説明

ナビゲーション装置

【課題】外国人のユーザに対して、自動料金収受システムにおいて徴収される料金の多寡を実感としてつかむことができるようにするナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ETC車載器が料金所において徴収料金の情報を取得したとき、徴収料金の情報50bが表示モニタ16に表示される。ナビゲーション装置に使用される言語は英語(USA)に設定されたので、徴収料金を表す通貨は、米国の通貨である「ドル」である。したがって、データ記憶装置に記憶された外国為替レートの情報に基づいて徴収料金「1160円」が「10ドル」に換算され、徴収料金として表示モニタ16に表示される。また、スピーカからもドルに換算された徴収料金の情報60bが英語の音声で出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動料金収受システムにおいて徴収される料金の情報を表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動料金収受(ETC:Electronic Toll Collection)システムで徴収される高速道路の通行料金を表示するETC用車載器が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−317124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外国人のユーザは、特許文献1に記載されているような従来のETC用車載器に表示されている円貨による金額を見ても、通行料金の多寡を実感としてつかめないというという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、自動料金収受システムで使用される車載器と接続したナビゲーション装置において、ナビゲーション装置に使用する言語を設定する言語設定手段と、自動料金収受システムで徴収される料金の情報を車載器から取得する徴収料金情報取得手段と、言語設定手段により設定された言語に基づいて、通貨を決定する通貨決定手段と、通貨決定手段で決定した通貨に換算して、徴収料金情報取得手段により取得した徴収料金の情報を通知する徴収料金情報通知手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、徴収料金情報通知手段は、通貨に換算した徴収料金の金額が参考金額であることを通知することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、自動料金収受システムで徴収される料金の履歴の情報を車載器から取得する徴収料金履歴情報取得手段と、通貨決定手段で決定した通貨に換算して、徴収料金履歴情報取得手段により取得した徴収料金の履歴の情報を通知する徴収料金履歴情報通知手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ナビゲーション装置に使用されている言語に基づいて、自動料金収受システムにおいて徴収される料金を表す通貨を決定し、その通貨で自動料金収受システムにおいて徴収される料金をユーザに通知するようにした。したがって、外国人のユーザは、自動料金収受システムにおいて徴収される料金の多寡を実感としてつかむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。ナビゲーション装置1は、ETC車載器2と接続しており、ETC車載器2から自動料金収受(ETC)システムにおいて徴収される料金の情報を取得することができる。ナビゲーション装置1は、取得した料金の情報を、ナビゲーション装置1に使用する言語に基づいて選択された通貨で表示する。また、ナビゲーション装置1は、ETC車載器2に挿入されているICカードに記録された料金徴収の履歴の情報を取得することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、通信装置19、データ記憶装置110およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記憶されたDVD−ROM112が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、DVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行う。そして、その処理結果を推奨経路として表示モニタ16に表示する。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定する。また、現在地検出装置14により検出された車両の現在地が自車位置マークとして地図上に表示される。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、制御回路11において適宜生成される。
【0010】
ディスクドライブ111は、DVD−ROM112から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などのために操作される操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。また、ユーザは、入力装置18を操作することにより、表示モニタ16の表示画面に表示されたメニュー画面の中から所望の項目を選択することができる。
【0012】
目的地がユーザによって設定されると、目的地に経路探索終了点が設定される。そして、経路探索用データを用いて経路探索開始点から経路探索終了点までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0013】
通信装置19は、無線電波を利用して不図示の情報センタとの間でデータ通信を行う装置である。通信装置19を用いて情報センタから、図2に示すような外国為替レートの情報を取得することができる。ナビゲーション装置1は、1日1回所定時間に外国為替レートの情報を情報センタから取得する。
【0014】
データ記憶装置110は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な記録媒体によって構成される記憶装置である。データ記憶装置110は、情報センタから取得した図2に示すような外国為替レートの情報を記憶する。
【0015】
ETC車載器2は、料金所に設けられた不図示の道路側アンテナと無線通信を行い、有料道路に進入したときの料金所入口の情報を送信した後、徴収される通行料金(以下、徴収料金と呼ぶ)の情報を受信する。徴収料金は、後日、ユーザに請求され、支払われる。また、ETC車載器2には、ICカード21が挿入され、料金徴収の履歴がICカード21に記憶される。ETC車載器2は、道路側アンテナから受信した徴収料金の情報を受信すると、その情報をナビゲーション装置1に出力する。また、ETC車載装置2は、ICカード21に記憶された料金徴収の履歴の情報をナビゲーション装置1に出力することができる。
【0016】
次に、図3〜図6を参照して本発明の一実施形態における、ETCシステムにおいて徴収される料金のユーザに対する通知について説明する。図3(a)に示すように、ユーザは、メニュー画面30に表示された「言語選択」の項目31を選択することにより、ナビゲーション装置1に使用する言語を設定するができる。「言語選択」の項目31を選択すると、図3(b)に示すように、ナビゲーション装置1に使用する言語の候補41〜45が表示される。たとえば、ユーザは、言語の候補41〜45の中から、「日本語」41を選択した場合、日本語でメニュー画面などが表示され、日本語で音声案内を受けることができる。
【0017】
また、ETC車載器2が料金所において徴収料金の情報を取得したとき、図4に示すように、徴収料金の情報50aが表示モニタ16に表示される。ナビゲーション装置1に使用される言語は日本語に設定されているので、徴収料金の情報50aは、日本の通貨である「円」で表示される。また、図4に示すように、スピーカ17からも徴収料金の情報60aが日本語の音声で出力される。
【0018】
一方、図5(a)に示すように、言語の候補41〜45の中から、ユーザが「日本語」41以外の言語たとえば、「英語(USA)」42を選択した場合、図5(b)に示すように、英語でメニュー画面などが表示される。
【0019】
ETC車載器2が料金所において徴収料金の情報を取得したとき、図6に示すように、徴収料金の情報50bが表示モニタ16に表示される。ナビゲーション装置1に使用される言語は英語(USA)に設定されているので、徴収料金の情報50bは、米国の通貨である「ドル」で表示される。表示される徴収料金の金額は、データ記憶装置110に記憶された外国為替レートの情報に基づいてドルに換算され、算出される。また、図6に示すように、スピーカ17からもドルに換算された徴収料金の情報60bが英語の音声で出力される。
【0020】
次に、本発明の実施形態における、ETCシステムにおいて徴収される料金の通知処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。図7の処理は、ナビゲーション装置1およびETC車載器2の不図示の電源スイッチがオンされるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0021】
ステップS701では、ETC車載器2から料金徴収の情報が出力されたか否かを判定する。ETC車載器2から料金徴収の情報が出力された場合はステップS701が肯定判定され、ステップS702へ進む。ETC車載器2から料金徴収の情報が出力されない場合はステップS701を繰り返す。
【0022】
ステップS702では、ナビゲーション装置1に使用されている言語より徴収料金を換算する通貨を決定する。ステップS703では、データ記憶装置110に記憶された外国為替レートの情報より、徴収料金をステップS703で決定した通貨に換算する。
【0023】
ステップS704では、換算された徴収料金を表示モニタ16に表示する。ステップS705では、換算された徴収料金をスピーカ17から音声で出力する。そして、スタートへリターンする。
【0024】
以上の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
ナビゲーション装置1に使用されている言語に基づいて、自動料金収受システムにおいて徴収される料金を表す通貨を決定し、その通貨で自動料金収受システムにおいて徴収された料金をユーザに通知するようにした。したがって、外国人のユーザは、自動料金収受システムにおいて徴収される料金の多寡を実感としてつかむことができる。
【0025】
とくに、ナビゲーション装置1に使用されている言語に基づいて、自動料金収受システムにおいて徴収される料金を表す通貨を決定するので、外国のユーザが徴収される料金の多寡を実感としてつかむことができる通貨を自動的に選択することができる。理由は以下の通りである。外国のユーザは、ナビゲーション装置1に使用されている言語として、慣れ親しんだ言語を選択する。この慣れ親しんだ言語が主として使用されている国家の通貨を選択することにより、外国のユーザが慣れ親しんだ通貨を選択することができる。
【0026】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)外国為替レートの情報を情報センタから取得したが、ラジオ放送の文字放送から外国為替レートの情報を取得するようにしてもよい。また、携帯電話をナビゲーション装置1に接続し、通信装置19の代りに携帯電話を介して外国為替レートの情報を取得するようにしてもよい。
【0027】
(2)上述したように、徴収料金は、後日、ユーザに請求される。外国為替レートは変動するので、外国人のユーザがその外国の通貨で支払う徴収料金の金額は、ナビゲーション装置1に外国の通貨で表示された徴収料金の金額と変わる場合がある。このように、ナビゲーション装置1から通知される、外国通貨に換算された徴収料金の金額は、参考金額であり、確定した金額ではない。このような理由から、外国通貨に換算された徴収料金の金額を通知するとき、この金額は参考金額であり、確定金額でないことを通知するようにしてもよい。これにより、外国のユーザが、通知された金額を支払い時の確定金額であると誤認するのを防止することができる。たとえば、「クレジット決済のため、料金が異なることがあります。」と、ナビゲーション装置1に使用される言語で表示モニタ16に表示するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1に使用される言語による音声で、「クレジット決済のため、料金が異なることがあります。」と、スピーカ17から出力するようにしてもよい。
【0028】
(3)ETC車載装置2から取得した料金徴収の履歴情報を、ナビゲーション装置1に設定された言語に対応する外国通貨に換算して表示できるようにしてもよい。これにより、外国人のユーザは、徴収料金の履歴に表示されている徴収料金についても、徴収料金の多寡を実感としてつかむことができる。たとえば、ナビゲーション装置1に使用されている言語が英語(USA)に選択された場合、図8に示すように、ETC車載装置2から取得した料金徴収の履歴情報70がアメリカの通貨であるドルに換算されて表示される。料金徴収の履歴情報70の中の料金徴収の履歴71を見ることにより、2007年8月27日に、地点「A」から地点「B」まで有料道路を通行し、そのときの通行料金がドル換算で9ドルであったことがわかる。
【0029】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0030】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の言語設定手段は制御回路11および入力装置18に対応し、徴収料金情報取得手段および通貨決定手段は制御回路11に対応する。徴収料金情報通知手段は制御回路11、表示モニタ16およびスピーカ17に対応する。徴収料金履歴情報取得手段は制御回路11に対応し、徴収料金履歴情報通知手段は制御回路11および表示モニタ16に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】情報センタから取得する外国為替レートの情報を説明するための図である。
【図3】ナビゲーション装置に使用する言語を日本語に選択する操作を説明するための図である。
【図4】ナビゲーション装置に使用する言語が日本語に選択された場合のETCシステムにおいて徴収される料金の通知を説明するための図である。
【図5】ナビゲーション装置に使用する言語を英語に選択する操作を説明するための図である。
【図6】ナビゲーション装置に使用する言語が英語に選択された場合のETCシステムにおいて徴収される料金の通知を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態における、ETCシステムにおいて徴収される料金の通知処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置に使用する言語が英語に選択された場合のETCシステムにおいて徴収される料金の履歴表示を説明するための図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ナビゲーション装置
2 ETC車載器
11 制御回路
16 表示モニタ
17 スピーカ
18 入力装置
19 通信装置
30 メニュー画面
50a,50b 徴収料金の情報
41〜45 ナビゲーション装置における使用言語の候補
110 データ記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動料金収受システムで使用される車載器と接続したナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置に使用する言語を設定する言語設定手段と、
前記自動料金収受システムで徴収される料金の情報を前記車載器から取得する徴収料金情報取得手段と、
前記言語設定手段により設定された言語に基づいて、通貨を決定する通貨決定手段と、
前記通貨決定手段で決定した通貨に換算して、前記徴収料金情報取得手段により取得した徴収料金の情報を通知する徴収料金情報通知手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記徴収料金情報通知手段は、前記通貨に換算した徴収料金の金額が参考金額であることを通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記自動料金収受システムで徴収される料金の履歴の情報を前記車載器から取得する徴収料金履歴情報取得手段と、
前記通貨決定手段で決定した通貨に換算して、前記徴収料金履歴情報取得手段により取得した徴収料金の履歴の情報を通知する徴収料金履歴情報通知手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−92560(P2009−92560A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264618(P2007−264618)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】