説明

デジタルカメラ

【課題】本発明は、撮像画像への想定以上のフラッシュ光の移り込みによる異常反射領域の有無をユーザーに警告できるデジタルカメラを提供することを目的とする。
【構成】画像データを表示する表示部33と、被写体像を撮像し画像データを作成する撮像部(31、32)と、前記画像データを複数の領域に分割して各領域ごとに測光値を算出する測光部30と、被写体に照明光を発光する発光装置40と、発光装置40を発光せずに作成された第1判定用画像データと発光装置40の発光を伴って作成された第2判定用画像データとにおいて、同じ領域ごとにそれぞれ輝度値を比較し、その値の差が所定値以上である場合に該領域を異常反射領域として設定する制御部30と、前記異常反射領域に決定された領域がある場合に警告表示を行う警告表示制御部33とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
デジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラッシュ装置を具備するカメラでは、フラッシュを発光させることにより適正露出で撮像できるものがある(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平2002−277921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ガラスや、鏡状の被写体をフラッシュを発光して撮影すると、フラッシュ光が必要以上に反射して撮影画像に移り込む場合がある。フラッシュ光が必要以上に撮影画像に移り込むと、被写体がフラッシュ光で覆われて所望の画像を得ることができない。そのため所望の画像を得るまで撮像をおよび撮像画像の確認を繰り返す必要があった。
【0004】
本発明は、撮像画像への想定以上のフラッシュ光の移り込みによる異常反射領域の有無をユーザーが認識可能なデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を適用したデジタルカメラは、画像データを表示する表示部と、被写体像を撮像し画像データを作成する撮像部と、前記画像データを複数の領域に分割して各領域ごとに測光値を算出する測光部と、被写体に照明光を発光する発光装置と、前記発光装置を発光せずに作成された第1判定用画像データと前記発光装置の発光を伴って作成された第2判定用画像データとにおいて、同じ領域ごとにそれぞれ輝度値を比較し、その値の差が所定値以上である場合に該領域を異常反射領域として設定する制御部と、前記異常反射領域に決定された領域がある場合に警告表示を行う警告表示制御部とを具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明を適用したデジタルカメラは、ユーザーが異常反射領域の有無を確実に認識可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を適用した実施の形態について図1〜図7を用いて説明する。
本発明を適用した第1の実施の形態におけるデジタルカメラ1について説明する。
デジタルカメラ1の外観図を図1a、図1bに示す。
【0008】
本実施の形態におけるデジタルカメラ1は直方形状のカメラボディ10とレンズ鏡筒20とから構成されるレンズ一体型デジタルカメラである。カメラボディ10上面1aにはレリーズ釦11、電源釦12が配置されている。カメラボディ10背面1bには、再生釦13、メニュー釦14、十字キー15、背面モニタ16が配置されている。カメラボディ10正面1cには照明装置17、補助光装置18、レンズ鏡筒20とが配置されている。レンズ鏡筒20には撮像光学系21が配置されている。
【0009】
レリーズ釦11は半押することによりONされる半押スイッチ(SW1)と、全押することによりONされる全押スイッチ(SW2)とから構成される2段スイッチである。電源釦12はデジタルカメラ1の電源をON/OFFするための釦である。再生釦13は撮像済みの画像データを背面モニタ16に表示する再生モードへ切り替えるためのスイッチである。メニュー釦14は、背面モニタ16にメニューを表示させ、ユーザーがカメラの動作設定等を設定おこなうメニューモードへ切り替えるためのスイッチである。十字キー15は、上下左右の4方向にそれぞれ接点を有する周知の十字キーである。また十字キー15中央には決定釦15aが配置されている。背面モニタ16は、撮影時に被写体を動画像表示したり、記録済み画像やメニュー画面等を表示する液晶表示装置である。照明装置17は、被写体を照明する照明装置であって、照明部材としてキセノン管を用いたものである。なお照明部材としてはキセノン管に限るものではなく、被写体像を照明するものであればどんなものでもよい。例えば照明部材としてLED等を用いても良い。補助光装置(AF補助光装置)18は、LED等の照明部材であり、後述するAF処理の際に被写体を照明する。
【0010】
<デジタルカメラ1のブロック図>
以下、本実施の形態におけるデジタルカメラ1の構成部材および基本的な処理についてブロック図を基に説明する。デジタルカメラ1のブロック図を図2に示す。
【0011】
<制御部>
制御部30は、CPU等を含み、撮像部31、画像処理部32、表示部33、RAM34、ROM35、EEPROM36、外部メモリ37、内部メモリ38、操作部39、照明部40等と接続され、各部材を制御する。
【0012】
<撮像及び画像処理>
撮像部31は、不図示の撮像レンズにより結像した被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOS等の固体撮像素子、画像信号の読み出しや電子シャッターの制御駆動等を行うドライバ等も含む。画像処理部32は、撮像部31より出力された画像信号に、ノイズ除去、A/D変換、色補間処理、サイズ変更、符号化等の処理を必要に応じて行い、背面モニタ16に表示する表示用画像データや、記録用画像データ等を作成する。表示用画像データは表示部34により背面モニタ16に表示される。
【0013】
<記録処理>
RAM34は、制御部30及び画像処理部32、表示部33等が処理を行う際にデータの一時的な保存場所などに利用される。ROM35は、デジタルカメラ1の作動に必要なプログラム、該プログラムに使用する初期値等が保存されている。EEPROM36は、デジタルカメラ1の電源がOFFされても記録情報を保持するフラッシュメモリ等の書き換え可能なメモリである。EEPROM36には、デジタルカメラ1のユーザー設定やカスタム設定等の情報を記録する。外部メモリ37は、画像ファイル等を保存するための着脱可能なメモリーカードである。内部メモリ38は、ハードディスク等の大容量の磁気ディスクやDVD等の大容量の光ディスク、フラッシュメモリ等の画像ファイル等を記憶する記憶媒体である。
【0014】
<画像表示処理>
表示部33は、制御部30の指令により表示用画像データを背面モニタ16へ表示させる。表示部33は背面モニタ16およびドライバやビデオメモリ等を含む。なお、ビデオメモリとしてRAM34を用いても良い。
<スルー画像処理>
デジタルカメラ1は、撮像部31により連続して撮像された画像信号を画像処理部32により処理して作製した表示用画像データ(以下スルー画像とする)を背面モニタ16に連続して表示する周知の動画像表示処理(以下スルー画像処理)が可能である。スルー画像処理の際は画像処理部32で記録用画像データは作成されない。
【0015】
<測光処理>
デジタルカメラ1は、被写体像領域を複数の領域に分割しそれぞれ輝度値を求める周知の分割測光が可能である。被写体像領域を96の領域に分割した様子を図3aに示す。図3aでは各領域を点線50で示している。96の領域に分割された各被写体画像領域での被写体輝度値は、撮像部31から出力された画像信号または画像処理部32で作製する表示用画像データを基に算出する。露出演算にもちいられる輝度値の算出方法は、前記各領域の輝度値を平均して算出する平均測光や、中央部の所定領域のみの輝度値に基づいて算出する中央部重点測光等が用いられる。
【0016】
<操作部>
操作部30は、レリーズ釦11、電源釦12、再生釦13、メニュー釦14、十字キー15等を含む。
【0017】
<照明部>
照明部40は、照明装置17、補助光装置18およびこれらを発光させるための駆動回路等を含む。照明部40は制御部20の指令により照明装置17による発光量を調整する。
【0018】
<動作モード>
本実施の形態におけるデジタルカメラ1は、ユーザーが設定した撮像処理条件により撮像動作及び撮像画像の処理を行う撮影モード、背面モニタ16に表示されたメニュー画面を見ながら各種機能の設定を行うメニューモード、背面モニタ16に撮影済みの記録用画像データ等を表示させる画像表示モードを持つ。メニューモード、画像表示モードについては周知の処理であるため詳細な説明を省く。
【0019】
以下撮影モードでの処理ついて説明する。
<撮影モード>
本実施の形態におけるデジタルカメラ1における撮影モードについて説明する。
【0020】
動作モードが撮影モードに設定されると、スルー画像処理が開始される。ユーザーは背面モニタ16に表示される被写体の動画像を確認し撮影構図を決定できる。
本実施の形態におけるデジタルカメラ1の照明装置17の発光を伴う撮影では、照明装置17を発光せずに撮像した画像データと、照明装置17の発光を伴い撮像された画像データとの各領域(96の領域)での輝度値を、同一の領域ごとに比較する。ここで、照明装置17を発光せずに撮像した画像データと、照明装置17の発光を伴い撮像された画像データとの各領域(96の領域)での輝度値の差が所定以上である領域を以上反射領域と設定し、該異常反射領域が所定数以上ある場合はユーザーに異常反射領域があることを警告表示する。なお、異常反射領域が1つでもある場合にユーザーに異常反射領域があることを警告表示しても良い。
【0021】
これにより、照明撮影による必要以上に照明光が映りこむ異常反射領域があることをユーザーが認識できる。
本実施の形態のデジタルカメラ1は、SW2押圧直後にスルー画像処理で取得した撮像した表示用画像データと、静止画像用画像として照明装置を発光して撮像された際の画像データとを比較して異常反射領域を設定し、ユーザーに警告表示を行う。以下撮影処理の流れを説明する。
【0022】
<撮影モードの流れ>
撮影モードでの処理の流れについて示すフローを図4に示す。
撮影モードに入ると、ステップS101でスルー画像再生処理の開始を命令し、ステップS102へ移る。以後撮影モード処理とスルー画像再生処理が平行して処理される。
【0023】
<スルー画像処理>
スルー画像再生処理での流れについて図5を用いて説明する。
スルー画像再生処理が開始されるとステップS201で、Nに4が代入されると共にスルー画像用電子シャッター速度の初期値がRAM34に記憶される。次にステップS202でRAM34に記憶されているスルー画像用電子シャッター速度を読み出し、撮像部31によって該シャッター速度で撮像し画像信号を取得する。ステップS203で画像処理部32により取得した画像信号を処理し再生用画像データのみを作成しRAM34へ記憶する。ステップS204では、レリーズ釦11のSW1がONされているか否かを判定する。SW1がONされている場合はステップS210へ移り、SW1がONされていない場合はステップS205へ移る。ステップS205ではN=4か否かが判定される。N=4の場合はステップS206へ移り、N=4でない場合はステップS209へ移りNに1を足してステップS210へ移る。ステップS206ではステップS203で得た表示用画像データを基に輝度値を算出し、ステップS207で算出した輝度値をもとに、スルー画像が適正露出となるようスルー画像用電子シャッター速度を算出しRAM34へ記憶しステップS208へ移る。ステップS208ではNにゼロを代入しステップS210へ移る。ステップS210ではスルー画像に重ねて表示するためのスーパーインポーズ用データと再生用画像データをRAM34より読み出しステップS203で作成した表示用画像データと合成し表示部33によって背面モニタ16に表示する。次にステップS212で、スルー画像再生処理の中止命令があるか否かを判定する。スルー画像再生処理の中止命令がある場合はスルー画像処理を終了し、スルー画像再生処理の中止命令がない場合はステップS202へ戻りスルー画像再生処理を続ける。
【0024】
上述したのように、スルー画像は処理の開始時(ステップS201)およびS202〜S212のループが4回行われるごとに撮像画像より被写体輝度を算出し撮像画像が適正露出となるようにスルー画像処理でのスルー画像用電子シャッター速度を調整する(ステップS206〜S207)。
なおスルー画像処理においては、絞り値は開放値に固定されている。そのため露出はスルー画像用電子シャッター速度および撮像感度(ゲイン調整)で決定される。なお、SW1が押圧操作されている間はステップS204で肯定されるため、スルー画像を撮像するスルー画像用シャッター速度は、スルー画像再生処理では変更されなくなる。SW1がONされている際は後述する撮影モード処理でスルー画像用シャッター速度が適宜調整される。
図4に示した撮像モード処理の説明に戻る。
【0025】
ステップS101でスルー画像再生処理の開始命令を行いステップS102へ移ると、レリーズ釦11のSW1がONされたか否かが判定される。SW1がONされた場合はステップS103へ移り、SW1がONされていない場合はステップS109へ移る。ステップS103では、RAM34に記憶されているスルー画像処理で作成された表示用画像データを基に被写体輝度算出する。ステップS104では算出された被写体輝度値を基にスルー画像が適正露出となるようにスルー画像用電子シャッター速度を算出しRAM34に記憶する。S105では、算出された被写体輝度値より、静止画像撮影時のシャッター速度、絞り値、照明装置の発光の有無等の撮影処理条件を決定しステップS106へ移行する。ステップS106では、撮影光学系21の不図示の焦点光学系を駆動させながらスルー画像処理で再生用画像データを撮像し、コントラストが最も高い再生用画像データが取得された位置を焦点光学系の合焦位置として決定する周知のコントラストAF処理が行われる。なお、被写体輝度が暗い場合はAF処理中にAF補助光装置18が被写体に向けて発光される。
【0026】
ステップS107では、SW1がONされているか否かが判定される。SW1がONされている場合はステップS108へ移り、SW1がONされていない場合はステップS110へ移る。ステップS108ではSW2がONされたか否かが判定される。SW2がONされた場合はステップS109へ移り、SW2がONされていない場合はステップS107へ移る。ステップS109では静止画撮影処理サブルーチンへ移り静止画の撮像や記録等の処理が行われる。静止画撮影記録処理サブルーチンについては後述する。静止画撮影記録処理サブルーチンが終了するとステップS110へ移る。ステップS110では動作モードが撮影モードから変更されたか否かが判定される。動作モードが撮影モードから変更された場合はステップS111へ移り、動作モードが変更されていない場合はステップS102へ戻る。ステップS111ではスルー画像再生処理の中止命令を行い撮影モード処理を終了する。
【0027】
<静止画撮影記録処理>
撮影モードの際にレリーズスイッチ11のSW2がONされると静止画撮影記録処理サブルーチンが開始される。静止画撮影処理の流れについて図6を基に説明する。
【0028】
静止画撮影記録処理が開始されると、ステップS301で、照明装置が発光するよう設定されているか否かの判定を行う。照明装置が発光するよう設定されている場合はステップS302へ移り、照明装置が発光するよう設定されていない場合はステップS306へ移る。ステップS302では、スルー画像再生処理でRAM34に記憶されている表示用画像データがRAM34の第1判定用画像領域に記憶される。ここで、第1判定用画像領域に記憶された表示用画像データは、上述の照明装置の発光なしで撮像した画像データにあたる。次にステップS303では、スルー画像再生処理でのステップS202での撮像部31による撮像の露光中に所定の発光量で照明装置17に発光させる(プリ発光処理)。次にステップS304では、ステップS303で発光した際に撮像され作成されたRAM34に記憶されている表示用画像データを読み出し、該画像データを基に測光処理を行い被写体輝度を算出する。次にステップS305で第1判定用画像領域に記憶されている画像より被写体輝度を算出し、該輝度値とステップS304で算出された輝度値およびステップS303での照明装置の発光量、スルー画像用シャッター速度、撮像とから静止画撮像時に適正露出となるよう照明装置17に発光させる本発光量を決定する。
ステップS302〜S305では、静止画撮像時に照明装置により発光されるの本発光量を算出している。これにより被写体からの照明光の反射具合を考慮し、適正露出となるよう本発光量を調整できる。
【0029】
次にステップS306でスルー画像再生処理の中止命令を出し、ステップS307へ移る。ステップS307では、照明装置が発光するよう設定されているか否かの判定を行う。照明装置が発光するよう設定されている場合はステップS310へ移り、照明装置が発光するよう設定されていない場合はステップS308へ移る。ステップS308では、撮影モード処理のステップS105で算出された撮影処理条件に基づき撮像部31により撮像が行われ、ステップS309で、撮像部31より出力された画像信号を画像処理部32で処理し記録用画像データを作成し、該記録用画像データを外部メモリ37に記憶した後ステップS317へ移る(照明装置17を発光せずに静止画撮像を行う)。
【0030】
ステップS310では、撮影モード処理のステップS105で算出された撮影処理条件に基づき撮像部31により撮像が行われると共に該撮像の露光中にステップS305で算出された本発光量で照明装置17に発光させる(照明装置17を発光して静止画撮像を行う)。ステップS311では、撮像部31より出力された画像信号を画像処理部32で処理し表示用画像データと記録用画像データを作成する。ステップS312では、ステップS311で作成された表示用画像データ(ここで、該表示用画像データは、上述の照明装置の発光して撮像した画像データにあたる)とRAM34に記憶の第1判定用画像データの被写体像領域の各領域(96の領域)の輝度値をそれぞれ算出し、表示用画像データと第1判定用画像データとのそれぞれ同一の領域においてその輝度差が所定値以上の領域を異常反射領域として設定する。ステップS313では、ステップS312で設定した異常反射領域が所定値以上あるか否かを判定する。異常反射領域が所定値異常ある場合はステップS314へ移り、異常反射領域が所定値以上ない場合はステップS316へ移る。ステップS314では、異常反射領域があることを示す異常反射警告表示を再生用画像データに重畳し背面モニタ16に表示させる。本発明においては異常反射領域が所定数異常ある場合について、所望の画像が得られないと、所定の領域数はユーザーにより変更可能としても良い。警告表示が表示された画像が背面モニタ16に表示されている様子について図3bに示す。図示のごとく、背面モニタ16には、撮像画像に重畳して警告文51および画像の記録するか否かを選択するための選択メニュー52が表示される。さらに、ステップSステップS312で設定した異常反射領域を異常反射表示53により表示する。警告表示が表示されるとまず、選択メニュー52には「記録する」又は「記録しない」の2つのメニュー項目が表示され、「記録する」に選択枠100表示が表示される。ユーザーは、十字キー15を上又は下に押圧操作することにより選択枠100を上記2つのメニュー項目に移動させることができる。決定釦15aが押圧操作されると、選択枠100が表示されているメニュー項目(「記録する」又は「記録しない」)が決定できる。
ステップS315では「記録する」に選択枠100がある状態で決定釦15aが操作されるとステップS316へ移り、「記録しない」に選択枠100がある状態で決定釦15aが操作されるとステップS317へ移る。ステップS316では記録用画像データが外部メモリ37に記録されステップS317へ移る。ステップS317ではAFロックを解除して撮影処理を終了する。
【0031】
上述によりユーザーに撮像画像に異常反射領域があることを報知することができる。従来は、撮影し画像をメモリに記憶した後に画像を再生し、所望の画像が得られていない場合は該画像を削除し再び撮像しなければならず効率的に撮像できない。しかし本発明を適用したデジタルカメラ1では上述のごとく異常反射領域がある場合は記録用画像データを外部メモリ37に記録する前に警告することにより、記録をせずに撮影をやり直すことができるため、効率的に所望の画像を撮影することができる。
【0032】
<プリ発光の変形例>
上述では、SW2がONされて静止画像の撮像が終了した後に異常反射領域があることを警告したが、SW1がONされた後に異常反射領域があることを警告するとしても良い。
【0033】
以下上述のデジタルカメラ1において、SW1がONされた後に異常反射領域があることを警告する変形例について説明する。本変形例におけるデジタルカメラ1では、半押スイッチSW1がONされ撮影準備処理が行われるとともに、照明装置17を発光させて異常反射領域があることを警告する。
【0034】
本変形例におけるデジタルカメラ1の撮像モードでの処理について図7を用いて説明する。なお、変形例の撮影モードでの処理は上述の撮影モードでの処理とほぼ同様なため、同一の処理については同一の符号を付し説明を略す。
【0035】
撮影モード処理が開始されると、スルー画像表示が開始され(ステップS101)、SW1がONされると(S102で肯定)撮影準備処理が行われる(ステップS103〜106)。ステップS106のAF処理が終了すると、ステップs401に移る。ステップS401では、照明装置が発光されるよう設定されたか否かが判定される。照明装置が発光されるよう設定されている場合はステップS402へ移り、照明装置が発光されるよう設定されていない場合はステップS107へ移る。ステップS402では、スルー画像再生処理でRAM34に記憶されている表示用画像データがRAM34の第1判定用画像領域に記憶される。ここで、第1判定用画像領域に記憶された表示用画像データは、上述の照明装置の発光なしで撮像した画像データにあたる。
【0036】
ステップS403では、スルー画像再生処理でのステップS202での撮像部31による撮像の露光中に所定の発光量で照明装置17に発光させる(プリ発光処理)。次にステップS404では、ステップS403で発光した際に撮像されて作成されRAM34に記憶されている表示用画像データを読み出し、該表示用画像データ(ここで、該表示用画像データは、上述の照明装置の発光を伴い撮像した画像データにあたる)の被写体像領域の各領域(96の領域)の輝度値を算出する。ステップS405では、RAM34に記憶の第1判定用画像データの被写体像領域の各領域(96の領域)の輝度値を算出し、表示用画像データと第1判定用画像データとのそれぞれ同一の領域において、その輝度差が所定値以上のとなる領域を異常反射領域として設定する。ステップS406では、ステップS405で設定した異常反射領域が所定値以上あるか否かを判定する。異常反射領域が所定数以上ある場合はステップS407へ移り、異常反射領域が所定数以上ない場合はステップS107へ移る。ステップS407では、異常反射領域があることを示す異常反射警告表示をスーパーインポーズ情報として記憶させ、スルー画像データに重畳し背面モニタ16に表示させる。警告表示が表示された画像が背面モニタ16に表示されている様子について図3cに示す。図示のごとく、背面モニタ16には、撮像画像に重畳して警告文51およびステップS405で設定した異常反射領域を異常反射表示53により表示する。ステップS407が終了するとステップS107へ移る。
【0037】
ステップS108でSW2がONされていると判定されるとステップS408の撮影記録処理へ移る。ステップS408では、ステップS105で決定された撮像処理条件で静止画像が撮像され作成された記録用画像データが外部メモリ37に記憶される。撮影記録処理が終了するとステップS110へ移る。
【0038】
上記変形例によれば、静止画像の撮像記録処理(ステップS408)を行うまえに、異常反射領域をユーザーに警告できる。そのためユーザーはレリーズ釦11を半押操作することにより、撮影準備処理を開始すると共に撮影画像に異常反射領域ができるか否かを認識することができ、ユーザーは必要に応じて、静止画像の撮像前に再度半押スイッチをOFFし撮影構図を変更して撮影が可能となる。
なお、上述の変形例では、異常反射領域を検出するために、ステップS403で照明装置17を発光したが、被写体を照明するものであったらこれに限るものではない。例えば照明装置17の変わりにAF補助光装置18を被写体に向けて発光するとしても良い。
以上本発明を適用した1実施の形態としてデジタルカメラ1を例示し説明したが、本発明はこれに限るものではない。
【0039】
例えば、被写体像領域の複数の領域での輝度値を撮像部31により取得した画像信号ではなく、撮像部31とは別に配置された複数の領域に分割して測光可能な測光用のセンサーを用いても良い。
また、上述では、警告表示を背面モニタ16に表示したが、警告表示を背面モニタ16とは別の表示部材に表示しても良い。例えばLED等の表示部材を設け、該LDEを点等することによりユーザーに異常反射領域があることを報知しても良い。
なお、上述では、デジタルカメラ1に照明装置17が配設されているが、照明装置とデジタルカメラ通信可能であれば、照明装置はデジタルカメラとは別体であっても良い。
本発明をレンズ着脱式のデジタルカメラや、一眼レフカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】デジタルカメラ1の外観図
【図2】デジタルカメラ1のブロック図
【図3】背面モニタ16の表示例
【図4】撮影モード処理のフロー図
【図5】スルー画像再生処理のフロー図
【図6】撮影記録処理のフロー図
【図7】変形例の撮影モード処理のフロー図
【符号の説明】
【0041】
1 デジタルカメラ
10 カメラボディ
11 レリーズ釦
15 十字キー
15a 決定釦
16 背面モニタ
17 照明装置
18 補助光装置
20 レンズ鏡筒
21 撮像光学系
50 領域線
51 警告文
52 選択メニュー
53 警告表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを表示する表示部と、
被写体像を撮像し画像データを作成する撮像部と、
前記画像データを複数の領域に分割して各領域ごとに測光値を算出する測光部と、
被写体に照明光を発光する発光装置と、
前記発光装置を発光せずに作成された第1判定用画像データと前記発光装置の発光を伴って作成された第2判定用画像データとにおいて、同じ領域ごとにそれぞれ輝度値を比較し、その値の差が所定値以上である場合に該領域を異常反射領域として設定する制御部と、
前記異常反射領域に決定された領域がある場合に警告表示を行う警告表示制御部とを具備することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラはさらに、
画像データを記録する記録媒体を有し、
前記撮像部は、前記表示部に表示するための表示用画像データと、前記記録媒体に記録するための記録用画像データとを作成し、
前記制御部は、前記表示部に動画像として表示するための前記表示用画像データから前記第1判定用画像データを作成し、前記表示用画像データと記録用画像データとを共に作成させる静止画像撮像処理で取得した前記表示用画像データ又は前記記録用画像データのいずれかより前記第2判定用画像データを作成することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタルカメラはさらに、
画像データを記録する記録媒体を有し、
前記撮像部は、前記表示部に表示するための表示用画像データと、前記記録媒体に記録するための記録用画像データとを作成し、
前記制御部はさらに、前記表示部に動画像として表示するための前記表示用画像データから前記第1判定用画像データと前記第2判定用画像データとを作成することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御部は、前記異常反射領域に対応する領域をしめす異常反射領域表示を前記表示部に表示することを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−274439(P2007−274439A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98780(P2006−98780)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】