゾルシノールまたはヒドロキシフェノールは、一般に、塩化亜鉛の存在下でカルボン酸RCOOHと反応させることができ、得られた縮合物は、Lille. J. Bitterら、Inst. Slantsev 1969、18、127と同様に、亜鉛/アマルガム/塩酸を使用して還元することができる。
【0055】
さらに、レゾルシノールまたはヒドロキシフェノールは、一般に、GB1581428と同様に、200〜400℃の高温で、アルミニウム触媒の存在下でアルコールHO−CH2−Rと反応させることができる。
【0056】
式Vaの化合物のさらなる調製方法は、EP0341664、EP904774、WO2004/103940、EP1317425、US2006/0210498、US2004/0109832にも記載されている。
【0057】
上記および下記の全ての出願、特許および刊行物の完全な開示内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0058】
タンパク質構成および非タンパク質構成アミノ酸は、一般に、市販されているか、または天然源から分離することができる。式VI、VIIおよびVIIIの化合物は、一般に、市販されている。さらに、それらの化合物は、数多くの化学の権威ある文献の中で記載されているように、合成的にも調製される。
【0059】
例えば、式VI、VIIおよびVIIIの化合物は、いわゆるStrecker合成(A. Strecker、Justus Liebigs Ann. Chem. 1850、75、27〜45)および/またはその変形形態(とりわけ、J. Mulzerら、Organic Synthesis Highlights、VCH、Weinheim、1991、303、H. Kunzら、Angew. Chem. 1987、99、595、D. Endersら、Tetrahedron Lett. 2003、44、8479)により得ることができる。
【0060】
式IおよびIaの化合物は、式VI、VIIまたはVIIIの酸を使用したエステル化により、式VおよびVaの化合物からの一段合成で容易に調製することができる。この点に関して、様々な方法が文献に開示されている。
【0061】
カップリング反応は、好ましくは、活性化剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などのカルボジイミドの存在下で、あるいは、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)をアシル化触媒として用いて(Aldrichchimia Acta、36、1、2003)、不活性溶媒、例えば、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランもしくはジオキサンなどのエーテル、DMFもしくはジメチルアセトアミドなどのアミド、アセトニトリルなどのニトリルの中で、ジメチルスルホキシドの中で、またはこれらの溶媒の存在下で、約−10と40℃の間、好ましくは0と30℃の間の温度で実施される。使用される条件に応じて、反応時間は、数分と数日の間である。
【0062】
カップリング剤TBTU(テトラフルオロホウ酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウム)またはヘキサフルオロリン酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムの添加は、これらの化合物の一方の存在下で、わずかなラセミ化のみが発生し、細胞毒性の副産物が形成されないために、特に有利であることが判明している。
【0063】
式IまたはIaの化合物は、式VまたはVaのアルコールおよび式VI、VIIまたはVIIIのカルボン酸を、触媒としての酸(例えば、濃縮硫酸など)と組み合わせる場合にも形成することができる。
【0064】
アルコールおよび酸または酸誘導体をエステルに変換するいくつかのさらなる方法、例えば、アルコールと酸塩化物(Schotten−Baumann法)、アルコールと酸無水物との間の反応、Steglichエステル化またはMitsunobu反応がある。
【0065】
式Iの化合物は、酸を使用して、例えば、エタノールなどの不活性溶媒中での、等量の塩基と酸との反応、およびその後の蒸発により、関連する酸付加塩に変換することができる。この反応に特に好適な酸は、生理学的に許容できる塩を生じるものである。したがって、無機酸、例えば、硫酸、亜硫酸、ジチオン酸、硝酸、塩酸または臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、例えば、オルトリン酸などのリン酸、スルファミン酸、さらに有機酸、特に脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族、芳香族または複素環式の一塩基性または多塩基性のカルボン酸、スルホン酸もしくは硫酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリメトキシ安息香酸、アダマンタンカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、エンボン酸、クロロフェノキシ酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリオキシル酸、パルミチン酸、パラ−クロロフェノキシイソ酪酸、シクロヘキサンカルボン酸、グルコース1−リン酸、ナフタレンモノスルホン酸およびジスルホン酸またはラウリル硫酸を使用することが可能である。生理学的に許容できない酸との塩、例えば、ピクリン酸塩は、式Iの化合物の分離および/または精製に使用することができる。他方、式Iの化合物は、塩基(例えば、水酸化ナトリウムもしくはカリウムまたは炭酸ナトリウムもしくはカリウム)を使用して、対応する金属塩、特にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩に、または対応するアンモニウム塩に変換することができる。
【0066】
一般に、記載したワンポット合成で、位置異性体化合物の混合物が一般に生じるが、しかし、次いで、場合により、個々の化合物へ分離することができることに留意されたい。標準的な分離および後処理方法は、蒸留、再結晶ならびにクロマトグラフィー、例えば、液体クロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーとカラムクロマトグラフィー(低圧クロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィーおよびHPLCとしても知られている高速クロマトグラフィー)などの関連する方法である。
【0067】
したがって、本発明は、さらに、式Ia−1
【0068】
【化9】

【0069】
の少なくとも1種の化合物、
および式Ia−2
【0070】
【化10】

【0071】
の少なくとも1種の化合物
(式中、置換基AA1、AA2およびRは同一であり、請求項1もしくは2で示す意味の1つまたは好ましくは述べられた意味を有する)
を含む混合物にも関する。
【0072】
本発明は、さらに、式Ia−1の少なくとも1種の化合物および/または式Ia−2の少なくとも1種の化合物および式Va
【0073】
【化11】

【0074】
の少なくとも1種の化合物
(式中、置換基AA1、AA2およびRは同一であり、請求項1もしくは2で示す意味の1つまたは好ましくは述べられた意味を有する)
を含む混合物にも関する。
【0075】
本発明による化合物もしくは本発明による混合物の皮膚美白活性化合物としての利点、または好ましくは示した化合物もしくはその混合物の利点は、特に、
− 容易に組成物に組み込むことができる、
− 組成物中で増大した安定性を有する、
− 皮膚刺激を示さない、
− 皮膚美白活性化合物としてのその作用に関して、高くて持続性の活性を示す
ことであり得る。
【0076】
一方で、本発明による化合物および/または混合物は、例の部で確認するように、チロシナーゼ阻害剤であり、この特性のために、皮膚美白剤として望ましい活性を示す。他方、好ましくは組成物中の本発明による化合物および/または混合物の皮膚への適用の後、皮膚の中の酵素、例えば、リパーゼまたはエステラーゼが、存在しているエステル結合を破壊することが可能である。このようにインビボで形成された式VまたはVaの化合物は、知られている皮膚美白剤であり、その作用を少なくとも相加的に、または相乗的にさえ発展させる。この反応で形成されたタンパク質構成もしくは非タンパク質構成アミノ酸、または式VI、VIIもしくはVIIIの化合物は、皮膚にとって有利なさらなる特性を有する。例えば、アミノ酸は、A. V. Rawlings & C.R. Harding、Dermatologic Therapy、2004、17、43に記載されているように、皮膚の含水量を調節する。アミノ酸が、インビトロでメラニン細胞中の色素沈着を減少させることさえできることも報告されている(M. Ishikawaら、Bio. Pharm. Bull. 2007、30(4)、677〜681)。
【0077】
本発明は、さらに、上記の式IもしくはIaの少なくとも1種の化合物、または少なくとも式Ia−1もしくはIa−2の化合物と上記の実施形態の混合物、および局所適用に好適な少なくとも1種の媒体を含む組成物または調製物に関する。
【0078】
局所的な目的に適しているとは、特に表面に局所的に適用することができる形態に適していることを意味する。
【0079】
該組成物は、通常、局所適用のための組成物、例えば、化粧用、医薬用もしくは皮膚科用配合物、または食品もしくは栄養補助食品(food supplements)である。この場合、該組成物は、化粧用として、医薬用としてまたは皮膚科用として好適な媒体、および、所望の特性プロファイルに応じて、場合により、さらに好適な成分を含む。局所用組成物は、好ましくは、化粧用または皮膚科用組成物、特に好ましくは化粧用組成物として使用される。栄養補助食品の場合、食品に好適な媒体が使用される。
【0080】
本発明の目的のために、作用剤、調製物または配合物という用語は、組成物という用語と同義的に使用される。
【0081】
上記のように、式IもしくはIaの化合物または混合物は、一般に、0.01〜20重量%の量で、好ましくは0.05重量%〜10重量%の量で、本発明に従って使用される。当業者にとって、本明細書で、該組成物の所期の作用に応じてその量を選択することは、全く困難ではない。
【0082】
さらに、特に皮膚美白組成物として、あるいは色素沈着過度、夏日斑、加齢斑、黒子および環境により引き起こされる皮膚老化などの色素欠損の予防および/または治療のための化粧用および/または医薬用組成物としての使用に関しては、本発明による組成物が、1種もしくは複数の酸化防止剤および/または1種もしくは複数のビタミンを含むことが得策である。
【0083】
酸化防止剤の使用により、一般に、酸化ストレスに対して、または遊離基の作用に対して実現される保護作用が可能となり、当業者にとって、適切に急速に、または遅延的に(time−delayed manner)作用する酸化防止剤を選択することは、全く困難ではない。
【0084】
専門文献から知られている、酸化防止剤として使用することができる、多くの証明されている物質(proven substance)、例えば、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えば、アンセリン)などのペプチド、カロチノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシルならびに他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオン酸塩、ジステアリルチオジプロピオン酸塩、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに許容量(tolerated dose)が非常に低い(例えば、pmol〜μmol/kg)スルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタチオニン、ヘキサチオニンおよびヘプタチオニンスルホキシミン)、さらには(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、酢酸ビタミンE)、ならびにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、酸化トランススチルベン)がある。
【0085】
好適な酸化防止剤は、WO2006/111233およびWO2006/111234にも記載されている。
【0086】
好適な酸化防止剤は、一般式AまたはB
【0087】
【化12】

【0088】
(式中、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42の群から選択することができ、
Xは、OまたはNHを示し、
2は、1〜30個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルを示し、
3は、1〜20個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルを示し、
4は、いずれの場合も、互いに独立に、Hまたは1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキルを示し、
5は、1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキルまたは1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシを示し、
6は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル、好ましくは2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸および/または2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロン酸の誘導体、特に好ましくは2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸ビス−(2−エチルヘキシル)(例えば、Oxynex(登録商標)ST Liquid)および/または2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロン酸ビス(2−エチルヘキシル)(例えば、RonaCare(登録商標)AP)を示す)
の化合物でもある。
【0089】
酸化防止剤の混合物も、本発明による組成物における使用に同様に適している。知られている、および市販の混合物は、例えば、レシチン、L−(+)−パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)K LIQUID)、天然源からのトコフェロール抽出物、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、クエン酸およびレシチン(例えば、Oxynex(登録商標)LM)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)2004)を活性成分として含む混合物である。この種の酸化防止剤は、通常、1000:1〜1:1000の範囲の重量パーセント比、好ましくは100:1〜1:100の重量パーセント比のような調製物で、式IまたはIaの化合物と共に使用される。
【0090】
本発明による組成物は、ビタミンをさらなる成分として含み得る。本発明による化粧用組成物は、好ましくは、ビタミンA、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンA、レチノール、ビタミンB、チアミン塩化物塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、コハク酸水素トコフェロール、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性化合物)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくはビタミンCおよびその誘導体、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンから選択されるビタミンおよびビタミン誘導体を含む。本明細書では、ビタミンは、通常、1000:1〜1:1000の範囲の重量パーセント比、好ましくは100:1〜1:100の重量パーセント比で、式IまたはIaの化合物と共に使用される。
【0091】
酸化防止作用を有するフェノールとしては、その一部が自然に存在する、ポリフェノールが、医薬、化粧または栄養学の分野の用途にとって特に興味深い。例えば、主に植物色素として知られているフラボノイドまたはビオフラボノイドは、酸化防止能力を有することが多い。K. Lemanska、H. Szymusiak、B. Tyrakowska、R. Zielinski、I.M.C.M. Rietjens、Current Topics in Biophysics 2000、24(2)、101〜108は、モノヒドロキシおよびジヒドロキシフラボンの置換パターンの影響を取り上げている。そこでは、ケト官能基に隣接するOH基、または3‘,4‘もしくは6,7もしくは7,8位でOH基を含有するジヒドロキシフラボンが酸化防止特性を有し、一方、他のモノヒドロキシおよびジヒドロキシフラボンは、場合により酸化防止特性を有さないことが観察されている。
【0092】
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン1522、メレチン、ソホレチン、エリシン、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)は、特に効果的な酸化防止剤として挙げられることが多い(例えば、C.A. Rice-Evans、N.J. Miller、G. Paganga、Trends in Plant Science 1997、2(4)、152〜159)。K. Lemanska、H. Szymusiak、B. Tyrakowska、R. Zielinski、A.E.M.F. Soffers、I.M.C.M. Rietjens、Free Radical Biology & Medicine 2001、31(7)、869〜881は、ヒドロキシフラボンの酸化防止作用のpH依存性について研究している。ケルセチンは、全pH範囲にわたって研究した構造の中で、最大の活性を示す。
【0093】
式IまたはIaの化合物が、皮膚に対するその正の作用を特に良好に発揮することができるように、式IまたはIaの化合物がより深い皮膚層へ浸透することを可能にし得ることが好ましい。この目的のために、いくつかの選択肢がある。第一に、式IまたはIaの化合物は、外皮層(outer skin layer)を通過して表皮層に浸透することができるように、十分な脂溶性を有することができる。さらなる選択肢として、式IまたはIaの化合物を外皮層を通過して輸送することを可能にする、対応する輸送剤、例えば、リポソームも組成物中に提供し得る。最後に、式IまたはIaの化合物の全身輸送も考えられる。次いで、該組成物は、例えば、経口投与に適するように設計される。
【0094】
カプセル化形態の、例えば、セルロースもしくはキチンカプセルとしての、ゼラチンもしくはワックスマトリックス中の、またはシクロデキストリンでカプセル化された、式IまたはIaの化合物を投与することも有利である。
【0095】
本発明による好ましい組成物は、式IもしくはIaの少なくとも1種の化合物または式Ia−1の少なくとも1種の化合物と式Ia−2の化合物の混合物以外にUVフィルターも含み、場合により、式Vaの少なくとも1種の化合物も含む。
【0096】
原則として、全てのUVフィルターは、本発明による式IまたはIaの化合物との組合せに適している。その生理学的許容性が既に証明されているUVフィルターが、特に優先される。UVAおよびUVBフィルターの両方に関して、専門文献から知られている多くの証明されている物質、例えば、
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えば、Eusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えば、Mexoryl(登録商標)SD)などのベンジリデンカンファー誘導体、N−{(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]−ベンジル}アクリルアミド(例えば、Mexoryl(登録商標)SW)、メチル硫酸N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウム(例えば、Mexoryl(登録商標)SK)または(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えば、Mexoryl(登録商標)SL)のポリマー、
1−(4−第3ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン(例えば、Eusolex(登録商標)9020)もしくは4−イソプロピルジベンゾイルメタン(例えば、Eusolex(登録商標)8020)などのベンゾイルまたはジベンゾイルメタン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えば、Eusolex(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えば、Uvinul(登録商標)MS−40)などのベンゾフェノン、
メトキシ桂皮酸オクチル(例えば、Eusolex(登録商標)2292)、4−メトキシ桂皮酸イソペンチルなどのメトキシ桂皮酸エステル、例えば、異性体の混合物として(例えば、Neo Heliopan(登録商標)E1000)、
サリチル酸2−エチルヘキシル(例えば、Eusolex(登録商標)OS)、サリチル酸4−イソプロピルベンジル(例えば、Megasol(登録商標))またはサリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(例えば、Eusolex(登録商標)HMS)などのサリチル酸誘導体、
4−アミノ安息香酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル(例えば、Eusolex(登録商標)6007)、エトキシル化4−アミノ安息香酸エチル(例えば、Uvinul(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸および誘導体、
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えば、Eusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えば、Neoheliopan(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
ならびに、
− 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(例えば、Eusolex(登録商標)OCR)、
− 3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]へプト−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えば、Mexoryl(登録商標)SX)および
− 2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えば、Uvinul(登録商標)T150)
− 2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えば、Uvinul(登録商標)UVA Plus、BASF)
などのさらなる物質
がある。
【0097】
リストに挙げた化合物は、例としてのみ、みなされるべきである。当然、他のUVフィルターを使用することも可能である。
【0098】
これらの有機UVフィルターは、一般に、0.5〜10重量パーセント、好ましくは1〜8重量%の量で、化粧用配合物に組み込まれる。
【0099】
さらに好適な有機UVフィルターは、例えば、
− 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(INCI:ドロメトリゾールトリシロキサン、例えば、Mexoryl(登録商標)XL)、
− α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル)フェノキシ)プロペニル)および0.1〜0.4%の(メチル水素]−シリレン]](n≒60)(CAS番号207 574−74−1)(INCI:ポリシリコーン15、例えば、Parsol(登録商標)SLX)、
− 2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール)(CAS番号103 597−45−1)(INCI:メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、例えば、Tinosorb(登録商標)M)、
− 2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(CAS番号180 898−37−7)、
− 2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS番号103 597−45−、187 393−00−6)(INCI:ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、例えば、Tinosorb(登録商標)S)または
− 2−エチルヘキシル4,4'−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、例えば、Uvasorb(登録商標)HEB)
である。
【0100】
有機UVフィルターは、一般に、0.5〜20重量パーセント、好ましくは1〜15重量%の量で、化粧用配合物に組み込まれる。
【0101】
考え得る無機UVフィルターは、例えば、被覆された二酸化チタン(例えば、Eusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA、Eusolex(登録商標)T−AVO)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えば、Sachtotec(登録商標))、酸化鉄、またはさらには酸化セリウムの群からのものである。これらの無機UVフィルターは、一般に、0.5〜20重量パーセント、好ましくは2〜10重量%の量で、化粧用組成物に組み込まれる。
【0102】
式IまたはIaの1種または複数の化合物とさらなるUVフィルターの組合せにより、UV照射の有害な影響に対する保護作用を最適化することができる。このことにより、無機UVフィルターの添加により補足することもできる、広範囲の防護システムが生じる。
【0103】
全ての前記UVフィルターは、カプセル化形態で使用することもできる。特に、カプセル化形態の有機UVフィルターを使用することが有利である。詳しくは、以下の利点が生じる。
− カプセル壁の親水性は、UVフィルターの溶解度とは独立して設定することができる。したがって、例えば、疎水性UVフィルターを純粋水性組成物に組み込むことも可能である。さらに、不快であるとみなされることが多い、疎水性UVフィルターを含む組成物の適用時の油っぽい感触は、抑制される。
− 特定のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧用組成物において減少した光安定性のみを示す。このフィルター、または、例えば、桂皮酸誘導体などの、このフィルターの光安定性を損なう化合物のカプセル化により、該組成物全体の光安定性の増大が可能になる。
− 有機UVフィルターによる皮膚浸透、およびそれに付随した、ヒトの皮膚への直接適用時に刺激を引き起こす可能性は、文献において繰り返し論じられている。本明細書で提示する、対応する物質のカプセル化は、この影響を抑制する。
− 一般に、相互作用が抑制されるため、個々のUVフィルターまたは他の成分のカプセル化により、結晶化プロセス、沈殿および凝集物形成などの、個々の組成物の構成要素の互いの相互作用により引き起こされる組成物問題の回避が可能になる。
【0104】
したがって、上述のUVフィルターの1種または複数が、カプセル化形態であることが好ましい。本発明では、カプセルが、肉眼で見ることができないほど小さいことが有利である。上述の効果を達成するために、カプセルが十分に安定であり、カプセル化活性化合物(UVフィルター)が少量のみ周囲に放出されるか、または全く放出されないことが、さらに必要である。
【0105】
好適なカプセルは、無機または有機ポリマーの壁を有することができる。例えば、US6,242,099 B1は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁を有する好適なカプセルの製造について記載している。本発明に従って特に好ましく使用することができるカプセルは、出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載のゾル・ゲル法により得ることができる壁を有する。本発明では、やはり、その壁がシリカゲル(シリカ;未定義の酸化水酸化ケイ素(undefined silicon oxide hydroxide))から構成されるカプセルが優先される。対応するカプセルの製造方法は当業者に、例えば、引用した特許出願から知られており、その内容は、明らかに、本出願の主題にも属する。
【0106】
カプセルは、好ましくは、カプセル化UVフィルターが、組成物中に上記の量で存在することを保証する量で、本発明による組成物中に存在する。
【0107】
本発明による組成物は、1種または複数のさらなる皮膚美白活性化合物も含み得る。皮膚美白活性化合物は、原則として、当業者に知られている全ての活性化合物であることができる。皮膚美白作用を有する化合物の例は、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、アロエシンおよびルシノールである。
【0108】
さらに、本発明による組成物は、さらなる抗加齢活性化合物、抗脂肪沈着活性化合物または通常の皮膚保護もしくは皮膚ケア活性化合物を含み得る。皮膚保護または皮膚ケア活性化合物は、原則として、当業者に知られている全ての活性化合物であることができる。
【0109】
特に好ましい抗加齢活性化合物は、ピリミジンカルボン酸、アリールオキシム、ビオフラボノイド、ビオフラボノイド含有抽出物、クロモンおよびレチノイドである。
【0110】
ピリミジンカルボン酸は、好塩微生物中で発生し、この生物の浸透圧調節において役割を果たす(E. A. Galinskiら、Eur. J. Biochem.、149(1985)135〜139頁)。ピリミジンカルボン酸としては、本明細書では、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸ならびにその誘導体が特に挙げられるべきである。これらの化合物は、水溶液および有機溶媒中の酵素および他の生体分子を安定化させる。さらに、それらの化合物は、特に、塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジンおよび他の化合物などの変性条件に対して酵素を安定化させる。
【0111】
エクトインおよびヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、有利には、医薬で使用することができる。特に、ヒドロキシエクトインは、皮膚疾患の治療のための医薬の調製に使用することができる。ヒドロキシエクトインおよび他のエクトイン誘導体の他の適用領域は、一般に、例えば、トレハロースが添加剤として使用される領域である。したがって、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、乾燥酵母および細菌細胞で保護剤として使用することができる。グリコシル化されていない、医薬として活性なペプチドおよびタンパク質、例えば、t−PAなどの医薬生成物は、エクトインまたはその誘導体により保護することもできる。
【0112】
化粧用の用途としては、老化した、乾燥した、または刺激された皮膚のケアのためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用が特に挙げられるべきである。したがって、欧州特許出願EP-A-O671161は、粉おしろい、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、口紅、ルージュ、化粧品、ケアクリームおよび日焼け止め調製物などの化粧用組成物中で、エクトインおよびヒドロキシエクトインが使用されることについて特に記載している。
【0113】
本発明では、以下の式
【0114】
【化13】

【0115】
(式中、R1は、基HまたはC18アルキルであり、R2は、基HまたはC14アルキルであり、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ、互いに独立に、基H、OH、NH2およびC14アルキルからの基である)
のピリミジンカルボン酸の使用が優先される。R2が、メチルまたはエチル基であり、R1またはR5およびR6がHであるピリミジンカルボン酸の使用が優先される。ピリミジンカルボン酸エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の使用が特に優先される。本発明による組成物は、好ましくは、最大で15重量%の量でこの種のピリミジンカルボン酸を含む。ピリミジンカルボン酸は、本発明で、好ましくは、式Iの化合物に対して100:1〜1:100の重量パーセント比で使用され、1:10〜10:1の範囲の重量パーセント比が特に好ましい。
【0116】
アリールオキシムとしては、HMLO、LPOまたはF5としても知られている2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムの使用が優先される。化粧用組成物中でのその使用適性は、例えば、DE-A-4116123で開示されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物は、炎症を伴う皮膚疾患の治療に適している。該組成物は、本発明では、好ましくは、0.01〜10重量%のアリールオキシムを含み、該組成物が0.05〜5重量%のアリールオキシムを含むことが特に好ましい。
【0117】
知られているビオフラボノイドは、例えば、トロキセルチン、チリロシド、α−グルコシルルチン、ルチンまたはイソケルセチンであり、前記選択は、制限的意味を有することを意図していない。
【0118】
ビオフラボノイド含有抽出物は、例えば、イチョウ(gingko biloba)またはユカン(emblica)である。
【0119】
また、知られている抗加齢物質は、例えば、EP1508327に記載されているクロモン、およびレチノイド、例えば、レチノール(ビタミンA)、レチノイン酸、レチンアルデヒド、さらにはビタミンAの合成変性化合物(synthetically modified compound)である。
【0120】
記載したクロモンおよびレチノイドは、同時に、効果的な抗脂肪沈着活性化合物でもある。同様に知られている抗脂肪沈着活性化合物は、カフェインである。
【0121】
該組成物は、前記の必要な、または任意選択の、構成要素または成分を含む(includeまたはcomprise)、それから本質的になる、またはそれからなる場合がある。該組成物中で使用することができる全ての化合物または成分は、知られていて市販されているか、または知られている方法により合成することができる。
【0122】
上記の式IもしくはIaの1種または複数の化合物または混合物は、通常の方法で化粧用または皮膚科用組成物に組み込むことができる。好適な組成物は、例えば、クリーム、ローションもしくはゲルの形態で、または皮膚に噴霧することができる溶液としての、外用のためのものである。
【0123】
内用に好適なのは、カプセル、糖衣錠、粉末、溶解錠(tablet solution)または溶液などの投与形態である。
【0124】
本発明による組成物の使用形態としては、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有クレンジング調製物、油、エアロゾルおよび噴霧剤を挙げ得る。他の使用形態の例は、スティック、シャンプーおよびシャワー組成物である。任意の所望の通常の媒体、助剤、および所望であれば、さらなる活性化合物を該組成物に添加し得る。
【0125】
好ましい助剤は、保存剤、安定化剤、可溶化剤、着色剤、すなわち、顔料もしくは染料、または臭気改善剤(odour improver)の群に由来する。
【0126】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、通常の媒体、例えば、動物および植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
【0127】
粉おしろいおよび噴霧剤は、通常の媒体、例えば、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含み得る。噴霧剤は、通常の噴射剤、例えば、クロロフルオロカルボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルをさらに含み得る。
【0128】
溶液およびエマルジョンは、溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、特に綿実油、落花生油、麦芽油、オリーブ油、ヒマシ油および胡麻油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの、通常の媒体を含み得る。
【0129】
懸濁液は、液体希釈剤、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁液媒体、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカントゴム、またはこれらの物質の混合物などの、通常の媒体を含み得る。
【0130】
石鹸は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、ラノリン、脂肪族アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖、またはこれらの物質の混合物などの、通常の媒体を含み得る。
【0131】
界面活性剤含有クレンジング製品は、脂肪族アルコールスルフェートの塩、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの、通常の媒体を含み得る。
【0132】
顔用および体用油は、脂肪酸エステルなどの合成油、脂肪族アルコール、シリコーン油、植物油および油状植物抽出物などの天然油、パラフィン油、ラノリン油、またはこれらの物質の混合物などの、通常の媒体を含み得る。
【0133】
化粧品としてのさらなる一般的な使用形態は、粉末、エマルジョンおよびワックス化粧品、ならびに日焼け止め、日焼け前(pre−sun)および日焼け後(after−sun)用の調製物でもある。
【0134】
本発明による好ましい組成物の形態は、特に、エマルジョンを含む。
【0135】
本発明によるエマルジョンは、有利であり、この種の組成物に通常使用される、例えば、前記脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪性物質、ならびに水および乳化剤を含む。
【0136】
脂質相は、以下の物質の群、
− 鉱物油、鉱物ワックス、
− カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリド、さらに、例えば、ヒマシ油などの天然油などの油、
− 脂肪、ワックスならびに他の天然および合成脂肪性物質、好ましくは脂肪酸と低炭素数を有するアルコール、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールとのエステル、または脂肪族アルコールと低炭素数を有するアルカン酸と、もしくは脂肪酸とのエステル、
− ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびその混合形態などのシリコーン油、
から有利に選択され得る。
【0137】
本発明の目的のために、エマルジョンの油相、オレオゲルまたは水分散体(hydrodispersions)または脂肪分散体(lipodispersions)は、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖(unbranched)のアルカンカルボン酸と3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールのエステルの群から、あるいは芳香族カルボン酸と3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールのエステルの群から有利に選択される。この種のエステル油は、次いで、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリル酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ならびにこの種のエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えば、ホホバ油の群から有利に選択することができる。
【0138】
油相は、分岐鎖および直鎖の炭化水素と炭化水素ワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルの群、あるいは飽和または不飽和、分岐鎖または直鎖のアルコールと脂肪酸トリグリセリド、特に8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルの群からさらに有利に選択し得る。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、合成、半合成および天然油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、落花生油、菜種油、扁桃油、パーム油、ヤシ油、パーム核油などの群から有利に選択し得る。
【0139】
本発明の目的のために、この種の任意の所望の油とワックス成分の混合物も有利に使用し得る。油相の唯一の脂質成分として、ワックス、例えば、パルミチン酸セチルを使用することも有利であり得る。
【0140】
油相は、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ヤシ脂肪酸2−エチルヘキシル、安息香酸アルキル(C1215)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリルエーテルの群から有利に選択される。
【0141】
特に有利なのは、安息香酸アルキル(C1215)とイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、安息香酸アルキル(C1215)とイソノナン酸イソトリデシルの混合物、ならびに安息香酸アルキル(C1215)、イソステアリン酸2−エチルヘキシルとイソノナン酸イソトリデシルの混合物である。
【0142】
炭化水素、パラフィン油、スクアランおよびスクアレンについては、本発明の目的のために有利に使用し得る。
【0143】
さらに、油相は、シリコーン油(1種または複数)の他に他の油相成分をさらなる含量で使用することが好ましいが、ある含量の環式または直鎖シリコーン油を有するか、または完全にこの種の油からなることが有利であり得る。
【0144】
本発明に従って使用されるシリコーン油は、有利には、シクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)である。しかし、本発明の目的のために、他のシリコーン油、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用することも有利である。
【0145】
また特に有利なのは、シクロメチコンとイソノナン酸イソトリデシルおよびシクロメチコンとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとの混合物である。
【0146】
本発明による組成物の水性相は、場合により、低炭素数を有するアルコール、ジオールもしくはポリオール、およびそのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類似の生成物、さらには低炭素数を有するアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ならびに、特に、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖およびその誘導体、例えば、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から、特に有利には、ポリアクリレートの群、好ましくは、いわゆるカルボポールの群、例えば、カルボポールグレード980、981、1382、2984、5984のポリアクリレート(いずれの場合も個別的に、または組み合わせて)の群から選択され得る、1種または複数の増粘剤を有利に含む。
【0147】
特に、上述の溶媒の混合物が使用される。アルコール性溶媒の場合、水がさらなる成分となり得る。
【0148】
本発明によるエマルジョンは、有利であり、例えば、前記脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪性物質、ならびにこの種の配合物に通常使用される水および乳化剤を含む。
【0149】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、親水性界面活性剤を含む。
【0150】
親水性界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタインおよびココアンフォアセテートの群から選択される。
【0151】
アルキルグルコシドは、それ自体が、構造式
【0152】
【化14】

【0153】
(式中、Rは、4〜24個の炭素原子を有する分岐鎖または直鎖のアルキル基を表し、
【0154】
【数1】

【0155】
は、最大で2のグルコシル化の平均度合いを示す)
により区別されるアルキルグルコシドの群から有利に選択される。
【0156】

【0157】
【数2】

【0158】
は、本発明に従って使用されるアルキルグルコシドのグルコシド化(glucosidation)の程度を表し、
【0159】
【数3】

【0160】
(式中、p1、p2、p3...piは、1回、2回、3回...i回グルコシル化された生成物の割合を重量パーセントで表す)と定義される。本発明に従って有利である生成物は、1〜2、特に有利には、1.1〜1.5、非常に特に有利には、1.2〜1.4、特に1.3のグルコシル化の程度を有するものである。
【0161】
値DPは、アルキルグルコシドが、一般に、その調製の結果として、モノグルコシドとオリゴグルコシドの混合物の形態であるという事実を考慮に入れる。相対的に高い含量、一般に、40〜70重量%程度のモノグルコシドが、本発明に従って有利である。
【0162】
本発明の目的のために特に有利に使用されるアルキルグルコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドの群から選択される。
【0163】
本発明に従って使用される活性化合物の有効な含量により区別される、天然もしくは合成原料および助剤または混合物、例えば、Plantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic)を使用することも同様に有利である。
【0164】
アシルラクチレートは、それ自体が、構造式
【0165】
【化15】

【0166】
(式中、R1は、1〜30個の炭素原子を有する分岐鎖または直鎖のアルキル基を示し、M+は、アルカリ金属イオンの群、ならびに1種もしくは複数のアルキルおよび/または1種もしくは複数のヒドロキシアルキル基で置換されているアンモニウムイオンの群から選択されるか、あるいはアルカリ土類金属イオンの半分の当量に相当する)
により区別される物質の群から有利に選択される。
【0167】
例えば、乳酸イソステアリルナトリウム、例えば、American Ingredients Companyの製品Pathionic(登録商標)ISLが有利である。
【0168】
ベタインは、構造式
【0169】
【化16】

【0170】
(式中、R2は、1〜30個の炭素原子を有する分岐鎖または直鎖のアルキル基を示す)
により区別される物質の群から有利に選択される。
【0171】
2は、特に有利には、6〜12個の炭素原子を有する分岐鎖または直鎖のアルキル基を示す。
【0172】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えば、Th.Goldschmidt AGの製品Tego(登録商標)Betain 810が有利である。
【0173】
本発明の目的のために有利であるココアンフォアセテートは、例えば、Miranol Chemical CorpからMiranol(登録商標)Ultra C32という名称で入手可能な、ココアンフォ酢酸ナトリウムである。
【0174】
本発明による組成物は、有利には、親水性界面活性剤(複数可)が、いずれの場合も組成物の総重量に基づいて0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを特徴とする。
【0175】
使用するために、本発明による化粧用および皮膚科用組成物は、十分な量で、化粧品のための通常の方式で、皮膚へ適用される。
【0176】
本発明による化粧用および皮膚科用組成物は、様々な形態で存在し得る。したがって、それらの組成物は、例えば、溶液、無水組成物(water−free composition)、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン、例えば、水中油中水(W/O/W)型の多層エマルジョン、ゲル、固体スティック、軟膏またはエアロゾルでもよい。カプセル化形態で、例えば、コラーゲンマトリックスおよび他の通常のカプセル化物質で、例えばセルロースカプセル(cellulose encapsulation)として、ゼラチン、ワックスマトリックスで、またはリポソーム中にカプセル化してエクトインを投与することも有利である。特に、DE-A4308282に記載されているように、ワックスマトリックスが有利であることが確認済みである。エマルジョンが優先される。O/Wエマルジョンが特に好ましい。エマルジョン、W/OエマルジョンおよびO/Wエマルジョンは、通常の方法で得ることができる。
【0177】
使用することができる乳化剤は、例えば、知られているW/OおよびO/W乳化剤である。本発明による好ましいO/Wエマルジョン中で、さらなる通常の共乳化剤(co−emulsifiers)を使用することが有利である。
【0178】
本発明の目的のために有利な共乳化剤は、O/W乳化剤が飽和基RおよびR’を有するならば、例えば、主に、11〜16のHLB値を有する、非常に特に有利には、14.5〜15.5のHLB値を有する物質の群からのO/W乳化剤である。O/W乳化剤が不飽和基Rおよび/またはR’を有する場合、あるいはイソアルキル誘導体の場合、そのような乳化剤の好ましいHLB値は、より低くても高くてもよい。
【0179】
エトキシル化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリールアルコール)の群から脂肪族アルコールエトキシレートを選択することが有利である。ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス20)が特に優先される。
【0180】
以下の群:ステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(12)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(13)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(14)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(15)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(16)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(17)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(18)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(19)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、オレイン酸ポリエチレングリコール(12)、オレイン酸ポリエチレングリコール(13)、オレイン酸ポリエチレングリコール(14)、オレイン酸ポリエチレングリコール(15)、オレイン酸ポリエチレングリコール(16)、オレイン酸ポリエチレングリコール(17)、オレイン酸ポリエチレングリコール(18)、オレイン酸ポリエチレングリコール(19)、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)から脂肪酸エトキシレートを選択することがさらに有利である。
【0181】
有利に使用することができるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ラウレス11カルボン酸ナトリウムである。有利に使用することができる硫酸アルキルエーテルは、ラウレス14硫酸ナトリウムである。有利に使用することができるエトキシル化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ダイズステロールも、好適であることが証明されている。有利に使用することができるエトキシル化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)月見草グリセリド(evening primrose glyceride)である。
【0182】
ラウリン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(21)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(22)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(23)グリセリル、カプリン酸(caprate)/カプリン酸(caprinate)ポリエチレングリコール(6)グリセリル、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、オレイン酸/ヤシ脂肪酸ポリエチレングリコール(18)グリセリルの群からポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択することがさらに有利である。
【0183】
モノラウリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタンの群からソルビタンエステルを選択することも同様に有利である。
【0184】
任意選択のW/O乳化剤であるが、それにもかかわらず、本発明の目的のために有利であり得るものは、
8〜30個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールのモノグリセロールエーテル、8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールのジグリセロールエーテル、8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、ならびに8〜24、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸のソルビタンエステル
であることができる。
【0185】
特に有利なW/O乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルまたはジポリヒドロキシステアリン酸PEG30である。
【0186】
記載した作用剤または組成物は、ヒトの皮膚をUV照射、加齢プロセスおよび酸化ストレス、すなわち、遊離基による損傷から保護するのに特に適している。この文脈では、それらの作用剤または組成物は、この用途で通常使用される様々な投与形態である。例えば、該組成物は、特に、ローション、またはクリームもしくは乳液(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)の形態などのエマルジョンの形態、油性−アルコール性、油性−水性または水性−アルコール性のゲルまたは溶液の形態、固体スティックの形態でもよく、あるいはエアロゾルとして配合し得る。
【0187】
該組成物は、例えば、増粘剤、軟化剤、モイスチャライザー、界面活性剤、乳化剤、保存剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、該組成物自体または皮膚を着色する染料および/または顔料、ならびに化粧品中で通常使用される他の成分などの、この種の組成物中で通常使用される化粧用補助剤を含み得る。
【0188】
使用される染料は、好ましくは、Cosmetics Regulation、Annex 3にポジティブリストとして列挙されている承認された染料である。
【0189】
使用される保存剤は、好ましくは、Cosmetics Regulation、Annex 6にポジティブリストとして列挙されている承認された保存剤であるか、または、例えば、WO2004/0092283またはWO2004/091567に記載されている抗菌顔料でもある。
【0190】
したがって、好適な保存剤は、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩または様々なアンモニウム化合物でもある。
【0191】
特に非常に好ましい保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロキシ酢酸ナトリウムまたはベンジルアルコールである。保存剤は、0.5と2重量%の間の量で使用される。
【0192】
皮膚軟化剤または軟化剤は、化粧用組成物に組み込まれることが多い。それらは、好ましくは、該組成物全体に基づいて0.5〜50重量%、好ましくは5と30重量%の間で使用される。一般に、軟化剤は、例えば、エステル、脂肪酸または脂肪族アルコール、ポリオール、炭化水素および少なくとも1つのアミド構造単位を含有する油のカテゴリーなどのクラスに分類することができる。
【0193】
少なくとも1つのアミド構造単位を含有する代表的油およびその合成は、特に、EP1044676およびEP0928608に記載されている。特に好ましく示した化合物は、Eldew SL−205という製品名で味の素から市販されているN−ラウロイルサルコシン酸イソプロピルである。
【0194】
エステルとしては、モノエステルまたはジエステルを選択することができる。この点に関する例は、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ダイマレートジイソプロピルまたはスクシン酸ジオクチルである。分岐鎖脂肪酸エステルは、例えば、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソステアリルである。三塩基性エステルは、例えば、トリリノレイン酸トリイソプロピルまたはクエン酸トリラウリルである。直鎖脂肪酸エステルは、例えば、パルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチル、エルカ酸オレイルまたはオレイン酸ステアリルである。好ましいエステルは、ココ−カプリレート/カプレート(=INCI名、これらは、ヤシ脂肪族アルコールの飽和中鎖脂肪酸とのエステル)、酢酸プロピレングリコールミリスチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピルまたはオクタン酸セチルである。
【0195】
好適な脂肪族アルコールおよび脂肪酸は、10〜20個のC原子を有する化合物である。特に好ましい化合物は、セチル、ミリスチル、パルミチルもしくはステアリルアルコールまたは酸である。
【0196】
好適なポリオールは、直鎖または分岐鎖のアルキルポリヒドロキシル化合物、例えば、プロピレングリコール、ソルビトールまたはグリセロールである。しかし、ポリマーポリオール、例えば、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを使用することも可能である。ブチレングリコールおよびプロピレングリコールも、浸透能力を高めるのに特に好適な化合物である。
【0197】
軟化剤としての炭化水素の例は、一般に、12〜30個のC原子を有する化合物である。特定の例は、安息香酸アリールアルキル、安息香酸アルキル、鉱物油、ワセリン、スクアレンまたはイソパラフィンである。
【0198】
さらなる皮膚軟化剤または疎水化剤(hydrophobicising agent)は、好ましくは安息香酸アルキル(C12〜C15)、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸オクチル、オクチルドデカノール、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、シクロメチコン、ジカプリル酸エーテル、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコールまたはオレイン酸デシルである。
【0199】
化粧用組成物の機能性成分のさらなるカテゴリーは、増粘剤である。増粘剤は、一般に、総量に基づいて0.1と20重量%の間、好ましくは0.5と10重量%の間の量で使用される。この化合物の例は、カルボポールという商品名でB.F.Goodrich Companyから市販されている、架橋ポリアクリレート物質である。キサンタンガム、カラギーナンガム、ゼラチンガム、カラヤガム、ペクチンガムまたはイナゴマメ粉(carob seed flour)などの増粘剤を使用することも可能である。
【0200】
特定の場合、ある化合物が、増粘剤、さらには軟化剤の両方であることが可能である。その例は、シリコーンガム(動粘度>10センチストーク)、例えば、ステアリン酸グリセロールなどのエステル、またはセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0201】
使用される分散剤または可溶化剤は、油、ワックスまたは他の脂肪性物質、低級モノアルコールもしくは低級ポリオールまたはその混合物であることができる。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールとしては、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールが含まれる。
【0202】
本発明の好ましい実施形態は、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成油またはワックスおよび乳化剤を水の存在下で含む、保護クリームまたは乳液の形態のエマルジョンである。
【0203】
さらに好ましい実施形態は、天然もしくは合成油、ワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドに基づいた油性ローション、あるいはエタノールなどの低級アルコール、またはプロピレングリコールなどのグリセロール、および/またはポリオール、および油、ワックスおよび脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステルに基づいた油性−アルコール性ローションである。
【0204】
本発明による組成物は、また、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールなどの1種または複数の低級アルコールまたはポリオールおよび珪藻土などの増粘剤を含むアルコール性ゲルの形態でもよい。油性−アルコール性ゲルは、天然または合成油またはワックスも含む。
【0205】
固体スティックは、天然または合成ワックスおよび油、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよび他の脂肪性物質からなる。
【0206】
組成物がエアロゾルとして配合される場合、一般に、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンなどの通常の噴射剤が使用される。
【0207】
本発明は、さらに、上記の基を含有する、式IもしくはIaの1種もしくは複数の化合物または上記の少なくとも1種の混合物を、局所適用に好適な媒体、例えば、化粧用として、医薬用としてまたは皮膚科用として好適な媒体と混合することを特徴とする、組成物の調製方法に関する。
【0208】
同じことが、上記の基を含有する、式IもしくはIaの1種もしくは複数の化合物または上記の少なくとも1種の混合物を、食品に適した媒体と混合することを特徴とする、栄養補助食品の調製に当てはまる。
【0209】
本発明による組成物は、当業者によく知られている技法を用いて調製することができる。
【0210】
混合は、媒体中で、上記の式IもしくはIaの少なくとも1種の化合物または混合物の溶解、乳化また分散をもたらすことができる。
【0211】
上記の式IもしくはIaの化合物または混合物の特性は、食品中での使用に好ましい、または栄養補助食品または機能性食品として好ましいと同様にみなされるべきである。食品に関して示すさらなる説明は、栄養補助食品および機能性食品にも同様に当てはまる。
【0212】
食品は、動物による摂取またはヒトによる摂取に好適な全ての物質、例えば、ビタミンおよびそのプロビタミン、脂肪、ミネラルまたはアミノ酸を含む。食品は、固体でもよいが、液体、すなわち、飲料の形態でもよい。
【0213】
したがって、本発明は、さらに、式IもしくはIaの少なくとも1種の化合物または式Ia−1の少なくとも1種の化合物と式Ia−2の少なくとも1種の化合物をヒトもしくは動物の栄養摂取のための食品添加剤として含む混合物の使用、ならびに食品または栄養補助食品であり、対応する媒体を含む組成物に関する。
【0214】
本発明の目的のための食品は、例えば、無糖リンゴジュース(例えば、様々な種類のリンゴジュースの混合物でもある)、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、リンゴコンポート、アプリコットスカッシュ、トマトジュース、トマトソース、トマトピューレ等などの、例えば、単一の植物種の糖、無糖ジュース、スカッシュまたはピューレなどの、例えば、単一の天然源に由来する食品でもある。本発明に従って式Iの1種または複数の化合物で強化することができる食品のさらなる例は、単一の植物種からのコーンまたはシリアル、および例えば、穀物シロップ、ライ麦粉、小麦粉またはオートブランなどの、この種の植物種から生成される物質である。この種の食品の混合物、例えば、マルチビタミン調製物、ミネラル混合物または加糖ジュースも適している。挙げ得る食品のさらなる例は、食品調製物、例えば、調製シリアル、ビスケット、混合飲料、ヨーグルトなどの子供のために特に調製される食品、減量食、低カロリー食品または動物の飼料である。
【0215】
したがって、食品は、炭水化物、脂質、タンパク質、無機元素、微量元素、ビタミン、水または植物および動物の活性代謝物の食用に適した組合せの全てを含む。
【0216】
食品は、好ましくは、例えば、食事、丸薬、錠剤、カプセル、粉末、シロップ剤、溶液または懸濁液の形態で経口投与される。
【0217】
本発明による食品は、当業者によく知られている技法を用いて調製することができる。
【0218】
その作用のために、式Iの化合物は、医薬成分としても適している。
【0219】
例を参照しながら、本発明を以下でより詳細に説明する。本発明は、特許請求する範囲を通して実施することができ、本明細書で示す例に限定されない。

スキーム1
【0220】
【化17】

【0221】
に従って式IまたはIaの化合物を調製する。
例1:2−ピロリドン−5−カルボン酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル(1)および2−ピロリドン−5−カルボン酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル(2)の合成
【0222】
【化18】

【0223】
61.8mmolのN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび4−ジメチルアミノピリジン(200mg)を4−ヘキシルレゾルシノール(51.5mmol)の200mlの塩化メチレン溶液に添加する。次いで、61.8mmolの(S)−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸を添加し、溶液を室温で18時間撹拌する。沈殿物を濾別し、濾液を溶媒から除去する。その後のクロマトグラフィーにより、約9:1[(1):(2)]の比の2種の化合物の混合物を得る。その反応を室温で実施する場合、該化合物は、約1:1[(1):(2)]の比で形成する。
【0224】
9:1混合物は、カラムクロマトグラフィーおよび/または再結晶により個々の成分へ分離することもできる。
【0225】
4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル2−ピロリジノン−5−カルボキシレート(1)
1H NMR(DMSO−d6)δ 9.58(s,1H)、8.13(s,1H)、7.10(d,J=8.2Hz,1H)、6.59(d,J=8.2,2.4Hz,1H)、4.46(dd,J=9.2,3.4Hz,1H)、2.54(m,3H)、2.25(m,3H)、1.55(m,2H)、1.32(m,6H)、0.90(t,J=6.60Hz,3H)。
4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル2−ピロリジノン−5−カルボキシレート(1)および2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル2−ピロリジノン−5−カルボキシレート(2)(9:1混合物)
1H NMR(DMSO−d6)δ 9.58(s,1H−(1)+1H−(2))、8.20(s,1H−(2))、8.13(s,1H−(1))、7.10(d,J=8.2Hz,1H−(1)+1H−(2))、6.68(dd,J=8.3,2.4Hz,1H−(2))、6.63−6.50(m,2H−(1)+1H−(2))、4−56−4.40(m,1H−(1)+1H−(2))、2.54(m,3H−(1)+3H−(2))、2.25(m,3H)、2.43−2.15(m,3H−(1)+3H−(2))、1.65−1.42(m,2H−(1)+2H−(2))、1.32(m,6H−(1)+6H−(2))、0.90(m,3H−(1)+3H−(2))。
例2:4−ジメチルアミノ酪酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル(3)および4−ジメチルアミノ酪酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル(4)の合成
【0226】
【化19】

【0227】
4−ヘキシルレゾルシノールおよび4−ジメチルアミノ酪酸を例1および反応スキーム1と同様に反応させる。
例3:ジメチルアミノ酢酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル(5)およびジメチルアミノ酢酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル(6)の合成
【0228】
【化20】

【0229】
4−ヘキシルレゾルシノールおよび4−ジメチルアミノ酢酸を例1および反応スキーム1と同様に反応させる。
例A:
チロシナーゼアッセイ
化合物IまたはIaの皮膚美白剤として作用を、酵素チロシナーゼを阻害し、したがってメラニン合成を抑制するその能力を通して試験する。
【0230】
真菌のチロシナーゼ、および基質としてL−ドーパを使用して、チロシナーゼに対する式IまたはIaの化合物の阻害作用を評価した。
【0231】
25℃で10分、例1で得た化合物(1)および(2)、およびL−ドーパを予めリン酸緩衝液(pH6.8)中でインキュベートし、その後、真菌のチロシナーゼ(16U)(Fluka)を添加する。試料の吸光度を470nmで負の対照(活性化合物なし)と比較する。コウジ酸および4−ヘキシルレゾルシノールも、チロシナーゼ対照、すなわち、正の対照として試験する。
【0232】
その結果を以下の表で示し、IC50値で表す(チロシナーゼ活性の50%が阻害される、試験化合物の濃度)。
【0233】
【表1】

【0234】
例B:
皮膚上での色素脱失活性
再生ヒトタンニング表皮モデル(reconstituted human tanned epidermis model)(SkinEthic Laboratories)を使用して、種類IまたはIaの化合物の色素脱失活性をインビトロで試験する。
【0235】
化合物4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル2−ピロリジノン−5−カルボキシレート(1)と2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル2−ピロリジノン−5−カルボキシレート(2)の9:1の混合物の5μlのリン酸緩衝液を用いて、タンニング表皮組織(11日齢、寸法0.5cm2)を4日間毎日処理する。
【0236】
並行して、負の対照(純粋なリン酸緩衝液のみを用いて処理した表皮組織)および正の対照を比較のために準備する。全ての皮膚培養物を37℃で6日間インキュベートする。
【0237】
処理後、視覚的評価により、全ての表皮組織を細胞形態および細胞生育力(cell development ability)に関して研究する。さらに、メラニン含量を定量的に求める。
例C:組成物
例1〜3による化合物を含む化粧用(cosmetric)組成物のための例示的配合を以下に示す。さらに、市販されている化合物のINCI名を示す。
【0238】
UV−Pearl、OMCは、INCI名:水(EUでは:Aqua)、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、シリカ、PVP、クロロフェネシン、BHTを有する組成物を表す。この組成物は、Merck KGaA、DarmstadtからEusolex(登録商標)UV Pearl(商標)OMCという名称で市販されている。
【0239】
表で示す他のUV−Pearl製品は、それぞれ類似の組成を有し、示したUVフィルターでOMCが代替されている。
【0240】
【表2−1】

【0241】
【表2−2】

【0242】
【表3−1】

【0243】
【表3−2】

【0244】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、
AA1およびAA2は、それぞれ、互いに独立に、OHまたはタンパク質構成もしくは非タンパク質構成アミノ酸基を示し、
Rは、いずれの場合も、互いに独立に、場合により置換されており、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、3〜9個のC原子を有するシクロアルキルまたは5〜9個のC原子を有するシクロアルケニルを示し、
oは、0、1または2であり、
ただし、AA1およびAA2は、同時にOHではない)
の化合物、ならびにその塩および溶媒和物。
【請求項2】
基Rが、部分式II、IIIまたはIV:
【化2】

(式中、
ZおよびZ’は、それぞれ独立に、H、R、OCOCH3、OCOC65、CH265またはOCOC(CH33を示し、
1は、H、またはOH、OR、SH、SR、NH2、NHR、NR2により場合により置換された1〜30個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、置換もしくは非置換のグアニジン、(NR3+、COOH、COOR、CONH2、CONHR、CONR2、COR、ArもしくはHetを示し、
Rは、いずれの場合も、互いに独立に、場合により置換されており、1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、3〜9個のC原子を有するシクロアルキルまたは5〜9個のC原子を有するシクロアルケニルを示し、
Yは、−CH2−または−NZ−を示し、
AおよびBは、それぞれ、互いに独立に、H、RまたはOHを示し、またはAおよびBは、それらが結合したC原子と一緒になってカルボニル基を形成することができ、
nは、1、2または3であり、
Arは、非置換の、またはR、OHもしくはORにより一置換、二置換もしくは三置換されたフェニルを示し、
Hetは、5〜13個の環員を有する飽和または不飽和の単環式または二環式の複素環式基であって、1、2もしくは3個のNおよび/または1もしくは2個のSもしくはO原子が存在してもよく、R、OHまたはORにより一置換されていても多置換されていてもよい複素環式基を示し、
二重結合は、式IV中の環の中に存在してもよい)
と一致することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物が、式Ia
【化3】

(式中、AA1、AA2およびRは、請求項1または2で示した意味を有する)
と一致することを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
AA1が、部分式IIと一致してAA2がOHを示すか、またはAA2が部分式IIと一致してAA1がOHを示すことを特徴とする、請求項1〜3の1つまたは複数に記載の化合物。
【請求項5】
AA1が部分式IIIと一致してAA2がOHを示すか、またはAA2が部分式IIIと一致してAA1がOHを示すことを特徴とする、請求項1〜3の1つまたは複数に記載の化合物。
【請求項6】
AA1が部分式IVと一致してAA2がOHを示すか、またはAA2が部分式IVと一致してAA1がOHを示すことを特徴とする、請求項1〜3の1つまたは複数に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6の1つまたは複数に記載の化合物:
2−ピロリジノン−5−カルボン酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル、
2−ピロリジノン−5−カルボン酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル、
4−ジメチルアミノ酪酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル、
4−ジメチルアミノ酪酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル、
ジメチルアミノ酢酸4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル、
ジメチルアミノ酢酸2−ヘキシル−5−ヒドロキシフェニル、
ならびにその塩および溶媒和物。
【請求項8】
式Ia−1
【化4】

の少なくとも1種の化合物、および式Ia−2
【化5】

の少なくとも1種の化合物を含む混合物であって、
式中、置換基AA1、AA2およびRが同一であり、請求項1または2に記載の意味を有する混合物。
【請求項9】
式Va
【化6】

の少なくとも1種の化合物が存在し、式中、置換基AA1、AA2およびRが同一であり、請求項1または2に記載の意味を有することを特徴とする、請求項8に記載の混合物。
【請求項10】
式Ia−1の少なくとも1種の化合物または式Ia−2の少なくとも1種の化合物が存在することを特徴とする、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
(a)式VまたはVa
【化7】

(式中、Rおよびoは、請求項1で示した意味を有する)
の化合物を、
タンパク質構成もしくは非タンパク質構成アミノ酸と、または式VI
【化8】

式VII
【化9】

もしくは、式VIII
【化10】

(式中、置換基Z、Z’、R1、Y、A、Bおよびnは、請求項2で示した意味を有する)
の化合物と反応させ、
(b)場合により、
塩基性または酸性の式Iの化合物を、酸または塩基を用いた処理によりその塩または溶媒和物の1つに変換する
ことを特徴とする、式IまたはIaの化合物ならびにその塩および溶媒和物の調製方法。
【請求項12】
請求項1〜7の1つもしくは複数に記載の少なくとも1種の化合物または請求項8〜10の1つもしくは複数に記載の混合物および局所適用に好適な少なくとも1種の媒体を含む組成物。
【請求項13】
式Iの1種もしくは複数の化合物または請求項8〜10の1つもしくは複数に記載の少なくとも1種の混合物を、組成物の総重量に基づいて0.01〜20重量%の量で含むことを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
1種もしくは複数の酸化防止剤および/または1種もしくは複数のビタミンが存在することを特徴とする、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
1種または複数のUVフィルターが存在することを特徴とする、請求項12〜14の1つまたは複数に記載の組成物。
【請求項16】
皮膚美白作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物が存在することを特徴とする、請求項12〜15の1つまたは複数に記載の組成物。
【請求項17】
皮膚美白作用を有するさらなる化合物が、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、アロエシンおよびルシノールから選択されることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1〜7の1つもしくは複数に記載の式Iの1種もしくは複数の化合物または請求項8〜10の一項に記載の少なくとも1種の混合物を、局所適用に好適な媒体と混合することを特徴とする、請求項12〜17の1つまたは複数に記載の組成物の調製方法。
【請求項19】
請求項1〜7の1つもしくは複数に記載の式Iの少なくとも1種の化合物または請求項8〜10の1つもしくは複数に記載の少なくとも1種の混合物の、ヒトの皮膚の美白のための使用。
【請求項20】
請求項1〜7の1つもしくは複数に記載の式Iの少なくとも1種の化合物または請求項8〜10の1つもしくは複数に記載の少なくとも1種の混合物の、チロシナーゼ阻害剤としての使用。
【請求項21】
請求項1〜7の1つもしくは複数に記載の式Iの少なくとも1種の化合物または請求項8〜10の1つまたは複数に記載の少なくとも1種の混合物または請求項12〜17の1つもしくは複数に記載の組成物の、色素沈着過度、夏日斑、加齢斑、黒子および環境により引き起こされる皮膚老化などの色素欠損の予防および/または治療のための使用。

【公表番号】特表2010−535821(P2010−535821A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520436(P2010−520436)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005830
【国際公開番号】WO2009/021589
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】