説明

ナビゲーションシステム及び経路案内情報生成方法等

【課題】信号ケーブルを要することなく、携帯型ナビゲーション装置と車両側の機器(車両装置)とを繋いで測位精度を向上させ、また、音声による経路案内情報をより聞き取り易くすることが可能なナビゲーションシステム及び経路案内情報生成方法等を提供する。
【解決手段】車両装置における電源線路と携帯型ナビゲーション装置における電源線路とが着脱自在に電気的に接続され、車両装置は、車両の移動状態を示す移動情報を取得する手段と、移動情報を変調して移動情報変調信号を生成し、電源線路に重畳する移動情報重畳手段とを備え、携帯型ナビゲーション装置は、電源線路に重畳されて伝送してきた移動情報変調信号を受信し、当該移動情報変調信号を復調して移動情報を取得する手段と、自己の現在位置を示す位置情報を取得する手段と、移動情報及び位置情報に基づいて、経路案内情報を生成する経路案内情報生成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、車両に固定設置された車両装置と、携帯型ナビゲーション装置と、を備えたナビゲーションシステムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、目的地までの経路を案内するナビゲーション機能を備えた携帯電話機等の携帯型ナビゲーション装置が普及し始めている。かかる携帯型ナビゲーション装置においては、GPS(Global Positioning System)衛星から出力されるGPS電波(航法電波)をGPSアンテナにより受信し現在位置(経度及び緯度)を算出して、これをナビゲーション処理にて用いるようになっている。
【0003】
このようなナビゲーション機能を備えた携帯型ナビゲーション装置は、車両内においても、一般的な車両内に固定設置された車両用ナビゲーション装置の代わりに利用することができるが、GPS電波の届きにくい場所では、車両の検出位置に誤差が生じるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、このような問題を解決可能な車両用ナビゲーション装置が開示されており、当該車両用ナビゲーション装置においては、運転席のハンドルの近くのボード上に設置された充電用の台座に携帯電話機を設置し、GPS電波のバラツキ等による車両の検出位置の誤差を、台座内部の推測航法センサー装置によって微調整し、車両の測位精度を向上させている。
【特許文献1】特開2002−13936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような車両用ナビゲーション装置では、かかる台座を設置する必要がある上、車両側の機器(例えば、車速センサー)と台座とを接続するための信号ケーブルを別途配線しなければならず、取り付け面において煩雑であり、作業負荷がかかるという問題がある。一方、台座を無くし、携帯電話機と車両側の機器とを直接接続することも考えられるが、この場合にも信号ケーブルを別途配線しなければならない。
【0006】
更に、通常、ナビゲーション処理においては、経路案内情報が表示画面上に表示されると共に、音声出力されるようにもなっているが、仮に、台座に設置された携帯電話機のスピーカから経路案内情報を出力する構成とした場合、携帯電話機は小型ゆえに再生帯域及び出力電力も小さく、加えて、車室内では車両のロードノイズも折り重なるため、音声出力された経路案内情報が非常に聞き取りにくくなることが想定される。
【0007】
そこで、本願は、このような問題の解消を一つの課題とし、信号ケーブルを要することなく、携帯型ナビゲーション装置と車両側の機器(車両装置)とを繋いで測位精度を向上させることができ、また、音声による経路案内情報をより聞き取り易くすることが可能なナビゲーションシステム及び経路案内情報生成方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両に設置された車両装置と、携帯型ナビゲーション装置と、を備え、前記車両装置における電源線路と前記携帯型ナビゲーション装置における電源線路とが着脱自在に電気的に接続されるナビゲーションシステムであって、前記車両装置は、前記車両の移動状態を示す移動情報を取得する移動情報取得手段と、前記移動情報を変調して移動情報変調信号を生成し、前記電源線路に重畳する移動情報重畳手段と、を備え、前記携帯型ナビゲーション装置は、前記電源線路に重畳されて伝送してきた前記移動情報変調信号を受信し、当該移動情報変調信号を復調して前記移動情報を取得する移動情報取得手段と、自己の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記移動情報及び位置情報に基づいて、経路案内情報を生成する経路案内情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項7に記載の車両装置の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載のナビゲーションシステムに含まれ、前記移動情報取得手段及び前記移動情報重畳手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項8に記載の携帯型ナビゲーション装置の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載のナビゲーションシステムに含まれ、前記移動情報取得手段、前記位置情報取得手段、及び前記経路案内情報生成手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項9に記載の車両処理プログラムの発明は、コンピュータを、請求項7に記載の車両装置として機能させることを特徴とする。
【0012】
請求項10に記載のナビゲーション処理プログラムの発明は、コンピュータを、請求項8に記載の携帯型ナビゲーション装置として機能させることを特徴とする。
【0013】
請求項11に記載の記録媒体の発明は、請求項9又は10に記載の前記プログラムがコンピュータ読み取り可能に記録されていることを特徴とする。
【0014】
請求項12に記載の発明は、車両に設置された車両装置と、携帯型ナビゲーション装置と、を備え、前記車両装置における電源線路と前記携帯型ナビゲーション装置における電源線路とが着脱自在に電気的に接続されるナビゲーションシステムにおける経路案内情報生成方法であって、前記車両装置は、前記車両の移動状態を示す移動情報を取得する工程と、前記移動情報を変調して移動情報変調信号を生成し、前記電源線路に重畳する工程と、を備え、前記携帯型ナビゲーション装置は、前記電源線路に重畳されて伝送してきた前記移動情報変調信号を受信し、当該移動情報変調信号を復調して前記移動情報を取得する工程と、自己の現在位置を示す位置情報を取得する工程と、前記移動情報及び位置情報に基づいて、経路案内情報を生成する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本願の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
先ず、図1を参照して、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成,機能について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの概要構成例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、ナビゲーションシステムSは、車両のコンピュータ1と、車両情報抽出ユニット2と、車両オーディオ再生装置3と、携帯型ナビゲーション装置としてのナビゲーション機器4と、を含んで構成されている。
【0019】
車両のコンピュータ1、車両情報抽出ユニット2、及び車両オーディオ再生装置3は、車両内に固定設置されており、本願の車両装置を構成する。また、車両のコンピュータ1、車両情報抽出ユニット2、及び車両オーディオ再生装置3は、車両に搭載されたバッテリBに繋がる車両内の電源線路(電源ライン)L1に接続され電源供給を受けている。
【0020】
一方、ナビゲーション機器4は、ユーザにより携帯され、持ち歩いて使用される機器であり、例えば、ポータブルナビゲーション端末、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)等、小型の端末を適用することが望ましい。
【0021】
そして、専用の電源ケーブルKの一方端子をナビゲーション機器4の電源端子T2に接続し、該電源ケーブルKの他方端子を車両の電源端子T1(例えば、シガーライターソケット)に接続する(差し込む)ことにより、図1に示す如く、ナビゲーション機器4は、車両のコンピュータ1、車両情報抽出ユニット2、及び車両オーディオ再生装置3と共通の電源線路L1に接続されることになる(つまり、ナビゲーション機器4内の電源線路(図示せず)と車両内の電源線路L1とが電気的に着脱自在に接続される)。
【0022】
次に、図2を参照して、車両内に設置された車両のコンピュータ1、車両情報抽出ユニット2、及び車両オーディオ再生装置3の構成,機能について説明する。
【0023】
図2は、車両のコンピュータ1、車両情報抽出ユニット2、及び車両オーディオ再生装置3の概要構成例を示す図である。
【0024】
図2に示すように、車両のコンピュータ1は、車両内の電源線路L1に接続される電源回路部11と、制御部12(移動情報取得手段の一例)と、を含んで構成されている。制御部12は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),作業用RAM(Random Access Memory)等を備え、CPUがROMに記憶されたプログラム(本願の車両処理プログラムを含む)を読み出して実行することにより、車両内における各種電子、電気機器Dを制御するようになっている。この電子、電気機器Dとしては、車両のフロントパネルにおけるスピードメーターやタコメーター、更には、前進/後退ギア回路等が該当する。
【0025】
そして、制御部12は、当該電子、電気機器Dから、車速パルス、及び前進/後退ギアの情報等の車両の移動状態を示す移動情報等を含む車両情報を取得し、これを車両情報抽出ユニット2に出力するようになっている。
【0026】
また、車両情報抽出ユニット2は、車両内の電源線路L1に接続される電源回路部21と、変調用PLC(Power Line Communications:電力線搬送通信)モデム部22(移動情報重畳手段の一例)と、を含んで構成されている。変調用PLCモデム部22は、車両のコンピュータ1から出力された車両情報を入力し、当該車両情報を変調(例えば、短波帯の無線周波数に変調)して車両情報変調信号(移動情報変調信号を含む)を生成し、これを電源線路L1に重畳するようになっている。こうして重畳された車両情報変調信号は、ナビゲーション機器4に伝送されることになる。
【0027】
また、車両オーディオ再生装置3は、車両内の電源線路L1に接続される電源回路部31と、復調用PLCモデム部32(経路案内情報取得手段の一例)と、オーディオ信号処理部33と、制御部34(提示手段の一例)と、を含んで構成されている。
【0028】
復調用PLCモデム部32は、電源線路L1に重畳されて伝送してきた後述する経路案内情報変調信号を受信し、当該経路案内情報変調信号を復調して経路案内オーディオ信号(経路案内情報の一例)を取得し、これをオーディオ信号処理部33に出力するようになっている。
【0029】
オーディオ信号処理部33は、例えばDAC(デジタル/アナログ信号変換器)、オーディオ信号選択又はミキシング部、及びアンプ等を備え、制御部34の制御の下、図示しないラジオ等のチューナや、CD(Compact Disc),MD(Mini Disc)等の再生部から出力された車両オーディオ信号と、復調用PLCモデム部32から出力された経路案内オーディオ信号を入力し、当該車両オーディオ信号と経路案内オーディオ信号とをミキシングしD/A変換した後、増幅してスピーカ38に出力するようになっている。なお、かかるスピーカ38は、再生帯域及び出力電力が大きく、例えば車両の前後左右の4箇所に埋め込まれたものである。
【0030】
制御部34は、CPU,ROM,作業用RAM等を備え、CPUがROMに記憶されたプログラム(本願の車両処理プログラムを含む)を読み出して実行し、ユーザからの操作部(図示せず)を介した操作指示にしたがって、オーディオ信号処理部33からのオーディオ信号の出力態様を制御するようになっている。
【0031】
次に、図3を参照して、ナビゲーション機器4の構成,機能について説明する。
【0032】
図3は、ナビゲーション機器4の概要構成例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、ナビゲーション機器4は、内蔵バッテリ41(例えば、充電電池)と、当該内蔵バッテリ41に繋がる電源線路L2に接続される電源回路部42と、GPS衛星から出力されるGPS電波を受信するGPSアンテナ43と、GPS受信機部44と、復調用PLCモデム部45(移動情報取得手段の一例)と、記憶部46と、通信部47と、情報処理部48(位置情報取得手段及び経路案内情報生成手段の一例)と、操作部49と、オーディオ信号処理部50と、スピーカ51と、変調用PLCモデム部52と、表示部53と、を含んで構成されている。なお、内蔵バッテリ41は、車両側からの電源ケーブルKを通じた電源供給により充電される。
【0034】
GPS受信機部44は、GPSアンテナ43により受信されたGPS電波に係る信号に基づいて自己の現在位置を示す位置情報(経度及び緯度)を検出し、これを情報処理部48に出力するようになっている。
【0035】
復調用PLCモデム部45は、電源線路L2に重畳されて伝送してきた車両情報変調信号を受信し、当該車両情報変調信号を復調して車両情報を取得し、これを情報処理部48に出力するようになっている。
【0036】
記憶部46は、例えばフラッシュROM、CF(Compact Flash)カード、SD(Secure Digital memory)カード等からなり、ここには、ナビゲーション処理に必要なデータが記憶されている。かかるデータには、地図データ、リンクデータ(例えば、道路データ)、ノードデータ(例えば、交差地点データ)、経路案内元データ、ユーザに対し入力指示や選択指示を促すためのデータ(例えば、メニューデータ)等が含まれている。
【0037】
通信部47は、当該ナビゲーション機器4が携帯電話機であれば、通常の通話機能を有する他、アンテナを介して無線基地局及びネットワークを介してサーバとデータ通信を行い、記憶部46に記憶されたデータを補うデータ(例えば、地図データ)を取得可能になっている。
【0038】
情報処理部48は、CPU,ROM,作業用RAM等を備え、CPUがROMに記憶されたプログラム(本願のナビゲーション処理プログラムを含む)を読み出して実行することにより、地図データを表示部53に表示させると共に、上記位置情報及び車両情報に基づいて、経路案内情報を生成し、これをユーザに対して提示(例えば、表示、音声出力)する、いわゆるナビゲーション処理を行うようになっている。
【0039】
より具体的には、情報処理部48は、GPS受信機部44から位置情報を、記憶部46から地図データ等を、夫々取得し、当該位置情報に基づき地図データ上における車両の座標位置(X,Y)を算出する。そして、情報処理部48は、復調用PLCモデム部45から車両情報を取得し、これに含まれる前進/後退ギアの情報により車両が前進しているか否かを判別し、且つ、車速パルスにより車両の速度を算出して、上記算出された車両の座標位置を補正する。これにより、GPS電波の届きにくいトンネル等の場所であり、車両の座標位置に誤差が生じる場合であっても微調整することが可能である。なお、車両の座標位置の補正方法は、公知の技術であるので、更なる詳しい説明を省略する。
【0040】
そして、情報処理部48は、上記補正された座標位置(現在位置)から、設定された目的地(ユーザにより操作部49を介して入力又は選択されることにより設定)までの案内経路の計算を行い、以後、経路案内処理において、経路案内情報としての経路案内オーディオ信号及び経路案内表示データを生成し、経路案内オーディオ信号をオーディオ信号処理部50へ、経路案内表示データを表示部53へ、夫々出力する。
【0041】
オーディオ信号処理部50は、例えばDAC(デジタル/アナログ信号変換器)、アンプ等を備え、情報処理部48から出力された経路案内オーディオ信号をD/A変換した後、増幅してスピーカ51から音波として出力すると共に、上記経路案内オーディオ信号を変調用PLCモデム部52に出力するようになっている。
【0042】
変調用PLCモデム部52は、オーディオ信号処理部50から出力された経路案内オーディオ信号を入力し、当該経路案内オーディオ信号を変調(例えば、短波帯の無線周波数に変調)して経路案内情報変調信号を生成し、これを電源線路L2に重畳するようになっている。こうして重畳された経路案内情報変調信号は、車両オーディオ再生装置3に伝送されることになる。
【0043】
表示部53は、例えば描画処理部、バッファメモリ及びディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイ等)等を備え、描画処理部が、情報処理部48から出力された地図データ(地図画像データ)をバッファメモリに展開、描画した後、ディスプレイにおける表示画面に表示し、情報処理部48から出力された経路案内表示データを当該表示された地図上に重畳して表示するようになっている。
【0044】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るナビゲーションシステムSの動作について説明する。
【0045】
図4(A)は、車両のコンピュータ1における制御部12における処理を示すフローチャートであり、図4(B)は、ナビゲーション機器4の情報処理部48における処理を示すフローチャートであり、図4(C)は、車両オーディオ再生装置3における制御部34の処理を示すフローチャートである。
【0046】
先ず、図4(A)に示す処理は、例えば、車両エンジン始動、又は車両情報抽出ユニット2の電源スイッチオンにより開始され、先ず、制御部12は、電子、電気機器Dから、車速パルス、及び前進/後退ギアの情報等の車両の移動状態を示す移動情報等を含む車両情報を取得する(ステップS1)。次いで、制御部12は、取得した車両情報を車両情報抽出ユニット2に出力し(ステップS2)、上記ステップS1に戻り、例えばエンジン停止により当該処理が終了するまで当該処理は繰り返される。こうして、車両情報抽出ユニット2に出力された車両情報は、変調用PLCモデム部22により変調され、変調された車両情報変調信号が電源線路L1に重畳される。
【0047】
次に、図4(B)に示す処理は、例えば、ナビゲーション機器4が電源スイッチオンにより動作し表示部53上に地図が表示されている状態においてユーザにより操作部49を介して入力又は選択された目的地が設定(又は設定変更)された場合に開始され、先ず、情報処理部48は、復調用PLCモデム部45から、復調された車両情報が出力されているか否かを確認し(ステップS11)、出力されている場合には(ステップS11:Y)、これを取得し(ステップS12)、ステップS13に移行する。
【0048】
一方、復調用PLCモデム部45から、復調された車両情報が出力されていない場合(ステップS11:N)(例えば、電源ケーブルKが接続されていない場合(例えば、車両外で使用されている)、或いは、車両情報抽出ユニット2が動作していない場合が該当する)、ステップS14に移行する。
【0049】
ステップS13では、情報処理部48は、GPS受信機部44から位置情報を取得し、当該位置情報に基づき地図データ上における車両の座標位置(X,Y)を算出し、更に、上記取得した車両情報に基づき、上述したように、算出した車両の座標位置を補正する。
【0050】
一方、ステップS14では、情報処理部48は、GPS受信機部44から位置情報を取得し、当該位置情報に基づき地図データ上における車両の座標位置(X,Y)を算出する(補正はされない)。
【0051】
次いで、情報処理部48は、経路案内中であるか否かを判断し(ステップS15)、経路案内中である場合には(ステップS15:Y)、上記現在位置(上記算出された座標位置)から目的地(或いは、目的地の途中までの所定地点)までの案内経路を計算する(ステップS16)。
【0052】
次いで、情報処理部48は、現在位置の移動に応じて表示部53上に表示される地図を更新(更新されるべき地図データを表示部53に出力)する(ステップS17)。
【0053】
次いで、情報処理部48は、経路案内情報を出力するか否かを判断し(ステップS18)、経路案内情報を出力すると判断した場合には(ステップS18:Y)、当該経路案内情報としての経路案内オーディオ信号及び経路案内表示データを生成し(ステップS19)、経路案内オーディオ信号をオーディオ信号処理部50へ、経路案内表示データを表示部53へ、夫々出力し(ステップS20)、ステップS11に戻り、以後、目的地に到達するか、或いは、ナビゲーション機器4の動作が終了するまで上記処理が繰り返される。こうして、オーディオ信号処理部50に出力された経路案内オーディオ信号は、D/A変換され、増幅されてスピーカ51から音波として出力されると共に、変調用PLCモデム部52に出力される。そして、変調用PLCモデム部52に出力された経路案内オーディオ信号は変調され、変調された経路案内情報変調信号が電源線路L2に重畳される。
【0054】
次に、図4(C)に示す処理は、車両オーディオ再生装置3の電源スイッチオンにより開始され、先ず、制御部34は、復調用PLCモデム部32から、復調された経路案内オーディオ信号が出力されているか否かを確認し(ステップS21)、出力されている場合には(ステップS21:Y)、ステップS22に移行する。
【0055】
ステップS22では、制御部34は、現在、上述した車両オーディオ信号が、オーディオ信号処理部33から出力されているか否かを判断(つまり、経路案内オーディオ信号以外のオーディオ信号(音声信号)の出力中(再生中)であるか否かを判断)し、車両オーディオ信号が出力されている(出力中である)場合には(ステップS22:Y)、当該出力中の車両オーディオ信号と共に経路案内オーディオ信号を出力させるミキシング出力指令をオーディオ信号処理部33に与える(ステップS23)。これにより、車両オーディオ信号と経路案内オーディオ信号は、オーディオ信号処理部33によりミキシングされてスピーカ38から音声出力される。なお、経路案内オーディオ信号の音声出力が終了した場合には、車両オーディオ信号の再生出力を元に戻すように制御される。
【0056】
一方、車両オーディオ信号が出力されていない場合には(ステップS22:N)、制御部34は、経路案内オーディオ信号のみを出力させる経路案内オーディオ信号出力指令をオーディオ信号処理部33に与える(ステップS24)。これにより、経路案内オーディオ信号は、オーディオ信号処理部33を介してスピーカ38から音声出力される。
【0057】
なお、図4(C)に示す処理は、車両オーディオ再生装置3の電源スイッチオフになるまで繰り返し実行される。
【0058】
以上説明したように、上記実施形態によれば、車両に設置された車両のコンピュータ1等の車両装置における電源線路L1と、ナビゲーション機器4における電源線路L2とを着脱自在に電気的に接続し、車両のコンピュータ1の制御部12が、車両の移動状態を示す移動情報を含む車両情報を取得し、車両情報抽出ユニット2の変調用PLCモデム部22が、当該車両情報を変調して車両情報変調信号を生成し、電源線路L1に重畳し、ナビゲーション機器4の復調用PLCモデム部45が、電源線路L2に重畳されて伝送してきた車両情報変調信号を受信し、当該車両情報変調信号を復調して車両情報を取得し、ナビゲーション機器4の情報処理部48が、当該車両情報及び自己の現在位置を示す位置情報を取得し、当該車両情報及び位置情報に基づいて、経路案内情報を生成するように構成したので、信号ケーブルを要することなく、ナビゲーション機器4と車両のコンピュータ1等の車両装置とを繋いで測位精度を向上(ナビゲーション機器4の着脱容易性及び携帯性を維持した上で、測位精度も向上)させることができる。また、信号ケーブルを別途配線する必要がないので、ハーネス本数が大幅に減り、取り付けが容易になり、取り付け作業者の負担、工数を軽減することができる。
【0059】
また、ナビゲーション機器4における復調用PLCモデム部45が、上記生成された経路案内情報としての経路案内オーディオ信号を変調して経路案内情報変調信号を生成し、電源線路L2に重畳し、車両オーディオ再生装置3の復調用PLCモデム部32が、電源線路L1に重畳されて伝送してきた経路案内情報変調信号を受信し、当該経路案内情報変調信号を復調して経路案内オーディオ信号を取得し、オーディオ信号処理部33が、当該経路案内オーディオ信号を、再生帯域及び出力電力が大きい車両のスピーカ38から出力させて使用者に対して提示するように構成したので、音声による経路案内情報をより聞き取り易くすることができる。
【0060】
また、ナビゲーション機器4の電源端子に接続した電源ケーブルKを車両のシガーライターソケット(車両装置側の電源端子)に差し込むだけで、両電源線路が電気的に接続され、信号ケーブルを要せず、ナビゲーション機器4と車両に設置された車両のコンピュータ1等の車両装置との間のデータ通信を行うことができ、しかもナビゲーション機器4の充電も同時に行うことができる。
【0061】
また、車両オーディオ再生装置3の制御部34は、上記経路案内オーディオ信号が取得された際に、当該経路案内オーディオ信号以外の車両オーディオ信号の出力中であるか否かを判断し、出力中である場合には、当該出力中の車両オーディオ信号と共に経路案内オーディオ信号をスピーカ38から出力(例えば、ミキシングして出力)させるように構成したので、ユーザは、車両オーディオ信号の再生出力中にも、これを妨げることなく、経路案内情報を聴くことができ、利便性を向上させることができる。
【0062】
なお、上記実施形態において、車両オーディオ再生装置3の制御部34は、上記経路案内オーディオ信号が取得された際に、当該経路案内オーディオ信号以外の車両オーディオ信号の出力中であるか否かを判断し、出力中である場合には、当該出力中の車両オーディオ信号の出力を一時停止(車両オーディオ信号から経路案内オーディオ信号に出力を切り替える)し、経路案内オーディオ信号のみをスピーカ38からさせるように構成しても良い。このような構成によれば、ユーザは、車両オーディオ信号の再生出力が自動的に一時停止され、経路案内情報を聴くことができ、利便性を向上させることができる。なお、経路案内オーディオ信号の音声出力が終了した場合には、車両オーディオ信号の一時停止を戻し再生出力するように制御される。
【0063】
また、上記実施形態において、車両オーディオ再生装置3の制御部34は、上記経路案内オーディオ信号が取得された際に、当該経路案内オーディオ信号以外の車両オーディオ信号の出力中であるか否かを判断し、出力中である場合には、当該出力中の車両オーディオ信号の音量を下げ、当該出力中の車両オーディオ信号と共に経路案内オーディオ信号をスピーカ38から出力(例えば、ミキシングして出力)させるように構成しても良い。このような構成によれば、ユーザは、車両オーディオ信号の出力の音量が自動的に一時下げられ、経路案内情報を聴くことができ、利便性を向上させることができる。なお、経路案内オーディオ信号の音声出力が終了した場合には、車両オーディオ信号の音量を元に戻すように制御される。
【0064】
また、上記実施形態において、車両オーディオ再生装置3に備えた復調用PLCモデム部32を、車両情報抽出ユニット2に備えさせ、当該復調用PLCモデム部32により生成された経路案内オーディオ信号が車両オーディオ再生装置3におけるオーディオ信号処理部33に出力されるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係るナビゲーションシステムの概要構成例を示す図である。
【図2】車両のコンピュータ1、車両情報抽出ユニット2、及び車両オーディオ再生装置3の概要構成例を示す図である。
【図3】ナビゲーション機器4の概要構成例を示す図である。
【図4】(A)は、車両のコンピュータ1における制御部12における処理を示すフローチャートであり、(B)は、ナビゲーション機器4の情報処理部48における処理を示すフローチャートであり、(C)は、車両オーディオ再生装置3における制御部34の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 車両のコンピュータ
2 車両情報抽出ユニット
3 車両オーディオ再生装置
4 ナビゲーション機器
11 電源回路部
12 制御部
21 電源回路部
22 変調用PLCモデム部
31 電源回路部
32 復調用PLCモデム部
33 オーディオ信号処理部
34 制御部
38 スピーカ
41 内蔵バッテリ
42 電源回路部
43 GPSアンテナ
44 GPS受信機部
45 復調用PLCモデム部
46 記憶部
47 通信部
48 情報処理部
49 操作部
50 オーディオ信号処理部
51 スピーカ
52 変調用PLCモデム部
S ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置された車両装置と、携帯型ナビゲーション装置と、を備え、前記車両装置における電源線路と前記携帯型ナビゲーション装置における電源線路とが着脱自在に電気的に接続されるナビゲーションシステムであって、
前記車両装置は、
前記車両の移動状態を示す移動情報を取得する移動情報取得手段と、
前記移動情報を変調して移動情報変調信号を生成し、前記電源線路に重畳する移動情報重畳手段と、
を備え、
前記携帯型ナビゲーション装置は、
前記電源線路に重畳されて伝送してきた前記移動情報変調信号を受信し、当該移動情報変調信号を復調して前記移動情報を取得する移動情報取得手段と、
自己の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記移動情報及び位置情報に基づいて、経路案内情報を生成する経路案内情報生成手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記携帯型ナビゲーション装置は、
前記経路案内情報を変調して経路案内情報変調信号を生成し、前記電源線路に重畳する経路案内情報重畳手段を更に備え、
前記車両装置は、
前記電源線路に重畳されて伝送してきた前記経路案内情報変調信号を受信し、当該経路案内情報変調信号を復調して前記経路案内情報を取得する経路案内情報取得手段と、
前記経路案内情報を使用者に対して提示する提示手段と、
を更に備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記車両装置における前記提示手段は、前記経路案内情報を音声出力させるものであって、
当該提示手段は、前記経路案内情報が取得された際に、当該経路案内情報以外の音声信号の出力中であるか否かを判断し、出力中である場合には、当該出力中の音声信号と共に前記経路案内情報に係る音声信号を出力させることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記車両装置における前記提示手段は、前記経路案内情報を音声出力させるものであって、
当該提示手段は、前記経路案内情報が取得された際に、当該経路案内情報以外の音声信号の出力中であるか否かを判断し、出力中である場合には、当該出力中の音声信号の出力を停止し、前記経路案内情報に係る音声信号を出力することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記車両装置における前記提示手段は、前記経路案内情報を音声出力させるものであって、
当該提示手段は、前記経路案内情報が取得された際に、当該経路案内情報以外の音声信号の出力中であるか否かを判断し、出力中である場合には、当該出力中の音声信号の音量を下げ、当該音声信号と共に前記経路案内情報に係る音声信号を出力することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記車両装置における電源線路と前記携帯型ナビゲーション装置における電源線路とは、夫々の前記装置に備えられた電源端子間を電源ケーブルで接続することによって電気的に接続されることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のナビゲーションシステムに含まれ、前記移動情報取得手段及び前記移動情報重畳手段を備えることを特徴とする車両装置。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のナビゲーションシステムに含まれ、前記移動情報取得手段、前記位置情報取得手段、及び前記経路案内情報生成手段を備えることを特徴とする携帯型ナビゲーション装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項7に記載の車両装置として機能させることを特徴とする車両処理プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、請求項8に記載の携帯型ナビゲーション装置として機能させることを特徴とするナビゲーション処理プログラム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の前記プログラムがコンピュータ読み取り可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項12】
車両に設置された車両装置と、携帯型ナビゲーション装置と、を備え、前記車両装置における電源線路と前記携帯型ナビゲーション装置における電源線路とが着脱自在に電気的に接続されるナビゲーションシステムにおける経路案内情報生成方法であって、
前記車両装置は、
前記車両の移動状態を示す移動情報を取得する工程と、
前記移動情報を変調して移動情報変調信号を生成し、前記電源線路に重畳する工程と、
を備え、
前記携帯型ナビゲーション装置は、
前記電源線路に重畳されて伝送してきた前記移動情報変調信号を受信し、当該移動情報変調信号を復調して前記移動情報を取得する工程と、
自己の現在位置を示す位置情報を取得する工程と、
前記移動情報及び位置情報に基づいて、経路案内情報を生成する工程と、
を備えることを特徴とする経路案内情報生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−255938(P2007−255938A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77624(P2006−77624)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】