ナビゲーション装置
【課題】 オフロード判定及びオンロード判定を精度よくかつ時間遅れなく迅速に行えるようにする。
【解決手段】 地図データを記憶する記憶手段7と、記憶手段に記憶された地図データから車両の現在地近傍の情報を取得する現在地情報取得手段12と、車両の現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定する路側帯部判定手段14と、路側帯部判定手段14により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードの判定を行い、車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードの判定を行うオン/オフロード判定手段11とを備え、車両のオフロード判定/オンロード判定を行う。
【解決手段】 地図データを記憶する記憶手段7と、記憶手段に記憶された地図データから車両の現在地近傍の情報を取得する現在地情報取得手段12と、車両の現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定する路側帯部判定手段14と、路側帯部判定手段14により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードの判定を行い、車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードの判定を行うオン/オフロード判定手段11とを備え、車両のオフロード判定/オンロード判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のオフロード判定/オンロード判定を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置において、車両が道路上を外れてオフロードとなったことを判定して処理するものとして、例えば車両が道路上を大きく外れて地図データとしては登録されていない林道や駐車場内を走行する場合に、地図データとして登録されている近くの道路に現在位置が引き込まれてしまうという誤ったマップマッチングを防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、オフロードの走行に対して、オフロードの走行軌跡の保存指示に応じて走行軌跡データを作成して保存し、オフロードの走行軌跡を後日読み出して表示できるようにするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−307037号公報
【特許文献2】特開2002−357431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記誤ったマップマッチングを防ぐための装置では、現在走行中の車両の移動方向の方位情報と車両の移動距離に対し、現在位置での道路方位を示す道路方位データからの角度誤差θを求めてその角度差の絶対値が所定の角度差より大きいか否かによりオフロードを判定するので、所定の車両の移動距離を走行しないと判定できないので、迅速なオフロード判定ができず、しかも、オフロードの位置を精度よく判定することができない。
【0005】
また、オフロードの走行軌跡データを保存し後日読み出して表示できるようにする装置では、地図と車両位置を参照してオフロードしたか否かをチェックするものであるが、オフロード判定を従来のマップマッチングで行うものであれば、上記の装置と同様、判定するまで所定の距離が必要であり、しかもオフロードの位置を精度よく判定することができないし、ユーザの設定に基づきオフロード判定を行うものであれば、操作が煩雑で設定によるバラツキが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、オフロード判定及びオンロード判定を精度よくかつ時間遅れなく迅速に行えるようにするものである。
【0007】
そのために本発明は、車両のオフロード判定/オンロード判定を行うナビゲーション装置であって、地図データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された地図データから車両の現在地近傍の情報を取得する現在地情報取得手段と、前記車両の現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定する路側帯部判定手段と、路側帯部判定手段により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に前記車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードの判定を行い、前記車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードの判定を行うオン/オフロード判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記路側帯部判定手段は、カメラの撮影画像を認識して路側帯部の跨ぎを検出することにより、あるいはカメラの撮影画像を認識して走行レーンの離脱を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定し、推測軌跡をもとに路側帯部の跨ぎを判定し、歩道段差を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の現在地情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定し、オフロード判定及びオンロード判定を行うので、オフロード判定及びオンロード判定を精度よくかつ時間遅れなく迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る車両の現在地情報管理装置の実施の形態を示す図である。図中、1はミクロマッチング処理部、2はマクロマッチング処理部、3は推測航法処理部、4は現在地管理部、5は車両制御装置、6は車両情報処理装置、7はデータベース、8は画像認識装置、9はドライバ入力情報管理部、11は位置照合&補正部、12は地物判定部、13はミクロマッチング結果部、14はレーン判定部を示す。
【0011】
図1において、推測航法処理部3は、車速、G(加速度)、ジャイロ、GPSなどの各種センサデータから車両の方位と距離を計算して推測軌跡を求め、現在の自車位置を推測するモジュールであり、推測軌跡、さらには各種センサ情報を推測情報として管理し現在地管理部4に送出している。これにより求められた自車位置は、車速やG、ジャイロ、GPSなどのセンサデータを直接使用して推測軌跡を求め地図データとのマッチングを行っていないため、地図データ上の道路とは一致しない。
【0012】
マクロマッチング処理部2は、推測航法処理部3により求められた従来の推測軌跡とデータベース7の道路地図を使ったマップマッチング処理をベースとし、それに加えて新たなデバイス情報、データベース情報等を用いてどの道路を走行しているかを、より正確に管理するモジュールであり、道路オン・オフ(道路上にあるか否か)、道路種別、エリア情報、自信度(更新時期からみた情報の新鮮度、信頼度、確度、確からしさの程度)、マッチング道路、座標、ルートオン・オフ(ルート上にあるか否か)などの情報をマクロ情報として管理し現在地管理部4に送出している。
【0013】
ミクロマッチング処理部1は、狭いエリアでの詳細な自車位置を管理するモジュールであり、主に、画像認識に基づく地物判定を行い、さらに画像認識、ドライバ入力情報、光ビーコン情報、推測情報に基づくレーン判定を行い、地物判定とレーン判定の結果を使って位置照合、マクロ情報の現在位置の補正を行うと共に、ミクロマッチング結果の全レーン数、自レーン位置、レーン内位置をミクロ情報として生成して管理し現在地管理部4に送出している。
【0014】
地物情報には、道路に属する各種構造物の情報を含み、例えば信号、歩道橋、道路標識、街灯、ポール・電柱、ガードレール、路肩・歩道段差、中央分離帯、道路上のマンホール、ペイント(横断歩道、自転車横断道路、停止線、右左折・直進、車線、中央線などのペイント)である。地物情報には、地物種別、地物位置、その更新時期や情報そのものの信頼性などを自信度(更新時期からみた情報の新鮮度、信頼度、確度、確からしさの程度)として有することにより、画像認識の結果として地物が認識されると、その地物の位置に基づき高い精度で現在位置を補正することができる。
【0015】
現在地管理部4は、ミクロマッチング処理部1より得られるミクロ情報、マクロマッチング処理部2より得られるマクロ情報、推測航法処理部3より得られる推測情報を管理してそれらの情報を適宜ミクロマッチング処理部1、マクロマッチング処理部2に渡すと共に、マクロ情報とミクロ情報から現在地情報を生成して車両制御装置5、車両情報処理装置6に送出するものである。
【0016】
車両制御装置5は、現在地管理部4より取得した現在地情報に基づきコーナリングのブレーキ制御や速度制御などの車両走行制御を行うものであり、車両情報処理装置6は、現在地管理部4より取得した現在地情報に基づき目的地までの各交差点、特徴物等を案内することにより経路を案内するナビゲーション装置やVICSその他のアプリケーション装置である。データベース7は、各種道路データ、各道路に属する地物種別、地物位置、自信度に関するデータを格納するものである。
【0017】
画像認識装置8は、カメラにより車両の進行方向前方の画像を取り込んで、道路上のペイント情報を認識し、認識レーン数、自レーン位置、レーン内位置、レーン増減数、レーン増減方向、路肩情報、跨ぎ状態、ペイント情報、自信度をイベントとしてミクロマッチング処理部1に送出し、さらに、ミクロマッチング処理部1からの要求に応じて指定された地物の認識処理を行い、その認識結果、地物種別、地物位置、自信度などをミクロマッチング処理部1に送出する。
【0018】
ドライバ入力情報管理部9は、ドライバのハンドル操作に伴う操舵角を舵角センサで検出し、方向指示器による右左折指示を検出してステアリング情報、ウインカ情報をイベントとしてミクロマッチング処理部1に送出する。
【0019】
ミクロマッチング処理部1、マクロマッチング処理部2、推測航法処理部3についてさらに詳述する。図2はマクロマッチング処理部の構成例を示す図、図3は推測航法処理部の構成例を示す図である。
【0020】
ミクロマッチング処理部1は、図1に示すように位置照合&補正部11、地物判定部12、ミクロマッチング結果部13、レーン判定部14を有する。地物判定部12は、マクロ情報の現在位置に基づきデータベース7から地物を検索して、地物種別、地物位置、自信度によりその地物の画像認識を画像認識装置8に依頼し、画像認識装置8から取得した認識結果、地物種別、地物位置、自信度に基づき地物までの距離等を特定する。レーン判定部14は、車両情報処理装置6の光ビーコン情報、現在地管理部4の推測情報、ドライバ入力情報管理部9からのステアリング情報やウインカ情報のイベント、画像認識装置8からの認識レーン数、その中の自レーン位置、レーン内位置(レーン内の右寄りか左寄りか)、レーン増減数、レーン増減方向、路肩情報(有無など)、跨ぎ状態(レーン・白線を跨いでいるかなど)、ペイント情報(直進や右左折、横断歩道、自転車の横断道路など)、自信度のイベントに基づき自車のレーン位置、レーン内位置を特定し、その判定結果を位置照合&補正部11とミクロマッチング結果部13に渡す。
【0021】
位置照合&補正部11は、地物判定により得られる地物判定部12の地物認識情報と、さらにレーン判定により得られるレーン判定部14のレーン位置、レーン内位置とマクロ情報の現在位置とで位置照合を行い、不一致の場合にマクロ情報の現在位置を地物認識情報に基づき算出される現在位置に補正する。ミクロマッチング結果部13は、レーン判定により得られるレーン判定部14の全レーン数、レーン位置、レーン内位置、自信度等のミクロ情報を現在地管理部4に渡す。
【0022】
例えば地物としてマンホールの認識情報が得られた場合、その認識情報からマンホールの位置、そこまでの距離が特定されるので、その距離から求められる進行方向における自車の現在位置とマクロ情報の現在位置との照合により不一致の場合にマクロ情報の現在位置を補正することができる。また、進行方向ではなく、道路幅方向においても、マンホールの位置が左右、中央寄りのいずれか等により、その自車の現在位置とマクロ情報の現在位置との照合により不一致の場合にマクロ情報の現在位置を補正することができる。
【0023】
同様にレーン判定により、例えば2車線の道路を走行しているとき、自レーン位置が路肩寄りのレーンで、レーン内位置がレーン中央から右寄りに移動した場合、さらにはセンターライン側のレーンに移動した場合に、その自車の現在位置とマクロ情報の現在位置との照合により不一致の場合にマクロ情報の現在位置を補正することができる。また、レーン数に変動があり、例えば右側に新たに右折レーンが増えたり、レーン数が3から2に、あるいは2から1に減ったりした場合には、その位置の一致判定を行うことによりマクロ情報の現在位置を補正することができる。
【0024】
マクロマッチング処理部2は、図2に示すようにマクロマッチング結果部21、ミクロ位置補正反映部22、道路判定部23、マクロ形状比較部24を有する。マクロ形状比較部24は、現在地管理部4で管理されている推測情報の推測軌跡とデータベース7の道路情報、自信度に基づくマップ道路形状とを比較して、マップマッチングを行い、道路判定部23は、現在位置の道路オン/オフを判定し、現在位置の道路の判定を行う。ミクロ位置補正反映部22は、マクロ情報のミクロマッチング処理部1による現在位置の補正情報をマクロ形状比較部24の現在位置、道路判定部23の現在位置に反映させるものである。マクロマッチング結果部21は、道路判定部23による道路の判定に従い、座標、道路種別、エリア情報、道路オン・オフ、マッチング道路、ルートオン・オフ、自信度をマクロ情報として現在地管理部4に送出する。
【0025】
推測航法処理部3は、図3に示すように推測航法結果部31、推測軌跡作成部32、学習部33、補正部34を有し、車速センサ51、Gセンサ52、ジャイロ53、GPS54からそれぞれの情報を取り込んで推測軌跡を生成し、各種センサ情報と共に推測情報として現在地管理部4に送出する。学習部33は、各センサに関する感度や係数を学習するものであり、補正部34は、センサの誤差等を補正するものである。推測軌跡作成部32は、各センサデータから車両の推測軌跡を作成し、推測航法結果部31は、その作成した推測航法結果の推測軌跡、各種センサ情報を推測情報として現在地管理部4に送出する。
【0026】
図4はデータベースの構成例を説明する図、図5は地物判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図、図6はレーン判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図、図7は各種地物やペイントの例を説明する図、図8はレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定を説明する図である。
【0027】
データベースには、案内道路データファイルが格納されるが、案内道路データファイルは、図4(A)に示すように、経路探索により探索された経路の道路数nのそれぞれに対して、道路番号、長さ、道路属性データ、形状データのアドレス、サイズおよび案内データのアドレス、サイズの各データからなり、経路探索により求められ経路案内を行うために必要なデータとして格納される。
【0028】
形状データは、図4(B)に示すように、各道路の複数のノード(節)で分割したとき、ノード数mのそれぞれに対して東経、北緯からなる座標データを有している。案内データは、図4(C)に示すように、交差点(または分岐点)名称、注意点データ、道路名称データ、道路名称音声データのアドレス、サイズ、行き先データのアドレス、サイズおよび地物データのアドレス、サイズの各データからなる。
【0029】
これらのうち、例えば行き先データは、行き先道路番号、行き先名称、行き先名称音声データのアドレス、サイズおよび行き先方向データ、走行案内データからなる。行き先データのうち、行き先方向データは、無効(行き先方向データを使用しない)、不要(案内しない)、直進、右方向、斜め右方向、右に戻る方向、左方向、斜め左方向、左に戻る方向の情報を示すデータである。
【0030】
地物データは、図4(D)に示すように各道路の地物数kのそれぞれに対して地物番号、地物種別、地物位置、地物認識データのアドレス、サイズからなり、地物認識データは、図4(E)に示すようにそれぞれの地物ごとに認識に必要なデータ、例えば形状や大きさ、高さ、色、画像上に現れる位置などである。
【0031】
道路番号は、分岐点間の道路毎に方向(往路、復路)別に設定されている。道路属性データは、道路案内補助情報データであり、その道路が高架か、高架の横か、地下道か、地下道の横かからなる高架・地下道の情報および車線数の情報を示すデータである。道路名称データは、高速道路、都市高速道路、有料道路、一般道(国道、県道、その他)の道路種別の情報と高速道路、都市高速道路、有料道路について本線か取付道かを示す情報のデータであり、道路種別データとさらに各道路種別毎での個別番号データである種別内番号から構成される。
【0032】
地物判定によるミクロマッチング処理は、例えば図5に示すようにまず、マクロ情報の現在位置を取得すると(ステップS11)、その現在位置からデータベースを検索し、地物認識データを取得する(ステップS12)。認識対象となる地物があるか否かを判定する(ステップS13)。認識対象となる地物がなければステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、認識対象となる地物ある場合には地物の画像認識を画像認識装置8に依頼する(ステップS14)。
【0033】
画像認識装置8から認識結果を取得するのを待って(ステップS15)、地物認識情報から求められる現在位置とマクロ情報の現在位置とを照合する(ステップS16)。地物認識情報から求められる現在位置とマクロ情報の現在位置が一致する場合には、そのままステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、マクロ情報の現在位置が一致しない場合には、マクロ情報の現在位置を地物認識情報から求められる現在位置に基づき補正する。
【0034】
レーン判定によるミクロマッチング処理は、例えば図6に示すようにドライバ入力情報管理部9からのイベント入力、画像認識装置8からのイベント入力があると(ステップS21)、画像認識結果とドライバ入力情報からレーン位置及びレーン内位置を特定し(ステップS22)、ミクロマッチング結果の全レーン数、レーン位置、レーン内位置、自信度をミクロ情報として送出する(ステップS23)。次に、レーン位置、レーン内位置をマクロ情報の現在位置と照合し(ステップS24)、レーン位置、レーン内位置がマクロ情報の現在位置と一致するか否かを判定する(ステップS25)。レーン位置、レーン内位置がマクロ情報の現在位置と一致すれば、ステップS21に戻って同様の処理を繰り返し、一致しない場合には、レーン位置、レーン内位置に基づきマクロ情報の現在位置を補正する(ステップS26)。
【0035】
各種地物やペイントは、例えば図7に示すようなマンホール(イ)、車線(ロ、ハ)、中央分離帯又はセンターライン(ニ)、停止線(ホ)、歩道段差(ヘ)、道路標識(ト)、信号機(チ)などがある。これらの地物は、画像の形状から認識し、認識される位置から現在位置を求めることができる。地物やペイントなどの認識される位置は、その画面を点線で示すようにメッシュで切った場合のどのメッシュの位置で認識されるか、あるいはターゲットとする地物やペイントなどの画角により特定することができる。また、レーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態は、図8に示すように車線(白線)a、センターラインb、路肩cの画面上での下点の位置から判定することができる。
【0036】
図9は推測軌跡を利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図、図10は光ビーコンを利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図、図11は路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定概要を説明する図、図12は白線有りの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図、図13は白線無しの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図である。
【0037】
画像認識装置8が利用できない場合でも、レーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定には、推測軌跡や光ビーコンを利用することができる。推測軌跡を利用する場合には、例えば図9に示すように現在地管理部4で推測情報(軌跡または左右移動量)を監視することにより、例えばレーンの幅方向の移動量を積算してレーン幅と比較することにより、移動量がレーン幅になればレーン移動の判定を行い、1/2で跨ぎ状態の判定を行うことができる。また、レーン内位置が右寄りか左寄りかの修正を加えるようにしてもよい。
【0038】
レーンに関する情報が光ビーコンに含まれているので、図10に示す光ビーコンの利用に関しては、カメラ、画像認識装置の有無に関わらず利用が可能であり、しかも、画像認識では全レーン数が把握できない場合もあるので、光ビーコン情報を優先する。また、最終的なレーン判定結果は、現判定レーン位置と光ビーコン情報の両情報を合わせて判断することとし、それらの情報が一致しない場合には、例えば自信度を下げることで対応してもよい。
【0039】
本実施形態では、自レーン位置、レーン内位置、レーン移動などの判定を路側帯部の判定にも利用することにより、オフロード判定/オンロード判定を行う。例えば図11(A)に示すように路側帯部に路側帯部に白線がある場合には、カメラの画像認識による白線跨ぎの検出に伴い、道路からオフロードエリアに移動したことの判定を条件にオフロード判定、オフロード判定の状態で逆にオフロードエリアから道路に移動したしたことの判定を条件にオンロード判定をそれぞれ行う。したがって、この場合には、図12に示すように地図データから車両の現在地近傍の情報を取得してその現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する白線情報を取得して、カメラの画像認識により白線認識結果を取得し(ステップS31)、白線跨ぎの認識(ステップS32)、路側帯部の白線の跨ぎか否かの判定を行う(ステップS33)。そして、この白線跨ぎ検出により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に、さらにオンロードだったか否かにより(ステップS34)、車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードに遷移し(ステップS35)、車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードに遷移する(ステップS36)。
【0040】
また、図11(B)に示すように路側帯部に白線がない場合には、既に説明した自レーン位置、レーン内位置、レーン移動などの判定を利用することによりレーン離脱を判定し、そのレーン離脱が判定されたことを条件にオフロード判定、オフロード判定の状態で推測軌跡を基にオンロード判定をそれぞれ行う。この場合には、図13に示すようにまず、オンロードか否かの判定を行う(ステップS41)。そして、オンロードでないと判定した場合には、推測軌跡を取得して(ステップS42)、路側帯部を跨いだか否かの判定を行い(ステップS43)、路側帯部を跨いだことを判定するとオンロードに遷移する(ステップS44)。ステップS41でオンロードと判定した場合には、推測軌跡、レーン認識結果を取得して(ステップS45)、レーン離脱したか否か、路側帯部を跨いだか否かの判定を行い(ステップS46、S47)、レーン離脱し路側帯部を跨いだことを判定するとオフロードに遷移する(ステップS48)。
【0041】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、オンロード判定/オフロード判定において、白線跨ぎ検出やレーン離脱などに基づきオンロード判定/オフロード判定を行うようにしたが、歩道の段差でのGを検出し、あるいはステアリング角を検出してオフロードエリアかオンロードエリアか分岐かなどにより判定を行うようにしてもよい。また、判定精度を上げるため、白線跨ぎの検出によるオンロード/オフロード判定、レーン離脱によるオフロード判定、推測軌跡を基にしたオンロード判定、ステアリングやウィンカによるオンロード/オフロード判定、歩道の段差検出によるオンロード/オフロード判定の2乃至複数の判定を使うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る車両の現在地情報管理装置の実施の形態を示す図である。
【図2】マクロマッチング処理部の構成例を示す図である。
【図3】推測航法処理部の構成例を示す図である。
【図4】データベースの構成例を説明する図である。
【図5】地物判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図である。
【図6】レーン判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図である。
【図7】各種地物やペイントの例を説明する図である。
【図8】レーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定を説明する図である。
【図9】推測軌跡を利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図である。
【図10】光ビーコンを利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図である。
【図11】路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定概要を説明する図である。
【図12】白線有りの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図である。
【図13】白線無しの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1…ミクロマッチング処理部、2…マクロマッチング処理部、3…推測航法処理部、4…現在地管理部、5…車両制御装置、6…車両情報処理装置、7…データベース、8…画像認識装置、9…ドライバ入力情報管理部、11…位置照合&補正部、12…地物判定部、13…ミクロマッチング結果部、14…レーン判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のオフロード判定/オンロード判定を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置において、車両が道路上を外れてオフロードとなったことを判定して処理するものとして、例えば車両が道路上を大きく外れて地図データとしては登録されていない林道や駐車場内を走行する場合に、地図データとして登録されている近くの道路に現在位置が引き込まれてしまうという誤ったマップマッチングを防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、オフロードの走行に対して、オフロードの走行軌跡の保存指示に応じて走行軌跡データを作成して保存し、オフロードの走行軌跡を後日読み出して表示できるようにするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−307037号公報
【特許文献2】特開2002−357431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記誤ったマップマッチングを防ぐための装置では、現在走行中の車両の移動方向の方位情報と車両の移動距離に対し、現在位置での道路方位を示す道路方位データからの角度誤差θを求めてその角度差の絶対値が所定の角度差より大きいか否かによりオフロードを判定するので、所定の車両の移動距離を走行しないと判定できないので、迅速なオフロード判定ができず、しかも、オフロードの位置を精度よく判定することができない。
【0005】
また、オフロードの走行軌跡データを保存し後日読み出して表示できるようにする装置では、地図と車両位置を参照してオフロードしたか否かをチェックするものであるが、オフロード判定を従来のマップマッチングで行うものであれば、上記の装置と同様、判定するまで所定の距離が必要であり、しかもオフロードの位置を精度よく判定することができないし、ユーザの設定に基づきオフロード判定を行うものであれば、操作が煩雑で設定によるバラツキが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、オフロード判定及びオンロード判定を精度よくかつ時間遅れなく迅速に行えるようにするものである。
【0007】
そのために本発明は、車両のオフロード判定/オンロード判定を行うナビゲーション装置であって、地図データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された地図データから車両の現在地近傍の情報を取得する現在地情報取得手段と、前記車両の現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定する路側帯部判定手段と、路側帯部判定手段により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に前記車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードの判定を行い、前記車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードの判定を行うオン/オフロード判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記路側帯部判定手段は、カメラの撮影画像を認識して路側帯部の跨ぎを検出することにより、あるいはカメラの撮影画像を認識して走行レーンの離脱を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定し、推測軌跡をもとに路側帯部の跨ぎを判定し、歩道段差を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の現在地情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定し、オフロード判定及びオンロード判定を行うので、オフロード判定及びオンロード判定を精度よくかつ時間遅れなく迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る車両の現在地情報管理装置の実施の形態を示す図である。図中、1はミクロマッチング処理部、2はマクロマッチング処理部、3は推測航法処理部、4は現在地管理部、5は車両制御装置、6は車両情報処理装置、7はデータベース、8は画像認識装置、9はドライバ入力情報管理部、11は位置照合&補正部、12は地物判定部、13はミクロマッチング結果部、14はレーン判定部を示す。
【0011】
図1において、推測航法処理部3は、車速、G(加速度)、ジャイロ、GPSなどの各種センサデータから車両の方位と距離を計算して推測軌跡を求め、現在の自車位置を推測するモジュールであり、推測軌跡、さらには各種センサ情報を推測情報として管理し現在地管理部4に送出している。これにより求められた自車位置は、車速やG、ジャイロ、GPSなどのセンサデータを直接使用して推測軌跡を求め地図データとのマッチングを行っていないため、地図データ上の道路とは一致しない。
【0012】
マクロマッチング処理部2は、推測航法処理部3により求められた従来の推測軌跡とデータベース7の道路地図を使ったマップマッチング処理をベースとし、それに加えて新たなデバイス情報、データベース情報等を用いてどの道路を走行しているかを、より正確に管理するモジュールであり、道路オン・オフ(道路上にあるか否か)、道路種別、エリア情報、自信度(更新時期からみた情報の新鮮度、信頼度、確度、確からしさの程度)、マッチング道路、座標、ルートオン・オフ(ルート上にあるか否か)などの情報をマクロ情報として管理し現在地管理部4に送出している。
【0013】
ミクロマッチング処理部1は、狭いエリアでの詳細な自車位置を管理するモジュールであり、主に、画像認識に基づく地物判定を行い、さらに画像認識、ドライバ入力情報、光ビーコン情報、推測情報に基づくレーン判定を行い、地物判定とレーン判定の結果を使って位置照合、マクロ情報の現在位置の補正を行うと共に、ミクロマッチング結果の全レーン数、自レーン位置、レーン内位置をミクロ情報として生成して管理し現在地管理部4に送出している。
【0014】
地物情報には、道路に属する各種構造物の情報を含み、例えば信号、歩道橋、道路標識、街灯、ポール・電柱、ガードレール、路肩・歩道段差、中央分離帯、道路上のマンホール、ペイント(横断歩道、自転車横断道路、停止線、右左折・直進、車線、中央線などのペイント)である。地物情報には、地物種別、地物位置、その更新時期や情報そのものの信頼性などを自信度(更新時期からみた情報の新鮮度、信頼度、確度、確からしさの程度)として有することにより、画像認識の結果として地物が認識されると、その地物の位置に基づき高い精度で現在位置を補正することができる。
【0015】
現在地管理部4は、ミクロマッチング処理部1より得られるミクロ情報、マクロマッチング処理部2より得られるマクロ情報、推測航法処理部3より得られる推測情報を管理してそれらの情報を適宜ミクロマッチング処理部1、マクロマッチング処理部2に渡すと共に、マクロ情報とミクロ情報から現在地情報を生成して車両制御装置5、車両情報処理装置6に送出するものである。
【0016】
車両制御装置5は、現在地管理部4より取得した現在地情報に基づきコーナリングのブレーキ制御や速度制御などの車両走行制御を行うものであり、車両情報処理装置6は、現在地管理部4より取得した現在地情報に基づき目的地までの各交差点、特徴物等を案内することにより経路を案内するナビゲーション装置やVICSその他のアプリケーション装置である。データベース7は、各種道路データ、各道路に属する地物種別、地物位置、自信度に関するデータを格納するものである。
【0017】
画像認識装置8は、カメラにより車両の進行方向前方の画像を取り込んで、道路上のペイント情報を認識し、認識レーン数、自レーン位置、レーン内位置、レーン増減数、レーン増減方向、路肩情報、跨ぎ状態、ペイント情報、自信度をイベントとしてミクロマッチング処理部1に送出し、さらに、ミクロマッチング処理部1からの要求に応じて指定された地物の認識処理を行い、その認識結果、地物種別、地物位置、自信度などをミクロマッチング処理部1に送出する。
【0018】
ドライバ入力情報管理部9は、ドライバのハンドル操作に伴う操舵角を舵角センサで検出し、方向指示器による右左折指示を検出してステアリング情報、ウインカ情報をイベントとしてミクロマッチング処理部1に送出する。
【0019】
ミクロマッチング処理部1、マクロマッチング処理部2、推測航法処理部3についてさらに詳述する。図2はマクロマッチング処理部の構成例を示す図、図3は推測航法処理部の構成例を示す図である。
【0020】
ミクロマッチング処理部1は、図1に示すように位置照合&補正部11、地物判定部12、ミクロマッチング結果部13、レーン判定部14を有する。地物判定部12は、マクロ情報の現在位置に基づきデータベース7から地物を検索して、地物種別、地物位置、自信度によりその地物の画像認識を画像認識装置8に依頼し、画像認識装置8から取得した認識結果、地物種別、地物位置、自信度に基づき地物までの距離等を特定する。レーン判定部14は、車両情報処理装置6の光ビーコン情報、現在地管理部4の推測情報、ドライバ入力情報管理部9からのステアリング情報やウインカ情報のイベント、画像認識装置8からの認識レーン数、その中の自レーン位置、レーン内位置(レーン内の右寄りか左寄りか)、レーン増減数、レーン増減方向、路肩情報(有無など)、跨ぎ状態(レーン・白線を跨いでいるかなど)、ペイント情報(直進や右左折、横断歩道、自転車の横断道路など)、自信度のイベントに基づき自車のレーン位置、レーン内位置を特定し、その判定結果を位置照合&補正部11とミクロマッチング結果部13に渡す。
【0021】
位置照合&補正部11は、地物判定により得られる地物判定部12の地物認識情報と、さらにレーン判定により得られるレーン判定部14のレーン位置、レーン内位置とマクロ情報の現在位置とで位置照合を行い、不一致の場合にマクロ情報の現在位置を地物認識情報に基づき算出される現在位置に補正する。ミクロマッチング結果部13は、レーン判定により得られるレーン判定部14の全レーン数、レーン位置、レーン内位置、自信度等のミクロ情報を現在地管理部4に渡す。
【0022】
例えば地物としてマンホールの認識情報が得られた場合、その認識情報からマンホールの位置、そこまでの距離が特定されるので、その距離から求められる進行方向における自車の現在位置とマクロ情報の現在位置との照合により不一致の場合にマクロ情報の現在位置を補正することができる。また、進行方向ではなく、道路幅方向においても、マンホールの位置が左右、中央寄りのいずれか等により、その自車の現在位置とマクロ情報の現在位置との照合により不一致の場合にマクロ情報の現在位置を補正することができる。
【0023】
同様にレーン判定により、例えば2車線の道路を走行しているとき、自レーン位置が路肩寄りのレーンで、レーン内位置がレーン中央から右寄りに移動した場合、さらにはセンターライン側のレーンに移動した場合に、その自車の現在位置とマクロ情報の現在位置との照合により不一致の場合にマクロ情報の現在位置を補正することができる。また、レーン数に変動があり、例えば右側に新たに右折レーンが増えたり、レーン数が3から2に、あるいは2から1に減ったりした場合には、その位置の一致判定を行うことによりマクロ情報の現在位置を補正することができる。
【0024】
マクロマッチング処理部2は、図2に示すようにマクロマッチング結果部21、ミクロ位置補正反映部22、道路判定部23、マクロ形状比較部24を有する。マクロ形状比較部24は、現在地管理部4で管理されている推測情報の推測軌跡とデータベース7の道路情報、自信度に基づくマップ道路形状とを比較して、マップマッチングを行い、道路判定部23は、現在位置の道路オン/オフを判定し、現在位置の道路の判定を行う。ミクロ位置補正反映部22は、マクロ情報のミクロマッチング処理部1による現在位置の補正情報をマクロ形状比較部24の現在位置、道路判定部23の現在位置に反映させるものである。マクロマッチング結果部21は、道路判定部23による道路の判定に従い、座標、道路種別、エリア情報、道路オン・オフ、マッチング道路、ルートオン・オフ、自信度をマクロ情報として現在地管理部4に送出する。
【0025】
推測航法処理部3は、図3に示すように推測航法結果部31、推測軌跡作成部32、学習部33、補正部34を有し、車速センサ51、Gセンサ52、ジャイロ53、GPS54からそれぞれの情報を取り込んで推測軌跡を生成し、各種センサ情報と共に推測情報として現在地管理部4に送出する。学習部33は、各センサに関する感度や係数を学習するものであり、補正部34は、センサの誤差等を補正するものである。推測軌跡作成部32は、各センサデータから車両の推測軌跡を作成し、推測航法結果部31は、その作成した推測航法結果の推測軌跡、各種センサ情報を推測情報として現在地管理部4に送出する。
【0026】
図4はデータベースの構成例を説明する図、図5は地物判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図、図6はレーン判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図、図7は各種地物やペイントの例を説明する図、図8はレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定を説明する図である。
【0027】
データベースには、案内道路データファイルが格納されるが、案内道路データファイルは、図4(A)に示すように、経路探索により探索された経路の道路数nのそれぞれに対して、道路番号、長さ、道路属性データ、形状データのアドレス、サイズおよび案内データのアドレス、サイズの各データからなり、経路探索により求められ経路案内を行うために必要なデータとして格納される。
【0028】
形状データは、図4(B)に示すように、各道路の複数のノード(節)で分割したとき、ノード数mのそれぞれに対して東経、北緯からなる座標データを有している。案内データは、図4(C)に示すように、交差点(または分岐点)名称、注意点データ、道路名称データ、道路名称音声データのアドレス、サイズ、行き先データのアドレス、サイズおよび地物データのアドレス、サイズの各データからなる。
【0029】
これらのうち、例えば行き先データは、行き先道路番号、行き先名称、行き先名称音声データのアドレス、サイズおよび行き先方向データ、走行案内データからなる。行き先データのうち、行き先方向データは、無効(行き先方向データを使用しない)、不要(案内しない)、直進、右方向、斜め右方向、右に戻る方向、左方向、斜め左方向、左に戻る方向の情報を示すデータである。
【0030】
地物データは、図4(D)に示すように各道路の地物数kのそれぞれに対して地物番号、地物種別、地物位置、地物認識データのアドレス、サイズからなり、地物認識データは、図4(E)に示すようにそれぞれの地物ごとに認識に必要なデータ、例えば形状や大きさ、高さ、色、画像上に現れる位置などである。
【0031】
道路番号は、分岐点間の道路毎に方向(往路、復路)別に設定されている。道路属性データは、道路案内補助情報データであり、その道路が高架か、高架の横か、地下道か、地下道の横かからなる高架・地下道の情報および車線数の情報を示すデータである。道路名称データは、高速道路、都市高速道路、有料道路、一般道(国道、県道、その他)の道路種別の情報と高速道路、都市高速道路、有料道路について本線か取付道かを示す情報のデータであり、道路種別データとさらに各道路種別毎での個別番号データである種別内番号から構成される。
【0032】
地物判定によるミクロマッチング処理は、例えば図5に示すようにまず、マクロ情報の現在位置を取得すると(ステップS11)、その現在位置からデータベースを検索し、地物認識データを取得する(ステップS12)。認識対象となる地物があるか否かを判定する(ステップS13)。認識対象となる地物がなければステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、認識対象となる地物ある場合には地物の画像認識を画像認識装置8に依頼する(ステップS14)。
【0033】
画像認識装置8から認識結果を取得するのを待って(ステップS15)、地物認識情報から求められる現在位置とマクロ情報の現在位置とを照合する(ステップS16)。地物認識情報から求められる現在位置とマクロ情報の現在位置が一致する場合には、そのままステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、マクロ情報の現在位置が一致しない場合には、マクロ情報の現在位置を地物認識情報から求められる現在位置に基づき補正する。
【0034】
レーン判定によるミクロマッチング処理は、例えば図6に示すようにドライバ入力情報管理部9からのイベント入力、画像認識装置8からのイベント入力があると(ステップS21)、画像認識結果とドライバ入力情報からレーン位置及びレーン内位置を特定し(ステップS22)、ミクロマッチング結果の全レーン数、レーン位置、レーン内位置、自信度をミクロ情報として送出する(ステップS23)。次に、レーン位置、レーン内位置をマクロ情報の現在位置と照合し(ステップS24)、レーン位置、レーン内位置がマクロ情報の現在位置と一致するか否かを判定する(ステップS25)。レーン位置、レーン内位置がマクロ情報の現在位置と一致すれば、ステップS21に戻って同様の処理を繰り返し、一致しない場合には、レーン位置、レーン内位置に基づきマクロ情報の現在位置を補正する(ステップS26)。
【0035】
各種地物やペイントは、例えば図7に示すようなマンホール(イ)、車線(ロ、ハ)、中央分離帯又はセンターライン(ニ)、停止線(ホ)、歩道段差(ヘ)、道路標識(ト)、信号機(チ)などがある。これらの地物は、画像の形状から認識し、認識される位置から現在位置を求めることができる。地物やペイントなどの認識される位置は、その画面を点線で示すようにメッシュで切った場合のどのメッシュの位置で認識されるか、あるいはターゲットとする地物やペイントなどの画角により特定することができる。また、レーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態は、図8に示すように車線(白線)a、センターラインb、路肩cの画面上での下点の位置から判定することができる。
【0036】
図9は推測軌跡を利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図、図10は光ビーコンを利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図、図11は路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定概要を説明する図、図12は白線有りの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図、図13は白線無しの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図である。
【0037】
画像認識装置8が利用できない場合でも、レーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定には、推測軌跡や光ビーコンを利用することができる。推測軌跡を利用する場合には、例えば図9に示すように現在地管理部4で推測情報(軌跡または左右移動量)を監視することにより、例えばレーンの幅方向の移動量を積算してレーン幅と比較することにより、移動量がレーン幅になればレーン移動の判定を行い、1/2で跨ぎ状態の判定を行うことができる。また、レーン内位置が右寄りか左寄りかの修正を加えるようにしてもよい。
【0038】
レーンに関する情報が光ビーコンに含まれているので、図10に示す光ビーコンの利用に関しては、カメラ、画像認識装置の有無に関わらず利用が可能であり、しかも、画像認識では全レーン数が把握できない場合もあるので、光ビーコン情報を優先する。また、最終的なレーン判定結果は、現判定レーン位置と光ビーコン情報の両情報を合わせて判断することとし、それらの情報が一致しない場合には、例えば自信度を下げることで対応してもよい。
【0039】
本実施形態では、自レーン位置、レーン内位置、レーン移動などの判定を路側帯部の判定にも利用することにより、オフロード判定/オンロード判定を行う。例えば図11(A)に示すように路側帯部に路側帯部に白線がある場合には、カメラの画像認識による白線跨ぎの検出に伴い、道路からオフロードエリアに移動したことの判定を条件にオフロード判定、オフロード判定の状態で逆にオフロードエリアから道路に移動したしたことの判定を条件にオンロード判定をそれぞれ行う。したがって、この場合には、図12に示すように地図データから車両の現在地近傍の情報を取得してその現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する白線情報を取得して、カメラの画像認識により白線認識結果を取得し(ステップS31)、白線跨ぎの認識(ステップS32)、路側帯部の白線の跨ぎか否かの判定を行う(ステップS33)。そして、この白線跨ぎ検出により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に、さらにオンロードだったか否かにより(ステップS34)、車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードに遷移し(ステップS35)、車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードに遷移する(ステップS36)。
【0040】
また、図11(B)に示すように路側帯部に白線がない場合には、既に説明した自レーン位置、レーン内位置、レーン移動などの判定を利用することによりレーン離脱を判定し、そのレーン離脱が判定されたことを条件にオフロード判定、オフロード判定の状態で推測軌跡を基にオンロード判定をそれぞれ行う。この場合には、図13に示すようにまず、オンロードか否かの判定を行う(ステップS41)。そして、オンロードでないと判定した場合には、推測軌跡を取得して(ステップS42)、路側帯部を跨いだか否かの判定を行い(ステップS43)、路側帯部を跨いだことを判定するとオンロードに遷移する(ステップS44)。ステップS41でオンロードと判定した場合には、推測軌跡、レーン認識結果を取得して(ステップS45)、レーン離脱したか否か、路側帯部を跨いだか否かの判定を行い(ステップS46、S47)、レーン離脱し路側帯部を跨いだことを判定するとオフロードに遷移する(ステップS48)。
【0041】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、オンロード判定/オフロード判定において、白線跨ぎ検出やレーン離脱などに基づきオンロード判定/オフロード判定を行うようにしたが、歩道の段差でのGを検出し、あるいはステアリング角を検出してオフロードエリアかオンロードエリアか分岐かなどにより判定を行うようにしてもよい。また、判定精度を上げるため、白線跨ぎの検出によるオンロード/オフロード判定、レーン離脱によるオフロード判定、推測軌跡を基にしたオンロード判定、ステアリングやウィンカによるオンロード/オフロード判定、歩道の段差検出によるオンロード/オフロード判定の2乃至複数の判定を使うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る車両の現在地情報管理装置の実施の形態を示す図である。
【図2】マクロマッチング処理部の構成例を示す図である。
【図3】推測航法処理部の構成例を示す図である。
【図4】データベースの構成例を説明する図である。
【図5】地物判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図である。
【図6】レーン判定によるミクロマッチング処理の例を説明する図である。
【図7】各種地物やペイントの例を説明する図である。
【図8】レーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定を説明する図である。
【図9】推測軌跡を利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図である。
【図10】光ビーコンを利用したレーン位置、レーン内位置、跨ぎ状態の判定例を説明する図である。
【図11】路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定概要を説明する図である。
【図12】白線有りの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図である。
【図13】白線無しの路側帯部の判定に基づくオフロード/オンロードの判定処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1…ミクロマッチング処理部、2…マクロマッチング処理部、3…推測航法処理部、4…現在地管理部、5…車両制御装置、6…車両情報処理装置、7…データベース、8…画像認識装置、9…ドライバ入力情報管理部、11…位置照合&補正部、12…地物判定部、13…ミクロマッチング結果部、14…レーン判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のオフロード判定/オンロード判定を行うナビゲーション装置であって、
地図データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された地図データから車両の現在地近傍の情報を取得する現在地情報取得手段と、
前記車両の現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定する路側帯部判定手段と、
路側帯部判定手段により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に前記車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードの判定を行い、前記車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードの判定を行うオン/オフロード判定手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記路側帯部判定手段は、カメラの撮影画像を認識して路側帯部の跨ぎを検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記路側帯部判定手段は、カメラの撮影画像を認識して走行レーンの離脱を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記路側帯部判定手段は、推測軌跡をもとに路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記路側帯部判定手段は、歩道段差を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
車両のオフロード判定/オンロード判定を行うナビゲーション装置であって、
地図データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された地図データから車両の現在地近傍の情報を取得する現在地情報取得手段と、
前記車両の現在地近傍の情報から道路の路側帯部に関する情報を取得して路側帯部の跨ぎを判定する路側帯部判定手段と、
路側帯部判定手段により道路の路側帯部跨ぎを判定したことを条件に前記車両の現在地がオンロード状態のときにはオフロードの判定を行い、前記車両の現在地がオフロード状態のときにはオンロードの判定を行うオン/オフロード判定手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記路側帯部判定手段は、カメラの撮影画像を認識して路側帯部の跨ぎを検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記路側帯部判定手段は、カメラの撮影画像を認識して走行レーンの離脱を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記路側帯部判定手段は、推測軌跡をもとに路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記路側帯部判定手段は、歩道段差を検出することにより路側帯部の跨ぎを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−177862(P2006−177862A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373081(P2004−373081)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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