説明

トナーカートリッジおよび画像形成装置

【課題】
トナー供給時以外における大量のトナーの流出を抑えることを可能にするトナーカートリッジおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】
トナーカートリッジ200に、排出口214が形成される収容器210と、搬送軸231の回転に伴う搬送羽根232の回転運動によって排出口214に向けて収容器210内のトナーを搬送する搬送部材230と、搬送軸231に固定され、収容器210の内壁から離間し、搬送軸231の回転に連動して、排出口214の少なくとも一部を開閉する開閉部材240とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機などに搭載される画像形成装置は、画像形成装置内の現像装置に貯留されるトナーを用いて画像を形成する。このような画像形成装置の分野において、従来から、現像装置にトナーを供給するトナーカートリッジが知られている。トナーカートリッジは、現像装置内のトナーが消費されて少なくなると、トナーカートリッジ内のトナーを現像装置内に供給する。
【0003】
たとえば、特許文献1および特許文献2には、排出口が形成される収容器と、オーガスクリュー状の搬送部材とを備えるトナーカートリッジが記載されている。これらのトナーカートリッジでは、搬送部材によって収容器内のトナーを排出口に向けて搬送することで、排出口を介してトナーを落下させ、現像装置内にトナーを供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−83802号公報
【特許文献2】特開2008−216360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載されるようなオーガスクリュー状の搬送部材を用いるトナーカートリッジでは、搬送部材の停止時において、排出口付近にトナーが滞留している。したがって、トナーカートリッジに何らかの振動が加わった場合、搬送部材の停止時にもかかわらずトナーカートリッジから大量のトナーが突発的に流出して現像装置内に供給される現象、いわゆるトナーなだれが発生するという課題がある。
【0006】
このような課題に対して、可撓性を有するフィルムを搬送部材に取り付け、搬送部材の停止時には、このフィルムによって排出口を閉鎖することも考えられる。しかしながら、このような構成の場合、フィルムと収容器の内壁との間で摩擦が生じ、摩擦熱が発生するので、トナーに悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、トナー供給時以外における大量のトナーの流出を抑えることを可能にするトナーカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トナーを収容する収容器であって、収容されたトナーを排出するための排出口が形成される収容器と、
前記収容器内に設けられ、搬送軸と搬送羽根とを含む搬送部材であって、前記搬送軸の回転に伴う前記搬送羽根の回転運動によって、前記排出口に向けて前記収容器内のトナーを搬送する搬送部材と、
前記搬送軸に固定され、前記収容器の内壁から離間して設けられる開閉部材であって、前記搬送軸の回転に連動して、前記排出口の少なくとも一部を開閉する開閉部材とを備えることを特徴とするトナーカートリッジである。
【0009】
また本発明は、前記開閉部材は、
前記搬送部材によるトナーの搬送方向に垂直な扇台形状の平面を有する扇台形部であって、内周部が前記搬送軸に固定され、弦の長さが前記排出口の前記搬送方向に垂直な開口幅以上の長さである扇台形部と、
前記扇台形部よりも前記搬送方向下流、かつ、前記排出口よりも鉛直方向上方の位置において、トナーの前記排出口への落下を抑止する落下抑止部とを含み、
前記搬送軸の回転方向における前記排出口の下流端の鉛直方向上方に、前記扇台形部の前記回転方向下流端が位置した時点から、前記回転方向における前記排出口の上流端の鉛直方向上方に、前記扇台形部の前記回転方向上流端が位置した時点までの期間に、前記排出口の少なくとも一部が閉鎖状態となることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記開閉部材の前記搬送方向下流側に設けられる円環状の逆流抑止壁であって、前記排出口の前記搬送方向下流の位置において、前記搬送方向とは逆方向にトナーが移動して前記排出口に向かうことを抑止する逆流抑止壁をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記排出口の前記搬送方向に垂直な開口幅は、10mm以上20mm以下であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記扇台形部は、前記搬送方向における前記排出口の上流端から、前記搬送方向に2mm以上4mm以下の位置に設けられることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、現像装置を備える電子写真方式の画像形成装置において、
前記現像装置にトナーを供給するトナーカートリッジとして、前記トナーカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開閉部材は、搬送軸の回転に連動して、排出口の少なくとも一部を開閉する。したがって、トナー供給時以外のときは、開閉部材によって、排出口の少なくとも一部を閉鎖状態にすることが可能である。よって、トナー供給時以外における大量のトナーの流出を抑えることを可能にするトナーカートリッジを提供することができる。
【0015】
また、本発明に係るトナーカートリッジは、開閉部材が、収容器の内壁から離間した状態で、排出口の少なくとも一部を開閉する。したがって、開閉部材と収容器の内壁との間で摩擦が生じることがないので、摩擦熱によってトナーに悪影響が生じるおそれがない。
【0016】
さらに、本発明に係るトナーカートリッジでは、開閉部材による排出口の開閉動作は、搬送部材の搬送軸の回転動作によって行われる。したがって、開閉部材による排出口の開閉動作に、新たな駆動源を要さないので、トナーカートリッジの大型化を抑えることができる。
【0017】
また本発明によれば、扇台形部と落下抑止部とを含む開閉部材によって排出口の開閉動作を行うので、トナーカートリッジの構成を簡素化することができる。
【0018】
また本発明によれば、搬送方向とは逆方向にトナーが移動して排出口に向かうことを抑止する逆流抑止壁を備えるので、開閉部材によって排出口が閉鎖状態となっているときに、トナーの流出をさらに抑えることができる。
【0019】
また本発明によれば、排出口の開口幅は、10mm以上20mm以下であるので、排出口が開放状態のときに、排出口から確実にトナーを落下させることができ、現像装置に確実にトナーを供給することができる。
【0020】
また本発明によれば、扇台形部は、搬送方向における排出口の上流端から、搬送方向に2mm以上4mm以下の位置に設けられる。したがって、排出口のうち、搬送方向において、排出口の上流端から2mm〜4mmまでの部分は、常に開放状態となる。排出口の上流端から2mm〜4mmまでの部分が常に開放状態であっても、残余の部分は、開閉部材によって閉鎖状態にすることができる。したがって、トナー供給時以外における大量のトナーの流出を抑えることは可能である。
【0021】
そして、トナー供給時では、扇台形部と搬送羽根とによって挟まれるトナーを、排出口の上流端から2mm〜4mmまでの部分に速やかに落下させることができる。これによって、トナーが圧縮されて過度の負荷が掛かることを抑えることができる。
【0022】
また本発明によれば、前記トナーカートリッジと現像装置とを備えるので、現像装置内のトナー濃度を安定させることができ、長期に亘って安定して良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像形成装置100の構成を示す模式図である。
【図2】トナーカートリッジユニット360を示す斜視図である。
【図3】トナーカートリッジ200の内部を示す模式図である。
【図4】図3に示す線A−Aを切断面線とするトナーカートリッジ200の断面図である。
【図5】トナー排出部213の軸線方向一端部を示す図である。
【図6】図5に示すトナー排出部213の軸線方向一端部を鉛直方向下方から見たときの図である。
【図7】開閉部材240を示す斜視図である。
【図8】扇台形部241の平面図である。
【図9A】排出口214が開閉する様子を示す図である。
【図9B】排出口214が開閉する様子を示す図である。
【図9C】排出口214が開閉する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
はじめに、本発明の実施形態であるトナーカートリッジ200を備える画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す模式図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。画像形成装置100は、コピアモード(複写モード)、プリンタモード、およびファクシミリモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録媒体、メモリ装置を用いた外部機器などからの印刷ジョブの受信に応じて、図示しない制御ユニット部によって、印刷モードが選択される。
【0025】
画像形成装置100は、トナー像形成部20と、転写部30と、定着部40と、記録媒体供給部50と、排出部60と、図示しない制御ユニット部とを含む。トナー像形成部20は、感光体ドラム21b,21c,21m,21yと、帯電部22b,22c,22m,22yと、露光ユニット23と、現像装置24b,24c,24m,24yと、クリーニングユニット25b,25c,25m,25yと、トナーカートリッジ200b,200c,200m,200yと、トナー供給パイプ300b,300c,300m,300yとを含む。トナーカートリッジ200b,200c,200m,200yは、トナーカートリッジユニット360として設けられる。トナーカートリッジユニット360については後述する。転写部30は、中間転写ベルト31と、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、中間転写ローラ34b,34c,34m,34yと、転写ベルトクリーニングユニット35と、転写ローラ36とを含む。
【0026】
感光体ドラム21、帯電部22、現像装置24、クリーニングユニット25、トナーカートリッジ200、トナー供給パイプ300、および中間転写ローラ34は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)、およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。本明細書中において、各色に応じて4つずつ設けられる各部材を区別する場合は、各部材を表す数字の末尾に各色を表すアルファベットを付して参照符号とし、各部材を総称する場合は、各部材を表す数字のみを参照符号とする。
【0027】
感光体ドラム21は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に支持され、図示しない導電性基体と、この導電性基体の表面に形成される光導電層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などを挙げることができる。光導電層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。感光体ドラム21としては、たとえば、アルミニウムで形成された円筒状部材(導電性基体)と、この円筒状部材の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる薄膜(光導電層)とを含むものを用いることができる。
【0028】
帯電部22、現像装置24、およびクリーニングユニット25は、感光体ドラム21の回転方向回りに、この順序で配置され、帯電部22は、現像装置24およびクリーニングユニット25よりも鉛直方向下方に配置される。
【0029】
帯電部22は、感光体ドラム21表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電部22は、感光体ドラム21に臨む位置に、感光体ドラム21の長手方向に沿って設置される。接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面に接するように設置される。非接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面から離隔するように設置される。
【0030】
帯電部22は、現像装置24、クリーニングユニット25などとともに、感光体ドラム21の周囲に設置される。帯電部22は、現像装置24、クリーニングユニット25などよりも、感光体ドラム21に近い位置に設置されることが好ましい。これによって、感光体ドラム21の帯電不良の発生を確実に防止することができる。
【0031】
帯電部22としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
【0032】
露光ユニット23は、露光ユニット23から出射される光が、帯電部22と現像装置24との間を通過して感光体ドラム21の表面に照射されるように配置される。露光ユニット23は、帯電状態にある感光体ドラム21b,21c,21m,21y表面に、各色の画像情報に対応するレーザ光をそれぞれ照射することによって、感光体ドラム21b,21c,21m,21yそれぞれの表面に、各色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。露光ユニット23には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニット(LSU)を使用できる。露光ユニット23としては、LED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットなどを用いてもよい。
【0033】
トナーカートリッジ200は、現像装置24よりも鉛直方向上方に配され、未使用のトナーを収容する。トナーカートリッジ200の鉛直方向下部には、筒状部材であるトナー供給パイプ300が接続される。トナーカートリッジ200は、トナー供給パイプ300を介して、現像装置24へトナーを供給する。トナーカートリッジ200の詳細については後述する。
【0034】
現像装置24は、感光体ドラム21上に形成された静電潜像をトナーによって現像することで、感光体ドラム21上にトナー像を形成する装置である。現像装置24の鉛直方向上部には、トナー供給パイプ300が接続される。
【0035】
現像装置24は、現像槽、現像ローラ、第1搬送スクリュー、第2搬送スクリュー、およびトナー濃度検知センサを備える。現像槽は、その内部空間にトナーを収容する。現像槽内には、現像ローラ、第1搬送スクリュー、および第2搬送スクリューが、回転可能に支持される。現像槽は、感光体ドラム21に臨む位置に開口部が形成され、この開口部を挟んで感光体ドラム21に対向する位置に、現像ローラが設けられる。
【0036】
現像ローラは、感光体ドラム21との最近接部において感光体ドラム21表面の静電潜像にトナーを供給する部材である。トナーの供給のときには、現像ローラ表面に、トナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(現像バイアス)として印加される。これによって、現像ローラ表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。現像バイアスの値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御することができる。
【0037】
第1搬送スクリューは、現像ローラに臨み、現像ローラ周辺にトナーを供給する部材である。第2搬送スクリューは第1搬送スクリューに臨み、トナー供給パイプ300を介して現像槽内に新たに供給されるトナーを、第1搬送スクリュー周辺に送給する部材である。
【0038】
現像槽の底面には、トナー濃度検知センサが設けられる。トナー濃度検知センサは、現像槽中のトナー濃度を検知する。トナー濃度検知センサとしては一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどが挙げられる。これらの中でも、透磁率検知センサが好ましい。
【0039】
トナー濃度検知センサは、トナー濃度制御部に電気的に接続される。トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサによるトナー濃度値が所定の設定値よりも低いと判断すると、トナーカートリッジ200内の後述する搬送部材230を回転駆動し、トナーカートリッジ200内のトナーを現像槽内に供給するように制御する。
【0040】
クリーニングユニット25は、感光体ドラム21から中間転写ベルト31にトナー像が転写された後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム21の表面を清浄化する部材である。クリーニングユニット25としては、たとえば、トナーを掻き取るための板状部材と、掻き取ったトナーを回収する容器状部材とが用いられる。
【0041】
トナー像形成部20によれば、帯電部22によって均一な帯電状態にある感光体ドラム21の表面に、露光ユニット23から画像情報に応じたレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体ドラム21上の静電潜像に現像装置24からトナーが供給されることでトナー像が形成される。このトナー像は後述する中間転写ベルト31に転写される。トナー像が中間転写ベルト31に転写された後に、感光体ドラム21表面に残留するトナーは、クリーニングユニット25によって除去される。
【0042】
中間転写ベルト31は、感光体ドラム21の鉛直方向上方に配置される無端ベルト状部材である。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32と従動ローラ33とによって張架されてループ状の経路を形成し、矢符A4方向に移動する。
【0043】
駆動ローラ32は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。駆動ローラ32は、その回転によって、中間転写ベルト31を矢符A4方向へ移動させる。従動ローラ33は、駆動ローラ32の回転に従動して回転可能に設けられ、中間転写ベルト31が弛まないように、中間転写ベルト31に一定の張力を発生させる。
【0044】
中間転写ローラ34は、中間転写ベルト31を介して感光体ドラム21に圧接し、かつ図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。中間転写ローラ34としては、たとえば、直径8mm〜10mmの金属(たとえば、ステンレス)ローラの表面に、導電性の弾性部材が形成されたものを用いることができる。中間転写ローラ34は、転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム21表面のトナー像を中間転写ベルト31に転写する機能を有する。
【0045】
転写ローラ36は、中間転写ベルト31を介して駆動ローラ32に圧接し、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に設けられる。転写ローラ36と駆動ローラ32との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト31に担持されて搬送されるトナー像は、後述する記録媒体供給部50から送給される記録媒体に転写される。
【0046】
転写ベルトクリーニングユニット35は、中間転写ベルト31を介して従動ローラ33に対向し、中間転写ベルト31のトナー像担持面に接触するように設けられる。転写ベルトクリーニングユニット35は、記録媒体へのトナー像の転写後に、中間転写ベルト31表面のトナーを除去し回収するために設けられる。記録媒体へのトナー像の転写後に中間転写ベルト31にトナーが付着したまま残っていると、中間転写ベルト31の移動によって、残留トナーが転写ローラ36に付着するおそれがある。転写ローラ36にトナーが付着すると、そのトナーは、次に転写する記録媒体の裏面を汚染してしまう。
【0047】
転写部30によれば、中間転写ベルト31が感光体ドラム21に接しながら移動するとき、中間転写ローラ34に、感光体ドラム21表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト31上へ転写される。感光体ドラム21y、感光体ドラム21m、感光体ドラム21c、感光体ドラム21bでそれぞれ形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト31上に、この順番で順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。中間転写ベルト31に転写されたトナー像は、中間転写ベルト31の移動によって転写ニップ部に搬送され、転写ニップ部において、記録媒体に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、後述する定着部40に搬送される。
【0048】
記録媒体供給部50は、給紙ボックス51と、ピックアップローラ52a,52bと、搬送ローラ53a,53bと、レジストローラ54と、給紙トレイ55とを含む。給紙ボックス51は、画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、画像形成装置100内部において記録媒体を貯留する容器状部材である。給紙トレイ55は、画像形成装置100外壁面に設けられ、画像形成装置100外部において記録媒体を貯留するトレイ状部材である。記録媒体としては、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。
【0049】
ピックアップローラ52aは、給紙ボックス51に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A1に送給する部材である。搬送ローラ53aは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A1において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。ピックアップローラ52bは、給紙トレイ55に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A2に送給する部材である。搬送ローラ53bは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A2において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。
【0050】
レジストローラ54は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、搬送ローラ53a,53bから送給される記録媒体を、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
【0051】
記録媒体供給部50によれば、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、給紙ボックス51または給紙トレイ55から記録媒体が転写ニップ部に送給され、この記録媒体にトナー像が転写される。
【0052】
定着部40は、加熱ローラ41および加圧ローラ42を備える。加熱ローラ41は、所定の定着温度となるように制御される。加圧ローラ42は、加熱ローラ41に圧接するローラである。加熱ローラ41は、加圧ローラ42とともに記録媒体を加熱しながら挟持することにより、トナー像を構成するトナーを溶融させて記録媒体上に定着させる。トナー像が定着した記録媒体は、後述する排出部60に搬送される。
【0053】
排出部60は、搬送ローラ61と、排出ローラ62と、排出トレイ63とを含む。搬送ローラ61は、定着部40よりも鉛直方向上方において、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。搬送ローラ61は、画像が定着した記録媒体を排出ローラ62に向けて搬送する。
【0054】
排出ローラ62は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。排出ローラ62は、片面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出ローラ62は、両面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を、用紙搬送路A3を介してレジストローラ54へ搬送し、両面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出トレイ63は、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられ、画像が定着した記録媒体を貯留する。
【0055】
画像形成装置100は、図示しない制御ユニット部を含む。制御ユニット部は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における鉛直方向上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。記憶部には、画像形成装置100の鉛直方向上面に配置される図示しない操作パネルを介した各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、記憶部には、各種処理を実行するプログラムが書き込まれる。各種処理とは、たとえば、記録媒体判定処理、付着量制御処理、定着条件制御処理などである。
【0056】
記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気、電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile
Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)レコーダ、
ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。
【0057】
演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種処理のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて画像形成装置100に設けられる各装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
【0058】
制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマ
イクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御ユニット部は、この処理回路とともに主電源を含み、電源は制御ユニット部だけでなく、画像形成装置100に設けられる各装置にも電力を供給する。
【0059】
次に、トナーカートリッジユニット360について説明する。図2は、トナーカートリッジユニット360を示す斜視図である。トナーカートリッジユニット360は、トナーカートリッジ200b,200c,200m,200yと、トナーカートリッジ載置台361とを含む。トナーカートリッジ載置台361は、角変位可能に構成されるロックレバー362と、ストッパプレート363とを備えている。各トナーカートリッジ200は、トナーカートリッジ載置台361に載置された状態でロックレバー362がストッパプレート363側に角変位することで、トナーカートリッジ載置台361に固定される。
【0060】
次に、トナーカートリッジ200について説明する。図3は、トナーカートリッジ200の内部を示す模式図である。図4は、図3に示す線A−Aを切断面線とするトナーカートリッジ200の断面図である。トナーカートリッジ200は、収容器210と、汲上げ部材220と、搬送部材230と、開閉部材240と、シャッタ部材250と、逆流抑止壁260と、駆動力伝達部材270とを備え、トナーを現像装置24に供給する装置である。
【0061】
収容器210は、その内部に隔壁211を備える。収容器210は、隔壁211によって、汲上げ部材220が設けられるトナー貯蔵部212と、搬送部材230が設けられるトナー排出部213とに区分されている。
【0062】
トナー貯蔵部212は、略円柱状の内部空間を有し、この内部空間にトナーを収容するとともに、汲上げ部材220が設けられる。
【0063】
汲上げ部材220は、回転軸部材221と、基体222と、摺動部223とを含む。回転軸部材221は、トナー貯蔵部212の軸線方向に沿って延びる円柱状の部材である。基体222は、トナー貯蔵部212の軸線方向に沿って延びる平板状の部材であり、その幅方向および厚さ方向の中央部において、回転軸部材221に取り付けられる。摺動部223は、基体222の幅方向両端部に取り付けられる可撓性を有する部材であり、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される。
【0064】
汲上げ部材220は、図示しない駆動部に接続され、この駆動部から付与されるトルクによって、回転軸部材221がその軸線回りの回転方向Gに回転する。回転軸部材221が回転方向Gに回転するのに伴って、回転軸部材221の軸線を中心として基体222が回転運動し、これによって基体222の幅方向両端部に設けられる摺動部223がトナー貯蔵部212の内壁面を摺擦することで、トナー貯蔵部212内のトナーが、トナー排出部213へ汲み上げられる。
【0065】
トナー排出部213は、略円柱状の内部空間を有し、この内部空間は、トナー貯蔵部212の内部空間と連通する。トナー排出部213は、その軸線方向が、トナー貯蔵部212の軸線方向と略平行になるように設けられる。トナー排出部213の軸線方向一端部には、トナーを排出するための開口部である排出口214が設けられる。以下では、トナー排出部213の軸線方向他端部から軸線方向一端部に向かう方向を、搬送方向Xと称する。
【0066】
図5は、トナー排出部213の軸線方向一端部を示す図である。図6は、図5に示すトナー排出部213の軸線方向一端部を鉛直方向下方から見たときの図である。本実施形態では、排出口214は、トナー排出部213の鉛直方向下部に形成される。図6に示すように、本実施形態では、排出口214は、略矩形状である。排出口214の搬送方向Xに沿う開口長さLは、10mm以上40mm以下の範囲内で適宜設定される。排出口214の搬送方向Xに垂直な開口幅Lは、10mm以上20mm以下の範囲内で適宜設定される。排出口214から排出されたトナーは、トナー供給パイプ300を介して現像装置24に供給されることになる。
【0067】
シャッタ部材250は、排出口214の鉛直方向下方において、スライド自在に設けられる。シャッタ部材250は、トナーカートリッジ200がトナーカートリッジ載置台361に装着される過程において、トナー供給パイプ300に当接することによって略水平方向にスライドし、これによって排出口214が開放される。図5および図6では、シャッタ部材250がスライドして、排出口214が開放されている。
【0068】
トナー排出部213内には、搬送部材230が設けられる。搬送部材230は、搬送軸231と搬送羽根232とを含むオーガスクリュー状部材である。搬送軸231がその軸線回りの回転方向Gに回転するのに伴って搬送羽根232が回転運動することにより、トナー排出部213内のトナーは、搬送方向X下流側に搬送される。したがって、トナーカートリッジ200によれば、汲上げ部材220によってトナー貯蔵部212内からトナー排出部213内へ汲み上げられたトナーは、搬送部材230によって、排出口214まで搬送されて排出口214から鉛直方向下方に落下し、トナー供給パイプ300を経て、現像装置24の現像槽内に供給されることになる。
【0069】
搬送軸231は、外径3mm〜10mmの円柱状部材である。搬送軸231は、搬送方向X下流端において、駆動力伝達部材270に接続される。搬送軸231の軸線は、排出口214を幅方向に2等分する2等分線の鉛直方向上方において、この2等分線に平行に延びる。搬送軸231は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)などの材料から形成される。
【0070】
搬送羽根232は、搬送軸231を取り巻いて設けられる螺旋状部材である。搬送羽根232の外径は、12mm〜25mmである。搬送羽根232は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成され、好ましくは、搬送軸231と一体的に形成される。
【0071】
図7は、開閉部材240を示す斜視図である。開閉部材240は、扇台形状平面241aを有する扇台形部241と、落下抑止部242とを含む。
【0072】
扇台形部241は、搬送羽根232よりも搬送方向X下流側において、搬送軸231上に設けられる。扇台形部241は、搬送方向X上流側に扇台形状平面241aを有する平板状部材である。扇台形部241は、扇台形状平面241aが、搬送方向Xに垂直になるように設けられる。
【0073】
図8は、扇台形部241の平面図であり、扇台形状平面241aを示している。本発明において、扇台形状平面241aとは、大きな扇形Mから、中心角Cが一致し、かつ、この大きな扇形Mよりも半径が小さな扇形Mを除いた平面図形である。また、本発明において、この大きな扇形Mの中心角Cを、扇台形部241の中心角と称する。扇台形部241の中心角の角度は、90°以上180°以下の範囲内で適宜設定される。また本発明において、大きな扇形Mの半径Rから小さな扇形Mの半径Rを減じた値R−Rを、扇台形部241の半径と称する。大きな扇形Mの半径Rは、搬送羽根232の外径の2分の1の値と同程度であり、小さな扇形Mの半径Rは、搬送軸231の外径の2分の1の値と同程度である。また本発明において、大きな扇形Mの弦Lを、扇台形部241の弦と称する。扇台形部241の弦の長さは、少なくとも排出口214の搬送方向Xに垂直な開口幅L以上の長さであり、11mm以上25mm以下の範囲内で適宜設定される。
【0074】
また本発明において、小さな扇形Mに最も近接する扇台形状平面241a上の部分を、扇台形部241の内周部Nと称し、小さな扇形Mから最も離間する扇台形状平面241a上の部分を、扇台形部241の外周部Nと称する。扇台形部241は、内周部Nにおいて、搬送軸231に固定される。扇台形部241の内周部Nに固定される搬送軸231の外径は、小さな扇形Mの半径Rの2倍の値に設定される。扇台形部241の外周部Nは、0.05mm以上1mm以下の範囲内で、トナー排出部213の内壁から離間する。
【0075】
また本発明において、回転方向Gにおける扇台形状平面241aの上流側端部を、扇台形部241の上流側端部Nと称する。また本発明において、回転方向Gにおける扇台形状平面241aの下流側端部を、扇台形部241の下流側端部Nと称する。また本発明において、扇台形部241の上流側端部Nであり、かつ、外周部Nである部分を、扇台形部241の回転方向上流端Nと称する。また本発明において、扇台形部241の下流側端部Nであり、かつ、外周部Nである部分を、扇台形部241の回転方向下流端Nと称する。
【0076】
落下抑止部242は、図7に示すように、扇台形部241よりも搬送方向X下流側において、搬送軸231上に設けられる。本実施形態において、落下抑止部242は、搬送軸231の軸線方向に平行に延びる主面を有する2つの矩形平板状部材である。一方の落下抑止部242は、その4つの側面のうちの1つの側面が、扇台形部241の上流側端部Nの裏側に固定され、この側面に直交する側面の1つが、搬送軸231に固定される。他方の落下抑止部242は、その4つの側面のうちの1つの側面が、扇台形部241の下流側端部Nの裏側に固定され、この側面に直交する側面の1つが、搬送軸231に固定される。2つの落下抑止部242において、搬送軸231に固定される側面とは反対側の側面は、0.05mm以上1mm以下の範囲内で、トナー排出部213の内壁から離間する。
【0077】
開閉部材240は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成され、好ましくは、搬送部材230と一体的に形成される。
【0078】
このような扇台形部241と落下抑止部242とを含む開閉部材240によって、排出口214の少なくとも一部が開閉する。図9A、図9B、および図9Cは、排出口214が開閉する様子を示す図である。図9A(a)は、排出口214が閉鎖状態のときのトナー排出部213の軸線方向一端部を示し、図9A(b)は、図9A(a)に示す線B−Bを切断面線とするトナーカートリッジ200の断面を示す。図9B(a)は、排出口214が閉鎖状態のときのトナー排出部213の軸線方向一端部を示し、図9B(b)は、図9B(a)に示す線C−Cを切断面線とするトナーカートリッジ200の断面を示す。図9C(a)は、排出口214が開放状態のときのトナー排出部213の軸線方向一端部を示し、図9C(b)は、図9C(a)に示す線D−Dを切断面線とするトナーカートリッジ200の断面を示す。
【0079】
図9A(a)および図9A(b)に示すように、扇台形部241の外周部Nは、トナー排出部213の内壁に近接しており、外周部Nとトナー排出部213の内壁との隙間は0.05mm〜1mmであるので、トナー排出部213内のトナーは、扇台形部241によって、扇台形部241よりも搬送方向X下流側への移動が抑えられている。また、図9A(a)に示すように、落下抑止部242は、搬送方向Xにおいて、その主面が、扇台形部241から搬送方向Xにおける排出口214の下流端214bまで延びている。このような落下抑止部242が設けられることで、トナー排出部213内のトナーが扇台形部241を乗り越えた場合であっても、そのトナーが排出口214へ落下することが抑えられている。したがって、図9Aに示す状態では、排出口214のうち、搬送方向Xにおいて扇台形部241の鉛直方向下方から下流端214bまでの部分である開閉部分Kが、開閉部材240によって、閉鎖状態となっている。
【0080】
本実施形態では、搬送方向Xにおける排出口214の上流端214aから扇台形部241までの、搬送方向Xにおける距離Lは、2mm以上4mm以下の範囲内で適宜設定される。したがって、排出口214のうち、搬送方向Xにおいて、上流端214aから2mm〜4mmまでの部分は、常に開放状態であり、残余の部分が、開閉部材240によって開閉する開閉部分Kとなる。なお、本発明の他の実施形態としては、排出口214のすべてが開閉部分Kとなってもよい。この場合、扇台形部241は、排出口214の上流端214aの鉛直方向上方または上流端214aよりも搬送方向X上流側の位置に設けられる。
【0081】
図9Bは、図9Aに示す状態から、開閉部材240が回転方向Gに所定の角度回転した後の状態を示している。図9Bに示す状態においても、排出口214の開閉部分Kは、開閉部材240によって閉鎖状態となっている。図9Aに示す状態では、扇台形部241の回転方向下流端Nが排出口214の回転方向下流端214dの鉛直方向上方に位置し、かつ、鉛直方向において、扇台形部241の回転方向上流端N以下の高さに位置しているのに対して、図9Bに示す状態では、扇台形部241の回転方向上流端Nが排出口214の回転方向上流端214cの鉛直方向上方に位置し、かつ、鉛直方向において、扇台形部241の回転方向下流端N以下の高さに位置している。
【0082】
このように、図9Aに示す状態となる時点から図9Bに示す状態となる時点までの期間中、排出口214の開閉部分Kは、開閉部材240によって閉鎖状態となっている。排出口214の開閉部分Kが閉鎖状態となっている間は、排出口214からトナーが流出することが抑えられている。
【0083】
図9Cは、図9Bに示す状態から、開閉部材240が回転方向Gに所定の角度回転した後の状態を示している。図9Cに示す状態においては、排出口214の開閉部分Kは、開閉部材240によって閉鎖されていない状態、すなわち開放状態となっている。図9Cに示す状態から、開閉部材240が回転方向Gに回転することで、しばらくの間、開放状態が続き、その後、図9Aに示す閉鎖状態となる。このように、開閉部材240は、搬送軸231の回転に連動して、排出口214の少なくとも一部を開閉する。
【0084】
逆流抑止壁260は、図7に示すように、落下抑止部242よりも搬送方向X下流側において、搬送軸231上に設けられる。逆流抑止壁260は、円盤平板状部材であり、その内周部に搬送軸231が挿通される。逆流抑止壁260の内径は、搬送軸231の外径と同程度である。
【0085】
逆流抑止壁260は、その主面が搬送方向Xに垂直になるように設けられる。逆流抑止壁260の搬送方向X上流側の主面には、落下抑止部242の、扇台形部241の裏側に固定される側面とは反対側の側面が固定される。
【0086】
逆流抑止壁260は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成され、好ましくは、搬送部材230と一体的に形成される。
【0087】
図9Aおよび図9Bに示すように、排出口214の開閉部分Kが閉鎖状態のとき、トナー排出部213内のトナーは、扇台形部241によって搬送方向X下流側への移動が妨げられている。移動が妨げられたトナーは、扇台形部241を乗り越え、落下抑止部242上を搬送方向Xに移動するおそれがある。しかしながら、このような場合であっても、逆流抑止壁260が、その鉛直方向上部260aによってトナーの移動を妨げるので、落下抑止部242上を移動するトナーが、逆流抑止壁260よりも搬送方向X下流側に移動することは抑えられる。逆流抑止壁260よりも搬送方向X下流側にトナーが移動した場合は、逆流抑止壁260は、その鉛直方向下部260bによって、トナーが搬送方向Xとは反対方向に移動することを抑える。
【0088】
このように、逆流抑止壁260は、排出口214よりも搬送方向X下流側の位置において、搬送方向Xとは逆方向にトナーが移動して排出口214に向かうことを抑止する。
【0089】
駆動力伝達部材270は、図3に示すように、伝達軸271と歯車部272とを含む。伝達軸271は、円柱状部材であり、一端部が歯車部272に接続され、他端部が搬送軸231に接続される。歯車部272は、図示しないモータなどの駆動部に設けられる歯車と係合し、この駆動部から付与されるトルクによって回転する。歯車部272が回転することによって、伝達軸271は、その軸線回りに30rpm〜120rpmで回転する。伝達軸271が回転することによって、搬送軸231は、回転方向Gに、30rpm〜120rpmで回転する。
【0090】
駆動力伝達部材270は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成され、好ましくは、搬送部材230と一体的に形成される。
【0091】
本実施形態では、歯車部272は、開閉部材240の回転方向Gにおける位置を、排出口214の開閉部分Kが閉鎖状態になるように位置決めするための図示しない位置決め部を有する。歯車部272に設けられる位置決め部は、トナーカートリッジ載置台361に設けられる図示しない位置決め部と係合し、これによって、開閉部材240は、排出口214の開閉部分Kを閉鎖状態として、トナーカートリッジ載置台361に装着される。トナーカートリッジ200は、出荷時からトナーカートリッジ載置台361に装着されるまでの間、粘着テープなどによって歯車部272が回転しないように固定されており、これによって、排出口214の開閉部分Kが閉鎖状態となる位置に開閉部材240が固定されている。そして、トナーカートリッジ200を使用する際には、歯車部272を固定する粘着テープが剥がされてそのままトナーカートリッジ載置台361に装着される。したがって、トナーカートリッジ200は、出荷時から、排出口214の開閉部分Kを閉鎖状態としたまま、トナーカートリッジ載置台361に装着される。その後、トナーカートリッジ200によって現像装置24にトナーを供給する際には、搬送部材230の回転数が整数値に制御される。これによって、搬送部材230の停止時、すなわち、トナーの非供給時に、排出口214の開閉部分Kが閉鎖状態となる。
【0092】
このように構成されるトナーカートリッジ200によれば、開閉部材240は、搬送軸231の回転に連動して、排出口214の少なくとも一部を開閉する。したがって、トナー供給時以外のときは、開閉部材240によって、排出口214の少なくとも一部を閉鎖状態にすることが可能である。よって、トナーカートリッジ200は、トナー供給時以外における大量のトナーの流出を抑えることができる。これによって、画像形成装置100は、現像装置24内のトナー濃度を安定させることができ、長期に亘って安定して良好な画像を形成することができる。
【0093】
また、トナーカートリッジ200は、開閉部材240が、トナー排出部213の内壁から離間した状態で、排出口214の少なくとも一部を開閉する。したがって、開閉部材240とトナー排出部213の内壁との間で摩擦が生じることがないので、摩擦熱によってトナーに悪影響が生じるおそれがない。
【0094】
さらに、トナーカートリッジ200では、開閉部材240による排出口214の開閉動作は、搬送部材230の搬送軸231の回転動作によって行われる。したがって、開閉部材240による排出口214の開閉動作に、新たな駆動源を要さないので、トナーカートリッジ200の大型化を抑えることができる。
【0095】
また本実施形態では、扇台形部241と落下抑止部242とを含む開閉部材240によって排出口214の開閉動作を行っている。したがって、トナーカートリッジ200の構成を簡素化することができ、また、トナーカートリッジ200の大型化を抑えることができる。
【0096】
また本実施形態では、トナーカートリッジ200は、搬送方向Xとは逆方向にトナーが移動して排出口214に向かうことを抑止する逆流抑止壁260を備えている。したがって、トナーカートリッジ200は、開閉部材240によって排出口214が閉鎖状態となっているときに、トナーの流出をさらに抑えることができる。なお、本発明の他の実施形態としては、逆流抑止壁260が設けられなくてもよい。
【0097】
また本実施形態では、排出口214の開口幅Lは、10mm以上20mm以下である。これによって、排出口214が開放状態のときに、排出口214から確実にトナーを落下させることができ、現像装置24に確実にトナーを供給することができる。
【0098】
また本実施形態では、扇台形部241は、搬送方向Xにおける排出口214の上流端214aから、搬送方向Xに2mm以上4mm以下の位置に設けられる。したがって、排出口214のうち、搬送方向Xにおいて、排出口214の上流端214aから2mm〜4mmまでの部分は、常に開放状態となる。排出口214の上流端214aから2mm〜4mmまでの部分が常に開放状態であっても、残余の部分は、開閉部材240によって閉鎖状態にすることができる。したがって、トナー供給時以外における大量のトナーの流出を抑えることは可能である。
【0099】
そして、トナー供給時では、扇台形部241と搬送羽根232とによって挟まれるトナーを、排出口214の上流端214aから2mm〜4mmまでの部分に速やかに落下させることができる。これによって、トナーが圧縮されて過度の負荷が掛かることを抑えることができる。
【符号の説明】
【0100】
20 トナー像形成部
24,24b,24c,24m,24y 現像装置
30 転写部
40 定着部
50 記録媒体供給部
60 排出部
100 画像形成装置
200,200b,200c,200m,200y トナーカートリッジ
210 収容器
211 隔壁
212 トナー貯蔵部
213 トナー排出部
214 排出口
220 汲上げ部材
230 搬送部材
231 搬送軸
232 搬送羽根
240 開閉部材
241 扇台形部
242 落下抑止部
250 シャッタ部材
260 逆流抑止壁
270 駆動力伝達部材
300,300b,300c,300m,300y トナー供給パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する収容器であって、収容されたトナーを排出するための排出口が形成される収容器と、
前記収容器内に設けられ、搬送軸と搬送羽根とを含む搬送部材であって、前記搬送軸の回転に伴う前記搬送羽根の回転運動によって、前記排出口に向けて前記収容器内のトナーを搬送する搬送部材と、
前記搬送軸に固定され、前記収容器の内壁から離間して設けられる開閉部材であって、前記搬送軸の回転に連動して、前記排出口の少なくとも一部を開閉する開閉部材とを備えることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記開閉部材は、
前記搬送部材によるトナーの搬送方向に垂直な扇台形状の平面を有する扇台形部であって、内周部が前記搬送軸に固定され、弦の長さが前記排出口の前記搬送方向に垂直な開口幅以上の長さである扇台形部と、
前記扇台形部よりも前記搬送方向下流、かつ、前記排出口よりも鉛直方向上方の位置において、トナーの前記排出口への落下を抑止する落下抑止部とを含み、
前記搬送軸の回転方向における前記排出口の下流端の鉛直方向上方に、前記扇台形部の前記回転方向下流端が位置した時点から、前記回転方向における前記排出口の上流端の鉛直方向上方に、前記扇台形部の前記回転方向上流端が位置した時点までの期間に、前記排出口の少なくとも一部が閉鎖状態となることを特徴とする請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記開閉部材の前記搬送方向下流側に設けられる円環状の逆流抑止壁であって、前記排出口の前記搬送方向下流の位置において、前記搬送方向とは逆方向にトナーが移動して前記排出口に向かうことを抑止する逆流抑止壁をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記排出口の前記搬送方向に垂直な開口幅は、10mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記扇台形部は、前記搬送方向における前記排出口の上流端から、前記搬送方向に2mm以上4mm以下の位置に設けられることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
現像装置を備える電子写真方式の画像形成装置において、
前記現像装置にトナーを供給するトナーカートリッジとして、請求項1〜5のいずれか1つに記載のトナーカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公開番号】特開2012−132952(P2012−132952A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282447(P2010−282447)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】