説明

ナビゲーション装置及びその方法並びにプログラム

【課題】 自車位置から案内地点に至るまでの状況を正確に把握し、案内地点の手前で適切な案内地点情報を報知するナビゲーション装置及び方法並びにプログラムを提供する。
【解決手段】 逸脱リスク判断部45は、逸脱リスクを持つ非経路の存在の有無に加えて、車速検出部3の検出した自車の走行速度に基づいて、自車の走行速度の相違による案内地点に到達するまでの時間の長短を判断する。案内地点情報選択部46は、逸脱リスク判断部45が判断した逸脱リスクの大きさに応じて案内地点情報を選択し、逸脱リスク判断部45が自車位置から案内地点に到るまでの間に逸脱リスクを持つ非経路が存在すると判断した時には、案内地点情報記憶部44の中から交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報(例えば、「二つ目の信号を」という表現や「二つ目の交差点を」という表現を持つ案内地点情報)を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内地点の手前で案内地点に関する案内地点情報を報知するナビゲーション技術に係り、特に案内地点に到達するまでの状況を考慮して案内地点情報の内容を変えるナビゲーション技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用をはじめとするナビゲーション装置では、CD−ROM等の記憶媒体に記録された地点のデータベース、あるいはユーザが任意に選択する地図上の地点から地点検索を行い、所望の目的地を指定する。そして、現在地として自車位置を検出し、ここを出発地として目的地に至るまでの誘導経路を探索する。
【0003】
誘導経路の探索に際しては、CD−ROM等の記憶媒体から道路データなどを読み出しながら、ダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを使って経路探索を行い、検出された自車位置から指定された目的地までの経路を前記道路データに基づいて計算し、経路データを作成している。
【0004】
続いて、目的地に向かう誘導経路及び自車位置を重ねて表示器に表示し、前記経路データに基づいて誘導経路を案内し、併せてスピーカからの合成音声によって方向誘導を行う。このようなナビゲーション装置を用いることにより、ユーザは誘導経路を辿って迷うことなく出発地から目的地まで確実に達することができる。
【0005】
このようなナビゲーション装置は車載用機器として広く普及しており、それに伴ってナビゲーション装置には様々な機能が組み込まれている。例えば、誘導経路上の案内地点が走っている自車位置に接近すると、この案内地点での進行方向、つまり誘導方向を報知すると共に、前記案内地点まであとどれくらいの距離があるかといった案内地点情報を報知する機能を備えたものが知られている。具体的には、一般道の場合、自車位置から案内地点までの距離が700m、300m、100mと順次接近してきた時、交差点までの距離と誘導方向、それらに付随する方面名称を報知するようになっている。すなわち、各距離の通過点において、「およそ、700m先、左方向です。」「およそ、300m先、左方向です。」「まもなく、左方向です」といった案内地点情報が音声案内により報知される。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術では、走行案内タイミング時に、走行案内の音声データが読み出しできない場合でも、何らかの案内音声を発生して、目的地経路から次の案内交差点での進行方向を認識できるようにしたものである。この技術によれば、 案内タイミング時(例えば、次の案内地点までの距離が700m、300m、100m等になった時)に、CD−ROMから走行案内の音声データの読み取りが正常に行われたか否かを判定し、仮に音声データの読み取りが異常である旨判定されると、方向性の無い音声案内(例えば「まもまく分岐です」の案内)を発生させて、運転者の注意を促すことができる。
【特許文献1】特開平8−233592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、経路探索により得られた誘導経路上の交差点から、道路接続関係を参照し、交差点情報をDRAM上の割り当てられた領域に格納する処理を誘導展開と呼ぶ。それら誘導展開によって格納された交差点情報はその交差点が案内地点情報を流す案内交地点であるか否かに関係なく、経路順に並べられている。図3は格納された交差点情報のイメージ図の一例である。ここでは、自車位置が直近の案内地点である交差点C3まで100mに接近した場合、交差点C3と同一方向に曲がる非経路を有する交差点C2が存在している。ここで、「まもなく、左方向です。」といった案内地点情報を行ってしまうと、ユーザは誤って交差点C2を左折してしまうおそれがあった(図4参照)。
【0008】
また、自車の走行速度の違いによっても、案内地点情報の内容が食い違うことがある。すなわち、案内地点に到達するまでの所要時間が異なるにも関わらず、同一内容の案内地点情報が流れると、ユーザは戸惑う場合がある。具体的には、自車の走行速度が時速60km/hの場合、100m先の案内地点には およそ6秒で到達する。そのため、100m以内に接近した段階で「まもなく、左方向です。」といった内容の案内地点情報の報知は適切である。
【0009】
ところが、自車の走行速度が時速10km/hとなると、100m先の交差点にはおよそ36秒かかることになる。この場合、「まもなく」という表現を持つ案内地点情報は不適切であり、ユーザは案内交差点の位置を間違える可能性が出てくる。さらに道路の渋滞等により、自車の走行速度が極低速走行であれば、この違和感はますます強まることになり、誘導経路を外れる危険性が高まってしまう。なお、自車が誤った方向に進んだ場合、ナビゲーション装置は即座に正しい誘導経路に戻すべく再誘導を開始するが、これは本来ユーザにとって不要なものであり、煩わしく感じられた。
【0010】
以上述べたように、従来のナビゲーション装置では、自車位置から案内地点に至るまでの状況の変化を考慮することなく、案内地点の手前で機械的に同一内容の案内地点情報を報知していたため、ユーザが案内地点を間違えて誘導経路から逸脱する危険性があった。
【0011】
本発明は、以上の課題を解消するために提案されたものであり、その目的は、自車位置から案内地点に至るまでの状況を正確に把握し、案内地点の手前で適切な案内地点情報を報知して、確実に案内地点に辿り着くことができる信頼性の高いナビゲーション装置及び方法並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明は、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、前記誘導経路上の案内地点における誘導方向を報知する誘導方向報知手段と、前記案内地点の手前で該案内地点が自車位置に接近していることを報知する案内地点情報報知手段とを備えたナビゲーション装置において、自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する案内地点情報記憶手段と、自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する逸脱リスク判断手段と、前記案内地点情報記憶手段に記憶された複数種類の案内地点情報の中から、前記逸脱リスク判断手段が判断した逸脱リスクの大きさに応じて前記案内地点情報を選択する案内地点情報選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1の発明を方法の観点から捉えたものであり、コンピュータを利用することにより、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算ステップと、前記誘導経路上の案内地点における誘導方向を報知する誘導方向報知ステップと、前記案内地点の手前で該案内地点が自車位置に接近していることを報知する案内地点情報報知ステップとを含むナビゲーション方法において、自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する案内地点情報記憶ステップと、自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する逸脱リスク判断ステップと、前記案内地点情報記憶ステップにて記憶された複数種類の案内地点情報の中から、前記逸脱リスク判断ステップにて判断した逸脱リスクの大きさに応じて前記案内地点情報を選択する案内地点情報選択ステップと、を含むことを特徴としている。
【0014】
さらに、請求項7の発明は、請求項1、6の発明に係るナビゲーション装置及びその方法に関してこれをプログラムの観点から捉えたものであり、コンピュータを利用することにより、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算機能と、前記誘導経路上の案内地点における誘導方向を報知する誘導方向報知機能と、前記案内地点の手前で該案内地点が自車位置に接近していることを報知する案内地点情報報知機能とをコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムにおいて、自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する案内地点情報記憶機能と、自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する逸脱リスク判断機能と、前記案内地点情報記憶機能にて記憶された複数種類の案内地点情報の中から、前記逸脱リスク判断機能にて判断した逸脱リスクの大きさに応じて前記案内地点情報を選択する案内地点情報選択機能と、をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0015】
以上の構成を有する請求項1、6、7の発明においては、自車位置から案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報をあらかじめ記憶しておき、その案内地点情報の中から、案内地点に到るまでの逸脱リスクの大きさに応じて、案内地点情報を選択し、これを報知する。すなわち、案内地点に到達するまでに経路から逸脱するリスクが高ければ、これに応じた案内地点情報をユーザに伝えることができる。したがって、逸脱リスクの大きさに比例して、それに対応する注意力を喚起する案内地点情報を報知することができ、ユーザは誘導経路から外れること心配がない。これにより、案内地点まで確実に行き着くことができ、誘導案内に沿って正しい経路を辿ることができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記誘導経路上の交差点情報を記憶する交差点情報記憶手段と、前記交差点情報記憶手段から前記交差点情報を取得する交差点情報取得手段と、を備え、前記逸脱リスク判断手段は、前記交差点情報取得手段が取得した前記交差点情報に基づいて、自車位置から前記案内地点に到るまでの間に前記案内地点にて案内すべき進行方向と誤認する可能性のある方向に進行可能である非経路が存在するかどうかを判断するようになっていることを特徴としている。
【0017】
この請求項2の発明では、自車位置から案内地点までの途中に、案内地点での誘導方向と同一方向に延びる道路など、案内地点と誤認する可能性のある非経路が存在する時には、逸脱リスク判断手段がこれを検知するため、案内地点情報選択手段は、その判断に基づき、非経路を含む地点と、本来の案内地点とを間違えないような内容の案内地点情報をユーザに与えることができる。例えば、図4にて示した例に即して言えば、「まもなく、左方向です。」だと、ユーザは誤って交差点C2を左折してしまうおそれがある。そこで、「しばらく先を、左方向です。」という内容の案内地点情報を選んで報知する。これにより、案内地点ではない交差点に入り込んでしまうことがなく、案内地点にまで確実に辿り着くことを防ぐことができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記案内地点情報記憶手段は、自車位置から前記案内地点に到るまでの交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報を記憶しており、前記逸脱リスク判断手段が自車位置から前記案内地点に到るまでの間に逸脱リスクが大きいと判断した時、前記案内地点情報選択手段は、前記交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報を選択するようになっていることを特徴としている。
【0019】
このような請求項3の発明においては、自車位置から案内地点までの途中に案内地点と誤認する可能性のある逸脱リスクを持つ非経路が存在する場合に、自車位置から案内地点に到るまでの交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報をユーザに与える。したがって、ユーザは交差点数又は信号数をカウントしていくことで、より確実に案内地点に辿り着くことができ、誘導経路を逸脱する心配がない。図4にて示した例の変形例として、交差点C2と交差点C3とが非常に近い場合を想定してみる。この場合でも、「二つ目の交差点を、左方向です。」という案内地点情報を報知することで、案内地点ではない交差点C2側に入り込んでしまうことがなく、案内地点である交差点C3にまで確実に辿り着くことができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、自車の走行速度を検出する速度検出手段を備え、前記逸脱リスク判断手段は、前記速度検出手段が検出した自車の走行速度に基づいて、自車の走行速度の相違による前記案内地点に到達するまでの時間の長短を判断するようになっており、前記案内地点情報記憶手段は、自車位置から前記案内地点に到るまで短時間で到達する場合の案内地点情報と、長時間かかって到達する場合の案内地点情報を記憶しており、前記逸脱リスク判断手段が自車位置から前記案内地点に到るまでの到達時間が短いと判断した時には、前記案内地点情報選択手段は、短時間で到達する場合の案内地点情報を選択し、前記逸脱リスク判断手段が自車位置から前記案内地点に到るまでの到達時間が長いと判断した時には、前記案内地点情報選択手段は、長時間かかって到達する場合の案内地点情報を選択するようになっていることを特徴としている。
【0021】
請求項4の発明では、逸脱リスク判断手段が、自車の走行速度の相違による案内地点に到達するまでの時間変化に起因する逸脱リスクを判断している。すなわち、自車の走行速度が十分に速くて案内地点にまで短時間で到達する場合には、これに合せた内容、例えば「まもなく」という表現を持つ案内地点情報を報知する。反対に、自車の走行速度が遅くて案内地点にまで長い時間がかかる場合には、これに合せた内容、例えば「しばらく先を」という表現を持つ案内地点情報を報知する。このように、自車の走行速度の違いにより案内交差点に到達するまでの所要時間が変わっても、それに合せた内容の案内地点情報を報知することができるため、ユーザは違和感を覚えることなく案内地点情報を素直を受け入れることができる。したがって、案内地点の手前で曲がって誘導経路を外れたり、反対に案内地点を通り過ぎることがなく、案内地点にまで確実に辿り着くことができる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、前記案内地点情報報知手段は、自車位置から前記案内地点に到るまでの間にn回、案内地点情報を報知するようになっており、前記案内地点情報報知手段がn回目の案内地点情報を報知する時にのみ、前記案内情報選択手段は前記案内地点情報の選択を行うようになっていることを特徴としている。
【0023】
ユーザが案内地点から十分に離れている時には、詳しい内容の案内地点情報をユーザに伝える必要がなく、誘導経路上に案内地点が存在することを意識させる程度の簡単な案内地点情報で十分である。つまり請求項5の発明においては、案内地点に到るまでの間に案内地点情報をn回報知する場合、案内地点に最も近いタイミングで案内地点情報を報知するn回目の時にだけ、案内地点に到達するまでの道路状況に応じた案内地点情報の選択を実施する。そして、それ以外の案内地点から距離があるタイミングでの案内地点情報の報知は、案内地点に到達するまでの道路状況に関係なく、単一の案内地点情報を知らせるにとどめている。これにより、ユーザが案内地点から十分に離れている時の案内地点情報は、簡単なもので済ませることができる。これにより、情報過多によってユーザを混乱させる心配がない。
【発明の効果】
【0024】
以上述べたように、本発明のナビゲーション装置、その方法及びプログラムによれば、自車位置から案内地点に至るまでの状況を正確に把握し、案内地点の手前で適切な案内地点情報を報知するので、誘導経路から外れることなく確実に案内地点に辿り着くことができ、ナビゲーション技術の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
続いて、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であり、さらに地図データや経路計算のためのアルゴリズムに関しても適宜選択自由である。
【0026】
また、本発明はナビゲーション装置及び方法に加えて、上記プログラム、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体としても把握でき、このプログラムはナビゲーション装置に組み込まれたCPUや各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することでこの発明の作用効果を実現する。
【0027】
〔1.構成〕
〔1−1.全体の構成〕
本実施形態の各要素について、図1の機能ブロック図を用いて説明する。各要素とは、絶対位置・方位検出部1と、相対方位検出部2と、車速検出部3と、メインCPU及びその周辺回路4と、メモリ群Mと、出力部10と、入力部11と、ディスク制御部12と、FM多重受信及び処理部13、光/ビーコン受信及び処理部14である。
【0028】
このうち、絶対位置・方位検出部1は、GPS衛星から送られてくるGPS電波をアンテナやレシーバなどで受信することにより、本装置が搭載された車両の現在地である自車位置について地表での絶対的な位置座標や方位を計算する部分である。相対方位検出部2は、ジャイロセンサなどを使って自車の相対的な方位を検出する部分である。車速検出部3は、自車より得られる車速パルスを処理することで、自車の速度を計算する部分である。
【0029】
また、メインCPU及びその周辺回路4は、本実施形態の装置全体を制御する制御回路の役割を果たす部分である。メモリ群MにはROM5、DRAM6、SRAM7、VRAM8が設けられている。このうち、ROM5は、BIOSやブートアッププログラムなどが予め格納されており、本装置の起動時にメインCPU及びその周辺回路4によってアクセスされる。DRAM6はワークエリアなどに使用される。また、SRAM7は不揮発性のメモリであり、自車のアクセサリ電源など本装置のメイン電源がオフになっている場合でも、電池などでバックアップされることでメモリ内容を保持するものである。VRAM8は、出力部10でビデオ表示を行うためのメモリである。
【0030】
出力部10は、探索された誘導経路等を画面に表示すると共に、誘導経路上の案内地点における誘導方向の報知や、案内地点の手前でこの案内地点が自車位置に接近していることを表す案内地点情報の報知を行う部分である。入力部11は、リモコンやタッチパネル等を使ってユーザが命令や目的地等、さまざまな情報を本装置に入力するための部分である。ユーザインタフェース部9は、I/O制御回路やドライバなどを使って、出力部10及び入力部11と、メインCPU及びその周辺回路4とを結ぶユーザインタフェースである。
【0031】
ディスク制御部12は、ナビゲーションプログラムや、交差点情報や道路情報を含む地図データ等の各種データを、ハードディスクやCD−ROM等のディスクに記録されたデータベースから読み出す手段である。FM多重受信及び処理部13は、複数のアンテナを受信状態に応じて切り換えることで、ラジオのFM放送波を受信し、この放送波からVICS情報を取得する部分、光/ビーコン受信及び処理部14は、光/ビーコン信号を受信し、この信号を処理する部分である。
【0032】
〔1−2.メインCPU及びその周辺回路の役割〕
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、自車位置特定部40、目的地指定部41、経路計算部42、案内制御部43、案内地点情報記憶部44、逸脱リスク判断部45、案内地点情報選択部46、交差点情報取得部47である。
【0033】
このうち、自車位置特定部40はGPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を逐次計算し、自車位置を特定するための手段である。目的地指定部41は入力部11を介してユーザが入力した目的地を、目的地として指定するための部分である。
【0034】
経路計算部42は、ディスク制御部12を使ってCD−ROM等のディスクから道路データ等を読み出しながら、ダイクストラ法等の経路探索アルゴリズムを使って経路探索を行い、自車位置特定部40によって特定される自車位置から、目的地指定部41にて指定された目的地までの誘導経路を、前記地図データに基づいて計算することで、誘導経路を表す経路データを作成する部分である。
【0035】
また、案内制御部43は、誘導経路のうち表示する部分や点滅強調などの要素を決めたり、合成音声の併用などにより誘導案内を制御する手段である。以上の自車位置特定部40、目的地指定部41、経路計算部42及び案内制御部43は、ディスク制御部12から読み出される地図データに基づいて、指定された目的地までの誘導経路を探索し、これを誘導案内するナビゲーション手段を構成している。
【0036】
〔1−3.本実施形態の特徴的な部分〕
続いて、本実施形態の特徴的な部分について説明する。本実施形態の特徴的な部分とは、上記案内制御部43に、案内地点情報記憶部44、逸脱リスク判断部45、案内地点情報選択部46、交差点情報取得部47を加えた部分である。
【0037】
案内地点情報記憶部44は自車位置から案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する部分である。具体的には、案内地点情報記憶部44は、自車位置から案内地点に到るまでの交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報(例えば、「二つ目の信号を」という表現や「二つ目の交差点を」という表現を持つ案内地点情報)、案内地点に到達するまでの時間が短時間で済む場合の案内地点情報(例えば、「まもなく」という表現を持つ案内地点情報)、さらには、案内地点に到達するまでの時間が長くかかる場合の案内地点情報(例えば、「しばらく先を」という表現を持つ案内地点情報)を記憶している。
【0038】
逸脱リスク判断部45は、自車位置から案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する部分であって、より詳しくは、交差点情報取得部47が取得した交差点情報に基づいて、自車位置から案内地点に到るまでの間に案内地点にて案内すべき進行方向と誤認する可能性のある方向に進行可能な非経路が存在するかどうかを判断するようになっている。
【0039】
また、逸脱リスク判断部45は、逸脱リスクの高い非経路の存在の有無に加えて、前記車速検出部3の検出した自車の走行速度に基づいて、自車の走行速度の相違による案内地点に到達するまでの時間の長短を判断するようになっている。
【0040】
案内地点情報選択部46は、逸脱リスク判断部45が判断した逸脱リスクの大きさに応じて案内地点情報を選択する部分である。逸脱リスク判断部45が自車位置から案内地点に到るまでの間に逸脱リスクの高い非経路が存在すると判断した時には、案内地点情報記憶部44の中から交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報(例えば、「二つ目の信号を」という表現や「二つ目の交差点を」という表現を持つ案内地点情報)を選択するようになっている。
【0041】
また、逸脱リスク判断部45が、自車が案内地点に到達するまでの時間が長いと判断した時には、案内地点情報選択部46は、案内地点情報記憶部44の中から、案内地点に到達するまでの時間が長くかかる場合の案内地点情報(例えば、「しばらく先を」という表現を持つ案内地点情報)を選ぶようになっている。反対に、逸脱リスク判断部45が、自車が案内地点に到達するまでの時間が短いと判断した時には、案内地点情報選択部46は、案内地点情報記憶部44の中から、案内地点に到達するまでの時間が短時間で済む場合の案内地点情報(例えば、「まもなく」という表現を持つ案内地点情報)を選ぶようになっている。
【0042】
なお、本実施形態では、自車位置から案内地点までの距離が700m、300m、100mと接近した時に、都合3回、案内地点情報を報知するようになっている。この時、3回目の案内地点情報を報知する時にのみ、案内情報選択部46は案内地点情報の選択を行うようになっている。
【0043】
〔2.作用〕
次に、本実施形態の作用について説明する。図2は案内地点までの距離が100mに接近した場合の、案内地点情報を音声案内によって出力する処理を示すフローチャートである。まずSTEP1にて、案内地点情報の音声案内を既に行った交差点であるかどうかを確認する。音声案内を既に行った交差点であれば(STEP1のYes)、STEP1に戻り、音声案内を行っていなければ(STEP1のNo)、STEP2に移る。
【0044】
STEP2では、音声案内を行う交差点(案内地点)まで100m以内に接近したかどうかを確かめる。接近していなければ(STEP2のNo)、STEP2に戻り、接近していれば(STEP2のYes)、STEP3に移る。STEP3では、自車が例えば時速60km/hを超える高速走行中であるかどうかを確かめ、高速走行中であれば(STEP3のYes)、逸脱リスク判断部45が、自車が案内地点に到達するまでの時間が短いと判断し、案内地点情報選択部46は、案内地点情報記憶部44の中から、案内地点に到達するまでの時間が短時間で済む場合の案内地点情報(例えば、「まもなく」という表現を持つ案内地点情報)を選び、案内処理部43がこれを音声案内する(STEP5)。
【0045】
一方、STEP3において、自車が高速走行中でなければ(STEP3のNo)、STEP4に移る。STEP4では、交差点情報取得部47が取得した交差点情報に基づいて、逸脱リスク判断部45が、自車位置から案内地点に到るまでの間に案内地点にて案内すべき進行方向と誤認する可能性のある方向に進行可能な逸脱リスクを持つ非経路が存在するかどうかを判断する。
【0046】
ここで、逸脱リスク判断部45が、自車位置から案内地点に到るまでの間に案内地点にて逸脱リスクを持つ非経路が存在しないと判断した場合には(STEP4のNo)、逸脱リスク判断部45は、単に、自車が案内地点に到達するまでの時間が長いと判断する。この時、案内地点情報選択部46は、案内地点情報記憶部44の中から、案内地点に到達するまでの時間が長くかかる場合の案内地点情報(例えば、「しばらく先を」という表現を持つ案内地点情報)を選び、案内処理部43がこれを音声案内する(STEP6)。
【0047】
STEP4において、逸脱リスク判断部45が、自車位置から案内地点に到るまでの間に案内地点にて逸脱リスクを持つ非経路が存在すると判断した場合には(STEP4のYes)、案内地点情報選択部46は、案内地点情報記憶部44の中から交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報(例えば、「二つ目の信号を」という表現や「二つ目の交差点を」という表現を持つ案内地点情報)を選択して、案内処理部43がこれを音声案内する(STEP7)。
【0048】
〔3.効果〕
以上のような本実施形態によれば、自車位置から案内地点までの途中に、案内地点と誤認する可能性のある非経路の存在や、案内地点に到達するまでの時間の長短を逸脱リスク判断部45が判断し、案内地点情報選択部46がその判断に基づいて、逸脱リスクを内包する地点と、本来の案内地点とを間違えないような内容の案内地点情報をユーザに与えることができる。しかも、本実施形態においては、案内地点に極めて接近して案内地点と誤認する可能性のある非経路が存在したとしても、自車位置から案内地点に到るまでの交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報を報知するので、ユーザは交差点数又は信号数をカウントしていくことによって、非経路を含む地点と案内地点とを間違える可能性が低くなり、誘導経路を逸脱する心配がない。
【0049】
さらに、本実施形態では、案内地点に最も近いタイミングで案内地点情報を報知する100m以内に接近した3回目の時にだけ、案内地点に到達するまでの道路状況に応じた案内地点情報の選択を実施している。そのため、ユーザが案内地点から十分に離れている時の700m以内や、300m以内に接近した時に報知する案内地点情報は、簡単なものでよく、過度な情報をユーザに与えてユーザを混乱させるおそれがない。
【0050】
〔4.他の実施形態〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、案内地点情報における内容や、案内地点情報の報知タイミングや報知回数等は適宜変更可能である。さらに、これらの情報を記憶するメディアはCDやDVD等のディスクだけではなく、携帯用のメモリーカードを利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る実施の形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態のフローチャート。
【図3】従来の交差点情報の格納イメージ図。
【図4】従来の課題を示す説明図。
【符号の説明】
【0052】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
5…ROM
6…DRAM
7…SRAM
8…VRAM
9…ユーザインタフェース部
10…出力部
11…入力部
12…ディスク制御部
13…FM多重受信及び処理部
40…自車位置特定部
41…目的地指定部
42…経路計算部
43…案内制御部
44…案内地点情報記憶部
45…逸脱リスク判断部
46…案内地点情報選択部
47…交差点情報取得部
M…メモリ群
a…自車マーク
C1〜C3…交差点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、前記誘導経路上の案内地点における誘導方向を報知する誘導方向報知手段と、前記案内地点の手前で該案内地点が自車位置に接近していることを報知する案内地点情報報知手段とを備えたナビゲーション装置において、
自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する案内地点情報記憶手段と、
自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する逸脱リスク判断手段と、
前記案内地点情報記憶手段に記憶された複数種類の案内地点情報の中から、前記逸脱リスク判断手段が判断した逸脱リスクの大きさに応じて前記案内地点情報を選択する案内地点情報選択手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記誘導経路上の交差点情報を記憶する交差点情報記憶手段と、
前記交差点情報記憶手段から前記交差点情報を取得する交差点情報取得手段と、を備え、
前記逸脱リスク判断手段は、前記交差点情報取得手段が取得した前記交差点情報に基づいて、自車位置から前記案内地点に到るまでの間に前記案内地点にて案内すべき進行方向と誤認する可能性のある方向に進行可能な非経路が存在するかどうかを判断するようになっていることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記案内地点情報記憶手段は、自車位置から前記案内地点に到るまでの交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報を記憶しており、
前記逸脱リスク判断手段が自車位置から前記案内地点に到るまでに逸脱リスクが大きいと判断した時、前記案内地点情報選択手段は、前記交差点数又は信号数に関する情報を加えた案内地点情報を選択するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
自車の走行速度を検出する速度検出手段を備え、
前記逸脱リスク判断手段は、前記速度検出手段が検出した自車の走行速度に基づいて、自車の走行速度の相違による前記案内地点に到達するまでの時間の長短を判断するようになっており、
前記案内地点情報記憶手段は、自車位置から前記案内地点に到るまで短時間で到達する場合の案内地点情報と、長時間かかって到達する場合の案内地点情報を記憶しており、
前記逸脱リスク判断手段が自車位置から前記案内地点に到るまでの到達時間が短いと判断した時には、前記案内地点情報選択手段は、短時間で到達する場合の案内地点情報を選択し、前記逸脱リスク判断手段が自車位置から前記案内地点に到るまでの到達時間が長いと判断した時には、前記案内地点情報選択手段は、長時間かかって到達する場合の案内地点情報を選択するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記案内地点情報報知手段は、自車位置から前記案内地点に到るまでの間にn回、案内地点情報を報知するようになっており、
前記案内地点情報報知手段がn回目の案内地点情報を報知する時にのみ、前記案内情報選択手段は前記案内地点情報の選択を行うようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
コンピュータを利用することにより、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算ステップと、前記誘導経路上の案内地点における誘導方向を報知する誘導方向報知ステップと、前記案内地点の手前で該案内地点が自車位置に接近していることを報知する案内地点情報報知ステップとを含むナビゲーション方法において、
自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する案内地点情報記憶ステップと、
自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する逸脱リスク判断ステップと、
前記案内地点情報記憶ステップにて記憶された複数種類の案内地点情報の中から、前記逸脱リスク判断ステップにて判断した逸脱リスクの大きさに応じて前記案内地点情報を選択する案内地点情報選択ステップと、を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】
コンピュータを利用することにより、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算機能と、前記誘導経路上の案内地点における誘導方向を報知する誘導方向報知機能と、前記案内地点の手前で該案内地点が自車位置に接近していることを報知する案内地点情報報知機能とをコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムにおいて、
自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に関して内容の異なる複数の案内地点情報を記憶する案内地点情報記憶機能と、
自車位置から前記案内地点に到るまでの状況に応じて誘導経路から外れる逸脱リスクの大きさを判断する逸脱リスク判断機能と、
前記案内地点情報記憶機能にて記憶された複数種類の案内地点情報の中から、前記逸脱リスク判断機能にて判断した逸脱リスクの大きさに応じて前記案内地点情報を選択する案内地点情報選択機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−275617(P2006−275617A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92094(P2005−92094)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】