説明

ナビゲーション装置、その方法及びそのプログラム

【課題】経路から外れた際に再探索経路をすばやく提示することにより、高い安全性と安心感を発揮するナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムを提供する。
【解決手段】再探索情報検出部27がユーザーの自宅から半径Nmの範囲内に存在する過去の再探索開始地点を検出したとき、これら開始地点にて経路外れが起きたと想定し、経路外れ検出部24による経路外れの検出に先行して、当該開始地点から前記目的地までの経路を事前に探索する。また、事前探索経路記憶部23では、経路探索部22にて事前探索された経路を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索を行った誘導路から外れた場合に、経路を自動的に再探索するオートリルート機能を備えたナビゲーション技術に係り、特に、再探索した経路をスピーディに提示可能なナビゲーション装置、その方法及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、普及の著しいナビゲーション装置は様々な機能を有しているが、中でも、利用頻度が高い機能の1つにオートリルート機能がある。オートリルート機能とは、経路探索を行った誘導路から自車が逸脱して走行した場合に、逸脱した地点を出発地とした目的地までの新たな経路を、自動的に再探索する機能である。
【0003】
このようなオートリルート機能を利用すれば、たとえ、車両が誘導路を一時的に外れたにせよ、目的地までの新たな誘導路が、経路を外れるたびに提示されるので、ユーザーは途中で迷うことなく、目的地まで確実に到達することが可能である。
【0004】
ここで、オートリルート機能を備えた車載用ナビゲーション装置の従来例について説明する。ナビゲーション装置では、地図上の道路や地名、建物などを数値化して得たデータベースをDVDやHDDなどの記録媒体に保持しておき、このデータベースに基づきユーザー操作により目的地を設定する。また、自車位置あるいは任意の地点を出発地とし、出発地と目的地を結ぶ経路について、ダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを用いて最適な経路を探索し、目的地までの経路を決定する。
【0005】
また、車両の現在位置である自車位置は、ジャイロスコープや車速パルスを用いた自律航法及びGPSやFM多重を用いた電波航法に基づいて推定する。そして、この自車位置と、探索した経路とをマップマッチングしながら画面上に表示し、合成音声などと合わせて、探索した経路を誘導路として誘導案内を行う。
【0006】
以上のようなナビゲーション装置において、ユーザーが誘導案内を誤認した場合や、経路の一部区間の地図データが古いために実際には通行できない場合などに、提示されている探索経路を外れることがある。このケースで前記オートリルート機能が働くようになっている。
【0007】
オートリルート機能を有する従来技術としては、特許文献1〜3などが知られている。例えば、特許文献1は、交差点で自車を転回させることも考慮に入れて経路の再探索を行うようにしたものである。
【0008】
また、特許文献2記載の技術では、地図情報に基づいてマップマッチング処理された測位位置が、交差点を含む分岐エリア内に位置するかどうかを判定し、分岐エリア内であれば、測位時間間隔を通常よりも短縮するようになっている。特許文献2の技術によれば、誘導路から外れる確率が高い分岐エリアでは経路の再探索を早いタイミングで開始することができ、再探索した経路を迅速に提示することが可能である。
【0009】
さらに、特許文献3記載の技術は、再探索した経路を経路記憶手段に記憶しておくことに特徴がある。特許文献3の技術によれば、オートリルート機能をオフモードとした場合でも、ユーザーが要求すれば、即座に再探索経路を経路記憶手段から呼び出すことを可能である。
【特許文献1】特開2008−128745号公報
【特許文献2】特開2008−197064号公報
【特許文献3】特許第3585007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の従来技術には次のような課題が指摘されていた。すなわち特許文献1は、交差点で自車を転回させることも考慮に入れて経路の再探索を行っているが、実際には一方通行や渋滞など交通状況によって、車両の転回は禁止あるいは困難であることが多い。
【0011】
したがって、実際には車両を転回させてまで、元の誘導路に戻るような走行は少ない。このため、オートリルート機能では、車両をユーターンさせる道路方向が逆方向である経路よりも、道路方向が順方向である経路を優先して、経路を再探索することが一般的である。
【0012】
ところが、経路の再探索に際して順方向の経路を優先した結果、再探索した経路のうち、経路の開始道路を行き過ぎて、そこへの進入を逃してしまうと、順方向に存在する次の開始道路を含む再探索経路が提示されるまで、誘導路が提示されない状態で走行せざるを得なくなる。
【0013】
つまり、誘導路を自車が外れてから、再探索した経路が提示されるまでのタイムラグが問題となる。オートリルート機能による経路再探索の開始タイミングは、誘導路と自車位置との距離が一定以上離れるなど、誘導路から自車位置が外れたことを検出した時点である。
【0014】
しかも、自車位置の測位時間についても一定の間隔が取られているため、測位タイミングの直後に、経路外れが検出される寸前まで誘導路と自車位置との距離が離れている場合には、前記タイムラグは最大となり、通常、数秒程度となる。
【0015】
車両は高速で移動するため、たとえ数秒後であっても、提示された再探索経路の開始道路を、自車位置が行き過ぎてしまう可能性がある。そこで、オートリルート機能では、誘導路を自車が外れてから、いかに素早く再探索経路を提示するかが重要視されている。
【0016】
この点に関して、図8を用いて具体的に説明する。図8では、車両Vが、交差点Aを右折し忘れて直進したことにより、走行開始時に探索された経路であるルートR1(一点鎖線にて図示)を外れた状況を示している。このとき、車両VがルートR1から一定の距離以上離れてからでないと、オートリルート機能の開始条件を満たすことにはならない。
【0017】
つまり、ナビゲーション装置は、車両Vが交差点Aを通過した時点では即座に、経路から外れたことを認識することができず、経路外れを把握するのは、車両Vが交差点Aを通過して直進した後、ルートR1から一定の距離以上離れたX地点に達した時点である。
【0018】
このX地点に車両Vが達した時点で、ナビゲーション装置ではオートリルート機能が働き始め、X地点を出発地として、当初の目的地までのルートR2(点線にて図示)の再探索を開始する。図8に示した例では、再探索された経路の開始地点は交差点Bとなり、そこから右折する道路が再探索経路の開始道路となっている。
【0019】
このようなルートR2の再探索に数秒ほど、かかった場合、車両Vの走行速度によっては、交差点Bを右折するルートR2が探索されて地図情報上に表示された時点で、X地点にいた車両Vが交差点Bを超えてしまい、Y地点に達してしまうことがある。
【0020】
この結果、車両Vは走行中の道路をユーターンして交差点Bまで戻らなければ、ルートR2に進入することができない。つまり、車両Vが順方向に進み続けるならば、ルートR2が提示された時点で、既にルートR2からの経路外れが起きていることになる。
【0021】
そのため、ルートR2から一定の距離以上離れた時点で、再びオートリルート機能が働くことになり、次の経路が再探索される。ただし、2度目の経路再探索を実施して、新たなルートを提示したにせよ、車両Vが、再探索された経路の開始道路を超えないという保証はない。
【0022】
このように経路の再探索が終了した時点で、提示された誘導路への進入が間に合わなければ、オートリルート機能が空しく繰り返されることになる。しかも、経路を再探索している最中は、誘導路は非表示状態である。したがって、オートリルート機能が働いている間は、ユーザーは誘導案内がなされていない状況で車両の走行を続けることを余儀なくされ、不安を覚えることがあった。
【0023】
以上のような不具合を解消するために、オートリルート機能を有するナビゲーション技術では、経路外れが起きた時点で即座に再探索経路が提示されることが理想である。再探索経路提示の迅速化を図る従来例として、上記の特許文献2では、交差点を含む分岐エリアを設定し、このエリアでの測位時間の間隔を短縮することによって、経路再探索を開始タイミングを早めている。また、特許文献3に記載の技術は、再探索した経路を記憶しておき、すぐさま必要な経路の表示処理を行うようにしている。
【0024】
しかしながら、特許文献2、3には次のような問題点があった。すなわち、特許文献2では、測位時間間隔を短縮する分岐エリアは単に交差点を含むだけのものなので、誘導路上に多数存在する。そのため、実質的には、全面的な常に測位時間間隔の短縮となりかねず、調整が面倒となって、コストの高騰を招き易かった。
【0025】
また、特許文献3に記載の技術では、ユーザーの要求を受けてから記憶した再探索経路を呼び出すので、ユーザー自身が経路外れに気づかなければ、再探索が実施されることはない。すなわち、特許文献3の技術は、オートリルート機能をオフにした場合でもユーザーが要求すれば再探索経路を提示可能である点に特徴があるものであって、経路外れを検知して自動的に経路を再探索する技術とは異なる。
【0026】
ユーザー自身が誘導路上に自車位置が存在するかどうかを意識する必要があると、運転時の心理的な負担の増大を招くことになり、誘導案内されることで未知の道路でも安心して走行できるといった、ナビゲーション装置としての基本的な使用感が低下するおそれがあった。
【0027】
また、特許文献3の再探索経路記憶手段は、再探索した経路に関して全て記憶するので、データ量は膨大となる。そのため、記憶した再探索経路を呼び出すまでの時間が長くなって、結局、再探索経路を短時間で提示することができなくなる可能性もあり、改善が望まれていた。
【0028】
本発明は、上記のような状況を鑑みて提案されてものであり、その目的は、経路から外れた際に再探索経路をすばやく提示することにより、高い安全性と安心感を発揮するナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上述した目的を達成するために、請求項1の本発明は、自車位置を検出する自車位置検出手段と、地図情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された地図情報に基づき任意の出発地からユーザー操作によって設定された目的地までの経路の探索及び該経路を自車位置が外れたときに前記目的地までの経路の再探索を行う経路探索手段と、前記経路探索手段の探索した経路から自車位置が外れる経路外れを検出する経路外れ検出手段と、前記経路探索手段の探索した経路に基づいて経路案内を行う経路案内制御手段とが具備されたナビゲーション装置において、次の点に特徴がある。
【0030】
すなわち、前記経路探索手段にて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する再探索情報記憶手段と、前記再探索情報記憶手段の記憶した経路再探索の開始地点又は開始道路の中で、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出する再探索情報検出手段と、が設けられ、前記経路探索手段は、前記再探索情報検出手段が前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出したとき、これら開始地点又は開始道路にて前記経路外れが起きたと想定し、前記経路外れ検出手段による経路外れの検出に先行して、当該開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路の事前探索を行うように構成され、さらに、前記経路探索手段にて事前探索された事前探索経路を記憶する事前探索経路記憶手段が設けられたことを構成上の特徴とするものである。
【0031】
また、請求項8の発明は、装置の発明である請求項1の発明を方法の観点から捉えたものである。すなわち、コンピュータを利用することにより、自車位置を検出する自車位置検出ステップと、地図情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップにて記憶された地図情報に基づき任意の出発地からユーザー操作によって設定された目的地までの経路の探索及び該経路を自車位置が外れたときに前記目的地までの経路の再探索を行う経路探索ステップと、前記経路探索ステップにて探索した経路から自車位置が外れる経路外れを検出する経路外れ検出ステップと、前記経路探索ステップにて探索した経路に基づいて経路案内を行う経路案内制御ステップとを含むナビゲーション方法において、前記経路探索ステップにて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する再探索情報記憶ステップと、前記再探索情報記憶ステップにて記憶した経路再探索の開始地点又は開始道路の中で、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出する再探索情報検出ステップとを含み、前記経路探索ステップでは、前記再探索情報検出ステップにて前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出したとき、これら開始地点又は開始道路にて前記経路外れが起きたと想定し、前記経路外れ検出機能による経路外れの検出に先行して、当該開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路の事前探索を行い、さらに、前記経路探索ステップにて事前探索された事前探索経路を記憶する事前探索経路記憶ステップを実行することを特徴としている。
【0032】
さらに、請求項9の発明は、請求項1、8の発明に係るナビゲーション装置及びその方法に関して、プログラムの観点から捉えている。すなわち、コンピュータを利用することにより、自車位置を検出する自車位置検出機能と、地図情報を記憶する記憶機能と、前記記憶機能にて記憶された地図情報に基づき任意の出発地からユーザー操作によって設定された目的地までの経路の探索及び該経路を自車位置が外れたときに前記目的地までの経路の再探索を行う経路探索機能と、前記経路探索機能にて探索した経路から自車位置が外れる経路外れを検出する経路外れ検出機能と、前記経路探索機能にて探索した経路に基づいて経路案内を行う経路案内制御機能とをコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムにおいて、前記経路探索機能にて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する再探索情報記憶機能と、前記再探索情報記憶機能にて記憶した経路再探索の開始地点又は開始道路の中で、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出する再探索情報検出機能とをコンピュータに実現させ、前記経路探索機能では、前記再探索情報検出機能にて前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出したとき、これら開始地点又は開始道路にて前記経路外れが起きたと想定し、前記経路外れ検出機能による経路外れの検出に先行して、当該開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路の事前探索を行うことをコンピュータに実現させ、さらに前記経路探索機能にて事前探索された事前探索経路を記憶する事前探索経路記憶機能をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラムである。
【0033】
以上のような請求項1、8、9の発明では、再探索情報記憶手段にて過去に再探索された経路の開始地点又は開始道路を記憶しておき、その中から、再探索情報検出手段が、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に、開始地点又は開始道路が存在しているかどうかを確認する。
【0034】
そして、ユーザー操作によって目的地を設定した後、再探索情報検出手段が前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出した場合には、経路探索手段は、単に目的地までの経路探索を行うだけではなく、開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路探索を事前に実施しておく。
【0035】
すなわち、経路探索手段は、再探索情報検出手段の検出した開始地点又は開始道路において、経路外れが起きたと想定して、経路外れ検出手段による経路外れの検出がなされる以前に、過去に経路再探索を行った再探索の開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路を、実際に自車が経路から外れるかどうかに関係なく、先行して探索する。そして、事前探索経路記憶手段が、経路探索手段の探索した事前探索経路を記憶する。
【0036】
これにより、自車が経路から外れて経路外れ検出手段が経路外れを検出した場合、この時の経路外れのポイントが前記特定地点を含むエリア内に存在する過去の再探索経路の開始地点又は開始道路であれば、単に記憶してある事前探索経路を取り出すだけで済む。したがって、迅速な再探索経路の提示が可能である。
【0037】
つまり、本発明では、蓄積した過去の再探索情報の中から、特定地点を含むエリア内に絞って経路外れが起きることを予想し、予想した地点から目的地までの経路が事前に再探索されている。このため、自車位置が誘導中の経路を実際に外れてから経路の再探索作業を開始するのではなく、経路外れが起きた時点では既にそこから目的地まで経路の探索は終了してことになる。
【0038】
したがって、従来技術のように経路の再探索に時間がかかり、経路の再探索が終了した時点で再探索経路の開始道路への進入ができなくなる不具合を確実に回避することができる。その結果、オートリルート機能を何度も繰り返すといった事態に陥ることがなく、ユーザーにストレスを与えず、的確に再探索経路への誘導案内を実施することができる。
【0039】
しかも、特定地点を含むエリアに絞って経路の事前探索を実施するだけなので、全面的な測位時間の間隔の短縮といった面倒な調整作業が不要である。したがって、オートリルート機能を実現するための処理の負担はさほど増大せず、コスト的にも有利である。
【0040】
また、本発明は、前記特許文献3の技術のようにユーザーが要求して初めて再探索経路が提示されるのではなく、経路外れが検出されれば自動的に再探索経路が提示されるので、オートリルート機能の性能向上に寄与するものであり、ナビゲーション装置としての使用感を高めることができる。
【0041】
さらに、本発明では、道路のリンクコストを下げることでその道路を選択し易くさせる、いわゆる学習機能を利用するのではなく、あくまでも過去に再探索された経路に基づいて、再探索経路の提示を行っているので、特定地点付近のリンクコストに左右されることがなく、道路状況によっては遠回りとなるような再探索経路が引かれる心配がない。
【0042】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段は、前記特定の地点を出発地として経路を探索するに際して、出発地である前記特定の地点から前記目的地までの経路探索と、前記再探索情報検出手段が検出した開始地点又は開始道路から前記目的地までの事前経路探索とを、同時に行うように構成されたことを特徴としている。
【0043】
このような請求項2の発明では、特定の地点を出発地として経路を探索する場合に、特定の地点から目的地までの経路探索を行うと同時に、特定の地点を含むエリア内の開始地点又は開始道路から目的地までの事前経路探索を内部処理しておくことで、走行開始時の探索経路の算出と同時に、全ての事前探索経路を求めておくことが可能である。したがって、仮に、当初の誘導路を走り始めた直後に経路外れが起きたとしても、経路外れのポイントが特定の地点を含むエリア内の開始地点又は開始道路であれば、そこからの再探索経路を確実に提示することができる。
【0044】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記特定の地点として、ユーザーの自宅もしくは通勤・通学場所を含むユーザーの高頻度利用地点が設定されていることを特徴としている。
【0045】
一般的に、ユーザーは、地理が不案内な場所では誘導路に慎重に従うが、ユーザーが頻繁に利用する地点を含む地域に関しては、その周辺の地理に詳しいので、かえって誘導路を変更して走行することが多く、オートリルート機能が実施され易い。
【0046】
また、利用頻度の高い地域では道路事情を知悉している分、再探索経路の提示が遅ければ、ユーザーはストレスを強く感じ易い。そこで請求項3の発明では、ユーザーの自宅や通勤・通学場所などユーザーが高頻度で利用する地点を特定地点として設定することにより、経路再探索の迅速化といった本発明のメリットをより効果的に発揮することができる。
【0047】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記再探索情報記憶手段は、再探索経路の開始地点又は開始道路に関して、所定の期間以上利用の無い開始地点又は開始道路もしくは所定の利用回数未満の開始地点又は開始道路に関してはこれを消去するように構成されたことを特徴とする。
【0048】
また、請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記再探索情報記憶手段は、記憶可能な再探索経路の開始地点又は開始道路の最大数が予め決められており、この最大数を超えることがないよう古い開始地点又は開始道路から順次消去するように設定されたことを特徴としている。
【0049】
上記請求項4、5の発明では、再探索情報記憶手段の記憶容量を抑えることができる。したがって、よりスムーズな再探索経路の提示が実現すると同時に、コスト的に有利である。
【0050】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記事前探索経路記憶手段は、前記経路探索手段の探索した経路の開始道路及びその道路方向を記憶するように構成され、前記経路外れ検出手段が経路外れを検知したとき、前記事前探索経路記憶手段の記憶した経路の開始道路及び道路方向の中から、前記経路外れが起きた地点での開始道路及び道路方向と一致する経路を検索する事前探索経路検索手段が設けられたことを特徴としている。
【0051】
以上の請求項6の発明では、経路外れ検出手段が経路外れを検知したとき、経路案内制御手段は、事前探索経路記憶手段の記憶した経路の開始道路及び道路方向の中から、自車位置が経路から外れた開始道路及び道路方向と一致する経路を呼び出すことができるので、順方向の道路を再探索経路として、即座に提示することが可能である。
【0052】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記特定の地点を設定するための特定地点設定手段が設けられたことを特徴としている。この請求項7の発明では、特定地点設定手段を設けたことで、所望のエリアにおいて事前探索経路を求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、特定地点を含む地域内で実施された再探索経路の開始地点又は開始道路を検出した場合に、これら開始ポイントからの探索経路を事前に探索しておくことによって、その再探索経路をすばやく提示することが可能であり、再探索経路の提示が実際の走行状況に間に合わないといった不具合を回避でき、高い安全性と安心感を発揮可能なナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明に係る実施形態の一例について、図1〜図7を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態における各機能を実現する仮想的回路ブロックの構成図、図2は本実施形態の要部における仮想的回路ブロックの構成図、図3はデータベース上の道路データ表示の説明図、図4、図5は本実施形態によるオートリルート時の説明図、図6、図7は本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0055】
なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現するが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であり、さらに、道路データをはじめ各種データを含む地図情報や、経路計算のためのアルゴリズムに関しても適宜選択自由である。
【0056】
また、本発明は、ナビゲーション装置及びその方法に加えて、上記プログラム、さらには、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体としても把握可能であり、プログラムはナビゲーション装置に組み込まれたCPUや各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することで、本発明の作用効果を実現する。
【0057】
(1)本実施形態の構成
本実施形態に係るナビゲーション装置は、逸脱した地点を起点として自動的に経路の再探索を行うオートリルート機能を有するものであって、その特徴は、特定地点の周辺に絞って過去に再探索を実施した経路に関する情報を記憶しておき、目的地の設定に伴う通常の経路探索を行うと同時に、所定の範囲内での経路再探索を事前に行う点にある。
【0058】
このような特徴を実現する構成を説明する前に、図1の仮想的回路ブロック図を用いて、ナビゲーション装置の概略について述べる。本実施形態のナビゲーション装置1の概略は、以下の通りである。
【0059】
ナビゲーション装置には、自車位置を検出する手段として、GPS信号を受信して絶対的な位置及び方位を検出する絶対位置方位検出部1、ジャイロスコープなどを用いて相対的な方位を検出する相対方位検出部2、さらには車速パルスを取り込んで自車速度を計算する車速検出部3が設置されている。
【0060】
また、ナビゲーション装置の制御手段として、メインCPU及びその周辺回路4が設けられている。メインCPU及びその周辺回路4は、ナビゲーション装置の制御を司る回路であって、本実施形態の特徴的な構成を含む部分である。このメインCPU及びその周辺回路4の機能を示す仮想的なブロックに関しては、図2を用いて後段で詳述する。
【0061】
さらに、ナビゲーション装置における記憶手段として、ROM5、DRAM6、SRAM7、VRAM8が設けられている。このうち、ROM5は経路探索プログラムを含むナビゲーションプログラムを格納する部分であり、これらのプログラムはナビゲーション装置の起動時に必要に応じて、RAM6〜8に展開される。
【0062】
また、メインCPU及びその周辺回路4には、ユーザーインターフェース部9を介して出力部10と入力部11が接続されている。さらに、メインCPU及びその周辺回路4にはHDD制御部12、FM多重受信・処理部13、光/電波ビーコン受信・処理部14が設置されている。
【0063】
このうち、出力部10は、タッチパネル式の液晶ディスプレイやスピーカーなどが設けられており、液晶ディスプレイの表示画面上に、地図や経路、操作メニュー、検索リスト及び地点情報など各種の情報が、視覚的に提示される。また、スピーカーは合成音声の出力によって誘導案内を行う役割を果たしている。
【0064】
入力部11は、タッチパネル式の液晶ディスプレイのタッチパネル部分であって、ユーザーからの命令要求や目的地などを入力するようになっている。これら出力部10及び入力部11は、内部に組み込まれたI/O制御回路やデバイスドライバなどを使って、メインCPU及びその周辺回路4との間で信号のやり取りを行うように構成されている。
【0065】
HDD制御部12は、ハードディスク(大容量記憶装置)に記録されたナビゲーションプログラムなど各種データをデータベースから読み出す手段であり、データベースには経路探索用の道路データを含む地図情報等が格納されている。データベースに格納された地図情報には、地図上の地点に関する各種地点情報が含まれている。
【0066】
この地点情報には、地点の座標、地点の名称、地点の種類、住所、電話番号等の検索リスト用のデータ、その地点が接している道路の種別等も含まれている。また、ナビゲーションプログラムに必要なインタフェース用のデータとして、メニュー、リスト、ボタン、案内表示(方位、距離、時刻等)、各種マーク(ランドマーク、アイコン、現在位置、走行軌跡等)等が含まれている。
【0067】
さらに、上述のプログラムやデータの格納場所は、種々の記憶媒体を利用可能であって、一部若しくは全部をどの記憶媒体に格納するかは、自由に設計可能である。従って、メインプログラムばかりでなく、ナビゲーションのインタフェース用のデータの一部を、ROM5にあらかじめ格納しておいてもよい。また、ハードディスクを用いる構成ではなく、CD−ROM制御部、DVD−ROM制御部等が、CD−ROM、DVD−ROMから読み出したデータを利用する構成であってもかまわない。
【0068】
FM多重受信・処理部13は、FM放送波を受信してこの放送波からVICS情報など所望のデータを取り出す処理を行う部分である。また、光/電波ビーコン受信・処理部14は、路肩などに設置された光ビーコンや電波ビーコンから、各ビーコンの識別情報やVICS情報を受信及び処理する部分である。
【0069】
続いて、本実施形態の特徴的な構成を含むメインCPU及びその周辺回路4について、図2を用いて詳しく説明する。図2に示すように、メインCPU及びその周辺回路4には、各種プログラムの作用によって下記の役割を果たす仮想的回路として、目的地指定部20、自車位置特定部21、経路探索部22、事前探索経路記憶部23、経路外れ検出部24、経路案内制御部25、再探索情報記憶部26、再探索情報検出部27が設けられている。
【0070】
このうち、目的地指定部20は、入力部10によって入力される施設検索や地図上でのカーソル指定などによって、目的地の指定を受け付ける部分である。自車位置特定部21は、自車位置を逐次計算する部分であって、具体的にはGPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を計算するようになっている。
【0071】
GPS航法測位では、GPS衛星からのGPS電波に基づいて絶対位置方位検出部1の検出した情報を使って現在位置を計算する。また、自律航法測位とは、相対方位検出部2の検出した地磁気情報及び車速検出部3の計算した自車速度に基づいて現在位置を計算する手法である。
【0072】
事前探索経路記憶部23は、経路探索部22にて探索された複数の経路を記憶する複数経路バッファであって、具体的には前記DRAM6から構成される。経路外れ検出部24は、経路探索部22の探索した経路から、自車位置が所定の距離以上離れたことによる経路外れを検出する部分である。
【0073】
経路案内制御部25は、経路探索部22が探索した経路に基づいて経路の誘導案内を制御する部分であり、経路のうち表示する部分や点滅強調などの態様の決定や、合成音声の併用などを制御している。また、経路案内制御部25は、経路外れ検出部24が経路外れを検知したとき、再探索経路記憶部23の記憶した再探索経路の開始道路及び道路方向の中から、経路外れが起きた開始道路及び道路方向と一致する再探索経路を呼び出して、その経路案内を行うように構成されている。
【0074】
再探索情報記憶部26は、再探索経路に関するポイントバッファであって、経路探索部22にて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する部分である。本実施形態では、記憶手段であるSRAM7から構成される。
【0075】
また、再探索情報記憶部26は、記憶可能な最大ポイント数が予め決められており、この最大数を超えることがないように古いポイントから順次消去するように設定されている。さらに、再探索情報記憶部26及び前記事前探経路記憶部23は、経路における開始道路と共に、その道路方向が順方向であるか、逆方向であるかを記憶するように構成されている。
【0076】
再探索情報検出部27は、再探索情報記憶部26の記憶した経路再探索の開始地点の中で、予め設定された特定の地点を中心として半径Nmの範囲内に該当する開始地点を検出する部分である。特定の地点としては、ユーザーの自宅が設定登録されている。
【0077】
経路探索部22は、データベースに格納された地図情報に基づいて、自車位置特定部21にて特定される自車位置を出発地として、目的地指定部20にて指定された目的地までの経路の探索、並びにこの経路を自車位置が外れたときに目的地までの経路の再探索を行う部分である。なお、出発地は、自車位置特定部21にて特定される自車位置に限らず、ユーザーの指定した場所など任意の場所であっても構わない。
【0078】
また、本実施形態では、経路探索部22が次のような事前経路探索を行う点に特徴がある。すなわち、再探索情報検出部27がユーザーの自宅から半径Nmの範囲内に存在する過去の再探索開始地点を検出したとき、これら開始地点にて経路外れが起きたと想定し、経路外れ検出部24による経路外れの検出に先行して、当該開始地点から前記目的地までの経路を事前に探索するように構成されている。
【0079】
さらに詳しくは、経路探索部22は、特定地点である自宅を出発地として経路を探索するに際して、自宅から目的地までの経路探索と、再探索情報検出部27の検出した開始地点から前記目的地までの事前経路探索とを、同時に行うようになっている。
【0080】
(2)本実施形態の動作
次に、以上の構成を有する本実施形態の動作について、図3〜図7を参照して説明する。
【0081】
まず、目的地指定部20により目的地を指定し、経路探索部22にて自車位置から前記目的地までの経路探索を行うとする。そして、実際に走行してオートリルートが行われた場合に、特定地点として設定された自宅を中心にして半径Nmの範囲内に限り、この範囲にて実施した過去の経路再探索時の開始道路とその道路方向について、再探索情報として、再探索情報記憶部26を記憶する。
【0082】
図3では地図表示用データベースと経路探索用データベースの道路データの表現例を示している。例えば、図3のリンクID−CDをノードCからノードDに走行中に、経路外れ検出部24にて経路外れを検出して、経路探索部22により経路の再探索を実施した場合は、「開始道路:リンクID−CD」、「道路方向:順方向」として表現する。
【0083】
このとき、道路方向の種類は順方向、逆方向のどちらかであり、地図表示用データベースのリンクID−CDの格納に沿っている場合を順方向とする。反対に、図3のリンクID−CDをノードDからノードCに走行中に、経路の再探索を実施した場合は、「開始道路:リンクID−CD」、「道路方向:逆方向」として表現する。
【0084】
図4に示した例では、自宅から経路探索を行い、ポイントP、Qにてオートリルート(R2、R3)が2回かかった例を示している。すなわち、2ポイントの開始道路と道路方向となり、このポイントを、再探索情報記憶部26であるSRAM7に保存する。また、図5では、交差点A〜Cの3つのポイントを経路再探索の開始地点とした例である。
【0085】
以上のように本実施形態では、過去に再探索された経路の開始地点について、再探索情報記憶部26であるSRAM7に記憶しておく。なお、前述したように、SRAM7への保存ポイント数に関しては、最大数を決めておき、古いものから順に削除する。
【0086】
そして、本実施形態では、SRAM7へオートリルートのポイントを保存した後、通常の経路探索と同時に、過去に経路の再探索を実施したポイントからも、経路探索を行っている。以下、自宅周辺でユーザー操作により任意の目的地を探索する手動探索時の処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0087】
まず、自車位置特定部21によって、経路探索を開始したときの自車位置が、自宅を中心にした半径Nmの範囲内であるかどうかを確認する(ステップS101)。ここで、自車位置が自宅を中心にした半径Nmの範囲内でなければ(ステップS101のNo)、探索経路本数が1である、通常の経路探索を行う(ステップS106)。
【0088】
一方、自車位置が自宅を中心にした半径Nmの範囲内であれば(ステップS101のYes)、再探索情報検出部27は、ポイントバッファすなわち再探索情報記憶部26のSRAM7に、過去に経路の再探索を実施したときの開始道路とその道路方向が、記憶されているかどうかを確認し、記憶されていれば、これを検出する。
【0089】
そして、事前探索経路記憶部23であるDRAM6が、再探索情報検出部27の検出した開始道路及び道路方向を、ポイントバッファであるSRAM7から読み込む(ステップS102)。続いて、DRAM6(事前探索経路記憶部23)の読み込みが失敗したか、あるいはポイントバッファであるSRAM7(再探索情報記憶部26)が空の状態であったならば、探索経路本数が1である経路探索を行う(ステップS106)。
【0090】
これに対して、DRAM6(事前探索経路記憶部23)による読み込みの失敗がなく、また、ポイントバッファであるSRAM7(再探索情報記憶部26)が空でもなければ(ステップS103のNo)、経路探索部22は、DRAM6が読み込んだ全ての開始道路からの経路探索を行う(ステップS104)。以上のような処理を実施した後、自車からの探索結果を誘導路として経路案内を開始する(ステップS105)。
【0091】
自宅周辺からの走行開始後、経路外れ検出部24が自車の経路外れを検出した場合に、オートリルート機能が働いて、経路の再探索を行う。ここで、図7のフローチャートを用いて、経路外れ検出部24が自車の経路外れを検出した後のオートリルート開始時の処理について、説明する。
【0092】
まず、経路外れ検出部24は、経路外れの検出に際して、オートリルート開始道路及びその道路方向を取得する(ステップS201)。そして、自車位置特定部21にて自車位置を特定し、その位置が自宅を中心として半径Nmの範囲内であるか否かを確認する(ステップS202)。
【0093】
自車位置が自宅を中心として半径Nmの範囲内であれば(ステップS202のYes)、続いて、複数経路バッファすなわち事前探索経路記憶部23のDRAM6に格納された経路本数が2以上あるかどうかを確認する(ステップS203)。また、自車位置が自宅を中心として半径Nmの範囲内でなければ(ステップS202のNo)、通常のオートリルート処理を実施する(ステップS206)。
【0094】
ステップS203にて、複数経路バッファであるDRAM6(事前探索経路記憶部23)に格納された経路本数が2以上なければ(ステップS203のNo)、ポイントバッファである再探索情報記憶部26のSRAM7に、オートリルート開始道路及びその道路方向を追加保存する(ステップS207)。
【0095】
ステップS203にて、複数経路バッファであるDRAM6(事前探索経路記憶部23)に格納された経路本数が2以上あれば(ステップS203のYes)、ステップS204に移行する。ステップS204では、DRAM6(事前探索経路記憶部23)に格納された経路の中で、先頭の道路がオートリルート開始道路と道路方向と一致したものがあるか否かを確認する。
【0096】
そして、一致したものがあるならば(ステップS204のYes)、一致したものを案内制御部25に読み出して、経路案内制御部25はこの経路を誘導路として表示する(ステップS205)。つまり、経路案内制御部25は、複数経路バッファであるDRAM6(事前探索経路記憶部23)に記憶した事前探索経路の開始道路及び道路方向の中から、経路外れが起きた時点のオートリルート開始道路及び道路方向と一致する経路を呼び出すだけで、その経路案内を行うことができる。
【0097】
一方、DRAM6(事前探索経路記憶部23)に記憶された経路の中に、経路外れが起きた時点のオートリルート開始道路及び道路方向と一致する経路がなければ(ステップS204のNo)、通常のオートリルート処理を実施する(ステップS206)。
【0098】
(3)本実施形態の作用効果
上記のような本実施形態の作用効果は、次の通りである。すなわち、本実施形態では、再探索情報記憶部26であるSRAM7に、過去に再探索された経路の開始ポイントを記憶しておく。
【0099】
そして、ユーザー操作によって目的地を設定した後、再探索情報検出部27にて自宅周辺(自宅を中心にした半径Nmの範囲内)にオートリルートの開始ポイントの存在を検出し、経路探索部22は、通常の目的地までの経路探索に加えて、各開始ポイントから目的地までの経路に関して事前探索を行う。
【0100】
この経路の事前探索を実行する時点では、その経路がオートリルートを実施したときの再探索経路として、実際に利用されるか否かは関係ない。事前探索した複数の経路に関しては、これらを複数経路バッファすなわち事前探索経路記憶部23のDRAM6に記憶する。
【0101】
以上の処理を前提として、経路案内制御部25が探索経路の誘導案内を行っているときに、経路外れ検出部24が経路外れを検出した場合、この時の経路外れの開始道路と道路方向と一致する経路が、再探索情報記憶部26であるSRAM7に存在するならば、これを呼び出して即座に提示することができる。
【0102】
つまり、従来技術のように経路外れを検知してから経路の再探索を行う訳ではないので、経路計算が不要であり、再探索経路を素早く提示可能である。その結果、再探索経路の開始道路にスムーズに進入することができる。しかも、誘導路の非表示状態もないため、ユーザーはストレスや不安を感じることなく、安心して再探索経路への誘導案内に沿って走行することができる。
【0103】
しかも、自宅周辺から目的地までの通常の経路探索と同時に、複数経路の事前探索を内部処理することで、誘導路の走行開始とほぼ同時に、全ての事前探索経路を把握可能である。したがって、誘導路を走り始めた直後に経路外れが起きたとしても、そこからの再探索経路を確実に提示することが可能である。
【0104】
また、本実施形態では、経路の事前探索を実施するエリアを絞っているのでオートリルート機能の実施に伴う処理の増大を抑止できる。と同時に、再探索情報記憶部26では保存可能なポイント数を制約しているため、その記憶容量を抑えることが可能である。したがって、コスト低減を進めることができ、経済的に有利である。
【0105】
また、経路の事前探索を実施するエリアを、オートリルート機能が利用され易い自宅周辺に限定したことで、経路再探索の迅速化という作用効果を、頻繁に得ることができる。さらには、経路外れが検出されれば自動的に再探索経路が提示されるので、再探索経路の提示に際してユーザーからの要求は不要であって、オートリルート機能の性能向上に寄与することができ、ナビゲーション装置としての使用感及び信頼感を高めることが可能である。
【0106】
さらに、本実施形態では、道路のリンクコストを下げることでその道路を選択し易くさせる学習機能を利用したものではなく、あくまでも過去に実施した再探索結果に基づいて再探索経路の提示を行っている。このため、自宅周辺の道路におけるリンクコストが反映されて、道路状況によっては遠回りとなるような再探索経路が引かれることもない。したがって、常にユーザーが望む再探索経路を獲得することが可能である。
【0107】
(4)他の実施形態
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、無線通信ネットワークを介して最新データが提供されるナビゲーション装置にも適用可能であって、オートリルートの開始ポイントに関しては、開始道路及び道路方向との組合せ以外にも、開始地点を含めてもよい。
【0108】
また、各要素の具体的な構成等は適宜変更可能であって、例えば、再探索経路記憶手段の構成として、再探索経路の開始地点又は開始道路について、所定の期間以上利用の無い開始地点や開始道路、あるいは所定の利用回数未満の開始地点又は開始道路に関して、これを消去するようにして、コスト低減を進めることができる。さらには、特定の地点を設定する手段を設けることで、所望のエリアにおける事前探索経路を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る代表的な実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態における要部の機能ブロック図。
【図3】データベース上の道路データ表示の説明図。
【図4】本実施形態によるオートリルート時の説明図。
【図5】本実施形態によるオートリルート時の説明図。
【図6】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】一般的なオートリルート時の説明図。
【符号の説明】
【0110】
1…絶対位置方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
5…ROM
6…DRAM
7…SRAM
8…VRAM
9…ユーザーインターフェース部
10…出力部
11…入力部
12…HDD制御部
13…FM多重受信・処理部
14…光/電波ビーコン受信・処理部
20…目的地指定部
21…自車位置特定部
22…経路探索部
23…事前探索経路記憶部
24…経路外れ検出部
25…経路案内制御部
26…再探索情報記憶部
27…再探索情報検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、地図情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された地図情報に基づき任意の出発地からユーザー操作によって設定された目的地までの経路の探索及び該経路を自車位置が外れたときに前記目的地までの経路の再探索を行う経路探索手段と、前記経路探索手段の探索した経路から自車位置が外れる経路外れを検出する経路外れ検出手段と、前記経路探索手段の探索した経路に基づいて経路案内を行う経路案内制御手段とが具備されたナビゲーション装置において、
前記経路探索手段にて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する再探索情報記憶手段と、
前記再探索情報記憶手段の記憶した経路再探索の開始地点又は開始道路の中で、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出する再探索情報検出手段と、が設けられ、
前記経路探索手段は、前記再探索情報検出手段が前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出したとき、これら開始地点又は開始道路にて前記経路外れが起きたと想定し、前記経路外れ検出手段による経路外れの検出に先行して、当該開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路の事前探索を行うように構成され、
さらに、前記経路探索手段にて事前探索された事前探索経路を記憶する事前探索経路記憶手段が設けられたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索手段は、前記特定の地点を出発地とした経路を探索するに際して、出発地である前記特定の地点から前記目的地までの経路探索と、前記再探索情報検出手段が検出した開始地点又は開始道路から前記目的地までの事前経路探索とを、同時に行うように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特定の地点として、ユーザーの自宅もしくは通勤・通学場所を含むユーザーの高頻度利用地点が設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記再探索情報記憶手段は、再探索経路の開始地点又は開始道路に関して、所定の期間以上利用の無い開始地点又は開始道路、もしくは所定の利用回数未満の開始地点又は開始道路に関してはこれを消去するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記再探索情報記憶手段は、記憶可能な再探索経路の開始地点又は開始道路の最大数が予め決められており、この最大数を超えることがないよう古い開始地点又は開始道路から順次消去するように設定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記事前探索経路記憶手段は、前記経路探索手段の探索した経路の開始道路及びその道路方向を記憶するように構成され、
前記経路外れ検出手段が経路外れを検知したとき、前記事前探索経路記憶手段の記憶した経路の開始道路及び道路方向の中から、前記経路外れが起きた地点での開始道路及び道路方向と一致する経路を検索する事前探索経路検索手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記特定の地点を設定するための特定地点設定手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
コンピュータを利用することにより、自車位置を検出する自車位置検出ステップと、地図情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップにて記憶された地図情報に基づき任意の出発地からユーザー操作によって設定された目的地までの経路の探索及び該経路を自車位置が外れたときに前記目的地までの経路の再探索を行う経路探索ステップと、前記経路探索ステップにて探索した経路から自車位置が外れる経路外れを検出する経路外れ検出ステップと、前記経路探索ステップにて探索した経路に基づいて経路案内を行う経路案内制御ステップとを含むナビゲーション方法において、
前記経路探索ステップにて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する再探索情報記憶ステップと、
前記再探索情報記憶ステップにて記憶した経路再探索の開始地点又は開始道路の中で、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出する再探索情報検出ステップとを含み、
前記経路探索ステップでは、前記再探索情報検出ステップにて前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出したとき、これら開始地点又は開始道路にて前記経路外れが起きたと想定し、前記経路外れ検出機能による経路外れの検出に先行して、当該開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路の事前探索を行い、
さらに、前記経路探索ステップにて事前探索された事前探索経路を記憶する事前探索経路記憶ステップを実行することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項9】
コンピュータを利用することにより、自車位置を検出する自車位置検出機能と、地図情報を記憶する記憶機能と、前記記憶機能にて記憶された地図情報に基づき任意の出発地からユーザー操作によって設定された目的地までの経路の探索及び該経路を自車位置が外れたときに前記目的地までの経路の再探索を行う経路探索機能と、前記経路探索機能にて探索した経路から自車位置が外れる経路外れを検出する経路外れ検出機能と、前記経路探索機能にて探索した経路に基づいて経路案内を行う経路案内制御機能とをコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムにおいて、
前記経路探索機能にて経路の再探索を開始した地点、又は経路の再探索を開始した道路を記憶する再探索情報記憶機能と、
前記再探索情報記憶機能にて記憶した経路再探索の開始地点又は開始道路の中で、予め設定された特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出する再探索情報検出機能とをコンピュータに実現させ、
前記経路探索機能では、前記再探索情報検出機能にて前記特定の地点から所定の範囲内に存在する開始地点又は開始道路を検出したとき、これら開始地点又は開始道路にて前記経路外れが起きたと想定し、前記経路外れ検出機能による経路外れの検出に先行して、当該開始地点又は開始道路から前記目的地までの経路の事前探索を行うことをコンピュータに実現させ、
さらに前記経路探索機能にて事前探索された事前探索経路を記憶する事前探索経路記憶機能をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−91477(P2010−91477A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263098(P2008−263098)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】