説明

ナビゲーション装置

【課題】 目的地までの途中経路において、ユーザに有益な施設情報を、高い視認性で提供することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るナビゲーション装置10は、現在位置を検出する位置情報検出部12と、自動車若しくは搭乗者の状況に関する状況情報を検出する状況情報検出部14と、状況情報検出部14によって検出した状況情報に応じた抽出条件を決定する抽出条件決定部16と、位置情報検出部12によって検出した現在位置と、抽出条件決定部16によって決定された抽出条件とに基づき、施設情報データベースD1の中から、周辺の施設情報のうちの抽出条件に合致する施設情報を抽出する施設情報抽出部18と、施設情報抽出部18によって抽出された施設情報のアイコンを、周辺地図に重ねてモニタ22上に表示する周辺情報表示部20とを備えるため、高い視認性を確保しつつ、ユーザに有益な施設情報が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の経路案内をおこなうナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モニタ上に現在位置と道路地図とを併せて表示したり、設定した目的地までの経路探索をおこなって最適経路で案内したりするカーナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置の中には、下記特許文献1に示すように、設定した目的地周辺の施設を検索してモニタ表示するものも知られている。ユーザは、目的地周辺の施設の種別の絞り込みをおこなうことで、多くの施設の中から所望の施設を容易に選び出して、その施設情報を入手することができる。
【特許文献1】特開2005−257622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来のナビゲーション装置には、次のような課題が存在している。すなわち、目的地までの途中経路においては、ユーザに有益な種別の周辺施設情報が選択的に表示されないという問題があった。ユーザが、周辺施設情報を得ようとする場合には、全ての種別の周辺施設情報をモニタ表示する必要があり、この場合には道路地図の視認性が著しく低下してしまい、所望の施設を探すのが困難となる。
【0004】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、目的地までの途中経路において、ユーザに有益な施設情報を、高い視認性で提供することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るナビゲーション装置は、現在位置を検出する位置情報検出手段と、自動車若しくは搭乗者の状況に関する状況情報を検出する状況情報検出手段と、状況情報検出手段によって検出した状況情報に応じた抽出条件を決定する条件決定手段と、位置情報検出手段によって検出した現在位置と、条件決定手段によって決定された抽出条件とに基づき、施設情報データベースの中から、周辺の施設情報のうちの抽出条件に合致する施設情報を抽出する施設情報抽出手段と、施設情報抽出手段によって抽出された施設情報のアイコンを、周辺地図に重ねてモニタ上に表示する表示手段とを備える。
【0006】
このナビゲーション装置においては、目的地までの途中経路を含む現在位置において、その周辺の施設情報のうちから、自動車若しくは搭乗者の状況に応じた施設情報のみがユーザに選択的に提供される。そのため、全ての種別の周辺施設情報がモニタ表示される場合に比べて、高い視認性を確保しつつ、ユーザに有益な施設情報が提供される。
【0007】
また、状況情報検出手段は、ユーザからの状況情報に関する入力信号を受け付け、条件決定手段は、状況情報検出手段がユーザから受け付けた状況情報に応じた抽出条件を決定する態様であってもよい。この場合、ユーザの要望が考慮されたより有益な周辺情報の提供が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目的地までの途中経路において、ユーザに有益な施設情報を、高い視認性で提供することができるナビゲーション装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0010】
本発明の実施形態に係るナビゲーション装置は、例えば車載カーナビゲーション装置であり、衛星からの位置情報やジャイロスコープ等を利用して、ユーザ車両の現在位置や目的地までの最適経路を案内するためのものである。図1は、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置10を示したブロック構成図である。このナビゲーション装置10は、機能的な構成要素として、位置情報検出部12(位置情報検出手段)、状況情報検出部14(状況情報検出手段)、抽出条件決定部16(条件決定手段)、施設情報抽出部18(施設情報抽出手段)、周辺情報表示部20(表示手段)、モニタ22及び格納部24を備えている。また、ナビゲーション装置10は、物理的な構成要素として、主に、GPS受信機やジャイロスコープ、車輪センサ等の車両位置検出装置、コンピュータ等の演算処理装置、HDD等のストレージ装置、無線LAN等の無線通信装置、液晶モニタ等の表示装置を備えている。
【0011】
格納部24には、図2に示すような施設情報データベースD1と、図3に示すような抽出条件決定テーブルD2と、図示しない地図情報データベースとが格納されている。
【0012】
施設情報データベースD1は、施設の名称(施設名)、施設の情報が掲載されたホームページのアドレス(HPアドレス)、施設の経度と緯度とを示す情報(経緯位置情報)、施設がある地域の郵便番号(郵便番号)、施設の電話番号(電話番号)とが互いに関連づけられた状態で格納されている。施設としては、例えば、「レストランA」、「パーキングB」、「ガソリンスタンドC」、「コンビニエンスストアD」等があり、各種店舗、公共施設、宿泊施設、高速道路のサービスエリア等であってもよい。このような施設情報データベースD1は、一般にPOI検索データベースと呼ばれる。
【0013】
抽出条件決定テーブルD2は、施設情報データベースD1に格納されている各施設が、後述する抽出条件(条件(a)〜(d))に適合するか否かを決定するためのテーブルである。図3に示すテーブルにおいては、例えば、抽出条件(a)であれば「レストランA」と「パーキングB」とがその条件に適合する施設であることを示しており、抽出条件(b)であれば「パーキングB」と「コンビニエンスストアD」とがその条件に適合していることを示している。
【0014】
図1に戻って、ナビゲーション装置10の各部分について説明する。
【0015】
位置情報検出部12は、ユーザ車両の現在位置をGPS受信機等を用いて検出する部分である。
【0016】
状況情報検出部14は、状況情報を検出する部分であり、この状況情報とは、自動車や搭乗者の状況に関する情報である。状況情報は、具体的には、走行している道路の種別(一般道、高速道路、バイパス等)、走行車線、走行時刻、燃料の残量等の自動車に関する情報や、乗車人数、乗車組み合わせ(大人と小人、男性と女性、若者と老人等)、連続乗車時間等の搭乗者に関する情報である。このような状況情報は、状況情報検出部14が各種センサを利用して自動的に検出する態様、状況情報検出部14がユーザから状況情報に関する入力信号を受け付ける態様のいずれであってもよい。
【0017】
抽出条件決定部16は、状況情報検出部14によって検出された状況情報に応じて、抽出条件を決定する部分である。例えば、連続乗車時間が2時間を超えたことを示す状況情報が検出された場合には、駐車スペースを有する施設の抽出条件である条件(図3に示す条件(a))を、燃料の残量が残りわずかになったことを示す状況情報が検出された場合には、ガソリンスタンドの抽出条件である条件(図3に示す条件(c))を、抽出条件として決定する。
【0018】
施設情報抽出部18は、位置情報検出部12によって検出した現在位置と、抽出条件決定部16によって決定された上記抽出条件とに基づいて、施設情報データベースD1の中から、周辺の施設情報のうちの上記抽出条件に合致する施設情報を抽出する。具体的には、抽出条件決定テーブルD2を参照して決定された抽出条件(例えば、条件(a))に合致する施設を抽出すると共に、このようにして抽出した施設の中から周辺の施設のみを、「経緯位置情報」や「郵便番号」をキーにして施設情報データベースD1の中から選出し、その施設に関する施設情報を抽出する。
【0019】
周辺情報表示部20は、施設情報抽出部18によって抽出された施設情報のアイコンを、周辺地図に重ねてモニタ22上に表示する部分である。例えば、図4に示すように、モニタ22上には周辺地図に重ねて、抽出された施設情報(レストランA、パーキングB)のアイコンのみが表示される。
【0020】
以上で説明したナビゲーション装置10では、以下のような態様を実現することができる。
(1)連続乗車時間が2時間を超えると、駐車スペースを有する施設の施設情報をモニタに選択的に表示する。
(2)燃料の残量が所定の閾値を割ると、ガソリンスタンドの施設情報をモニタに選択的に表示する。
(3)食事の時刻になると、乗車組み合わせ及び乗車人数に適したレストランの施設情報をモニタに選択的に表示する。
(4)中央分離帯のある道路では、走行方向左側にある施設の施設情報をモニタに選択的に表示する。
(5)高速道路の走行中には、(周辺の一般道沿いの施設の施設情報は表示せずに)サービスエリア/パーキングエリアの施設情報をモニタに選択的に表示する。
【0021】
このように、ナビゲーション装置10においては、目的地だけでなく、目的地までの途中経路を含む現在位置においても、その周辺の施設情報のうちから、自動車若しくは搭乗者の状況に応じた施設情報のみがユーザに選択的に提供される。
【0022】
従って、ナビゲーション装置10によれば、全ての種別の周辺施設情報がモニタ表示される場合(図5に示すように「レストランA」、「パーキングB」、「ガソリンスタンドC」、「コンビニエンスストアD」が表示される場合)に比べて、高い視認性を確保しつつ、ユーザに有益な施設情報が提供される。
【0023】
なお、状況情報検出部14が、ユーザからの状況情報に関する入力信号を受け付け、抽出条件決定部16が状況情報検出部14がユーザから受け付けた状況情報に応じた抽出条件を決定する態様である場合には、ユーザの要望が考慮されたより有益な周辺情報の提供が可能となる。
【0024】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、施設情報データベースD1は、必ずしもナビゲーション装置10の格納部24に格納されている必要はなく、図6に示すように、ネットワークNWを介してナビゲーション装置10と通信可能なサーバ30(施設情報格納サーバ)に格納する態様であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック構成図である。
【図2】図1に示した施設情報データベースの構成を示した図である。
【図3】図1に示した抽出条件決定テーブルの構成を示した図である。
【図4】図1に示したモニタに選択的に施設情報のアイコンが表示されている図である。
【図5】図1に示したモニタに全ての施設情報のアイコンが表示されている図である。
【図6】図1とは異なる態様のナビゲーション装置を示したブロック構成図である。
【符号の説明】
【0026】
10…ナビゲーション装置、12…位置情報検出部、14…状況情報検出部、16…抽出条件決定部、18…施設情報抽出部、20…周辺情報表示部、22…モニタ、D1…施設情報データベース、D2…抽出条件決定テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する位置情報検出手段と、
自動車若しくは搭乗者の状況に関する状況情報を検出する状況情報検出手段と、
前記状況情報検出手段によって検出した前記状況情報に応じた抽出条件を決定する条件決定手段と、
前記位置情報検出手段によって検出した現在位置と、前記条件決定手段によって決定された前記抽出条件とに基づき、施設情報データベースの中から、周辺の施設情報のうちの前記抽出条件に合致する施設情報を抽出する施設情報抽出手段と、
前記施設情報抽出手段によって抽出された前記施設情報のアイコンを、周辺地図に重ねてモニタ上に表示する表示手段と
を備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記状況情報検出手段は、ユーザからの前記状況情報に関する入力信号を受け付け、
前記条件決定手段は、前記状況情報検出手段がユーザから受け付けた前記状況情報に応じた前記抽出条件を決定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−89511(P2008−89511A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273299(P2006−273299)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】