説明

ナビゲーション装置、及び、ナビゲーションシステム

【課題】ユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索できるナビゲーション装置及びナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索する。具体的には、ナビゲーション装置は、リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に取得し、複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定する。ナビゲーション装置は、設定したジャンル値と、取得した環境条件値とに基づいてリンク毎の重みである区間値を計算し、計算した区間値と出発地と目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二地点間の移動ルートを検索するナビゲーション装置、及び、ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車等の車両に搭載され、二地点間の移動ルートを検索するナビゲーション装置、及び、ナビゲーションシステムが広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているナビゲーション装置は、予め設定された危険度に応じてそれぞれランク付けされたリンクを含む地図データを記憶し、その地図データに基づいて最適な移動ルートを検索する。
【0004】
例えば、特許文献2に開示されているナビゲーションシステムは、ユーザの目的に応じたリンク毎の重みを記憶し、その重みにより地図データを補正し、補正された地図データに基づいて目的に応じた最適な移動ルートを検索する。
【特許文献1】特開2004−205348号公報
【特許文献2】特開2005−98714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2の技術では、最適な移動ルートを検索するためのリンクに関する情報に、道路そのものに関する情報しか含まれていない。さらに詳しく述べると、周囲の景色など道路以外のドライブにおける快適さを量るリンクに関する情報が含まれていない。そのため、上記のナビゲーション装置は、安全に且つ容易に運転するために最適な移動ルートを検索するが、ドライブを楽しむために最適な移動ルートを検索することができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索できるナビゲーション装置、及び、ナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るナビゲーション装置は、
ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索するナビゲーション装置であって、
前記リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に取得する環境条件値取得手段と、
前記複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定するジャンル値設定手段と、
前記ジャンル値設定手段が設定したジャンル値と、前記環境条件値取得手段が取得した環境条件値とに基づいてリンク毎の重みである区間値を計算する区間値計算手段と、
前記区間値計算手段が計算した区間値と前記出発地と前記目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索するルート検索手段と、を備え、
前記区間値計算手段は、
前記環境条件値の上限値と該環境条件値との差分値に基づいて環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値と該ジャンル値との差分値に基づいてジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいて区間値を計算する、
ことを特徴とする。
【0008】
例えば、前記区間値計算手段は、
前記環境条件値の上限値に所定値を足した値と、該環境条件値との差分値である環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値に所定値を足した値と、該ジャンル値との差分値であるジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいて区間値を計算してもよい。
【0009】
例えば、前記区間値計算手段は、
環境条件毎に前記乗算値を計算し、計算した環境条件の乗算値を合計した値を区間値としてもよい。
【0010】
例えば、前記複数の環境条件のうちから任意の環境条件を選択する環境条件選択手段をさらに備え、
前記区間値計算手段は、
環境条件毎に前記乗算値を計算し、前記環境条件選択手段が選択した環境条件の乗算値を合計した値を区間値としてもよい。
【0011】
例えば、前記区間値計算手段は、
環境条件毎に前記乗算値を計算し、全ての環境条件の乗算値を合計した値を区間値としてもよい。
【0012】
例えば、リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に記憶する環境条件値記憶手段をさらに備え、
前記環境条件値取得手段は、前記環境条件値記憶手段が記憶する環境条件値を取得してもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係るナビゲーションシステムは、
複数の端末とサーバとから構成され、ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索するナビゲーションシステムであって、
前記サーバは、
リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に記憶する環境条件値記憶手段を備え、
前記端末は、
前記複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定するジャンル値設定手段と、
前記環境条件値記憶手段が記憶している環境条件値を取得する環境条件値取得手段と、
前記ジャンル値設定手段が設定したジャンル値と、前記環境条件値取得手段が取得した環境条件値とに基づいてリンク毎の重みである区間値を計算する区間値計算手段と、
前記区間値計算手段が計算した区間値と前記出発地と前記目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索するルート検索手段と、を備え、
前記端末の前記区間値計算手段は、
前記環境条件値の上限値と該環境条件値との差分値に基づいて環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値と該ジャンル値との差分値に基づいてジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいて区間値を計算する、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の観点に係るナビゲーション装置は、
ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索するナビゲーション装置であって、
前記ノード近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に取得する環境条件値取得手段と、
前記複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定するジャンル値設定手段と、
前記ジャンル値設定手段が設定したジャンル値と、前記環境条件値取得手段が取得した環境条件値とに基づいてノード毎の重みであるポイント値を計算するポイント値計算手段と、
前記ポイント値計算手段が計算したポイント値と前記出発地と前記目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索するルート検索手段と、を備え、
前記ポイント値計算手段は、
前記環境条件値の上限値と該環境条件値との差分値に基づいて環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値と該ジャンル値との差分値に基づいてジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいてポイント値を計算する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るナビゲーション装置10を説明する。
ナビゲーション装置10は、自動車等の車両に搭載され、出発地から目的地までのユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索し、ユーザに提示する。また、ナビゲーション装置10は、装置の現在位置を特定し、上記検索した最適な移動ルートと併せてユーザに提示する。
【0017】
ナビゲーション装置10は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、入力装置14と、センサ群15と、ハードディスク16と、表示装置17とから構成される。
【0018】
CPU11は、例えば、RAM13に読み出したプログラムを実行することにより、ナビゲーション装置10全体を制御する。
具体的にCPU11は、ハードディスク16が格納するノード情報20とリンク情報30と設定情報40と、センサ群15を用いて特定した現在地(出発地)と、ユーザが入力装置14を介して入力した目的地とに基づいて現在地から目的地までのユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索する。
【0019】
ROM12は、CPU11の動作プログラムを記憶する。動作プログラムの詳細については後述する。
【0020】
RAM13は、CPU11のワークエリアとして機能する。
【0021】
入力装置14は、例えば、ナビゲーション装置10の操作パネルに配置されたキースイッチ等から構成され、ユーザの入力を受け付け、それに応じた信号をCPU11に送信する。
なお、入力装置14は、他に、リモコン(リモートコントローラ)や、表示装置17の前面に配置されたタッチパネル等であっても良い。
【0022】
センサ群15は、ユーザの車両に設置された各種センサからなり、車両の現在位置や速度等の種々のデータを適宜計測し、CPU11に供給する。
具体的にセンサ群15には、走行距離センサ、車速センサ、位置センサ(GPS ; Global Positioning System)、ジャイロセンサ、加速度センサ等が含まれている。
【0023】
ハードディスク16は、図2に示すようなノード情報20や、図3に示すようなリンク情報30や、図4に示すような設定情報40等を格納する。なお、ハードディスク16は、半導体メモリ等であっても良い。
【0024】
ここで、道路網は、図5に示すようにノード及びリンクによって構成される。
【0025】
ノード情報20には、各ノードに関する情報が記載される。例えば、ノード情報20は、図2に示すように、ノード毎に、そのノードを介するリンクの接続状況を表わした項目や、そのノードの位置を表す項目等から構成される。
【0026】
リンク情報30には、各リンクに関する情報が記載される。例えば、リンク情報30は、図3に示すように、リンク毎に、そのリンクの両端のノードが記載された項目や、そのリンクの後述する環境条件値が記載された項目等から構成される。
【0027】
例えば、環境条件とは、図3に示すように、「夜景がどの程度綺麗であるか(以下、夜景)」「森林がどの程度見えるか(以下、森林)」「海がどの程度見えるか(以下、海)」「遺跡がどの程度多いか(以下、遺跡)」「建物がどの程度多いか(以下、建物)」「どの程度海沿いであるか(以下、海沿い)」「どの程度山道であるか(以下、山道)」等の条件である。
また、各環境条件は、複数のジャンルに分類される。例えば、環境条件「夜景」「森林」「海」は、ジャンル「風景」に分類され、環境条件「遺跡」「建物」は、ジャンル「名所」に分類され、環境条件「海沿い」「山道」は、ジャンル「地形」に分類される。
【0028】
各ジャンルに分類された各環境条件の度合をリンク毎にランクで表わした数値が環境条件値である。例えば、図3に示すように、リンク情報30の環境条件値は、環境条件毎に1から5までの数値で表わされる。
リンク情報30には、各ジャンルに分類された環境条件毎に1から5までの数値で表わされた各環境条件値がリンク毎に記載される。例えば、リンク3の「風景」の環境条件値は、夜景が綺麗である度合が最も高い「5」である。
【0029】
設定情報40には、ナビゲーション装置10が最適な移動ルートを検索する際の設定内容が記載され、ナビゲーション装置10は、その設定内容に基づいて最適な移動ルートを検索する。また、ユーザは、自分の嗜好に応じて設定情報40の内容を変更することができる。例えば、設定情報40は、図4に示すように、検索に使用するジャンル毎の重みである「ジャンル値」の項目と、後述する「詳細検索」と「簡単検索」とのどちらの検索を行うかを表わした「検索設定」の項目や、詳細検索に使用する環境条件を表わした「環境条件設定」の項目から構成される。
「ジャンル値」は、ユーザによって設定されるジャンル毎の重みであり、1から5までの数値で表わされる。ユーザは、重要視するジャンルのジャンル値を高く設定する。
「検索設定」において選択される「詳細検索」において、ナビゲーション装置10は、「環境条件設定」において選択された環境条件の環境条件値を使用して最適な移動ルートを検索する。
「検索設定」において選択される「簡単検索」において、ナビゲーション装置10は、全ての環境条件の環境条件値を使用して最適な移動ルートを検索する。
「環境条件設定」において、ユーザは「詳細検索」で使用する環境条件を一又は複数選択することができる。
【0030】
表示装置17は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、CPU11が生成した種々の画像を表示する。具体的には、表示装置17は、CPU11が検索した最適な移動ルートや、CPU11が特定した現在位置や、目的地、設定情報40の設定内容を選択するための選択画像、地図画像等を表示する。
【0031】
以下、上記構成のナビゲーション装置10の動作を説明する。
【0032】
先ず、ナビゲーション装置10が詳細検索を行う場合を簡単に説明する。
ただし、詳細検索が行われる前提条件として、設定情報40の「検索設定」の欄において、「詳細検索」が「○」となっている必要がある。また、図4に示すように、「環境条件設定」において、「夜景」のみが選択され、「風景」のジャンル値が「5」になっている場合の詳細検索を説明する。
【0033】
ユーザが入力装置14を介して目的地を入力し、最適な移動ルートの検索指示を入力すると、ナビゲーション装置10は、現在位置を特定し、現在位置と目的地とを含む所定の範囲内のノード及びリンクに関する情報をノード情報20とリンク情報30とから取得する。また、設定情報40も同時に取得する。
例えば、現在位置がノード1で目的地がノード6であれば、ノード1とノード6を含む所定の範囲のノード及びリンクに関する情報を取得する。ここでは、ノード1〜6とリンク1〜9に関する環境条件値等の情報を取得する。
【0034】
次に、ナビゲーション装置10は、ジャンル値を数式(1)に代入してジャンル係数をジャンル毎に算出する。
【0035】
(ジャンル係数)={(ジャンル値の上限値)+1}−(ジャンル値)
・・・・・(1)
つまり、ジャンル値の上限値に「+1」をした値と、設定したジャンル値との差を取ることで、その差をジャンル値の係数として設定する。
なお、本実施形態では、ジャンル値の上限値に「1」を加算したが、「1」に限定されるものではなく、任意の値であってよい。
また、ジャンル値の上限値に「1」を加算した理由は、ジャンル値の上限値とジャンル値とが等しい場合にジャンル係数が「0」にならないようにするためである。
【0036】
ここで、図4に示すように、ジャンル値の範囲は、「1〜5」なので、ジャンル値の上限値は、「5」である。また、「風景」のジャンル値は、「5」である。
よって、
(「風景」のジャンル係数)=(5+1)−5=1
となる。他のジャンル係数に関しても同様に算出することができる。
【0037】
次に、ナビゲーション装置10は、環境条件値を数式(2)に代入して環境条件係数を環境条件毎に且つリンク毎に算出する。
【0038】
(環境条件係数)={(環境条件値の上限値)+1}−(環境条件値)
・・・・・(2)
つまり、環境条件値の上限値に「+1」を加算した値と、環境条件値との差を取ることで、その差を環境条件値の係数として設定する。
なお、本実施形態では、環境条件値の上限値に「1」を加算したが、「1」に限定されるものではなく、任意の値であってよい。
また、環境条件値の上限値に「1」を加算した理由は、環境条件値の上限値と環境条件値とが等しい場合に環境条件係数が「0」にならないようにするためである。
【0039】
ここで、図3に示すように、環境条件値の範囲は、「1〜5」なので、環境条件値の上限値は、「5」である。また、「リンク1」の「夜景」の環境条件値は、「1」である。
よって、
(「リンク1、夜景」の環境条件係数)=(5+1)−1=5
となる。他の環境条件係数に関しても同様に算出することができる。
【0040】
次に、詳細検索が設定されているので、設定情報40の環境条件設定で選択されている環境条件の環境条件係数と、それに対応するジャンル係数とを数式(3)に代入して区間値をリンク毎に算出する。
【0041】
(区間値)=Σ{(環境条件係数)×(ジャンル係数)}
・・・・・(3)
【0042】
ここで、設定情報40の環境条件設定で選択されている環境条件は、「夜景」のみであり、「リンク1、夜景」の環境条件係数は、「5」であり、「夜景」が分類されるジャンル「風景」のジャンル係数が、「1」である。
よって、
(「リンク1」の区間値)=5×1=5
となる。同様に、図6に示すように、リンク2〜9の区間値も算出することができる。
【0043】
次に、ナビゲーション装置10は、通るリンクの区間値の総和が最小となるルートを検索し、表示する。
ここでは、図7に示すように、リンク2,5,8を通るルートが「3+2+1=6」であり、最小である。そのため、ナビゲーション装置10は、夜景が最も綺麗であるルートがリンク2,5,8を通るルートであると表示する。
【0044】
このように、詳細検索によれば、環境条件別に限定した検索を行うことができる。
【0045】
次に、ナビゲーション装置10が簡単検索を行う場合を簡単に説明する。
ただし、簡単検索が行われる前提条件として、設定情報40の「検索設定」の欄において、「簡単検索」が「○」となっている必要がある。また、図4に示すように、「風景」「名所」「地形」のジャンル値が「5」「1」「1」になっている場合の詳細検索を説明する。
【0046】
ユーザが入力装置14を介して目的地を入力し、最適な移動ルートの検索指示を入力すると、ナビゲーション装置10は、現在位置を特定し、現在位置と目的地とを含む所定の範囲内のノード及びリンクに関する情報をノード情報20とリンク情報30とから取得する。また、設定情報40も同時に取得する。
例えば、現在位置がノード1で目的地がノード6であれば、ノード1とノード6を含む所定の範囲のノード及びリンクに関する情報を取得する。ここでは、ノード1〜6とリンク1〜9に関する環境条件値等の情報を取得する。
【0047】
次に、ナビゲーション装置10は、ジャンル値を数式(1)に代入してジャンル係数をジャンル毎に算出する。
【0048】
ここで、
(「風景」のジャンル係数)=1
(「名所」のジャンル係数)=5
(「地形」のジャンル係数)=5
となる。
【0049】
次に、ナビゲーション装置10は、環境条件値を数式(2)に代入して環境条件係数を環境条件毎に且つリンク毎に算出する。
【0050】
ここで、
(「リンク1、夜景」の環境条件係数)=5
(「リンク1、森林」の環境条件係数)=2
(「リンク1、海」の環境条件係数)=5
(「リンク1、遺跡」の環境条件係数)=2
(「リンク1、建物」の環境条件係数)=4
(「リンク1、海沿い」の環境条件係数)=5
(「リンク1、山道」の環境条件係数)=2
となる。他のリンクの環境条件係数に関しても同様に算出することができる。
【0051】
次に、簡単検索が設定されているので、全環境条件の環境条件係数と対応するジャンル係数とを数式(3)に代入して区間値をリンク毎に算出する。
【0052】
ここで、
(「リンク1」の区間値)=(5×1)+(2×1)+(5×1)+(2×5)+(4×5)+(5×5)+(2×5)=77
となる。同様に、図8に示すように、リンク2〜9の区間値も算出することができる。
【0053】
次に、ナビゲーション装置10は、通るリンクの区間値の総和が最小となるルートを検索し、表示する。
ここでは、図9に示すように、リンク1,4,8を通るルートが「77+93+95=265」であり、最小である。そのため、ナビゲーション装置10は、ユーザが設定したジャンル値に対応する最適なルートがリンク1,4,8を通るルートであると表示する。
【0054】
このようにして、簡単設定によれば、ナビゲーション装置10は、ユーザの嗜好に応じてジャンル値を設定することによって、それに応じた最適なルートを簡単に検索することができる。
【0055】
ここで、ナビゲーション装置10が行う移動ルート検索処理を図10に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0056】
ユーザが入力装置14を介して目的地を入力し、最適な移動ルートの検索指示を入力すると、CPU11は、センサ群15を用いて現在位置を特定する(ステップS101)。
【0057】
CPU11は、現在位置と目的地とを含む所定の範囲内のノード及びリンクに関する環境条件値等の情報を、ハードディスク16のノード情報20とリンク情報30とから取得する(ステップS102)。また、設定情報40も同時に取得する。
【0058】
CPU11は、ハードディスク16の設定情報40に記載されたジャンル値を数式(1)に代入してジャンル係数をジャンル毎に算出する(ステップS103)。
【0059】
CPU11は、ステップS102で取得した環境条件値を数式(2)に代入して環境条件係数を環境条件毎に且つリンク毎に算出する(ステップS104)。
【0060】
CPU11は、設定情報40の検索設定において詳細検索と簡単検索とのどちらが設定されているかを判別する(ステップS105)。
【0061】
ステップS105において詳細検索が設定されていると判別すると、CPU11は、設定情報40の環境条件設定で選択されている環境条件の環境条件係数と、それに対応するジャンル係数とを数式(3)に代入して区間値をリンク毎に算出し(ステップS106)、処理をステップS108に進める。
【0062】
ステップS105において簡単検索が設定されていると判別すると、CPU11は、全ての環境条件の環境条件係数と、それに対応するジャンル係数とを数式(3)に代入して区間値をリンク毎に算出し(ステップS107)、処理をステップS108に進める。
【0063】
CPU11は、通るリンクの区間値の総和が最小となるルートを検索し、表示装置17に表示し(ステップS108)、処理を終了する。
【0064】
このように、移動ルート検索処理によれば、ジャンル値を設定するのみの簡単検索と、ジャンル値と環境条件とを設定する詳細検索とのどちらかによる検索を行うことができる。
【0065】
以上、本発明の第1の実施形態に係るナビゲーション装置10によれば、ユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを簡単に検索することができる。また、ユーザの嗜好に細かく応じた最適な移動ルートを検索することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ナビゲーション装置10自体が、ノード情報20やリンク情報30等の交通網を構成する情報を格納し、格納している情報を取得していたが、サーバが、交通網を構成する情報を格納するようにし、ナビゲーション装置が、交通網を構成する情報をそのサーバから取得するようにしても良い。
【0067】
本発明の第2の実施形態に係るナビゲーションシステム1000は、ナビゲーション装置100と、無線通信ネットワーク200と、管理サーバ300とから構成される。
ナビゲーション装置100は、自動車等の車両に搭載される。また、ナビゲーション装置100は、無線通信ネットワーク200を介して管理サーバ300より交通網に関する情報を取得し、それに基づいて出発地から目的地までのユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索し、ユーザに提示する。また、ナビゲーション装置100は、装置の現在位置を特定し、上記検索した最適な移動ルートと併せてユーザに提示する。
【0068】
ナビゲーション装置100は、図12に示すように、CPU101と、ROM102と、RAM103と、通信装置104と、センサ群105と、ハードディスク106と、入力装置107と、表示装置108とから構成される。
【0069】
CPU101は、例えば、RAM103に読み出したプログラムを実行することにより、ナビゲーション装置100全体を制御する。
具体的にCPU101は、管理サーバ300から取得したノード情報20とリンク情報30の一部と、ハードディスク106に格納している設定情報40と、センサ群105を用いて特定した現在地(出発地)と、ユーザが入力装置107を介して入力した目的地とに基づいて現在地から目的地までのユーザの嗜好に応じた最適な移動ルートを検索する。
【0070】
ROM102は、CPU101の動作プログラムを記憶する。動作プログラムの詳細については後述する。
【0071】
RAM103は、CPU101のワークエリアとして機能する。
【0072】
通信装置104は、例えば、無線通信ネットワーク200に適合した無線通信を行うための送受信ユニット等から構成され、無線通信ネットワーク200を介して管理サーバ300との間で種々のデータを送受信する。
例えば、通信装置104は、管理サーバ300から送信されるノード情報20とリンク情報30との一部を受信する。
【0073】
センサ群105は、ユーザの車両に設置された各種センサからなり、車両の現在位置や速度等の種々のデータを適宜計測し、CPU101に供給する。
具体的にセンサ群105には、走行距離センサ、車速センサ、位置センサ(GPS ; Global Positioning System)、ジャイロセンサ、加速度センサ等が含まれている。
【0074】
ハードディスク106は、図4に示すような設定情報40等を格納する。
【0075】
入力装置107は、例えば、ナビゲーション装置100の操作パネルに配置されたキースイッチ等から構成され、ユーザの入力を受け付け、それに応じた信号をCPU101に送信する。
なお、入力装置107は、他に、リモコン(リモートコントローラ)や、表示装置108の前面に配置されたタッチパネル等であっても良い。
【0076】
表示装置108は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、CPU101が生成した種々の画像を表示する。具体的には、表示装置108は、CPU101が検索した最適な移動ルートや、CPU101が特定した現在位置や、目的地、設定情報40の設定内容を選択するための選択画像、地図画像等を表示する。
【0077】
管理サーバ300は、ノード情報20とリンク情報30とを格納し、ナビゲーション装置100の要求に応答して無線通信ネットワーク200を介してナビゲーション装置100にノード情報20とリンク情報30との一部を送信する。
【0078】
管理サーバ300は、図13に示すように、CPU301と、ROM302と、RAM303と、通信装置304と、ハードディスク305とから構成される。
【0079】
CPU301は、例えば、RAM303に読み出したプログラムを実行することにより、管理サーバ300全体を制御する。
具体的にCPU301は、ナビゲーション装置100の要求に応答して無線通信ネットワーク200を介してナビゲーション装置100にノード情報20とリンク情報30との一部を送信する。
【0080】
ROM302は、CPU301の動作プログラムを記憶する。
【0081】
RAM303は、CPU301のワークエリアとして機能する。
【0082】
通信装置304は、例えば、無線通信ネットワーク200に適合した無線通信を行うための送受信ユニット等から構成され、無線通信ネットワーク200を介してナビゲーション装置100との間で種々のデータを送受信する。
例えば、通信装置304は、ナビゲーション装置100から送信される要求等を受信する。
【0083】
ハードディスク305は、ノード情報20やリンク情報30等を格納する。
【0084】
上記構成のナビゲーションシステム1000によれば、管理サーバ300に常に最新のノード情報20とリンク情報30とを格納しておくことによって、ナビゲーション装置100は、常に最新のノード情報20とリンク情報30とに基づいて最適な移動ルートを検索することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0086】
上記実施形態では、ナビゲーション装置は、現在地と目的地との間の最適な移動ルートを検索したが、現在地以外の出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索してもよい。
【0087】
上記実施形態では、環境条件値はリンク毎に設定され、ナビゲーション装置は、リンク毎の重みである区間値を算出し、リンクの区間値の和が最小になるルートを最適なルートとして検索したが、環境条件値をノード毎に設定し、ナビゲーション装置が、ノード毎の重みを算出し、ノード毎の重みの和が最小になるルートを最適なルートとして検索するようにしてもよい。
【0088】
環境条件や、環境条件を分類するジャンルや、環境条件値及びジャンル値等の各数値は任意であり、その他、具体的な細部についても適宜変更可能である。
また、環境条件値やジャンル値は、ユーザの嗜好に応じて検索処理の途中又は直前にフレキシブルに変更できるようにしても良い。
【0089】
第1の実際形態において、ナビゲーション装置10は、ノード情報20とリンク情報30とをハードディスク16に格納し、ハードディスク16からノード情報20とリンク情報30との一部を取得したが、ノード情報20とリンク情報30とが書き込まれたディスク媒体が挿入されたディスクドライブを備えるようにし、そのディスクドライブからノード情報20とリンク情報30との一部を取得するようにしてもよい。
【0090】
上記実施形態では、自動車等の車両に搭載するナビゲーション装置を一例として説明したが、移動ルート検索処理を行う装置は、車載用の端末に限らず任意である。例えば、歩行者が携帯する携帯端末等であってもよい。
そして、ユーザが移動する対象は、道路網に限らず、種々の交通網(鉄道や航空機等を含む交通網)に適宜適用可能である。
【0091】
なお、本発明に係るナビゲーション装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、GPS等を備えることによって現在位置を特定できるコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行するナビゲーション装置を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有するストレージに当該プログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでナビゲーション装置を構成してもよい。
【0092】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合などには、アプリケーション部分のみを記録媒体やストレージに格納してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るナビゲーション装置の構成図である。
【図2】ノード情報を説明するための図である。
【図3】リンク情報を説明するための図である。
【図4】設定情報を説明するための図である。
【図5】交通網を説明するための図である。
【図6】区間値の一例を表す図である。
【図7】交通網における最適な移動ルートの一例を表す図である。
【図8】区間値の一例を表す図である。
【図9】交通網における最適な移動ルートの図である。
【図10】移動ルート検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成図である。
【図12】図11のナビゲーション装置の構成図である。
【図13】図11の管理サーバの構成図である。
【符号の説明】
【0094】
10 ナビゲーション装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 入力装置
15 センサ群
16 ハードディスク
17 表示装置
20 ノード情報
30 リンク情報
40 設定情報
100 ナビゲーション装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 通信装置
105 センサ群
106 ハードディスク
107 入力装置
108 表示装置
200 無線通信ネットワーク
300 管理サーバ
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 通信装置
305 ハードディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索するナビゲーション装置であって、
前記リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に取得する環境条件値取得手段と、
前記複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定するジャンル値設定手段と、
前記ジャンル値設定手段が設定したジャンル値と、前記環境条件値取得手段が取得した環境条件値とに基づいてリンク毎の重みである区間値を計算する区間値計算手段と、
前記区間値計算手段が計算した区間値と前記出発地と前記目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索するルート検索手段と、を備え、
前記区間値計算手段は、
前記環境条件値の上限値と該環境条件値との差分値に基づいて環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値と該ジャンル値との差分値に基づいてジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいて区間値を計算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記区間値計算手段は、
前記環境条件値の上限値に所定値を足した値と、該環境条件値との差分値である環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値に所定値を足した値と、該ジャンル値との差分値であるジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいて区間値を計算する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記区間値計算手段は、
環境条件毎に前記乗算値を計算し、計算した環境条件の乗算値を合計した値を区間値とする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記複数の環境条件のうちから任意の環境条件を選択する環境条件選択手段をさらに備え、
前記区間値計算手段は、
環境条件毎に前記乗算値を計算し、前記環境条件選択手段が選択した環境条件の乗算値を合計した値を区間値とする、
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記区間値計算手段は、
環境条件毎に前記乗算値を計算し、全ての環境条件の乗算値を合計した値を区間値とする、
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に記憶する環境条件値記憶手段をさらに備え、
前記環境条件値取得手段は、前記環境条件値記憶手段が記憶する環境条件値を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
複数の端末とサーバとから構成され、ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索するナビゲーションシステムであって、
前記サーバは、
リンク近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に記憶する環境条件値記憶手段を備え、
前記端末は、
前記複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定するジャンル値設定手段と、
前記環境条件値記憶手段が記憶している環境条件値を取得する環境条件値取得手段と、
前記ジャンル値設定手段が設定したジャンル値と、前記環境条件値取得手段が取得した環境条件値とに基づいてリンク毎の重みである区間値を計算する区間値計算手段と、
前記区間値計算手段が計算した区間値と前記出発地と前記目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索するルート検索手段と、を備え、
前記端末の前記区間値計算手段は、
前記環境条件値の上限値と該環境条件値との差分値に基づいて環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値と該ジャンル値との差分値に基づいてジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいて区間値を計算する、
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
ノード及びリンクから構成された交通網における出発地と目的地との間の最適な移動ルートを検索するナビゲーション装置であって、
前記ノード近傍の特徴である環境条件の度合を表わす環境条件値をリンク毎に且つ複数の環境条件毎に取得する環境条件値取得手段と、
前記複数の環境条件が分類されたジャンル毎の重みであるジャンル値をそれぞれ設定するジャンル値設定手段と、
前記ジャンル値設定手段が設定したジャンル値と、前記環境条件値取得手段が取得した環境条件値とに基づいてノード毎の重みであるポイント値を計算するポイント値計算手段と、
前記ポイント値計算手段が計算したポイント値と前記出発地と前記目的地とに基づいて最適な移動ルートを検索するルート検索手段と、を備え、
前記ポイント値計算手段は、
前記環境条件値の上限値と該環境条件値との差分値に基づいて環境条件係数を計算し、
該環境条件値を持つ環境条件が分類された前記ジャンルのジャンル値の上限値と該ジャンル値との差分値に基づいてジャンル係数を計算し、
該環境条件係数と該ジャンル係数とを乗じた値である乗算値を計算し、該乗算値に基づいてポイント値を計算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−53051(P2009−53051A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220197(P2007−220197)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】