説明

ナビゲーション装置

【課題】TTS再生によって通知されるべき情報を、TTS再生によってユーザに迅速に通知することができるナビゲーション装置20を提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置20は、次にTTS再生されるべきデータについて、当該データのTTS再生にかかる時間であるTTS再生時間を算出し、算出したTTS再生時間が、次に音声ガイダンスが再生される地点を通過するまでの所要時間以上である場合に、当該データのTTS再生速度を速め、再生速度を速めた場合のTTS再生時間が前記所要時間未満であるならば、速めた速度でデータのTTS再生を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、設定された目的地までの経路に従って音声により経路誘導を行う機能と、データを音声により読み上げて出力する機能とを備えるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テキストデータを音声データに変換してスピーカから音声として出力するTTS(Text To Speech)再生の時間を演算すると共に、目的地までの最適経路上において次に音声ガイドを行う地点を検出し、現在地から次に音声ガイドを行う地点までの所要走行時間を演算し、文字情報のTTS再生時間が次に音声ガイドを行う地点までの所要走行時間よりも短い場合に文字情報のTTS再生を行う技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−348367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、市街地等のように複数の道路や交差点が密集している地域においては、経路誘導中の音声ガイダンスが短い時間間隔で頻繁に実行される場合がある。このような場合に上記特許文献1に開示された技術を用いると、次に音声ガイダンスが行われる地点までの所要時間が、TTS再生の時間を越える状況がなかなか発生せず、音声により通知されるべき情報がいつまでたってもTTS再生されないという状況が発生する場合がある。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、音声を用いて通知されるべき情報を、音声を用いてユーザに迅速に通知することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、次に音声により読み上げられるべきデータの読み上げ処理にかかる時間が、次に音声ガイダンスが再生される地点を通過するまでの所要時間以上である場合に、当該データの読み上げ処理における読み上げ速度を速める。
【0007】
また、本発明は、例えば、車両に搭載され、設定された目的地までの経路に従って音声により経路誘導を行う機能と、データを音声により読み上げて出力する機能とを備えるナビゲーション装置において、音声として出力されるデータであって、予め定められた単位に分割されているデータを格納する読み上げデータ格納手段と、読み上げデータ格納手段に格納されているデータを、指定された読み上げ速度の音声データに変換してスピーカから音声として出力する読み上げ処理を実行する読み上げ手段と、読み上げデータ格納手段に格納されたそれぞれのデータの読み上げ処理にかかる時間である読み上げ時間を、予め定められた通常の読み上げ速度において算出する読み上げ時間算出手段と、誘導経路上の所定の地点を車両が走行した場合に、設定された音声ガイダンスを再生することにより経路誘導を実行する経路誘導手段と、次に音声ガイダンスが再生される地点を通過するまでの所要時間を算出する所要時間算出手段と、次に読み上げられるべきデータの読み上げ時間を読み上げ時間算出手段に算出させ、算出された読み上げ時間が所要時間未満である場合に、通常の読み上げ速度で、読み上げ手段に当該データの読み上げ処理を実行させ、算出された読み上げ時間が所要時間以上である場合に、通常の読み上げ速度よりも速い、予め定められた上限の読み上げ速度で、読み上げ手段に当該データの読み上げ処理を実行させる読み上げ制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車載装置によれば、音声を用いて通知されるべき情報を、音声を用いてユーザに迅速に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステム10の構成を示すシステム構成図である。ナビゲーションシステム10は、車両に搭載され、センサ11、表示装置12、入力装置13、スピーカ14、およびナビゲーション装置20を備える。
【0011】
センサ11は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機や方位センサ、距離センサ等であり、測地衛星から送信されたGPS信号や、車両の進行方位、車両の移動距離等を測定し、測定情報をナビゲーション装置20に供給する。表示装置12は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等であり、ナビゲーション装置20から出力される車両の現在位置やナビゲーション装置20によって探索された目的地までの誘導経路等を表示する。入力装置13は、キーパッドやタッチパネル等であり、ユーザから操作入力を受け付けてナビゲーション装置20に供給する。
【0012】
ナビゲーション装置20は、経路誘導部21およびデータ読み上げ部22を備える。経路誘導部21は、センサ11からの信号に基づいて車両の現在位置を算出する機能、入力装置13を介してユーザから入力された出発地や目的地、探索条件等に基づいて目的地までの誘導経路を探索する機能、探索した誘導経路に基づいて車両の現在位置に応じた音声ガイダンスをスピーカ14から出力することによりユーザを誘導する機能、および、次回の音声ガイダンスを出力する地点までの所要時間を算出する機能等を有する。
【0013】
データ読み上げ部22は、入力装置13を介したユーザからの指示に応じて、格納したテキストデータを音声により読み上げてスピーカ14から出力する読み上げ処理を実行する機能(TTS再生機能)、次に読み上げられるべきデータの読み上げ処理にかかる時間である読み上げ時間、および、次回の音声ガイダンスを出力する地点までの所要時間に基づいて、次のデータの読み上げ処理を実行するか否か、および、読み上げ処理における読み上げ速度を決定する機能等を有する。
【0014】
図2は、経路誘導部21の詳細な機能構成を例示するブロック図である。経路誘導部21は、現在位置算出部210、所要時間算出部211、地図データ格納部212、経路探索部213、および経路誘導部214を備える。
【0015】
地図データ格納部212は、例えば図3に示すように、リンク(道路)に関する情報を、所定の地図領域毎のメッシュ情報2120として格納している。それぞれのメッシュ情報2120には、それぞれのメッシュを識別するメッシュID2121およびメッシュ内のリンクに関する情報であるリンク情報2122が含まれる。
【0016】
それぞれのリンク情報2122には、それぞれのリンクを識別するリンクID2123、リンクの開始ノード2124、リンクの終了ノード2125、リンクの道路種別2126、リンク長2127、および対応するリンクの法定速度2128等が含まれる。なお、地図データ格納部212には、リンクに関する情報以外の施設の座標や属性等のデータも格納されている。
【0017】
現在位置算出部210は、センサ11からの測定信号に基づいて、当該ナビゲーションシステム10を搭載している車両が例えば所定距離移動する毎に、当該車両の現在位置を算出し、算出した現在位置を、所要時間算出部211、経路探索部213、および経路誘導部214へ出力する。
【0018】
より詳細には、例えば、現在位置算出部210は、所定時間(例えば100ms)経過毎に、センサ11から取得した測定信号に基づいて、車両の相対変位を算出し、所定距離(例えば2m)以上変位があった場合に、前回のマップマッチ処理において算出された車両の現在位置および候補点毎に、センサ11から取得した車両の進行方位の方向について、当該所定距離を当該現在位置および候補点に加算することにより、現在位置およびそれぞれの候補点の位置を移動させて仮想現在位置を生成するデッドレコニング処理を行う。現在位置算出部210は、前回のマップマッチ処理において算出された車両の現在位置からのデッドレコニング位置を、車両の現在位置として所要時間算出部211、経路探索部213、および経路誘導部214へ出力する。
【0019】
また、車両が所定距離(例えば20m)走行する毎に、現在位置算出部210は、前回算出された車両の現在位置および候補点毎に仮想現在位置を算出し、算出したそれぞれの仮想現在位置について、地図データ格納部212を参照して、当該仮想現在位置から所定範囲内のリンクを上に候補点を配置する。そして、現在位置算出部210は、リンク上に配置した候補点の信頼度を算出し、例えば最も信頼度の高い候補点を車両の今回の現在位置に決定し、決定した車両の現在位置を、所要時間算出部211、経路探索部213、および経路誘導部214へ出力する。
【0020】
経路探索部213は、入力装置13を介してユーザから、出発地の座標、目的地の座標、経由地の座標、および探索条件等を含む探索情報を受け付けた場合に、地図データ格納部212内のリンク長2127等に基づいて、受け付けた探索情報に従い、例えばダイクストラ法等を用いて、出発地から目的地までの経路を探索し、探索結果を表示装置12に表示する。
【0021】
そして、入力装置13を介して、探索結果を誘導経路として決定する旨をユーザから受け付けた場合に、経路探索部213は、探索した誘導経路を示す情報を経路誘導部214へ送る。なお、現在位置を出発地とする旨の指示をユーザから受け付けた場合、経路探索部213は、現在位置算出部210から現在位置を示す情報を取得する。
【0022】
経路誘導部214は、経路探索部213から受け取った誘導経路を示す情報に従って、誘導経路上に車両の現在位置を重ねて表示する処理、および、車両が誘導経路上の予め定められた地点を通過した場合に、音声により進行方向等を案内する音声ガイダンスを、スピーカ14を介して出力する処理を実行する。
【0023】
また、経路誘導部214は、所要時間算出部211からの問い合わせに応じて、次に音声ガイダンスを行う地点の座標である音声ガイダンス座標を、誘導経路を示す情報と共に所要時間算出部211に通知する。また、経路誘導部214は、音声ガイダンスが終了する都度、その旨をデータ読み上げ部22に通知する。
【0024】
所要時間算出部211は、データ読み上げ部22からの問い合わせに応じて、音声ガイダンス座標を経路誘導部214に問い合わせる。そして、経路誘導部214から通知された音声ガイダンス座標および誘導経路を示す情報と、現在位置算出部210から取得した車両の現在位置とから、誘導経路に沿って現在位置から音声ガイダンス座標まで走行するのにかかる所要時間を算出する。
【0025】
所要時間算出部211は、地図データ格納部212を参照して、例えば、現在位置から音声ガイダンス座標までの誘導経路内のリンク長を合計し、合計したリンク長を所定の車速で割ることにより、現在位置から音声ガイダンス座標までの所要時間を算出する。ここで、所定の車速とは、例えば、現在位置から音声ガイダンス座標までの誘導経路内のそれぞれのリンクの法定速度を、リンク長で重み付けして平均化したものである。
【0026】
なお、所定の地点までの所要時間の算出方法としては、渋滞情報や交通規制情報等の交通情報を用いた、ナビゲーション装置において一般的に用いられている方法が使用されてもよい。
【0027】
図4は、データ読み上げ部22の詳細な機能構成を例示するブロック図である。データ読み上げ部22は、データ取得部220、読み上げデータ格納部221、読み上げ時間算出部222、読み上げ制御部223、およびデータ読み上げ部224を備える。
【0028】
データ取得部220は、記録媒体や通信装置を介して、音声として出力されるべきデータを取得して読み上げデータ格納部221に書き込む。なお、データ取得部220自体が外部のサーバ等と無線通信する機能を有し、当該外部のサーバ等からデータを取得してもよい。
【0029】
読み上げデータ格納部221は、例えば図5に示すように、複数のレコード2213を格納する。それぞれのレコード2213には、データ取得部220によって取得された、音声出力の対象となるテキストデータ2212、および、当該テキストデータ2212に関する属性情報2211が、それぞれのテキストデータ2212を識別する読み上げID2210に対応付けて格納される。それぞれのレコード2213は、読み上げられるべき順番で、例えば受信日時順に読み上げデータ格納部221に格納されている。
【0030】
属性情報2211は、テキストデータ2212が、例えば電子メールの本文である場合は件名、送信日時、および送信元等を示す情報であり、テキストデータ2212が、例えば地点情報(POI:Point Of Interest)である場合は位置を識別する名称やジャンル等であり、テキストデータ2212が、例えばニュースである場合はタイトルや配信日時等である。
【0031】
本実施形態において、テキストデータ2212は、1つの文章で構成される。そのため、データ取得部220は、電子メールについては、例えば、電子メール本文の先頭から読点までの文字列、読点で挟まれた文字列、または読点から電子メール本文の末尾までの文字列を、それぞれテキストデータ2212として読み上げデータ格納部221に書き込み、地点情報やニュース等については、例えば、閲覧用の文字列として句読点を入れて表記した場合の、文字列の先頭から読点までの文字列、または、読点で挟まれる文字列を、それぞれテキストデータ2212として読み上げデータ格納部221に書き込む。
【0032】
なお、他の例として、データ取得部220は、取得したデータを閲覧用の文字列として句読点を入れて表記した場合の、文節となる文字列や、句読点に挟まれる文字列をテキストデータ2212として読み上げデータ格納部221に書き込んでもよい。また、データ取得部220は、1つ以上の文章から構成される情報のまとまり(1件の電子メール、1つの地点情報、または1件のニュース)を、それぞれテキストデータ2212として読み上げデータ格納部221に書き込んでもよい。
【0033】
図4に戻って説明を続ける。読み上げ時間算出部222は、読み上げデータ格納部221内の指定されたデータについて、指定された読み上げ速度による読み上げ時間を算出する。ここで、読み上げ速度とは、読み上げデータ格納部221内の指定されたテキストデータの1文字あたりの読み上げ処理にかかる時間であり、予め定められた通常の読み上げ速度に対する倍数として与えられる。また、読み上げ時間とは、指定された読み上げ速度において、指定されたテキストデータの読み上げ処理にかかる時間である。
【0034】
データ読み上げ部224は、読み上げ制御部223から指定されたテキストデータを読み上げデータ格納部221から抽出し、読み上げ制御部223から指定された読み上げ速度で、抽出したテキストデータの読み上げ処理を実行する。また、データ読み上げ部224は、指定されたテキストデータの読み上げ処理が終了した場合に、その旨を読み上げ制御部223に通知する。
【0035】
読み上げ制御部223は、入力装置13を介してユーザから読み上げ対象のテキストデータの指定を受け付けた場合に、読み上げ時間算出部222に指示して、指定されたテキストデータの読み上げ時間を、1倍の読み上げ速度(すなわち通常の読み上げ速度)について算出させる。そして、読み上げ制御部223は、経路誘導部21に問い合わせることにより、音声ガイダンス座標までの所要時間を取得する。
【0036】
そして、読み上げ制御部223は、指定されたテキストデータの読み上げ時間と、経路誘導部21から取得した所要時間とを比較し、読み上げ時間が所要時間未満である場合に、データ読み上げ部224に、通常の読み上げ速度で、指定されたデータの読み上げ処理を実行させる。
【0037】
一方、読み上げ時間が所要時間以上である場合、読み上げ制御部223は、読み上げ時間算出部222に指示して、指定されたテキストデータの読み上げ時間を、予め定められた上限の読み上げ速度について算出させる。
【0038】
そして、読み上げ制御部223は、上限の読み上げ速度における読み上げ時間と、経路誘導部21から取得した所要時間とを比較し、読み上げ時間が所要時間未満である場合に、読み上げ時間算出部222に指示して、通常の読み上げ速度よりも速く、上限の読み上げ速度よりも遅い1つ以上の読み上げ速度における読み上げ時間をそれぞれ算出させる。
【0039】
そして、読み上げ制御部223は、読み上げ時間算出部222によって算出された読み上げ時間の中で、経路誘導部21から取得した所要時間未満であり、かつ、最長の読み上げ時間を特定する。そして、読み上げ制御部223は、特定した読み上げ時間に対応する読み上げ速度で、指定されたデータの読み上げ処理をデータ読み上げ部224に指示する。
【0040】
また、上限の読み上げ速度における読み上げ時間が、経路誘導部21から取得した所要時間以上である場合、読み上げ制御部223は、次の音声ガイダンスが終了するまで、指定されたテキストデータの読み上げ処理を延期する。この場合、読み上げ制御部223は、読み上げ処理を延期した旨を表示装置12による表示またはスピーカ14からの音声によりユーザに通知する。
【0041】
なお、本実施形態において、上限の読み上げ速度とは、通常の読み上げ速度の2倍の速さである。また、他の形態として、上限の読み上げ速度は、入力装置13を介して、ユーザによって設定可能にされてもよい。これにより、ユーザの聞き取り能力に応じて、読み上げ速度の上限値を設定することができる。
【0042】
図6は、ナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。読み上げ制御部223が入力装置13を介して、音声として出力されるべきテキストデータのIDを受け付けることにより、ナビゲーション装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0043】
まず、読み上げ制御部223は、受け付けたIDに対応するテキストデータを選択する(S100)。そして、読み上げ制御部223は、当該データに対応するIDを読み上げ時間算出部222へ送り、当該IDに対応するデータについて、通常の読み上げ速度での読み上げ時間の算出を指示する。
【0044】
読み上げ時間算出部222は、読み上げデータ格納部221を参照して、受け取ったIDに対応するテキストデータを抽出し、抽出したテキストデータについて、通常の速度で読み上げ処理を実行した場合の読み上げ時間を算出する(S101)。ステップS101において、読み上げ時間算出部222は、例えば、テキストデータの文字数に、通常の速度で読み上げる場合の1文字あたりの音声再生時間を乗ずることにより、読み上げ時間を算出する。
【0045】
次に、読み上げ制御部223は、音声ガイダンス座標までの所要時間を所要時間算出部211に問い合わせる。所要時間算出部211は、読み上げ制御部223からの問い合わせに応じて、音声ガイダンス座標および誘導経路を示す情報を経路誘導部214から取得し、現在位置算出部210から取得した車両の現在位置に基づいて、誘導経路に沿って現在位置から音声ガイダンス座標まで走行するのにかかる所要時間を算出する(S102)。そして、所要時間算出部211は、算出した所要時間を読み上げ制御部223へ送る。
【0046】
次に、読み上げ制御部223は、通常の読み上げ速度における、選択されたテキストデータの読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間以上か否かを判定する(S103)。読み上げ時間が所要時間未満である場合(S103:No)、読み上げ制御部223は、選択されたテキストデータのID、および、予め定められた通常の速度で読み上げ処理を実行する旨を、データ読み上げ部224に指示する。
【0047】
データ読み上げ部224は、読み上げデータ格納部221を参照して、読み上げ制御部223から受け取ったIDに対応するテキストデータを抽出し、読み上げ制御部223から指示された通常の読み上げ速度で、抽出したテキストデータの読み上げ処理を開始し(S108)、読み上げ制御部223は、ステップS111に示す処理を実行する。
【0048】
ステップS103において、読み上げ時間が所要時間以上である場合(S103:Yes)、読み上げ制御部223は、予め定められた上限の速度で読み上げ処理を実行した場合の読み上げ時間を、選択されたテキストデータについて読み上げ時間算出部222に算出させる(S104)。そして、読み上げ制御部223は、上限の読み上げ速度における、選択されたテキストデータの読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間以上か否かを判定する(S105)。
【0049】
読み上げ時間が所要時間以上である場合(S105:Yes)、読み上げ制御部223は、次の音声ガイダンスが終了するまでテキストデータの読み上げ処理が延期される旨を、表示装置12による表示または入力装置13を介した音声によりユーザに通知する(S106)。そして、読み上げ制御部223は、経路誘導部214からの通知を監視することにより、次の音声ガイダンスの再生が終了したか否かを判定する(S107)。
【0050】
音声ガイダンスの再生が終了していない場合(S107:No)、読み上げ制御部223は、音声ガイダンスの再生が終了するまでステップS107を繰り返す。一方、音声ガイダンスの再生が終了した場合(S107:Yes)、読み上げデータ格納部221および読み上げ制御部223は、再びステップS102に示した処理を実行する。
【0051】
ステップS105において、上限の読み上げ速度における、選択されたテキストデータの読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間未満である場合(S105:No)、読み上げ制御部223は、読み上げ時間算出部222に指示して、通常の読み上げ速度よりも速く、上限の読み上げ速度よりも遅い1つ以上の読み上げ速度における読み上げ時間をそれぞれ算出させる。
【0052】
そして、読み上げ制御部223は、読み上げ時間算出部222によって算出された読み上げ時間の中で、所要時間算出部211から取得した所要時間未満であり、かつ、最長の読み上げ時間を特定する(S109)。そして、読み上げ制御部223は、選択されたテキストデータのID、および、特定した読み上げ時間に対応する読み上げ速度で読み上げ処理を実行する旨を、データ読み上げ部224に指示する。
【0053】
データ読み上げ部224は、読み上げデータ格納部221を参照して、読み上げ制御部223から受け取ったIDに対応するテキストデータを抽出し、読み上げ制御部223から指示された読み上げ速度で、抽出したテキストデータの読み上げ処理を開始する(S110)。そして、読み上げ制御部223は、データ読み上げ部224からの通知を監視することにより、テキストデータの読み上げ処理が終了したか否かを判定する(S111)。
【0054】
テキストデータの読み上げ処理が終了していない場合(S111:No)、読み上げ制御部223は、テキストデータの読み上げ処理が終了するまでステップS111を繰り返す。一方、テキストデータの読み上げが終了した場合(S111:Yes)、読み上げ制御部223は、読み上げデータ格納部221を参照して、選択されたテキストデータの次に音声として出力されるべきテキストデータがあるか否かを判定する(S112)。
【0055】
音声として次に出力されるべきテキストデータが読み上げデータ格納部221内にある場合(S112:Yes)、読み上げ制御部223は、音声として次に出力されるべきテキストデータを選択し(S113)、ステップS101に示した処理を実行する。一方、音声として次に出力されるべきテキストデータが読み上げデータ格納部221内に無い場合(S112:No)、ナビゲーション装置20は、本フローチャートに示す処理を終了する。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0057】
上記説明から明らかなように、本発明のナビゲーション装置20によれば、音声によって通知されるべき情報を、音声によってユーザに迅速に通知することができる。
【0058】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0059】
例えば、上記した実施形態において、読み上げ制御部223は、上限の読み上げ速度における読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間以上である場合に、次の音声ガイダンスが終了するまで、次に読み上げられるべきテキストデータの読み上げ処理を延期したが、本発明はこれに限られない。
【0060】
例えば、他の形態として、読み上げ制御部223は、上限の読み上げ速度における読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間以上である場合に、当該読み上げ時間と当該所要時間との差が予め定められた値(例えば3秒)未満であるならば、上限の読み上げ速度で、音声として次に出力されるべきテキストデータの読み上げ処理を実行し、当該読み上げ処理が終了するまで、次の音声ガイダンスの再生開始を延期するようにしてもよい。これにより、音声として出力されるべきテキストデータの読み上げ処理が延期されるのをさらに少なくすることができる。
【0061】
また、上記した実施形態において、読み上げ制御部223は、上限の読み上げ速度における読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間未満である場合に、通常の読み上げ速度よりも速く、上限の読み上げ速度よりも遅い1つ以上の読み上げ速度における読み上げ時間を読み上げ時間算出部222にそれぞれ算出させ、算出された読み上げ時間の中で、所要時間算出部211から取得した所要時間未満であり、かつ、最長の読み上げ時間に対応する読み上げ速度を、テキストデータの読み上げ速度として決定したが、本発明はこれに限られない。
【0062】
例えば、上限の読み上げ速度における読み上げ時間が、所要時間算出部211から取得した所要時間未満である場合に、読み上げ制御部223は、当該上限の読み上げ速度を、テキストデータの読み上げ速度として決定するようにしてもよい。これにより、テキストデータの読み上げ速度が通常の速度と上限の速度の2通りとなり、ユーザはその2通りの読み上げ速度における音声を聞き取れればよい。従って、ナビゲーション装置20は、読み上げによる音声がより聞き取りやすい環境をユーザに提供することができる。
【0063】
また、上記した実施形態において、読み上げ制御部223は、音声により出力されるべきテキストデータをユーザから指示された場合に、当該テキストデータの読み上げ時間と所要時間算出部211から取得した所要時間とを比較したが、他の形態として、読み上げ制御部223は、データ取得部220によって、音声として出力されるべきテキストデータが取得される都度(電子メールの着信時、ニュースや地点情報の配信時等)、当該取得されたテキストデータの読み上げ時間と所要時間算出部211から取得した所要時間とを比較して、読み上げ速度や読み上げの延期の有無等を決定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステム10の構成を示すシステム構成図である。
【図2】経路誘導部21の詳細な機能構成を例示するブロック図である。
【図3】地図データ格納部212に格納されるデータ構造を例示する図である。
【図4】データ読み上げ部22の詳細な機能構成を例示するブロック図である。
【図5】読み上げデータ格納部221に格納されるデータ構造を例示する図である。
【図6】ナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10・・・ナビゲーションシステム、11・・・センサ、12・・・表示装置、13・・・入力装置、14・・・スピーカ、20・・・ナビゲーション装置、21・・・経路誘導部、210・・・現在位置算出部、211・・・所要時間算出部、212・・・地図データ格納部、2120・・・メッシュ情報、2121・・・メッシュID、2122・・・リンク情報、2123・・・リンクID、2124・・・開始ノード、2125・・・終了ノード、2126・・・道路種別、2127・・・リンク長、2128・・・法定速度、213・・・経路探索部、214・・・経路誘導部、22・・・データ読み上げ部、220・・・データ取得部、221・・・読み上げデータ格納部、2210・・・読み上げID、2211・・・属性情報、2212・・・テキストデータ、2213・・・レコード、222・・・読み上げ時間算出部、223・・・読み上げ制御部、224・・・データ読み上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、設定された目的地までの経路に従って音声により経路誘導を行う機能と、データを音声により読み上げて出力する機能とを備えるナビゲーション装置において、
音声として出力されるデータであって、予め定められた単位に分割されているデータを格納する読み上げデータ格納手段と、
前記読み上げデータ格納手段に格納されているデータを、指定された読み上げ速度の音声データに変換してスピーカから音声として出力する読み上げ処理を実行する読み上げ手段と、
前記読み上げデータ格納手段に格納されたそれぞれのデータの読み上げ処理にかかる時間である読み上げ時間を、予め定められた通常の読み上げ速度において算出する読み上げ時間算出手段と、
誘導経路上の所定の地点を前記車両が走行した場合に、設定された音声ガイダンスを再生することにより経路誘導を実行する経路誘導手段と、
次に音声ガイダンスが再生される地点を通過するまでの所要時間を算出する所要時間算出手段と、
次に読み上げられるべきデータの読み上げ時間を前記読み上げ時間算出手段に算出させ、算出された読み上げ時間が前記所要時間未満である場合に、前記通常の読み上げ速度で、前記読み上げ手段に当該データの読み上げ処理を実行させ、
前記算出された読み上げ時間が前記所要時間以上である場合に、前記通常の読み上げ速度よりも速い、予め定められた上限の読み上げ速度で、前記読み上げ手段に当該データの読み上げ処理を実行させる読み上げ制御手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げ時間算出手段は、
前記読み上げ時間を、指定された読み上げ速度においてさらに算出し、
前記読み上げ制御手段は、
次に読み上げられるべきデータについて、前記読み上げ時間算出手段によって前記通常の読み上げ速度において算出された読み上げ時間が、前記所要時間以上である場合に、前記上限の読み上げ速度における読み上げ時間を前記読み上げ時間算出手段に算出させ、
前記上限の読み上げ速度における読み上げ時間が前記所要時間未満である場合に、前記上限の読み上げ速度で、前記読み上げ手段に当該データの読み上げ処理を実行させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げ制御手段は、
次に読み上げられるべきデータについて、前記読み上げ時間算出手段によって前記通常の読み上げ速度において算出された読み上げ時間が前記所要時間以上であり、かつ、前記上限の読み上げ速度における読み上げ時間が前記所要時間未満である場合に、前記通常の読み上げ速度と前記上限の読み上げ速度との間の1つ以上の読み上げ速度における読み上げ時間を前記読み上げ時間算出手段にそれぞれ算出させ、算出された読み上げ時間の中で、前記所要時間未満となる最大の読み上げ時間を特定し、特定した読み上げ時間に対応する読み上げ速度で、次に読み上げられるべきデータの読み上げ処理を前記読み上げ手段に実行させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げ制御手段は、
次に読み上げられるべきデータについて、前記読み上げ時間算出手段によって前記上限の読み上げ速度において算出された読み上げ時間が前記所要時間以上である場合に、当該読み上げ時間と当該所要時間との時間差を算出し、算出した時間差が、予め定められた値未満である場合に、前記経路誘導手段に指示して、算出した時間差分、次の音声ガイダンスの開始を遅延させると共に、前記上限の読み上げ速度で、前記読み上げ手段に当該データの読み上げ処理を実行させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げ制御手段は、
次に読み上げられるべきデータについて、前記読み上げ時間算出手段によって前記上限の読み上げ速度において算出された読み上げ時間が前記所要時間以上である場合に、次の音声ガイダンスの再生が終了するまで、当該データの読み上げ処理を延期すると共に、データの読み上げ処理が延期されている旨をユーザに通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記上限の読み上げ速度は、
前記通常の読み上げ速度の2倍の速さであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げデータ格納手段には、文章単位でデータが格納されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げデータ格納手段には、文節単位でデータが格納されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記読み上げデータ格納手段内に格納されるそれぞれのデータは、1つ以上の文章から構成される情報のまとまりであることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−39623(P2008−39623A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215243(P2006−215243)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】