説明

ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】別の道路への出口を有さない特別車道と、別の道路への出口を有する一般車道とが所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、適切な案内を実現する。
【解決手段】車載のカメラにて得られた撮像画像上でのカープールレーンであることを示す道路標示を検出し、その検出結果に基づいてカープールレーン上を走行中か否かを判定する。車両進行方向に沿って繰り返し標示された道路標示を所定時間内に検出すればカープールレーン上を走行していると判定できる。そして、カープールレーン上を走行している場合は、表示部に、カープールレーンを走行中である旨(G1)や案内経路に沿ったカープール出口の案内(G2)や、カープール出口(X,Y)と一般車道から他の道路への出口(A〜F)との対応関係(G2,G3)を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、道路データを利用して所定のナビゲーション処理を実行するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS等により現在位置を検出し、その現在位置をディスプレイ上に道路地図と共に表示したり、現在位置から目的地までの適切な経路を設定し、案内として利用するナビゲーション装置が知られ、より円滑なドライブに寄与している。なお、走行案内に際しては、車両の走行中に、地図画像上に案内経路を他の道路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、次に自車が進入する交差点の拡大図表示や案内音声出力を行うことにより、利用者を目的地まで案内するようになっている。
【0003】
そして、この経路設定に際しては、一般にダイクストラ法あるいはそれに準じた手法が用いられる。具体的には、ノード間のリンクに対するリンク情報を用いて現在地から各ノードに至るまでの経路計算コスト(経路に対する評価値)を算出し、目的地までの全てのコスト計算が終了した段階で、総コストが最小となるリンクを接続して目的地までの経路を設定している。ただし、目的地までのつながった経路を設定するため、例えば一方通行あるいは歩行者専用道路のように、その道路へ進入できない場合には経路として採用できない。したがって、リンク間接続情報よりそのような通行規制があることが判れば、該当するリンクを除いて経路設定すること、なる。
【0004】
ところで、通行規制といっても、上述した歩行者専用道路や一方通行などのように、全ての車両の通行が一律に規制されるものばかりではない。その一例として、主に米国の大都市の高速道路(フリーウェイ)で見かけられる道路システムの一つにカープールレーン(Carpool Lane )がある。このカープールレーンは、車両走行台数の減少を目的とし、相乗り推奨のために設けられたものである。具体的には、乗員が複数の場合にのみ走行可能で、乗員が単独の場合には走行が規制される。米国では、運転者以外の搭乗者がいない車両の割合が高いため、このカープールレーンは一般車道に比べて空いており、2人以上の搭乗者がいる車両は、このカープールレーンを走行することにより走行時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0005】
このカープールレーンは、そのような規制のない一般的な道路とは別の道路として存在する場合もあるが、同一道路内の同一進行方向の二つの車道(1つ以上の車線から構成されたもの)が単に区画線(レーンマーク)で区切られたり、あるいはガードレールにて仕切られているものもある。例えば区画線のみで区切られている場合であっても、一般車道とカープールレーンとの間での相互に進入(つまり一方から離脱して他方へ進入すること)が、所定の進入許可区間のみにおいてのみ許可されている。
【0006】
一方、高速道路から他の道路への出口は一般車道にしか接続されていない。このため、ナビゲーション装置の画面上に自車位置周辺の地図画像を表示させたり、経路案内機能を用いてカープールレーンを走行中の車両の運転者が高速道路出口に近づいたことを知った場合であっても、カープールレーンから一般車道への進入(つまりカープールレーンからの離脱)ポイントがないために一般車道へ戻ることができず、結果として、高速道路出口を通り過ぎてしまうことがある。特に、一般車道の車線数が多い大都市周辺の高速道路ではこのような不都合が起こりやすい。
【0007】
このような不都合を回避するためには、カープールレーンを走行中に早めに一般車道に戻るようにすればよいが、高速道路出口までにいくつもの離脱ポイントがある状態で一般車道に戻ってしまうと、カープールレーンの走行距離が短くなってしまい、効率よい走行ができなくなるという問題があった。また、このような問題は、カープールレーンを走行する場合だけでなく、相互の行き来が制限される一般車道同士でも生じるおそれがある。
【0008】
そのような問題に着目した技術としては、例えば特許文献1に開示されるものが挙げられる。この特許文献1に開示された技術は、地図データとしてカープールレーンについての道路情報を含めておき、そのような地図データを用いて所定のナビゲーション処理を実行すれば、一般車道との間の相互の進入(離脱)に関する制限事項が考慮されたナビゲーション動作が行われるため、カープールレーンを効率よく走行することができるというものである。
【特許文献1】特開平2001−183159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、カープールレーンも考慮して作成された地図データを用いてナビゲーション処理を実行したとしても、特許文献1に開示されている技術にあっては、以下のような問題が想定される。
【0010】
(1)現在位置がカープールレーン上にあるのか、あるいは一般車道にあるのか、といった判定はしておらず、カープールレーン上に存在している場合のみを前提とした案内手法しか開示していない。そのため、車両前方にカープールレーンから一般車道への進入許可区間があればその存在を単に報知するだけである。したがって、その報知を受けたユーザが現在カープールレーン上にいるのか一般車道上にいるのかを的確に判断できれば、それなりに有用性があるかもしれないが、カープールレーン上にいるのか一般車道上にいるのかを的確に判断できない可能性もある。そのような判断ができないようなユーザにとっても親切な案内を実現できることがナビゲーション装置としては好ましい。
【0011】
(2)例えば、高速道路の出口から他の道路へ退出しようとしてカープールレーンから離脱して一般車道へ進入した場合には、その後、カープールレーンから一般車道への進入許可区間について報知してもらう必要性がないかあるいは相当低いと考えられる。しかしながら、特許文献1に開示されている技術にあっては、車両前方にカープールレーンから一般車道への進入許可区間があればその存在を報知するため、上述のようなユーザにとっては不要あるいは必要性の低い案内がなされることになる。
【0012】
(3)自車の位置を車線(レーン)単位で判別することは、GPSを用いた位置検出手法では精度的に困難である。また、道路に路上機を設置し、車載器との間で通信を行うことでどのレーンに存在するかを判別することも可能ではあるが、道路に路上機を設置するというインフラの整備を前提とするため、現実的には容易に実現するというものでもない。
【0013】
以上はカープールレーンという具体例について考えたが、「同一進行方向の複数の車道が、別の道路への出口を有さない特別車道と、別の道路への出口を有する一般車道で構成され、さらに特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可される」という道路構造の場合には、同様の問題が生じる。例えば米国東部などに存在するエクスプレスレーン(Express Lane)とローカルレーン(Local Lane )が挙げられる。
【0014】
そこで本発明は、同一進行方向の複数の車道が、別の道路への出口を有さない特別車道と、別の道路への出口を有する一般車道で構成され、さらに特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、適切な案内を実現することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項1のナビゲーション装置(1:なお、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において説明した構成要素を括弧内に示すが、この記載によって特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、特別車道と一般車道との間で相互の進入が許可される所定の進入許可区間(実施形態ではカープール出口などと称する。)に関する情報を含む道路データを利用して所定のナビゲーション処理を実行する制御手段(29)を備えた車載用のナビゲーション装置である。
【0016】
ここで、特別車道と一般車道は、同一進行方向の複数の車道であって、特別車道は、別の道路への出口を有さない車道であり、一般車道は、別の道路への出口を有する車道である。そしてさらに、特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可されている。
【0017】
そして、この特別車道には、少なくとも特別車道への入口に特別車道であることを示す標識または標示が設けられているのであるが、ナビゲーション装置(1)は、この特別車道であることを示す標識または標示を検出可能な検出手段(30,31)を備えている。さらにナビゲーション装置(1)は、車両の現在位置を特定する現在位置特定手段(21)と、ユーザに対して案内するための案内手段(26,27)と、を備え、制御手段(29)は、所定のナビゲーション処理として、以下のような処理を実行する。つまり、検出手段(30,31)による検出結果に基づいて特別車道に存在するか否かを判定し、特別車道に存在する場合には、現在位置特定手段(21)によって特定された現在位置に基づき、車両進行方向の所定範囲内に存在する進入許可区間に関する情報を、案内手段(26,27)を介して案内するのである。
【0018】
なお、特別車道の具体例としては、例えば米国の大都市の高速道路(フリーウェイ)で見かけられ、他国にも普及し始めている道路システムであるカープールレーンや米国東部などに存在するエクスプレスレーンが挙げられる。これらの何れも、別の道路への出口を有さない車道である。そして、別の道路への出口を有する一般車道(特別車道がエクスプレスレーンの場合には、一般車道はローカルレーンとなる。)との間では、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可されている。
【0019】
なお、カープールレーンは、複数人が乗車している場合に走行が許可される特別車道であり、例えば他の呼び名として「Carpool」、「Vanpool」といったものも存在する。カープールレーンの場合にはこのような走行時の特別な条件が存在するのであるが、道路構造的に見ると、エクスプレスレーンと同様である。もちろん特別車道はカープールレーンやエクスプレスレーンに限られるものではなく、これらと同様の道路構造を持った車道であればよい。ただし、以下の説明では、理解を容易にするため、特別車道の一例としてのカープールレーンを取り上げて適宜説明を進める。ただし、エクスプレスレーンに特有な事情を考慮する場合には、その点も付記する。
【0020】
カープールレーンが設けられた高速道路の入口や、カープールレーンの道路脇にはその旨を示す道路標識が設置され、また道路標示として、路面上に「CARPOOL LANE」という「文字」と、ダイヤモンド型の「マーク」がペイントされていることが多い。したがって、検出手段(30,31)においては、それらの道路標識や道路標示を検出すればよい。もちろん、道路標識及び道路標示の両方を検出してもよいが、例えば道路標示のみを検出してもよい。その場合は、撮像手段(30)を用いて路面上を撮像し、その撮像した画像に基づいて「CARPOOL LANE」という「文字」、あるいはダイヤモンド型の「マーク」を判別すればよい。
【0021】
そして、道路標示の場合には、一般的に進行方向に沿って繰り返し標示されることが多いので、例えば所定時間内に(あるいは所定距離走行する間に)このような道路標示を検出すればカープールレーンに存在すると判定でき、また、所定時間内(あるいは所定距離走行する間)にこのような道路標示を検出しなければ、カープールレーンに存在しないと判定できる。したがって、次のような効果がある。
【0022】
(1)上述した特許文献1に開示されている先行技術の場合には、現在位置がカープールレーン上にあるのか、あるいは一般車道にあるのか、といった判定はしておらず、車両前方にカープールレーンから一般車道への進入許可区間があればその存在を単に報知するだけである。したがって、その報知を受けたユーザが現在カープールレーン上にいるのか一般車道上にいるのかを的確に判断できれば、それでも問題はないかもしれない。しかし特に、ナビゲーション装置が有効利用される場面としては、初めて行った場所、つまりユーザが道路状況に不案内な地域が挙げられるため、カープールレーンをあまり知らないユーザにとっても親切な案内であることが好ましい。
【0023】
その点、本発明のナビゲーション装置の場合には、例えば路面標示に基づいてカープールレーンを走行しているのか否かを自動的に判定でき、カープールレーンを走行している場合に限って、カープールレーンから一般車道への進入許可区間の場所を案内するといったナビゲーション処理が可能である。つまり、ユーザ自身は、車両が現在カープールレーンを走行しているのか否かを判断する必要がなく、カープールレーンから一般車道へ離脱したいと考えた場合、進入許可区間の案内がある場合にそれに従えばよいだけである。したがって、ユーザにとって親切な案内となる。
【0024】
(2)上述のように、先行技術にあっては、車両前方にカープールレーンから一般車道への進入許可区間があればその存在を報知するため、例えば、高速道路の出口から他の道路へ退出しようとしてカープールレーンから離脱して一般車道へ進入した場合であっても、やはり同様にカープールレーンから一般車道への進入許可区間の場所を案内すること、なる。
【0025】
これに対して本発明のナビゲーション装置の場合には、カープールレーンを走行している場合に限って、カープールレーンから一般車道への進入許可区間の場所を案内するといったナビゲーション処理が可能であるため、ユーザにとっては必要な案内のみなされる点で非常に好ましい。
【0026】
(3)カープールレーンを走行しているか否かをGPSを用いた位置検出手法のみで行うのは精度的に困難である。もちろん、カープールレーンに専用の路上機を設置し、車載器との間で通信を行うことでカープールレーンに存在するか否かを判別することも可能ではある。しかし、このように路上機を設置するというインフラの整備を前提とする手法は、容易に実現するというものでもない。
【0027】
これに対して本発明のナビゲーション装置の場合には、車両に搭載するナビゲーション装置側の工夫のみでカープールレーンを走行しているか否かを判定できる。そして、そのための具体的として例示した撮像手段およびその撮像画像に基づいて判定することは比較的容易に実現できる。例えば路面標示としてのダイヤモンド型「マーク」に関しては、テンプレートを準備しておき、画像内にそのテンプレートと一致する図形が存在するか否かというパターンマッチングを行えば、容易に判別できる。
【0028】
なお、例えばエクスプレスレーンについて考えた場合、カープールレーンのように道路上に標示が存在しない可能性もある。つまり、エクスプレスレーンへの入口には標識が存在するが、エクスプレスレーンに進入した後は、エクスプレスレーンであることを示す標識や標示が存在しない場合もあり得る。そのような場合には、次のようにしてエクスプレスレーンに存在するか否かを判定することも考えられる。つまり、検出手段を、一般車道から別の道路への出口を検出可能に構成する。そして制御手段により、道路データに基づけば一般車道から前記別の道路への出口が存在する位置において、検出手段によって出口を検出したか否かに基づいて特別車道に存在するか否かを判定するのである。エクスプレスレーンは別の道路への出口を有さないのであるから、このような手法で適切に判定できる。なお、カープールレーンであっても同様の判定が可能であるが、道路標示が存在するのであればそれに基づいた方が簡易かつ性格に判定できると考えられる。
【0029】
このように、本発明のナビゲーション装置によれば、同一進行方向の複数の車道が、別の道路への出口を有さない特別車道と、別の道路への出口を有する一般車道で構成され、さらに特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、適切な案内を実現することができるのである。
【0030】
上述したナビゲーション装置の場合には、車両進行方向の所定範囲内に存在する進入許可区間に関する情報を、案内手段(26,27)を介して案内するものであった。これに対して、請求項2に係るナビゲーション装置の場合は、特別車道を含む案内経路を設定し、案内手段(26,27)を介して案内経路に関する走行案内を行う場合に、以下のような処理を実行する。つまり、検出手段(30,31)による検出結果に基づいて特別車道に存在するか否かを判定し、特別車道に存在する場合には、案内経路にしたがって走行するために特別車道から退出して一般車道へ進入すべき進入許可区間の案内を含む、特別車道を加味した特別車道特有の案内を行い、その後、検出手段(30,31)による検出結果に基づいて特別車道に存在しなくなったか否かを判定し、特別車道にいなくなった場合には、特別車道を加味しない通常の案内を行うのである。
【0031】
例えば高速道路の一部の車道に設定されたカープールレーンを走行している場合、高速道路から別の道路へ退出する案内経路にしたがって走行するためには、そのカープールレーンから退出して一般車道へ進入し、その一般車道から別の道路へ退出する必要がある。その場合には、カープールレーンから退出して一般車道へ進入すべき進入許可区間の案内を含む、カープールレーンという特別車道の性質を加味した特別車道特有の案内を行う。しかし、その案内にしたがって一般車道へ移動した場合には、たとえ前方にカープールレーンが存在しても、そのカープールレーンへ進入する必要はない。したがって、検出手段(30,31)による検出結果に基づいてカープールレーンに存在しなくなったことを判断した場合には、カープールレーンという特別車道の性質を加味しない通常の案内を行えばよい。
【0032】
このような経路案内をすれば、ユーザにとっては必要な案内のみなされる点で非常に好ましい。また、車両に搭載するナビゲーション装置側の工夫のみでカープールレーンを走行しているか否かを判定できるため、カープールレーンに専用の路上機を設置し、車載器との間で通信を行うことでカープールレーンに存在するか否かを判別する、といったインフラの整備を前提とする対応が不要である。
【0033】
なお、このような経路案内をした場合であっても、種々の事情により、案内された進入許可区間においては、カープールレーンから退出して一般車道へ進入できない場合も想定される。その場合の対応としては、例えば、制御手段(29)が下記のような特別車道特有の案内を行うことが考えられる。つまり、案内経路にしたがって走行するために特別車道から退出して一般車道へ進入すべき進入許可区間を案内した後、検出手段(30,31)による検出結果に基づいて特別車道に存在しなくなったか否かを判定し、案内した進入許可区間を過ぎてもまた特別車道にいる場合には、案内経路の再設定を行い、その再設定した案内経路に関して走行案内を行うのである。
【0034】
案内経路から外れた場合に経路の再設定を実行すること自体は公知技術である。しかし、特別車道と一般車道という区別をしていない状態では、上述の状況を「経路から外れた」と判断することはできない。本発明のナビゲーション装置では、特別車道特有の案内を行うことを前提としているため、上述の状況が発生したら「経路再設定の必要がある」と判断し、再設定した案内経路に関して走行案内を行うようにした。
【0035】
これにより、案内された進入許可区間においては、カープールレーンから退出して一般車道へ進入できない場合であっても、その後の適切なフォローがなされることとなる。
また、特別車道は別の道路への出口を有さないため、一般車道を走行中、一般車道から特別車道への進入許可区間のうち、案内経路にしたがって走行するためには進入してはいけない進入許可区間というものが存在することとなる。したがって、そのような「進入してはいけない進入許可区間」に所定距離まで近付いたら、その進入許可区間から特別車道へ進入しないよう案内することも有効である。
【0036】
案内手段(26,27)は、表示や音声などによってユーザに対する案内を実行すればよいが、案内手段(26,27)が、画像を表示する表示手段(26)を少なくとも有していることを前提とすれば、制御手段(29)が、特別車道に存在する場合に次のような制御を実行してもよい。つまり、特別車道に存在することをユーザが認識可能な情報を表示、または既に表示されている情報に対して特別車道に存在することをユーザが認識可能な表示態様に変更し、特別車道に存在しなくなった場合には、当該情報を表示させなくするか、または当該変更した表示態様を元に戻すのである。
【0037】
このようにすれば、現在、車両がカープールレーンを走行しているのか否かを(ユーザは)即座に認識することができる。上述のように、ナビゲーション装置が有効利用される場面としては、初めて行った場所、つまりユーザが道路状況に不案内な地域が挙げられるため、カープールレーンをあまり知らないユーザにとっても親切な案内であることが好ましい。その観点からも、上記案内は有用である。
【0038】
なお、「特別車道に存在することをユーザが認識可能な情報を表示する」とは、例えば(それまで表示されていなかった)「カープールレーン走行中」という文字を表示させることなどが考えられる。また、「既に表示されている情報に対して特別車道に存在することをユーザが認識可能な表示態様に変更する」とは、例えば地図上に現在位置マークを表示するような場合に、その現在位置マークを(それまで点滅していなかった状態から)点滅表示に変更する、といったことなどが考えられる。
【0039】
また、現在、車両がカープールレーンを走行している場合には、カープールレーンから退出して一般車道へ進入可能な進入許可区間に関する情報をもちろん知りたいが、一般車道へ進入した後、その一般車道から他の道路へ退出可能な出口に関する情報についても、カープールレーンを走行しているときから知りたい場合もある。
【0040】
そこで、次のような工夫をするとよい。つまり、道路データには、進入許可区間と、その進入許可区間を通って特別車道から一般車道へ進入した場合に当該一般車道から他の道路へ退出可能な出口との対応関係を含めておく。そして、制御手段(29)は、特別車道に存在する場合には、道路データに基づき、車両進行方向の所定範囲内に存在する進入許可区間と、それに対応する出口とを対応付けて表示するのである。
【0041】
また、請求項12に記載のように、請求項1〜11の何れかに記載のナビゲーション装置における制御手段として機能させるプログラムを、ナビゲーション装置が内蔵するコンピュータに実行させるようになっていてもよい。このようになっていれば、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータが読みとり可能な記録媒体にプログラムを記録し、そのプログラムを必要に応じてコンピュータにロードして起動することによりコンピュータをナビゲーション装置の制御手段として機能させることができる。また、プログラムはネットワーク等を用いて流通させることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0043】
[ナビゲーション装置1の構成説明]
図1は、本実施形態のナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置1は車両に搭載され、車両の現在地を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置1とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、車両前方の道路面を撮像するためのカメラ30と、そのカメラ30によって撮像した画像に基づいて、カープールレーンであることを示す道路標示を検出する画像処理部31と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25,マイクロフォン28からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示部26,音声出力部27,画像処理部31を制御する制御部29とを備えている。
【0044】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在地を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0045】
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。なお、タッチパネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式等各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0046】
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから事故情報や渋滞情報等を取得する。
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。
【0047】
表示部26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRT等があるが、その何れを用いてもよい。表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在地と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの案内経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0048】
音声出力部27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力することができる。
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置1を操作することができる。
【0049】
カメラ30は、車両前方の道路を含む風景を撮像するためのものであり、例えばCCDカメラ等が用いられる。このカメラ30は、例えば車両内部の運転席近傍の天井や、ルームミラー等に取り付けられる。もちろん、車両前方の道路を含む風景を撮像できれば他の位置であってもよい。このカメラ30によって、カープールレーンの道路標示を撮影するのであるが、この道路標示に関しては後述する。
【0050】
画像処理部31は、カメラ30から出力されるアナログ画像信号を取り込み、これをデジタルの画像データに変換して、フィルタリング等の処理を施すことにより、カメラ30にて得られた撮像画像上でのカープールレーンの道路標示を検出し、その検出結果を制御部29へ出力する。カープールレーンの道路標示の検出に際しては、撮像画像の中にテンプレートデータベースに格納されている特定の図形と一致することを検出する。
【0051】
ここで、カープールレーンの道路標示に関して説明する。
カープールレーンが設けられた高速道路の入口や、カープールレーンの道路脇にはその旨を示す道路標識が設置され、また道路標示として、路面上に「CARPOOL LANE」という「文字」と、ダイヤモンド型の「マーク」がペイントされていることが多い。したがって、画像処理部31内のテンプレートデータベースには、この「CARPOOL LANE」という「文字」と、ダイヤモンド型の「マーク」に対応する図形が、カープールレーン検出用のテンプレート図形として格納されている。
【0052】
なお、当然であるが、「CARPOOL LANE」という文字に対応するテンプレート図形に関しては、道路上に標示されているのと同様の態様の図形にされている。つまり、このような道路標示は、走行している車両の運転手にとって見えやすいような配置になっているため、その標示態様に合わせるということである。
【0053】
具体的には、例えば「CARPOOL LANE」という文字が3段書になっており、走行している車両に近い方から「CAR」「POOL」「LANE」という標示態様で道路に標示されているのであれば、そのような標示態様に合わせたテンプレート図形を格納しておくということである。
【0054】
構成説明に戻り、制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0055】
例えば、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在地を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在地付近の地図等を表示部26に表示する処理や、地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作にしたがって設定された目的地とに基づいて現在地から目的地までの最適な経路を算出する経路算出処理や、その算出した経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する経路案内処理等を実行する。
【0056】
経路案内処理においては、上述した経路算出の結果と地図データ内に格納されている道路の形状データや、交差点の位置情報、踏切の位置情報等から、案内に必要なポイントを算出したり、どのような案内(右に曲がるか左に曲がるかの指示等、すなわち、いわゆるナビゲーション)が必要なのかを決定する。
【0057】
また、画像処理部31からの検出結果に基づき、現在、カープールレーン上を車両が走行しているのか否かを判断し、カープールレーン上を走行している場合には、上述した表示部26への地図表示処理や、経路案内処理に際して、「カープールレーン上を走行している場合に特有な」処理を実行する。
【0058】
[地図データの説明]
上述したように、地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノード番号、リンク番号、道路の形状データ、道路の幅員データ、道路種別データ、道路番号、道路の規制データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。
【0059】
地図データは、所定の経度および緯度で区切られた矩形形状の図葉を単位としており、各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。各図葉毎の地図データには、地図表示に必要な各種のデータからなる「描画ユニット」と、マップマッチングや経路探索、経路誘導等の各種の処理に必要なデータからなる「道路ユニット」と、交差点等の詳細データからなる「交差点ユニット」が含まれている。また、上述した描画ユニットには、建物あるいは河川等を表示するために必要な背景レイヤのデータと、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字レイヤのデータが含まれている。
【0060】
また、上述した道路ユニットにおいて、道路のある交差点と隣接する他の交差点とを結ぶ線をリンクといい、2本以上のリンクを結ぶ交差点をノードという。また、道路ユニットには、道路ユニットであることを識別するための「ユニットヘッダ」と、全ノードの詳細データを納めた「接続ノードテーブル」と、接続ノードテーブルの格納位置を示す「ノードテーブル」と、隣接する2つのノードによって特定されるリンクの詳細データを納めた「リンクテーブル」とが含まれている。
【0061】
図2は、道路ユニットに含まれる各種のテーブルの詳細な内容を示す図である。ノードテーブルは、図2(a)に示すように、着目している図葉に含まれる全ノードに対応したノードレコード#0、#1、…を格納している。各ノードレコードは、その並び順に#0から順にノード番号が与えられており、各ノードに対応する接続ノードテーブルの格納位置を示す。
【0062】
また、接続ノードテーブルは、図2(b)に示すように、存在するノードのそれぞれ毎に、下記のa〜hに示すデータなどから構成される。
a.正規化経度・緯度
b.このノードが交差点ノードであるか否かを示す交差点ノードフラグ、他の図葉との境界にあるノードであるか否かを示す隣接ノードフラグ、上述した進入許可区間に対応したノードであるか否かを示すフラグなどからなる「ノードの属性フラグ」
c.このノードをリンクの一方端とするリンクがある場合に各リンクの他方端を構成するノードの数を示す「接続しているノードの数」
d.このノードに接続されているリンクに右折禁止やUターン禁止等の交通規制が存在する場合にはその「交通規制の数」
e.このノードが一方端となっている各リンクのリンク番号を示すリンク本数分の接続ノードレコード
f.上述した交通規制が存在する場合にはその数に対応した交通規制の具体的な内容を示す交通規制レコード
g.このノードが他の図葉との境界にあるノードである場合には、隣接する図葉の対応するノードの接続ノードテーブルの位置を示す「隣接ノードレコード」
h.このノードが交差点ノードである場合には、交差点ユニットにおける対応する交差点レコードの格納位置およびサイズ
また、リンクテーブルは、図2(c)に示すように、着目している図葉に含まれる全てのリンクに対応したリンク番号順に複数のリンクレコードを含んでいる。これらの各リンクレコードは、下記のa〜gに示すデータなどから構成される。
【0063】
a.主に経路探索表示用に各リンクに付されたコードであるリンクID
b.リンクの両端に位置する2つのノードを特定するノード番号1、ノード番号2
c.リンクの距離
d.このリンクを走行する場合のコスト
e.このリンクに付随した道路の属性情報(一方通行の有無等)を含む各種の道路属性フラグ
f.このリンクに対応した実際の道路が高速道路であるか一般道であるか、あるいは、カープールレーンを含む道路であるか、カープールレーンと一般車道との間で相互の進入が許可される所定の進入許可区間に対応する道路であるかといった道路の種類や、道路の幅が何メートルあるかといった道路の幅員を示す道路種別フラグ
g.このリンクに対応した道路に付された路線番号
カープールレーンと一般車道との間では、相互の進入が許可される進入許可区間が予め決められている。この進入許可区間の区間内ではカープールレーンと一般車道との境界線(車線を区分する線)が他の境界線とは異なる色で示されている。図3(a)に示すように、この進入許可区間では、(1)カープールレーンを走行中の車両は、カープールレーンから一般車道へ進入することができ、また、(2)所定条件(例えば、搭乗人数が2人以上)を満たす車両は、一般車道からカープールレーンへ進入することができる。逆に、この進入許可区間以外では相互の進入が禁止される。つまり、カープールレーンと一般車道との間は、図5(a)に示すように、進入許可区間と進入禁止区間とで構成される。なお、下記に置いて図4及び図5を参照して本ナビゲーション装置1の作動説明を行うが、その際には、進入許可区間においてカープールレーンから一般車道へ退出する場面を想定した説明が多い。そのため、下記の作動説明においては、当該場面における名称として、進入許可区間のことを「カープール出口」とも称する。
【0064】
それでは、図3を参照して、進入許可区間と、この進入許可区間に対応するノードおよびリンクの情報を設定する方法について説明する。図3(a)は進入許可区間を模式的に表しており、車両は図面上において左から右へ向かって走行するものとする。図3(a)に示す4車線の中で最も内側(図面上の位置で最も上側)にある車線がカープールレーンに対応し、他の3車線が一般車道に対応している。
【0065】
したがって、経路案内の際には、例えば、カープールレーンを走行中の自車が案内経路上にある高速道路出口から所定距離以内に接近した場合に、カープールレーンから離脱して高速道路の出口(通常、最も外側の車線に接続されている)に向かうために、進入許可区間に関する案内が行われる。また、非経路案内時においても、例えば、進入許可区間に関する案内を行うか否かが予め設定され、設定有りの場合に進入許可区間に関する案内が行われる。
【0066】
また、図3(b)は、進入許可区間周辺に対応するノードおよびリンクの情報について説明する図であり、「○」がノードを表し、「直線」がリンクを表している。図3(b)において、リンクL1〜L3はカープールレーンに対応しており、リンクL4〜L6は一般車道に対応している。また、ノードN1、N2、N3、N4が進入許可区間に対応して設定されたノードである。また、リンクL7は上述した図3(a)における経路(1)、すなわちカープールレーンから一般車道へ進入する場合の経路に対応しており、リンクL8は上述した図3(a)における進路(2)、すなわち一般車道からカープールレーンに進入する場合の経路に対応している。
【0067】
本実施形態では、基本的に進入許可区間を通常の経路探索処理における交差点と同様のものとみなして、対応するノードおよびリンクの情報を設定している。具体的には、図3(b)に示した例のように、一つの高速道路について、カープールレーンと一般車道とを分けてノード情報およびリンク情報を格納しており、進入許可区間については、上述したリンクL7およびL8に示すように、カープールレーンと一般車道との間で進入/離脱を行う場合の経路についてのリンク情報も格納している。したがって、カープールレーンを含んで設定された案内経路を走行中の自車が高速道路出口に接近した場合に、適切な進入許可区間を選択してレーン変更案内を行うことができる。
【0068】
なお、上述したリンクL1〜L8の各々に設定するコストについては、カープールレーンを走行する場合と一般車道を走行する場合の平均速度を考慮し、カープールレーンに対応するリンクL1〜L3のコストが一般車道L4〜L6に対応するコストよりも低く設定される。また、進入もしくは離脱を行う場合の経路に対応するリンクL7およびL8のコストについては、例えば、上述したリンクL1〜L3のコストとリンクL4〜L6のコストを平均した値が設定される。
【0069】
[案内制御の概要]
次に、制御部29が実行する案内制御処理について図4のフローチャート及び図5を参照して説明する。
【0070】
なお、図4のフローチャートにおいては、本実施形態のナビゲーション装置1に特徴的な処理であるカープールレーンを加味した案内制御処理について詳しく説明しており、案内経路の再設定(S100)やカープールレーンを加味しない通常の案内(S120)についての処理内容は、簡単な説明にとどめることとする。
【0071】
制御部29が案内制御処理の実行を開始すると、まず、現在、自車がカープールレーン(図中ではCPLとも表記する。)を含む道路上に存在するか否か判定する(S10)。この判定は、図示しない地図データ記憶媒体に記憶されている地図データを地図データ入力器25を介して読み込み、その地図データに含まれるデータを用いて行う。つまり、位置検出器21からの各検出信号に基づき算出した車両の現在地が、地図データ中のどのリンク上のものであるかを判定する。そして、図2(c)に示すリンクテーブルを参照し、現在地に対応するリンクのリンク道路種別フラグに基づいて判定する。
【0072】
自車がカープールレーンを含む道路上に存在すれば(S10:YES)、さらに、現在走行している車道がカープールレーンか否か判定する(S20)。上述したように、画像処理部31は、カメラ30から出力されるアナログ画像信号に基づいて、カメラ30にて得られた撮像画像上でのカープールレーンの道路標示を検出し、その検出結果を制御部29へ出力する。道路標示の場合には、一般的に進行方向に沿って繰り返し標示されることが多いので、例えば所定時間内に(あるいは所定距離走行する間に)このような道路標示を検出すればカープールレーン上を走行していると判定できる(S20:YES)。また、所定時間内に(あるいは所定距離走行する間に)このような道路標示を検出しなければ、カープールレーン上を走行していない、つまり一般車道上を走行していると判定できる(S20:NO)。
【0073】
カープールレーン上を走行していると判定された場合は(S20:YES)、カープールレーンを走行中である旨を表示部26に表示する((S30)。具体的には、例えば表示部26の表示画面の左半分に地図を表示し、その地図表示部分の上部に「カープールレーン走行中」という文字を表示することが考えられる(図5(b),(c)中のG1参照)。
【0074】
その後、案内経路の設定がされているか否か判定し(S40)、経路設定がされていない場合には(S40:NO)、前方に存在するカープールレーンの出口案内を表示部26に表示する(S50)。具体的には、図5(b)に示すように、例えば表示部26の表示画面の右半分に、自車位置の進行方向前方に位置する所定数(図5(b)中では2個)のカープールレーンの出口を表示する(図5(b)中のG2参照)。なお、以下、カープールレーンの出口を「カープール出口」と称し、図中ではCP出口と表記する。さらに、そのカープール出口に対応する一般車道から他の道路への出口も表示する。
【0075】
ここで、カープール出口に対応する一般車道から他の道路への出口の表示について説明する。
例えばカープールレーンと一般車道との関係が図5(a)に示す状況の場合を想定する。つまり、自車の現在地を基準として車両進行方向に沿ってカープール出口X→カープール出口Y→…の順番で、カープールレーンから一般車道への出口が存在している。一方、一般車道から他の道路への出口は、車両進行方向に沿って出口A→出口B→出口C→出口D→出口E→出口F→…の順番で存在している。そして、カープールレーンからカープール出口Xを通って一般車道へ進入した場合、一般車道から他の道路への出口に関しては、出口Aからは退出できないが、出口B,C,Dからは退出可能である。また、カープールレーンからカープール出口Yを通って一般車道へ進入した場合、一般車道から他の道路への出口に関しては、出口E,Fから退出可能である。
【0076】
もちろん、カープール出口Xを通って一般車道へ進入した場合、一般車道から他の道路への出口としては出口E,Fからの退出も可能である。しかし、本実施形態では、カープールレーンを極力利用した方が好ましいという観点から、図5(b)に示すように、「次のCP出口→B,C,D」、「次の次のCP出口→E,F」という表示内容とした。つまり、一般車道から他の道路への出口B,C,Dを通って退出するのであればカープール出口Xを利用するのが最適であり、一般車道から他の道路への出口E,Fを通って退出するのであればカープール出口Yを利用するのが最適であることをユーザが分かりやすくするためである。
【0077】
なお、本実施形態では、一般車道から他の道路への出口A,B,C…については、道路番号と、交差する道路の名前が付与され、それら道路番号と交差する道路名称が地図データ中に含まれているものとする。一方、カープール出口X,Yについては特に番号や名称は付与されていない。そのため、上述のように、カープール出口に関しては「次のCP出口」「次の次のCP出口」と表示する。また、一般車道から他の道路への出口A,B,C…については、道路番号あるいは道路名称の何れか一方のみを表示してもよいし、両方を表示しても良い。
【0078】
なお、このような「カープール出口」と「一般車道から他の道路への出口」との対応関係は、地図データ中に予め記憶されている。そのため、カープールレーンを走行している場合、制御部29は、自車位置の前方に存在するカープール出口と、それに対応する「一般車道から他の道路への出口」を地図データ中から取得することができる。
【0079】
また、本実施形態では、車両の進行方向が表示部26の表示画面下部から上部に向かうような表示態様を採用している。つまり、表示画面左半分の地図表示においては、常に自車の進行方向が表示画面の上部に来るような表示を行う。このような表示機能はヘディングアップ機能として公知である。これに対応して、表示画面右半分の出口案内においても、画面下部を自車位置とし、画面上部に行くにしたがってカープール出口X、カープール出口Yが順番に表示されるようにしている。これにより、画面左側の地図表示と画面右側の出口案内表示の位置関係が一致し、その表示を見たユーザとしては直感的に対応関係が分かりやすい。
【0080】
S50の処理後はS10へ戻る。
一方、S40にて肯定判定、つまり経路設定がされている場合には(S40:YES)、設定されている案内経路に沿ったカープールレーンの出口案内を表示部26に表示する(S60)。例えば出口Cから退出する案内経路が設定されている場合を想定すると、その案内経路に沿うためにはカープールレーンからカープール出口Xを通って一般車道へ進入する必要がある。その場合、図5(c)に示すように、例えば表示部26の表示画面の右半分に、カープール出口Xにおいてカープールレーンから一般車道へ退出する旨を案内する表示を行う。例えば「次のCP出口で退出して下さい」といった文字を表示することが考えられる(図5(c)中のG3参照)。なお、本実施形態では、この表示に加え、「カープール出口」と「一般車道から他の道路への出口」との対応関係として「次のCP出口→B,C,D」という表示も行う。
【0081】
S60にて経路に沿ったカープールレーンの出口案内を行った後は、その案内したカープールレーンの出口位置を自車位置が通過したか否か判定する(S70)。カープールレーンの出口位置を自車位置が通過していない場合は(S70:NO)、S60の処理を繰り返すが、カープールレーンの出口位置を自車位置が通過した場合は(S70:YES)、S80へ移行して、現在走行している車道がカープールレーンか否か判定する。このS80での判定は、上述したS20での判定と同じ処理内容である。
【0082】
そして、カープールレーン上を走行していない、つまり一般車道上を走行していると判定した場合には(S80:NO)、図5(c)に示す走行中表示G1及び出口案内表示G3を解除する(S90)。そして、S120へ移行し、カープールレーンを加味しない通常の案内を行う。このS90からS120へ移行して通常案内を行う場合について簡単に説明する。例えば図5(c)の画面左半分に表示されていた経路案内用の地図表示を全画面表示する。その後、例えば出口Cから他の道路へ退出する経路が設定されているのであれば、その出口Cに近づいたら出口Cの拡大図を画面右半分に表示し、画面左半分に経路案内用の地図表示を行う。このようなカープールレーンを考慮しない通常の案内については公知であるので、詳しい説明は省略する。
【0083】
一方、S80にて肯定判断、つまりカープールレーン上を走行していると判定した場合には(S80:YES)、S100へ移行して、経路の再設定を行う。つまり、出口Cから退出する案内経路が設定されている場合、その案内経路に沿うためにはカープールレーンからカープール出口Xを通って一般車道へ進入する必要がある。それにもかかわらず、カープール出口Xが存在する位置を通過してもなおカープールレーン上を走行しているということは、カープール出口Xを通って一般車道へ進入しなかったということを意味する。この場合は、それまでに設定されていた案内経路にしたがって走行ができなくなるので、案内経路の再設定を行うのである。例えばカープールレーンからカープール出口Yを通って一般車道へ進入し、出口Eから他の道路へ退出し、最終的な目的地に至る案内経路を再設定する。この「案内経路の再設定」の仕方については公知技術であるので、詳しい説明は省略する。
【0084】
S100の処理後は、S60へ戻り、その再設定された案内経路に沿った出口案内を行う。この場合は「次のCP出口で退出して下さい」といった文字を表示することとなる。以降の処理は同様なので説明を省略する。
【0085】
一方、S10にて否定判定、つまり自車がカープールレーンを含む道路上に存在しない場合(S10:NO)、または、S20にて否定判定、つまりカープールレーン上を走行していないと判定された場合(S20:NO)は、S110へ移行する。S110では、走行中表示や出口案内表示がされていた場合にはそれを解除する。つまり、S10やS20にて否定判定される場合の一例として、S10及びS20にてそれぞれ肯定判定され、S30にてカープールレーンの走行中表示をし、さらにS40にて否定判定されて移行するS50にてカープールレーンの出口案内表示をした後に、S10やS20にて否定判定される場合がある。このような場合には、それらの表示を解除する必要があるので、そのための処理がS110に示す処理である。
【0086】
S110の処理後はS120へ移行し、カープールレーンを加味しない通常の案内を行う。このS120の処理については上述したので繰り返さない。S120の処理後はS10へ戻る。
【0087】
[実施形態の効果]
本実施形態のナビゲーション装置1によれば、次のような効果が得られる。
(1)特許文献1に開示されている先行技術の場合には、現在位置がカープールレーン上にあるのか、あるいは一般車道にあるのか、といった判定はしておらず、車両前方にカープールレーンから一般車道への進入許可区間があればその存在を単に報知するだけである。したがって、その報知を受けたユーザが現在カープールレーン上にいるのか一般車道上にいるのかを的確に判断できれば、それでも問題はないかもしれない。しかし特に、ナビゲーション装置1が有効利用される場面としては、初めて行った場所、つまりユーザが道路状況に不案内な地域が挙げられるため、カープールレーンをあまり知らないユーザにとっても親切な案内であることが好ましい。
【0088】
その点、本ナビゲーション装置1の場合には、路面標示に基づいてカープールレーンを走行しているのか否かを自動的に判定でき(図4のS20,S80)、カープールレーンを走行している場合に限って、カープールレーンから一般車道への進入許可区間の場所であるカープール出口を案内することができる(S50,S60)。つまり、ユーザ自身は、車両が現在カープールレーンを走行しているのか否かを判断する必要がなく、カープールレーンから一般車道へ離脱したいと考えた場合、カープール出口の案内がある場合にそれに従えばよいだけである。したがって、ユーザにとって親切な案内となる。
【0089】
(2)上述のように、先行技術にあっては、車両前方にカープール出口があればその存在を報知するため、例えば、高速道路の出口から他の道路へ退出しようとしてカープールレーンから離脱して一般車道へ進入した場合であっても、やはり同様にカープール出口を案内することとなる。
【0090】
これに対して本ナビゲーション装置1の場合には、カープールレーンを走行している場合に限って(S20:YES)、カープール出口を案内する(S50,S60)ため、ユーザにとっては必要な案内のみなされる点で非常に好ましい。
【0091】
(3)カープールレーンを走行しているか否かをGPSを用いた位置検出手法のみで行うのは精度的に困難である。もちろん、カープールレーンに専用の路上機を設置し、車載器との間で通信を行うことでカープールレーンに存在するか否かを判別することも可能ではある。しかし、このように路上機を設置するというインフラの整備を前提とする手法は、容易に実現するというものでもない。
【0092】
これに対して本ナビゲーション装置1の場合には、車両に搭載するナビゲーション装置1側の工夫のみでカープールレーンを走行しているか否かを判定できる。そして、そのための構成としてはカメラ30及びそのカメラにて得た撮像画像に基づいて判別を行う画像処理部31のみでよいため、比較的容易に実現できる。例えば路面標示としてのダイヤモンド型「マーク」に関してテンプレートを準備しておき、画像内にそのテンプレートと一致する図形が存在するか否かというパターンマッチングにて容易に判別できる。
【0093】
(4)カープールレーンを走行しており(S20:YES)、且つ案内経路が設定されている場合に限って(S40:YES)、カープールレーンの存在を加味した特有の出口案内(S60)を行う。このような経路案内をすれば、ユーザにとっては必要な案内のみなされる点で非常に好ましい。
【0094】
(5)案内経路に沿うために退出すべきカープール出口から退出できなかった場合(S70:YES及びS80:YES)、自動的に経路を再設定し(S100)、その再設定された案内経路に沿うために退出すべきカープール出口を案内することができる(S60)。このように、案内されたカープール出口においてカープールレーンから退出して一般車道へ進入できない場合であっても、その後の適切なフォローがなされる。
【0095】
(6)カープールレーン上を走行していると判定された場合は(S20:YES)、カープールレーンを走行中である旨を表示部26に表示する((S30)。このようにすれば、現在、車両がカープールレーンを走行しているのか否かを(ユーザは)即座に認識することができる。ナビゲーション装置1が有効利用される場面としては、初めて行った場所、つまりユーザが道路状況に不案内な地域が挙げられるため、カープールレーンをあまり知らないユーザにとっても親切な案内であることが好ましい。その観点からも、上記案内は有用である。
【0096】
なお、上記実施形態では、図5(b),(c)に示すように、「カープールレーン走行中」という文字を表示部26に表示させたが、「既に表示されている情報に対して特別車道に存在することをユーザが認識可能な表示態様に変更する」ようにしてもよい。例えば地図上に現在位置マークを表示するような場合に、その現在位置マークを(それまで点滅していなかった状態から)点滅表示に変更する、といったことなどが考えられる。
【0097】
(7)車両がカープールレーンを走行している場合、ユーザにとっては、カープールレーンから退出して一般車道へ進入可能な進入許可区間に関する情報をもちろん知りたいが、一般車道へ進入した後、その一般車道から他の道路へ退出可能な出口に関する情報についても、カープールレーンを走行しているときから知りたい場合もある。
【0098】
そこで、本ナビゲーション装置1では、図5(b),(c)に示すように、カープール出口を表示すると共に、そのカープール出口に対応する一般車道から他の道路への出口も表示するようにした。
【0099】
[他の実施形態]
以下、他の実施形態について説明する。
(A)上記実施形態では、カープールレーン上を走行しているか否かを判定するために、路面上にペイントされた「CARPOOL LANE」という「文字」やダイヤモンド型の「マーク」をカメラ30にて撮像し、画像処理部31において、その撮像画像上でのカープールレーンの道路標示を検出するようにした。
【0100】
これに対して、カープールレーンの道路脇には設置された道路標識を検出するようにしてもよい。ただし、「カープールレーン上を走行しているか否か」をより早期に判定するためには、より存在頻度が多い方を検出対象とした方が好ましい。したがって、道路標識に比べて道路標示の方がより短い間隔で設置(路面上にペイント)されているのであれば、道路標示を検出対象とした方がよい。
【0101】
もちろん、道路標識及び道路標示の両方を検出してもよいが、例えば道路標示のみを検出してもよい。ただし、上記実施形態のように道路標示のみを検出対象とした場合には、カメラ30における撮像範囲が限定されるため、画像処理部31での処理負荷が相対的に減ることが期待できる。
【0102】
なお、路面上の「CARPOOL LANE」という「文字」やダイヤモンド型の「マーク」は、例えば白色にペイントされていることも多いので、カメラ30ではなく、赤外線センサにてそれらを検出することも考えられる。
【0103】
(B)上記実施形態では、「特別車道」の一例としてカープールレーンという具体例について考えた。しかし、同一進行方向の複数の車道が、別の道路への出口を有さない車道である特別車道と別の道路への出口を有する車道である一般車道とで構成されており、さらに、特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可されているようなケース(カープールレーンは、このケースの一例である。)であれば、同様の問題が生じる。例えば、例えば米国東部などに存在するエクスプレスレーンなどである。
【0104】
エクスプレスレーンの場合も、道路構造としてはカープールレーンと同様であるが、カープールレーンのような走行時の特別な条件が存在しない。例えば図6にエクスプレスレーンの具体例を示した。このエクスプレスレーンは、例えばフリーウェイの都市近郊部分に設けられており、混雑の回避に寄与している。つまり、都市の近郊においては、その都市へ退出したり、その都市から進入していく車両が多いためフリーウェイの混雑が予想される。その場合、その都市へ退出しない車両はエクスプレスレーンを走行することで、混雑を回避できる。
【0105】
例えば、図6において現在地から目的地へ走行しようとした場合、その目的地へ到達するには出口(Exit)63でフリーウェイから退出するのが良い。この場合、ナビゲーション装置1は、エクスプレスレーンを走行するよう案内するため、その走行案内に従えば、エクスプレスレーンが設けられている部分に対応するローカルレーンに接続している出口58から出口61までをバイパスすることができる。
【0106】
また、例えば出口60や出口61にて退出するような経路設定がなされている場合には地点Dにてエクスプレスレーンからローカルレーンへ進入することとなる。ただし、地点Dにおいてエクスプレスレーンからローカルレーンへ進入せず、地点Dを通過してそのままエクスプレスレーンを走行している場合には、地点Cを経由して目的地に誘導する経路を再設定する必要がある。この場合は、図4と同様の処理(カープールレーンをエクスプレスレーンに置換すればよい。)を実行することで対応できる。
【0107】
また、本来は地点Aでエクスプレスレーンへ入る必要があったのに、運転者が間違ったため、地点Aにおいてローカルレーンへ入ってしまうことも想定される。その場合には、地点Bにおいてローカルレーンからエクスプレスレーンへ進入すればよい。したがって、経路に沿った走行をしていないことを判定し、地点Bにおいてローカルレーンからエクスプレスレーンへ進入する経路を再設定すればよい。
【0108】
このように、基本的にはエクスプレスレーンの場合もカープールレーンの場合と同様の対応が可能であるが、エクスプレスレーンの場合、カープールレーンのように道路上に標示が存在しない可能性もある。つまり、エクスプレスレーンへの入口には、例えば左側にエクスプレスレーンの標識、右側にローカルレーンの標識が存在するが、エクスプレスレーンに進入した後は、エクスプレスレーンであることを示す標識や標示が存在しない場合もあり得る。
【0109】
そのような場合には、次のようにしてエクスプレスレーンに存在するか否かを判定することが考えられる。ローカルレーンから(別の道路へ)の出口部分には当然ながら出口を示す標識がある。この出口部分の位置は当然ながら道路データに含まれている。したがって、道路データに基づけばローカルレーンからの出口が存在する位置において、カメラ30によって撮影した画像内において、出口を示す標識を検出したか否かを判定する。エクスプレスレーンを走行しているならばそのような標識はないので、このような判定手法によってエクスプレスレーン上を走行しているのかローカルレーン上を走行しているのかを判定できる。
【0110】
なお、出口を示す標識の存在を判定すればそれでよいが、例えば出口の構造そのものの存在を撮影画像内において探すようにしてもよい。つまり、道路が分岐していることをカメラ30にて撮影した画像を解析して見つけた場合には、出口が存在すると判定できる。エクスプレスレーンの場合は、当然ながらそのような出口がないので、このような判定手法によっても、エクスプレスレーン上を走行しているのかローカルレーン上を走行しているのかを判定できる。
【0111】
(C)特別車道は別の道路への出口を有さないため、一般車道を走行中、一般車道から特別車道への進入許可区間のうち、案内経路にしたがって走行するためには進入してはいけない進入許可区間というものが存在することとなる。したがって、そのような「進入してはいけない進入許可区間」に所定距離まで近付いたら、その進入許可区間から特別車道へ進入しないよう案内することも有効である。
【0112】
(D)案内のバリエーションとして、カープールレーンやエクスプレスレーンが設けられている区間に進入した場合には「カープールレーン(あるいはエクスプレスレーン)開始」、その区間を通過し終えた場合には「カープールレーン(あるいはエクスプレスレーン)終了」といった案内を行うことも考えられる。
【0113】
(E)以上の説明において、表示部26における画像表示によって案内を行う例を説明従、案内内容によっては音声によってもユーザに報知可能な場合もある。例えば「次のCP出口で退出して下さい」といった、案内経路に沿った出口案内などである。このような案内は、画像表示による案内に替えて、あるいは画像表示による案内と共に、音声出力部27を介した音声出力によって行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】道路ユニットに含まれる各種のテーブルの詳細な内容を示す図である。
【図3】進入許可区間と、この進入許可区間に対応するノードおよびリンクの情報を設定する方法の説明図である。
【図4】案内制御処理を示すフローチャートである。
【図5】走行中案内標示やカープールレーンの出口案内表示の説明図である。
【図6】エクスプレスレーンの説明図である。
【符号の説明】
【0115】
1…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部、30…カメラ、31…画像処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一進行方向の複数の車道が、別の道路への出口を有さない特別車道と、別の道路への出口を有する一般車道で構成され、さらに特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可される場合、前記特別車道と一般車道との間で相互の進入が許可される所定の進入許可区間に関する情報を含む道路データを利用して所定のナビゲーション処理を実行する制御手段を備えた、車載用のナビゲーション装置であって、
前記特別車道には、少なくとも特別車道への入口に特別車道であることを示す標識または標示が設けられており、
前記特別車道であることを示す標識または標示を検出可能な検出手段と、
車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
ユーザに対して案内するための案内手段と、を備え、
前記制御手段は、前記所定のナビゲーション処理として、
前記検出手段による検出結果に基づいて前記特別車道に存在するか否かを判定し、前記特別車道に存在する場合には、前記現在位置特定手段によって特定された現在位置に基づき、車両進行方向の所定範囲内に存在する前記進入許可区間に関する情報を、前記案内手段を介して案内すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
同一進行方向の複数の車道が、別の道路への出口を有さない特別車道と、別の道路への出口を有する一般車道で構成され、さらに特別車道と一般車道とは、所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可される場合、前記特別車道と一般車道との間で相互の進入が許可される所定の進入許可区間に関する情報を含む道路データを利用して所定のナビゲーション処理を実行する制御手段を備えた、車載用のナビゲーション装置であって、
前記特別車道には、少なくとも特別車道への入口に特別車道であることを示す標識または標示が設けられており、
前記特別車道であることを示す標識または標示を検出可能な検出手段と、
車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
ユーザに対して案内するための案内手段と、を備え、
前記制御手段は、前記所定のナビゲーション処理として、
前記特別車道を含む案内経路を設定し、前記現在位置特定手段によって特定された現在位置に基づき、前記案内手段を介して前記案内経路に関する走行案内を行うに際して、
前記検出手段による検出結果に基づいて前記特別車道に存在するか否かを判定し、前記特別車道に存在する場合には、前記案内経路にしたがって走行するために前記特別車道から退出して前記一般車道へ進入すべき進入許可区間の案内を含む、特別車道を加味した特別車道特有の案内を行い、
その後、前記検出手段による検出結果に基づいて前記特別車道に存在しなくなったか否かを判定し、前記特別車道にいなくなった場合には、前記特別車道を加味しない通常の案内を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、
前記特別車道特有の案内として、前記案内経路にしたがって走行するために前記特別車道から退出して前記一般車道へ進入すべき進入許可区間を案内した後、前記検出手段による検出結果に基づいて前記特別車道に存在しなくなったか否かを判定し、前記案内した進入許可区間を過ぎてもまた前記特別車道にいる場合には、前記案内経路の再設定を行い、その再設定した案内経路に関して走行案内を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段は、
前記一般車道を走行中、前記一般車道から前記特別車道への進入許可区間のうち、前記案内経路にしたがって走行するためには進入してはいけない前記進入許可区間に所定距離まで近付いたら、その進入許可区間から前記特別車道へ進入しないよう案内すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のナビゲーション装置において、
前記案内手段は、画像を表示する表示手段を少なくとも有し、
前記制御手段は、前記特別車道に存在する場合には、前記特別車道に存在することをユーザが認識可能な情報を表示、または既に表示されている情報に対して前記特別車道に存在することをユーザが認識可能な表示態様に変更し、前記特別車道に存在しなくなった場合には、当該情報を表示させなくするか、または当該変更した表示態様を元に戻すこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記道路データには、前記進入許可区間と、その進入許可区間を通って前記特別車道から前記一般車道へ進入した場合に当該一般車道から他の道路へ退出可能な出口との対応関係が含まれており、
前記制御手段は、前記特別車道に存在する場合には、前記道路データに基づき、車両進行方向の所定範囲内に存在する前記進入許可区間と、それに対応する前記出口とを対応付けて表示すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のナビゲーション装置において、
前記検出手段は、車両に搭載された撮像手段を有し、その撮像手段によって撮像した画像に基づいて、前記特別車道であることを示す標識または標示を検出すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記特別車道であることを示す標識または標示は、路面にペイントされた道路標示であり、
前記撮像手段は、車両の前方に位置する前記道路標示を撮像可能に配置されていること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載のナビゲーション装置において、
前記検出手段は、前記一般車道から前記別の道路への出口を検出可能に構成されており、
前記制御手段は、前記道路データに基づけば前記一般車道から前記別の道路への出口が存在する位置において、前記検出手段によって前記出口を検出したか否かに基づいて、前記特別車道に存在するか否かを判定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のナビゲーション装置において、
前記特別車道は、特別の条件を満たしていないと車両が走行できない車道であり、前記一般車道は、そのような制限のない車道であること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項10に記載のナビゲーション装置において、
前記特別車道は、複数人が乗車している場合に走行が許可されるカープールレーンであること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1〜11の何れかに記載のナビゲーション装置における前記制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−86052(P2007−86052A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117982(P2006−117982)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】