デバイス実装方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
【課題】異方導電性ペーストを利用して、導通に寄与する導電性粒子をデバイス基板と被接続基板との間の加圧領域に集中的に集めながら両基板をOLB接続すること。
【解決手段】異方導電性ペーストWを利用して、第1配線接続部61が形成されたデバイス基板21を第2配線接続部40が形成された被接続基板23に実装して、両配線接続部を電気的に接続する方法であって、第1配線接続部の端子部62a又は第2配線接続部の端子部40aのいずれかに上記ペーストを塗布する工程と、両端子部が対向するように被接続基板上にデバイス基板を位置させる工程と、ボンディング工具70によりデバイス基板を被接続基板に対して押し付け、ペーストを介して両端子部を電気的に接続する工程と、を備え、塗布工程の際、ボンディング工具の中心軸線Cから、塗布後に盛り上がる最頂点中心Nが一定距離H離間するようにペーストを塗布するデバイス実装方法を提供する。
【解決手段】異方導電性ペーストWを利用して、第1配線接続部61が形成されたデバイス基板21を第2配線接続部40が形成された被接続基板23に実装して、両配線接続部を電気的に接続する方法であって、第1配線接続部の端子部62a又は第2配線接続部の端子部40aのいずれかに上記ペーストを塗布する工程と、両端子部が対向するように被接続基板上にデバイス基板を位置させる工程と、ボンディング工具70によりデバイス基板を被接続基板に対して押し付け、ペーストを介して両端子部を電気的に接続する工程と、を備え、塗布工程の際、ボンディング工具の中心軸線Cから、塗布後に盛り上がる最頂点中心Nが一定距離H離間するようにペーストを塗布するデバイス実装方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス実装方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロデバイスを製造する方法の一つとして液滴吐出法(インクジェット法)が提案されている。この液滴吐出法は、デバイスを形成するための材料を含む機能液を液滴状にして、液滴吐出ヘッドより吐出する方法である。特許文献1には、液滴吐出ヘッドに関する技術の一例が開示されており、ワイヤボンディングを用いて半導体チップの上面に設けられた端子と回路基板上の端子とを電気的に配線接続する技術が記載されている。また、特許文献2には、駆動素子(圧電素子)が、駆動デバイス(ドライバIC)にワイヤボンディングで接続された液滴吐出ヘッドが記載されている。
【0003】
特に近年では、液滴吐出法に基づいてマイクロデバイスを製造する際、マイクロデバイスのさらなる微細化の要求に応えるために、アウターリードとして機能する配線パターンを予め形成したフレキシブル基板を用いて、アウターリードボンディング(OLB:Outer Lead Bonding)接続を行うことで、ワイヤ同士の短絡等の不都合を生じさせることなく、駆動素子と駆動デバイスとの間の電気的接続を行うことが考えられている(特許文献3参照)。
【0004】
一般的にOLB接続する場合には、異方導電性接着剤を利用してフレキシブル基板と被接続基板とを接続する場合が多い。この方法は、フレキシブル基板と被接続基板との間に異方導電性接着剤を配した後、この接着剤を加熱しながらフレキシブル基板を被接続基板に加圧することで接続を行う方法である。
特に、この異方導電性接着剤は、熱硬化性樹脂に混ぜ合わされた導電性粒子の状況によって、導電性と絶縁性との異方性を容易に形成できるのでOLB接続には好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−9235号公報
【特許文献2】特開2003−159800号公報
【特許文献3】特開2000−68989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、異方導電性接着剤を用いるにあたって、上述したように導電性と絶縁性とを両立させるためには、導電性粒子を効率良く導通に寄与する部分に集めることが重要である。しかしながら、異方導電性接着剤として異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を用いた場合には、導通に寄与する導電性粒子をフレキシブル基板と被接続基板との間の加圧領域(接続領域)に集中的に集めることが困難であった。
【0007】
詳細に説明すると、異方導電性ペーストの場合においては、バインダーがペースト状であるため、被接続基板上に塗布された時点で導電性粒子の分布は既に不均一な状態となり易い。この点、図11及び図12を参照して説明する。
図11は、被接続基板100の配線パターン101上に異方導電性ペーストWを塗布した後、配線パターン111を有するフレキシブル基板110をボンディング工具120で加圧する直前の状態を示した図である。図12は、ボンディング工具120でフレキシブル基板110を加圧し、異方導電性ペーストWを利用して両基板100、110をOLB接続した状態の図である。
【0008】
図11に示すように、異方導電性ペーストWは、バインダーがペースト状であるので、塗布後の形状は蒲鉾のような断面半球状となってしまう。そのため、導電性粒子Rは、異方導電性ペーストWの塗布中心(塗布後に盛り上がる最頂点中心)Nを貫く中心線上に多く存在し、外縁にいくほど少ない状態となっている。
【0009】
そして、異方導電性ペーストWを塗布した後、ボンディング工具120の中心軸線Cを異方導電性ペーストWの塗布中心Nに合わせながら、該工具120を利用してフレキシブル基板110をボンディング(加熱加圧)する。これにより、図12に示すように、異方導電性ペーストWは、フレキシブル基板110と被接続基板100との間で左右に流動しながら拡がった後、硬化する。その結果、異方導電性ペーストWを利用して、フレキシブル基板110と被接続基板100とをOLB接続することができる。
【0010】
ところで、電気的接続に寄与する主な導電性粒子Rは、ボンディング工具120によって加圧された加圧領域に存在している粒子であり、その周囲に分布する導電性粒子Rは接続に寄与しない。よって、加圧領域に効率良く導電性粒子Rを捕捉しておく(残しておく)必要がある。しかしながら、ボンディング工具120の中心軸線Cを異方導電性ペーストWの塗布中心Nに一致させた状態でボンディングを行っているので、塗布中心Nを貫く中心線上に多く存在する異方導電性ペーストWは左右に流動して逃げてしまう。そのため、導電性粒子Rも同様に左右に流動し、加圧領域から外側に逃げてしまい易かった。その結果、導通に寄与する導電性粒子Rをフレキシブル基板110と被接続基板100との間の加圧領域に集中的に存在させておくことが困難であった。
【0011】
特に、異方導電性ペーストWを塗布した時点の高さは略100〜500μmであるが、ボンディング後の厚み(両基板間距離)は1/10程度の略10〜50μmとなってしまう。従って、中心線上に存在する異方導電性ペーストWは、過大に押し潰されて加圧領域から外側に移動し易く、上述した不都合が生じ易いものであった。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その主目的は、異方導電性ペーストを利用して、導通に寄与する導電性粒子をデバイス基板と被接続基板との間の加圧領域に集中的に集めながら両基板をOLB接続することができるデバイス実装方法を提供することである。
また、別の目的は、この方法で実装されたデバイス基板及び被接続基板を有する液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することである。
【0013】
なお、加圧領域に導電性粒子をできるだけ残すために、異方導電性ペーストに含まれる導電性粒子の比率を高めにした場合には、絶縁性能が低下してしまうので、絶縁性を保ちたい領域にとっては不都合になるものであった。また、異方導電性ペーストの塗布量自体を減らしてしまった場合には、フレキシブル基板と被接続基板との間に異方導電性ペーストが十分に充填されない恐れがある。
従って、異方導電性ペーストの塗布量や導電性粒子の比率を変えずに、上述した目的を達成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るデバイス実装方法は、異方導電性ペーストを利用して、第1配線接続部が形成されたデバイス基板を第2配線接続部が形成された被接続基板に実装して、両配線接続部を電気的に接続するデバイス実装方法であって、前記第1配線接続部の端子部又は前記第2配線接続部の端子部のいずれかに前記異方導電性ペーストを塗布する塗布工程と、塗布した前記異方導電性ペーストを間に挟んで、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とが対向するように、前記被接続基板上に前記デバイス基板を位置させるセット工程と、前記異方導電性ペーストを加熱すると共にボンディング工具により前記デバイス基板を前記被接続基板に対して加圧しながら押し付け、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とを異方導電性ペーストを介して電気的に接続するボンディング工程と、を備え、前記塗布工程の際、前記ボンディング工具の中心軸線から、塗布後に盛り上がる最頂点中心が一定距離離間するように異方導電性ペーストを塗布することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るデバイス実装方法においては、まず、デバイス基板に形成された第1配線接続部の端子部、又は、被接続基板に形成された第2配線接続部の端子部に、導電性粒子が含まれた異方導電性ペーストを所定量塗布する塗布工程を行う。この際、後のボンディング工程時にデバイス基板の所定位置にあてがわれるボンディング工具の中心軸線から、塗布後に盛り上がる最頂点中心(塗布中心)が一定距離離間するように、異方導電性ペーストを塗布する。
次いで、塗布した異方導電性ペーストを間に挟んで、第1配線接続部の端子部と第2配線接続部の端子部とが対向するように、被接続基板上にデバイス基板を位置させるセット工程を行う。
【0016】
次いで、ボンディング工具を利用してデバイス基板を被接続基板に実装して、第1配線接続と第2配線接続部とを電気的に接続するボンディング工程を行う。
まず、ボンディング工具をデバイス基板の所定位置にあてがった後、異方導電性ペーストを加熱すると共にボンディング工具によりデバイス基板を被接続基板に対して加圧しながら押し付ける。すると、異方導電性ペーストは、押し潰されてデバイス基板と被接続基板との間で流動しながら拡がり、その後硬化する。この際、異方導電性ペーストに含まれる導電性粒子が、第1配線接続部の端子部と第2配線接続部の端子部との間で接触し合うので、両配線接続部を導通させる。その結果、第1配線接続部と第2配線接続部とを電気的に接続することができる。
【0017】
特に、異方導電性ペーストは、塗布工程時にボンディング工具の中心軸線から最頂点中心が横にずれるように塗布されている。そのため、導電性粒子が最も多く存在する領域が、ボンディング工具の中心軸線から横にずれた状態となっている。よって、ボンディング工程時に両基板の間で異方導電性ペーストが押し潰されると、導電性粒子が最も多く存在する領域の一部がボンディング工具の中心軸線に向かって流動する。従って、従来とは異なり、ボンディング工具で加圧される加圧領域内にできるだけ多くの導電性粒子を集中的に残すこと(存在させること)ができる。つまり、導通に寄与する導電性粒子をできるだけ多く加圧領域、即ち、接続領域内に留めておくことができる。
【0018】
従って、両基板を従来よりも遥かに導通性良くOLB接続することができ、接続の信頼性を向上することができる。しかも、異方導電性ペーストの量や、異方導電性ペーストに含まれる導電性粒子の比率を変えずに、導通に寄与する導電性粒子の数だけを増やすことができ、導通性を高めることができる。
【0019】
(2)本発明に係るデバイス実装方法は、上記本発明のデバイス実装方法において、前記ボンディング工程時に前記異方導電性ペーストを前記中心軸線に向けて流動させる流動規制部を、前記被接続基板に予め形成しておくことを特徴とする。
【0020】
この発明に係るデバイス実装方法においては、ボンディング工程時にデバイス基板と被接続基板との間で異方導電性ペーストが押し潰されると、該異方導電性ペーストは流動規制部によって全体的に中心軸線に向かって流動する。従って、導電性粒子が最も多く存在する領域のほぼ全体がボンディング工具の中心軸線に向かって流動する。従って、ボンディング工具で加圧される加圧領域内にさらに多くの導電性粒子を集中的に残すことができる。よって、導通性をさらに高めて接続の信頼性をより向上することができる。
【0021】
(3)本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記本発明のデバイス実装方法で得られた前記デバイス基板及び前記被接続基板と、前記第1配線接続部に電気的に接続された状態で前記デバイス基板に実装された駆動デバイスと、前記第2配線接続部に電気的に接続された状態で前記被接続基板に実装され、作動時に該基板を変位させる駆動素子と、前記被接続基板の下面側に配設され、液滴を吐出するノズル開口が形成されたノズル基板と、該ノズル基板と前記被接続基板との間に挟まれた状態で両基板に接合され、前記被接続基板の変位に伴って前記液滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生室を両基板の間に形成させる流路形成基板と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、デバイス基板に実装された駆動デバイスと、被接続基板に実装された駆動素子とが、第1配線接続部及び第2配線接続部の接続によって電気的に接続されている。駆動デバイスの指示に基づいて駆動素子が作動すると、被接続基板が変位する。すると、圧力発生室内に液滴を吐出させるための圧力が発生する。これにより、ノズル開口から液滴を吐出することができる。
特に、導通性が高く接続の信頼性が向上したデバイス基板及び被接続基板を備えているので、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッドとすることができる。
【0023】
(4)本発明に係る液滴吐出装置は、上記本発明の液滴吐出ヘッドを備えていることを特徴とする。
【0024】
この発明に係る液滴吐出装置においては、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッドを備えているので、同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るデバイス実装方法によれば、異方導電性ペーストを利用して、導通に寄与する導電性粒子をデバイス基板と被接続基板との間の加圧領域に集中的に集めながら両基板をOLB接続することができ、導通性を高めて接続の信頼性を向上することができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置によれば、作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る液滴吐出ヘッドの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1に示す液滴吐出ヘッドをノズル開口側から見た斜視図の一部破断図である。
【図4】図1に示す断面矢視A−A図である。
【図5】図4に示すフレキシブル基板と振動板とをOLB接続した部分を拡大した断面図である。
【図6】フレキシブル基板の平面図である。
【図7】図1に示す液滴吐出ヘッドを製造する際のフローチャートである。
【図8】図1に示す液滴吐出ヘッドを製造する際の一工程図であって、振動板のリード電極の端子部上に異方導電性ペーストを塗布した後、ボンディング工具でフレキシブル基板を加圧する直前の状態を示す図である。
【図9】本発明に係る液滴吐出装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図10】図1に示す液滴吐出ヘッドを製造する際の一工程図であって、図8とは異なる位置に異方導電性ペーストを塗布した状態を示す図である。
【図11】従来のOLB接続を示す図であって、被接続基板上に異方導電性ペーストを塗布した後、ボンディング工具でデバイス基板を加圧する直前の状態を示す図である。
【図12】図11に示す状態の後、異方導電性ペーストにより両基板をOLB接続した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(液滴吐出ヘッド)
以下、本発明に係る液滴吐出ヘッドの一実施形態を、図1から図8を参照して説明する。なお、本実施形態では、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。この際、液滴吐出ヘッドの短手方向(ノズルの配列方向)をX軸方向、液滴吐出ヘッドの長手方向(X軸方向と直交する方向)をY軸方向、液滴吐出ヘッドの厚さ方向(即ち、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向)をZ軸方向とする。
【0028】
本実施形態の液滴吐出ヘッド1は、図1及び図2に示すように、ドライバIC(駆動デバイス)20が実装されたフレキシブル基板(デバイス基板)21と、圧電素子(駆動素子)22が実装され、この圧電素子22の作動時に変位する振動板(被接続基板)23と、この振動板23の上面に接合されたリザーバ形成基板24と、このリザーバ形成基板24の上面に接合されたケース部材25と、振動板23の下面側に配設され、液滴を吐出するノズル開口26が形成されたノズル基板27と、このノズル基板27と振動板23との間に挟まれた状態で接合された流路形成基板28と、を備えた基体1Aを主体に構成されている。
【0029】
なお、図1は液滴吐出ヘッド1を示す外観斜視図であり、図2は液滴吐出ヘッド1の分解斜視図である。また、本実施形態では、1つの基体1Aにより液滴吐出ヘッド1を構成した場合を例に挙げて説明するが、複数の基体1Aをユニット化することで液滴吐出ヘッドを構成しても構わない。
【0030】
以下、各上述した各構成品について、詳細に説明する。
まず、ケース部材25は、ステンレス等の金属材料によって形成されており、液滴吐出ヘッド1を、例えば液滴吐出装置に搭載する際の取付部材として利用されるものである。
ノズル基板27は、例えば、ステンレスやガラスセラミックスによって構成された基板であり、図3に示すように、この基板27を貫通する貫通孔であって機能液の液滴を吐出するノズル開口26が複数形成されている。なお、図3は、液滴吐出ヘッド1をノズル開口26側から見た斜視図の一部破断図である。
【0031】
この際、Y軸方向に複数並んで形成されたノズル開口26によって、第1から第4のノズル開口群26A〜26Dが構成されている。
なお、第1ノズル開口群26Aと第2ノズル開口群26BとはX軸方向に関して対向配置され、第3ノズル開口群26Cと第4ノズル開口群26DとはX軸方向に関して対向配置されている。そして、第3ノズル開口群26Cが第1ノズル開口群26Aに対してY軸方向で隣り合うように形成され、第4ノズル開口群26Dが第2ノズル開口群26Bに対してY軸方向で隣り合うように形成されている。
【0032】
また、図3では、第1から第4ノズル開口群26A〜26Dがそれぞれ6個のノズル開口26によって構成されているように図示しているが、実際には、例えば720個程度のノズル開口26が形成されている。
【0033】
流路形成基板28は、例えば、剛体であるシリコン単結晶によって形成された基板であり、複数の隔壁30が流路形成基板28の母材であるシリコン単結晶基板を異方性エッチングすることで形成されている。
この流路形成基板28の下面には、例えば接着剤や熱溶着フィルム等を介して上述したノズル基板27が固定されている。同様に、流路形成基板28の上面には、例えば接着剤や熱溶着フィルム等を介して振動板23が固定されている。
【0034】
また、この流路形成基板28とノズル基板27と振動板23とで囲まれた空間は、ノズル開口26より吐出される機能液が配置され、振動板23の変位に伴って機能液の液滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生室31となっている。この圧力発生室31は、第1から第4ノズル開口群26A〜26Dのそれぞれを構成する複数のノズル開口26に対応するようにして、Y軸方向に複数並んで形成されている。
【0035】
そして、第1ノズル開口群26Aに対応して形成された複数の圧力発生室31によって第1圧力発生室群31Aが構成される。同様に、第2ノズル開口群26BDに対応する複数の圧力発生室31によって第2圧力発生室群31Bが構成され、第3ノズル開口群26Cに対応する複数の圧力発生室31によって第3圧力発生室群31Cが構成され、第4ノズル開口群26Dに対応する複数の圧力発生室31によって第4圧力発生室群31Dが構成されている。
なお、第1圧力発生室群31Aと第2圧力発生室群31BとはX軸方向に関して互いに対向するように配置され、第3圧力発生室群31Cと第4圧力発生室群31DとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
【0036】
第1圧力発生室群31Aを構成する複数の圧力発生室31の一方の端部は、図4に示すように、リザーバ35の一部を構成する供給路35aを介して連通部35bにより互いに連通されている。なお、図4は、図1に示すA−A線矢視断面図である。
この連通部35bは、流路形成基板28に形成された貫通孔であって、後述するリザーバ部35cに接続されている。同様に、第2から第4圧力発生室群31B〜31Dを構成する圧力発生室31の端部も、それぞれ供給路35aを介して連通部35bによって互いに連通されている。
【0037】
流路形成基板28とリザーバ形成基板24との間に配置された振動板23は、流路形成基板28の上面を覆うように設けられた弾性膜23aと、弾性膜23aの上面に設けられた下電極膜23bとを備えている。
弾性膜23aは、例えば厚さ1〜2μm程度の二酸化シリコンによって形成されており、下電極膜23bは、例えば厚さ0.2μm程度の白金等によって形成されている。なお、本実施形態において、下電極膜23bは複数の圧電素子22に共通する電極となっている。
【0038】
ところで、振動板23の上面、具体的に下電極膜23bの上面には、図4及び図5に示すように、リード電極(第2配線接続部)40が形成されている。なお、図5は、図4に示すフレキシブル基板21と振動板23とをOLB接続した部分を拡大した断面図である。このリード電極40は、圧電素子22に対して電気的に接続されている電極であると共に、異方導電性ペーストWを介してフレキシブル基板21の後述する配線パターン61(第1配線接続部)と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、リード電極40が圧電素子22を構成する電極としても機能している。
【0039】
振動板23を変位させるための圧電素子22は、下電極膜23bの上面に設けられた圧電体膜22aと、この圧電体膜22aの上面に設けられた上電極膜22bと、この上電極膜22bの引出配線である上記リード電極40とで構成されている。
圧電体膜22aは、例えば厚さ1μm程度の金属酸化物によって構成されている。上電極膜22bは、例えば厚さ0.1μm程度の白金等によって構成されている。リード電極40は、例えば厚さ0.1μm程度の金等によって構成されている。なお、リード電極40と下電極膜23bとの間には、絶縁膜(図示略)が設けられている。
【0040】
圧電素子22は、複数のノズル開口26及び圧力発生室31のそれぞれに対応するように複数設けられている。即ち、圧電素子22は、ノズル開口26ごと(圧力発生室31ごと)に設けられている。そして、上述のように、下電極膜23bが複数の圧電素子22の共通電極として機能し、上電極膜22b及びリード電極40が複数の圧電素子22の個別電極として機能する。
【0041】
また、第1ノズル開口群26Aを構成する各ノズル開口26と対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子22により、第1圧電素子群22Aが形成される。同様に、第2ノズル開口群26Bと対応する第2圧電素子群22Bが形成され、第3ノズル開口群26Cと対応する第3圧電素子群(図示略)が形成され、第4ノズル開口群26Dと対応する第4圧電素子群(図示略)が形成されている。
これら第1圧電素子群22Aと第2圧電素子群22Bとは、X軸方向において互いに対向するように配置されている。また、第3圧電素子群と第4圧電素子群とは、X軸方向において互いに対向するように配置されている。
【0042】
リザーバ形成基板24は、例えば流路形成基板28と同一材料であるシリコン単結晶をエッチングすることで形成された基板である。このリザーバ形成基板24は、例えば熱酸化により表面に絶縁膜が形成された状態となっている。なお、リザーバ形成基板24としては、流路形成基板28の熱膨張率とほぼ同一の熱膨張率を有する材料によって形成されていることが好ましく、例えばガラスやセラミックス材料等を用いても良い。
【0043】
このリザーバ形成基板24には、図4に示すように、連通部35bのそれぞれと対応するリザーバ部35cがY軸方向に延びるように形成されている。このリザーバ部35cと、上述した連通部35b及び供給路35aとによってリザーバ35が構成される。また、このリザーバ形成基板24には、各連通部35bの側壁に接続されて各連通部35bに機能液を導入する導入路41が形成されている。
【0044】
リザーバ形成基板24の上面には、コンプライアンス基板42が接合されている。このコンプライアンス基板42は、封止膜43及び固定板44を備えている。
封止膜43は、例えば厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルムのような剛性が低く可撓性を有する材料によって形成されている。そして、封止膜43によってリザーバ部35cの上部が封止されている。
【0045】
固定板44は、例えば厚さ30μm程度のステンレス鋼のような金属等の硬質の材料によって形成されている。この固定板44のうち、リザーバ部35cに対応する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部44aとなっている。従って、リザーバ部35cの上部は、可撓性を有する封止膜43のみによって封止されたものとなっている。これにより、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部43aとして機能するようになっている。また、コンプライアンス基板42上には、ケース部材25が設けられている。
【0046】
また、リザーバ部35cの外側のコンプライアンス基板42及びケース部材25には、導入路41に連通してリザーバ部35cに機能液を供給するための機能液導入口45が形成されている。通常、機能液導入口45からリザーバ部35cに機能液が供給されると、例えば圧電素子22の駆動時の機能液の流れや周囲の熱等によってリザーバ部35c内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ部35cの上部が封止膜43のみによって封止された可撓部43aとなっているので、この可撓部43aが撓み変形してその圧力変化を吸収する。従って、リザーバ部35c内は一定の圧力に保持されるようになっている。なお、他の部分は固定板44によって十分な強度に保持されている。また、ケース部材25は、可撓部43aの変形状態を損なわないように可撓部43aに非接触状態で設けられている。
【0047】
リザーバ形成基板24のX軸方向における中央部には、図2に示すようにY軸方向に延びる溝状の開口部46が2つ形成されている。また、図4に示すように、開口部46におけるX軸方向外側の領域には、第1圧電素子群22Aから第4圧電素子群を振動板23との間で封止する第1及び第2封止部50A、50Bと、第3及び第4封止部とが形成されている。
より詳しくは、第1封止部50Aは、第1圧力発生室群31Aに対応する第1圧電素子群22Aを振動板23との間で封止し、第2封止部50Bは第2圧電素子群22Bを封止している。第3封止部及び第4封止部は、図4には図示されていないが、第3及び第4圧電素子群を封止している。
【0048】
リザーバ形成基板24のうち、圧電素子22と対向する領域には、圧電素子22の運動を阻害しない程度の空間が確保されており、この空間を密封可能な圧電素子保持部51が形成されている。圧電素子保持部51は、第1及び第2封止部50A、50Bと、第3及び第4封止部と、にそれぞれに形成されており、第1圧電素子群22Aから第4圧電素子群を覆う大きさで形成されている。また、圧電素子22のうち、少なくとも圧電体膜22aは、この圧電素子保持部51内に密封されている。
【0049】
このように、リザーバ形成基板24は、圧電素子22を外部環境から遮断し、圧電素子22を封止するための封止部材としての機能を有している。リザーバ形成基板24で圧電素子22を封止することにより、水分等の外部環境による圧電素子22の破壊を防止することができる。
なお、本実施形態では、圧電素子保持部51の内部を密封した状態としただけであるが、例えば圧電素子保持部51内の空間を真空や、窒素又はアルゴン雰囲気等とすることで圧電素子保持部51内を低湿度に保持することができ、圧電素子22の破壊をより確実に防止することができる。
【0050】
ところで、リザーバ形成基板24のうち開口部46の内周壁24aは、異方導電性ペーストWを利用して振動板23にフレキシブル基板21を実装する際に、異方導電性ペーストWを後述するボンディング工具70の中心軸線Cに向けて流動させる流動規制部として機能する。この点については、後に詳細に説明する。
【0051】
また、第1封止部50Aの圧電素子保持部51によって封止されている圧電素子22のうち、リード電極40の一方の端部は、フレキシブル基板21側の端子部62aに接続される端子部40aとして機能する部分であり、第1封止部50Aの外側まで延び、開口部46によって露出した流路形成基板28上に配置されている。
同様に、第2封止部50Bの圧電素子保持部51によって封止される圧電素子22のうち、リード電極40の一方の端部は、図4及び5に示すように、フレキシブル基板21側の端子部62aに接続される端子部40aとして機能する部分であり、第2封止部50Bの外側まで延び、開口部46によって露出した流路形成基板28上に配置されている。
なお、第3及び第4封止部の圧電素子保持部51によって封止される圧電素子22に関しても同様である。
【0052】
ケース部材25のX軸方向における中央部には、図1及び図2に示すように、Y軸方向に沿って形成される開口部55が形成されている。この開口部55は、少なくともリザーバ形成基板24に形成された開口部46の開口領域を含む大きさとされていると共に、ドライバIC20の保持領域56が切欠状に形成されている。
【0053】
ドライバIC20は、例えば回路基板や駆動回路を含む半導体集積回路(IC)を有するドライバICであり、第1から第4ノズル開口群26A〜26Dに応じて4つ設けられている。各ドライバIC20は、4つのフレキシブル基板21A〜21Dの一方の面の所定領域(実装領域)にそれぞれフリップチップ実装されている。この際、ドライバIC20とフレキシブル基板21との間には、図5に示すように、接続強度を高めるための樹脂(接着剤)W1が設けられている。
【0054】
また、このドライバIC20は、図1及び図5に示すように、ケース部材25に形成された開口部55の保持領域56の側壁面56aに放熱性樹脂W2によってモールドされている。これにより、ドライバIC20は、ケース部材25の保持領域56の側壁面56aにリザーバ形成基板24の面方向(XY平面)に対して垂直状態で保持されている。
特に、放熱性樹脂W2を介してドライバIC20がケース部材25に固定されているので、液滴吐出ヘッド1の駆動時にドライバIC20で発生した熱を、放熱性樹脂W2及びケース部材25を介して放熱させることができる。従って、高い放熱特性を得ることができ、ドライバIC20を安定的に動作させることが可能である。
【0055】
各フレキシブル基板21は、可撓性を有したフレキシブル回路基板からなるものであり、図6に示すように、フィルム基材60と、フィルム基材60の下面に形成された配線パターン61と、を備えている。なお、図6は、フレキシブル基板21A、21Dの平面図である。
各フレキシブル基板21は、平面視略L字状に形成されており、一端側の端部が一点鎖線Oにて略90度折曲された接続部60aとなっている。そして、各フレキシブル基板21は、この接続部60aを介してリード電極40の端子部40aに接続されるようになっている。
なお、図6においてはフレキシブル基板21A、21Dを図示しているが、フレキシブル基板21B、21Cについては後述する外部信号入力部65の延在方向が反対となる点が異なるだけで、それ以外の構成については同様である。
【0056】
フィルム基材60は、例えば厚さ25μm程度のポリイミドからなる絶縁性のフィルムである。配線パターン61は、銅等の導電性材料からなり、プリント方式により電解メッキやエッチング等の手法によってフィルム基材60上に形成されている。この配線パターン61は、実装されたドライバIC20にそれぞれ電気的に接続される第1配線パターン62、第2配線パターン63及びグランド配線64を備えている。
【0057】
第1配線パターン62は、接続部60aに向かって延在するパターンであり、接続部60aにおける一端側がリード電極40の端子部40aに電気的に接続される端子部62aとして機能する。
また、本実施形態の第1配線パターン62は、圧電素子22に対して電気的な接続に寄与しないダミーパターン62bを含んでいる。このダミーパターン62bは、フレキシブル基板21上に実装されるドライバIC20の駆動検査時に用いるものであり、リード電極40に電気的に接続されることがない。そして、このダミーパターン62bは、圧電素子22に対する駆動検査等を行うための検査用のダミーパターンをなすリード電極40に接続されるようになっている。このようなダミーパターン62bは、例えば第1配線パターン62の配列方向における接続部60aの一端側に形成されている。
【0058】
一方、第2配線パターン63及びグランド配線64は、外部コントローラCTと電気的に接続される外部信号入力部65として機能する。そして、外部信号入力部65から入力された外部信号は、第2の配線パターン61を介してドライバIC20へと入力されるようになっている。
【0059】
このように構成されたフレキシブル基板21は、図4及び図5に示されるようにリザーバ形成基板24に形成された開口部46及びケース部材25に形成された開口部55内に挿入された状態とされている。これにより、フレキシブル基板21の接続部60aは、異方導電性ペーストWを介して開口部46内に配置されているリード電極40に対してOLB接続されている。その結果、フレキシブル基板21側の配線パターン61を構成する第1配線パターン62の端子部62aと、リード電極40の端子部40aとが、電気的に接続された状態となっている。
【0060】
(液滴吐出ヘッド1の製造方法)
次に、上述した構成の液滴吐出ヘッド1の製造方法について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明において、フレキシブル基板21を振動板23に対して実装するデバイス実装方法を主に説明し、液滴吐出ヘッド1のうち、ノズル基板27、流路形成基板28、リザーバ形成基板24、ケース部材25、圧電素子22等の製造及び接続、配置作業は既に完了しているものとする。
【0061】
はじめに、フレキシブル基板21を準備する準備工程(S1)を行う。
図6に示したように、フィルム基材60の表面に、端子部62a及びダミーパターン62bを含む第1配線パターン62、第2配線パターン63、グランド配線64等の配線パターン61を形成する。これらは、フィルム基材60上に、プリント方式を用いた電解メッキやエッチング等の手法を用いて形成する。ここで、端子部62aを含む第1配線パターン62は、ノズル開口26同士の間隔(ノズルピッチ)、即ち、圧電素子22同士の間隔に応じて精度良く形成する。
【0062】
そして、第1から第4のフレキシブル基板21A〜21Dに、第1から第4のドライバIC20A〜20Dをそれぞれ実装する。これは、第1から第4のドライバIC20A〜20Dを、第1から第4のフレキシブル基板21A〜21Dのフィルム基材60の一面(フレキシブル基板21の下面)の実装領域(所定領域)にそれぞれフリップチップ実装する。これにより、各ドライバIC20は、配線パターン61に対して電気的に接続される。その後、樹脂W1によって第1から第4のフレキシブル基板21A〜21Dと第1から第4のドライバIC20A〜20Dとをそれぞれ固定する。そして、各フレキシブル基板21を一点鎖線Oにて折り曲げ加工(例えば、プレス加工)を施す。
この時点で、準備工程(S1)が終了する。
【0063】
次に、図8に示すように、フレキシブル基板21に形成された配線パターン61の端子部62a、又は、振動板23に形成されたリード電極40の端子部40aのいずれかに、導電性粒子Rが含まれた異方導電性ペーストWを所定量塗布する塗布工程(S2)を行う。本実施形態では、リード電極40の端子部40a上に異方導電性ペーストWを塗布する場合を例に挙げて説明する。なお、図8は、リード電極40の端子部40a上に異方導電性ペーストWを塗布した後、リード電極40上にフレキシブル基板21を対向配置させた状態を示す図である。
【0064】
ところで、塗布する際、後のボンディング工程時にフレキシブル基板21側の所定位置にあてがわれるボンディング工具70の中心軸線Cから、塗布後に盛り上がる最頂点中心(塗布中心)Nが一定距離H離間するように、異方導電性ペーストWを塗布する。なお、本実施形態では、異方導電性ペーストWがリザーバ形成基板24の内周壁24a側に寄るように塗布する。
【0065】
次いで、フレキシブル基板21の端子部62a側を、ケース部材25に形成された開口部55及びリザーバ形成基板24に形成された開口部46内に挿入し、塗布した異方導電性ペーストWを間に挟んで振動板23側のリード電極40の端子部40aに対向するように、振動板23上にフレキシブル基板21を位置させるセット工程(S3)を行う。
【0066】
次いで、ボンディング工具70を利用してフレキシブル基板21を振動板23に実装して、配線パターン61を構成する第1配線パターン62とリード電極40とを電気的に接続するボンディング工程(S4)を行う。この工程について、詳細に説明する。
【0067】
まず、先端が平坦なボンディング工具70をフレキシブル基板21の所定位置〔接続部60aとして機能するフィルム基材60の上面(配線パターン61が形成されていない側の面)〕にあてがう。そして、異方導電性ペーストWを所定温度に加熱すると共に、ボンディング工具70を矢印B方向に押し下げて、フレキシブル基板21を振動板23に対して加圧しながら押し付ける。すると、異方導電性ペーストWは、押し潰されてフレキシブル基板21と振動板23との間で流動しながら拡がり、その後、図5に示すように硬化する。この際、異方導電性ペーストWに含まれる導電性粒子Rが、フレキシブル基板21側の端子部62aと振動板23側のリード電極40の端子部40aとの間で接触し合うので、両端子部40a、62aを導通させる。その結果、第1配線パターン62とリード電極40とを電気的に接続することができる。
【0068】
特に、異方導電性ペーストWは、塗布工程(S1)時にボンディング工具70の中心軸線Cから最頂点中心Nが一定距離Hだけ横(内周壁24a側)にずれるように塗布されている。そのため、導電性粒子Rが最も多く存在する領域が、ボンディング工具70の中心軸線Cから横にずれた状態となっている。よって、ボンディング工程時に異方導電性ペーストWが押し潰されると、導電性粒子Rが最も多く存在する領域がボンディング工具70の中心軸線Cに向かって流動する。しかも、本実施形態では、内周壁24a側にずれた位置に異方導電性ペーストWが塗布されているので、押し潰されると、内周壁24aによって異方導電性ペーストWが全体的に中心軸線Cに向かって流動する。
従って、導電性粒子Rが最も多く存在する領域のほぼ全体がボンディング工具70の中心軸線Cに向かって流動する。
但し、異方導電性ペーストWの若干量は、フレキシブル基板21と内周壁24aとの間の若干の隙間に毛細管現象等によって入り込んだ状態となる。
【0069】
従って、従来とは異なり、ボンディング工具70で加圧される領域内にできるだけ多くの導電性粒子Rを集中的に残すこと(存在させること)ができる。つまり、導通に寄与する導電性粒子Rをできるだけ多く加圧領域、即ち、接続領域内に留めておくことができる。よって、フレキシブル基板21と振動板23とを、従来よりも遥かに導通性良くOLB接続することができ、接続の信頼性を向上することができる。しかも、異方導電性ペーストWの量や、異方導電性ペーストWに含まれる導電性粒子Rの比率を変えずに、導通に寄与する導電性粒子Rの数だけを増やすことができ、導通性を高めることができる。
【0070】
上述したように本実施形態のデバイス実装方法によれば、異方導電性ペーストWを利用して、導通に寄与する導電性粒子Rをフレキシブル基板21と振動板23との間の加圧領域に集中的に集めながらOLB接続することができ、導通性を高めて接続の信頼性を向上することができる。
【0071】
なお、本実施形態ではフレキシブル基板21の端子部62aとリード電極40の端子部40aとを電気的接続するのと同時に、ドライバIC20をケース部材25に固定する。具体的には、予めケース部材25の側壁面56aに放熱性樹脂W2を塗布しておく。これにより、上述したOLB接続と同時に、この放熱性樹脂W2を利用してドライバIC20をケース部材25に固定することができ、ドライバIC20の放熱性を良好なものとすることができる。
なお、放熱性樹脂W2は、フレキシブル基板21の端子部62aがリード電極40の端子部40aに確実に接続されるまでは硬化させないでおく。これによって、フレキシブル基板21の端子部62aとリード電極40の端子部40aとを良好に接続することができる。
【0072】
以上により、液滴吐出ヘッド1を製造することができる。
次に、この液滴吐出ヘッド1を作動させて機能液の液滴を吐出させる場合を簡単に説明する。この場合には、まず、外部信号入力部65を介して外部コントローラCTからドライバIC20に外部信号を入力する。すると、ドライバIC20は、各圧電素子22を作動させる。圧電素子22が作動すると、振動板23が変位し、圧力発生室31内に液滴を吐出させるための圧力が発生する。これにより、ノズル開口26から機能液の液滴を吐出させることができる。
特に、本実施形態の液滴吐出ヘッド1によれば、導通性が高く接続の信頼性が向上したフレキシブル基板21及び振動板23を備えているので、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッド1とすることができる。
【0073】
(液滴吐出装置)
次に、上述した液滴吐出ヘッド1を備えた本発明に係る液滴吐出装置の一実施形態について、図9を参照して説明する。なお、図9は、液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【0074】
図9に示すように、本実施形態の液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、駆動軸4と、ガイド軸5と、外部コントローラCTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ6と、で主に構成されている。
液滴吐出ヘッド1は、不図示のキャッリッジにケース部材25が固定されることで液滴吐出装置IJに取付けられている。ステージ7は、液滴吐出ヘッド1によって機能液が吐出される基板Pを支持するもので、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えたものである。液滴吐出ヘッド1のノズル開口26からは、ステージ7に支持されている基板Pに対し、機能液が吐出されるようになっている。
【0075】
駆動軸4には、駆動モータ2が接続されている。この駆動モータ2は、ステッピングモータ等からなるもので、外部コントローラCTからY軸方向の駆動信号が供給されると、駆動軸4を回転させるようになっている。駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はY軸方向に移動する。ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、駆動モータ3を備えている。この駆動モータ3は、ステッピングモータ等からなるもので、外部コントローラCTからX軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をX軸方向に移動するようになっている。
【0076】
外部コントローラCTは、液滴吐出ヘッド1に対して液滴吐出を制御するための電圧を供給する。さらに、この外部コントローラCTは、駆動モータ2に対して液滴吐出ヘッド1のY軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給すると共に、駆動モータ3に対してステージ7のX軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0077】
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものであって、図示しない駆動モータを備えている。この駆動モータの駆動により、クリーニング機構8はガイド軸5に沿ってX軸方向に移動する。なお、クリーニング機構8の移動も外部コントローラCTにより制御される。ヒータ6は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された機能液に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行うようになっている。このヒータ6の電源の投入及び遮断も、外部コントローラCTによって制御されるようになっている。
そして、液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。
【0078】
このように構成された液滴吐出装置IJによれば、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッド1を備えているので、同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
なお、本実施形態において、液滴吐出ヘッド1より吐出される機能液としては、液晶表示デバイスを形成するための液晶表示デバイス形成用材料、有機EL表示デバイスを形成するための有機EL形成用材料、電子回路の配線パターンを形成するための配線パターン形成用材料等を含むものとする。これにより、液滴吐出装置IJは、液滴吐出法に基づいて吐出した機能液によって、前記各デバイスを製造することができる。
【0079】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態では、液滴吐出ヘッド1を一例に挙げ、デバイス実装方法で得られたデバイス基板及び被接続基板を、フレキシブル基板21及び振動板23に適用した場合を説明したが、液滴吐出ヘッド1に限定されるものではない。
異方導電性ペーストWを利用して、第1配線接続部が形成されたデバイス基板を、第2配線接続部が形成された被接続基板に実装する場合であれば、本発明に係るデバイス実装方法を適用することが可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、異方導電性ペーストWを塗布する際に、リード電極40の端子部40a側に塗布したが、フレキシブル基板21の端子部62a側に塗布しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
また、ボンディング工具70の中心軸線Cから一定距離Hだけ横にずらして異方導電性ペーストWを塗布する際に、リザーバ形成基板24の内周壁24a側に寄った位置に塗布したが、図10に示すように、内周壁24aから離れる側に塗布しても構わない。この場合であっても、加圧領域内に導通に寄与する導電性粒子Rをできるだけ多く残すことができ、高い導通性を確保することができる。
【符号の説明】
【0082】
C…ボンディング工具の中心軸線
N…異方導電性ペーストの最頂点中心
W…異方導電性ペースト
IJ…液滴吐出装置
1…液滴吐出ヘッド
20…ICデバイス(駆動デバイス)
21…フレキシブル基板(デバイス基板)
23…振動板(被接続基板)
22…圧電素子(駆動素子)
24a…内周壁(流動規制部)
26…ノズル開口
27…ノズル基板
28…流路形成基板
31…圧力発生室
40…リード電極(第2配線接続部)
40a…第2配線接続部の端子部
61…配線パターン(第1配線接続部)
62a…第1配線接続部の端子部
70…ボンディング工具
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス実装方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロデバイスを製造する方法の一つとして液滴吐出法(インクジェット法)が提案されている。この液滴吐出法は、デバイスを形成するための材料を含む機能液を液滴状にして、液滴吐出ヘッドより吐出する方法である。特許文献1には、液滴吐出ヘッドに関する技術の一例が開示されており、ワイヤボンディングを用いて半導体チップの上面に設けられた端子と回路基板上の端子とを電気的に配線接続する技術が記載されている。また、特許文献2には、駆動素子(圧電素子)が、駆動デバイス(ドライバIC)にワイヤボンディングで接続された液滴吐出ヘッドが記載されている。
【0003】
特に近年では、液滴吐出法に基づいてマイクロデバイスを製造する際、マイクロデバイスのさらなる微細化の要求に応えるために、アウターリードとして機能する配線パターンを予め形成したフレキシブル基板を用いて、アウターリードボンディング(OLB:Outer Lead Bonding)接続を行うことで、ワイヤ同士の短絡等の不都合を生じさせることなく、駆動素子と駆動デバイスとの間の電気的接続を行うことが考えられている(特許文献3参照)。
【0004】
一般的にOLB接続する場合には、異方導電性接着剤を利用してフレキシブル基板と被接続基板とを接続する場合が多い。この方法は、フレキシブル基板と被接続基板との間に異方導電性接着剤を配した後、この接着剤を加熱しながらフレキシブル基板を被接続基板に加圧することで接続を行う方法である。
特に、この異方導電性接着剤は、熱硬化性樹脂に混ぜ合わされた導電性粒子の状況によって、導電性と絶縁性との異方性を容易に形成できるのでOLB接続には好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−9235号公報
【特許文献2】特開2003−159800号公報
【特許文献3】特開2000−68989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、異方導電性接着剤を用いるにあたって、上述したように導電性と絶縁性とを両立させるためには、導電性粒子を効率良く導通に寄与する部分に集めることが重要である。しかしながら、異方導電性接着剤として異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を用いた場合には、導通に寄与する導電性粒子をフレキシブル基板と被接続基板との間の加圧領域(接続領域)に集中的に集めることが困難であった。
【0007】
詳細に説明すると、異方導電性ペーストの場合においては、バインダーがペースト状であるため、被接続基板上に塗布された時点で導電性粒子の分布は既に不均一な状態となり易い。この点、図11及び図12を参照して説明する。
図11は、被接続基板100の配線パターン101上に異方導電性ペーストWを塗布した後、配線パターン111を有するフレキシブル基板110をボンディング工具120で加圧する直前の状態を示した図である。図12は、ボンディング工具120でフレキシブル基板110を加圧し、異方導電性ペーストWを利用して両基板100、110をOLB接続した状態の図である。
【0008】
図11に示すように、異方導電性ペーストWは、バインダーがペースト状であるので、塗布後の形状は蒲鉾のような断面半球状となってしまう。そのため、導電性粒子Rは、異方導電性ペーストWの塗布中心(塗布後に盛り上がる最頂点中心)Nを貫く中心線上に多く存在し、外縁にいくほど少ない状態となっている。
【0009】
そして、異方導電性ペーストWを塗布した後、ボンディング工具120の中心軸線Cを異方導電性ペーストWの塗布中心Nに合わせながら、該工具120を利用してフレキシブル基板110をボンディング(加熱加圧)する。これにより、図12に示すように、異方導電性ペーストWは、フレキシブル基板110と被接続基板100との間で左右に流動しながら拡がった後、硬化する。その結果、異方導電性ペーストWを利用して、フレキシブル基板110と被接続基板100とをOLB接続することができる。
【0010】
ところで、電気的接続に寄与する主な導電性粒子Rは、ボンディング工具120によって加圧された加圧領域に存在している粒子であり、その周囲に分布する導電性粒子Rは接続に寄与しない。よって、加圧領域に効率良く導電性粒子Rを捕捉しておく(残しておく)必要がある。しかしながら、ボンディング工具120の中心軸線Cを異方導電性ペーストWの塗布中心Nに一致させた状態でボンディングを行っているので、塗布中心Nを貫く中心線上に多く存在する異方導電性ペーストWは左右に流動して逃げてしまう。そのため、導電性粒子Rも同様に左右に流動し、加圧領域から外側に逃げてしまい易かった。その結果、導通に寄与する導電性粒子Rをフレキシブル基板110と被接続基板100との間の加圧領域に集中的に存在させておくことが困難であった。
【0011】
特に、異方導電性ペーストWを塗布した時点の高さは略100〜500μmであるが、ボンディング後の厚み(両基板間距離)は1/10程度の略10〜50μmとなってしまう。従って、中心線上に存在する異方導電性ペーストWは、過大に押し潰されて加圧領域から外側に移動し易く、上述した不都合が生じ易いものであった。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その主目的は、異方導電性ペーストを利用して、導通に寄与する導電性粒子をデバイス基板と被接続基板との間の加圧領域に集中的に集めながら両基板をOLB接続することができるデバイス実装方法を提供することである。
また、別の目的は、この方法で実装されたデバイス基板及び被接続基板を有する液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することである。
【0013】
なお、加圧領域に導電性粒子をできるだけ残すために、異方導電性ペーストに含まれる導電性粒子の比率を高めにした場合には、絶縁性能が低下してしまうので、絶縁性を保ちたい領域にとっては不都合になるものであった。また、異方導電性ペーストの塗布量自体を減らしてしまった場合には、フレキシブル基板と被接続基板との間に異方導電性ペーストが十分に充填されない恐れがある。
従って、異方導電性ペーストの塗布量や導電性粒子の比率を変えずに、上述した目的を達成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るデバイス実装方法は、異方導電性ペーストを利用して、第1配線接続部が形成されたデバイス基板を第2配線接続部が形成された被接続基板に実装して、両配線接続部を電気的に接続するデバイス実装方法であって、前記第1配線接続部の端子部又は前記第2配線接続部の端子部のいずれかに前記異方導電性ペーストを塗布する塗布工程と、塗布した前記異方導電性ペーストを間に挟んで、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とが対向するように、前記被接続基板上に前記デバイス基板を位置させるセット工程と、前記異方導電性ペーストを加熱すると共にボンディング工具により前記デバイス基板を前記被接続基板に対して加圧しながら押し付け、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とを異方導電性ペーストを介して電気的に接続するボンディング工程と、を備え、前記塗布工程の際、前記ボンディング工具の中心軸線から、塗布後に盛り上がる最頂点中心が一定距離離間するように異方導電性ペーストを塗布することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るデバイス実装方法においては、まず、デバイス基板に形成された第1配線接続部の端子部、又は、被接続基板に形成された第2配線接続部の端子部に、導電性粒子が含まれた異方導電性ペーストを所定量塗布する塗布工程を行う。この際、後のボンディング工程時にデバイス基板の所定位置にあてがわれるボンディング工具の中心軸線から、塗布後に盛り上がる最頂点中心(塗布中心)が一定距離離間するように、異方導電性ペーストを塗布する。
次いで、塗布した異方導電性ペーストを間に挟んで、第1配線接続部の端子部と第2配線接続部の端子部とが対向するように、被接続基板上にデバイス基板を位置させるセット工程を行う。
【0016】
次いで、ボンディング工具を利用してデバイス基板を被接続基板に実装して、第1配線接続と第2配線接続部とを電気的に接続するボンディング工程を行う。
まず、ボンディング工具をデバイス基板の所定位置にあてがった後、異方導電性ペーストを加熱すると共にボンディング工具によりデバイス基板を被接続基板に対して加圧しながら押し付ける。すると、異方導電性ペーストは、押し潰されてデバイス基板と被接続基板との間で流動しながら拡がり、その後硬化する。この際、異方導電性ペーストに含まれる導電性粒子が、第1配線接続部の端子部と第2配線接続部の端子部との間で接触し合うので、両配線接続部を導通させる。その結果、第1配線接続部と第2配線接続部とを電気的に接続することができる。
【0017】
特に、異方導電性ペーストは、塗布工程時にボンディング工具の中心軸線から最頂点中心が横にずれるように塗布されている。そのため、導電性粒子が最も多く存在する領域が、ボンディング工具の中心軸線から横にずれた状態となっている。よって、ボンディング工程時に両基板の間で異方導電性ペーストが押し潰されると、導電性粒子が最も多く存在する領域の一部がボンディング工具の中心軸線に向かって流動する。従って、従来とは異なり、ボンディング工具で加圧される加圧領域内にできるだけ多くの導電性粒子を集中的に残すこと(存在させること)ができる。つまり、導通に寄与する導電性粒子をできるだけ多く加圧領域、即ち、接続領域内に留めておくことができる。
【0018】
従って、両基板を従来よりも遥かに導通性良くOLB接続することができ、接続の信頼性を向上することができる。しかも、異方導電性ペーストの量や、異方導電性ペーストに含まれる導電性粒子の比率を変えずに、導通に寄与する導電性粒子の数だけを増やすことができ、導通性を高めることができる。
【0019】
(2)本発明に係るデバイス実装方法は、上記本発明のデバイス実装方法において、前記ボンディング工程時に前記異方導電性ペーストを前記中心軸線に向けて流動させる流動規制部を、前記被接続基板に予め形成しておくことを特徴とする。
【0020】
この発明に係るデバイス実装方法においては、ボンディング工程時にデバイス基板と被接続基板との間で異方導電性ペーストが押し潰されると、該異方導電性ペーストは流動規制部によって全体的に中心軸線に向かって流動する。従って、導電性粒子が最も多く存在する領域のほぼ全体がボンディング工具の中心軸線に向かって流動する。従って、ボンディング工具で加圧される加圧領域内にさらに多くの導電性粒子を集中的に残すことができる。よって、導通性をさらに高めて接続の信頼性をより向上することができる。
【0021】
(3)本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記本発明のデバイス実装方法で得られた前記デバイス基板及び前記被接続基板と、前記第1配線接続部に電気的に接続された状態で前記デバイス基板に実装された駆動デバイスと、前記第2配線接続部に電気的に接続された状態で前記被接続基板に実装され、作動時に該基板を変位させる駆動素子と、前記被接続基板の下面側に配設され、液滴を吐出するノズル開口が形成されたノズル基板と、該ノズル基板と前記被接続基板との間に挟まれた状態で両基板に接合され、前記被接続基板の変位に伴って前記液滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生室を両基板の間に形成させる流路形成基板と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、デバイス基板に実装された駆動デバイスと、被接続基板に実装された駆動素子とが、第1配線接続部及び第2配線接続部の接続によって電気的に接続されている。駆動デバイスの指示に基づいて駆動素子が作動すると、被接続基板が変位する。すると、圧力発生室内に液滴を吐出させるための圧力が発生する。これにより、ノズル開口から液滴を吐出することができる。
特に、導通性が高く接続の信頼性が向上したデバイス基板及び被接続基板を備えているので、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッドとすることができる。
【0023】
(4)本発明に係る液滴吐出装置は、上記本発明の液滴吐出ヘッドを備えていることを特徴とする。
【0024】
この発明に係る液滴吐出装置においては、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッドを備えているので、同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るデバイス実装方法によれば、異方導電性ペーストを利用して、導通に寄与する導電性粒子をデバイス基板と被接続基板との間の加圧領域に集中的に集めながら両基板をOLB接続することができ、導通性を高めて接続の信頼性を向上することができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置によれば、作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る液滴吐出ヘッドの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1に示す液滴吐出ヘッドをノズル開口側から見た斜視図の一部破断図である。
【図4】図1に示す断面矢視A−A図である。
【図5】図4に示すフレキシブル基板と振動板とをOLB接続した部分を拡大した断面図である。
【図6】フレキシブル基板の平面図である。
【図7】図1に示す液滴吐出ヘッドを製造する際のフローチャートである。
【図8】図1に示す液滴吐出ヘッドを製造する際の一工程図であって、振動板のリード電極の端子部上に異方導電性ペーストを塗布した後、ボンディング工具でフレキシブル基板を加圧する直前の状態を示す図である。
【図9】本発明に係る液滴吐出装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図10】図1に示す液滴吐出ヘッドを製造する際の一工程図であって、図8とは異なる位置に異方導電性ペーストを塗布した状態を示す図である。
【図11】従来のOLB接続を示す図であって、被接続基板上に異方導電性ペーストを塗布した後、ボンディング工具でデバイス基板を加圧する直前の状態を示す図である。
【図12】図11に示す状態の後、異方導電性ペーストにより両基板をOLB接続した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(液滴吐出ヘッド)
以下、本発明に係る液滴吐出ヘッドの一実施形態を、図1から図8を参照して説明する。なお、本実施形態では、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。この際、液滴吐出ヘッドの短手方向(ノズルの配列方向)をX軸方向、液滴吐出ヘッドの長手方向(X軸方向と直交する方向)をY軸方向、液滴吐出ヘッドの厚さ方向(即ち、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向)をZ軸方向とする。
【0028】
本実施形態の液滴吐出ヘッド1は、図1及び図2に示すように、ドライバIC(駆動デバイス)20が実装されたフレキシブル基板(デバイス基板)21と、圧電素子(駆動素子)22が実装され、この圧電素子22の作動時に変位する振動板(被接続基板)23と、この振動板23の上面に接合されたリザーバ形成基板24と、このリザーバ形成基板24の上面に接合されたケース部材25と、振動板23の下面側に配設され、液滴を吐出するノズル開口26が形成されたノズル基板27と、このノズル基板27と振動板23との間に挟まれた状態で接合された流路形成基板28と、を備えた基体1Aを主体に構成されている。
【0029】
なお、図1は液滴吐出ヘッド1を示す外観斜視図であり、図2は液滴吐出ヘッド1の分解斜視図である。また、本実施形態では、1つの基体1Aにより液滴吐出ヘッド1を構成した場合を例に挙げて説明するが、複数の基体1Aをユニット化することで液滴吐出ヘッドを構成しても構わない。
【0030】
以下、各上述した各構成品について、詳細に説明する。
まず、ケース部材25は、ステンレス等の金属材料によって形成されており、液滴吐出ヘッド1を、例えば液滴吐出装置に搭載する際の取付部材として利用されるものである。
ノズル基板27は、例えば、ステンレスやガラスセラミックスによって構成された基板であり、図3に示すように、この基板27を貫通する貫通孔であって機能液の液滴を吐出するノズル開口26が複数形成されている。なお、図3は、液滴吐出ヘッド1をノズル開口26側から見た斜視図の一部破断図である。
【0031】
この際、Y軸方向に複数並んで形成されたノズル開口26によって、第1から第4のノズル開口群26A〜26Dが構成されている。
なお、第1ノズル開口群26Aと第2ノズル開口群26BとはX軸方向に関して対向配置され、第3ノズル開口群26Cと第4ノズル開口群26DとはX軸方向に関して対向配置されている。そして、第3ノズル開口群26Cが第1ノズル開口群26Aに対してY軸方向で隣り合うように形成され、第4ノズル開口群26Dが第2ノズル開口群26Bに対してY軸方向で隣り合うように形成されている。
【0032】
また、図3では、第1から第4ノズル開口群26A〜26Dがそれぞれ6個のノズル開口26によって構成されているように図示しているが、実際には、例えば720個程度のノズル開口26が形成されている。
【0033】
流路形成基板28は、例えば、剛体であるシリコン単結晶によって形成された基板であり、複数の隔壁30が流路形成基板28の母材であるシリコン単結晶基板を異方性エッチングすることで形成されている。
この流路形成基板28の下面には、例えば接着剤や熱溶着フィルム等を介して上述したノズル基板27が固定されている。同様に、流路形成基板28の上面には、例えば接着剤や熱溶着フィルム等を介して振動板23が固定されている。
【0034】
また、この流路形成基板28とノズル基板27と振動板23とで囲まれた空間は、ノズル開口26より吐出される機能液が配置され、振動板23の変位に伴って機能液の液滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生室31となっている。この圧力発生室31は、第1から第4ノズル開口群26A〜26Dのそれぞれを構成する複数のノズル開口26に対応するようにして、Y軸方向に複数並んで形成されている。
【0035】
そして、第1ノズル開口群26Aに対応して形成された複数の圧力発生室31によって第1圧力発生室群31Aが構成される。同様に、第2ノズル開口群26BDに対応する複数の圧力発生室31によって第2圧力発生室群31Bが構成され、第3ノズル開口群26Cに対応する複数の圧力発生室31によって第3圧力発生室群31Cが構成され、第4ノズル開口群26Dに対応する複数の圧力発生室31によって第4圧力発生室群31Dが構成されている。
なお、第1圧力発生室群31Aと第2圧力発生室群31BとはX軸方向に関して互いに対向するように配置され、第3圧力発生室群31Cと第4圧力発生室群31DとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
【0036】
第1圧力発生室群31Aを構成する複数の圧力発生室31の一方の端部は、図4に示すように、リザーバ35の一部を構成する供給路35aを介して連通部35bにより互いに連通されている。なお、図4は、図1に示すA−A線矢視断面図である。
この連通部35bは、流路形成基板28に形成された貫通孔であって、後述するリザーバ部35cに接続されている。同様に、第2から第4圧力発生室群31B〜31Dを構成する圧力発生室31の端部も、それぞれ供給路35aを介して連通部35bによって互いに連通されている。
【0037】
流路形成基板28とリザーバ形成基板24との間に配置された振動板23は、流路形成基板28の上面を覆うように設けられた弾性膜23aと、弾性膜23aの上面に設けられた下電極膜23bとを備えている。
弾性膜23aは、例えば厚さ1〜2μm程度の二酸化シリコンによって形成されており、下電極膜23bは、例えば厚さ0.2μm程度の白金等によって形成されている。なお、本実施形態において、下電極膜23bは複数の圧電素子22に共通する電極となっている。
【0038】
ところで、振動板23の上面、具体的に下電極膜23bの上面には、図4及び図5に示すように、リード電極(第2配線接続部)40が形成されている。なお、図5は、図4に示すフレキシブル基板21と振動板23とをOLB接続した部分を拡大した断面図である。このリード電極40は、圧電素子22に対して電気的に接続されている電極であると共に、異方導電性ペーストWを介してフレキシブル基板21の後述する配線パターン61(第1配線接続部)と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、リード電極40が圧電素子22を構成する電極としても機能している。
【0039】
振動板23を変位させるための圧電素子22は、下電極膜23bの上面に設けられた圧電体膜22aと、この圧電体膜22aの上面に設けられた上電極膜22bと、この上電極膜22bの引出配線である上記リード電極40とで構成されている。
圧電体膜22aは、例えば厚さ1μm程度の金属酸化物によって構成されている。上電極膜22bは、例えば厚さ0.1μm程度の白金等によって構成されている。リード電極40は、例えば厚さ0.1μm程度の金等によって構成されている。なお、リード電極40と下電極膜23bとの間には、絶縁膜(図示略)が設けられている。
【0040】
圧電素子22は、複数のノズル開口26及び圧力発生室31のそれぞれに対応するように複数設けられている。即ち、圧電素子22は、ノズル開口26ごと(圧力発生室31ごと)に設けられている。そして、上述のように、下電極膜23bが複数の圧電素子22の共通電極として機能し、上電極膜22b及びリード電極40が複数の圧電素子22の個別電極として機能する。
【0041】
また、第1ノズル開口群26Aを構成する各ノズル開口26と対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子22により、第1圧電素子群22Aが形成される。同様に、第2ノズル開口群26Bと対応する第2圧電素子群22Bが形成され、第3ノズル開口群26Cと対応する第3圧電素子群(図示略)が形成され、第4ノズル開口群26Dと対応する第4圧電素子群(図示略)が形成されている。
これら第1圧電素子群22Aと第2圧電素子群22Bとは、X軸方向において互いに対向するように配置されている。また、第3圧電素子群と第4圧電素子群とは、X軸方向において互いに対向するように配置されている。
【0042】
リザーバ形成基板24は、例えば流路形成基板28と同一材料であるシリコン単結晶をエッチングすることで形成された基板である。このリザーバ形成基板24は、例えば熱酸化により表面に絶縁膜が形成された状態となっている。なお、リザーバ形成基板24としては、流路形成基板28の熱膨張率とほぼ同一の熱膨張率を有する材料によって形成されていることが好ましく、例えばガラスやセラミックス材料等を用いても良い。
【0043】
このリザーバ形成基板24には、図4に示すように、連通部35bのそれぞれと対応するリザーバ部35cがY軸方向に延びるように形成されている。このリザーバ部35cと、上述した連通部35b及び供給路35aとによってリザーバ35が構成される。また、このリザーバ形成基板24には、各連通部35bの側壁に接続されて各連通部35bに機能液を導入する導入路41が形成されている。
【0044】
リザーバ形成基板24の上面には、コンプライアンス基板42が接合されている。このコンプライアンス基板42は、封止膜43及び固定板44を備えている。
封止膜43は、例えば厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルムのような剛性が低く可撓性を有する材料によって形成されている。そして、封止膜43によってリザーバ部35cの上部が封止されている。
【0045】
固定板44は、例えば厚さ30μm程度のステンレス鋼のような金属等の硬質の材料によって形成されている。この固定板44のうち、リザーバ部35cに対応する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部44aとなっている。従って、リザーバ部35cの上部は、可撓性を有する封止膜43のみによって封止されたものとなっている。これにより、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部43aとして機能するようになっている。また、コンプライアンス基板42上には、ケース部材25が設けられている。
【0046】
また、リザーバ部35cの外側のコンプライアンス基板42及びケース部材25には、導入路41に連通してリザーバ部35cに機能液を供給するための機能液導入口45が形成されている。通常、機能液導入口45からリザーバ部35cに機能液が供給されると、例えば圧電素子22の駆動時の機能液の流れや周囲の熱等によってリザーバ部35c内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ部35cの上部が封止膜43のみによって封止された可撓部43aとなっているので、この可撓部43aが撓み変形してその圧力変化を吸収する。従って、リザーバ部35c内は一定の圧力に保持されるようになっている。なお、他の部分は固定板44によって十分な強度に保持されている。また、ケース部材25は、可撓部43aの変形状態を損なわないように可撓部43aに非接触状態で設けられている。
【0047】
リザーバ形成基板24のX軸方向における中央部には、図2に示すようにY軸方向に延びる溝状の開口部46が2つ形成されている。また、図4に示すように、開口部46におけるX軸方向外側の領域には、第1圧電素子群22Aから第4圧電素子群を振動板23との間で封止する第1及び第2封止部50A、50Bと、第3及び第4封止部とが形成されている。
より詳しくは、第1封止部50Aは、第1圧力発生室群31Aに対応する第1圧電素子群22Aを振動板23との間で封止し、第2封止部50Bは第2圧電素子群22Bを封止している。第3封止部及び第4封止部は、図4には図示されていないが、第3及び第4圧電素子群を封止している。
【0048】
リザーバ形成基板24のうち、圧電素子22と対向する領域には、圧電素子22の運動を阻害しない程度の空間が確保されており、この空間を密封可能な圧電素子保持部51が形成されている。圧電素子保持部51は、第1及び第2封止部50A、50Bと、第3及び第4封止部と、にそれぞれに形成されており、第1圧電素子群22Aから第4圧電素子群を覆う大きさで形成されている。また、圧電素子22のうち、少なくとも圧電体膜22aは、この圧電素子保持部51内に密封されている。
【0049】
このように、リザーバ形成基板24は、圧電素子22を外部環境から遮断し、圧電素子22を封止するための封止部材としての機能を有している。リザーバ形成基板24で圧電素子22を封止することにより、水分等の外部環境による圧電素子22の破壊を防止することができる。
なお、本実施形態では、圧電素子保持部51の内部を密封した状態としただけであるが、例えば圧電素子保持部51内の空間を真空や、窒素又はアルゴン雰囲気等とすることで圧電素子保持部51内を低湿度に保持することができ、圧電素子22の破壊をより確実に防止することができる。
【0050】
ところで、リザーバ形成基板24のうち開口部46の内周壁24aは、異方導電性ペーストWを利用して振動板23にフレキシブル基板21を実装する際に、異方導電性ペーストWを後述するボンディング工具70の中心軸線Cに向けて流動させる流動規制部として機能する。この点については、後に詳細に説明する。
【0051】
また、第1封止部50Aの圧電素子保持部51によって封止されている圧電素子22のうち、リード電極40の一方の端部は、フレキシブル基板21側の端子部62aに接続される端子部40aとして機能する部分であり、第1封止部50Aの外側まで延び、開口部46によって露出した流路形成基板28上に配置されている。
同様に、第2封止部50Bの圧電素子保持部51によって封止される圧電素子22のうち、リード電極40の一方の端部は、図4及び5に示すように、フレキシブル基板21側の端子部62aに接続される端子部40aとして機能する部分であり、第2封止部50Bの外側まで延び、開口部46によって露出した流路形成基板28上に配置されている。
なお、第3及び第4封止部の圧電素子保持部51によって封止される圧電素子22に関しても同様である。
【0052】
ケース部材25のX軸方向における中央部には、図1及び図2に示すように、Y軸方向に沿って形成される開口部55が形成されている。この開口部55は、少なくともリザーバ形成基板24に形成された開口部46の開口領域を含む大きさとされていると共に、ドライバIC20の保持領域56が切欠状に形成されている。
【0053】
ドライバIC20は、例えば回路基板や駆動回路を含む半導体集積回路(IC)を有するドライバICであり、第1から第4ノズル開口群26A〜26Dに応じて4つ設けられている。各ドライバIC20は、4つのフレキシブル基板21A〜21Dの一方の面の所定領域(実装領域)にそれぞれフリップチップ実装されている。この際、ドライバIC20とフレキシブル基板21との間には、図5に示すように、接続強度を高めるための樹脂(接着剤)W1が設けられている。
【0054】
また、このドライバIC20は、図1及び図5に示すように、ケース部材25に形成された開口部55の保持領域56の側壁面56aに放熱性樹脂W2によってモールドされている。これにより、ドライバIC20は、ケース部材25の保持領域56の側壁面56aにリザーバ形成基板24の面方向(XY平面)に対して垂直状態で保持されている。
特に、放熱性樹脂W2を介してドライバIC20がケース部材25に固定されているので、液滴吐出ヘッド1の駆動時にドライバIC20で発生した熱を、放熱性樹脂W2及びケース部材25を介して放熱させることができる。従って、高い放熱特性を得ることができ、ドライバIC20を安定的に動作させることが可能である。
【0055】
各フレキシブル基板21は、可撓性を有したフレキシブル回路基板からなるものであり、図6に示すように、フィルム基材60と、フィルム基材60の下面に形成された配線パターン61と、を備えている。なお、図6は、フレキシブル基板21A、21Dの平面図である。
各フレキシブル基板21は、平面視略L字状に形成されており、一端側の端部が一点鎖線Oにて略90度折曲された接続部60aとなっている。そして、各フレキシブル基板21は、この接続部60aを介してリード電極40の端子部40aに接続されるようになっている。
なお、図6においてはフレキシブル基板21A、21Dを図示しているが、フレキシブル基板21B、21Cについては後述する外部信号入力部65の延在方向が反対となる点が異なるだけで、それ以外の構成については同様である。
【0056】
フィルム基材60は、例えば厚さ25μm程度のポリイミドからなる絶縁性のフィルムである。配線パターン61は、銅等の導電性材料からなり、プリント方式により電解メッキやエッチング等の手法によってフィルム基材60上に形成されている。この配線パターン61は、実装されたドライバIC20にそれぞれ電気的に接続される第1配線パターン62、第2配線パターン63及びグランド配線64を備えている。
【0057】
第1配線パターン62は、接続部60aに向かって延在するパターンであり、接続部60aにおける一端側がリード電極40の端子部40aに電気的に接続される端子部62aとして機能する。
また、本実施形態の第1配線パターン62は、圧電素子22に対して電気的な接続に寄与しないダミーパターン62bを含んでいる。このダミーパターン62bは、フレキシブル基板21上に実装されるドライバIC20の駆動検査時に用いるものであり、リード電極40に電気的に接続されることがない。そして、このダミーパターン62bは、圧電素子22に対する駆動検査等を行うための検査用のダミーパターンをなすリード電極40に接続されるようになっている。このようなダミーパターン62bは、例えば第1配線パターン62の配列方向における接続部60aの一端側に形成されている。
【0058】
一方、第2配線パターン63及びグランド配線64は、外部コントローラCTと電気的に接続される外部信号入力部65として機能する。そして、外部信号入力部65から入力された外部信号は、第2の配線パターン61を介してドライバIC20へと入力されるようになっている。
【0059】
このように構成されたフレキシブル基板21は、図4及び図5に示されるようにリザーバ形成基板24に形成された開口部46及びケース部材25に形成された開口部55内に挿入された状態とされている。これにより、フレキシブル基板21の接続部60aは、異方導電性ペーストWを介して開口部46内に配置されているリード電極40に対してOLB接続されている。その結果、フレキシブル基板21側の配線パターン61を構成する第1配線パターン62の端子部62aと、リード電極40の端子部40aとが、電気的に接続された状態となっている。
【0060】
(液滴吐出ヘッド1の製造方法)
次に、上述した構成の液滴吐出ヘッド1の製造方法について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明において、フレキシブル基板21を振動板23に対して実装するデバイス実装方法を主に説明し、液滴吐出ヘッド1のうち、ノズル基板27、流路形成基板28、リザーバ形成基板24、ケース部材25、圧電素子22等の製造及び接続、配置作業は既に完了しているものとする。
【0061】
はじめに、フレキシブル基板21を準備する準備工程(S1)を行う。
図6に示したように、フィルム基材60の表面に、端子部62a及びダミーパターン62bを含む第1配線パターン62、第2配線パターン63、グランド配線64等の配線パターン61を形成する。これらは、フィルム基材60上に、プリント方式を用いた電解メッキやエッチング等の手法を用いて形成する。ここで、端子部62aを含む第1配線パターン62は、ノズル開口26同士の間隔(ノズルピッチ)、即ち、圧電素子22同士の間隔に応じて精度良く形成する。
【0062】
そして、第1から第4のフレキシブル基板21A〜21Dに、第1から第4のドライバIC20A〜20Dをそれぞれ実装する。これは、第1から第4のドライバIC20A〜20Dを、第1から第4のフレキシブル基板21A〜21Dのフィルム基材60の一面(フレキシブル基板21の下面)の実装領域(所定領域)にそれぞれフリップチップ実装する。これにより、各ドライバIC20は、配線パターン61に対して電気的に接続される。その後、樹脂W1によって第1から第4のフレキシブル基板21A〜21Dと第1から第4のドライバIC20A〜20Dとをそれぞれ固定する。そして、各フレキシブル基板21を一点鎖線Oにて折り曲げ加工(例えば、プレス加工)を施す。
この時点で、準備工程(S1)が終了する。
【0063】
次に、図8に示すように、フレキシブル基板21に形成された配線パターン61の端子部62a、又は、振動板23に形成されたリード電極40の端子部40aのいずれかに、導電性粒子Rが含まれた異方導電性ペーストWを所定量塗布する塗布工程(S2)を行う。本実施形態では、リード電極40の端子部40a上に異方導電性ペーストWを塗布する場合を例に挙げて説明する。なお、図8は、リード電極40の端子部40a上に異方導電性ペーストWを塗布した後、リード電極40上にフレキシブル基板21を対向配置させた状態を示す図である。
【0064】
ところで、塗布する際、後のボンディング工程時にフレキシブル基板21側の所定位置にあてがわれるボンディング工具70の中心軸線Cから、塗布後に盛り上がる最頂点中心(塗布中心)Nが一定距離H離間するように、異方導電性ペーストWを塗布する。なお、本実施形態では、異方導電性ペーストWがリザーバ形成基板24の内周壁24a側に寄るように塗布する。
【0065】
次いで、フレキシブル基板21の端子部62a側を、ケース部材25に形成された開口部55及びリザーバ形成基板24に形成された開口部46内に挿入し、塗布した異方導電性ペーストWを間に挟んで振動板23側のリード電極40の端子部40aに対向するように、振動板23上にフレキシブル基板21を位置させるセット工程(S3)を行う。
【0066】
次いで、ボンディング工具70を利用してフレキシブル基板21を振動板23に実装して、配線パターン61を構成する第1配線パターン62とリード電極40とを電気的に接続するボンディング工程(S4)を行う。この工程について、詳細に説明する。
【0067】
まず、先端が平坦なボンディング工具70をフレキシブル基板21の所定位置〔接続部60aとして機能するフィルム基材60の上面(配線パターン61が形成されていない側の面)〕にあてがう。そして、異方導電性ペーストWを所定温度に加熱すると共に、ボンディング工具70を矢印B方向に押し下げて、フレキシブル基板21を振動板23に対して加圧しながら押し付ける。すると、異方導電性ペーストWは、押し潰されてフレキシブル基板21と振動板23との間で流動しながら拡がり、その後、図5に示すように硬化する。この際、異方導電性ペーストWに含まれる導電性粒子Rが、フレキシブル基板21側の端子部62aと振動板23側のリード電極40の端子部40aとの間で接触し合うので、両端子部40a、62aを導通させる。その結果、第1配線パターン62とリード電極40とを電気的に接続することができる。
【0068】
特に、異方導電性ペーストWは、塗布工程(S1)時にボンディング工具70の中心軸線Cから最頂点中心Nが一定距離Hだけ横(内周壁24a側)にずれるように塗布されている。そのため、導電性粒子Rが最も多く存在する領域が、ボンディング工具70の中心軸線Cから横にずれた状態となっている。よって、ボンディング工程時に異方導電性ペーストWが押し潰されると、導電性粒子Rが最も多く存在する領域がボンディング工具70の中心軸線Cに向かって流動する。しかも、本実施形態では、内周壁24a側にずれた位置に異方導電性ペーストWが塗布されているので、押し潰されると、内周壁24aによって異方導電性ペーストWが全体的に中心軸線Cに向かって流動する。
従って、導電性粒子Rが最も多く存在する領域のほぼ全体がボンディング工具70の中心軸線Cに向かって流動する。
但し、異方導電性ペーストWの若干量は、フレキシブル基板21と内周壁24aとの間の若干の隙間に毛細管現象等によって入り込んだ状態となる。
【0069】
従って、従来とは異なり、ボンディング工具70で加圧される領域内にできるだけ多くの導電性粒子Rを集中的に残すこと(存在させること)ができる。つまり、導通に寄与する導電性粒子Rをできるだけ多く加圧領域、即ち、接続領域内に留めておくことができる。よって、フレキシブル基板21と振動板23とを、従来よりも遥かに導通性良くOLB接続することができ、接続の信頼性を向上することができる。しかも、異方導電性ペーストWの量や、異方導電性ペーストWに含まれる導電性粒子Rの比率を変えずに、導通に寄与する導電性粒子Rの数だけを増やすことができ、導通性を高めることができる。
【0070】
上述したように本実施形態のデバイス実装方法によれば、異方導電性ペーストWを利用して、導通に寄与する導電性粒子Rをフレキシブル基板21と振動板23との間の加圧領域に集中的に集めながらOLB接続することができ、導通性を高めて接続の信頼性を向上することができる。
【0071】
なお、本実施形態ではフレキシブル基板21の端子部62aとリード電極40の端子部40aとを電気的接続するのと同時に、ドライバIC20をケース部材25に固定する。具体的には、予めケース部材25の側壁面56aに放熱性樹脂W2を塗布しておく。これにより、上述したOLB接続と同時に、この放熱性樹脂W2を利用してドライバIC20をケース部材25に固定することができ、ドライバIC20の放熱性を良好なものとすることができる。
なお、放熱性樹脂W2は、フレキシブル基板21の端子部62aがリード電極40の端子部40aに確実に接続されるまでは硬化させないでおく。これによって、フレキシブル基板21の端子部62aとリード電極40の端子部40aとを良好に接続することができる。
【0072】
以上により、液滴吐出ヘッド1を製造することができる。
次に、この液滴吐出ヘッド1を作動させて機能液の液滴を吐出させる場合を簡単に説明する。この場合には、まず、外部信号入力部65を介して外部コントローラCTからドライバIC20に外部信号を入力する。すると、ドライバIC20は、各圧電素子22を作動させる。圧電素子22が作動すると、振動板23が変位し、圧力発生室31内に液滴を吐出させるための圧力が発生する。これにより、ノズル開口26から機能液の液滴を吐出させることができる。
特に、本実施形態の液滴吐出ヘッド1によれば、導通性が高く接続の信頼性が向上したフレキシブル基板21及び振動板23を備えているので、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッド1とすることができる。
【0073】
(液滴吐出装置)
次に、上述した液滴吐出ヘッド1を備えた本発明に係る液滴吐出装置の一実施形態について、図9を参照して説明する。なお、図9は、液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【0074】
図9に示すように、本実施形態の液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、駆動軸4と、ガイド軸5と、外部コントローラCTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ6と、で主に構成されている。
液滴吐出ヘッド1は、不図示のキャッリッジにケース部材25が固定されることで液滴吐出装置IJに取付けられている。ステージ7は、液滴吐出ヘッド1によって機能液が吐出される基板Pを支持するもので、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えたものである。液滴吐出ヘッド1のノズル開口26からは、ステージ7に支持されている基板Pに対し、機能液が吐出されるようになっている。
【0075】
駆動軸4には、駆動モータ2が接続されている。この駆動モータ2は、ステッピングモータ等からなるもので、外部コントローラCTからY軸方向の駆動信号が供給されると、駆動軸4を回転させるようになっている。駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はY軸方向に移動する。ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、駆動モータ3を備えている。この駆動モータ3は、ステッピングモータ等からなるもので、外部コントローラCTからX軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をX軸方向に移動するようになっている。
【0076】
外部コントローラCTは、液滴吐出ヘッド1に対して液滴吐出を制御するための電圧を供給する。さらに、この外部コントローラCTは、駆動モータ2に対して液滴吐出ヘッド1のY軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給すると共に、駆動モータ3に対してステージ7のX軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0077】
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものであって、図示しない駆動モータを備えている。この駆動モータの駆動により、クリーニング機構8はガイド軸5に沿ってX軸方向に移動する。なお、クリーニング機構8の移動も外部コントローラCTにより制御される。ヒータ6は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された機能液に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行うようになっている。このヒータ6の電源の投入及び遮断も、外部コントローラCTによって制御されるようになっている。
そして、液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。
【0078】
このように構成された液滴吐出装置IJによれば、作動の信頼性が高く高品質な液滴吐出ヘッド1を備えているので、同様に作動の信頼性を高めて高品質化を図ることができる。
なお、本実施形態において、液滴吐出ヘッド1より吐出される機能液としては、液晶表示デバイスを形成するための液晶表示デバイス形成用材料、有機EL表示デバイスを形成するための有機EL形成用材料、電子回路の配線パターンを形成するための配線パターン形成用材料等を含むものとする。これにより、液滴吐出装置IJは、液滴吐出法に基づいて吐出した機能液によって、前記各デバイスを製造することができる。
【0079】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態では、液滴吐出ヘッド1を一例に挙げ、デバイス実装方法で得られたデバイス基板及び被接続基板を、フレキシブル基板21及び振動板23に適用した場合を説明したが、液滴吐出ヘッド1に限定されるものではない。
異方導電性ペーストWを利用して、第1配線接続部が形成されたデバイス基板を、第2配線接続部が形成された被接続基板に実装する場合であれば、本発明に係るデバイス実装方法を適用することが可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、異方導電性ペーストWを塗布する際に、リード電極40の端子部40a側に塗布したが、フレキシブル基板21の端子部62a側に塗布しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
また、ボンディング工具70の中心軸線Cから一定距離Hだけ横にずらして異方導電性ペーストWを塗布する際に、リザーバ形成基板24の内周壁24a側に寄った位置に塗布したが、図10に示すように、内周壁24aから離れる側に塗布しても構わない。この場合であっても、加圧領域内に導通に寄与する導電性粒子Rをできるだけ多く残すことができ、高い導通性を確保することができる。
【符号の説明】
【0082】
C…ボンディング工具の中心軸線
N…異方導電性ペーストの最頂点中心
W…異方導電性ペースト
IJ…液滴吐出装置
1…液滴吐出ヘッド
20…ICデバイス(駆動デバイス)
21…フレキシブル基板(デバイス基板)
23…振動板(被接続基板)
22…圧電素子(駆動素子)
24a…内周壁(流動規制部)
26…ノズル開口
27…ノズル基板
28…流路形成基板
31…圧力発生室
40…リード電極(第2配線接続部)
40a…第2配線接続部の端子部
61…配線パターン(第1配線接続部)
62a…第1配線接続部の端子部
70…ボンディング工具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方導電性ペーストを利用して、第1配線接続部が形成されたデバイス基板を第2配線接続部が形成された被接続基板に実装して、両配線接続部を電気的に接続するデバイス実装方法であって、
前記第1配線接続部の端子部又は前記第2配線接続部の端子部のいずれかに前記異方導電性ペーストを塗布する塗布工程と、
塗布した前記異方導電性ペーストを間に挟んで、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とが対向するように、前記被接続基板上に前記デバイス基板を位置させるセット工程と、
前記異方導電性ペーストを加熱すると共にボンディング工具により前記デバイス基板を前記被接続基板に対して加圧しながら押し付け、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とを異方導電性ペーストを介して電気的に接続するボンディング工程と、を備え、
前記塗布工程の際、前記ボンディング工具の中心軸線から、塗布後に盛り上がる最頂点中心が一定距離離間するように異方導電性ペーストを塗布することを特徴とするデバイス実装方法。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイス実装方法において、
前記ボンディング工程時に前記異方導電性ペーストを前記中心軸線に向けて流動させる流動規制部を、前記被接続基板に予め形成しておくことを特徴とするデバイス実装方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデバイス実装方法で得られた前記デバイス基板及び前記被接続基板と、
前記第1配線接続部に電気的に接続された状態で前記デバイス基板に実装された駆動デバイスと、
前記第2配線接続部に電気的に接続された状態で前記被接続基板に実装され、作動時に該基板を変位させる駆動素子と、
前記被接続基板の下面側に配設され、液滴を吐出するノズル開口が形成されたノズル基板と、
該ノズル基板と前記被接続基板との間に挟まれた状態で両基板に接合され、前記被接続基板の変位に伴って前記液滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生室を両基板の間に形成させる流路形成基板と、を備えていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項1】
異方導電性ペーストを利用して、第1配線接続部が形成されたデバイス基板を第2配線接続部が形成された被接続基板に実装して、両配線接続部を電気的に接続するデバイス実装方法であって、
前記第1配線接続部の端子部又は前記第2配線接続部の端子部のいずれかに前記異方導電性ペーストを塗布する塗布工程と、
塗布した前記異方導電性ペーストを間に挟んで、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とが対向するように、前記被接続基板上に前記デバイス基板を位置させるセット工程と、
前記異方導電性ペーストを加熱すると共にボンディング工具により前記デバイス基板を前記被接続基板に対して加圧しながら押し付け、前記第1配線接続部の端子部と前記第2配線接続部の端子部とを異方導電性ペーストを介して電気的に接続するボンディング工程と、を備え、
前記塗布工程の際、前記ボンディング工具の中心軸線から、塗布後に盛り上がる最頂点中心が一定距離離間するように異方導電性ペーストを塗布することを特徴とするデバイス実装方法。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイス実装方法において、
前記ボンディング工程時に前記異方導電性ペーストを前記中心軸線に向けて流動させる流動規制部を、前記被接続基板に予め形成しておくことを特徴とするデバイス実装方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデバイス実装方法で得られた前記デバイス基板及び前記被接続基板と、
前記第1配線接続部に電気的に接続された状態で前記デバイス基板に実装された駆動デバイスと、
前記第2配線接続部に電気的に接続された状態で前記被接続基板に実装され、作動時に該基板を変位させる駆動素子と、
前記被接続基板の下面側に配設され、液滴を吐出するノズル開口が形成されたノズル基板と、
該ノズル基板と前記被接続基板との間に挟まれた状態で両基板に接合され、前記被接続基板の変位に伴って前記液滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生室を両基板の間に形成させる流路形成基板と、を備えていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−226020(P2010−226020A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74182(P2009−74182)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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